(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090228
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】認知機能推定装置及び認知機能推定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240627BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20240627BHJP
【FI】
A61B10/00 H
G16H50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205975
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鴇田 成俊
(72)【発明者】
【氏名】河村 健
(72)【発明者】
【氏名】大段 翔平
(72)【発明者】
【氏名】小野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】堀切 一輝
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】認知症を早期発見することができる認知機能推定装置及び認知機能推定方法を提供する。
【解決手段】認知機能推定装置1は、冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定部12と、人物特定部12が特定した人物毎に、冷蔵庫のドアの開閉を検出する検出部14と、冷蔵庫内における人物の手の動きを検出する動作検出部19と、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、動作検出部19が人物の手の動きを検出している傾向を検出する傾向検出部15と、傾向検出部15の検出結果に基づき、人物の認知機能の低下を推定する推定部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定部と、
前記人物特定部が特定した人物毎に、前記冷蔵庫のドアの開閉を検出する検出部と、
前記冷蔵庫内における前記人物の手の動きを検出する動作検出部と、
前記検出部が前記冷蔵庫の前記ドアの開状態を検出してから、前記動作検出部が前記人物の前記手の前記動きを検出している傾向を検出する傾向検出部と、
前記傾向検出部の検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する推定部と、
を備える、認知機能推定装置。
【請求項2】
前記傾向検出部は、前記検出部が前記冷蔵庫の前記ドアの前記開状態を検出してから、前記動作検出部が前記手の前記動きを検出している期間の長さの傾向を検出し、
前記推定部は、前記傾向検出部の検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する、
請求項1に記載の認知機能推定装置。
【請求項3】
前記傾向検出部は、前記検出部が前記冷蔵庫の前記ドアの前記開状態を検出してから、前記動作検出部が前記手の前記動きを検出している期間が長くなる傾向を検出し、
前記推定部は、前記傾向検出部の検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する、
請求項2に記載の認知機能推定装置。
【請求項4】
前記人物特定部が特定した人物毎に、前記冷蔵庫における物品の出庫を判断する判断部をさらに備え、
前記推定部は、前記傾向検出部の検出結果に加えて、前記動作検出部が前記手の前記動きを検出した後における前記判断部による前記物品の前記出庫の有無に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する、
請求項2または3に記載の認知機能推定装置。
【請求項5】
冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定ステップと、
前記人物特定ステップで特定した人物毎に、前記冷蔵庫のドアの開閉を検出する検出ステップと、
前記冷蔵庫内における前記人物の手の動きを検出する動作検出ステップと、
前記検出ステップで前記冷蔵庫の前記ドアの開状態を検出してから、前記動作検出ステップで前記人物の前記手の前記動きを検出している傾向を検出する傾向検出ステップと、
前記傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する推定ステップと、
を認知機能推定装置が実行する認知機能推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認知機能推定装置及び認知機能推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、日常生活で使用する洗面所または化粧台等を使用するときに、対象者の身体を撮影し、手等のふるえを検出する技術が開示されている。このような技術は、対象者の身体の動きとして確認できる症状を検知することに有用であるが、認知症の初期症状である日常生活における判断力の低下等、明確な身体の動きとして現れない症状に対しての検出は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
認知症等の早期発見と早期対策が望まれている。しかし、症状は本人や周囲の人物が気づかない程度に徐々に進むため、気づかない場合もある。また、本人が検査等を受けたがらないこともある。このため、日常生活の中で意識せずに認知症等の初期段階の可能性を検知することが望まれている。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、認知症を早期発見することができる認知機能推定装置及び認知機能推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本開示は、冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定部と、前記人物特定部が特定した人物毎に、前記冷蔵庫のドアの開閉を検出する検出部と、前記冷蔵庫内における前記人物の手の動きを検出する動作検出部と、前記検出部が前記冷蔵庫の前記ドアの開状態を検出してから、前記動作検出部が前記人物の前記手の前記動きを検出している傾向を検出する傾向検出部と、前記傾向検出部の検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する推定部と、を備える、認知機能推定装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定ステップと、前記人物特定ステップで特定した人物毎に、前記冷蔵庫のドアの開閉を検出する検出ステップと、前記冷蔵庫内における前記人物の手の動きを検出する動作検出ステップと、前記検出ステップで前記冷蔵庫の前記ドアの開状態を検出してから、前記動作検出ステップで前記人物の前記手の前記動きを検出している傾向を検出する傾向検出ステップと、前記傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する推定ステップと、を認知機能推定装置が実行する認知機能推定方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、認知症を早期発見することができる認知機能推定装置及び認知機能推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る認知機能推定装置を例示したブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫数の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【
図3】実施形態1に係る対象人物による入出庫履歴を例示した図である。
【
図4】実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫数の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【
図5】実施形態1に係る認知機能推定方法において、賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【
