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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090179
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B60C15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205897
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】辻林 聡子
(72)【発明者】
【氏名】北野 哲哉
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB03
3D131BC31
3D131BC35
3D131BC40
3D131HA01
3D131HA14
(57)【要約】
【要約】
【課題】
ビード部の耐久性を維持しながら、ビード部でのスーパーフィシャルクラックの発生を抑制する。
【解決手段】
複数の凹部9がタイヤ周方向に配列された空気入りタイヤ1である。凹部9は、ビード部4の外表面4sからタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面11と、凹部9の深さを規定する底面12とを含む。タイヤ回転軸を含む凹部9の断面において、タイヤ半径方向外側に位置する側壁面と、底面12とは円弧部13を介して滑らかに接続されている。円弧部13は、凹部9の深さ以上の曲率半径を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部を含む空気入りタイヤであって、
前記一対のビード部の少なくとも一方の外表面には、複数の凹部がタイヤ周方向に配列されており、
前記複数の凹部は、それぞれ、前記外表面からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面と、前記凹部の深さを規定する底面とを含み、
前記複数の凹部の少なくとも1つは、タイヤ回転軸を含む前記凹部の断面において、
タイヤ半径方向外側に位置する前記側壁面と、前記底面とは円弧部を介して滑らかに接続されており、
前記円弧部は、前記凹部の深さ以上の曲率半径を有する、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記円弧部の曲率半径は、1.8mm以上である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記側壁面と前記外表面との交差位置において、前記側壁面と前記外表面との間の角度は鈍角であり、かつ、前記交差位置に立てた前記外表面の法線と前記側壁面との間の角度は、10~30度である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記複数の凹部は、それぞれ、前記外表面に開口エッジを有し、
前記開口エッジは、タイヤ周方向に延びる第1エッジと、前記第1エッジのタイヤ半径方向の内側をタイヤ周方向に延びる第2エッジと、前記第1エッジと前記第2エッジとの間をタイヤ半径方向に延びる一対の第3エッジと、前記第1エッジと前記第2エッジとの間のタイヤ半径方向距離である凹部高さとを含み、
前記第1エッジと、前記一対の第3エッジとは、それぞれ、第1円弧エッジを介して滑らかに接続されており、
前記少なくとも一つの凹部の前記凹部高さは、前記第1円弧エッジの曲率半径の1~10倍である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第2エッジと、前記一対の第3エッジとは、それぞれ、第2円弧エッジを介して滑らかに接続されており、
前記第1円弧エッジの前記曲率半径は、前記第2円弧エッジの曲率半径以上である、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記少なくとも一つの凹部の深さは、前記凹部高さの0.1~0.3倍である、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記複数の凹部は、タイヤ周方向に配列された複数の第1凹部と、前記第1凹部よりもタイヤ半径方向外側でタイヤ周方向に配列された複数の第2凹部とを含み、
前記第2凹部の前記第1円弧エッジの前記曲率半径は、前記第1凹部の前記第1円弧エッジの前記曲率半径よりも大きい、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
カーカスをさらに含み、
前記カーカスは、前記一対のビード部のそれぞれに埋設されたビードコアの間を延びる本体部と、前記ビードコアの回りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返された折返し部とを含むカーカスプライを含み、
