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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090082
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】燃料遮断弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20240627BHJP
   F16K 31/18 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F02M25/08 F
F16K31/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205737
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】永作 友一
【テーマコード(参考)】
3G144
3H068
【Fターム(参考)】
3G144BA40
3G144DA03
3G144FA23
3G144GA03
3H068AA01
3H068BB52
3H068DD12
3H068DD18
3H068FF07
3H068FF08
3H068FF09
3H068GG07
(57)【要約】
【課題】コンパクト化を図り燃料タンク内での占有スペースを縮小する上で有利な燃料遮断弁を提供する。
【解決手段】ケーシング14に弁室28内とケーシング14の外部とを連通する連通孔34が貫通された筒状部24を設け、フロート16の上部にケーシング14の上部に開放状で筒状部24の収容を可能とした凹部44を設け、凹部44に筒状部24の下端24Aに当接可能な底面部4402を設けた。凹部44に筒状部24を収容することで上下方向において筒状部24と凹部44とを重複(ラップ)させることによって弁室28内におけるフロート16の位置を上方寄りの箇所に位置させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室を有するケーシングと、前記弁室に収納されたフロートとを備える燃料遮断弁の構造であって、
前記ケーシングは、前記ケーシングの上部から前記弁室内に向かって延びその内部に前記弁室内と前記ケーシングの外部とを連通する連通孔が貫通された筒状部を有し、
前記フロートの上部には、前記ケーシングの上部に開放状で前記筒状部の収容を可能とした凹部が形成され、
前記凹部は前記筒状部の下端に当接可能な底面部を有している、
ことを特徴とする燃料遮断弁。
【請求項2】
前記弁室内で前記フロートが最も下方に位置した前記フロートの初期位置で、前記凹部内に前記筒状部の下端が収容されている、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料遮断弁。
【請求項3】
前記連通孔を、前記連通孔の軸心方向と直交する平面で切断した形状は円形であり、
前記底面部は、平面視した場合、円形であり、
平面視した場合、前記連通孔の軸心と前記底面部の中心とは合致しており、
前記底面部の中心部には、前記連通孔に向かって凸状で前記連通孔を閉塞可能な閉塞部を有している、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料遮断弁。
【請求項4】
前記フロートの上部の上端面から前記底面部の中心部までの寸法を深さDとし、
前記筒状部が前記ケーシングの上壁内面から突出する寸法を長さLとした場合、
前記深さDと前記長さLとは略同一である、
ことを特徴とする請求項3記載の燃料遮断弁。
【請求項5】
前記フロートの上部は、前記凹部と、前記凹部の周囲に位置する筒状壁とを備え、
前記筒状壁には、前記底面部の外周部に連通すると共に前記底面部から離れる方向に前記フロートの外周部まで延在する溝部が前記筒状壁の周方向に等間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料遮断弁。
【請求項6】
前記溝部は前記底面部から離れるにつれて下方に変位する傾斜で形成されている、
ことを特徴とする請求項5記載の燃料遮断弁。
【請求項7】
前記溝部は、前記底面部の外周部の互いに対向する箇所に一対設けられ、
前記一対の溝部は上面視において単一の直線上を延在している、
ことを特徴とする請求項5記載の燃料遮断弁。
【請求項8】
前記筒状壁に前記一対の溝部が形成されることで、前記筒状壁は略半円筒状を呈し互いに対向する同形同大の一対の半円筒状壁部で形成されている、
