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特開2024-90211断熱材のセット及び断熱材が充填された建築物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090211
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】断熱材のセット及び断熱材が充填された建築物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20240627BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
E04B1/80 100M
E04B1/76 400C
E04B1/76 500F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205951
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】390032090
【氏名又は名称】マグ・イゾベール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 幹生
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA03
2E001GA12
2E001GA42
2E001HA32
2E001HA33
2E001HD01
(57)【要約】
【課題】建築物の様々な充填空間への断熱材の施工を容易とする。
【解決手段】建築物に充填される断熱材のセット。第1の幅を有する第1の断熱材と、第1の幅の3分の1以下である第2の幅を有する第2の断熱材と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に充填される断熱材のセットであって、
第1の幅を有する第1の断熱材と、
前記第1の幅の3分の1以下である第2の幅を有する第2の断熱材と、
を含む、断熱材のセット。
【請求項2】
前記第1の断熱材及び前記第2の断熱材のそれぞれは、長手方向に延びる通路を有することを特徴とする、請求項1に記載の断熱材のセット。
【請求項3】
前記第1の断熱材と前記第2の断熱材とを幅方向に並べた際に、前記第1の断熱材が有する通路と前記第2の断熱材が有する通路とが連続していることを特徴とする、請求項2に記載の断熱材のセット。
【請求項4】
前記通路は、前記第1の断熱材及び前記第2の断熱材の表面に設けられた溝部であることを特徴とする、請求項3に記載の断熱材のセット。
【請求項5】
前記第1の断熱材の主面にはフィルムが貼り付けられており、
前記フィルムは、前記第1の断熱材の幅方向の端部を超えて延びる延長部を有し、
前記フィルムの前記幅方向の一方の端部を超えて延びる前記延長部の長さが、前記フィルムの前記幅方向の他方の端部を超えて延びる前記延長部の長さよりも長いことを特徴とする、請求項1に記載の断熱材のセット。
【請求項6】
前記フィルムの前記幅方向の他方の端部における前記延長部の長さが、前記第2の幅よりも長いことを特徴とする、請求項5に記載の断熱材のセット。
【請求項7】
断熱材が充填された建築物の製造方法であって、
前記建築物の第1の断熱材充填空間に、第1の幅を有する第1の断熱材を単独で充填する工程と、
前記建築物の第2の断熱材充填空間に、前記第1の断熱材と、前記第1の幅の3分の1以下である第2の幅を有する第2の断熱材と、を幅方向に並べて充填する工程と、
を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項8】
前記第1の断熱材充填空間及び前記第2の断熱材充填空間は、柱の間、土台の間、又は梁の間であることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材のセット及び断熱材が充填された建築物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の断熱性を高めることは、快適な室内環境を実現するため、及び冷暖房のエネルギー消費を低減するために重要である。このために、建築物の壁、土台、及び天井等には断熱材が設けられることが多い。
【0003】
