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特開2024-90084管理装置、管理方法および管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090084
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240627BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240627BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G16H40/00
B65G1/00 521Z
A61J1/05 353
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205741
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅之
【テーマコード(参考)】
3F022
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
3F022AA10
3F022BB03
4C047CC03
4C047GG35
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】保管倉庫内の周囲環境を適切な状態にすること。
【解決手段】管理装置10は、保管対象物品を収容する保管倉庫の外部の温度を示す外部温度データと、保管倉庫の内部の少なくとも1つの保管場所の温度を示す内部温度データと、保管場所の保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、外部温度データと内部温度データと保管状況データと設定温度データとの相関性を抽出し、抽出した相関性に基づいて、保管場所の内部温度データの予測を示す予測温度を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所の保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出する抽出部と、
前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する算出部と、
を備える管理装置。
【請求項2】
前記予測温度に基づいて、前記場所の内部温度の温度変動が、第1所定値以下である前記場所を特定する特定部をさらに備える、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記特定した場所の前記予測温度と前記設定温度との差が、第2所定値以下である前記場所を特定する、
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記抽出された相関性を用いて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとを入力して、前記予測温度を出力する機械学習モデルを訓練する訓練部をさらに備える、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データと前記保管庫の出入口の開閉に関する出入口データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記出入口データとの相関性を抽出する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項6】
前記抽出された相関性を用いて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データと前記出入口データとを入力して、前記予測温度を出力する機械学習モデルを訓練する訓練部をさらに備える、
請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記予測温度と前記設定温度との差が前記第2所定値以下の場所を、新たに収容する前記保管対象物品または既に収容している前記保管対象物品の少なくともいずれかの収容先とする配置指示情報を生成する生成部をさらに備える、
請求項3に記載の管理装置。
【請求項8】
前記特定部は、前記配置指示情報に含まれる収容先の優先順位を決定して、前記優先順位と各々の場所とを対応付ける、
請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
前記特定部は、前記優先順位を対応付けた場所と出入口との距離に基づいて、前記優先順位を再決定する、
請求項8に記載の管理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所の保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出し、
前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する、
処理を実行する管理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所の保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出し、
前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する、
処理を実行させる管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理方法および管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
保管対象物品の品質維持の観点から、保管倉庫に収容される保管対象物品に対して保管倉庫内の温度等の周囲環境を適切な状態で保持が求められている。特に、医薬品の保管においては、医薬品の安全性を担保するための温度管理に関する「医薬品の適正流通(GDP:Good Distribution Practice)ガイドライン」が定められており、周囲環境を適切な状態で保持することに対する優先度が高い。
【0003】
ここで、上記の「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」に沿った温度管理等のように、定められた基準を満たすことが要求される保管倉庫では、空調機等の設備導入の検討時に保管倉庫内の温度均一性の実現性を見越して設計および検証される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6721181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、保管倉庫内の温度が均一でなくなる温度逸脱リスクを低くし、保管倉庫内の周囲環境を適切な状態にすることは難しい。例えば、保管倉庫内の温度均一性について、空調機等の設備導入の検討時において、保管倉庫の稼働前での保管対象物品がない状態での検討または検証に留まる。そのため、保管倉庫の実稼動状態において保管対象物品の搬入および搬出が繰り返され、保管倉庫内の保管対象物品の積載位置が日々変化する状態では、保管倉庫内の温度均一性を担保することが困難である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、保管倉庫内の周囲環境を適切な状態にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所の保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出する抽出部と、前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する算出部と、を備える管理装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータが、保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所の保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出し、前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する、処理を実行する管理方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに、保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所ごとの保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出し、前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する、処理を実行させる管理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保管倉庫内の周囲環境を適切な状態にすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る保管場所管理システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る保管場所管理システムの各装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る管理装置の外部温度データ記憶部の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る管理装置の内部温度データ記憶部の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る管理装置の保管状況データ記憶部の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る管理装置の設定温度データ記憶部の一例を示す図である。