前記少なくとも一つの凹部は、前記折返し部のタイヤ半径方向の外端を通るタイヤ軸方向線と交わる位置に設けられている、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記折返し部のタイヤ軸方向外側に、タイヤ半径方向に延びるビード補強層がさらに配されており、
前記少なくとも一つの凹部は、前記折返し部のタイヤ半径方向の外端を通るタイヤ軸方向線と交わる位置に設けられている、請求項8に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記複数の凹部は、タイヤ周方向に配列された複数の第1凹部と、前記第1凹部よりもタイヤ半径方向外側でタイヤ周方向に配列された複数の第2凹部とを含み、
前記複数の第2凹部の前記底面と前記ビード補強層との間の最短距離は、前記第2凹部の深さの2.5~5.5倍である、請求項9に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、空気入りタイヤが記載されている。この空気入りタイヤは、ビード部に配されたビード補強層と、前記ビード部の外表面に形成された複数の凹部とを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-151825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の空気入りタイヤは、タイヤ走行時にビード部の周辺に乱流を発生させ、この乱流でビード部の内部に配された補強層を冷却することができる。したがって、前記補強層付近での発熱に起因した損傷を抑制するという効果が期待される。
【0005】
しかしながら、上述の空気入りタイヤのように、ビード部にタイヤ周方向に配列された複数の凹部を設けた場合、前記凹部の内部や前記凹部のタイヤ半径方向外側付近において、微細なクラックが生じやすいことが判明した。このような微細なクラックは、タイヤの表面付近に形成されることから、「スーパーフィシャルクラック」(Superficial Cracking)や「SFC」等と呼ばれており、タイヤ走行性能には直接的には影響しないものの、タイヤの外観を悪化させるという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ビード部の耐久性を維持しながら、ビード部でのスーパーフィシャルクラックの発生を抑制することができる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一対のビード部を含む空気入りタイヤであって、前記一対のビード部の少なくとも一方の外表面には、複数の凹部がタイヤ周方向に配列されており、前記複数の凹部は、それぞれ、前記外表面からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面と、前記凹部の深さを規定する底面とを含み、前記複数の凹部の少なくとも1つは、タイヤ回転軸を含む前記凹部の断面において、
タイヤ半径方向外側に位置する前記側壁面と、前記底面とは円弧部を介して滑らかに接続されており、前記円弧部は、前記凹部の深さ以上の曲率半径を有する、空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記の構成を採用することで、ビード部の耐久性を維持しながら、ビード部でのスーパーフィシャルクラックの発生を抑制する(以下、このような効果を「耐SFC性能」という)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の空気入りタイヤのタイヤ子午線断面図である。
図2図1の空気入りタイヤの部分斜視図である。
図3】凹部の断面図である。
図4図1のビード部の拡大図である。
図5図1のビード部の拡大図である。
図6】ビード部の正面図である。
図7】ビード部の正面図である。
図8】空気入りタイヤを製造するための加硫金型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図面は、本発明の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれている。また、複数の実施形態がある場合、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。
【0011】
図1は、本発明の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という場合がある)1の一実施形態のタイヤ回転軸(図示省略)を含むタイヤ子午線断面図である。図1には、好ましい態様として、重荷重用のタイヤ1が示される。但し、本発明は、例えば、自動二輪車用や乗用車用のタイヤ1に採用されても良い。
【0012】
