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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090135
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/38 20060101AFI20240627BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20240627BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20240627BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20240627BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01G4/38 A
H01G4/30 201H
H01G4/224 100
H01G4/224
H01G4/30 513
H01G2/02 101E
H01G4/228 W
H01G4/228 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205820
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】福田 真貴
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF01
5E001AG01
5E082AA02
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC32
5E082CC05
5E082EE04
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG08
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082HH27
5E082HH48
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ13
5E082JJ23
(57)【要約】
【課題】接合材により複数の積層セラミック電子部品本体の外部電極どうしを接合し、かつそれらの全体を外装材で覆う場合において、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、接合材と外装材との間での剥離の発生を抑制することが可能な積層セラミック電子部品を提供すること。
【解決手段】積層セラミックコンデンサ1は、第1の外部電極40を有する第1の積層セラミックコンデンサ本体2と、第2の外部電極240を有する第2の積層セラミックコンデンサ本体200と、第1の外部電極40と第2の外部電極240とを接合する第1の接合材5Aと、第1外部電極40Aにそれぞれ接続される第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bと、各積層セラミックコンデンサ本体2,200と各金属端子100の一部とを覆う外装材3と、を備える。第1の接合材5Aは、外装材3と接合する。第1の接合材5Aの空隙率は、外装材3の空隙率よりも高い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の第1のセラミック層と、前記第1のセラミック層上に積層された複数の第1の内部導体層とを含み、前記第1のセラミック層と前記第1の内部導体層とが積層される第1の積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記第1の積層方向に直交する第1の幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、前記第1の積層方向および前記第1の幅方向に直交する第1の長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を含む第1の積層体と、複数の第1の外部電極と、を有する第1の積層セラミック電子部品本体と、
積層された複数の第2のセラミック層と、前記第2のセラミック層上に積層された複数の第2の内部導体層とを含み、前記第2のセラミック層と前記第2の内部導体層とが積層される第2の積層方向に相対する第3の主面および第4の主面と、前記第2の積層方向に直交する第2の幅方向に相対する第3の側面および第4の側面と、前記第2の積層方向および前記第2の幅方向に直交する第2の長さ方向に相対する第3の端面および第4の端面と、を含む第2の積層体と、複数の第2の外部電極と、を有する第2の積層セラミック電子部品本体と、
前記複数の第1の外部電極のうちのいずれか1つと、前記複数の第2の外部電極のうちのいずれか1つと、を接合する第1の接合材と、
前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極に接続される第1の金属端子と、
前記第1の金属端子が接続される外部電極とは異なる外部電極であって、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極に接続される第2の金属端子と、
前記第1の積層セラミック電子部品本体と、前記第2の積層セラミック電子部品本体と、前記第1の金属端子の一部と、前記第2の金属端子の一部と、を覆っている外装材と、を備え、
前記第1の接合材は、前記外装材と接合し、
前記第1の接合材の空隙率は、前記外装材の空隙率よりも高い、積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極と、前記第1の金属端子と、を接合する第2の接合材と、
前記第1の金属端子が接続される外部電極とは異なる外部電極であって、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極と、前記第2の金属端子と、を接合する第3の接合材と、
を備え、
前記第2の接合材および前記第3の接合材は、前記外装材と接合し、
前記第2の接合材の空隙率および前記第3の接合材の空隙率は、前記外装材の空隙率よりも高い、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極と、前記第1の金属端子と、を接合する第2の接合材と、
前記第1の金属端子が接続される外部電極とは異なる外部電極であって、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極と、前記第2の金属端子と、を接合する第3の接合材と、
を備え、
前記第1の接合材の空隙率は、前記第2の接合材の空隙率および前記第3の接合材の空隙率よりも高い、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記第1の接合材の空隙率は、20%以上50%以下である、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記第2の接合材の空隙率および前記第3の接合材の空隙率は、20%以上50%以下である、請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記外装材の空隙率は10%以下である、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外装材としての樹脂に覆われている積層セラミック電子部品が知られている。このような積層セラミック電子部品は、外装材の外部に引き出される金属端子と、積層セラミック電子部品本体の表面に配置される外部電極とが、外装材の内部において、接合材により接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-145767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された積層セラミック電子部品は、金属端子を介して、複数の積層セラミック電子部品本体が接続される。よって、接合材により複数の積層セラミック電子部品本体の外部電極どうしを接合し、かつそれらの全体を外装材で覆う場合に生じる課題については考慮されていない。
【0005】
本発明は、接合材により複数の積層セラミック電子部品本体の外部電極どうしを接合し、かつそれらの全体を外装材で覆う場合において、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、接合材と外装材との間での剥離の発生を抑制することが可能な積層セラミック電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
積層された複数の第1のセラミック層と、前記第1のセラミック層上に積層された複数の第1の内部導体層とを含み、前記第1のセラミック層と前記第1の内部導体層とが積層される第1の積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記第1の積層方向に直交する第1の幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、前記第1の積層方向および前記第1の幅方向に直交する第1の長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を含む第1の積層体と、複数の第1の外部電極と、を有する第1の積層セラミック電子部品本体と、積層された複数の第2のセラミック層と、前記第2のセラミック層上に積層された複数の第2の内部導体層とを含み、前記第2のセラミック層と前記第2の内部導体層とが積層される第2の積層方向に相対する第3の主面および第4の主面と、前記第2の積層方向に直交する第2の幅方向に相対する第3の側面および第4の側面と、前記第2の積層方向および前記第2の幅方向に直交する第2の長さ方向に相対する第3の端面および第4の端面と、を含む第2の積層体と、複数の第2の外部電極と、を有する第2の積層セラミック電子部品本体と、前記複数の第1の外部電極のうちのいずれか1つと、前記複数の第2の外部電極のうちのいずれか1つと、を接合する第1の接合材と、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極に接続される第1の金属端子と、前記第1の金属端子が接続される外部電極とは異なる外部電極であって、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極に接続される第2の金属端子と、前記第1の積層セラミック電子部品本体と、前記第2の積層セラミック電子部品本体と、前記第1の金属端子の一部と、前記第2の金属端子の一部と、を覆っている外装材と、を備え、前記第1の接合材は、前記外装材と接合し、前記第1の接合材の空隙率は、前記外装材の空隙率よりも高い、積層セラミック電子部品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接合材により複数の積層セラミック電子部品本体の外部電極どうしを接合し、かつそれらの全体を外装材で覆う場合において、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、接合材と外装材との間での剥離の発生を抑制することが可能な積層セラミック電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の積層セラミックコンデンサの外観斜視図である。
図2図1の積層セラミックコンデンサを矢印IIの方向から見たときの矢視図である。
図3図2の積層セラミックコンデンサを矢印IIIの方向から見たときの矢視図である。
図4図2の積層セラミックコンデンサを矢印IVの方向から見たときの矢視図である。
図5図1に対応する図であり、積層セラミックコンデンサの内部の構造を説明するための仮想的な斜視図。
図6図5の積層セラミックコンデンサのVI-VI線に沿った断面図である。
図7】外装材に覆われる前であって、金属端子が取り付けられる前の、第1の積層セラミックコンデンサ本体の外観を示す外観斜視図である。
図8図7の第1の積層セラミックコンデンサ本体のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図8の第1の積層セラミックコンデンサ本体のIX-IX線に沿った断面図である。
図10図8の第1の積層セラミックコンデンサ本体のX-X線に沿った断面図である。
図11】外装材に覆われる前であって、金属端子が取り付けられる前の、第2の積層セラミックコンデンサ本体の外観を示す外観斜視図である。
図12図11の第2の積層セラミックコンデンサ本体のXII-XII線に沿った断面図である。
図13】本実施形態の積層セラミックコンデンサが実装基板に実装された実装構造を示す外観斜視図である。
図14】第1の接合材の表面の拡大図であって、空隙率が20%の場合を示す図。
図15】第1の接合材の表面の拡大図であって、空隙率が50%の場合を示す図。
図16】本実施形態の積層セラミックコンデンサの第1の変形例を示す仮想的な斜視図である。
図17図16の積層セラミックコンデンサを矢印XIV方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図18図16の積層セラミックコンデンサを矢印XV方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図19図16の積層セラミックコンデンサを矢印XVI方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図20】本実施形態の積層セラミックコンデンサの第2の変形例を示す仮想的な斜視図である。
図21図20の積層セラミックコンデンサを矢印XVII方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図22図20の積層セラミックコンデンサを矢印XVIII方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図23図20の積層セラミックコンデンサを矢印XIX方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図24】本実施形態の積層セラミックコンデンサの第3の変形例を示す仮想的な斜視図である。
図25図24の積層セラミックコンデンサを矢印XX方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図26図24の積層セラミックコンデンサを矢印XXI方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図27図24の積層セラミックコンデンサを矢印XXII方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図28】本実施形態の積層セラミックコンデンサの第4の変形例を示す仮想的な斜視図である。
図29図28の積層セラミックコンデンサを矢印XXIII方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図30図28の積層セラミックコンデンサを矢印XXIV方向から見たときの仮想的な矢視図である。