ことを特徴とする請求項7記載の燃料遮断弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料遮断弁に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を駆動源とする車両に搭載される燃料タンクは、ベーパー管を介して燃料から蒸発する燃料蒸発ガスを吸着するキャニスタと接続されており、燃料タンクの内部には、燃料タンクとベーパー管との間を連通、遮断する燃料遮断弁が設けられている。
燃料遮断弁として、ケーシングと、ケーシングに設けられベーパー管に連通する連通孔と、ケーシング内に収容され液面の高さに応じて昇降することで連通孔を開閉するフロートとを備えるものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-297787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料遮断弁は、燃料タンクの内部の限られたスペースを占有していることから、燃料タンクのコンパクト化や燃料タンクの満タン容量の増大を実現する上で不利があり、如何にして燃料遮断弁のコンパクト化を図るかが重要となっている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、コンパクト化を図り燃料タンク内での占有スペースを縮小する上で有利な燃料遮断弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、弁室を有するケーシングと、前記弁室に収納されたフロートとを備える燃料遮断弁の構造であって、前記ケーシングは、前記ケーシングの上部から前記弁室内に向かって延びその内部に前記弁室内と前記ケーシングの外部とを連通する連通孔が貫通された筒状部を有し、前記フロートの上部には、前記ケーシングの上部に開放状で前記筒状部の収容を可能とした凹部が形成され、前記凹部は前記筒状部の下端に当接可能な底面部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、凹部に筒状部を収容することで上下方向において筒状部と凹部とを重複(ラップ)させることによって弁室内におけるフロートの位置を上方寄りの箇所に位置させることができる。
これにより、フロートの上下方向の寸法を変えることなくケーシングの上下方向の寸法を縮小することができるため、燃料遮断弁のコンパクト化を図り、燃料タンク内における燃料遮断弁の占有スペースを縮小する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態の燃料遮断弁の縦断面図であり、フロートの初期位置を示す。
図2】実施の形態の燃料遮断弁の縦断面図であり、フロートの閉塞位置を示す。
図3】フロートの平面図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5】フロートの初期位置における燃料蒸気ガスの流れを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、燃料遮断弁10は燃料タンク12の上部に設けられており、ケーシング14と、フロート16とを含んで構成されている。
ケーシング14およびフロート16は、耐燃料性を有する合成樹脂材料で形成され、このような合成樹脂材料として、POM(ポリアセタール)やPA(ナイロン)などの従来公知の様々な合成樹脂材料が使用可能である。
【0009】
ケーシング14は、燃料タンク12の上壁1202に取り付けられている。
ケーシング14は、底壁18と、底壁18の周囲から立設された周壁20と、周壁20の上部を接続する上壁22と、筒状部24と、接続部26とを含んで構成され、底壁18と周壁20と上壁22とによって弁室28が形成されている。
本実施の形態では、底壁18、上壁22は円形を呈し、周壁20は円筒状を呈し、弁室28は上下に軸心を向けた円柱状の空間を呈している。
弁室28を形成するケーシング14の大部分は、燃料タンク12の内部に位置しており、上壁22と、上壁22寄りの周壁20と、接続部26とが燃料タンク12の上部に露出している。
図2に示すように、底壁18には、燃料30の流通を可能とする複数の貫通孔1802が形成され、燃料タンク12内の燃料30の液面30Aが上昇した際に、燃料30が弁室28内に流通するように図られている。
底壁18の内面の中心には、すなわち、弁室28の軸心上に位置する底壁18の内面の箇所には、軸心を上下方向に向けたコイルスプリング32の下端32Aが取り付けられている。
筒状部24は、ケーシング14の上壁22の内面の中心より弁室28内に向かって延びその内部に弁室28内とケーシング14の外部とを連通する連通孔34が貫通され、したがって筒状部24および連通孔34はその軸心を弁室28の軸心に合致させて配置されている。
連通孔34を、連通孔34の軸心方向と直交する平面で切断した形状は円形である。
