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特開2024-90152蓄電デバイスの製造方法および蓄電デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090152
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】蓄電デバイスの製造方法および蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/477 20210101AFI20240627BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
H01M50/477
H01M50/103
H01M50/119
H01M50/15
H01M50/169
H01M50/474
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205849
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】鹿田 勝也
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC06
5H011KK03
5H021AA02
5H021BB04
5H021EE30
(57)【要約】
【課題】レーザ抜けが生じても電極体が損傷し難い蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明により、ケース本体12と、封口板14と、電極体20と、電極体20とケース本体12との間に介在する絶縁性のフィルム体70と、を備え、フィルム体70は、ケース本体12の長側壁12bと電極体20の幅広面20fとの間に介在する長側面70bと、長側面70bから封口板の14側に延出し、電極体20に近づくように折り曲げられてなる折り曲げ部72と、を有し、折り曲げ部72にレーザ光を拡散させる光拡散部LSが設けられている、蓄電デバイス100の製造方法が開示される。かかる製造方法は、フィルム体70を用意する用意工程と、電極体20およびフィルム体70をケース本体12の内部に収容する収容工程と、封口板14の外周縁部をケース本体12の開口12hの内周縁部にレーザ溶接するレーザ溶接工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底壁と、前記底壁の長辺から延び相互に対向する一対の長側壁と、前記底壁の短辺から延び相互に対向する一対の短側壁と、前記底壁に対向する開口と、を有する金属製のケース本体と、
前記ケース本体の前記開口内に配置され、外周縁部が前記ケース本体の前記開口の内周縁部とレーザ溶接されている金属製の封口板と、
前記ケース本体に収容され、前記長側壁と対向する一対の幅広面を有する電極体と、
前記電極体と前記ケース本体との間に介在する絶縁性のフィルム体と、
を備え、
前記フィルム体は、
前記ケース本体の一対の前記長側壁と前記電極体の一対の前記幅広面との間にそれぞれ介在し、前記長側壁に沿って延びる一対の長側面と、
一対の前記長側面からそれぞれ前記封口板の側に延出し、前記電極体に近づくように折り曲げられてなる折り曲げ部と、
を有し、
少なくとも前記折り曲げ部に、レーザ光を拡散させる光拡散部が設けられている、
蓄電デバイスの製造方法であって、
前記フィルム体を用意する用意工程と、
前記電極体および前記フィルム体を前記ケース本体の内部に収容する収容工程と、
前記ケース本体の前記開口内に前記封口板を配置し、前記封口板の前記外周縁部を前記ケース本体にレーザ溶接するレーザ溶接工程と、
を含む、蓄電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記用意工程において、前記フィルム体として絶縁フィルムを用意し、前記絶縁フィルムの表面を粗化処理することによって前記光拡散部を形成する、
請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記用意工程において、前記長側面に対する前記折り曲げ部の傾斜角度を、45°以上90°未満とする、
請求項1または2に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項4】
矩形状の底壁と、前記底壁の長辺から延び相互に対向する一対の長側壁と、前記底壁の短辺から延び相互に対向する一対の短側壁と、前記底壁と対向する開口と、を有する金属製のケース本体と、
前記ケース本体の前記開口内に配置され、外周縁部が前記ケース本体の前記開口の内周縁部とレーザ溶接されている金属製の封口板と、
前記ケース本体に収容され、前記長側壁と対向する一対の幅広面を有する電極体と、
前記電極体と前記ケース本体との間に介在する絶縁性のフィルム体と、
を備え、
前記フィルム体は、
