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  • 特開-アンモニア気化器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090092
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】アンモニア気化器
(51)【国際特許分類】
   F17C 9/02 20060101AFI20240627BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F17C9/02
F17C13/00 302E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205753
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】株式会社IHIプラント
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 忠
(72)【発明者】
【氏名】秋田 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】藤河 愛子
(72)【発明者】
【氏名】新田 省吾
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祐貴
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB06
3E172BD05
3E172DA90
3E172GA17
3E172GA23
3E172KA03
3E172KA19
(57)【要約】
【課題】アンモニアの気化によって水分濃度が高くなる液体アンモニアをシェル内で効率よく気化できるアンモニア気化器を提供する。
【解決手段】アンモニア気化器1は、液体アンモニア100が導入されるシェル20と、シェル20の内部に設置され、熱媒体が流通する複数の伝熱管23と、シェル20の下部から上部に向かって、シェル20の内部に液体アンモニア100を導入する液体アンモニア導入部40と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体アンモニアが導入されるシェルと、
前記シェルの内部に設置され、熱媒体が流通する複数の伝熱管と、
前記シェルの下部から上部に向かって、前記シェルの内部に前記液体アンモニアを導入する液体アンモニア導入部と、を備える、
アンモニア気化器。
【請求項2】
前記液体アンモニア導入部から前記シェルの内部に導入された前記液体アンモニアは、前記シェルの内部の前記液体アンモニアの液相上部に向う上昇流を形成する、
請求項1に記載のアンモニア気化器。
【請求項3】
前記液体アンモニア導入部は、前記シェルの長手方向の中間部に設けられている、
請求項1に記載のアンモニア気化器。
【請求項4】
前記液体アンモニア導入部に連通する流路を開閉する開閉装置を備える、
請求項1に記載のアンモニア気化器。
【請求項5】
前記熱媒体は、海水である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のアンモニア気化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア気化器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、主成分であるアンモニアと、主成分の沸点よりも高い沸点を有する高沸点成分である水とが含まれる液化アンモニアを気化させる気化器が開示されている。この気化器は、シェルと、シェル内に液化ガスを供給する供給部と、シェル内に配置され、液化ガスの主成分を気化させる温度を有する第1加熱流体が導入される複数の伝熱管と、シェル内で気化した主成分をシェルから導出させる導出部と、シェルの底部に配置され、シェル内に溜まった液化ガスをシェルから流出させる液流出部と、液流出部を通してシェルから導出された液化ガスに含まれる主成分を、第2加熱流体との熱交換により気化させる加熱器と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-6152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンモニア(主成分,低沸点成分)の気化によって、水(高沸点成分)の濃度が高くなった液体アンモニアは、沸点が高くなるため、温度が高くなると、液相上部に滞留し易くなる。