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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090164
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】空調機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20240627BHJP
   F28D 5/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F24F1/0007 331
F28D5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205873
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】落合 優介
(72)【発明者】
【氏名】坂野 雄治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 僚祐
【テーマコード(参考)】
3L050
3L103
【Fターム(参考)】
3L050AA07
3L050BE00
3L050BE04
3L050BF02
3L103AA32
3L103BB42
3L103CC02
3L103CC23
3L103DD17
3L103DD67
(57)【要約】
【課題】給気ファン及び排気ファンにおける消費電力の観点から空調機を動作する際の電力消費を抑制することができる空調機を提供する。
【解決手段】空調機は、給気流路の一部を形成する給気パスと、排気流路の一部を形成する排気パスとを有する顕熱交換器と、前記顕熱交換器の前記排気パスに水を給水する給水部と、前記給水部に供給水路を介して水を供給する第1ポンプと、前記給気流路に配置される給気ファンと、前記排気流路に配置され、前記給気ファンの消費電力よりも低い消費電力で動作する排気ファンとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気流路の一部を形成する給気パスと、排気流路の一部を形成する排気パスと、を有する顕熱交換器と、
前記顕熱交換器の前記排気パスに水を給水する給水部と、
前記給水部に供給水路を介して水を供給する第1ポンプと、
前記給気流路に配置される給気ファンと、
前記排気流路に配置され、前記給気ファンの消費電力よりも低い消費電力で動作する排気ファンと、
を備える空調機。
【請求項2】
前記排気流路における前記排気ファンによる排気風量は、前記給気流路における前記給気ファンによる給気風量よりも小さい
請求項1に記載の空調機。
【請求項3】
前記排気ファンの風量静圧特性において前記排気流路の通風抵抗による動作点の排気風量は、
前記給気ファンの風量静圧特性において前記給気流路の通風抵抗による動作点の給気風量よりも小さい
請求項2に記載の空調機。
【請求項4】
前記排気ファンの前記動作点から前記排気風量を増加させた際の圧力損失の増加率は、前記給気ファンの前記動作点から前記給気風量を増加させた際の圧力損失の増加率よりも大きい
請求項3に記載の空調機。
【請求項5】
前記給気ファンは、複数の異なる給気風量にて駆動し、
前記排気ファンによる排気風量は、前記給気ファンによる複数の異なる給気風量におけるいずれの給気風量よりも小さい
請求項2に記載の空調機。
【請求項6】
前記排気流路の最小流路断面積は、前記給気流路の最小流路断面積よりも小さい
請求項1に記載の空調機。
【請求項7】
前記空調機は、前記顕熱交換器の前記排気パスを通過した水が流れ込むドレンパンを更に備え、
前記ドレンパンは、前記排気流路の一部を形成し、
前記ドレンパンの端部の上方から中央部に向かって延びる返し部が、配置されている
請求項1に記載の空調機。
【請求項8】
前記空調機は、前記顕熱交換器の前記排気パスを通過した水が流れ込むドレンパンを更に備え、
前記ドレンパンは、前記排気流路の一部を形成し、
前記排気流路上には、抑制板が、前記ドレンパンに隣接して配置されている
請求項1に記載の空調機。
【請求項9】
前記排気ファンの羽根径は、前記給気ファンの羽根径よりも小さい
請求項1に記載の空調機。
【請求項10】
前記顕熱交換器は、膜部材とスペーサとを交互に複数積層して構成され、
積層方向にて隣り合うスペーサは、長手方向を互いに90度回転させて配置されている
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の空調機。
【請求項11】
前記スペーサの剛性は、前記膜部材の剛性よりも強い
請求項10に記載の空調機。
【請求項12】
前記排気パスを形成する前記膜部材の壁には、不織布が備えられている
請求項10に記載の空調機。
【請求項13】
給気又は排気が流入する側の前記スペーサの端部は、テーパ状に形成されている
請求項10に記載の空調機。
【請求項14】
前記空調機は、気化フィルタを更に備え、
前記気化フィルタは前記給気流路の一部を形成する
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の空調機。
【請求項15】
前記空調機は、前記顕熱交換器の前記排気パスを通過した水が流れ込むドレンパンを更に備え、
前記第1ポンプは、前記ドレンパンに貯水される水を前記給水部に供給する
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を吸い込み、水の気化熱を利用し雰囲気温度を低下させて冷却した空気を室内に吹き出す気化冷却式の空調機が知られており、例えば特許文献1にて示される。特許文献1の空調機において、第2流路を流れる空気は顕熱交換器が有する複数のチューブ内を通過し、第1流路を流れる空気は複数のチューブの周りを通過する。この結果、第2流路を流れる空気と、第1流路を流れる空気と、が熱交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-092338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の空調機においては、例えば、給気ファン及び排気ファンに関する考慮がされていない。
【0005】
発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、新規で有用な空調関連の製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る空調機は、給気流路の一部を形成する給気パスと、排気流路の一部を形成する排気パスとを有する顕熱交換器と、前記顕熱交換器の前記排気パスに水を給水する給水部と、前記給水部に供給水路を介して水を供給する第1ポンプと、前記給気流路に配置される給気ファンと、前記排気流路に配置され、前記給気ファンの消費電力よりも低い消費電力で動作する排気ファンと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
給気ファン及び排気ファンにおける消費電力の観点から空調機を動作する際の電力消費を抑制することができる空調機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る空調機の一構成例を示す模式的側断面図である。
図2】空調機の外観を示す斜視図である。
図3】給水タンクを外した状態での空調機の外観の前面を示す正面図である。
図4】給水タンクを外した状態での空調機の外観の前面を示す平面図である。
図5】給水タンクの外観を示す斜視図である。
図6】給水タンクと筐体との着脱を規制する規制構造を示す説明図である。
図7】顕熱交換器の一構成例を示す模式的斜視図である。
図8】顕熱交換器のスペーサを露出させた状態を示す説明図である。
図9】空調機の内部における給気及び排気の流れを示す説明図である。
図10】風量と圧力損失値とを示すPQ特性図の一例を示す説明図である。
図11】ドレンパンよりも下流側の排気流路の一部を拡大した説明図である。
図12】抑制板の外観を示す斜視図である。
図13】排水レバーの回動を示す説明図である。
図14】インラインフィルタの脱着を示す説明図である。
図15】インラインフィルタとフィルタケースとの嵌合状態を示す模式的側断面図である。
図16】空調機における各機能部を示すブロック図である。
図17】基板に実装された制御部による処理手順を示すフローチャートである。
図18】熱交ケースの外観を示す斜視図である。
図19】熱交ケースの外観を示す正面図である。
図20】熱交ケースの外観を示す左側面図である。
図21】熱交ケースの外観を示す右側面図である。
図22】熱交ケースの外観を示す背面図である。
図23】熱交ケースの外観を示す平面図である。
図24】熱交ケースの外観を示す下面図である。
図25】変形例1に係る抑制板の外観を示す側断面図である。
図26】変形例2に係る抑制板の外観を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係る空調機1等を、図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。
【0010】
(実施形態1)
以下、実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る空調機1の一構成例を示す模式的側断面図である。図2は、空調機1の外観を示す斜視図である。図1は、図2におけるA-A線において切断した断面を、前面から模式的に示したものである。図1においては、空調機1の載置状態を空調機1の通常の使用態様とし、上下左右を示す。図2においては、空調機1の載置状態を空調機1の通常の使用態様として、上下及び前後左右を示す。本実施形態において、鉛直方向は、上下方向を示す。第1水平方向は、左右方向を示す。第2水平方向は、前後方向を示す。
【0011】
