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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090244
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】日本語入力方法及び日本語入力端末
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04886 20220101AFI20240627BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20240627BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G06F3/04886
G06F3/03 400A
G06F3/023 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205997
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】能美 司
【テーマコード(参考)】
5B020
5E555
【Fターム(参考)】
5B020AA03
5B020CC19
5B020GG05
5E555AA04
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC19
5E555CA03
5E555CA14
5E555CB44
5E555CC19
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】日本語における濁音・半濁音を含む特殊文字を入力する際、指を用いたフリック入力操作よりも少ない操作回数で所望の文字を入力する。
【解決手段】電子端末2は、電子ペン1から送信された信号に基づいて、電子ペン1がパネルに接触してから移動した位置情報、並びに、電子ペン1に付与された操作情報を取得し、位置情報と移動方向とに基づいて文字を出力する際に、位置情報と移動方向とが同じ場合であって、操作情報が第1の情報であるときと第1の情報と異なる第2の情報であるときとで異なる文字を出力する。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子端末が、
電子ペンから送信された信号に基づいて、前記電子ペンがパネルに接触してから移動した位置情報、並びに、前記電子ペンに付与された操作情報を取得し、
前記位置情報と前記移動方向とに基づいて文字を出力する際に、前記位置情報と前記移動方向とが同じ場合であって、前記操作情報が第1の情報であるときと前記第1の情報と異なる第2の情報であるときとで異なる文字を出力する、
日本語入力方法。
【請求項2】
前記操作情報は、前記電子ペンの、ペン先に付与された筆圧値、傾き、方位、または前記電子ペンに設けられたボタンの押下状態のいずれかを含む、
請求項1記載の日本語入力方法。
【請求項3】
前記異なる文字は、同じ文字に対する、濁音の有無、半濁音の有無、または大文字か小文字か、のいずれか1つで異なる文字である、
請求項1記載の日本語入力方法。
【請求項4】
前記電子端末が、
前記電子ペンを識別するペンID情報をさらに取得し、
前記ペンID情報に対応した予測データを用いて、前記出力された文字を含む単語を提示する、
請求項1記載の日本語入力方法。
【請求項5】
前記電子ペンは、メモリを備え、
前記電子ペンが、前記メモリに蓄積された単語群識別子を前記電子端末に送信し、
前記電子端末が、前記単語群識別子を用いて、前記出力された文字を含む単語を提示する、
請求項1記載の日本語入力方法。
【請求項6】
日本語入力方法を実行する日本語入力端末であって、
電子ペンから送信されたペン信号を検出するセンサと、
前記センサに接続された制御部と、
前記制御部が生成する画像を表示する表示装置と、を含み、
前記電子ペンから送信された信号に基づいて、前記電子ペンがパネルに接触してから移動した位置情報、並びに、前記電子ペンに付与された操作情報を取得し、
前記位置情報と前記移動方向とに基づいて文字を出力する際に、前記位置情報と前記移動方向とが同じ場合であって、前記操作情報が第1の情報であるときと前記第1の情報と異なる第2の情報であるときとで異なる文字を出力する、
日本語入力端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を送信する電子ペンによって日本語を入力するための日本語入力方法及び日本語入力端末に関する。
【背景技術】
【0002】
