IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特開-搬送システム 図1
  • 特開-搬送システム 図2
  • 特開-搬送システム 図3
  • 特開-搬送システム 図4
  • 特開-搬送システム 図5
  • 特開-搬送システム 図6
  • 特開-搬送システム 図7
  • 特開-搬送システム 図8
  • 特開-搬送システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090119
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B65G43/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205793
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 ユミ
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 和明
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA01
3F027CA01
3F027DA22
3F027DA32
3F027FA01
3F027FA12
3F027FA13
3F027FA14
3F027FA16
3F027FA17
3F027FA18
(57)【要約】
【課題】搬送路の異常判定が容易な搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送システムであって、搬送路を移動する搬送体と、搬送体に関するデータを取得するセンサ部70と、センサ部70によって取得されたデータから、搬送体が停止したことにより生成された停止時データを識別する識別部81と、を備える。センサ部70によって取得されたデータから停止時データを識別することにより、異常判定に用いるデータのデータ量のばらつきを低減することが可能になるため、搬送路の異常判定が容易になる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送システムであって、
搬送路(10、11、12、13)を移動する搬送体(20、21)と、
前記搬送体に関するデータを取得するセンサ部(70)と、
前記センサ部によって取得されたデータから、前記搬送体が停止したことにより生成された停止時データを識別する識別部(81)と、を備える搬送システム。
【請求項2】
前記識別部は、前記センサ部によって取得された時系列データから停止時データを識別する請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記センサ部は、前記搬送体の位置のデータを取得し、
前記識別部は、該データから停止時データを識別する請求項1または2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記センサ部は、前記搬送体の加速度のデータを取得し、
前記識別部は、該データから停止時データを識別する請求項1または2に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送体の位置を識別するための識別子(61)を表示する表示部(60)を備え、
前記センサ部は、前記識別子を読み取る読取部(71)を備え、
前記識別部は、前記読取部が前記識別子を読み取ることにより生成されたデータに基づいて前記停止時データを識別する請求項1または2に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記読取部は、前記識別子を撮像するカメラで構成されている請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記搬送路は、前記搬送体を停止させる停止部(40、42)を備え、
前記読取部は、前記搬送体に設けられており、
前記表示部は、前記停止部によって停止する前記搬送体の数および位置に対応して設けられている請求項5に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記搬送路は、前記搬送体を停止させる停止部(40、42)を備え、
前記表示部は、前記搬送体に設けられており、
前記読取部は、前記停止部によって停止する前記搬送体の数および位置に対応して設けられている請求項5に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記センサ部は、前記表示部の照度を検出する照度センサ(72)を備える請求項5に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記識別部は、前記読取部によって前記識別子が読み取られている間のデータを前記停止時データとする請求項5に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記センサ部によって取得されたデータから前記停止時データを除外することにより生成された判定用データに基づいて前記搬送路の状態を判定する判定部(82)を備える請求項1または2に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車部品等の生産ラインで用いられる搬送システムは、搬送路が長いため、作業者は日常点検に時間を要する。そして、搬送路で異常が発生すると、搬送システムの復旧および点検が完了するまで生産ラインが長時間停止する。
【0003】
近年では、振動センサ等を含むマルチセンサに搬送路を巡回させ、センサデータを機械学習モデルに入力して得られた結果に基づいて搬送路の異常を検知する技術が発展しており、工場エネルギーの効率化につながっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-27095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送システムでは、搬送路の状況によって搬送開始から終了までの時間が変化する。例えば、ワークに対する処理工程、搬送路の切り替え、ワークの別パレットへの載せ替え等の前には、搬送路に設置されたストッパにより、パレットの進行が停止する。そして、処理工程等の準備ができると、ストッパが解除され、パレットの進行が再開する。
