(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090190
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】転写装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240627BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/01 114
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205913
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】立木 啓史
【テーマコード(参考)】
2H200
2H300
【Fターム(参考)】
2H200FA16
2H200GA12
2H200GA23
2H200JC04
2H200JC07
2H200JC09
2H200JC10
2H200PA12
2H200PA14
2H200PA19
2H200PA26
2H300EB12
2H300EC05
2H300EC13
2H300EJ09
2H300FF05
2H300FF08
2H300GG11
2H300HH17
2H300HH24
2H300QQ11
2H300QQ13
2H300QQ20
2H300QQ32
(57)【要約】
【課題】転写ベルトを像担持体に巻き付けるための補助ローラを別途追加することなく、従って、コストを低く抑えながら、転写性能を向上させることができる転写装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写装置10は、転写ベルト(41)と、転写ベルト(41)を回転駆動する駆動ローラ42と、転写ベルト(41)を張架する張架ローラ43と、像担持体(31D)上に形成されるトナー像を転写ベルト(41)上に転写する転写部材(34D)と、を備え、張架ローラ43は、像担持体(31D)に近づいて転写ベルト(41)を像担持体(31D)に押し付ける押付位置と、像担持体(31D)から遠ざかって転写ベルト(41)を像担持体(31D)から離間させる離間位置との間で、駆動ローラ42に平行に移動可能である。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の転写ベルトと、
前記転写ベルトの内周面に当接して前記転写ベルトを回転駆動する駆動ローラと、
前記転写ベルトの内周面に当接して前記転写ベルトを張架する張架ローラと、
前記駆動ローラと前記張架ローラとの間において前記転写ベルトを挟んで像担持体と対向するように設けられて前記像担持体上に形成されるトナー像を前記転写ベルト上に転写する転写部材と、を備えた転写装置であって、
前記張架ローラは、前記像担持体に近づいて前記転写ベルトを前記像担持体に押し付ける押付位置と、前記像担持体から遠ざかって前記転写ベルトを前記像担持体から離間させる離間位置との間で、前記駆動ローラに平行に移動可能である、ことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
請求項1に記載の転写装置であって、
前記張架ローラは、上下方向へ移動可能であり、画像形成時に前記上下方向における一方側の前記押付位置に位置する一方、非画像形成時に前記上下方向における他方側の前記離間位置に位置する、ことを特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1に記載の転写装置であって、
前記張架ローラは、該張架ローラの前記像担持体側の表面と前記転写部材の前記像担持体側の表面との双方が接する仮想接線が、画像形成時に前記像担持体と重なる前記押付位置に位置する一方、非画像形成時に前記像担持体とは重ならない前記離間位置に位置する、ことを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項1に記載の転写装置であって、
前記張架ローラは、該張架ローラの移動方向における前記像担持体側の頂面が、画像形成時に前記移動方向における前記像担持体の前記張架ローラ側の頂面よりも前記像担持体の回転軸線に近づく側の前記押付位置に位置する一方、非画像形成時に前記移動方向における前記像担持体の前記張架ローラ側の頂面よりも前記像担持体の回転軸線から遠ざかる側の前記離間位置に位置する、ことを特徴とする転写装置。
【請求項5】
請求項1に記載の転写装置であって、
前記像担持体は、所定の直線方向に並設される複数の像担持体で構成され、前記転写部材は、前記複数の像担持体に対応して設けられた複数の転写部材で構成され、
前記張架ローラの前記押付位置は、前記複数の像担持体のうちの前記張架ローラの隣の前記像担持体に近づいて前記転写ベルトを前記張架ローラの隣の前記像担持体に押し付ける位置であり、
前記張架ローラの前記離間位置は、前記複数の像担持体のうちの前記張架ローラの隣の前記像担持体から遠ざかって前記転写ベルトを前記張架ローラの隣の前記像担持体から離間させる離間位置である、ことを特徴とする転写装置。
【請求項6】
請求項1に記載の転写装置であって、
前記張架ローラは、画像形成前の初期状態では、前記離間位置に位置し、モノクロ画像形成時に前記初期状態の前記離間位置のまま移動せず、カラー画像形成時に前記押付位置に移動する、ことを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項6に記載の転写装置であって、
前記張架ローラは、前記カラー画像形成が終了すると、前記離間位置に戻る、ことを特徴とする転写装置。
【請求項8】
請求項1に記載の転写装置であって、
前記転写部材を前記像担持体に対して離接させる離接機構をさらに備え、