図7】実施形態に係る管理装置の出入口データ記憶部の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る管理装置の配置指示情報記憶部の一例を示す図である。
図9】実施形態に係る保管場所管理処理全体の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】実施形態に係るデータ取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態に係るモデル訓練処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】実施形態に係る情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】ハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係る管理装置、管理方法および管理プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0013】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係る保管場所管理システム100の構成および処理、管理装置10等の構成および処理、各処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0014】
〔1.保管場所管理システム100の構成および処理〕
図1を用いて、実施形態に係る保管場所管理システム100の構成およびを詳細に説明する。図1は、実施形態に係る保管場所管理システム100の構成例を示す図である。以下に、保管場所管理システム100全体の構成例、保管場所管理システム100の処理例、保管場所管理システム100の効果について説明する。なお、実施形態では、医薬品の保管倉庫における保管場所管理処理を一例にして説明するが、保管対象物品Pや利用分野を限定するものではない。なお、保管倉庫は、医薬品の安定化試験に用いられる恒温保管庫へ適用してもよい。
【0015】
(1-1.保管場所管理システム100全体の構成例)
保管場所管理システム100は、オペレータOが使用する管理装置10、屋外温度計20、N個の屋内温度計30(30-1、30-2、・・・、30-N)、および保管倉庫の作業者Wが使用する作業者端末40を有する。ここで、管理装置10と屋外温度計20と屋内温度計30と作業者端末40とは、図示しない所定の通信網を介して、有線または無線により通信可能に接続される。屋外温度計20は、保管倉庫の外部である保管倉庫屋外に設置される。また、屋内温度計30は、保管倉庫の内部である保管倉庫屋内に設置される。なお、作業者Wは、作業指示内容に従って作業を行う人でもよく、動作指示の入力に応じて動作する自動化された機械であってもよい。
【0016】
保管倉庫屋内は、医薬品等の保管対象物品Pを収容する区画であるN個の保管場所に分割される。なお、保管倉庫内の保管対象物品Pを収容する保管場所は、区画以外にも、特定の地点や位置等であってもよい。このとき、N個の保管場所は、1番地、2番地、・・・、N番地のように保管場所アドレスを付与され、1~N個の保管対象物品P(P-1、P-2、・・・、P-N)をそれぞれ収容することができる。また、保管場所アドレスは、X軸、Y軸およびZ軸による3次元座標によって一意に定められる保管倉庫屋内の位置に付与される。
【0017】
なお、図1に示した保管場所管理システム100には、複数台の管理装置10、複数台の屋外温度計20または複数台の作業者端末40が含まれてもよい。また、図1の例では、管理装置10がデスクトップPC(Personal Computer)によって実現される場合を示したが、サーバ装置やクラウドシステム等により実現されてもよい。
【0018】
(1-2.保管場所管理システム100の処理例)
上記のような保管場所管理システム100全体の処理例について説明する。なお、下記のステップS1~S6の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS1~S6の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0019】
(1-2-1.外部温度データ取得処理)
管理装置10は、保管倉庫屋外に設置された屋外温度計20から外部温度データTを取得する(ステップS1)。例えば、管理装置10は、屋外温度計20から、保管倉庫の屋外の気温である屋外温度を一定時間ごとに取得する。
【0020】
(1-2-2.内部温度データ取得処理)
管理装置10は、保管倉庫屋内に設置された屋内温度計30から内部温度データTを取得する(ステップS2)。例えば、管理装置10は、保管場所アドレスとして1番地、2番地、・・・、N番地のそれぞれに設置されたN個の屋内温度計30(30-1、30-2、・・・、30-N)それぞれから、各保管場所の気温である屋内温度を一定時間ごとに取得する。なお、図1の例では、屋内温度計30が各保管場所に設置される場合を示したが、1台の屋内温度計30によって2以上の保管場所の屋内温度を測定してもよい。このとき、管理装置10は、屋内温度の保管場所アドレスを取得して、屋内温度に紐づけることで、例えば「保管場所アドレス、屋内温度」として「1番地、20℃」、「2番地、21℃」、・・・、「N番地、19℃」等を生成して管理する。
【0021】
(1-2-3.保管状況データ取得処理)
管理装置10は、作業者Wの作業者端末40から保管状況データHを取得する(ステップS3)。例えば、管理装置10は、作業者Wの作業者端末40が送信した、作業者Wが搬入または搬出した保管対象物品P、保管場所アドレス等の保管状況データHを取得する。
【0022】
(1-2-4.設定温度データ取得処理)
管理装置10は、オペレータOから設定温度データTを取得する(ステップS4)。例えば、管理装置10は、管理装置10を使用するオペレータOの操作によって入力された、保管倉庫内部が一定値として保持されることが理想である設定温度を取得する。このとき、管理装置10は、オペレータOから出入口データDを取得してもよい。例えば、管理装置10は、管理装置10を使用するオペレータOの操作によって入力された、保管倉庫の出入口の開閉に関する出入口データDを取得してもよい。
【0023】
(1-2-5.モデル訓練処理)
管理装置10は、取得したデータを用いて機械学習モデルを訓練する(ステップS5)。例えば、管理装置10は、1年間分の外部温度データTである外部温度変動データT(Y)、1年間分の内部温度データTである内部温度変動データT(Y)、1年間分の保管状況データHである保管状況変動データH(Y)、および設定温度データTを入力し、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、設定温度データTの相関性をもとに内部温度データTの予測値である予測温度Tを出力するように機械学習モデルを訓練する。このとき、管理装置10は、設定温度データTに加えて、または代えて、保管倉庫の出入口の開閉に関する出入口データDを入力し、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、設定温度データT、出入口データDの相関性をもとに予測温度Tを出力するように機械学習モデルを訓練してもよい。
【0024】
(1-2-6.情報生成処理)
管理装置10は、保管倉庫の中で温度逸脱性の低い保管場所アドレスを含む配置指示情報Iを生成する(ステップS6)。例えば、管理装置10は、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、設定温度データTの相関性を抽出し、抽出した相関性から訓練済みの機械学習モデルを用いて保管対象物品Pを収容した場合の保管場所アドレスごとの予測温度Tを算出し、予測温度Tと設定温度Tとの差が少ない順に優先順位を決定し、最新の保管状況データHが示す収容可否をもとに作業者Wに保管対象物品Pの収容を指示する保管場所アドレスを特定し、当該保管場所アドレスを含む配置指示情報Iを生成する。このとき、管理装置10は、生成した配置指示情報Iの指示を要求する作業者Wに送信することができる。
【0025】
(1-3.保管場所管理システム100の効果)
以下では、特許文献1に記載される参考技術の問題点を説明した上で、保管場所管理システム100の効果について説明する。
【0026】
(1-3-1.参考技術の概要)
特許文献1に記載される参考技術では、管理装置は、物品の特性に関する情報と収納空間に関する情報とを記憶し、保管対象物品の特性に関する要求条件と当該保管対象物品の占有空間に関する要求条件とを生成し、生成した要求条件に基づいて保管場所候補を選定し、選定した保管場所候補の優先順位を決定し、保管場所候補の収納状態に基づいて保管対象物品を保管可能であるか否かを判断し、保管対象物品を保管可能である保管場所候補から優先順位に基づいて保管場所を決定する。このとき、参考技術では、保管対象物品および保管場所の収納状態に応じて、適切な保管場所を決定することができる。
