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▶ 株式会社フライホイール・ユナイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090270
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】フライホイール蓄発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/02 20060101AFI20240627BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H02K7/02
H02J15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206043
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】522468375
【氏名又は名称】株式会社フライホイール・ユナイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】福田 勉
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB02
5H607BB05
5H607BB14
5H607CC05
5H607DD03
5H607EE42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フライホイールの回転による機械損失を少なくして発電効率を低下させることなく、大容量の電力を得ることができるフライホイール蓄発電装置を提供する。
【解決手段】フライホイール蓄発電装置1は、フライホイール回転軸11b1を有するフライホイール11と、フライホイール回転軸の一端に連結されフライホールを回転させてフライホイールにエネルギーを蓄積させる主電動機13と、フライホイール回転軸の他端に連結されフライホールの回転により発電する主発電機14と、フライホイールの円周面又はフライホイール回転軸に取り付けられた回転板の円周面に非接触で近接して配置された複数の小回転子21等と、小回転子等の回転軸21b等に連結され小回転子等の回転により発電する副発電機23等と、フライホール又は回転板の回転により小回転子等を回転させる回転伝達手段を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライホイール回転軸を有するフライホイールと、
前記フライホイール回転軸の一端に連結され前記フライホールを回転させて前記フライホイールにエネルギーを蓄積させる主電動機と、
前記フライホイール回転軸の他端に連結され前記フライホールの回転により発電する主発電機と、
前記フライホイールの円周面又は前記フライホイール回転軸に取り付けられた回転板の円周面に非接触で近接して配置された複数の小回転子と、
前記小回転子の回転軸に連結され前記小回転子の回転により発電する副発電機と、
前記フライホール又は前記回転板の回転により前記小回転子を回転させる回転伝達手段
を備えたことを特徴とするフライホイール蓄発電装置。
【請求項2】
フライホイール回転軸を有する大型のフライホイールと、
前記フライホイールの円周面又は前記フライホイール回転軸に取り付けられた回転板の円周面に非接触で近接して配置された複数の小回転子と、
前記小回転子の回転軸の一端に連結され前記小回転子を回転させる小回転子電動機と、
前記小回転子の回転軸の他端に連結され前記小回転子の回転により発電する小回転子発電機と、
前記小回転子の回転により前記フライホール又は前記回転板を回転させ、前記フライホール又は前記回転板の回転により前記小回転子を回転させる回転伝達手段と
を備えたことを特徴とするフライホイール蓄発電装置。
【請求項3】
前記回転伝達手段は、前記フライホールの円周面又は前記回転板の円周面に取り付けられた第1磁石帯と、前記小回転子の円周面に取り付けられた第2磁石帯からなり、前記第1磁石帯と前記第2磁石帯の反発力により前記フライホール又は前記回転板の回転が前記小回転子に伝達され、前記小回転子の回転が前記フライホール又は前記回転板に伝達されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフライホイール蓄発電装置。
【請求項4】
前記第1磁石帯と前記第2磁石帯はネオジム磁石帯であることを特徴とする請求項3記載のフライホイール蓄発電装置
【請求項5】
前記小回転子の円周面は弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のフライホイール蓄発電装置。
【請求項6】
前記フライホールが回転した場合に、前記小回転子が回転しない位置に前記小回転子を移動させる前記小回転子移動手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフライホイール蓄発電装置。
【請求項7】
前記主電動機の回転軸と前記フライホイール回転軸の一端を連結する第1クラッチと、前記主発電機の回転軸と前記フライホイール回転軸の他端を連結する第2クラッチを備えたことを特徴とする請求項1記載のフライホイール蓄発電装置。
【請求項8】
前記小回転子電動機の回転軸と前記小回転子の回転軸の一端を連結する第3クラッチと、前記小回転子発電機の回転軸と前記小回転子の回転軸の他端を連結する第4クラッチを備えたことを特徴とする請求項2記載のフライホイール蓄発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライホイールにエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーにより発電するフライホイール蓄発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源となっており、再生可能エネルギーを利用した電力供給が推し進められている。
この再生可能エネルギーを利用した電力供給においては、例えば、太陽光発電では、太陽光が得られない夜間は発電せず、風力発電では、風が吹かない時間は発電せず、再生可能エネルギーによる発電量が自然環境の影響を受け一定しないという問題がある。
このため、再生可能エネルギーを利用して発電した電力の一部を蓄電装置で蓄電し、再生可能エネルギーの発電量が低下等した場合に、蓄電装置から電力供給を行うことが行われている。
この場合、蓄電装置には、エネルギー効率の高いリチウムイオン電池、鉛電池等の二次電池(化学電池)が使用されるのが一般的であるが、二次電池の寿命は10年程度であり、10経過すると蓄電池を交換しなければならず、また、二次電池は環境温度の影響を受け、高温下や低温下で使用するとその性能を十分発揮できず、劣化が早まるのみならず、リチウムイオン電池等では、発火するおそれがあり、マイナス20度以下では機能しなくなるという問題がある。
【0003】
この点、フライホイール蓄電装置は、上記のような二次電池の問題点がなく、大容量の電力を供給できることから、蓄電手段としてフライホイールを利用した種々の装置やシステム等が提案されている。
例えば、特許文献1(特許第5768201号公報)には、発電機14の回転軸に取り付けられたギヤBと、それに噛み合うギヤAと電磁クラッチ8を備える電動機7と、ギヤBと噛み合うギヤCを備えた大型のフライホイール12と、フライホイール12に浮力を与えるための機械油29を満たす機械油プール30と、さらに発電機回転軸の先端に取り付けられた発電機駆動のための水車と、それを覆う筐体と、使用済み水流を海洋へと自然排出する排水管と、水車を回転させる水流を導く導水管と、導水管に設けられて水流を調節する電動弁と、雨水および揚水された海水を貯蔵する目的で地上数メートルから十数メートルに設けられた貯水槽と、付帯設備にて必要とする電力を常時供給するための小規模発電設備と、装置全体を電子制御する自動制御装置を備えた発電装置が開示されている。
この特許文献1の発電装置では、フライホイール12は回転軸が垂直の縦型であり、フライホイール12の垂直荷重を支える下部スラスト軸受13の摩耗を防ぐと共にこの部分での機械損失を低減するため、フライホイール12が機械油プール30に浸漬されている。
このため、特許文献1の発電装置には、フライホイール12を回転させたとき、フライホイールの面と機械油29との摩擦損失が大きく、これによるフライホイール12の回転時のエネルギー損失が大きいという問題がある。
しかも、特許文献1の発電装置では、フライホイール12は1台の発電機14を回転させて発電させることから、発電能力は発電機14の能力に制限され、発電機14が発電する電力以上の大容量の電力を得ることができないばかりか、フライホイール12が回転して発電機14を回転させている間、フライホイール12の回転による機械損失がフライホイール12の累積回転数に比例して増大し、発電効率が悪くなるという問題がある。
【0004】
この点、特許文献2(特開2013-123354号公報)には、自然エネルギー源駆動装置又は油圧式か電動式のモータの回転駆動軸に、単数又は複数の円盤ディスク状のフライホイールと、放射状配置のスポークでリングを支持したフライリングとを装着配置し、第一発電機・第2発電機を減速機を介してベベルギヤーにより回転駆動軸と噛み合い連結させた発電装置が開示されている。
これより、特許文献1の発電装置において、発電機14を特許文献2の第一発電機・第2発電機にし、2台の発電機分の発電能力を得ることが考えられる。
しかしながら、特許文献2の第一発電機・第2発電機の回転軸とフライホイール回転軸の間には、減速機とベベルギヤーが介在していることから、発電時のギアの噛み合いによる機械損失が大きいという問題がある。
また、非特許文献1には、容器内に収納したフライホイールを縦型とし、フライホイールの下部にはアンギュラ玉軸受を取り付け、フライホイールの回転軸に三相誘導電動機を取り付けたフライホイールエネルギー貯蔵システムの試作機が開示されている。
しかしながら、非特許文献1の試作機に使用されているフライホイールは半径0.5m、厚さ0.065mの小型のものであり、回転数3315rpmにおけるエネルギー貯蔵量が3MJ(0.834KWh)と小さく、数十MJ(数十KWh)の大容量のエネルギーを蓄積できないという問題がある。
【0005】
次に、特許文献1の発電装置では、フライホイールの回転軸に取り付けられたギアCが、発電機の回転軸に取り付けられたギヤBと噛み合っており、フライホイールを回転させると発電機の回転軸が回転し発電するため、発電せずにフライホイールを回転させてフライホイールに蓄積されたエルギーを放出せずに一定時間維持することができない。
この場合、電動機の回転軸に取り付けられた電磁クラッチを発電機の回転軸にも取り付け、フライホイールが回転しても発電機が発電しないようにして、フライホイールを回転させることも考えられる。
しかしながら、フライホイールの回転軸にはギアCが取り付けられ、ギアCにはギアBが噛み合っていることから、発電せずにフライホイールを回転させても、ギアBの回転軸は回転し、ギアCとギアBの噛み合いによる機械損失とギアBの回転軸の軸受での損失が生じ、フライホイールの回転時のエネルギー損失が大きくなるという問題が生ずる。
また、非特許文献1の試作機では、フライホイールの回転軸に取り付けられた三相誘導電動機はフリーランが可能で、発電せずにフライホイールを回転させることができるが、ライホイールを回転させると、三相誘導電動機の回転軸も回転し、これによる機械損失が生じ、特許文献1と同様にフライホイールの回転時のエネルギー損失が大きくなるという問題が生ずる。
【0006】
ところで、特許文献1や特許文献2では、モータ等によりギヤを介してフライホイールを回転させて蓄電し、フライホイールの回転をギヤを介して発電機に伝えて発電していることから、蓄発電時にギヤの噛み合いによる機械損失が生じ、エネルギーの変換効率が悪いという問題がある。