【0006】
このようなストッパによる停止の有無や停止時間の長さは、搬送路の混雑状況によって変化する。そのため、例えばマルチセンサを載せたパレットを他のパレットと共に巡回させると、巡回にかかる時間が変化することから、マルチセンサのデータ量にばらつきが生じ、センサデータを機械学習モデルに入力して搬送路の異常判定を行うことが困難になる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、搬送路の異常判定が容易な搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、搬送システムであって、搬送路(10、11、12、13)を移動する搬送体(20、21)と、搬送体に関するデータを取得するセンサ部(70)と、センサ部によって取得されたデータから、搬送体が停止したことにより生成された停止時データを識別する識別部(81)と、を備える。
【0009】
これによれば、センサ部によって取得されたデータから停止時データを識別することにより、異常判定に用いるデータのデータ量のばらつきを低減することが可能になるため、搬送路の異常判定が容易になる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態にかかる搬送システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態にかかる搬送システムの構成を示す図である。
図3】センサ部および制御部の構成を示すブロック図である。
図4】センサ部の巡回処理のフローチャートである。
図5】異常判定処理のフローチャートである。
図6】センサ部によって取得された時系列データの一例を示す図である。
図7】判定用データの一例を示す図である。
図8】センサ部によって取得された時系列データの一例を示す図である。
図9】第2実施形態にかかる搬送システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。本実施形態の搬送システムは、図1図3に示すように、搬送路10と、搬送体としてのパレット20と、処理装置30と、停止部としてのストッパ40~42と、押し出し装置50と、表示部60と、センサ部70と、制御部80とを備えている。搬送システムは、パレット20にワーク100を搭載して搬送し、ワーク100に対して搬送途中でネジ締め等の処理を施すことにより自動車部品等を製造する生産ラインを構成している。
【0014】
搬送路10は、パレット20を搬送するものである。搬送路10は、搬送面とパレット20またはパレット20上のワーク100とが接するコンベアで構成されている。例えば、搬送路10は、ベルトコンベア、チェーンコンベア、スクリューコンベア、グリップコンベア、サイドグリップコンベア等で構成されている。
【0015】
パレット20は、ワーク100を搭載して搬送路10を進行するものである。ワーク100は、例えば加工設備によって加工される加工対象物であってもよいし、製造中または製造後の製品であってもよい。搬送路10の点検を行う際には、センサ部70がパレット20に搭載されて搬送路10を巡回する。センサ部70を搭載したパレット20を、パレット21とする。
【0016】
図1図2に示すように、搬送システムは、搬送路10として、搬送路11~13を備えている。水平面内の互いに垂直な2方向をX方向、Y方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向をZ方向とする。
【0017】
図1に示すように、搬送路11はX方向に延設されており、搬送路11の途中には処理装置30およびストッパ40、41が配置されている。処理装置30は、ワーク100に対してネジ締め等の処理を施すものであり、ロボットハンド等で構成されている。
【0018】
ストッパ40は、処理装置30による処理を待つパレット20を停止させるものであり、搬送路11の搬送方向における処理装置30の手前の場所に配置されている。ストッパ41は、処理装置30により処理されるパレット20を停止させるものであり、搬送路11における処理装置30の付近に配置されている。ストッパ40、41、および、後述するストッパ42としては、棒状の部材を搬送路10の下から突き出す構成のものや、板状の部材を搬送路10の横から突き出す構成のものを用いることができる。
【0019】
搬送路12、13は、搬送システムのうち、パレット20の搬送方向を切り替える部分を構成している。具体的には、搬送路12、13はそれぞれX方向、Y方向に延設されており、パレット20が搬送路12から搬送路13へ移動することによって、パレット20の進行方向がX方向からY方向に切り替えられる。
【0020】
図2に示すように、搬送路12にはストッパ42が配置されている。ストッパ42は、搬送路の切り替えを待つパレット20を停止させるように、搬送路12の終端部に配置されている。搬送路13には、押し出し装置50が配置されている。押し出し装置50は搬送路13の始端部に配置されており、矢印A1で示すように押し出し装置50が動くことにより、搬送路切り替え後のパレット20がY方向に押し出される。
【0021】
また、搬送システムは、図示しない搬送路も備えており、この搬送路では、パレット20の搭載物を別のパレット20に載せ替える工程等が行われる。
【0022】
表示部60は、パレット20の停止に関する情報を格納する識別子61を表示するものである。この情報は、例えば、パレット20に対して次に行われる作業工程、パレット20の停止位置、進行方向等の情報を含む。識別子61としては、例えば、QRコード(登録商標)、マイクロQRコード、rMQRコード等の2次元コードを用いることができる。表示部60は、例えば、識別子61が印刷されたシールを、処理待ち、搬送路切り替え待ち、パレット載せ替え待ちのパレット20が停止する場所付近の壁に貼り付けることで構成される。搬送システムのうち、図1図2に示す部分においては、表示部60は、ストッパ40、42の手前に配置される。