空調機1は、例えば、フォークリフト、トラック等の商用車、牽引車、高所作業車、ミニショベル、ゴルフカート等の車両に搭載される。空調機1は、箱状の筐体10を備え、筐体10の外面から延設されたケーブル103によって、例えば車両のバッテリー端子等の給電部と電気的に接続される。ケーブル103は、筐体10の内部に設けられた受電部102(図16参照)と接続されている。従って、空調機1は、ケーブル103等を介して、車両のバッテリーから供給される電力を受電し駆動することで、車両の操作者の周辺空間を被空調空間として冷却する。空調機1が、例えばフォークリフト等の移動体に載置される場合、空調機1の電源のオン・オフは、フォークリフトのエンジンのキースイッチのオン・オフに連動して行われるものであってもよい。すなわち、フォークリフトのエンジンをオンにすることにより空調機1の電源はオンにされ、フォークリフトのエンジンをオフにすることにより空調機1の電源はオフにされるものであってもよい。又は、空調機1の筐体10には電源スイッチが配置されており、当該電源スイッチを押下等して操作することにより、空調機1の電源のオン・オフがされるものであってもよい。
【0012】
なお、空調機1は、工場等の屋内に載置されるものであってもよい。この場合、空調機1は、商用電源をAC/DCアダブターにて変圧してから供給された電力、又は筐体10に収納されるリチウムイオン電池等の二次電池等から供給された電力を用いて駆動するものであってもよい。なお、二次電池等は、筐体10の外部に備えられていてもよい。
【0013】
筐体10は、樹脂製又は金属製から成る矩形状の箱体を成し、本体11と、本体11に対して開閉自在な扉12を有する。箱体を成す筐体10は、上面、下面、及び側壁を有する。側壁は、第1側壁111、第2側壁112、第3側壁113、及び第4側壁114を含む。本実施形態において、第1側壁111は後側壁に相当する。第2側壁112は前側壁に相当する。第3側壁113は右側壁に相当する。第4側壁114は左側壁に相当する。従って、第1側壁111と第2側壁112とは対向している。第3側壁113と第4側壁114とは対向している。第3側壁113は、第1側壁111と第2側壁112とを連結している。第4側壁114は、第1側壁111と第2側壁112とを連結している。第1側壁111は、本体11側の第1側壁111と、扉12側の第1側壁111とにより構成される。
【0014】
扉12は、本体11の上方に配置されており、本体11に対して開閉可能に構成されている。具体的には、扉側第1側壁1112は、2つの支持部により、本体側第1側壁1111に連結されている。なお、支持部は、例えばヒンジを用いることができる。
【0015】
筐体10は、使用者が空調機1を持ち運ぶ際に把持される取手が設けられている。取手は、例えばU字状を成し、当該U字の両端が、第3側壁113と第4側壁114とに回動可能に取り付けられているものであってもよい。又は、筐体10には、使用者が空調機1を持ち運ぶ際に利用される肩掛け紐が備えられていてもよい。
【0016】
筐体10の上面には、給気を吹き出すダクト431が配置されている。筐体10の第2側壁112の横には、給水タンク8が配置される。筐体10の第2側壁112の下方には、給水タンク8を配置するためのタンク台部13が位置している。給水タンク8は、タンク台部13の上面となる装着面131に載置されることにより、第2側壁112を覆うものとなる。
【0017】
タンク台部13の下方には、後述するドレンパン6から水を排水するための排水口1122が設置されている。当該排水口1122は、後述する排水路781の端部に相当し、排水路781には、開閉機構を有する排水バルブ782が配置されている。
【0018】
給水タンク8は、筐体10に対し着脱可能に篏合されている。給水タンク8は、後述する規制構造80に含まれるハンドル部801を有し、当該ハンドル部801の操作により、筐体10から取り外すことができる。給水タンク8への水の補充を行う際、給水タンク8のみを水道の蛇口に持っていくことが可能となり、空調機1の利用者による水の補充作業負荷が軽減される。給水タンク8の側面には縦長の水位確認窓82が配置されている。使用者は、水位確認窓82を介して、給水タンク8における残水量を視認できる。
【0019】
筐体10には、被空調空間の空気を吸い込む給気吸込口42及び排気吸込口52が形成されている。更に、筐体10には、給気吹出口43及び排気吹出口53が形成されている。給気吸込口42は、筐体10の第3側壁113に形成されている。排気吸込口52は、筐体10の一部を成す扉12に形成されている。給気吹出口43は、筐体10の上面に形成され、ダクト431と連通している。ダクト431は、給気吹出口43の周方向に回転可能に構成され、ダクト431からの吹き出す給気の風向きを調整する風向調整板を有するものであってもよい。排気吹出口53は、筐体10の第4側壁114に形成されている。
【0020】
空調機1は、水を貯水する給水タンク8と、給水タンク8から給水される気化フィルタ2及び顕熱交換器3を含む冷却ユニット20とを備える。気化フィルタ2は、気化フィルタケースに収納されている。顕熱交換器3は、熱交ケース34に収納されている。気化フィルタ2は、給水タンク8から供給された水の気化熱を用いて雰囲気温度を低下させ、被空調空間を冷却する。顕熱交換器3は、給水タンク8から供給された水の顕熱及び潜熱を用いて雰囲気温度を低下させ、被空調空間を冷却する。顕熱交換器3は、熱交換器の一例である。気化フィルタ2は、給気の流れ方向において、顕熱交換器3よりも下流側に配置されている。すなわち、気化フィルタ2は、顕熱交換器3と、給気吹出口43との間に配置されている。
【0021】
顕熱交換器3及び気化フィルタ2を通過し、顕熱交換器3及び気化フィルタ2によって二段階によって冷却された空気が、給気吹出口43から被空調空間に給気として吹き出される。また、顕熱交換器3を通過する際、顕熱交換器3に給水された水により冷却された後、顕熱交換器3にて給気と顕熱交換された空気が、排気吹出口53から空調機1の外部に排気として吹き出される。
【0022】
給気吸込口42と給気吹出口43とは連通しており、給気吸込口42を給気の入口、給気吹出口43を給気の出口として、給気となる空気が流れる給気流路4が、形成される。すなわち、給気は、給気吸込口42から給気流路4に流入し、給気吹出口43から流出する。給気吸込口42には、給気吸込口42から吸い込んだ給気の塵埃を捕集する給気用集塵フィルタが配置されているものであってもよい。
【0023】
排気吸込口52と排気吹出口53とは連通しており、排気吸込口52を排気の入口、排気吹出口53を排気の出口として、排気となる空気が流れる排気流路5が、形成される。すなわち、排気は、排気吸込口52から排気流路5に流入し、排気吹出口53から流出する。排気吸込口52には、排気吸込口52から吸い込んだ排気の塵埃を捕集する排気用集塵フィルタが配置されているものであってもよい。
【0024】
空調機1は、給気及び排気を搬送するためのファンを備える。ファンは、給気を搬送する給気ファン41と、排気を搬送する排気ファン51とを含む。給気ファン41及び排気ファン51は、例えばプロペラファン等の軸流ファン、又はシロッコファンであってもよい。給気ファン41は、給気吹出口43の近傍に配置されており、給気流路4における給気の流れ方向において、冷却ユニット20よりも下流側に位置し、吸い込みファンとして機能する。
【0025】
排気ファン51及び給気ファン41を駆動するにあたり、排気ファン51の消費電力は、給気ファン41の消費電力よりも低い。このように排気ファン51の消費電力を、給気ファン41の消費電力よりも低くするにあたり、排気ファン51の定格出力は、給気ファン41の定格出力よりも低いものであってもよい。又は、排気ファン51の羽根径は、給気ファン41の羽根径よりも小さいものであってもよい。又は、排気ファン51と給気ファン41とは例えば同じ型式等として同一の定格出力能力を有しつつ、排気ファン51及び給気ファン41のファンモータそれぞれの回転数を異ならせ、排気ファン51の回転数を、給気ファン41の回転数よりも低くするものであってもよい。ファンモータの回転制御においては、ファンモータに流れる電流を制御するFET等のパワー素子に入力するデューティ比等を変更することにより、排気ファン51に印加する電圧を、給気ファン41に印加する電圧よりも小さくするものであってもよい。また、印加する電圧の値を変更せず、電圧を印加する時間の比率を変動させることで、排気ファンに供給する電力を、給気ファン41に供給する電力よりも小さくするものであってもよい。
【0026】
排気ファン51は、排気吹出口53の近傍に配置されており、排気流路5における排気の流れ方向において、顕熱交換器3よりも下流側に位置し、吸い込みファンとして機能する。給気ファン41及び排気ファン51は、これら態様に限定されず、いずれも押し出しファン又は吸い込みファンであってもよい。給気ファン41及び排気ファン51を押し出しファンとする場合、給気ファン41は、給気吸込口42の近傍に配置され、排気ファン51は、排気吸込口52の近傍に配置される。
【0027】
排気ファン51によって搬送される排気は、排気吸込口52から吸い込まれ、顕熱交換器3の排気経路32に流入する。排気吸込口52は、扉12に形成されているため、排気吸込口52から吸い込まれた排気は、扉12を通過した後、顕熱交換器3の排気経路32に流入する。
【0028】
排気ファン51が排気吹出口53の近傍の排気流路5上に配置されるにあたり、当該排気吹出口53から奥まった位置にオフセットされて配置されるものであってもよい。排気吹出口53は、排気流路5の下流側の端部に位置するものであり、当該下流側の端部における排気流路5は、一例として直線状を成す。排気ファン51は、排気の下流側の端部における直線状の排気流路5に配置されており、排気ファン51を基準とした場合、排気ファン51から直線状の排気流路5の下流側の端部までの距離は、当該直線状の排気流路5の上流側の端部までの距離よりも長い。このように排気ファン51を、排気流路5の下流側の端部である排気吹出口53から離間させて配置されることにより、当該排気ファン51に対する筐体10の外部からの静電気の影響を低減されることができ、排気ファン51の安定稼働を図ることができる。
【0029】
排気ファン51からの直線状の排気流路5において、排気ファン51から当該直線状の排気流路5の上流側の端部までの部位は、板状の返し部501により構成される。このように構成された板状の返し部501は、ドレンパン6の上端付近に位置し、ドレンパン6の開口部の一部を覆うに左右方向に延びるように配置される。当該返し部501よりも、排気の流れ方向にて上流側には、抑制板502が配置されている。抑制板502は、ドレンパン6の開口部の一部を覆うように配置されている。これら、返し部501、抑制板502、及びドレンパン6の配置及び構成については、後述する。
【0030】
