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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090149
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】複合部品デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240627BHJP
   H01L 25/10 20060101ALI20240627BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01L25/08 Z
H01L25/14 Z
H01L23/12 501P
H01L25/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205845
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】土井 渉
(57)【要約】
【課題】反りの発生を抑制することができる複合部品デバイスを提供する。
【解決手段】第1電子部品を内蔵する第1複合部品層を複数積層して備える複合部品デバイスであって、
第1複合部品層は、第1主面および第1主面に対向する第2主面を有する電子部品層と、第1主面に設けられた再配線層とを備え、
複数の第1複合部品層の少なくとも2つは、2つ一組で第2主面が互いに向かい合うように形成される反転層を構成し、
電子部品層は、第1電子部品と、第1電子部品を封止する第1樹脂封止部と、第1電子部品を取り込むように配置された側壁部と、側壁部を貫通し再配線層と電気的に接続する電子部品層貫通ビアとを有し、
記第1電子部品は、前記再配線層に直接接合している、複合部品デバイス。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子部品を内蔵する第1複合部品層を複数積層して備える複合部品デバイスであって、
前記第1複合部品層は、第1主面および該第1主面に対向する第2主面を有する電子部品層と、該第1主面に設けられた再配線層とを備え、
前記複数の第1複合部品層の少なくとも2つは、2つ一組で前記第2主面が互いに向かい合うように形成される反転層を構成し、
前記電子部品層は、前記第1電子部品と、前記第1電子部品を封止する第1樹脂封止部と、前記第1電子部品を取り込むように配置された側壁部と、該側壁部を貫通し前記再配線層と電気的に接続する電子部品層貫通ビアとを有し、
前記第1電子部品は、前記再配線層に直接接合している、複合部品デバイス。
【請求項2】
前記再配線層は、無機材料から構成される誘電膜を有する、請求項1に記載の複合部品デバイス。
【請求項3】
前記側壁部は、シリコンから実質的に成る、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項4】
前記電子部品層は、一層当たり複数の第1電子部品を有する、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項5】
複数の前記電子部品層において、各第1樹脂封止部を構成する樹脂は互いに異なる、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項6】
さらに、第2電子部品と、該第2電子部品を封止する第2樹脂封止部とを有する第2複合部品層を最外層として備える、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項7】
前記第2複合部品層は側壁部を有しない、請求項6に記載の複合部品デバイス。
【請求項8】
前記反転層が、前記複数の第1複合部品層の積層方向の中央に少なくとも配置され、
前記複合部品デバイスの最外層として、前記反転層を構成しない第1複合部品層が配置される、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項9】
前記電子部品層貫通ビアは、前記第1複合部品層の積層方向に垂直な断面において、千鳥配置または整列配置されるように設けられている、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項10】
前記電子部品層貫通ビアは、前記第1複合部品層の積層方向と略平行となるように設けられており、
前記複数の複合部品層のうち少なくとも一対の隣接する第1複合部品層において、電子部品層貫通ビアは1の直線上に配列するように配置されている、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項11】
前記反転層を複数備える、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項12】
前記複数の反転層のうち隣接する2つの反転層は、接着層を介して接合する、請求項11に記載の複合部品デバイス。
【請求項13】
前記電子部品層貫通ビアは、前記側壁部を貫通する側壁部貫通ビアと、前記接着層を貫通して前記反転層間を電気的に接続する反転層間導電ビアとを有し、
前記第1複合部品層の積層方向に垂直な断面において、前記反転層間導電ビアの断面積は、前記側壁部貫通ビアの断面積よりも大きい、請求項12に記載の複合部品デバイス。
【請求項14】
前記複数の第1複合部品層が偶数個の反転層を構成し、
前記偶数個の反転層は、前記偶数個の反転層の積層方向の中央に対して対称である、請求項11に記載の複合部品デバイス。
【請求項15】
前記第1電子部品は、部品電極が配置されている第1面と、該第1面と対向する第2面とを有し、
前記複数の第1複合部品層は接着層により接合し、前記第1電子部品の前記第2面は該接着層に接触する、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項16】
前記電子部品層は、一層当たり複数の第1電子部品を有し、
前記複数の第1電子部品は異なる、請求項1または2に記載の複合部品デバイス。
【請求項17】
請求項1または2に記載の複合部品デバイスを製造する方法であって、
格子状の側壁部および底面部を有するシリコンベース層の該底面部に前記第1電子部品の部品電極が電子部品接着層を介して接触するように、前記シリコンベース層に前記第1電子部品を接着させる電子部品接着工程と、
前記第1電子部品を樹脂で封止して樹脂封止部を形成する電子部品封止工程と、
前記部品電極の表面全体を露出させるように前記シリコンベース層および前記電子部品接着層を除去して電子部品層前駆体を作製する電子部品層前駆体作製工程と、
2つの前記電子部品層前駆体の前記部品電極が露出しない主面を互いに向かい合うようにして前記電子部品層前駆体を接着させて、一対の電子部品層前駆体を作製する電子部品層前駆体接着工程と、
前記一対の電子部品層前駆体の側壁部を貫通する電子部品層貫通ビア、および前記一対の電子部品層前駆体の前記部品電極が露出する一方の主面に再配線層を形成して反転層前駆体を作製する反転層前駆体作製工程と、
前記一方の主面の反対側に位置する前記反転層前駆体の他方の主面に再配線層を形成して、反転層を形成する反転層作製工程と、
前記反転層前駆体の前記再配線層に、別途作製した前記一対の電子部品層前駆体および別途作製した前記電子部品層前駆体の一方を積層する積層工程と、
前記積層した一対の電子部品層前駆体および前記積層した電子部品層前駆体の一方に電子部品層貫通ビアおよび再配線層を形成する配線形成工程と
を含んで成り、
前記積層工程と前記配線形成工程とを組み合わせた工程が0回以上実行される、複合部品デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記積層工程と前記配線形成工程とを組み合わせた前記工程が1回以上実行される、請求項17に記載の複合部品デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合部品デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、垂直に積み重ねられたシステムインパッケージ構造体としては、例えば、特表2018-514088号公報(特許文献1)の図10に記載の垂直スタックシステムインパッケージ(垂直スタックSiP)がある。この垂直スタックSiPは、第1~3レベルの成形コンパウンド(125,155,185)と、その間に配置された第1~3再配線層(130,160,190)と、第1~3の再配線層(130,160,190)間を電気的に接続する第2~3レベルの導電ピラー(140,170)とを含んで成る。成形コンパウンド(125,155,185)には、それぞれダイ(電子部品)(110,142,172)が封止されている。第2成形コンパウンド(155)では、一対のダイ(142)が背中合わせに積み重ねられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-514088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、上記のような垂直スタックSiPでは、次の問題があることを見出した。すなわち、一対のダイ(142)が背中合わせに積み重ねられている第2成形コンパウンド(155)では、ダイ(142)の垂直方向への積層により樹脂量が増加し、これにより第2成形コンパウンド(155)における内部応力が増加し、反りが発生する虞がある。
また、垂直スタックSiPの製造では、各成形コンパウンドを逐次的に積み重ねて製造する。各成形コンパウンドの形成毎に加熱が行われるため、パッケージ内の熱が放出されにくく、ダイ(142)が熱損傷しやすくなる。そして、その熱損傷がそのまま蓄積されていくため、ダイが劣化し部品寿命が短くなり、垂直スタックSiPの長期信頼性が低下する虞がある。
さらに、上述のように各成形コンパウンドの形成毎に加熱が行われるため、すでに形成されている成形コンパウンドは複数回加熱される。これにより、垂直スタックSiPは、熱履歴が蓄積して長期信頼性が低下する虞がある。
【0005】
そこで、本開示の目的は、反りの発生を抑制することができる複合部品デバイスを提供することである。本開示の別の目的は、反りの発生を抑制し、高い長期信頼性を有する複合部品デバイスを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討し、複数の第1複合部品層を備えた複合部品デバイスにおいて、第1複合部品層内で生じる応力を隣接する第1複合部品層内で生じる応力と相殺させるとの知見を得た。このような技術的知見に基づき、複数の第1複合部品層を2つ一組で互いに向かい合う反転層を有する本開示を想到するに到った。すなわち、本開示は、以下の態様を含む。
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様である複合部品デバイスは、
第1電子部品を内蔵する第1複合部品層を複数積層して備える複合部品デバイスであって、
前記第1複合部品層は、第1主面および該第1主面に対向する第2主面を有する電子部品層と、該第1主面に設けられた再配線層とを備え、
前記複数の第1複合部品層の少なくとも2つは、2つ一組で前記第2主面が互いに向かい合うように形成される反転層を構成し、