【0023】
表示部60は、1つの停止場所に対して1つまたは複数設けられている。表示部60の数に制限はないが、ストッパ40、42で停止すると予想されるパレット20の数と停止位置に対応して設けることが望ましい。
【0024】
図1に示すように、搬送路11では、ストッパ40の手前に3つの表示部60が配置されている。この3つの表示部60を、ストッパ40に近い順に表示部60a~60cとする。表示部60a、60b、60cが表示する識別子61をそれぞれ識別子61a、61b、61cとする。
【0025】
表示部60a~60cは、それぞれ、ストッパ40で停止する1番目~3番目のパレット20の位置に対応した場所に配置されている。具体的には、表示部60aは、パレット21がストッパ40で停止するパレット20の列の1番目になったときに、識別子61aが後述する読取部71の読み取り範囲に入るように配置されている。同様に、表示部60b、60cは、パレット21がストッパ40で停止するパレット20の列の2番目、3番目になったときに、識別子61b、61cが読取部71の読み取り範囲に入るように配置されている。
【0026】
識別子61a~61cには、処理装置30の情報、搬送路11の位置情報、搬送路11の搬送方向等の情報が格納されている。また、識別子61a~61cには、ストッパ40による停止区間における位置情報が格納されている。具体的には、識別子61a~61cには、それぞれ、処理装置30による処理待ちの1番目、2番目、3番目の位置であることを示す情報が格納されている。
【0027】
図2に示すように、搬送路12では、ストッパ42の手前に3つの表示部60が配置されている。この3つの表示部60を、ストッパ42に近い順に表示部60d~60fとする。表示部60d~60fが表示する識別子61をそれぞれ識別子61d、61e、61fとする。
【0028】
表示部60d~60fは、それぞれ、ストッパ42で停止する1番目~3番目のパレット20の位置に対応した場所に配置されている。具体的には、表示部60d~60fは、パレット21がストッパ42で停止するパレット20の列の1番目~3番目になったときに、識別子61d~61fが読取部71の読み取り範囲に入るように配置されている。
【0029】
識別子61d~61fには、搬送路切り替えの情報、搬送路12、13の位置情報、搬送路12、13の搬送方向等の情報が格納されている。後述するように、搬送システムでは、センサ部70を搭載したパレット21に搬送路10を巡回させて搬送路10の異常判定を行う。このとき、搬送路が切り替えられて搬送方向が変化しても、センサ部70は方向転換せずそのままの向きで搬送される場合がある。この場合には、搬送方向の情報を識別子61に格納することにより、後述するステップS22にて、センサ部70の加速度のデータについてX方向とY方向を入れ替えるデータ前処理が可能となり、搬送方向に応じた分析をすることができる。パレット載せ替えによる搬送方向の変化についても同様である。
【0030】
また、識別子61d~61fには、ストッパ42による停止区間における位置情報が格納されている。具体的には、識別子61d~61fには、それぞれ、搬送路切り替え待ちの1番目、2番目、3番目の位置であることを示す情報が格納されている。
【0031】
図3に示すように、センサ部70は、読取部71と、照度センサ72と、加速度センサ73と、角速度センサ74と、音響センサ75とを備えている。本実施形態では、これらはパレット21に搭載されて搬送路10を巡回する。
【0032】
読取部71は、識別子61を読み取るものである。読取部71は、パレット21の周囲を撮像するカメラや、スキャナモジュール等で構成されている。
【0033】
照度センサ72は、表示部60の照度を計測するものである。照度センサ72による照度の計測結果は、表示部60が読取部71によって識別子61が正しく読み取りできる状態にあるか否かの判定に用いられる。前述したように、本実施形態では照度センサ72は他のセンサと共にパレット21に搭載されるが、照度センサ72が表示部60の付近に配置されてもよい。
【0034】
加速度センサ73は、パレット21の加速度を計測するものである。加速度センサ73は、互いに垂直な3方向の加速度を計測するように構成されている。角速度センサ74は、パレット21の角速度を計測するものである。角速度センサ74は、互いに垂直な3方向の軸まわりの角速度を計測するように構成されている。角速度センサ74は、例えばジャイロスコープ等で構成されている。音響センサ75は、パレット21周辺の音を検出するものである。音響センサ75は、例えばマイクロフォン等で構成されている。
【0035】
読取部71の撮像画像、照度センサ72、加速度センサ73、角速度センサ74、音響センサ75による計測結果のデータは、図示しない無線通信装置によって、図示しないエッジコンピュータ、サーバ、クラウド等を介して制御部80に送信される。
【0036】
制御部80は、搬送路10の異常判定等を行うものである。制御部80は、図示しないCPUや、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等の非遷移的実体的記憶媒体で構成される記憶部等を備えたマイクロコンピュータ等で構成される。CPUは、Central Processing Unitの略であり、ROMは、Read Only Memoryの略であり、RAMは、Random Access Memoryの略であり、HDDはHard Disk Driveの略である。図3に示すように、制御部80は、識別部81と、判定部82とを備える。
【0037】