一般に、断熱材は、建築物の構造体の間に充填できるように、予め所定寸法の板状に加工されている。一方で、断熱材が充填される空間のサイズは様々である。例えば、尺モジュールの木造住宅においては、柱と間柱の間は395mm程度、間柱と間柱の間は430mm程度である。ここで、間柱と間柱の間への充填用の寸法を有する断熱材を、サイズが35mmも異なる柱と間柱の間に圧縮して充填することは、断熱性能が低下するために望ましくない。このため、従来は、それぞれの充填箇所に応じた寸法を有する断熱材が製造され、建築現場に供給されていた。あるいは、大きい寸法を有する断熱材が建築現場において切断され、切断された断熱材がより小さい空間に充填されていた。例えば、特許文献1は、断熱材に複数の溝部を形成することで、断熱材の切断を容易にすることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-029998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、様々な寸法を有する断熱材を用いる場合、建築現場において用いられる断熱材の種類が増える。このため、より広い断熱材の保管場所を確保することが求められる。また、断熱材を切断する場合、断熱材を切断するという煩雑な作業が必要となる。さらに、切断片を産業廃棄物として廃棄する必要があるため、経済的負担が生じていた。
【0006】
本発明は、建築物の様々な充填空間への断熱材の施工を容易とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る断熱材のセットは、
建築物に充填される断熱材のセットであって、
第1の幅を有する第1の断熱材と、
前記第1の幅の3分の1以下である第2の幅を有する第2の断熱材と、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
建築物の様々な充填空間への断熱材の施工を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る断熱材のセットを示す模式図。
図2】一実施形態に係る断熱材の施工方法を示す模式図。
図3】一実施形態に係る断熱材の表面に設けられた溝部を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
一実施形態に係る断熱材のセットは、第1の断熱材と、第2の断熱材と、を備える。図1は、第1の断熱材100と、第2の断熱材150と、の模式図を示す。図1に示すように、第1の断熱材100の種類は特に限定されない。例えば、第1の断熱材100は繊維系断熱材、発泡プラスチック系断熱材等であり得る。一実施形態において、第1の断熱材100は繊維系断熱材である。
【0012】
繊維系断熱材に含まれる繊維は、例えば、金属酸化物及び複合金属酸化物等を含む無機繊維である。一例として、無機繊維は、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、アルカリ金属、アルカリ土類、及びその他の金属のうちの少なくとも1種を含む酸化物を含む。繊維系断熱材の例としては、グラスウール及びロックウール等が挙げられる。一実施形態において、グラスウールは、遠心法で製造されることができる。例えば、ガラス繊維の原料が、側面に小孔を多数有するスピナーに投入され、熱溶融される。そして、スピナーを高速回転させることで、ガラスは繊維状態で吹き出される。吹き出されたガラスが空冷されることで、ガラス繊維が絡み合っているグラスウールが製造される。
【0013】
無機繊維の平均繊維径は、一実施形態において1μm以上、別の実施形態において2μm以上、さらに別の実施形態において3μm以上とすることができ、一実施形態において30μm以下、別の実施形態において20μm以下、さらに別の実施形態において10μm以下、さらに別の実施形態において5μm以下とすることができる。
【0014】
また、繊維系断熱材は、バインダ樹脂により繊維同士が結合された構造を有することができる。バインダ樹脂は、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、又はポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。また、ホルムアルデヒドを実質的に放出しない、天然由来の材料を主成分とするバインダが使用されてもよい。
【0015】
繊維系断熱材の総重量に対するバインダ樹脂の含有率は、一実施形態において1重量%以上、別の実施形態において3重量%以上、さらなる実施形態において5重量%以上、さらなる実施形態において7重量%以上とすることができ、また、一実施形態において20重量%以下、別の実施形態において15重量%以下、さらなる実施形態において12重量%以とすることができる。
【0016】
