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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090222
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205969
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】大隈 敬
(72)【発明者】
【氏名】松井 雄大
(72)【発明者】
【氏名】松本 学
(72)【発明者】
【氏名】平山 健太
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB02
3B087DB05
(57)【要約】
【課題】シートバックフレームの強度を向上させることができる乗物用シートを提供する。
【解決手段】シートクッションおよびシートバックを備える乗物用シートであって、シートバックは、骨格を構成するシートバックフレームF2を備える。シートバックフレームF2は、メインフレーム20と、メインフレーム20に固定され、メインフレーム20を後ろから覆うように配置されたパンフレーム40とを備える。メインフレーム20は、上フレーム部21と、上フレーム部21に対し間隔をあけて対向して配置された下フレーム部22と、上フレーム部21と下フレーム部22の一端部同士を連結する左フレーム部23と、上フレーム部21と下フレーム部22の他端部同士を連結し、左フレーム部23に対し間隔をあけて対向して配置された右フレーム部24とを有する。シートバックフレームF2は、上下のフレーム部21,22に固定された補強部材50をさらに備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションおよびシートバックを備える乗物用シートであって、
前記シートバックは、骨格を構成するシートバックフレームを備え、
前記シートバックフレームは、
第1フレーム部と、前記第1フレーム部に対し間隔をあけて対向して配置された第2フレーム部と、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部の一端部同士を連結する第3フレーム部と、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部の他端部同士を連結する第4フレーム部であって、前記第3フレーム部に対し間隔をあけて対向して配置された第4フレーム部とを有するメインフレームと、
前記メインフレームに固定されたパンフレームであって、前記メインフレームを前または後ろから覆うように配置されたパンフレームと、
前記第1フレーム部に固定された補強部材と、を備えることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記パンフレームは、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部が対向する方向に長い貫通孔を有し、
前記補強部材は、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部が対向する方向における位置が前記貫通孔と重なることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記補強部材は、
板状の部材からなり、
第1部分と、前記第1部分の端から前記第1部分と異なる方向に延びる第2部分とを有し、
前記第1部分と前記第2部分とによって形成される凹部に前記第1フレーム部が入り込むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記第2部分は、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部が対向する方向と、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部が対向する方向の両方と直交する方向に対して略平行に延びていることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記第2部分は、前記第1フレーム部に接触していることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記シートバックフレームは、
前記第3フレーム部と前記第4フレーム部の間の位置で、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部を連結する第1クロスメンバと、
前記第1クロスメンバと前記第4フレーム部の間の位置で、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部を連結する第2クロスメンバと、をさらに備え、
前記補強部材は、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部が対向する方向において、少なくとも前記第1クロスメンバから前記第2クロスメンバまで延びていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項7】
線材からなる線状部材であって、一端に溶接により前記補強部材に固定された第1固定端部を有する線状部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記第1固定端部は、前記補強部材の長手方向に対して傾斜して延びていることを特徴とする請求項7に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記線状部材は、他端に溶接により前記補強部材に固定された第2固定端部を有し、
前記第2固定端部は、先端に向かうほど前記第1固定端部との間隔が大きいことを特徴とする請求項7に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記第1フレーム部は、パイプからなることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項11】