識別部81は、センサ部70によって取得されたデータから、パレット21が停止したことにより生成されたデータ(以下、停止時データと呼ぶ。)を識別するものである。具体的には、識別部81は、パレット21がストッパ40、42によって停止したときや、ストッパ40、42によって停止しているパレット20にパレット21が接触して停止したときのデータを識別し、これらのデータを停止時データとする。そして、識別部81は、センサ部70によって取得されたデータから停止時データを除外して、搬送路10の異常判定に用いる判定用データを生成する。
【0038】
判定部82は、搬送路10の状態を判定するものである。具体的には、制御部80には、搬送路10の異常判定を行うための学習済みモデルが記憶されている。この学習済みモデルは、判定用データが入力されたときに、搬送路10に異常がある確率等を示す数値を出力するように構成されている。学習済みモデルは複数記憶されており、判定部82は、判定に用いる学習済みモデルを状況に応じて選択する。そして、判定部82は、識別部81によって生成された判定用データを選択した学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力された数値に基づいて、搬送路10に異常が発生しているか否かを判定する。例えば、判定部82は、出力値が所定の閾値よりも大きい場合には、搬送路10に異常が発生していると判定し、出力値が閾値以下である場合には、搬送路10に異常が発生していないと判定する。また、搬送路10に異常が発生していると判定された場合には、判定部82は、判定用データを用いて異常箇所の位置を算出する。
【0039】
搬送システムの作動について説明する。搬送システムでは、センサ部70を搭載したパレット21に搬送路10を巡回させ、その間に取得されたデータを用いて搬送路10の異常判定を行う。
【0040】
センサ部70の巡回中に、搬送システムは図4に示す処理を行う。なお、センサ部70の巡回は、ラインの稼働前または稼働中に行われる。ラインの稼働前にセンサ部70の巡回を行う場合には、パレット21以外のパレット20は、ワーク100が搭載されない空の状態で搬送路10を回る。ラインの稼働中にセンサ部70の巡回を行う場合には、パレット21の搭載物に対しては処理装置30による処理を行わないように設定される。
【0041】
ステップS11にて、センサ部70は、パレット21に関するデータの取得を行う。具体的には、読取部71は、カメラによってパレット21の周囲を撮像する。また、照度センサ72は、読取部71の撮像範囲の照度を計測する。また、加速度センサ73は、パレット21のX方向、Y方向、Z方向の加速度を計測する。また、角速度センサ74は、パレット21のX方向、Y方向、Z方向の軸まわりの角速度を計測する。また、音響センサ75は、パレット21の周囲の音を計測する。センサ部70によって取得された撮像画像や計測結果等のデータは、定期的に制御部80へ送信される。なお、センサ部70によって取得されたデータを、巡回終了後にまとめて制御部80へ送信してもよい。
【0042】
続くステップS12にて、センサ部70は、読取部71の撮像画像を解析して、読取部71によって識別子61が読み取られたか否かを判定する。読取部71によって識別子61が読み取られたと判定されると、処理はステップS13へ移行する。読取部71によって識別子61が読み取られていないと判定されると、処理はステップS14へ移行する。
【0043】
ステップS13にて、センサ部70は、読取部71の撮像画像から、識別子61に格納された位置情報等を取得する。また、センサ部70は、識別子61が読み取られた時刻を記憶する。ステップS12の後、処理はステップS11へ移行する。
【0044】
ステップS14にて、センサ部70は、パレット21が目的位置に到達したか否かを判定する。パレット21が目的位置に到達したと判定されると、処理は終了する。パレット21が目的位置に到達していないと判定されると、処理はステップS11へ移行する。
【0045】
センサ部70による搬送路10の巡回が終了すると、搬送システムは、図5に示す異常判定処理を行う。
【0046】
ステップS21にて、制御部80は、図4に示す処理でセンサ部70から送信されたデータを時系列に並べて、時系列データを生成する。
【0047】
続くステップS22にて、識別部81は、異常判定のために時系列データの前処理を行う。すなわち、識別部81は、時系列データから停止時データを除外し、これにより生成されたデータを判定用データとする。
【0048】
識別部81は、読取部71が識別子61を読み取ることにより生成されたデータに基づいて、停止時データを識別する。具体的には、識別部81は、ステップS13で記憶された時刻に基づいて、加速度センサ73、角速度センサ74、音響センサ75の時系列データから、読取部71によって識別子61が読み取られている間のデータを停止時データとして識別する。そして、識別部81は、加速度センサ73等の時系列データから停止時データを除外する。これにより、ストッパ40、42や、パレット載せ替え待ち等の図示しないストッパによる停止中のデータが時系列データから除外される。そして、パレット21が定速移動しているとき、搬送路10の異常箇所を通過したとき、ストッパ41で停止しているとき等の時系列データが残り、残った時系列データによって判定用データが構成される。
【0049】
なお、ステップS22では、時系列データに対して、停止時データの除外に加えて、欠損値および外れ値の処理、特徴量の抽出等の処理が行われ、ステップS24で用いられる任意長さの区間データが生成される。
【0050】
続くステップS23にて、判定部82は、制御部80に記憶されている複数の学習済みモデルから、異常判定に用いる学習モデルを選択する。
【0051】
続くステップS24にて、判定部82は、搬送路10の異常判定を行う。すなわち、判定部82は、ステップS23で選択した学習済みモデルに、ステップS22で生成された判定用データを入力する。そして、判定部82は、学習済みモデルの出力値に基づいて、搬送路10に異常が発生しているか否かを判定する。搬送路10に異常が発生していると判定されると、判定部82は、時系列データに含まれる識別子61の位置情報に基づいて、異常箇所の位置を推定する。ステップS24の後、処理は終了する。
