(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090216
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A63B71/06 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205960
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓雄
(57)【要約】
【課題】ゴルフコースでの使用を考慮してゴルファに適したゴルフボールを推奨する。
【解決手段】情報処理装置は、ゴルファに対応づけられたゴルフボールの情報を取得する第一の取得手段と、ゴルフコースでの前記ゴルファのプレイ結果を取得する第二の取得手段と、前記第二の取得手段が取得した前記プレイ結果に基づいて、前記ゴルファのゴルフコースでのプレイ傾向を示す指標値を演算する演算手段と、前記指標値を基準値と比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果と前記第一の取得手段が取得した前記情報とに基づいて、前記ゴルファに推奨するゴルフボールを決定する決定手段と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルファに対応づけられたゴルフボールの情報を取得する第一の取得手段と、
ゴルフコースでの前記ゴルファのプレイ結果を取得する第二の取得手段と、
前記第二の取得手段が取得した前記プレイ結果に基づいて、前記ゴルファのゴルフコースでのプレイ傾向を示す指標値を演算する演算手段と、
前記指標値を基準値と比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果と前記第一の取得手段が取得した前記情報とに基づいて、前記ゴルファに推奨するゴルフボールを決定する決定手段と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記情報は、前記ゴルファの打撃の計測結果に基づき推奨されたゴルフボールの情報である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記情報は、打球のバックスピン量を少なくとも含む打球のデータに基づき推奨されたゴルフボールの情報である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記指標値は、前記ゴルファのショートゲームのプレイ傾向を示す指標値である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記指標値は、
複数回のラウンドにおける平均スコアと平均パット数とから導出される値、
複数回のラウンドにおける平均スコアとフェアウェイキープ率とから導出される値、
複数回のラウンドにおける、グリーンから100ヤード以内のエリアの平均打数から導出される値、
ショートホールでのティーショットの回数と、グリーンにゴルフボールが止まった回数とから導出される値、又は、
複数回のラウンドにおける、ティーショットからゴルフボールがグリーンに止まるまでの平均打数と、フェアウェイキープ率とから導出される値、である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記指標値は、前記ゴルファのティーショットのプレイ傾向を示す指標値である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記指標値は、
複数回のラウンドにおけるフェアウェイキープ率である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記基準値は、平均スコアにより区分けしたグループ毎に定められており、
前記比較手段は、前記ゴルファが属するグループの前記基準値と前記指標値を比較する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記基準値は、人間を生物学的に区分けしたグループ毎に定められており、
前記比較手段は、前記ゴルファが属するグループの前記基準値と前記指標値を比較する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記基準値は、平均スコア及び人間の生物学的区分けを考慮したグループ毎に定められており、
前記比較手段は、前記ゴルファが属するグループの前記基準値と前記指標値とを比較する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記比較結果は、前記基準値に対する前記指標値の優劣を示し、
前記決定手段は、前記比較結果が前記基準値に対して前記指標値が劣ることを示す場合に、前記指標値を改善する特性を有するゴルフボールを推奨する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理装置であって、
前記決定手段は、複数のゴルフボールの中から前記ゴルファに推奨するゴルフボールを決定し、
前記複数のゴルフボールと、前記第一の取得手段が取得した前記情報とには、それぞれ、前記特性の強弱に関わる順位が対応づけられており、
前記決定手段は、
前記第一の取得手段が取得した前記情報に対応づけられた前記順位を基準として、前記比較結果に基づいて調整した順位が対応づけられているゴルフボールを前記ゴルファに推奨する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項11に記載の情報処理装置であって、
前記決定手段は、複数のゴルフボールの中から前記ゴルファに推奨するゴルフボールを決定し、
前記複数のゴルフボールと、前記第一の取得手段が取得した前記情報とには、それぞれ、前記特性の優劣に関わる値が対応づけられており、
前記決定手段は、