図6】実施形態1に係る認知機能推定方法において、賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【
図7】実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【
図8】実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【
図9】実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する別の場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【
図10】実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する別の場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【
図11】実施形態2に係る認知機能推定装置を例示したブロック図である。
【
図12】実施形態3に係る認知機能推定装置を例示したブロック図である。
【
図13】実施形態3に係る認知機能推定方法において、冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【
図14】実施形態3に係る認知機能推定方法において、冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【
図15】実施形態4に係る認知機能推定装置を例示したブロック図である。
【
図16】実施形態4に係る認知機能推定方法において、手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【
図17】実施形態4に係る認知機能推定方法において、手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。また、図面が煩雑にならないように、いくつかの符号は省略されている。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1に係る認知機能推定装置を説明する。認知機能推定装置は、家庭用の冷蔵庫の機能として実装される装置、または、家庭用の冷蔵庫に取り付けられる装置である。特に、認知機能推定装置は、一人暮らしの高齢者向けの冷蔵庫に実装または取り付けられることが好ましい。
【0012】
図1は、実施形態1に係る認知機能推定装置を例示したブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の認知機能推定装置1は、制御部10を備えている。認知機能推定装置1は、制御部10に加えて、さらに、第1カメラ21、第2カメラ22、開閉センサ23及び表示部24を備えてもよい。なお、認知機能推定装置1は、第1カメラ21、第2カメラ22、開閉センサ23及び表示部24のいずれかと、独立した装置として構成されてもよい。また、第1カメラ21及び第2カメラ22は、一体化してもよい。
【0013】
第1カメラ21は、冷蔵庫のドアが開けられたときに、冷蔵庫の前に存在する人物を撮影するためのカメラである。第1カメラ21は、冷蔵庫の庫内に配置されてもよい。第1カメラ21は、冷蔵庫のドアが開けられたときの開口部方向を向いて配置されてもよい。第1カメラ21は、冷蔵庫のドアの開状態が検出されたときに撮影を開始してもよい。
【0014】
第2カメラ22は、冷蔵庫に入庫する物品または冷蔵庫から出庫する物品を撮影するためのカメラである。第2カメラ22は、冷蔵庫の庫内上方に、下方を向いて配置されてもよい。第2カメラ22は、冷蔵庫のドアの開状態が検出されたときに撮影を開始してもよい。
【0015】
開閉センサ23は、冷蔵庫のドアの開閉情報を取得するセンサである。例えば、開閉センサ23は、ドアの開状態のときにオン状態となり、ドアの閉状態のときにオフ状態となるスイッチ等でもよい。
【0016】
制御部10は、撮影制御部11、人物特定部12、判断部13、検出部14、傾向検出部15、推定部16及び表示制御部17を有している。
【0017】
撮影制御部11は、第1カメラ21及び第2カメラ22と情報伝達可能に接続されている。撮影制御部11は、第1カメラ21の撮影を制御する。撮影制御部11は、第1カメラ21が撮影した人物の映像を取得してもよい。また、撮影制御部11は、第2カメラ22の撮影を制御する。撮影制御部11は、第2カメラ22が撮影した物品の映像を取得してもよい。
【0018】
人物特定部12は、第1カメラ21が撮影した人物の映像から、撮影された人物を特定する。例えば、人物特定部12は、第1カメラ21が撮影した人物の映像から、特に、人物の顔を検出してもよい。そして、人物特定部12は、撮影された個人を特定してもよい。このようにして、人物特定部12は、冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する。なお、人物特定部12が冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する方法は、第1カメラ21の人物の映像に限らない。例えば、冷蔵庫のドアの開閉時に用いる認証方法から冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定してもよい。また、冷蔵庫が一人暮らしの高齢者の物である場合には、冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を当該高齢者に特定してもよい。
【0019】
判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫に入庫した物品または冷蔵庫から出庫した物品を判断する。これにより、判断部13は、冷蔵庫に入庫した物品または冷蔵庫から出庫した物品を特定する。判断部13は、AIを用いて、物品の商品パッケージや、形状等から、物品を特定してもよい。判断部13は、新規の入庫、及び、利用による入庫の物品を特定してもよい。判断部13は、出庫の物品を特定してもよい。
【0020】
判断部13は、人物特定部12が特定した人物毎に、冷蔵庫に入庫した物品及び冷蔵庫から出庫した物品を判断してもよい。また、判断部13は、人物特定部12が特定した人物毎に、冷蔵庫に対する物品の入庫及び出庫を判断してもよい。
【0021】
判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫に入庫した物品または冷蔵庫から出庫した物品を判断及び特定し、その物品に記載されている賞味期限または消費期限を特定してもよく、その物品の一般的な賞味期限または消費期限を判断してもよい。一般的な賞味期限については、例えば、物品が豆腐の場合には、判断部13は、賞味期限または消費期限を4日と判断してもよい。例えば、認知機能推定装置1に設けられた記憶装置等の記憶部、または、認知機能推定装置1と通信により情報伝達可能な記憶装置等の記憶部に、あらかじめ、一般的な物品の賞味期限または消費期限を記憶させてもよい。そして、判断部13は、入庫した物品に応じて、賞味期限または消費期限を判断及び特定してもよい。
【0022】
検出部14は、開閉センサ23と情報伝達可能に接続されている。検出部14は、開閉センサ23によって取得された冷蔵庫のドアの開閉を検出する。検出部14は、冷蔵庫のドアが開いたとき、ドアの開状態を検出する。検出部14は、冷蔵庫のドアが閉じたとき、ドアの閉状態を検出する。検出部14は、人物特定部12が特定した人物毎に、冷蔵庫のドアの開閉を検出してもよい。
【0023】
傾向検出部15は、判断部13が判断及び特定した物品の入庫数及び出庫数を、人物毎に計測し、傾向を検出する。また、傾向検出部15は、判断部13が判断及び特定した物品の入庫回数及び出庫回数を、人物毎に計測し、傾向を検出してもよい。傾向検出部15は、判断部13によって判断された物品における出庫数及び入庫数の傾向を検出する。傾向検出部15は、判断部13によって判断された物品における出庫数に対して入庫数が過剰となっている傾向を検出してもよい。
【0024】
例えば、傾向検出部15は、特定の人物による、特定の物品毎の入庫及び出庫を、1ケ月単位毎の統計に基づいて、入庫数量が出庫数量より1.2倍以上であることを検出してもよい。このように、傾向検出部15は、入庫数量が出庫数量よりも多い過剰入庫傾向であることを検出してもよい。また、傾向検出部15は、検出した傾向の頻度が高くなっていることを検出してもよい。
