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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090255
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】フィルタ切替機構
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/16 20210101AFI20240627BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20240627BHJP
   G03B 11/02 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
G02B7/16
G02B7/08
G03B11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206017
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 優太
【テーマコード(参考)】
2H044
2H083
【Fターム(参考)】
2H044DA03
2H044DB01
2H044DD08
2H044DD09
2H044DE04
2H044HC01
2H083AA01
2H083AA02
2H083AA05
2H083AA06
2H083AA26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作部の移動を規制するときに、部品の破損が生じることを抑制できる。
【解決手段】一実施の形態のフィルタ切替機構1は、連結部31を有する操作部3と、フィルタ6を保持する保持部5と、連結部31及び保持部5と係合し、操作部3の操作に応じて保持部を駆動する駆動機構7と、操作部3が移動可能に取り付けられるベース部40と、操作部3のベース部40に対する移動を所定の範囲に規制する規制機構9と、を備える。規制機構9の一部の第1規制部91は操作部3に設けられる。操作部3に設けられた第1規制部91と、規制機構9の残部である第2規制部92とが当接して、操作部3の移動を規制する。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結部を有する操作部と、
フィルタを保持する保持部と、
前記連結部及び前記保持部と係合し、前記操作部の操作に応じて前記保持部を駆動する駆動部と、
前記操作部が移動可能に取り付けられるベース部と、
前記操作部の前記ベース部に対する移動を所定の範囲に規制する規制機構と、を備え、
前記規制機構の一部は前記操作部に設けられ、
前記操作部に設けられた前記規制機構の一部と前記規制機構の残部とが当接して、前記操作部の移動を規制する、フィルタ切替機構。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ切替機構において、
前記規制機構の一部は、前記操作部の内側面に形成され、内側に向けて突出する突部であり、
前記規制機構の残部は、前記ベース部の縁部に形成された凹部である、フィルタ切替機構。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタ切替機構において、
前記操作部の移動方向における前記突部の端部と、前記操作部の移動方向における前記凹部の端部とは、平行である、フィルタ切替機構。
【請求項4】
請求項1に記載のフィルタ切替機構において、
前記操作部は、回転中心の周りを回転可能な環形状であり、
前記連結部は、前記操作部の内側面に形成された歯車であり、
前記ベース部は、円形状を有し、
前記規制機構の一部は、前記操作部の前記内側面に形成され、内側に向けて突出する突部であり、
前記規制機構の残部は、前記ベース部の縁部に形成された凹部である、フィルタ切替機構。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルタ切替機構において、
前記操作部の移動方向における前記突部の端部と、前記操作部の移動方向における前記凹部の端部とは、それぞれ前記回転中心に向かって傾斜する、フィルタ切替機構。
【請求項6】
請求項1に記載のフィルタ切替機構において、
前記保持部には、前記駆動部により駆動される方向に沿って、複数の前記フィルタが配列される、フィルタ切替機構。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルタ切替機構において、