前記第一の取得手段が取得した前記情報に対応づけられた前記値を基準として、前記比較結果に基づいて調整した値に最も近い前記値が対応づけられているゴルフボールを前記ゴルファに推奨する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記演算手段は、複数の指標値を演算し、
前記比較手段は、前記複数の指標値と、各指標値に対応する基準値とを比較する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
ゴルファに対応づけられたゴルフボールの情報を取得する第一の取得工程と、
ゴルフコースでの前記ゴルファのプレイ結果を取得する第二の取得工程と、
前記第二の取得工程で取得した前記プレイ結果に基づいて、前記ゴルファのゴルフコースでのプレイ傾向を示す指標値を演算する演算工程と、
前記指標値を基準値と比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果と前記第一の取得工程で取得した前記情報とに基づいて、前記ゴルファに推奨するゴルフボールを決定する決定工程と、を備える、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールの推奨に関わる情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルファに適したゴルフボールを推奨するためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、ゴルファの打撃の計測結果に基づいて、そのゴルファに適したゴルフボールを推奨するシステムが提案されている。また、ゴルファのゴルフコースでのプレイ結果を記録し、ゴルファにアドバイスを提供するシステムも提案されている。例えば、特許文献2及び3にはスマートフォンを利用してサーバによって複数のゴルファの情報を収集し、ゴルファにアドバイスを提供するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-000371号公報
【特許文献2】特許第7038763号公報
【特許文献3】特許第7085606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、ゴルファの打撃の計測結果に基づいてゴルフボールを推奨するシステムでは、打撃の計測場所が練習場等、ゴルフコースではないことが多い。また、打撃に使用するゴルフクラブもドライバ等、特定のゴルフクラブである場合が多い。一方、ゴルフコースでゴルファは、様々な環境下で、様々なゴルフクラブを用いる。したがって、ゴルフコースでの使用を想定してゴルファにゴルフボールを推奨できれば、そのゴルファのスコアアップに貢献できる。
【0005】
本発明の目的は、ゴルフコースでの使用を考慮してゴルファに適したゴルフボールを推奨することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
ゴルファに対応づけられたゴルフボールの情報を取得する第一の取得手段と、
ゴルフコースでの前記ゴルファのプレイ結果を取得する第二の取得手段と、
前記第二の取得手段が取得した前記プレイ結果に基づいて、前記ゴルファのゴルフコースでのプレイ傾向を示す指標値を演算する演算手段と、
前記指標値を基準値と比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果と前記第一の取得手段が取得した前記情報とに基づいて、前記ゴルファに推奨するゴルフボールを決定する決定手段と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ゴルフコースでの使用を考慮してゴルファに適したゴルフボールを推奨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を用いたシステムの概要を示す図。
【
図2】
図1の情報処理装置と携帯端末のブロック図。
【
図3】(A)~(C)はデータベースに蓄積される情報の例を示す図。
【
図8】(A)及び(B)は推奨ゴルフボールの決定方法の説明図、(C)は判定結果と調整内容との関係の別の例を示す図。
【
図9】(A)~(C)は判定結果と調整内容との関係の別の例を示す図。
【
図10】(A)はゴルフボールの情報の別の例を示す図、(B)及び(C)は判定結果と調整内容との関係の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1を用いたシステムの概要を示す図である。同図のシステムでは、情報処理装置1がサーバコンピュータとして機能し、情報処理装置1がネットワーク(例えばインターネット)を介して、ユーザ100の情報を管理し、また、ユーザ100に対して情報を提供するサービスを行う。ユーザ100は、情報処理装置1にサービスの提供を受ける者として予め登録したゴルファである。
【0011】
サービスは、計測環境300、301で計測したユーザ100の打撃の計測結果に基づくゴルフボールの推奨と、ゴルフコース302でプレイを行ったユーザ100のラウンド情報の管理と、ラウンド情報に基づくゴルフボールの推奨とに大別される。ユーザ100は、自身の携帯端末10に情報処理装置1等が提供するアプリケーションプログラムを予めインストールしておくことで、これらのサービスを受けることができる。携帯端末10はコンピュータであり例えばスマートフォン等である。
【0012】
計測環境300では、ゴルフクラブ101に装着される計測装置102を用いてユーザ100の打撃を計測する。ユーザ100が個人的に打撃を計測するのに適したシステムである。計測装置102は、ゴルフクラブ101のシャフトまたはグリップに装着される装置であり、加速度センサや角速度センサを含む。計測装置102としては、例えば、ATR-Promotions社のTSND121やセイコーエプソン社のM-tracerを用いることができる。計測装置102の検知結果により、ユーザ100のスイング中のゴルフクラブ101の三次元の加速度および三次元の角速度の時系列データを得られる。
