(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090162
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20240627BHJP
F24F 6/06 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F24F6/00 B
F24F6/00 F
F24F6/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205870
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】今村 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】小川 洸太
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BA04
3L055CA01
3L055DA04
3L055DA05
3L055DA14
(57)【要約】
【課題】吹出口閉塞時に器具内部の加熱を防止することができる加湿器を提供する。
【解決手段】気化フィルタ9より下流の送風経路12に器具本体1外部と連通する開口部20を設けたことにより、吹出口5の閉塞時に、加熱し高温になった加湿空気が開口部20から器具本体1外部へ流出するので、送風経路を含めた器具本体1内部が加熱し高温となることを防止することができる。また、開口部20の下部に、開口部20が面した壁面23から立設した下部ガイド板21を設けたことにより、通常の運転時に、送風経路12を下方から上方へ流通する加湿空気に対して、下部ガイド板21が障壁となって開口部20から流出するのを防ぎつつ、加湿空気を吹出口5へ案内することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
水を貯水する水槽と、
当該器具本体内に設置され空気を送風する送風ファンと、
前記器具本体外の空気を取り入れる吸込口と、
当該吸込口を通過した空気が流通する送風経路と、
当該送風経路中に設けられ、前記水槽の水に下部が浸漬し回転駆動が可能な気化フィルタと、
前記気化フィルタで発生した加湿空気を前記器具本体外へ送風する吹出口と、
前記送風経路中に設けられ、空気を加熱するヒータと、
前記気化フィルタより下流の前記送風経路に前記器具本体外と連通する開口部と、
当該開口部の下部に設けられ、前記開口部が面した壁面から立設した下部ガイド板と、
を備えたことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記開口部の上部に設けられ、前記開口部が面した壁面から立設した上部ガイド板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記上部ガイド板及び前記下部ガイド板は上方向に傾斜し、前記下部ガイド板は前記上部ガイド板より前記開口部が面した壁面からの距離が長いことを特徴とする請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記開口部が面した壁面の面内方向において、前記上部ガイド板は傾斜している、又は上に凸となっていることを特徴とする請求項2又は3に記載の加湿器。
【請求項5】
前記上部ガイド板と前記下部ガイド板は互いに連接し、かつ前記開口部を囲うように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気化式の加湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加湿器では、吹出口付近の蒸気ガイドの内壁に、本体ケース内部へ連通した小穴を設けることで、誤って蒸気吹出口を塞いだ状態で使用した場合、蒸気は圧力によって小穴より本体ケース内部へ流出し、更に本体内部から水位確認窓より外部へ流出することで、蒸気吹出口が加熱され高温になるのを防ぐことができるものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の加湿器では、蒸気吹出口を塞いだ状態で使用した場合、蒸気が小穴から本体ケース内部(器具内部)へ放出するので、器具内部が加熱されて、器具内部の部品が熱により変形や故障する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の加湿器では、器具本体と、水を貯水する水槽と、当該器具本体内に設置され空気を送風する送風ファンと、前記器具本体外の空気を取り入れる吸込口と、当該吸込口を通過した空気が流通する送風経路と、当該送風経路中に設けられ、前記水槽の水に下部が浸漬し回転駆動が可能な気化フィルタと、前記気化フィルタで発生した加湿空気を前記器具本体外