前記シートクッションは、骨格を構成するシートクッションフレームと、前記シートクッションフレームを覆うシートクッションパッドと、前記シートクッションフレームおよび前記シートクッションパッドを覆うシートクッション表皮と、を備え、
前記シートバックは、前記シートバックフレームを覆うシートバックパッドと、前記シートバックフレームおよび前記シートバックパッドを覆うシートバック表皮と、を備えることを特徴とする請求項10に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションおよびシートバックを備える乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用シートにおけるシートバックフレームを、略矩形の金属板からなるパネル材と、枠状に形成され、パネル材に対して接合されたフレーム材とを用いて構成したものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-206330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートバックフレームについては、さらなる強度の向上が求められる場合がある。
【0005】
そこで、シートバックフレームの強度を向上させることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
乗物用シートは、シートクッションおよびシートバックを備える乗物用シートであって、前記シートバックは、骨格を構成するシートバックフレームを備え、前記シートバックフレームは、第1フレーム部、前記第1フレーム部に対し間隔をあけて対向して配置された第2フレーム部、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部の一端部同士を連結する第3フレーム部、および、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部の他端部同士を連結する第4フレーム部であって、前記第3フレーム部に対し間隔をあけて対向して配置された第4フレーム部を有するメインフレームと、前記メインフレームに固定されたパンフレームであって、前記メインフレームを前または後ろから覆うように配置されたパンフレームと、前記第1フレーム部に固定された補強部材と、を備える構成とすることができる。
【0007】
シートバックフレームが補強部材を備えることで、シートバックフレームの強度を向上させることができる。
【0008】
また、前記パンフレームは、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部が対向する方向に長い貫通孔を有し、前記補強部材は、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部が対向する方向における位置が前記貫通孔と重なる構成であってもよい。
【0009】
補強部材の、第3フレーム部と第4フレーム部が対向する方向における位置が貫通孔と重なることで、メインフレームの、パンフレームによる補強効果が小さい部分を補強部材により補強することができる。これにより、シートバックフレームの強度を向上させることができる。
【0010】
また、前記補強部材は、板状の部材からなり、第1部分と、前記第1部分の端から前記第1部分と異なる方向に延びる第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分とによって形成される凹部に前記第1フレーム部が入り込むように配置されている構成であってもよい。
【0011】
板状の部材からなる補強部材が、第1部分と、第1部分と異なる方向に延びる第2部分とを有することで、補強部材の強度を向上させることができる。これにより、シートバックフレームの強度をより向上させることができる。
【0012】
また、前記第2部分は、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部が対向する方向と、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部が対向する方向の両方と直交する方向に対して略平行に延びている構成であってもよい。
【0013】
第2部分が、第1フレーム部と第2フレーム部が対向する方向と、第3フレーム部と第4フレーム部が対向する方向の両方と直交する方向に対して略平行に延びていることで、補強部材の耐荷重性を高めることができる。これにより、シートバックフレームの強度をより向上させることができる。
【0014】
また、前記第2部分は、前記第1フレーム部に接触している構成であってもよい。
【0015】
第2部分が第1フレーム部に接触していることで、シートバックフレームの強度をより一層向上させることができる。
【0016】
また、前記シートバックフレームは、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部の間の位置で、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部を連結する第1クロスメンバと、前記第1クロスメンバと前記第4フレーム部の間の位置で、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部を連結する第2クロスメンバと、をさらに備え、前記補強部材は、前記第3フレーム部と前記第4フレーム部が対向する方向において、少なくとも前記第1クロスメンバから前記第2クロスメンバまで延びている構成であってもよい。
【0017】
補強部材が少なくとも第1クロスメンバから第2クロスメンバまで延びていることで、補強部材により第1フレーム部の第1クロスメンバと第2クロスメンバとの間の部分の強度を向上させることができる。これにより、シートバックフレームの強度をより向上させることができる。
【0018】