前記保持部のうち複数の前記フィルタが配列される方向に沿う側面に設けられた側面凹部を付勢する付勢部を備える、フィルタ切替機構。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルタ切替機構において、
前記保持部は、前記フィルタの個数と同数の前記側面凹部を有する、フィルタ切替機構。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載のフィルタ切替機構において、
前記駆動部は、ピニオンギヤと、複数の前記フィルタが配列される方向に伸びるシャフトとを備え、
前記保持部は、前記シャフトと嵌合する嵌合部を有し、
前記保持部は、前記シャフトに案内されて、複数の前記フィルタが配列された方向に沿って移動する、フィルタ切替機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ切替機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センサーの前段に異なる種類のフィルタが切り替え可能に配置されたカメラ等の撮像装置が知られている。特許文献1には、色補正フィルタからなる光学フィルタを配置させたカラーモードによる撮影と、ダミーガラスを配置させたモノクロモードによる撮影とを行う監視用カメラが開示されている。
【0003】
この監視用カメラには、光学フィルタとダミーガラスとが併設されたフィルタ装置が、ガイドシャフトに沿って往復移動可能に取り付けられている。フィルタ装置の移動端を規制する右方ストッパーと左方ストッパーとが設けられ、フィルタ装置が移動して右方ストッパーに到達すると、光学フィルタがCCDの位置と合致して、カラーモードでの撮影が可能となる。フィルタ装置が逆方向に移動して左方ストッパーに到達すると、ダミーガラスがCCDの位置と合致して、モノクロモードでの撮影が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-162665号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のフィルタ装置がストッパーに到達した後にも駆動力が加わるような場合に、フィルタ装置がさらに移動しようとしてフィルタ装置自体を破損したり、他の部品を破損してしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によるフィルタ切替機構は、連結部を有する操作部と、フィルタを保持する保持部と、前記連結部及び前記保持部と係合し、前記操作部の操作に応じて前記保持部を駆動させる駆動部と、前記操作部が移動可能に取り付けられるベース部と、前記操作部の前記ベース部に対する移動を所定の範囲に規制する規制機構と、を備える。前記規制機構の一部は前記操作部に設けられる。前記操作部に設けられた前記規制機構の一部と前記規制機構の残部とが当接して、前記操作部の移動を規制する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作部の移動を規制するときに、部品の破損が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態のフィルタ切替機構の外観斜視図である。
図2図2は、フィルタ切替機構を前方から見たときの分解斜視図である。
図3図3は、フィルタ切替機構を後方から見たときの分解斜視図である。
図4図4は、図3に示される斜視図の一部を拡大して示す図である。
図5A図5Aは、カバー部が取り外された状態のフィルタ切替機構を前方から見た図である。
図5B図5Bは、カバー部が取り外された状態のフィルタ切替機構を前方から見た図である。
図6A図6Aは、カバー部が取り外された状態のフィルタ切替機構を前方から見た図である。
図6B図6Bは、カバー部が取り外された状態のフィルタ切替機構を前方から見た図である。
図7A図7Aは、図6Aに示される図の一部を拡大して示す図である。
図7B図7Bは、図6Bに示される図の一部を拡大して示す図である。
図7C図7Cは、図6BのD-D線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態のフィルタ切替機構について、図面を参照しながら詳細に説明する。フィルタ切替機構は、例えば撮像装置への入射光の光路上や、照明装置から出射される出射光の光路上に設けられる。
【0010】
<フィルタ切替機構の全体構成>
図1は、フィルタ切替機構1の外観斜視図である。図2はフィルタ切替機構1を前方から見たときの分解斜視図であり、図3はフィルタ切替機構1を後方から見たときの分解斜視図である。
【0011】