顕熱交換器3には、給気が流れる給気経路31と排気が流れる排気経路32とが配置されている。すなわち、顕熱交換器3は、給気経路31及び排気経路32を含む。上述のとおり、空調機1には、空気の流通経路として、給気が流れる給気流路4と排気が流れる排気流路5とが配置されている。顕熱交換器3の給気経路31は給気流路4の一部を構成し、顕熱交換器3の排気経路32は排気流路5の一部を構成する。
【0031】
詳細は後述するが、顕熱交換器3における給気経路31と排気経路32とは、膜部材301とスペーサ302とを交互に複数、積層して構成される。積層方向にて隣り合うスペーサ302は、長手方向を互いに90度回転させて配置されており、同一の膜部材301を介して隣り合うスペーサ302同士は、互いに交差することにより、給気経路31と排気経路32とは直交し、給気経路31を流れる給気と排気経路32を流れる排気とによって、直交流が形成される。
【0032】
積層される膜部材301それぞれを介して、給気経路31に流れる給気と、排気経路32に流れる排気との間にて、顕熱交換が行われる。これら積層される複数の膜部材301の積層方向は、給気経路31及び排気経路32のそれぞれの経路方向に対し、垂直となる。すなわち本実施形態において、給気経路31の経路方向は右から左となり、排気経路32は上から下となり、これに対し、積層方向は、これら左右及び上下の双方の方向に対し垂直となる前後方向となる。
【0033】
顕熱交換器3における対向する2つの側面それぞれには、給気経路31の入口及び出口が形成されている。本実施形態における図示において、給気経路31の入口は顕熱交換器3の右面に位置し、給気経路31の出口は顕熱交換器3の左面に位置している。
【0034】
給気経路31は、給気経路31の入口から給気経路31の出口に向けて連通された複数の空間が積層されて、形成されている。顕熱交換器3における上面には排気経路32の入口が形成され、下面には排気経路32の出口が形成されている。排気経路32は、排気経路32の入口から排気経路32の出口に向けて連通された複数の空間が積層されて、形成されている。
【0035】
冷却ユニット20、すなわち気化フィルタ2及び顕熱交換器3の下方には、上部に開口部を有する箱状のドレンパン6が配置されている。ドレンパン6は、後述する熱交用給水部33から供給された水であって、顕熱交換器3を通過した水を受ける。更に、ドレンパン6は、後述するフィルタ用給水部21から供給された水であって、気化フィルタ2を通過した水を受ける。ドレンパン6は、開口部を気化フィルタ2及び顕熱交換器3の下面に向け、排気の流れ方向において顕熱交換器3よりも下流側に配置されている。すなわち、ドレンパン6の内部空間である貯水空間は、排気流路5の一部を形成する。
【0036】
排気ファン51によって排気吸込口52から吸い込まれ、顕熱交換器3の排気経路32を通過した排気は、上面が開口された箱状を成すドレンパン6の貯水空間を通過して、排気吹出口53から吹き出される。排気は、顕熱交換器3の排気経路32を通過する際、当該排気経路32に対し熱交用給水部33から給水する水と混在する。すなわち、顕熱交換器3の排気経路32において、排気の流れ方向と、水の流れ方向とが同じ方向となり、排気と水とは並行流を形成する。
【0037】
本実施形態における図1上の例示において、給気が流れる給気経路31は、顕熱交換器3の右面から左面に向かって、直線状に配置されている。給気の流れ方向において、給気経路31の出口の下流側には、気化フィルタ2が配置されている。気化フィルタ2は、顕熱交換器3と給気吹出口43との間の給気流路4上に配置されている。
【0038】
気化フィルタ2は、矩形状の一面を、給気経路31の出口が形成された顕熱交換器3の左面に対向させて、配置されている。このように気化フィルタ2は、冷却エレメント又は気化エレメントとして機能する。気化フィルタ2は、例えばレーヨンやポリエステル等によって成形されている不織布等である。気化フィルタ2の上部には、ノズルを有するフィルタ用給水部21が配置されている。フィルタ用給水部21の詳細は、後述する。気化フィルタ2は吸水性を有し、フィルタ用給水部21から給水された水が気化フィルタ2の全面に浸透することにより、水の気化を促進する。気化フィルタ2から給気吹出口43までの給気流路4は、気化フィルタ2から上方に向かって延設されている。
【0039】
顕熱交換器3の給気経路31から流出した給気は、気化フィルタ2を通過し、給気吹出口43から被空調空間に吹き出される。給気経路31の出口から流出した給気は、顕熱交換器3を介して排気により一次冷却されており、気化フィルタ2よって二次冷却されることにより、二段階にて冷却されるものとなる。従って、例えば、気化フィルタ2のみを用いる直接気化方式と比較して、給気の温度が更に低下する。
【0040】
顕熱交換器3の残留水及び気化フィルタ2の残留水は、顕熱交換器3及び気化フィルタ2の下方に位置するドレンパン6によって受けられ、当該残留水は、ドレンパン6の貯水空間にて貯水されることにより、回収される。ドレンパン6に回収された水は、供給水路7を介して気化フィルタ2及び顕熱交換器3に供給される。
【0041】
図1に示すように、供給水路7には、インラインフィルタ75、流量センサ77、及び第1ポンプ76が配置されている。第1ポンプ76を駆動することによりドレンパン6に貯水された水は、気化フィルタ2の上方に配置されるフィルタ用給水部21、及び顕熱交換器3の上方に配置される熱交用給水部33のそれぞれに第1ポンプ76により供給される。フィルタ用給水部21のノズルから滴下された水が、気化フィルタ2に供給される。熱交用給水部33のノズルから滴下された水が、顕熱交換器3の排気経路32に供給される。このように供給水路7、熱交用給水部33、フィルタ用給水部21、及びドレンパン6によって、冷却ユニット20を構成する気化フィルタ2及び顕熱交換器3と、ドレンパン6との間にて水を循環させる循環水路が形成される。従って、第1ポンプ76は、当該循環水路にて水を循環させる循環ポンプとして機能する。
【0042】
供給水路7は、ドレンパン6の底面61に形成された底孔611に連通している。供給水路7は、筐体10の第1側壁111に沿って、下方から上方に延びて配置される第1給水路71と、熱交用給水部33に接続される第2給水路72、第1給水路71と第2給水路72とを連結する連結給水路73、及び、熱交用給水部33とフィルタ用給水部21とを連結する給水部連結路74を含む。熱交用給水部33、フィルタ用給水部21、給水部連結路74、及び第2給水路72は、扉12に固定されている。第1給水路71、第2給水路72、及び、給水部連結路74は、例えば樹脂製又は金属製のパイプにて構成される。
【0043】
供給水路7は、排水路781に分岐する分岐部78を有する。排水路781は、分岐部78を基端として、先端には、筐体10の外部に露出する排水口1122が取り付けられている。排水路781には、後述する開閉機構を有する排水バルブ782が配置されている。排水路781の端部となる先端に配置される排水口1122に関し、空調機1が運転される等の通常使用時において、排水バルブ782が全閉状態とされている。空調機1のメンテナンス等の保守作業時において、排水バルブ782を開くことにより、ドレンパン6内にて貯水されている水を、排水口1122から空調機1の外に排出することができる。
【0044】
供給水路7と、給水タンク8とは、補充水路9によって連通されている。補充水路9には、第2ポンプ91が配置されている。第2ポンプ91は、給水タンク8の水を供給水路7に搬送するタンク用ポンプとして機能する。補充水路9の一端は給水タンク8の下部に接続され、補充水路9の他端は、供給水路7における流量センサ77と第1ポンプ76との間に位置する接続点に接続されている。流量センサ77は、供給水路7において、当該接続点よりも上流に配置されている。ドレンパン6の底面61の上には、水位センサ63が配置されている。
【0045】
図3は、給水タンク8を外した状態での空調機1の外観の前面を示す正面図である。図4は、給水タンク8を外した状態での空調機1の外観の前面を示す平面図である。筐体10の第2側壁112の側には、給水タンク8を配置するためのタンク台部13が形成されている。タンク台部13は、第2側壁112から前方に突出して位置することにより、タンク台部13と第2側壁112によって段差が形成される。タンク台部13の上面は、給水タンク8が載置される装着面131として機能する。タンク台部13の装着面131には、円柱状のボス部132が形成されている。本実施形態において、2つのボス部132が、タンク台部13の上面に配置されている。これら2つのボス部132の間には、流入用筒部134が配置されており、流入用筒部134は、補充水路9に連通する連通孔を形成する。流入用筒部134の内部には、タンク用フィルタ90が配置されているものであってもよい。上述のとおり、タンク台部13の装着面131に給水タンク8を配置する際、ボス部132は、給水タンク8の下面に形成された凹状のボス受け部81に篏合する。これにより、給水タンク8を筐体10に取り付ける際の位置決めを効率的に行うことができる。
【0046】
タンク台部13のである装着面131には、更に、インラインフィルタ75及び排水レバー133が設置されている。これらインラインフィルタ75及び排水レバー133の構造及び配置については、後述する。
【0047】
筐体10の第2側壁112には、扉12を閉めた状態に維持するためのロック機構14が、配置されている。ロック機構14の外面は、第2側壁112と同一面状となるように構成されており、すなわちロック機構14の外面は、第2側壁112の一部を成す。ロック機構14の操作部は、ロック機構14の外面に形成された窪み部の内部に配置されており、扉12を開閉する際に用いられるレバー等により構成される。
【0048】
給水タンク8を筐体10に取り付けるにあたり、給水タンク8はタンク台部13の上面である装着面131に配置され、この際、給水タンク8の背面と、筐体10の第2側壁112とは、対向する。これにより、第2側壁112に位置するロック機構14は、給水タンク8の背面により覆われた状態となる。従って、給水タンク8が筐体10に取り付けられた状態において、空調機1の操作者が、ロック機構14の操作部を操作し、扉12を開けることを防止することができる。
【0049】