へ送風する吹出口と、前記送風経路中に設けられ、空気を加熱するヒータと、前記気化フィルタより下流の前記送風経路に前記器具本体外と連通する開口部と、当該開口部の下部に設けられ、前記開口部が面した壁面から立設した下部ガイド板と、を備えたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2の加湿器では、前記開口部の上部に設けられ、前記開口部が面した壁面から立設した上部ガイド板を備えたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3の加湿器では、前記上部ガイド板及び前記下部ガイド板は上方向に傾斜し、前記下部ガイド板は前記上部ガイド板より前記開口部が面した壁面からの距離が長いことを特徴としている。
【0008】
また、請求項4の加湿器では、前記開口部が面した壁面の面内方向において、前記上部ガイド板は傾斜している、又は上に凸となっていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項5の加湿器では、前記上部ガイド板と前記下部ガイド板は互いに連接し、かつ前記開口部を囲うように設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、気化フィルタより下流の送風経路に器具本体外部と連通する開口部を設けたことにより、吹出口の閉塞時に、加熱し高温になった加湿空気が開口部から器具本体外部へ流出するので、送風経路を含めた器具本体内部が加熱し高温となることを防止することができる。また、当該開口部の下部に、開口部が面した壁面から立設した下部ガイド板を設けたことにより、通常の運転時に、送風経路を下方から上方へ流通する加湿空気に対して、下部ガイド板が障壁となって開口部から流出するのを防ぎつつ、加湿空気を吹出口へ案内することができる。
【0011】
また、開口部の上部に設けられ、開口部が面した壁面から立設した上部ガイド板を設けたことにより、開口部の上方から壁面を伝って落ちてくる結露水に対して、落下した水が上部ガイド板に当たり、上部ガイド板が開口部への水の侵入を阻止するので、結露水が開口部を通って器具内部から外部へ流出するのを防ぐことができる。
【0012】
また、上部ガイド板及び下部ガイド板を上方向に傾斜することにより、上部ガイド板の先端から結露水が回り込んで開口部が面した壁面まで到達して、開口部から器具外部へ結露水が流出するのを防ぐことができ、更に、送風経路を下方から上方へ流通する加湿空気に対して送風抵抗を極力発生させることなくスムーズに上方の吹出口へ案内することができる。また、下部ガイド板は上部ガイド板より開口部が面した壁面からの距離を長くすることにより、送風経路を下方から上方へ流通する加湿空気に対して、下部ガイド板がより高い障壁となるので、加湿空気が開口部から器具外部へ流出するのを阻止することができる。
【0013】
また、開口部が面した壁面の面内方向において、上部ガイド板は傾斜している、又は上に凸となっていることにより、開口部の上方から壁面を伝って落ちてくる結露水に対して、上部ガイド板が下り傾斜となっているので、滑らかに下方へ水を落下させることができる。
【0014】
また、上部ガイド板と下部ガイド板は互いに連接し、かつ開口部を囲うように設けられていることにより、開口部の上方から壁面を伝って落ちてくる結露水に対して、上部ガイド板を伝って落下した水が、開口部へ到達することなく下部ガイド板へ伝ってスムーズに下方へ落下するので、開口部への水の侵入を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】同実施形態の加湿運転時における背面側断面図
【
図4】第一の実施形態の開口部周辺を説明する背面側斜視図
【
図5】同実施形態の空気及び水の流れを説明する断面図
【
図6】第二の実施形態の開口部周辺を説明する背面側斜視図
【
図7】同実施形態の空気及び水の流れを説明する断面図
【
図8】第三の実施形態の開口部周辺を説明する背面側斜視図
【
図9】同実施形態の空気及び水の流れを説明する断面図
【
図10】第四の実施形態の開口部周辺を説明する背面側斜視図
【
図11】同実施形態の空気及び水の流れを説明する断面図
【
図12】第五の実施形態の開口部周辺を説明する背面側斜視図
【
図13】同実施形態の空気及び水の流れを説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の一実施形態における加湿器を図に基づいて説明する。
【0017】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、
図1~
図13における定義に従う。また、上下方向は、器具本体1の設置時における鉛直方向に対応する。前後方向及び左右方向は、器具本体1の設置時における水平方向に対応する。