図31図28の積層セラミックコンデンサを矢印XXV方向から見たときの仮想的な矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。図1は、積層セラミックコンデンサ1の外観斜視図である。図2図1の積層セラミックコンデンサ1を矢印IIの方向から見たときの矢視図である。図3図2の積層セラミックコンデンサ1を矢印IIIの方向から見たときの矢視図である。図4図2の積層セラミックコンデンサ1を矢印IVの方向から見たときの矢視図である。図5は、図1に対応する図であり、積層セラミックコンデンサ1の内部の構造を説明するための仮想的な斜視図である。図6は、図5の積層セラミックコンデンサ1のVI-VI線に沿った断面図である。
【0010】
積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサ1は、積層セラミック電子部品本体としての第1の積層セラミックコンデンサ本体2および第2の積層セラミックコンデンサ本体200と、金属端子100と、外装材3と、接合材5と、を有する。以下において、第1の積層セラミックコンデンサ本体2と第2の積層セラミックコンデンサ本体200とは、「各積層セラミックコンデンサ本体2,200」ということがある。積層セラミックコンデンサ本体2,200は、外装材3によって覆われているため、図1図4には図示されていない。図5および図6に、各積層セラミックコンデンサ本体2,200が示されている。
【0011】
図5図6に加えて、図7図10を用いて、第1の積層セラミックコンデンサ本体2について説明する。図7は、外装材3に覆われる前であって、金属端子100が取り付けられる前の、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の外観を示す外観斜視図である。図8は、図7の第1の積層セラミックコンデンサ本体2のVIII-VIII線に沿った断面図である。図9は、図8の第1の積層セラミックコンデンサ本体2のIX-IX線に沿った断面図である。図10は、図8の第1の積層セラミックコンデンサ本体2のX-X線に沿った断面図である。
【0012】
第1の積層セラミックコンデンサ本体2は、第1の積層体としてのコンデンサ積層体10と、第1の外部電極40と、を有する。
【0013】
図7図10には、XYZ直交座標系が示されている。図5および図7に示すように、第1の積層セラミックコンデンサ本体2およびコンデンサ積層体10の長さ方向L1は、X方向と対応している。第1の積層セラミックコンデンサ本体2およびコンデンサ積層体10の幅方向Wは、Y方向と対応している。第1の積層セラミックコンデンサ本体2およびコンデンサ積層体10の積層方向Tは、Z方向と対応している。ここで、図8に示す断面はLT断面とも称される。図9に示す断面はWT断面とも称される。図10に示す断面はLW断面とも称される。なお、図1図6図11図13においても、同様のXYZ直交座標系が示されている。
【0014】
図5図10に示すように、コンデンサ積層体10は、後述する内層部11が積層される積層方向T1に相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、積層方向T1に直交する幅方向W1に相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、積層方向T1および幅方向W1に直交する長さ方向L1に相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む。
【0015】
コンデンサ積層体10は、略直方体形状を有している。なお、コンデンサ積層体10の長さ方向L1の寸法は、幅方向W1の寸法よりも必ずしも長いとは限らない。コンデンサ積層体10の角部および稜線部には、丸みがつけられていることが好ましい。角部は、積層体の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体の2面が交わる部分である。なお、コンデンサ積層体10を構成する表面の一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
【0016】
コンデンサ積層体10の寸法は、特に限定されないが、コンデンサ積層体10の長さ方向L1の寸法は、0.2mm以上10mm以下であることが好ましい。また、コンデンサ積層体10の積層方向T1の寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、コンデンサ積層体10の幅方向W1の寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0017】
図8および図9に示すように、コンデンサ積層体10は、内層部11と、積層方向T1において内層部11を挟み込むように配置された第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13と、を有する。なお、内層部11は、有効層部ともいう。
【0018】
内層部11は、複数の第1のセラミック層としての複数の誘電体層20と、複数の第1の内部導体層としての複数の内部電極層30と、を含む。内層部11は、積層方向T1において、最も第1の主面TS1側に位置する内部電極層30から最も第2の主面TS2側に位置する内部電極層30までを含む。内層部11では、複数の内部電極層30が誘電体層20を介して対向して配置されている。内層部11は、静電容量を発生させ実質的にコンデンサとして機能する部分である。
【0019】
複数の誘電体層20は、誘電体材料により構成される。誘電体材料は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックであってもよい。また、誘電体材料は、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものであってもよい。
【0020】
誘電体層20の厚みは、0.5μm以上72μm以下であることが好ましい。積層される誘電体層20の枚数は、10枚以上700枚以下であることが好ましい。なお、この誘電体層20の枚数は、内層部11の誘電体層の枚数と第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13の誘電体層の枚数との総数である。
【0021】
複数の内部電極層30は、複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32を有する。複数の第1の内部電極層31は、複数の誘電体層20上に配置されている。複数の第2の内部電極層32は、複数の誘電体層20上に配置されている。複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32は、コンデンサ積層体10の積層方向T1に誘電体層20を介して交互に配置されている。第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、誘電体層20を挟むようにして配置されている。
【0022】
第1の内部電極層31は、第2の内部電極層32に対向する第1の対向部31Aと、第1の対向部31Aから第1の端面LS1に引き出される第1の引き出し部31Bとを有している。第1の引き出し部31Bは、第1の端面LS1に露出している。
【0023】
第2の内部電極層32は、第1の内部電極層31に対向する第2の対向部32Aと、第2の対向部32Aから第2の端面LS2に引き出される第2の引き出し部32Bとを有している。第2の引き出し部32Bは、第2の端面LS2に露出している。
【0024】
本実施形態では、第1の対向部31Aと第2の対向部32Aが誘電体層20を介して対向することにより容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。
【0025】
第1の対向部31Aおよび第2の対向部32Aの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。第1の引出き出し部31Bおよび第2の引き出し部32Bの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。
【0026】
第1の対向部31Aの幅方向W1の寸法と第1の引き出し部31Bの幅方向W1の寸法は、同じ寸法で形成されていてもよく、どちらか一方の寸法が小さく形成されていてもよい。第2の対向部32Aの幅方向W1の寸法と第2の引き出し部32Bの幅方向W1の寸法は、同じ寸法で形成されていてもよく、どちらか一方の寸法が狭く形成されていてもよい。
【0027】
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成される。合金を用いる場合、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えばAg-Pd合金等により構成されてもよい。
【0028】
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32のそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上3.0μm以下程度であることが好ましい。第1の内部電極層31および第2の内部電極層32の枚数は、合わせて5枚以上350枚以下であることが好ましい。
【0029】
第1の主面側外層部12は、コンデンサ積層体10の第1の主面TS1側に位置する。第1の主面側外層部12は、第1の主面TS1と最も第1の主面TS1に近い内部電極層30との間に位置する複数のセラミック層としての誘電体層20の集合体である。すなわち、第1の主面側外層部12は、第1の主面TS1と、複数の内部電極層30のうち最も第1の主面TS1側に位置する内部電極層30との間に位置する複数の誘電体層20から形成されている。第1の主面側外層部12で用いられる誘電体層20は、内層部11で用いられる誘電体層20と同じものであってもよい。
【0030】
第2の主面側外層部13は、コンデンサ積層体10の第2の主面TS2側に位置する。第2の主面側外層部13は、第2の主面TS2と最も第2の主面TS2に近い内部電極層30との間に位置する複数のセラミック層としての誘電体層20の集合体である。すなわち、第2の主面側外層部13は、第2の主面TS2と、複数の内部電極層30のうち最も第2の主面TS2側に位置する内部電極層30との間に位置する複数の誘電体層20から形成されている。第2の主面側外層部13で用いられる誘電体層20は、内層部11で用いられる誘電体層20と同じものであってもよい。
【0031】
以上のように、コンデンサ積層体10は、積層された複数の誘電体層20と、誘電体層20上に積層された複数の内部電極層30と、を有する。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層20と内部電極層30とが交互に積層されたコンデンサ積層体10を有する。
【0032】
なお、コンデンサ積層体10は、対向電極部11Eを有する。対向電極部11Eは、第1の内部電極層31の第1の対向部31Aと第2の内部電極層32の第2の対向部32Aが対向する部分である。対向電極部11Eは、内層部11の一部として構成されている。図8には、対向電極部11Eの長さ方向Lの範囲が示されている。図9には、対向電極部11Eの幅方向W1の範囲が示されている。図10には、対向電極部11Eの幅方向W1および長さ方向L1の範囲が示されている。なお、対向電極部11Eは、コンデンサ有効部ともいう。
【0033】
なお、コンデンサ積層体10は、側面側外層部を有する。側面側外層部は、第1の側面側外層部WG1と、第2の側面側外層部WG2を有する。第1の側面側外層部WG1は、対向電極部11Eと第1の側面WS1との間に位置する誘電体層20を含む部分である。第2の側面側外層部WG2は、対向電極部11Eと第2の側面WS2との間に位置する誘電体層20を含む部分である。図9および図10には、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2の幅方向W1の範囲が示されている。なお、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2は、Wギャップまたはサイドギャップともいう。
【0034】
なお、コンデンサ積層体10は、端面側外層部を有する。端面側外層部は、第1の端面側外層部LG1と、第2の端面側外層部LG2を有する。第1の端面側外層部LG1は、対向電極部11Eと第1の端面LS1との間に位置する誘電体層20および第1の引き出し部31Bを含む部分である。第2の端面側外層部LG2は、対向電極部11Eと第2の端面LS2との間に位置する誘電体層20および第2の引き出し部32Bを含む部分である。図8および図10には、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2の長さ方向Lの範囲が示されている。なお、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2は、Lギャップまたはエンドギャップともいう。
【0035】
第1の外部電極40は、第1の端面LS1側に配置された第1の外部電極40Aと、第2の端面LS2側に配置された第1の外部電極40Bと、を有する。
【0036】
第1の外部電極40Aは、少なくとも、第1の端面LS1上と、第1の主面TS1上の一部と、第2の主面TS2上の一部に配置される。本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第1の端面LS1上と、第1の主面TS1上の一部と、第2の主面TS2上の一部と、第1の側面WS1上の一部と、第2の側面WS2上の一部と、に配置されている。また、本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第1の端面LS1上において、第1の内部電極層31に接続されている。なお、第1の外部電極40Aは、例えば、第1の端面LS1から第1の主面TS1の一部まで延びて配置されていてもよい。言い換えれば、第1の外部電極40Aの断面形状がL字状(不図示)であってもよい。第1の外部電極40Aのうち、第1の主面TS1上に配置されている部分は、後述の第1の接合材5Aを介して、後述の第1の金属端子100Aと接続される。
【0037】
なお、第1の主面TS1、第2の主面TS2、第1の側面WS1、第2の側面WS2にも第1の外部電極40Aが設けられる場合には、これらの面に設けられる第1の外部電極40Aの長さ方向L1の長さは、コンデンサ積層体10の長さ方向L1の寸法の10%以上40%以下(例えば、20μm以上4000μm以下)であることが好ましい。
【0038】
また、第1の主面TS1、第2の主面TS2にも第1の外部電極40Aが設けられる場合には、これらの面に設けられる第1の外部電極40Aの幅方向W1の長さは、コンデンサ積層体10の幅方向W1の寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。また、第1の側面WS1、第2の側面WS2にも第1の外部電極40Aが設けられる場合には、これらの部分に設けられる第1の外部電極40Aの積層方向T1の長さは、コンデンサ積層体10の積層方向T1の寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。
