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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090151
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】歩行型電動管理機
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B60K1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205848
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】原 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】富久 聡
(72)【発明者】
【氏名】宮内 正男
(72)【発明者】
【氏名】米田 彩美
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA12
3D235BB23
3D235BB25
3D235BB32
3D235CC12
3D235CC15
3D235DD12
3D235DD33
3D235FF02
3D235FF32
(57)【要約】
【課題】本発明は、作業者が機体の後側を追従して歩行する歩行型電動管理機において、操縦操作を行い易くすることを課題とする。
【解決手段】動力部8と、動力部8からの動力を各部に伝動する伝動機構を内装するミッションケース1と、ミッションケース1からの動力によって回転する左車軸2Lと右車軸2Rと、左車軸2Lと右車軸2Rが回転することによってそれぞれ駆動する左走行輪3Lと右走行輪3Rと、ミッションケース1の前方に備えられる機体フレーム5と、ミッションケース1の後方に備えられる作業機6とを備え、動力部8と制御装置14は平面視において重ねるように備えられることを特徴とする歩行型電動管理機とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力部(8)と、前記動力部(8)からの動力を各部に伝動する伝動機構を内装するミッションケース(1)と、前記ミッションケース(1)からの動力によって回転する左車軸(2L)と右車軸(2R)と、前記左車軸(2L)と前記右車軸(2R)が回転することによってそれぞれ駆動する左走行輪(3L)と右走行輪(3R)と、前記ミッションケース(1)の前方に備えられる機体フレーム(5)と、前記ミッションケース(1)の後方に備えられる作業機(6)とを備え、
前記動力部(8)と制御装置(14)は平面視において重ねるように備えられることを特徴とする歩行型電動管理機。
【請求項2】
前記動力部(8)の上方に取り付けたブラケット(10)を介して、前記制御装置(14)を備えることを特徴とする請求項1に記載の歩行型電動管理機。
【請求項3】
前記ブラケット(10)には、前記制御装置(14)を支持する支持部材(10a,10b)を備えることを特徴とする請求項2に記載の歩行型電動管理機。
【請求項4】
前記ブラケット(10)の左右端部には上方に立設した側面部(10e)を備え、前記側面部(10e)には平面視において重なるように挟持具(12,13)を備え、前記挟持具(12,13)間には弾性体(11)を備え、左右それぞれの前記挟持具(12,13)と前記弾性体(11)で前記制御装置(14)を挟持することを特徴とする請求項3に記載の歩行型電動管理機。
【請求項5】
平面視において、前記左車軸(2L)と前記右車軸(2R)間に制御装置(14)を配置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の歩行型電動管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの電力で電動モータを駆動しながら農作業を行って走行する歩行型電動管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型電動管理機が、特許第5785734号公報に記載されている。
【0003】
この歩行型電動管理機は、機体中央に設けるバッテリーケースの前側に作業ユニットを設け、後側に走行ユニットを設け、バッテリーケースから後上方に操縦ハンドルを設けた構成で、バッテリーケースに収納したバッテリーで作業ユニットの作業駆動モータと走行ユニットに収納した走行駆動モータを駆動して走行しながら耕耘作業をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5785734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の歩行型電動管理機は、エンジンの代わりにバッテリーとモータを搭載しているが、バッテリーやモータを搭載するにあたって複数のケースを必要としており、構成が複雑であった。
【0006】
このため、機体後方で作業をする作業者が操縦ハンドルをしっかり持った状態で操縦操作を行わなければならず、作業者の負担が大きかった。
【0007】
そこで、本発明は、作業者が機体の後側を追従して歩行する歩行型電動管理機で操縦操作を行い易くすることを課題とし、機体フレーム上にモータを搭載し、モータより上方にバッテリーを備えることで機体の安定性を確保する歩行型管理機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0009】