前記電子部品層は、前記第1電子部品と、前記第1電子部品を封止する第1樹脂封止部と、前記第1電子部品を取り込むように配置された側壁部と、該側壁部を貫通し前記再配線層と電気的に接続する電子部品層貫通ビアとを有し、
前記第1電子部品は、前記再配線層に直接接合している。
【0008】
本開示の一態様に係る複合部品デバイスでは、複数の第1複合部品層が、2つ一組で第1複合部品層の第2主面が向かい合うように配置される反転層を構成する。このように反転層を構成する一組の第1複合部品層とすることで、樹脂封止部を2つに分けることができる。これにより、内部応力を低減することができ、複合部品デバイス全体の反りの発生を抑制することができる。
また、反転層を構成する一組の第1複合部品層とすることで、反転層における各第1複合部品層内で生じる内部応力の向きが互いに正反対となりやすく、これにより、反転層内の内部応力が相殺されやすくなり、複合部品デバイス全体の反りの発生が抑制される。
よって、本態様に係る複合部品デバイスは、反りの発生を抑制することができる。
【0009】
本開示の別の態様である複合部品でバイアスの製造方法は、
上述の複合部品デバイスを製造する方法であって、
格子状の側壁部および底面部を有するシリコンベース層の該底面部に前記第1電子部品の部品電極が電子部品接着層を介して接触するように、前記シリコンベース層に前記第1電子部品を接着させる電子部品接着工程と、
前記第1電子部品を樹脂で封止して樹脂封止部を形成する電子部品封止工程と、
前記部品電極の表面全体を露出させるように前記シリコンベース層および前記電子部品接着層を除去して電子部品層前駆体を作製する電子部品層前駆体作製工程と、
2つの前記電子部品層前駆体の前記部品電極が露出しない主面を互いに向かい合うようにして前記電子部品層前駆体を接着させて、一対の電子部品層前駆体を作製する電子部品層前駆体接着工程と、
前記一対の電子部品層前駆体の側壁部を貫通する電子部品層貫通ビア、および前記一対の電子部品層前駆体の前記部品電極が露出する一方の主面に再配線層を形成して反転層前駆体を作製する反転層前駆体作製工程と、
前記一方の主面の反対側に位置する前記反転層前駆体の他方の主面に再配線層を形成して、反転層を形成する反転層作製工程と、
前記反転層前駆体の前記再配線層に、別途作製した前記一対の電子部品層前駆体および別途作製した前記電子部品層前駆体の一方を積層する積層工程と、
前記積層した一対の電子部品層前駆体および前記積層した電子部品層前駆体の一方に電子部品層貫通ビアおよび再配線層を形成する配線形成工程と
を含んで成り、
前記積層工程と前記配線形成工程とを組み合わせた工程が0回以上実行される。
【0010】
本態様に係る複合部品デバイスの製造方法では、電子部品層前駆体を並列に加工することができる。このため、積層工程および配線形成工程において積層した反転層または複合部品層に熱履歴が蓄積しにくい。これにより、電子部品への熱損傷を抑制することで、電子部品の劣化を抑制できる。
よって、本態様に係る複合部品デバイスの製造方法は、高い長期信頼性を有する複合部品デバイスを提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係る複合部品デバイスによれば、反りの発生を抑制することができる。本開示の別の態様に係る複合部品デバイスの製造方法によれば、高い長期信頼性を有する複合部品デバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る複合部品デバイスを示す断面図である。
図2図1のA部拡大図である。
図3図1のI-I断面図である。
図4A】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4B】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4C】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4D】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4E】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4F】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4G】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4H】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4I】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4J】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4K】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4L】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4M】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4N】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4O】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図4P】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図5】第2実施形態に係る複合部品を示す断面図である。
図6A】第2実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図6B】第2実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図6C】第2実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図6D】第2実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図7】第3実施形態に係る複合部品を示す断面図である。
図8A】第3実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図8B】第3実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図8C】第3実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図8D】第3実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図8E】第3実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図9A】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図9B】第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法について説明する説明図である。
図10】第1実施形態に係る複合部品デバイスの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一態様である複合部品デバイスを図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0014】
本開示において「接触」とは、対象とする部材が他の部材を介在せずに(直接的に(直接))または介在して(間接的に)別の部材に物理的に触れていることを示す。
本開示において、「接合」とは、対象とする部材が他の部材を介在せずに(直接的に(直接))または介在して(間接的に)別の部材に物理的につなぎ合っていることを示す。
本開示において、「接着」とは、対象とする部材が他の部材を介在せずに(直接的に(直接))または介在して(間接的に)別の部材に物理的につながっていることを示す。
本開示において、「電気的に接続する」とは、対象とする部材が他の部材を介在せずに(直接的に(直接))または介在して(間接的に)別の部材と導通していることを示す。
【0015】
<第1実施形態:複合部品デバイス>
第1実施形態に係る複合部品デバイスは、
第1電子部品を内蔵する第1複合部品層を複数積層して備える複合部品デバイスであって、
第1複合部品層は、第1主面および第1主面に対向する第2主面を有する電子部品層と、第1主面に設けられた再配線層とを備え、
複数の第1複合部品層の少なくとも2つは、2つ一組で第2主面が互いに向かい合うように形成される反転層を構成し、
電子部品層は、第1電子部品と、第1電子部品を封止する第1樹脂封止部と、第1電子部品を取り込むように配置された側壁部と、側壁部を貫通し再配線層と電気的に接続する電子部品層貫通ビアとを有し、
第1電子部品は、再配線層に直接接合している。
【0016】
[作用機序]
第1実施形態に係る複合部品デバイスは、反りの発生を抑制することができる。特定の理論に拘束されるわけではないが、その理由は以下のように推測される。
第1実施形態に係る複合部品デバイスでは、複数の第1複合部品層が、2つ一組で第1複合部品の第2主面が向かい合うように配置される反転層を構成する。このように反転層を構成する一組の第1複合部品層とすることで、第1樹脂封止部を2つに分けることができる。これにより、内部応力を低減することができ、複合部品デバイス全体の反りの発生を抑制することができる。
また、反転層を構成する一組の第1複合部品層とすることで、反転層における各第1複合部品層内で生じる内部応力の向きが正反対となりやすく、これにより反転層内の内部応力が相殺されやすくなり、複合部品デバイス全体の反りの発生が抑制される。
よって、第1実施形態に係る複合部品デバイスは、反りの発生を抑制することができる。
【0017】
さらに、第1実施形態に係る複合部品デバイスは、剛性にも優れる。特定の理論に拘束されるわけではないが、その理由は以下のように推測される。
第1実施形態に係る複合部品デバイスでは、複数の第1複合部品層が、2つ一組で第1複合部品の第2主面が向かい合うように配置される反転層を構成し、さらに、電子部品層は、第1電子部品を取り込むように配置された側壁部を有する。このため、内部応力に対して変形(寸法変化:例えば、伸縮、曲げおよびねじれ)を起こしにくい。
よって、第1実施形態に係る複合部品デバイスは、剛性に優れる。
【0018】
[複合部品デバイスの構成]
第1実施形態に係る複合部品デバイスの構成を図1図2および図3を参照して説明する。図1は、本開示の第1実施形態に係る複合部品デバイスの断面を模式的に示した図である。図2は、図1のA部拡大図である。図3は、図1のI-I断面図である。
【0019】
図1に示すように、複合部品デバイス1は、2つの第1複合部品層100,200を積層して備え、さらに1つの第2複合部品層900を備える。図1中、複合部品デバイス1の厚みに平行な方向をZ方向とし、順Z方向を上側、逆Z方向を下側とする。図1に示す複合部品デバイス1の断面においてZ方向に垂直な方向をX方向とする。図1に示す複合部品デバイス1の断面に垂直な方向をY方向とする。
【0020】
[第1複合部品層、反転層]