【0052】
本実施形態の効果について説明する。ここでは、搬送システムにおいて、搬送路11に続いて搬送路12が配置されており、搬送路11のうちストッパ40と処理装置30との間の部分に異常が発生している場合について説明する。異常が発生している箇所を、異常箇所Pとする。この場合には、センサ部70の時系列データは、例えば図6に示すようになる。ここでの搬送路11の異常は、例えばコンベアチェーンの緩みにより生じた搬送路11上面の凹凸である。
【0053】
図6は、パレット21が搬送路11に入ったときに、ストッパ40で停止しているパレット20がなかった場合の時系列データを示している。なお、図6の一番上のグラフは、ストッパ40、41、42の作動を示している。また、図6では、パレット21が搬送路11に入ってから、ストッパ42での停止が終了してパレット21の移動が再開されるまでの時系列データを示している。
【0054】
パレット21が搬送路11に入ると、ストッパ40が作動し、時刻t1にてパレット21がストッパ40に接触する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の負の加速度が検出される。また、読取部71によって識別子61aが撮像され、ステップS13にて識別子61aの読み取り開始時刻である時刻t1が記憶される。識別子61aの撮像は、パレット21が停止している間継続する。
【0055】
ストッパ40が外れて、時刻t2にてパレット21の移動が再開されると、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の正の加速度が検出される。また、読取部71による識別子61aの撮像が終了する。識別子61aの撮像が終了するまでの間、ステップS13での時刻の記憶は続いており、センサ部70は、識別子61aの読み取り終了時刻である時刻t2を記憶する。
【0056】
パレット21は、移動を再開した後、定速移動し、時刻t3~t4にて異常箇所Pを通過する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向とZ方向の加速度が検出される。
【0057】
パレット21は、異常箇所Pを通過した後、処理装置30へ向かって定速移動する。パレット21が処理装置30付近に到達すると、ストッパ41が作動し、時刻t5にてパレット21がストッパ41に接触する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の負の加速度が検出される。
【0058】
ストッパ41が外れて、時刻t6にてパレット21の移動が再開されると、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の正の加速度が検出される。パレット21は、移動を再開した後、定速移動して搬送路12に入る。
【0059】
パレット21が搬送路12に入ると、ストッパ42が作動し、時刻t7にてパレット21がストッパ42に接触する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の負の加速度が検出される。また、読取部71によって識別子61dが撮像され、ステップS13にて識別子61dの読み取り開始時刻である時刻t7が記憶される。
【0060】
ストッパ42が外れて、時刻t8にてパレット21の移動が再開されると、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の正の加速度が検出される。また、読取部71による識別子61dの撮像が終了する。識別子61dの撮像が終了するまでの間、ステップS13での時刻の記憶は続いており、センサ部70は、識別子61dの読み取り終了時刻である時刻t8を記憶する。
【0061】
このようにして図6の時系列データがステップS21で生成されると、ステップS22では、次のように判定用データが生成される。すなわち、センサ部70が記憶した識別子61aの読み取り開始時刻t1と終了時刻t2とに基づいて、時系列データの時刻t1~t2の部分が停止時データと識別され、時系列データから除外される。また、センサ部70が記憶した識別子61dの読み取り開始時刻t7と終了時刻t8とに基づいて、時系列データの時刻t7~t8の部分が停止時データと識別され、時系列データから除外される。これにより、図7に示す判定用データが生成される。
【0062】
図7に示す判定用データでは、パレット21がストッパ40、42によって停止している間のデータが除外されている。一方、パレット21が異常箇所Pを通過したときのデータや、処理装置30付近のストッパ41で停止しているときのデータは除外されずに残されている。この判定用データを学習済みモデルに入力することにより、搬送路10の異常が検知される。また、判定用データにおけるパレット21が異常箇所Pを通過した時刻とストッパ41で停止した時刻とに基づいて、異常箇所Pの位置が算出される。
【0063】
なお、ステップS13で記憶した時刻に基づいて、搬送速度低下等の異常を検知することが可能である。例えば、図6の時刻t2と時刻t7を記憶することにより、ストッパ40からストッパ42までの搬送速度を算出し、搬送速度が正常範囲内にあるか否かを判定することができる。
【0064】
図8は、パレット21が搬送路11に入ったときに、搬送路11が複数のパレット20で混雑しており、パレット21が、ストッパ40で停止したパレット20の列の3番目になった場合の時系列データを示している。図8では、パレット21が搬送路11に入ってから、ストッパ41での停止が終了してパレット21の移動が再開されるまでの時系列データを示している。
【0065】
パレット21が搬送路11に入ると、ストッパ40が作動して2つのパレット20が停止しており、時刻t9にてパレット21が先頭から2番目のパレット20に接触する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の負の加速度が検出される。また、読取部71によって識別子61cが撮像され、ステップS13にて識別子61cの読み取り開始時刻である時刻t9が記憶される。