更に、タンク台部13の装着面131に配置される排水レバー133及びインラインフィルタ75についても、給水タンク8の底面により覆われた状態となる。従って、給水タンク8が筐体10に取り付けられた状態において、空調機1の操作者が、排水レバー133を操作し、又はインラインフィルタ75を取り外す等を、空調機1の動作中にて行うことを防止することができる。更に、排水レバー133を操作して開状態にし排水する際、当該排水レバー133は装着面131から突出した状態となるため、この状態において給水タンク8を取り付けることが不可となる。従って、給水タンク8を装着面131に装着する際、必然的に排水レバー133が装着面131の内側となるように元に戻して閉状態とするものとなるため、排水レバー133の閉め忘れを確実に防止することができる。
【0050】
給水タンク8を筐体10から取り外すことにより露出する第2側壁112には、爪篏合部1121が形成されている。爪篏合部1121は、第2側壁112に形成された矩形状の孔部又は窪み部から成り、本実施形態においては、左右に2つ設けられている。爪篏合部1121には、給水タンク8における規制構造80の一部を成すロック部802の先端となる爪部が篏合する。これにより、給水タンク8の上下方向、すなわち鉛直方向の動きが規制され、鉛直方向に荷重がかかった場合であっても、給水タンク8が筐体10から外れることを防止することができる。
【0051】
図5は、給水タンク8の外観を示す斜視図である。図6は、給水タンク8と筐体10との着脱を規制する規制構造80を示す説明図である。給水タンク8は、例えば、樹脂性又は金属製であり、矩形の箱状を成す。給水タンク8の下面には、タンク台部13のボス部132に対応するボス受け部81が形成されている。本実施形態のようにボス部132が凸状に形成されている場合、ボス受け部81は凹状に形成されることにより、ボス部132とボス受け部81とが篏合する。
【0052】
給水タンク8の下面において、2つのボス受け部81の間には、筒状に突出した流出用筒部83が、形成されている。流出用筒部83の内部空間は、給水タンク8の内部の水が、流出する流出用孔として機能する。給水タンク8内の水は、当該流出用筒部83から、補充水路9に流れ込む。流出用筒部83には、タンク用フィルタ90が配置されているものであってもよい。タンク用フィルタ90によって、給水タンク8からの水に塵埃が含まれている場合であっても、当該塵埃を捕集し、塵埃が供給水路7に入り込むことを防止することができる。流出用筒部83には、給水タンク8が取り外された状態において、給水タンク8からの水の流出を止める弁体が配置されているものであってもよい。
【0053】
給水タンク8の下方には、ボス受け部81及び流出用筒部83を側面側から覆うように化粧板が配置されている。又は、ボス受け部81は、給水タンク8の下面に形成された窪み部にて構成され、流出用筒部83は、給水タンク8の下面に形成された孔部の中に配置されることにより、給水タンク8の下面よりも内側に位置するように設けられるものであってもよい。このような構成とすることにより、ボス受け部81及び流出用筒部83が、給水タンク8の下面から突出することを防止することができ、給水タンク8の下面を地面等の水平面に載置し、自立できる構成とすることができる。
【0054】
給水タンク8は、給水タンク8を取り外す際に作業者によって把持されるハンドル部801を有し、当該ハンドル部801、ロック部802、スライド案内部803、及び連結部材804によって構成される規制構造80を有する。ハンドル部801は、給水タンク8の上方に位置し、丸棒状の把持部を含む。ハンドル部801は回動可能に構成されており、作業者によって把持部が把持されることにより、回動する。ロック部802は、先端に爪部を有し、ハンドル部801の回動に応じて、水平方向に移動する。スライド案内部803には、水平方向に延びる長孔が形成されており、当該長孔の内部にて、ロック部802の円柱状突起部がスライドすることにより、ロック部802の水平方向の移動が案内される。連結部材804は、ハンドル部801とロック部802とを連結し、ハンドル部801の回動による応力をロック部802に伝える。当該連結部材804により、ハンドル部801とロック部802との動作が、連動される。
【0055】
ロック部802が移動する水平方向は、本実施形態においては、空調機1の前後方向に相当する。ハンドル部801が回動していない場合、すなわちハンドル部801が作業者によって把持されておらず、給水タンク8が筐体10に装着されている場合、ロック部802は後方側に位置することにより、ロック部802の先端に位置する爪部は、筐体10の第2側壁112に形成された爪篏合部1121に篏合する。これにより、給水タンク8の上下方向、すなわち鉛直方向の動きが規制される。ハンドル部801が作業者によって把持され、ハンドル部801が回動した場合、ロック部802は前方側に位置することにより、ロック部802の先端に位置する爪部は、筐体10の第2側壁112に形成された爪篏合部1121から外れ、篏合状態が解除される。これにより、給水タンク8の上下方向、すなわち鉛直方向の規制が解除され、給水タンク8を上方に引き上げることにより、給水タンク8を筐体10から取り外すことができる。
【0056】
図7は、顕熱交換器3の一構成例を示す模式的斜視図である。図8は、顕熱交換器3のスペーサ302を露出させた状態を示す説明図である。顕熱交換器3は、複数の給気経路31と排気経路32とを備え、これら給気経路31と排気経路32とが交互に積層された積層構造を有する。顕熱交換器3は、複数の膜部材301が積層されて構成され、当該積層方向にて隣接する2つの膜部材301の間には、2つ以上のスペーサ302が介在して配置されている。すなわち、隣接する2つの膜部材301に挟まれるにように2つ以上のスペーサ302が配置されており、本実施形態においては、膜部材301の両端それぞれ、及び膜部材301の中央にて、3つのスペーサ302が配置されている。
【0057】
スペーサ302は、例えば長尺状の矩形の棒体から成り、長手方向が空気の流れ方向に対し平行となるように配置される。この際、積層方向にて隣り合うスペーサ302、すなわち膜部材301を介して隣り合うスペーサ302同士は、いずれかのスペーサ302が給気パス311を形成し、他方のスペーサ302が排気パス321を形成する。積層方向にて隣り合うスペーサ302は、長手方向を互いに90度回転させて配置されため、比較的に簡易な構造により、給気パス311と排気パス321とによる直交流を形成することができる。
【0058】
膜部材301は、矩形状又は正方形状を成し、伝熱性が高く、かつ遮蔽性を有する薄壁にて構成される。当該薄壁にて構成される膜部材301は、樹脂製又は金属製であってもよい。膜部材301は、給気経路31と排気経路32との間における空気及び水分の流通を遮断しつつ、給気と排気との間における熱交換を行う。
【0059】
給気経路31は、複数の給気パス311により形成される。給気パス311は、積層方向にて隣接する2つの膜部材301と、当該2つの膜部材301の間に配置される2本以上のスペーサ302によって形成される。本実施形態の図示にて、隣接する2つの膜部材301の間に3本のスペーサ302が配置される場合、これら2つの膜部材301の間には、2本の給気パス311が形成される。排気経路32は、複数の排気パス321により形成される。排気パス321についても、給気パス311と同様に隣接する2つの膜部材301、及び当該膜部材301の間に配置される3本のスペーサ302によって形成される。
【0060】
給気パス311を形成するスペーサ302の端部において、空気、すなわち給気が流入する側のスペーサ302の端部は、テーパ状に形成されている。膜部材301の端部の2つのスペーサ302それぞれは、内側に位置する側面のみがテーパ状に形成されている。膜部材301の中央部のスペーサ302は、2つの側面それぞれがテーパ状に形成されている。このようにスペーサ302における、給気の流れ方向における上流側の端部を、給気の流れ方向に向けて幅が広くなるようにテーパ状に形成することにより、隣り合う2つのスペーサ302のテーパ状の端部それぞれによって形成される給気パス311は、給気の流れ方向に向けて幅が狭くなるように形成される。すなわち、給気の流れ方向における、給気パス311の入口の間口を広げ、給気の流れ方向に沿って給気パス311の流路断面積を徐々に又は段階的に小さくすることができる。従って、給気パス311に給気が流入する際の圧力損失が低減される。排気パス321を形成するスペーサ302の端部においても、給気パス311と同様に空気、すなわち排気が流入する側のスペーサ302の端部は、テーパ状に形成されているものであってもよい。
【0061】
排気パス321を形成する膜部材301の表面には、不織布が貼付けられているものであってもよい。排気パス321を形成する膜部材301の表面に不織布を貼付けることにより、排気パス321に供給された水を保水することができる。このように不織布は、水を保水する湿潤部として機能する。排気パス321の内面は、膜部材301の一面に貼付された不織布によって構成されるため、熱交用給水部33から供給された水は膜部材301によって保水される。これにより、排気に接する水の分布密度が向上するため、排気パス321を通過する排気と水との気化効率を向上させ、排気による水の気化を促進させ、又はこれら双方の作用が奏される。この結果、水による排気の冷却度が増加する。なお、膜部材301に保水されている水は、顕熱交換器3にて排気経路32に流れる排気と直交流を形成している給気経路31を流れる給気との間でも顕熱交換される。
【0062】
排気パス321において、隣接する膜部材301にて互いに対向する面それぞれには不織布が貼付されているため、スペーサ302は、対向する面それぞれに貼付された不織布の間に配置されるものとなる。不織布には、スペーサ302が配置される部位に対応した切欠きが形成されているものであってもよい。
【0063】
スペーサ302の剛性は、膜部材301の剛性よりも高いため、顕熱交換器3を筐体10内に配置する際、スペーサ302は強度部材として機能し、顕熱交換器3の変形が抑制される。スペーサ302の厚みは、すなわち積層方向の幅は、膜部材301の厚みよりも大きいものであってもよい。スペーサ302は中空構造を有さない中実体にて成形してもよい。又は、スペーサ302の材料となる樹脂等を、膜部材301の材料となる樹脂等の剛性よりも高い剛性の素材としてもよい。これらの結果、スペーサ302の剛性が膜部材301の剛性よりも高くなるものであってもよい。スペーサ302は中実体としたがこれに限定されず、スペーサ302は、剛性を設計上必要とされる値を担保した上で、中空構造を有するものであってもよい。スペーサ302及び膜部材301の剛性は、例えばヤング率等にて示されるものであってもよい。スペーサ302の剛性が、膜部材301の剛性よりも高くなることにより、スペーサ302及び膜部材301に対し同方向にて同じ応力を加えた場合、スペーサ302の撓み量が、膜部材301の撓み量よりも少なくなる。