この点、非特許文献1では、発電機としても機能する三相誘導電動機の回転軸が、フライホイールの回転軸とギヤを介さずに連結され、蓄発電時にフライホイールが回転してもギヤの噛み合いによる機械損失が生じないようになっている。
しかしながら、非特許文献1では三相誘導電動機が直接フライホイールの回転軸を回転させることから、フライホイールが大型化すると大出力の三相誘導電動機が必要となって設備が大掛かりとなるのみなならず、三相誘導電動機の大出力化には限界あり、エネルギーの蓄積量を増加させるためのフライホイールの大型化にも限界があるという問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5768201号公報
【特許文献2】特開2013-123354号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“日本機械学会論文集(C編)79巻806号(2013-10)短周期電力平準用3MJフライホイールエネルギー貯蔵システムの試作試験”,[online],[令和4年10月11日検索],インターネット,<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic/79/806/79_3756/_pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、フライホイール蓄発電装置において、大容量のエネルギーを貯蔵できるフライホイールを使用して、フライホイールの回転による機械損失を少なくして発電効率を低下させることなく、大容量の電力を得ることができ、また、エネルギー損失を最小限にして、発電せずにフライホイールを回転させてフライホイールに蓄積されたエルギーを放出せずに一定時間維持することができるようにすることであり、また、大型のフライホイールを使用しても、大出力のモータの使用することなくフライホイールを回転させることができ、蓄発電時のエネルギーの変換効率を低下させないようにすることである。
【0010】
請求項1の発明は、フライホイール回転軸を有するフライホイールと、前記フライホイール回転軸の一端に連結され前記フライホールを回転させて前記フライホイールにエネルギーを蓄積させる主電動機と、前記フライホイール回転軸の他端に連結され前記フライホールの回転により発電する主発電機と、前記フライホイールの円周面又は前記フライホイール回転軸に取り付けられた回転板の円周面に非接触で近接して配置された複数の小回転子と、前記小回転子の回転軸に連結され前記小回転子の回転により発電する副発電機と、前記フライホール又は前記回転板の回転により前記小回転子を回転させる回転伝達手段を備えたフライホイール蓄発電装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項2の発明は、フライホイール回転軸を有するフライホイールと、前記フライホイールの円周面又は前記フライホイール回転軸に取り付けられた回転板の円周面に非接触で近接して配置された複数の小回転子と、前記小回転子の回転軸の一端に連結され前記小回転子を回転させる小回転子電動機と、前記小回転子の回転軸の他端に連結され前記小回転子の回転により発電する小回転子発電機と、前記小回転子の回転により前記フライホール又は前記回転板を回転させ、前記フライホール又は前記回転板の回転により前記小回転子を回転させる回転伝達手段とを備えたフライホイール蓄発電装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項3の発明は、前記回転伝達手段は、前記フライホールの円周面又は前記回転板の円周面に取り付けられた第1磁石帯と、前記小回転子の円周面に取り付けられた第2磁石帯からなり、前記第1磁石帯と前記第2磁石帯の反発力により前記フライホール又は前記回転板の回転が前記小回転子に伝達され、前記小回転子の回転が前記フライホール又は前記回転板に伝達されるフライホイール蓄発電装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項4の発明は、前記第1磁石帯と前記第2磁石帯はネオジム磁石帯であるフライホイール蓄発電装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0014】
請求項5の発明は、前記小回転子の円周面は弾性部材で形成されているフライホイール蓄発電装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0015】
請求項6の発明は、前記フライホールが回転した場合に、前記小回転子が回転しない位置に前記小回転子を移動させる前記小回転子移動手段を備えたフライホイール蓄発電装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0016】
請求項7の発明は、前記主電動機の回転軸と前記フライホイール回転軸の一端を連結する第1クラッチと、前記主発電機の回転軸と前記フライホイール回転軸の他端を連結する第2クラッチを備えたフライホイール蓄発電装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0017】
請求項8の発明は、前記小回転子電動機の回転軸と前記小回転子の回転軸の一端を連結する第3クラッチと、前記小回転子発電機の回転軸と前記小回転子の回転軸の他端を連結する第4クラッチを備えたフライホイール蓄発電装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明のフライホイール蓄発電装置においては、主電動機によりフライホイールにエネルギーを蓄積させ、エネルギーが蓄積されたフライホイールの回転により主発電機と副発電機が発電することから、主発電機の発電量に副発電機の発電量を加えた大容量の電力を発電することができ、かつ、フライホイールの回転による機械損失がフライホイールの累積回転数に比例して増大し、発電効率が悪くなること抑制でき、また、フライホイールの円周面又はフライホイール回転軸に取り付けられた回転板の円周面に非接触で近接して配置された複数の小回転子が、フライホール又は回転板の回転により回転して副発電機が発電することから、フライホール又は回転板から小回転子への回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができ、エネルギーの変換効率を低下させずに発電できるという効果を奏する。
【0019】
請求項2に記載の発明のフライホイール蓄発電装置においては、フライホイールの円周面又はフライホイール回転軸に取り付けられた回転板の円周面に非接触で近接して複数の小回転子が配置され、小回転子電動機による小回転子の回転によりフライホイールが回転してフライホイールにエネルギーが蓄積されるため、小回転子からフライホイールへの回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができると共に、大出力の電動機の使用することなくフライホイールを回転させることができ、また、フライホール又は回転板の回転により小回転子を回転させて小回転子発電機を発電させることから、フライホール又は回転板から小回転子への回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができると共に、フライホイールの回転による機械損失がフライホイーの累積回転数に比例して増大し、発電効率が悪くなること抑制でき、蓄発電時のエネルギーの変換効率を低下させないようにすることができいう効果を奏する。
【0020】
請求項3に記載の発明のフライホイール蓄発電装置においては、さらに、フライホールの円周面又は回転板の円周面に取り付けられた第1磁石帯と、小回転子の円周面に取り付けられた第2磁石帯の反発力によりフライホール又は回転板の回転が記小回転子に伝達され、小回転子の回転がフライホール又は回転板に伝達されることから、回転伝達時の摩擦損失を生じないようにして、フライホール又は回転板と小回転子を転がり接触して回転するのと同じように回転させることができるという効果を奏する。
【0021】
請求項4に記載の発明のフライホイール蓄発電装置においては、さらに、第1磁石帯と第2磁石帯がネオジム磁石帯であり、ネオジム磁石は最も強い磁力と吸着力をもつことから、フライホール又は回転板と小回転子との間の回転伝達を確実に行うことができるという効果を奏する。
【0022】
請求項5に記載の発明のフライホイール蓄発電装置においては、さらに、小回転子の円周面は弾性部材で形成されていることから、フライホール又は回転板と小回転子が回転しているときに、フライホール又は回転板の回転がぶれる等して第1磁石帯の外周面と第2磁石帯の外周面が接触乃至干渉しても、弾性部材が変形して両磁石帯の外周面の押し付けが弱められ、その押し付けによる磁石帯の外周面の損傷等を抑えることができるという効果を奏する。
【0023】
請求項6に記載の発明のフライホイール蓄発電装置においては、さらに、フライホールが回転した場合に、小回転子移動手段により、小回転子が回転しない位置に小回転子が移動されることから、小回転子の回転損失を生じないようにし、フライホイールに蓄積されたエネルギー損失を最小限にできるという効果を奏する。
【0024】
請求項7に記載の発明のフライホイール蓄発電装置においては、さらに、第1クラッチと第2クラッチにより、フライホイール回転軸と主電動機の回転軸、主発電機の回転軸を遮断することから、フライホイールを無負荷回転させた場合に、フライホイールの回転による損失を低減でき、エネルギー損失を最小限にして、フライホイールに蓄積されたエルギーを放出せずに一定時間維持することができるという効果を奏する。
【0025】
請求項8に記載の発明のフライホイール蓄発電装置においては、さらに、第3クラッチと第4クラッチにより、小回転子電動機の回転軸、小回転子発電機の回転軸と小回転子の回転軸とを連結し、遮断できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1発明となるフライホイール蓄発電装置の正面支持フレームと正面側の副発電部を除いた正面図である。
図2図1に示すフライホイール蓄発電装置の上面支持フレームと上側の副発電部を除いた平面図である。
図3図1に示すフライホイール蓄発電装置の支持フレーム部を除いた分解斜視図である。
図4】フライホイール11と小回転子21~51の左側面図である。
図5図4に示す小回転子21の近傍の拡大図である。
図6】扁平磁石11M1の拡大斜視図と扁平磁石21m1の拡大斜視図である。
図7】第1磁石帯11Mと第2磁石帯21を形成する扁平磁石の他の例を示した斜視図とである。
図8】小回転子21に代わる他の小回転子の斜視図と左側面図である。
図9】8つの副発電部を備えたフライホイール蓄発電装置におけるフライホイール11と小回転子21~51等の左側面図である。
図10】小回転子移動装置29の斜視図である」。
図11】小回転子移動装置29により小回転子本体21aが移動する状態を説明する説明図である。
図12】フライホイール蓄発電装置1のフライホイール蓄発電制御装置の構成を示したブロック図である。
図13】フライホイール11を回転させてフライホイール11に蓄電する動作を示したフローチャートである。
図14】主発電機14が発電する動作を示したフローチャートである。
図15】発電機23等が発電する動作を示したフローチャートである。
図16】第1発明の他のフライホイール蓄発電装置(その1)の正面支持フレームを除いた正面図である。
図17図16に示すフライホイール蓄発電装置の上面支持フレームを除いた平面図である。
図18図16に示すフライホイール蓄発電装置のフライホイールと小回転子部分の分解斜視図である。
図19】左回転板111と左小回転子本体122~152の左側面図である。
図20】第1発明の他のフライホイール蓄発電装置(その2)の正面支持フレームと正面側の副発電部を除いた正面図である。
図21図20に示すフライホイール蓄発電装置の左側面支持フレームと左側の副発電部を除いた左側面図である。
図22図20に示すフライホイール蓄発電装置の支持フレーム部を除いた分解斜視図である。