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤ1の各部の寸法等は、正規状態で測定されたものである。「正規状態」とは、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。
【0013】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
【0014】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0015】
本実施形態のタイヤ1は、一対のビード部4、4を含んでいる。各ビード部4には、ビードコア5が埋設されている。また、タイヤ1は、例えば、各ビード部4のタイヤ半径方向の外側に配された一対のサイドウォール部3、3と、各サイドウォール部3を繋ぐトレッド部2を含んでいる。
【0016】
図2は、図1のタイヤ1の斜視断面図である。図1及び図2に示されるように、一対のビード部4、4の少なくとも一方の外表面4sには、複数の凹部9がタイヤ周方向に配列されている。このような凹部9は、タイヤ1の走行時、ビード部4の外表面4sに乱流を発生させて冷却するので、ビード部4の耐久性能を向上する。凹部9は、本実施形態では、各ビード部4、4に設けられている。外表面4sは、本実施形態では、タイヤ断面幅(JATMA等参照)を規定する外表面から滑らかに延びる面である。
【0017】
複数の凹部9は、それぞれ、外表面4sからタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面11と、凹部9の深さda(図3に示す)を規定する底面12とを含んでいる。
【0018】
図3は、凹部9の断面図である。図3は、図1のビード部4の拡大図である。図3に示されるように、複数の凹部9の少なくとも1つは、タイヤ半径方向外側に位置する側壁面11aと、底面12とは円弧部13を介して滑らかに接続されている。そして、円弧部13は、凹部9の深さda以上の曲率半径raを有している。これにより、走行時に大きな荷重の作用するビード部4の凹部9のタイヤ半径方向外側の側壁面11a近傍の剛性が高められるので、前記近傍で生じる歪の集中が緩和される。したがって、凹部9の近傍で発生しやすい微小なクラックを抑えることができるので、耐SFC性能を向上することができる。
【0019】
本実施形態では、凹部9は、タイヤ半径方向内側に位置する側壁面11bと、底面12とが円弧部13を介して滑らかに接続されている。また、凹部9は、タイヤ周方向両側に位置する一対の側壁面11c、11c(図2に示す)と、底面12とが円弧部13を介して滑らかに接続されている。側壁面11bと接続されている円弧部13の曲率半径、及び、側壁面11cと接続されている円弧部13の曲率半径は、側壁面11aと接続されている円弧部13の曲率半径raと同じである。
【0020】
円弧部13の凹部9の深さ方向の長さL1は、凹部9の深さdaの50%以上が望ましく、70%以上がさらに望ましく、90%以上が一層望ましい。円弧部13は、例えば、外表面4sまで延びていてもよい。
【0021】
円弧部13の曲率半径raは、1.8mm以上であるのが望ましい。これにより、凹部9に生じる歪の発生を効果的に抑えることができる。特に限定されるものではないが、曲率半径raは、5.0mm以下が望ましい。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、カーカス6とビード補強層8とを含んでいる。
【0023】
カーカス6は、ビードコア5、5の間を延びる本体部6aと、ビードコア5の回りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返された折返し部6bとを含むカーカスプライ6Aを含んでいる。カーカス6は、本実施形態では、1枚のカーカスプライ6Aで形成されているが、複数枚のカーカスプライで形成されてもよい。折返し部6bのタイヤ半径方向の外端6eは、本実施形態では、タイヤ最大幅位置Mよりもタイヤ半径方向の内側に位置している。タイヤ最大幅位置Mは、本明細書では、本体部6aが、タイヤ軸方向の最も外側となる位置である。
【0024】
本体部6aは、本実施形態では、タイヤ軸方向の外側に突出する円弧状の外向円弧部6sと、外向円弧部6sのタイヤ半径方向の内側に繋がってタイヤ軸方向の内側に突出する円弧状の内向円弧部6tとを含んでいる。外向円弧部6sと内向円弧部6tとは、変曲点a(接線の交点)で繋がっている。外向円弧部6sは、タイヤ最大幅位置Mを含んでいる。変曲点aは、本実施形態では、折返し部6bのタイヤ半径方向の外端6eよりもタイヤ半径方向の外側に位置している。
【0025】