このため、上記従来技術のように、シェルの底部からシェル内に溜まった液体アンモニアを排出させても、水分濃度が高い液体アンモニアをシェル内から効率よく排出できないおそれがあった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、アンモニアの気化によって水分濃度が高くなる液体アンモニアをシェル内で効率よく気化できるアンモニア気化器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るアンモニア気化器は、液体アンモニアが導入されるシェルと、前記シェルの内部に設置され、熱媒体が流通する複数の伝熱管と、前記シェルの下部から上部に向かって、前記シェルの内部に前記液体アンモニアを導入する液体アンモニア導入部と、を備える。
【0007】
また、本発明の第2の態様では、第1の態様のアンモニア気化器において、前記液体アンモニア導入部から前記シェルの内部に導入された前記液体アンモニアは、前記シェルの内部の前記液体アンモニアの液相上部に向う上昇流を形成してもよい。
【0008】
また、本発明の第3の態様では、第1または第2の態様のアンモニア気化器において、前記液体アンモニア導入部は、前記シェルの長手方向の中間部に設けられてもよい。
【0009】
また、本発明の第4の態様では、第1から第3態様のいずれか一つのアンモニア気化器において、前記液体アンモニア導入部に連通する流路を開閉する開閉装置を備えてもよい。
【0010】
また、本発明の第5の態様では、第1から第4態様のいずれか一つのアンモニア気化器において、前記熱媒体は、海水であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の一態様によれば、アンモニアの気化によって水分濃度が高くなる液体アンモニアをシェル内で効率よく気化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係るアンモニア気化器の全体構成図である。
図2】一実施形態に係る気化器本体の内部構成図である。
図3】液体アンモニアの沸点/露点と圧力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、一実施形態に係るアンモニア気化器1の全体構成図である。
アンモニア気化器1は、低温貯蔵タンク2から供給された液体アンモニア100を気化させ、そのアンモニアガスを供給先(例えば、火力発電所のボイラ)に供給する。低温貯蔵タンク2には、例えば、水(高沸点成分)を0.5wt%程度含む液体アンモニア100が貯蔵されている。
【0015】
低温貯蔵タンク2は、例えば、全高が50メートル程ある大型の二重殻地上低温タンクであって、図示しない内槽と外槽との間に粒状のパーライト等の保冷材が充填されている。なお、低温貯蔵タンク2は、地下式低温タンクであっても構わない。低温貯蔵タンク2は、アンモニアタンカーから受け入れ配管(図示省略)を介して移送された液体アンモニア100を貯蔵する。液体アンモニア100の貯蔵温度は、例えば、-33℃~-34℃程である。
【0016】
アンモニア気化器1は、気化器本体10と、加熱器11と、を備えている。気化器本体10は、液体アンモニア供給流路3を介して低温貯蔵タンク2と接続されている。液体アンモニア供給流路3は、低温貯蔵タンク2の液体アンモニア100を気化器本体10に供給する。液体アンモニア供給流路3には、流路を開閉するバルブ3aや、図示しないポンプ等が設けられている。
【0017】
液体アンモニア供給流路3は、その下流側で、第1供給流路4と、第2供給流路5とに分岐している。第1供給流路4は、気化器本体10の上部に接続されている。第1供給流路4には、流路を開閉するバルブ4a等が設けられている。一方、第2供給流路5は、気化器本体10の下部に接続されている。第2供給流路5には、流路を開閉するバルブ5a等が設けられている。
【0018】
加熱器11は、アンモニアガス導出流路12を介して気化器本体10と接続されている。アンモニアガス導出流路12は、気化器本体10で気化したアンモニアガスを加熱器11に供給する。また、加熱器11は、アンモニアガス供給流路13を介して図示しない供給先と接続されている。アンモニアガス供給流路13は、加熱器11で所定温度まで昇温したアンモニアガスを供給先に供給する。