また、乗物用シートは、線材からなる線状部材であって、一端に溶接により前記補強部材に固定された第1固定端部を有する線状部材をさらに備える構成であってもよい。
【0019】
線状部材の第1固定端部が溶接により補強部材に固定されることで、補強部材の強度を向上させることができる。これにより、シートバックフレームの強度をより向上させることができる。
【0020】
また、前記第1固定端部は、前記補強部材の長手方向に対して傾斜して延びている構成であってもよい。
【0021】
第1固定端部が補強部材の長手方向に対して傾斜して延びていることで、第1固定端部の長さを長くできるので、溶接面積を大きくすることができる。これにより、補強部材の強度をより向上させることができるので、シートバックフレームの強度をより一層向上させることができる。
【0022】
また、前記線状部材は、他端に溶接により前記補強部材に固定された第2固定端部を有し、前記第2固定端部は、先端に向かうほど前記第1固定端部との間隔が大きい構成であってもよい。
【0023】
第2固定端部が先端に向かうほど第1固定端部との間隔が大きいことで、第2固定端部の長さを長くできるので、溶接面積を大きくすることができる。これにより、補強部材の強度をより向上させることができるので、シートバックフレームの強度をより一層向上させることができる。
【0024】
また、前記第1フレーム部は、パイプからなる構成であってもよい。
【0025】
また、前記シートクッションは、骨格を構成するシートクッションフレームと、前記シートクッションフレームを覆うシートクッションパッドと、前記シートクッションフレームおよび前記シートクッションパッドを覆うシートクッション表皮と、を備え、前記シートバックは、前記シートバックフレームを覆うシートバックパッドと、前記シートバックフレームおよび前記シートバックパッドを覆うシートバック表皮と、を備える構成であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
シートバックフレームが補強部材を備えることで、シートバックフレームの強度を向上させることができる。
【0027】
また、補強部材の、第3フレーム部と第4フレーム部が対向する方向における位置が貫通孔と重なることで、メインフレームの、パンフレームによる補強効果が小さい部分を補強部材により補強することができる。これにより、シートバックフレームの強度を向上させることができる。
【0028】
また、板状の部材からなる補強部材が、第1部分と、第1部分と異なる方向に延びる第2部分とを有することで、補強部材の強度を向上させることができる。これにより、シートバックフレームの強度をより向上させることができる。
【0029】
また、第2部分が、第1フレーム部と第2フレーム部が対向する方向と、第3フレーム部と第4フレーム部が対向する方向の両方と直交する方向に対して略平行に延びていることで、補強部材の耐荷重性を高めることができる。これにより、シートバックフレームの強度をより向上させることができる。
【0030】
また、第2部分が第1フレーム部に接触していることで、シートバックフレームの強度をより一層向上させることができる。
【0031】
また、補強部材が少なくとも第1クロスメンバから第2クロスメンバまで延びていることで、補強部材により第1フレーム部の第1クロスメンバと第2クロスメンバとの間の部分の強度を向上させることができる。これにより、シートバックフレームの強度をより向上させることができる。
【0032】
また、線状部材の第1固定端部が溶接により補強部材に固定されることで、補強部材の強度を向上させることができる。これにより、シートバックフレームの強度をより向上させることができる。
【0033】
また、第1固定端部が補強部材の長手方向に対して傾斜して延びていることで、第1固定端部の長さを長くできるので、溶接面積を大きくすることができる。これにより、補強部材の強度をより向上させることができるので、シートバックフレームの強度をより一層向上させることができる。
【0034】
また、第2固定端部が先端に向かうほど第1固定端部との間隔が大きいことで、第2固定端部の長さを長くできるので、溶接面積を大きくすることができる。これにより、補強部材の強度をより向上させることができるので、シートバックフレームの強度をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施形態に係る乗物用シートの斜視図である。
図2】シートクッションフレームとシートバックフレームの斜視図である。
図3】シートバックフレームの斜視図である。
図4】シートバックフレームの上補強部材付近を拡大して示す斜視図(a)と、ストライカの斜視図(b)である。
図5図4(a)のV-V断面図である。
図6】シートバックフレームの正面図である。
図7】シートバックフレームの上補強部材付近を拡大して示す正面図である。
図8図7のVIII-VIII断面図である。
図9】上補強部材の斜視図である。
図10】シートバックフレームの下補強部材付近を拡大して示す斜視図である。
図11図10のXI-XI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、乗物用シートの実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者(着座者)から見た、前後、左右、上下に対応する。
図1に示すように、実施形態に係る乗物用シートは、乗物の一例としての車両、具体的には、自動車に搭載される車両用シートSとして構成されている。車両用シートSは、自動車のリアシートであり、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備える。
【0037】
図1および図2に示すように、シートクッションS1は、骨格を構成するシートクッションフレームF1と、シートクッションフレームF1を覆うシートクッションパッドP1と、シートクッションフレームF1およびシートクッションパッドP1を覆うシートクッション表皮C1とを備える。シートクッションS1は、シートクッションフレームF1に、シートクッションパッドP1とシートクッション表皮C1を被せることで構成されている。