図4は、図1のビード部4の拡大図である。図4に示されるように、ビード補強層8は、折返し部6bのタイヤ軸方向外側に位置しており、タイヤ半径方向に延びている。ビード補強層8のタイヤ半径方向の外端8eは、例えば、折返し部6bの外端6eよりもタイヤ半径方向の外側に位置している。ビード補強層8のタイヤ半径方向の内端8iは、例えば、ビードコア5のタイヤ半径方向の内端5iよりもタイヤ半径方向の内側に位置している。ビード補強層8は、補強コード(図示省略)の配列体がトッピングゴムで被覆された補強プライとして形成されている。前記補強コードとしては、例えば、ナイロンコードが望ましい。
【0026】
本実施形態のビード補強層8は、第1補強プライ8Aと第2補強プライ8Bとを含んでいる。第1補強プライ8Aは、例えば、第2補強プライ8Bよりもタイヤ軸方向の外側に配されている。第1補強プライ8Aのタイヤ半径方向の外端は、例えば、ビード補強層8の外端8eである。第2補強プライ8Bのタイヤ半径方向の外端8bは、例えば、折返し部6bの外端6eよりもタイヤ半径方向の外側に位置している。
【0027】
ビードコア5は、本実施形態では、タイヤ子午線断面において、六角形状に形成されている。ビードコア5は、タイヤ半径方向の外側に位置する外側面5aと、タイヤ半径方向の内側に位置する内側面5bと、外側面5aと内側面5bとを繋ぐ一対の継面5cとを含んでいる。外側面5a及び内側面5bは、直線状に延びている。各継面5cは、屈曲部kを含んでいる。
【0028】
ビードコア5の外側面5aを通る仮想直線m1と、本体部6aの変曲点aの接線m2との間の角度A(図1に示す)は、25度以上が望ましく、30度以下が望ましい。角度Aが25~30度であるので、走行時の本体部6aの倒れこみが抑えられるとともに、タイヤ1への内圧充填時でのビード部4の変形を小さくすることができる。
【0029】
また、タイヤ1は、本実施形態では、サイドウォール部3に位置するサイドウォールゴム3Gと、ビード部4に位置するクリンチゴム4Gとを含んでいる。サイドウォールゴム3G及びクリンチゴム4Gは、周知のゴム材料で形成されている。サイドウォールゴム3Gは、本実施形態では、凹部9を形成している。
【0030】
サイドウォールゴム3Gは、クリンチゴム4Gのタイヤ半径方向の外側で隣接しており、クリンチゴム4Gと接する境界面3aを含んでいる。境界面3aは、タイヤ半径方向の外側に向かってタイヤ軸方向の内側へ傾斜するように延びている。また、境界面3aのタイヤ半径方向の外端3eを通るタイヤ軸方向線x1と、境界面3aのタイヤ半径方向の内端3iを通るタイヤ軸方向線x2との間に凹部9が形成されている。さらに、両タイヤ軸方向線x1、x2の間に、ビード補強層8の外端8e、第2補強プライ8Bの外端8b、及び、折返し部6bの外端6eが位置している。
【0031】
図5は、図1のビード部4の拡大図である。図5に示されるように、少なくとも一つの凹部9は、折返し部6bの外端6eを通るタイヤ軸方向線x3と交わる位置に設けられている。これにより、凹部9の底面12を介して折返し部6bの外端6eの熱が効果的に除去されるので、外端6eの損傷が抑制される。なお、少なくとも一つの凹部9は、ビード補強層8の外端8eを通るタイヤ軸方向線x4と交わる位置に設けられてもよい。これにより、ビード補強層8の外端8eの熱が効果的に除去されるので、外端8eの損傷が抑制される。本実施形態では、タイヤ軸方向線x4よりもタイヤ半径方向の内側に凹部9が位置している。これにより、凹部9による歪の変形がビード補強層8の外端8eに作用することが抑えられるので、ビード部4の耐久性能が高く維持される。
【0032】
図3に示されるように、側壁面11と外表面4sとの交差位置において、側壁面11と外表面4sとの間の角度θ1は、鈍角である。また、前記交差位置に立てた外表面4sの法線n1と側壁面11との間の角度θ2は、10~30度であるのが望ましい。角度θ1が鈍角であり、かつ、角度θ2が10度以上であるので、凹部9の剛性を高く維持されて歪を緩和することができる。角度θ1が鈍角であり、かつ、角度θ2が30度以下であるので、乱流による冷却効果が発揮される。このような観点より、角度θ2は、15度以上がさらに望ましく、25度以下がさらに望ましい。本実施形態では、各側壁面11a、11b、11cのそれぞれと、外表面4sとの交差位置において、角度θ1は鈍角であり、角度θ2は、10~30度とされている。
【0033】
図6は、ビード部4の正面図であり、凹部9の拡大図である。図6に示されるように、凹部9は、外表面4sに開口エッジ20を有している。開口エッジ20は、タイヤ周方向に延びる第1エッジ21と、第1エッジ21のタイヤ半径方向の内側をタイヤ周方向に延びる第2エッジ22と、第1エッジ21と第2エッジ22との間をタイヤ半径方向に延びる一対の第3エッジ23とを含んでいる。また、凹部9は、第1エッジ21と第2エッジ22との間のタイヤ半径方向距離である凹部高さhaを含んでいる。
【0034】
第1エッジ21と、一対の第3エッジ23とは、それぞれ、第1円弧エッジ24を介して滑らかに接続されている。このような第1円弧エッジ24は、凹部9に作用する歪をより緩和することができる。
