(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090193
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】液晶表示装置及ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20240627BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240627BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02F1/13 505
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205916
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大島 徹也
【テーマコード(参考)】
2H088
2H199
2H291
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088HA17
2H088HA18
2H088HA22
2H088HA24
2H088MA06
2H199CA23
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA63
2H199CA65
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA32X
2H291FA56X
2H291FD09
2H291FD10
2H291FD12
2H291HA06
2H291HA15
2H291LA11
2H291LA31
2H291MA02
2H291PA42
2H291PA44
(57)【要約】
【課題】光の偏光状態に関して組み込む機器の仕様に柔軟に対応することのできる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、透過型の液晶パネルと、液晶パネルを透過した光が出射される第1面の側に配置された第1偏光フィルムと、第1偏光フィルムより外側に配置された第2偏光フィルムと、液晶パネルの第1面とは反対の第2面側に配置された第3偏光フィルムと、を含み、第1偏光フィルムの吸収軸は液晶パネルの配向軸と平行に配置され、第1偏光フィルムと第3偏光フィルムはクロスニコルに配置され、第2偏光フィルムの吸収軸は第1偏光フィルムの吸収軸に対して傾いている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過型の液晶パネルと、
前記液晶パネルを透過した光が出射される第1面の側に配置された第1偏光フィルムと、
前記第1偏光フィルムより外側に配置された第2偏光フィルムと、
前記液晶パネルの前記第1面とは反対の第2面側に配置された第3偏光フィルムと、
を含み、
前記第1偏光フィルムの吸収軸は前記液晶パネルの配向軸と平行に配置され、
前記第1偏光フィルムと前記第3偏光フィルムとはクロスニコルに配置され、
前記第2偏光フィルムの吸収軸は前記第1偏光フィルムの吸収軸に対して傾いている、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第2偏光フィルムの吸収軸が前記第1偏光フィルムの吸収軸に対して、0度より大きく45度以下の角度で傾いている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2偏光フィルムの外側に配置された位相差フィルムをさらに含み、
前記位相差フィルムの延伸軸が、前記第2偏光フィルムの吸収軸に対し所定の角度傾いている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記位相差フィルムが1/4波長位相差フィルムである、請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1偏光フィルムと前記第2偏光フィルムとの間に位相差フィルムをさらに有し、
前記位相差フィルムの延伸軸が、前記第1偏光フィルムの吸収軸の角度と、前記第2偏光フィルムの吸収軸の角度と、の中間の角度を有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記位相差フィルムが、1/2波長位相差フィルムである、請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶パネルが、IPS方式の液晶パネル、又はTN方式の液晶パネルである、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶表示装置を有するヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は液晶表示装置に設けられる光学フィルムの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、仮想現実(Virtual Reality:VR)、拡張現実(Augmented Reality:AR)を提供する技術が実用化されている。ヘッドマウントディスプレイ(Head Mount Display:HMD)は、機器本体を頭部に装着して眼前に配置された液晶パネルに画像を表示するように構成された、頭部装着型の液晶表示装置であり、VRやARを実現する際に利用される。遮蔽型のヘッドマウントディスプレイは外光を遮るので、バックライトを備えた液晶表示装置が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドマウントディスプレイは、観察者に臨場感の高い画像を視認できるように、液晶表示パネルの前面(液晶表示パネルと観察者との間)にレンズが配置されている。レンズを用いた光学系は所定の焦点距離が必要となる。当該所定の焦点距離を直線で設計すると、ヘッドマウントディスプレイが大型化してしまう。そこで、反射型偏光板や位相差板などの光学フィルムを用いて光が往復する光路を設計し、機器の小型化を図る工夫がされている。