前記張架ローラは、前記離接機構により前記転写部材の移動に伴って移動する、ことを特徴とする転写装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の転写装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転写装置、及び、複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における転写装置として、無端状の転写ベルトを備えたものがある。転写ベルトを備えた転写装置では、転写ベルトの内周面に当接した駆動ローラにより転写ベルトを回転駆動し、転写ベルトの内周面に当接した張架ローラにより転写ベルトを張架し、駆動ローラと張架ローラとの間において転写ベルトを挟んで像担持体(感光体)と対向するように設けられた転写部材(転写ローラ)により像担持体上に形成されるトナー像を転写ベルト上に転写する。
【0003】
このような従来の転写装置として、像担持体(感光体)と転写ベルト(例えば中間転写ベルト)との転写ニップ部(例えば一次転写ニップ部)の面積を増やして転写性能を向上させるために、転写ベルトの回転方向における転写ニップ部の上流側に、転写ベルトを像担持体に巻き付けるための巻き付けローラ(補助ローラともいう。)を設けるように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。また、転写部材を像担持体に対して離接させる離接機構が備えられ、転写部材に一体的に設けられた補助ローラが離接機構により転写部材の移動に伴って移動するように構成したものもある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-186903号公報
【特許文献2】特開2021-21821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に記載の構成では、転写ベルトを像担持体に巻き付けるための補助ローラを別途追加する必要があり、それだけコスト増になる。
【0006】
そこで、本開示は、転写ベルトを像担持体に巻き付けるための補助ローラを別途追加することなく、従って、コストを低く抑えながら、転写性能を向上させることができる転写装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本開示に係る転写装置は、無端状の転写ベルトと、前記転写ベルトの内周面に当接して前記転写ベルトを回転駆動する駆動ローラと、前記転写ベルトの内周面に当接して前記転写ベルトを張架する張架ローラと、前記駆動ローラと前記張架ローラとの間において前記転写ベルトを挟んで像担持体と対向するように設けられて前記像担持体上に形成されるトナー像を前記転写ベルト上に転写する転写部材と、を備えた転写装置であって、前記張架ローラは、前記像担持体に近づいて前記転写ベルトを前記像担持体に押し付ける押付位置と、前記像担持体から遠ざかって前記転写ベルトを前記像担持体から離間させる離間位置との間で、前記駆動ローラに平行に移動可能である、ことを特徴とする。
【0008】
また、本開示に係る画像形成装置は、前記本開示に係る転写装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によると、転写ベルトを像担持体に巻き付けるための補助ローラを別途追加することなく、従って、コストを低く抑えながら、転写性能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る転写装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2A】非画像形成時での転写装置の概略構成を示す正面図である。
【
図2B】モノクロ画像形成時での転写装置の概略構成を示す正面図である。
【
図2C】カラー画像形成時での転写装置の概略構成を示す正面図である。
【
図3A】
図2Aに示す離接機構におけるカム部材の動作を示す正面図である。
【
図3B】
図2Bに示す離接機構におけるカム部材の動作を示す正面図である。
【
図3C】
図2Cに示す離接機構におけるカム部材の動作を示す正面図である。
【
図4A】
図2Aに示す離接機構におけるカム部材の動作を示す平面図である。
【
図4B】
図2Bに示す離接機構におけるカム部材の動作を示す平面図である。
【
図4C】
図2Cに示す離接機構におけるカム部材の動作を示す平面図である。
【
図5A】転写装置の着脱方向の一例を概略的に示す模式図である。
【
図5B】転写装置の着脱方向の他の例を概略的に示す模式図である。
【
図6】張架ローラと感光体ドラムとの間の距離を説明するための説明図である。
【
図7A】非画像形成時での転写装置に設けられたクリーニング装置の一例の概略構成を示す正面図である。
【
図7B】モノクロ画像形成時での転写装置に設けられたクリーニング装置の一例の概略構成を示す正面図である。
【
図7C】カラー画像形成時での転写装置に設けられたクリーニング装置の一例の概略構成を示す正面図である。
【
図8A】非画像形成時・モノクロ画像形成時での転写装置に設けられたクリーニング装置の他の例の概略構成を示す正面図である。
【
図8B】カラー画像形成時での転写装置に設けられたクリーニング装置の他の例の概略構成を示す正面図である。
【
図9A】非画像形成時で転写装置の他の例の張架ローラ部分を示す正面図である。
【
図9B】モノクロ画像形成時での転写装置の他の例の張架ローラ部分を示す正面図である。
【
