(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090205
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】染毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20240627BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/22
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205939
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茶原 彩子
(72)【発明者】
【氏名】水野 佑実子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭実
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB012
4C083AB082
4C083AB272
4C083AB282
4C083AB312
4C083AB352
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC182
4C083AC532
4C083AC692
4C083AD042
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD352
4C083AD642
4C083BB43
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE26
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】 従来とは異なる構成により、染毛後の毛髪の洗浄時の手触りを改善することができる技術を提供する。
【解決手段】 染毛剤組成物は、以下の成分(A)~(D)、(A)アミノ変性シリコーン、(B)カチオン性ポリマー、(C)酸化剤、及び、(D)アルカリ剤、を含み、前記(B)成分の電荷密度は、4meq/g未満であり、前記(B)成分の総量は、0.005質量%以上1質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(D)
(A)アミノ変性シリコーン、
(B)カチオン性ポリマー、
(C)酸化剤、及び、
(D)アルカリ剤、
を含み、
前記(B)成分の電荷密度は、4meq/g未満であり、
前記(B)成分の総量は、0.005質量%以上1質量%以下である、染毛剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の総量は、0.1質量%以上2.5質量%以下である、請求項1に記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の25℃における粘度は、700mPa・s以上4000mPa・s以下である、請求項1又は2に記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
前記(A)成分のアミノ当量は、1400g/mol以上5000g/mol以下である、請求項1又は2に記載の染毛剤組成物。
【請求項5】
前記染毛剤組成物は、少なくとも第1剤と第2剤により構成されており、
前記第1剤は、前記(A)成分及び前記(D)成分を含み、
前記第2剤は、前記(C)成分を含み、
前記第1剤と前記第2剤の混合比は、1:2~1:4の範囲内である、請求項1又は2に記載の染毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラー等に使用される染毛剤組成物は、毛髪に対してアルカリ剤及び酸化剤が作用することにより、毛髪のキューティクルを開きメラニンを分解する。このとき、毛髪へのダメージを及ぼすことが知られている。特に、毛髪表面ではキューティクルの剥がれ等により、洗浄時又は仕上がり時に手触りが悪くなり得る。
【0003】
特許文献1には、アミノ変性シリコーンと、高重合シリコーンと、カチオン性ポリマーとを併用することにより、毛髪処理後の洗浄時の手触りを改善する毛髪用処理剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書では、従来とは異なる構成により、染毛後の毛髪の洗浄時の手触りを改善することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意検討した結果、染毛剤組成物に含有されるカチオン性ポリマーの組成及び含有量を調整することにより、洗浄時の毛髪の感触を向上させ得ることを見出した。本明細書は、当該知見に基づき以下の手段を提供する。
【0007】
本明細書によって開示される第1の態様では、染毛剤組成物は、以下の成分(A)~(D)、(A)アミノ変性シリコーン、(B)カチオン性ポリマー、(C)酸化剤、及び、(D)アルカリ剤、を含み、前記(B)成分の電荷密度は、4meq/g未満であり、前記(B)成分の総量は、0.005質量%以上1質量%以下であってもよい。
【0008】
本明細書によって開示される第2の態様では、上記第1の態様において、前記(A)成分の総量は、0.1質量%以上2.5質量%以下であってもよい。
【0009】
本明細書によって開示される第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、前記(A)成分の粘度は、700mPa・s以上4000mPa・s以下であってもよい。
【0010】
本明細書によって開示される第4の態様では、上記第1~第3のいずれかの態様において、前記(A)成分のアミノ当量は、1400g/mol以上5000g/mol以下であってもよい。
【0011】
