IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヒーリンクスジャパンの特許一覧

<>
  • 特開-足用ハーネス 図1
  • 特開-足用ハーネス 図2
  • 特開-足用ハーネス 図3
  • 特開-足用ハーネス 図4
  • 特開-足用ハーネス 図5
  • 特開-足用ハーネス 図6
  • 特開-足用ハーネス 図7
  • 特開-足用ハーネス 図8
  • 特開-足用ハーネス 図9
  • 特開-足用ハーネス 図10
  • 特開-足用ハーネス 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090268
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】足用ハーネス
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/06 20060101AFI20240627BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61F13/06 A
A41D13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206037
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】516279581
【氏名又は名称】株式会社ヒーリンクスジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】西 武胤
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA14
3B011AB01
3B011AB08
3B011AB18
3B011AC00
3B211AA14
3B211AB01
3B211AB08
3B211AB18
3B211AC00
(57)【要約】
【課題】足の指のグリップ力を強める器具を提供する。
【解決手段】足用ハーネスは、左足ハーネス10Lと、それと鏡像の関係にある右足ハーネスからなる。左足ハーネス10Lはいずれも伸縮性を有する帯状体でできている、左アンクルハーネス11L、左アンクルハーネス11Lから前に伸びる左トウハーネス12L、左アンクルハーネス11Lから後ろに伸びる左ヒールハーネス13Lを含んでいる。左アンクルハーネス11Lは36cm、左トウハーネス12Lは56cm、左ヒールハーネス13Lは20cmである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
34cm~40cmの長さとされている、左右方向に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である左アンクルハーネスと、
52~58cmの長さとされている、前記左アンクルハーネスの右端から16~18cmの位置にその基端における幅方向の中心が位置するようにして前記左アンクルハーネスと接続されている、前記左アンクルハーネスから前方に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である左トウハーネスと、
18~20cmの長さとされている、前記左アンクルハーネスの左端から10~12cmの位置にその基端における幅方向の中心が位置するようにして前記左アンクルハーネスと接続されている、前記左アンクルハーネスから後方に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である左ヒールハーネスと、
を含んで構成される左足ハーネスと、
34cm~40cmの長さとされている、左右方向に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である右アンクルハーネスと、
52~58cmの長さとされている、前記右アンクルハーネスの左端から16~18cmの位置にその基端における幅方向の中心が位置するようにして前記右アンクルハーネスと接続されている、前記右アンクルハーネスから前方に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である右トウハーネスと、
18~20cmの長さとされている、前記右アンクルハーネスの右端から10~12cmの位置にその基端における幅方向の中心が位置するようにして前記右アンクルハーネスと接続されている、前記右アンクルハーネスから後方に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である右ヒールハーネスと、
を含んで構成される右足ハーネスと、
を含んで構成されている、足用ハーネスであって、
前記左足ハーネスは、
前記左アンクルハーネスにおける前記左トウハーネスとの接続箇所、及び前記左ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と、前記左トウハーネスの表側の先端、及び前記左ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっているとともに、
前記左アンクルハーネスの右端の表側と裏側の一方と、左端の表側と裏側の他方とが、着脱自在に固定できるようになっており、
前記右足ハーネスは、
前記右アンクルハーネスにおける前記右トウハーネスとの接続箇所、及び前記右ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と、前記右トウハーネスの表側の先端、及び前記右ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっているとともに、
前記右アンクルハーネスの左端の表側と裏側の一方と、右端の表側と裏側の他方とが、着脱自在に固定できるようになっている、
足用ハーネス。
【請求項2】
前記左足ハーネスにおける、前記左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスはいずれも、それらの長さ方向に3kg重の力を加えたときにおけるそれらの長さの伸び率が30%から70%であり、
前記右足ハーネスにおける、前記右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスはいずれも、それらの長さ方向に3kg重の力を加えたときにおけるそれらの長さの伸び率が30%から70%である、
請求項1記載の足用ハーネス。
【請求項3】
前記左足ハーネスにおける、前記左アンクルハーネス、前記左トウハーネス、前記左ヒールハーネスはいずれも、それらの幅が同一であり、
前記右足ハーネスにおける、前記右アンクルハーネス、前記右トウハーネス、前記右ヒールハーネスはいずれも、それらの幅が同一である、
請求項1記載の足用ハーネス。
【請求項4】
前記左足ハーネスにおける、前記左アンクルハーネス、前記左トウハーネス、前記左ヒールハーネスと、前記右足ハーネスにおける、前記右アンクルハーネス、前記右トウハーネス、前記右ヒールハーネスとはいずれも、それらの幅が等しく、且つそれらの長さ方向の伸び率が等しくなっている、
請求項3記載の足用ハーネス。
【請求項5】
前記左足ハーネスにおける前記左トウハーネスは、前記左アンクルハーネスに対して垂直な角度から、そこから左に30°傾いた角度の間で、前記左アンクルハーネスから前方に伸びており、
前記右足ハーネスにおける前記右トウハーネスは、前記右アンクルハーネスに対して垂直な角度から、そこから右に30°傾いた角度の間で、前記右アンクルハーネスから前方に伸びている、
請求項1記載の足用ハーネス。
【請求項6】
前記左足ハーネスにおける前記左ヒールハーネスは、前記左アンクルハーネスに対して垂直な角度から、そこから左に20°傾いた角度の間で、前記左アンクルハーネスから後方に伸びており、
前記右足ハーネスにおける前記右ヒールハーネスは、前記右アンクルハーネスに対して垂直な角度から、そこから右に20°傾いた角度の間で、前記右アンクルハーネスから後方に伸びている、
請求項1記載の足用ハーネス。
【請求項7】
前記左アンクルハーネスにおける前記左トウハーネスとの接続箇所、及び前記左ヒールハーネスとの接続箇所の間のうちの裏側の前記左トウハーネス寄りの半分の範囲と、前記左トウハーネスの表側の先端、及び前記左ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっているとともに、
前記右アンクルハーネスにおける前記右トウハーネスとの接続箇所、及び前記右ヒールハーネスとの接続箇所の間のうちの裏側の前記右トウハーネス寄りの半分の範囲と、前記右トウハーネスの表側の先端、及び前記右ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっている、