【0064】
図9は、空調機1の内部における給気及び排気の流れを示す説明図である。空調機1の筐体10の内部にて構成される給気流路4と排気流路5とにおいて、排気流路5の最小流路断面積は、給気流路4の最小流路断面積よりも小さい。本実施形態における図示のとおり、給気流路4の全般において、気化フィルタ2を通過した後、給気ファン41が配置された給気流路4に繋がる角部における給気流路4の流路断面積が、最小流路断面積となる。
【0065】
排気流路5全般において、顕熱交換器3を通過した後、ドレンパン6の内部空間における気化フィルタ2の直下の流路断面積が、最小流路断面積となる。ドレンパン6の内部空間における気化フィルタ2の直下の流路断面積は、ドレンパン6に貯水されている水の水位に応じて、増減するものとなるが、当該水位が最低水位の場合であっても、排気流路5の最小流路断面積は、給気流路4の流路断面積よりも小さくなるようにドレンパン6の深さが設定されている。
【0066】
排気流路5の最小流路断面積は、給気流路4の最小流路断面積の1/2以下となるように、排気流路5及び給気流路4が構成されているものであってもよい。このように排気流路5の最小流路断面積を、給気流路4の流路断面積よりも小さくすることにより、排気流路5の通風抵抗を給気流路4の通風抵抗よりも大きくすることができる。すなわち、仮に排気流路5に流れる排気の体積流量と、給気流路4に流れる給気の体積流量とを同じにした場合、排気流路5の圧力損失は、給気流路4の圧力損失よりも大きくなる。
【0067】
このよう排気流路5と給気流路4との最小流路断面積の大小関係が設定されている場合であっても、排気流路5における排気ファン51による排気風量すなわち体積流量は、給気流路4における給気ファン41による給気風量すなわち体積流量よりも小さいため、排気流路5における圧力損失を比較的に低く抑えることができる。従って、空調機1の冷却性能を維持しつつ、排気ファン51の消費電力を、給気ファン41の消費電力よりも低くすることができ、空調機1を動作する際の電力消費を抑制又は低減することができる。
【0068】
排気流路5と給気流路4との最小流路断面積の大小関係、及び排気ファン51と給気ファン41との体積流量の大小関係が上述のように設定されている上で、空調機1の製品仕様等に基づく定格運転において、排気ファン51及び給気ファン41それぞれの動作点それぞれが、第1風量静圧特性及び第2風量静圧特性にて特定される。排気ファン51及び給気ファン41それぞれの動作点において、排気ファン51及び給気ファン41それぞれの体積流量が定められており、当該体積流量それぞれによる排気流路5及び給気流路4の圧力損失の値が決定される。これら風量静圧特性及び動作点は、例えば、風量と圧力損失値とを示すPQ特性図にて示される。排気ファン51及び給気ファン41それぞれの動作点において、排気流路5の通風抵抗による排気ファン51の排気風量は、給気流路4の通風抵抗による給気ファン41の給気風量よりも小さい。
【0069】
図10は、風量と圧力損失値とを示すPQ特性図の一例を示す説明図である。PQ特性図において、横軸は、風量(Q[m^3/h]を示し、縦軸は、静圧(P[Pa]))を示す。給気ファン41における動作点(DP1)及び排気ファン51に動作点(DP2)は、PQ特性図上にて示され、給気ファン41の動作点(DP1)の風量(給気風量)は、排気ファン51の動作点(DP2)の風量(排気風量)よりも多い。給気ファン41の動作点(DP1)は、給気ファン41の特性を示す線図、及び給気流路4の特性を示す線図の交点として示され、これらにより給気流路4における給気ファン41の風量静圧特性(第2風量静圧特性)が示される。排気ファン51の動作点(DP2)は、排気ファン51の特性を示す線図、及び排気流路5の特性を示す線図の交点として示され、これらにより排気流路5における排気ファン51の風量静圧特性(第1風量静圧特性)が示される。PQ特性図において、給気流路4の特性を示す線図及び排気流路5の特性を示す線図が示すとおり、給気流路4の特性を示す線図の傾きは、排気流路5の特性を示す線図の傾きよりも大きい。排気ファン51及び給気ファン41それぞれの風量を増加させた際の静圧、すなわち圧力損失の増加率は、排気流路5のほうが、給気流路4よりも大きい。
【0070】
給気ファン41は、制御部101からの制御信号に基づき、又は印加される電圧の大小に応じて、複数の異なる給気風量にて駆動するものである場合、当該複数の異なる給気風量による複数の動作点を持つものとなる。この場合であっても、排気ファン51による排気風量は、給気ファン41による複数の異なる給気風量におけるいずれの給気風量よりも小さくなるように排気ファン51の回転数は制御される。すなわち、排気ファン51による排気風量は、給気ファン41による複数の異なる給気風量におけるいずれの給気風量よりも小さいものであり、すなわち給気ファン41による最小の給気風量よりも小さい。
【0071】
排気ファン51及び給気ファン41それぞれの動作点を基準として、排気ファン51の回転数を増加させた際の圧力損失の増加率は、給気ファン41の回転数を増加させた際の圧力損失の増加率よりも大きい。すなわち排気流路5の通風抵抗(第1通風抵抗)の増加率は、給気流路4の通風抵抗(第2通風抵抗)の増加率よりも大きい。このように排気流路5の通風抵抗を、給気流路4の通風抵抗よりも大きくなることを許容することにより、空調機1の筐体10内における排気流路5の設計自由度を向上させることができる。
【0072】
本実施形態において、排気流路5の最小流路断面積を、給気流路4の最小流路断面積よりも小さくすることにより、排気流路5の通風抵抗を、給気流路4の通風抵抗よりも大きくするとしたが、これに限定されない。例えば、排気流路5の全体における平均流路断面積を、給気流路4の全体における平均流路断面積よりも小さくすることにより、排気流路5の通風抵抗を、給気流路4の通風抵抗よりも大きくするものであってもよい。
【0073】
図11は、ドレンパン6よりも下流側の排気流路5の一部を拡大した説明図である。図12は、抑制板502の外観を示す斜視図である。ドレンパン6よりも、排気の流れ方向において下流側に位置する排気流路5において、当該ドレンパン6と排気ファン51との間には、抑制板502と返し部501とが配置されている。これら抑制板502と返し部501とは、排気の流れ方向において直列的に配置されており、抑制板502は、返し部501よりも上流側に配置されている。すなわち、ドレンパン6を通過した排気は、抑制板502に形成された隙間部504を通過した後、返し部501に到達し、当該返し部501を迂回するように流れた後、排気ファン51に吸い込まれる。
【0074】
返し部501は、ドレンパン6の上端付近に配置され、ドレンパン6の上方から、ドレンパン6の中央部に向かって水平又は左右に延びるよう構成されている。返し部501は、平板状を成し、ドレンパン6の開口部の一部を上から覆うように配置される。平板状の返し部501は、排気ファン51が載置される直線状の排気流路5を構成する下面が、排気の流れ方向において上流方向に延びることにより形成されるものであってもよい。このように返し部501は、ドレンパン6の開口部において、排気の流れ方向にて下流側に位置する部位を上から覆うように配置されるため、ドレンパン6の開口部から飛び出した水を遮蔽し、当該水が給気ファン41に吸い込まれることを抑制することができる。
【0075】
抑制板502は、複数の羽板503を備えたルーバーにて構成され、羽板503それぞれを構成する細長の板部材を、平行に複数並べた構造部材である。このようにルーバーにて構成された抑制板502には、隣り合う羽板503間に位置する隙間部504が形成されており、当該隙間部504を排気が流通する。すなわち、隙間部504は、排気流路5の一部を構成し、例えば、矩形状の孔部を成す。羽板503は、抑制板502の下面から下方、すなわち排気の流れ方向にて上流側に向かって、突出するように配置されている。抑制板502の下面から突出する羽板503の基端部は、羽板503の先端部よりも、ドレンパン6の中央部の側に位置するように、羽板503は突出している。すなわち、羽板503は、抑制板502の下面における基端部から、ドレンパン6の中央部とは逆方向に向かって、下方に突出している。従って、ドレンパン6から流出する排気は、個々の羽板503を迂回した後、隙間部504を通過するものとなり、これによりドレンパン6から飛び出そうとする水を羽板503により効率的に遮蔽することができる。
【0076】
ドレンパン6の内部空間は、排気流路5の一部を形成するものであり、当該ドレンパン6の内壁面は、排気流路5の内面の一部を構成する。ドレンパン6と排気ファン51との間に位置する排気流路5において、ドレンパン6の内部空間を通過した排気が流通する地点に抑制板502は配置されている。すなわち、抑制板502は、ドレンパン6における排気の流れ方向において下流側に位置する開口部の部位を、上から覆うように配置されている。当該抑制板502は、ドレンパン6における下流側の開口部の地点での排気流路5の流路断面を覆うように配置されているため、ドレンパン6の外部への水の飛び散りを効率的に抑制することができる。
【0077】
抑制板502が、ドレンパン6の内部空間を通過した排気が流通する地点の流路断面を覆うにあたり、矩形状を成す抑制板502の四隅それぞれが締結され、固定されるものであってもよい。この際、抑制板502の一端の2つの角部はドレンパン6の上端部に締結され、抑制板502の他端の2つの角部は、ドレンパン6の上方に位置する構造部材に締結されるものであってもよい。
【0078】
返し部501及び抑制板502を配置することにより、ドレンパン6からの水がドレンパン6の外部に飛び散ることを抑制することができるが、通風抵抗が増加するものとなる。これに対し、返し部501及び抑制板502は、排気流路5に配置されるものであり、当該排気流路5は給気流路4よりも通風抵抗が高いことが許容されている。従って、給気流路4よりも通風抵抗が高いことが許容される排気流路5に、返し部501及び抑制板502を配置することにより、空調機の冷却性能に影響を及ぼすことなく、ドレンパン6からの水がドレンパン6の外部に飛び散ることを抑制することができる。