図9C】カラー画像形成時での転写装置の他の例の張架ローラ部分を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る転写装置10を備えた画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。なお、図において、符号Xは、左右方向を、符号Yは、奥行方向(前後方向)を、符号Zは、上下方向を示している。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿から読み取った画像データに基づいて記録用紙等のシートに多色又は単色の画像を形成する。なお、画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置であってもよい。シートとして、普通紙、厚紙、印画紙、OHPフィルム等のシート状の記録媒体が挙げられる。画像形成装置100は、画像形成装置本体101上に設けられた画像読取装置120を備え、画像形成装置本体101に画像形成部110及び給紙部80が設けられている。
【0014】
画像読取装置120は、原稿の画像面に光を照射し、反射した光の光量を検出することで、画像データを生成する。
【0015】
画像形成部110は、中間転写ユニット40、画像形成ステーション30A,30B,30C,30D、二次転写ユニット50、露光ユニット60、定着ユニット70を備えている。
【0016】
中間転写ユニット40は、無端状(環状)の中間転写ベルト41、駆動ローラ42、張架ローラ43(従動ローラ)及びテンションローラ44を備えている。中間転写ベルト41は、転写ベルトとして作用する。中間転写ベルト41は、駆動ローラ42、張架ローラ43及びテンションローラ44に張架されている。張架ローラ43は、従動ローラであり、テンションローラ44は、中間転写ベルト41の張力を調整する。
【0017】
画像形成ステーション30A~30Dは、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相のトナーを用いて電子写真方式の画像形成処理を行う。画像形成ステーション30A~30Dは、中間転写ベルト41の上下方向Zにおける一方側Z1又は他方側Z2(この例では下側)において所定方向(水平方向、この例では左右方向X)に並設されている。画像形成ステーション30A~30Dは、実質的に同じに構成とされている。
【0018】
画像形成ステーション30Aは、ブラックのトナーを担持するモノクロ用の感光体ドラム31Aを備えている。画像形成ステーション30B,30C,30Dは、カラーのトナーを担持するカラー用の感光体ドラム31B,31C,31Dをそれぞれ備えている。感光体ドラム31A~31Dは、何れも像担持体として作用する。
【0019】
画像形成ステーション30Aは、感光体ドラム31Aの周囲に、帯電器32A、現像器33A、一次転写ローラ34A及びクリーナ装置35Aを有している。同様に、画像形成ステーション30B,30C,30Dは、それぞれ、一次転写ローラ34B,34C,34Dを有している。一次転写ローラ34A,34B,34C,34Dは、転写部材として作用する。
【0020】
感光体ドラム31Aは、図示しない駆動源から駆動力を伝達されることで所定方向に回転する。帯電器32Aは、感光体ドラム31Aの周面を所定の電位に帯電させる。
【0021】
露光ユニット60は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データに基づいて半導体レーザを駆動し、各色相のレーザ光を画像形成ステーション30A~30Dのそれぞれの感光体ドラム31A~31Dへ配光する。感光体ドラム31A~31Dの周面には、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0022】
現像器33Aは、感光体ドラム31Aの周面に、画像形成ステーション30Aの色相であるブラックのトナーを供給し、静電潜像をトナー像に顕像化する。
【0023】
感光体ドラム31Aの外周面に残存したトナーは、クリーナ装置35Aによって除去される。
【0024】
感光体ドラム31A~31Dは、中間転写ベルト41の外周面に対向する。一次転写ローラ34A~34Dは、中間転写ベルト41を挟んで感光体ドラム31A~31Dに対向する位置に設けられている。
【0025】
一次転写ローラ34A~34Dは、それぞれ、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と逆極性(例えば、プラス)の一次転写バイアスを印加されることで、感光体ドラム31A~31Dに担持されたトナー像を中間転写ベルト41の外周面へ一次転写する。転写装置10は、中間転写ユニット40及び一次転写ローラ34A~34Dを含む。
【0026】
モノクロ画像形成(モノクロ印刷)時には、モノクロ用の画像形成ステーション30Aのみで前述の画像形成処理が行われる。また、カラー画像形成〔フルカラー画像形成(フルカラー印刷)〕時には、画像形成ステーション30Aに加えて画像形成ステーション30B~30Dにおいても、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相について、画像形成ステーション30Aと同様の画像形成処理が行われる。ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相のトナー像は、画像形成ステーション30A~30Dのそれぞれの一次転写ローラ34A~34Dに一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト41の外周面に1つに重ね合わされるように順次に転写される。
【0027】
給紙部80は、給紙カセット81、手差しトレイ82、シート主搬送路83、シート副搬送路84を備えている。給紙カセット81には、シートが複数枚収納される。手差しトレイ82には、シートが複数枚載置される。
【0028】
シート主搬送路83は、給紙カセット81及び手差しトレイ82から、中間転写ベルト41と二次転写ユニット50との間及び定着ユニット70を経由して、排出部90へ至るように形成されている。シート副搬送路84は、両面印刷用のシート搬送路であり、一方の面に画像を形成されたシートが表裏を反転された状態で再び、中間転写ベルト41と二次転写ユニット50との間へ搬送されるように形成されている。