【0019】
気化器本体10には、第1熱媒体供給流路14と、第1熱媒体排出流路15とが接続されている。第1熱媒体供給流路14は、液体アンモニア100を気化させる第1熱媒体を気化器本体10に供給する。本実施形態の第1熱媒体は、海水200である。第1熱媒体供給流路14には、海水200を汲み上げるポンプ14aや、図示しないバルブ等が設けられている。
【0020】
第1熱媒体排出流路15は、気化器本体10内で液体アンモニア100との熱交換によって低温となった海水200を海に放出する。第1熱媒体排出流路15には、図示しないバルブやポンプ等が設けられている。なお、第1熱媒体は、海水200に限定されず、アンモニア気化器1の設置場所によっては、海水200の代わりに河川や湖等の水を使用する場合もある。
【0021】
加熱器11には、第2熱媒体供給流路16と、第2熱媒体排出流路17とが接続されている。第2熱媒体供給流路16は、アンモニアガスを昇温させる第2熱媒体を加熱器11に供給する。本実施形態の第2熱媒体は、例えば、供給先のボイラで生成した水蒸気である。第2熱媒体供給流路16には、図示しないバルブ等が設けられている。
【0022】
第2熱媒体排出流路17は、加熱器11内でアンモニアガスとの熱交換によって凝縮した凝縮液を排出する。第2熱媒体排出流路17には、図示しないバルブ等が設けられている。第2熱媒体排出流路17は、図示しない冷却器と接続されている。冷却器は、アンモニアガスと熱交換した凝縮液から熱回収すると共に冷却し、その凝縮液を所定の場所に移送する。
【0023】
気化器本体10には、底部抜出流路18が接続されている。底部抜出流路18は、気化器本体10の底部から液体アンモニア100を抜き出す。底部抜出流路18には、流路を開閉するバルブ18aと、図示しないポンプ等が設けられている。
【0024】
図2は、一実施形態に係る気化器本体10の内部構成図である。
図2に示すように、気化器本体10は、シェル20と、管板21,22と、複数の伝熱管23と、を備えている。シェル20は、水平方向に延びる円筒状に形成されている。管板21,22は、複数の伝熱管23を支持すると共に、シェル20内を3つの空間に仕切っている。なお、管板21,22の間には、図示しない複数のバッフルプレートが設けられていてもよいが、当該バッフルプレートはシェル20内の空間を仕切らない。
【0025】
シェル20内には、第1熱媒体入口部10Aと、第1熱媒体出口部10Bと、液体アンモニア気化室10Cと、が形成されている。第1熱媒体入口部10Aと液体アンモニア気化室10Cとの間は、管板21によって空間が仕切られている。液体アンモニア気化室10Cと第1熱媒体出口部10Bとの間は、管板22によって空間が仕切られている。
【0026】
管板21は、伝熱管23の一端部を支持している。伝熱管23の一端部の開口は、第1熱媒体入口部10Aに連通している。管板22は、伝熱管23の他端部を支持している。伝熱管23の他端部の開口は、第1熱媒体出口部10Bに連通している。複数の伝熱管23は、管板21,22及び図示しないバッフルプレートによって水平方向に平行に支持されている。
【0027】
シェル20には、第1熱媒体入口部10Aに連通する第1熱媒体供給口24が形成されている。第1熱媒体供給口24には、上述した第1熱媒体供給流路14が接続されている。また、シェル20には、第1熱媒体出口部10Bに連通する第1熱媒体排出口25が形成されている。第1熱媒体排出口25には、上述した第1熱媒体排出流路15が接続されている。
【0028】
第1熱媒体供給口24から第1熱媒体入口部10Aに供給された第1熱媒体(海水200)は、複数の伝熱管23を通る過程で、液体アンモニア気化室10C内の液体アンモニア100と熱交換し、第1熱媒体出口部10Bに流出する。第1熱媒体出口部10Bに流出した第1熱媒体は、第1熱媒体排出口25から第1熱媒体排出流路15を介して、シェル20外に排出される。なお、第1熱媒体供給口24及び第1熱媒体排出口25は、第1熱媒体を供給及び排出する機能を確保できれば、シェル20の側壁部に設けられてもよいし、シェル20の底部または上部に設けられてもよい。
【0029】