【0035】
少なくとも一つの凹部9の凹部高さhaは、第1円弧エッジ24の曲率半径rcの1~10倍であるのが望ましい。凹部高さhaが第1円弧エッジ24の曲率半径rcの1倍以上であるので、凹部9の第1円弧エッジ24付近の剛性を高く維持して、耐SFC性能が高められる。凹部高さhaが第1円弧エッジ24の曲率半径rcの10倍以下であるので、凹部9によるビード部4の剛性の低下が抑制される。このような作用を効果的に発揮させるために、凹部高さhaは、第1円弧エッジ24の曲率半径rcの2倍以上がさらに望ましく、8倍以下がさらに望ましい。
【0036】
本実施形態では、第2エッジ22と、一対の第3エッジ23とは、それぞれ、第2円弧エッジ25を介して滑らかに接続されている。このような第2円弧エッジ25も、凹部9に作用する歪をより緩和することができる。第1円弧エッジ24の曲率半径rcは、第2円弧エッジ25の曲率半径rd以上で形成されている。これにより、より大きな歪が生じやすい、凹部9のタイヤ半径方向の外側の部分の剛性を高く維持することができる。特に限定されるものではないが、第1円弧エッジ24の曲率半径rcは、第2円弧エッジ25の曲率半径rdの1.0倍より大が望ましく、1.5倍以上がさらに望ましく、2.0倍以上が一層望ましく、4.0倍以下が望ましく、3.5倍以下がさらに望ましい。
【0037】
第1エッジ21及び第2エッジ22は、例えば、タイヤ半径方向の外側に凸の円弧状に延びている。これにより、ビード部4の剛性が高く維持されるとともに、外観性能が高められる。第1エッジ21及び第2エッジ22は、本実施形態では、ビード部4の正面視において、タイヤ回転軸(図示省略)を中心とする円と重複するように延びている。なお、第1エッジ21及び第2エッジ22は、例えば、直線状に延びていてもよい。第3エッジ23は、本実施形態では、タイヤ半径方向に沿って直線状に延びている。第1エッジ21は、タイヤ半径方向外側に位置する側壁面11aを(図3に示す)形成する。第2エッジ22は、タイヤ軸方向内側に位置する側壁面11bを形成する。第3エッジ23は、タイヤ周方向の両側に位置する側壁面11c(図2に示す)を形成する。
【0038】
第2エッジ22と第3エッジ23との間の角度α1は、70度以上が望ましく、75度以上がさらに望ましく、95度以下が望ましく、90度以下がさらに望ましい。角度α1が70度以上であるので、第1エッジ21のタイヤ周方向の長さが維持されるので、走行時の荷重を第1エッジ21によって支えることができるため、SFCの発生が抑制される。角度α1が95度以下であるので、大きな荷重の作用する第1円弧エッジ24近傍でのクラックの発生を抑制することができる。角度α1は、本明細書では、第2エッジ22の両端22e、22e間を通る仮想直線v1と、第3エッジ23の両端23e、23e間を通る仮想直線v2との間の角度である。
【0039】
少なくとも一つの凹部9の深さda(図3に示す)は、凹部9の凹部高さhaの0.1倍以上が望ましく、0.15以上がさらに望ましく、0.3倍以下が望ましく、0.25以下がさらに望ましい。凹部9の深さdaが凹部高さhaの0.1倍以上であるので、乱流を効果的に生じさせることができる。凹部9の深さdaが凹部高さhaの0.3倍以下であるので、凹部9に生じる歪を緩和することができる。特に限定されるものではないが、凹部9の深さdaは、1.0mm以上が望ましく、4.0mm以下が望ましい。
【0040】
図7は、ビード部4の正面図である。図7に示されるように、本実施形態の複数の凹部9は、タイヤ周方向に配列された複数の第1凹部9Aと、第1凹部9Aよりもタイヤ半径方向外側でタイヤ周方向に配列された複数の第2凹部9Bとを含んでいる。
【0041】
複数の第1凹部9A及び複数の第2凹部9Bは、本実施形態では、タイヤ周方向に千鳥状に配されている。このような配置によって、ビード部4の剛性の低下が抑制される。第1凹部9Aと第2凹部9Bとは、本実施形態では、同じ数が配されている。
【0042】
第2凹部9Bの第1円弧エッジ24の曲率半径r4は、第1凹部の第1円弧エッジの曲率半径r3よりも大きく形成されている。これにより、より大きな荷重が作用する第2凹部9B近傍の剛性が高く維持されるので、歪によるSFCの発生が抑制される。特に限定されるものではないが、第2凹部9Bの第1円弧エッジ24の曲率半径r4は、第1凹部の第1円弧エッジの曲率半径r3の1.2倍以上が望ましく、1.5倍以上がさらに望ましく、3倍以下が望ましく、2.5倍以下がさらに望ましい。
【0043】
第1凹部9Aのタイヤ周方向の最大長さLaは、第1凹部9Aのタイヤ周方向ピッチP1の0.60倍以上が望ましく、0.65倍以上がさらに望ましく、0.85倍以下が望ましく、0.80倍以下がさらに望ましい。第2凹部9Bのタイヤ周方向の最大長さLbは、第2凹部9Bのタイヤ周方向ピッチP2の0.50倍以上が望ましく、0.55倍以上がさらに望ましく、0.85倍以下が望ましく、0.80倍以下がさらに望ましい。第1凹部9Aのタイヤ周方向ピッチP1は、タイヤ周方向に同じとされている。同様に、第2凹部9Bのタイヤ周方向ピッチP2も、タイヤ周方向に同じとされている。