繊維系断熱材の密度は、一実施形態において8kg/m以上、別の実施形態において10kg/m以上、さらなる実施形態において16kg/m以上とすることができ、一実施形態において100kg/m以下、別の実施形態において80kg/m以下、さらなる実施形態において60kg/m以下、さらなる実施形態において32kg/m以下とすることができる。
【0017】
第1の断熱材100は、予め所定寸法の板状に加工されている。第1の断熱材100の寸法は特に限定されないが、建築物における充填箇所のサイズに合わせて選択することができる。例えば、尺モジュールの木造住宅においては、柱と間柱との間の距離は395mm程度である。したがって、建築物の壁に充填される、すなわち柱と間柱との間に充填される第1の断熱材100の幅Wは、例えば390mm以上400mm未満であってもよい。第1の断熱材100の幅Wは、390mm、395mm、又は400mmであってもよい。
【0018】
図2は、本実施形態に係る断熱材のセットの、建築物の壁への施工方法を示す模式図である。上記のような第1の断熱材100は、図2に示されるように、柱210と間柱220との間に充填することができる。
【0019】
本実施形態においては、このような第1の断熱材100を、間柱220と間柱230との間にも充填することができる。上記のように、尺モジュールの木造住宅においては、間柱と間柱との距離は430mm程度である。このため、第1の断熱材100の大きさは、間柱220と間柱230との間に充填するためには不十分である。一方で本実施形態においては、図2に示されるさように、間柱220と間柱230との間には、第1の断熱材100と第2の断熱材150との組み合わせが充填される。
【0020】
このように、第1の断熱材100は異なる寸法を有する様々な空間に充填することができる。この観点から、第1の断熱材100は、複数種類の空間のうち、最も小さい寸法を有する空間に適合する形状を有していてもよい。例えば、第1の断熱材100の幅は、複数種類の空間がそれぞれ有する幅のうち、最も小さい幅(例えば柱と間柱との間の距離)に略一致していてもよい。すなわち、第1の断熱材100の幅は、1つの第1の断熱材100が第1の断熱材充填空間(例えば柱と間柱との間)を満たすことができるように選択することができる。例えば、第1の断熱材100の幅は、第1の断熱材充填空間の幅と略一致していてよい。本明細書において、2つの値が略一致するとは、値の差が10mm以内であることを意味する。2つの値が略一致することが、値の差が5mm以内であることを意味してもよい。
【0021】
第2の断熱材150を構成する材料は、第1の断熱材100を構成する材料と同様であってもよい。また、第2の断熱材150も、予め所定寸法の形状を有するように加工されている。
【0022】
第2の断熱材150の形状は、第1の断熱材100の形状とは異なっている。一実施形態において、第1の断熱材100は第1の幅Wを有している。また、第2の断熱材150は第2の幅Wを有している。ここで、第2の幅Wは、第1の幅Wの3分の1以下である。第2の幅Wは、第1の幅Wの4分の1以下、5分の1以下、6分の1以下、7分の1以下、8分の1以下、9分の1以下、又は10分の1以下であってもよい。
【0023】
上記のように、第2の断熱材150は第1の断熱材100と組み合わせて空間に充填される。この観点から、第1の断熱材100と第2の断熱材150とは、並べた場合に断熱材を充填する空間に適合する形状を有していてもよい。例えば、第1の断熱材100の幅第1の幅Wと第2の断熱材150の第2の幅Wとの和が、断熱材を充填する空間(例えば間柱同士の間)の幅に略一致していてもよい。
【0024】
一方で、第1の断熱材100の高さHは、第2の断熱材150の高さHと同じであってもよい。また、第1の断熱材100の厚さDは、第2の断熱材150の厚さDと同じであってもよい。このように、所望の空間への充填を容易とするために、第1の断熱材100の寸法と第2の断熱材150の寸法とは、幅Wのみが異なっていてもよい。
【0025】
第2の断熱材150の具体的な寸法は特に限定されないが、建築物における充填箇所のサイズに合わせて選択することができる。例えば、第1の断熱材100と第2の断熱材150との組み合わせを柱と間柱との間に充填するために、第2の断熱材150の幅Wは、例えば30mm以上40mm未満であってもい。第2の断熱材150の幅Wは、30mm、35mm、又は40mmであってもよい。
【0026】
第1の断熱材100及び第2の断熱材150の高さHも特に限定されず、建築物における充填箇所のサイズに合わせて選択することができる。例えば、第1の断熱材100及び第2の断熱材150の高さHは、500mm以上4000mm以下であってもよい。また、第1の断熱材100及び第2の断熱材150の高さHは、2700mm以上3000mm以下であってもよい。第1の断熱材100及び第2の断熱材150の高さHの具体例としては、1370mm、2350mm、2740mm、又は2880mmなどが挙げられる。