【0027】
(1-3-2.参考技術の問題点)
特許文献1に記載された参考技術では、物品の特性に関する情報と収納空間に関する情報をもとに保管対象物品の保管場所を決定する技術を提案している。しかしながら、上記の参考技術では、保管要求の項目である温度に関して、どの場所の温度を保管するかの言及がない。そのため、上記の参考技術では、医薬品等の温度管理の優先度が高い保管対象物品の適切な保管場所を決定することが難しいという問題点がある。
【0028】
(1-3-3.保管場所管理システム100の概要)
保管場所管理システム100では、管理装置10は、保管対象物品Pを収容する保管倉庫の外部の温度を示す外部温度データTと、保管倉庫の内部を分割した保管場所の温度を示す内部温度データTと、保管場所ごとの保管対象物品の収容状態を示す保管状況データHと、設定温度データTとの相関性を抽出し、抽出した相関性に基づいて、内部温度データTの予測値である予測温度Tを算出し、屋内温度の温度変動が第1所定値以下となる温度逸脱性の低い保管対象物品Pの収容先である保管場所を特定する。このとき、管理装置10は、外部温度データT、内部温度データT、および保管状況データH等と設定温度データTとの入力に応じて、温度変動の相関性に基づいて保管場所ごとの保管倉庫内部の温度である予測温度Tを出力する機械学習モデルを訓練し、所定期間に取得した外部温度データT、内部温度データT、および保管状況データH等と設定温度データTとを訓練済みの機械学習モデルに入力して、予測温度Tを算出する。また、管理装置10は、特定した保管場所を、保管対象物品Pを収容する作業者Wに提示する配置指示情報Iを生成する。
【0029】
(1-3-4.保管場所管理システム100の効果)
第1に、保管場所管理システム100では、保管倉庫内の温度逸脱リスクが極力低い保管場所へ保管対象物品Pを収容していくことが可能となるので、保管対象物品Pの周囲の温度変化の許容幅が広い場所を中心に保管対象物品Pが収容されることにより、温度逸脱リスクを低減することが期待できる。第2に、保管場所管理システム100では、保管対象物品Pの周囲の温度変化の許容幅が広い場所を中心に保管対象物品Pが収容されている状態は、保管倉庫内の空調装置の温度調整に対して、クリティカルな制御を必要としない状態であると判断することができるので、空調装置における制御プログラムへの負担を軽減し、急な温度逸脱がなく温度調整が必要ない状態で稼動することが可能となり、省エネルギーを実現することが期待できる。
【0030】
〔2.保管場所管理システム100の各装置の構成〕
図2を用いて、図1に示した保管場所管理システム100が有する各装置の機能構成について説明する。図2は、実施形態に係る保管場所管理システム100の各装置の構成例を示すブロック図である。以下では、実施形態に係る保管場所管理システム100全体の構成例を説明した上で、実施形態に係る管理装置10、屋外温度計20、屋内温度計30および作業者端末40の構成例について詳細に説明する。
【0031】
(2-1.保管場所管理システム100全体の構成例)
図2に示すように、保管場所管理システム100は、管理装置10、屋外温度計20、屋内温度計30および作業者端末40を有する。管理装置10は、屋外温度計20、屋内温度計30および作業者端末40と、所定の通信網によって通信可能に接続されている。
【0032】
(2-2.管理装置10の構成例)
まず、図2を用いて、管理装置10の構成例について説明する。管理装置10は、入力部11、出力部12、通信部13、記憶部14および制御部15を有する。
【0033】
(2-2-1.入力部11)
入力部11は、当該管理装置10への各種情報の入力を司る。例えば、入力部11は、マウスやキーボード等で実現され、当該管理装置10への設定情報等の入力を受け付ける。
【0034】
(2-2-2.出力部12)
出力部12は、当該管理装置10からの各種情報の出力を司る。例えば、出力部12は、ディスプレイ等で実現され、当該管理装置10に記憶された設定情報等を表示する。
【0035】
(2-2-3.通信部13)
通信部13は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部13は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部13は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0036】
(2-2-4.記憶部14)
記憶部14は、制御部15が動作する際に参照する各種情報や、制御部15が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部14は、外部温度データ記憶部14a、内部温度データ記憶部14b、保管状況データ記憶部14c、設定温度データ記憶部14d、出入口データ記憶部14e、配置指示情報記憶部14fおよび算出モデル14gを有する。ここで、記憶部14は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、図2の例では、記憶部14は、管理装置10の内部に設置されているが、管理装置10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0037】
(2-2-4-1.外部温度データ記憶部14a)
外部温度データ記憶部14aは、測定機器である屋外温度計20から取得された外部温度データTを記憶する。ここで、図3を用いて、外部温度データ記憶部14aが記憶するデータの一例を説明する。図3は、実施形態に係る管理装置10の外部温度データ記憶部14aの一例を示す図である。図3の例において、外部温度データ記憶部14aは、「保管庫」、「時間」、「屋外温度」といった項目を有する。
【0038】
「保管庫」は、保管対象物品Pを収容する保管倉庫を識別するための識別情報を示し、例えば保管倉庫の識別番号や識別記号である。「時間」は、屋外温度が測定された時刻を示し、例えば年月日、時分秒で表わされる。「屋外温度」は、保管倉庫の外部の気温を示し、例えば摂氏温度℃で表わされる。
【0039】
すなわち、図3では、「保管庫A」によって識別される保管倉庫について、外部温度データTが{時間:「時間#1」,屋外温度:「屋外温度#1」}、{時間:「時間#2」,屋外温度:「屋外温度#2」}、{時間:「時間#3」,屋外温度:「屋外温度#3」}、・・・である例を示す。
【0040】
(2-2-4-2.内部温度データ記憶部14b)
内部温度データ記憶部14bは、測定機器である屋内温度計30から取得された内部温度データTを記憶する。ここで、図4を用いて、内部温度データ記憶部14bが記憶するデータの一例を説明する。図4は、実施形態に係る管理装置10の内部温度データ記憶部14bの一例を示す図である。図4の例において、内部温度データ記憶部14bは、「保管庫」、「保管場所」、「時間」、「屋内温度」といった項目を有する。
【0041】
「保管庫」は、保管対象物品Pを収容する保管倉庫を識別するための識別情報を示し、例えば保管倉庫の識別番号や識別記号である。「保管場所」は、保管庫の内部を分割した3次元的な区画を識別するための識別情報を示し、例えば「1番地」、「2番地」、・・・、「N番地」等の識別番号である。「時間」は、屋内温度が測定された時刻を示し、例えば年月日、時分秒で表わされる。「屋内温度」は、保管倉庫の内部の区画ごとの気温を示し、例えば摂氏温度℃で表わされる。
【0042】
すなわち、図4では、「保管庫A」によって識別される保管倉庫について、「保管場所#1」の内部温度データT(A1)が{時間:「時間#1」,屋内温度:「屋内温度#1-1」}、{時間:「時間#2」,屋内温度:「屋内温度#1-2」}、・・・であって、「保管場所#2」の内部温度データT(A2)が{時間:「時間#1」,屋内温度:「屋内温度#2-1」}、{時間:「時間#2」,屋内温度:「屋内温度#2-2」}、・・・であって、「保管場所#3」の内部温度データT(A3)が{時間:「時間#1」,屋内温度:「屋内温度#3-1」}、{時間:「時間#2」,屋内温度:「屋内温度#3-2」}、・・・である例を示す。
【0043】
(2-2-4-3.保管状況データ記憶部14c)
保管状況データ記憶部14cは、作業者Wが使用する作業者端末40から取得された保管状況データHを記憶する。ここで、図5を用いて、保管状況データ記憶部14cが記憶するデータの一例を説明する。図5は、実施形態に係る管理装置10の保管状況データ記憶部14cの一例を示す図である。図5の例において、保管状況データ記憶部14cは、「保管庫」、「保管場所」、「保管状況」といった項目を有する。
【0044】
「保管庫」は、保管対象物品Pを収容する保管倉庫を識別するための識別情報を示し、例えば保管倉庫の識別番号や識別記号である。「保管場所」は、保管庫の内部を分割した3次元的な区画を識別するための識別情報を示し、例えば「1番地」、「2番地」、・・・、「N番地」等の識別番号である。「保管状況」は、保管倉庫の内部の区画ごとの保管対象物品Pの収容状態を示し、例えば保管対象物品Pの保管期間、搬入または搬出を実施した作業者Wの氏名や時刻、「収容可」または「収容不可」の収容可否等である。
【0045】