前記ケース本体の一対の前記長側壁と前記電極体の一対の前記幅広面との間にそれぞれ介在し、前記長側壁に沿って延びる一対の長側面と、
一対の前記長側面からそれぞれ前記封口板の側に延出し、前記電極体に近づくように折り曲げられてなる折り曲げ部と、
を有し、
少なくとも前記折り曲げ部に、レーザ光を拡散させる光拡散部が設けられている、
蓄電デバイス。
【請求項5】
前記フィルム体は、絶縁フィルムからなり、
前記光拡散部は、前記絶縁フィルムの表面を粗化処理してなる表面粗化部である、
請求項4に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
前記長側面に対する前記折り曲げ部の傾斜角度は、45°以上90°未満である、
請求項4または5に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスの製造方法および蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開口を有するケース本体と、ケース本体の開口を封口する封口板(蓋体)と、ケース本体に収容される電極体と、を備えた蓄電デバイスが知られている。この種の蓄電デバイスは、例えば開口からケース本体の内部に電極体を収容した後、ケース本体の開口内に封口板を配置し、ケース本体の開口の内周縁部と封口板の外周縁部とをレーザ溶接することで製造される。これに関連する従来技術文献として、特許文献1~4が挙げられる。
【0003】
例えば特許文献1には、ケース本体と電極体との間に箱状の絶縁フィルム(フィルム体)を配置し、フィルム体の封口板側の端部に、電極体側に向かって傾斜する傾斜面を形成した構成が開示されている。特許文献1には、かかる構成により、レーザ溶接の際等に金属異物がケース本体の内部に混入しても、混入した金属異物をフィルム体の外側にトラップして電極体内へ侵入することを抑制しうる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-095836号公報
【特許文献2】特開2014-29823号公報
【特許文献3】特開2019-110036号公報
【特許文献4】特開2016-91716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者の検討によれば、ケース本体の開口と封口板と間には、加工誤差等により、数十μm程度の隙間が生じうる。そのため、レーザ溶接の際に、この隙間からケース本体内にレーザ光が入り込んでしまう、所謂レーザ抜けが生じることがある。レーザ光は直進性や集光性が高いため、ケース本体内に入り込んだレーザ光がフィルム体にあたると、フィルム体がレーザ光の熱で溶融する虞がある。ひいては、電極体にレーザ光があたって、電極体が焼けこげたり内部短絡したりすることがありうる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザ抜けが生じても電極体が損傷し難い蓄電デバイスの製造方法および蓄電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、矩形状の底壁と、上記底壁の長辺から延び相互に対向する一対の長側壁と、上記底壁の短辺から延び相互に対向する一対の短側壁と、上記底壁に対向する開口と、を有する金属製のケース本体と、上記ケース本体の上記開口内に配置され、外周縁部が上記ケース本体の上記開口の内周縁部とレーザ溶接されている金属製の封口板と、上記ケース本体に収容され、上記長側壁と対向する一対の幅広面を有する電極体と、上記電極体と上記ケース本体との間に介在する絶縁性のフィルム体と、を備え、上記フィルム体は、上記ケース本体の一対の上記長側壁と上記電極体の一対の上記幅広面との間にそれぞれ介在し、上記長側壁に沿って延びる一対の長側面と、一対の上記長側面からそれぞれ上記封口板の側に延出し、上記電極体に近づくように折り曲げられてなる折り曲げ部と、を有し、少なくとも上記折り曲げ部に、レーザ光を拡散させる光拡散部が設けられている、蓄電デバイスの製造方法が提供される。かかる製造方法は、上記フィルム体を用意する用意工程と、上記電極体および上記フィルム体を上記ケース本体の内部に収容する収容工程と、上記ケース本体の上記開口内に上記封口板を配置し、上記封口板の上記外周縁部を上記ケース本体にレーザ溶接するレーザ溶接工程と、を含む。
【0008】
上記製造方法では、フィルム体の折り曲げ部に光拡散部が設けられている。これにより、たとえレーザ溶接時にレーザ抜けが生じて、ケース本体と封口板の隙間からレーザ光がケース本体内に入り込んでしまったとしても、光拡散部でレーザ光を拡散することができ、レーザ光のビーム密度を低減することができる。その結果、レーザ光の熱でフィルム体が溶融しにくくなる。したがって、電極体にレーザ光があたりにくくなり、ひいては電極体が焼けこげたり内部短絡したりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