【0039】
第1の外部電極40Bは、少なくとも、第2の端面LS2上と、第1の主面TS1上の一部と、第2の主面TS2上の一部と、に配置される。本実施形態においては、第1の外部電極40Bは、第2の端面LS2上と、第1の主面TS1上の一部と、第2の主面TS2上の一部と、第1の側面WS1上の一部と、第2の側面WS2上の一部と、に配置されている。また、本実施形態においては、第1の外部電極40Aは、第2の端面LS2上において、第2の内部電極層32に接続されている。なお、第1の外部電極40Bは、例えば、第2の端面LS2から第1の主面TS1の一部まで延びて配置されていてもよい。言い換えれば、第1の外部電極40Bの断面形状がL字状(不図示)であってもよい。
【0040】
なお、第1の主面TS1、第2の主面TS2、第1の側面WS1、第2の側面WS2にも第1の外部電極40Bが設けられる場合には、これらの面に設けられる第1の外部電極40Bの長さ方向L1の長さは、コンデンサ積層体10の長さ方向L1の寸法の10%以上40%以下(例えば、20μm以上4000μm以下)であることが好ましい。
【0041】
また、第1の主面TS1、第2の主面TS2にも第1の外部電極40Bが設けられる場合には、これらの面に設けられる第1の外部電極40Bの幅方向W1の長さは、コンデンサ積層体10の幅方向W1の寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。また、第1の側面WS1、第2の側面WS2にも第1の外部電極40Bが設けられる場合には、これらの部分に設けられる第1の外部電極40Bの積層方向T1の長さは、コンデンサ積層体10の積層方向T1の寸法と略等しい寸法(例えば、0.1mm以上10mm以下)であることが好ましい。
【0042】
なお、本実施形態においては、コンデンサ積層体10の表面のうち、外部電極40から露出している部分の長さ方向L1の長さは、積層体の長さ方向L1の寸法の20%以上80%以下(例えば、40μm以上8000μm以下)であることが好ましい。言い換えると、第1の外部電極40Aと、第1の外部電極40Bの離間距離は、積層体の長さ方向L1の寸法の20%以上80%以下(例えば、40μm以上8000μm以下)であることが好ましい。
【0043】
前述のとおり、コンデンサ積層体10内においては、第1の内部電極層31の第1の対向部31Aと第2の内部電極層32の第2の対向部32Aとが誘電体層20を介して対向することにより容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層31が接続された第1の外部電極40Aと第2の内部電極層32が接続された第1の外部電極40Bとの間でコンデンサの特性が発現する。
【0044】
第1の外部電極40Aは、第1の下地電極層50Aと、第1の下地電極層50A上に配置された第1のめっき層60Aと、を有する。
【0045】
第1の外部電極40Bは、第2の下地電極層50Bと、第2の下地電極層50B上に配置された第2のめっき層60Bと、を有する。
【0046】
第1の下地電極層50Aは、第1の端面LS1上に配置されている。第1の下地電極層50Aは、第1の内部電極層31に接続されている。本実施形態においては、第1の下地電極層50Aは、第1の端面LS1上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
【0047】
第2の下地電極層50Bは、第2の端面LS2上に配置されている。第2の下地電極層50Bは、第2の内部電極層32に接続されている。本実施形態においては、第2の下地電極層50Bは、第2の端面LS2上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
【0048】
本実施形態の第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層である。焼付け層は、金属成分と、ガラス成分もしくはセラミック成分のどちらか一方を含んでいるか、その両方を含んでいることが好ましい。金属成分は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。ガラス成分は、例えば、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。セラミック成分は、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いてもよいし、異なる種のセラミック材料を用いてもよい。セラミック成分は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、(Ba,Ca)TiO3、SrTiO3、CaZrO3等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0049】
焼き付け層は、例えば、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体に塗布して焼き付けたものである。焼き付け層は、内部電極層および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時焼成したものでもよく、内部電極層および誘電体層を有する積層チップを焼成して積層体を得た後に積層体に導電性ペーストを塗布して焼き付けたものでもよい。なお、内部電極層および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりにセラミック材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。この場合、添加するセラミック材料として、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いることが特に好ましい。焼き付け層は、複数層であってもよい。
【0050】
第1の端面LS1に位置する第1の下地電極層50Aの長さ方向の厚みは、第1の下地電極層50Aの積層方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、10μm以上200μm以下程度であることが好ましい。
【0051】
第2の端面LS2に位置する第2の下地電極層50Bの長さ方向の厚みは、第2の下地電極層50Bの積層方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、10μm以上200μm以下程度であることが好ましい。
【0052】
第1の主面TS1または第2の主面TS2の少なくも一方の面の一部にも第1の下地電極層50Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの積層方向T1の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの長さ方向L1および幅方向W1の中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
【0053】
第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくも一方の面の一部にも第1の下地電極層50Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの幅方向W1の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの長さ方向L1および積層方向T1の中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
【0054】
第1の主面TS1または第2の主面TS2の少なくも一方の面の一部にも第2の下地電極層50Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの積層方向T1の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの長さ方向L1および幅方向W1の中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
【0055】
第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくも一方の面の一部にも第2の下地電極層50Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの幅方向W1の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの長さ方向L1および積層方向T1の中央部において、例えば、5μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
【0056】
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層に限らず、薄膜層であってもよい。薄膜層は、スパッタリング法または蒸着法等の薄膜形成法により形成された、金属粒子が堆積された層である。薄膜層は、例えば、Mg、Al、Ti、W、Cr、Cu、Ni、Ag、Co、MoおよびVからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。これにより、コンデンサ積層体10に対する外部電極40の固着力を高めることができる。薄膜層は、単層であってもよいし、複数層によって形成されていてもよい。例えば、NiCrの層と、NiCuの層の2層構造によって形成されていてもよい。
【0057】
下地電極としての薄膜層を、スパッタリング法によるスパッタ電極により形成する場合、このスパッタ電極は、コンデンサ積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部に形成されることが好ましい。スパッタ電極は、例えば、Ni、Cr、Cu等から選ばれる少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。スパッタ電極の厚みは50nm以上400nm以下であることが好ましく、50nm以上130nm以下であることがさらに好ましい。
【0058】
下地電極層として、コンデンサ積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にスパッタ電極を形成し、その一方、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には焼き付け層を形成してもよい。あるいは、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には下地電極層を形成せずに、後述するめっき層をコンデンサ積層体10に直接形成してもよい。なお、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上に焼き付け層を形成する場合、焼き付け層は、第1の端面LS1および第2の端面LS2だけでなく、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にも延びて配置されていてもよい。この場合、スパッタ電極は、焼き付け層上にオーバーラップするように配置されてもよい。
【0059】
第1のめっき層60Aは、第1の下地電極層50Aを覆うように配置されている。
【0060】
第2のめっき層60Bは、第2の下地電極層50Bを覆うように配置されている。
【0061】
第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、例えば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、それぞれ複数層により形成されていてもよい。第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、Niめっき層の上にSnめっき層が形成された2層構造が好ましい。
【0062】
第1のめっき層60Aは、第1の下地電極層50Aを覆うように配置されている。本実施形態においては、第1のめっき層60Aは、第1のNiめっき層61Aと、第1のNiめっき層61A上に位置する第1のSnめっき層62Aと、を有する。
【0063】
第2のめっき層60Bは、第2の下地電極層50Bを覆うように配置されている。本実施形態においては、第2のめっき層60Bは、第2のNiめっき層61Bと、第2のNiめっき層61B上に位置する第2のSnめっき層62Bと、を有する。
【0064】
Niめっき層は、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bが、積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100とを接合する後述の接合材5としてのはんだによって侵食されることを防止する。また、Snめっき層は、第1の積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100とを接合する後述の接合材5としてのはんだのぬれ性を向上させる。これにより、第1の積層セラミックコンデンサ本体2と金属端子100の接合を容易にする。第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60BのそれぞれをNiめっき層とSnめっき層との2層構造とする場合、Niめっき層とSnめっき層それぞれの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0065】
なお、本実施形態の第1の外部電極40Aおよび第1の外部電極40Bは、例えば導電性粒子と熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層を有していてもよい。下地電極層(第1の下地電極層50A、第2の下地電極層50B)として導電性樹脂層を設ける場合、導電性樹脂層は、焼き付け層を覆うように配置されてもよいし、焼き付け層を設けずにコンデンサ積層体10上に直接配置されてもよい。導電性樹脂層が焼き付け層を覆うように配置される場合、導電性樹脂層は、焼き付け層とめっき層(第1のめっき層60A、第2のめっき層60B)との間に配置される。導電性樹脂層は、焼き付け層上を完全に覆っていてもよいし、焼き付け層の一部を覆っていてもよい。
【0066】
熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層は、例えばめっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサ1に物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層は、緩衝層として機能する。よって、導電性樹脂層は、積層セラミックコンデンサ1のクラック発生を抑制する。
【0067】
導電性粒子を構成する金属は、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたは、それらを含む合金であってもよい。導電性粒子は、好ましくはAgを含む。導電性粒子は、例えばAgの金属粉である。Agは、金属の中でもっとも比抵抗が低いため、電極材料に適している。また、Agは貴金属であるため、酸化しにくく、対候性が高い。よって、Agの金属粉は、導電性粒子として好適である。