フィルタ切替機構1は、カバー部2と、操作部3と、支持部4と、保持部5と、フィルタ6と、駆動機構7と、付勢部8と、規制機構9とを備える。以下、フィルタ切替機構1を構成する各部のそれぞれについて、詳細に説明する。
【0012】
尚、以下の説明においては、フィルタ切替機構1が取り付けられる装置が有する光学系の光軸Lに平行な方向を前後方向と呼び、カバー部2側を前方、支持部4側を後方と呼ぶ。また、光軸Lと直交し、図1の紙面の上下に沿う方向を上下方向と呼び、前後方向及び上下方向と直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0013】
<カバー部2>
カバー部2は円板状の部材であり、中央部にはカバー開口部20が形成される。カバー開口部20はフィルタ切替機構1が取り付けられる撮像装置や照明装置が有する光学系の光軸L上に位置するように形成されている。図1~3に示されるように、カバー開口部20は左右方向に長辺を有し、上下方向に短辺を有する長方形状である。尚、カバー開口部20の形状は図示の形状に限定されず、上下方向に長辺を有する長方形でもよいし、正方形でもよいし、5角形以上の多角形でもよいし、円形でもよい。また、カバー部2には、4個の穴21が形成される。カバー部2は、4個の穴21に挿入された4個のねじ22によってねじ固定により支持部4に取り付けられる。
【0014】
<操作部3>
操作部3は、円板状の部材から形成されたカバー部2の外縁に沿った環形状を有する。操作部3は、ユーザによるフィルタの切替操作が行われる部材である。操作部3は、前方からカバー部2と後方から後述する支持部4のベース部40とに挟み込まれることにより取り付けられる。操作部3は、図1に示される矢印AR1に沿って切替操作が行われると、光軸Lの位置を回転中心として光軸Lと直交又は略直交する平面内で回転移動する。換言すると、操作部3は、移動可能にベース部40に取り付けられている。尚、以下の説明では、矢印AR1に示される方向を操作部3の移動方向AR1とも呼ぶことがある。
【0015】
環形状を有する操作部3の内側面、すなわち内周面に沿って、後述する駆動機構7と係合する連結部31が形成される。連結部31は、例えば歯車である。また、操作部3の内側面の一部には、後述する規制機構9を構成する第1規制部91(図3参照)が形成される。第1規制部91は、操作部3の内側面から内側、すなわち光軸Lに向けて突出する突部である。
【0016】
<支持部4>
支持部4は、カバー部2に対して後方側に配置された筒状の部材である。支持部4の前方側には、カバー部2と対向するベース部40が設けられる。ベース部40は、操作部3の直径よりも小さな直径を有する円形状の部材である。ベース部40の前方側の面には、前方側へ向かって突設された第1突部41と、第2突部42と、4個の第3突部43と、後述する駆動機構7のシャフト72が取り付けられる取付部44とが形成される。また、ベース部40には、光軸L上に、カバー開口部20の形状に応じた形状を有するベース開口部45が形成される。
【0017】
第1突部41は、後述する付勢部8が回転可能に取り付けられる回転軸である。第2突部42は、後述する駆動機構7のピニオンギヤ71が回転可能に取り付けられる回転軸である。4個の第3突部43のそれぞれは、カバー部2に形成された4個の穴21のそれぞれ位置と対応する位置に設けられる。第3突部43にはねじ穴が形成されている。このねじ穴にカバー部2の穴21に挿入されたねじ22が挿入されることにより、カバー部2と支持部4のベース部40とがねじ固定される。
【0018】
また、ベース部40の外縁の一部には、後述する規制機構9を構成する第2規制部92が形成される。第2規制部92は、ベース部40の表面の一部が切り欠かれて形成された凹部である。
【0019】
<保持部5>
保持部5は、カバー部2と支持部4との間の空間に設けられる板状の部材であり、後述するフィルタ6を保持する。保持部5は、後述する駆動機構7から伝達された駆動力により上下方向に移動可能に取り付けられる。保持部5の表面には、カバー部2のカバー開口部20の形状に応じた長方形状の保持開口部50a,50b,50c(以下、総称する場合は保持開口部50と呼ぶ)が形成される。保持開口部50a,50b,50cは、上下方向に沿って配列されている。具体的には、各保持開口部50の短辺が上下方向に沿った状態で、保持開口部50が配列されている。
【0020】
保持開口部50のそれぞれには、後述するフィルタ6が取り付けられる。保持開口部50が上下方向に配列されており、かつ、保持部5が上下方向に移動可能であることから、保持部5は、複数のフィルタ6が配列される方向に沿って移動する、と言うことができる。保持部5が上下方向に移動すると、保持開口部50a,50b,50cのうちの何れか一つが、カバー部2のカバー開口部20と、ベース部40のベース開口部45との間の光路上に配置される。尚、保持開口部50の個数は3個に限定されるものではなく、後述するフィルタ6の個数に応じた個数であればよい。