【0013】
この時系列データは無線通信により携帯端末10に送信される。携帯端末10は、上記のアプリケーションプログラムを実行することで、公知の技術により打球の挙動を推定する。打球の挙動のデータとしては、ゴルフボールのバックスピン量やサイドスピン量、打撃直後のゴルフボールの初速、上下および左右の打ち出し角度を挙げることができる。推定された打球の挙動のデータは携帯端末10から情報処理装置1に送信される。
【0014】
計測環境301では、打席に接地される計測装置103或いは104を用いてユーザ100の打撃を計測する。ゴルフショップやゴルフ練習場において店員の協力によりユーザ100の打撃を計測するのに適したシステムである。計測装置103は例えばカメラであり、計測装置104はレーダ弾道計測器である。
【0015】
計測装置103と計測装置104はいずれか一つを使用すれば足りる。計測装置103を用いる場合、打球の画像を計測装置103で撮影し、その撮影画像を解析することで打球の挙動が計測される。また、計測装置104を用いる場合、打球がレーダにより捕捉されてその打球の挙動が計測される。いずれの装置を用いた場合も、打球の挙動のデータとしては、ゴルフボールのバックスピン量やサイドスピン量、打撃直後のゴルフボールの初速、上下および左右の打ち出し角度を挙げることができる。
【0016】
計測装置103又は計測装置104の計測結果はパソコンなどの端末20に入力され、入力された打球の挙動のデータは、店員等の操作により、端末20から情報処理装置1に送信される。
【0017】
ゴルフコース302では、携帯端末10のユーザ100の実際のプレイ結果が収集される。プレイ結果は、例えば、スコア、パット数が含まれる。スコアは、18ホールの合計打数である。パット数は、18ホールのグリーン上での合計打数である。
【0018】
<情報処理装置と携帯端末の構成例>
図2は情報処理装置1及び携帯端末10のブロック図である。情報処理装置1は、処理部2、記憶部3、通信部4を含む。処理部2は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部3に記憶されたプログラムを実行する。処理部2が実行するプログラムは、処理部2が読取可能な複数の指示から構成することができる。記憶部3は、一又は複数の記憶デバイスを備える。記憶デバイスは、例えば、RAM、ROMなどの半導体メモリやハードディスクなどに代表される記憶デバイスである。通信部3は、ネットワーク200を介して携帯端末10及び端末10と通信可能な通信インタフェースを含む。
【0019】
記憶部3には、処理部2が実行するプログラムの他、各種のデータが格納される。プログラムはCD-ROM等の記憶媒体から情報処理装置1にインストールされてもよい。
図2の例では記憶部3に格納されるデータベース(DB)として、ユーザ情報DB31、用品情報DB32、及び、基準値情報DB33が例示されている。
【0020】
携帯端末10は、処理部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、入力部15と、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ16とを含む。処理部11はCPU等のプロセッサである。記憶部12は、一又は複数の記憶デバイスを備える。記憶デバイスは、例えば、RAM、ROM等である。記憶部12には処理部11が実行するプログラムや、上記のアプリケーションプログラム等が格納される。通信部13はネットワーク200を介して情報処理装置1と通信可能な通信インタフェースを含む。
【0021】
表示部14は、ユーザ100に対して画像で情報を表示する表示デバイスであり、例えば、液晶表示パネルである。入力部15はユーザ100の入力受け付ける入力デバイスであり、例えば、表示部14と共にタッチパネルを構成する。GNSSセンサ16は、携帯端末10の現在位置(言い換えるとユーザ100の現在位置)を検知するセンサである。GNSSセンサ16によって、ユーザ10がゴルフコースのどの場所(ティーグラウンド、グリーン、フェアウェイ等)に存在しているか否かを検知することもできる。
【0022】
ゴルフコース302でのプレイ結果は、例えばユーザ100が入力部15を介して携帯端末10に入力することができる。また、GNSSセンサ16を利用して入力の自動化、或いは、半自動化を行うことも可能である。例えば、ユーザ100がティーグランド上のある位置に所定時間以上滞在したことが検知された場合、ティーショットが行われたと判断して打数を1つ加算することができる。また、例えば、ユーザ100がグリーン上のある位置に所定時間以上滞在したことが検知された場合、パッティングが行われたと判断して打数を1つ加算することができる。
【0023】
<データベースの構成例>
図3(A)は、ユーザ情報DB31に蓄積される情報の例を示している。ユーザ情報DB31は、ユーザ100毎のレコードを有している。各レコードは、「ID」、「氏名」、「端末情報」、「生体情報」、「基準ボール情報」、「グループ情報」、「指標値」、「ラウンド情報」を含む。「ID」はユーザ100を特定する会員識別子である。「氏名」はユーザ100の氏名である。「端末情報」は携帯端末10と通信を行うための情報であり、図示の例では「識別番号」(例えばIMEI)、「Eメール」(例えばメールアドレス)が含まれる。「生体情報」はユーザ100の生物学的な属性情報であり、図示の例では「年齢」と「性別」が含まれる。
【0024】