図4図4は、一実施形態に係るフィルム体を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、図4のフィルム体を構成する絶縁フィルムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術のいくつかの好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、ここで開示される技術を特徴付けない蓄電デバイスの一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において範囲を示す「A~B」の表記は、「A以上B以下」の意と共に、「Aを超える」および「B未満」の意を包含するものとする。
【0011】
<蓄電デバイス>
図1は、蓄電デバイス100の模式的な斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。図3は、図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表す。また、図面中の符号Xは、蓄電デバイス100の短辺方向(厚み方向)を示し、符号Yは、短辺方向と直交する長辺方向を示し、符号Zは、蓄電デバイス100の高さ方向を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、蓄電デバイス100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0012】
蓄電デバイス100は、例えば、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等の二次電池であってもよく、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等であってもよい。蓄電デバイス100は、ここでは二次電池、具体的にはリチウムイオン二次電池である。
【0013】
図2に示すように、蓄電デバイス100は、電池ケース10と、電極体20(図3も参照)と、フィルム体70と、を備えている。図示は省略するが、蓄電デバイス100は、ここではさらに非水電解液を備えている。非水電解液としては、一般的な非水電解液二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)で使用されるものを特に制限なく使用できる。ただし、他の実施形態において、電解質は、固体状(固体電解質)で電極体20と一体化されていてもよい。
【0014】
電池ケース10は、電極体20および非水電解液を収容する筐体である。図1に示すように、電池ケース10は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース10は、金属製であり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等からなることが好ましい。図2に示すように、電池ケース10は、ケース本体12と、封口板(蓋体)14と、を備えている。
【0015】
ケース本体12は、有底かつ角筒形の容器である。ケース本体12は、図1に示すように、矩形状の底壁12aと、底壁12aの長辺から延び相互に対向する一対の長側壁12bと、底壁12aの短辺から延び相互に対向する一対の短側壁12cと、底壁12aと対向する開口12h(図2参照)と、を備えている。開口12hは、矩形状である。長側壁12bは、短側壁12cよりも面積が大きい。なお、本明細書において「矩形状」とは、完全な矩形状(長方形状)に加えて、例えば、矩形状の長辺と短辺とを接続する角部がR状になっている形状や、角部に切り欠きを有する形状等をも包含する用語である。また、以下の説明では、ケース本体12の開口12h側を「上」、ケース本体12の底壁12a側を「下」という場合がある。
【0016】
封口板14は、ケース本体12の開口12hを封口する板状部材である。図2に示すように、封口板14は、ケース本体12の開口12h内に配置されている。封口板14は、ケース本体12の底壁12aと対向している。封口板14は、矩形状である。平面視において、封口板14の外形は、開口12hよりも小さい。封口板14の外周縁部は、ケース本体12の開口12hの内周縁部と全周に亘ってレーザ溶接されている。封口板14の外周縁部には、全周に亘ってレーザ溶接部Wが形成されている。これによって、電池ケース10が一体化されると共に、気密に封止(密閉)されている。なお、図1では、レーザ溶接部Wの図示を省略している。
【0017】
図1図2に示すように、封口板14には、正極端子30および負極端子40が取り付けられている。正極端子30および負極端子40は、ここでは封口板14に、かしめ固定されている。正極端子30および負極端子40は、図示しない絶縁部材によって封口板14と絶縁されている。図2に示すように、正極端子30は、電池ケース10の内部で、正極集電部材50を介して電極体20の正極と電気的に接続されている。負極端子40は、電池ケース10の内部で、負極集電部材60を介して電極体20の負極と電気的に接続されている。