本実施の形態では、筒状部24は、下方に至るにつれて外径および内径が小さくなる截頭円錐状を呈している。なお、筒状部24は、均一外径、均一内径の円筒状に形成されていてもよい。
接続部26は、上壁22の上面に設けられ、連通孔34と不図示のベーパー管の一端とを連通する通路26Aを有している。ベーパー管の他端は不図示のキャニスタに接続され、燃料タンク12内の燃料蒸発ガスが、連通孔34、通路26A、ベーパー管を経由してキャニスタに導かれるように構成されている。
【0010】
フロート16は、弁室28に収容されている。
フロート16は、弁室28に収容された状態で、軸心を上下方向に向けた円柱状を呈し、底面36と、上面38と、それら底面36と上面38とを接続する円筒面40とを備えている。
図1図2に示すように、フロート16は、弁室28内の燃料30の液面30Aの昇降に追従して昇降する。弁室28内へは、燃料タンク12内の燃料30の液面30Aが上昇した際に燃料30が流入する。
フロート16はその軸心を弁室28の軸心と合致させて配置され、フロート16は弁室28の軸心上で昇降する。
底面36の中央には、軸心を上下方向に向けてスプリング収容孔42が形成されている。
スプリング収容孔42には、底壁18に下端32Aが取り付けられたコイルスプリング32が収容され、スプリング収容孔42およびコイルスプリング32の軸心は弁室28の軸心上に位置している。
なお、コイルスプリング32の上端32Bはスプリング収容孔42の頂壁に連結されていない。
スプリング収容孔42は、コイルスプリング32の軸心方向の大部分を収容できる深さで形成されると共に、コイルスプリング32の外径よりも僅かに大きな内径で形成されている。
フロート16が昇降する際に、コイルスプリング32とスプリング収容孔42を介してフロート16は弁室28の軸心上で昇降するように案内されている。
【0011】
図1図3に示すように、フロート16の上部は、凹部44と、凹部44の周囲に位置する筒状壁46とを備えている。
凹部44は、ケーシング14の上部に開放状で筒状部24の収容を可能に形成されている。
凹部44は、平面視円形の底面部4402を有し、底面部4402の中心は弁室28の軸心上に位置している。
底面部4402は、上方に凸状の曲面で形成され、曲面は例えば球面や円錐面である。
底面部4402の中心部は、筒状部24の下端24Aに当接可能で、筒状部24の下端24Aが底面部4402の中心部に当接することで連通孔34は閉塞される。
したがって、底面部4402の中心部は、連通孔34に向かって凸状で連通孔34を閉塞可能な閉塞部48を有している。
【0012】
筒状壁46は、底面部4402の周囲から起立している。
筒状壁46は、底面部4402の周囲から起立するに従い内径が次第に大きくなる傾斜面4602を備えている。
筒状壁46には、底面部4402の外周部に連通すると共に底面部4402から離れる方向に延在しフロート16の外周部まで延在した(言い換えると筒状壁46の外部に開放された)溝部50が筒状壁46の周方向に等間隔をおいて複数設けられている。
溝部50は筒状壁46の径方向に貫通すると共に上方に開放されている。
溝部50は、底面部4402から離れるにつれて下方に変位する傾斜で形成されている。
本実施の形態では、図3に示すように、溝部50は、底面部4402の外周部の互いに対向する箇所に一対設けられ、一対の溝部50は上面視において単一の直線上を延在している。
筒状壁46に一対の溝部50が形成されることで、筒状壁46は略半円筒状を呈し互いに対向する同形同大の一対の半円筒状壁部52で形成されている。
【0013】
図1に示すように、フロート16の上部の上端面から、すなわち、筒状壁46の上端面から筒状部24の下端24Aが当接する底面部4402の中心部までの寸法を深さDとし、筒状部24がケーシング14の上壁22内面から突出する寸法を長さLとした場合、深さDと長さLとは略同一である。
詳細には、閉塞位置において筒状部24の下端24Aが底面部4402(閉塞部48)に当接するためには、L≧Dであることが必要である。
図1は、フロート16の初期位置を示している。
フロート16の初期位置は、弁室28内に燃料30が存在せず、弁室28内でフロート16が最も下方に位置した箇所である。言い換えると、フロート16の初期位置はフロート16の自重によりフロート16の底面36がケーシング14の底壁18近傍に位置した箇所である。
詳細には、フロート16の初期位置は、フロート16の底面36がケーシング14の底壁18に載置された箇所、あるいは、コイルスプリング32によってフロート16の底面36がケーシング14の底壁18よりも若干浮き上がった箇所である。
フロート16の初期位置で、筒状部24の下端24Aは凹部44に収容されている。
図2は、フロート16の閉塞位置を示している。