請求項1記載の足用ハーネス。
【請求項8】
前記左アンクルハーネスにおける前記左トウハーネスとの接続箇所、及び前記左ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置に左第1固定部材が設けられており、前記左トウハーネスの表側の先端、及び前記左ヒールハーネスの表側の先端にそれぞれ、前記左第1固定部材と着脱自在に固定できるようになっている左第2固定部材、及び左第3固定部材が設けられているとともに、
前記左アンクルハーネスの右端の表側と裏側の一方に左第4固定部材が設けられているとともに、左端の表側と裏側の他方に前記左第4固定部材と着脱自在に固定できるようになっている左第5固定部材が設けられており、
前記右アンクルハーネスにおける前記右トウハーネスとの接続箇所、及び前記右ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置に右第1固定部材が設けられており、前記右トウハーネスの表側の先端、及び前記右ヒールハーネスの表側の先端にそれぞれ、前記右第1固定部材と着脱自在に固定できるようになっている右第2固定部材、及び右第3固定部材が設けられているとともに、
前記右アンクルハーネスの左端の表側と裏側の一方に右第4固定部材が設けられているとともに、右端の表側と裏側の他方に前記右第4固定部材と着脱自在に固定できるようになっている右第5固定部材が設けられている、
請求項1記載の足用ハーネス。
【請求項9】
前記左トウハーネスの表側の先端、及び前記左ヒールハーネスの表側の先端にそれぞれ、左第2固定部材、及び左第3固定部材が設けられているとともに、前記左アンクルハーネスの表側の左端に左第5固定部材が設けられており、前記左第2固定部材、前記左第3固定部材、及び前記左第5固定部材は、前記左アンクルハーネスの裏側の任意の位置に着脱自在に固定できるようになっており、
前記右トウハーネスの表側の先端、及び前記右ヒールハーネスの表側の先端にそれぞれ、右第2固定部材、及び右第3固定部材が設けられているとともに、前記右アンクルハーネスの表側の右端に右第5固定部材が設けられており、前記右第2固定部材、前記右第3固定部材、及び前記右第5固定部材は、前記右アンクルハーネスの裏側の任意の位置に着脱自在に固定できるようになっている、
請求項1記載の足用ハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の足の指によるグリップ力を高めることを主な機能とする足用ハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
人間は直立状態での二足歩行が可能であり、人間の身体はそれを行うに適切なように進化してきた。
人間の歩行を安定させるために大きな役割を担っているのは足の指である。足には5本の指が存在するがそれらを折り曲げることにより地面に対するグリップ力が生じる。本来足の指は、地面をグリップする機能を有しており、それにより人間の歩行を安定させてきた。
【0003】
しかしながら現代の人間は、生活の中で靴を履いている時間が長時間を占めるようになっている。それにより、足の指で地面をグリップするという動作を十分に行えない、或いは指を動かすことを十分に行えない人が増えている。
指の運動が不十分になると転倒が生じやすくなるということは既に広く知られている。したがって、足の指で地面をグリップできるようにする、もっと言えば、足の指が地面をグリップする力を強化することは、歩行の安定性に繋がるだけでなく、転倒防止に繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足の指が地面をグリップする力を強化することをその効果として謳う製品は、既に多数市場に存在する。
それら多数の製品は、上述の効果を得るための原理を様々なものに求めており、構造、使用方法も多岐にわたる。しかしながら、本願発明者の考えでは、いずれの製品も足の指が地面をグリップする力を強化するという効果が十分であるとは言えない。
【0005】
本願発明は、足の指が地面をグリップする力を強化することのできる器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
足の指が地面をグリップする力を強化するための器具を開発するにあたって、本願発明者はまず、足の指が地面をグリップする力が失われる原因について研究した。
その原因は、足のアーチに乱れが生じることにある。足には土踏まずに基づくアーチが存在する。そのアーチは、側面から見た場合に上に凸の形状であり、正面から見た場合に上に凸の形状である。そのようなアーチに乱れが生じると、足の指は動きにくくなる。
したがって、足のアーチを本来の正しい状態に近けると、それにより地面をグリップするための足の指が動きやすい状態になる、ということが解った。ここまではよく知られている。
ただし、足のアーチを本来の正しい状態に近づける方法はあまり知られていない。足のアーチに乱れが生じる主な原因として脛骨筋群、特には後脛骨筋の疲労等に基づく緊張があることが知られているが、脛骨筋群は深層筋であるためそれに対するアプローチが難しい。マッサージ等の手技によって脛骨筋群の緊張を解すことにより足のアーチを本来の正しい状態に近づけることは可能であるが、正しい知識を持った第三者の協力が必要となるため、簡単に利用できるものではない。
また、仮に足のアーチが正しい状態に近づいて足の指が動きやすい状態になったにせよ、それまで運動をしていなかった足の指が直ぐに地面をグリップするための動きを行えるようになるわけではない。足のアーチを整えた上で、とりあえず動きやすい状態になった指を更に動きやすい状況にしてやるのが、地面をグリップするための足の指の運動機能を強化するには好ましい。足の指のうち地面をグリップする能力が一番高いのは親指であり、次いで、小指である。残り3本の指の地面をグリップする能力は、親指、小指に比較すると格段に小さい。したがって、アーチを整えることによりとりあえず動きやすい状態になった指のうち、親指と小指を、その他3本の指から独立させてより動きやすい状況にするのが好ましいといえる。
更に、親指と小指のうち少なくとも親指の指を曲げる筋力を鍛えることができれば、足の指が地面をグリップする力がより強化される。
つまり、足のアーチを整える、足の親指と小指をその他3本の指から独立させる、少なくとも親指の指を曲げる筋力を鍛える、という3つのことを同時に実現することが可能な器具が存在すれば、足の指が地面をグリップする力を強化するという効果を十分に得ることができるという知見を本願発明者は得た。
以下に説明する発明はそのような知見に基づいてなされた。
【0007】
本願発明は、34cm~40cmの長さとされている、左右方向に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である左アンクルハーネスと、52~58cmの長さとされている、前記左アンクルハーネスの右端から16~18cmの位置にその基端における幅方向の中心が位置するようにして前記左アンクルハーネスと接続されている、前記左アンクルハーネスから前方に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である左トウハーネスと、18~20cmの長さとされている、前記左アンクルハーネスの左端から10~12cmの位置にその基端における幅方向の中心が位置するようにして前記左アンクルハーネスと接続されている、前記左アンクルハーネスから後方に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である左ヒールハーネスと、を含んで構成される左足ハーネスと、34cm~40cmの長さとされている、左右方向に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である右アンクルハーネスと、52~58cmの長さとされている、前記右アンクルハーネスの左端から16~18cmの位置にその基端における幅方向の中心が位置するようにして前記右アンクルハーネスと接続されている、前記右アンクルハーネスから前方に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である右トウハーネスと、18~20の長さとされている、前記右アンクルハーネスの右端から10~12cmの位置にその基端における幅方向の中心が位置するようにして前記右アンクルハーネスと接続されている、前記右アンクルハーネスから後方に伸びているその長さ方向に伸縮性を有する帯状体である右ヒールハーネスと、を含んで構成される右足ハーネスと、を含んで構成されている、足用ハーネスである。