「基準ボール情報」は、ラウンド情報に基づきユーザ100に提供する推奨ゴルフボールを決定する際に基準となる基準ゴルフボールの情報である。本実施形態では、計測環境300、301で計測したユーザ100の打撃の計測結果に基づく推奨ゴルフボールを基準ゴルフボールとする。しかし、例えば、ユーザ100が指定した種類のゴルフボールを基準ゴルフボールとしてもよく、具体的にはユーザ100が実際に使用している種類のゴルフボールを基準ゴルフボールとしてもよい。
【0025】
「グループ情報」は、ユーザ100の属性情報であり、本実施形態では、ユーザ100のゴルフの技量に応じたグループ分けとしている。具体的にはユーザ100の平均スコアに応じて5つのグループにユーザ100を区分けする。このため、「グループ情報」は、そのユーザ100の平均スコアを示す「平均スコア」と、ユーザ100が属する「グループ」とを含む。
【0026】
「ラウンド情報」は、ユーザ100が複数のゴルフコース302でプレイしたときの各種の情報が含まれる。図示の例では、「ラウンド情報」は、プレイしたゴルフコースを特定する情報である「ゴルフコース」が含まれる。この情報は例えばゴルフ場の名前や識別子である。「ラウンド情報」は、また、「スコア」、「パット数」、その他の情報を含む。これらの情報は携帯端末10を介して送信されるユーザ100のプレイ結果を示す情報である。上記のとおり、スコアは、18ホールの合計打数であり、パット数は、18ホールのグリーン上での合計打数である。その他の情報としては、プレイ結果を示す任意の情報(フェアウェイキープ率等)が含まれ得る。「ラウンド情報」は、最新のものから所定回数分(例えば5~10回)のラウンドの情報が含まれてもよい。
【0027】
「指標値」は、ユーザ100のゴルフコースでのプレイ傾向を示す値であり、「ラウンド情報」から演算される。一例として、本実施形態では指標値は平均パット数と平均スコアとから導出される値であり、具体的には指標値=平均パット数/平均スコア、とする。この値は、ユーザ100のショートゲーム(ピンまで100ヤード以内のプレイ)の技量の一つの目安となる。指標値が小さい程、ユーザ100はショートゲームの技量が高いと言える。
【0028】
図3(B)は用品情報DB32に蓄積される情報の例を示している。用品情報DB32は、本実施形態の場合、ゴルフボールの種類毎のレコードを有している。各レコードは、「ゴルフボール」、「スピン性能」、「物性」を含む。「ゴルフボール」は、ゴルフボールの種類を特定する情報であり、本実施形態の場合、A~Dの4種類のゴルフボールの情報が例示されている。「スピン性能」はゴルフボールのバックスピン量の特性の強弱を示す情報であり、「順位」と「高低」とを含む。「高低」は、打撃時のバックスピン量の大小の傾向を示している。例えば、ゴルフボールAとゴルフボールDとを比較すると、同じ条件でゴルフボールを打撃した場合、ゴルフボールAはスピン量が相対的に高い特性を有し、ゴルフボールDはスピン量が相対的に低い特性を有している。「順位」は、ゴルフボールの特性の優劣(強弱)の順序を示しており、ゴルフボールAはスピン性能が最も高いため、第1順位が設定されている。ゴルフボールDはスピン性能が最も低いため、第4順位が設定されている。
【0029】
なお、本実施形態では、ゴルフボールの特性の強弱としてスピン性能を例示したが、飛距離性能等、他の特性の強弱であってもよい。
【0030】
「物性」はゴルフボールの構造的特徴を示している。「コア」はゴルフボールの内部の中心部分の硬さの度合いを示し、「カバー」はゴルフボールの表皮の硬さの度合いを示す。「コア」や「カバー」の硬さはスピン性能に相関がある。
【0031】
図3(C)は基準値情報DB33に蓄積される情報の例を示している。基準値情報DB33は、ユーザ100が振り分けられるグループ毎のレコードを有している。各レコードは、「グループ」、「平均スコア」、「基準値」を含む。「グループ」はユーザ100を振り分けるグループの種類を示し、本実施形態では、グループI~グループVの5グループが設定されている。「平均スコア」はグループの振り分け条件を示しており、本実施形態ではユーザ100の平均スコアで区分けしている。グループIは、平均スコアが79以下のユーザ100が属するグループであり、比較的上級者のグループである。同様にグループIIは平均スコアが80~89のユーザ100が属するグループであり、
図3(A)に例示したレコードのユーザ100は平均スコアが85なのでグループIIに属する。以下、グループIIIは平均スコアが90~99のユーザ100が属するグループ、グループIVは平均スコアが100~109のユーザ100が属するグループ、グループVは平均スコアが110以上のユーザ100が属するグループである。
【0032】
「基準値」とは、ラウンド情報に基づきユーザ100に提供する推奨ゴルフボールを決定する際に、
図3(A)に示した「指標値」と比較される閾値である。「基準値」は、システムの運営者が適宜設定することができるが、本実施形態の場合、一例としてグループに属するユーザ100の「指標値」(
図3(A))の平均値が与えられる。グループIの「基準値」はグループIに属する全ユーザ100の「指標値」の平均値である。
【0033】
<情報処理装置の処理例>
<打撃の計測結果に基づくゴルフボールの推奨>
情報処理装置1の処理例について説明する。
図4はユーザ100の打撃の計測結果に基づき、ユーザ100に対してゴルフボールを推奨する場合の処理例を示している。
【0034】
S1で携帯端末10は計測装置102を用いてユーザ100の打撃を計測する。計測が終了すると、S2で携帯端末10はユーザ100の指示により、推奨ゴルフボールの提案要求を情報処理装置1に送信する。提案要求には、ユーザ100を特定する情報やS1の計測結果の情報10aが含まれる。計測結果は、ゴルフボールのバックスピン量等、打球の挙動のデータである。
【0035】