請求項1の発明は、動力部8と、前記動力部8からの動力を各部に伝動する伝動機構を内装するミッションケース1と、前記ミッションケース1からの動力によって回転する左車軸2Lと右車軸2Rと、前記左車軸2Lと前記右車軸2Rが回転することによってそれぞれ駆動する左走行輪3Lと右走行輪3Rと、前記ミッションケース1の前方に備えられる機体フレーム5と、前記ミッションケース1の後方に備えられる作業機6とを備え、
前記動力部8と制御装置14は平面視において重ねるように備えられることを特徴とする歩行型電動管理機。
【0010】
請求項2の発明は、前記動力部8の上方に取り付けたブラケット10を介して、前記制御装置14を備えることを特徴とする請求項1に記載の歩行型電動管理機とする。
【0011】
請求項3の発明は、前記ブラケット10には、前記制御装置14を支持する支持部材10a,10bを備えることを特徴とする請求項2に記載の歩行型電動管理機とする。
【0012】
請求項4の発明は、前記ブラケット10の左右端部には上方に立設した側面部10eを備え、前記側面部10eには平面視において重なるように挟持具12,13を備え、前記挟持具12,13間には弾性体11を備え、左右それぞれの前記挟持具12,13と前記弾性体11で前記制御装置14を挟持することを特徴とする請求項3に記載の歩行型電動管理機。
【0013】
請求項5の発明は、平面視において、前記左車軸2Lと前記右車軸2R間に制御装置14を配置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の歩行型電動管理機とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、機体を構成するミッションケース1の前方に設けた機体フレーム5に動力部8と制御装置14を上下に重ねるように搭載しているので、機体の中心であるミッションケース1上に重量部材が集中するので安定し、作業者が機体の水平を維持して操縦を行い易くなる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加えて、動力部8の上部にバッテリー15を搭載するブラケット10を設けているので、より安定した操縦を行うことができる。
【0016】
請求項3の発明では、制御装置14の下方は、ブラケット10に備えられる支持部材10a,10bで支持されることによって底面に隙間が出来るので、動力部8の熱が制御装置14に伝わり難く、制御装置14の劣化を防ぐ。
【0017】
請求項4の発明では、制御装置14は、側面部10eに取り付けられる挟持具12,13と弾性体11によって側方から挟持されるため、機体の振動が制御装置14まで伝わり難く、破損や劣化を防止できる。
【0018】
請求項5の発明では、歩行型電動管理機の機体の略中心である左車軸2Lと右車軸2R間の上方に重量のある制御装置14が位置するため、機体バランスが安定し、快適な作業が行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明実施例である歩行型電動管理機の駆動モータを取り外した状態の前斜視図である。
図2】同歩行型電動管理機の駆動モータを搭載した状態の前斜視図である。
図3】バッテリー台の斜視図である。
図4】挟持具の斜視図である。
図5】別実施例の挟持具の斜視図である。
図6】同歩行型電動管理機の前斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。なお、実施例の説明においては、機体の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前というが、本発明の構成を限定するものでは無い。
【0021】
図1は、駆動モータ8(請求項における動力部8)を取り外した機体の斜視図である。
【0022】
機体には、駆動モータ8から入力軸4に伝動される駆動回転を変速するギヤ変速機構を内装したミッションケース1を備える。
【0023】
ミッションケース1の下端左右には、左走行輪3Lと右走行輪3Rをそれぞれ取り付ける左車軸2Lと右車軸2Rを軸支し、ミッションケース1の後部には耕耘装置からなる作業機6を装着し、作業機駆動軸(図示省略)を後方へ突出させて作業機6を駆動する。
【0024】
このミッションケース1の前方下部には機体フレーム5をボルトで取り付けて突設し、ミッションケース1の後上端に左右後上方へ伸ばす左右操作ハンドル7L、7Rを設け、ミッションケース1の上部を後カバー20で覆っている。なお、この後カバー20上にシート状のソーラーパネルを張り付けることで太陽光発電を可能にし、太陽光発電によって得られた電力でバッテリー15(請求項における動力源15)を充電できるようにすると作業時間を延ばすことが出来る。
【0025】
図2は、機体フレーム5に駆動モータ8を搭載した状態の斜視図で、駆動モータ8の出力軸とミッションケース1の入力軸4を伝動ベルトで連結し、その外側をベルトカバー9で覆っている。なお、機体フレーム5に駆動モータ8を搭載するにあたり、機体フレーム5に備える取付穴を長穴としておくことで、メンテナンス性が向上する。
【0026】
駆動モータ8の上には、図3に示すブラケット10を取り付けている。
【0027】
詳細には、ブラケット10は、駆動モータ8の上方を覆うように取り付けられる部材の総称を指すものである。
【0028】
ブラケット10には、駆動モータ8上方に覆いかぶさるように取り付けられる取付部10dを備え、取付部10dの上部には保持ステー10fを備える。取付部10dと保持ステー10fは、溶接等によって一体化していることが望ましい。