日本語入力の方法として、フリック入力と言われる方法が知られている。フリック入力は、各行の「あ段」のキーの周囲に「い段」、「う段」、「え段」、「お段」を配置するとともに、例えば「あ段」のキーを押しつつ、目的の文字の方向に指をスライドさせて文字を入力する方法である。この方法によって、より少ない操作段階数で日本語を入力することができる。このフリック入力を実現する方法として、押圧動作が開始してから終了するまでに得られる位置情報により一の文字を特定する発明が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-113741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した潜在的に配置された所定の文字群を入力する場合では、フリック入力は、1段階の操作、例えば1回の指のスライド操作(又は、弾く操作)により入力が完了する。しかし、濁音や小文字を入力するなど所定の文字群にない特殊な文字群を入力する場合、移動だけでない2段階の操作が必要になるため、より少ない操作回数で日本語を入力する方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における日本語入力方法では、電子端末が、電子ペンから送信された信号に基づいて、前記電子ペンがパネルに接触してから移動した位置情報、並びに、前記電子ペンに付与された操作情報を取得し、前記位置情報と前記移動方向とに基づいて文字を出力する際に、前記位置情報と前記移動方向とが同じ場合であって、前記操作情報が第1の情報であるときと前記第1の情報と異なる第2の情報であるときとで異なる文字を出力する。
【0006】
本発明における日本語入力端末は、電子ペンから送信されたペン信号を検出するセンサと、前記センサに接続された制御部と、前記制御部が生成する画像を表示する表示装置と、を含み、前記電子ペンから送信された信号に基づいて、前記電子ペンがパネルに接触してから移動した位置情報、並びに、前記電子ペンに付与された操作情報を取得し、前記位置情報と前記移動方向とに基づいて文字を出力する際に、前記位置情報と前記移動方向とが同じ場合であって、前記操作情報が第1の情報であるときと前記第1の情報と異なる第2の情報であるときとで異なる文字を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、日本語における濁音・半濁音を含む特殊文字を入力する際、指を用いたフリック入力操作よりも少ない操作回数で所望の文字を入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態における日本語入力方法が実行される電子ペン及び電子端末を示す図である。
図2A】日本語入力方法の第1の例を示す図である。
図2B】日本語入力方法の第1の例を示す図である。
図2C】日本語入力方法の第1の例を示す図である。
図3】日本語入力方法の第1の例におけるフロー図である。
図4A】日本語入力方法の第2の例を示す図である。
図4B】日本語入力方法の第2の例を示す図である。
図4C】日本語入力方法の第2の例を示す図である。
図4D】日本語入力方法の第2の例を示す図である。
図5】日本語入力方法の第3の例におけるフロー図である。
図6A】日本語入力方法の第3の例を示す図である。
図6B】日本語入力方法の第3の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<装置構成>
図1は、本実施の形態における日本語入力方法が実行される電子ペン1及び電子端末2を示す図である。
【0010】
電子ペン1は、筆圧センサ11と信号送信回路12とを含み構成される。
【0011】
筆圧センサ11は、電子ペン1に固定され、電子ペン1を持つユーザの操作によって、電子ペン1の先端(あるいは、ペン先)が電子端末2のパネルに接触したか否か及びその力の大きさ(以下、「筆圧f」と称する)を検出するためのセンサである。筆圧f=0である場合、電子ペン1は、ペン先が空中で操作されている状態(いわゆる、ホバー状態)である。筆圧f>0である場合、電子ペン1は、ペン先がパネルに接触している状態(いわゆる、コンタクト状態)である。
【0012】
信号送信回路12は、電子端末2が電子ペン1の指示位置を検出するためのペン信号を送信する回路である。ペン信号は、電子ペン1に関する操作情報をアナログ変調あるいはデジタル変調して生成される信号に相当する。操作情報は、電子ペン1の操作状態を示す操作情報であり、例えば、筆圧fの値、または、電子ペン1に設けられる図示しないサイドスイッチの押下状態を含む。
【0013】