【0025】
また、傾向検出部15は、判断部13によって判断された物品のうち、賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向を検出する。例えば、傾向検出部15は、出庫した物品の賞味期限または消費期限の超過日数の傾向、または、賞味期限または消費期限を超過した物品が出庫されていない傾向にあることを、人物毎に検出する。また、傾向検出部15は、検出した傾向の頻度が高くなっていることを検出してもよい。
【0026】
さらに、傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、判断部13の判断結果による冷蔵庫に対する物品の入庫または出庫が行われない状態の傾向を検出する。
【0027】
具体的には、傾向検出部15は、冷蔵庫のドアが開状態となったときから、入庫または出庫が行われずにドアが閉状態となるまでの期間を、人物毎に計測し、その傾向を検出する。例えば、傾向検出部15は、開状態から入出庫なしで閉状態となるまでの期間が60秒等の所定の時間よりも長い傾向にあることを検出してもよい。また、傾向検出部15は、開状態から入出庫なしで閉状態となるまでの期間が60秒等の所定の時間よりも長い期間が続く傾向を検出してもよい。さらに、開状態から入出庫なしで閉状態となるまでの期間が徐々に長くなる傾向を検出してもよい。このように、傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、判断部13の判断結果による冷蔵庫に対する物品の入庫または出庫が行われずにドアが閉状態となるまでの期間の長さの傾向を検出してもよい。なお、所定の時間の60秒は、一例である。
【0028】
また、傾向検出部15は、冷蔵庫のドアが開状態となったときから、物品の入庫または出庫までの期間を人物毎に計測し、その傾向を検出してもよい。例えば、傾向検出部15は、開状態から物品の入出庫までの期間が60秒等の所定の時間よりも長い傾向にあることを検出してもよい。
【0029】
また、傾向検出部15は、開状態から物品の入出庫までの期間が60秒等の所定の時間よりも長い期間が続く傾向を検出してもよい。さらに、開状態から入出庫までの期間が徐々に長くなる傾向を検出してもよい。このように、傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、判断部13の判断結果による冷蔵庫に対する物品の入庫または出庫までの期間の長さの傾向を検出してもよい。
【0030】
傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、判断部13の判断結果による冷蔵庫に対する物品の入庫または出庫が行われずにドアが閉状態となる回数の傾向を検出してもよい。例えば、傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアが開状態となったことを検出してから、判断部13の判断結果による冷蔵庫に対する物品の入庫または出庫が行われずにドアが閉状態となるまでの回数が5回等の所定の回数よりも多い傾向にあることを検出してもよい。なお、所定の回数の5回は、一例である。
【0031】
推定部16は、傾向検出部15の検出結果に基づき、人物の認知機能の低下を推定する。具体的には、推定部16は、傾向検出部15の検出結果に基づき、人物の認知機能が低下していること、言い換えると、認知症可能性を推定する。例えば、推定部16は、特定の物品の出庫数に対して入庫数が過剰となっている人物を認知症可能性有りと推定する。また、推定部16は、傾向検出部15の検出結果に基づき、賞味期限または消費期限を超過している物品が多い傾向にある人物を認知症可能性有りと推定してもよい。
【0032】
また、推定部16は、傾向検出部15の検出結果に基づき、冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、物品の入出庫までの期間が所定の期間よりも長い傾向にある人物を認知症可能性有りと推定する。また、推定部16は、入出庫が行われずにドアが閉状態となるまでの期間が所定の期間よりも長い傾向にある人物を認知症可能性有りと推定する。
【0033】
また、推定部16は、冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、物品の入出庫までの期間が所定の期間よりも長い場合の回数に基づいて、認知症可能性を推定する。また、推定部16は、入出庫が行われずにドアが閉状態となるまでの期間が所定の期間よりも長い場合の回数に基づいて認知症可能性を推定する。
【0034】
例えば、特定の人物により、ドアが開状態となったときから物品の入出庫が行われるまでの期間が60秒以上ある場合に、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。また、そのような傾向が増加している場合に、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。また、ドアが開状態となったときから物品の入出庫が行われずにドアが閉状態となるまでの期間が30秒以上ある場合に、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。また、そのような傾向が増加している場合に、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。
【0035】
また、例えば、物品の入出庫のない開閉の回数が、1ケ月に20回以上ある場合に、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。物品の入出庫のない開閉の回数の1ケ月毎の回数が、年間で増加傾向にある場合に、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。
【0036】
また、推定部16は、傾向検出部15が検出した傾向の頻度に基づき、人物の認知症可能性を推定してもよい。このような結果に基づき、通知が行われる。通知は、例えば、表示部24に表示される。
【0037】
表示制御部17及び表示部24は、通知を行う構成の例である。表示制御部17は、表示部24による通知の表示を制御する。表示部24は、冷蔵庫に設けられてもよい。この場合には、通知は、冷蔵庫に設けられた表示部24において表示される。なお、通知は、対象者の家族のメールアドレスなどに通知内容を送信することにより行われてもよい。この場合には、表示制御部17及び表示部24の代わりに、または、表示制御部17及び表示部24に加えて、制御部10は、通信制御部及び通信部を有してもよい。通信制御部は、通信部による通知の送信を制御する。また、制御部10は、表示制御部17及び表示部24の代わりに、スピーカ制御部及びスピーカを有してもよい。スピーカ制御部は、スピーカによる通知を制御する。
【0038】
<認知機能推定方法>
次に、本実施形態の認知機能推定装置が実行する認知機能推定方法を説明する。認知機能推定方法を<物品の入出庫数の傾向から認知機能の低下を推定する場合>、<賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向から認知機能の低下を推定する場合>、<物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する場合>に分けて説明する。
【0039】
<物品の入出庫数の傾向から認知機能の低下を推定する場合>
まず、物品の入出庫数の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を含む認知機能推定方法を説明する。
図2は、実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫数の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【0040】
図2のステップS11に示すように、冷蔵庫のドアが開いたか否かを判定する。例えば、検出部14は、冷蔵庫のドアの開閉を検出する開閉センサ23から情報を取得することにより、冷蔵庫のドアが開いたかを否かを判定する。ステップS11において、冷蔵庫のドアが開いていないと判断された場合(ステップS11:No)、処理を終了する。
【0041】