すなわち、図5では、「保管庫A」によって識別される保管倉庫について、「保管場所#1」の保管状況データH(A1)が「保管状況#1」であって、「保管場所#2」の保管状況データH(A2)が「保管状況#2」であって、「保管場所#3」の保管状況データH(A3)が「保管状況#3」である例を示す。
【0046】
(2-2-4-4.設定温度データ記憶部14d)
設定温度データ記憶部14dは、オペレータOの操作によって入力された設定温度データTを記憶する。ここで、図6を用いて、設定温度データ記憶部14dが記憶するデータの一例を説明する。図6は、実施形態に係る管理装置10の設定温度データ記憶部14dの一例を示す図である。図6の例において、設定温度データ記憶部14dは、「保管庫」、「設定温度」といった項目を有する。
【0047】
「保管庫」は、保管対象物品Pを収容する保管倉庫を識別するための識別情報を示し、例えば保管倉庫の識別番号や識別記号である。「設定温度」は、保管倉庫内部における保持すべき温度として設定される温度を示し、例えば摂氏温度℃で表わされる。
【0048】
すなわち、図6では、「保管庫A」によって識別される保管倉庫について、設定温度データT(A)が「設定温度A」である例を示す。
【0049】
(2-2-4-5.出入口データ記憶部14e)
出入口データ記憶部14eは、オペレータOの操作によって入力された出入口データDを記憶する。ここで、図7を用いて、出入口データ記憶部14eが記憶するデータの一例を説明する。図7は、実施形態に係る管理装置10の出入口データ記憶部14eの一例を示す図である。図7の例において、出入口データ記憶部14eは、「保管庫」、「出入口」、「開閉回数」、「開放時間」、「サイズ」といった項目を有する。
【0050】
「保管庫」は、保管対象物品Pを収容する保管倉庫を識別するための識別情報を示し、例えば保管倉庫の識別番号や識別記号である。「出入口」は、保管庫に設置される出入口を識別するための識別情報を示し、例えば出入口のドア等の識別番号や識別記号である。「開閉回数」は、所定期間内に出入口を開放した回数を示す。「開放時間」は、所定期間内に出入口を開放した時間の総和を示す。「サイズ」は、出入口を開放した場合に内部と外部との空気が移動することができる面積を示す。なお、出入口ドアの開放時間とサイズの面積に基づいて、保管庫内部から外部へ移動する空気や保管庫外部から内部に移動する熱量を算出できる。
【0051】
すなわち、図7では、「保管庫A」によって識別される保管倉庫について、「出入口A-1」の出入口データD(A-1)が{開閉回数:「開閉回数A-1」,開放時間:「開放時間A-1」,サイズ:「サイズA-1」}であって、「出入口A-2」の出入口データD(A-2)が{開閉回数:「開閉回数A-2」,開放時間:「開放時間A-2」,サイズ:「サイズA-2」}、・・・である例を示す。
【0052】
(2-2-4-6.配置指示情報記憶部14f)
配置指示情報記憶部14fは、後述する生成部15fによって生成された配置指示情報Iを記憶する。ここで、図8を用いて、配置指示情報記憶部14fが記憶するデータの一例を説明する。図8は、実施形態に係る管理装置10の配置指示情報記憶部14fの一例を示す図である。図8の例において、配置指示情報記憶部14fは、「保管庫」、「保管場所」、「相関関係」、「内部温度の予測温度」、「優先順位」、「配置指示情報」といった項目を有する。
【0053】
「保管庫」は、保管対象物品Pを収容する保管倉庫を識別するための識別情報を示し、例えば保管倉庫の識別番号や識別記号である。「保管場所」は、保管庫の内部を分割した3次元的な区画を識別するための識別情報を示し、例えば「1番地」、「2番地」、・・・、「N番地」等の識別番号である。「相関関係」は、後述する抽出部15cによって抽出された区画ごとの温度変動の相関性を示し、例えば温度変動に関与するデータの種別や温度変動の大小関係を示すスコア等である。「内部温度の予測温度」は、後述する算出部15dによって算出された、保管対象物品Pを収容した場合の区画ごとに予測される内部温度を示し、例えば予測される時刻の摂氏温度℃で表わされる。「優先順位」は、後述する特定部15eによって決定された、保管対象物品Pを収容する際の区画の順位を示し、例えば「1位」、「2位」等のランキングや、優先順位が高いほど大きい数値となるように設定された優先度の大小関係を示すスコア等である。「配置指示情報」は、後述する生成部15fによって生成された、保管対象物品Pを収容する作業者Wに提示する指示を示し、例えば保管対象物品Pを収容する区画の識別情報や作業者Wに通知するメッセージ等である。
【0054】
すなわち、図8では、「保管庫A」によって識別される保管倉庫について、{保管場所:「保管場所#1」,相関関係:「相関関係#1」,内部温度の予測温度:「予測温度#1」,優先順位:「優先順位#1」}、{保管場所:「保管場所#2」,相関関係:「相関関係#2」,内部温度の予測温度:「予測温度#2」,優先順位:「優先順位#2」}、{保管場所:「保管場所#3」,相関関係:「相関関係#3」,内部温度の予測温度:「予測温度#3」,優先順位:「優先順位#3」}、・・・の各種情報をもとに生成された配置指示情報I(A)が「配置指示情報A」である例を示す。
【0055】
(2-2-4-7.算出モデル14g)
算出モデル14gは、所定期間に取得された外部温度データT、内部温度データT、保管状況データHおよび設定温度データTの入力に応じて、保管庫の場所の内部温度データTの予測値を示す予測温度Tを出力する訓練済みの機械学習モデルである。また、算出モデル14gは、所定期間に取得された外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、設定温度データTおよび出入口データDの入力に応じて、保管庫の場所の内部温度データTの予測値を示す予測温度Tを出力する訓練済みの機械学習モデルである。
【0056】
(2-2-5.制御部15)
制御部15は、当該管理装置10全体の制御を司る。制御部15は、取得部15a、訓練部15b、抽出部15c、算出部15d、特定部15eおよび生成部15fを有する。ここで、制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0057】
(2-2-5-1.取得部15a)
取得部15aは、各種データを取得する。以下では、外部温度データ取得処理、内部温度データ取得処理、保管状況データ取得処理、設定温度データ取得処理、出入口温度データ取得処理の順に説明する。
【0058】
(外部温度データ取得処理)
第1に、取得部15aは、測定装置である屋外温度計20から、保管対象物品Pを収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データTを取得する。また、取得部15aは、複数の屋外温度計20(20-1、20-2、・・・)から、外部温度データTを取得してもよい。なお、取得部15aは、取得した外部温度データTを外部温度データ記憶部14aに格納する。
【0059】
具体的な例について説明すると、取得部15aは、「保管庫A」の外部温度データT(A)として、{時間:「時間#1」,屋外温度:「屋外温度#1」}、{時間:「時間#2」,屋外温度:「屋外温度#2」}、{時間:「時間#3」,屋外温度:「屋外温度#3」}を取得する。
【0060】
(内部温度データ取得処理)
第2に、取得部15aは、測定装置である屋内温度計30から、保管庫内部の少なくとも1つの場所の温度であって、保管庫の内部を分割した保管場所である区画ごとの温度を示す内部温度データTを取得する。このとき、取得部15aは、区画ごとに設置された複数の屋内温度計30(30-1、30-2、・・・、30-N)から、各区画における内部温度データTを取得する。また、取得部15aは、1台の屋内温度計30から、複数の区画における内部温度データTを取得してもよい。なお、取得部15aは、取得した内部温度データTを内部温度データ記憶部14bに格納する。
【0061】
具体的な例について説明すると、取得部15aは、「保管庫A」の内部温度データT(A)として、「保管場所#1」の内部温度データT(A1)である{時間:「時間#1」,屋内温度:「屋内温度#1-1」}、{時間:「時間#2」,屋内温度:「屋内温度#1-2」}を取得し、「保管場所#2」の内部温度データT(A2)である{時間:「時間#1」,屋内温度:「屋内温度#2-1」}、{時間:「時間#2」,屋内温度:「屋内温度#2-2」}を取得し、「保管場所#3」の内部温度データT(A3)である{時間:「時間#1」,屋内温度:「屋内温度#3-1」}、{時間:「時間#2」,屋内温度:「屋内温度#3-2」}を取得する。
【0062】
(保管状況データ取得処理)
第3に、取得部15aは、保管対象物品Pを収容する作業者Wの作業者端末40から、保管場所である区画ごとの保管対象物品Pの収容状態を示す保管状況データHを取得する。このとき、取得部15aは、複数の作業者W(W-1、W-2、・・・)の使用する作業者端末40(40-1、40-2、・・・)から、各区画における保管状況データHを取得する。また、取得部15aは、保管状況データHとして、保管対象物品Pの保管期間、搬入または搬出を実施した作業者Wの氏名や時刻、「収容可」または「収容不可」の収容可否等を取得する。また、取得部15aは、保管倉庫に設置されるカメラやセンサ、作業者Wの作業内容を収集するデータベース等から、各区画における保管状況データHを取得してもよい。なお、取得部15aは、取得した保管状況データHを保管状況データ記憶部14cに格納する。
【0063】