そして、足用ハーネスにおける前記左足ハーネスは、前記左アンクルハーネスにおける前記左トウハーネスとの接続箇所、及び前記左ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と、前記左トウハーネスの表側の先端、及び前記左ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっているとともに、前記左アンクルハーネスの右端の表側と裏側の一方と、左端の表側と裏側の他方とが、着脱自在に固定できるようになっている。また、足用ハーネスにおける前記右足ハーネスは、前記右アンクルハーネスにおける前記右トウハーネスとの接続箇所、及び前記右ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と、前記右トウハーネスの表側の先端、及び前記右ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっているとともに、前記右アンクルハーネスの左端の表側と裏側の一方と、右端の表側と裏側の他方とが、着脱自在に固定できるようになっている。
【0008】
本願発明の足用ハーネスは、左足ハーネスと右足ハーネスとを含んで構成されている。左足ハーネスは左足に、右足ハーネスは右足にそれぞれ装着される。装着の対象となる足のサイズは、22.5cmから26.5cmである。
より大きい、より小さいサイズの足に装着させるのであれば、左足ハーネスに含まれる左アンクルハーネス、左トウハーネス、及び左ヒールハーネスと、右足ハーネスに含まれる右アンクルハーネス、右トウハーネス、及び右ヒールハーネスとの長さを長く、或いは短く調整すれば良い。
【0009】
左足ハーネスは、左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスから構成される。左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスはいずれも帯状体であり、左足ハーネスは全体として薄く構成される。左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスはいずれも、長さ方向に伸縮性を有している。したがって、左足ハーネスのサイズが1通りしかなくても、左足ハーネスは、22.5cmから26.5cmのサイズの足(左足)に装着することが可能である。
左アンクルハーネスは、装着時において足首の周りに巻き付けられる。左アンクルハーネスは、左右方向に伸びる。左アンクルハーネスの長さは、34cm~40cmである。なお、本願発明における「左」、「右」の概念は、足用ハーネスが装着される直前の状態である準備状態において、被験者自身から見た左と右を意味する。同様に、本願発明における「前」、「後」の概念は、準備状態において、被験者自身から見た前と後を意味する。
左アンクルハーネスには左トウハーネスの基端と、左ヒールハーネスの基端とが接続されている。左トウハーネスは、左アンクルハーネスから前方に伸び、左ヒールハーネスは、左アンクルハーネスから後方に伸びている。
左トウハーネスは、装着時においてつま先の周りに巻き付けられる。幾らか説明を追加すると、左トウハーネスは、装着時において親指の周りを1回転した後、人差し指、中指、薬指の下を通り小指と薬指の間を通過する。左トウハーネスの長さは、52~58cmである。また、左トウハーネスの基端の幅方向の中心は、左アンクルハーネスの右端から16~18cmの位置とされている。
左ヒールハーネスは、装着時において踵の後ろ側を通る。左ヒールハーネスの長さは、18~20cmである。また、左ヒールハーネスの基端の幅方向の中心は、左アンクルハーネスの左端から10~12cmの位置とされている。
さらに、左アンクルハーネスにおける左トウハーネスとの接続箇所、及び左ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と、左トウハーネスの表側の先端、及び左ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっている。本願発明における「表」、「裏」の概念は、準備状態において、足用ハーネスのうち被験者から見える露出している面を「表」として、被験者から見えない面を「裏」とする。足用ハーネスのうち被験者の足の裏に接触する面が「表」で、被験者の足の裏に接触しない面が「裏」であると定義しても良い。
また、左アンクルハーネスの右端の表側と裏側の一方と、左端の表側と裏側の他方とが、着脱自在に固定できるようになっている。
以上のような左足ハーネスは、被験者の左足に装着するときに、左アンクルハーネスの両端を着脱自在に固定するとともに、左アンクルハーネスの裏側における左トウハーネスとの接続箇所と左ヒールハーネスとの接続箇所の間に、左トウハーネス及び左ヒールハーネスの両先端の表側を着脱自在に固定する。それにより、左足ハーネスは、被験者の左足に、左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスのすべてにテンションが入った状態で取付けられることとなる。
【0010】
装着の方法については、「発明を実施するための形態」の欄で追って詳しく説明するが、正しく左足に取付けられた左足ハーネスは、正面視した場合に、左足の周りを2周して外側から足を締め付ける。これにより、正面から見た場合に扁平に近い状態になっていた左足のアーチは、左右から押される力によって押し上げられて正常に近い状態に戻る。また、正しく左足に取付けられた左足ハーネスは、側面視した場合に、踵に前向きの力を与えるとともに、小指を除く左足の指に後向きの力を与える。これにより、側面から見た場合に扁平に近い状態になっていた左足のアーチは、前後から押される(圧縮される)力によって押し上げられて正常に近い状態に戻る。加えて、正しく左足に取付けられた左足ハーネスのうちの左アンクルハーネスの一部は、左足の足の裏の土踏まずと踵の間を通って当該位置を押圧する。この位置は、脛骨筋群のうちの後脛骨筋の停止点であり、その位置に刺激を与えることで後脛骨筋の緊張を緩和することが可能であり、これによっても被験者の左足のアーチは正しい状態に近づく。つまり、左足ハーネスは、左足のアーチを整える機能を持つ。
更に、正しく左足に取付けられた左足ハーネスは、左足の親指に巻き付けられた後に親指と人差し指の間を通過する。また、左足ハーネスは、左足の薬指と小指の間を通り、人差し指、中指、薬指に、小指から離反する方向の力を加える。つまり、左足ハーネスは、左足の親指と小指をその他3本の指から独立させ、動きやすくする機能を有する。
更に、正しく左足に取付けられた左足ハーネスは、左足の親指に巻き付けられた部分に親指を上、後方向に反らせる力を与える。被験者の左足の親指には左足ハーネスを左足に装着している間中この力がはたらくため、親指を通常の状態に維持しているだけで被験者は、無意識のうちに親指の指を曲げる筋肉を鍛えている状態になる。つまり、左足ハーネスは、左足の親指の指を曲げる筋力を鍛える機能を有する。
まとめると、左足ハーネスは、被験者の左足に意図した通りに装着するだけで、左足のアーチを整える、左足の親指と小指をその他3本の指から独立させる、少なくとも左足の親指の指を曲げる筋力を鍛える、という効果を生じる。
本願発明における左足ハーネスに含まれる3本のハーネス(左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネス)に割当てられた長さや、それらの位置関係は、22.5cmから26.5cmのサイズの左足に左足ハーネスを装着した場合に上述した効果を得ることができるように特化されたものといえる。
【0011】
本願発明の足用ハーネスには右足ハーネスが含まれている。
そして右足ハーネスは、左足ハーネスと左右対称な鏡像の関係にあるハーネスである。右足ハーネスは、左足ハーネスと左右対称な鏡像の関係で右足に装着され、その結果左足ハーネスが左足に与えたのと同じ効果を右足に与える。
つまり、右足ハーネスは、被験者の右足に意図した通りに装着するだけで、右足のアーチを整える、右足の親指と小指をその他3本の指から独立させる、少なくとも右足の親指の指を曲げる筋力を鍛える、という効果を生じる。
したがって、本願による足用ハーネスは、被験者の足(両足)に意図した通りに装着するだけで、足のアーチを整える、足の親指と小指をその他3本の指から独立させる、少なくとも足の親指の指を曲げる筋力を鍛える、という効果を生じ、その効果に基づき、足の指が地面をグリップする力を強化することのできるという効果を生じる。