【0018】
1は加湿器の器具本体、2は器具本体1内の下部に設けられた水槽で、カートリッジ式の給水タンク3によって給水される。前記給水タンク3は、器具本体1の上面から器具本体1内に挿入され、水槽2上に載置されて当該水槽2内に一定量の水を供給する。4は室内の乾燥した空気(乾燥空気)を器具本体1内に取り入れる吸込口で、器具本体1の側面部に開口している。5は室内に湿った空気(加湿空気)を送る吹出口で、器具本体1の上面に開口している。6は吸込口4から吹出口5に至る送風経路12中に設置されたシロッコファン等からなる送風ファン、7は送風ファン6を駆動するモータである。送風ファン6の下流側には、空気を加熱するヒータ8と、吸水性の良いシート状の素材をプリーツ折りした縦長方形の気化フィルタ9が設置される。当該気化フィルタ9は回転自在に取り付けられ、その両端は交互に水槽2内の水に浸漬されており、毛細管現象にて水を全面に行き渡るように吸い上げる。
【0019】
送風ファン6によって吸込口4から取り入れた室内の乾燥空気は、ヒータ8を通過後、水槽2の水により湿潤した気化フィルタ9を通過することで加湿空気となって、吹出口5から室内へ送出する。12は送風ファン6で送風された空気が器具本体1内を流通する送風経路である。
【0020】
13は送風ファン6の外周を囲うように設置されるファンケーシングである。吸込口4から送風ファン6の中央部に吸い込まれた空気は、送風ファン6の外周より遠心状に送風し、ファンケーシング13内の渦巻き状の風路(図示せず)を送風ファン6の回転方向に沿って流通し、下流側となる送風経路12へ送出される。
【0021】
14は気化フィルタ9の上部を囲うように設置されるフィルタケーシングである。フィルタケーシング14はファンケーシング13と一体に成形されている。
【0022】
15は不織布等のシート状の濾材で構成されたHEPAフィルタ等からなるエアフィルタであり、吸込口4から取り入れる空気に対し、微細な塵埃やPM2.5等の微小粒子を捕集して空気清浄を行い、吸込口4に形成された取り付け部(図示せず)に対して自在に装着、及び脱着が可能である。
【0023】
水槽2は、給水タンク3によって給水される給水部10と、気化フィルタ9が設置される気化フィルタ設置部11が並べて配置され、両者は樹脂により一体に成形されており、共に底部の連通口32(図示せず)を介して連通し、同一レベルの水を貯水する。そして、この水槽2は器具本体1の背面から引き出し用取っ手16を引くことで取り出し可能となっている。
【0024】
17は気化フィルタ9の周囲を覆って当該気化フィルタ9を収納する枠体である。枠体17には上下及び左右の略中間に回転用の支点18が設けられており、水槽2に設けられた支点受け部(図示せず)に支点18を設置することで、気化フィルタ9は支点18を回転中心として回転可能となっている。
【0025】
20は気化フィルタより下流の送風経路において、器具本体1の筐体に設けられ、器具本体1外部と連通する開口部である。21は開口部20の下部に設けられ、開口部20が面した壁面から立設した下部ガイド板である。22は開口部20の上部に設けられ、開口部20が面した壁面から立設した上部ガイド板である。開口部20、下部ガイド板21及び上部ガイド板22の詳細については後述する。
【0026】
29は給水タンク3の蓋となる給水口キャップである。給水口キャップ29には、図示しない弁機構が設けられており、図示しない圧縮バネによって常時閉弁となるよう規制されている。給水タンク3が給水部10にセット(収納)されることで、給水部10に固定された突起部30の上端が、前記弁機構の底面に当接し弁が押し上げられることで開弁状態となり、給水タンク3から給水部10に給水される。
【0027】
31は給水部10内に設けられ、給水部10及び気化フィルタ設置部11に一定水位以上の貯水があるとき、水位有りを検知し、水位検知信号を出力するフロートセンサである。33は器具本体1が設置された室内の湿度を検知する湿度センサである。
【0028】
34は複数のスイッチが備えられ各種操作指令を行う操作部である。操作部34には、加湿運転の開始及び停止を指示する運転スイッチと、湿度の設定を行うスイッチと、加湿運転の強弱を設定する運転切替スイッチと、気化フィルタ9を乾燥する乾燥運転を開始する乾燥スイッチと、等が備えられている。
【0029】
また、操作部34には各スイッチに対応したランプが備えられており、運転スイッチが操作されたら点灯する運転ランプと、設定湿度を表示するランプと、運転切替スイッチで切り替えた運転状態を表示するランプと、等が備えられている。
【0030】