具体的な例について説明すると、取得部15aは、「保管庫A」の保管状況データH(A)として、「保管場所#1」の保管状況データH(A1)である「保管状況#1」を取得し、「保管場所#2」の保管状況データH(A2)である「保管状況#2」を取得し、「保管場所#3」の保管状況データH(A3)である「保管状況#3」を取得する。
【0064】
(設定温度データ取得処理)
第4に、取得部15aは、管理装置10を使用するオペレータOの操作によって入力された、保管倉庫における保持すべき温度として設定される設定温度を示す設定温度データTを取得する。このとき、取得部15aは、設定温度データTとして、保管倉庫ごとの保持すべき温度として設定される温度℃を取得する。また、取得部15aは、季節や時間帯ごとに設定された設定温度データTを取得してもよい。また、取得部15aは、設定温度データTを収集するデータベース等から、保管倉庫ごとの設定温度データTを取得してもよい。なお、取得部15aは、取得した設定温度データTを設定温度データ記憶部14dに格納する。
【0065】
具体的な例について説明すると、取得部15aは、「保管庫A」の設定温度データT(A)である「設定温度A」を取得し、「保管庫B」の設定温度データT(B)である「設定温度B」を取得し、「保管庫C」の設定温度データT(C)である「設定温度C」を取得する。このとき、取得部15aは、「設定温度A」として、「保管庫A」に季節や時期ごとに設定された複数の設定温度データT(A)を、各々の設定時間と対応付けて設定温度データ記憶部14dに格納してもよい。
【0066】
(出入口データ取得処理)
第5に、取得部15aは、管理装置10を使用するオペレータOの操作によって入力された、保管庫の出入口の開閉に関する出入口データDを取得する。このとき、取得部15aは、出入口データDとして、保管倉庫ごとに、所定期間内に出入口を開放した回数を示す開閉回数、所定期間内に出入口を開放した時間の総和を示す開放時間、出入口を開放した場合に外部との空気が移動することができる面積を示すサイズ等を取得する。また、取得部15aは、出入口データDを収集するデータベース等から、保管倉庫ごとの出入口データDを取得してもよい。なお、取得部15aは、取得した出入口データDを出入口データ記憶部14eに格納する。
【0067】
具体的な例について説明すると、取得部15aは、「保管庫A」の出入口データD(A)として、「出入口A-1」の出入口データD(A-1)である{開閉回数:「開閉回数A-1」,開放時間:「開放時間A-1」,サイズ:「サイズA-1」}を取得し、「出入口A-2」の出入口データD(A-2)である{開閉回数:「開閉回数A-2」,開放時間:「開放時間A-2」,サイズ:「サイズA-2」}を取得する。
【0068】
(2-2-5-2.訓練部15b)
訓練部15bは、取得部15aによって取得された各種データの入力に応じて、保存場所である区画ごとの内部温度の予測値を示す予測温度Tを出力する機械学習モデルを訓練する。以下では、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、および設定温度データTの4データを用いるモデル訓練処理1、上記の4データに出入口データDを加えた5データを用いるモデル訓練処理2の順に説明する。
【0069】
(モデル訓練処理1)
訓練部15bは、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データHおよび設定温度データTの入力に応じて、保存場所である区画ごとの予測温度Tを出力する算出モデル14gを訓練する。
【0070】
具体的な例について説明すると、訓練部15bは、保管倉庫Aの1年間分の外部温度データTである外部温度変動データT(A-Y)、保管倉庫Aの1年間分の内部温度データTである内部温度変動データT(A-Y)、保管倉庫Aの1年間分の保管状況データHである保管状況変動データH(A-Y)を入力し、予測温度Tを出力するように算出モデル14gを訓練する。
【0071】
上記のモデル訓練処理1を実行することによって、保管倉庫の屋外温度の変動、屋内温度の変動、保管倉庫に要求される内部温度等との相関関係をもとに予測温度Tを算出する算出モデル14gを訓練することができる。
【0072】
(モデル訓練処理2)
訓練部15bは、外部温度データTと内部温度データTと保管状況データHと設定温度データTと、さらに保管庫の出入口の開閉に関する出入口データDの入力に応じて、保管場所である区画ごとの予測温度Tを出力する算出モデル14gを訓練する。
【0073】
具体的な例について説明すると、訓練部15bは、保管倉庫Aの1年間分の外部温度データTである外部温度変動データT(A-Y)、保管倉庫Aの1年間分の内部温度データTである内部温度変動データT(A-Y)、保管倉庫Aの1年間分の保管状況データHである保管状況変動データH(A-Y)、保管倉庫Aの出入口データD(A)を入力し、予測温度Tを出力するように算出モデル14gを訓練する。
【0074】
上記のモデル訓練処理2を実行することによって、保管倉庫の屋外温度の変動、屋内温度の変動、保管対象物品Pの搬入および搬出の頻度や保管倉庫の出入口の開閉に伴う温度変動との相関関係をもとに予測温度Tを出力する算出モデル14gを訓練することができる。
【0075】
(2-2-5-3.抽出部15c)
抽出部15cは、取得部15aによって取得された各種データを用いて、各種データの相関性を抽出する。例えば、抽出部15cは、保管対象物品Pを収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データTと、保管庫の内部を分割した保管場所である区画ごとの温度を示す内部温度データTと、区画ごとの保管対象物品の収容状態を示す保管状況データHと、保管庫内部の設定温度を示す設定温度データTとの相関性を抽出する。
【0076】
相関性の具体的な例について説明すると、抽出部15cは、現在の外部温度変動データT(A-Y)が小さな「変動量が少ない」場合で、現在の内部温度変動データT(A-Y)が大きな「変動量が多い」場合で、かつ現在の保管状況変動データH(A-Y)が小さな「変動量が少ない」場合には、現在の屋内温度変動が大きい「不安定状態」であって、かつ屋外温度変動および保管状況変動は小さいとの関係(すなわち、外乱が小さいのに屋内温度変動が大きな「温度制御がうまくいっていない状態」)から、今後の予測温度Tは設定温度Tから遠くなるという「予測温度が設定温度から離れていくパターン」の相関性を抽出する。
【0077】
一方、抽出部15cは、現在の外部温度変動データT(A-Y)が大きな「変動量が多い」場合で、現在の内部温度変動データT(A-Y)が小さな「変動量が少ない」場合で、かつ現在の保管状況変動データH(A-Y)が大きな「変動量が多い」場合には、現在の屋内温度変動が小さい「安定状態」であって、かつ外部温度変動および保管状況変動は大きいとの関係(すなわち、外乱が大きいのに屋内温度変動が小さな「温度制御がうまくいっている状態」)から、今後の予測温度Tは設定温度Tに近くなるという「予測温度が設定温度に近づいていくパターン」の相関性を抽出する。
【0078】
(2-2-5-4.算出部15d)
算出部15dは、抽出部15cによって抽出された相関性に基づいて、保管場所の内部温度データTの予測値を示す予測温度Tを算出する。例えば、算出部15dは、「温度制御がうまくいっている状態」、「温度制御がうまくいっていない状態」等の相関性に基づく外部温度データTや保管状況データHに対応する内部温度データTの温度変動の関係式を推定し、当該関係式に現在の内部温度データTを代入することによって一定時間後の保管場所ごとの予測温度T(例:1日後の屋内温度、1週間後の屋内温度、1カ月後の屋内温度等)を算出する。また、算出部15dは、訓練部15bによって訓練された算出モデル14gを用いて、予測温度Tを算出する。
【0079】
以下では、上述したモデル訓練処理1によって訓練された算出モデル14gを用いた予測温度算出処理1、上述したモデル訓練処理2によって訓練された算出モデル14gを用いた予測温度算出処理2の順に説明する。
【0080】
(予測温度算出処理1)
算出部15dは、所定期間に取得された外部温度データT、内部温度データT、保管状況データHおよび設定温度データTを訓練済みの算出モデル14gに入力して、予測温度Tを算出する。このとき、算出部15dは、抽出部15cによって抽出された相関性を用いて、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データHおよび設定温度データTのうち特に温度変動への影響が大きいデータを選択し、算出モデル14gに入力することもできる。
【0081】
具体的な例について説明すると、算出部15dは、保管倉庫Aの1年間分の外部温度データTである外部温度変動データT(A-Y)、保管倉庫Aの1年間分の内部温度データTである内部温度変動データT(A-Y)、保管倉庫Aの1年間分の保管状況データHである保管状況変動データH(A-Y)を訓練済みの抽出モデル14gに入力し、保管倉庫Aの予測温度T(A)を算出する。
【0082】
(予測温度算出処理2)
算出部15dは、所定期間に取得された外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、および出入口データDを訓練済みの算出モデル14gに入力して、予測温度Tを算出する。このとき、算出部15dは、抽出部15cによって抽出された相関性を用いて、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、設定温度データTおよび出入口データDのうち特に温度変動への影響が大きいデータを選択し、算出モデル14gに入力することもできる。