【0044】
第1凹部9Aの第3エッジ23と、これとタイヤ周方向で隣接する第1凹部9Aの第3エッジ23との間のタイヤ周方向の長さLcは、タイヤ半径方向の外側に向かって連続して大きくなっている。同様に、第2凹部9Bの第3エッジ23と、これとタイヤ周方向で隣接する第2凹部9Bの第3エッジ23との間のタイヤ周方向の長さLdは、タイヤ半径方向の外側に向かって連続して大きくなっている。これにより、各凹部9間において、走行時に大きな荷重の作用しやすいタイヤ半径方向の外側の部分の剛性を維持することができるので、耐SFC性能を高めることができる。
【0045】
図5に示されるように、複数の第1凹部9Aの底面12とビード補強層8との間の最短距離Lxは、第1凹部9Aの深さd1の2.5~3.5倍であるのが望ましい。また、複数の第2凹部9Bの底面12とビード補強層8との間の最短距離Lyは、第2凹部9Bの深さd2の2.5~5.5倍であるのが望ましい。これにより、第1凹部9A及び第2凹部9Bによる冷却効果の向上と剛性の維持とが両立されて、ビード部4の耐久性能と耐SFC性能とがバランスよく向上する。最短距離Lxと第1凹部9Aの深さd1の比(Lx/d1)は、最短距離Lyと第2凹部9Bの深さd2の比(Ly/d2)よりも小さいほうが望ましい。
【0046】
本実施形態のビード部4には、ビード補強層8とカーカス6との間に配されるU字状の補強層27が設けられている。補強層27は、例えば、複数本のスチールコード又は有機繊維コードをトッピングゴムで被覆したコードプライである。
【0047】
補強層27は、本実施形態では、カーカス6に沿って延びており、ビード補強層8とカーカス6との接触を防いでいる。本実施形態の補強層27は、本体部6aに沿って延びる第1部分27aと、折返し部6bに沿って延びる第2部分27bとを含んでいる。第2部分27bのタイヤ半径方向の外端27eを通るタイヤ軸方向線x5は、例えば、凹部9と交わる位置に配される。タイヤ軸方向線x5は、本実施形態では、第1凹部9Aと交わる位置に配されている。第2部分27bの外端27eは、例えば、タイヤ軸方向線x3よりもタイヤ半径方向の内側に位置している。
【0048】
図8は、本実施形態のタイヤ1を製造するための周知構造の加硫金型30の断面図である。図8に示されるように、加硫金型30において、金型クリップ幅WFと正規リム(図示省略)のリム幅(JATMA等参照)WA(図1に示す)の比WA/WFは、1.02~1.17とするのが好ましい。金型クリップ幅WFは、本明細書では、タイヤ1のビードベースラインBLと一致する位置での加硫金型30の内腔面30aのタイヤ軸方向長さである。比WA/WFが1.02未満の場合、タイヤ1へ内圧を充填しにくくなる。比WA/WFが1.17を超える場合、走行時に生じる歪が大きくなり、耐SFC性能が悪化するおそれがある。ビードベースラインBLは、リムのリム径(JATMA等参照)を規定する線である。
【0049】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例0050】
図1の基本構造を有するサイズ315/80R22.5の重荷重用の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づいて試作された。そして各試供タイヤの耐SFC性能についてテストが行われた。テスト方法は、以下のとおりである。各試供タイヤは、ビード補強層の有無及び凹部の形状を除いて全て同じ仕様である。
【0051】
<耐SFC性能>
各試供タイヤを下記の条件にてドラム上を走行させつつ、オゾン発生装置によってビード部の凹部にオゾンを吹き付けて、SFCの発生状況が確認された。テスト結果は、テスターの官能によって3点満点で評価された。
リム:22.5×9.00
内圧:830kPa
荷重:38.56kN
速度:40km/h
オゾン濃度:50±5pphm
走行時間:400時間
角度θ1:鈍角
da:1.8mm
【0052】
【表1】
【0053】
表に示すように、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比して、耐SFC性能に優れている。また、実施例のタイヤは、ビード部の耐久性能が高く維持されていることが判明している。
【0054】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0055】
[本発明1]
一対のビード部を含む空気入りタイヤであって、
前記一対のビード部の少なくとも一方の外表面には、複数の凹部がタイヤ周方向に配列されており、
前記複数の凹部は、それぞれ、前記外表面からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面と、前記凹部の深さを規定する底面とを含み、