【0029】
二次転写ユニット50は、二次転写ローラ50Aを有する。二次転写ローラ50Aに、トナーの帯電極性(例えば、マイナス)と逆極性(例えば、プラス)の二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト41の外周面に担持されたトナー像がシートに転写される。
【0030】
定着ユニット70は、トナー像が転写されたシートを加熱及び加圧することで、シートにトナー像を定着させる。
【0031】
排出部90は、排出トレイ91及び排出ローラ92を備えている。トナー像が定着したシートは、排出ローラ92によって排出トレイ91へ排出される。シートは、トナー像が定着した面を下にして、排出トレイ91に収容される。
【0032】
次に、本実施の形態に係る転写装置10の構成について
図2Aから
図6を参照しながら以下に説明する。
【0033】
図2Aから
図2Cは、それぞれ、非画像形成時、モノクロ画像形成時及びカラー画像形成時での転写装置10の概略構成を示す正面図である。
図3Aから
図3Cは、それぞれ、
図2Aから
図2Cに示す離接機構20におけるカム部材23の動作を示す正面図である。
図4Aから
図4Cは、それぞれ、
図2Aから
図2Cに示す離接機構20におけるカム部材23の動作を示す平面図である。
図5A及び
図5Bは、それぞれ、転写装置10の着脱方向の一例及び他の例を概略的に示す模式図である。また、
図6は、張架ローラ43と感光体ドラム31Dとの間の距離dを説明するための説明図である。
【0034】
図2Aから
図2Cに示すように、中間転写ベルト41は、駆動ローラ42と張架ローラ43との間に張架されて、非画像形成時(
図2A参照)において直線方向M(この例では左右方向X)に沿った直線状の部分を有する。中間転写ベルト41の直線状の部分に対向して、回転方向Rにおける上流側から順に感光体ドラム31D、感光体ドラム31C、感光体ドラム31B及び感光体ドラム31Aが設けられている。駆動ローラ42は、回転方向Rにおける感光体ドラム31A~31Dよりも下流側に設けられ、張架ローラ43は、回転方向Rにおける感光体ドラム31A~31Dよりも上流側に設けられている。前述したように、一次転写ローラ34A~34Dは、中間転写ベルト41を挟んで感光体ドラム31A~31Dのそれぞれに対向する位置に設けられている。この例では、感光体ドラム31A~31Dは、中間転写ベルト41の下方に設けられている。
【0035】
テンションローラ44は、中間転写ベルト41の一次転写ローラ34A~34Dとは反対側の内周面に圧接されている。これにより、非画像形成時、モノクロ画像形成時及びカラー画像形成時を通じて、中間転写ベルト41を一定の張力に保持することができる。
【0036】
一次転写ローラ34A~34Dは、それぞれ、対応する感光体ドラム31A~31Dに対する離接方向に移動可能な構成とされている。詳しくは、一次転写ローラ34A~34Dは、それぞれ、対応する感光体ドラム31A~31Dに中間転写ベルト41を押し付ける押付位置と、対向する感光体ドラム31A~31Dから中間転写ベルト41を離間させる離間位置との間で移動自在とされている。
【0037】
図2Aに示すように、非画像形成時には、全ての一次転写ローラ34A~34Dは、離間位置に位置し、中間転写ベルト41を感光体ドラム31A~31Dから離間させる。
【0038】
図2Bに示すように、モノクロ画像形成時には、モノクロ用の一次転写ローラ34Aは、押付位置に位置し、中間転写ベルト41を感光体ドラム31Aに圧接させる。一方、カラー用の一次転写ローラ34B~34Dは、離間位置に位置し、中間転写ベルト41を感光体ドラム31B~31Dから離間させる。
【0039】
図2Cに示すように、カラー画像形成時には、全ての一次転写ローラ34A~34Dは、押付位置に位置し、中間転写ベルト41を感光体ドラム31A~31Dに圧接させる。
【0040】
一次転写ローラ34A~34Dの離接方向への移動は、離接機構20によって行われる。
【0041】
離接機構20は、第1移動部材21、第2移動部材22、カム部材23及び第1揺動部材24Aから第5揺動部材24Eを備えている。
【0042】
第1移動部材21及び第2移動部材22は、長手方向が直線方向M(左右方向X)に沿うように直線方向Mに移動自在に中間転写ユニット本体40a(転写装置本体)(本体フレーム)に設けられている。カム部材23は、第1移動部材21と第2移動部材22との間に設けられている。第1移動部材21及び第2移動部材22は、それぞれ、付勢部材45A~45D(巻ばね)によりカム部材23へ向けて付勢され、カム部材23に圧接さている。
【0043】
図2Aから
図2Cに示すように、第1移動部材21、第2移動部材22及びカム部材23は、駆動ローラ42と張架ローラ43との間に位置し、画像形成装置100の前面側Y1及び背面側Y2のそれぞれに設けられている。第1揺動部材24Aは、前面側Y1に設けられた第1移動部材21と背面側Y2に設けられた第1移動部材21とに一次転写ローラ34Aの回転軸線方向(奥行方向Y)に沿った揺動軸線(第1揺動軸26A)回りに揺動自在に支持されている。第2揺動部材24Bから第5揺動部材24Eは、それぞれ、前面側Y1に設けられた第2移動部材22と背面側Y2に設けられた第2移動部材22とに一次転写ローラ34B~34Dの回転軸線方向(Y)に沿った揺動軸線(第2揺動軸26Bから第5揺動軸26E)回りに揺動自在に支持されている。
【0044】
詳しくは、前面側Y1のカム部材23と背面側Y2のカム部材23とは、単一のカム軸231に固定され、カム軸231を中心に互いに一体的に回転する。カム軸231は、図示を省略した駆動源(例えばステッピングモータ)から動力を伝達されることで回転する。
【0045】