【0083】
具体的な例について説明すると、算出部15dは、保管倉庫Aの1年間分の外部温度データTである外部温度変動データT(A-Y)、保管倉庫Aの1年間分の内部温度データTである内部温度変動データT(A-Y)、保管倉庫Aの1年間分の保管状況データHである保管状況変動データH(A-Y)、保管倉庫Aの出入口データD(A)を入力し、保管倉庫Aの予測温度T(A)を算出する。
【0084】
(2-2-5-5.特定部15e)
特定部15eは、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、設定温度データT、出入口データD等の相関性に基づいて、予測温度Tの温度変動が第1所定値以下となる温度逸脱性の低い保管場所である区画を特定する。また、特定部15eは、生成部15fによって生成される配置指示情報Iに含まれる収容先の優先順位を決定して、優先順位と各々の場所とを対応付ける。例えば、特定部15eは、当該区画ごとの保管対象物品Pを収容する際の予測温度Tの温度変動が事前に設定された内部温度の変動値である第1所定値以下の区画のうち、予測温度Tの変動が小さい順の優先順位を決定し、決定した優先順位および保管状況データHが示す区画ごとの収容可否を用いて保管庫に保管対象物品Pを収容する区画を特定する。
【0085】
また、特定部15eは、特定した場所の予測温度Tと設定温度Tとの差が、第2所定値以下である場所を特定する。例えば、特定部15eは、当該区画ごとの保管対象物品Pを収容する際の予測温度Tの温度変動が事前に設定された内部温度の変動値である第1所定値以下の区画であって、かつ予測温度Tと設定温度Tとの差が事前に設定された内部温度の差である第2所定値以下の区画のうち、予測温度Tと設定温度Tとの差が小さい順の優先順位を決定し、決定した優先順位および保管状況データHが示す区画ごとの収容可否を用いて保管庫に保管対象物品Pを収容する区画を特定する。
【0086】
さらに、特定部15eは、優先順位を対応付けた場所と出入口との距離に基づいて、優先順位を再決定することもできる。例えば、特定部15eは、予測温度Tの温度変動や予測温度Tと設定温度Tとの差によって決定した優先順位を、作業者Wが保管対象物品Pを搬入する出入り口ドアとの距離が近い順に並び替え、優先順位を再決定することもできる。
【0087】
具体的な例について説明すると、特定部15eは、上述した予測温度算出処理1によって算出された予測温度Tの温度変動が第1所定値(例:±2℃)以下の区画であって、かつ予測温度Tと設定温度Tとの差が第2所定値(例:±1℃)以下の区画のうち、当該区画ごとの保管対象物品Pを収容する際の優先順位(例:1位、2位、3位、・・・、N位)を決定し、決定した優先順位および保管状況データHが示す保管場所である当該区画ごとの収容可否(例:収容可、収容不可)を用いて保管庫に保管対象物品Pを収容する区画を特定する。
【0088】
以下では、上述した予測温度算出処理1によって算出された予測温度Tを用いた区画特定処理1、上述した予測温度算出処理2によって算出された予測温度Tを用いた区画特定処理2の順に説明する。
【0089】
(区画特定処理1)
特定部15eは、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データHおよび設定温度データTを訓練済みの算出モデル14gに入力することによって出力された予測温度Tに基づいて、予測温度Tの温度変動が第1所定値以下となり、予測温度Tと設定温度Tとの差が第2所定値以下となる温度逸脱性の低い区画を特定する。
【0090】
上記の区画特定処理1を実行することによって、年間を通して、保管対象物品Pの搬入および搬出が多く、屋外と屋内に空気の出入りがあるのにも関わらず、屋外温度の影響が少なく、屋内温度変動が少なく設定温度に近い保管場所アドレス、あるいは、保管倉庫内の保管対象物品Pの位置や量等の保管状況が変動しているのも関わらず屋内温度の変動が少なく設定温度T(A)に近い保管場所アドレスを、優先順位をつけて判断することができる。また、内部温度変動データT(A-Y)の最大値(高温側温度)または最小値(低温側温度)に対して設定温度がどちら寄りであるかの傾向が明確な場合には、ある位置でのこれまでの温度データが設定温度T(A)に近づいているとの関係があれば、温度制御はうまくいっているので予測温度T(A)が設定温度T(A)に近づいていくこと、あるいは、ある位置でのこれまでの温度データが設定温度T(A)から遠ざかっているとの関係があれば、温度制御はうまくいっていないので予測温度T(A)が設定温度T(A)から離れていくことを判断することができる。また、上記の区画特定処理1を実行することによって、算出された予測温度T(A)を設定温度T(A)と比較して、差の小さい順のアドレスに低リスクの優先順位を決定することができる。
【0091】
(区画特定処理2)
特定部15eは、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データH、設定温度データTおよび出入口データDを訓練済みの算出モデル14gに入力することによって出力された予測温度Tに基づいて、予測温度Tの温度変動が第1所定値以下となり、予測温度Tと設定温度Tとの差が第2所定値以下となる温度逸脱性の低い区画を特定する。
【0092】
上記の区画特定処理2を実行することによって、区画特定処理1に加えて、保管対象物品Pの出入口の状態が内部温度変動データT(A-Y)に与える影響が明確な場合には、現在の外部温度変動データT(A-Y)と内部温度変動データT(A-Y)と保管状況変動データH(A-Y)が小さな「変動量が少ない」状態でも、ドア等が開状態でその時間が長いとの関係より今後の予測温度T(A)は設定温度T(A)から離れていくこと、あるいは、現在の外部温度変動データT(A-Y)が大きな「変動量が多い」状態でも、ドア等が閉状態でその時間が長いとの関係より今後の予測温度は設定温度に近づいていくことを判断することができる。
【0093】
(2-2-5-6.生成部15f)
生成部15fは、保管対象物品Pの収容先として、温度逸脱性の低い区画を示す配置指示情報Iを生成する。例えば、生成部15fは、保管対象物品Pの収容先として、予測温度Tの温度変動が第1所定値以下となり、予測温度Tと設定温度Tとの差が第2所定値以下となる温度逸脱性の低い区画を、新たに収容する保管対象物品Pまたは既に収容している保管対象物品Pの少なくともいずれかの収容先とする配置指示情報Iを生成する。また、生成部15fは、保管対象物品Pを収容する作業者Wに、特定された保管場所である区画を提示する配置指示情報Iを生成する。なお、生成部15fは、生成した配置指示情報Iを配置指示情報記憶部14fに格納する。また、生成部15fは、配置指示情報Iを送信要求した作業者Wの作業者端末40に、生成した配置指示情報Iを送信する。
【0094】
具体的な例について説明すると、生成部15fは、作業者Wから配置指示情報Iの送信要求を受け付けた場合には、特定部15eによって特定された温度逸脱性の低い区画「保管場所#1」を選択し、「保管場所#1に保管対象物品P-1を収容してください」等のメッセージを含む配置指示情報Iを生成し、作業者Wの作業者端末40に送信する。
【0095】
また、生成部15fは、優先順位、保管状況データHが示す保管場所である区画ごとの収容可否、および区画ごとの出入口からの距離を用いて、作業者Wに提示する配置指示情報Iを生成する。
【0096】
具体的な例について説明すると、生成部15fは、作業者Wから配置指示情報Iの送信要求を受け付けた場合には、特定部15eによって特定された温度逸脱性の低い区画「保管場所#1」および「保管場所#2」のうち作業者Wが保管対象物品Pを搬入する出入口に近い区画である「保管場所#2」を選択し、「保管場所#2に保管対象物品P-1を収容してください」等のメッセージを含む配置指示情報Iを生成し、作業者Wの作業者端末40に送信する。このとき、生成部15fは、通常、出入口からアクセス性のよい近い距離に収容するように配置指示情報Iを生成するが、出入口ドアの開放で温度変動の影響が大きい場合は遠い距離に収容するように配置指示情報Iを生成する。
【0097】
(2-3.屋外温度計20の構成例)
図2を用いて、屋外温度計20の構成例について説明する。例えば、屋外温度計20は、保管倉庫の外部に設置される温度計であって、保管倉庫の外部の気温を収集する。
【0098】
(2-4.屋内温度計30の構成例)
図2を用いて、屋内温度計30の構成例について説明する。例えば、屋内温度計30は、保管倉庫の内部に設置される温度計であって、保管倉庫の内部の保管場所である区画ごとの気温を収集する。
【0099】
(2-5.作業者端末40の構成例)
図2を用いて、作業者端末40の構成例について説明する。例えば、作業者端末40は、作業者Wが使用するスマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。作業者端末40は、管理装置10に保管状況データHを送信する。また、作業者端末40は、管理装置10に配置指示情報Iの送信要求を送信する。また、作業者端末40は、管理装置10から配置指示情報Iを受信する。
【0100】
〔3.保管場所管理システム100の処理の流れ〕
図9図12を用いて、実施形態に係る保管場所管理システム100の処理の流れについて説明する。以下では、保管場所管理システム100の処理全体の流れを説明した上で、各処理の流れを説明する。