【0068】
また、導電性粒子は、金属粉の表面にAgコーティングされた金属粉であってもよい。金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用する際には、金属粉は、Cu、Ni、Sn、Biまたはそれらの合金粉であることが好ましい。Agの特性は保ちつつ、母材の金属を安価なものにするために、Agコーティングされた金属粉を用いることが好ましい。
【0069】
さらに、導電性粒子は、Cu、Niに酸化防止処理を施したものであってもよい。また、導電性粒子は、金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングした金属粉であってもよい。金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングされたものを使用する際には、金属粉は、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたはそれらの合金粉であることが好ましい。
【0070】
導電性粒子の形状は、特に限定されない。導電性粒子は、球形状、扁平状などのものを用いることができるが、球形状金属粉と扁平状金属粉とを混合して用いることが好ましい。
【0071】
導電性樹脂層に含まれる導電性粒子は、主に導電性樹脂層の通電性を確保する役割を担う。具体的には、複数の導電性粒子どうしが接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
【0072】
導電性樹脂層を構成する樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の種々の熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。その中でも、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れたエポキシ樹脂は、最も適切な樹脂のひとつである。また、導電性樹脂層の樹脂は、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤は、フェノール系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、活性エステル系、アミドイミド系など公知の種々の化合物であってもよい。
【0073】
なお、導電性樹脂層は、複数層で形成されていてもよい。導電性樹脂層の最も厚い部分の厚みは、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0074】
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bを設けずに、コンデンサ積層体10上に後述の第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bが直接配置される構成であってもよい。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、第1の内部電極層31と、第2の内部電極層32とに、直接電気的に接続されるめっき層を含む構成であってもよい。このような場合、前処理としてコンデンサ積層体10の表面に触媒を配設した後で、めっき層が形成されてもよい。
【0075】
この場合においても、めっき層は、複数層であることが好ましい。下層めっき層および上層めっき層はそれぞれ、例えば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、BiまたはZnなどから選ばれる少なくとも1種の金属またはこれらの金属を含む合金を含むことが好ましい。下層めっき層は、はんだバリア性能を有するNiを用いて形成されることがより好ましい。上層めっき層は、はんだ濡れ性が良好なSnまたはAuを用いて形成されることがより好ましい。なお、例えば、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32がNiを用いて形成される場合は、下層めっき層は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。なお、上層めっき層は必要に応じて形成されればよく、外部電極40は、下層めっき層のみで構成されてもよい。また、めっき層は、上層めっき層を最外層としてもよいし、上層めっき層の表面にさらに他のめっき層を形成してもよい。
【0076】
下地電極層を設けずに配置するめっき層の1層あたりの厚みは、2μm以上10μm以下であることが好ましい。なお、めっき層は、ガラスを含まないことが好ましい。めっき層の単位体積あたりの金属割合は、99体積%以上であることが好ましい。
【0077】
なお、めっき層をコンデンサ積層体10上に直接形成する場合は、下地電極層の厚みを削減することができる。よって、下地電極層の厚みを削減した分、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の積層方向T1の寸法を低減させて、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の低背化を図ることができる。あるいは、下地電極層の厚みを削減した分、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32の間に挟まれる誘電体層20の厚みを厚くし、素体厚みの向上を図ることができる。このように、めっき層をコンデンサ積層体10上に直接形成することで、積層セラミックコンデンサの設計自由度を向上させることができる。
【0078】
なお、コンデンサ積層体10と外部電極40を含む第1の積層セラミックコンデンサ本体2の長さ方向L1の寸法は、0.2mm以上10mm以下であることが好ましい。また、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の積層方向T1の寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の幅方向W1の寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
【0079】
次に、図5および図6に加えて、図11および図12を用いて、第2の積層セラミックコンデンサ本体200について説明する。図11は、外装材3に覆われる前であって、金属端子100が取り付けられる前の、第2の積層セラミックコンデンサ本体200の外観を示す外観斜視図である。図12は、図11の第2の積層セラミックコンデンサ本体200のXII-XII線に沿ったLT断面を示す断面図である。なお、第2の積層セラミックコンデンサ本体200の構造は、第1の積層セラミックコンデンサ本体2と同様である。このため、第2の積層セラミックコンデンサ本体200の構造について、詳しい説明は省略する。また、第2の積層セラミックコンデンサ本体200の各種寸法は、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の各種寸法と同様である。
【0080】
第2の積層セラミックコンデンサ本体200は、第2の積層体としてのコンデンサ積層体210と、第2の外部電極240と、を有する。
【0081】
コンデンサ積層体210は、後述する内層部211が積層される積層方向T2に相対する第3の主面TS3および第4の主面TS4と、積層方向T2に直交する幅方向W2に相対する第3の側面WS3および第4の側面WS4と、積層方向T2および幅方向W2に直交する長さ方向L3に相対する第3の端面LS3および第4の端面LS4と、を含む。
【0082】
コンデンサ積層体210は、内層部211と、積層方向T2において内層部211を挟み込むように配置された第3の主面側外層部212および第4の主面側外層部213と、を有する。内層部211は、複数の第2のセラミック層としての複数の誘電体層220と、複数の第2の内部導電層としての複数の内部電極層230と、を含む。複数の内部電極層230は、複数の第3の内部電極層231および複数の第4の内部電極層232を有する。第3の内部電極層231は、第4の内部電極層232に対向する第3の対向部231Aと、第3の対向部231Aから第1の端面LS1に引き出される第3の引き出し部231Bと、を有する。第4の内部電極層232は、第3の内部電極層231に対向する第4の対向部232Aと、第4の対向部232Aから第2の端面LS2に引き出される第4の引き出し部232Bとを有する。
【0083】
第2の外部電極240は、第3の端面LS3側に配置された第2の外部電極240Aと、第4の端面LS4側に配置された第2の外部電極240Bと、を有する。
【0084】
なお、各積層セラミックコンデンサ本体2,200の構造は、互いに異なっていてもよい。各積層セラミックコンデンサ本体2,200の寸法は、互いに異なっていてもよい。第4の端面LS4側に配置された第2の外部電極240Bと、を有する。
【0085】
各積層セラミックコンデンサ本体2,200は、2連構造の積層セラミックコンデンサ本体であったが、積層セラミックコンデンサ本体は、内部電極層として各端面TSのいずれにも引き出されない浮き内部電極層を有するものであってもよく、3連構造の積層セラミックコンデンサ本体や4連以上の多連構造の積層セラミックコンデンサ本体であってもよい。
【0086】
積層セラミック電子部品は、積層セラミックコンデンサに限定されるものではない。例えば、積層セラミック電子部品は、積層PCTサーミスタであってもよい。また、第1の積層セラミック電子部品本体は、互いに異なるものであってもよく、例えば、第1の積層セラミック電子部品本体を積層セラミックコンデンサ本体とし、第2の積層セラミックコンデンサ本体を積層PCTサーミスタ本体とすることも可能である。
【0087】
図5および図6に示すように、第2の積層セラミックコンデンサ本体200は、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の第2の主面TS2側に配置されている。各積層セラミックコンデンサ本体2,200は、積層方向T1と積層方向T2とが同一の方向となり、幅方向W1と幅方向W2とが同一の方向となり、且つ長さ方向T1と長さ方向T2とが同一の方向となる向きで配置されている。この場合、積層方向T2とZ方向とが同一の方向となり、幅方向W2とY方向とが同一の方向となり、長さ方向L2とX方向とが同一の方向となる。
【0088】
第1の外部電極40Aの第2の主面TS2上の部分と、第2の外部電極240Aの第3の主面TS3上の部分とは、外装材3および後述する第1の接合材5Aのうち少なくとも一方を介して対向している。外部電極40Bの第2の主面TS2上の部分と、第2の外部電極240Bの第3の主面TS3上の部分とは、外装材3および後述する第1の接合材5Aのうち少なくとも一方を介して対向している。
【0089】
図1図6を用いて、金属端子100について説明する。
【0090】
金属端子100は、第1の金属端子100Aと、第2の金属端子100Bと、を有する。
【0091】
第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、積層セラミックコンデンサ1が実装されるべき後述の実装基板(図13の実装基板810を参照)の実装面に実装される金属端子である。第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、例えば板状のリードフレームである。なお、本実施形態においては、コンデンサ積層体10の第1の主面TS1は、積層セラミックコンデンサ1が実装されるべき実装基板の実装面と対向する面である。
【0092】
第1の金属端子100Aは、第1の主面TS1と対向し、第1の外部電極40Aに接続される第1の接合部110Aと、第1の接合部110Aに接続され、実装基板の実装面から遠ざかるように延び、第1の端面LS1と対向する第1の立ち上がり部120Aと、第1の立ち上がり部120Aに接続され、第1の積層セラミックコンデンサ本体2から遠ざかるように長さ方向Lに延びる第1の延長部130Aと、第1の延長部130Aに接続され、実装基板の実装面側に向かって延びる第1の立ち下がり部140Aと、第1の立ち下がり部140Aに接続され、実装基板の実装面に沿う方向に延びる第1の実装部150Aと、を有する。図6に示すように、第1の立ち上がり部120Aと、第1の外部電極40Aとの間には、隙間部Gが存在している。
【0093】
第2の金属端子100Bは、第1の主面TS1と対向し、第1の外部電極40Bに接続される第2の接合部110Bと、第2の接合部110Bに接続され、実装基板の実装面から遠ざかるように延び、第4の端面LS4と対向する第2の立ち上がり部120Bと、第2の立ち上がり部120Bに接続され、第2の積層セラミックコンデンサ本体200から遠ざかるように長さ方向Lに延びる第2の延長部130Bと、第2の延長部130Bに接続され、実装基板の実装面側に向かって延びる第2の立ち下がり部140Bと、第2の立ち下がり部140Bに接続され、実装基板の実装面に沿う方向に延びる第2の実装部150Bと、を有する。図6に示すように、第2の立ち上がり部120Bと、第1の外部電極40Bとの間には、隙間部Gが存在している。
【0094】
なお、第1の立ち下がり部140Aおよび第2の立ち下がり部140Bは、積層セラミックコンデンサ1の外装材3と実装基板810の実装面との間に隙間を設けることが可能な程度に、実装基板810の実装面に向かって延びていることが好ましい。
【0095】
なお、このような第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bを採用することにより、実装基板810と、各積層セラミックコンデンサ本体2,200との距離を長くすることができ、実装基板810からの応力を緩和する効果が得られる。また、実装基板810側に設けられる外装材3の厚みを厚くすることができ、絶縁性を確保することができる。なお、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bの構成は、これに限らない。
【0096】
なお、第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aと、第2の金属端子100Bの第2の接合部110Bとは、外装材3内において、略同一平面に配置されていることが好ましい。
【0097】
第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、端子本体と、端子本体の表面に配置されるめっき膜を有する。
【0098】
端子本体は、Ni、Fe、Cu、Ag、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。例えば、端子本体の母材の金属を、Fe-42Ni合金やFe-18Cr合金やCu-8Sn合金とすることができる。また、放熱性の観点からは、端子本体の母材の金属を、熱伝導率の高い無酸素銅やCu系合金とすることができる。このように、端子本体の材料を熱伝導の良い銅系にすることで、低ESR化や低熱抵抗化を実現することができる。また、本実施形態においては、端子本体の母材の金属を、はんだのぬれ性が低いステンレスやアルミとすることもできる。少なくとも、端子本体の母材の金属の表面は、最外表面のめっき膜よりも、はんだのぬれ性が低い表面となっている。端子本体の厚みは、0.05mm以上0.5mm以下程度であることが好ましい。