【0021】
保持部5の左側の側面51は、保持部5の上下方向の移動に応じて後述する付勢部8が回転移動する面である。上下方向(すなわち、フィルタ6の配列方向)に沿う側面51には、側面51の一部が切り欠かれて形成された凹部である3個の側面凹部52a,52b,52c(総称する場合は、側面凹部52と呼ぶ)が設けられる。すなわち、側面凹部52は、保持部5に取り付けられるフィルタ6の個数と同数設けられる。
【0022】
3個の側面凹部52は、上下方向に沿って配列される。側面凹部52aは,後述するフィルタ6aが光軸L上に配置された際に、後述する付勢部8のローラー82が収容される位置に形成される。側面凹部52bは,後述するフィルタ6bが光軸L上に配置された際に、付勢部8のローラー82が収容される位置に形成される。側面凹部52cは,後述するフィルタ6cが光軸L上に配置された際に、付勢部8のローラー82が収容される位置に形成される。
【0023】
保持部5の右側の側面には、上下方向に沿って複数の歯が配列されたラック54が設けられる。ラック54は、後述する駆動機構7のピニオンギヤ71による回転駆動力を、上下方向の直線駆動力に変換する。
【0024】
保持部5の裏面側には、後述する駆動機構7が有するシャフト72と嵌合するシャフト嵌合部55が設けられる。図3に示されるように、シャフト嵌合部55は、保持部5の後方側の面に形成された上下方向に伸びる突部であり、この突部にシャフト72が伸びる方向(すなわち上下方向)に沿って貫通穴が形成されている。この貫通穴にシャフト72が挿入されて、保持部5とシャフト72とが嵌合する。後述する駆動機構7の駆動力によって保持部5が移動する際に、シャフト嵌合部55に挿入されたシャフト72に案内されて上下方向に移動する。
【0025】
<フィルタ6>
フィルタ6は、3個の異なるフィルタ6a,6b、6cを有する。フィルタ6aは保持開口部50aに嵌め込まれ、フィルタ6bは保持開口部50bに嵌め込まれ、フィルタ6cは保持開口部50cに嵌め込まれることにより、フィルタ6は保持部5に取り付けられる。フィルタ6a,6b,6cは、例えばNDフィルタ、カラーフィルタ、マスク、偏光板、回折素子等である。フィルタ6が保持開口部50に取り付けられるため、保持部5が上下方向(すなわち、フィルタ6の配列方向)に沿って移動すると、フィルタ6a,6b、6cのうちの何れか一つが光軸L上、すなわち光路上に配置される。尚、フィルタ6の個数は3個に限定されるものではなく、複数のフィルタ6が設けられるのであれば2個でもよいし4個以上でもよい。
【0026】
<駆動機構7>
駆動機構7は、操作部3の操作に応じて保持部5を駆動する駆動部として機能する。具体的には、駆動機構7は、操作部3に対するユーザの切替操作に連動して駆動することにより、保持部5を上下方向に駆動させる。駆動機構7は、ピニオンギヤ71とシャフト72とを有する。ピニオンギヤ71は、中心部に設けられた開口がベース部40の第2突部42に挿入されることにより、回転可能にベース部40に取り付けられる。ピニオンギヤ71は、操作部3の内側面に沿って設けられた連結部31である歯車と、保持部5の右側の側面に設けられたラック54とに連結(歯合)する。シャフト72は、上下方向に沿って伸びるロッドであり、上述した保持部5のシャフト嵌合部55に挿入され、ベース部40に形成された取付部44に取り付けられる。
【0027】
ユーザによる切替操作が行われ、操作部3が移動方向AR1に沿って回転すると、操作部3の連結部31と連結するピニオンギヤ71は、第2突部42を回転軸として回転駆動する。このピニオンギヤ71の回転による回転駆動力は、ピニオンギヤ71と連結するラック54に伝達され、直線駆動力に変換される。そして、直線駆動力を受けた保持部5は、シャフト72に案内されて、シャフト72が伸びる方向である上下方向に沿って移動する。すなわち、ピニオンギヤ71は、操作部3の操作により生じる駆動力を保持部5に伝達する。
【0028】
<付勢部8>
付勢部8は、ばね81と、ローラー82と、レバー83とを有する。ばね81は、たとえばねじりコイルばねであり、ベース部40の第1突部41に取り付けられる。ばね81は、ローラー82及びレバー83を矢印AR2の方向(図2における時計回りの方向)に付勢する。より特定的には、ばね81は、ローラー82を保持部5の側面51に当接させる。ローラー82は、レバー83の一方側(下方側)の端部近傍に設けられた突部に挿入されることにより、回転可能に取り付けられる。ローラー82は、保持部5が後述するように上下方向に移動すると、保持部5の側面51上にて回転移動し、保持部5の側面凹部52に収容される。