【0101】
(3-1.保管場所管理システム100の処理全体の流れ)
図9を用いて、保管場所管理システム100の処理全体の流れについて説明する。図9は、実施形態に係る保管場所管理処理全体の流れの一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS101~S103の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S103の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0102】
第1に、管理装置10は、データ取得処理を実行する(ステップS101)。第2に、管理装置10は、モデル訓練処理を実行する(ステップS102)。第3に、管理装置10は、情報生成処理を実行し(ステップS103)、処理を終了する。
【0103】
(3-2.データ取得処理の流れ)
図10を用いて、データ取得処理の流れについて説明する。図10は、実施形態に係るデータ取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS201~S205の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS201~S205の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0104】
(3-2-1.外部温度データ取得処理)
管理装置10は、外部温度データ取得処理を実行する(ステップS201)。例えば、管理装置10は、外部温度データTとして、屋外温度計20から、保管倉庫の屋外の気温である屋外温度を一定時間ごとに取得する。
【0105】
(3-2-2.内部温度データ取得処理)
管理装置10は、内部温度データ取得処理を実行する(ステップS202)。例えば、管理装置10は、内部温度データTとして、N個の屋内温度計30(30-1、30-2、・・・、30-N)それぞれから、N箇所の保管場所の気温である屋内温度を一定時間ごとに取得する。
【0106】
(3-2-3.保管状況データ取得処理)
管理装置10は、保管状況データ取得処理を実行する(ステップS203)。例えば、管理装置10は、保管状況データHとして、作業者Wの作業者端末40が送信した、作業者Wが搬入または搬出した保管対象物品P、保管場所アドレス等を取得する。
【0107】
(3-2-4.設定温度データ取得処理)
管理装置10は、設定温度データ取得処理を実行する(ステップS204)。例えば、管理装置10は、設定温度データTとして、管理装置10を使用するオペレータOの操作によって入力された、保管倉庫が一定値として保持されることが理想である設定温度を取得する。
【0108】
(3-2-5.出入口データ取得処理)
管理装置10は、出入口データ取得処理を実行する(ステップS205)。例えば、管理装置10は、出入口データDとして、管理装置10を使用するオペレータOの操作によって入力された、保管倉庫の出入口の開閉回数、開放時間、ドアのサイズ等を取得する。
【0109】
(3-3.モデル訓練処理の流れ)
図11を用いて、モデル訓練処理の流れについて説明する。図11は、実施形態に係るモデル訓練処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS301~S306の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS301~S306の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0110】
(3-3-1.外部温度変動データ入力処理)
管理装置10は、外部温度変動データ処理を実行する(ステップS301)。例えば、管理装置10は、算出モデル14gに、1年間分の外部温度データTである外部温度変動データT(Y)を訓練データとして入力する。
【0111】
(3-3-2.内部温度変動データ入力処理)
管理装置10は、内部温度変動データ入力処理を実行する(ステップS302)。例えば、管理装置10は、抽出モデル14gに、1年間分の内部温度データTである内部温度変動データT(Y)を訓練データとして入力する。
【0112】
(3-3-3.保管状況変動データ入力処理)
管理装置10は、保管状況変動データ入力処理を実行する(ステップS303)。例えば、管理装置10は、算出モデル14gに、1年間分の保管状況データHである保管状況変動データH(Y)を訓練データとして入力する。
【0113】
(3-3-4.設定温度データ入力処理)
管理装置10は、設定温度データ入力処理を実行する(ステップS304)。例えば、管理装置10は、算出モデル14gに、設定温度データTを訓練データとして入力する。
【0114】
(3-3-5.出入口データ入力処理)
管理装置10は、出入口データ入力処理を実行する(ステップS305)。例えば、管理装置10は、算出モデル14gに、出入口データDを訓練データとして入力する。
【0115】
(3-3-6.入力データ訓練処理)
管理装置10は、入力データ訓練処理を実行する(ステップS306)。例えば、管理装置10は、ステップS301~S305の処理で入力されたデータに応じて、予測温度Tを出力するように算出モデル14gを訓練する。
【0116】
(3-4.情報生成処理の流れ)
図12を用いて、情報生成処理の流れについて説明する。図12は、実施形態に係る情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS401~S405の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS401~S405の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0117】
(3-4-1.相関性抽出処理)
管理装置10は、相関性抽出処理を実行する(ステップS401)。例えば、管理装置10は、外部温度変動データT(Y)、内部温度変動データT(Y)、保管状況変動データH(Y)、設定温度データTおよび出入口データDの相関性を抽出する。
【0118】
(3-4-2.予測温度算出処理)
管理装置10は、予測温度算出処理を実行する(ステップS402)。例えば、管理装置10は、抽出した相関性を用いて、保管場所ごとの予測温度Tを算出する。
【0119】
(3-4-3.優先順位決定処理)
管理装置10は、優先順位決定処理を実行する(ステップS403)。例えば、管理装置10は、予測温度Tと設定温度Tとの差が第2所定値以下であって、差が少ない順に優先順位を決定する。
【0120】
(3-4-4.区画特定処理)
管理装置10は、区画特定処理を実行する(ステップS404)。例えば、管理装置10は、優先順位と最新の保管状況データHが示す収容可否とをもとに、温度逸脱性のリスクが低い保管場所アドレスを特定する。
【0121】
(3-4-5.配置指示情報生成処理)
管理装置10は、配置指示情報処理を実行する(ステップS405)。例えば、管理装置10は、特定した保管場所アドレスをもとに、作業者Wに保管対象物品Pの収容を指示する配置指示情報Iを生成する。
【0122】
〔4.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~9について説明する。
【0123】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、保管対象物品Pを収容する保管倉庫の外部の温度を示す外部温度データTと、保管倉庫の内部の少なくとも1つの保管場所の温度を示す内部温度データTと、保管場所の保管対象物品Pの収容状態を示す保管状況データHと、保管庫内部の設定温度を示す設定温度データTの相関性を抽出し、外部温度データT、内部温度データT、保管状況データHおよび設定温度データTの相関性を抽出し、抽出した相関性に基づいて保管場所の内部温度データの予測値を示す予測温度Tを算出する。このため、本処理では、保管倉庫内の周囲環境を適切な状態にすることができる。
【0124】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、保管場所の内部温度の温度変動が第1所定値以下である保管場所を特定する。このため、本処理では、予測温度Tを用いて、保管倉庫内において温度逸脱リスクが低い保管対象物品Pの保管場所を効果的に提示することができる。
【0125】
(4-3.効果3)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、特定した保管場所の予測温度Tと設定温度Tとの差が第2所定値以下である前記場所を特定する。このため、本処理では、予測温度Tと設定温度Tとを用いて、保管倉庫内において温度逸脱リスクが低い保管対象物品Pの保管場所を効果的に提示することができる。
【0126】
(4-4.効果4)
第4に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、抽出した相関性を用いて、外部温度データTと内部温度データTと保管状況データHと設定温度データTとを入力して、予測温度Tを出力する算出モデル14gを訓練する。このため、本処理では、機械学習モデルを用いることによって、保管倉庫内において温度逸脱リスクが低い保管対象物品Pの保管場所を効果的に提示することができる。
【0127】
(4-5.効果5)