35はフロートセンサ31や湿度センサ33の各センサで検知された検知値や、操作部34上に備えられた各スイッチでの設定内容に基づき、運転内容を制御するマイコンで構成された制御部である。当該制御部35には、送風ファン6を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段40と、ヒータ8のON/OFF状態を変化させるヒータ制御手段41と、特定の動作開始時から経過した時間をカウントする計時手段としてのタイマー43と、が備えられている。
【0031】
次に、本発明の一実施形態での運転開始から終了までの動作について説明する。
【0032】
加湿器を運転する際に、給水タンク3に水を入れ水槽2に設置することにより、水槽2には給水タンク3より一定量の水が流れ出し、縦長に設置された気化フィルタ9の下端部を浸漬する。これにより、気化フィルタ9は水を吸い上げ湿潤する。
【0033】
このとき、操作部34の運転スイッチが操作されると、制御部35は送風ファン6を駆動し、吸込口4から室内の乾燥空気を吸い込む。送風ファン6により送出された乾燥空気は、送風経路12に設けたヒータ8により加熱される。そして、加熱された乾燥空気は
図2に示すように、一端を水槽2に水没させることで湿潤した気化フィルタ9を通過し、気化フィルタ9内の水を気化させて加湿空気となり、吹出口5から室内に放出される。
【0034】
また、気化フィルタ9の下端が水没した状態で運転を開始すると同時に、制御部35内のタイマー43により所定の時間をカウントする。所定時間が経過したら気化フィルタ9を略180度回転させ、水没していなかった他端が水没する状態で停止する。そして再び気化フィルタ9は水を吸い上げ湿潤し、気化フィルタ9を通過した空気が水を気化させながら加湿空気となり送出される。
【0035】
以後、この動作を繰り返して加湿運転を継続する。このとき、気化フィルタ9の回転方向は正回転でも逆回転でも良い。
【0036】
加湿終了後は、気化フィルタ9を
図2の状態から略90度回転して、その全体を水槽2の水面と略水平状態になるように水面上で保持する。そして制御部35内のタイマー43により所定の時間をカウントし、その間、送風経路12に設けたヒータ8によって加熱された空気により気化フィルタ9を乾燥する乾燥運転を行う。
【0037】
乾燥運転終了後、気化フィルタ9及び水槽2を器具本体1から取り出して清掃等をする場合には、器具本体1の引き出し用取っ手16から
図1に示す矢印の向きに取り出せばよい。また、気化フィルタ9は水槽2から着脱可能となっているため、気化フィルタ9を取り出し後、水槽2を清掃することができる。
【0038】
次に、本発明の一実施形態における開口部20及び下部ガイド板21により生じる作用効果について、
図4~5に基づいて説明する。
【0039】
図4に、器具本体1外部と連通する開口部20と、開口部20の下部に立設した下部ガイド板21を示す。通常の加湿運転時は、
図5(a)に示すように、下方から上方へ流通する加湿空気が開口部20付近を通過する際、下部ガイド板21が障壁となって開口部20から加湿空気が流出するのを抑制することができる。逆に、器具本体1外部の空気は器具本体1内部の送風経路12を流れる加湿空気に吸い寄せられるため、器具本体1外部から開口部20を通って器具本体1内部へ流入する方向へ流れる。
【0040】
一方で、
図5(b)に示すように吹出口5が誤って閉塞された場合、ヒータ8により空気が加熱し続けることにより、気化フィルタ9を通過した加湿空気は高温となり、器具本体1内部の部品の変形や故障を引き起こす可能性がある。このとき、開口部20から器具本体1外部へ高温となった加湿空気を送出させることができるため、器具本体1内部の部品の変形や故障を防ぐことができる。
【0041】
また、開口部20付近は加湿空気の通過により送風経路12周囲の壁面が結露する場合がある。その際、
図5(a)~(c)のように開口部20が面した筐体の壁面23に結露した結露水の一部は、壁面23を伝い落下して開口部20に達して、開口部20から器具本体1外部へ流出することがある。このとき、開口部20の連通先は器具本体1の内部ではないため、流出した結露水が器具本体1内部の操作部34や、制御部35が搭載された基板(図示せず)などの電子部品にかかることで故障を発生させることはない。
【0042】
なお、下部ガイド板21の形状、寸法及び設置位置については、
図4及び
図5(a)~(c)のものに限らず適宜設定して良い。形状及び寸法については、開口部20を正面視した際の横方向(器具本体1の前後方向)は開口部20と略同一の寸法としているが、通常時に流通する加湿空気の送風抵抗に極力ならないようにしつつ、開口部20への侵入を防ぐように適宜設定すれば良い。設置位置については、開口部20の下端付近としているが、同様にして適宜設定すれば良い。
【0043】
次に、本発明の第二の実施形態における開口部20、下部ガイド板21及び上部ガイド板22により生じる作用効果について、
図6~7に基づいて説明する。
【0044】