【0018】
電極体20は、図2に示すように、電池ケース10の内部に収容されている。電極体20は従来と同様でよく、特に制限はない。図示は省略するが、電極体20は、正極と負極を有している。電極体20の外表面は、セパレータ26で覆われている。電極体20は、ここでは帯状の正極と帯状の負極とが帯状のセパレータ26を介して絶縁された状態で積層され、捲回軸を中心として長手方向に捲回されてなる扁平な捲回電極体である。ただし、他の実施形態において、電極体20は、方形状の正極シートと方形状の負極シートとが絶縁された状態で積層されてなる積層電極体であってもよい。
【0019】
電極体20は、捲回軸が底壁12aおよび封口板14と略平行になり、かつ長側壁12bおよび短側壁12cと略直交する向きで、電池ケース10の内部に収容されている。電極体20の捲回軸方向の両端面(正極と負極とが積層された積層面)は、一対の短側壁12cと対向している。図3に示すように、電極体20は、外表面が平坦な一対の幅広面20fを有している。一対の幅広面20fは、ケース本体12の一対の長側壁12bと対向している。電極体20の幅広面20fおよび下端部は、その全体が後述するフィルム体70で覆われている。
【0020】
図2に示すように、電極体20の捲回軸方向(図2の長辺方向Y)の一方の端部には、正極集電部22が設けられている。他方の端部には、負極集電部24が設けられている。正極集電部22には、正極集電部材50が取り付けられている。負極集電部24には、負極集電部材60が取り付けられている。正極集電部材50は、正極端子30と電極体20の正極とを電気的に接続する導通経路を構成している。負極集電部材60は、負極端子40と電極体20の負極とを電気的に接続する導通経路を構成している。
【0021】
フィルム体70は、ケース本体12の内部で、ケース本体12と電極体20との間に介在している。フィルム体70は、絶縁性である。フィルム体70は、例えば、体積抵抗率が1×1013Ωcm以上の樹脂材料で構成されている。フィルム体70の体積抵抗率は、例えば、1×1015Ωcm以上であってもよく、1×1018Ωcm以上であってもよい。フィルム体70の材質は、従来と同様でよく、特に制限されない。フィルム体70の材質は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂材料からなっていることが好ましい。フィルム体70の厚み(平均厚み)は、特に制限されないが、100μm(0.1mm)以上であるとよく、例えば110~200μmであることが好ましい。
【0022】
図4は、フィルム体70の模式的な斜視図である。図4に示すように、フィルム体70の形状は、ここでは一面(上面)が開放された有底の角筒形である。フィルム体70は、例えば一枚の樹脂製の絶縁シートを折り曲げることによって形成されている。フィルム体70は、矩形状の底面70aと、底面70aの長辺から延び相互に対向する一対の長側面70bと、底面70aの短辺から延び相互に対向する一対の短側面70cと、を備えている。底面70aは、ケース本体12の底壁12aと電極体20の下端部との間に介在する部分である。底面70aの長辺は、ケース本体12の底壁12aの長辺よりも短い。
【0023】
一対の長側面70bは、ケース本体12の一対の長側壁12bと電極体20の一対の幅広面20fとの間に介在する部分である。一対の長側面70bは、ケース本体12の長側壁12bに沿って延びている。フィルム体70の長側面70bとケース本体12の長側壁12bとの間には、隙間が設けられていることが好ましい(図3参照)。一対の短側面70cは、ケース本体12の一対の短側壁12cと電極体20の捲回軸方向の両端部との間に介在する部分である。一対の短側面70cは、ケース本体12の短側壁12cに沿って延びている。
【0024】
長側面70bの上端には、長辺方向Yに沿って切込みNが設けられている。切込みNは、ここでは、フィルム体70の厚みの中ほどまで切込みを入れたハーフカット加工である。切込みNよりも上側(すなわち封口板14側)の領域は、折り曲げ部72を構成している。切込みNは、長側面70bと折り曲げ部72との境界線である。切込みNが設けられていることで、折り曲げ部72を安定して形成できる。ただし、切込みNは必須ではなく、他の実施形態において、例えば折り曲げるための癖(罫線)をつける罫線加工であってもよい。また、長側面70bと折り曲げ部72との境界は、所定の曲率半径でR形状に折り曲げられていてもよい。
【0025】