本明細書によって開示される第5の態様では、上記第1~第4のいずれかの態様において、前記染毛剤組成物は、少なくとも第1剤と第2剤により構成されており、前記第1剤は、前記(A)成分及び前記(D)成分を含み、前記第2剤は、前記(C)成分を含み、前記第1剤と前記第2剤の混合比は、1:2~1:4の範囲内であってもよい。なお、上記第5の態様において、(B)成分は、第1剤と第2剤のいずれか一方又は双方に含まれてよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本明細書に開示する染毛剤組成物(以下、本組成物という。)を具体化した一実施形態について説明する。本組成物は、(A)アミノ変性シリコーン、(B)カチオン性ポリマー、(C)酸化剤、及び(D)アルカリ剤を含有する。一般的に、染毛剤は、染毛効果の持続性、すなわち堅牢度を尺度として、一時染毛剤、半永久染毛剤、又は、永久染毛剤に分類される。本組成物は、いずれの染毛剤として利用されてもよく、例えば、酸化染料を含む酸化染毛剤(即ち永久染毛剤の一例)、直接染料を含むカラートリートメント(即ち半永久染毛剤の一例)等に利用することができる。
【0013】
また、本組成物は、多剤式染毛剤として利用してもよい。例えば、本組成物は、2剤式染毛剤の第1剤及び第2剤により構成することができる。なお、本組成物は、さらに第3剤として過硫酸塩等の造粒物を組み合わせた3剤式染毛剤として利用してもよい。
【0014】
以下に、本組成物に含有される各成分について詳述する。なお、各成分の含有量については、別段の記載がない限り、多剤を混合した時の染毛剤組成物の含有量である。例えば、2剤式の染毛剤においては、第1剤及び第2剤を混合した使用直前の混合物の総量に対する含有量である。
【0015】
[(A)成分:アミノ変性シリコーン]
本組成物の第1剤は、(A)成分としてアミノ変性シリコーンを含有してもよい。ただし、当該第1剤は、(A)成分を含有していなくてもよい。アミノ変性シリコーンは、アミノ基又はアンモニウム基を有するポリシロキサン鎖骨格を有するものであり、側鎖又は末端にアルキル基を有していてもよい。アミノ変性シリコーンとしては、例えば、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。これらの物質は、毛髪の均一な脱色、染色に寄与する。当該物質は、毛髪への残留性が良好であり、毛髪に対して、湿潤時の柔らかさ及び滑らかさという効果、並びにこれらの効果の持続性を与える。当該物質は、毛髪に対して、乾燥時の色の鮮明さ、色の深み、ツヤ、柔らかさ、滑らかさ、ボリューム感、まとまり易さ及び保湿性という効果、並びにこれらの効果の持続性を与える。
【0016】
アミノ変性シリコーンの含有量は、特に限定されるものではないが、本組成物の総量に対して、例えば0.1質量%以上、また例えば0.2質量%以上、また例えば0.3質量%以上とすることができる。また、当該含有量は、同総量に対して、例えば2.5質量%、また例えば2質量%以下、また例えば1.6質量%以下、また例えば1.2質量%以下とすることができる。また、当該含有量は、本組成物の総量に対して、例えば0.1質量%以上2.5質量%以下、また例えば0.2質量%以上2質量%以下、また例えば0.3質量%以上1.6質量%以下とすることができる。当該含有量を0.1質量%以上2.5質量%以下とすることにより、トリートメント効果、特に毛髪のまとまり感を向上させることができる。
【0017】
また、アミノ変性シリコーンが第1剤に含有される場合、アミノ変性シリコーンの含有量は、特に限定されるものではないが、第1剤の総量に対して、例えば0.3質量%以上、また例えば0.5質量%以上、また例えば1質量%以上、また例えば2質量%以上とすることができる。また、当該含有量は、同総量に対して、例えば10質量%以下、また例えば6質量%以下、また例えば3質量%以下とすることができる。また、当該含有量は、第1剤の総量に対して、例えば0.3質量%以上10質量%以下、また例えば0.5質量%以上6質量%以下、また例えば1質量%以上3質量%以下とすることができる。なお、当該含有量は、第1剤と第2剤の混合比に応じて適宜調整することができる。
【0018】
アミノ変性シリコーンの粘度は、特に限定されるものではないが、25℃において、例えば700mPa・s以上、また例えば900mPa・s以上、また例えば1000mPa・s以上、また例えば1500mPa・s以上とすることができる。また、当該粘度は、25℃において、例えば4000mPa・s以下、また例えば3000mPa・s以下、また例えば2000mPa・s以下とすることができる。また、当該粘度は、25℃において、例えば700mPa・s以上4000mPa・s以下、また例えば1000mPa・s以上3000mPa・s以下、また例えば1500mPa・s以上2000mPa・s以下とすることができる。粘度が700mPa・sを下回ると、本組成物を毛髪に塗布したときに液だれし易くなり得るが、粘度が700mPa・s以上であれば、液だれの問題が起こり難い。また、粘度が700mPa・s以上であれば、本組成物の毛髪への残留性が向上し、上述した効果を好適に得ることができる。粘度が4000mPa・sを超えると、本組成物への溶解性が低下し得るが、粘度が4000mPa・s以下であれば、良好な溶解性が実現され得る。
【0019】
アミノ変性シリコーンのアミノ当量は、特に限定されるものではないが、例えば1400g/mol以上、また例えば1700g/mol以上、また例えば2000g/mol以上とすることができる。また、当該アミノ当量は、例えば5000g/mol以下、また例えば4000g/mol以下、また例えば3000g/mol以下とすることができる。また、当該アミノ当量は、例えば1400g/mol以上5000g/mol以下、また例えば1700g/mol以上4000g/mol以下、また例えば2000g/mol以上3000g/mol以下とすることができる。アミノ当量が1400g/molを下回ると、本組成物により処理された毛髪の損傷を回復する効果を得られ難いが、アミノ当量が1400g/mol以上であれば、当該効果が発揮され易い。また、アミノ当量が5000g/molを超えると、本組成物による処理後の毛髪にべたつきが生じ得るが、アミノ当量が5000g/mol以下であれば、洗浄時に良好な手触りを付与し得る。また、アミノ当量が5000g/mol以下であれば、本組成物の調製が容易になり得る。なお、アミノ当量は、アミノ変性シリコーンの重量平均分子量を当該アミノ変性シリコーンに含まれる窒素原子数で割ることにより求めることができる。窒素原子数は元素分析により求めることができる。