シェル20の上部には、アンモニアガス導出口26と、液体アンモニア供給口27と、が設けられている。アンモニアガス導出口26及び液体アンモニア供給口27は、液体アンモニア気化室10Cに連通する。液体アンモニア供給口27には、上述した液体アンモニア供給流路3の第1供給流路4が接続されている。液体アンモニア供給口27は、シェル20の長手方向の中央部に配置されている。液体アンモニア供給口27は、シェル20の内部に配置されたディストリビューター30と接続されている。
【0030】
ディストリビューター30は、複数の伝熱管23の上方に位置すると共に、複数の伝熱管23と平行に延び、液体アンモニア供給口27から供給される液体アンモニア100をシェル20の長手方向に分配する。ディストリビューター30としては、例えば、多数の孔や切り欠きが形成された配管またはトレイ等を例示できる。アンモニアガス導出口26は、液体アンモニア供給口27の両側であって、ディストリビューター30と平面視で重ならない位置に一対で設けられている。
【0031】
一対のアンモニアガス導出口26のうち、第1熱媒体入口部10A(管板21)側に配置されたアンモニアガス導出口26aには、アンモニアガス導出流路12の第1枝管12aが接続されている。また、第1熱媒体出口部10B(管板22)側に配置されたアンモニアガス導出口26bには、アンモニアガス導出流路12の第2枝管12bが接続されている。なお、第1枝管12a及び第2枝管12bは、その下流側(少なくとも図1に示す加熱器11の手前側)で合流している。
【0032】
シェル20の底部には、ドレン回収部28が下方に突設されている。ドレン回収部28は、液体アンモニア気化室10Cに連通している。ドレン回収部28には、上述した底部抜出流路18が接続されている。
【0033】
シェル20の下部には、シェル20の内部に液体アンモニア100を導入する液体アンモニア導入部40が設けられている。なお、シェル20の下部とは、シェル20の底部を含む。つまり、シェル20の下部とは、シェル20を高さ方向で3等分したときの、最も下の部分をいい、シェル20の底部だけでなく、当該底部と連なるシェル20の側壁部の一部(下部分)を含む。なお、シェル20の下部とは、実質的には、シェル20内部の液体アンモニア100の液相中に位置する部分であって、伝熱管23より下方が好ましい。
【0034】
本実施形態の液体アンモニア導入部40は、シェル20の底部に設けられている。液体アンモニア導入部40は、鉛直上方に向かって開口しており、シェル20の下部から上部に向かって、液体アンモニア100を導入する。液体アンモニア導入部40には、上述した液体アンモニア供給流路3の第2供給流路5が接続されている。第2供給流路5には、流路を開閉するバルブ5aが設けられている。
【0035】
バルブ5aは、アンモニア気化器1の運転中、開放されている。液体アンモニア導入部40からシェル20の内部に導入された液体アンモニア100は、シェル20の内部の液体アンモニア100の液相上部に向う上昇流101を形成する。なお、所定時間毎に間欠的にバルブ5aを開閉して、シェル20の内部の液体アンモニア100に間欠的に上昇流101を形成してもよい。
【0036】
液体アンモニア導入部40は、シェル20の長手方向の中間部に設けられている。シェル20の長手方向の中間部とは、管板21の長手方向の位置を0%、管板22の長手方向の位置を100%としたときに、20%~80%の範囲であって、好ましくは30%~70%の範囲であり、より好ましくは40%~60%の範囲を言う。
【0037】
なお、液体アンモニア導入部40は、シェル20の長手方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。また、液体アンモニア導入部40は、鉛直上方に開口するが、鉛直方向に対し斜め上方に開口しても構わない。つまり、液体アンモニア100は、シェル20の側壁部から斜め上方に上昇流101を形成してもよい。さらに、シェル20の内部には、液体アンモニア100の攪拌を促進する構造(突起や攪拌羽根等)が設けられていてもよく、液体アンモニア導入部40は、それらを利用して攪拌流を形成してもよい。
【0038】
図3は、液体アンモニア100の沸点/露点と圧力との関係を示すグラフである。なお、図3において縦軸は、沸点/露点であり、単位は[℃]である。また、図3において横軸は、圧力であり、単位は大気圧基準の[kPaG]である。
図3に示すように、海水200の温度は、例えば、冬季で17[℃]~夏季で35[℃]の間で変化する。
【0039】