【0029】
レバー83は、アーム上の部材であり、他方側(上方側)の端部近傍に設けられた突部が、ばね81のコイル部分及びベース部40の第1突部41に挿入され、ベース部40に対して第1突部41を回転軸として回転可能に取り付けられる。具体的には、レバー83は、ばね81による付勢力により第1突部41を回転軸として矢印AR2の方向に回転する。より特定的には、ローラー82が保持部5の側面凹部52に収容されると、付勢部8は側面凹部52を矢印AR2の方向に付勢する。また、レバー83は、ローラー82を介して保持部5からの力が作用する場合には、ばね81の付勢力に抗して矢印AR2とは逆方向(図2における反時計回りの方向)に回転する。尚、以下の説明では、矢印AR2の方向を付勢方向AR2と呼ぶこともある。
【0030】
<規制機構9>
規制機構9は、上述したように第1規制部91と第2規制部92とを有する。規制機構9の一部である第1規制部91は、操作部3に設けられる。具体的には、第1規制部91は、操作部3の内側面から内側、すなわち光軸Lに向けて突出する突部である。
【0031】
図4は、図3に示される領域Aを拡大して示す図である。図4に示されるように、第1規制部91は、移動方向AR1に沿って所定の長さを有する。第1規制部91の移動方向AR1に沿う長さは、切替操作による操作部3の移動量と、保持部5の上下方向の移動量とに応じて決まる値である。移動方向AR1における第1規制部91の端部91a,91bは光軸Lに向かって伸びている。すなわち、第1規制部91の両端部である端部91a,91bは、それぞれに操作部3の回転中心に向けて傾斜している。
【0032】
図2に示されるように、規制機構9の残部である第2規制部92は、ベース部40の外縁の一部に沿って表面の一部が切り欠かれて形成された凹部である。操作部3が移動方向AR1に沿って移動すると、操作部3に形成された第1規制部91は、凹部である第2規制部92の内部を移動方向AR1に沿って移動する。第2規制部92は、移動方向AR1に沿って所定の長さを有する。第2規制部92の移動方向AR1に沿う長さは、切替操作による操作部3の移動量と、保持部5の上下方向の移動量とに応じて決まる値である。
【0033】
移動方向AR1における第2規制部92の端部92a,92bは光軸Lに向かって伸びている。すなわち、第2規制部92の両端部である端部92a,92bは、それぞれに操作部3の回転中心に向けて傾斜している。第2規制部92の端部92aは、操作部3が移動方向AR1に沿って図2の反時計回りに移動すると、第1規制部91の端部91aと当接する面である。第1規制部91の端部91aと第2規制部92の端部92aとは、共に操作部3の回転軸に向けて傾斜しているため、端部91aと端部92aとは平行である。端部91aが端部92aと当接すると、操作部3が移動方向AR1に沿って反時計回りに移動することが規制される。
【0034】
第2規制部92の端部92bは、操作部3が移動方向AR1に沿って図2の時計回りに移動すると、第1規制部91の端部91bと当接する面である。端部91bが端部92bと当接すると、操作部3が移動方向AR1に沿って時計回りに移動することが規制される。第1規制部91の端部91bと第2規制部92の端部92bとは、共に操作部3の回転中心に向けて傾斜しているため、端部91bと端部92bとは互いに平行な面である。換言すると、操作部3の移動方向AR1における第1規制部91の両端部である端部91a,91bと、移動方向AR1における第2規制部92の両端部である端部92a,92bとは、互いに平行である。
【0035】
尚、第2規制部92が支持部4のベース部40に形成されるものに限定されず、他の部材に形成されてもよい。例えば、第2規制部92は、カバー部2の一部に形成されてもよい。また、第1規制部91が突部、第2規制部92が凹部であるものに限定されず、第1規制部が凹部、第2規制部92が突部であってもよい。
【0036】
<フィルタ切替機構1の動作>
次に、図5A図7Cを参照して、フィルタ切替機構1の動作について説明する。図5Aは、カバー部2が取り外された状態のフィルタ切替機構1を前方から見た外観図である。図5Bは、図5Aに示される状態から、操作部3が移動方向AR1に沿って反時計回りに操作された場合のフィルタ切替機構1の外観図である。図6Aは、図5Bに示される状態から、操作部3が移動方向AR1に沿って反時計回りに操作された場合のフィルタ切替機構1の外観図である。図6Bは、図6Aに示される状態から、操作部3が移動方向AR1に沿って反時計回りに操作された場合のフィルタ切替機構1の外観図である。図7A図6Aに示される領域Bを拡大して示す図であり、図7B図6Bに示される領域Cを拡大して示す図であり、図7C図6Bに示されるD-D線における断面図である。