前記複数の凹部の少なくとも1つは、タイヤ回転軸を含む前記凹部の断面において、
タイヤ半径方向外側に位置する前記側壁面と、前記底面とは円弧部を介して滑らかに接続されており、
前記円弧部は、前記凹部の深さ以上の曲率半径を有する、
空気入りタイヤ。
[本発明2]
前記円弧部の曲率半径は、1.8mm以上である、本発明1に記載の空気入りタイヤ。
[本発明3]
前記側壁面と前記外表面との交差位置において、前記側壁面と前記外表面との間の角度は鈍角であり、かつ、前記交差位置に立てた前記外表面の法線と前記側壁面との間の角度は、10~30度である、本発明1又は2に記載の空気入りタイヤ。
[本発明4]
前記複数の凹部は、それぞれ、前記外表面に開口エッジを有し、
前記開口エッジは、タイヤ周方向に延びる第1エッジと、前記第1エッジのタイヤ半径方向の内側をタイヤ周方向に延びる第2エッジと、前記第1エッジと前記第2エッジとの間をタイヤ半径方向に延びる一対の第3エッジと、前記第1エッジと前記第2エッジとの間のタイヤ半径方向距離である凹部高さとを含み、
前記第1エッジと、前記一対の第3エッジとは、それぞれ、第1円弧エッジを介して滑らかに接続されており、
前記少なくとも一つの凹部の前記凹部高さは、前記第1円弧エッジの曲率半径の1~10倍である、本発明1ないし3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本発明5]
前記第2エッジと、前記一対の第3エッジとは、それぞれ、第2円弧エッジを介して滑らかに接続されており、
前記第1円弧エッジの前記曲率半径は、前記第2円弧エッジの曲率半径以上である、本発明4に記載の空気入りタイヤ。
[本発明6]
前記少なくとも一つの凹部の深さは、前記凹部高さの0.1~0.3倍である、本発明4又は5に記載の空気入りタイヤ。
[本発明7]
前記複数の凹部は、タイヤ周方向に配列された複数の第1凹部と、前記第1凹部よりもタイヤ半径方向外側でタイヤ周方向に配列された複数の第2凹部とを含み、
前記第2凹部の前記第1円弧エッジの前記曲率半径は、前記第1凹部の前記第1円弧エッジの前記曲率半径よりも大きい、本発明4ないし6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本発明8]
カーカスをさらに含み、
前記カーカスは、前記一対のビード部のそれぞれに埋設されたビードコアの間を延びる本体部と、前記ビードコアの回りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返された折返し部とを含むカーカスプライを含み、
前記少なくとも一つの凹部は、前記折返し部のタイヤ半径方向の外端を通るタイヤ軸方向線と交わる位置に設けられている、本発明1ないし7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本発明9]
前記折返し部のタイヤ軸方向外側に、タイヤ半径方向に延びるビード補強層がさらに配されており、
前記少なくとも一つの凹部は、前記折返し部のタイヤ半径方向の外端を通るタイヤ軸方向線と交わる位置に設けられている、本発明8に記載の空気入りタイヤ。
[本発明10]
前記複数の凹部は、タイヤ周方向に配列された複数の第1凹部と、前記第1凹部よりもタイヤ半径方向外側でタイヤ周方向に配列された複数の第2凹部とを含み、
前記複数の第2凹部の前記底面と前記ビード補強層との間の最短距離は、前記第2凹部の深さの2.5~5.5倍である、本発明9に記載の空気入りタイヤ。
【符号の説明】
【0056】
1 空気入りタイヤ
4 ビード部
4s 外表面
9 凹部
11 側壁面
11a 側壁面
12 底面
13 円弧部
da 深さ
ra 曲率半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記折返し部のタイヤ軸方向外側に、タイヤ半径方向に延びるビード補強層がさらに配されており、
前記少なくとも一つの凹部は、前記ビード補強層のタイヤ半径方向の外端を通るタイヤ軸方向線と交わる位置に設けられている、請求項8に記載の空気入りタイヤ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
少なくとも一つの凹部9の深さda(図3に示す)は、凹部9の凹部高さhaの0.1倍以上が望ましく、0.15以上がさらに望ましく、0.3倍以下が望ましく、0.25以下がさらに望ましい。凹部9の深さdaが凹部高さhaの0.1倍以上であるので、乱流を効果的に生じさせることができる。凹部9の深さdaが凹部高さhaの0.3倍以下であるので、凹部9に生じる歪を緩和することができる。特に限定されるものではないが、凹部9の深さdaは、1.0mm以上が望ましく、4.0mm以下が望ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