第1揺動部材24Aから第4揺動部材24Dは、それぞれ、L字形に屈曲した形状とされている。第2揺動部材24Bから第4揺動部材24Dは、直線方向Mにおける第2移動部材22に対する取付方向を除いて第1揺動部材24Aと同様に構成されている。第2揺動部材24Bから第4揺動部材24Dは、第1揺動部材24Aに対して、直線方向M及び一次転写ローラ34Aの回転軸線方向(Y)の双方に直交する方向(上下方向Z)に沿った軸線を対称軸として線対称に取り付けられている。
【0046】
第1揺動部材24Aは、第1移動部材21よりも感光体ドラム31A側(屈曲部)において、中間転写ユニット本体40aに一次転写ローラ34Aの回転軸線方向(Y)に沿った揺動軸線(第1揺動軸26A)回りに揺動自在に支持されている。第1揺動部材24Aは、第1揺動軸26Aを間にして第1支持軸25Aとは反対側の先端部が一次転写ローラ34Aを回転自在に支持している。同様に、第2揺動部材24Bから第4揺動部材24Dは、それぞれ、第2移動部材22よりも感光体ドラム31B~31D側(屈曲部)において、中間転写ユニット本体40aに一次転写ローラ34B~34Dの回転軸線方向(Y)に沿った揺動軸線(第2揺動軸26Bから第4揺動軸26D)回りに揺動自在に支持されている。第2揺動部材24Bから第4揺動部材24Dは、それぞれ、第2揺動軸26Bから第4揺動軸26Dを間にして第2支持軸25Bから第4支持軸25Dとは反対側の先端部が一次転写ローラ34B~34Dを回転自在に支持している。第1揺動部材24Aから第4揺動部材24Dは、それぞれ、付勢部材45A~45Dによって、一次転写ローラ34A~34Dが感光体ドラム31A~31Dから離間する方向へ付勢されている。
【0047】
第1揺動部材24Aには、奥行方向Yに沿った第1支持軸25Aが固定されている。第1移動部材21には、第1支持軸25Aを上下方向Zに移動自在に挿通する貫通長孔27Aが設けられている。また、第2揺動部材24Bから第4揺動部材24Dには、それぞれ、奥行方向Yに沿った第2支持軸25Bから第4支持軸25Dが固定されている。第2移動部材22には、それぞれ、第2支持軸25Bから第4支持軸25Dを上下方向Zに移動自在に挿通する貫通長孔27B~27Dが設けられている。第5揺動部材24Eは、第5支持軸25E回りに揺動自在に支持されている。第5揺動部材24Eは、張架ローラ43側に延びており、長手方向において第5支持軸25Eとは反対側の先端部が張架ローラ43を回転自在に支持している。第5揺動部材24Eには、張架ローラ43の回転軸線方向(Y)に貫通し、かつ、長手方向に沿って延びるスリット25aが設けられている。また、中間転写ユニット本体40aには、張架ローラ43の回転軸線方向(Y)に沿った挿通部材46(挿通軸)が固定されている。挿通部材46は、第2支持軸25Bから第4支持軸25Dよりも感光体ドラム31A~31D側に位置している。挿通部材46は、第5揺動部材24Eにおけるスリット25aに挿通されている。
【0048】
図2B及び
図2Cに示すように、第1移動部材21がカム軸231から離間する方向、すなわち直線方向Mにおける一方側M1(図示例では右側)へ移動すると、付勢部材45Aの付勢力に抗して一次転写ローラ34Aが上下方向Zにおける一方側Z1(この例では下側)に移行して押付位置に位置する。同様に、
図2Cに示すように、第2移動部材22がカム軸231から離間する方向、すなわち直線方向Mにおける他方側M2(図示例では左側)へ移動すると、付勢部材45B~45Dの付勢力に抗して一次転写ローラ34B~34Dが上下方向Zにおける一方側Z1(この例では下側)に移行して押付位置に位置する。このとき、張架ローラ43は、第5揺動部材24Eのスリット25aが挿通部材46に摺動して上下方向Zにおける一方側Z1(この例では下側)に移行し、押付位置に位置する。従って、中間転写ベルト41が感光体ドラム31A~31Dに押し付けられる。これにより、感光体ドラム31A~31Dと中間転写ベルト41との一次転写ニップ部(転写ニップ部)の面積を増やことができ、ひいては転写性能を向上させることができる。
【0049】
一方、
図2Aに示すように、第1移動部材21がカム軸231に接近する方向、すなわち直線方向Mにおける他方側M2(図示例では右側)へ移動すると、付勢部材45Aの付勢力によって一次転写ローラ34Aが上下方向Zにおける他方側Z2(この例では上側)に移行して離間位置に位置する。同様に、
図2A及び
図2Bに示すように、第2移動部材22がカム軸231から離間する方向、すなわち直線方向Mにおける一方側M1(図示例では左側)へ移動すると、付勢部材45B~45Dの付勢力によって一次転写ローラ34B~34Dが上下方向Zにおける他方側Z2(この例では上側)に移行して離間位置に位置する。このとき、張架ローラ43は、第5揺動部材24Eのスリット25aが挿通部材46に摺動して上下方向Zにおける他方側Z2(この例では上側)に移行し、離間位置に位置する。従って、中間転写ベルト41を感光体ドラム31A~31Dから離間させることができる。
【0050】
そして、
図5Aに示すように、転写装置10が奥行方向Yに着脱可能とされている場合には、非画像形成時に転写装置10を前面側Y1に引き出すことができる。
図5Bに示すように、転写装置10が左右方向Xに着脱可能とされている場合には、非画像形成時に転写装置10を左右方向Xにおける一方側X1又は他方側X2(この例では一方側X1である右側)に引き出すことができる。
【0051】
図3Aから
図3Cに示すように、カム部材23は、第1カム部233及び第2カム部234を備えている。第1カム部233及び第2カム部234は何れも偏心カムを構成している。第1カム部233及び第2カム部234は、カム軸231の回転方向においてずれた位置でカム軸231に固定され、カム軸231を中心に回転する。第1移動部材21は、第1カム部233の作用周面に圧接する。第2移動部材22は、第2カム部234の作用周面に圧接する。
【0052】
図3A及び
図4Aに示すように、非画像形成時には、カム部材23は、所定の第1回転位置に位置する。そうすると、第1移動部材21及び第2移動部材22の両方が、カム軸231に接近する。これにより、