【0005】
しかし、ヘッドマウントディスプレイの光学系には種々の設計があり、液晶表示パネルから出射される光の偏光状態と、光学系が設計された組み込む機器の側で要求される光の偏光状態とが必ずしも適合しないことが問題となる。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、光の偏光状態に関して、液晶表示パネルを変更することなく組み込む機器の仕様に柔軟に対応することのできる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、透過型の液晶パネルと、液晶パネルを透過した光が出射される第1面の側に配置された第1偏光フィルムと、第1偏光フィルムより外側に配置された第2偏光フィルムと、液晶パネルの第1面とは反対の第2面側に配置された第3偏光フィルムと、を含み、第1偏光フィルムの吸収軸は液晶パネルの配向軸と平行に配置され、第1偏光フィルムと第3偏光フィルムはクロスニコルに配置され、第2偏光フィルムの吸収軸は第1偏光フィルムの吸収軸に対して傾いている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【
図4】2枚の偏光フィルムの吸収軸がずれた場合にどの程度透過率が減少するかについてシミュレーションを行った結果を示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置が組み込まれたヘッドマウントディスプレイの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にA、B、a、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0010】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0011】
以下に示す実施形態において偏光フィルム、位相差フィルムの構成が詳細に説明される。しかし、本発明の一実施形態は偏光フィルム、位相差フィルムに限定されず、偏光フィルム、位相差フィルムは、それぞれ偏光板、位相差板に置き換えることができる。すなわち、偏光フィルムと偏光板、位相差フィルムと位相差板は同義なものである。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置100を構成する偏光フィルムの構成を示す。液晶表示装置100は、液晶パネル102A、第1偏光フィルム104、第2偏光フィルム106、第3偏光フィルム108を含む。
図1は、説明の便宜上、液晶パネル102Aの手前側を第1面FSと示し、第1面FSの反対側を第2面RSと示す。第1面FSと第2面RSは表裏の関係を有する。
【0013】
図1に示すように、液晶パネル102Aの第1面FSの側に第1偏光フィルム104及び第2偏光フィルム106が配置され、液晶パネル102Aの第2面RSの側に第3偏光フィルム108が配置される。
図1には示されないが、第2面RS側に光源(バックライト)が配置される。液晶表示装置100は、図示されない光源(バックライト)から放射された光が、第3偏光フィルム108、液晶パネル102A、第1偏光フィルム104、第2偏光フィルム106を通して出射される構成を有する。別言すれば、液晶表示装置100は、光源(バックライト)の光が入射する側に第3偏光フィルム108が配置され、液晶パネル102Aを透過した光が出射される側に第1偏光フィルム104及び第2偏光フィルム106が配置された構成を有する。
【0014】
本実施形態において、液晶パネル102AはTN(Twisted Nematic)方式である。
図1には詳細に示されないが、液晶パネル102Aは、第1面FS側の第1基板と、第2面RS側の第2基板と、第1基板と第2基板とに挟まれた液晶層と、を含んで構成される。また、第1基板の側には第1配向膜(図示されず)が設けられ、第2基板の側には第2配向膜(図示されず)が設けられる。
図1は、第1配向膜の配向軸AL1を実線で示し、第2配向膜の配向軸AL2を点線で示す。液晶パネル102AはTN方式であるので、第1配向膜の配向軸AL1と第2配向膜の配向軸AL2とが直交するように設けられている。なお、液晶パネルにおける配向軸とは、各配向膜における初期配向方向のことであって、無電界時に液晶分子の長軸が向く方向のことを言う。
【0015】
なお本実施形態において、配向軸とは、電圧が印加されない状態で、配向膜の配向規制力を受けて液晶分子の長軸方向が配向する方向を指すものとする。
【0016】
図1は、第1偏光フィルム104、第2偏光フィルム106、及び第3偏光フィルム108の吸収軸を示す。第1偏光フィルム104、第2偏光フィルム106、及び第3偏光フィルム108は、いずれも直線偏光フィルムであり、吸収軸に直交する方向に透過軸を有する。
【0017】
第1偏光フィルム104は、吸収軸AA1が液晶パネル102Aの配向軸AL1と同じ方向(平行)を向くように配置される。また、第3偏光フィルム108は、吸収軸AA3が液晶パネル102Aの配向軸AL2と同じ方向(平行)を向くように配置される。したがって、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1と第3偏光フィルム108の吸収軸AA3とはクロスニコル(直交)に配置されており、この点においては従来の液晶表示装置と同様である。
【0018】