2つの隣接する第1複合部品層100,200は、2つ一組で第2主面112,212が互いに向き合うように配置される反転層10を構成する。反転層10において第1複合部品層100と第1複合部品層200とは、互いに向き合う関係にあるため、各第1複合部品層100,200内に内部応力が生じたとしても、それぞれの内部応力の向きが正反対になりやすく、反転層10内の内部応力が相殺されやすい。その結果、複合部品デバイス1全体の反りの発生が抑制される。
【0021】
複合部品デバイス1の反りの発生をより抑制する観点から、反転層10において第1複合部品層100と第1複合部品層200とは、その界面に相当する接着層130に対して互いに対称(線対称)となることが好ましい。例えば、第1複合部品層100,200の構成(より具体的には、電子部品層110,210、再配線層120,220、第1電子部品113,213、側壁部115,215、第1樹脂封止部117,217、電子部品層貫通ビア119,219および接着層130の配置箇所、数、種類、寸法、および形状等)のうちの少なくとも1つが互いに線対称の関係にあると、各第1複合部品層100,200内に生じる内部応力の向きが正反対となりやすく、反りの発生がより抑制されるからである。
【0022】
複合部品デバイス1の反りの発生をさらに抑制する観点から、反転層10において第1複合部品層100と第1複合部品層200とは、その界面に相当する接着層130に対して部材を構成する材質の少なくとも一部が互いに同じとなることが好ましい。例えば、第1複合部品層100,200の構成が互いに線対称の関係にあるのに加えて、部材を構成する材質(より具体的には、第1電子部品113,213、側壁部115,215、第1樹脂封止部117,217、電子部品層貫通ビア119,219および接着層130を構成する材質)少なくとも一部が互いに同じあると、各第1複合部品層100,200内に生じる内部応力の向きが正反対となりやすく、反りの発生がさらに抑制されるからである。
【0023】
複合部品デバイス1は、2つの第1複合部品層100,200を備えるが、3つ以上の第1複合部品層を備えてもよい。第1実施形態では、第1複合部品層200の構成は、第1複合部品層100とほぼ同じであるため、以下、第1複合部品層100を例として挙げて説明する。ただし、相違する部分については、別途説明する。
【0024】
第1複合部品層100は、電子部品層110と、電子部品層110の第1主面111に設けられた再配線層120とを備える。
【0025】
(電子部品層)
電子部品層110は、第1主面111と、第1主面111に対向する第2主面112とを有する。電子部品層110は、第1主面111で再配線層120と接着(接合)し、第2主面112で接着層130を介して第1複合部品層200の第2主面212と接着している。電子部品層210は、第1主面211と、第1主面211に対向する第2主面212とを有する。電子部品層210は、第1主面211で再配線層220と接着し、第2主面212で接着層130を介して第1複合部品層100の第2主面112と接着している。ここで、再配線層120,220は、後述するように、例えば、多層配線層のシート又は基板であり、例えば、配線(導電配線)と無機材料(無機絶縁材料)を含む誘電膜とを有する。
【0026】
電子部品層110は、第1電子部品113と、第1電子部品113を封止する第1樹脂封止部117と、第1電子部品113を取り込むように配置された側壁部115と、側壁部115を貫通し再配線層120と電気的に接続する電子部品層貫通ビア119とを有する。
【0027】
電子部品層110は、一層当たり複数の第1電子部品113を有することができる。電子部品層110が一層当たり複数の第1電子部品113を有すると、第1複合部品層100は一層単独で、電子基板として機能することが可能となる。よって、第1実施形態に係る複合部品デバイス1は、低背化が可能となる。また、電子部品層110が一層当たり複数の第1電子部品113を有する場合、複数の第1電子部品113(の種類)は、異なってもよい。
【0028】
-第1電子部品-
第1電子部品113は、電子部品層110内に1以上配置され得る。第1電子部品113は、電子部品層110内に第1樹脂封止部117によって封止されている。電子部品層110内に第1電子部品113が複数存在する場合、それらの第1電子部品113は互いに同一であっても、異なってもよい。第1電子部品113の厚みは、例えば、80~120μmである。
【0029】
第1電子部品113は、再配線層120に直接接合している。換言すると、電子部品層110におけるすべての第1電子部品113は、いずれもその第1面113aが第2面113bに対して再配線層120側に位置するように、電子部品層110内に配置されている。電子部品層210におけるすべての第1電子部品213も同様である。このように、複合部品デバイス1は、配線がシンプルであるため、複合部品層を2層だけでなく、3層以上積層することができる。つまり、本開示に係る複合部品デバイスは、第1複合部品層の多層化が容易となるため、用途に応じて層数を調整しやすく、設計の自由度が高い。
【0030】
第1電子部品113は、例えば、側壁部115を構成する物質と同様の物質中に1以上の素子が一体化された電子部品である。第1電子部品113は、後述する第2電子部品913と比較して、寸法が小さい電子部品(小型電子部品)である。第1電子部品113は、その構造上小型化および低背化が比較的容易であり、および/または一般に発熱量が比較的多い電子部品である。このような第1電子部品113としては、例えば、能動部品(より具体的には、CPU、GPU、およびLSI等)ならびに受動部品(より具体的には、コンデンサ(さらに具体的には、低容量コンデンサ等)、抵抗器、SAWおよびインダクタ等)である。
【0031】
第1電子部品113は、厚み方向に垂直な第1面113aおよび第1面113aに対向する第2面113bを有する電子部品本体部113cと、第1面113aに配置され再配線層120と電気的に接続する複数の部品電極113dとを備える。第1電子部品113は、複数の部品電極113d間に配置されている絶縁部113eをさらに有する。
【0032】
電子部品本体部113cは、例えば、セラミックまたは半導体材料(より具体的には、シリコン等)を含む。
【0033】
部品電極113dは、再配線層120と直接接合し、再配線層120と電気的に接続している。部品電極113dは、導電性材料として、例えば、Cu、Ni、SnおよびAlならびにこれらを含む合金である。部品電極113dの厚みは、例えば、1μm~30μmであり、好ましくは5μm以下である。部品電極113dを、1~5μmの厚みに薄くすることができる。部品電極113dの厚みは、例えば、電子部品本体部113cの厚みの1/4~1/6倍にすることができる。
【0034】
絶縁部113eは、部品電極113d間を電気的に絶縁する層として機能する。絶縁部113eの厚みは、例えば、1~30μmであり、好ましくは5μm以下である。絶縁部113eを、1~5μmの厚みに薄くすることができる。絶縁部113eの厚みは、例えば、電子部品本体部113cの厚みの1/4~1/6倍にすることができる。絶縁部113eの厚みは、部品電極113dと同じであってもよく、かかる場合、絶縁部113eの面と部品電極113dの面とが面一となる。
【0035】
-樹脂封止部-
第1樹脂封止部117は、第1電子部品113を封止する。
第1樹脂封止部117は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を含み、第1電子部品113を樹脂で一体化させることができる。第1電子部品113を樹脂と一体化させることができるため、2以上の第1電子部品113が互いに異なる寸法および形状を有する場合であっても、2以上の第1電子部品113を電子部品層110内に配置することができる。これにより、自由度が高い設計が可能となり、用途に応じて2以上の第1電子部品113を組み合わせることができる。例えば、複合部品デバイス1は、異なる種類の第1電子部品113を内蔵することができる。
【0036】
第1樹脂封止部117を構成するエポキシ樹脂としては、例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)(より具体的には、1,3-divinyl-1,1,3,3-tetramethyldisiloxane-bis-benzocyclobutene(DVS-bis-BCB)等)に由来する繰り返し単位を含む熱硬化性樹脂が挙げられる。市販のエポキシ樹脂としては、例えば、ダウ・ケミカル製「CYCLOTENE」が挙げられる。
【0037】
電子部品層110,210において、各第1樹脂封止部117,217を構成する樹脂は互いに同一であっても異なってもよい。ここで、互いに異なるとは、一部が異なることを包含する。例えば、第2実施形態では3つの電子部品層110,210,310がある。上述の樹脂の種類が互いに異なるとは、第1樹脂封止部117,217を構成する樹脂と、第1樹脂封止部317を構成する樹脂とが異なる態様、ならびに、第1樹脂封止部117を構成する樹脂と、第1樹脂封止部217を構成する樹脂と、第1樹脂封止部317を構成する樹脂とが異なる態様を包含する。
【0038】
第1樹脂封止部117,217を構成する樹脂の種類が互いに異なる場合、例えば、複合部品層ごとに当該構成樹脂を異なるようにして、第1樹脂封止部117,217ごとに異なる機能(より具体的には、高熱伝導性(高放熱性)、熱膨張性および低吸湿性等)を付与することができる。例えば、第1樹脂封止部117に高熱伝導性を付与し、第1樹脂封止部217に低吸湿性を付与することができる。市販の高熱伝導性の樹脂としては、例えば、パナソニック株式会社製「CV8511」および住友ベークライト株式会社製「G780」が挙げられる。
【0039】
なお、上記「樹脂の熱膨張性」とは、本明細書において、樹脂に熱を付与した場合に、樹脂が体積膨張する性質をいう。熱膨張性を示す物性値としては、例えば、線膨張係数が挙げられる。
【0040】
第1樹脂封止部117は、第1樹脂封止部117の熱伝導性(放熱性)を向上させる観点から、フィラーをさらに含んでもよい。熱伝導性を向上させるフィラーの材質としては、例えば、無機材料が挙げられる。このような無機材料としては、例えば、アルミナ(Al)、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)が挙げられ、これらのうち、第1複合部品層100の熱伝導性をより向上させる観点から窒化アルミニウムが好ましい。市販の、無機フィラーを含む樹脂としては、例えば、ナガセケムテックス株式会社製「R4507」(無機フィラー:SiO)が挙げられる。
【0041】
-側壁部-
図1に加え図2に示すように、側壁部115は、第1電子部品113を取り囲むように配置されており、より具体的には、1以上の第1電子部品113の全体を取り囲むように電子部品層110の周囲に配置されている。側壁部115は、その内部を電子部品層貫通ビア119が貫通している。側壁部115は、断面(ZX断面)視において、略矩形状を有し、その上面で接着層130を介して第1複合部品層200と接続し、その下面で再配線層120と接着する。側壁部115の厚みは、例えば、50~150μmである。
【0042】