一方、ステップS11において、冷蔵庫のドアが開いたと判定された場合(ステップS11:Yes)、ステップS12に示すように、人物を特定する。このように、認知機能推定方法は、冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定ステップを有してもよい。例えば、人物特定部12は、第1カメラ21が撮影した人物の映像から、冷蔵庫のドアを開けた人物を特定する。
【0042】
次に、ステップS13に示すように、特定した人物が対象人物か否かを判定する。例えば、人物特定部12は、ステップS12で特定した人物が対象人物か判定する。対象人物とは、本処理において物品の入庫および出庫の履歴を取得する対象の人物であり、言い換えると、後述する
図4の処理を用いて認知機能の低下を推定する対象の人物である。ステップS13において、特定した人物が対象人物でないと判定された場合(ステップS13:No)、処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS13において、特定した人物が対象人物であると判定された場合(ステップS13:Yes)、ステップS14に示すように、物品が入庫されたか否かを判定する。例えば、判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫に物品が入庫されたか判定する。ステップS14において、冷蔵庫に物品が入庫されないと判定された場合(ステップS14:No)、ステップS17に進む。
【0044】
一方、ステップS14において、冷蔵庫に物品が入庫されたと判定された場合(ステップS14:Yes)、ステップS15に示すように、冷蔵庫に入庫された物品が特定されたか否かを判定する。例えば、判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫に入庫された物品が特定されたか否かを判定する。ステップS15において、冷蔵庫に入庫された物品が特定されない場合(ステップS15:No)、ステップS20に進む。
【0045】
一方、ステップS15において、冷蔵庫に入庫された物品が特定された場合(ステップS15:Yes)、ステップS16に示すように、冷蔵庫に入庫された物品の履歴を記憶する。例えば、判断部13は、冷蔵庫に入庫された物品を、記憶装置等に記憶された入出庫履歴に記憶させる。そして、ステップS20に進む。
【0046】
図3は、実施形態1に係る対象人物による入出庫履歴を例示した図である。
図3に示すように、入出庫履歴は、牛乳及び豆腐等の特定された物品について、入庫及び出庫の数量と日時とが記憶されている。
図3において、「Milk」は牛乳を示し、「Tofu」は豆腐を示す。「in」は入庫を示し、「out」は出庫を示す。例えば、特定の商品例として、具体的商品名よりは、牛乳及び豆腐等の商品ジャンルで分類されることが好ましい。
【0047】
ステップS14において、冷蔵庫に物品が入庫されたと判定されない場合(ステップS14:No)、ステップS17に示すように、物品が冷蔵庫から出庫されたか否かを判定する。例えば、判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫から物品が出庫されたか判定する。このように、認知機能推定方法は、人物特定ステップで特定した人物毎に、冷蔵庫に入庫した物品及び冷蔵庫から出庫した物品を判断・特定する判断ステップを有してもよい。ステップS17において、物品が冷蔵庫から出庫されたと判定されない場合(ステップS17:No)、ステップS20に進む。
【0048】
一方、ステップS17において、冷蔵庫から物品が出庫されたと判断された場合(ステップS17:Yes)、ステップS18に示すように、冷蔵庫から出庫された物品が特定されたか否かを判定する。例えば、判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫から出庫された物品が特定されたか否かを判定する。ステップS18において、冷蔵庫から出庫された物品が特定されない場合(ステップS18:No)、ステップS20に進む。
【0049】
一方、ステップS18において、冷蔵庫から出庫された物品が特定された場合(ステップS18:Yes)、ステップS19に示すように、冷蔵庫から出庫された物品の履歴を記憶する。例えば、判断部13は、冷蔵庫から出庫された物品を、記憶部等に記憶された入出庫履歴に記憶させる。そして、ステップS20に進む。
【0050】
ステップS20では、ドアが閉じたか否か判定する。例えば、検出部14は、開閉センサ23によってドアが閉状態となったか否かを判定する。ドアが閉じたと判定されない場合(ステップS20:No)、ステップS14に戻る。そして、ステップS14~S16及びステップS17~S19の少なくともいずれかのステップを行う。一方、ドアが閉じたと判定された場合(ステップS20:Yes)、処理を終了する。
【0051】
次に、物品の入出庫数の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を説明する。
図4は、実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫数の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【0052】
図4のステップS21に示すように、所定物品に対する所定期間の入出庫履歴を参照する。例えば、傾向検出部15は、特定の人物が特定の物品を入出庫した入出庫履歴を参照する。
【0053】
次に、ステップS22に示すように、過剰入庫傾向か否かを判定する。例えば、傾向検出部15は、特定の人物による、特定の物品の入出庫を、例えば、1ケ月単位毎の統計に基づき、入庫数量が出庫数量より1.2倍以上である場合は、過剰入庫傾向と判定する。このように、認知機能推定方法は、判断ステップで判断された物品における出庫数と入庫数の傾向を検出する傾向検出ステップを有してもよい。
【0054】
ステップS22において、過剰入庫傾向であると判定された場合(ステップS22:Yes)、ステップS23に示すように、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。そして、ステップS25に進む。一方、ステップS22において、過剰入庫傾向ではないと判定された場合(ステップS22:No)、ステップS24に示すように、推定部16は、認知症可能性なしと推定する。そして、ステップS25に進む。このように、認知機能推定方法は、傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、人物の認知機能の低下を推定する推定ステップを有してもよい。
【0055】
次に、ステップS25に示すように、通知を行う。例えば、表示制御部17は、表示部24を制御して、表示部24に通知の表示を行わせる。そして、処理を終了する。
【0056】
<賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向から認知機能の低下を推定する場合>
次に、賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を説明する。
図5は、実施形態1に係る認知機能推定方法において、賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【0057】
図5に示すステップS31からステップS34、ステップS37、およびステップS40の処理は、
図2に示すステップS11からステップS14、ステップS17、およびステップS20の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0058】
ステップS34において、冷蔵庫に物品が入庫されたと判定された場合(ステップS34:Yes)、ステップS35に示すように、冷蔵庫に入庫された物品が特定されたか否かを判定する。このとき、冷蔵庫に入庫された物品の特定に加えて、物品の期限情報を特定する。物品の期限情報とは、物品の賞味期限または消費期限等の情報である。物品の期限情報は、例えば、判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫に入庫または出庫した物品を判断及び特定し、その物品の一般的な賞味期限または消費期限を判断する。ステップS35において、冷蔵庫に入庫された物品が特定されない場合(ステップS35:No)、ステップS40に進む。
【0059】