これに対し、本実施形態に係る液晶表示装置100は、第1偏光フィルム104の外側に第2偏光フィルム106がさらに配置された構成を有する。第1偏光フィルム104と第2偏光フィルム106とは平面視で重なるが、吸収軸の方向が一致せず異なるように配置されている。
【0019】
上述のように、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1は、液晶パネル102Aの配向軸AL1に合わせて配置される。これに対し、第2偏光フィルム106の吸収軸AA2は、液晶表示装置100を組み込む機器の仕様に合わせて配置される。
【0020】
図1は、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1が、垂直方向に対して角度θ1傾いている態様を示す。これに対し、第2偏光フィルム106の吸収軸AA2は、垂直方向に対して角度θ2(>θ1)傾いている態様を示す。具体的に、
図1は、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1の角度θ1が垂直方向から45度傾いており、第2偏光フィルム106の吸収軸AA2が垂直方向から90度傾いている一例を示す。
【0021】
偏光フィルムは、入射する光に対し、吸収軸に平行な偏光成分を吸収し、透過軸に平行な偏光成分を透過する特性を有する。したがって、2枚の偏光フィルムの吸収軸が一致していないとき透過率の減少が見込まれる。そこで、
図4に、2枚の偏光フィルムの吸収軸がずれた場合にどの程度透過率が減少するかについてシミュレーションを行った結果を示す。
図4に示すグラフの縦軸に示す透過率は、偏光フィルム1枚のときの透過率を100として規格化した値である。
【0022】
2枚の偏光フィルムの角度差がない場合(Δθ=0)、偏光フィルムが1枚の場合に比べて約7%透過率が低下しており、規格化された透過率は93%となっている。グラフに挿入された図に示すように、一方の偏光フィルムを回転させ、2枚の偏光フィルムの吸収軸の角度差(Δθ)が大きくなると、COS2(Δθ)に比例して透過率が低下する傾向が示されている。吸収軸の角度差Δθ=5の場合の規格化された透過率は93%となり、吸収軸の角度差がΔθ=25の場合の規格化された透過率は76%となり、Δθ=45の場合でも47%が得られている。したがって、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1の角度θ1と、第2偏光フィルム106の吸収軸AA2の角度θ2との角度差Δθ(=θ2-θ1)は、0度より大きく45度以下であれば透過光を得ることができ、5度以上30度以下、とすれば透過光の減衰を30%以下に抑えることができるので好ましい。さらには、角度差Δθを0度より大きく25度以下とすれば、透過光の減衰を7%以上25%以下に抑えることができる。さらには、角度差Δθを0度より大きく15度以下とすれば、透過光の減衰を7%以上15%以下に抑えることができる。さらには、角度差Δθを0度より大きく105度以下とすれば、透過光の減衰を7%以上10%以下に抑えることができる。
【0023】
本実施形態で示すように、液晶パネル102Aの光出射側に設ける偏光フィルムを2枚で構成し、液晶パネル102Aの側に配置される第1偏光フィルム104の吸収軸を液晶パネル102Aの配向軸に合わせて配置し、第1偏光フィルム104の外側に配置される第2偏光フィルム106の吸収軸を、組み込む機器の仕様に合わせて配置することで、液晶パネル102A自体の再設計をしなくても吸収軸の方向を組み込み先の機器の仕様に合わせることができる。この場合において、2枚の偏光フィルムの吸収軸の角度差Δθを0度より大きく45度以下とすることで、液晶パネル102Aから出射される光の減衰を抑えることができる。
【0024】
なお、本実施形態では液晶パネル102AがTN方式である場合を示したが、液晶パネルの方式に限定はなく、IPS方式の液晶パネルを用いる場合でも、同様に適用することができる。
【0025】
[第2実施形態]
図2は、第1実施形態に示す液晶表示装置100に対し、第1偏光フィルム104と第2偏光フィルム106の間に位相差フィルム110を設けた構成を示す。位相差フィルム110は1/2位相差フィルムである。位相差フィルム110の延伸軸EX1は、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1の方向と第2偏光フィルム106の吸収軸AA2の方向とに対して、或いは第1偏光フィルム104の透過軸(吸収軸AA1+90°)の方向と第2偏光フィルム106の透過軸(吸収軸AA2+90°)の方向とに対して、これらの中間の方向を向くように配置されていることが好ましい。なお、
図2においては、位相差フィルム110の延伸軸EX1は、各偏光フィルムの透過軸の中間の方向を向いている。位相差フィルム110の延伸軸EX1は、各偏光フィルムの吸収軸の中間の方向を向けても同様の効果が得られる。すなわち、当該位相差フィルム110の延伸軸EX1は、当該図中に示す方向±90°の方向のものも採用可能である。
【0026】
位相差フィルム110が1/2波長偏光フィルムである場合、入射光の偏光方向が延伸軸EX1に対して角度θxで入射した場合に、その偏光方向を2θx回転させて出射することができる。したがって、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1と第2偏光フィルム106の吸収軸AA2の角度差が大きいときに、位相差フィルム110によって偏光方向を回転させることができるので、2つの吸収軸の角度差を生じていたとしても、透過光が減少を可及的抑制することができる。
【0027】
図4は、吸収軸の方向が異なる2枚の偏光フィルムの間に、位相差フィルム(1/2波長)が設けられたときの規格化された透過率を示す。