【0038】
シートクッションフレームF1は、例えば、金属製のパイプからなる。シートクッションフレームF1は、左右に間隔をあけて対向して配置された左右のシートクッションサイドフレーム11,12と、左右のシートクッションサイドフレーム11,12の前端部同士を連結するフロントフレーム13と、左右のシートクッションサイドフレーム11,12の後端部同士を連結するリアフレーム14とを有する。シートクッションパッドP1は、ウレタンフォームなどからなり、シートクッション表皮C1は、布地や皮革などからなる。
【0039】
シートバックS2は、骨格を構成するシートバックフレームF2と、シートバックフレームF2を覆うシートバックパッドP2と、シートバックフレームF2およびシートバックパッドP2を覆うシートバック表皮C2とを備える。シートバックS2は、シートバックフレームF2に、シートバックパッドP2とシートバック表皮C2を被せることで構成されている。
【0040】
シートバックフレームF2は、メインフレーム20と、第1クロスメンバ31と、第2クロスメンバ32と、パンフレーム40と、補強部材50とを備える。シートバックパッドP2は、ウレタンフォームなどからなり、シートバック表皮C2は、布地や皮革などからなる。
【0041】
図3に示すように、メインフレーム20は、略矩形の枠状に形成されている。メインフレーム20は、上フレーム部21と、下フレーム部22と、左フレーム部23と、右フレーム部24とを有する。
【0042】
上フレーム部21および下フレーム部22は、左右に延びている。下フレーム部22は、上フレーム部21の下の位置で上フレーム部21に対し間隔をあけて対向して配置されている。言い換えると、上フレーム部21は、下フレーム部22の上の位置で下フレーム部22に対し間隔をあけて対向して配置されている。
【0043】
左フレーム部23は、略上下に延びて上フレーム部21と下フレーム部22の左端部同士を連結し、右フレーム部24は、略上下に延びて上フレーム部21と下フレーム部22の右端部同士を連結している。右フレーム部24は、左フレーム部23の右の位置で左フレーム部23に対し間隔をあけて対向して配置されている。
【0044】
本実施形態では、左フレーム部23が「第1フレーム部と第2フレーム部の一端部同士を連結する第3フレーム部」に相当し、右フレーム部24が「第1フレーム部と第2フレーム部の他端部同士を連結する第4フレーム部」に相当する。また、本実施形態では、左右方向が「第3フレーム部と第4フレーム部が対向する方向」に相当する。
【0045】
本実施形態において、メインフレーム20は、第1パイプ部材P10と、第2パイプ部材P20とからなる。
第1パイプ部材P10は、上フレーム部21を構成する部材であり、金属製のパイプからなる。すなわち、上フレーム部21は、パイプからなる。
【0046】
第2パイプ部材P20は、下フレーム部22、左フレーム部23および右フレーム部24を構成する部材であり、金属製のパイプからなる。すなわち、下フレーム部22、左フレーム部23および右フレーム部24は、パイプからなる。第2パイプ部材P20は、パイプを略U字形状に屈曲させることにより形成されており、横パイプ部P22と、左右の縦パイプ部P23,P24とを有する。
【0047】
横パイプ部P22は、下フレーム部22を構成する部分であり、左右に延びている。左の縦パイプ部P23は、左フレーム部23を構成する部分であり、横パイプ部P22の左端から上方に延びている。右の縦パイプ部P24は、右フレーム部24を構成する部分であり、横パイプ部P22の右端から上方に延びている。
【0048】
第1パイプ部材P10および第2パイプ部材P20は、第1パイプ部材P10の左端部と第2パイプ部材P20の縦パイプ部P23の上端部とが溶接により接合され、第1パイプ部材P10の右端部と第2パイプ部材P20の縦パイプ部P24の上端部とが溶接により接合されることで、メインフレーム20を形成している。
【0049】
第1クロスメンバ31および第2クロスメンバ32は、略上下に延びて上フレーム部21と下フレーム部22を連結している。詳しくは、第1クロスメンバ31は、左右方向における左フレーム部23と右フレーム部24の間の位置で、上フレーム部21と下フレーム部22を連結している。また、第2クロスメンバ32は、左右方向における第1クロスメンバ31と右フレーム部24の間の位置で、上フレーム部21と下フレーム部22を連結している。
【0050】
第1クロスメンバ31および第2クロスメンバ32は、それぞれ、金属製のパイプからなる。第1クロスメンバ31および第2クロスメンバ32は、それぞれ、上端部が上フレーム部21に溶接により接合され、下端部が下フレーム部22に溶接により接合されている。本実施形態において、第1クロスメンバ31と左フレーム部23の左右の間隔と、第2クロスメンバ32と右フレーム部24の左右の間隔は、略等しい。
【0051】
上フレーム部21には、ヘッドレストガイドを保持する左右一対のホルダ25L,25Rが2組固定されている。左の一対のホルダ25Lは、左右方向における第1クロスメンバ31と左フレーム部23の間の位置で上フレーム部21の前面に溶接により固定されている。また、右の一対のホルダ25Rは、左右方向における第2クロスメンバ32と右フレーム部24の間の位置で上フレーム部21の前面に溶接により固定されている。
【0052】
パンフレーム40は、金属板を板金加工することにより形成されており、メインフレーム20を後ろから覆うように配置されている。パンフレーム40は、溶接などによりメインフレーム20に固定されている。また、パンフレーム40は、溶接などにより第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32にも固定されている。
【0053】