【0099】
めっき膜は、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜と、上層めっき膜よりも下層に配置された下層めっき膜を有していることが好ましい。例えば、めっき膜は、下層めっき膜の上に上層めっき膜が形成された2層構造であってもよい。下層めっき膜は、Ni、Fe、Cu、Ag、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。さらに好ましくは、下層めっき膜は、Ni、Fe、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなる。下層めっき膜を、高融点のNi、Fe、Crまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金により形成することにより、金属端子100の耐熱性を向上させることができる。下層めっき膜の厚みは0.2μm以上5.0μm以下程度であることが好ましい。
【0100】
上層めっき膜は、Sn、Ag、Auまたはこれらの金属のうちの一種以上の金属を主成分として含む合金からなることが好ましい。さらに好ましくは、上層めっき膜は、SnまたはSnを主成分として含む合金からなる。上層めっき膜をSnまたはSnを主成分として含む合金により形成することにより、第1の外部電極40と、金属端子100とのはんだ付け性を向上させることができる。上層めっき膜の厚みは、1.0μm以上5.0μm以下程度であることが好ましい。
【0101】
なお、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜は、端子本体の母材の金属の表面よりも、はんだのぬれ性が高い表面となっている。また、めっき膜の最外表面に配置された上層めっき膜は、下層めっき膜の表面よりもはんだのぬれ性が高い表面となっている。例えば、下層めっき膜は、Niめっき膜であることが好ましい。上層めっき膜は、Snめっき膜であることが好ましい。
【0102】
なお、第1の金属端子100Aと第2の金属端子100Bとは、表面の一部において、めっき膜の最外表面のめっき膜よりも内側の材料が表面に露出している露出面を有していてもよい。表面の一部に露出面を設けることにより、その部分にはんだがのりにくくなるため、はんだスプラッシュ等の問題が生じることを抑制することができる。
【0103】
ここで、露出面は、下層めっき膜が露出する表面であってもよい。下層めっき膜は、上層めっき膜よりもはんだのぬれ性が低い。また、露出面は、端子本体の母材が露出する表面であってもよい。端子本体の母材表面は、上層めっき膜よりもはんだのぬれ性が低い。
【0104】
なお、露出面は、端子本体にめっき膜を形成後、除去加工を行うことにより形成されてもよい。除去加工は、例えば、研削や研磨等による機械的な除去加工、レーザートリミングによる除去加工、水酸化ナトリウム等のめっき剥離剤による除去加工等の各種の除去加工であってもよい。また、めっき膜を形成する前に、露出面としたい部分をレジストで覆ってもよい。この場合は、めっき膜の形成後、レジストを除去することにより、露出面が形成される。
【0105】
図6を用いて、接合材5について説明する。
【0106】
図6に示すように、接合材5は、第1の接合材5Aと、第2の接合材5Bと、第3の接合材5Cと、を有する。
【0107】
第1の接合材5Aは、各積層セラミックコンデンサ本体2,200同士を接合する。第1の外部電極40Aと第2の外部電極240Aとは、第1の接合材5Aを介して接合されている。第1の外部電極40Bと第2の外部電極240Bとは、第1の接合材Aを介して接合されている。これにより、積層方向T1,T2に並ぶ各積層セラミックコンデンサ本体2,200により形成された積層セラミックコンデンサ本体の集合体(以下において、「コンデンサ集合体G」という)が形成されている。
【0108】
第2の接合材5Bは、第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aとを接合する。第1の外部電極40Aと第1の接合部110Aとは、第2の接合材5Bを介して接合されている。
【0109】
第3の接合材5Cは、第1の外部電極40Bと第2の金属端子100Bとを接合する。第1の外部電極40Bと第2の接合部110Bとは、第3の接合材5Cを介して接合されている。
【0110】
接合材5は、後述する外装材3とそれぞれ接合している。
【0111】
図14および図15に示すように、接合材5は、それぞれ空隙を有する。これにより、接合材5の表面に凹凸が形成されるため、接合材5と外装材3との密着性を向上させることができる。また、接合材5A好適に各コンデンサ積層体10,210に対する応力を緩和することができる。なお、図14は、空隙率が20%の第1の接合材5Aの表面を示す図であり、図15は、空隙率が50%の第1の接合材5Aの表面を示す図である。
【0112】
第1の接合材5Aは、遷移的液相焼結法(TLPS)による接合に用いられるTLPS材料であることが好ましい。これにより、第1の積層セラミックコンデンサ本体2に金属端子100を接合する際の熱の影響や積層セラミックコンデンサ1を実装基板810に実装する際の熱の影響により第1の接合材5Aが劣化する可能性を低減することができる。
【0113】
TLPS材料は、高融点材料と低融点材料とを含む。高融点材料は、例えば、銅、銀、アルミニウム、金、プラチナ、パラジウム、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデンよりなる群から選ばれる少なくとも1の金属を含む。低融点材料は、例えば、錫、アンチモン、ビスマス、カドミウム、亜鉛、ガリウム、インジウム、テルリウム、水銀、タリウム、セレニウム、ポロニウムよりなる群から選択される少なくとも1の金属を含む。
【0114】
なお、第1の接合材5Aは、はんだや導電性接着剤であってもよい。第1の接合材5Aをはんだとする場合には、高融点はんだであることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ1の実装時の熱等で第1の接合材5Aが再溶融する可能性を低減することができる。
【0115】
第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cは、第1の接合材5Aと同じ材料とすることが可能である。例えば、第1の接合材5AをTLPS材料とするとともに、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5CをTLPS材料とすることが可能である。この場合、積層セラミックコンデンサ1を実装基板810に実装する際の熱の影響で第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cが劣化する可能性を低減することができる。また、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの空隙率を高めに調整しやすくできる。
【0116】
第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cは、はんだであってもよい。この場合、接合強度を確保しつつ、製造コストを下げることができる。また、前工程で接合された第1の接合材5Aが劣化する可能性を低減することができる。
【0117】
第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cは、導電性接着剤であってもよい。また、第1の接合材5Aと、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cとは、それぞれ異なる材料のものであってもよい。また、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cをはんだとした場合、第1の接合材5Aの空隙率を第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの空隙率よりも高くする場合に、その調整が容易となる。
【0118】
図1図6を用いて、外装材3について説明する。
【0119】
外装材3は、積層方向T1(積層方向T2)に相対する第1の主面MTS1および第2の主面MTS2と、幅方向W1(幅方向W2)に相対する第1の側面MWS1および第2の側面MWS2と、長さ方向L1(長さ方向L2)に相対する第1の端面MLS1および第2の端面MLS2と、を含む。外装材3の第1の端面MLS1は、外装材3の表面における、コンデンサ積層体10の第1の端面LS1およびコンデンサ積層体210の第3の端面LS3側の表面である。外装材3の第2の端面MLS2は、外装材3の表面における、コンデンサ積層体10の第2の端面LS2およびコンデンサ積層体210の第4の端面LS4側の表面である。
【0120】
外装材3は、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の全体と、第2の積層セラミックコンデンサ本体200の全体と、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部と、接合材5の全体と、を覆うように配置されている。
【0121】
例えば、外装材3は、第1の金属端子100Aのうち、第1の接合部110Aの全体と、第1の立ち上がり部120Aの全体と、第1の延長部130Aの少なくとも一部と、を覆うように配置されている。外装材3は、第2の金属端子100Bのうち、第2の接合部110Bの全体と、第2の立ち上がり部120Bの全体と、第2の延長部130Bの少なくとも一部と、を覆うように配置されている。
【0122】
なお、本実施形態においては、第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aは、外装材3の第1の端面MLS1から突出して一部が露出している。第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bは、外装材3の第2の端面MLS2から突出して一部が露出している。より具体的には、第1の金属端子100Aの第1の延長部130Aは、外装材3の第1の端面MLS1の積層方向Tに見た略中央部から突出して一部が露出している。第2の金属端子100Bの第2の延長部130Bは、外装材3の第2の端面MLS2の積層方向Tに見た略中央部から突出して一部が露出している。
【0123】
外装材3の第2の主面MTS2は所定の平坦度を有する平面状に構成されていることが好ましい。これにより、実装基板に積層セラミックコンデンサ1を搭載する際に用いる実装機のマウンターの吸着不良を防止することができる。よって、確実に実装基板に積層セラミックコンデンサ1を搭載することが可能となる。その結果、実装不良の発生を抑制することが可能となる。
【0124】
外装材3の第2の主面MTS2から第2の積層セラミックコンデンサ本体200の表面までの最小距離は、100μm以上4000μm以下であることが好ましい。外装材3の第1の主面MTS1から第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aまでの最小距離は、100μm以上4000μm以下であることが好ましい。
【0125】
外装材3の第1の側面MWS1から各積層セラミックコンデンサ本体2,200の表面までの最小距離は、それぞれ100μm以上4000μm以下であることが好ましい。外装材3の第2の側面MWS2から各積層セラミックコンデンサ本体2,200の表面までの最小距離は、それぞれ100μm以上4000μm以下であることが好ましい。
【0126】
外装材3の第1の端面MLS1から各積層セラミックコンデンサ本体2,200の表面までの最小距離は、それぞれ300μm以上5000μm以下であることが好ましい。外装材3の第2の端面MLS2から各積層セラミックコンデンサ本体2,200の表面までの最小距離は、それぞれ300μm以上5000μm以下であることが好ましい。
【0127】
外装材3の第1の端面MLS1の第1の主面側の表面MLS1Aから第1の金属端子100Aの第1の立ち上がり部120Aまでの長さ方向L1(長さ方向L2)の平均距離は、200μm以上4900μm以下であることが好ましい。外装材3の第2の端面MLS2の第1の主面側の表面MLS2Aから第2の金属端子100Bの第2の立ち上がり部120Bまでの長さ方向L1(長さ方向L2)の平均距離は、200μm以上4900μm以下であることが好ましい。
【0128】
外装材3は、樹脂により形成されることが好ましい。例えば、トランスファーモールド法やインジェクションモールド法等によってエンジニアリングプラスチックがモールドされることにより、外装材3が形成されてもよい。特に、外装材3の材料は、熱硬化型エポキシ樹脂からなることが好ましい。これにより、外装材3と、第1の積層セラミックコンデンサ本体2および金属端子100との密着性を確保し、耐電圧および耐湿性能の向上効果を得ることができる。外装材3は、例えば、液状や粉状のシリコーン系やエポキシ系などの樹脂が塗装されることにより形成されてもよい。
【0129】
このように、外装材3が、第1の外部電極40、第2の外部電極240および金属端子100といった導体金属部分を広い範囲で覆うことにより、導体間の絶縁表面距離(沿面距離)を確保することができる。また、外装材3によって導体金属部分を広い範囲で覆うことにより、表面放電リスクを回避することができる。
【0130】
外装材3は、空隙を有する。外装材3の空隙率は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがより好ましい。これにより、外部からの蒸気の浸透を抑制することができる。
【0131】
なお、外装材3の形状は特に限定されない。例えば、角錐台等の切頭錐体であってもよい。なお、外装材3の角部の形状は、特に限定されることなく、丸められていてもよい。
【0132】
ここで、接合材5の空隙率と外装材3の空隙率との関係等について説明する。
【0133】
第1の接合材5Aの空隙率は、外装材3の空隙率よりも高くなっている。これにより、第1の接合材5Aの表面の凹凸に外装材3を十分に食い込ませて、第1の接合材5Aと外装材3との密着性を向上させることができる。これにより、外装材により外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、第1の接合材5Aと外装材3との間での剥離の発生を抑制することができる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力を吸収することができる。
【0134】
第1の接合材5Aの空隙率は、20%以上50%以下であることが好ましい。これにより、より適切に、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、第1の接合材5Aと外装材3との間での剥離の発生を抑制することができる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力を好適に吸収することができる。
【0135】
第1の接合材5Aの空隙率が20%未満の場合であっても、第1の接合材5Aの空隙率に対して外装材3の空隙率を相対的に低くすることにより、第1の接合材5Aと外装材3との密着性を向上させることができる。