図23】本発明の第2発明となるフライホイール蓄発電装置の正面支持フレームと正面側の小回転子蓄発電部を除いた正面図である。
図24図23に示すフライホイール蓄発電装置の上面支持フレームと上側の小回転子蓄発電部を除いた平面図である。
図25図1に示すフライホイール蓄発電装置の支持フレーム部を除いた分解斜視図である。
図26】フライホイール蓄発電装置301のフライホイール蓄発電制御装置の構成を示したブロック図である。
図27】フライホイール311を回転させてフライホイール311に蓄電する動作を示したフローチャートである。
図28】小回転子発電機324等が発電する動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1発明のフライホイール蓄発電装置の構成]
図1は、本発明の第1発明となるフライホイール蓄発電装置の正面支持フレームと正面側の副発電部を除いた正面図、図2は、図1に示すフライホイール蓄発電装置の上面支持フレームと上側の副発電部を除いた平面図、図3は、図1に示すフライホイール蓄発電装置の支持フレーム部を除いた分解斜視図である。
図中、1はフライホイール蓄発電装置、10は主畜発電部、11はフライホイール、11aはフライホイール本体、11bはフライホイール回転軸、11b1は太軸部、11b2は細軸部、11Mは第1磁石帯、12a、12bはベアリング、13は主電動機、13aは電動機本体、13bは回転軸、14は主発電機、14aは発電機本体、14bは回転軸、15、16はクラッチ、17、18は設置台、20、30、40、50は副発電部、21、31、41、51は小回転子、21a、31a、41a、51aは小回転子本体、21b、31b、41b、51bは回転軸、21m、31m、41m、51mは第2磁石帯、22a、22b、32a、32b、42a、42b、52a、52bはベアリング、23、24、33、34、43、44、53、54は副発電機、23a、24a、33a、34a、43a、44a、53a、54aは副発電機本体、23b、24b、33b、34b、43b、44b、53b、54bは回転軸、25、26、35、36、45、46、55、56はクラッチ、27、28、37、38、47、48、57、58は設置台、29、39、49、59は小回転子移動装置、FL1は支持フレーム部、FL11は上面支持フレーム、FL12は底面支持フレーム、FL13は左側面支持フレーム、FL14は右側面支持フレーム、FL15は正面支持フレーム、FL16は背面支持フレーム、GL1は床面であり、各図において、Xは左右方向、Yは前後方向、Zは上下方向(鉛直方向)であり、第1磁石帯と第2磁石帯を灰色で表す。
図に示すようにフライホイール蓄発電装置1は、主畜発電部10、副発電部20、30、40、50、支持フレーム部FL1等から構成される。
【0028】
[フライホイール蓄発電装置1の主畜発電部]
主畜発電部10は、フライホイール11、ベアリング12a、12b、主電動機13、主発電機14、クラッチ15、16、設置台17、18等から構成される。
フライホイール11は、フライホイール本体11aとフライホイール回転軸11bからなる。
フライホイール本体11aは、直径500~1000mm、厚さ(軸方向の長さ)50~500mmの円板(中実円筒)であり、鉄等の金属からなり、その中心部にはフライホイール回転軸11bが取り付けられ、その円周面には第1磁石帯11M(詳細は後述する)が取り付けられている。
フライホイール回転軸11bは、太軸部11b1と細軸部11b2からなる段付きのシャフトであり、太軸部11b1の直径が100~300mm、細軸部11b2の直径が50~100mmであり、太軸部11b1がフライホイール本体11aの中心部に取り付けられ、細軸部11b2にはベアリング12a、12bが取り付けられる。
フライホイール11は、主電動機13により1000~30000rpmで回転して36~3600MJ(メガジュール)のエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーにより主発電機14を出力10~1000kwで発電させる大型のフライホイールである。
【0029】
ベアリング12a、12bはラジアルベアリングであり、ベアリング12aが、フライホイール回転軸11bの左側の細軸部11b2に取り付けられて(はめ込まれて)左側面支持フレームFL13に固定され、ベアリング12bが、フライホイール回転軸11bの右側の細軸部11b2に取り付けられて(はめ込まれて)右側面支持フレームFL14に固定される。
これにより、フライホイール11は、フライホイール回転軸11bが水平となるように配置された横型であり、フライホイール回転軸11bが左側面支持フレームFL13と右側面支持フレームFL14にベアリング12a、12bを介して回転自在に保持される。
このような横型のフライホイールは、フライホイールの自重がスラスト荷重となる縦型(フライホイールの回転軸が鉛直となるもの)に比べて、スラスト荷重による軸受けの摩耗が低減でき、軸受けの寿命を長くすることができる。
そして、このようにフライホイール11を横型とした場合であっても、フライホイール回転軸11bを段付きのシャフトとすることにより、太軸部11b1でフライホイール11のたわみを小さくして、フライホイール11振れ回りによる機械損失を低減でき、細軸部11b2でベアリング12a、12bの直径を小さくして、ベアリング12a、12bにおける摩擦損失を低減できる。
【0030】
主電動機13は、電動機本体13aと回転軸13bからなり、出力が100~1000kwの大型三相誘導電動機であり、外部電源(図示せず)から供給される電力より回転軸13bが回転する。
主発電機14は、発電機本体14aと回転軸14bからなり、出力が100~1000kVAの大型三相交流発電機である。
クラッチ15は、本発明の第1クラッチとなるもので摩擦クラッチ、電磁クラッチ等からなり、フライホイール回転軸11bの左側の細軸部11b2とフライホイール用電動機13の回転軸13bの連結・切断を行う。
クラッチ16は、本発明の第2クラッチとなるもので摩擦クラッチ、電磁クラッチ等からなり、フライホイール回転軸11bの右側の細軸部11b2と主発電機14の回転軸14bの連結・切断を行う。
そして、電動機本体13aとクラッチ15が、左側面支持フレームFL13の中央部左側面に固定された設置台17の上面に設置され、発電機本体14aとクラッチ16が右側面支持フレームFL14の中央部右側面に固定された設置台18の上面に設置される。
これにより、左から順に主電動機13、クラッチ15、フライホイール11、クラッチ16、主発電機14が左側面支持フレームFL13と右側面支持フレームFL14の中央部に取付固定され、主電動機13の回転軸13bの回転によりフライホイール11が回転してエネルギーが蓄積(蓄電)され、フライホイール11の回転により主発電機14の回転軸14bが回転して発電(放電)する。
なお、主電動機13と主発電機14の両方を、発電機能を備えた電動機として、電力を供給したときは電動機として機能し、回転軸13b、14bを回転させたときは発電機として機能するようにし、フライホイール11への蓄電時は、主発電機14を電動機として機能させ、主電動機13と主発電機(電動機)14の両方あるいはいずれか一方に電力を供給してフライホイール11を回転させ、フライホイール11による発電(放電)時は、主電動機13を発電機として機能させ、主電動機(発電機)13と主発電機14の両方あるいはいずれか一方を発電させるようにしてもよい。
【0031】
[フライホイール蓄発電装置1の副発電部]
副発電部20は、小回転子21、ベアリング22a、22b、副発電機23、24、クラッチ25、26、設置台27、28、小回転子移動装置29等から構成される。
小回転子21は、小回転子本体21aと回転軸21bからなる。
小回転子本体21aは、直径がフライホイール11の直径の1/16~1/2であり、厚さ(軸方向の長さ)10~100mmの円板(中実円筒)であり、鉄等の金属からなり、その中心部には回転軸21bが取り付けられ、その円周面には第2磁石帯21m(詳細は後述する)が取り付けられている。
また、小回転子本体21aは、小回転子移動装置29(後述する)により回転軸21bに対して軸方向に移動可能となっている。
ベアリング22a、22bはラジアルベアリングであり、ベアリング22aが、回転軸21bの左側に取り付けられて(はめ込まれて)左側面支持フレームFL13の上部に固定され、ベアリング22bが、回転軸21bの右側に取り付けられて(はめ込まれて)右側面支持フレームFL14の上部に固定される。
これにより、小回転子21の回転軸21bが左側面支持フレームFL13と右側面支持フレームFL14の上部にベアリング22a、22bを介して回転自在に保持される。
【0032】
副発電機23、24は同じものであり、発電機本体23a、24aと回転軸23b、24bからなり、出力が50~500kVAの三相交流発電機である。
クラッチ25、26は同じものであり、摩擦クラッチ、電磁クラッチ等からなり、クラッチ25は、小回転子21の回転軸21bの左側部分と副発電機23の回転軸23bの連結・切断を行い、クラッチ26は、小回転子21の回転軸21bの右側部分と副発電機24の回転軸24bの連結・切断を行う。
そして、発電機本体23aとクラッチ25が、左側面支持フレームFL13の上部左側面に固定された設置台27の上面に設置され、発電機本体24aとクラッチ26が右側面支持フレームFL14の上部右側面に固定された設置台28の上面に設置される。
これにより、左から順に副発電機23、クラッチ25、小回転子21、クラッチ26、副発電機24が左側面支持フレームFL13と右側面支持フレームFL14の上部に取付固定され、小回転子21の回転により副発電機23、24の回転軸23b、24bが回転して発電(放電)する。
【0033】
他の副発電部30、40、50も、副発電部20と同じ構成であり、副発電部30は、小回転子31、ベアリング32a、32b、副発電機33、34、クラッチ35、36、設置台37、38、小回転子移動装置39等から構成され、副発電部40は、小回転子41、ベアリング42a、42b、副発電機43、44、クラッチ45、46、設置台47、48、小回転子移動装置49等から構成され、副発電部50は、小回転子51、ベアリング52a、52b、副発電機53、54、クラッチ55、56、設置台57、58、小回転子移動装置59等から構成される。
小回転子31、41、51は、小回転子21と同一のものであり、小回転子本体31a、41a、51aと回転軸31b、41b、51bからなり、小回転子本体31a、41a、51aの円周面には第2磁石帯31m、41m、51mが取り付けられ、小回転子本体31a、41a、51aの中心部には回転軸31b、41b、51bが取り付けられている。
また、小回転子本体31a、41a、51aは、小回転子移動装置39、49、59(後述する)により回転軸31b、41b、51bに対して軸方向に移動可能となっている。
各回転軸31b、41b、51bの左側には、ベアリング32a、42a、52aが取り付けられ、各回転軸31b、41b、51bの右側には、ベアリング32b、42b、52bが取り付けられ、ベアリング32aは左側面支持フレームFL13の手前側に、ベアリング32bは右側面支持フレームFL14の手前側に固定され、ベアリング42aは左側面支持フレームFL13の下部に、ベアリング42bは右側面支持フレームFL14の下部に固定され、ベアリング52aは左側面支持フレームFL13の奥側に、ベアリング32bは右側面支持フレームFL14の奥側に固定される。
【0034】
副発電機33、34、副発電機43、44、副発電機53、54は、副発電機23、24と同じものであり、それぞれ発電機本体33a、34a、発電機本体43a、44a、発電機本体53a、54aと回転軸33b、34b、回転軸43b、44b、回転軸53b、54bからなる。
クラッチ35、36、クラッチ45、46、クラッチ55、56もクラッチ25、26と同じものであり、クラッチ35、36は、小回転子31の回転軸31bと副発電機33、34の回転軸33ba、34bの連結・切断を行い、クラッチ45、46は、小回転子41の回転軸41bと副発電機43、44の回転軸43b、44bの連結・切断を行い、クラッチ55、56は、小回転子52の回転軸51bと副発電機53、54の回転軸53b、54bの連結・切断を行う。