パンフレーム40は、パンフレーム本体41と、パンフレーム本体41の縁から立ち上がるフランジ42とを有する。本実施形態では、フランジ42は、パンフレーム本体41の上下左右の縁から前方に延びている。フランジ42は、パンフレーム本体41の上縁から前方に延びる上フランジ42A(図5参照)と、パンフレーム本体41の下縁から前方に延びる下フランジ42B(図11参照)とを含む。
【0054】
パンフレーム本体41は、左右方向の中央部に貫通孔43を有している。貫通孔43は、自動車のトランクとキャビンをつなげる、いわゆるトランクスルー機能を実現するための孔である。貫通孔43は、上フレーム部21と下フレーム部22が対向する方向に長い孔となっている。なお、以下では、上フレーム部21と下フレーム部22が対向する方向を「第1対向方向」という。
【0055】
貫通孔43は、上フレーム部21と下フレーム部22の間に位置する。また、貫通孔43の大部分は、第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32の間に位置する。貫通孔43の大部分は、上フレーム部21と、下フレーム部22と、第1クロスメンバ31と、第2クロスメンバ32とによって囲まれる、パンフレーム本体41の第1領域41Aに位置する。貫通孔43の下部は、左右の幅が貫通孔43の上部よりも大きくなっており、貫通孔43の下部の左右の縁は、左右方向における位置が、第1クロスメンバ31および第2クロスメンバ32と重なる。
【0056】
パンフレーム本体41は、第1領域41Aの左右に位置する第2領域41Bおよび第3領域41Cに、複数のビード44と、複数の貫通孔45とを有している。第2領域41Bは、上フレーム部21と、下フレーム部22と、左フレーム部23と、第1クロスメンバ31とによって囲まれる領域であり、第3領域41Cは、上フレーム部21と、下フレーム部22と、右フレーム部24と、第2クロスメンバ32とによって囲まれる領域である。
【0057】
ビード44は、前方に突出しており、本実施形態では、台形を組み合わせたような幾何学形状を有する。このようなビード44を有することで、パンフレーム40の強度を向上させることができる。
貫通孔45は、略円形の孔であり、ビード44によって形成される台形状の凹部46の底に設けられている。このような貫通孔45を有することで、ビード44によってパンフレーム40の強度を向上させつつ、パンフレーム40の軽量化を図ることができる。
【0058】
補強部材50は、上フレーム部21に固定された上補強部材50Aと、下フレーム部22に固定された下補強部材50Bとを含む。本実施形態では、上補強部材50Aを基準として見ると、上フレーム部21が「第1フレーム部」に相当し、下フレーム部22が「第2フレーム部」に相当する。また、下補強部材50Bを基準として見ると、下フレーム部22が「第1フレーム部」に相当し、上フレーム部21が「第2フレーム部」に相当する。
【0059】
図4(a)および図5に示すように、上補強部材50Aは、金属製の板状の部材からなる。上補強部材50Aは、金属板を略U字形状に屈曲させることにより形成されており、第1部分51Aと、第2部分52Aと、第3部分53Aとを有している。
第1部分51Aは、第1対向方向に対して略平行に延びている。
【0060】
第2部分52Aは、第1部分51Aの一方の端から第1部分51Aと異なる方向に延びている。具体的には、第2部分52Aは、第1対向方向に略平行な第1部分51Aの上端から、第1対向方向に交差する方向である後ろ斜め下方に延びている。第2部分52Aは、第1対向方向と、左右方向の両方と直交する直交方向に対して略平行に延びている。第2部分52Aは、パンフレーム40のパンフレーム本体41と略直交するように延びている。
【0061】
第3部分53Aは、第1部分51Aの他方の端から第1部分51Aと異なる方向に延びている。具体的には、第3部分53Aは、第1対向方向に略平行な第1部分51Aの下端から、第1対向方向に交差する方向である後ろ斜め下方に向けて延びている。第3部分53Aは、直交方向に対して略平行に延びている。第3部分53Aは、パンフレーム40のパンフレーム本体41と略直交するように延びている。第2部分52Aと第3部分53Aは、第1対向方向において対向している。
【0062】
上補強部材50Aは、第1部分51Aと第2部分52Aとによって形成される凹部に上フレーム部21が入り込むように配置されている。さらに、本実施形態では、上補強部材50Aは、第1部分51A、第2部分52Aおよび第3部分53Aによって形成される凹部に上フレーム部21が入り込むように配置されている。第2部分52Aは、上フレーム部21に接触している。詳しくは、第2部分52Aの先端部は、上フレーム部21の上面に接触している。
【0063】
図6に示すように、上補強部材50Aは、上フレーム部21の左右方向の中央部を前から覆うように配置されている。上補強部材50Aは、パンフレーム40の貫通孔43に隣接するように、貫通孔43の上方に配置されている。上補強部材50Aは、左右方向における位置が貫通孔43と重なる。
【0064】
また、上補強部材50Aは、左右方向において、第1クロスメンバ31から第2クロスメンバ32まで延びている。詳しくは、上補強部材50Aの左端部は、左右方向における位置が第1クロスメンバ31と重なり、上補強部材50Aの右端部は、左右方向における位置が第2クロスメンバ32と重なる。
【0065】
図4(a)および図7に示すように、上補強部材50Aは、溶接により上フレーム部21に固定されている。本実施形態では、上補強部材50Aは、第2部分52Aの先端部が4箇所の溶接部W11~W14により上フレーム部21の上面に固定されている。また、上補強部材50Aは、第3部分53Aの先端部が6箇所の溶接部W21~W26により上フレーム部21の下面に固定されている。
【0066】
なお、上補強部材50Aは、第1部分51Aの左右の端部にそれぞれ略円形の貫通孔54Aを有している。2つの貫通孔54Aは、上補強部材50Aを上フレーム部21に溶接する際に、上補強部材50Aを支えるための治具を挿入する孔である。
【0067】