電子端末2は、センサ21、表示装置22、及び、制御部23を含み構成される。
【0014】
センサ21は、電子ペン1からのペン信号を検出し電子ペン1の指示する位置を導出するとともに、ペン信号から筆圧fなどの操作情報を復調して取得する。これにより、電子端末2は、電子ペン1がパネルに接触してから移動した位置情報、並びに、電子ペン1に関する操作情報を取得する。センサ21は、電子ペン1のみならず、ユーザの指を検出できるとしてもよい。
【0015】
表示装置22は、制御部23が生成する画像を表示する。表示装置22は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを含む出力デバイスから構成される。
【0016】
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)を含む演算処理装置を含み構成される。電子ペン1がパネルに接触してから移動した位置情報、並びに、電子ペン1に付与された操作情報をセンサ21から取得し、位置情報と移動方向とに基づいて文字を出力する。具体的には、制御部23は、電子ペン1の位置情報と移動方向とが同じ場合であって、操作情報が第1の情報であるときと第1の情報とは異なる第2の情報であるときとで異なる文字を出力する。ここで、異なる文字とは、同じ文字に対する、濁音の有無、半濁音の有無、または大文字か小文字か、のいずれか1つが異なる文字を意味する。
【0017】
<第1の入力例>
図2A図2Cは、本実施の形態に係る日本語入力方法の第1の例を示す図である。
【0018】
図2Aは、電子ペン1の操作状態を示す操作情報の1つとしての筆圧fが0である状態、つまり、電子ペン1がホバー状態における表示画面の例を示している。電子ペン1の位置が、あ段の文字「あ」の上にある場合、「あ」の周辺の位置に、左側に「い」が、上側に「う」が、右側に「え」が、下側に「お」がそれぞれ表示される。
【0019】
図2Bは、電子ペン1の操作情報の1つとしての筆圧fが0より大きく所定の閾値T以下である状態、つまり、電子ペン1が接触したが一定の筆圧より小さい力がかけられている状態における表示画面の一例を示している。あ段の文字として「あ」を決定させるとともに、例えば、表示色(ハッチングで図示)を変えるなどして、文字が決定したことが表示される。ここで、筆圧fが所定の閾値T以下である場合(第1の操作状態である場合)には、第1の文字群である大文字「あ、い、う、え、お」が入力候補として表示される。そして、電子ペン1の位置情報と移動方向とに基づいて、大文字「あ、い、う、え、お」のいずれかが、選択された文字として出力される。
【0020】
図2Cは、電子ペン1の筆圧fが所定の閾値Tより大きい状態、つまり、電子ペン1に強い力がかけられている状態における表示画面の一例を示している。筆圧fが所定の閾値Tより大きい場合には、第1の文字群「あ、い、う、え、お」とは異なり、それらの小文字である第2の文字群「ぁ、ぃ、ぅ、ぇ、ぉ」が入力候補として表示される。そして、電子ペン1が接触した位置情報と移動方向とに基づいて、小文字「ぁ、ぃ、ぅ、ぇ、ぉ」のいずれかが、選択された文字として出力される。
【0021】
図3は、本実施の形態の電子端末2で実行される、日本語入力方法を示す第1のフロー図である。
【0022】
ステップS301において、電子端末2は、電子ペン1から送信されるペン信号を検出する。
【0023】
ステップS303において、電子端末2は、ペン信号の検出又は不検出を判定し、ペン信号が検出されない場合はステップS301に戻る。一方、ペン信号が検出された場合は、電子端末2は、次のステップS305に進む。
【0024】
ステップS305において、電子端末2は、電子ペン1から送信されたペン信号を復調し、得られた操作状態を示す操作情報(例として筆圧)に基づいて、電子ペン1が電子端末2に接触したか(図中「接触」)あるいは非接触か(図中「非接触」)を判定する。電子ペン1が電子端末2に非接触であると判定された場合は、電子端末2は、電子ペン1の指示位置にポインタを表示した後(ステップS307)、ステップS301に戻る。一方、電子ペン1が電子端末2に接触であると判定された場合は、電子端末2は、次のステップS309に進む。
【0025】
ステップS309において、電子端末2は、あ段の文字を決定する。この場合、表示画面は図2Aから図2Bの状態に移行するとともに、図2Bの例では、あ段の文字として「あ」が決定される。
【0026】