【0020】
[(B)成分:カチオン性ポリマー]
本組成物は、第1剤と第2剤のいずれか一方又は双方に、(B)成分として、カチオン性ポリマーを含有してもよい。カチオン性ポリマーは、毛髪の均一な脱色及び染色に寄与する。カチオン性ポリマーは、剤の濯ぎ易さに寄与する。カチオン性ポリマーは、毛髪への残留性が良好であり、毛髪に対して、湿潤時の柔らかさ、滑らかさ及び指の通り易さという効果、ならびにこれらの効果の持続性を与える。カチオン性ポリマーは、乾燥時の色の鮮明さ、色の深み、ツヤ、柔らかさ、滑らかさ、ボリューム感、まとまり易さ及び保湿性という効果、ならびにこれらの効果の持続性を与える。特に、カチオン性ポリマーは、シャンプー時の柔らかさ、滑らかさ、指の通り易さ、及び、剤の濯ぎ易さを付与する。
【0021】
カチオン性ポリマーは、天然及び合成のいずれであってもよい。カチオン性ポリマーは、カチオン基又はカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーであり、全体としてカチオン性となる両性ポリマーを含む。カチオン性ポリマーは、ポリマー鎖の側さにアミノ基又はアンモニウム基を含むか、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のものであってもよい。カチオン性ポリマーとしては、例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム等のカチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。本組成物は、これらのうちの一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。前述の効果及び剤の安定性の観点から、カチオン性ポリマーは、塩化O-[2-ヒドロキシ3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガムであることが好ましい。
【0022】
カチオン性ポリマーの含有量は、特に限定されるものではないが、本組成物の総量に対して、例えば0.005質量%以上、また例えば0.01質量%以上、また例えば0.03質量%以上、また例えば0.05質量%以上とすることができる。また、当該含有量は、同総量に対して、例えば1質量%以下、また例えば0.8質量%以下、また例えば0.5質量%以下とすることができる。また、当該含有量は、本組成物の総量に対して、例えば0.005質量%以上1質量%以下、また例えば0.01質量%以上0.8質量%以下、また例えば0.05質量%以上0.5質量%以下とすることができる。含有量が0.005質量%を下回ると、本組成物により処理された毛髪の損傷を回復する効果を得られ難いが、含有量が0.005質量%以上であれば、当該効果が発揮され易い。また、含有量が1質量%を超えると、本組成物による処理後の毛髪にべたつきが生じ得るが、含有量が1質量%以下であれば、洗浄時に良好な手触りを付与し得る。
【0023】
カチオン性ポリマーが第1剤に含有される場合、カチオン性ポリマーの含有量は、特に限定されるものではないが、第1剤の総量に対して、例えば0.05質量%以上、また例えば0.1質量%以上、また例えば0.2質量%以上、また例えば0.5質量%以上とすることができる。また、当該含有量は、同総量に対して、例えば3質量%以下、また例えば2.5質量%以下、また例えば2質量%以下とすることができる。また、当該含有量は、第1剤の総量に対して、例えば0.05質量%以上3質量%以下、また例えば0.1質量%以上2.5質量%以下、また例えば0.5質量%以上2質量%以下とすることができる。なお、当該含有量は、第1剤と第2剤の混合比に応じて適宜調整することができる。
【0024】
カチオン性ポリマーの電荷密度は、特に限定されるものではないが、例えば4meq/g未満、また例えば3meq/g未満、また例えば2meq/g未満、また例えば1.5meq/g未満とすることができる。当該電荷密度を4meq/g未満とすることにより、毛髪の洗浄時の指通り及び柔らかさを向上させることができる。なお、本明細書でいう電荷密度とは、カチオン性ポリマー1gあたりに含有されるカチオン基のモル数×1000(meq/g)である。カチオン性ポリマーがアニオン基を有する場合には、上記値からアニオン基のモル数×1000を差し引いた値が電荷密度となる。
【0025】
[(C)成分:酸化剤]
本組成物は、第2剤に(C)成分として、酸化剤を含有してもよい。ただし、当該第2剤は、(C)成分を含有していなくてもよい。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性を向上させる。酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。酸化剤は、これらのうち一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。
【0026】
酸化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、本組成物の総量に対して、例えば0.7質量%以上であり、また例えば0.75質量%以上であり、また例えば0.8質量%以上である。当該含有量は、同総量に対して、例えば5.0質量%以下であり、また例えば4.9質量%以下であり、また例えば4.8質量%以下である。
【0027】
また、酸化剤が第2剤に含有される場合、酸化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、第2剤の総量に対して、例えば4質量%以上であり、また例えば4.2質量%以上であり、また例えば4.5質量%以上である。また、第2剤中における酸化剤の含有量は、例えば6質量%以下であり、また例えば5.8質量%以下であり、また例えば5.5質量%以下である。