折り曲げ部72は、電極体20に近づくように折り曲げられている。言い換えれば、折り曲げ部72は、電池ケース10の短辺方向Xの中央側に向かって折り曲げられている。図3に示すように、折り曲げ部72は、ここでは長側面70bから所定の傾斜角度θで斜め上方(封口板14側)に向かって延びている。折り曲げ部72は、封口板14と干渉しない長さであるとよい。また短辺方向Xに相対する折り曲げ部72同士が干渉しない長さであるとよい。折り曲げ部72が長側面70bから延出している高さH(図3の高さ方向Zの長さ)は、例えば2~4mmであるとよい。折り曲げ部72は、電極体20の上端部と離間されていることが好ましい。折り曲げ部72は、ここでは平坦な面(傾斜面)である。折り曲げ部72は、ここでは封口板14側に向かうにつれて、その位置が電池ケース10の短辺方向Xの中央側に向かうように傾斜している。折り曲げ部72は、図3の断面視で略ハの字状であり、上側(すなわち封口板14側)に向かうほど間隔が狭くなっている。折り曲げ部72の一方の面(外面)は電池ケース10(詳しくは、封口板14ないし長側壁12b)と対向し、他方の面(内面)は電極体20と対向している。
【0026】
詳しくは製造方法の個所で後述するが、折り曲げ部72を有することで、レーザ溶接時に溶接個所から高温の溶融金属が微粒子(所謂、スパッタ)となって発生し、ケース本体12内に落下したとしても、落下した溶融金属を電極体20から隔離することができる。詳しくは、例えばフィルム体70の外面に溶融金属をトラップし、あるいは、フィルム体70の外面と長側壁12bの内面との間に溶融金属を挟み込んで、無害化できる。これにより、溶融金属が電極体20内に混入して電極体20が短絡することを抑制できる。
【0027】
本実施形態において、フィルム体70の少なくとも折り曲げ部72には、レーザ光を拡散させる光拡散部(光散乱部)LSが設けられている。図3に示すように、光拡散部LSは、ここではフィルム体70の電池ケース10と対向する側の面(外面)のみに設けられている。ただし、他の実施形態において、光拡散部LSは、フィルム体70の電極体20と対向する側の面(内面)のみに設けられていてもよいし、フィルム体70の両面に設けられていてもよい。
【0028】
図4に示すように、光拡散部LSは、ここでは折り曲げ部72から長側面70bの一部(折り曲げ部72の近傍)にわたって設けられている。光拡散部LSは、ここではフィルム体70の底面70a、長側面70bのうちの中央部から下端部、および短側面70cには設けられていない。そのため、折り曲げ部72は、底面70a、長側面70bのうちの中央部から下端部、および短側面70cに比べて、相対的に光拡散性(例えばヘイズメーターで測定されるヘイズ値)が高い。ただし、他の実施形態において、例えば樹脂と、樹脂とは屈折率の異なる微粒子(無機フィラー等)とを配合した複合材料を従来公知の方法でフィルム状に成形すること等によって、フィルム体70の全体に光拡散部LSを形成してもよい。
【0029】
折り曲げ部72に光拡散部LSが設けられていることで、レーザ溶接時にレーザ抜けが生じて、レーザ光がケース本体12と封口板14との隙間からケース本体12内に入り込んでしまったとしても、レーザ光が光拡散部LSで拡散されて様々な方向に進行方向を変えて拡散される。これにより、レーザ光のビーム密度が低減され、レーザ光の熱が分散される。その結果、レーザ光の熱でフィルム体70が溶融しにくくなる。したがって、電極体20にレーザ光があたりにくくなり、電極体20が焼けこげたり内部短絡したりすることを抑制できる。また、折り曲げ部72が電極体20と離間されていると、レーザの熱が電極体20に伝わることを高いレベルで防止できる。
【0030】
光拡散部LSは、レーザポインタを光拡散部LSに当接させて赤色の可視光線(波長600nm)を照射する透過光の拡散性評価において、レーザポインタから出射される光(光拡散部LSに入射される入射光)の直径Φ1(例えばΦ1=0.5mm)を基準とした時に、光拡散部LSを透過した光(透過光)の直径Φ2が、入射光の直径Φ1の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましい。これにより、レーザ光の熱を好適に分散して、単位面積あたりの熱量を効果的に低減できる。したがって、フィルム体70が溶融することを高いレベルで抑制でき、電極体20にレーザ光があたることを防止できる。透過光の直径Φ2は、入射光の直径Φ1の20倍以下、15倍以下であってもよい。
【0031】
光拡散部LSは、ここでは絶縁フィルムの表面を粗化処理してなる表面粗化部である。なお、本明細書において「粗化処理」とは、フィルム表面に微細な凹凸(テクスチャー)を形成する処理全般をいい、例えば、サンドペーパーやサンドブラスト等で表面を荒らす処理や、鋭利な刃物で表面を不規則に傷つける処理、エンボスロールで表面に凹凸を付与するエンボス加工処理、無機フィラーとバインダとを含む塗料を表面に塗布して無機フィラーを含む層を形成するコート処理、等を包含する。絶縁フィルムの表面を粗化処理することで、例えば特許文献3,4に開示されるような複雑な構成と比較して、製造が容易となり、かつ製造コストを低減することができる。
【0032】