そして、発電機本体33aとクラッチ25が、左側面支持フレームFL13の手前側左側面に固定された設置台37の上面に設置され、発電機本体34aとクラッチ36が右側面支持フレームFL14の手前側右側面に固定された設置台38の上面に設置され、発電機本体43aとクラッチ45が、左側面支持フレームFL13の下部左側面に固定された設置台47の上面に設置され、発電機本体44aとクラッチ46が右側面支持フレームFL14の下部右側面に固定された設置台48の上面に設置され、発電機本体53aとクラッチ55が、左側面支持フレームFL13の奥側左側面に固定された設置台57の上面に設置され、発電機本体54aとクラッチ56が右側面支持フレームFL14の奥側右側面に固定された設置台58の上面に設置される。
なお、支持フレーム部FL1は、床面GL1に設置された底面支持フレームFL12と、底面支持フレームFL12上に取り付けられた正面支持フレームFL15、背面支持フレームFL16、左側面支持フレームFL13、右側面支持フレームFL14、その上に取り付けられた上面支持フレームFL11より構成される。
【0035】
これにより、左から順に副発電機33、クラッチ35、小回転子31、クラッチ36、副発電機34が左側面支持フレームFL13と右側面支持フレームFL14の手前側に取付固定され、小回転子31の回転により副発電機33、34の回転軸33b、34bが回転して発電(放電)する。
また、左から順に副発電機43、クラッチ45、小回転子41、クラッチ46、副発電機44が左側面支持フレームFL13と右側面支持フレームFL14の下部に取付固定され、小回転子41の回転により副発電機43、44の回転軸43b、44bが回転して発電(放電)する。
さらに、左から順に副発電機53、クラッチ55、小回転子51、クラッチ56、副発電機54が左側面支持フレームFL13と右側面支持フレームFL14の奥側に取付固定され、小回転子51の回転により副発電機53、54の回転軸53b、54bが回転して発電(放電)する。
【0036】
[フライホイール蓄発電装置1の第1磁石帯、第2磁石帯]
図4は、フライホイール11と小回転子21~51の左側面図、図5は、図4に示す小回転子21の近傍の拡大図である。
図中、11M1、11M2、11M8、11M9、11M16、11M17、11M24、11M25、11M31、11M32、21m1、21m2、21m3、21m4、31m1、31m2、31m3、31m4、41m1、41m2、41m3、41m4、51m1、51m2、51m3、51m4は扁平な磁石(以下「扁平磁石」という。)、M1o、M2o、M21o、m1o、m2o、m3o、m4oは外側部分、M1i、M2i、M21i、m1i、m2i、m3i、m4iは内側部分である。
第1磁石帯11Mは、複数の円弧状の(外側に湾曲した)扁平磁石をフライホイール本体11aの円周面に配置した帯状の磁石群であり、本実施形態では図4に示すように32個の扁平磁石11M1、11M2・・・11M8、11M9・・・11M16、11M17・・・11M24、11M25・・・11M31、11M32が、フライホイール本体11aの円周面の円周方向に配置されている。
この場合、扁平磁石11Mp(p=1~32)は、フライホイール本体11aの円周面に接着剤等により固定されるが、フライホイール本体11aの円周面に溝を設けこの溝に扁平磁石11Mpをはめ込んで接着剤等により固定してもよい。
本実施形態では隣り合う扁平磁石11Mpの間には隙間がないが、隣り合う扁平磁石11Mpの間に数ミリメートル以下の僅かな隙間があってもよい。
扁平磁石11Mpは、希土類磁石(ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石)、フェライト磁石、アルコニ磁石等の永久磁石であり、最も強い磁力と吸着力をもつネオジム磁石が望ましい。
各扁平磁石11Mpの円周方向の長さ、軸方向(X方向)の長さ、厚み(半径方向の長さ)は同じで、磁極の向きは半径方向となり、扁平磁石11Mpの内側部分(フライホイール本体11aの円周面に当接する面側の部分)と外側部分(フライホイール本体11aの円周面に当接しない面側の部分)がN極、S極のいずれかとなり、隣り合う2個の扁平磁石11Mp、11M(p+1)との磁極の向きは互い逆となる。
【0037】
図4では、外側部分がN極となる扁平磁石を濃い灰色で表し、外側部分がS極となる扁平磁石を薄い灰色で表し(図1図2も同様)、図5では、扁平磁石のN極となる部分を濃い灰色で表し、扁平磁石のS極となる部分を薄い灰色で表す。
図5に示すように小回転子本体21に近接する扁平磁石11M1では、外側部分M1oがS極、内側部分M1iがN極となり、扁平磁石11M1の右隣の扁平磁石11M2では、外側部分M2oがN極、内側部分M2iがS極となり、扁平磁石11M1の左隣の扁平磁石11M32では、外側部分M32oがN極、内側部分M32iがS極となり、扁平磁石11M32の左隣の扁平磁石11M31では、外側部分M31oがS極、内側部分M31iがN極となる。
また、第1磁石帯11Mにおいて、図4に示すように小回転子本体31に近接する扁平磁石11M8では外側部分がN極、内側部分がS極となり、その隣の扁平磁石11M9では外側部分がS極、内側部分がN極となり、小回転子本体41に近接する扁平磁石11M16では外側部分がN極、内側部分がS極となり、その隣の扁平磁石11M17では外側部分がS極、内側部分がN極となり、小回転子本体51に近接する扁平磁石11M24では外側部分がN極、内側部分がS極となり、その隣の扁平磁石11M25では外側部分がS極、内側部分がN極となる。
【0038】
小回転子21においては、小回転子本体21aの円周面には第2磁石帯21mが取り付けられている。
第2磁石帯21mは、第1磁石帯11Mと同様に複数の円弧状の(外側に湾曲した)扁平磁石を小回転子本体21aの円周面に配置した磁石群であり、本実施形態では図4に示すように4個の扁平磁石21m1、21m2、21m3、21m4が、小回転子本体21aの円周面の円周方向に配置されている。
この場合、扁平磁石21mq(q=1~4)は、小回転子本体21aの円周面に接着剤等により固定されるが、小回転子本体21aの円周面に溝を設けこの溝に扁平磁石21mqをはめ込んで接着剤等により固定してもよい。
本実施形態では隣り合う扁平磁石21mqの間には隙間がないが、隣り合う扁平磁21mqの間に数ミリメートル以下の僅かな隙間があってもよい。
扁平磁石21mqは、扁平磁石11Mpと同様に希土類磁石(ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石)、フェライト磁石、アルコニ磁石等の永久磁石であり、最も強い磁力と吸着力をもつネオジム磁石が望ましい。
各扁平磁石21mqの円周方向の長さ、軸方向(X方向)の長さ、厚み(半径方向の長さ)は同じで、磁極の向きは半径方向となり、第1磁石帯11Mの各扁平磁石11Mpと同様に、扁平磁石21mqのうち隣り合う2個の扁平磁石の磁極の向きは逆となる。
具体的には、図5に示すように扁平磁石21m1では、外側部分(小回転子本体21aの円周面に当接しない面側の部分)m1oがN極となり内側部分(小回転子本体21aの円周面に当接する面側の部分)がS極となり、扁平磁石21m2では、外側部分m2oがS極となり内側部分m2iがN極となり、扁平磁石21m3では外側部分m3oがN極となり内側部分m3iがS極となり、扁平磁石21m4では、外側部分m4oがS極、内側部分m4iがN極となる。
【0039】
小回転子31、41、51の第2磁石帯31m、41m、51mも小回転子21の第2磁石帯21mと同じ構成である。
すなわち、第2磁石帯31mでは、図4に示すように扁平磁石21mqと同じ4個の扁平磁石31m1、31m2、31m3、31m4が、小回転子本体31aの円周面の円周方向に配置されて固定され、扁平磁石31m1の外側部分がN極、内側部分がS極となり、扁平磁石31m2の外側部分がS極、内側部分がN極となり、扁平磁石31m3の外側部分がN極と、内側部分がS極となり、扁平磁石31m4の外側部分がS極、内側部分がN極となる。
第2磁石帯41mでは、図4に示すように扁平磁石21mqと同じ4個の扁平磁石41m1、41m2、41m3、41m4が、小回転子本体41aの円周面の円周方向に配置されて固定され、扁平磁石41m1の外側部分がN極、内側部分がS極となり、扁平磁石41m2の外側部分がS極、内側部分がN極となり、扁平磁石41m3の外側部分がN極と、内側部分がS極となり、扁平磁石41m4の外側部分がS極、内側部分がN極となる。
第2磁石帯51mでは、図4に示すように扁平磁石21mqと同じ4個の扁平磁石51m1、51m2、51m3、51m4が、小回転子本体51aの円周面の円周方向に隙間なく配置され、扁平磁石51m1の外側部分がN極、内側部分がS極となり、扁平磁石51m2の外側部分がS極、内側部分がN極となり、扁平磁石51m3の外側部分がN極と、内側部分がS極となり、扁平磁石51m4の外側部分がS極、内側部分がN極となる。
【0040】
図6(a)は、扁平磁石11M1の拡大斜視図、図6(b)は、扁平磁石21m1の拡大斜視図であり、図中、Mλは扁平磁石11M1の円周方向の長さ、Mxは扁平磁石11M1のX方向(左右方向)の長さ、Mrは扁平磁石11M1の厚み、mλは扁平磁石21m1円周方向の長さ、mxは扁平磁石21m1のX方向の長さ、mrは扁平磁石21m1の厚みである。
本実施形態では、第1磁石帯11Mにおいて隣り合う扁平磁石の間に隙間がないことから、Mλは、第1磁石帯11Mの円周Lの32分の1となり、第1磁石帯11Mはフライホイール11本体11aの円周面上に固定されていることから、第1磁石帯11Mの円周(外周)L1は、フライホイール11本体11aの直径をD1、とすると、L1=π×(D1+2Mr)となる。
第2磁石帯21mにおいても隣り合う扁平磁石の間に隙間がないことから、mλは、第2磁石帯21mの円周の4分の1となり、第2磁石帯21mは小回転子本体21aの円周面上に固定されていることから、第2磁石帯21mの円周(外周)L2は、小回転子本体21aの直径d1として、L2=π×(d1+2mr)となる。
また、Mλ(扁平磁石11M1の円周方向の長さ)とmλ(扁平磁石21m1円周方向の長さ)は等しい。
本実施形態においては、Mx(扁平磁石11M1のX方向(左右方向)の長さ)とmx(扁平磁石21m1のX方向の長さ)は等しく、Mr(扁平磁石11M1の厚み)とmr(扁平磁石21m1の厚み)も等しい。
この場合、mx(扁平磁石21m1のX方向の長さ)は、小回転子本体11aの厚さ(軸方向の長さ)と同じかそれより若干小さい。
また、Mr(扁平磁石11M1の厚み)とmr(扁平磁石21m1の厚み)は、10~100mmである。
なお、Mx(扁平磁石11M1のX方向の長さ)とmx(扁平磁石21m1のX方向の長さ)は異なっていてもよく、扁平磁石11M1の厚みMrと扁平磁石21m1の厚みmrも異なっていてもよい。
【0041】
上述のように扁平磁石11Mpはフライホイール本体11aの円周面の円周方向に隙間なく配置されていることから、第1磁石帯11Mの外周L1は、L1=32×Mλとなり、扁平磁石21mqは小回転子本体21aの円周面の円周方向に隙間なく配置されていることから、第2磁石帯21mの外周L2は、L2=4×mλとなり、Mλ=mλであるから、L1=8・L2となる。
そして、第1磁石帯11Mと第2磁石帯21mが最も接近する位置における第1磁石帯11Mと第2磁石帯21mの隙間δ(図5参照)を0.01~1.0mm、望ましくは0.01~0.1mmとすることにより、第1磁石帯11Mと第2磁石帯21mが最も接近する位置を中心とするその近傍の領域R1(図4図5で破線の長円で示す領域)において、扁平磁石11Mpと扁平磁石21mqの同極同士が対向する(向き合う)と両磁石の反発力によりフライホイール11(第1磁石帯11M)と小回転子21(第2磁石帯21m)に回転力が生じ、フライホイール11と小回転子21が互いに反対方向に同じ速度(周速)で回転しようとする。