一方、ステップS35において、冷蔵庫に入庫された物品が特定された場合(ステップS35:Yes)、ステップS36に示すように、冷蔵庫に入庫された物品と、賞味期限または消費期限等の期限情報を記憶する。そして、ステップS40に進む。
【0060】
ステップS37において、冷蔵庫から物品が出庫されたと判定された場合(ステップS37:Yes)、ステップS38に示すように、冷蔵庫から出庫された物品が特定されたか否かを判定する。ステップS38においても、ステップS35と同様に、物品の期限情報を特定する。ステップS38において、冷蔵庫から出庫された物品が特定されない場合(ステップS38:No)、ステップS40に進む。
【0061】
一方、ステップS38において、冷蔵庫から出庫された物品が特定された場合(ステップS38:Yes)、ステップS39に示すように、冷蔵庫から出庫された物品と、賞味期限または消費期限等の期限情報を反映させる。そして、ステップS40に進む。
【0062】
次に、賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を説明する。
図6は、実施形態1に係る認知機能推定方法において、賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【0063】
図6のステップS41に示すように、所定物品に対する所定期間の入出庫履歴を参照する。次に、ステップS42に示すように、期限超過傾向か否かを判定する。例えば、傾向検出部15は、出庫した物品の期限の超過日数の傾向、または、期限超過した物品が出庫されていない傾向にあることを、人物毎に検出する。このように、認知機能推定方法は、判断ステップで判断された物品における賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向を検出する傾向検出ステップを有してもよい。
【0064】
ステップS42において、期限超過傾向であると判定された場合(ステップS42:Yes)、ステップS43に示すように、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。そして、ステップS45に進む。一方、ステップS42において、期限超過傾向ではないと判定された場合(ステップS42:No)、ステップS44に示すように、推定部16は、認知症可能性なしと推定する。このように、認知機能推定方法は、傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、人物の認知機能の低下を推定する推定ステップを有してもよい。そして、ステップS45に進む。
【0065】
次に、ステップS45に示すように、通知を行う。例えば、表示制御部17は、表示部24を制御して、表示部24に通知の表示を行わせる。そして、処理を終了する。
【0066】
<物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する場合>
次に、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を含む認知機能推定方法を説明する。
図7は、実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【0067】
図7に示すステップS51からステップ53、およびステップS54は、
図2に示すステップS11からステップS13、およびステップS20の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0068】
ステップS53において、特定した人物が対象人物であると判断された場合(ステップS53:Yes)、ステップS54に示すように、冷蔵庫のドアが閉状態となったか否かを判定する。ステップS54において、ドアが閉じたと判定されない場合(ステップS54:No)、ステップS54を繰り返す。このように、認知機能推定方法は、人物特定ステップで特定した人物毎に、冷蔵庫のドアの開閉を検出する検出ステップを有してもよい。
【0069】
一方、ステップS54において、ドアが閉じたと判定された場合(ステップS54:Yes)、ステップS55に示すように、ドアの開閉間中に物品の入出庫があったか判定する。例えば、判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、ドアの開閉間中に冷蔵庫に入庫された物品または冷蔵庫から出庫された物品があったか判定する。つまり、判断部13は、ステップS15でドアが開いたと判断されたときから、ステップS54でドアが閉じたと判断されるまでのドア開閉期間中、冷蔵庫に入庫された物品または冷蔵庫から出庫された物品の有無を判断する。
【0070】
このように、認知機能推定方法は、人物特定ステップで特定した人物毎に、冷蔵庫に対する物品の入出庫を判断する判断ステップを有してもよい。ステップS55において、ドアの開閉間中に物品の入出庫があったと判定された場合(ステップS55:Yes)、ステップS56に示すように、ドアが開いた時から物品の入出庫までの期間を記憶する。例えば、判断部13は、記憶装置等に記憶された期間履歴に、当該期間を記憶する。そして、処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS55において、ドアの開閉間中に物品の入出庫があったと判定されない場合(ステップS55:No)、ステップS57に示すように、ドアが開いた時からドアが閉じるまでの期間を記憶する。例えば、判断部13は、記憶装置等に記憶された期間履歴に、当該期間を記憶する。そして、処理を終了する。
【0072】
次に、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を説明する。
図8は、実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【0073】
図8のステップS61に示すように、ドアが開いたときからの物品の入出庫履歴、または、ドアが開いた時からドアが閉じるまでの期間履歴を参照する。例えば、傾向検出部15は、記憶装置等に記憶された入出庫履歴または期間履歴を参照する。そして、傾向検出部15は、冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、冷蔵庫に対する物品の入出庫が行われない状態の傾向を検出する。このように、認知機能推定方法は、検出ステップで冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、判断ステップの判断結果による冷蔵庫に対する物品の入出庫が行われない状態の傾向を検出する傾向検出ステップを有してもよい。
【0074】
次に、ステップS62に示すように、参照した期間が長い傾向にあるか否かを判定する。例えば、傾向検出部15は、ドアが開状態となったときから物品の入出庫が行われるまでの期間が60秒以上ある場合を長い傾向として検出してもよい。また、傾向検出部15は、そのような傾向が増加している場合を長い傾向として検出してもよい。また、傾向検出部15は、ドアが開状態となったときから物品の入出庫が行われずにドアが閉となるまでの期間が30秒以上ある場合を長い傾向として検出してもよい。また、傾向検出部15は、そのような傾向が増加している場合を長い傾向として検出してもよい。
【0075】
ステップS62において、長い傾向があると判定された場合(ステップS62:Yes)、ステップS63に示すように、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。そして、ステップS65に進む。一方、ステップS62において、長い傾向ではないと判定された場合(ステップS62:No)、ステップS64に示すように、推定部16は、認知症可能性なしと推定する。そして、ステップS65に進む。このように、認知機能推定方法は、傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、人物の認知機能の低下を推定する推定ステップを有してもよい。次に、ステップS65に示すように、通知を行う。そして、処理を終了する。
【0076】
次に、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する別の場合の日常におけるデータ収集処理を含む認知機能推定方法を説明する。