凹部は、光の進行方向をランダムに変化させるために、非線形であることが好ましい。凸部は、半円形状、四角錐形状等、種々の形状であってよい。特に限定されるものではないが、表面粗化部は、JIS B601-1994に基づく十点平均粗さRzが、10~100μmであることが好ましく、20~30μmであることがより好ましい。
【0033】
光拡散部LSは、ここでは、底面70a、長側面70bのうちの中央部から下端部、および短側面70cに比べて、上記十点平均粗さRzが相対的に大きい。また、光拡散部LSは、ここでは、底面70a、長側面70bのうちの中央部から下端部、および短側面70cに比べて、表面粗化率(表面積率)が相対的に大きい。表面粗化率は、試料の指定した領域の面積と表面形状によって生じる表面積との比率(表面積/面積)で表される。
【0034】
なお、光拡散部LSは、ここでは表面粗化部であるが、他の実施形態において、光拡散部LSは、表面粗化部以外であってもよい。光拡散部LSは、例えば、絶縁フィルムの表面を有色(例えば黒色)加工してなる有色部であってもよいし、絶縁フィルムの表面に接着剤等で光拡散性を有する別部材(例えば、市販のラミネートフィルム、エンボスフィルム、反射材等)を張り付けることによって設けられていてもよい。この場合、別部材を張り付けた後の折り曲げ部72の厚みが、例えば110~200μmであるとよい。これにより、折り曲げ部72の撓みを抑えて、レーザ溶接時に電極体20と離間した状態を好適に維持できる。
【0035】
図3に示すように、高さ方向Zにおいて、折り曲げ部72の上端は、電極体20の上端よりも上方(すなわち、封口板14側)に位置している。折り曲げ部72の下端(切込みN)は、ここでは電極体20の上端よりも下方に位置している。ただし、例えば特許文献1に開示されるように、電極体20が積層電極体である場合等には、切込みNが電極体20の上端よりも上方に位置していてもよい。
【0036】
長側面70bに対する折り曲げ部72の傾斜角度(折り曲げ角度)θは、特に制限されないが、概ね1°~90°であるとよい。なかでも、5°以上が好ましく、10°以上がより好ましく、さらには30°以上、45°以上であるとよい。傾斜角度θは、60°以上であってもよい。傾斜角度θを所定値以上にすることで、電極体20の上端部を折り曲げ部72で広く覆うことができる。これにより、レーザ溶接時にレーザ抜けが生じて、レーザ光がケース本体12と封口板14との隙間からケース本体12内に入り込んだとしても、レーザ光から高いレベルで電極体20を保護できる。また、金属製のケース本体12内でレーザ光が反射されたとしても、反射されたレーザ光から電極体20を保護できる。
【0037】
傾斜角度θは、90°未満(鋭角)であることが好ましい。傾斜角度θは、80°以下、75°以下であってもよい。傾斜角度θを所定値以下にすることで、製造時に金属異物がケース本体12内に混入したとしても、混入した金属異物をフィルム体70の外面、あるいはフィルム体70の外面と長側壁12bの内面との間にトラップしやすくなる。言い換えれば、ケース本体12内に混入した金属異物が折り曲げ部72を転がり、短辺方向Xに相対する折り曲げ部72同士の隙間から電極体20内に混入することを抑制できる。
【0038】
<蓄電デバイスの製造方法>
上記したような蓄電デバイス100は、例えば、(S1)用意工程と、(S2)収容工程と、(S3)レーザ溶接工程と、(S4)注液工程と、を典型的にはこの順で含む製造方法によって製造できる。ただし、注液工程は必須ではなく、例えば非水電解液にかえて固体電解質を使用する場合等には、省略することができる。また、収容工程とレーザ溶接工程と注液工程との順序は、例えば注液工程が先であってもよい。また、本実施形態の製造方法は、任意の段階で上記以外の工程を適宜含んでもよい。以下、各工程について説明する。
【0039】
(S1)用意工程では、電池ケース10(ケース本体12および封口板14)と、電極体20と、非水電解液と、フィルム体70と、を用意する。電池ケース10、電極体20、非水電解液については、上述した通りである。電池ケース10の封口板14は、ここでは予め電極体20と一体化されている。すなわち、封口板14には、かしめ加工によって正極端子30および負極端子40が取り付けられている。電極体20の正極集電部22には正極集電部材50が取り付けられ、負極集電部24には負極集電部材60が取り付けられている。正極集電部材50は、正極端子30と溶接接合され、負極集電部材60は、負極端子40と溶接接合されている。
【0040】
なお、本発明者の知見によれば、本工程で用意されるケース本体12および封口板14には、それぞれ加工誤差が生じうる。例えばケース本体12には、板厚の偏差や、開口12h形成時(トリムカット時)の応力曲がり等が生じうる。また、封口板14には、板厚の偏差や、カット時の応力曲がり、正極端子30および負極端子40のかしめ加工時の潰れ膨張等が生じうる。これらの加工誤差により、後述する(S3)レーザ溶接工程では、レーザ抜けが生じやすくなる。
【0041】