図5に示すように、本実施形態では、上補強部材50Aが上フレーム部21の前側に配置され、パンフレーム40が上フレーム部21の後側に配置されている。これにより、上補強部材50Aとパンフレーム40との干渉を避けつつ、シートバックフレームF2を前後方向にコンパクト化することができる。また、上補強部材50Aが上フレーム部21の直交方向における一方側に配置され、パンフレーム40が上フレーム部21の直交方向における他方側に配置されている。これにより、上補強部材50Aとパンフレーム40との干渉を避けつつ、シートバックフレームF2を直交方向にコンパクト化することができる。
【0068】
また、上補強部材50Aは、パンフレーム40の上端(上フランジ42Aの先端)よりも下に配置されている。これにより、シートバックフレームF2を上下方向にコンパクト化することができる。また、上補強部材50Aは、第1対向方向において、パンフレーム40の上フランジ42Aよりも下フレーム部22(図6参照)に近い位置に配置されている。これにより、シートバックフレームF2を第1対向方向にコンパクト化することができる。
【0069】
図4(a),(b)に示すように、シートバックS2は、線状部材の一例としてのストライカ60をさらに備える。シートバックS2は、着座状態(図1参照)から前に倒すことができるように設けられており、ストライカ60は、シートバックS2が着座状態のときに、車両に設けられた図示しないロック装置に係合する。
【0070】
ストライカ60は、金属製の線材からなる。ストライカ60は、棒状の部材を屈曲させて形成されている。ストライカ60は、一端に第1固定端部61を有し、他端に第2固定端部62を有する。詳しくは、ストライカ60は、第1固定端部61と、第2固定端部62と、ロック装置に係合するリング状部63と、リング状部63の一端から前方に延びる第1延出部64と、リング状部63の他端から前方に延びる第2延出部65とを有する。
【0071】
第1延出部64と第2延出部65は、左右に並んで配置されている。本実施形態では、第2延出部65は、第1延出部64の右に位置する。第1固定端部61は、第1延出部64の前端から上方に延び、第2固定端部62は、第2延出部65の前端から上方に延びている。
【0072】
図7に示すように、第1固定端部61および第2固定端部62は、それぞれ、溶接により上補強部材50Aの第1部分51Aの前面に固定されている(溶接部W31~W34参照)。第1固定端部61および第2固定端部62は、それぞれ、上補強部材50Aの長手方向である左右方向に対して傾斜して延びている。
【0073】
詳しくは、第1固定端部61は、第1延出部64の前端から左斜め上方に延び、第2固定端部62は、第2延出部65の前端から右斜め上方に延びている。これにより、第2固定端部62は、先端である上端に向かうほど第1固定端部61との左右の間隔が大きい。第1固定端部61と第2固定端部62は、前側から見て、略V字形状をなしている。
【0074】
図8および図9に示すように、上補強部材50Aは、ストライカ60との干渉を避けるための切欠55を有する。切欠55は、第3部分53Aに設けられている。切欠55は、第3部分53Aの後端から前方に凹む形状を有している。このような切欠55を有することで、上補強部材50Aと、ストライカ60の第1延出部64および第2延出部65との干渉を避けつつ、上補強部材50Aとストライカ60をコンパクトに配置することができる。
【0075】
図10および図11に示すように、下補強部材50Bは、上補強部材50Aと同様に金属製の板状の部材からなる。下補強部材50Bは、金属板を略U字形状に屈曲させることにより形成されており、第1部分51Bと、第2部分52Bと、第3部分53Bとを有している。
第1部分51Bは、第1対向方向に対して略平行に延びている。
【0076】
第2部分52Bは、第1部分51Bの一方の端から第1部分51Bと異なる方向に延びている。具体的には、第2部分52Bは、第1対向方向に略平行な第1部分51Bの上端から、第1対向方向に交差する方向である後ろ斜め下方に延びている。第2部分52Bは、第1対向方向と、左右方向の両方と直交する直交方向に対して略平行に延びている。第2部分52Bは、パンフレーム40のパンフレーム本体41と略直交するように延びている。
【0077】
第3部分53Bは、第1部分51Bの他方の端から第1部分51Bと異なる方向に延びている。具体的には、第3部分53Bは、第1対向方向に略平行な第1部分51Bの下端から、第1対向方向に交差する方向である後ろ斜め下方に向けて延びている。第3部分53Bは、直交方向に対して略平行に延びている。第3部分53Bは、パンフレーム40のパンフレーム本体41と略直交するように延びている。第2部分52Bと第3部分53Bは、第1対向方向において対向している。
【0078】
下補強部材50Bは、第1部分51Bと第2部分52Bとによって形成される凹部に下フレーム部22が入り込むように配置されている。さらに、本実施形態では、下補強部材50Bは、第1部分51B、第2部分52Bおよび第3部分53Bによって形成される凹部に下フレーム部22が入り込むように配置されている。第2部分52Bは、下フレーム部22に接触している。詳しくは、第2部分52Bの先端部は、下フレーム部22の上面に接触している。
【0079】
図6に示すように、下補強部材50Bは、下フレーム部22の略全体を前から覆うように配置されている。下補強部材50Bは、パンフレーム40の貫通孔43に隣接するように、貫通孔43の下方に配置されている。下補強部材50Bは、左右方向における位置が貫通孔43と重なる。
【0080】
また、下補強部材50Bは、左右方向において、第1クロスメンバ31から第2クロスメンバ32まで延びている。本実施形態では、下補強部材50Bの左右の長さは、上補強部材50Aの左右の長さよりも長い。下補強部材50Bの左端部は、第1クロスメンバ31を超えて、第1クロスメンバ31よりも左まで延びている。また、下補強部材50Bの右端部は、第2クロスメンバ32を超えて、第2クロスメンバ32よりも右まで延びている。
【0081】
下補強部材50Bの左端は、左右方向において、左の一対のホルダ25Lの間の位置に位置している。また、下補強部材50Bの右端は、左右方向において、右の一対のホルダ25Rの間の位置に位置している。