側壁部115は、好ましくは、第1樹脂封止部117の材質(樹脂)よりも線膨張係数が小さい材質(例えば、無機材料)を含む。側壁部115が第1樹脂封止部117の材質よりも線膨張係数の小さい材質を含むと、側壁部115が存在する体積分、第1樹脂封止部117において収縮を行う樹脂の量を低減でき、これにより、複合部品デバイス1は反りの発生を抑制することができる。
【0043】
側壁部115は、より好ましくは、上記無機材料の中でもシリコン(Si)から実質的に成る。本明細書において、「から実質的に成る」とは、対象(上記の場合では、側壁部115)が95質量%以上、97質量%以上、99質量%以上、または100質量%の割合で、特定の材質(上記の場合ではシリコン)によって構成されることをいう。側壁部115がシリコンから実質的に成ると、シリコンは加工性に優れ、設計を精度よく反映した加工面を形成できる。このため、側壁部115を貫通する電子部品層貫通ビア119について、配線幅の微細化、および配線の接続抵抗の低下が可能となる。よって、側壁部がシリコンから実質的に成ると、第1実施形態に係る複合部品デバイス1は高い信頼性を有する。
【0044】
-電子部品層貫通ビア-
電子部品層貫通ビアは、第1複合部品層100,200の積層方向(Z方向)と略平行となるように設けられている。より具体的には、電子部品層貫通ビア119は電子部品層110をZ方向に貫通し、さらに接着層130も貫通する。電子部品層貫通ビア119は、図2に示すように、接着層130を貫通する導電ビア119aと、側壁部115を貫通する側壁部貫通ビア119bとを有する。導電ビア119aは、電子部品層貫通ビア119と第1複合部品層200の電子部品層貫通ビア219とを電気的に接続する。複合部品デバイス1の厚み方向に垂直な平面において、導電ビア119aの断面積(XY平面における断面積)が側壁部貫通ビア119bの断面積よりも大きい。このため、電子部品層貫通ビア119は電子部品層貫通ビア219との電気的接続が良好となり、第1複合部品層100,200間の接続抵抗が低下する。よって、第1実施形態に係る複合部品デバイス1は、信頼性がさらに向上する。
【0045】
電子部品層貫通ビア119は、好ましくは銅から実質的に成る。電子部品層貫通ビア119が銅から実質的に成ると、銅は良好な導電材であるため、配線の電気抵抗が低下する。
【0046】
図1に加え図3を参照して、電子部品層貫通ビア119の配列を説明する。図3は、図1におけるI-I断面図である。電子部品層貫通ビア119は、図3のXY断面(つまり、第1複合部品層100,200の積層方向に垂直な断面)において、複数存在し、第1電子部品113および第1樹脂封止部117を取り囲むようにして、整列配置されるように設けられている。
【0047】
「整列配置」とは、本明細書では、平面視において互いに直交する直線上に等間隔の距離(以下、「距離L」とも称する)で配列された配置をいう。直交を構成する一方の直線が複数存在する場合、複数の平行な直線は、距離Lで離間して隣接する。
【0048】
図3を例に挙げて「整列配置」を詳細に説明する。図3に示すように、複数の電子部品層貫通ビア119が第1樹脂封止部117を取り囲むように整列配置されるように設けられている。図3の紙面上側において、複数の電子部品層貫通ビア119は、X方向に平行な2つの直線上に等間隔の距離Lで配列している。この2つの直線は、隣接する電子部品層貫通ビア119間の距離Lと同じ距離で離間して隣接している。図3の紙面下側の複数の電子部品層貫通ビア119も同様である。
一方、図3の紙面左側において、複数の電子部品層貫通ビア119は、(X方向に直交する)Y方向に平行な2つの直線上に等間隔の距離Lで配列している。この2つの直線は、隣接する電子部品層貫通ビア119間の距離Lと同じ距離で離間して隣接している。図3の紙面右側の複数の電子部品層貫通ビア119も同様である。
【0049】
(再配線層)
再配線層120は、電子部品層110の第1主面111に形成されている。再配線層120は、第1電子部品113の部品電極113dおよび電子部品層貫通ビア119と電気的に接続している。再配線層120は、第1電子部品113(の部品電極113d)に直接接合しているため、再配線層120と部品電極113dとの間のビア配線の長さを減少させることができる。よって、第1実施形態に係る複合部品デバイス1を小型化および低背化でき、ビア配線の電気抵抗も低下できる。
【0050】
再配線層120は、多層配線層である。再配線層120は、配線(導電配線)と、絶縁材料から実質的に成る誘電膜と、再配線層120内の異なる層間の配線を電気的に接続する導通性ビアとを有する。
【0051】
配線および導通性ビアは導電性材料を含む。導電性材料は、例えば、Cu、Ag、およびAu、ならびにそれらを含む合金であり、これらの中でもCuが好ましい。再配線層120は、複数の層を有することができ、例えば、2層以上の配線と、1層以上の誘電膜とを有する。再配線層120を構成する配線1層および誘電膜1層の厚みは、例えば、1.5μm~5.0μmである。この場合、再配線層120の厚みは、これらの1層分の厚み(1.5μm~5.0μm)に再配線層120内の合計層数を乗じた値(単位:μm)となる。
【0052】
誘電膜は、例えば、絶縁材料としての無機絶縁材料または有機絶縁材料で構成され、好ましくは無機絶縁材料または有機絶縁材料から実質的に成る。無機絶縁材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO2)および窒化ケイ素(SiN、Si34)が挙げられる。有機絶縁材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリイミド、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル―スチレン(AS)樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、およびポリカーボネートが挙げられる。
【0053】
再配線層120が無機材料(例えば、無機絶縁材料)から実質的に成る誘電膜(以下、「無機誘電膜」とも称する)を有する場合、有機材料(例えば、有機絶縁材料)から実質的に成る誘電膜に比べ、再配線層120の配線の幅(配線幅)を微細化することができ、第1実施形態に係る複合部品デバイス1を小型化が可能となる。これは、無機誘電膜の膜表面粗度は、有機誘電膜の膜表面粗度に比べ非常に小さいため、配線形成のリソ工程において、無機誘電膜は有機誘電膜に比べ、焦点の位置精度が高くなるからである。より具体的には、無機誘電膜ではナノメートルオーダーで焦点合わせが可能である一方、有機誘電膜ではマイクロメートルオーダーで焦点合わせが可能である。無機誘電膜から実施的に成る再配線層120の配線は、有機絶縁材料から実質的に成る誘電膜を含む再配線層120の配線に比べ、配線幅を約1/10とすることができる。これにより、複合部品デバイス1の小型化および低背化が可能となる。無機絶縁材料から実質的に構成される誘電膜を含む再配線層120のライン・アンド・スペース(L/S)は、例えば、1μm/1μmである。
【0054】
無機誘電膜の厚みは、例えば、0.1~2μmである。無機誘電膜は、2種以上の成分を含む多成分膜であってもよい。多成分膜は、複数の層が成分ごとに形成される多層膜であってもよい。多層膜の層構造は、例えば、電子部品層110側から順に、SiO2(厚み0.25μm)/Si34(厚み0.1μm)/SiO2(厚み0.25μm)/Si34(厚み0.1μm)である。
【0055】
誘電膜が有機絶縁材料から実質的に成る場合、コストを低減させて誘電膜を形成され得る。これは、有機絶縁材料から実質的に成る誘電膜が、無機絶縁材料から実質的に成る誘電膜に比べ、プラズマ化学気相成長(PECVD)装置のような大規模な設備を使用しないで作製され得るからである。
有機誘電膜から実質的に成る再配線層120のライン・アンド・スペース(L/S)は、例えば、10μm/10μmである。誘電膜の厚みは、例えば、1~20μmである。
【0056】
(接着層)
接着層130は、第1複合部品層100,200間を接着させる。接着層の材質は、例えば、熱硬化性樹脂である。
【0057】
[第2複合部品層]
複合部品デバイス1は、最外層として第2複合部品層900をさらに備え得る。第2複合部品層900は、積層した第1複合部品層100,200の最上層である第1複合部品層200に配置される。第2複合部品層900は、第2電子部品913と、第2電子部品913を封止する第2樹脂封止部917とを有し、側壁部を有しない。
【0058】
本明細書において、「最外層」とは、対象において露出する主面を有する層をいう。図1では、複合部品デバイス1において第2複合部品層900が露出する主面を有する。このため、第2複合部品層900は最外層である。なお、第2複合部品層900は、第1複合部品層200に接着しているが、これに代えて第1複合部品層100に接着してもよい。
【0059】
複合部品デバイス1は、最外層として第2複合部品層900をさらに備えると、後述する複合部品デバイス1の製造方法のダイシング工程において、バリ(より具体的には、割れ、欠け、およびチッピング等)の発生が抑制される。よって、第1実施形態に係る複合部品デバイス1は、かかる場合、設計を精度よく反映されており、高い信頼性を有する。
【0060】
バリ発生の抑制は以下の理由による。第2複合部品層900を備えない場合、複合部品デバイス1のマザー集積体は最外層に配置される第1複合部品層200の側壁部215で切断される。側壁部215は通常無機物(例えば、Si)から実質的に成るため、側壁部215の切断においては、ダイシング工程の切断条件を調整してもバリの発生の低減には限界がある。これに対して、第2複合部品層900を備える場合、複合部品デバイス1のマザー集積体は最外層に配置される第2複合部品層900の第2樹脂封止部917で切断される。第2樹脂封止部917は通常樹脂から実質的に成るため、第2樹脂封止部917の切断においては、ダイシング工程の切断条件を調整によりバリの発生を低減できる。
【0061】
第2電子部品913は、はんだ940を介して、第1複合部品層200の再配線層220に電気的に接続している。第2電子部品913は、第1電子部品113,213と比較して、寸法が大きい電子部品(大型電子部品)である。第2電子部品913は、その構造上小型化および低背化が比較的困難であり、および/または一般に発熱量が比較的多い電子部品である。構造上小型化および低背化が困難である電子部品としては、例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC)等である。一般に発熱量が多い電子部品としては、例えば、インダクタ(より具体的には、パワーインダクタ等)およびパワーIC等)である。
【0062】
[複合部品デバイスの製造方法]
第1実施形態に係る複合部品デバイス1の製造方法は、
格子状の側壁部および底面部を有するシリコンベース層(Siベース層)の底面部に第1電子部品の部品電極が電子部品接着層を介して接触するように、シリコンベース層に第1電子部品を接着させる電子部品接着工程と、
第1電子部品を樹脂で封止して樹脂封止部を形成する電子部品封止工程と、
部品電極の表面全体を露出させるようにシリコンベース層および電子部品接着層を除去して電子部品層前駆体を作製する電子部品層前駆体作製工程と、
2つの電子部品層前駆体の前記部品電極が露出しない主面を互いに向かい合うようにして電子部品層前駆体を接着させて、一対の電子部品層前駆体を作製する電子部品層前駆体接着工程と、