これより、フライホイール11(第1磁石帯11M)が例えば反時計回りに回転すると、領域R1における扁平磁石11Mpと扁平磁石21mqの同極同士の反発力により、小回転子21(第2磁石帯21m)が時計回りにフライホイール11(第1磁石帯11M)と同じ周速で回転する(図4図5にフライホイール11と小回転子21の回転方向を太線の矢印で表す。)。
この場合、第1磁石帯11Mの扁平磁石11Mpは、外側部分が交互にS極とN極となるように配置され、第2磁石帯21mの扁平磁石21mqも外側部分が交互にN極とS極となるように配置されていることから、領域R1で常に扁平磁石11Mpと扁平磁石21mqの同極同士が対向し(向き合い)、小回転子21(第2磁石帯21m)に扁平磁石11Mpと扁平磁石21mqの同極同士の反発力による回転力が連続的に生じ、小回転子21(第2磁石帯21m)は、フライホイール11(第1磁石帯11M)と同じ周速で回転を継続する。
すなわち、小回転子21(第2磁石帯21m)は、回転するフライホイール11(第1磁石帯11M)と転がり接触して回転するのと同じように回転し、小回転子21の回転数はフライホイール11の回転数の8倍となる。
【0042】
同様にして、フライホイール11が反時計回りに回転すると、小回転子31、41、51が反時計回りに回転し、小回転子31、41、51(第2磁石帯31m、41m、51m)の周速は、フライホイール11(第1磁石帯11M)の周速と同じになり、小回転子31、41、51の回転数は、フライホイール11の回転数の8倍となる。
すなわち、小回転子31においては、第1磁石帯11Mと第2磁石帯31mが最も接近する位置を中心とするその近傍の領域R2(図4参照)において、扁平磁石11Mpと扁平磁石31mqの同極同士が対向して(向き合って)両磁石が反発することにより小回転子31が回転する。
また、小回転子41においては、第1磁石帯11Mと第2磁石帯41mが最も接近する位置を中心とするその近傍の領域R3(図4参照)において、扁平磁石11Mpと扁平磁石41mqの同極同士が対向して(向き合って)両磁石が反発することにより小回転子41が回転する。
さらに、小回転子51においては、第1磁石帯11Mと第2磁石帯51mが最も接近する位置を中心とするその近傍の領域R4(図4参照)において、扁平磁石11Mpと扁平磁石51mqの同極同士が対向して(向き合って)両磁石が反発することにより小回転子51が回転する。
このようにフライホイール11が回転すると、第1磁石帯11Mと第2磁石帯21m等の同極同士の反発により小回転子21等が回転するため、フライホイール11の回転を非接触で小回転子21等に伝達でき、ギヤー等の接触手段によりフライホイールの回転を発電手段等に伝達させるものに比べて、回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができる。
【0043】
図7(a)は、第1磁石帯11Mを形成する扁平磁石の他の例を示した斜視図であり、図7(b)は、第2磁石帯21mを形成する扁平磁石の他の例を示した斜視図であり、図中、11M1’、21m1’は扁平磁石、Mg1~Mg8、mg1~mg8は磁石であり、図において磁石のN極となる部分を濃い灰色で表し、磁石のS極となる部分を薄い灰色で表す。
図7(a)に示すように、扁平磁石11M1’は、扁平磁石11M1に置き換わるものであり、円周方向に並んだ4個の磁石Mg1~Mg4と、4個の磁石Mg5~Mg8が、X方向に2列に配置された合計8個の磁石からなる磁石群である。
各磁石Mg1~Mg8は、外側部分がS極、内側部分がN極となり、扁平磁石11M1’全体として、扁平磁石11M1と同様に外側部分がS極、内側部分がN極となる。
図7(b)に示すように、扁平磁石21m1’は、扁平磁石21m1に置き換わるものであり、円周方向に並んだ4個の磁石mg1~mg4と、4個の磁石mg5~mg8が、X方向に2列に配置された合計8個の磁石からなる磁石群である。
各磁石mg1~mg8は、外側部分がN極、内側部分がS極となり、扁平磁石21m1’全体として、扁平磁石21m1と同様に外側部分がN極、内側部分がS極となる。
このように、第1磁石帯11Mを形成する扁平磁石や第2磁石帯21mを形成する扁平磁石は、複数の磁石からなる磁石群であってもよい。
また、本発明の第1磁石帯は、図4に示すような32個の扁平磁石11M1~11M32からなる磁石群に限定されるものではなく、4~128個の扁平磁石からなる磁石群であってもよい。
また、本発明の第2磁石帯も、図4に示すような4個の扁平磁石21m1~21m4等からなる磁石群に限定されるものではなく、2~64個の扁平磁石からなる磁石群であってもよい。
【0044】
[フライホイール蓄発電装置1の小回転子、副発電部の他の例]
図8(a)は、小回転子21に代わる他の小回転子の斜視図、図8(b)は、他の小回転子の左側面図であり、図中、21’は小回転子、21a’は小回転子本体、21rbは弾性円筒、21stは金属円筒であり、小回転子21の同一のものには同一の符号を付す。
小回転子21’は、小回転子21において小回転子本体21aを小回転子本体21a’に置き換えたものである。
小回転子本体21a’は、鉄等の金属からなる金属円筒21stの外周面を、ゴム等の弾性部材からなる弾性円筒21rbで覆ったものである。
金属円筒21stの中心部には回転軸21bが取り付けられ、弾性円筒21rbの外周面には第2磁石帯21mが取り付けられている。
このように小回転子本体21a’の一部を弾性円筒21rbとすることにより、フライホイール11と小回転子21’が回転しているときに、フライホイール11の回転がぶれる等して第1磁石帯11Mの外周面と第2磁石帯21mの外周面が接触乃至干渉しても、弾性円筒21rbが変形して両磁石帯の外周面の押し付けが弱められ、その押し付けによる磁石帯の外周面の損傷等を抑えることができる。
また、他の小回転子31、41、51においても、小回転子本体31a、41a、51aに代えて、小回転子21a’と同じ弾性円筒と金属円筒からなる小回転子本体を使用することができる。
【0045】
第1発明となるフライホイール蓄発電装置は、図1図4に示すような4つの副発電部20、30、40、50を設けたものに限定されず、さらに多くの副発電を設けてもよい。
図9は、副発電部20、30、40、50の他に、さらに4つの副発電部を設け、合計8つの副発電部を備えたフライホイール蓄発電装置におけるフライホイール11と小回転子21~51等の左側面図である。
図中、61、62、63、64は小回転子、61a、62a、63a、64aは小回転子本体、61b、62b、63b、64bは回転軸、61m、62m、63m、64mは第2磁石帯である。
小回転子61は、フライホイール11の円周方向の小回転子21と小回転子31の中間位置に配置され、小回転子21と同様に小回転子本体61aと回転軸61bからなり、小回転子本体61aの円周面には第2磁石帯61mが取り付けられている。
第2磁石帯61mは、第2磁石帯21mと同様に4個の扁平磁石からなり、各扁平磁石の磁極の構成は第2磁石帯21mの扁平磁石の磁極の構成と同じである。
そして、小回転子61を含む副発電部は、副発電部20と同様に、小回転子61の他にベアリング、副発電機、クラッチ、設置台等から構成されている。
他の小回転子62、63、64も小回転子61と同じ構成であり、それぞれ、小回転子本体62a、63a、64aと回転軸62b、63b、64bからなり、小回転子本体62a、63a、64aの円周面には第2磁石帯62m、63m、76mが取り付けられ、第2磁石帯62m、63m、64mの構成は、第2磁石帯61mと同じである。
そして、フライホイール11の円周方向において、小回転子62は小回転子31と小回転子41の中間位置に配置され、小回転子63は小回転子41と小回転子51の中間位置に配置され、小回転子64は小回転子51と小回転子21の中間位置に配置される。
小回転子62、63、64を含む各副発電部は、副発電部20等と同様に、小回転子62、63、64の他にベアリング、副発電機、クラッチ、設置台等から構成されている。
このように8つの副発電部を備えたフライホイール蓄発電装置は、フライホイール蓄発電装置1の副発電部の発電量がフライホイール蓄発電装置1の副発電部の2倍になり、大容量の電力を出力(放電)することができる。
【0046】
[フライホイール蓄発電装置1の小回転子移動装置]
図10は、小回転子移動装置29の斜視図であり、図中、29aは移動支持台、29bは伸縮ロッド、29cはブロック、29d、29eは挟持板である。
小回転子移動装置29は、往復移動機構(図示せず)により上面支持フレームFL11に沿って移動する移動支持台29a、移動支持台29aの下面から上下方向に伸縮する伸縮ロッド29b、伸縮ロッド29bの先端に取り付けられたブロック29c、ブロック29cの下面に取り付けられた一対の挟持板29d、29eを備えている。
副発電部20においては、小回転子本体21aが回転軸21bに沿って軸方向に移動可能となっており、フライホイール11が回転すると小回転子21も回転する小回転子本体21aのX方向の位置(以下「回転位置」という。)と、フライホイール11が回転しても小回転子21が回転しない小回転子本体21aのX方向の位置(以下「非回転位置」という。)との間を、小回転子移動装置29により小回転子本体21aが移動する。
図11は、小回転子移動装置29により小回転子本体21aが移動する状態を説明する説明図である。
図11(a)は、小回転子本体21aが回転位置にあり、小回転子移動装置29が小回転子本体21aの真上の位置にあり、ブロック29cと挟持板29d、29eが小回転子本体21aの最上位置から離れた位置にある状態(待機状態)を示している。
図11(b)は、待機状態にある小回転子移動装置29において、伸縮ロッド29bが伸びてブロック29cが下降し、挟持板29d、29eが小回転子本体21aの上部を僅かな隙間を介して挟持した状態を示している。
図11(c)は、挟持板29d、29eが小回転子本体21aの上部を挟んで移動支持台29aが上面支持フレームFL11に沿ってX方向(左方向)に移動し、小回転子本体21aが非回転位置まで移動した状態を示している。
小回転子移動装置29は、図11(a)の待機状態から、図11(b)に示すように挟持板29d、29eが小回転子本体21aの上部を挟持して、図11(c)に示すように小回転子本体21aを非回転位置まで移動させる。
【0047】
他の小回転子移動装置39、49、59も小回転子移動装置29と同じ構造・機能を有し、それぞれ小回転子本体31a、41a、51aを回転位置から非回転位置に移動させる。
すなわち、副発電部30においては、小回転子移動装置39の伸縮ロッドが伸びてブロックがY方向(後方)に移動して挟持板が小回転子本体31aを挟持し、小回転子移動装置39の移動支持台が正面支持フレームFL15に沿ってX方向(左方向)に移動し、小回転子本体31aを小回転子31の回転位置(フライホイール11が回転すると小回転子31も回転する位置)から非回転位置(フライホイール11が回転しても小回転子31が回転しない位置)に移動させる。
副発電部40においては、小回転子移動装置49の伸縮ロッドが伸びてブロックがZ方向(上方)に移動して挟持板が小回転子本体41aを挟持し、小回転子移動装置49の移動支持台が底面支持フレームFL12に沿ってX方向(左方向)に移動し、小回転子本体41aを小回転子41の回転位置(フライホイール11が回転すると小回転子41も回転する位置)から非回転位置(フライホイール11が回転しても小回転子41が回転しない位置)に移動させる。
副発電部50においては、小回転子移動装置59の伸縮ロッドが伸びてブロックがY方向(前方)に移動して挟持板が小回転子本体51aを挟持し、小回転子移動装置59の移動支持台が背面支持フレームFL16に沿ってX方向(左方向)に移動し、小回転子本体51aを小回転子51の回転位置(フライホイール11が回転すると小回転子51も回転する位置)から非回転位置(フライホイール11が回転しても小回転子51が回転しない位置)に移動させる。
【0048】