【0082】
図10に示すように、下補強部材50Bは、溶接により下フレーム部22に固定されている。本実施形態では、下補強部材50Bは、第2部分52Bの先端部が9箇所の溶接部W41~W49により下フレーム部22の上面に固定されている。また、下補強部材50Bは、第3部分53Bの先端部が、左右方向において、溶接部W41~W49と対応する位置に位置する9箇所の溶接部W51~W59(図6参照)により上フレーム部21の下面に固定されている。
【0083】
なお、下補強部材50Bは、第1部分51Bに略円形の2つの貫通孔54Bを有している。2つの貫通孔54Bは、下補強部材50Bを下フレーム部22に溶接する際に、下補強部材50Bを支えるための治具を挿入する孔である。本実施形態では、一方の貫通孔54Bは、左右方向における位置が第1クロスメンバ31と重なり、他方の貫通孔54Bは、左右方向における位置が第2クロスメンバ32と重なる。
【0084】
図11に示すように、本実施形態では、下補強部材50Bが下フレーム部22の前側に配置され、パンフレーム40が下フレーム部22の後側に配置されている。これにより、下補強部材50Bとパンフレーム40との干渉を避けつつ、シートバックフレームF2を前後方向にコンパクト化することができる。また、下補強部材50Bが下フレーム部22の直交方向における一方側に配置され、パンフレーム40が下フレーム部22の直交方向における他方側に配置されている。これにより、下補強部材50Bとパンフレーム40との干渉を避けつつ、シートバックフレームF2を直交方向にコンパクト化することができる。
【0085】
また、下補強部材50Bは、パンフレーム40の下端よりも上に配置されている。また、下補強部材50Bは、パンフレーム40の下フランジ42Bの先端(上端)よりも上に配置されている。これにより、シートバックフレームF2を上下方向にコンパクト化することができる。また、下補強部材50Bは、第1対向方向において、下フランジ42Bよりも上フレーム部21(図6参照)に近い位置に配置されている。これにより、シートバックフレームF2を第1対向方向にコンパクト化することができる。
【0086】
本実施形態の車両用シートSによれば、シートバックフレームF2が補強部材50(上補強部材50A、下補強部材50B)を備えることで、シートバックフレームF2の強度を向上させることができる。
【0087】
また、補強部材50の、左右方向における位置が貫通孔43と重なることで、メインフレーム20の、パンフレーム40による補強効果が小さい部分である左右方向の中央部を補強部材50により補強することができる。これにより、シートバックフレームF2の強度を向上させることができる。
【0088】
また、板状の部材からなる補強部材50が、第1部分51A,51Bと、第1部分51A,51Bと異なる方向に延びる第2部分52A,52Bとを有することで、補強部材50自身の強度を向上させることができる。また、本実施形態では、補強部材50が第1部分51A,51B、第2部分52A,52Bおよび第3部分53A,53Bを有する略U字形状であることで、補強部材50自身の強度をより向上させることができる。これにより、シートバックフレームF2の強度をより向上させることができる。
【0089】
また、第2部分52A,52Bが直交方向に対して略平行に延びていることで、補強部材50の耐荷重性を高めることができる。また、本実施形態では、第3部分53A,53Bも直交方向に対して略平行に延びていることで、補強部材50の耐荷重性をより高めることができる。これにより、シートバックフレームF2の強度をより向上させることができる。
【0090】
また、上補強部材50Aの第2部分52Aが上フレーム部21に接触していることで、シートバックフレームF2の強度をより一層向上させることができる。また、下補強部材50Bの第2部分52Bが下フレーム部22に接触していることで、シートバックフレームF2の強度をより一層向上させることができる。
【0091】
また、上補強部材50Aが第1クロスメンバ31から第2クロスメンバ32まで延びていることで、上補強部材50Aにより上フレーム部21の第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32との間の部分の強度を向上させることができる。また、下補強部材50Bが第1クロスメンバ31から第2クロスメンバ32まで延びていることで、下補強部材50Bにより下フレーム部22の第1クロスメンバ31と第2クロスメンバ32との間の部分の強度を向上させることができる。これにより、シートバックフレームF2の強度をより向上させることができる。
【0092】
また、ストライカ60の第1固定端部61が溶接により上補強部材50Aに固定されることで、上補強部材50Aの強度を向上させることができる。また、ストライカ60の第2固定端部62が溶接により上補強部材50Aに固定されることで、上補強部材50Aの強度を向上させることができる。これにより、シートバックフレームF2の強度をより向上させることができる。
【0093】
また、第1固定端部61が上補強部材50Aの長手方向に対して傾斜して延びていることで、例えば、第1固定端部が第1対向方向に延びる場合と比較して、第1固定端部61の長さを長くできるので、溶接面積を大きくすることができる。また、第2固定端部62が上補強部材50Aの長手方向に対して傾斜して延びていることで、例えば、第2固定端部が第1対向方向に延びる場合と比較して、第2固定端部62の長さを長くできるので、溶接面積を大きくすることができる。これにより、上補強部材50Aの強度をより向上させることができるので、シートバックフレームF2の強度をより一層向上させることができる。
【0094】
また、第2固定端部62が先端に向かうほど第1固定端部61との間隔が大きいことで、例えば、第1固定端部および第2固定端部の両方が第1対向方向に延びる場合と比較して、第2固定端部62の長さを長くできるので、溶接面積を大きくすることができる。これにより、上補強部材50Aの強度をより向上させることができるので、シートバックフレームF2の強度をより一層向上させることができる。