【0066】
ストッパ40が外れて先頭のパレット20から順に移動を再開し、時刻t10にてパレット21の移動が再開されると、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の正の加速度が検出される。また、読取部71による識別子61cの撮像が終了する。センサ部70は、識別子61cの読み取り終了時刻である時刻t10を記憶する。
【0067】
先頭のパレット20がストッパ40を通過すると、ストッパ40が作動して、2番目だったパレット20がストッパ40に接触して停止し、時刻t11にてパレット21がこのパレット20に接触する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の負の加速度が検出される。また、読取部71によって識別子61bが撮像され、ステップS13にて識別子61bの読み取り開始時刻である時刻t11が記憶される。
【0068】
ストッパ40が外れて先頭のパレット20が移動を再開し、時刻t12にてパレット21の移動が再開されると、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の正の加速度が検出される。また、読取部71による識別子61bの撮像が終了する。センサ部70は、識別子61bの読み取り終了時刻である時刻t12を記憶する。
【0069】
先頭のパレット20がストッパ40を通過すると、ストッパ40が作動して、時刻t13にてパレット21がストッパ40に接触する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の負の加速度が検出される。また、読取部71によって識別子61aが撮像され、ステップS13にて識別子61aの読み取り開始時刻である時刻t13が記憶される。
【0070】
ストッパ40が外れて、時刻t14にてパレット21の移動が再開されると、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の正の加速度が検出される。また、読取部71による識別子61aの撮像が終了する。センサ部70は、識別子61aの読み取り終了時刻である時刻t14を記憶する。
【0071】
パレット21は、移動を再開した後、定速移動し、時刻t15~t16にて異常箇所Pを通過する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向とZ方向の加速度が検出される。
【0072】
パレット21は、異常箇所Pを通過した後、処理装置30へ向かって定速移動する。パレット21が処理装置30付近に到達すると、ストッパ41が作動し、時刻t17にてパレット21がストッパ41に接触する。これにより、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の負の加速度が検出される。
【0073】
ストッパ41が外れて、時刻t18にてパレット21の移動が再開されると、ステップS11にて加速度センサ73によりX方向の正の加速度が検出される。パレット21は、移動を再開した後、定速移動して搬送路12に入る。
【0074】
その後は、図6の場合と同様に、パレット21が搬送路12に入ってストッパ42により停止してから、移動が再開されるまでのデータが取得される。
【0075】
このようにして図8の時系列データがステップS21で生成されると、ステップS22では、次のように判定用データが生成される。すなわち、センサ部70が記憶した識別子61cの読み取り開始時刻t9と終了時刻t10とに基づいて、時系列データの時刻t9~t10の部分が停止時データと識別され、時系列データから除外される。また、センサ部70が記憶した識別子61bの読み取り開始時刻t11と終了時刻t12とに基づいて、時系列データの時刻t11~t12の部分が停止時データと識別され、時系列データから除外される。また、センサ部70が記憶した識別子61aの読み取り開始時刻t13と終了時刻t14とに基づいて、時系列データの時刻t13~t14の部分が停止時データと識別され、時系列データから除外される。また、センサ部70が記憶した識別子61dの読み取り開始時刻と終了時刻とに基づいて、ストッパ42で停止している間の部分が停止時データと識別され、時系列データから除外される。これにより、図7に示す判定用データと同様のデータが生成される。
【0076】
すなわち、本実施形態では、パレット21の前方が空いている場合と、パレット21の前方が他のパレット20で混雑していて、ストッパ40等によるパレット21の停止時間が長くなった場合とで、判定用データの長さを揃えることができる。
【0077】
前述したように、搬送システムでは、処理装置30による処理を待つパレット20がストッパ40によって停止する。また、搬送路切り替えを待つパレット20がストッパ42によって停止する。また、図示しない搬送路においては、ワーク100の別のパレットへの載せ替えを待つパレット20が、図示しないストッパによって停止する。そして、これらの停止にかかる時間は、ストッパの列に並ぶパレット20の数によって、数百ミリ秒から数十秒あるいは数分と広い範囲で不規則に変化する。
【0078】
したがって、センサ部70の時系列データに停止時データが含まれたまま判定用データを生成すると、センサ部70を巡回させる度に判定用データの長さが変化する。このようなデータは、学習済みモデルの入力データとしては使いにくいため、異常判定が困難になる。
【0079】
これに対して、本実施形態のように停止時データを識別して時系列データから除外し、判定用データの長さを揃えて同一フォーマットとすることにより、使いやすい判定用データが得られる。したがって、データの比較や分析が容易になり、異常判定が容易になる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態では、センサ部70によって取得されたデータから停止時データを識別する。これにより、判定用データのデータ量のばらつきを低減することが可能になるため、搬送路10の異常判定が容易になる。