【0037】
図5Aは、フィルタ6bが光軸L上、すなわち光路上に配置されている状態を示している。このとき、付勢部8のローラー82は、保持部5の側面凹部52bに収容され、付勢方向AR2に沿って、ばね81によって保持部5に付勢されている。このため、操作部3が操作されていないにも関わらず、保持部5が上下方向に沿って移動することが抑制される。
【0038】
図5Bは、図5Aに示される状態から、ユーザによる切替操作により操作部3が移動方向AR1に沿って反時計回りに操作された場合を示している。操作部3の移動に伴い、連結部31と連結したピニオンギヤ71が、支持部4の第2突部42を回転軸として回転方向AR3の向きに回転駆動する。このピニオンギヤ71の回転駆動力は、ピニオンギヤ71と歯合する保持部5のラック54により直線駆動力に変換されて保持部5に伝達される。この直線駆動力を受けた保持部5は、シャフト72に案内されて移動方向AR4に沿って上方へ移動する。
【0039】
この保持部5の上方への移動により、フィルタ6bも光軸Lに対して上方側へ向かって移動される。すなわち、フィルタ6bが光路上から上方に向けて離脱を開始するとともに、フィルタ6bの下方に配置されたフィルタ6cが光路に向けて進入を開始する。保持部5が上方へ移動すると、付勢部8のローラー82は、側面凹部52bの下方側の斜面53から力を受ける。この力により、レバー83は、ばね81による付勢力に抗して、ベース部40の第1突部41を回転中心として付勢方向AR2とは反対方向に回転する。これにより、ローラー82は斜面53の形状に沿って保持部5に対して下方側に向けて移動する。
【0040】
図6Aは、図5Bに示される状態から、さらにユーザによる切替操作により操作部3が移動方向AR1に沿って反時計回りに操作された場合を示している。この場合、操作部3、駆動機構7及び保持部5は、図5Bを参照して説明した場合と同様の駆動(移動)を行う。このため、保持部5は、図5Bに示される状態よりも移動方向AR4に沿って更に上方へ移動し、フィルタ6cが光軸L上に位置される。すなわち、フィルタ6cが、光軸L上に位置していたフィルタ6b(図5A参照)から切り替わって光軸L上に位置する。
【0041】
このとき、付勢部8のローラー82は、上方へ移動する保持部5に対して相対的に下方に移動する。そして、ローラー82は、保持部5の側面凹部52cに収容され、付勢方向AR2に沿って保持部5に向けてばね81によって付勢される。この付勢力により、操作部3が操作されていないにも関わらず、保持部5が上下方向に沿って移動することが抑制される。このため、フィルタ6bから切り替わったフィルタ6cが光軸L上に配置された状態が保持される。すなわち、フィルタ6bからフィルタ6cへの切り替わりが完了する。
【0042】
図7Aに示されるように、フィルタ6cへの切り替わりが完了した時点では、第1規制部91の端部91aは第2規制部92の端部92aと当接していない。すなわち、端部91aと端部92aとの間には、移動方向AR1に沿って空間Sが生じている。換言すると、操作部3は、この空間Sの範囲でさらに移動方向AR1に沿って移動することができる。
【0043】
図6Bは、図6A及び図7Aに示されるフィルタ6cへの切り替わりが完了した状態のときに、さらにユーザによって操作部3に対して移動方向AR1に沿った切替操作が行われた状態を示す。この場合、操作部3は、上述した端部91aと端部92aとの間の空間Sの範囲で移動する。そして、図7Bに示されるように、端部91aと端部92aとが当接すると、操作部3の移動方向AR1に沿った移動が規制される。換言すると、規制機構9の第1規制部91と第2規制部92とが当接して、操作部3の移動が規制される。このため、操作部3の空間S内の移動量に応じて回転駆動したピニオンギヤ71によって保持部5が上方へ移動される。
【0044】
図7Cに示されるように、上方へ移動した保持部5は、フィルタ切替機構1内に配置されるベース部40等の他の部材と当接しない。換言すると、操作部3の移動方向AR1に沿った移動量は、端部91aと端部92aとが当接するときに保持部5が他の部材と当接することがない範囲内となるように設定される。すなわち、第1規制部91の移動方向AR1に沿った長さと、第2規制部92の移動方向AR1に沿った長さとは、端部91aと端部92aとが当接するときに保持部5が他の部材と当接することがない値である。
【0045】