一対の電子部品層前駆体の側壁部を貫通する電子部品層貫通ビア、および一対の電子部品層前駆体の部品電極が露出する主面に再配線層を形成して反転層前駆体を作製する反転層前駆体作製工程と、
一方の主面の反対側に位置する反転層前駆体の他方の主面に再配線層を形成して、反転層を形成する反転層作製工程と、
反転層前駆体の再配線層に、別途作製した一対の電子部品層前駆体および別途作製した電子部品層前駆体の一方を積層する積層工程と、
積層した一対の電子部品層前駆体および積層した電子部品層前駆体の一方に電子部品層貫通ビアおよび再配線層を形成する配線形成工程と
を含んで成り、
積層工程と前記配線形成工程とを組み合わせた工程が0回以上実行される。
【0063】
第1実施形態に係る複合部品デバイス1の製造方法は、さらに、
電子部品の部品電極間に絶縁部を形成する絶縁部形成工程と、
格子状の側壁部および底面部を有するシリコンベース層を準備するシリコンベース層準備工程と、
第1樹脂封止部117を薄くする樹脂封止部薄化工程と、
第2複合部品層を形成する第2複合部品層形成工程と、
ダイシングにより個片化するダイシング工程と
を含んで成ってもよい。
【0064】
具体的に、図9A図9Bおよび図4A図4Pを参照して、複合部品デバイス1の製造方法の一例について説明する。図9A図9Bおよび図4A図4Pは、複合部品デバイス1の製造方法を説明するための図である。第1実施形態に係る複合部品デバイス1の製造方法は、絶縁部形成工程と、シリコンベース層準備工程と、電子部品接着工程と、電子部品封止工程と、樹脂封止部薄化工程と、電子部品層前駆体作製工程と、電子部品層前駆体接着工程と、反転層前駆体作製工程と、第2複合部品層形成工程と、反転層作製工程と、ダイシング工程とを含んで成る。なお、この例では、積層工程と配線形成工程との組み合わせは0回実行される。
【0065】
この製造方法ではシリコンベース層準備工程から反転層作製工程までに複合部品デバイス1が集積したマザー集積体を作製する。図4A図4Hおよび図4N図4Pは、作製するマザー集積体において複合部品デバイス1つ分に相当する箇所を示している。
【0066】
(絶縁部形成工程)
絶縁部形成工程では、図9A図9Bに示すように、第1電子部品113の部品電極113d間に絶縁部113eを形成する。具体的には、第1電子部品113の部品電極113dを被覆するように塗布膜を形成し、平坦化処理を施して第1電子部品113の部品電極113d間に絶縁部113eを形成する。図9Aに示すように、樹脂と溶媒とを含む溶液を、スピンコート法を用いて塗布して塗布膜を形成する。ここで、塗布膜の最も低い部分が、部品電極113dの最も高い部分よりも高くなるようにする。つまり、複数の部品電極113dのすべてが塗布膜に完全に埋没するように塗布膜を形成する。塗布層を乾燥して絶縁部113eを形成する。後続の平坦化処理前の絶縁部113eは、好ましくは完全に部品電極113dを被覆する。
【0067】
平坦化処理では、図9Bに示すように、例えば、サーフェスプレーナおよびグラインダを用いて、部品電極113dおよび絶縁部113eの表面を研削して平坦化し、部品電極113d間に絶縁部113eを形成する。これにより、部品電極113dの頂面が露出し、部品電極113dおよび絶縁部113eの頂面が面一となる。
【0068】
(シリコンベース層準備工程)
シリコンベース層準備工程では、図4Aに示すように、格子状の側壁部115および底面部を有するシリコンベース層182を準備する。格子状の側壁部115および底面部を有するシリコンベース層182は、具体的には、平面視で矩形状の底面部と、矩形状の底面部を取り囲むように格子状に配置された側壁部115とを有する。これらの底面部および側壁部115で取り囲まれた凹部(またはくぼみ、またはキャビティ)に後述する電子部品接着工程において1以上の第1電子部品113を接着させる。
【0069】
シリコンベース層182の形状は、平面視で俯瞰すると円柱形状であり得るが、これに限定されない。シリコンベース層182の形状が円柱形状である場合、シリコンベース層182の厚みは、例えば、775μm(Siウェハの直径φ300mm)、725μm(φ200mm)、675μm(φ150mm)、および525μm(φ100mm)である。なお、シリコンベース層準備工程は、絶縁部形成工程の前に実施されてもよい。シリコンベース層182および側壁部115は、ともにSiから実質的に成る。
【0070】
(電子部品接着工程)
電子部品接着工程は、格子状の側壁部115および底面部を有するシリコンベース層182の底面部に第1電子部品113の複数の部品電極113dが電子部品接着層172を介して接触するように、シリコンベース層182に第1電子部品113を接着させる。具体的には、電子部品接着工程では、図4Bに示すように、部品電極113dおよび絶縁部113eが電子部品接着層172(厳密には、接着剤の塗布膜)を介して、シリコンベース層182(の底面部)と接触するように、シリコンベース層182(の底面部)に1以上の第1電子部品113を配置(搭載)する。次いで、接着剤の塗布膜を硬化させて、電子部品接着層172を形成する。このようにして第1電子部品113をシリコンベース層182上に接着させる。
【0071】
塗布膜を塗布する方法は、例えば、スピンコートである。塗布膜の厚みが第1電子部品113の部品電極113dの厚み~10μmの範囲となるように制御して、塗布することが好ましい。接着剤は、例えば、熱硬化性樹脂である。このような熱硬化性樹脂は、例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)に由来する繰り返し単位を含む熱硬化性樹脂であり、例えば、1,3-divinyl-1,1,3,3-tetramethyldisiloxane-bis-benzocyclobutene(DVS-bis-BCB)を重合して得ることができる。市販品としては、例えば、ダウ・ケミカル製「CYCLOTENE」がある。
【0072】
第1電子部品113は、真空チャンバーを備えた装置を用いて塗布膜へ配置される。詳しくは、電子部品集積ウェハ(第1電子部品113を複数集積したウェハ)をシリコンベース層182(側壁部115を有するシリコンベース層182)に貼合させる。第1電子部品113の積層方向に沿って双方向に圧力を印加し、加熱する。具体的には、装置における真空チャンバー内の下ステージに、当該シリコンベース層182をセットする。第1電子部品113の部品電極113dが塗布膜と対向する方向となるように、真空チャンバー内の上ステージに第1電子部品113を真空吸引(または減圧吸引)させる。当該シリコンベース層182と、電子部品集積ウェハとの位置合わせでは、例えば、シリコンベース層182の認識マークを用いる。当該シリコンベース層182の塗布膜側に、1以上の第1電子部品113を配置する。上下ステージが互いに対向する方向に沿って、双方向に圧力を印加し、加熱する。
【0073】
部品電極113dおよび絶縁部113eが電子部品接着層172を介してシリコンベース層182と対向するようにして、電子部品集積ウェハは当該シリコンベース層182上に接着される。
【0074】
(電子部品封止工程)
電子部品封止工程は、第1電子部品113を樹脂で封止して第1樹脂封止部117を形成する。電子部品封止工程では、具体的には、図4Cに示すように、ディスペンサを用いて、第1電子部品113を搭載したシリコンベース層182上に、液状樹脂を塗布する。その後、コンプレッションモールド装置を用いて、塗布した液状樹脂を成形する。その後、例えば、熱風循環オーブンを用いて、液状樹脂を硬化させる。硬化における熱処理条件は、例えば、加熱温度150℃および加熱時間1時間である。これにより第1樹脂封止部117を形成する。
【0075】
(樹脂封止部薄化工程)
樹脂封止部薄化工程は、第1樹脂封止部117を薄くする。樹脂封止部薄化工程では、具体的には、図4Dに示すように、Siウェハのバックグラインダを用いて、側壁部115の頂面が露出するように第1樹脂封止部117を研削して薄化する。樹脂封止部薄化工程では、第1電子部品113の第2面113b側の第1樹脂封止部117を研削する。第1樹脂封止部117を構成する樹脂は、第1複合部品層100、ひいては複合部品デバイス1の反りの原因となり得るため、第1樹脂封止部117の研削量は、例えば、一定の強度が維持できる範囲で可能な限り多いことが好ましい。ただし、本工程では、第1電子部品113が露出するまで第1樹脂封止部117を研削しない(例えば、第1電子部品113は研削しない)。薄化後の第1樹脂封止部117の厚みは、例えば、50~150μmである。
【0076】
(電子部品層前駆体作製工程)
電子部品層前駆体作製工程は、部品電極113dの表面全体を露出させるようにシリコンベース層182および電子部品接着層172を除去して電子部品層前駆体を作製する。電子部品層前駆体作製工程では、具体的には、図4Eに示すように、第1樹脂封止部117および側壁部115に第1Siサポート(第1シリコンサポート)184を貼合する。具体的には、シリコンベース層準備工程で説明したシリコンベース層182を第1Siサポート184として別途準備する。次いで、電子部品接着工程で説明した方法により、シリコンベース層182上に接着層174(厳密には、接着剤の塗布膜)を形成する。その後、第1樹脂封止部117および側壁部115の研削面が塗布膜と接触するようにして、第1Siサポート184上に第1樹脂封止部117および側壁部115を貼合し、圧力を印加して加熱する。これにより、接着剤の塗布膜を硬化させ接着層174を形成し、第1樹脂封止部117および側壁部115の研削面上に接着層174を介して第1Siサポート184を配置する。
【0077】
第1Siサポート184を設ける目的は、後続のシリコンベース層182および電子部品接着層172の除去において、製造過程の層が従来に比べ薄いことによる弊害の発生(より具体的には、強度の低下等)を防止するためである。図4Fに示すように、Siウェハのバックグラインダを用いて、シリコンベース層182および電子部品接着層172を研削して除去する。このようにして電子部品層前駆体110’を作製する。なお、電子部品層前駆体110’は、電子部品層110から電子部品層貫通ビア119を除去したものである。
【0078】
(電子部品層前駆体接着工程)
電子部品層前駆体接着工程は、図4Hに示すように、2つの電子部品層前駆体110’、210’の部品電極113d,213dが露出しない主面112’,212’を互いに向かい合うようにして電子部品層前駆体110’、210’を接着させて、一対の電子部品層前駆体10’’を作製する。なお、一対の電子部品層前駆体10’’は、反転層10から再配線層119,219および電子部品層貫通ビア119,219を除去したものである。
【0079】
具体的には、まず、図4Gに示すように、主面112’が露出するように電子部品層前駆体110’を配置する。具体的には、部品電極113dおよび絶縁部113eに接着層174を介して第2Siサポート(第2シリコンサポート)186を貼合する。その後、第1Siサポート184および接着層174を研削して除去する。
【0080】
次いで、電子部品層前駆体110’と同様にして、電子部品層前駆体210’を作製する。2つの電子部品層前駆体110’,210’の部品電極113d,213dが露出しない主面112’,212’が互いに向かい合うようにして接着層130により接着させる。その後、電子部品層前駆体210’を支持していた第2Siサポートおよび接着層を研削して削除する。これにより、一対の電子部品層前駆体10’’を作製する。