【0029】
図3に示すように、保持ステー10fは、取付部10d上に備えられるT字状の板状部材であり、バッテリー15を搭載するための各部材を取り付ける基部として機能する。
【0030】
支持部材10a,10bの詳細を説明する。保持ステー10fの上面には左右二つの前後リブ10a(請求項における支持部材10a)と左右それぞれ二つのサイドリブ10b(請求項における10b)を設け、下面にも左右それぞれのサイドリブ10cを設けて強度を向上させている。
【0031】
前後リブ10aに制御装置14を載せることで、制御装置14の底面は前後リブ10a,サイドリブ10bの上面とのみ接しているだけの状態になり、下方に隙間ができるため、駆動モータ8の熱がバッテリー15に伝わりにくく、通気性が良いため換気もできる。
【0032】
また、前後リブ10aがあることで機体進行方向に風を通し易く、冷却効果を高めることができ、制御装置14を前方に滑らせて取り外し易くなる。
【0033】
また、保持ステー10fの左右端部は折り曲げられることで、立設した側面部10eを形成している。
【0034】
側面部10eに備えられる切り欠き部10gは、後述する挟持具12,13の取り付け時に干渉しないように備えられるものである。
【0035】
側面部10eには、バッテリー15を側方から挟んで保持するための、挟持具12,13を取り付けることができる。側面部10eに備えられる取付穴と、挟持具12,13に取り付けられる取付穴を接続することで取付ける。
【0036】
挟持具12,13は平面視において重なるように、即ち、上下に重なるように取り付けられ、挟持具12,13間には弾性体11を挟んでいる。
【0037】
挟持具12,13と弾性体11を上下に重ねるように取り付けることで制御装置14に駆動モータ8の振動が伝わり難くしている。
【0038】
なお、前後リブ10aとバッテリー15の底面の間にゴム板を挟むとさらに制御装置14の振動を低減出来る。
【0039】
挟持具12,13は、図4,5に示すように鉄板を側面視でL字状に折り曲げた形状の部材である。図4図5に示すように、挟持具12,13の面120,130はいずれも取付穴を備えるが、取付穴の大きさや取付穴間の間隔等を異なるものとし、誤組の発生を防止できる構成としておくとよい。
【0040】
挟持具12,13のいずれか一方は、側面部10eを上方と外側を覆うように取り付けられ、機体上方側になった面130に弾性体11を取り付ける。弾性体11の上部には、もう一方の挟持具12,13を載せ、面130の取付穴に接続する。なお、上に位置する方の挟持具12,13の面120の取付穴にボルト等の留め具を通して制御装置14に固定できる構成としても良い。
【0041】
図4は挟持具12,13の中間に補強リブ13aを溶接している構成を示す図である。図5は補強リブ13aが無い構成を示す図である。図4の構成では補強リブを備えることで挟持具12,13の強度を向上させ、挟持具12,13と弾性体11によって挟持する制御装置14を安定させることができる。図5の構成では、1枚の鉄板から折り曲げ形成するだけで挟持具12,13を製造できるので、製造コストを抑えることができる。
【0042】
図6は、ブラケット10に制御装置14とバッテリー15を搭載し、左右から挟持具12,13で挟んで固定した組付け図である。
【0043】
図6に示す例では制御装置14の上にバッテリー15を載せているが、配置は上下逆であっても良い。バッテリー15を下方に配置し、制御装置14を上方に配置する場合、バッテリー15を挟持具12,13と弾性体11によって挟持する。挟持具12,13の面120の取付穴にボルト等の留め具を通してバッテリー15を固定できる構成としても良い。
【0044】
制御装置14やバッテリー15は、平面視における左車軸2Lと右車軸2R間に配置されており、前後方向においては作業機6の前方に備えられており、機体の略中心に位置している。このため、機体バランスが安定し、快適に作業を行うことができる。
【0045】
なお、小型の送風ファンを機体に取り付けて駆動モータ8で駆動する構成とすると、電装品が砂埃等の影響を受けることを予防できる、機体フレーム上に砂やゴミが乗ることを防止できるといった効果がある。また、送風ファン以外であれば、小型のエアコンプレッサーを利用できる構成としても良い。
【0046】
上記までに例示した構成ではバッテリーは1つだったが、バッテリーを複数設ける構成としても良い。複数のバッテリーを備える構成において、バッテリー残量を確認できるセンサを備え、いずれかのバッテリーの残量が一定以下になった場合、他のバッテリーの電力を使用するように制御する構成としても良い。
【0047】
ソーラーパネルを備えていてかつ、バッテリーが複数ある構成においては、使用していないほうのバッテリーにソーラーパネルで発電した電力を充電できる構成としても良い。
【0048】
バッテリー切れ防止のため、電力が一定以下になった場合、警告するように設定しても良い。この警告の方法は、アラームであってもランプであっても良く、モニタ表示であっても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 ミッションケース
2 車軸
3 走行輪
5 機体フレーム
6 作業機
8 駆動モータ(動力部)
10 ブラケット
10a リブ
10b リブ
10e 側面
11 弾性体
12 挟持具
13 挟持具
14 制御装置
15 バッテリー(動力源)
図1
図2
図3
図4
図5
図6