【0095】
以上、実施形態について説明したが、乗物用シートは以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0096】
前記実施形態では、第1固定端部61と第2固定端部62が略V字形状をなすように延びていたが、例えば、第1固定端部と第2固定端部は、略平行に延びていてもよい。また、前記実施形態では、第1固定端部61が上補強部材50Aの長手方向に対して傾斜して延びていたが、例えば、第1固定端部は、補強部材の長手方向と略平行に延びていてもよいし、第1対向方向と略平行に延びていてもよい。第2固定端部も同様である。
【0097】
前記実施形態では、線状部材としてストライカ60を例示したが、線状部材は、線材からなり、溶接により補強部材に固定された固定端部を有する部材であれば、ストライカ以外の部材であってもよい。また、線状部材は、第1固定端部のみを有する構成、すなわち、一端部のみが溶接により補強部材に固定され、他端部は補強部材に固定されない構成であってもよい。また、車両用シートは、線状部材を備えない構成であってもよい。
【0098】
前記実施形態では、補強部材50が少なくとも第1クロスメンバ31から第2クロスメンバ32まで延びている構成であったが、例えば、補強部材は、第1クロスメンバと第2クロスメンバの間に配置される構成であってもよい。また、補強部材は、第3フレーム部と第4フレーム部が対向する方向における位置が、第1クロスメンバおよび第2クロスメンバの一方のみと重なる構成であってもよい。
【0099】
前記実施形態では、シートバックフレームF2が2つのクロスメンバ31,32を備える構成であったが、例えば、シートバックフレームは、クロスメンバを1つだけ備える構成であってもよいし、3つ以上のクロスメンバを備える構成であってもよい。また、シートバックフレームは、クロスメンバを備えない構成であってもよい。
【0100】
前記実施形態では、上補強部材50Aの第2部分52Aが上フレーム部21に接触し、また、下補強部材50Bの第2部分52Bが下フレーム部22に接触していたが、例えば、第2部分が第1フレーム部に接触していない構成であってもよい。
【0101】
前記実施形態では、第2部分52A,52Bが直交方向に対して略平行に延びていたが、例えば、第2部分は、直交方向に対して傾斜して延びていてもよい。第3部分も同様である。
【0102】
前記実施形態では、上補強部材50Aが第1部分51A、第2部分52Aおよび第3部分53Aを有する略U字形状であったが、例えば、上補強部材は、第1部分および第2部分を有し、第3部分を有しない略L字形状であってもよい。また、上補強部材は、第2部分を有しない平らな板状であってもよい。下補強部材も同様である。
【0103】
前記実施形態では、補強部材50が板状の部材からなる構成であったが、例えば、補強部材は、パイプやロッドなどからなる構成であってもよい。
【0104】
前記実施形態では、パンフレーム40が第1対向方向に長い貫通孔43を備える構成であったが、例えば、パンフレームは、第1対向方向に長い貫通孔を備えない構成であってもよい。
【0105】
前記実施形態では、シートバックフレームF2は、パンフレーム40がメインフレーム20を後ろから覆うように配置された構成であったが、例えば、シートバックフレームは、パンフレームがメインフレームを前から覆うように配置された構成であってもよい。この場合、補強部材は、第1フレーム部を後ろから覆うように配置されていてもよい。
【0106】
前記実施形態では、上補強部材50Aと下補強部材50Bという2つの補強部材を備える構成であったが、例えば、補強部材は、1つだけであってもよい。また、前記実施形態では、上フレーム部21に1つの上補強部材50Aが固定され、また、下フレーム部22に1つの下補強部材50Bが固定された構成、すなわち、第1フレーム部に1つの補強部材が固定された構成であったが、例えば、第1フレーム部に、複数の補強部材が固定された構成であってもよい。
【0107】
前記実施形態では、第1フレーム部および第2フレーム部がメインフレーム20の上下のフレーム部21,22であり、第3フレーム部および第4フレーム部がメインフレーム20の左右のフレーム部23,24であったが、例えば、第1フレーム部および第2フレーム部がメインフレームの左右のフレーム部であり、第3フレーム部および第4フレーム部がメインフレームの上下のフレーム部であってもよい。言い換えると、前記実施形態では、補強部材50がメインフレーム20の上下のフレーム部21,22に固定されていたが、例えば、補強部材は、メインフレームの左右のフレーム部に固定されていてもよい。
【0108】
前記実施形態では、補強部材が固定される第1フレーム部がパイプからなる構成であったが、例えば、第1フレーム部は、板状の部材などからなる構成であってもよい。
【0109】
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、例えば、車両用シートは、鉄道車両などに搭載されるシートであってもよい。また、乗物用シートは、車両以外の乗物、例えば、飛行機や船舶などに搭載されるシートであってもよい。
【0110】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0111】
20 メインフレーム
21 上フレーム部
22 下フレーム部
23 左フレーム部
24 右フレーム部
31 第1クロスメンバ
32 第2クロスメンバ
40 パンフレーム
43 貫通孔
50 補強部材
50A 上補強部材
50B 下補強部材
51A,51B 第1部分
52A,52B 第2部分
60 ストライカ
61 第1固定端部
62 第2固定端部
C1 シートクッション表皮
C2 シートバック表皮
F1 シートクッションフレーム
F2 シートバックフレーム
P1 シートクッションパッド
P2 シートバックパッド
S 車両用シート
S1 シートクッション
S2 シートバック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11