【0079】
本実施形態において、ドレンパン6からの水がドレンパン6の外部に飛び散ることを抑制する構造部位として、返し部501及び抑制板502が排気流路5に配置されるとしたが、これに限定されず、返し部501又は抑制板502のいずれか一方のみが配置されるものであってもよい。例えば、返し部501のみを配置する場合、当該返し部501は、抑制板502と同様に流路断面を覆うように配置され、更にルーバー形状を成すものであってもよい。
【0080】
図13は、排水レバー133の回動を示す説明図である。図14は、インラインフィルタ75の脱着を示す説明図である。図15は、インラインフィルタ75とフィルタケース141との嵌合状態を示す模式的側断面図である。上述のとおり、タンク台部13の装着面131には、排水レバー133及びインラインフィルタ75が設置されており、これら排水レバー133及びインラインフィルタ75に対しては、タンクが空調機1の本体11から取り外れた場合のみ、操作できるように構成されている。
【0081】
排水レバー133は、棒状を成し、先端には操作者が把持するリング状の把持部が配置されている。排水レバー133は、タンク台部13の装着面131に対し、可動可能に構成されている。排水レバー133の可動角度は例えば90度であり、装着面131に対し水平となる水平状態と、装着面131に対し垂直となる垂直状態との間を回動するように構成されている。
【0082】
排水バルブ782は、排水レバー133の操作に応じて開閉される。排水レバー133は、排水バルブ782を閉じる場合、装着面131に対し水平となる水平状態となり、装着面131よりも内側に位置する。排水レバー133は、排水バルブ782を開く場合、装着面131に対し垂直となる垂直状態となり、装着面131から突出する。このように排水レバー133を構成することにより、給水タンク8が筐体10に取り付けられた状態において、空調機1の操作者が、排水レバー133を操作して排水バルブ782が開き、ドレンパン6内の水が排出されることを防止することができる。
【0083】
供給水路7上における第1ポンプ76とドレンパン6との間に位置するインラインフィルタ75は、タンク台部13の装着面131から着脱可能となるように取り付けられている。インラインフィルタ75は、タンク台部13の内部に配置される筒状のフィルタケース141に装着されている。筒状を成すフィルタケース141は、開口部を有し、当該開口部を装着面131の上方から露出させて配置されている。インラインフィルタ75は、フィルタケース141に装着された際、フィルタケース141の開口部から、フィルタケース141の内部に挿入されることにより、装着面131よりも内部に位置するように配置される。
【0084】
インラインフィルタ75は、筒状を成すフィルタ部を有する。インラインフィルタ75に流れ込む水は、フィルタ部を通過することにより、当該水と共に搬送された塵埃は、フィルタ部によって捕集される。水の流れ方向において、ドレンパン6から流出した水は、円筒状のフィルタ部の内部に流入した後、当該フィルタ部の側面からインラインフィルタ75の外部に流出する。フィルタ部を円筒状とすることにより、当該フィルタ部の表面積を増加させることができる。従って、インラインフィルタ75のフィルタ部によって捕集された塵埃は、当該インラインフィルタ75の内側にて残存するものとなる。
【0085】
インラインフィルタ75を通過する水の流れは、下方から上方に向かうものとなり、インラインフィルタ75をフィルタケース141に取り付ける際は、当該インラインフィルタ75を上方から下方に挿入する。インラインフィルタ75をフィルタケース141から取り外した際、上方からフィルタケース141の開口部を介して、当該フィルタケース141の内部に塵埃等が落下し溜まることが懸念されるが、インラインフィルタ75をフィルタケース141に取り付けることにより、フィルタケース141の内部に溜まった塵埃は、インラインフィルタ75のフィルタ部に内側に位置するものとなる。従って、仮にフィルタケース141の内部に塵埃が落下した場合であっても、インラインフィルタ75により確実に捕集することができる。
【0086】
筒状を成すフィルタケース141の内壁は、下方に向かって内径が小さくなるように縮径、テーパ状に形成されているものであってもよい。このように筒状を成すフィルタケース141の内壁を下方に向かって縮径することにより、フィルタケース141の内部に落下した塵埃を集約して、インラインフィルタ75の内側に位置するように効率的に案内することができる。
【0087】
インラインフィルタ75は、上述のとおり、供給水路7上における第1ポンプ76とドレンパン6との間に位置しており、第1ポンプ76はドレンパン6よりも水の流れ方向において上流側に配置されている。従って、インラインフィルタ75は、第1ポンプ76よりも下流側に位置して、供給水路7上に配置されている。このようにインラインフィルタ75を配置することにより、第1ポンプ76の負圧側にて、インラインフィルタ75を使用することができる。インラインフィルタ75を第1ポンプ76の負圧側で用いることにより、仮にインラインフィルタ75が捕集した塵埃により詰まった場合であっても、第1ポンプ76が吐出する水によりインラインフィルタ75の内圧が上昇することを回避することができ、インラインフィルタ75から水漏れすることを抑制することができる。
【0088】
図16は、空調機1における各機能部を示すブロック図である。空調機1は、制御部101を含む基板100を有する。基板100には、メモリ及びMPU等を含むマイコン等が実装され、マイコンは、給気ファン41、排気ファン51、第1ポンプ76及び第2ポンプ91等の駆動制御を行う制御部101として機能する。メモリには、制御部101が実行するプログラムが記憶されている。
【0089】
基板100は、例えば、排気流路5を形成する流路壁の外面に配置され、当該流路壁と熱的に接続されることにより、排気流路5を流れる排気によって冷却されるものであってもよい。空調機1が備える電装部品である給気ファン41、排気ファン51、第1ポンプ76、第2ポンプ91、流量センサ77、及び水位センサ63は、基板100に設けられた制御部101と通信線により通信可能に接続されている。
【0090】
水位センサ63は、例えばフロートセンサ等であり、ドレンパン6に貯水された水の水位の検出結果に関する信号である水位信号を、制御部101に出力する。流量センサ77は例えば羽根車式又はクランプオン式のセンサである。流量センサ77は、供給水路7に流れる水の流量の検出結果に関する流量信号を、制御部101に出力する。
【0091】
制御部101は、水位センサ63からの取得した信号である水位信号に基づき、ドレンパン6の水位が所定値以下であるか否かを判定し、所定値以下と判定した場合、第2ポンプ91を駆動することにより、給水タンク8から補充した水を給水部、すなわちフィルタ用給水部21及び熱交用給水部33に供給する。制御部101は、第2ポンプ91を駆動する際、第1ポンプ76を停止するものであってもよい。
【0092】
流量センサ77は、供給水路7に対し、給水タンク8からの補充水路9が接続される接続点よりも、下流側に配置されている。従って、流量センサ77は、第1ポンプ76が駆動されている場合は当該第1ポンプ76によって搬送される水の水量を検出し、第2ポンプ91が駆動されている場合は当該第2ポンプ91によって搬送される水、すなわち給水タンク8からの水の水量を検出する。このように流量センサ77を、第1ポンプ76と第2ポンプ91とにより共用化することにより、空調機1における部品点数を削減し、重量軽減及び製品コストの低減を図ることができる。
【0093】
供給水路7と補充水路9とが接続される接続点と、第1ポンプ76との間に位置する供給水路7には、水の逆流を防止する逆止弁が配置されるものであってもよい。供給水路7と補充水路9とが接続される接続点と、第2ポンプ91との間に位置する補充水路9には、水の逆流を防止する逆止弁が配置されるものであってもよい。このように第1ポンプ76及び第2ポンプ91それぞれと、接続点との間のそれぞれに逆止弁を配置することにより、第1ポンプ76が吐出した水が第2ポンプ91に逆流し、又は第2ポンプ91が吐出した水が第1ポンプ76に逆流することを防止することができる。
【0094】
図17は、基板100に実装された制御部101による処理手順を示すフローチャートである。基板100に実装された制御部101は、例えば空調機1の起動ボタンが押下される等により、空調機1の電源がオンとなり起動された場合、以下の処理を行う。
【0095】
制御部101は、例えば起動ボタンが押下に応じて、空調機1の電源をオンにする(S11)。空調機1の筐体10には、空調機1の電源のオン・オフするための起動ボタンが配置されており、操作者による起動ボタンの操作に応じて空調機1の電源をオンにする。又は、空調機1の電源のオン・オフは、フォークリフト等、空調機1が載置される移動体のエンジンのキースイッチのオン・オフに連動して行われるものであってもよい。
【0096】
制御部101は、電源をオンにする以前における直近の給水からの経過時間を導出する(S12)。制御部101は、例えば、給水ポンプが駆動された際に充電され、停止された際に放電するキャパシタの残留電荷の値を取得し、取得した残留電荷の値に基づき、電源をオンにする以前における直近の給水からの経過時間を導出するものであってもよい。当該残留電荷は、給水を停止、すなわち給水ポンプを停止してからの経過時間に応じて減少するため、残留電荷の値に応じて、経過時間を特定又は導出することができる。又は、制御部101を構成するマイコン等が含むメモリ等の記憶部を参照し、電源をオンにする以前における直近の給水が行われた日時等の時点データを取得する。制御部101は計時機能を有し、現時点における日時から、取得した時点データにて示される日時を減算することにより、電源をオンにする以前における直近の給水からの経過時間を導出するものであってもよい。
【0097】
制御部101は、経過時間は所定値以上であるか否かを判定する(S13)。判定に用いられる所定値は、例えば10分等として、制御部101を構成するマイコン等が含むメモリ等に記憶されている。制御部101は、メモリを参照することにより、導出した経過時間が、所定値以上であるか否かを判定する。