【0028】
[(D)成分:アルカリ剤]
本組成物は、第1剤に(D)成分として、アルカリ剤を含有してもよい。ただし、当該第1剤は、(D)成分を含有していなくてもよい。アルカリ剤は、酸化剤の作用を促進させ、毛髪の脱色効果及び又は脱染効果の向上に寄与する。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウム等が挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン、1-アミノ-2-プロパノール(MIPA)等が挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、リジン等が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ剤は、これらのうち一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。これらの中では、毛髪の明度を向上させる効果に優れる観点から、アンモニア、モノエタノールアミン、又は、アンモニウム塩が好ましく適用される。
【0029】
アルカリ剤の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、第1剤と第2剤が混合された混合物中において、例えばpHが7~12の範囲となる量で配合することができ、また例えばpH9~12の範囲となる量で配合することができる。混合物のpHを7以上とすることにより、第2剤に含まれる酸化剤の作用を促進することができる。また、混合物のpHを12以下とすることにより、本組成物の塗布による毛髪の損傷を抑制することができる。なお、pHは、上記混合物を水に10質量%の濃度で溶解した際の25℃におけるpHを測定するものとする。
【0030】
[その他の成分]
本組成物は、上記各成分以外にも、必要に応じて以下の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、酸化染料、直接染料、可溶化剤、無機物系高分子、上記以外の油性成分、多価アルコール、界面活性剤、pH調整剤、糖、防腐剤、安定剤、動植物又は微生物の抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、キレート化剤、紫外線吸収剤、冷感剤等が挙げられる。
【0031】
酸化染料は、酸化剤により酸化重合して発色する染料である。酸化染料には、自身の酸化により発色する染料中間体と、染料中間体との組み合わせにより種々の色調となるカプラーと、が存在する。
【0032】
染料中間体としては、主としてo-又はp-のフェニレンジアミン類あるいはアミノフェノール類である染料前駆物質が挙げられ、通常、それ自体は無色か又は弱く着色した化合物である。具体的には、p-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン(p-トルイレンジアミン)、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール及びそれらの塩等が挙げられる。
【0033】
カプラーとしては、主としてm-のジアミン類、アミノフェノール類又はジフェノール類が挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5-アミノ-o-クレゾール、m-アミノフェノール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、トルエン-3,4-ジアミン、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’-イミノジフェニール、1,5-ジヒドロキシナフタレン及びタンニン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
【0034】
これらの酸化染料は、所望する色調に応じて一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。本組成物に対する酸化染料の含有量は、目的とする染毛色の色調や濃淡に応じて適宜決定すればよく、特に制限されない。
【0035】
直接染料は、色を有する化合物であり、毛髪に付着、又は浸透して染毛する染料であれば特に制限されるものではない。例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料などが挙げられる。これらの直接染料は、所望する毛髪の色調に応じて一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。
【0036】
酸性染料としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色207号、橙色402号、緑色3号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、黒色401号、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー62、アシッドブラック52、アシッドブラウン13、アシッドグリーン50、アシッドオレンジ6、アシッドレッド14、アシッドレッド35、アシッドレッド73、アシッドレッド184、ブリリアントブラック1等が挙げられる。
【0037】
塩基性染料(カチオン染料)としては、例えば、赤色213号、赤色214号、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 75、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Brown 1、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 2、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet 11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57等が挙げられる。