S11で情報処理装置1は提案要求を受信する。S12で情報処理装置1は、計測結果の情報10aに基づき、用品情報DB32に蓄積されているゴルフボールの種類の中から、推奨ゴルフボールを決定する。推奨ゴルフボールの決定は公知の技術を利用可能である。例えば、計測結果の情報10aにおいてバックスピン量が相対的に高いことが示されている場合、スピン性能が低いゴルフボールが飛距離増大の点で適している。したがって、ゴルフボールCやゴルフボールDが推奨ゴルフボールとして選択される。逆に、計測結果の情報10aにおいてバックスピン量が相対的に低いことが示されている場合、スピン性能が高いゴルフボールが飛距離増大の点で適している。したがって、したがって、ゴルフボールAやゴルフボールBが推奨ゴルフボールとして選択される。
【0036】
S13で情報処理装置1はユーザ情報DB31を更新する。ここでは、「基準ボール情報」をS12で決定した推奨ゴルフボールに更新する。S14で情報処理装置1はS12で決定した推奨ゴルフボールの情報を携帯端末10に送信する。
【0037】
携帯端末10はS3で推奨結果を受信し、S4で推奨結果を表示部14に表示する。ユーザ100は表示部14の表示から自分に適したゴルフボールを知ることができる。その後、ユーザ100は推奨ゴルフボールを使用することになろう。
【0038】
なお、
図4の例は、計測環境301でユーザ100の打撃を計測し、携帯端末10と情報処理装置1とが通信を行う場合を示しているが、計測環境302でユーザ100の打撃を計測し、端末20と情報処理装置1とが通信を行う場合も同様である。この場合、情報処理装置1は推奨結果を端末20ではなく、携帯端末10に送信してもよい。
【0039】
<プレイ結果の登録>
図5は、ゴルフコース302でプレイを行ったユーザ100がプレイ結果を情報処理装置1に登録する場合の処理例を示している。
【0040】
S21で携帯端末10はプレイ結果を収集する。プレイ結果の収集は例えば上記のとおりユーザ100が入力部15を介して入力する。S22で携帯端末10はユーザ100の指示により、プレイ結果の登録要求を情報処理装置1に送信する。登録要求には、ユーザ100を特定する情報やS21で収集したプレイ結果の情報10bが含まれる。プレイ結果の情報10bは、ゴルフコースを特定する情報や、スコア、パット数等のデータを含む。
【0041】
S31で情報処理装置1は登録要求を受信する。S32で情報処理装置1は、プレイ結果の情報10bに基づき、ユーザ情報DB31の「ラウンド情報」を更新する(データの追加)。S33で情報処理装置1はプレイ結果の登録が完了した旨の通知を携帯端末10に送信する。携帯端末10はS23で登録完了通知を受信し、S24で登録が完了したことを表示部14に表示する。ユーザ100は表示部14の表示から、今回のゴルフコースでのプレイ結果がユーザ情報DB31に反映されたことを知ることができる。
【0042】
S34で情報処理装置1は、今回の「ラウンド情報」の更新によって関連するデータを演算する。本実施形態の場合、「ラウンド情報」の更新により、平均スコアと平均パット数が演算される。そして、
図3(A)の「指標値」が演算される。S35で情報処理装置1は、S34の演算結果をユーザ情報DB31に反映させる。具体的には、「指標値」を更新し、「グループ情報」の「平均スコア」を更新する。また、「平均スコア」に更新によって、必要に応じて「グループ」も更新される。
【0043】
<基準値の更新処理>
図6は、情報処理装置1が実行する基準値情報DB33の更新処理を示す。この処理は定期的(例えば1月ごと等)に実行することができる。S41では、グループI~Vのうちの一つのグループを選択する。S42ではS41で選択したグループに属するユーザ100のデータ(本実施形態の場合「指標値」)をユーザ情報DB31から取得する。例えば、グループIが選択グループである場合、グループIに属する全ユーザ100の「指標値」を取得する。
【0044】
S43では、選択グループの「基準値」を更新する。「基準値」は、選択グループに属する全ユーザの「指標値」の平均値である。S44では全グループについて「基準値」を更新したか否かを判定し、全グループについて更新していない場合はS41へ戻って別のグループを選択して同様の処理を繰り返す。
【0045】
以上の処理によって、「基準値」を最新のユーザ情報DB31の情報に基づいて設定することができる。なお、本実施形態では、「基準値」を、選択グループに属する全ユーザの「指標値」の平均値としたが、選択グループに属する一部のユーザの「指標値」の平均値としてもよい。例えば、「指標値」が優れた上位30%のユーザの「指標値」の平均値としてもよい。或いは、「指標値」が劣る下位30%のユーザの「指標値」の平均値としてもよい。若しくは、「指標値」が平均的な中位のユーザ(上位30%、下位30%を除くユーザ)の「指標値」の平均値としてもよい。
【0046】
<プレイ結果に基づくゴルフボールの推奨>
図7はユーザ100がゴルフコースで実際にゴルフを行ったプレイ結果に基づき、ユーザ100に対してゴルフボールを推奨する場合の処理例を示している。S51で携帯端末10はユーザ100の指示により、プレイ結果に基づく推奨ゴルフボールの提案要求を情報処理装置1に送信する。提案要求には、ユーザ100を特定する情報が含まれる。
【0047】
S61で情報処理装置1は提案要求を受信する。S62で情報処理装置1は、ユーザ情報DB31から、提案要求を行ったユーザ100に対応づけられた情報を取得する。取得する情報は、「基準ボール情報」と「指標値」と「グループ」である。S63で情報処理装置1は、基準値情報DB31から、提案要求を行ったユーザ100が属するグループの基準値を取得する。例えば、S62で取得した「グループ」がグループIIを示す場合、グループIIに対応する「基準値」を取得する。
【0048】
S64で情報処理装置1は、S62で取得した指標値とS63で取得した基準値とを比較し、基準値に対する指標値の優劣を判定する。例えば、指標値≧基準値の関係にあれば指標値が勝っていると判定し、指標値<基準値の関係にあれば劣っていると判定する。S65で情報処理装置1はS64の比較結果と、S62で取得した「基準ボール情報」に示された基準ゴルフボールとに基づいて推奨ゴルフボールを決定する。推奨ゴルフボールは、基準ゴルフボールを基準としてS64の比較結果からスピン性能の順位を変更又は維持することで選択される。