【0098】
所定値以上でない場合(S13:NO)、すなわち所定値未満である場合、制御部101は、再度S13の処理を実行すべくループ処理を行う。当該ループ処理を行うことにより、制御部101は、電源をオンにする以前における直近の給水からの経過時間が、メモリに予め記憶されている所定値以上となるまで、待受け処理を行うものとなる。
【0099】
所定値以上である場合(S13:YES)、制御部101は、給水ポンプの駆動を開始する(S14)。制御部101は、給水ポンプの駆動を開始した際、当該開始した時点を示す日時又はタイムスタンプを開始時点データとして、メモリに記憶するものであってもよい。制御部101は、給水ポンプの駆動を開始することにより、給水部、すなわち熱交用給水部33及びフィルタ用給水部21に対する給水を開始する。
【0100】
制御部101は、給水ポンプの駆動を開始した後、予め定められた駆動時間に達した場合、又は水位センサ63が検出したドレンパン6における水位が所定値となった場合、給水ポンプの駆動を停止し、給水タンク8からの給水を終了するものであってもよい。制御部101は、給水ポンプの駆動を停止した際、当該開始した時点を示す日時又はタイムスタンプを停止時点データとして、メモリに記憶するものであってもよい。このように給水ポンプの開始時点データ及び停止時点データをメモリに記憶することにより、給水ポンプの駆動履歴を保存することができる。制御部101は、このように記憶した開始時点データ又は停止時点データを用いることにより、電源をオンにする以前における直近の給水からの経過時間を効率的に導出することができる。
【0101】
図18は、熱交ケース34の外観を示す斜視図である。図19は、熱交ケース34の外観を示す正面図である。図20は、熱交ケース34の外観を示す左側面図である。図21は、熱交ケース34の外観を示す右側面図である。図22は、熱交ケース34の外観を示す背面図である。図23は、熱交ケース34の外観を示す平面図である。図24は、熱交ケース34の外観を示す下面図である。本実施形態において、斜視図を基準として前後、左右及び上限を示す。
【0102】
熱交ケース34は、顕熱交換器3を収納し、空調機1の筐体10の内部に配置される。熱交ケース34は、扉を開けた状態にて、空調機1の外部に対し露出した状態となり、熱交ケース34を上方に向けて引き抜き、筐体10から取り外すことができ、顕熱交換器3に対する清掃又は交換等のメンテナンス作業を効率的に行うことができる。
【0103】
熱交ケース34は、矩形枠状の給気入口側フレーム35と給気出口側フレーム36とを有し、これら給気入口側フレーム35及び給気出口側フレーム36それぞれの上面には、熱交ケース34を本体11から引き出す際に把持される取手部37が、形成されている。取手部37は、矩形状の枠体を成す。
【0104】
矩形枠状を成す給気出口側フレーム36の周縁部において、長手方向、すなわち図示にて上下方向に沿って縦リブ部361が形成されている。当該縦リブ部361は、給気出口側フレーム36にのみに形成されており、給気入口側フレーム35には形成されていない。これにより、縦リブ部361は、熱交ケース34を空調機1の筐体10に挿入する際、逆差し防止形状として機能する。本実施形態では、縦リブ部361は、給気出口側フレーム36のみに形成されとしたがこれに限定されず、縦リブ部361は、給気入口側フレーム35にのみに形成されており、給気出口側フレーム36には形成されていないものであってもよい。
【0105】
熱交ケース34の矩形状の上枠における周縁部にて対向する2つの長手部において、一方の長手部にのみ、切欠き部が形成されているものであってもよい。この場合、当該上枠における周縁部にて形成されている切欠き部についても、逆差し防止形状として機能するものであってもよい。
【0106】
(変形例1)
図25は、変形例1に係る抑制板502の外観を示す側断面図である。変形例1に係る抑制板502は、実施形態1の抑制板502と同様に複数の羽板503を備え、隣り合う羽板503の間には、排気が流通する隙間部504が形成されている。
【0107】
羽板503は、側断面視にてL字状を成す。羽板503は、抑制板502の下面から下方に向かって鉛直に突出した後、ドレンパン6の中央部とは逆方向に向かって水平方向に延びることにより、折り曲がって形成されている。羽板503における折り曲がった部分である折り曲げ部から先端部までの部位は、ドレンパン6に貯水される水の水面と平行となる。ドレンパン6から流出する排気は、個々の羽板503を迂回した後、隙間部504を通過するものとなり、これによりドレンパン6から飛び出そうとする水を羽板503により効率的に遮蔽することができる。
【0108】
(変形例2)
図26は、変形例2に係る抑制板502の外観を示す側断面図である。変形例2に係る抑制板502は、実施形態1の抑制板502と同様に複数の羽板503を備え、隣り合う羽板503の間には、排気が流通する隙間部504が形成されている。
【0109】
羽板503は、抑制板502の下面から下方に向かって突出するように形成されており、切り起こし状に構成されている。羽板503は、側断面視にてU字状を成し、当該U字状における左右の両面には、例えば、矩形状又は円状の通風孔が1つ以上形成されている。側断面視にてU字状を成す羽板503の底面は、ドレンパン6に貯水される水の水面と平行となる。
【0110】
ドレンパン6から流出する排気は、通風孔を通過した後、隙間部504を通過する。従って、ドレンパン6から流出する排気は、通風孔及び隙間部504を通過するものとなり、その上でドレンパン6から飛び出そうとする水を羽板503、より具体的にはU字状を成す羽板503の底面により効率的に遮蔽することができる。
【0111】
本態様にあたっては、空調機1は、排気パス321に水が給水される顕熱交換器3を備え、顕熱交換器3に流れる給気と排気との間で顕熱交換し、冷却された給気を吹き出す。空調機1は、給気経路31に配置され、給気を搬送する給気ファン41と、排気経路32に配置され、排気を搬送する排気ファン51とを有する。排気ファン51及び給気ファン41を駆動するにあたり、排気ファン51の消費電力は、給気ファン41の消費電力よりも低い。従って、給気に対する冷却性能を維持しつつ、排気ファン51の消費電力を、給気ファン41の消費電力よりも低くすることにより、空調機1を動作する際の電力消費を抑制又は低減することができる。このように排気ファン51の消費電力を、給気ファン41の消費電力よりも低くするにあたり、排気ファン51の定格出力は、給気ファン41の定格出力よりも低いものであってもよい。又は、排気ファン51と給気ファン41とは例えば同じ型式等として同一の定格出力としつつ、ファンモータを回転する際のデューティ比等を変更することにより、排気ファン51に印加する電圧を、給気ファン41に印加する電圧よりも小さくするものであってもよい。
【0112】
本態様にあたっては、排気ファン51による排気風量は、給気ファン41による給気風量よりも小さいものであり、すなわち排気ファン51により搬送される排気の体積流用は、給気ファン41により搬送される給気の体積流用よりも小さい。このように排気ファン51と給気ファン41との間での風量の大小関係を設定することにより、消費電力の大小関係に応じた排気ファン51と給気ファン41の駆動制御を行うことができ、冷却性能を維持しつつ電力消費を抑制することができる。
【0113】
本態様にあたっては、排気ファン51の風量静圧特性を第1風量静圧特性とし、給気ファン41の風量静圧特性を第2風量静圧特性とする。これら風量静圧特性は、例えば、風量と圧力損失値とを示すQP特性図にて示されるものであってもよい。空調機1が、例えば製品仕様上にて定められた定格運転を行うにあたり、排気ファン51及び給気ファン41それぞれの動作点それぞれが、第1風量静圧特性及び第2風量静圧特性において特定される。排気ファン51及び給気ファン41それぞれの動作点において、排気流路5の通風抵抗(第1通風抵抗)による排気ファン51の排気風量は、給気流路4の通風抵抗(第2通風抵抗)による給気ファン41の給気風量よりも小さい。このように排気ファン51及び給気ファン41それぞれの動作点における風量の大小関係を設定することにより、消費電力の大小関係に応じた排気ファン51と給気ファン41の駆動制御を行うことができ、冷却性能を維持しつつ電力消費を抑制することができる。
【0114】
本態様にあたっては、排気ファン51及び給気ファン41それぞれの動作点から、排気ファン51の回転数を増加させ、排気風量を増加させた際の圧力損失の増加率は、給気ファン41の回転数を増加させ、給気風量を増加させた際の圧力損失の増加率よりも大きい。すなわち、排気流路5の通風抵抗(第1通風抵抗)の増加率は、給気流路4の通風抵抗(第2通風抵抗)の増加率よりも大きい。このように排気流路5の通風抵抗を、給気流路4の通風抵抗よりも大きくなることを許容することにより、排気流路5の流路断面積の縮減、排気流路5における曲がり部の増加、排気流路5の有効流路長の増加など、圧力損失が増加する構造的要因に対し寛容となることができ、空調機1の筐体10内における排気流路5の設計自由度を向上させることができる。
【0115】
本態様にあたっては、空調機1は、被空調空間に給気を吹き出すにあたり、例えば、当該給気の体積流量を例えば、大、中及び小等、段階的に異なる給気風量に変更する運転モードを有する。この場合であっても、排気ファン51による排気風量は、給気ファン41による複数の異なる給気風量におけるいずれの給気風量よりも小さい、すなわち給気ファン41による最小の給気風量よりも小さくため、冷却性能を維持しつつ電力消費を抑制することができる。
【0116】
本態様にあたっては、排気流路5は、排気吸込口52から排気吹出口53まで延設されており、給気流路4は、給気吸込口42から給気吹出口43まで延設されている。このように構成されている排気流路5及び給気流路4において、排気流路5の最小流路断面積は、給気流路4の最小流路断面積よりも小さいため、排気流路5の通風抵抗(第1通風抵抗)を、給気流路4の通風抵抗(第2通風抵抗)よりも大きくすることができる。排気流路5と給気流路4との流路断面積の大小関係は、それぞれの流路における最小流路断面積に関するものに限定されず、例えば、排気流路5の全域における流路断面積の平均値が、給気流路4の全域における流路断面積の平均値よりも大きいものであってもよい。このように排気流路5を構成することにより、筐体10内における排気流路5が占める体積分を低減することができ、筐体10、すなわち空調機1の小型化を図ることができる。