【0038】
天然染料としては、例えば、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素、ヘナなどが挙げられる。
【0039】
ニトロ染料としては、例えば、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩、HC Blue No.2、HC Blue No.4、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.8、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Blue No.14、HC Brown No.1、HC Brown No.2、HC Green No.1、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Orange No.5、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.8、HC Red No.9、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.7、HC Yellow No.8、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等が挙げられる。
【0040】
HC染料としては、例えば、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Blue No.16、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15などが挙げられる。
【0041】
分散染料としては、例えば、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15などが挙げられる。
【0042】
本組成物における直接染料の含有量は、目的とする染毛色の色調や濃淡に応じて適宜決定すればよく、特に制限されない。
【0043】
可溶化剤は、例えば、本組成物を液状にする場合に配合される。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒(即ち溶剤)が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、フェノキシイソプロパノール、2-ベンジルオキシエタノール、N-アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が挙げられる。可溶化剤は、これらのうち、一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。これらの中では、本組成物中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく適用される。溶媒として水が用いられる場合、本組成物中における水の含有量(例えば使用時の含有量)は、例えば40質量%以上であり、また例えば50質量%以上である。
【0044】
無機物系高分子としては、例えばベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。無機物系高分子は、これらののうち、一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。
【0045】
上記以外の油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、本組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有してもよい。油性成分としては、例えば油脂、ロウ類、炭化水素、エステル油、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、上記以外のシリコーン等が挙げられる。
【0046】
油脂としては、例えばアルガニアスピノサ核油、オリーブ油(オリブ油)、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油、杏仁油、パーシック油、桃仁油、パーム油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類の具体例としては、例えばラノリン、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油等が挙げられる。
【0047】
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、合成スクワラン等が挙げられる。
【0048】
エステル油としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリス
チン酸イソトリデシル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10~30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2-エチルヘキサン酸セチル等が挙げられる。
【0049】
高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2-ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール(セテアリルアルコール)、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0050】
高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0051】