[フライホイール蓄発電装置1のフライホイール蓄発電制御装置]
図12は、フライホイール蓄発電装置1のフライホイール蓄発電制御装置の構成を示したブロック図である。
図中、70はフライホイール(FW)蓄発電制御装置、71は主蓄発電制御装置、71aは主電動機制御部、71bは主発電機制御部、71cはクラッチ制御部、71dはフライホイール(FW)回転数取得部、72、73、74、75は副発電制御装置、72a、73a、74a、75aは副発電機制御部、72b、73b、74b、75bはクラッチ制御部、72c、73c、74c、75cは小回転子移動制御部、76は統括制御装置、76aは副発電機選択部である。
フライホイール蓄発電制御装置70は、主蓄発電制御装置71、副発電制御装置72、73、74、75及び統括制御装置76を備えている。
主蓄発電制御装置71は、主電動機制御部71a、主発電機制御部71b、クラッチ制御部71c及びフライホイール回転数取得部71dを備え、主蓄発電部10の動作を制御する。
主電動機制御部71aは、主電動機13の回転、停止等の動作を制御し、主発電機制御部71bは、主発電機14の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部71cは、クラッチ15、16の連結・切断の動作を制御する。
フライホイール回転数取得部71dは、フライホイール回転軸11bに取り付けられた回転センサ(ロータリーエンコーダ等)が計測するフライホイール11の回転数を取得する。
【0049】
副発電制御装置72は、副発電機制御部72a、クラッチ制御部72b及び小回転子移動制御部72cを備え、副発電部20の動作を制御する。
副発電機制御部72aは、副発電機23、24の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部72bは、クラッチ25、26の連結・切断の動作を制御し、小回転子移動制御部72cは、小回転子移動装置29の動作を制御する。
副発電制御装置73は、副発電機制御部73a、クラッチ制御部73b及び小回転子移動制御部73cを備え、副発電部30の動作を制御する。
副発電機制御部73aは、副発電機33、34の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部73bは、クラッチ35、36の連結・切断の動作を制御し、小回転子移動制御部73cは、小回転子移動装置39の動作を制御する。
副発電制御装置74は、副発電機制御部74a、クラッチ制御部74b及び小回転子移動制御部74cを備え、副発電部40の動作を制御する。
副発電機制御部74aは、副発電機43、44の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部74bは、クラッチ45、46の連結・切断の動作を制御し、小回転子移動制御部74cは、小回転子移動装置49の動作を制御する。
副発電制御装置75は、副発電機制御部75a、クラッチ制御部75b及び小回転子移動制御部75cを備え、副発電部50の動作を制御する。
副発電機制御部75aは、副発電機53、54の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部75bは、クラッチ55、56の連結・切断の動作を制御し、小回転子移動制御部75cは、小回転子移動装置59の動作を制御する。
統括制御装置76は、副発電機選択部76aを備え、主蓄発電制御装置71と副発電制御装置72、73、74、75に各種指令を送ると共にフライホイール蓄発電制御装置70を統括的に制御する。
【0050】
[フライホイール蓄発電装置1の動作]
図13は、フライホイール蓄発電装置1の主畜発電部10において、フライホイール11を回転させてフライホイール11に蓄電(運動エネルギーを蓄積)する動作を示したフローチャートである。
以下、フライホイール11に蓄電する動作を説明する。
まず、フライホイール蓄発電装置1の操作ボタン等(図示)の操作により蓄電指令がなされると(S1)、統括制御装置76からの指令により、各副発電制御装置72、73、74、75の各小回転子移動制御部72c、73c、74c、75cが、各小回転子本体21a、31a、41a、51aのX方向の位置を位置センサ(図示せず)から取得し、各小回転子本体21a、31a、41a、51aが非回転位置にあるか否かを判断する(S2)。
小回転子本体21a、31a、41a、51aの全部または一部が非回転位置にない場合は、小回転子移動制御部72c等が小回転子移動装置29等を動作させ、回転位置にある小回転子本体21aを非回転位置に移動する(S3)。
小回転子本体21a、31a、41a、51aの全部が非回転位置にある場合は、主電動機制御部71aが外部電源から電力供給されて主用電動機13が回転するようし、クラッチ制御部71cが、フライホイール回転軸11b(細軸部11b2)と主電動機13の回転軸13bが連結するようにクラッチ15を動作させ、これによりフライホイール11が回転する(S4)。
次いで、主電動機制御部71aが、フライホイール11の回転数が設定された蓄電回転数に到達したか否を判断する(S5)。
そして、蓄電回転数に到達していないと判断した場合は、外部電源からの主電動機13への電力供給が継続して回転軸13bの回転が継続し、フライホイール11の回転数が増加する(S6)。
また、蓄電回転数に到達したと判断した場合は、クラッチ制御部71cが、フライホイール回転軸11b(細軸部11b2)と主電動機13の回転軸13bを遮断するようにクラッチ15を動作させ、外部電源からの主電動機13への電力供給が停止し、主電動機13(回転軸13b)の回転が停止する(S7)。
これにより、フライホイール11の蓄電処理が終了し、フライホイール11が蓄電回転数で無負荷回転(フリーラン)するようになる。
【0051】
図14は、フライホイール蓄発電装置1の主畜発電部10において、主発電機14が発電する動作を示したフローチャートである。
以下、主発電機14が発電する動作を説明する。
まず、フライホイール蓄発電装置1の操作ボタン等(図示)の操作により主蓄発電部10からの発電が選択されると、統括制御装置76が主蓄発電制御装置71に発電指令を出す(S11)。
統括制御装置76から発電指令を受けた主蓄発電制御装置71では、クラッチ制御部71cが、フライホイール回転軸11b(細軸部11b2)と主発電機14の回転軸14bが連結するようにクラッチ16を動作させ、フライホイール11の回転が回転軸14に伝達し主発電機14が発電する(S12)。
主蓄発電制御装置71では、統括管理制御部等(図示せず)が、フライホイール回転数取得部71dが取得するフライホイール11の回転数に基づき、フライホイール11の回転数が設定された発電可能回転数(例えば、蓄電回転数の30%)まで低下したか否を判断する(S13)。
そして、設定された発電可能回転数まで低下していないと判断した場合は、回転軸14bの回転が継続して主発電機14が発電を継続する(S14)。
また、設定された発電可回転数まで低下したと判断した場合は、クラッチ制御部71cが、フライホイール回転軸11b(細軸部11b2)と主発電機14の回転軸14bを遮断するようにクラッチ16を動作させ、回転軸14bの回転が停止し主発電機14の発電が停止する(S15)。
これにより、主畜発電部10での発電処理が終了し、フライホイール11は、発電可能回転数以下の回転数で無負荷回転(フリーラン)する。
なお、主発電機14での発電は、フライホイール11が発電可能回転数まで低下する前に、操作ボタン操作等により停止してもよい。
【0052】
図15は、フライホイール蓄発電装置1の副畜発電部20等において、発電機23等が発電する動作を示したフローチャートである。
以下、副発電機23等が発電する動作を説明する。
まず、統括制御装置76の副発電機選択部76aが、副発電部20等の副発電機23等の中から発電する副発電部、副発電機を選択する(S21)。
この副発電機選択部76aの副発電部、副発電機の選択は、フライホイール蓄発電装置1の操作ボタン等(図示せず)の操作による選択、あるいは、必要な電力量(統括制御装置76に要求された電力量)を満たすために必要な副発電機の数に基づき行う。
例えば、副発電機5台分の電力量が必要な場合は、副発電機選択部76aが、3つの副発電部20、30、40と5台の副発電機23、24、33、34、43を選択する。
以下、3つの副発電部20、30、40と5台の副発電機23、24、33、34、43が選択された場合について説明する。
次いで、統括制御装置76が、選択された副発電部20、30、40を制御する副発電制御装置72、73、74に発電指令を出す(S22)。
発電指令を受けた副発電制御装置72、73、74では、小回転子移動制御部72c、73c、74cが、小回転子本体21a、31a、41aのX方向の位置を位置センサ(図示せず)から取得し、小回転子本体21a、31a、41aが回転位置にあるか否かを判断し(S23)、小回転子本体21a、31a、41aが回転位置にない場合は、小回転子移動制御部72c、73c、74cが小回転子移動装置29、39、49を動作させ、非回転位置にある小回転子本体を回転位置21a、31a、41aに移動する(S24)。
【0053】
ステップS23で小回転子本体21a、31a、41aは回転位置にあると判断した場合は、副発電制御装置72のクラッチ制御部72bが、小回転子21の回転軸21bと副発電機23、24の回転軸23b、24bを連結するようにクラッチ25、26を動作させ、副発電制御装置73のクラッチ制御部73bが、小回転子31の回転軸31bと副発電機33、34の回転軸33b、34bを連結するようにクラッチ35、36を動作させ、副発電制御装置74のクラッチ制御部74bが、小回転子41の回転軸41bと副発電機43の回転軸43bを連結するようにクラッチ45を動作させ、これにより、5台の副発電機23、24、33、34、43が発電する(S25)。
副発電制御装置72、73、74では、各副発電制御装置の統括管理制御部等(図示せず)が、各小回転子回転数取得部(図示せず)が取得する小回転子21、31、41の回転数に基づき、小回転子21、31、41の回転数が設定された発電可能回転数(例えば、最大回転数の30%)まで低下したか否を判断する(S26)。
そして、設定された発電可能回転数まで低下していないと判断した場合は、小回転子21、31、41の回転が継続して副発電機23、24、33、34、43が発電を継続する(S27)。
また、設定された発電可回転数まで低下したと判断した場合は、クラッチ制御部72bが、小回転子21の回転軸21bと副発電機23、24の回転軸23b、24bを遮断するようにクラッチ25、26を動作させ、クラッチ制御部73bが、小回転子31の回転軸31bと副発電機33、34の回転軸33b、34bを遮断するようにクラッチ35、36を動作させ、クラッチ制御部74bが、小回転子41の回転軸41bと副発電機43の回転軸43bを遮断するようにクラッチ45を動作させ、これにより、5台の副発電機23、24、33、34、43が発電を停止する(S28)。
この後、小回転子移動制御部72c、73c、74cが小回転子移動装置29、39、49を動作させ、回転位置にある小回転子本体21a、31a、41aを非回転位置に移動し(S29)、副発電部20、30、40での発電処理が終了する。
なお、副発電機23、24、33、34、43での発電は、小回転子21、31、41が発電可能回転数まで低下する前に、操作ボタン操作等により停止してもよい。
【0054】