図4~5に示した第一の実施形態では、開口部20から流出した結露水は器具本体1外部へ流出するが、筐体外壁を伝って器具本体1を設置している床を濡らす可能性がある。そこで、
図6及び
図7(a)~(c)に示すように、第一の実施形態の開口部20及び下部ガイド板21に加えて、開口部20の上方に立設した上部ガイド板22を設ける。これにより、開口部20の上方から壁面23を伝って落ちてくる結露水に対して、上部ガイド板22が開口部20への水の侵入を阻止するので、器具本体1外部への結露水の流出を防ぐことができる。
【0045】
なお、上部ガイド板22の形状、寸法及び設置位置については、
図6及び
図7(a)~(c)のものに限らず、開口部20へ結露水の侵入を防ぐように適宜設定して良い。
【0046】
次に、本発明の第三の実施形態において生じる作用効果について、
図8~9に基づいて説明する。
【0047】
図8及び
図9(a)~(c)に示すように、第二の実施形態における下部ガイド板21及び上部ガイド板22を上方向へ傾斜し、かつ下部ガイド板21は上部ガイド板22より壁面23からの距離を長くする。これにより、次の作用効果が発生する。
【0048】
下部ガイド板21を上方向に傾斜することにより、送風経路12を下方から上方へ流通する加湿空気を、送風抵抗を極力発生させることなくスムーズに吹出口5へ案内することができる。また、上部ガイド板22を上方向に傾斜することにより、開口部20の上方から壁面23を伝って落ちてくる結露水に対して、上部ガイド板22の先端部24(壁面23に面した端部と対向する端部)から回り込んで開口部20へ到達する水を極力減らして、器具本体1外部への結露水の流出をより防ぐことができる。また、下部ガイド板21は上部ガイド板22より壁面23からの距離を長くすることにより、送風経路12を下方から上方へ流通する加湿空気に対し、下部ガイド板21がより高い障壁となって開口部20から加湿空気が外部へ流出するのを抑制しつつ、器具本体1外部から内部へ流入する空気をスムーズに加湿空気と合流させて吹出口5へ案内することができる。
【0049】
なお、
図8及び
図9では、下部ガイド板21と上部ガイド板22の傾斜角度は略同一としているが、上方へ傾斜していれば異なる角度であっても良い。つまり、前述した加湿空気のスムーズな流れと、器具本体1内部へ流入する空気のスムーズな流れと、結露水の流出防止と、をそれぞれ達成できるように適宜変更しても良い。
【0050】
次に、本発明の第四の実施形態において生じる作用効果について、
図10~11に基づいて説明する。
【0051】
図10及び
図11(a)~(c)に示すように、第二又は第三の実施形態における上部ガイド板22は、壁面23の面内方向において上に凸となっている。つまり、壁面23を正面視した際の横方向(器具本体1の前後方向)において、上部ガイド板22の中央付近の最上面から左右方向へ下り傾斜しており、全体として上に凸形状となっている。これにより、開口部20の上方から壁面23を伝って落ちてくる結露水が、上部ガイド板22の上に水が停滞することがなく、確実かつスムーズに下方へ結露水を落下させることができる。
【0052】
また、上部ガイド板22の形状は、壁面23の面内方向において傾斜しているだけでも良い。つまり、壁面23を正面視した際の横方向(器具本体1の前後方向)において、一端から左方向、又は右方向に下り傾斜する形状であっても良く、上に凸形状と同様に確実かつスムーズに下方へ結露水を落下させることができる。
【0053】
次に、本発明の第五の実施形態において生じる作用効果について、
図12~13に基づいて説明する。
【0054】
図12及び
図13(a)~(c)に示すように、第四の実施形態における下部ガイド板21及び上部ガイド板22は互いに連接しており、かつ開口部20の周囲を囲うように設置している。これにより、開口部20の上方から壁面23を伝って落ちてくる結露水が、上部ガイド板22を沿って落下する際に、上部ガイド板22と下部ガイド板21との間に隙間がなく、かつ開口部20を囲っているため、開口部20へ侵入する結露水を確実に阻止することができる。
【0055】
なお、本発明における開口部20は一つの穴で構成されているが、複数の穴で構成されていても良い。このとき、個々の穴の大きさ(開口面積)を、水の表面張力により通過し難い大きさとすることで、結露水が開口部20に到達しても通過せず、器具本体1外部へ流出しないようにすることができる。ここで、穴の大きさ及び数は、水の通過を防ぎつつ、吹出口5の閉塞時に高温となった加湿空気を適切に排出することができるよう、適宜設定する。
【0056】
また、本発明の実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 器具本体
2 水槽
4 吸込口
5 吹出口
6 送風ファン
8 ヒータ
9 気化フィルタ
12 送風経路
20 開口部
21 下部ガイド板
22 上部ガイド板