【0136】
第1の接合材5Aの空隙率が50%より大きい場合には、第1の接合材5Aの表面の凹凸が大きくなるため、第1の接合材5Aと外装材3との間での剥離の発生を抑制するという効果に対しては有利となる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力をより好適に吸収するという効果に対しても有利となる。ただし、第1の接合材5Aが緻密でなくなることにより、第1の接合材5A自体の強度が低下してしまうおそれがある。しかし、外装材3により、第1の接合材5Aが破損する可能性を低減することができる。
【0137】
第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの空隙率は、外装材3の空隙率よりも高くしてもよい。第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの空隙率に対して外装材3の空隙率を相対的に低くすることにより、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの表面の凹凸に外装材3を十分に食い込ませることができるため、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cと外装材3との密着性を向上させることができる。これにより、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cと外装材3との間での剥離の発生を抑制することができる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力を吸収することができる。
【0138】
第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの空隙率は、それぞれ、20%以上50%以下であってもよい。第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの空隙率は、第1の接合材5Aの空隙率と同じであってもよい。第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの材料と第1の接合材5Aの材料とは、同じであってもよい。
【0139】
なお、第1の接合材5Aの空隙率は、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cよりも高くてもよい。例えば、第1の接合材5Aの空隙率を20%以上50%以下とするとともに、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの空隙率をそれぞれ20%未満としてもよい。この場合、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の外部電極40と金属端子100との接合性を十分確保した上で、第1の接合材5Aと外装材3との剥離の発生を抑制することができる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力を吸収することができる。
【0140】
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。まず、各積層セラミックコンデンサ本体2,200の製造方法について説明する。各積層セラミックコンデンサ本体2,200の製造方法は同様であるため、第1の積層セラミックコンデンサ本体2を例として説明する。
【0141】
誘電体層20用の誘電体シートおよび内部電極層30用の導電性ペーストが準備される。誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストは、バインダおよび溶剤を含む。バインダおよび溶剤は、公知のものであってもよい。
【0142】
誘電体シート上に、内部電極層30用の導電性ペーストが、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで印刷される。これにより、第1の内部電極層31のパターンが形成された誘電体シートおよび、第2の内部電極層32のパターンが形成された誘電体シートが準備される。
【0143】
内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第1の主面TS1側の第1の主面側外層部12となる部分が形成される。その上に、第1の内部電極層31のパターンが印刷された誘電体シートおよび第2の内部電極層32のパターンが印刷された誘電体シートが順次積層されることにより、内層部11となる部分が形成される。この内層部11となる部分の上に、内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第2の主面TS2側の第2の主面側外層部13となる部分が形成される。これにより、積層シートが作製される。
【0144】
積層シートが静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスされることにより、積層ブロックが作製される。
【0145】
積層ブロックが所定のサイズにカットされることにより、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みがつけられてもよい。
【0146】
積層チップが焼成されることにより、コンデンサ積層体10が作製される。焼成温度は、誘電体層20や内部電極層30の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
【0147】
コンデンサ積層体10の両端面に第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとなる導電性ペーストが塗布される。本実施形態においては、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層である。ガラス成分と金属とを含む導電性ペーストが、例えばディッピングなどの方法により、コンデンサ積層体10に塗布される。その後、焼き付け処理が行われ、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bが形成される。この時の焼き付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
【0148】
なお、焼成前の積層チップと、積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりにセラミック材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。このとき、添加するセラミック材料として、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いることが特に好ましい。この場合は、焼成前の積層チップに対して、導電性ペーストを塗布し、積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストを同時に焼き付けて、焼き付け層が形成されたコンデンサ積層体10を形成する。
【0149】
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとして薄膜層を形成する場合は、コンデンサ積層体10の第1の主面TS1上の一部および第2の主面TS2上の一部に、薄膜層を形成してもよい。薄膜層は、例えば、スパッタリング法によりスパッタ電極であってもよい。第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bとして、コンデンサ積層体10の第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にスパッタ電極を形成する場合は、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には焼き付け層を形成してもよい。あるいは、第1の端面LS1上および第2の端面LS2上には下地電極層を形成せずに、後述するめっき層をコンデンサ積層体10に直接形成してもよい。
【0150】
その後、第1の下地電極層50Aの表面に、第1のめっき層60Aが形成される。また、第2の下地電極層50Bの表面に、第2のめっき層60Bが形成される。本実施形態では、めっき層として、Niめっき層およびSnめっき層が形成される。Niめっき層およびSnめっき層は、例えばバレルめっき法により、順次形成される。
【0151】
このような製造工程により、第1の積層セラミックコンデンサ本体2が製造される。
【0152】
次に、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bの製造方法について説明する。
【0153】
第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bを構成する端子本体にめっき膜が施される。その後、めっき膜の少なくとも最外表面を構成する膜が剥離され、はんだのぬれ性が低い表面が露出する露出面が形成される。あるいは、レジスト等で一部の表面をマスキングした状態の端子本体に対してめっき処理が施され、これにより、はんだのぬれ性が低い表面が露出する露出面が形成されてもよい。
【0154】
次に、各積層セラミックコンデンサ本体2,200同士を接合する工程について説明する。
【0155】
各積層セラミックコンデンサ本体2,200同士は、第1の接合材5Aによって接合される。
【0156】
第2の積層セラミックコンデンサ本体200を、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の第2の主面TS2側に配置する。その際、第1の接合材5Aを、第1の外部電極40Aと第2の外部電極240Aとの間に配置するとともに、第1の外部電極40Bと第2の外部電極240Bとの間に配置する。その後、所定の処理を行うことで、第1の接合材5Aにより、第1の外部電極40Aと第2の外部電極240Aとを接合するとともに、第1の外部電極40Bと第2の外部電極240Bとを接合するとともに、第1の接合材5Aにより接合することができる。
【0157】
次に、第1の積層セラミックコンデンサ本体2と、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bとを接合する工程について説明する。
【0158】
第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aは、第2の接合材5Bによって接合される。第1の外部電極40Bと第2の金属端子100Bは、第3の接合材5Cによって接合される。
【0159】
第1の外部電極40Aの第1の主面TS1上の部分と、第1の金属端子100Aの第1の接合部110Aとを対面させる。その際、第1の外部電極40Aと、第1の金属端子100A(第1の接合部110A)との間に第2の接合材5Bを配置する。その後、所定の処理を行うことで、第2の接合材5Bにより、第1の外部電極40Aと第1の金属端子100Aとを接合することができる。
【0160】
第1の外部電極40Bの第1の主面TS1上の部分と、第2の金属端子100Bの第2の接合部110Bとを対面させる。その際、第1の外部電極40Bと、第2の金属端子100B(第2の接合部110B)との間に第3の接合材5Cを配置する。その後、所定の処理を行うことで、第3の接合材5Cにより、第1の外部電極40Bと第2の金属端子100Bとを、第3の接合材5Cにより接合することができる。
【0161】
第1の接合材5A、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cは、例えば、TPLS材料である。TPLS材料は、高融点金属と低融点金属とからなる。なお、TLPSで接合する場合は、選定した低融点金属の融点を上回る温度で一定時間を加熱保持することで、高融点金属と固溶拡散させ、高融点の接合体を得る。
【0162】
また、第1の接合材5A、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cは、はんだを用いてもよい。はんだのリフロー時には、例えば、270℃以上290℃以下の温度で30秒以上加熱する。
【0163】
次に、各積層セラミックコンデンサ本体2,200と、接合材5と、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部とを、外装材3で覆う工程について説明する。
【0164】
外装材3は、例えば、トランスファーモールド工法によって形成される。具体的には、外装材3で覆う前の積層セラミックコンデンサ、すなわち、第1の接合材5Aを介して第2の積層セラミックコンデンサ本体200が接合され、且つ第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cを介して金属端子100が接合された第1の積層セラミックコンデンサ本体2を金型内に配置し、その後、金型内に外装材3の樹脂を充填し、樹脂を硬化させる。これにより、各積層セラミックコンデンサ本体2,200と、接合材5と、第1の金属端子100Aの一部と、第2の金属端子100Bの一部とを覆うように、外装材3が設けられる。このとき、隙間部Gにも外装材3を充填することができる。また、第1の接合材5A、第2の接合材5B及び第3の接合材5Cと、外装材3と、は、それぞれ接合させる。
【0165】
最後に、金属端子100に不要部分がある場合、打ち抜き金型等を用いて、不要部分がカットされる。そして、曲げ金型等を用いて、金属端子100が所望の形状に折り曲げられる。このように、金属端子100は、曲げ加工により形成されていてもよい。すなわち、屈曲形成されている金属端子100の各接続部は、曲げ加工により形成されていてもよい。なお、一部の曲げ加工は、外装材3のモールド前に行われる。
【0166】
以上の製造方法により、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1が製造される。
【0167】
図14に、積層セラミックコンデンサ1の実装構造800を示す。図14は、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1が実装基板810に実装された実装構造800を示す外観斜視図である。
【0168】
外装材3に覆われて完成品となった積層セラミックコンデンサ1は、その後、部品として、基板実装用接合材820を介して、実装基板810にリフロー実装される。
【0169】
具体的には、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bは、実装基板810の実装面811に配置されている配線部材812に対して、基板実装用接合材820を介して接合される。第2の金属端子100Bは、実装基板810の実装面811に配置されている配線部材812に対して、基板実装用接合材820を介して接合される。
【0170】