【0081】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0082】
(1)識別部81は、センサ部70によって取得された時系列データから停止時データを識別する。これによれば、時系列データから停止時データを除外して判定用データの時間長さを揃えることができる。
【0083】
(2)センサ部70は、パレット21の位置のデータを取得し、識別部81は、該データから停止時データを識別する。これによれば、位置データから停止時データを除外して異常判定を行うことができる。
【0084】
(3)センサ部70は、パレット21の加速度のデータを取得し、識別部81は、該データから停止時データを識別する。パレット21がストッパ40、42やストッパ40、42で停止しているパレット20に接触したときに検出される加速度は、搬送路10の異常とは無関係に発生するものであり、判定用データにおいてはノイズとなる。これに対して、加速度のデータから停止時データを識別し、除外することにより、上記のノイズを除去することができる。
【0085】
(4)パレット21の位置を識別するための識別子61を表示する表示部60を備え、センサ部70は、識別子61を読み取る読取部71を備え、識別部81は、読取部71が識別子61を読み取ることにより生成されたデータに基づいて停止時データを識別する。
【0086】
例えば、搬送システム内のすべてのストッパ信号とセンサ部70の信号を連動させることによって停止時データを識別する方法も考えられるが、この方法では、システムが複雑になり、製造コスト等が増加する。これに対して、本実施形態では、読取部71の取得データに基づいて停止時データを識別することができるため、システムが簡素になり、コストを低減することができる。
【0087】
(5)読取部71は、識別子61を撮像するカメラで構成されている。読取部71をカメラで構成することにより、加速度センサ73や角速度センサ74で区別できない停止と定速移動とを非接触で区別することができる。
【0088】
また、例えば超音波センサでストッパ40等との距離を計測することにより、パレット21の位置を検出し、停止と定速移動とを区別することが考えられる。しかしながら、超音波センサの送信信号が音響センサ75の受信信号と干渉するおそれがあるため、超音波センサと音響センサ75を併用することは困難である。これに対して、読取部71をカメラで構成することにより、読取部71と音響センサ75とを容易に併用することができる。
【0089】
また、例えば識別子61と読取部71の代わりにRF(Radio Frequency)タグと無線通信回路を設け、RFタグに格納された情報を、電波を用いて読み取ることにより、パレット21の位置を検出し、停止と定速移動とを区別することが考えられる。しかしながら、RFタグで用いられる電波は広い指向性を持つため、ストッパ40等で停止するパレット20が狭ピッチで並ぶ場合には、パレット21の詳細な位置の検出は困難である。これに対して、識別子61をQRコード等の2次元コードで構成し、読取部71をカメラで構成することにより、パレット21の詳細な位置を検出することができる。
【0090】
また、識別子61を構成するQRコード等の2次元コードと、読取部71を構成するカメラとの組み合わせは、スマートフォン等の通信機器で広く普及しており、汚れの付着等の取り扱いに関する留意点も作業者に知られているため、導入障壁が低い。また、識別子61を2次元コードで構成することにより、識別子61が印刷されたシールを壁等に貼り付けた後は特別なメンテナンスが不要となるため、搬送システムのメンテナンスにかかるコストが低減する。
【0091】
また、読取部71をカメラで構成した場合には、他のセンサと連動したデータ処理を行うことにより、読取部71の不調が発見されやすくなり、カメラモジュールの交換等の対応を早期に行うことができる。また、読取部71による撮像画像に対しパターンマッチングを行うことにより、ストッパ40等での設計上の停止位置と実際の停止位置とのずれ量を算出し、ストッパ40等の機能劣化を検出することができる。また、時系列データの分析に必要なパレット21の位置検出周期や、識別子61の寸法等に合わせて、撮像周期や画質を抑えることにより、データ量を低減することができる。
【0092】
(6)読取部71は、パレット21に設けられており、表示部60は、ストッパ40、42によって停止するパレット20の数および位置に対応して設けられている。想定されるパレット20の停滞数に合わせて表示部60を設けることにより、停止時データの識別精度を向上させることができる。
【0093】
(7)センサ部71は、表示部60の照度を計測する照度センサ72を備える。これによれば、照度センサ72の計測値を用いて、表示部60が読取部71によって識別子61が正しく読み取りできる状態にあるか否かの判定を行うことができる。
【0094】
(8)識別部81は、読取部71によって識別子61が読み取られている間のデータを停止時データとする。これによれば、停止時データを的確に識別することができる。
【0095】
(9)判定部82は、センサ部70によって取得されたデータから停止時データを除外することにより生成された判定用データに基づいて搬送路10の状態を判定する。これによれば、搬送路10の異常等の判定精度が向上する。
【0096】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して表示部60と読取部71の位置を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0097】
図9に示すように、本実施形態では表示部60が各パレット20に設けられている。識別子61には、表示部60が設けられたパレット20の情報が格納されている。
【0098】
また、本実施形態では読取部71が搬送路10付近に配置されている。読取部71は、1つの停止箇所に対して1つまたは複数設けられている。読取部71の数に制限はないが、予想されるパレット20の停滞個数分を用意することが望ましい。