【0081】
(反転層前駆体作製工程)
反転層前駆体作製工程は、図4Nに示すように、一対の電子部品層前駆体10’’の側壁部115,215を貫通する電子部品層貫通ビア119,219、および一対の電子部品層前駆体10’’の部品電極213dが露出する主面(電子部品層210の第1主面211に相当)に再配線層220を形成して反転層前駆体10’を作製する。なお、反転層前駆体10’は、反転層10から再配線層120を除去したものである。
【0082】
反転層前駆体作製工程は、フォトリソグラフィー法を用いて電子部品層貫通ビア119,219および再配線層220を作製することができる。図4HのB部を拡大した断面図を参照して、電子部品層貫通ビア119,219および再配線層220の作製を説明する。
【0083】
図4Iは、図4HのB部に対応する部分の拡大図である。図4J図4Mも同様である。図4Jに示すように、平面視での電子部品層貫通ビア119,219のパターンに相当するパターンを有するフォトレジスト膜290を形成する。この状態で露光および現像して、図4Kに示すように、フォトレジスト膜290の開口部290fからZ方向に存在する側壁部115,215および接着層130を選択的に除去(エッチング)する。エッチングは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)およびレーザー照射を用いて実施する。これにより貫通孔115f,215f,130fが形成され、接着層174(の上面の一部)が露出する。ここで、ZX断面における接着層130の貫通孔130fは略楕円形状を有する。これは、接着層130を構成する材料が、側壁部115,215を構成する材料に比べ、エッチングされやすいためである。これにより、後続の電子部品層貫通ビア形成において略楕円形状の導電ビア119aが形成される。貫通孔115f,215f,130fの形成後、フォトレジスト膜290を除去する。
【0084】
次いで、貫通孔115f,215f,130fに電子部品層貫通ビア119,219を形成する。具体的には、図4Lに示すように、電気めっきにより貫通孔115f,215f,130fに電子部品層貫通ビア119,219を形成する。デュアル・ダマシン法(より具体的には、Cuデュアル・ダマシン法)を用いて、電解めっき(より具体的には、電解Cuめっき)により貫通孔115f,215f,130fに電子部品層貫通ビア119,219を形成する。これにより、電子部品層110,210が形成される。
【0085】
次いで、再配線層220を形成する。再配線層220の形成では、具体的には、図4Mに示すように、上述のフォトリソグラフィー法およびエッチングにより、所定のパターンを有する誘電膜および配線を形成して、再配線層220を形成する。図4Mは、図4NのC部拡大図である。
【0086】
再配線層220の形成では、例えば、PECVDのような気相成長(CVD)法を使用して、無機誘電膜(厚み0.1~0.2μm)を形成できる。無機誘電膜は、1層以上を形成してもよい。例えば、4層の無機誘電膜を形成する場合、電子部品層前駆体210’の部品電極213dが露出する主面211’側から順に、例えば、SiO2:0.25μm/Si34:0.1μm/SiO2:0.25μm/Si340.1μmとすることができる。
【0087】
(第2複合部品層形成工程)
第2複合部品層形成工程は、第2複合部品層を形成する。第2複合部品層形成工程は、具体的には、図4Oに示すように、第2電子部品913をはんだ940により再配線層220に電気的に接続させる。次いで、第2電子部品913を封止して第2樹脂封止部917を形成する。これにより、第2複合部品層900を形成する。
【0088】
(反転層作製工程)
反転層作製工程では、図4Pに示すように、(一対の電子部品層前駆体10’’)の一方の主面(電子部品層210の第1主面211に相当)の反対側に位置する反転層前駆体10’の他方の主面(電子部品層110の第1主面111)に再配線層120を形成して、反転層10を作製する。再配線層120の形成は、反転層前駆体作製工程で述べた再配線層220と同様に形成できる。
【0089】
(ダイシング工程)
ダイシング工程は、図4Pに示すように第2Siサポート186および接着層174を除去して、破線に沿ってダイシングしてマザー集積体を個片化する。これにより、第1実施形態に係る複合部品デバイス1が製造される。
【0090】
<第2実施形態>
[複合部品デバイスの構成]
第2実施形態に係る複合部品デバイス1Aは、図5に示すように、第1実施形態に係る複合部品デバイス1に比べ、反転層10を構成しない第1複合部品層100をさらに備える点、ならびに電子部品層貫通ビア119A,219A,319Aが有する回路パターンの点で相違する。この相違する構成を以下で主として説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の符号は、第1実施形態を同じ構成であるため、原則としてその説明を省略する。
【0091】
図5を参照して、第2実施形態に係る複合部品デバイスの構成を説明する。図5は、本開示の第2実施形態に係る複合部品デバイス1Aの断面を模式的に示した図である。
【0092】
反転層10Aは、複数の第1複合部品層100,200,300の積層方向の中央側に少なくとも配置される。ここで、「中央側の配置」とは、複合部品デバイス1Aを構成する層(第1複合部品層100,200,300および第2複合部品層900)の総数の中間に配置されること、または中間層を含んで配置されることをいう。反転層10Aは、総層数4の中間層である複合部品デバイス1Aの下から2~3番目の第1複合部品層200,300で構成される。このため、反転層10Aは、複合部品デバイス1Aの中央側に配置される。
この場合、内部応力が相殺されやすい反転層10Aが複合部品デバイス1Aの中央側に配置されるため、複合部品デバイス1Aが全体として反りの発生がより抑制される。
【0093】
第2実施形態では総層数が偶数であるが、ここで、総層数が奇数である(後述の)第3実施形態に係る複合部品デバイス1Bを例に挙げて「中央側の配置」をさらに説明する。複合部品デバイス1Bは、総層数5の層(4個の第1複合部品層100~400および1個の第2複合部品層900)で構成される。このため、反転層10Bは、中間層である第1複合部品層300を含む下から3~4番目の第1複合部品層300,400で構成される。よって、反転層10Bは、複合部品デバイス1Bにおいて中央側に配置される。
【0094】
(第1複合部品層)
第2実施形態に係る複合部品デバイス1Aは、第1複合部品層200,300とで構成される反転層10Aに加えて、第1複合部品層100をさらに備える。第1複合部品層100は、第2主面112側で第1複合部品層200の再配線層220に接着層130を介して接合する。複合部品デバイス1Aでは、最外層として、反転層10Aを構成しない第1複合部品層が配置される。
【0095】
(電子部品層貫通ビア)
電子部品層貫通ビア119Aは、側壁部115を貫通する側壁部貫通ビアと、接着層130を貫通する導電ビア(不図示)とを有する。電子部品層貫通ビア119Aは、導電ビアによって、再配線層220と電気的に接続する。第1実施形態の図2で示したのと同様に、複合部品デバイス1Aの厚み方向に垂直な平面において、導電ビアの断面積(XY平面における断面積)は側壁部貫通ビアの断面積よりも大きい。このため、電子部品層貫通ビア119Aは再配線層220との電気的接続が良好となり、第1複合部品層100,200間の接続抵抗が低下する。よって、第2実施形態に係る複合部品デバイス1Aは、信頼性がさらに向上する。
【0096】
電子部品層貫通ビア119A,219A,319Aは、複数の第1複合部品層100,200,300のうちの少なくとも一対の隣接する第1複合部品層において、1の直線上に配列するように配置されている。詳しくは、図5に示す断面(ZX断面)視において、電子部品層貫通ビア219A,319Aの2つは、隣接する第1複合部品層200,300において、1の直線上に配列するように配置されている。また、電子部品層貫通ビア119A,219A,319Aの3つは、隣接する第1複合部品層100,200,300において、1の直線上に配列するように配置されている。
よって、本開示に係る複合部品デバイスは、その用途に応じて電子部品層貫通ビアの配列を選択することができるため、設計の自由度が高い。
【0097】
[複合部品デバイスの製造方法]
第2実施形態に係る複合部品デバイス1Aの製造方法の一例を説明する。
第2実施形態に係る複合部品デバイス1Aの製造方法は、例えば、第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法にさらに、
反転層前駆体に、別途作製した電子部品層前駆体を積層する積層工程と、
積層した電子部品層前駆体に電子部品層貫通ビアおよび再配線層を形成する配線形成工程と
を含んで成る。
すなわち、第2実施形態に係る複合部品デバイス1Aの製造方法は、積層工程と配線形成工程とを組み合わせた工程が1回実行される。
【0098】
具体的に、図6A図6Dを参照して、複合部品デバイス1Aの製造方法の一例について説明する。図6A図6Dは、複合部品デバイス1Aの製造方法を説明するための図である。第2実施形態に係る複合部品デバイス1Aの製造方法は、絶縁部形成工程と、シリコンベース層準備工程と、電子部品接着工程と、電子部品封止工程と、樹脂封止部薄化工程と、電子部品層前駆体作製工程と、電子部品層前駆体接着工程と、反転層前駆体作製工程と、積層工程と、反転層作製工程と、第2複合部品層形成工程と、配線形成工程と、ダイシング工程とを含んで成る。
【0099】
(積層工程)
積層工程は、反転層前駆体10A’の再配線層220に、別途作製した電子部品層前駆体110’を積層する。積層工程は、具体的には、第1実施形態と同様にして反転層前駆体10A’を作製する(参照:図4A図4N;ただし、第1実施形態に比べ、電子部品層貫通ビア219A,319Aの回路パターンが異なる)。得られた反転層前駆体10A’における第1複合部品層200,300の再配線層220側に、接着層130により電子部品層前駆体110’を貼合する。ここで、電子部品層前駆体110’は、第1実施形態と同様にして別途作製する(参照:図4A図4G)。このようにして、積層工程では、反転層前駆体10A’に、別途作製した電子部品層前駆体110’を積層する。
【0100】
(反転層形成工程)
反転層形成工程では、図6Bに示すように、反転層前駆体10A’の一方の主面(電子部品層210の第1主面211に相当)の反対側に位置する他方の主面(電子部品層310の第1主面311に相当)に再配線層320を形成して、反転層10Aを作製する。
具体的には、反転層形成工程では、図6Bに示すように、まず、第2Siサポート386および接着層374を削除する。次いで、露出した反転層前駆体10A’の他方の主面(電子部品層310の第1主面311に相当)に再配線層320を作製する。このようにして反転層10Aを作製する。
【0101】
(第2複合部品層形成工程)
第2複合部品層形成工程は、図6Cに示すように、再配線層320に第2複合部品層900を形成する(第1実施形態の第2複合部品層形成工程および図4Oを参照)。