しかも、足用ハーネスは、左足ハーネスも右足ハーネスも全体として薄く構成されている。したがって、本願の足用ハーネスは、それを着用した状態で歩行することが可能であり、足の指による地面のグリップが必要な歩行という運動を行いながら足の指が地面をグリップする力を効率良く強化することが可能となる。これは例えば、ある競技に必要な筋肉を強化する場合に、ウェイトトレーニングではなくその競技を行いながら筋肉を強化するという、いわゆるパフォーマンストレーニングを実行できるということを意味する。場合によっては、足用ハーネスを着用した上から靴下や靴を履くことも可能であり、そうすれば被験者は、日常生活を送りながら足の指による地面のグリップ力を強化することが可能となる。
【0012】
上述したように本願の足用ハーネスにおける左足ハーネスは、左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスを含んでおり、それらはいずれも、それらの長さ方向に伸縮性を備える。同様に、本願の足用ハーネスにおける右足ハーネスは、右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスを含んでおり、それらはいずれも、それらの長さ方向に伸縮性を備える。
ここで、前記左足ハーネスにおける、前記左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスはいずれも、それらの長さ方向に3kg重の力を加えたときにおけるそれらの長さの伸び率を30%から70%とすることができ、好ましくはその伸び率を40%から60%とすることができる。また、前記右足ハーネスにおける、前記右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスはいずれも、それらの長さ方向に3kg重の力を加えたときにおけるそれらの長さの伸び率を30%から70%とすることができ、好ましくはその伸び率を40%から60%とすることができる。
上述した各部材の伸び率を上述した数値範囲に設定することで、足の親指の指を曲げる筋力を鍛える、という効果をより効果的に得られるようになる。
なお、左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスの長さ方向の伸び率は、すべて同じであっても良いしそうでなくてもよく、右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスの長さ方向の伸び率も同様である。
【0013】
既に述べたように、本願発明における足用ハーネスに含まれる左足ハーネスにおける、左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスはいずれも帯状体であり、右足ハーネスにおける、右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスもいずれも帯状体である。
左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスの幅は、すべて同じであっても良いしそうでなくてもよく、右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスの幅も同様である。左トウハーネスと右トウハーネスの幅は、1.5cmから3cmとすることができ、左アンクルハーネス、左ヒールハーネス、右アンクルハーネス、右ヒールハーネスの幅は、2cmから4cmとすることができる。許容し易い左トウハーネスと右トウハーネスの幅が、左アンクルハーネス、左ヒールハーネス、右アンクルハーネス、右ヒールハーネスの幅よりも細いのは、左トウハーネスと右トウハーネスは足の親指の周りを一周したり、薬指と小指の間を通過したりするので、その幅があまりに大きいと、指の間から左トウハーネスや右トウハーネスが飛び出すことがあり得るからである。
前記左足ハーネスにおける、前記左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスと、前記右足ハーネスにおける、前記右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスとはいずれも、それらの幅が等しく、且つそれらの長さ方向の伸び率が等しくなっていてもよい。そうすることにより、前記左足ハーネスにおける、前記左アンクルハーネス、左トウハーネス、左ヒールハーネスと、前記右足ハーネスにおける、前記右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスとを、その全長において幅と伸び率とが等しい一本の長尺の帯状体から切り出して製作することが可能となる。
同一の帯状体からそれら6つのハーネスを製作可能であるということは当然に、足用ハーネスの製造コストの抑制に繋がる。6つのハーネスの幅を同一とするのであれば、その幅は、2.5cm±0.3cmとするのが好ましい。
【0014】
上述したように、本願の左足ハーネスにおいて、左トウハーネスは、左アンクルハーネスから前方に伸びるようにして左アンクルハーネスに接続されている。本願の右足ハーネスにおいて、右トウハーネスは、右アンクルハーネスから前方に伸びるようにして、右アンクルハーネスに接続されている。
ここで、前記左足ハーネスにおける前記左トウハーネスは、前記左アンクルハーネスに対して垂直な角度から、そこから左に30°傾いた角度の間で、前記左アンクルハーネスから前方に伸びるようにすることができ、前記右足ハーネスにおける前記右トウハーネスは、前記右アンクルハーネスに対して垂直な角度から、そこから右に30°傾いた角度の間で、前記右アンクルハーネスから前方に伸びるようにすることができる。
左トウハーネスと左アンクルハーネスがなす角度、右トウハーネスと右アンクルハーネスがなす角度を上述の範囲とすると、足のアーチを整える、足の親指と小指をその他3本の指から独立させる、少なくとも親指の指を曲げる筋力を鍛えるという効果を得るように適切に左足ハーネスを左足に、右足ハーネスを右足にそれぞれ装着する作業が行いやすくなる。
上述したように、本願の左足ハーネスにおいて、左ヒールハーネスは、左アンクルハーネスから後方に伸びるようにして左アンクルハーネスに接続されている。本願の右足ハーネスにおいて、右ヒールハーネスは、右アンクルハーネスから後方に伸びるようにして、右アンクルハーネスに接続されている。
ここで、前記左足ハーネスにおける前記左ヒールハーネスは、前記左アンクルハーネスに対して垂直な角度から、そこから左に20°傾いた角度の間で、前記左アンクルハーネスから後方に伸びるようにすることができ、前記右足ハーネスにおける前記右ヒールハーネスは、前記右アンクルハーネスに対して垂直な角度から、そこから右に20°傾いた角度の間で、前記右アンクルハーネスから後方に伸びるようにすることができる。
左ヒールハーネスと左アンクルハーネスがなす角度、右ヒールハーネスと右アンクルハーネスがなす角度を上述の範囲とすると、足のアーチを整える、足の親指と小指をその他3本の指から独立させる、少なくとも親指の指を曲げる筋力を鍛えるという効果を得るように適切に左足ハーネスを左足に、右足ハーネスを右足にそれぞれ装着する作業が行いやすくなる。
【0015】
本願発明の足用ハーネスでは、左トウハーネスの表側の先端、及び左ヒールハーネスの表側の先端は、左アンクルハーネスにおける左トウハーネスとの接続箇所、及び左ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と着脱自在に固定される。同様に、右トウハーネスの表側の先端、及び右ヒールハーネスの表側の先端は、右アンクルハーネスにおける右トウハーネスとの接続箇所、及び右ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と着脱自在に固定される。
ここで、前記左アンクルハーネスにおける前記左トウハーネスとの接続箇所、及び前記左ヒールハーネスとの接続箇所の間のうちの裏側の前記左トウハーネス寄りの半分の範囲と、前記左トウハーネスの表側の先端、及び前記左ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっていても良く、前記右アンクルハーネスにおける前記右トウハーネスとの接続箇所、及び前記右ヒールハーネスとの接続箇所の間のうちの裏側の前記右トウハーネス寄りの半分の範囲と、前記右トウハーネスの表側の先端、及び前記右ヒールハーネスの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっていてもよい。
【0016】