ステップS311において、電子端末2は、ステップS309で決定された文字に変形が有るか否かを判定する。特別表示の対象文字か否かは、例えば、「あ、い、う、え、お」には小文字「ぁ、ぃ、ぅ、ぇ、ぉ」が存在するが、「ま、み、む、め、も」には小文字は存在しない。このように、あ段の文字に関して、濁音の有無、半濁音の有無、または小文字の有無が存在するか否かが判定される。
【0027】
該当する文字に変形が無いと判定された場合には、電子端末2は、ステップS313,S315をスキップしてステップS317に進む。一方、該当する文字に変形が有ると判定された場合には、電子端末2は、次のステップS313に進む。
【0028】
ステップS313において、電子端末2は、電子ペン1に関する操作情報を取得する。ここでは、操作情報として、電子ペン1のペン先に付与された筆圧値を例に挙げて説明するが、これと併せて又はこれに代えて、電子ペン1の傾き(パネルの法線に対する角度)、傾きの方向を示す方位、または電子ペン1に筆圧センサとは別に設けられたサイドスイッチなどの操作ボタンの押下状態のいずれかが含まれてもよい。
【0029】
ステップS315において、電子端末2は、ステップS313で取得された操作情報の属性を判定する。操作情報が第1の情報であると判定された場合には、電子端末2は、ステップS317に進む。一方、操作情報が第2の情報であると判定された場合には、電子端末2は、ステップS319に進む。
【0030】
ステップS317において、電子端末2は、あ段の文字に対応する第1の文字群を入力候補として表示する。図2Bに例示するように、筆圧が0より大きく閾値T以下である場合には、第1の文字群(あ、い、う、え、お)が入力候補として表示される。その後、電子端末2は、ステップS321に進む。
【0031】
ステップS319において、電子端末2は、あ段文字に対応する第2の文字群を入力候補として表示する。図2Cに例示するように、筆圧が閾値Tより大きい場合には、第2の文字群(ぁ、ぃ、ぅ、ぇ、ぉ)が入力候補として表示される。その後、電子端末2は、ステップS321に進む。
【0032】
ステップS321において、電子端末2は、電子ペン1からのペン信号を再び検出する。ステップS323において、電子端末2は、電子ペン1の移動が完了するまでの間、ステップS321,S323の動作を順次繰り返す。電子ペン1の移動が完了したと判定された場合、電子端末2は、次のステップS325に進む。
【0033】
ステップS325において、電子端末2は、移動情報と電子ペン1の操作状態とに基づいて、日本語文字を決定し出力する。このようにして、位置情報と移動方向とに基づいて文字を出力する際に、位置情報と移動方向とが同じ場合であって電子ペン1の操作情報が第1の情報であるときと、第2の情報であるときとで異なる文字を出力することが可能となる。
【0034】
<第2の入力例>
図4A図4Dは、本実施の形態に係る日本語入力方法の第2の例を示す図である。
【0035】
図4Aは、電子ペン1がホバー状態における表示画面の例を示している。この画面には、各段を示す文字(例えば、あ)及び記号(例えば、丸印)が表示されている。
【0036】
図4Bは、電子ペン1がコンタクト状態であって、電子ペン1に設けられた操作ボタンが押下されていない状態(つまり、OFF状態)での表示画面の一例を示している。段の文字として「は」を決定させるとともに、第1の文字群である「は、ひ、ふ、へ、ほ」が入力候補として表示される。そして、電子ペン1の位置情報と移動方向とに基づいて、清音文字「は、ひ、ふ、へ、ほ」のいずれかが、選択された文字として出力される。
【0037】
図4Cは、電子ペン1がコンタクト状態であって、電子ペン1に設けられた操作ボタンが押下されている状態(つまり、ON状態)での表示画面の一例を示している。段の文字として「は」が選択された場合、第1の文字群に代えて、第2の文字群である「ば、び、ぶ、べ、ぼ」が入力候補として表示される。そして、電子ペン1の位置情報と移動方向とに基づいて、濁音文字「ば、び、ぶ、べ、ぼ」のいずれかが、選択された文字として出力される。
【0038】
図4Dは、電子ペン1がコンタクト状態、電子ペン1に設けられた操作ボタンがON状態、かつ、電子ペン1の傾きが閾値以上である状態(つまり、傾斜状態)での表示画面の一例を示している。段の文字として「は」が選択された場合、第1及び第2の文字群に代えて、第3の文字群である「ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ」が入力候補として表示される。そして、電子ペン1の位置情報と移動方向とに基づいて、半濁音文字「ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ」のいずれかが、選択された文字として出力される。
【0039】