【0099】
図9に示す例では、搬送路11において、ストッパ40の手前に3つの読取部71が配置されている。この3つの読取部71を、ストッパ40に近い順に読取部71a~71cとする。
【0100】
本実施形態のステップS12では、搬送システムに配置された複数の読取部71のうちのいずれかによって識別子61が読み取られたか否かを判定する。そして、ステップS13では、識別子61を読み取った読取部71の位置情報と、読み取られた識別子61の情報と、識別子61が読み取られた時刻とが取得される。
【0101】
例えば、図9に示すようにパレット21がストッパ40で停止している場合には、読取部71aがパレット21の識別子61を読み取ることにより、パレット21がストッパ40で停止しているパレット20の列の先頭に位置しているという情報が取得される。
【0102】
同様に、読取部71bがパレット21の識別子61を読み取った場合には、パレット21がストッパ40で停止しているパレット20の列の2番目に位置しているという情報が取得される。また、読取部71cがパレット21の識別子61を読み取った場合には、パレット21がストッパ40で停止しているパレット20の列の3番目に位置しているという情報が取得される。
【0103】
時系列データには、このようなパレット21の停止位置等に関する情報が含まれる。そして、ステップS22では、これらの情報に基づいて停止時データが識別され、時系列データから除外される。
【0104】
表示部60は、パレット21のみに設けてもよいし、パレット21に加えて、搬送路内の他のパレット20の一部またはすべてに設けてもよい。他のパレット20にも表示部60を設けることにより、他のパレット20の進捗を把握することができ、処理装置30の動作不良等によるパレット20の停止や、製品の途中抜取り、再投入などのイレギュラーな状況への対応が可能となる。また、パレット20の停滞時間を分析して、ボトルネック工程の改善や生産効率向上を図ることができる。このように、識別子61の読み取り結果を、搬送路10の異常判定だけでなく、製品のロット管理やトレースに使用することができる。
【0105】
本実施形態は、第1実施形態と同様の構成および作動からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0107】
(1)表示部60は、パレット21に設けられており、読取部71は、ストッパ40、42によって停止するパレット20の数および位置に対応して設けられている。このような構成では、パレット21に加えて、搬送路内の他のパレット20にも表示部60を設けることにより、他のパレット20の進捗等を把握することができる。
【0108】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。
【0109】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0110】
(本開示の特徴)
[第1の観点]
搬送システムであって、
搬送路(10、11、12、13)を移動する搬送体(20、21)と、
前記搬送体に関するデータを取得するセンサ部(70)と、
前記センサ部によって取得されたデータから、前記搬送体が停止したことにより生成された停止時データを識別する識別部(81)と、を備える搬送システム。
[第2の観点]
前記識別部は、前記センサ部によって取得された時系列データから停止時データを識別する第1の観点に記載の搬送システム。
[第3の観点]
前記センサ部は、前記搬送体の位置のデータを取得し、
前記識別部は、該データから停止時データを識別する第1または第2の観点に記載の搬送システム。
[第4の観点]
前記センサ部は、前記搬送体の加速度のデータを取得し、
前記識別部は、該データから停止時データを識別する第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載の搬送システム。
[第5の観点]
前記搬送体の位置を識別するための識別子(61)を表示する表示部(60)を備え、
前記センサ部は、前記識別子を読み取る読取部(71)を備え、
前記識別部は、前記読取部が前記識別子を読み取ることにより生成されたデータに基づいて前記停止時データを識別する第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の搬送システム。
[第6の観点]
前記読取部は、前記識別子を撮像するカメラで構成されている第5の観点に記載の搬送システム。
[第7の観点]
前記搬送路は、前記搬送体を停止させる停止部(40、42)を備え、
前記読取部は、前記搬送体に設けられており、
前記表示部は、前記停止部によって停止する前記搬送体の数および位置に対応して設けられている第5または第6の観点に記載の搬送システム。
[第8の観点]
前記搬送路は、前記搬送体を停止させる停止部(40、42)を備え、
前記表示部は、前記搬送体に設けられており、
前記読取部は、前記停止部によって停止する前記搬送体の数および位置に対応して設けられている第5または第6の観点に記載の搬送システム。
[第9の観点]
前記センサ部は、前記表示部の照度を検出する照度センサ(72)を備える第5ないし第8の観点のいずれか1つに記載の搬送システム。
[第10の観点]
前記識別部は、前記読取部によって前記識別子が読み取られている間のデータを前記停止時データとする第5ないし第9の観点のいずれか1つに記載の搬送システム。
[第11の観点]
前記センサ部によって取得されたデータから前記停止時データを除外することにより生成された判定用データに基づいて前記搬送路の状態を判定する判定部(82)を備える第1ないし第10の観点のいずれか1つに記載の搬送システム。
【符号の説明】
【0111】
10、11、12、13 搬送路
20、21 パレット
70 センサ部
81 識別部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9