本願発明による足用ハーネスでは、左足ハーネスにおいて、左アンクルハーネスの左端と右端とが着脱自在に固定され、また、左トウハーネスの表側の先端、及び左ヒールハーネスの表側の先端は、左アンクルハーネスにおける左トウハーネスとの接続箇所、及び左ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と着脱自在に固定される。また、右足ハーネスにおいて、右アンクルハーネスの左端と右端とが着脱自在に固定され、また、右トウハーネスの表側の先端、及び右ヒールハーネスの表側の先端は、右アンクルハーネスにおける右トウハーネスとの接続箇所、及び右ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と着脱自在に固定される。
以上で必要となる、左足ハーネスにおいて2箇所でなされる、右足ハーネスにおいて2箇所でなされる着脱自在な固定は、以下のような構成を採用することにより実現することができる。
例えば、前記左アンクルハーネスにおける前記左トウハーネスとの接続箇所、及び前記左ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置に左第1固定部材が設けられており、前記左トウハーネスの表側の先端、及び前記左ヒールハーネスの表側の先端にそれぞれ、前記左第1固定部材と着脱自在に固定できるようになっている左第2固定部材、及び左第3固定部材が設けられているとともに、前記左アンクルハーネスの右端の表側と裏側の一方に左第4固定部材が設けられているとともに、左端の表側と裏側の他方に前記左第4固定部材と着脱自在に固定できるようになっている左第5固定部材が設けられていてもよい。更に、前記右アンクルハーネスにおける前記右トウハーネスとの接続箇所、及び前記右ヒールハーネスとの接続箇所の間の裏側の所定の位置に右第1固定部材が設けられており、前記右トウハーネスの表側の先端、及び前記右ヒールハーネスの表側の先端にそれぞれ、前記右第1固定部材と着脱自在に固定できるようになっている右第2固定部材、及び右第3固定部材が設けられているとともに、前記右アンクルハーネスの左端の表側と裏側の一方に右第4固定部材が設けられているとともに、右端の表側と裏側の他方に前記右第4固定部材と着脱自在に固定できるようになっている右第5固定部材が設けられていてもよい。
この場合、左第1固定部材から左第5固定部材、右第1固定部材から右第5固定部材は、互いに着脱自在な固定をなすことのできる公知或いは周知のベルクロ(商標)テープその他の面ファスナとすることができる。もっとも、左第1固定部材から左第5固定部材、右第1固定部材から右第5固定部材は、面ファスナと置換することが可能な公知或いは周知の他の部材、例えば、ボタンとボタン穴、二本ホック、リングバネホック、アメリカンホックその他の金属ホックにより構成されていても良い。左第1固定部材から左第5固定部材、右第1固定部材から右第5固定部材を面ファスナ、それも柔軟な面ファスナで構成すると、左第1固定部材から左第5固定部材、右第1固定部材から右第5固定部材を左足ハーネスを構成する3つのハーネス、又は右足ハーネスを構成する3つのハーネスと一体化することができ、また、被験者が足用ハーネスを装着したときに違和感を覚えにくくなる。
或いは、前記左トウハーネスの表側の先端、及び前記左ヒールハーネスの表側の先端にそれぞれ、左第2固定部材、及び左第3固定部材が設けられているとともに、前記左アンクルハーネスの表側の左端に左第5固定部材が設けられており、前記左第2固定部材、前記左第3固定部材、及び前記左第5固定部材は、前記左アンクルハーネスの裏側の任意の位置に着脱自在に固定できるようになっているとともに、前記右トウハーネスの表側の先端、及び前記右ヒールハーネスの表側の先端にそれぞれ、右第2固定部材、及び右第3固定部材が設けられているとともに、前記右アンクルハーネスの表側の右端に右第5固定部材が設けられており、前記右第2固定部材、前記右第3固定部材、及び前記右第5固定部材は、前記右アンクルハーネスの裏側の任意の位置に着脱自在に固定できるようになっていてもよい。
この場合、左第2固定部材、左第3固定部材、左第5固定部材は、左アンクルハーネスの裏側の任意の位置に着脱自在な面ファスナとすることができる。右第2固定部材、右第3固定部材、右第5固定部材は、右アンクルハーネスの裏側の任意の位置に着脱自在な面ファスナとすることができる。そのような構成が採用される場合、左アンクルハーネスの裏側は例えば事実上その全面にわたって、面ファスナと着脱自在に固定可能な性状(例えば、多少毛羽立っている)とすることができ、右アンクルハーネスの裏側は例えば事実上その全面にわたって、面ファスナと着脱自在に固定可能な性状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における足用ハーネスに含まれる左足ハーネスの(A)表から見た状態を示した図、(B)裏から見た状態を示した図。
図2】第1実施形態における足用ハーネスに含まれる右足ハーネスの(A)表から見た状態を示した図、(B)裏から見た状態を示した図。
図3】準備状態における左足ハーネスと左足、右足ハーネスと右足の位置関係を示す平面図。
図4】右足ハーネスを右足に装着するにあたって、右アンクルハーネスを右足に固定する手順を示す斜視図。
図5】右足ハーネスを右足に装着するにあたって、右ヒールハーネスを右足に固定する手順を示す斜視図。
図6】右足ハーネスを右足に装着するにあたって、右トウハーネスを右足に固定する手順を示す斜視図。
図7】右足ハーネスが装着された被験者の右足のやや上方から見た正面図。
図8】右足ハーネスが装着された被験者の右足の左側面図。
図9】右足ハーネスが装着された被験者の右足の右側面図。
図10】右足ハーネスが装着された被験者の右足の底面図。
図11】第2実施形態の右足ハーネスと左足ハーネスの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい第1~第2実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態、及びその変形例において共通する対象には共通する符号を付すものとし、共通する説明は場合により省略するものとする。
【0019】
≪第1実施形態≫
第1実施形態の足用ハーネスは、左足ハーネスと右足ハーネスとを含んで構成されている。左足ハーネスは後述する手順で被験者の左足に、右足ハーネスは後述する手順で被験者の右足にそれぞれ装着される。右足ハーネスは左足ハーネスと左右対称な鏡像の関係にあり、その装着の手順も左足ハーネスの装着の手順と左右対称な鏡像の関係にある。
この実施形態では、装着の対象となる被験者の足のサイズは、22.5cmから26.5cmである。
より大きい、より小さいサイズの足に装着させるのであれば、左足ハーネスに含まれる左アンクルハーネス、左トウハーネス、及び左ヒールハーネス(いずれも後述)と、右足ハーネスに含まれる右アンクルハーネス、右トウハーネス、及び右ヒールハーネス(いずれも後述)との長さを長く、或いは短く調整すれば良い。
図1(A)に、表側から見た左足ハーネス10Lを示す図を、同(B)に、裏側から見た左足ハーネス10Lを示す図を、それぞれ示す。図2(A)に、表側から見た右足ハーネス10Rを示す図を、同(B)に、裏側から見た右足ハーネス10Rを示す図を、それぞれ示す。
【0020】
図1に示したように、左足ハーネス10Lは、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lをそれぞれ含んで構成されている。
左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lはいずれも帯状体である。左足ハーネス10Lには後述する第1から第5面固定部材が含まれているが、それらを含めても左足ハーネス10Lは全体として薄く構成されている。第1から第5面固定部材を後述するように面ファスナで構成すれば、左足ハーネス10Lを全体として薄くすることが容易になる。
いずれも帯状体である左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lはいずれも、長さ方向に伸縮性を有している。したがって、左足ハーネス10Lのサイズが1通りしかなくても、この実施形態の左足ハーネス10Lは、22.5cmから26.5cmのサイズの足(左足)に装着することが可能である。もちろん、装着することが意図された足のサイズに合わせて左足ハーネス10Lのサイズ設定を複数段階で行うことも可能である。
【0021】
上述したように、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lはいずれも帯状体である。
左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lの幅は、すべて同じであっても良いしそうでなくてもよい。左トウハーネス12Lの幅は、1.5cmから3cmとすることができ、左アンクルハーネス11L、左ヒールハーネス13Lの幅は、2cmから4cmとすることができる。左トウハーネス12Lの幅が概して、左アンクルハーネス11L、左ヒールハーネス13Lの幅よりも細い方が良いのは、左トウハーネス12Lは足の親指の周りを一周したり、薬指と小指の間を通過したりするので、その幅があまりに大きいと、指の間から左トウハーネス12Lが飛び出すことがあり得るからである。