図4のグラフに示すように、2枚の偏光フィルムの吸収軸の角度差がΔθである場合、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1と位相差フィルムの延伸軸の角度差ΔβをΔθの1/2とすることで、透過率の減衰を防ぐことができる。
【0028】
本実施形態に示すように、液晶パネル102Aの光出射側に設ける2枚の偏光フィルムの間に位相差フィルムを設けることで、透過光強度の低下を防ぐことができる。特に、2枚の偏光フィルムの吸収軸の角度差が大きい場合に、位相差フィルムを設けることで、透過光強度の低下を大幅に防ぐことができる。
【0029】
[第3実施形態]
図3は、第2本実施形態に示す液晶表示装置100に対して、位相差フィルムの配置が異なる一例を示す。
図3に示すように、液晶パネル102Bの第1面FSの側から、第1偏光フィルム104、第2偏光フィルム106、位相差フィルム111がこの順に配置される。第1偏光フィルム104の吸収軸AA1は、液晶パネル102Bの配向軸AL1と同じ方向(平行)を向くように配置される。第1偏光フィルム104の吸収軸AA1に対し、第2偏光フィルム106の吸収軸AA2はΔθaだけ傾いて配置される。2つの偏光フィルムの角度差Δθaは、前述のように0度より大きく45度以下、好ましくは5度以上25度以下である。
【0030】
第2偏光フィルム106の前面に配置される位相差フィルム111の延伸軸EX1は、第2偏光フィルム106の吸収軸に対してさらに角度差Δθbを有するように配置される。位相差フィルム111の延伸軸EX1の方向は、例えば、第2偏光フィルム106の吸収軸AA2と、液晶表示装置100を組み込む機器の仕様に基づく吸収軸の角度との中間の角度とすることができる。或いは、位相差フィルム111の延伸軸EX1の方向は、例えば、第2偏光フィルム106の透過軸(吸収軸AA2+90°)と、液晶表示装置100を組み込む機器の仕様に基づく透過軸(吸収軸+90°)の角度との中間の角度とすることができる。例えば、角度差Δθbは、45度とすることができる。
【0031】
位相差フィルム111は、1/4波長位相差フィルムであってもよい。この場合、角度差Δθbを45度とすることで、出射光を円偏光にすることができる。それにより、円偏光となる波長以外で、広い波長帯域に亘って透過光の強度を向上させることができる。なお、位相差フィルム111として、1/2波長位相差フィルムのものも採用可能である。
【0032】
なお、
図3では、液晶パネル102BがIPS(In Plane Switching)方式である場合を示す。液晶パネル102Bは透過型であり、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1が液晶パネル102Bの配向軸AL1及び配向軸AL2と同じ方向(平行)に配置され、第1偏光フィルム104の吸収軸AA1と第3偏光フィルム108の吸収軸AA3とはクロスニコル(直交)に配置されている。
【0033】
本実施形態に示すように、第2偏光フィルム106の吸収軸と、液晶表示装置100を組み込む機器の仕様に基づく吸収軸との角度差が大きい場合でも、位相差フィルム111を挟むことで吸収軸の角度差を緩和、機器側の吸収軸に適合させることができる。
【0034】
[第4実施形態]
図5は、液晶表示装置100が組み込まれる機器の一例として、ヘッドマウントディスプレイ200の構成を示す。ヘッドマウントディスプレイ200は、液晶表示装置100、レンズ202、ハーフミラー204、光学フィルム206を含んで構成される。
【0035】
液晶表示装置100は、第1乃至第3実施形態に示す液晶表示装置100が適用される。
図5は、液晶パネル102の光入射側に第3偏光フィルム108が配置され、光出射側に第1偏光フィルム104及び第2偏光フィルム106が配置される例を示すが、第2実施形態及び第3実施形態で説明したように、位相差フィルム110がさらに配置されてもよい。
【0036】
ヘッドマウントディスプレイ200の光学系は、レンズ202を挟むようにハーフミラー204と光学フィルム206が配置される。ヘッドマウントディスプレイ200には、光学フィルム206として1/4波長フィルムと反射偏光フィルムを適宜組み合わせることで、光学フィルム206とハーフミラー204との間で光を反射させて実効的な光路長を長くした光学系が構成されている。液晶表示装置100から出射された所定の偏光軸を有する光は、ハーフミラー204、レンズ202を通過して光学フィルム206で反射される。そして、再びレンズ202に入射しハーフミラー204で反射される。ハーフミラー204による反射光は再びレンズ202に入射し、光学フィルム206を透過して、視認者の側に出射される。
【0037】
ヘッドマウントディスプレイ200では、上記のような光学系を最適化するために、光学フィルム206において必ずしも液晶表示装置100の側と整合しない吸収軸が要求されることがある。このような場合においても、第1乃至第3実施形態に示す液晶表示装置100を用いることで、ヘッドマウントディスプレイ200の側で要求される吸収軸と整合を図ることができ、光源120から出射される光のロスを低減することができる。また、さまざまな仕様のヘッドマウントディスプレイにおいて柔軟に対応することができる。
【符号の説明】
【0038】
100:液晶表示装置、102:液晶パネル、104:第1偏光フィルム、106:第2偏光フィルム、108:第3偏光フィルム、110:位相差フィルム、111:位相差フィルム、120:光源、200:ヘッドマウントディスプレイ、202:レンズ、204:ハーフミラー、206:光学フィルム、AL1、AL2:配向軸、AA1、AA2、AA3:吸収軸、EX1、EX2:延伸軸、FS:第1面、RS:第2面