図9は、実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫が行われていない状態の傾向から認知機能の低下を推定する別の場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【0077】
図9に示すステップS71からステップS76の処理は、
図7に示すステップS51からステップS56の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0078】
ステップS75において、ドアの開閉間中に物品の入出庫がなかったと判定された場合(ステップS75:No)、ステップS77に示すように、入出庫のない回数を記憶する。そして、処理を終了する。
【0079】
次に、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知の低下を推定する別の場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を説明する。
図10は、実施形態1に係る認知機能推定方法において、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する別の場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【0080】
図10のステップS81に示すように、ドアが開いたときから物品の入出庫までの期間履歴、または、ドアが開いたときからドアが閉じるまでの期間履歴を参照する。
【0081】
次に、ステップS82に示すように、物品の入出庫が行われずにドアが閉状態となる回数が多いか否かを判定する。例えば、傾向検出部15は、物品の入出庫のない開閉の回数が、1ケ月に20回以上ある場合を回数が多い傾向として検出してもよい。また、傾向検出部15は、物品の入出庫のない開閉の回数の1ケ月毎の回数が、年間で増加傾向にある場合を回数が多い傾向として検出してもよい。
【0082】
ステップS82において、物品の入出庫が行われずにドアが閉状態となる回数が多いと判定された場合(ステップS82:Yes)、ステップS83に示すように、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。そして、ステップS85に進む。一方、ステップS82において、物品の入出庫が行われずにドアが閉状態となる回数が多いと判定されない場合(ステップS82:No)、ステップS84に示すように、推定部16は、認知症可能性なしと推定する。そして、ステップS85に進む。次に、ステップS85に示すように、通知を行う。そして、処理を終了する。
【0083】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の認知機能推定装置1は、冷蔵庫を使用する人物の行動からその人物の認知機能の低下を推定する。よって、認知機能推定装置1は、日常生活の中で意識せずに認知症等の初期段階の可能性を検知することができる。これにより、認知症を早期発見することができる。
【0084】
例えば、認知機能推定装置1は、物品の入出庫数の傾向、賞味期限または消費期限を超過した物品の傾向、及び、物品の入出庫が行われない状態の傾向から認知機能の低下を推定する。よって、特定の人物の認知機能の低下を多角的に推定することができ、認知症などの初期段階を早期に発見することができる。
【0085】
また、認知機能推定装置1は、そのような傾向の頻度に基づいて、特定の人物の認知症可能性を推定する。よって、認知機能の低下を多段的に推定することができる。
【0086】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る認知機能推定装置を説明する。本実施形態の認知機能推定装置では、判断部13は、実施形態1における第2カメラ22の映像に基づく判断に代えて、物品毎のICタグの読み取り結果に基づいて物品の特定等を行う。
【0087】
図11は、実施形態2に係る認知機能推定装置を例示したブロック図である。
図11に示すように、本実施形態の認知機能推定装置2は、制御部30を備えている。認知機能推定装置2は、制御部30に加えて、さらに、第1カメラ21、開閉センサ23、表示部24及び読取部25を備えている。なお、認知機能推定装置2は、第1カメラ21、開閉センサ23、表示部24及び読取部25のいずれかと、独立した装置として構成されてもよい。また、認知機能推定装置2は、第2カメラ22を備えてもよい。
【0088】
読取部25は、物品に備えられているICタグを読み取る。読取部25は、例えば、ICタグリーダである。ICタグリーダは、例えば、冷蔵庫の開口部に設置され、冷蔵庫のドアが開となったことでICタグを読み取ることができる。
【0089】
制御部30は、前述の制御部10の構成に加えて、さらに、情報取得部18を有している。情報取得部18は、読取部25が読み取った物品の情報を取得する。物品の情報は、製品名、賞味期限または消費期限等を含む。
【0090】
判断部13は、読取部25が読み取った情報から、冷蔵庫に入庫した物品または冷蔵庫から出庫した物品を判断及び特定し、その物品の賞味期限または消費期限を判断してもよい。
【0091】
本実施形態の認知機能推定方法は、第2カメラ22の映像による物品の特定に代えて、読取部25のICタグの読み取りによる物品の特定を行う。判断部13は、第2カメラ22の映像に基づく判断に代えて、情報取得部18が取得した物品毎のICタグの読み取り結果に基づいて物品の特定等を行う。
【0092】
本実施形態によれば、認知機能推定装置2は、賞味期限及び消費期限等の物品の情報をICタグから読み取るので、情報の確かさを向上させることができる。また、認知機能推定装置2は、例えば、糖質、カルシウム、油脂等の物品に含まれる栄養素の情報を読み取ることができ、冷蔵庫を使用する人物の健康に役立てることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0093】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る認知機能推定装置を説明する。本実施形態の認知機能推定装置は、冷蔵庫のドアの開閉を行う人物の手の動きから、認知機能の低下を推定する。
図12は、実施形態3に係る認知機能推定装置を例示したブロック図である。
【0094】
図12に示すように、本実施形態の認知機能推定装置3は、制御部40を備えている。認知機能推定装置3は、制御部40に加えて、さらに、第1カメラ21、第2カメラ22、開閉センサ23及び表示部24を備えてもよい。なお、認知機能推定装置3は、第1カメラ21、第2カメラ22、開閉センサ23及び表示部24のいずれかと、独立した装置として構成されてもよい。
【0095】
本実施形態において、第2カメラ22は、冷蔵庫に入庫する物品または冷蔵庫から出庫する物品を撮影するだけでなく、冷蔵庫内における人物の手の動きも撮影する。ここで、冷蔵庫内における手の動きとは、冷蔵庫内に手が差し出されていることが検出できれば、動きの有無は問わない。
【0096】
制御部40は、撮影制御部11、人物特定部12、検出部14、傾向検出部15、推定部16、表示制御部17及び動作検出部19を有している。したがって、前述の制御部10と比べて、制御部40は、判断部13の代わりに動作検出部19を有している。
【0097】
動作検出部19は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫内における人物の手の動きを検出する。動作検出部19は、冷蔵庫内に人物の手が差し出されていることを検出してもよい。
【0098】
傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、動作検出部19が人物の手の動きを検出している傾向を検出する。具体的には、傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、動作検出部19が冷蔵庫内の人物の手の動きを検出している期間の長さの傾向を検出する。例えば、傾向検出部15は、冷蔵庫内に手が差し出されている期間が長い傾向にあることを検出する。長い傾向とは、冷蔵庫内の手の動きを検出している期間が60秒等の所定の時間よりも長い状態でもよい。また、長い傾向とは、冷蔵庫内の手の動きを検出している期間が所定の時間よりも長い状態の回数が1週間等の所定の期間の間に所定の回数よりも多い状態でもよい。傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、動作検出部19が冷蔵庫内に人物の手が差し出されている傾向を検出することとしてもよい。