仮に、気化器本体10の入口圧力を400[kPaG]とし、ボイラとの取合圧力を350[kPaG]とした場合、冬季及び夏季のいずれも、液体アンモニア100の温度は、沸点曲線と露点曲線の間になり、液体アンモニア100は気液混相状態となる。つまり、海水200を第1熱媒体とした場合、気化器本体10内では、液体アンモニア100の一部が気化せず、アンモニア(主成分,低沸点成分)の気化によって、水(高沸点成分)の濃度が徐々に高くなっていく。
【0040】
水(高沸点成分)の濃度が高くなった液体アンモニア100は、沸点が高くなるため、気化し難くなる。この水分濃度が高くなった液体アンモニア100は、沸点が高くなり、温度が高くなると、図2に示す液相上部(液面付近)に滞留し易くなる。したがって、本実施形態では、シェル20の下部に液体アンモニア導入部40を設け、シェル20の下部から上部に向かって、シェル20の内部に液体アンモニア100を導入する。
【0041】
液体アンモニア導入部40からシェル20の内部に導入された液体アンモニア100は、シェル20の内部の液体アンモニア100の液相上部に向う上昇流101を形成する。これにより、液相上部に滞留する水分濃度が高くなった液体アンモニア100を攪拌できる。また、上昇流101の形成によって、シェル20の内部の所定の場所では下降流102が形成され、シェル20の内部の液体アンモニア100が均一に混ざり合う。これにより、シェル20の内部の液体アンモニア100の水分濃度を均一化して、沸点を低くし、気化させ易くすることができる。
【0042】
上述したように、本実施形態に係るアンモニア気化器1は、液体アンモニア100が導入されるシェル20と、シェル20の内部に設置され、熱媒体が流通する複数の伝熱管23と、シェル20の下部から上部に向かって、シェル20の内部に液体アンモニア100を導入する液体アンモニア導入部40と、を備える。この構成によれば、アンモニアの気化によって水分濃度が高くなった液体アンモニア100をシェル20内で効率よく気化させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、液体アンモニア導入部40からシェル20の内部に導入された液体アンモニア100は、シェル20の内部の液体アンモニア100の液相上部に向う上昇流101を形成する。この構成によれば、液相上部(液面付近)に滞留する水分濃度が高くなった液体アンモニア100を攪拌できる。
【0044】
また、本実施形態では、液体アンモニア導入部40は、シェル20の長手方向の中間部に設けられている。この構成によれば、一つの液体アンモニア導入部40で、シェル20の内部全体の液体アンモニア100を効率よく攪拌できる。なお、必要に応じて、液体アンモニア導入部40を複数設けても構わない。
【0045】
また、本実施形態では、液体アンモニア導入部40に連通する第2供給流路5(流路)を開閉するバルブ5a(開閉装置)を備える。この構成によれば、液体アンモニア100を攪拌する流れに変化を与えて、液体アンモニア100の攪拌を促進できる。
【0046】
また、本実施形態では、第1熱媒体(熱媒体)は、海水200である。この構成によれば、液体アンモニア100を気化する第1熱媒体を、低廉で大量に確保できる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0048】
1…アンモニア気化器、2…低温貯蔵タンク、3…液体アンモニア供給流路、3a…バルブ、4…第1供給流路、4a…バルブ、5…第2供給流路(流路)、5a…バルブ(開閉装置)、10…気化器本体、10A…第1熱媒体入口部、10B…第1熱媒体出口部、10C…液体アンモニア気化室、11…加熱器、12…アンモニアガス導出流路、12a…第1枝管、12b…第2枝管、13…アンモニアガス供給流路、14…第1熱媒体供給流路、14a…ポンプ、15…第1熱媒体排出流路、16…第2熱媒体供給流路、17…第2熱媒体排出流路、18…底部抜出流路、18a…バルブ、20…シェル、21…管板、22…管板、23…伝熱管、24…第1熱媒体供給口、25…第1熱媒体排出口、26…アンモニアガス導出口、26a…アンモニアガス導出口、26b…アンモニアガス導出口、27…液体アンモニア供給口、28…ドレン回収部、30…ディストリビューター、40…液体アンモニア導入部、100…液体アンモニア、101…上昇流、102…下降流、200…海水
図1
図2
図3