【0027】
第1の断熱材100及び第2の断熱材150の厚さDも特に限定されず、建築物における充填箇所のサイズに合わせて選択することができる。例えば、第1の断熱材100及び第2の断熱材150の厚さDは、50mm以上200mm以下であってもよい。第1の断熱材100及び第2の断熱材150の厚さDの具体例としては、75mm、89mm、90mm、105mm、及び155mmなどが挙げられる。
【0028】
ここまで、第1の断熱材100及び第2の断熱材150が有する寸法について、主に断熱材を尺モジュールの軸組工法による木造住宅の壁に充填する場合について説明した。しかしながら、第1の断熱材100及び第2の断熱材150の寸法は、モジュール(例えば尺モジュール又はメーターモジュール)及び工法(例えば軸組工法又は枠組工法)に応じて選択することができる。また、第1の断熱材100及び第2の断熱材150の寸法は充填空間に応じて選択することができる。第1の断熱材100及び第2の断熱材150が充填される充填空間としては、柱の間(壁)、土台の間(床)、及び梁の間(天井)等が挙げられる。
【0029】
一例として、断熱材を床に充填する場合について説明する。土台と大引の間の距離は、大引同士の間の距離よりも短いことが多い。このため、第1の断熱材100の幅Wが、土台と大引との間の距離に略一致していてもよい。また、第1の断熱材100の第1の幅Wと第2の断熱材150の第2の幅Wとの合計が、大引同士の間の距離と略一致していてもよい。
【0030】
図1に示すように、第1の断熱材100にはフィルム120が貼り付けられていてもよい。第1の断熱材100は、フィルム120が室内側を向くように建築物の所望の空間(例えば壁等)に充填することができる。このようなフィルム120は、室内と第1の断熱材100との間の空気の流れ及び水分の移動を妨げることができる。
【0031】
一実施形態において、図1に示すように、フィルム120は第1の断熱材100の主面(厚さD方向の一方の端面)に貼り付けられている。また、フィルム120は、第1の断熱材100の幅方向の第1の端部を超えて延びる延長部121と、第1の断熱材100の幅方向の第2の端部を超えて延びる延長部122と、を有している。このような延長部を介して、フィルム120を柱などの構造物に固定することができる。ここで、第1の断熱材100の第1の端部は、第1の断熱材100の第2の端部とは反対の端部である。また、延長部121は第1の断熱材100の幅方向の長さE1を有し、延長部122は第1の断熱材100の幅方向の長さE2を有している。また、図1に示すように、フィルム120は、第1の断熱材100の高さ方向の第1の端部を超えて延びる延長部と、第1の断熱材100の高さ方向の第2の端部を超えて延びる延長部と、を有していてもよい。このように、フィルム120は、第1の断熱材100の主面を覆うように設けられていてもよい。
【0032】
フィルム120の材料は特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂が挙げられる。フィルム120の厚さは特に限定されないが、例えば10μm以上又は15μm以上であってもよく、60μm以下又は50μm以下であってもよい。
【0033】
ここで、延長部121の幅方向の長さE1と比較して、延長部122の幅方向の長さE2は長くてもよい。また、延長部122の幅方向の長さE2は、第2の断熱材150の幅Wよりも長くてもよい。さらに、延長部122の幅方向の長さE2は、延長部121の幅方向の長さE1と第2の断熱材150の幅Wとの和以上であってもよく、延長部121の幅方向の長さE1と第2の断熱材150の幅Wとの和に略一致していてもよい。このような構成によれば、第1の断熱材100に貼り付けられたフィルム120によって、より具体的には延長部122によって、第1の断熱材100と並ぶように配置された第2の断熱材150を覆うことができる。このため、第2の断熱材150にはフィルムが貼り付けられていなくてもよい。また、このような構成によれば、第1の断熱材100と第2の断熱材150との組み合わせを断熱材充填空間に充填し、さらにフィルムで覆うことが容易になる。もっとも、第2の断熱材150に第1の断熱材100と同様のフィルムが貼り付けられていてもよい。
【0034】
第1の断熱材100及び第2の断熱材150のそれぞれは、長手方向に延びる通路を有していてもよい。建築物の配線又は配管等がこのような通路の内部を通ることができる点で、通路を設けることは有利である。このような通路は、例えば第1の断熱材100及び第2の断熱材150の表面に設けられた溝部であってもよい。