上記以外のシリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。シリコーンは、これらののうち、一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。なお、本組成物に上記シリコーンを含有させる場合、低重合シリコーン(例えば重合度650未満)であることが好ましい。高重合シリコーンは、べたつき等の過度のコンディショニングが生じ易く、また生産洗浄性、コスト、安定性が悪化する可能性があるからである。
【0052】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、グリセリン等が挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。多価アルコールは、これらのうち、一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。
【0053】
界面活性剤は、乳化剤又は各成分を可溶化させるための成分として本組成物を使用時に乳化又は可溶化させる。界面活性剤は、粘度を調整したり、粘度安定性を向上させたりする。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0054】
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N-アルキロイルメチルタウリン塩、及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンの具体例としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。より具体的には、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えばPOEラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩の具体例として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキル硫酸塩の誘導体の具体例として、例えばPOEラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。スルホコハク酸エステルの具体例として、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等が挙げられる。N-アルキロイルメチルタウリン塩の具体例として、例えばN-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0055】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。
【0056】
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0057】
非イオン性界面活性剤としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル(ベヘネス)、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
【0058】
エステル型非イオン性界面活性剤としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、POE還元ラノリン等が挙げられる。
【0059】
アルキルグルコシドとしては、例えばアルキル(炭素数8~16)グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。界面活性剤は、これらのうち、一種のみを含有してもよいし、二種以上の組み合わせを含有してもよい。
【0060】
pH調整剤は、本組成物のpHを調整するために配合され得る。pH調整剤としては、無機酸、有機酸、それらの塩等が挙げられる。無機酸の具体例としては、例えばリン酸、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。さらにリン酸の具体例としては、例えばオルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等が含まれる。有機酸の具体例としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸等が挙げられる。塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0061】
糖の具体例としては、例えばグルコース、ガラクトース等の単糖、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロース等の二糖、糖アルコール等が挙げられる。
【0062】
防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)等が挙げられる。
【0063】
安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。
【0064】
動植物又は微生物の抽出物の具体例としては、例えばサピンヅストリホリアツス果実エキス、加水分解酵母エキス等が挙げられる。
【0065】
酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸類及び亜硫酸塩等が挙げられる。
【0066】
キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類等が挙げられる。
【0067】
冷感剤の具体例としては、例えば1-メントール等が挙げられる。
【0068】
本組成物の剤型は、特に限定されず、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が、25℃における剤型として挙げられる。また、エアゾール、ノンエアゾール等とすることもでき、ノンエアゾールの場合、更にスクイズフォーマー式及びポンプフォーマー式等の種々の形態をとることができる。また、エアゾールの場合、公知の噴射剤及び発泡剤を適用することができる。噴射剤又は発泡剤の具体例としては、例えば液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、窒素ガス、炭酸ガス等が挙げられる。また、保存安定性の向上の観点から、本組成物を固形状成分と液状成分とに分けて保存し、使用直前にそれらを混合するように構成してもよい。