このように、操作情報としては、電子ペン1の筆圧値、傾き、方位、または電子ペン1に設けられたボタンの押下状態のいずれかまたはこれらの組み合わせを用いるとしてもよい。
【0040】
なお、上記した第2の入力例では、電子端末2は、電子ペン1が「コンタクト状態」であることを前提として、操作ボタンの押下状態を判定しているが、これに加えて「ホバー状態」である間に押下状態の判定を行ってもよい。この場合、電子端末2は、電子ペン1がホバー状態であって操作ボタンを押している間に、表示画面の文字を切り替えるように構成されてもよい。例えば、ユーザは、操作ボタンのON時には数字入力、操作ボタンのOFF時には他の入力(日本語文字)を切り替えることができる。
【0041】
<第3の入力例>
上記した第1および第2の入力例では文字を入力する場合について説明したが、これに代えて、単語を入力する場合にも適用し得る。
【0042】
図5は、日本語入力方法の第3の例におけるフロー図である。ここでは、電子ペン1は、メモリを備え、電子ペン1を識別するための情報(以下、ペンID情報)を蓄積している。ペンID情報は、電子端末2の上で使われるペン個々にあるいはユーザを識別するために十分なビット数(少なくとも2ビット以上)で定義される情報である。
【0043】
ステップS501において、電子端末2は、電子ペン1から送信されたペン信号から電子ペン1の識別情報(つまり、ペンID情報)を取得する。
【0044】
ステップS503において、電子端末2は、電子ペン1の位置情報及び操作状態に基づいて、日本語の文字を決定し出力する。このステップS503は、図3で説明したステップS301~S325で実行される方法と実質同じフローを利用できるので、説明を割愛する。
【0045】
ステップS505において、電子端末2は、決定された日本語の文字とペンID情報とに基づいて、日本語の単語群を選択して表示する。
【0046】
ステップS507において、電子端末2は、表示された単語群の中から単語が決定されたか否かを判定する。まだ決定されていない場合には、電子端末2は、ステップS503に戻って、単語が決定されるまでの間、ステップS503~S507を順次繰り返す。一方、単語が決定された場合、電子端末2は、次のステップS509に進む。
【0047】
ステップS509において、電子端末2は、決定を通じて選択された単語を出力する。
【0048】
図6Aおよび図6Bは、日本語入力方法の第3の例を示す図であり、図5のステップS505における表示例を示している。図6Aでは、電子ペン1のペンID情報が#1である場合であって、文字「え」が選択されたときに、ペンID情報と決定された文字とに基づいて決定される単語群「駅」「えき」・・・を候補として表示し、入力を受け付ける。
【0049】
他方、図6Bは、電子ペン1のペンID情報が#2である場合であって、文字「え」が選択されたときに、ペンID情報と決定された文字とに基づいて決定される単語群が「遠藤」「えんどう」・・・を候補として表示し、入力を受け付ける例である。
【0050】
このように、ペンID情報に対応した予測データを用いて、出力された文字を含む単語を提示することもでき、これにより、ログインしなおさなくても日本語入力する際に用いる電子ペン1ごとに異なる日本語の単語を優先的に出力する電子端末2を実現でき、電子ペン1を保持するユーザの単語の利用傾向に応じた推薦が可能となり、日本語入力の短時間化を期待することができる。
【0051】
また、電子ペン1は、ペンID情報に替えてメモリに保持された単語群識別子を電子端末2に送信し、電子端末2は、送信された単語群識別子を用いて、出力された文字を含む単語を提示してもよい。これにより、電子ペン1が記憶している単語群に対応する日本語の単語を優先的に出力する電子端末2を実現でき、入力の短時間化が期待される。
【0052】
<備考>
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。あるいは、技術的に矛盾が生じない範囲で各々の構成を任意に組み合わせてもよい。あるいは、技術的に矛盾が生じない範囲でフローチャートを構成する各ステップの実行順を変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
日本語入力、特にフリック入力と言われる日本語入力を電子ペンで実現する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1‥電子ペン、2‥電子端末(日本語入力端末)
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B