【0099】
傾向検出部15は、検出部14が冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、動作検出部19が人物の手の動きを検出している期間が長くなる傾向にあることを検出してもよい。長くなる傾向とは、冷蔵庫内の手の動きを検出している期間が回数を重ねるごとに徐々に長くなる状態でもよい。
【0100】
推定部16は、傾向検出部15の検出結果に基づき、手の動きを検出している期間が長い傾向となっている人物を認知症可能性有りと推定する。また、推定部16は、手の動きを検出している期間が長い状態の回数が所定の回数よりも多い傾向となっている人物を認知症可能性有りと推定してもよい。
【0101】
例えば、1週間や1ケ月などの所定期間において、ドアが開状態となってから手の動きを60秒以上検出したことが、冷蔵庫の開閉回数の50%以上であった場合に、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。
【0102】
また、例えば、1週間や1ケ月などの所定期間毎の統計において、ドアが開状態となってから手の動きを60秒以上検出したことが、冷蔵庫の開閉回数の50%以上から増加傾向にある場合に、推定部16は、認知症可能性と推定する。
【0103】
次に、本実施形態の認知機能推定装置が実行する認知機能推定方法を説明する。本実施形態の認知機能推定方法は、<冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する場合>である。
【0104】
<冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する場合>
まず、冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を含む認知機能推定方法を説明する。
図13は、実施形態3に係る認知機能推定方法において、冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【0105】
図13に示すステップS91からステップS93、およびステップS96の処理は、
図1に示すステップS11からステップS13、およびステップS20の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0106】
ステップS93において、特定した人物が対象人物であると判断された場合(ステップS93:Yes)、ステップS94に示すように、冷蔵庫内の手の動作を検出したか否かを判定する。例えば、動作検出部19は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫内の手の動作を検出したか否かを判定する。このように、認知機能推定方法は、冷蔵庫内における人物の手の動きを検出する動作検出ステップを有してもよい。ステップS94における冷蔵庫内の手の動作の検出は、上述したように、冷蔵庫内に手が差し出されていることの検出としてもよい。ステップS94において、冷蔵庫内の手の動作が検出されたと判定されない場合(ステップS94:No)、ステップS96に進む。
【0107】
一方、ステップS94において、冷蔵庫内の手の動作が検出されたと判断された場合(ステップS94:Yes)、ステップS95に示すように、動作検出期間を記憶する。例えば、動作検出部19は、冷蔵庫内の手の動作が検出された動作検出期間を記憶装置等に記憶された動作検出履歴に記憶する。
【0108】
次に、冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を説明する。
図14は、実施形態3に係る認知機能推定方法において、冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【0109】
図14のステップS101に示すように、動作検出履歴を参照する。例えば、傾向検出部15は、冷蔵庫内の手の動作が検出された動作検出履歴を参照する。このように、認知機能推定方法は、検出ステップで冷蔵庫のドアの開状態を検出してから、動作検出ステップで人物の手の動きを検出している傾向を検出する傾向検出ステップを有してもよい。
【0110】
次に、ステップS102に示すように、人物の手の動きを検出している動作期間が長い傾向か否かを判定する。例えば、傾向検出部15は、1週間や1ケ月などの所定期間において、ドアが開状態となってから手の動きが60秒以上検出される傾向にある場合は、動作期間が長い傾向と判定する。
【0111】
ステップS102において、動作期間が長い傾向であると判定された場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に示すように、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。そして、ステップS105に進む。一方、ステップS102において、動作期間が長い傾向と判定されない場合(ステップS102:No)、ステップS104に示すように、推定部16は、認知症可能性なしと推定する。そして、ステップS105に進む。このように、認知機能推定方法は、傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、人物の認知機能の低下を推定する推定ステップを有してもよい。次に、ステップS105に示すように、通知を行う。そして、処理を終了する。
【0112】
本実施形態によれば、認知機能推定装置3は、冷蔵庫内における手の動きから認知機能の低下を推定する。よって、認知機能推定装置3は、物品の入出庫がない場合でも認知症等の初期段階の可能性を検知することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0113】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る認知機能推定装置を説明する。本実施形態の認知機能推定装置は、手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から、認知機能の低下を推定する。
図15は、実施形態4に係る認知機能推定装置を例示したブロック図である。
【0114】
図15に示すように、本実施形態の認知機能推定装置4は、制御部50を備えている。認知機能推定装置4は、制御部50に加えて、さらに、第1カメラ21、第2カメラ22、開閉センサ23及び表示部24を備えてもよい。なお、認知機能推定装置4は、第1カメラ21、第2カメラ22、開閉センサ23及び表示部24のいずれかと、独立した装置として構成されてもよい。
【0115】
本実施形態において、第2カメラ22が、冷蔵庫に入庫する物品または冷蔵庫から出庫する物品を撮影するだけでなく、冷蔵庫内における人物の手の動きも撮影することは、前述の実施形態3と同様である。
【0116】
制御部50は、撮影制御部11、人物特定部12、判断部13、検出部14、傾向検出部15、推定部16、表示制御部17及び動作検出部19を有している。したがって、前述の制御部40と比べて、制御部40は、さらに、判断部13を有している。
【0117】
判断部13は、人物特定部12が特定した人物毎に、冷蔵庫における物品の入出庫を判断する。判断部13は、第2カメラ22が撮影した映像から、冷蔵庫に入出庫した物品を判断する。判断部13は、AIを用いて、物品の商品パッケージや、形状などから、物品を特定するが、物品が出庫されたことが判断できるレベルでもよい。
【0118】
推定部16は、傾向検出部15の検出結果に加えて、動作検出部19が人物の手の動きを検出した後における判断部13による物品の出庫有無に基づき、人物の認知症可能性を推定する。
【0119】
例えば、1週間や1ケ月などの所定期間において、ドアが開状態となってから手の動きを60秒以上検出したことが、冷蔵庫開閉回数の50%以上あり、そのうちの50%以上の冷蔵庫開閉回数において、物品の出庫がない場合に、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。また、例えば、1週間や1ケ月などの所定期間において、ドアが開状態となってから手の動きを60秒以上検出したことが、冷蔵庫開閉回数の50%以上あり、そのうちの50%以上の冷蔵庫開閉回数において、物品の出庫があった場合に、推定部16は、弱いながらも認知症可能性有りと推定する。