図5は、図4のフィルム体70を構成する絶縁フィルムの模式図である。すなわち、図4のフィルム体70の展開図である。図4のフィルム体70は、図5の絶縁フィルムからなっている。図5の絶縁フィルムは、例えば次のようにして用意できる。すなわち、まず1枚の帯状の樹脂シートから、図5の外形に沿った形状(外形寸法)に絶縁フィルムを切り出す。この外形寸法は従来と同様であってよい。次に、図5の破線の位置に、折り畳み成形用の罫線加工(例えば、溝加工やミシン目加工等)を入れる。また、図5の上端部および下端部であって折り畳んだ後に上方に配置される位置に線状にハーフカット加工を施し、切込みNを形成する。図5の上端部および下端部において、切込みNから上端または下端までの高さHは、ここでは3mmである。
【0042】
また、絶縁フィルムの切込みNから上端または下端までの領域には、粗化処理を施して、表面粗化部(光拡散部LS)を形成する。なお、粗化処理は、帯状の樹脂シートの状態、または上記罫線加工やハーフカット加工を施す前の状態で行ってもよい。このように1枚の絶縁フィルムに表面加工を施して表面粗化部を設けることで、例えば特許文献3,4に記載されるような別部材を使用する方法と比較して、製造が容易となり、かつ製造コストを低減することができる。以上のようにして、図5に示すような絶縁フィルム(フィルム体70)を用意できる。
【0043】
次に、絶縁フィルムの底面部分Bを電極体20の下端部に対向させた状態で、点線に沿って絶縁フィルムを折り畳んで、電極体20の両端面および一対の幅広面20fをフィルム体70で覆う。そして、折り曲げ部72(光拡散部LS)を切込みNに沿って電極体20の側に所定の傾斜角度θで折り曲げ、折り曲げ部72を形成する。特に限定されるものではないが、折り曲げ部72の傾斜角度は、鋭角(90°未満)、特には45°以上90°未満とするとよい。これにより、折り曲げ部72を、フィルム体70の長側面70bから、ケース本体12の高さ方向Zのうち封口板14側、かつ、ケース本体12の短辺方向Xの内側に向けて延びる姿勢とする。以上のようにして、図5の絶縁フィルムを図4のような外形のフィルム体70に成形するとともに、電極体20と一体化することができる。
【0044】
(S2)収容工程では、電極体20およびフィルム体70をケース本体12の内部に収容する。詳しくは、フィルム体70で覆われかつ封口板14に固定された電極体20を、開口12hからケース本体12の内部空間に挿入する。これにより、ケース本体12と電極体20との間にフィルム体70を介在させることができる。例えば、ケース本体12の長側壁12bと電極体20の一対の幅広面20fとの間に、フィルム体70の長側面70bを介在させることができる。
【0045】
なお、電極体20およびフィルム体70をケース本体12に収容する際、封口板14がケース本体12の内壁に接触して、封口板14もしくはケース本体12のエッジ部分が削れ、金属異物が発生することがある。しかしながら、ここに開示される技術では、発生した金属異物がケース本体12内に落下したとしても、落下した金属異物をフィルム体70の外面にトラップし、あるいは、フィルム体70の外面と長側壁12bの内面との間に挟み込んで、電極体20から隔離することができる。これにより、金属異物が電極体20内に混入して、電極体20が短絡することを抑制できる。
【0046】
(S3)レーザ溶接工程では、ケース本体12の開口12h内に封口板14を配置する。そして、封口板14の外周縁部を全周に亘りケース本体12の開口12hの内周縁部とレーザ溶接する。レーザ光の照射条件(例えば、出力、ビーム径、加工速度(レーザ光の走査速度)等)は、従来と同様であってよい。レーザ光を照射する際、封口板14の外周縁とケース本体12の開口12hの内周縁と間には、加工誤差等により、数十μm程度の隙間が生じうる。しかしながら、ここに開示される技術では、少なくとも折り曲げ部72に光拡散部LSが設けられている。このことにより、レーザ溶接時にレーザ抜けが生じて、レーザ光がケース本体12と封口板14との隙間からケース本体12内に入り込んでしまっても、レーザ光を光拡散部LSで拡散することができる。これにより、レーザ光のビーム密度が低減され、レーザ光の熱が分散されるため、フィルム体70が溶融しにくくなる。その結果、電極体20にレーザ光があたりにくくなり、電極体20が焼けこげたり内部短絡したりすることを抑制できる。
【0047】
また、折り曲げ部72が電極体20の上端部と離間されていると、レーザの熱が電極体20に伝わることを高いレベルで防止できる。さらに、ここに開示される技術では、レーザ溶接時に溶接個所から高温の溶融金属が微粒子(所謂、スパッタ)となって発生し、ケース本体12内に落下したとしても、落下した溶融金属を電極体20から隔離することができる。そのため、例えば特許文献3,4に記載されるような別部材を使用せずとも、フィルム体70のみで、レーザ抜けによる電極体20の焼けこげの発生と、溶融金属の混入による短絡の発生と、を同時に抑制できる。
【0048】