フロート16の閉塞位置では、弁室28内に流入した燃料30によってフロート16が上方に浮き上がりフロート16の凹部44の底面部4402の中心部がケーシング14の筒状部24の下端24Aに当接し、連通孔34が閉塞される。
【0014】
本実施の形態によれば、ケーシング14に弁室28内とケーシング14の外部とを連通する連通孔34が貫通された筒状部24を設け、フロート16の上部にケーシング14の上部に開放状で筒状部24の収容を可能とした凹部44を設け、凹部44に筒状部24の下端24Aに当接可能な底面部4402を設けた。
したがって、凹部44に筒状部24を収容することで上下方向において筒状部24と凹部44とを重複(ラップ)させることによって弁室28内におけるフロート16の位置を上方寄りの箇所に位置させることができる。
これにより、フロート16の上下方向の寸法を変えることなくケーシング14の上下方向の寸法を縮小することができるため、燃料遮断弁10のコンパクト化を図り、燃料タンク12内における燃料遮断弁10の占有スペースを縮小する上で有利となる。
そのため、燃料タンク12の満タン容量を増大させて車両の航続距離の増大を図る上で有利となり、あるいは、燃料タンク12のコンパクト化を図りつつ、燃料タンク12の満タン容量を確保する上で有利となる。
また、燃料遮断弁10をコンパクト化することで燃料タンク12における燃料遮断弁10のレイアウトの自由度を確保する上でも有利となる。
【0015】
また、本実施の形態によれば、弁室28内でフロート16が最も下方に位置したフロート16の初期位置で凹部44内に筒状部24の先端が収容されているので、フロート16の初期位置で上下方向において筒状部24と凹部44とを重複(ラップ)させることができ、重複した寸法分だけ、弁室28内におけるフロート16の位置を上方寄りの箇所に位置させることができる。
したがって、ケーシング14の上下方向の寸法を縮小する上でより有利となり、燃料遮断弁10のコンパクト化を図る上でより有利となる。
また、フロート16の初期位置において筒状部24の先端が凹部44で覆われるため、弁室28内で飛散した燃料30が筒状部24の連通孔34に入りにくくなりことから、燃料30がベーパー管を介してキャニスタへ侵入しにくくなり、キャニスタの性能を確保する上で有利となる。
【0016】
また、本実施の形態によれば、平面視した場合、連通孔34の軸心と底面部4402の中心とは合致しており、底面部4402の中心部には、連通孔34に向かって凸状で連通孔34を閉塞可能な閉塞部48を有しているので、凸状の閉塞部48によって連通孔34を確実に閉塞する上で有利となり、弁室28内で飛散した燃料30のキャニスタへの侵入を抑制する上でより有利となる。
【0017】
また、本実施の形態によれば、フロート16の凹部44の周囲に位置する筒状壁46に、底面部4402の外周部に連通すると共に底面部4402から離れる方向にフロート16の外周部まで延在する溝部50を筒状壁46の周方向に等間隔をおいて複数設けた。
したがって、弁室28内で飛散して凹部44に進入した燃料30は、凹部44から溝部50を介してフロート16の外周部に円滑に排出されるため、凹部44に燃料30が溜まりにくくなり、凹部44に溜まった燃料30が筒状壁46の連通孔34に入ることを抑制する上で有利となり、燃料30のキャニスタへの侵入を抑制する上でより有利となる。
また、図5に示すように、フロート16が開放位置に位置した状態、あるいは、少なくともフロート16が閉塞位置よりも下方に位置した状態であって、筒状壁46の下端32Aとフロート16の凹部44の底面36との間に隙間が形成された状態においては、燃料タンク12内の燃料蒸気ガスの圧力がキャニスタの圧力(ベーパー管の圧力)よりも上昇すると、圧力が上昇した燃料蒸気ガスが筒状壁46と凹部44との間の空間を経由して連通孔34からベーパー管を介してキャニスタに流れることで、燃料タンク12内の燃料蒸気ガスの圧力が開放(リリーフ)される。
【0018】
ここで、筒状壁46に溝部50が形成されていない場合には、矢印F1で示すように、圧力が上昇した燃料蒸気ガスは、フロート16の側方、フロート16の上面38とケーシング14の上壁22との間の隙間、凹部44と筒状部24との間の隙間を順次経由する屈曲した長い流通経路に沿って連通孔34に流れることになり、燃料蒸気ガスの通気抵抗が高くなり、燃料蒸気ガスの圧力(正圧)を円滑に確実に開放する効果が低下する。
これに対して、本実施の形態のように、筒状壁46に底面部4402の外周部に連通すると共に底面部4402から離れる方向にフロート16の外周部まで延在する溝部50が形成されている場合には、圧力が上昇した燃料蒸気ガスの一部は、上述した矢印F1で示す流通経路を経由して連通孔34に流れる一方、圧力が上昇した燃料蒸気ガスの大部分は、矢印F2で示すように、フロート16の側方から溝部50を経由する直線状で短い通気抵抗が低い流通経路を経由して連通孔34に流れる。