左足ハーネス10Lにおける、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lはいずれも、それらの幅が等しくされていてもよく、この実施形態ではそうされている。上述したように、左トウハーネス12Lの幅は、1.5cmから3cmとすることができ、左アンクルハーネス11L、左ヒールハーネス13Lの幅は、2cmから4cmとすることができるため、左トウハーネス12L、左アンクルハーネス11L、左ヒールハーネス13Lの幅は、2cmから3cmの間であれば共通したものとすることができる。左トウハーネス、左アンクルハーネス11L、左ヒールハーネス13Lの幅を共通したものとする場合には、それらの幅は、2.5cm±0.3cmとするのが好ましく、これには限られないがこの実施形態では、それらすべての幅が2.5cmとされている。
【0022】
上述したように、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lはいずれも、それらの長さ方向に伸縮性を備える。
左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lの伸縮性(伸び率)はすべて同じであってもそうでなくても良い。
ここで、左足ハーネス10Lにおける、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lはいずれも、それらの長さ方向に3kg重の力を加えたときにおけるそれらの長さの伸び率を30%から70%とすることができ、好ましくはその伸び率を40%から60%とすることができる。これには限られないが、この実施形態では、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lはいずれも、それらの長さ方向に3kg重の力を加えたときにおけるそれらの長さの伸び率が50%となっており、それらすべての伸縮性が共通している。
【0023】
これには限られないがこの実施形態では、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lは、それらの幅と、伸縮性とが共通したものとされている。
そうすることにより、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lを、その全長において幅と伸び率とが等しい一本の長尺の帯状体から切り出して製作することが可能となる。例えば、ロールに巻かれた幅と伸縮性がその全長において等しい長尺の帯状体を巻ほどきつつ適当な長さで切断することで、1本の帯状体から、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lを製作することが可能となる。
右足ハーネス10Rに含まれる後述する、右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスの幅と伸縮性が、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lに共通する幅と伸縮性と共通するのであれば、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13Lのみならず、右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスをも、その全長において幅と伸び率とが等しい一本の長尺の帯状体から切り出して製作することが可能となる。そして、右足ハーネス10Rは左足ハーネス10Lと左右対称な鏡像の関係にあるので、この実施形態で説明される左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13L、右アンクルハーネス、右トウハーネス、右ヒールハーネスのすべては、その全長において幅と伸び率とが等しい一本の長尺の帯状体から切り出して製作することが可能とされている。
【0024】
左アンクルハーネス11Lは、装着時において足首の周りに巻き付けられる。左アンクルハーネス11Lは、左右方向に伸びる。左アンクルハーネス11Lの長さは、34cm~40cmである。これには限られないが、この実施形態では、その長さは36cmとされている。なお、本願発明における「左」、「右」の概念は、足用ハーネスが装着される直前の状態である準備状態において、被験者自身から見た左と右を意味する。同様に、本願発明における「前」、「後」の概念は、準備状態において、被験者自身から見た前と後を意味する。
【0025】
左アンクルハーネス11Lには左トウハーネス12Lの基端と、左ヒールハーネス13Lの基端とが接続されている。左トウハーネス12Lは、左アンクルハーネス11Lから前方に伸び、左ヒールハーネス13Lは、左アンクルハーネス11Lから後方に伸びている。
左トウハーネス12Lは、装着時においてつま先の周りに巻き付けられる。左トウハーネス12Lの長さは、52~58cmである。これには限られないがこの実施形態ではその長さは56cmとされている。また、左トウハーネス12Lの基端の幅方向の中心は、左アンクルハーネス11Lの右端から16~18cmの位置に位置しており、この実施形態ではこれには限られないが、左アンクルハーネス11Lの右端から17cmの位置に位置している。
左ヒールハーネス13Lは、装着時において踵の後ろ側を通る。左ヒールハーネス13Lの長さは、18~20cmである。これには限られないがこの実施形態では、その長さは20cmである。また、左ヒールハーネス13Lの基端の幅方向の中心は、左アンクルハーネス11Lの左端から10~12cmの位置に位置しており、これには限られないがこの実施形態では、左アンクルハーネス11Lの左端から11cmの位置に位置している。
なお、左アンクルハーネス11Lに対する左トウハーネス12Lと左ヒールハーネス13Lの固定方法は、公知或いは周知の技術によって行えば良い。これには限られないが、この実施形態では、その固定方法は縫製である。また、この実施形態では、左アンクルハーネス11Lの裏側に左トウハーネス12Lと左ヒールハーネス13Lの基端部分が重複しているが、これは必ずしもこの限りではない。
【0026】
左足ハーネス10Lにおいて、左トウハーネス12Lは、左アンクルハーネス11Lから前方に、より詳細には前方に垂直に伸びるようにして左アンクルハーネス11Lに取付けられている。
ただし、左足ハーネス10Lにおける左トウハーネス12Lは、左アンクルハーネス11Lに対して垂直な角度から、そこから左に30°傾いた角度の間で、左アンクルハーネス11Lから前方に伸びるようにすることができる。図1(A)中の角度αは30°である。つまり、左トウハーネス12Lは、図1(A)において鎖線で示された左トウハーネス12Lと実線で示された左トウハーネス12Lの間のいずれかの角度で左アンクルハーネス11Lに取付けられていれば良い。
左足ハーネス10Lにおいて、左ヒールハーネス13Lは、左アンクルハーネス11Lから後方に、より詳細には後方に垂直に伸びるようにして左アンクルハーネス11Lに取付けられている。
ここで、左足ハーネス10Lにおける左ヒールハーネス13Lは、左アンクルハーネス11Lに対して垂直な角度から、そこから左に20°傾いた角度の間で、左アンクルハーネス11Lから後方に伸びるようにすることができる。図1(A)中の角度βは20°である。つまり、左ヒールハーネス12Lは、図1(A)において鎖線で示された左ヒールハーネス13Lと実線で示された左ヒールハーネス13Lの間のいずれかの角度で左アンクルハーネス11Lに取付けられていれば良い。
【0027】
左アンクルハーネス11Lにおける左トウハーネス12Lとの接続箇所、及び左ヒールハーネス13Lとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と、左トウハーネス12Lの表側の先端、及び左ヒールハーネス13Lの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっている。「表」、「裏」の概念は、準備状態において、足用ハーネス(左足ハーネス10L)のうち被験者から見える露出している面を「表」として、被験者から見えない面を「裏」とすることとする。既に述べたが、図1(A)は左足ハーネス10Lの表側、同(B)は裏側を示す。
また、左アンクルハーネス11Lの右端の表側と裏側の一方と、左端の表側と裏側の他方とが、着脱自在に固定できるようになっている。