【0049】
図8(A)及び
図8(B)は推奨ゴルフボールの決定方法を示す。
図8(A)はS64の比較結果に基づく順位の調整例を示している。指標値<基準値の関係にあれば判定は「×」となり、順位をアップする方向で調整する。指標値≧基準値の関係にあれば判定は「○」となり、順位を維持する。
【0050】
図8(B)は基準ゴルフボールがゴルフボールCであることを示している。指標値<基準値の関係にあれば判定は「×」となり、順位をアップする方向で調整するので、推奨ゴルフゴールはゴルフボールCよりも一つ順位が高いゴルフボールBとなる。ゴルフボールCよりもスピン性能が高いゴルフボールBを推奨し、ユーザ100がこれを使用することでショートゲームの改善が期待される。つまり、比較結果が、指標値が基準値よりも劣ることを示す場合、指標値を改善する特性を有するゴルフボールが推奨ゴルフボールとして選択される。なお、基準ゴルフボールがゴルフボールAである場合、これ以上順位をアップすることはできないので、推奨ゴルフボールはゴルフボールAとなる。
【0051】
一方、指標値≧基準値の関係にあれば判定は「○」となり、順位を維持するので、推奨ゴルフボールはゴルフボールCと同じゴルフボールCとなる。このようにして推奨ゴルフボールが決定される。
【0052】
図7に戻り、S66で情報処理装置1は推奨結果としてS65で決定した推奨ゴルフボールの情報を携帯端末10に送信する。携帯端末10はS52で推奨結果を受信し、S53で推奨結果を表示部14に表示する。ユーザ100は表示部14の表示から自分に適したゴルフボールを知ることができる。その後、ユーザ100は推奨ゴルフボールを使用することになろう。
【0053】
このように本実施形態では、基準ゴルフボールを基準として、ゴルフコースでのユーザ100の実際のプレイ結果に基づいて、ユーザに適したゴルフボールを推奨する。したがって、ゴルフコースでの使用を考慮してゴルファに適したゴルフボールを推奨することができる。特に本実施形態では、基準ゴルフボールを、打撃の計測結果に基づく推奨ゴルフボールとしている。このため、まずはユーザ100のスイング特性に適したゴルフボールを推奨できる。その上で、実際のプレイを反映して修正したゴルフボールを推奨することができる。この結果、ユーザ100により適したゴルフボールを推奨できることになる。
【0054】
<第二実施形態>
第一実施形態では、指標値をショートゲームの指標値として平均スコアと平均パット数から導出したが、指標値はこれに限れられない。ティーショット精度の指標値としてフェアウェイキープ率を採用してもよい。
【0055】
フェアウェイキープ率は、ミドルホールとロングホールのティーショットで、ゴルフボールがフェアウェイに止まった回数と、そのティーショットの回数とから導出される。つまり、フェアウェイキープ率=ゴルフボールがフェアウェイに止まった回数/ティーショットの回数、である。フェアウェイキープ率は、複数回のゴルフコースでのプレイの平均値として演算される。
【0056】
指標値としてフェアウェイキープ率を採用する場合、その導出のため、プレイ結果の情報10aや「ラウンド情報」には、一ラウンド分のフェアウェイキープ率、または、ミドルホールとロングホールのティーショットでゴルフボールがフェアウェイに止まった回数が含まれる。指標値をフェアウェイキープ率とした場合、基準値もフェアウェイキープ率に応じた値となることはいうまでもない。
【0057】
図8(C)は、指標値としてフェアウェイキープ率を採用した場合における、
図7のS64の比較結果に基づく順位の調整例を示している。フェアウェイキープ率が低い場合、ティーショットの打球が左右に曲がっていると推測され、スピン性能の低いゴルフボールがユーザ100に適している。したがって、指標値<基準値の関係にあれば判定は「×」となり、順位をダウンする方向で調整する。指標値≧基準値の関係にあれば判定は「○」となり、順位を維持する。
【0058】
また、指標値は他の値も採用可能である。ショートゲームの指標値とティーショットの指標値とその他の指標値とを区別して指標値の例を列挙する。
【0059】
○ティーショットの指標値の例
・右ラフ率:ミドルホールとロングホールのティーショットで、ゴルフボールが右ラフに止まった回数と、そのティーショットの回数とから導出される。つまり、右ラフ率=ゴルフボールが右ラフに止まった回数/ティーショットの回数、である。右ラフ率は、複数回のゴルフコースでのプレイの平均値として演算される。プレイ結果の情報10aや「ラウンド情報」には、ミドルホールとロングホールのティーショットでゴルフボールが右ラフに止まった回数が含まれる。
・左ラフ率:ミドルホールとロングホールのティーショットで、ゴルフボールが左ラフに止まった回数と、そのティーショットの回数とから導出される。つまり、左ラフ率=ゴルフボールが左ラフに止まった回数/ティーショットの回数、である。左ラフ率は、複数回のゴルフコースでのプレイの平均値として演算される。プレイ結果の情報10aや「ラウンド情報」には、ミドルホールとロングホールのティーショットでゴルフボールが左ラフに止まった回数が含まれる。
【0060】
○その他の指標値の例
・平均飛距離:ミドルホールとロングホールのティーショットでのゴルフボールの飛距離の平均値である。プレイ結果の情報10aや「ラウンド情報」には、ミドルホールとロングホールのティーショットでのゴルフボールの飛距離が含まれる。飛距離は、例えば、GNSSセンサ16でティーグランドとセカンドショット地点の各位置情報を検出して計測することができる。
・平均OB数:1ラウンドあたりのOBの回数である。
・平均バンカーショット数:1ラウンドあたりの、バンカーにゴルフボールが止まった回数である。