図2Aに示すように、全ての一次転写ローラ34A~34D及び張架ローラ43が感光体ドラム31A~31Dから遠ざかる離間位置に位置し、中間転写ベルト41が全ての感光体ドラム31A~31Dから離間する。
【0053】
図3B及び
図4Bに示すように、モノクロ画像形成時には、カム部材23は、非画像形成時の状態、すなわち第1回転位置を基準として
図3Bにおいて反時計方向に90度回転した所定の第2回転位置に位置する。そうすると、第1移動部材21が直線方向Mにおける一方側M1へ移動し、カム軸231から離間する。これにより、
図2Bに示すように、モノクロ用の一次転写ローラ34Aが押付位置へ移動し、中間転写ベルト41がモノクロ用の感光体ドラム31Aに押し付けられる。一方、カラー用の一次転写ローラ34B~34D及び張架ローラ43がカラー用の感光体ドラム31B~31Dから遠ざかる離間位置に位置し、中間転写ベルト41はカラー用の感光体ドラム31B~31Dから離間する。
【0054】
図3C及び
図4Cに示すように、カラー画像形成時には、カム部材23は、モノクロ画像形成時の状態即ち第2回転位置を基準として
図3Cにおいて反時計方向に90度回転した所定の第3回転位置に位置する。そうすると、第2移動部材22が直線方向Mにおける他方側M2へ移動し、第1移動部材21及び第2移動部材22の両方がカム軸231から離間する。これにより、
図2Cに示すように、全ての一次転写ローラ34A~34D及び張架ローラ43が押付位置に位置し、中間転写ベルト41が全ての感光体ドラム31A~31Dに押し付けられる。
【0055】
(本実施の形態について)
本実施の形態に係る転写装置10は、無端状の転写ベルト(41)と、駆動ローラ42と、張架ローラ43と、1つ又は複数(この例では4つ)の転写部材(34A~34D)と、を備えている。
【0056】
駆動ローラ42は、転写ベルト(41)の内周面に当接して転写ベルト(41)を回転駆動する。張架ローラ43は、転写ベルト(41)の内周面に当接して転写ベルト(41)を張架する。転写部材(34A~34D)は、駆動ローラ42と張架ローラ43との間において転写ベルト(41)を挟んで像担持体(31A~31D)と対向するように設けられている。転写部材(34A~34D)は、像担持体(31A~31D)上に形成されるトナー像を転写ベルト(41)上に転写する。
【0057】
張架ローラ43〔回転軸線α(
図2Aから
図2C参照)〕は、押付位置(転写位置)と、離間位置(非転写位置)との間で、駆動ローラ42〔回転軸線β(
図2Aから
図2C参照〕に平行に、移動可能である。押付位置は、張架ローラ43が像担持体(31D)に近づいて転写ベルト(41)を像担持体(31D)に押し付ける位置である。離間位置は、張架ローラ43が像担持体(31D)から遠ざかって転写ベルト(41)を像担持体(31D)から離間させる位置である。
【0058】
本実施の形態によれば、張架ローラ43を像担持体(31D)に近づく側の押付位置に位置させることにより、張架ローラ43と転写部材(34D)とで転写ベルト(41)を像担持体(31D)に巻き付けることができる。これにより、転写ベルト(41)を像担持体(31D)に巻き付けるための補助ローラを別途追加することなく、従って、コストを低く抑えながら、転写性能を向上させることができる。
【0059】
しかも、補助ローラがある場合にはそれだけ補助ローラを設けるためのスペースを確保する必要があるところ、補助ローラがない分、
図6に示すように、張架ローラ43と像担持体(31D)〔張架ローラ43に最も近い像担持体(31D)〕との間の距離dを短くすることができる。これにより、転写装置10の直線方向Mにおける小型化を実現させることができる。特に、
図2Aから
図2Cに示す構成では、第5揺動部材24Eが直線状に形成されていることから、張架ローラ43と像担持体(31D)との間の距離dを短くすることができる。
【0060】
本実施の形態では、像担持体は、所定の直線方向(水平方向)に並設される複数の像担持体(31A~31D)で構成されている。転写部材は、複数の像担持体(31A~31D)に対応して設けられた複数の転写部材(34A~34D)で構成されている、張架ローラ43の押付位置は、複数の像担持体(31A~31D)のうちの張架ローラ43の隣の像担持体(31D)に近づいて転写ベルト(41)を張架ローラ43の隣の像担持体(31D)に押し付ける位置である。また、張架ローラ43の離間位置は、複数の像担持体(31A~31D)のうちの張架ローラ43の隣の像担持体(31D)から遠ざかって転写ベルト(41)を張架ローラ43の隣の像担持体(31D)から離間させる離間位置である。
【0061】
こうすることで、所定の直線方向に並設される複数の像担持体(31A~31D)を備えたカラー画像形成装置に好適に適用することができる。
【0062】
ところで、張架ローラ43と像担持体(31D)との間の距離dが短過ぎると、転写部材(34D)に供給される転写電流が転写ベルト(41)を通じて張架ローラ43に流れてしまい、転写効率の低下を招く。
【0063】
従って、張架ローラ43と像担持体(31D)との間の距離dとして、転写効率を確保する観点から、9mm以上40mm未満、より好ましくは9mm以上25mm未満を例示できる。転写ベルト(41)の像担持体(31D)への巻き付け角度θとしては、1度以上を例示できる。ここで、巻き付け角度θとは、像担持体(31D)を間にして、張架ローラ43側の転写ベルト(41)の直線部の仮想直線λと、張架ローラ43とは反対側の転写ベルト(41)の直線部の仮想直線φとのなす角度である。距離dが9mm以上、巻き付け角度θが1度以上である場合、張架ローラ43の像担持体(31D)側の頂面は、張架ローラ43とは反対側の転写ベルト(41)の直線部の仮想直線φよりも像担持体(31D)側の距離h=0.15mm(=d×tanθ)以上移動した位置になる。