以下、図16図19を用いて、上記実施形態の積層セラミックコンデンサ1の第1の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。図16は、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の第1の変形例を示す仮想的な斜視図である。図17は、図16の積層セラミックコンデンサ1を矢印XIV方向から見たときの仮想的な矢視図である。図18は、図16の積層セラミックコンデンサ1を矢印XV方向から見たときの仮想的な矢視図である。図19は、図16の積層セラミックコンデンサ1を矢印XVI方向から見たときの仮想的な矢視図である。
【0171】
本変形例においては、各積層セラミックコンデンサ本体2,200の配置が、上記実施形態と異なる。第2の積層セラミックコンデンサ本体200は、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の第2の端面LS2側に配置されている。第1の積層セラミックコンデンサ本体2の第1の外部電極40Bの第2の端面LS2上の部分と、第2の積層セラミックコンデンサ本体200の第2の外部電極240Aの第3の端面LS3上の部分とは、対向している。第1の外部電極40Bと第2の外部電極240Bとの間には、第1の接合材5Aおよび外装材3の少なくともいずれかが配置されている。第1の外部電極40Bと第2の外部電極240Bとは、第1の接合材5Aにより接合されている。
【0172】
また、本変形例においては、第1の金属端子および第2の金属端子の構成が、上記実施形態と異なる。本変形例の積層セラミックコンデンサ1は、第1の金属端子500Aと、第2の金属端子500Bとを備える。
【0173】
第1の金属端子500Aは、第1の主面TS1と対向し、第1の外部電極40Aに接続される第1の接合部510Aと、第1の積層セラミックコンデンサ本体2から遠ざかるように長さ方向L1,L2に延びる第1の延長部530Aと、第1の延長部530Aに接続され、実装基板の実装面側に向かって延びる第1の立ち下がり部540Aと、第1の立ち下がり部540Aに接続され、実装基板の実装面に沿う方向に延びる第1の実装部550Aと、を有する。
【0174】
第1の金属端子500Aは、第1の接合部510Aにおいて第1の積層セラミックコンデンサ本体2の第1の外部電極40Aの第1の主面TS1上の部分と接合されている。第1の接合部510Aと第1の外部電極40Aとの間には、第2の接合材5Bおよび外装材3のうち少なくともいずれかが配置されている。第1の金属端子500Aと第1の外部電極40Aとは、第2の接合材5Bにより接合されている。
【0175】
第2の金属端子500Bは、第3の主面TS3と対向し、第2の外部電極240Bに接続される第2の接合部510Bと、第2の積層セラミックコンデンサ本体200から遠ざかるように長さ方向L1,L2に延びる第2の延長部530Bと、第2の延長部530Bに接続され、実装基板の実装面側に向かって延びる第2の立ち下がり部540Bと、第2の立ち下がり部540Bに接続され、実装基板の実装面に沿う方向に延びる第2の実装部550Bと、を有する。
【0176】
第2の金属端子500Bは、第2の接合部510Bにおいて第2の積層セラミックコンデンサ本体200の第2の外部電極440Bの第3の主面TS3上の部分と接合されている。第2の接合部510Bと第2の外部電極240Bとの間には、第2の接合材5Bおよび外装材3のうち少なくともいずれかが配置されている。第2の金属端子500Bと第2の外部電極240Bとは、第2の接合材5Bにより接合されている。
【0177】
このように、各積層セラミックコンデンサ本体2,200は、直列に接続されていてもよい。これにより、積層セラミックコンデンサ1の静電容量を向上させることができる。
【0178】
以下、図20図23を用いて、上記実施形態の積層セラミックコンデンサ1の第2の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態および変形例のうちいずれかと同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図20は、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の第2の変形例を示す仮想的な斜視図である。図21は、図20の積層セラミックコンデンサ1を矢印XVII方向から見たときの仮想的な矢視図である。図22は、図20の積層セラミックコンデンサ1を矢印XVIII方向から見たときの仮想的な矢視図である。図23は、図20の積層セラミックコンデンサ1を矢印XIX方向から見たときの仮想的な矢視図である。
【0179】
本変形例においては、各積層セラミックコンデンサ本体の構成が、上記実施形態とは異なる。本変形例の積層セラミックコンデンサ1は、複数の第3の積層セラミックコンデンサ本体600を備え、詳しくは、4つの第3の積層セラミックコンデンサ本体600を備える。
【0180】
第3の積層セラミックコンデンサ本体600は、各積層セラミックコンデンサ本体2,200と概ね同一の構成を有する。第3の積層セラミックコンデンサ本体600は、コンデンサ積層体610と、第3の外部電極640Aおよび第3の外部電極640Bとを有する。コンデンサ積層体610は、その積層方向T3に相対する第5の主面TS5および第6の主面TS6と、積層方向T3に直交する幅方向W3に相対する第5の側面WS5および第6の側面WS6と、積層方向T3および幅方向W3に直交する長さ方向L3に相対する第5の端面LS5および第6の端面LS6と、を含む。第3の外部電極640Aと第3の外部電極640Bとは、コンデンサ積層体610を長さ方向L3に挟んで設けられている。第3の外部電極640Aは、第5の端面LS5側に配置されている。第3の外部電極640Bは、第6の端面LS6側に配置されている。
【0181】
しかし、第3の積層セラミックコンデンサ本体600は、その積層方向T3の寸法が、各積層セラミックコンデンサ本体2,200の積層方向T1,T2の寸法より小さくなっている点で、上記実施形態の各積層セラミックコンデンサ本体2,200とは異なっている。
【0182】
なお、複数の第3の積層セラミックコンデンサ本体600のうち、少なくとも1の第3の積層セラミックコンデンサ本体600が第1の積層セラミック電子部品本体に相当し、第1の積層セラミック電子部品本体に相当するもの以外の第3の積層セラミックコンデンサ本体600が第2の積層セラミック電子部品本体に相当する。また、複数の第3の積層セラミックコンデンサ本体600のうち、いずれの第3の積層セラミックコンデンサ本体600が第1の積層セラミック電子部品本体(または、第2の積層セラミック電子部品本体)に相当するかは任意である。
【0183】
また、第1の積層セラミック電子部品に相当する第3の積層セラミックコンデンサ本体600が有する各構成は、第1の積層セラミック電子部品が有する各構成と対応する。より具体的には、第1の積層セラミック電子部品に相当する第3の積層セラミックコンデンサ本体600においては、第3の外部電極640Aおよび第3の外部電極640Bが、特許請求の範囲でいう第1の外部電極にそれぞれ相当し、第5の主面TS5および第6の主面TS6が、特許請求の範囲でいう第1の主面および第2の主面にそれぞれ相当し、第5の側面WS5および第6の側面WS6が、特許請求の範囲でいう第1の側面および第2の側面にそれぞれ相当し、第5の端面LS5および第6の端面LS6が、特許請求の範囲でいう第1の端面および第2の端面にそれぞれ相当する。
【0184】
第2の積層セラミック電子部品に相当する第3の積層セラミックコンデンサ本体600が有する各構成は、第2の積層セラミック電子部品が有する各構成と対応する。より具体的には、第2の積層セラミック電子部品に相当する第3の積層セラミックコンデンサ本体600においては、第3の外部電極640Aおよび第3の外部電極640Bが、特許請求の範囲でいう第2の外部電極にそれぞれ相当し、第5の主面TS5および第6の主面TS6が、特許請求の範囲でいう第3の主面および第4の主面にそれぞれ相当し、第5の側面WS5および第6の側面WS6が、特許請求の範囲でいう第3の側面および第4の側面にそれぞれ相当し、第5の端面LS5および第6の端面LS6が、特許請求の範囲でいう第3の端面および第4の端面にそれぞれ相当する。
【0185】
また、本変形例においては、各第3の積層セラミックコンデンサ本体600の配置の態様が、上記実施形態および変形例と異なる。
【0186】
各第3の積層セラミックコンデンサ本体600は、各第3の積層セラミックコンデンサ本体600の積層方向T3に並べて配置されている。互いに隣接する第3の積層セラミックコンデンサ本体600においては、一方の第5の主面TS5と他方の第6の主面TS6とが対向している。互いに隣接する第3の積層セラミックコンデンサ本体600においては、各々の第3の外部電極640A同士が対向するとともに、各々の第3の外部電極640B同士が対向している。各第3の外部電極640Aの間には、第1の接合材5Aおよび外装材3のうちいずれかが配置されている。各第3の外部電極640Bの間には、第1の接合材5Aおよび外装材3のうちいずれかが配置されている。各第3の外部電極640Aは、第1の接合材5Aにより接合されている。各第3の外部電極640Bは、第1の接合材5Aにより接合されている。
【0187】
各第3の積層セラミックコンデンサ本体600は、第5の側面WS5側を実装基板(図示略)側に向けて配置される。
【0188】
本変形例においては、第1の金属端子および第2の金属端子の構成が、上記実施形態と異なる。
【0189】
本変形例の積層セラミックコンデンサ1は、第1の金属端子700Aと第2の金属端子700Bとを有する。
【0190】
第1の金属端子700Aは、第1の変形例における第1の金属端子500Aと概ね同一の構成を有し、第1の接合部710Aと、第1の延長部730Aと、第1の立ち下がり部740Aと、第1の実装部750Aとを有する。しかし、第1の接合部710Aが、複数の第3の外部電極640Aと接合されている点で、第1の変形例と異なっている。第1の接合部710Aは、各第3の外部電極640Aの各第5の側面WS5上の面と接合されている。第1の金属端子700Aと第1の立ち下がり部740Aと第1の実装部750Aとは、積層方向T3の寸法が同一となっている。
【0191】
第1の金属端子700A(第1の接合部710A)と各第3の外部電極640Aとの間には、第2の接合材5Bおよび外装材3のうちいずれかが配置されている。第1の接合部710Aと各第3の外部電極640Aとは、第2の接合材5Bによりそれぞれ接合されている。
【0192】
第2の金属端子700Bは、第1の変形例における第2の金属端子700Bと概ね同一の構成を有し、第2の接合部710Bと、第2の延長部730Bと、第2の立ち下がり部740Bと、第2の実装部750Bとを有する。しかし、第2の接合部710Bが、複数の第3の外部電極640Bと接合されている点で、第1の変形例と異なっている。第2の接合部710Bは、各第3の外部電極640Bの各第5の側面WS5上の面と接合されている。第2の金属端子700Bと第2の立ち下がり部740Bと第2の実装部750Bとは、積層方向T3の寸法が同一となっている。
【0193】
第2の金属端子700B(第2の接合部710B)と各第3の外部電極640Bとの間には、第3の接合材5Cおよび外装材3のうちいずれかが配置されている。第2の接合部710Bと各第3の外部電極640Bとは、第3の接合材5Cによりそれぞれ接合されている。
【0194】
本変形例であっても、本開示の効果を得ることができる。
【0195】
なお、積層セラミックコンデンサ1が有する積層セラミックコンデンサ本体の数は、特に限定されるものではない。
【0196】
以下、図24図27を用いて、上記実施形態の積層セラミックコンデンサ1の第3の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態および各変形例のうちいずれかと同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図24は、本実施形態の積層セラミックコンデンサの第3の変形例を示す仮想的な斜視図である。図25は、図24の積層セラミックコンデンサを矢印XX方向から見たときの仮想的な矢視図である。図26は、図24の積層セラミックコンデンサを矢印XXI方向から見たときの仮想的な矢視図である。図27は、図24の積層セラミックコンデンサを矢印XXII方向から見たときの仮想的な矢視図である。
【0197】
本変形例の積層セラミックコンデンサ1は、第2の変形例と同一の第3の積層セラミックコンデンサ本体600を備える。しかし、本変形例では、第3の積層セラミックコンデンサ本体600の配置の態様が、第2の変形例と異なる。
【0198】
本変形例においては、積層セラミックコンデンサ1は、複数の第3の積層セラミックコンデンサ本体600を備え、詳しくは、6つの第3の積層セラミックコンデンサ本体600を備える。各第3の積層セラミックコンデンサ本体600は、第5の主面TS5側を実装基板(図示略)側に向けてそれぞれ配置される。
【0199】
複数の第3の積層セラミックコンデンサ本体600のうち、一部の第3の積層セラミックコンデンサ本体600が積層方向T3に並べて配置されている。積層方向T3に隣接する第3の積層セラミックコンデンサ本体600においては、一方の第3の外部電極640Aと他方の第3の外部電極640Aとが対向し、且つ一方の第3の外部電極640Bと他方の第3の外部電極640Bとが対向している。
【0200】
積層方向T3に対向する各第3の外部電極640Aの間には、第1の接合材5Aおよび外装材3のうちいずれかが配置されている。積層方向T3に対向する各第3の外部電極640A同士は、第1の接合材5Aにより接合されている。
【0201】
積層方向T3に対向する各第3の外部電極640Bの間には、第1の接合材5Aおよび外装材3のうちいずれかが配置されている。積層方向T3に対向する各第3の外部電極640B同士は、第1の接合材5Aにより接合されている。
【0202】
これにより、積層方向T3に並ぶ複数の第3の積層セラミックコンデンサ本体600により形成されたコンデンサ集合体Gが複数形成されている。
【0203】
本変形例の積層セラミックコンデンサ1は、コンデンサ集合体Gとして、それぞれ3つの第3の積層セラミックコンデンサ本体600から構成されるコンデンサ集合体G1及びコンデンサ集合体G2を備える。なお、コンデンサ集合体G1およびコンデンサ集合体G2は、特に区別する必要がない場合、併せて「各コンデンサ集合体G」という。
【0204】
なお、以下において、各コンデンサ集合体Gにおいて、最も実装基板側に配置されている第3の積層セラミックコンデンサ本体600を、「第3の積層セラミックコンデンサ本体600a」という。第3の積層セラミックコンデンサ本体600aの第3の外部電極640Aを「第3の外部電極640Aa」という。第3の積層セラミックコンデンサ本体600aの第3の外部電極640Bを「第3の外部電極640Ba」という。
【0205】
コンデンサ集合体G1とコンデンサ集合体G2とは、幅方向W3に並べて配置されている。幅方向W3に隣接する第3の積層セラミックコンデンサ本体600においては、一方の第3の外部電極640Aの第5の側面WS5上の面と、他方の第3の外部電極640Aの第6の側面WS6上の面とがそれぞれ対向している。幅方向W3に対向する各第3の外部電極640Aの間には、第1の接合材5Aおよび外装材3のうちいずれかがそれぞれ配置されている。幅方向W3に対向する各第3の外部電極640A同士は、第1の接合材5Aによりそれぞれ接合されている。