尚、図5Aに示される状態のときに、ユーザによる切替操作が操作部3の移動方向AR1の時計回りの方向の場合、ピニオンギヤ71は、回転方向AR3の逆方向に回転駆動して、保持部5が移動方向AR4に沿って下方に移動する。これにより、フィルタ6bからフィルタ6aへの切り替わりが行われる。フィルタ6aが光軸L上に配置され切り替わりが完了した後に操作部3に対する移動方向AR1の時計回りの方向への切替操作が継続されると、第1規制部91の端部91bと第2規制部92の端部92bとが当接し、操作部3の移動が規制される。
【0046】
この場合も、下方へ移動した保持部5は、フィルタ切替機構1内に配置されるベース部40等の他の部材と当接しない。換言すると、操作部3の移動方向AR1の時計回りの方向に沿った移動量は、端部91bと端部92bとが当接するときに保持部5が他の部材と当接することがない範囲内となるように設定される。すなわち、第1規制部91の移動方向AR1に沿った長さと、第2規制部92の移動方向AR1に沿った長さとは、端部91bと端部92bとが当接するときに保持部5が他の部材と当接することがない値である。
【0047】
上述した実施の形態によれば以下の作用効果のうちの少なくとも一つが得られる。
【0048】
(1)フィルタ切替機構1は、操作部3のベース部40に対する移動を所定の範囲に規制する規制機構9を備える。規制機構9の一部である第1規制部91は操作部3に設けられる。操作部3に設けられた第1規制部91と、規制機構9の残部である第2規制部92とが当接して、操作部3の移動が規制される。これにより、フィルタ6の切り替えが完了した後に更にユーザによる切替操作が行われた場合であっても、操作部3が移動しないため、操作部3の移動と連動して駆動する駆動機構7の歯車のような耐久性の乏しい部位に負荷が加わることが抑制される。また、保持部5が更に移動して、フィルタ切替機構1内の他の部材等と当接して破損することが抑制される。これらの結果、フィルタ切替機構1の耐久性を維持し、製品寿命を長期間に保つことができる。
【0049】
(2)第1規制部91は、操作部3の内側面に形成され、内側に向けて突出する突部である。第2規制部92は、ベース部40の縁部に形成された凹部である。これにより、第1規制部91と第2規制部92とが確実に当接し、操作部3の移動方向AR1に沿った移動を規制することが可能となる。
【0050】
(3)操作部3の移動方向AR1における第1規制部91の端部91a,91bと、操作部3の移動方向AR1における第2規制部92の端部92a,92bとは、平行である。具体的には、第1規制部91の端部91a,91bと、第2規制部92の端部92a,92bとは、操作部3の回転中心である光軸Lに向かって傾斜する。これにより、端部91a,91bと端部92a,92bとが当接した際に噛み込んだり、当接が不十分で操作部3がさらに移動したりすることが抑制され、第1規制部91と第2規制部92とを確実に当接させて操作部3の移動を規制することが可能となる。
【0051】
(4)操作部3は、回転中心である光軸Lの周りを回転可能な環形状である。連結部31は、環形状の操作部3の内側面に形成された歯車である。これにより、ユーザの手によって操作される場所は環形状の操作部3上の任意の場所となることから、操作性が向上する。また、ユーザは、環状の操作部3を対角方向で摘まむことができるので、操作部3が片寄されにくくなり、摩擦負荷が低減するので、操作感を向上させることができる。
【0052】
(5)保持部5には、駆動機構7のピニオンギヤ71により駆動力される方向である上下方向に沿って、複数のフィルタ6が配列される。これにより、複数のフィルタ6が操作部3の回転移動に伴って回転移動するように配置される場合と比較して、操作部3の回転中心(すなわち光軸L)の周辺近傍のスペース確保が不要となるので、フィルタ切替機構1の省スペース化、小型化に寄与する。
【0053】
(6)フィルタ切替機構1は、保持部5のうち複数のフィルタ6が配列される方向(上下方向)に沿う側面51に設けられた側面凹部52を付勢する付勢部8を備える。これにより、第1規制部91と第2規制部92とが当接する前にフィルタ6が光軸L上に配置された状態で保持部5が保持されるので、第1規制部91と第2規制部92とが当接する頻度を低減させることができる。この結果、規制機構9の耐久性を向上させることが可能となる。
【0054】
(7)保持部5は、フィルタ6の個数と同数の側面凹部52を有する。これにより、フィルタ6が光軸L上に配置された状態を保持することができる。また、光軸L上に配置されるフィルタ6の切り替わりに際して、付勢部8のローラー82が側面凹部52に収容される。このとき、ユーザが操作部3から受ける操作感が変化するため、ユーザはフィルタ6の切り替わりを認識することが可能となる。
【0055】