以上で述べたハーネスの着脱自在な固定を可能とするために、左足ハーネス10Lには、左第1固定部材14L、左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第4固定部材17L、左第5固定部材18Lが設けられている。
【0028】
例えば、左アンクルハーネス11Lにおける左トウハーネス12Lとの接続箇所、及び左ヒールハーネス13Lとの接続箇所の間の裏側の所定の位置に左第1固定部材14Lが設けられている(図1(B))。より具体的には、この実施形態では、左アンクルハーネス11Lの裏側における左トウハーネス12Lとの接続箇所、及び左ヒールハーネス13Lとの接続箇所の間のうちの左トウハーネス12L寄りの半分程度の範囲(より詳細には、1/3程度の範囲)を覆うようにして、矩形の左第1固定部材14Lが取付けられている。
左第2固定部材15Lは、左トウハーネス12Lの表側の先端に取付けられており、左第3固定部材16Lは左ヒールハーネス13Lの表側の先端にそれぞれ取付けられている。左第2固定部材15L、左第3固定部材16Lはいずれも、左第1固定部材14Lと着脱自在な固定をなすことができるようにされている。左第2固定部材15Lと左第3固定部材16Lの左トウハーネス12L又は左ヒールハーネス13Lの長さ方向の長さ(大きさ)はいずれも、左第1固定部材14Lの長さよりも小さくされている。
左第4固定部材17Lは、左アンクルハーネス11Lの右端の表側と裏側の一方、これには限られないがこの実施形態では、左アンクルハーネス11Lの右端の裏側に設けられている。左第5固定部材18Lは、左アンクルハーネス11Lの左端の表側と裏側の他方、これには限られないがこの実施形態では、左アンクルハーネス11Lの左端の表側に設けられている。左第4固定部材17Lと左第5固定部材18Lとは、互いに着脱自在な固定をなすことができるようになっている。
左第1固定部材14L、左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第4固定部材17L、左第5固定部材18Lは、それらのうちの上述した組合せのもの同士を着脱自在に固定できるようなものであればどのようなものでもよい。それらは、互いに着脱自在な固定をなすことのできる公知或いは周知のベルクロ(商標)テープその他の面ファスナとすることができるし、面ファスナと置換することが可能な公知或いは周知の他の部材、例えば、ボタンとボタン穴、二本ホック、リングバネホック、アメリカンホックその他の金属ホックにより構成することもできる。この実施形態ではこれには限られないが、左第1固定部材14L、左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第4固定部材17L、左第5固定部材18Lは面ファスナである。
【0029】
右足ハーネス10Rは、以上で説明した左足ハーネス10Lと左右対称の鏡像の関係となっている。
右足ハーネス10Rは、右アンクルハーネス11R、右トウハーネス12R、右ヒールハーネス13R、右第1固定部材14R、右第2固定部材15R、右第3固定部材16R、右第4固定部材17R、右第5固定部材18Rを備えている(図2)。それらはそれぞれ、左足ハーネス10Lにおける、左アンクルハーネス11L、左トウハーネス12L、左ヒールハーネス13L、左第1固定部材14L、左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第4固定部材17L、左第5固定部材18Lに対応しており、鏡像の関係となっている以外の点においては、これには限られないがこの実施形態ではそれらと同じ構成が採用されている。
【0030】
以上で説明した、左足ハーネス10Lと右足ハーネス10Rとを含む足用ハーネスの使用方法、及び効果について説明する。
左足ハーネス10Lを左足に装着する場合、左足ハーネス10Lの表側を上にし、その前後方向、左右方向が被験者から見た前後方向と左右方向と一致するように定めた上で、被験者の左足を左足ハーネス10Lの左アンクルハーネス11Lの表側の上に置く。被験者の左足は、その前後方向が左足ハーネス10Lの前後方向と一致するようにし、左足の土踏まずと踵の間の位置が左アンクルハーネス11Lに乗るようにし、左足の幅方向の中心が、左アンクルハーネス11Lにおける左トウハーネス12L及び左ヒールハーネス13Lとの接続部分のほぼ中間位置に乗るようにする。
右足ハーネス10Rを右足に装着する場合にも同様に、左足ハーネス10Lを左足に装着する場合と同様にして、右足ハーネス10Rの上に右足を乗せる(図3)。
図3に示したのは、左足ハーネス10Lを左足に装着する場合の準備状態と、右足ハーネス10Rを右足に装着する場合の準備状態である。
【0031】
上述の準備状態から、左足ハーネス10Lを左足に、右足ハーネス10Rを右足にそれぞれ装着する。
以下の説明では、右足ハーネス10Rを右足に装着する場合について説明することとする。以下の説明では、被験者が自ら右足ハーネス10Rを右足に装着する場合について説明するが、かかる装着はもちろん第三者に行ってもらっても良い。
【0032】
まず、図4を用いて、右足ハーネス10Rの右アンクルハーネス11Rを右足に固定する手順について説明する。
図4(A)は準備状態を示す。つまり、図4(A)は、図3に示された状態における右足ハーネス10R及び右足と同じものを示している。
その状態で、被験者は、右アンクルハーネス11Rの左端(図4(A)における右端)を、右足首の左側から右足首の前側に当接させ、更にやや上方に引き上げながら右足首の後側に移動させて右足首に巻き付ける(図4(B)、(C))。図4(C)の状態で、右アンクルハーネス11Rの右端に存在する右第5固定部材18Rは、右足首の後側に対向することなく外側に露出している。
次いで、被験者は右アンクルハーネス11Rの右端を右足首の右側から右足首の前側に当接させ、更にやや上方に引き上げながら右足首の左側を通過させた後、右足首の後側に移動させて右足首に巻き付ける(図4(D))。そのとき、右アンクルハーネス11Rの右端に存在する右第4固定部材17Rは、右足首の後側に対向している。
図4(D)の状態で、互いに対向した状態となっている右第5固定部材18Rと、右第4固定部材17Rとを互いに着脱自在に固定する(図4(E))。
それにより、右アンクルハーネス11Rは、右足首を一周した状態で、右足の足首に固定される。このとき、右アンクルハーネス11Rにはテンションが入った状態となる。
なお、図4(E)の状態で、右アンクルハーネス11Rに取付けられていた右第1固定部材14Rは、右足首の左踝の辺りに露出している。
【0033】
次に、図5を用いて、右足ハーネス10Rの右ヒールハーネス13Rを右足に固定する手順について説明する。
図4(E)に示した状態で、右ヒールハーネス13Rは、その基端が右足の甲の右側に位置しているが、その先端は遊んだ状態となっている。このとき、右アンクルハーネス11Rから右ヒールハーネス13Rが伸びる方向は、右足首の右側から右足首の後方に向かう向きとなっている。
図4(E)に示した状態から、右ヒールハーネス13Rの先端を右足首の右側から右足の後側に回す(図5(A)、(B))。右ヒールハーネス13Rは、右アンクルハーネス11Rから元々その方向に伸びているので、この作業を行う際に右アンクルハーネス11Rが裏返ったり折り曲がったりするといった不具合は生じにくい。そして、右足首の右側から右足の後側に回された右ヒールハーネス13Rの先端を、右足首の後側で右足首の左側に至らせる(図5(C))。そのとき、右ヒールハーネス13Rの先端の表側に設けられていた右第3固定部材16Rは、右足首の後側に対向している。
ここで、図4(E)の状態で既に外側に露出していた右第1固定部材14Rに、右ヒールハーネス13R先端の右第3固定部材16Rを着脱自在に固定する(図5(D)、(E))。
それにより、右ヒールハーネス13Rは、右足に固定される。このとき、右ヒールハーネス13Rにはテンションが入った状態となる。
【0034】
次に、図6を用いて、右足ハーネス10Rの右トウハーネス12Rを右足に固定する手順について説明する。
図5(E)に示した状態で、右トウハーネス12Rは、その基端が右足の甲の左側に位置しているが、その先端は遊んだ状態となっている。このとき、右アンクルハーネス11Rから右トウハーネス12Rが伸びる方向は、つま先の親指の左側に向かう方向になっている。
その状態で、右トウハーネス12Rの先端を、右足親指の左側に至らせ、親指の下に入れる(図6(A))。次いで、右トウハーネス12Rの先端を、親指と人差し指の間から上側に引出す(図6(B))。そして、更に右トウハーネス12Rの先端を親指の左側から再び親指の下に通し(図6(C))、薬指と小指の間から上方に引出す(図6(D))。