・平均ペナルティ数:1ラウンドあたりの、罰打の数である。
【0061】
○ショートゲームの指標値の例
・スコア/DR精度1=フェアウェイキープ率/平均スコア:値が小さい方がショートゲームに長けている。
・スコア/DR精度2=(フェアウェイキープ率-係数×平均OB数)/平均スコア:値が小さい方がショートゲームに長けている。
・グリーンオン打数1=平均グリーンオン打数×フェアウェイキープ率:値が小さい方がショートゲームに長けている。グリーンオン打数とは、ティーショットからゴルフボールがグリーンに止まるまでの打数であり、1ラウンドの全打数からパット数を引くことで算出できる。平均グリーンオン打数は、1ホールあたりのグリーンオン打数の平均値である。
・グリーンオン打数2=平均グリーンオン打数×(フェアウェイキープ率-係数×平均OB数):値が小さい方がショートゲームに長けている。
・100ヤード圏内平均打数:ピンまで残り100ヤードのエリアでの打数の1ホールあたりの平均値である。プレイ結果の情報10aや「ラウンド情報」には、各ホールでのピンまで残り100ヤードのエリアでの打数の情報が含まれる。例えば、ユーザ100が携帯端末10に打数を入力する。
・平均アプローチ数=100ヤード圏内平均打数-平均パット数:値が小さい方がアプローチに長けている。
・100ヤード圏内平均プレイ量:ピンまで残り100ヤードのエリアでのユーザ100の移動距離、又は、滞在時間の1ホールあたりの平均値である。値が小さい方がショートゲームに長けている。
・1stパット指標値=1打目のパッティングの残り距離が5m以内のホール数の1ラウンドあたりの平均値/平均グリーンオン打数
・ショートゲーム平均打数:ウェイッジ及びパターを用いた打数の1ホールあたりの平均打数である。値が小さい方がショートゲームに長けている。
・いわゆるストロークゲイン(Strokes Gained)も採用可能である。
・ショートホールのグリーンオン率:ショートホールでのティーショットがグリーンに止まった回数nとショートホールのティーショットの回数Nから導出される。例えば、グリーンオン率=n/Nである。ショートホールの内、ティーグランドからグリーンまでの距離が、予め定めた特定の距離より短いショートホールのみのティーショットを対象としてもよい。
【0062】
<第三実施形態>
複数の指標値と、対応する基準値との比較結果に基づいて推奨ゴルフボールを決定してもよい。
図9(A)は複数種類の指標値を用いた場合における、
図7のS64の比較結果に基づく順位の調整例を示している。指標値は、「ショートゲーム」の指標値と、「ティーショット」の指標値との二種類である。「ショートゲーム」の指標値は、例えば、第一実施形態で説明した平均パット数/平均スコア、である。「ティーショット」の指標値は、例えば、第二実施形態で説明したフェアウェイキープ率である。
【0063】
「ショートゲーム」、「ティーショット」の比較結果がいずれも×の場合(各指標値が、いずれも対応する基準値を下回る場合)、ゴルフボールの変更による改善の効果は小さいとみなして順位を維持する。「ショートゲーム」の比較結果が×で、「ティーショット」の比較結果が○の場合、順位をアップする方向(スピン性能を高くする方向で調整する。基準値よりも劣るショートゲームの改善を重視する。「ショートゲーム」の比較結果が○で、「ティーショット」の比較結果が×の場合、順位をダウンする方向(スピン性能を低くする方向)で調整する。ティーショットの改善を重視する。「ショートゲーム」、「ティーショット」の比較結果がいずれも○の場合(各指標値が、いずれも対応する基準値以上である場合)、ショートゲーム、ティーショットのいずれも改善する必要性は低いが、ショートゲームの更なる向上を重視して順位をアップする方向(スピン性能を高くする方向)で調整する。
【0064】
図9(B)も複数種類の指標値を用いた場合における、
図7のS64の比較結果に基づく順位の調整例を示している。指標値は、「ショートゲーム」の指標値と、「ティーショット」の指標値との二種類である。「ショートゲーム」の指標値は、例えば、第一実施形態で説明した平均パット数/平均スコア、である。「ティーショット」の指標値は、第二実施形態で例示した右ラフ率及び左ラフ率である。右ラフ率>基準値の関係にあれば判定は「×」となり、右ラフ率≦基準値の関係にあれば判定は「○」となる。同様に左ラフ率>基準値の関係にあれば判定は「×」となり、左ラフ率≦基準値の関係にあれば判定は「○」となる。
【0065】
ユーザ100が右打ちであることを想定する。「ショートゲーム」の比較結果が×で、「ティーショット」の右ラフ率、左ラフ率の比較結果がいずれも×の場合、ゴルフボールの変更による改善の効果は小さいとみなして順位を維持する。「ショートゲーム」の比較結果が×で、「ティーショット」の右ラフ率、左ラフ率の比較結果がいずれも○の場合、順位をアップする方向(スピン性能を高くする方向で調整する。基準値よりも劣るショートゲームの改善を重視する。
【0066】
「ショートゲーム」の比較結果が○で、「ティーショット」の右ラフ率の比較結果が×で左ラフ率の比較結果が○の場合、順位をダウンする方向(スピン性能を低くする方向)で調整する。ユーザ100の打球がスライス傾向にあるため、スピン性能が低いゴルフボールを推奨して弾道の曲がりを抑制する。「ショートゲーム」の比較結果が○で、「ティーショット」の左ラフ率の比較結果が×で右ラフ率の比較結果が○の場合、順位を維持する。ユーザ100の打球がフック傾向にあるため、ゴルフボールの変更による改善の効果は小さいとみなして順位を維持する。
【0067】
「ショートゲーム」の比較結果が×で、「ティーショット」の右ラフ率、左ラフ率の比較結果がいずれも○の場合、ショートゲーム、ティーショットのいずれも改善する必要性は低いが、ショートゲームの更なる向上を重視して順位をアップする方向(スピン性能を高くする方向)で調整する。
【0068】
図9(C)も複数種類の指標値を用いた場合における、