第5に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、外部温度データTと内部温度データTと保管状況データHと記設定温度データTと保管庫の出入口の開閉に関する出入口データDとに基づいて、外部温度データTと内部温度データTと保管状況データHと出入口データDとの相関性を抽出する。このため、本処理では、より多くのデータ間の相関関係を抽出することによって、保管倉庫内の周囲環境をより適切な状態にすることができる。
【0128】
(4-6.効果6)
第6に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、抽出した相関性を用いて、外部温度データTと内部温度データTと保管状況データHと設定温度データTと出入口データDとを入力して、予測温度Tを出力する算出モデル14gを訓練する。このため、本処理では、より精度の高い機械学習モデルを用いることによって、保管倉庫内において温度逸脱リスクが低い保管対象物品Pの保管場所をより効果的に提示することができる。
【0129】
(4-7.効果7)
第7に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、予測温度Tと設定温度Tとの差が第2所定値以下の保管場所を、新たに収容する保管対象物品Pまたは既に収容している保管対象物品Pの少なくともいずれかの収容先とする配置指示情報Iを生成する。このため、本処理では、温度変動が少ない保管場所を示す配置指示情報Iを生成することによって、保管倉庫内において温度逸脱リスクが低い保管対象物品Pの保管場所を効果的に提示することができる。
【0130】
(4-8.効果8)
第8に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、配置指示情報Iに含まれる収容先の優先順位を決定して、優先順位と各々の場所とを対応付ける。このため、本処理では、温度変動が少ない保管場所を定量的に特定した配置指示情報Iを生成することによって、保管倉庫内において温度逸脱リスクが低い保管対象物品Pの保管場所を効果的に提示することができる。
【0131】
(4-9.効果9)
第9に、上述した実施形態に係る処理では、管理装置10は、優先順位を対応付けた保管場所と出入口との距離に基づいて、優先順位を再決定する。このため、本処理では、作業者Wのアクセス性を考慮した配置指示情報Iを生成することによって、保管倉庫内において温度逸脱リスクが低い保管対象物品Pの保管場所を効果的に提示することができる。
【0132】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0133】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0134】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0135】
〔ハードウェア〕
次に、情報処理装置である管理装置10のハードウェア構成例を説明する。なお、その他の装置も同様のハードウェア構成とすることができる。図13は、ハードウェア構成例を説明する図である。図13に示すように、管理装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図13に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0136】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、図2に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0137】
プロセッサ10dは、図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、図2等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、管理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、取得部15a、訓練部15b、抽出部15c、算出部15d、特定部15e、生成部15f等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、取得部15a、訓練部15b、抽出部15c、算出部15d、特定部15e、生成部15f等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0138】
このように、管理装置10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、管理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、管理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0139】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0140】
〔その他〕
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0141】
(1)保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所の保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出する抽出部と、前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する算出部と、を備える管理装置。
【0142】
(2)前記予測温度に基づいて、前記場所の内部温度の温度変動が、第1所定値以下である前記場所を特定する特定部をさらに備える、(1)に記載の管理装置。
【0143】
(3)前記特定部は、前記特定した場所の前記予測温度と前記設定温度との差が、第2所定値以下である前記場所を特定する、(2)に記載の管理装置。
【0144】
(4)前記抽出された相関性を用いて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとを入力して、前記予測温度を出力する機械学習モデルを訓練する訓練部をさらに備える、(1)~(3)のうちいずれか1つに記載の管理装置。
【0145】
(5)前記抽出部は、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データと前記保管庫の出入口の開閉に関する出入口データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記出入口データとの相関性を抽出する、(1)~(4)のうちいずれか1つに記載の管理装置。
【0146】
(6)前記抽出された相関性を用いて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データと前記出入口データとを入力して、前記予測温度を出力する機械学習モデルを訓練する訓練部をさらに備える、(5)に記載の管理装置。
【0147】
(7)前記予測温度と前記設定温度との差が前記第2所定値以下の場所を、新たに収容する前記保管対象物品または既に収容している前記保管対象物品の少なくともいずれかの収容先とする配置指示情報を生成する生成部をさらに備える、(3)に記載の管理装置。
【0148】
(8)前記特定部は、前記配置指示情報に含まれる収容先の優先順位を決定して、前記優先順位と各々の場所とを対応付ける、(7)に記載の管理装置。
【0149】
(9)前記特定部は、前記優先順位を対応付けた場所と出入口との距離に基づいて、前記優先順位を再決定する、(8)に記載の管理装置。
【0150】
(10)コンピュータが、保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所の保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出し、前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する、処理を実行する管理方法。
【0151】
(11)コンピュータに、保管対象物品を収容する保管庫の外部の温度を示す外部温度データと、前記保管庫の内部の少なくとも1つの場所の温度を示す内部温度データと、前記場所ごとの保管対象物品の収容状態を示す保管状況データと、前記保管庫内部の設定温度を示す設定温度データとに基づいて、前記外部温度データと前記内部温度データと前記保管状況データと前記設定温度データとの相関性を抽出し、前記抽出された相関性に基づいて、前記場所の内部温度データの予測値を示す予測温度を算出する、処理を実行させる管理プログラム。
【符号の説明】
【0152】
10 管理装置
11 入力部
12 出力部
13 通信部
14 記憶部
14a 外部温度データ記憶部
14b 内部温度データ記憶部
14c 保管状況データ記憶部
14d 設定温度データ記憶部
14e 出入口データ記憶部
14f 配置指示情報記憶部
14g 算出モデル
15 制御部
15a 取得部
15b 訓練部
15c 抽出部
15d 算出部
15e 特定部
15f 生成部
20 屋外温度計
30 屋内温度計
40 作業者端末
100 保管場所管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13