そのため、筒状壁46に溝部50が形成されていない場合に比較して燃料蒸気ガスの通気抵抗が低くなり、燃料蒸気ガスの圧力(正圧)を円滑に確実に開放する効果を高める上で有利となり、キャニスタによる燃料蒸気ガスの吸着を効率よく行なう上で有利となる。
なお、上述した場合とは逆に燃料タンク12内の燃料蒸気ガスの圧力がキャニスタの圧力(ベーパー管の圧力)よりも低下した場合には、燃料蒸気ガスの流れる方向が上述の場合と逆方向となるが、上記と同様に燃料蒸気ガスの通気抵抗が低くなるため、燃料タンク12内の燃料蒸気ガスの圧力(負圧)を円滑に確実に開放する効果を高める上で有利となる。
【0019】
また、溝部50を筒状壁46の周方向に等間隔をおいて複数設けたので、フロート16がフロート16の軸心を中心として対称な形状となることから、フロート16が燃料30によって浮かんだときの荷重バランスを取る上で有利となり、燃料30の液面30Aの昇降に伴ってフロート16が傾くことなく安定して昇降するため、燃料遮断弁10の開閉動作を円滑に確実に行なう上で有利となる。
なお、溝部50を筒状壁46の周方向に等間隔をおいて複数設ける場合として、実施の形態のようにフロート16の周方向に180度の間隔をおいて溝部50を2つ設けたり、120度あるいは90度の間隔をおいて3つ、4つ設けるなど任意である。
【0020】
また、本実施の形態によれば、フロート16の上部の上端面から底面部4402の中心部までの深さDと、筒状部24がケーシング14の上壁22内面から突出する長さLとを略同一としたので、フロート16の初期位置において上下方向において筒状部24と凹部44とが重複(ラップ)する寸法を略最大に確保できる。
したがって、ケーシング14の上下方向の寸法を縮小する上でより有利となり、燃料遮断弁10のコンパクト化を図る上でより有利となる。
また、図5に示す矢印F1で示す燃料蒸気ガスの流通経路を短縮する上で有利となり、燃料蒸気ガスの通気抵抗を低減する上でより有利となり、燃料蒸気ガスの圧力を円滑に確実に開放する上でより有利となる。
【0021】
また、本実施の形態によれば、溝部50は底面部4402から離れるにつれて下方に変位する傾斜で形成されているので、弁室28内で飛散して凹部44に進入した燃料30は、凹部44から溝部50の傾斜にしたがってフロート16の外周に円滑に排出されるため、凹部44に燃料30が溜まりにくくなり、凹部44に溜まった燃料30が筒状壁46の連通孔34に入ることを抑制する上でより有利となり、燃料30のキャニスタへの侵入を抑制する上でより一層有利となる。
また、溝部50が底面部4402から離れるにつれて下方に変位する傾斜で形成されていない場合、すなわち、溝部50がフロート16の軸心と直交する平面上を延在して形成されている場合には、フロート16の円筒面40と溝部50の底面とが交差する角度(燃料蒸気ガスの流通経路が屈曲する角度)が90度となるため、燃料蒸気ガスの通気抵抗が高くなる。
これに対して本実施の形態のように、溝部50が底面部4402から離れるにつれて下方に変位する傾斜で形成されている場合には、フロート16の円筒面40と溝部50の底面とが交差する角度(燃料蒸気ガスの流通経路が屈曲する角度)が90度よりも大きな鈍角となるため、燃料蒸気ガスの通気抵抗を低減する上でより有利となり、燃料蒸気ガスの圧力を円滑に確実に開放する上でより有利となる。
【0022】
また、本実施の形態によれば、溝部50は底面部4402の外周部の互いに対向する箇所に一対設けられ、一対の溝部50は上面視において単一の直線上を延在しているので、溝部50の形状が簡素化されていることから、フロート16に溝部50を形成する加工を効率的に行なう上で有利となり、フロート16の加工コストの低減を図る上で有利となる。
【0023】
また、本実施の形態によれば、筒状壁46は略半円筒状を呈し互いに対向する同形同大の一対の半円筒状壁部52で形成されているので、フロート16が燃料30によって浮かんだときの荷重バランスを取る上で有利となり、フロート16の昇降を安定して行え、燃料遮断弁10の開閉動作を円滑に確実に行なう上で有利となる。
【符号の説明】
【0024】
10 燃料遮断弁
12 燃料タンク
1202 上壁
14 ケーシング
16 フロート
18 底壁
1802 貫通孔
20 周壁
22 上壁
24 筒状部
24A 下端
26 接続部
26A 通路
28 弁室
30 燃料
30A 液面
32 コイルスプリング
32A 下端
32B 上端
34 連通孔
36 底面
38 上面
40 円筒面
42 スプリング収容孔
44 凹部
4402 底面部
46 筒状壁
4602 傾斜面
48 閉塞部
50 溝部
52 半円筒状壁部
D 凹部の深さ
L 筒状部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5