【0206】
幅方向W3に隣接する第3の積層セラミックコンデンサ本体600においては、一方の第3の外部電極640Bの第5の側面WS5上の面と、他方の第3の外部電極640Bの第6の側面WS6上の面とがそれぞれ対向している。幅方向W3に対向する各第3の外部電極640Bの間には、第1の接合材5Aおよび外装材3のうちいずれかがそれぞれ配置されている。幅方向W3に対向する各第3の外部電極640A同士は、第1の接合材5Aによりそれぞれ接合されている。
【0207】
第1の金属端子700Aは、コンデンサ集合体G1の第3の積層セラミックコンデンサ本体600aの第3の外部電極640Aaおよびコンデンサ集合体G2の第3の積層セラミックコンデンサ本体600aの第3の外部電極640Aaに接続されている。第1の金属端子700Aは、それらの第3の外部電極640Aaの各第5の主面TS5上の面に第2の接合材5Bを介して接続されている。
【0208】
第2の金属端子700Bは、コンデンサ集合体G1の第3の積層セラミックコンデンサ本体600aの第3の外部電極640Baおよびコンデンサ集合体G2の第3の積層セラミックコンデンサ本体600aの第3の外部電極640Baに接続されている。第2の金属端子700Bは、それら第3の外部電極640Baの各第5の主面TS5上の面に第3の接合材5Cを介して接続されている。
【0209】
このように、積層セラミックコンデンサ1の内部においては、複数の第3の積層セラミックコンデンサ本体を接続してコンデンサ集合体Gを形成するとともに、コンデンサ集合体Gを複数配列するようにしてもよい。
【0210】
本変形例であっても、本開示の効果を得ることができる。
【0211】
以下、図28図31を用いて、上記実施形態の積層セラミックコンデンサ1の第4の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態および各変形例のうちいずれかと同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図28は、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の第4の変形例を示す仮想的な斜視図である。図29は、図28の積層セラミックコンデンサ1を矢印XXIII方向から見たときの仮想的な矢視図である。図30は、図28の積層セラミックコンデンサ1を矢印XXIV方向から見たときの仮想的な矢視図である。図31は、図28の積層セラミックコンデンサ1を矢印XXV方向から見たときの仮想的な矢視図である。
【0212】
本変形例の積層セラミックコンデンサ1は、第3の変形例と同様のコンデンサ集合体Gを備える。しかし、本変形例と第3の変形例とは、コンデンサ集合体Gの個数および配置の態様において異なる。
【0213】
本変形例の積層セラミックコンデンサ1は、コンデンサ集合体Gを4つ備える。以下において、4つのコンデンサ集合体Gは、それぞれ、コンデンサ集合体G1、コンデンサ集合体G2、コンデンサ集合体G3およびコンデンサ集合体G4という。
【0214】
コンデンサ集合体G1とコンデンサ集合体G2とは、第3の変形例と同様に、それらの幅方向W3に並んで配置されるとともに各第1の接合材5Aにより接合されている。
【0215】
コンデンサ集合体G3は、コンデンサ集合体G1とそれらの長さ方向L3に並んで配置されている。コンデンサ集合体G1に含まれる各第3の外部電極640Aと、コンデンサ集合体G3に含まれる各第3の外部電極640Bとは、対向している。コンデンサ集合体G1に含まれる各第3の外部電極640Aと、コンデンサ集合体G3に含まれる各第3の外部電極640Bとは、第1の接合材5Aによりそれぞれ接合されている。
【0216】
コンデンサ集合体G4は、コンデンサ集合体G2とそれらの長さ方向L3に並んで配置され、且つコンデンサ集合体G3とそれらの幅方向W3に並んで配置されている。
【0217】
コンデンサ集合体G2に含まれる各第3の外部電極640Aと、コンデンサ集合体G4に含まれる各第3の外部電極640Bとは、対向している。コンデンサ集合体G2に含まれる各第3の外部電極640Aと、コンデンサ集合体G4に含まれる各第3の外部電極640Bとは、第1の接合材5Aによりそれぞれ接合されている。
【0218】
コンデンサ集合体G3に含まれる各第3の外部電極640Aと、コンデンサ集合体G4に含まれる各第3の外部電極640Aとは、第1の接合材5Aによりそれぞれ接合されている。コンデンサ集合体G3に含まれる各第3の外部電極640Bと、コンデンサ集合体G4に含まれる各第3の外部電極640Bとは、第1の接合材5Aによりそれぞれ接合されている。
【0219】
本変形例の積層セラミックコンデンサ1は、第3の変形例と同様の第1の金属端子700Aおよび第2の金属端子700Bを備える。
【0220】
第1の金属端子700Aは、コンデンサ集合体G3に含まれる第3の外部電極640Aaおよびコンデンサ集合体G4に含まれる第3の外部電極Aaに第2の接合材5Bにより接合されている。
【0221】
第2の金属端子700Bは、コンデンサ集合体G1に含まれる第2の外部電極Baおよびコンデンサ集合体G2に含まれる第3の外部電極Baに第3の接合材5Cにより接合されている。
【0222】
このように、積層セラミックコンデンサ1が有するコンデンサ集合体Gの数は、特に限定されるものではない。
【0223】
本変形例であっても、本開示の効果を得ることができる。
【0224】
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、以下の効果を奏する。
【0225】
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、第1の接合材5Aの空隙率に対して、外装材3の空隙率が相対的に低くなっている。これにより、第1の接合材5Aを外装材3の表面の凹凸に十分食い込ませて、第1の接合材5Aの表面と外装材3との密着性を向上させることができる。よって、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、第1の接合材5Aと外装材3との間での剥離の発生を抑制することができる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力を吸収することができる。
【0226】
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの空隙率に対して、外装材3の空隙率を相対的に低くすることが好ましい。その場合、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cを外装材3の表面の凹凸に十分食い込ませて、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの表面と外装材3との密着性を向上させることができる。よって、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cと外装材との間での剥離の発生を抑制することができる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力を吸収することができる。
【0227】
上記実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、第1の接合材5Aの空隙率は、第2の接合材5Bの空隙率および第3の接合材5Cの空隙率よりも高くすることが好ましい。その場合、第1の積層セラミックコンデンサ本体2の第1の外部電極40Aおよび第1の外部電極40Bと、第1の金属端子100Aおよび第2の金属端子100Bとの接合性を十分確保した上で、第1の接合材5Aと外装材3との間での剥離の発生を抑制することができる。
【0228】
上記実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、第1の接合材5Aの空隙率は、20%以上50%以下であることが好ましい。これにより、より適切に、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、外装材3と第1の接合材5Aの間での剥離の発生を抑制することができる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力を吸収することができる。
【0229】
上記実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、第2の接合材5Bの空隙率および第3の接合材5Cの空隙率は、20%以上50%以下であることが好ましい。その場合、より適切に、外部からの蒸気の浸透を低減しつつ、外装材3と第2の接合材5Bおよび第3の接合材5Cの間での剥離の発生を抑制することができる。また、外部から各コンデンサ積層体10,210にかかる応力を吸収することができる。
【0230】
上記実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、外装材の空隙率は10%以下であることが好ましい。その場合、外部からの蒸気の浸透をより好適に低減することができる。
【0231】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、上記実施形態において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0232】
以上、本発明の好適な実施形態および変形例について説明したが、これに限定されず、本発明は以下の範囲が含まれる。
【0233】
<1>積層された複数の第1のセラミック層と、前記第1のセラミック層上に積層された複数の第1の内部導体層とを含み、前記第1のセラミック層と前記第1の内部導体層とが積層される第1の積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、前記第1の積層方向に直交する第1の幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、前記第1の積層方向および前記第1の幅方向に直交する第1の長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を含む第1の積層体と、複数の第1の外部電極と、を有する第1の積層セラミック電子部品本体と、積層された複数の第2のセラミック層と、前記第2のセラミック層上に積層された複数の第2の内部導体層とを含み、前記第2のセラミック層と前記第2の内部導体層とが積層される第2の積層方向に相対する第3の主面および第4の主面と、前記第2の積層方向に直交する第2の幅方向に相対する第3の側面および第4の側面と、前記第2の積層方向および前記第2の幅方向に直交する第2の長さ方向に相対する第3の端面および第4の端面と、を含む第2の積層体と、複数の第2の外部電極と、を有する第2の積層セラミック電子部品本体と、前記複数の第1の外部電極のうちのいずれか1つと、前記複数の第2の外部電極のうちのいずれか1つと、を接合する第1の接合材と、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極に接続される第1の金属端子と、前記第1の金属端子が接続される外部電極とは異なる外部電極であって、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極に接続される第2の金属端子と、前記第1の積層セラミック電子部品本体と、前記第2の積層セラミック電子部品本体と、前記第1の金属端子の一部と、前記第2の金属端子の一部と、を覆っている外装材と、を備え、前記第1の接合材は、前記外装材と接合し、前記第1の接合材の空隙率は、前記外装材の空隙率よりも高い、積層セラミック電子部品。
【0234】
<2>前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極と、前記第1の金属端子と、を接合する第2の接合材と、前記第1の金属端子が接続される外部電極とは異なる外部電極であって、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極と、前記第2の金属端子と、を接合する第3の接合材と、を備え、前記第2の接合材および前記第3の接合材は、前記外装材と接合し、前記第2の接合材の空隙率および前記第3の接合材の空隙率は、前記外装材の空隙率よりも高い、<1>に記載の積層セラミック電子部品。
【0235】
<3>前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極と、前記第1の金属端子と、を接合する第2の接合材と、前記第1の金属端子が接続される外部電極とは異なる外部電極であって、前記複数の第1の外部電極および前記複数の第2の外部電極から選択される少なくとも1つの外部電極と、前記第2の金属端子と、を接合する第3の接合材と、を備え、前記第1の接合材の空隙率は、前記第2の接合材の空隙率および前記第3の接合材の空隙率よりも高い、<1>または<2>に記載の積層セラミック電子部品。
【0236】
<4>前記第1の接合材の空隙率は、20%以上50%以下である、<1>~<3>のいずれか1に記載の積層セラミック電子部品。
【0237】
<5>前記第2の接合材の空隙率および前記第3の接合材の空隙率は、20%以上50%以下である、<2>に記載の積層セラミック電子部品。
【0238】
<6>前記外装材の空隙率は10%以下である、<1>~<5>のいずれか1に記載の積層セラミック電子部品。
【符号の説明】
【0239】
1 積層セラミックコンデンサ(積層セラミック電子部品)
2 第1の積層セラミックコンデンサ本体(第1の積層セラミック電子部品本体)
3 外装材
5A 第1の接合材
5B 第2の接合材
5C 第3の接合材
10 コンデンサ積層体(第1の積層体)
20 誘電体層(第1のセラミック層)
30内部電極層(第1の内部導体層)
40A,40B 第1の外部電極
100A,500A,700A 第1の金属端子
100B,500B,700B 第2の金属端子
200 第2の積層セラミックコンデンサ本体(第2の積層セラミック電子部品本体)
210 コンデンサ積層体(第2の積層体)
220 誘電体層(第2のセラミック層)
230 内部電極層(第2の内部導体層)
240A,240B 第2の外部電極
600 第3の積層セラミックコンデンサ本体(第1の積層セラミック電子部品本体または第2の積層セラミック電子部品本体)
640A,640B 第3の外部電極(第1の外部電極または第2の外部電極)
TS1 第1の主面
TS2 第2の主面
TS3 第3の主面
TS4 第4の主面
TS5 第5の主面(第1の主面または第3の主面)
TS6 第6の主面(第2の主面または第4の主面)
WS1 第1の側面
WS2 第2の側面
WS3 第3の側面
WS4 第4の側面
WS5 第5の側面(第1の側面または第3の側面)
WS6 第6の側面(第2の側面または第4の側面)
LS1 第1の端面
LS2 第2の端面
LS3 第3の端面
LS4 第4の端面
LS5 第5の端面(第1の端面または第3の端面)
LS6 第6の端面(第2の端面または第4の端面)
図1
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