ここに開示される技術は、ケース本体12の開口12hと封口板14との間に、ビーム径を超えるような大きな隙間(例えば70μm以上、さらには90μm以上の隙間)がある場合に、特に高い効果を奏する。あるいは、レーザ溶接に要する時間を短縮するために、出力の高いレーザ光(例えば1000W以上のレーザ光)を用いる場合に、特に高い効果を奏する。
【0049】
(S4)注液工程では、封口板14に設けられた図示しない注液孔からケース本体12の内部に非水電解液を注液する。そして、注液孔を注液栓等で封止する。以上のようにして、図1図3に示すような蓄電デバイス100を製造することができる。
【0050】
なお、レーザ溶接工程の後(例えば、本工程の後の蓄電デバイス100の状態)において、傾斜角度θは、レーザ溶接時から経時変化等で角度が小さくなっていてもよいし、非水電解液の重み等でレーザ溶接時から角度が増していてもよい。
【0051】
<蓄電デバイスの用途>
蓄電デバイス100は、各種用途に利用可能であるが、特に電池ケース10が大きく、エネルギー密度が高い大型の(大容量の)蓄電デバイスとして好ましく利用することができる。好適な用途としては、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等の車両に搭載されるモーター用の動力源(車両駆動用の電源)が挙げられる。
【0052】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、上記実施形態は例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0053】
以上の通り、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:矩形状の底壁と、上記底壁の長辺から延び相互に対向する一対の長側壁と、上記底壁の短辺から延び相互に対向する一対の短側壁と、上記底壁に対向する開口と、を有する金属製のケース本体と、上記ケース本体の上記開口内に配置され、外周縁部が上記ケース本体の上記開口の内周縁部とレーザ溶接されている金属製の封口板と、上記ケース本体に収容され、上記長側壁と対向する一対の幅広面を有する電極体と、上記電極体と上記ケース本体との間に介在する絶縁性のフィルム体と、を備え、上記フィルム体は、上記ケース本体の一対の上記長側壁と上記電極体の一対の上記幅広面との間にそれぞれ介在し、上記長側壁に沿って延びる一対の長側面と、一対の上記長側面からそれぞれ上記封口板の側に延出し、上記電極体に近づくように折り曲げられてなる折り曲げ部と、を有し、少なくとも上記折り曲げ部に、レーザ光を拡散させる光拡散部が設けられている、蓄電デバイスの製造方法であって、上記フィルム体を用意する用意工程と、上記電極体および上記フィルム体を上記ケース本体の上記開口の内部に収容する収容工程と、上記ケース本体の上記開口内に上記封口板を配置し、上記封口板の上記外周縁部を上記ケース本体にレーザ溶接するレーザ溶接工程と、を含む、蓄電デバイスの製造方法。
項2:上記用意工程において、上記フィルム体として絶縁フィルムを用意し、上記絶縁フィルムの表面を粗化処理することによって上記光拡散部を形成する、項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
項3:上記用意工程において、上記長側面に対する上記折り曲げ部の傾斜角度を、45°以上90°未満とする、項1または2に記載の蓄電デバイスの製造方法。
項4:矩形状の底壁と、上記底壁の長辺から延び相互に対向する一対の長側壁と、上記底壁の短辺から延び相互に対向する一対の短側壁と、上記底壁と対向する開口と、を有する金属製のケース本体と、上記ケース本体の上記開口内に配置され、外周縁部が上記ケース本体の上記開口の内周縁部とレーザ溶接されている金属製の封口板と、上記ケース本体に収容され、上記長側壁と対向する一対の幅広面を有する電極体と、上記電極体と上記ケース本体との間に介在する絶縁性のフィルム体と、を備え、上記フィルム体は、上記ケース本体の一対の上記長側壁と上記電極体の一対の上記幅広面との間にそれぞれ介在し、上記長側壁に沿って延びる一対の長側面と、一対の上記長側面からそれぞれ上記封口板の側に延出し、上記電極体に近づくように折り曲げられてなる折り曲げ部と、を有し、少なくとも上記折り曲げ部に、レーザ光を拡散させる光拡散部が設けられている、蓄電デバイス。
項5:上記フィルム体は、絶縁フィルムからなり、上記光拡散部は、上記絶縁フィルムの表面を粗化処理してなる表面粗化部である、項4に記載の蓄電デバイス。
項6:上記長側面に対する上記折り曲げ部の傾斜角度は、45°以上90°未満である、項4または5に記載の蓄電デバイス。
【符号の説明】
【0054】
10 電池ケース
12 ケース本体
12b 長側壁
12h 開口
14 封口板
20 電極体
20f 幅広面
70 フィルム体
70b 長側面
72 折り曲げ部
100 蓄電デバイス
図1
図2
図3
図4
図5