以上のようにフライホイール蓄発電装置1は、主畜発電部10と副発電部20等を備え、主畜発電部10は、フライホイール11、主電動機13、主発電機14、クラッチ15、16を備え、副発電部20等は、小回転子21等、副発電機23等、小回転子移動装置29等を備え、フライホイール11には第1磁石帯11Mが取り付けられ、小回転子21等には第2磁石帯21m等が取り付けられ、小回転子21等は、フライホイール11に対して非接触で近接して配置されているため、クラッチ15が入って主電動機13がフライホイール11を回転させてフライホイール11に蓄電し(エネルギーが蓄積され)、回転するフライホイール11にクラッチ16が入って主発電機14が発電すると共に、第1磁石帯11Mと第2磁石帯21m等の同極同士の反発により、小回転子21等が回転して副発電機23等が発電することから、フライホイール11から小回転子21等への回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができると共に、主畜発電部10の発電量に副発電部20等の発電量を加えた大容量の電力を放出でき、かつ、フライホイール11の回転による機械損失がフライホイール11の累積回転数に比例して増大し、発電効率が悪くなること抑制し、蓄発電時のエネルギーの変換効率を低下させないようにすることができ、畜放電しない場合は、主畜発電部10において、クラッチ15、16を遮断することにより、フライホイール11を無負荷回転(フリーラン)させて、フライホイール11の回転による損失を低減でき、副発電部20等において、小回転子移動装置29等により小回転子21等を回転しない状態にして、小回転子21等の回転損失を生じないようにし、エネルギー損失を最小限にして、発電せずにフライホイール11を回転させてフライホイール11に蓄積されたエルギーを放出せずに一定時間維持することができる。
【0055】
[第1発明の他のフライホイール蓄発電装置(その1)]
図16は、第1発明の他のフライホイール蓄発電装置(その1)の正面支持フレームを除いた正面図、図17は、図16に示すフライホイール蓄発電装置の上面支持フレームを除いた平面図、図18は、図16に示すフライホイール蓄発電装置のフライホイールと小回転子部分の分解斜視図である。
図中、101はフライホイール蓄発電装置、110は主畜発電部、120、130、140、150は副発電部、111は左回転板、112は右回転板、111Mは左第1磁石帯、112Mは右第1磁石帯、121、131、141、151は小回転子、122、132、142、152は左小回転子本体、123、133、143、153は右小回転子本体、124、134、144、154は回転軸、122m、132m、142m、152mは左第2磁石帯、123m、133m、143m、153mは右第2磁石帯であり、各図において、Xは左右方向、Yは前後方向、Zは上下方向(鉛直方向)であり、左第1磁石帯・と第2磁石帯を灰色で表し、図1図3に示すフライホイール蓄発電装置1の構成部分と同一のものには同一の符号を付す。
図に示すようにフライホイール蓄発電装置101は、主畜発電部110、副発電部120、130、140、150、支持フレーム部FL1等から構成される。
【0056】
主畜発電部110は、フライホイール11、左回転板111、右回転板112、ベアリング12a、12b、主電動機13、主発電機14、クラッチ15、16、設置台17、18等から構成される。
左回転板111と右回転板112は同じものであり、共に直径がフライホイール本体11aと同じで、厚さ(軸方向の長さ)50~50mmの円板であり、鉄等の金属またはプラスチック等からなり、フライホイール回転軸11bに嵌め込み固定され(左回転板111は左側の太軸部11b1に嵌め込まれ、右回転板112は右側の太軸部11b1に嵌め込まれ)左回転板111の円周面には左第1磁石帯111M(詳細は後述する)、右回転板112の円周面には右第1磁石帯112M(詳細は後述する)が取り付けられている。
これより、主畜発電部110は、左回転板111と右回転板112を備え、フライホイール11の円周面には第1磁石帯が取り付けられず、左回転板111と右回転板112にそれぞれ左第1磁石帯と右第1磁石帯が取り付けられている点でフライホイール蓄発電装置1の主畜発電部10と異なっているが、他の構成、機能は、フライホイール蓄発電装置1の主畜発電部10と同じである。
なお、フライホイール蓄発電装置1と同様に、主電動機13と主発電機14の両方を、発電機能を備えた電動機として、電力を供給したときは電動機として機能し、回転軸13b、14bを回転させたときは発電機として機能するようにし、フライホイール11への蓄電時は、主発電機14を電動機として機能させ、主電動機13と主発電機(電動機)14の両方あるいはいずれか一方に電力を供給してフライホイール11を回転させ、フライホイール11による発電(放電)時は、主電動機13を発電機として機能させ、主電動機(発電機)13と主発電機14の両方あるいはいずれか一方を発電させるようにしてもよい。
さらに、左回転板111と右回転板112のいずれか一方をなくして、1枚の回転板にしてもよい。
【0057】
副発電部120は、小回転子121、ベアリング22a、22b、副発電機23、24、クラッチ25、26、設置台27、28、小回転子移動装置29等から構成される。
すなわち、副発電部120は、フライホイール蓄発電装置1の副発電部20の小回転子21が小回転子121に置き換わっている点を除いて、副発電部20と同じ構成、機能である。
小回転子121は、左小回転子本体122、右小回転子本体123、回転軸124からなる。
左小回転子本体122と右小回転子本体123は同じものであり、共に直径がフライホイール11の直径の1/16~1/2であり、厚さ(軸方向の長さ)5~50mmの円板であり、鉄等の金属からなり、その中心部には回転軸124が取り付けられ(左小回転子本体122は回転軸124の左側に、右小回転子本体123は回転軸124の右側に取り付けられ)、左小回転子本体122の円周面には左第2磁石帯122m、右小回転子本体123の円周面には右第2磁石帯123m(詳細は後述する)が取り付けられている。
また、左小回転子本体122と右小回転子本体123は、小回転子移動装置(図示せず)により回転軸124に対して軸方向に移動可能となっている。
【0058】
他の副発電部130、140、150も、フライホイール蓄発電装置1の副発電部30、40、50の小回転子31、41、51が小回転子131、141、151に置き換わっている点を除いて、副発電部30、40、50と同じ構成、機能である。
小回転子131、141、151は、左小回転子本体132、142、152、右小回転子本体133、143、153、回転軸134、144、154からなり、これらは、副発電部120の左小回転子本体122、右小回転子本体123、回転軸124と同じものであり、左小回転子本体132、142、152の円周面には左第2磁石帯122mと同じ左第2磁石帯132m、142m、152mが取り付けられ、右小回転子本体133、143、153の円周面には右第2磁石帯123mと同じ右第2磁石帯133m、143m、153mが取り付けられている。
また、左小回転子本体132、142、152と右小回転子本体133、143、153は、小回転子移動装置(図示せず)により回転軸134、144、154に対して軸方向に移動可能となっている。
なお、左回転板111と右回転板112のいずれか一方をなくした場合は、左小回転子本体122等と右小回転子本体123等のいずれか一方(なくした回転板に対向する小回転子本体)は不要となる。
【0059】
[フライホイール蓄発電装置101の第1磁石帯、第2磁石帯他]
図19は、左回転板111と左小回転子本体122~152の左側面図である。
図中、111M1、111M2、111M8、111M9、111M16、111M17、111M24、111M25、111M31、111M32、122m1、122m2、122m3、122m4、132m1、132m2、132m3、132m4、142m1、142m2、142m3、142m4、152m1、152m2、152m3、152m4は扁平磁石である。
左第1磁石帯111Mは、複数の扁平磁石を左回転板111の円周面に配置した帯状の磁石群であり、本実施形態では図19に示すように32個の扁平磁石111M1、111M2・・・111M8、111M9・・・111M16、111M17・・・111M24、111M25・・・111M31、111M32が、左回転板111の円周面の円周方向に配置されている。
この場合、扁平磁石111Mp(p=1~32)は、左回転板111の円周面に接着剤等により固定されるが、左回転板111の円周面に溝を設けこの溝に扁平磁石111Mpをはめ込んで接着剤等により固定してもよい。
本実施形態では隣り合う扁平磁石111Mpの間には隙間がないが、隣り合う扁平磁石111Mpの間に数ミリメートル以下の僅かな隙間があってもよい。
扁平磁石111Mpは、希土類磁石(ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石)、フェライト磁石、アルコニ磁石等の永久磁石であり、最も強い磁力と吸着力をもつネオジム磁石が望ましい。
各扁平磁石111Mpの円周方向の長さ、軸方向(X方向)の長さ、厚み(半径方向の長さ)は同じで、磁極の向きは半径方向となり、扁平磁石111Mpの内側部分(左回転板111の円周面に当接する面側の部分)と外側部分(左回転板111の円周面に当接しない面側の部分)がN極、S極のいずれかとなり、隣り合う2個の扁平磁石111Mp、111M(p+1)との磁極の向きは互い逆となる。
右第1磁石帯112Mも左第1磁石帯111Mと同じ構成であり、32個の扁平磁石を右回転板112の円周面に配置した帯状の磁石群からなる。
【0060】
図19では、図4と同様に外側部分がN極となる扁平磁石を濃い灰色で表し、外側部分がS極となる扁平磁石を薄い灰色で表す。
図19に示すように左小回転子本体122に近接する扁平磁石111M1では、外側部分がS極、内側部分がN極となり、扁平磁石111M1の左隣の扁平磁石111M32では、外側部分1がN極、内側部分1がS極となる。
同様に左小回転子本体132に近接する扁平磁石111M8では外側部分がN極、内側部分がS極となり、その隣の扁平磁石111M9では外側部分がS極、内側部分がN極となり、左小回転子本体142に近接する扁平磁石111M16では外側部分がN極、内側部分がS極となり、その隣の扁平磁石111M17では外側部分がS極、内側部分がN極となり、左小回転子本体152に近接する扁平磁石111M24では外側部分がN極、内側部分がS極となり、その隣の扁平磁石111M25では外側部分がS極、内側部分がN極となる。
右第1磁石帯112Mの各扁平磁石の磁極は、左第1磁石帯11Mの各扁平磁石の磁極と同じになる。
【0061】
小回転子121の左側部分の左小回転子本体122の円周面には左第2磁石帯122mが取り付けられている。
第2磁石帯122mは、左第1磁石帯111Mと同様に複数の扁平磁石を左小回転子本体122の円周面に配置した磁石群であり、本実施形態では図19に示すように4個の扁平磁石122m1、122m2、122m3、122m4が、左小回転子本体122の円周面の円周方向に配置されている。
この場合、扁平磁石122mq(q=1~4)は、左小回転子本体122の円周面に接着剤等により固定されるが、左小回転子本体122の円周面に溝を設けこの溝に扁平磁石122mqをはめ込んで接着剤等により固定してもよい。
本実施形態では隣り合う扁平磁石122mqの間には隙間がないが、隣り合う扁平磁122mqの間に数ミリメートル以下の僅かな隙間があってもよい。
扁平磁石122mqは、扁平磁石111Mpと同様に希土類磁石(ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石)、フェライト磁石、アルコニ磁石等の永久磁石であり、最も強い磁力と吸着力をもつネオジム磁石が望ましい。
各扁平磁石122mqの円周方向の長さ、軸方向(X方向)の長さ、厚み(半径方向の長さ)は同じで、磁極の向きは半径方向となり、左第1磁石帯111Mの各扁平磁石111Mpと同様に、扁平磁石122mqのうち隣り合う2個の扁平磁石の磁極の向きは逆となる。
具体的には、図19に示すように扁平磁石122m1では、外側部分(左小回転子本体122の円周面に当接しない面側の部分)がN極となり内側部分(左小回転子本体122の円周面に当接する面側の部分)がS極となり、扁平磁石122m2では、外側部分がS極となり内側部分がN極となり、扁平磁石122m3では外側部分がN極となり内側部分がS極となり、扁平磁石122m4では、外側部分がS極、内側部分がN極となる。