第2凹部9Bの第1円弧エッジ24の曲率半径r4は、第1凹部9Aの第1円弧エッジ24の曲率半径r3よりも大きく形成されている。これにより、より大きな荷重が作用する第2凹部9B近傍の剛性が高く維持されるので、歪によるSFCの発生が抑制される。特に限定されるものではないが、第2凹部9Bの第1円弧エッジ24の曲率半径r4は、第1凹部9Aの第1円弧エッジ24の曲率半径r3の1.2倍以上が望ましく、1.5倍以上がさらに望ましく、3倍以下が望ましく、2.5倍以下がさらに望ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
に示すように、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比して、耐SFC性能に優れている。また、実施例のタイヤは、ビード部の耐久性能が高く維持されていることが判明している。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
[本発明1]
一対のビード部を含む空気入りタイヤであって、
前記一対のビード部の少なくとも一方の外表面には、複数の凹部がタイヤ周方向に配列されており、
前記複数の凹部は、それぞれ、前記外表面からタイヤ軸方向の内側に延びる側壁面と、前記凹部の深さを規定する底面とを含み、
前記複数の凹部の少なくとも1つは、タイヤ回転軸を含む前記凹部の断面において、
タイヤ半径方向外側に位置する前記側壁面と、前記底面とは円弧部を介して滑らかに接続されており、
前記円弧部は、前記凹部の深さ以上の曲率半径を有する、
空気入りタイヤ。
[本発明2]
前記円弧部の曲率半径は、1.8mm以上である、本発明1に記載の空気入りタイヤ。
[本発明3]
前記側壁面と前記外表面との交差位置において、前記側壁面と前記外表面との間の角度は鈍角であり、かつ、前記交差位置に立てた前記外表面の法線と前記側壁面との間の角度は、10~30度である、本発明1又は2に記載の空気入りタイヤ。
[本発明4]
前記複数の凹部は、それぞれ、前記外表面に開口エッジを有し、
前記開口エッジは、タイヤ周方向に延びる第1エッジと、前記第1エッジのタイヤ半径方向の内側をタイヤ周方向に延びる第2エッジと、前記第1エッジと前記第2エッジとの間をタイヤ半径方向に延びる一対の第3エッジと、前記第1エッジと前記第2エッジとの間のタイヤ半径方向距離である凹部高さとを含み、
前記第1エッジと、前記一対の第3エッジとは、それぞれ、第1円弧エッジを介して滑らかに接続されており、
前記少なくとも一つの凹部の前記凹部高さは、前記第1円弧エッジの曲率半径の1~10倍である、本発明1ないし3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本発明5]
前記第2エッジと、前記一対の第3エッジとは、それぞれ、第2円弧エッジを介して滑らかに接続されており、
前記第1円弧エッジの前記曲率半径は、前記第2円弧エッジの曲率半径以上である、本発明4に記載の空気入りタイヤ。
[本発明6]
前記少なくとも一つの凹部の深さは、前記凹部高さの0.1~0.3倍である、本発明4又は5に記載の空気入りタイヤ。
[本発明7]
前記複数の凹部は、タイヤ周方向に配列された複数の第1凹部と、前記第1凹部よりもタイヤ半径方向外側でタイヤ周方向に配列された複数の第2凹部とを含み、
前記第2凹部の前記第1円弧エッジの前記曲率半径は、前記第1凹部の前記第1円弧エッジの前記曲率半径よりも大きい、本発明4ないし6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本発明8]
カーカスをさらに含み、
前記カーカスは、前記一対のビード部のそれぞれに埋設されたビードコアの間を延びる本体部と、前記ビードコアの回りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返された折返し部とを含むカーカスプライを含み、
前記少なくとも一つの凹部は、前記折返し部のタイヤ半径方向の外端を通るタイヤ軸方向線と交わる位置に設けられている、本発明1ないし7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本発明9]
前記折返し部のタイヤ軸方向外側に、タイヤ半径方向に延びるビード補強層がさらに配されており、
前記少なくとも一つの凹部は、前記ビード補強層のタイヤ半径方向の外端を通るタイヤ軸方向線と交わる位置に設けられている、本発明8に記載の空気入りタイヤ。
[本発明10]
前記複数の凹部は、タイヤ周方向に配列された複数の第1凹部と、前記第1凹部よりもタイヤ半径方向外側でタイヤ周方向に配列された複数の第2凹部とを含み、
前記複数の第2凹部の前記底面と前記ビード補強層との間の最短距離は、前記第2凹部の深さの2.5~5.5倍である、本発明9に記載の空気入りタイヤ。