【0117】
本態様にあたっては、排気流路5の一部を形成するドレンパン6には、顕熱交換器3の排気パス321を通過した水が流れ込むと共に、排気が通過する。ドレンパン6に流れ込んだ水は、ドレンパン6によって受けられ、ドレンパン6内に溜まり貯水される。空調機1が車両又はフォークリフト等の移動体に搭載された場合、当該移動体が走行した場合等、走行に伴う振動等によりドレンパン6に溜まった水の液面が波立ち(液面暴れ)、水がドレンパン6の外部に飛び散ることが懸念される。これに対し、ドレンパン6において、排気の流れ方向にて下流側に位置する端部の上方、すなわちドレンパン6の上端付近から中央部に向かって水平又は左右に延びる平板状の返し部501が、配置されている。当該平板状の返し部501は、ドレンパン6の開口部において、排気の流れ方向にて下流側の部位を上から覆うように配置されるため、ドレンパン6の開口部から飛び出した水を遮蔽することができる。排気ファン51がドレンパン6よりも、排気の流れ方向にて下流側に位置する場合、返し部501がドレンパン6からの水を遮蔽することにより、排気ファン51が水を吸込むことを抑制することができる。ドレンパン6からの水を遮蔽する返し部501は、排気流路5における通風抵抗を増加させる構造的要因と成り得るが、排気流路5の通風抵抗は給気流路4の通風抵抗よりも大きいことが許容されているため、冷却性能を維持しつつ、ドレンパン6からの水飛びを抑制することができる。
【0118】
本態様にあたっては、ドレンパン6は排気流路5の一部を形成し、当該ドレンパン6の下流に位置する排気流路5には、抑制板502がドレンパン6に隣接して配置されている。抑制板502は、排気流路5の一部を形成するドレンパン6における下流側の開口部の一部を、覆うように配置されており、当該抑制板502によって、ドレンパン6に溜まった水が、ドレンパン6の外部に飛び散ることを抑制する。すなわち、空調機1が車両又はフォークリフト等の移動体に搭載された場合、当該移動体が走行した場合等、走行に伴う振動等によりドレンパン6に溜まった水の液面が波立ち(液面暴れ)、水がドレンパン6の外部に飛び散ることが懸念される。これに対し、ドレンパン6の開口部の一部を覆うように当該ドレンパン6に隣接して抑制板502を配置することにより、抑制板502が、ドレンパン6の外部への水の飛び出し又は飛び散りを抑制することができる。
【0119】
本態様にあたっては、排気ファン51の羽根径を、給気ファン41の羽根径よりも小さくすることにより、例えば、排気ファン51及び給気ファン41のファンモータの回転数を同じにした場合であっても、排気ファン51による排気風量を、給気ファン41による給気風量よりも小さくすることができる。これにより、排気ファン51の消費電力を給気ファン41の消費電力よりも小さくすることができ、空調機1を動作する際の電力消費を抑制又は低減することができる。
【0120】
本態様にあたっては、顕熱交換器3は、複数の膜部材301とスペーサ302とを交互に複数積層し、これら膜部材301及びスペーサ302を積み上げて構成されるため、比較的に低コストで製造することができる。スペーサ302は、例えば長尺状の矩形の棒体から成り、長手方向が空気の流れ方向に対し平行となるように配置される。この際、積層方向にて隣り合うスペーサ302、すなわち膜部材301を介して隣り合うスペーサ302同士は、いずれかのスペーサ302が給気パス311を形成し、他方のスペーサ302が排気パス321を形成する。積層方向にて隣り合うスペーサ302は、長手方向を互いに90度回転させて配置されため、比較的に簡易な構造により、給気パス311と排気パス321とによる直交流を形成することができる。
【0121】
本態様にあたっては、スペーサ302の剛性は、膜部材301の剛性よりも強いため、積層方向、すなわちこれら膜部材301及びスペーサ302を積み上げる方向における応力に対する耐性を向上させ、顕熱交換器3が変形することを抑制し、形状変化に対し強いものとすることができる。すなわち、スペーサ302は強度部材として機能し、顕熱交換器3の変形を抑制することができる。
【0122】
本態様にあたっては、排気パス321を形成する膜部材301の壁には、不織布が備えられているため、当該不織布によって、排気パス321に供給された水を保水することができる。これにより、複数の排気パス321により構成される排気経路32を通過する排気と水との顕熱交換率を向上させ、排気による水の気化を促進させ、又はこれら双方の作用が奏されることにより、水による排気の冷却度を増加させることができる。
【0123】
本態様にあたっては、空気、すなわち排気又は給気が流入する側のスペーサ302の端部は、テーパ状に形成されているため、同じ膜部材301の面に載置され、隣り合う2つのスペーサ302のテーパ状の端部それぞれによって形成される排気パス321は、排気の流れ方向に向けて幅が狭くなるように形成される。給気パス311においても同様に給気の流れ方向に向けて幅が狭くなるように形成される。排気パス321又は給気パス311の入口の間口を広げ、排気又は給気の流れ方向に沿って排気パス321又は給気パス311の流路断面積を徐々に又は段階的に小さくすることができ、排気パス321又は給気パス311での圧力損失を低減することができる。
【0124】
本態様にあたっては、空調機1は、気化フィルタ2及び顕熱交換器3を含む冷却ユニット20を備えるため、給気を、顕熱交換器3を介して排気により冷却された後、更に気化フィルタ2によって冷却することができる。このように給気を二段階で冷却することにより、空調機1の冷却能力を向上させることができる。
【0125】
本態様にあたっては、第1ポンプ76は、ドレンパン6に貯水される水を給水部、すなわちフィルタ用給水部21及び熱交用給水部33に給水する。これらフィルタ用給水部21及び熱交用給水部33にて気化することなく通過した水は、ドレンパン6に流れ込み、貯水されるため、第1ポンプ76によって、水をドレンパン6と給水部との間にて循環されることができる。このように循環する水は、気化フィルタ2又は顕熱交換器3にて気化する際、気化熱により冷却されるため、比較的に低い水温の水を循環させることにより、空調機1の冷却性能を向上させることができる。
【0126】
(付記)
給気経路31と、排気経路32とを有する顕熱交換器3を備え、
排気経路32の最小経路断面積は、給気経路31の最小経路断面積よりも小さい
空調機1。
【0127】
給気経路31と排気経路32とを有する顕熱交換器3において、排気経路32の最小経路断面積を給気経路31の最小経路断面積よりも小さくすることにより、顕熱交換器3の小型化を図ることができる。
【0128】
給気経路31と、排気経路32とを有する顕熱交換器3を備え、
排気経路32の平均経路断面積は、給気経路31の平均経路断面積よりも小さい
空調機1。
【0129】
給気経路31と排気経路32とを有する顕熱交換器3において、排気経路32の平均経路断面積を給気経路31の平均経路断面積よりも小さくすることにより、顕熱交換器3の小型化を図ることができる。
【0130】
膜部材301と、スペーサ302と、を交互に複数積層して構成され、
積層方向にて隣り合うスペーサ302は、長手方向を互いに90度回転させて配置されている
顕熱交換器3。
【0131】
本態様にあたっては、顕熱交換器3は、複数の膜部材301とスペーサ302とを交互に複数積層し、これら膜部材301及びスペーサ302を積み上げて構成されるため、比較的に低コストで製造することができる。スペーサ302は、例えば長尺状の矩形の棒体から成り、長手方向が空気の流れ方向に対し平行となるように配置される。この際、積層方向にて隣り合うスペーサ302、すなわち膜部材301を介して隣り合うスペーサ302同士は、いずれかのスペーサ302が給気パス311を形成し、他方のスペーサ302が排気パス321を形成する。積層方向にて隣り合うスペーサ302は、長手方向を互いに90度回転させて配置されため、比較的に簡易な構造により、給気パス311と排気パス321とによる直交流を形成することができる。
【0132】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【0133】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0134】
1 空調機、 100 基板、 101 制御部、 102 受電部、 103 ケーブル、 10 筐体、 11 本体、 111 第1側壁(後側壁)、 112 第2側壁(前側壁)、 1121 爪篏合部、 1122 排水口、 113 第3側壁(右側壁)、 114 第4側壁(左側壁)、 12 扉、 13 タンク台部、 131 装着面、 132 ボス部、 133 排水レバー、 134 流入用筒部、 141 フィルタケース、 20 冷却ユニット、 2 気化フィルタ 21 フィルタ用給水部(給水部)、 3 顕熱交換器、 301 膜部材、 302 スペーサ、 31 給気経路、 311 給気パス、 32 排気経路、 321 排気パス、 33 熱交用給水部(給水部)、 34 熱交ケース、 35 給気入口側フレーム、 36 給気出口側フレーム、 361 縦リブ部、 37 取手部、 4 給気流路、 41 給気ファン、 42 給気吸込口、 43 給気吹出口、 431 ダクト、 5 排気流路、 51 排気ファン、 52 排気吸込口、 53 排気吹出口、 501 返し部、 502 抑制板、 503 羽板、 504 隙間部、 6 ドレンパン、 61 底面、 611 底孔、 62 壁面、 63 水位センサ、 7 供給水路、 71 第1給水路、 72 第2給水路、 73 連結給水路 74 給水部連結路、 75 インラインフィルタ、 76 第1ポンプ(循環ポンプ)、 77 流量センサ、 78 分岐部、 781 排水路、 782 排水バルブ、 8 給水タンク、 81 ボス受け部、 82 水位確認窓、 83 流出用筒部、 80 規制構造、 801 ハンドル部、 802 ロック部、 803 スライド案内部、 804 連結部材、 9 補充水路、 90 タンク用フィルタ、 91 第2ポンプ(タンク用ポンプ)
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