【0069】
[第1剤と第2剤の混合比]
本組成物が第1剤と第2剤とにより構成される場合、使用時における第1剤と第2剤の混合比は、混合物中の各成分の濃度、混合性等を考慮して適宜設定される。混合比は、例えば、質量比で1:2~1:4の範囲内であり、また例えば1:2~1:3の範囲内であり、また例えば1:3~1:4の範囲内である。本組成物では、アミノ変性シリコーン及びカチオン性ポリマーが正電荷部分を有する。この正電荷部分が、損傷により負電荷を帯びた毛髪表面に結合することにより、洗浄時の手触りが向上するものと考えられる。したがって、混合物中において、毛髪の損傷を引き起こし得る酸化剤を含有する第2剤の比率が比較的大きい場合であっても、アミノ変性シリコーン及びカチオン性ポリマーの上記した効果により、毛髪の損傷を効果的に低減することができる。
【0070】
次に、本組成物の使用方法について説明する。本組成物が第1剤及び第2剤により構成される場合、第1剤及び第2剤は、それぞれ個別の容器に収容された状態で用時まで保存される。用時には、使用者がアプリケータ内に第1剤及び第2剤を投入して、振盪などにより混合する。これにより、アプリケータ内において混合物が調整されて、調整された混合物がアプリケータ内の容器部に収容される。
【0071】
次いで、アプリケータ内に収容された混合物を毛髪に塗布する。アプリケータ内に収容された混合物は、例えば容器部を押圧するなどの吐出部に応じた所定の操作を行うことにより、吐出部に設けられた吐出路を通り、吐出口から吐出される。混合物の毛髪への塗布は、公知の方法、例えば吐出された混合物を薄手の手袋をした手、コーム又は刷毛に付着させて毛髪に塗布する方法、コーム形状の吐出部を用いてコーミングしながら、混合物を吐出させて毛髪に塗布する方法を適用することができる。
【0072】
混合物が毛髪に塗布された後、所定時間経過後、常法に従い毛髪に塗布した混合物を水ですすぐ工程が行われる。次に、好ましくは常法に従いシャンプー用組成物を使用して、毛髪を洗浄し、水で洗い流す工程が行われる。次に、好ましくは常法に従いトリートメント用組成物を使用して、毛髪をトリートメントし、水で洗い流す工程が行われる。トリートメント用組成物は、毛髪のトリートメント用に適用されるものであれば特に限定されず、公知のトリートメント用組成物を適用することができる。次に、好ましくは常法に従い毛髪を乾燥する工程が行われる。
【実施例0073】
次に、本組成物について実施例及び比較例により具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。
【0074】
まず、表1~表3に示す各成分を含有する染毛剤組成物としての酸化染毛剤の第1剤及び第2剤をそれぞれ調整した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は、当該欄の成分の剤中の含有量を示し、その単位は質量%である。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
表中の表記について以下に説明する。
(A-1):アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(粘度1000mPa・s、アミノ当量1700g/mol)
(A-2):アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(粘度3000mPa・s、アミノ当量1700g/mol)
(A-3):アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(粘度750mPa・s、アミノ当量1500g/mol)
(A-4):アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(粘度900mPa・s、アミノ当量1555g/mol)
(A-5):アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(粘度2000mPa・s、アミノ当量1273g/mol)
(A-6):アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(粘度1500mPa・s、アミノ当量3800g/mol)
(A-7):アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(粘度390mPa・s、アミノ当量5700g/mol)
(A-8):ビス(ヒドロキシ/メトキシ)アモジメチコン(粘度5720mPa・s、アミノ当量7000g/mol)
(B-1):塩化O-[2-ヒドロキシ3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(電荷密度1.2meq/g)
(B-2):塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム(電荷密度2.0meq/g未満)
(B-3):40質量%ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液(電荷密度7.9meq/g)
なお、アミノ変性シリコーンの粘度は、B型粘度計VISCOMETER(東機産業社製)により、25℃及び1分間の条件で測定した。
【0079】