【0120】
次に、本実施形態の認知機能推定装置が実行する認知機能推定方法を説明する。本実施形態の認知機能推定方法は、<手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する場合>である。
【0121】
<手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する場合>
まず、手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を含む認知機能推定方法を説明する。
図16は、実施形態4に係る認知機能推定方法において、手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する場合の日常におけるデータ収集処理を例示したフローチャート図である。
【0122】
図16に示すステップS111からステップS114、およびステップS117の処理は、
図13に示すステップS91からステップS94、およびステップS96の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0123】
ステップS114において、冷蔵庫内の手の動作が検出されたと判定された場合(ステップS114:Yes)、ステップS115に示すように、冷蔵庫から物品が出庫されたか判定する。例えば、判断部13は、第2カメラ22の映像に基づいて、冷蔵庫から物品が出庫されたか判定する。ステップS115において、冷蔵庫から物品が出庫されたと判定されない場合(ステップS115:No)、ステップS116に進む。
【0124】
ステップS115において、冷蔵庫から物品が出庫されたと判定された場合(ステップS115:Yes)、ステップS116に示すように、冷蔵庫内の手の動作を検出した動作検出期間を記憶する。ステップS116においては、冷蔵庫内の手の動作を検出した動作検出期間に加えて、冷蔵庫からの物品の出庫有無も合わせて記憶する。例えば、判断部13は、動作検出期間および物品の出庫の有無を、記憶装置等に記憶された動作検出履歴に記憶する。
【0125】
次に、手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を説明する。
図17は、実施形態4に係る認知機能推定方法において、手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する場合の定期的に実行される傾向検出処理、推定処理及び通知処理を例示したフローチャート図である。
【0126】
図17のステップS121に示すように、動作検出履歴を参照する。例えば、傾向検出部15は、冷蔵庫内の手の動作を検出した動作検出履歴を参照する。
【0127】
次に、ステップS122に示すように、動作期間が長い傾向か否かを判定する。具体的には、傾向検出部15は、動作検出部19が検出した冷蔵庫内の手の動きを検出している動作期間が長い傾向にあるか否かを判定する。ステップS122において、動作期間が長い傾向であると判定されない場合(ステップS122:No)の場合には、ステップS125に示すように、推定部16は、認知症可能性なしと推定する。そして、ステップS127に進む。
【0128】
一方、ステップS122において、動作期間が長い傾向であると判定された場合(ステップS122:Yes)、ステップS123に示すように、物品の出庫なしが多い傾向であるか否かを判定する。例えば、傾向検出部15は、動作検出部19が検出した冷蔵庫内の手の動きを検出している期間が長い場合において物品の出庫が行われずにドアが閉となった場合と回数に基づき、物品の出庫なしが多い傾向であるか否かを判定する。ステップS123において、出庫なしが多い傾向とは判定されない場合(ステップS123:No)、ステップS126に示すように、推定部16は、弱いながらも認知症可能性有りと推定する。そして、ステップS127に進む。
【0129】
一方、ステップS123において、出庫なしが多い傾向であると判定された場合(ステップS123:Yes)、ステップS124に示すように、推定部16は、認知症可能性有りと推定する。そして、ステップS127に進む。次に、ステップS127に示すように、通知を行う。そして、処理を終了する。
【0130】
本実施形態によれば、認知機能推定装置4は、冷蔵庫内における手の動きを検出した後における物品の出庫の有無から認知機能の低下を推定する。したがって、認知機能推定装置4は、前述の認知機能推定装置3に対して、物品の出庫も含めた異なる視点で認知機能の低下を推定することができ、認知機能の低下の推定精度を向上させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~3の記載に含まれている。
【0131】
なお、本発明は、上記実施形態の記載に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1~4の各構成のいずれかを組み合わせたものも本実施形態の技術思想の範囲内である。また、下記のように、認知機能推定方法をコンピュータに実行させる認知機能推定プログラムも実施形態の技術的思想の範囲である。
【0132】
(付記1)
冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定ステップと、
前記人物特定ステップで特定した人物毎に、前記冷蔵庫に入庫した物品及び前記冷蔵庫から出庫した前記物品を判断する判断ステップと、
前記判断ステップで判断された前記物品における出庫数及び入庫数の傾向を検出する傾向検出ステップと、
前記傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる認知機能推定プログラム。
(付記2)
冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定ステップと、
前記人物特定ステップで特定した人物毎に、前記冷蔵庫に入庫した物品及び前記冷蔵庫から出庫した前記物品を判断する判断ステップと、
前記判断ステップで判断された前記物品における賞味期限または消費期限を超過した前記物品の傾向を検出する傾向検出ステップと、
前記傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる認知機能推定プログラム。
(付記3)
冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定ステップと、
前記人物特定ステップで特定した人物毎に、前記冷蔵庫の前記ドアの開閉を検出する検出ステップと、
前記人物特定ステップで特定した人物毎に、前記冷蔵庫に対する物品の入庫及び出庫を判断する判断ステップと、
前記検出ステップで前記冷蔵庫の前記ドアの開状態を検出してから、前記判断ステップの判断結果による前記冷蔵庫に対する前記物品の前記入庫または前記出庫が行われない状態の傾向を検出する傾向検出ステップと、
前記傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる認知機能推定プログラム。
(付記4)
冷蔵庫のドアの開閉を行う人物を特定する人物特定ステップと、
前記人物特定ステップで特定した人物毎に、前記冷蔵庫のドアの開閉を検出する検出ステップと、
前記冷蔵庫内における前記人物の手の動きを検出する動作検出ステップと、
前記検出ステップで前記冷蔵庫の前記ドアの開状態を検出してから、前記動作検出ステップで前記人物の前記手の前記動きを検出している傾向を検出する傾向検出ステップと、
前記傾向検出ステップにおける検出結果に基づき、前記人物の認知機能の低下を推定する推定ステップと、
をコンピュータに実行させる認知機能推定プログラム。
【0133】
また、上述した認知機能推定プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリや各種ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1、2、3、4 認知機能推定装置
10、30、40、50 制御部
11 撮影制御部
12 人物特定部
13 判断部
14 検出部
15 傾向検出部
16 推定部
17 表示制御部
18 情報取得部
19 動作検出部
21 第1カメラ
22 第2カメラ
23 開閉センサ
24 表示部
25 読取部