そして、更に右トウハーネス12Rの先端を右足の土踏まずの手前側を通るようにして、左側から右足の下を通し(図6(E))、更には、右足の甲を右から左に横切らせる。
このとき、右トウハーネス12Rの先端表側に取付けられている右第2固定部材15Rは右足首に対向しているので、それを、既に外側に露出している右第1固定部材14Rに固定する(図6(F))。
【0035】
以上により、右足ハーネス10Rの右足に対する装着は完了する。
同様にして、左足ハーネス10Lも左足に対して装着することができる。
右足ハーネス10Rが装着された右足の正面図を図7に、左側面図を図8に、右側面図を図9に、底面図を図10に示す。
図7~10に示されているように、右足ハーネス10Rが装着された右足には、正面から見た場合、右アンクルハーネス11Rと、右トウハーネス12Rが巻き付いた状態とされる。それらが正面から見た足を外側から締め付ける。その力により、正面から見た場合に扁平に近い状態になっていた右足のアーチは、左右から押される力によって押し上げられて正常に近い状態に戻る。また、右トウハーネス12Rと、右ヒールハーネス13Rには、図8に示したように、Xの符号を付した2つの力がはたらくが、これらは右足を前後方向に圧縮する力である。この足を前後方向に押す力により、側面から見た場合に扁平に近い状態になっていた右足のアーチは、前後から押される力によって押し上げられて正常に近い状態に戻る。
更に、図10に示したように、右アンクルハーネス11Rの一部は、右足の足の裏の土踏まずと踵の間を通って当該位置(図10のうち、Yの符号が付された破線で囲まれた位置のあたり)を押圧する。この位置は、脛骨筋群のうちの後脛骨筋の停止点であり、その位置に刺激を与えることで後脛骨筋の緊張が緩和される。これによっても被験者の右足のアーチは正しい状態に近づく。
つまり、右足ハーネス10Rは、右足のアーチを整える。
更に、正しく右足に取付けられた右足ハーネス10Rは、右足の親指に巻き付けられた後に親指と人差し指の間を通過する。また、右足ハーネス10Rは、右足の薬指と小指の間を通り、人差し指、中指、薬指に、小指から離反する方向の力を加える。つまり、右足ハーネス10Rは、右足の親指と小指をその他3本の指から独立させ、動きやすくする機能を有する。
更に、正しく右足に取付けられた右足ハーネス10Rのうちの右トウハーネス12Rは、右足の親指に巻き付けられた部分に親指を上後方向に反らせる力(この力は、上述したXの符号が付された力の一部である。)を与える。被験者の右足の親指には右足ハーネス10Rを右足に装着している間中この力がはたらくため、親指を通常の状態に維持しているだけで被験者は、無意識のうちに親指の指を曲げる筋肉を鍛えている状態になる。つまり、右足ハーネス10Rは、右足の親指の指を曲げる筋力を鍛える機能を有する。
まとめると、右足ハーネス10Rは、被験者の右足に意図した通りに装着するだけで、右足のアーチを整える、右足の親指と小指をその他3本の指から独立させる、少なくとも右足の親指の指を曲げる筋力を鍛える、という効果を生じる。
左足においても、左足ハーネス10Lによって同様の効果が生じる。
被験者は、足用ハーネスを装着した状態で歩行することができ、また、その上に靴下や靴を履いても良い。
【0036】
≪第2実施形態≫
第2実施形態の足用ハーネスは、第1実施形態の足用ハーネスと殆ど変わらない。
第2実施形態の足用ハーネスが第1実施形態の足用ハーネスと異なるのは、以下の点である。
第1実施形態では、左足ハーネス10Lに含まれる左アンクルハーネス11Lにおける左トウハーネス12Lとの接続箇所、及び左ヒールハーネス13Lとの接続箇所の間の裏側の所定の位置と、左トウハーネス12Lの表側の先端、及び左ヒールハーネス13Lの表側の先端とがそれぞれ、着脱自在に固定できるようになっており、また、左アンクルハーネス11Lの右端の表側と裏側の一方と、左端の表側と裏側の他方とが、着脱自在に固定できるようになっていた。
そして、第1実施形態の左足ハーネス10Lでは、それを可能とするための構成として、左第1固定部材14L、左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第4固定部材17L、左第5固定部材18Lという5つの固定部材が採用され、右足ハーネス10Rでも同様の構成が採用されていた。
【0037】
これに対して、第2実施形態の左足ハーネス10Lでは、左足ハーネス10Lの裏側に位置していた左第1固定部材14L、左第4固定部材17Lが省略されており、右足ハーネス10Rでも右第1固定部材14Rと、右第4固定部材17Rが省略されている。
つまり、第2実施形態の左足ハーネス10Lと、右足ハーネス10Rでは、図11の平面図に示したようにそれぞれ、左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第5固定部材18Lと、右第2固定部材15R、右第3固定部材16R、右第5固定部材18Rのみが存在し、それらの裏側には固定部材が存在しない。左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第5固定部材18L、右第2固定部材15R、右第3固定部材16R、右第5固定部材18Rはいずれも、ベルクロ(商標)テープその他の面ファスナである。
ただし、第2実施形態の左足ハーネス10Lにおける左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第5固定部材18Lはいずれも、左アンクルハーネス11Lの裏側面の任意の位置に着脱自在な固定が行えるようになっている。言い換えると、左アンクルハーネス11Lの裏側の面は、面ファスナである左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第5固定部材18Lと着脱自在な性状を備えている。帯状体の一面に面ファスナを着脱自在にする技術(例えば、多少毛羽立たせる)は公知或いは周知であるので、左アンクルハーネス11Lの裏側の面にそのような公知或いは周知技術を適用すれば、左アンクルハーネス11Lの裏側の面の全体を、面ファスナである左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第5固定部材18Lと着脱自在にすることは容易である。
同様に、第2実施形態の右足ハーネス10Rにおける右第2固定部材15R、右第3固定部材16R、右第5固定部材18Rはいずれも、右アンクルハーネス11Rの裏側面の任意の位置に着脱自在な固定が行えるようになっている。
【0038】
第2実施形態の足用ハーネスの使い方と効果は、第1実施形態のそれらと同じである。
ただし、左足ハーネス10Lを左足に装着する場合には、左足ハーネス10Lにおける左第2固定部材15L、左第3固定部材16Lはそれぞれ、左アンクルハーネス11Lの裏側の面であって、第1実施形態において左第1固定部材14L、が取付けられていた位置に対応する箇所に着脱自在に固定される。また、左足ハーネス10Lにおける左第5固定部材18Lは、左アンクルハーネス11Lの裏側の面であって、第1実施形態において左第4固定部材17Lが取付けられていた位置に対応する箇所に着脱自在に固定される。
第2実施形態における左第2固定部材15L、左第3固定部材16L、左第5固定部材18Lはいずれも、左アンクルハーネス11Lの裏側面の任意の位置に着脱自在に固定できるのであるから、上述の如き着脱自在な固定はもちろん可能である。
同様に、右足ハーネス10Rを右足に装着する場合には、右足ハーネス10Rにおける右第2固定部材15R、右第3固定部材16Rはそれぞれ、右アンクルハーネス11Rの裏側の面であって、第1実施形態において右第1固定部材14R、が取付けられていた位置に対応する箇所に着脱自在に固定される。また、右足ハーネス10Rにおける右第5固定部材18Rは、右アンクルハーネス11Rの裏側の面であって、第1実施形態において右第4固定部材17Rが取付けられていた位置に対応する箇所に着脱自在に固定される。
被験者の足に装着された足用ハーネスの外観は第1実施形態と第2実施形態とで変わりなく、足用ハーネスによって被験者の足の指のグリップ力が増す効果も第1実施形態と第2実施形態とで変わりない。
【符号の説明】
【0039】
10L 左足ハーネス
10R 右足ハーネス
11L 左アンクルハーネス
11R 右アンクルハーネス
12L 左トウハーネス
12R 右トウハーネス
13L 左ヒールハーネス
13R 右ヒールハーネス
14L 左第1固定部材
14R 右第1固定部材
15L 左第2固定部材
15R 右第2固定部材
16L 左第3固定部材
16R 右第3固定部材
17L 左第4固定部材
17R 右第4固定部材
18L 左第5固定部材
18R 右第5固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11