そして、第1剤と第2剤とを、表1及び表2に記載の混合比で混合して各例の酸化染毛剤を調整した。得られた酸化染毛剤を人毛毛束に対して塗布し、30℃にて30分放置した。次に、毛束に付着した酸化染毛剤を水洗した後、毛束にシャンプー(シャンプー用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントシャンプー)を1回、及びトリートメント(トリートメント用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントリンス)を1回施した。なお、シャンプー用組成物及びトリートメント用組成物は、それぞれ処理毎に水で洗い流した。染毛処理時において、毛束に付着した酸化染毛剤を水洗する際の毛束の感触、シャンプーを洗い流した後の毛束の感触、及び、トリートメントを洗い流した後の毛束の感触について、下記に示す方法に従い評価を行った。
【0080】
(水洗時の感触)
毛束に付着した酸化染毛剤を水ですすぐ時の毛束の感触について、パネラー10名が毛束の感触を、以下の基準で判断した。毛束の感触が、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を表1及び表2に示す。
【0081】
(シャンプー洗い流し後の感触)
シャンプーを施した後、濡れた状態の毛束の感触について、パネラー10名が毛束の感触を、以下の基準で判断した。毛束の感触が、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を表1及び表2に示す。
【0082】
(トリートメント洗い流し後の感触)
トリートメントを施した後、濡れた状態の毛束の感触について、パネラー10名が毛束の感触を、以下の基準で判断した。毛束の感触が、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を表1及び表2に示す。
【0083】
表1及び表2に示されるように、(A)~(D)成分を含有する組成物において、(B)成分を0.01質量%以上1質量%以下含有し、(B)成分の電荷密度が4meq/g未満である各実施例は、各評価項目について良好な結果であることが確認された。
【0084】
表1に示される実施例9~11では、(D)成分の寄与について検討を行った。炭酸塩を用いた実施例11では、実施例9及び10と比較して、評価がやや劣る結果となった。これは、炭酸塩により、毛髪表面がさらに損傷を受けたためであると考えられる。しかしながら、実施例11の評価は、「良好」又は「可」であり、比較例よりも手触りが向上している。これは、(A)成分及び(B)成分が正電荷部分を有するためである。当該正電荷部分が、損傷した毛髪表面に結合することにより、洗浄時の手触りが向上したものと考えられる。このように、実施例11では、(D)成分として炭酸塩を用いた場合にも、好適な効果を得られることがわかった。
【0085】
また、表1の実施例12~17では、(A)成分の含有量について検討を行い、いずれも良好な結果を得られた。その中でも、実施例15~17に示されるように、ある程度の(A)成分を含有させることにより、シャンプー及びトリートメント洗い流し後の感触が向上する結果となった。
【0086】
また、表2に示されるように、(A)成分の粘度が700mPa・s未満且つアミノ当量が5000g/molを超える実施例21、及び、(A)成分の粘度が4000mPa・sを超える且つアミノ当量が5000g/molを超える実施例23では、(A)成分の粘度が700mPa・s以上4000mPa・s以下、又は、アミノ当量が1400g/mol以上5000g/mol以下である実施例18~20、22に比べて評価がやや劣る結果となった。すなわち、(A)成分の粘度やアミノ当量が手触りの改善に寄与していることが確認された。ただし、実施例21及び23の評価は、いずれも「可」であり、比較例よりも手触りが向上している結果が得られた。
【0087】
また、表2に示されるように、同じ組成を有する第1剤及び第2剤を用いて、第1剤と第2剤の混合比のみを変更した実施例24~27に関しては、混合比1:1~1:4(実施例24~26)である場合は良好な結果を得られた。これは、本組成物に含有される(A)成分及び(B)成分が正電荷部分を有しているためであると考えられる。この(A)成分及び(B)成分由来の正電荷部分が、損傷により負電荷を帯びた毛髪表面に結合することにより、洗浄時の手触りを効果的に向上させる。すなわち、混合物中において、毛髪の損傷を引き起こし得る酸化剤を含有する第2剤の比率が比較的大きい場合であっても、(A)成分や(B)成分の上記した効果により、毛髪の損傷を効果的に低減することができるため、手触りが向上したものと考えられる。なお、酸化剤を含有する第2剤の割合が極めて大きい実施例27(混合比1:5)では、他の実施例と比較して評価がやや劣る結果となった。ただし、実施例27の評価は、いずれも「可」であり、比較例よりも手触りが向上している結果が得られた。
【0088】
なお、表2に示されるように、(B)成分の含有量0.01質量%未満である比較例1(0.0075質量%)は、特にトリートメント洗い流し後の評価が各実施例に比べて顕著に低いことが確認された。これは、(B)成分の含有量が少なく、(B)成分による効果を十分に得られなかったためである。また、(B)成分の含有量が1質量%を超える比較例2(1.25質量%)は、特に水洗時及びシャンプー洗い流し後の評価において良好な結果を得られなかった。これは、コンディショニング成分として機能する(B)成分を過剰に含有したことにより、べたつきが生じたためである。また、(B)成分の電荷密度が4meq/g以上(7.9meq/g)である比較例3では、水洗時は優れた評価を得られたものの、シャンプー及びトリートメント洗い流し後の評価が各実施例と比較して低くなる結果となった。これは、毛髪表面に多くのカチオン性ポリマーが残留し、シャンプー用組成物及びトリートメント組成物による洗浄効果が得られ難かったためであると考えられる。
本組成物は、ヒトの頭髪、髭、眉毛、すね毛等の体毛を染色するための染毛剤組成物として利用することができる。その他、ペット等の動物の体毛を染色するために利用してもよい。また、本組成物は、美容室用又は理容室用の染毛剤組成物、セルフカラーリング用の染毛剤組成物に利用することができる。
本組成物は、(A)成分に加えて、所定の特性を有する(B)成分を所定量配合することにより、染毛後の毛髪の洗浄時の手触りを改善することができるという効果を奏する。