図7のS64の比較結果に基づく順位の調整例を示している。指標値は、「ショートゲーム」の指標値と、「ティーショット」の指標値と、「平均飛距離」の指標値の三種類である。「ショートゲーム」の指標値は、例えば、第一実施形態で説明した平均パット数/平均スコア、である。「ティーショット」の指標値は、第二実施形態で例示したフェアウェイキープ率である。「平均飛距離」の指標値は、第二実施形態で例示した指標値であり、ミドルホール及びロングホールのティーショットでのゴルフボールの飛距離の平均値である。平均飛距離≧基準値の関係にあれば判定は「○」となり、平均飛距離<基準値の関係にあれば判定は「×」となる。
【0069】
「ショートゲーム」の比較結果が×で、「ティーショット」及び「飛距離」の比較結果がいずれも○の場合、順位をアップする方向(スピン性能を高くする方向)で調整する。基準値よりも劣るショートゲームの改善を重視する。「ショートゲーム」の比較結果が○で、「ティーショット」及び「飛距離」の比較結果がいずれも×の場合、順位をダウンする方向(スピン性能を低くする方向)で調整する。ティーショットの改善を重視する。
【0070】
「ショートゲーム」の比較結果が○で、「ティーショット」の比較結果が×で、「飛距離」の比較結果が○の場合、順位をダウンする方向(スピン性能を低くする方向)で調整する。ティーショットの方向性の改善を重視する。「ショートゲーム」、「ティーショット」及び「飛距離」の比較結果がいずれも○の場合、順位をアップする方向(スピン性能を高くする方向)で調整する。ショートゲーム、ティーショット、飛距離のいずれも改善する必要性は低いが、ショートゲームの更なる向上を重視して順位をアップする方向(スピン性能を高くする方向)で調整する。その他の組み合わせでは順位を維持する。
【0071】
<第四実施形態>
上記実施形態では、ゴルフボールの特性の優劣(強弱)を順位で表したが、優劣の度合いを示す値で表してもよい。
図10(A)は本実施形態において用品情報DBに蓄積される情報の例を示している。
図3(B)の例の「順位」が、「性能値」に変更されている。図示の例では「性能値」が小さい程、スピン性能が高い。
【0072】
図10(B)は、
図7のS64の比較結果に基づく性能値の調整例を示している。指標値は、
図9(B)の例と同様に、「ショートゲーム」の指標値と、「ティーショット」の指標値との二種類である。また、「ショートゲーム」の指標値は、平均パット数/平均スコア、であり、「ティーショット」の指標値は、平均右ラフ率及び平均左ラフ率である。
【0073】
ユーザ100が右打ちであることを想定する。「ショートゲーム」の比較結果が×で、「ティーショット」の右ラフ率の比較結果が×の場合で左ラフ率の比較結果が○の場合、性能値の調整値を+1とする。「ショートゲーム」の比較結果が×で、「ティーショット」の左ラフ率の比較結果が×の場合で右ラフ率の比較結果が○の場合、調整値を0(性能値を維持)とする。「ショートゲーム」の比較結果が×で、「ティーショット」の右ラフ率及び左ラフ率の比較結果がいずれも○の場合、性能値の調整値を-1とする。
【0074】
「ショートゲーム」の比較結果が○で、「ティーショット」の右ラフ率の比較結果が×の場合で左ラフ率の比較結果が○の場合、性能値の調整値を+2とする。「ショートゲーム」の比較結果が○で、「ティーショット」の左ラフ率の比較結果が×の場合で右ラフ率の比較結果が○の場合、調整値を0(性能値を維持)とする。「ショートゲーム」の比較結果が○で、「ティーショット」の右ラフ率及び左ラフ率の比較結果がいずれも○の場合、性能値の調整値を-2とする。
【0075】
図10(C)は推奨ゴルフボールの決定方法の説明図である。基準ゴルフボールをゴルフボールCとする。ゴルフボールCの「性能値」は4である。
図10(B)の表に従う判定結果により、調整値が+1であった場合、推奨ゴルフボールの性能値は、4+1=5と演算され、推奨ゴルフボールはゴルフボールDと決定される。調整値が-2であった場合、推奨ゴルフボールの性能値は、4-2=2と演算される。性能値が2のゴルフボールは
図10(A)の表にはない。したがって、性能値が2に最も近いゴルフボールAが推奨ゴルフボールと決定される。
【0076】
ゴルフボールの性能を、「順位」よりも「性能値」で定義することで、ユーザ100により適した性能を有するゴルフボールを推奨できる場合がある。
【0077】
<第四実施形態>
上記実施形態では、基準値のグループを平均スコアで区分けしたが、ユーザ100を人間の生物学的に区分けしてもよい。具体的には、年齢でグループを区分けしてもよい。例えば、グループIが30歳未満、グループIIが31~40歳、グループIIIが41~50歳、グループIVが51~60歳、グループVが61歳以上としてもよい。また、性別でグループ分けをしてもよく、更に、性別と年齢でグループ分けをしてもよい。
【0078】
また、基準値のグループを平均スコアとユーザ100の人間の生物学的区分の両方を考慮して区分けしてもよい。具体的には、スコアと性別でグループ分けしても良い。例えば、グループIが平均スコア79以下の男性及び女性、
グループIIが男性で平均スコアが80~99のユーザ、グループIIIが女性で平均スコアが80~99のユーザ、グループIVが男性で平均スコアが100以上のユーザ、グループVが女性で平均スコアが100以上のユーザとしてもよい。
【0079】
<第五実施形態>
指標値の演算(S34)や推奨ゴルフボールの決定に関する処理(S62~S65)を携帯端末10に行うことも可能である。この場合、演算や決定に必要な情報(ラウンド情報、基準値、ゴルフボールのスピン性能の情報等)は予め携帯端末10の記憶部12に保存しておくか、必要な段階で情報処理装置1から取得するようにしてもよい。
【0080】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 情報処理装置、10 携帯端末