【0035】
図3は、このような溝部300が設けられた第1の断熱材100及び第2の断熱材150の模式図である。第1の断熱材100及び第2の断熱材150における溝部300の位置が示されている。図3の例において、溝部300は第1の断熱材100及び第2の断熱材150の主面(厚さD方向の一方の端面)に設けられている。第1の断熱材100にフィルム120が貼り付けられている場合、このような溝部300は、第1の断熱材100のフィルム120が貼り付けられている表面に設けられていてもよい。もっとも、溝部300は、第1の断熱材100及び第2の断熱材150の別の面に設けられていてもよい。
【0036】
溝部300の形状は特に限定されない。例えば、溝部は円柱形状、V字形状、又はテーパー形状を有していてもよい。また、溝部300の位置も特に限定されない。図3に示されるように、溝部300は第1の断熱材100及び第2の断熱材150の幅方向に延びていてもよい。また、溝部300は第1の断熱材100及び第2の断熱材150の高さ方向に延びていてもよい。さらに、格子状の溝部300が設けられていてもよい。
【0037】
一実施形態においては、第1の断熱材100と第2の断熱材150とを幅方向に並べた際に、第1の断熱材100が有する通路と第2の断熱材150が有する通路とが連続するように、通路が設けられている。第1の断熱材100が有する通路の、第1の断熱材100の幅方向の第1の端部における高さ方向の位置(例えば下端からの距離)と、第2の断熱材150が有する通路の、第2の断熱材150の幅方向の第1の端部における高さ方向の位置(例えば下端からの距離)と、は略一致している。このような構成によれば、第1の断熱材100の第1の端部と、第2の断熱材150の第1の端部とが接触するように、第1の断熱材100と第2の断熱材150とを充填した場合に、配線又は配管等が、通路から出ることなく、第1の断熱材100及び第2の断熱材150を通ることができる。例えば、図3の例においては、第1の断熱材100が有する溝部300と第2の断熱材150が有する溝部300とが充填時に連続するように、溝部300が設けられている。
【0038】
さらに、第1の断熱材100が有する通路の、第1の断熱材100の幅方向の第1の端部とは反対の第2の端部における高さ方向の位置と、第2の断熱材150が有する通路の、第2の断熱材150の幅方向の第1の端部とは反対の第2の端部における高さ方向の位置と、は略一致していてもよい。このような構成によれば、第1の断熱材100と第2の断熱材150との並べ方にかかわらず、配線又は配管等が、通路から出ることなく、第1の断熱材100及び第2の断熱材150を通ることができる。
【0039】
上記のような第1の断熱材100と第2の断熱材150とのセットを用いることで、以下のように建築物に断熱材を施工することができる。まず、建築物の第1の断熱材充填空間に、第1の断熱材100を単独で充填することができる。第1の断熱材充填空間は、例えば柱と間柱との間である。次に、建築物の第2の断熱材充填空間に、第1の断熱材100と第2の断熱材150とを幅方向に並べて充填することができる。第2の断熱材充填空間は、例えば間柱同士の間である。なお、第1の断熱材充填空間への第1の断熱材100の充填と、第2の断熱材充填空間への第1の断熱材100と第2の断熱材150との組み合わせの充填とは、反対の順序で行われてもよい。こうして、断熱材が充填された建築物を製造することができる。
【0040】
ここまで、建築物の第2の断熱材充填空間に、1つの第1の断熱材100と1つの第2の断熱材150との組み合わせを充填する場合について主に説明した。しかしながら、充填空間には、1つの第1の断熱材100と、2つ以上の第2の断熱材150との組み合わせが充填されてもよい。また、充填空間の寸法の種類が多い場合、3種類以上の寸法を有する断熱材のセットが用いられてもよい。
【0041】
上記の実施形態の構成によれば、第1の断熱材100と、第1の断熱材100よりもかなり小さい第2の断熱材150との組み合わせが用いられる。このため、第1の断熱材充填空間(例えば柱と間柱との間)と第2の断熱材充填空間(例えば間柱同士の間)にそれぞれ適合する寸法を有する断熱材を用いる場合と比較して、断熱材の保管が容易となる。また、上記の実施形態の構成によれば、また、断熱材を切断する必要が少なくなるため、施工作業を単純化できる。
【0042】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
100:第1の断熱材、120:フィルム、150:第2の断熱材、300:溝部
図1
図2
図3