【0064】
(第1実施形態)
本実施の形態において、張架ローラ43は、上下方向Zへ移動可能である。張架ローラ43は、画像形成時(
図2C参照)(この例ではカラー画像形成時)に上下方向Zにおける一方側Z1(この例では下側)の押付位置に位置する一方、非画像形成時(
図2A参照)〔この例ではモノクロ画像形成時(
図2B参照)を含む非カラー画像形成時〕に上下方向Zにおける他方側Z2(この例では上側)の離間位置に位置する。
【0065】
本実施の形態では、移動方向は上下方向Zを含んでいる。像担持体(31A~31D)は転写ベルト(41)よりも下方に位置していてもよいし、上方に位置していてもよい。この例では、像担持体(31A~31D)は転写ベルト(41)よりも下方に位置している。
【0066】
この構成では、水平方向のスぺースを利用することができる。例えば、カラー画像形成を行うカラー画像形成装置の場合、複数の像担持体(31A~31D)を所定の直線方向(水平方向)に並設することができる。
【0067】
(第2実施形態)
本実施の形態において、張架ローラ43は、張架ローラ43の像担持体(31D)側の表面と転写部材(34D)の像担持体(31D)側の表面との双方が接する仮想接線γ(
図2Aから
図2C参照)が、画像形成時(
図2C参照)(カラー画像形成時)に像担持体(31D)と重なる押付位置に位置する。こうすることで、画像形成時には、転写ベルト(41)と像担持体(31D)との転写ニップ部(転写時間)を大きくすることができる。
【0068】
また、張架ローラ43は、仮想接線γが、非画像形成時(
図2A、
図2B参照)(非カラー画像形成時)に像担持体(31D)とは重ならない離間位置に位置する。こうすることで、非画像形成時には、転写ベルト(41)を像担持体(31D)から確実に離間させることができる。
【0069】
(第3実施形態)
本実施の形態において、張架ローラ43は、張架ローラ43の移動方向(Z)における像担持体(31D)側の頂面が、画像形成時(
図2C参照)(カラー画像形成時)に移動方向(Z)における像担持体(31D)の張架ローラ43側の頂面よりも像担持体(31D)の回転軸線δに近づく側の押付位置に位置する。こうすることで、画像形成時には、転写ベルト(41)と像担持体(31D)との転写ニップ領域(転写時間)を大きくすることができる。
【0070】
また、張架ローラ43は、移動方向(Z)における像担持体(31D)側の頂面が、非画像形成時(
図2A、
図2B参照)(非カラー画像形成時)に移動方向(Z)における像担持体(31D)の張架ローラ43側の頂面よりも像担持体(31D)の回転軸線δから遠ざかる側の離間位置に位置する。こうすることで、非画像形成時には、転写ベルト(41)を像担持体(31D)から確実に離間させることができる。
【0071】
(第4実施形態)
ところで、モノクロ画像形成とカラー画像形成とを行う場合、頻度は、一般的に、モノクロ画像形成の方が多い。
【0072】
この点、本実施の形態において、張架ローラ43は、画像形成前(電源オン後)の初期状態では、離間位置に位置し、モノクロ画像形成時に初期状態の離間位置のまま移動せず、カラー画像形成時に押付位置に移動する。
【0073】
こうすることで、張架ローラ43をカラー画像形成時だけ押付位置に移動させることができ、それだけ、モノクロ画像形成時での張架ローラ43の移動動作を省くことができると共に、張架ローラ43の移動時間を短縮化することができる。
【0074】
(第5実施形態)
本実施の形態において、張架ローラ43は、カラー画像形成が終了すると、離間位置に戻る。
【0075】
こうすることで、モノクロ画像形成時には張架ローラ43が離間位置に位置しているので、モノクロ画像形成時に張架ローラ43を離間位置に移動させることなく、すぐにモノクロ画像形成を行うことができる。
【0076】
(第6実施形態)
ところで、転写ベルト(41)が像担持体(31A~31D)に常時接触していると、転写ベルト(41)が摩耗し易い。
【0077】
この点、本実施の形態において、転写装置10は、転写部材(34A~34D)を像担持体(31A~31D)に対して離接させる離接機構20をさらに備えている。張架ローラ43は、離接機構20により転写部材(34A~34D)の移動に伴って移動する。詳しくは、離接機構20は、転写部材(34A~34D)の移動に連動して張架ローラ43を移動させる。
【0078】
この構成では、画像形成時(
図2C参照)(カラー画像形成時)に転写ベルト(41)を像担持体(31A~31D)に接触させる一方、非画像形成時(
図2A、
図2B参照)(非カラー画像形成時)に転写ベルト(41)を像担持体(31A~31D)から離間させることができる。従って、画像形成時及び非画像形成時のうち画像形成時のみで転写ベルト(41)を像担持体(31A~31D)から離間させることができる。これにより、転写ベルト(41)の摩耗を抑制することができる。
【0079】
(第7実施形態)
図7Aから
図7Cは、それぞれ、非画像形成時、モノクロ画像形成時及びカラー画像形成時での転写装置10に設けられたクリーニング装置11の一例の概略構成を示す正面図である。
【0080】
本実施の形態において、転写装置10は、クリーニング装置11をさらに備えている。クリーニング装置11は、張架ローラ43に向けて転写ベルト(41)に当接(圧接)されるクリーニング部材11a(例えばクリーニングブレード)を有している。クリーニング装置11は、クリーニング部材11aが張架ローラ43と接触した状態で張架ローラ43と一体的に移動する。詳しくは、クリーニング装置11は、クリーニング部材11aが張架ローラ43と接触するように第5揺動部材24Eと連結する連結部材11bをさらに有している。連結部材11bは、第5揺動部材24Eに固定さている。
【0081】
こうすることで、クリーニング装置11を張架ローラ43と共に移動方向(Z)に移動させることができる。
【0082】