【0102】
(配線形成工程)
配線形成工程は、積層した電子部品層前駆体110’に電子部品層貫通ビア119Aおよび再配線層120を形成する。具体的には、配線形成工程では、図6Dに示すように、第2Siサポート186および接着層174を除去する。次いで、側壁部115に電子部品層貫通ビア119Aと、露出した電子部品層前駆体110’の主面111’に再配線層120とを形成する。ここで、電子部品層貫通ビア119Aは、接着層130に延在して形成される。
【0103】
ダイシング工程を経て、複合部品デバイス1Aが製造される。
【0104】
<第3実施形態>
[複合部品デバイスの構成]
第3実施形態に係る複合部品デバイス1Bは、図7に示すように、第1実施形態に係る複合部品デバイス1に比べ、反転層20Bを構成する第1複合部品層100,200をさらに備える点、ならびに第1樹脂封止部117B,217B,317B,417Bの樹脂量が低減されている点で相違する。この相違する構成を以下で主として説明する。なお、第3実施形態において、第1~2実施形態と同一の符号は、第1~2実施形態とそれぞれ同じ構成であるため、原則としてその説明を省略する。
【0105】
図7を参照して、第3実施形態に係る複合部品デバイスの構成を説明する。図7は、第3実施形態に係る複合部品デバイス1Bの断面を模式的に示した図である。
【0106】
(第1複合部品層、反転層)
第3実施形態に係る複合部品デバイス1Bは、第1複合部品層300,400とで構成される反転層10Bに加えて、第1複合部品層100,200とで構成される反転層20Bをさらに備える。複合部品デバイス1Bは、反転層10B,20Bを複数備える。複合部品デバイス1Bは、第1複合部品層100,200,300,400内の内部応力を相殺しやすい反転層10B,20Bを複数備えることで、反りの発生を効果的に抑制することができるため、第1複合部品層のさらなる多層化が可能となる。よって、本開示に係る複合部品デバイスは、その用途に応じて層数を調整することができるため、設計の自由度が高い。
【0107】
複数の反転層10B,20Bのうち隣接する2つの反転層10B,20Bは、接着層230を介して接合する。隣接する一対の反転層10B,20Bが接着層230を介して接合するため、反転層10B,20B内に生じる内部応力がさらに低減され、これにより第1複合部品層のさらなる多層化が可能となる。よって、本開示に係る複合部品デバイスは、その用途に応じて層数を調整することができるため、設計の自由度が高い。
【0108】
複数の第1複合部品層100,200,300,400が偶数個(具体的には、2個)の反転層10B,20Bを構成し、偶数個の反転層10B,20Bは、その積層方向の中央に対して対称である。
【0109】
ここで、中央とは、積層した反転層10B,20Bの界面(接着層230に相当)に対して、各反転層10B,20Bの構成(より具体的には、電子部品層110,210,310,410、再配線層120,220,320,420、第1電子部品113B,213B,313B,413B、側壁部115,215,315,415、第1樹脂封止部117B,217B,317B,417B、電子部品層貫通ビア119,219,319,419の配置箇所、数、種類、寸法、および形状等)が線対称であることをいう。例えば、反転層10Bを構成する電子部品層310,410が、反転層20Bを構成する電子部品層110,210と接着層230に対して線対称であることをいう。
【0110】
偶数個の反転層10B,20Bが積層方向の中央に対して対称であると、各反転層10B,20B内でそれぞれ生じる内部応力が正反対となりやすく、相殺されやすい。よって、第3実施形態に係る複合部品デバイス1Bは反りの発生がより抑制される。
【0111】
(電子部品層貫通ビア)
電子部品層貫通ビア319は、側壁部315を貫通する側壁部貫通ビア、ならびに接着層330を貫通して電子部品層貫通ビア419と電気的に接続する導電ビアに加え、さらに反転層10B,20Bを接合する接着層230を貫通して反転層10B,20B間を電気的に接続する反転層間導電ビア(不図示)を有する。
【0112】
第1複合部品層100,200,300,400の積層方向に垂直な断面において、反転層間導電ビアの断面積は、側壁部貫通ビアの断面積よりも大きい。かかる場合、反転層10B,20B間を接続面積がより大きな反転層間導電ビアで電気的に接続されるため、複合部品デバイス1Bは、高い信頼性を有する。
【0113】
(第1樹脂封止部)
複数の第1複合部品層100,200は接着層130により接合し、電子部品本体部113cの第2面113bは接着層130に接触する。つまり、第1樹脂封止部117Bは電子部品本体部113cの第2面113b側に樹脂を有しない。このように、反りの発生を行う樹脂の量が低減されているため、第3実施形態に係る複合部品デバイス1Bは、反りの発生がより抑制される。
【0114】
[複合部品デバイスの製造方法]
第2実施形態に係る複合部品デバイス1Bの製造方法の一例を説明する。
第2実施形態に係る複合部品デバイス1Bの製造方法は、例えば、第1実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法にさらに、
反転層前駆体に、別途作製した一対の電子部品層前駆体を積層する積層工程と、
積層した一対の電子部品層前駆体に電子部品層貫通ビアおよび再配線層を形成する配線形成工程と
を含んで成り、
積層工程と配線形成工程とを組み合わせた工程が1回実行される。
【0115】
具体的に、図8A図8Eを参照して、複合部品デバイス1Bの製造方法の一例について説明する。図8A図8Eは、複合部品デバイス1Bの製造方法を説明するための図である。第3実施形態に係る複合部品デバイス1Bの製造方法は、絶縁部形成工程と、シリコンベース層準備工程と、電子部品接着工程と、電子部品封止工程と、樹脂封止部薄化工程と、電子部品層前駆体作製工程と、電子部品層前駆体接着工程と、反転層前駆体作製工程と、積層工程と、配線形成工程と、第2複合部品層形成工程と、反転層作製工程と、ダイシング工程とを含んで成る。なお、第2実施形態に係る複合部品デバイスの製造方法は、積層工程と配線形成工程とを組み合わせた工程は、1回実行される。
【0116】
(樹脂封止部薄化工程)
樹脂封止部薄化工程では、図8Aに示すように、第1電子部品113Bが露出するまで第1樹脂封止部117Bを薄くする。ここで、第1樹脂封止部117Bに加えて、第1電子部品113Bの一部を研削してもよい。ただし、第1電子部品113Bを損傷させないように研削する。第1電子部品113Bが露出するまで第1樹脂封止部117Bを薄くすると、第1樹脂封止部117Bを構成する樹脂の量を低減できる。よって、複合部品デバイス1Bの反りの発生をさらに抑制できる。このようにして電子部品層前駆体110B’を作製する。
【0117】
(反転層前駆体作製工程)
反転層前駆体作製工程は、図8Bに示すように、電子部品層前駆体110’,210’に代えて電子部品層前駆体110B’,210B’を採用する以外は第1実施形態と同様にして反転層前駆体10B’を作製する(参照:図4A図4N)。
【0118】
(積層工程)
積層工程は、図8Dに示すように、反転層前駆体10B’に、別途作製した一対の電子部品層前駆体10B’’を積層する。積層工程は、具体的には、得られた反転層前駆体10B’における第1複合部品層200の再配線層220側に、接着層230により一対の電子部品層前駆体10B’’を貼合する。ここで、一対の電子部品層前駆体10B’’は、図8Cに示すように、反転層前駆体作製工程で作製した電子部品層前駆体310B’,410B’を採用し、さらに再配線層320を形成する以外は第1実施形態と同様にして別途作製する(参照:図4A図4G)。このようにして、積層工程では、反転層前駆体10B’に、別途作製した一対の電子部品層前駆体10B’’を積層する。
【0119】
(配線形成工程)
配線形成工程は、積層した一対の電子部品層前駆体10B’’に電子部品層貫通ビアおよび再配線層を形成する。具体的には、配線形成工程では、図8Eに示すように、第2Siサポート486および接着層474を除去する。次いで、側壁部415に電子部品層貫通ビア419を、側壁部315に電子部品層貫通ビア319を、ならびに露出した一対の電子部品層前駆体10B’’の主面(電子部品層410の第1主面411に相当)に再配線層420を形成する。ここで、電子部品層貫通ビア319は、接着層230,330に延在して形成される。
【0120】
(第2複合部品層形成工程)
第2複合部品層形成工程は、図7に示すように、再配線層420に第2複合部品層900を形成する(第1実施形態の第2複合部品層形成工程および図4Oを参照)。
【0121】
(反転層形成工程)
反転層形成工程は、図7に示すように、一方の主面(電子部品層210の第1主面211に相当)の反対側に位置する反転層前駆体10B’の他方の主面(電子部品層110の第1主面111に相当)に再配線層120を形成して、反転層20Bを作製する。
具体的には、反転層形成工程では、まず、第2Siサポート186および接着層174を削除する。次いで、露出した反転層前駆体10B’の主面(電子部品層110の第1主面111に相当)に再配線層120を作製する。このようにして反転層10Bを作製する。
【0122】
ダイシング工程を経て、複合部品デバイス1Bが製造される。
【0123】
<その他の実施形態>
本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。また、第1~第3実施形態の構成を様々に組み合わせてもよい。
【0124】
第1実施形態では、電子部品層貫通ビア119は、平面視(図3におけるXY断面視)において、整列配置されるように設けられていたが、これに限定されない。例えば、電子部品層貫通ビア119Dは、図10に示すように、複数の第1複合部品層100,200の積層方向に垂直な断面において、千鳥配置されるように設けられてもよい。このように、本開示の複合部品デバイスは、その用途に応じて電子部品層貫通ビア119,219,319の配置を選択することができるため、設計の自由度が高い。
【0125】
「千鳥配置」とは、本明細書では、平面視において挟角60°で互いに交差する直線上に等間隔の距離(以下、「距離L」とも称する)で配列された配置をいう。挟角60°の交差を構成する一方の直線が複数存在する場合、複数の平行な直線は、距離L×√3/2で離間して隣接する。このため、千鳥配置は、整列配置に比べ電子部品層貫通ビア119Dより集積化できる。
【0126】
第1実施形態では、1の第1複合部品層100における第1樹脂封止部117を構成する樹脂は、別の第1複合部品層200の第1樹脂封止部217を構成する樹脂と異なってもよいとしていた。第2実施形態では、3つの第1複合部品層100,200,300における第1樹脂封止部117,217,317を構成する樹脂のうち、3ついずれもが互いに異なってもよく、または2つが互いに異なってもよい。第3実施形態では、4つの第1複合部品層100,200,300,400における第1樹脂封止部117B,217B,317B,417Bを構成する樹脂のうち、4ついずれもが互いに異なってもよく、または3つもしくは2つが互いに異なってもよい。
【0127】