(8)保持部5は、複数のフィルタ6が配列される方向に伸びるシャフト72とシャフト嵌合部55にて嵌合し、シャフト72に案内されて、複数のフィルタ6が配列された上下方向に沿って移動する。これにより、保持部5が上下方向に沿ってスムーズに直動するため、ユーザの操作感を向上させることができる。
【0056】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0057】
上述した実施の形態では、操作部3は環形状を有するものとして説明したが、操作部3の形状は環形状に限定されない。操作部3は、例えば、矩形等の多角形筒であってもよいし、回転中心の周りを回転移動するものではなく、直線移動(スライド移動)してもよい。この場合、カバー部2や支持部4のベース部40も、操作部3の形状に応じた多角形に形成されるとよい。規制機構9の一部である第1規制部91は、操作部3の内側面で内側向けて突出する突部として形成され、規制機構9の残部である第2規制部92は、ベース部40の縁部に凹部として形成される。これにより、第1規制部91と第2規制部92とが確実に当接し、操作部3の移動方向AR1に沿った移動を規制することが可能となる。
【0058】
そして、実施の形態の場合と同様に、操作部3の移動方向において、第1規制部91の端部91a,91bと、第2規制部92の端部92a,92bとは、それぞれ互いに平行に形成される。端部91a,91bと端部92a,92bとが当接した際に噛み合ったりすることが抑制され、第1規制部91と第2規制部92とを確実に当接させて操作部3の移動を規制することが可能となる。
【0059】
尚、本技術は以下の構成をとることが可能である。
【0060】
(1)連結部を有する操作部と、フィルタを保持する保持部と、前記連結部及び保持部と係合し、前記操作部の操作に応じて前記保持部を駆動する駆動部と、前記操作部が移動可能に取り付けられるベース部と、前記操作部の前記ベース部に対する移動を所定の範囲に規制する規制機構と、を備え、前記規制機構の一部は前記操作部に設けられ、前記操作部の前記規制機構の一部と前記規制機構の残部とが当接して、前記操作部の移動を規制する、フィルタ切替機構。
【0061】
(2)前記規制機構の一部は、前記操作部の内側面に形成され、内側に向けて突出する突部であり、前記規制機構の残部は、前記ベース部の縁部に形成された凹部である、(1)に記載のフィルタ切替機構。
【0062】
(3)前記操作部の移動方向における前記突部の端部と、前記操作部の移動方向における前記凹部の端部とは、平行である、(2)に記載のフィルタ切替機構。
【0063】
(4)前記操作部は、回転中心の周りを回転可能な環形状であり、前記連結部は、前記操作部の内側面に形成された歯車であり、前記ベース部は、円形状を有し、前記規制機構の一部は、前記操作部の前記内側面に形成され、内側に向けて突出する突部であり、前記規制機構の残部は、前記ベース部の縁部に形成された凹部である、(1)に記載のフィルタ切替機構。
【0064】
(5)前記操作部の移動方向における前記突部の端部と、前記操作部の移動方向における前記凹部の端部とは、それぞれ前記回転中心に向かって傾斜する、(4)に記載のフィルタ切替機構。
【0065】
(6)前記保持部には、前記駆動部により駆動される方向に沿って、複数の前記フィルタが配列される、(1)から(5)までの何れかに記載のフィルタ切替機構。
【0066】
(7)前記保持部のうち複数の前記フィルタが配列される方向に沿う側面に設けられた側面凹部を付勢する付勢部を備える、(1)から(6)までの何れかに記載のフィルタ切替機構。
【0067】
(8)前記保持部は、前記フィルタの個数と同数の前記側面凹部を有する、(7)に記載のフィルタ切替機構。
【0068】
(9)前記駆動部は、ピニオンギヤと、複数の前記フィルタが配列される方向に伸びるシャフトとを備え、前記保持部は、前記シャフトと嵌合する嵌合部を有し、前記保持部は、前記シャフトに案内されて、複数の前記フィルタが配列された方向に沿って移動する、(1)から(8)までの何れかに記載のフィルタ切替機構。
【符号の説明】
【0069】
1 フィルタ切替機構、2 カバー部、3 操作部、4 支持部、5 保持部、6,6a,6b,6c フィルタ、7 駆動機構、8 付勢部、9 規制機構、20 カバー開口部、31 連結部、40 ベース部、50,50a,50b,50c 保持開口部、51 側面、52,52a,52b,52c 側面凹部、53 斜面、54 ラック、55 シャフト嵌合部、71 ピニオンギヤ、72 シャフト、82 ローラー、83 レバー、91 第1規制部、91a,91b 端部、92 第2規制部、92a,92b 端部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C