(第8実施形態)
図8A及び
図8Bは、それぞれ、非画像形成時・モノクロ画像形成時及びカラー画像形成時での転写装置10に設けられたクリーニング装置11の他の例の概略構成を示す正面図である。
【0083】
本実施の形態において、クリーニング装置11は、姿勢を維持した状態で張架ローラ43の移動に伴って張架ローラ43の回転軸線α回りに張架ローラ43に回動自在に設けられている。ここで、回動は90度未満の移動を意味する。詳しくは、クリーニング装置11は、クリーニング部材11aが張架ローラ43と接触するように張架ローラ43の回転軸43aと連結する連結部材11cをさらに有している。連結部材11cは、張架ローラ43の回転軸43aに回転軸線αを中心に回動自在に支持さている。中間転写ユニット本体40aには、クリーニング装置11を上下方向Zに案内する案内部12が設けられている。これにより、張架ローラ43が第5支持軸25E回りの揺動する際に、クリーニング部材11aが張架ローラ43と接触した姿勢を維持した状態でクリーニング装置11を上下方向Zに移動させることができる。詳しくは、案内部12は、左右方向Xに所定の間隔において上下方向Zに沿って延びる一対のレール部材12a,12aを備えている。また、クリーニング装置11の本体11dには、張架ローラ43の回転軸線方向(Y)における外方に突出した複数の摺動部材11e,11e(摺動軸)が上下方向Zに並設されている。摺動部材11e,11eは、中間転写ユニット本体40aにおける複数の摺動部材11e,11eに挿通されている。
【0084】
こうすることで、クリーニング部材11aが張架ローラ43と接触した姿勢を維持した状態でクリーニング装置11を張架ローラ43と共に上下方向Zに移動させる構成を容易に実現させることができる。
【0085】
(第9実施形態)
図9Aから
図9Cは、それぞれ、非画像形成時、モノクロ画像形成時及びカラー画像形成時での転写装置10の他の例の張架ローラ43部分を示す正面図である。
【0086】
第9実施形態に係る転写装置10は、第1実施形態から第8実施形態に係る転写装置10において、第5揺動部材24Eに代えて第5揺動部材24E1を設け、挿通部材46を除去したものである。以下では、第9実施形態において、第1実施形態から第8実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0087】
第5揺動部材24E1は、第2揺動部材24Bから第4揺動部材24Dと実質的に同様の構成とされている。
【0088】
すなわち、第5揺動部材24E1は、前面側Y1に設けられた第2移動部材22と背面側Y2に設けられた第2移動部材22とに張架ローラ43の回転軸線方(Y)に沿った揺動軸線(第5揺動軸26E)回りに揺動自在に支持されている。
【0089】
詳しくは、第5揺動部材24E1は、L字形に屈曲した形状とされている。第5揺動部材24E1は、第2移動部材22よりも感光体ドラム31D側(屈曲部)において、中間転写ユニット本体40aに一次転写ローラ34Dの回転軸線方向(Y)に沿った揺動軸線(第5揺動軸26E)回りに揺動自在に支持されている。第5揺動部材24E1は、第5揺動軸26Eを間にして第5支持軸25Eとは反対側の先端部が張架ローラ43を回転自在に支持している。第5揺動部材24E1は、付勢部材45Eによって、張架ローラ43が感光体ドラム31Dから離間する方向へ付勢されている。
【0090】
第5揺動部材24E1には、奥行方向Yに沿った第5支持軸25Eが固定されている。第2移動部材22には、第5支持軸25Eを上下方向Zに移動自在に挿通する貫通長孔27Eが設けられている。
【0091】
図9Cに示すように、第2移動部材22が直線方向Mにおける他方側M2(図示例では左側)へ移動すると、付勢部材45Eの付勢力に抗して張架ローラ43及び一次転写ローラ34B~34Dが上下方向Zにおける一方側Z1(この例では下側)に移行して押付位置に位置する。従って、中間転写ベルト41が感光体ドラム31A~31Dに押し付けられる。これにより、感光体ドラム31A~31Dと中間転写ベルト41との一次転写ニップ部(転写ニップ部)の面積を増やことができ、ひいては転写性能を向上させることができる。
【0092】
一方、
図9A及び
図9Bに示すように、第2移動部材22が直線方向Mにおける一方側M1(図示例では右側)へ移動すると、付勢部材45Eの付勢力によって張架ローラ43及び一次転写ローラ34B~34Dが上下方向Zにおける他方側Z2(この例では上側)に移行して離間位置に位置する。従って、中間転写ベルト41を感光体ドラム31A~31Dから離間させることができる。
【0093】
(その他の実施の形態)
以上説明した第1実施形態から第9実施形態に係る転写装置10では、像担持体として作用する感光体ドラム31A~31Dは、転写ベルトとして作用する中間転写ベルト41の下方に設けられる構成としたが、中間転写ベルト41の上方に設けられる構成としてもよい。
【0094】
本開示は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0095】
10 転写装置
100 画像形成装置
11 クリーニング装置
11a クリーニング部材
11b 連結部材
11c 連結部材
12 案内部
20 離接機構
21 第1移動部材
22 第2移動部材
23 カム部材
24E 第5揺動部材
24E1 第5揺動部材
25E 第5支持軸
25a スリット
26E 第5揺動軸
31D 感光体ドラム(像担持体)
34D 一次転写ローラ(転写部材)
40 中間転写ユニット
40a 中間転写ユニット本体
41 中間転写ベルト(転写ベルト)
42 駆動ローラ
43 張架ローラ
45E 付勢部材
46 挿通部材
M 直線方向
R 回転方向
X 左右方向(移動方向)
Y 奥行方向
Z 上下方向
d 距離
h 距離
α 回転軸線
β 回転軸線
γ 仮想接線
δ 回転軸線
θ 角度
λ 仮想直線
φ 仮想直線