第1実施形態では、複数の電子部品層110,210において、第1樹脂封止部117,217を構成する樹脂は互いに異なるものであったが(つまり、2つの第1樹脂封止部117,217を構成する樹脂がそれぞれ異なるものであったが)、これに限定されない。例えば、第2実施形態では、3つの第1樹脂封止部117,217,317を構成する樹脂のうち、2つまたは3つの樹脂が互いに異なってもよい。第3実施形態では、4つの第1樹脂封止部117B,217B,317B,417Bを構成する樹脂のうち、2つ~4つのいずれかの樹脂が互いに異なってもよい。このように各第1複合部品層において種類が互いに異なる樹脂を採用できるため、複合部品デバイスはその用途に応じて特定の樹脂種を選択することができる。例えば、複合部品層ごとに第1樹脂封止部に異なる機能を付与することができる。よって、本開示に係る複合部品デバイスは、設計の自由度が高い。
【0128】
第1~3実施形態では、それぞれ2つ~4つの第1複合部品層を備える複合部品デバイス1,1A,1Bであったが、これに限定されない。例えば、複合部品デバイスは、5つ以上の第1複合部品層を備えてもよい。このような場合、複合部品デバイスの製造方法において積層工程と配線形成工程とを組み合わせた工程を2回以上実行する。本開示に係る複合部品デバイスは、各第1複合部品層の構成がほぼ同じであるため、配線設計が複雑となりにくく、第1複合部品層間を容易に電気的に接続しやすい。よって、第1複合部品層を5以上積層しても配線を容易に形成できる。このため、回路設計において内蔵する第1電子部品の数や種類等の制限がかかりにくく、設計の自由度が高い。多様な回路構成が可能となり、適用される用途範囲がより広くなる。
【0129】
複合部品デバイスの製造方法において積層工程と配線形成工程とを組み合わせた工程を2回以上実行する場合、第2~3実施形態に示したように、積層工程、反転層作製工程、第2複合部品層形成工程、および反転層形成工程は、複合部品デバイスを製造できる範囲で、工程の順番を変更することができる。
【0130】
第1~3実施形態では、複合部品デバイスは、電子部品を各第1複合部品層に3つ有していたが、これに限定されない。例えば、複合部品デバイスは、1、2、または4以上の第1電子部品を各第1複合部品層に有してもよい。また、複合部品デバイスは、各第1複合部品層で異なる数の第1電子部品を有してもよい。このため、回路設計において内蔵する電子部品の数や種類等の制限がかかりにくく、設計の自由度が高い。多様な回路構成が可能となり、適用される用途範囲がより広くなる。
【0131】
第1~3実施形態では、電子部品封止工程においていわゆるFace up方式を採用し、第1電子部品113を搭載したシリコンベース層182上に液状樹脂を直接塗布し成形していたが、これに限定されない。例えば、いわゆるFace dawn方式を採用し、セパレートシート上に液状樹脂を塗布し、第1電子部品113を搭載したシリコンベース層182を接着させて成型してもよい。また、液状樹脂に代えて顆粒状樹脂またはシート樹脂を用いてもよい。
【0132】
第1実施形態では、電子部品層前駆体接着工程において接着層174を除去していたが、これに限定されない。接着層174の除去に代えて、接着層174の全部またはその一部を残してもよい。接着層174を残すと、電子部品層前駆体の表面の平滑性を向上させることができる。これにより、設計をより正確に反映させた再配線層220を形成することができる。
【0133】
本開示に係る複合部品デバイスおよびその製造方法の態様は、以下の通りである。
<1>
第1電子部品を内蔵する第1複合部品層を複数積層して備える複合部品デバイスであって、
前記第1複合部品層は、第1主面および該第1主面に対向する第2主面を有する電子部品層と、該第1主面に設けられた再配線層とを備え、
前記複数の第1複合部品層の少なくとも2つは、2つ一組で前記第2主面が互いに向かい合うように形成される反転層を構成し、
前記電子部品層は、前記第1電子部品と、前記第1電子部品を封止する第1樹脂封止部と、前記第1電子部品を取り込むように配置された側壁部と、該側壁部を貫通し前記再配線層と電気的に接続する電子部品層貫通ビアとを有し、
前記第1電子部品は、前記再配線層に直接接合している、複合部品デバイス。
<2>
前記再配線層は、無機材料から実質的に成る誘電膜を有する、<1>に記載の複合部品デバイス。
<3>
前記側壁部は、シリコンから実質的に成る、<1>または<2>に記載の複合部品デバイス。
<4>
前記電子部品層は、一層当たり複数の第1電子部品を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<5>
複数の前記電子部品層において、各第1樹脂封止部を構成する樹脂は互いに異なる、<1>~<4>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<6>
さらに、第2電子部品と、該第2電子部品を封止する第2樹脂封止部とを有する第2複合部品層を最外層として備える、<1>~<5>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<7>
前記第2複合部品層は側壁部を有しない、<6>に記載の複合部品デバイス。
<8>
前記反転層が、前記複数の第1複合部品層の積層方向の中央側に少なくとも配置され、
前記複合部品デバイスの最外層として、前記反転層を構成しない第1複合部品層が配置される、<1>~<7>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<9>
前記電子部品層貫通ビアは、前記第1複合部品層の積層方向に垂直な断面において、千鳥配置または整列配置されるように設けられている、<1>~<2>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<10>
前記電子部品層貫通ビアは、前記第1複合部品層の積層方向と略平行となるように設けられており、
前記複数の複合部品層のうち少なくとも一対の隣接する第1複合部品層において、電子部品層貫通ビアは1の直線上に配列するように配置されている、<1>~<9>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<11>
前記反転層を複数備える、<1>~<10>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<12>
前記複数の反転層のうち隣接する2つの反転層は、接着層を介して接合する、<11>に記載の複合部品デバイス。
<13>
前記電子部品層貫通ビアは、前記側壁部を貫通する側壁部貫通ビアと、前記接着層を貫通して前記反転層間を電気的に接続する反転層間導電ビアとを有し、
前記第1複合部品層の積層方向に垂直な断面において、前記反転層間導電ビアの断面積は、前記側壁部貫通ビアの断面積よりも大きい、<12>に記載の複合部品デバイス。
<14>
前記複数の第1複合部品層が偶数個の反転層を構成し、
前記偶数個の反転層は、前記偶数個の反転層の積層方向の中央に対して対称である、<11>~<13>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<15>
前記第1電子部品は、部品電極が配置されている第1面と、該第1面と対向する第2面とを有し、
前記複数の第1複合部品層は接着層により接合し、
前記第1電子部品は、部品電極と、該部品電極が配置された第1面および該第1面と対向する第2面を有する電子部品本体部とを備え、
前記第2面は前記接着層に接触する、<1>~<14>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<16>
前記電子部品層は、一層当たり複数の第1電子部品を有し、
前記複数の第1電子部品は異なる、<1>~<15>のいずれか1つに記載の複合部品デバイス。
<17>
<1>~<16>のいずれか1つに記載の複合部品デバイスを製造する方法であって、
格子状の側壁部および底面部を有するシリコンベース層の該底面部に前記第1電子部品の部品電極が電子部品接着層を介して接触するように、前記シリコンベース層に前記第1電子部品を接着させる電子部品接着工程と、
前記第1電子部品を樹脂で封止して樹脂封止部を形成する電子部品封止工程と、
前記部品電極の表面全体を露出させるように前記シリコンベース層および前記電子部品接着層を除去して電子部品層前駆体を作製する電子部品層前駆体作製工程と、
2つの前記電子部品層前駆体の前記部品電極が露出しない主面を互いに向かい合うようにして前記電子部品層前駆体を接着させて、一対の電子部品層前駆体を作製するキャビティ接着工程と、
前記一対の電子部品層前駆体の側壁部を貫通する電子部品層貫通ビア、および前記一対の電子部品層前駆体の前記部品電極が露出する一方の主面に再配線層を形成して反転層前駆体を作製する反転層前駆体作製工程と、
前記一方の主面の反対側に位置する前記反転層前駆体の他方の主面に再配線層を形成して、反転層を形成する反転層作製工程と、
前記反転層前駆体の前記再配線層に、別途作製した前記一対の電子部品層前駆体および別途作製した前記電子部品層前駆体の一方を積層する積層工程と、
前記積層した一対の電子部品層前駆体および前記積層した電子部品層前駆体の一方に電子部品層貫通ビアおよび再配線層を形成する配線形成工程と
を含んで成り、
前記積層工程と前記配線形成工程とを組み合わせた工程が0回以上実行される、複合部品デバイスの製造方法。
<18>
前記積層工程と前記配線形成工程とを組み合わせた前記工程が1回以上実行される、<17>に記載の複合部品デバイスの製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本開示に係る複合部品デバイスは、様々な電子機器に搭載して利用することができる。
【符号の説明】
【0135】
1,1A,1B・・・複合部品デバイス
10,10A,10B,20B・・・反転層
10’,10A’,10B’,20’・・・反転層前駆体
10’’,10B’’・・・一対の電子部品層前駆体
100,200,300,400・・・第1複合部品層
110,210,310,410・・・電子部品層
110’,110B’,210’,310B’,410B’・・・電子部品層前駆体
111,211,311,411・・・(電子部品層の)第1主面
111’・・・(電子部品層前駆体の)主面
112’,212’・・・(電子部品層前駆体の)主面
112,212,312,412・・・(電子部品層の)第2主面
113,113B,213,213B,313,313B,413B・・・第1電子部品
113a・・・第1面
113b・・・第2面
113c・・・電子部品本体部
113d・・・部品電極
113e・・・絶縁部
115,215,315・・・側壁部
117,117B,217,217B,317,317B,417B・・・第1樹脂封止部
119,119A,219,219A,319,319A,419・・・電子部品層貫通ビア
119a・・・導電ビア
119b・・・側壁部貫通ビア
120,220,320,420・・・再配線層
130,230,330・・・接着層
172・・・電子部品接着層
182・・・シリコンベース層
900・・・第2複合部品層
913・・・第2電子部品
917・・・第2樹脂封止部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図4P
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図10