小回転子121の右側部分の右小回転子本体122の円周面に取り付けられた右第2磁石帯123mの構成は、上記左第2磁石帯122mの構成と同じである。
【0062】
左小回転子本体132、142、152の左第2磁石帯132m、142m、152mも左小回転子本体122の左第2磁石帯122mと同じ構成である。
すなわち、左第2磁石帯132mでは、図19に示すように扁平磁石122mqと同じ4個の扁平磁石132m1、132m2、132m3、132m4が、左小回転子本体132の円周面の円周方向に配置されて固定され、扁平磁石132m1の外側部分がN極、内側部分がS極となり、扁平磁石132m2の外側部分がS極、内側部分がN極となり、扁平磁石132m3の外側部分がN極と、内側部分がS極となり、扁平磁石132m4の外側部分がS極、内側部分がN極となる。
左第2磁石帯142mでは、図19に示すように扁平磁石122mqと同じ4個の扁平磁石142m1、142m2、142m3、142m4が、左小回転子本体142の円周面の円周方向に配置されて固定され、扁平磁石142m1の外側部分がN極、内側部分がS極となり、扁平磁石142m2の外側部分がS極、内側部分がN極となり、扁平磁石142m3の外側部分がN極と、内側部分がS極となり、扁平磁石142m4の外側部分がS極、内側部分がN極となる。
左第2磁石帯152mでは、図19に示すように扁平磁石122mqと同じ4個の扁平磁石152m1、152m2、152m3、152m4が、左小回転子本体152の円周面の円周方向に配置されて固定され、扁平磁石152m1の外側部分がN極、内側部分がS極となり、扁平磁石152m2の外側部分がS極、内側部分がN極となり、扁平磁石152m3の外側部分がN極と、内側部分がS極となり、扁平磁石152m4の外側部分がS極、内側部分がN極となる。
右小回転子本体133、143、153の右第2磁石帯133m、143m、153mの構成は、上記左第2磁石帯132m、142m、152mと同じ構成である。
【0063】
ここで、左第1磁石帯111Mの扁平磁石111Mpと左回転板111の寸法関係は、第1磁石帯11Mの扁平磁石11Mpとフライホイール11本体11aの寸法関係と同じである。
すなわち、扁平磁石111Mpの円周方向の長さ、X方向(左右方向)の長さ、厚みをそれぞれMλ1、Mx1、Mr1とすると、本実施形態では、左第1磁石帯111Mにおいて隣り合う扁平磁石の間に隙間がないことから、Mλ1は左第1磁石帯111Mの円周L11の32分の1となり、左第1磁石帯111Mは左回転板111の円周面上に固定されていることから、左第1磁石帯111Mの円周L11は、左回転板111の直径をD11として、L11=π×(D11+2Mr1)となる。
左第2磁石帯122mの扁平磁石122mqと左小回転子本体122の寸法関係も、第2磁石帯21mの扁平磁石21mqと小回転子本体21aの寸法関係と同じである。
すなわち、扁平磁石122mqの円周方向の長さ、X方向の長さ、厚みをそれぞれmλ1、mx1、mr1とすると、左第2磁石帯122mにおいても隣り合う扁平磁石の間に隙間がないことから、mλ1は、左第2磁石帯122mの円周の4分の1となり、左第2磁石帯122mは左小回転子本体122の円周面上に固定されていることから、左第2磁石帯122mの円周L12は、左小回転子本体122の直径をd2として、L12=π×(d12+2mr1)となる。
この場合、Mλ1(扁平磁石111Mpの円周方向の長さ)とmλ1(扁平磁石122mqの円周方向の長さ)は等しく、mx1は、左小回転子本体122の厚さ(軸方向の長さ)と同じかそれより若干小さい。
本実施形態においては、Mx1(扁平磁石111MpのX方向の長さ)とmx1(扁平磁石122mqのX方向の長さ)は等しく、Mr1(扁平磁石111Mpの厚み)とmr1(扁平磁石122mqの厚み)も等しく、Mr1とmr1は、10~100mmであるが、Mx1とmx1は異なっていてもよく、Mr1とmr1も異なっていてもよい。
また、右第1磁石帯112Mの各扁平磁石と右回転板112の寸法関係も上記左第1磁石帯111Mの扁平磁石111Mpと左回転板111の寸法関係と同じであり、右第2磁石帯123mの各扁平磁石と右小回転子本体123の寸法関係も、左第2磁石帯122mの扁平磁石122mqと左小回転子本体122の寸法関係と同じである。
【0064】
そして、フライホイール蓄発電装置1において、フライホイール11が回転すると小回転子21が回転するのと同様にして、フライホイール蓄発電装置101においても、左回転板111が回転すると左小回転子本体122が回転する。
すなわち、左第1磁石帯111Mと左第2磁石帯122mが最も接近する位置における左第1磁石帯111Mと左第2磁石帯122mの隙間を10~50μmとすることにより、左第1磁石帯111Mと左第2磁石帯122mが最も接近する位置を中心とするその近傍の領域R11(図19で破線の長円で示す領域)において、扁平磁石111Mpと扁平磁石122mqの同極同士が対向する(向き合う)と両磁石の反発力により左回転板111(左第1磁石帯111M)と左小回転子本体122(左第2磁石帯122m)に回転力が生じ、左回転板111と左小回転子本体122が互いに反対方向に同じ速度(周速)で回転しようとする。
これより、左回転板111(左第1磁石帯111M)が例えば反時計回りに回転すると、領域R11における扁平磁石111Mと扁平磁石122mqの同極同士の反発力により、左小回転子本体122(左第2磁石帯122m)が時計回りに左回転板111(左第1磁石帯111M))と同じ周速で回転する(図19に左回転板111と左小回転子本体122の回転方向を太線の矢印で表す。)。
この場合、左第1磁石帯111Mの扁平磁石111Mpは、外側部分が交互にS極とN極となるように配置され、左第2磁石帯122mの扁平磁石122mqも外側部分が交互にN極とS極となるように配置されていることから、領域R11で常に扁平磁石111Mpと扁平磁石122mqの同極同士が対向し(向き合い)、左小回転子本体122(左第2磁石帯122m)に扁平磁石111Mpと扁平磁石122mqの同極同士の反発力による回転力が連続的に生じ、左小回転子本体122(左第2磁石帯122m)は、左回転板111(左第1磁石帯111M)と同じ周速で回転を継続する。
よって、左小回転子本体122(左第2磁石帯122m)は、回転する左回転板111(左第1磁石帯111M)と転がり接触して回転するのと同じように回転する。
【0065】
同様にして、左回転板111(左第1磁石帯111M)が反時計回りに回転すると、左小回転子本体132、142、152が反時計回りに回転し、左小回転子本体132、142、152(左第2磁石帯132m、142m、152m)の周速は、左回転板111(左第1磁石帯111M)の周速と同じになる。
すなわち、左小回転子本体132においては、左第1磁石帯111Mと左第2磁石帯132mが最も接近する位置を中心とするその近傍の領域R12(図19参照)において、扁平磁石111Mpと扁平磁石132mqの同極同士が対向して(向き合って)両磁石が反発することにより左小回転子本体132が回転する。
左小回転子本体142においては、左第1磁石帯111Mと左第2磁石帯142mが最も接近する位置を中心とするその近傍の領域R13(図19参照)において、扁平磁石111Mpと扁平磁石142mqの同極同士が対向して(向き合って)両磁石が反発することにより左小回転子本体142が回転する。
左小回転子本体152においては、左第1磁石帯111Mと左第1磁石帯111Mが最も接近する位置を中心とするその近傍の領域R14(図19参照)において、扁平磁石111Mpと扁平磁石152mqの同極同士が対向して(向き合って)両磁石が反発することにより左小回転子本体152が回転する。
また、左回転板111が回転すると左小回転子本体122が回転するのと同様にして、右回転板112が回転すると、右第1磁石帯112Mの扁平磁石と右第2磁石帯123m、133m、143m、153mの扁平磁石の反発によって右小回転子本体123、133、143、153が回転する。
このようにフライホイール11の回転により左回転板111と右回転板112回転すると、左第1磁石帯111Mと左第1磁石帯111M等の同極同士の反発、右第1磁石帯112Mと右第2磁石帯123m等の反発により小回転子121等が回転するため、フライホイール11の回転を非接触で小回転子121等に伝達でき、ギヤー等の接触手段によりフライホイールの回転を発電手段等に伝達させるものに比べて、回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができる。
【0066】
左第1磁石帯111M、右第1磁石帯112Mを形成する扁平磁石は、第1磁石帯11Mを形成する扁平磁石と同様に複数の扁平磁石からなる磁石群であってもよい(図7(a)参照)。
左第1磁石帯111M、右第1磁石帯112Mは、図19に示すような32個の扁平磁石からなる磁石群に限定されるものではなく、4~128個の扁平磁石からなる磁石群であってもよい。
また、左第2磁石帯122m、132m、142m、152mを形成する扁平磁石や右第2磁石帯123m、133m、143m、153mを形成する扁平磁石は、第2磁石帯21mを形成する扁平磁石と同様に複数の扁平磁石からなる磁石群であってもよい(図7(b)参照)。
左第2磁石帯122m、132m、142m、152mや右第2磁石帯123m、133m、143m、153mは、4個の扁平磁石からなる磁石群に限定されるものではなく、2~64個の扁平磁石からなる磁石群であってもよい。
さらに、左小回転子本体122、132、142、152や右小回転子本体123、133、143、153は、小回転子本体21a’のように金属円筒の外周面をゴム等の弾性部材からなる弾性円筒で覆ったものであってもよい(図8参照)。
【0067】
フライホイール蓄発電装置101の各副発電部120、130、140、150は、左小回転子本体122、132、142、152と右小回転子本体123、133、143、153を回転位置から非回転位置(例えば、フライホイール11の周面に近接する位置)に、あるいは、回転位置から非回転位置に移動させる小回転子移動装置(小回転子移動装置29、39、49、59と同じ機能の装置)を備えている。
そして、フライホイール蓄発電装置101は、フライホイール蓄発電制御装置70と同じ構成の制御装置を備え、この制御装置の制御により、フライホイール蓄発電装置1と同じ動作をする。
この場合、フライホイール蓄発電装置101では、フライホイール11の回転により左回転板111と右回転板112が同時に回転し、これにより左小回転子本体122、132、142、152と右小回転子本体123、133、143、153が同時に回転して各小回転子121、131、141、151の回転軸124、134、144、154が回転する。
なお、フライホイール蓄発電装置101は、図16図18に示すような4つの副発電部120、130、140、150を設けたものに限定されず、さらに多くの副発電を設けてもよい。
【0068】
以上のようにフライホイール蓄発電装置101は、主畜発電部110と副発電部120等を備え、主畜発電部110は、フライホイール11、左回転板111、右回転板112、主電動機13、主発電機14、クラッチ15、16を備え、副発電部120等は、小回転子121等、副発電機23等、小回転子移動装置29等を備え、左回転板111と右回転板112にはそれぞれ左第1磁石帯111Mと右第1磁石帯112Mが取り付けられ、小回転子121等の左小回転子本体122等、右小回転子本体123等にはそれぞれ左第2磁石帯122m等、右第2磁石帯123m等が取り付けられ、
小回転子121等の左小回転子本体122等と右小回転子本体123等は、左回転板111と右回転板112に対して非接触で近接して配置されているため、クラッチ25が入って主電動機13がフライホイール11を回転させてフライホイール11に蓄電し(エネルギーが蓄積され)、回転するフライホイール11にクラッチ16が入って主発電機14が発電すると共に、左回転板111と右回転板112が回転して、左第1磁石帯111Mと左第2磁石帯122m等の同極同士の反発、右第1磁石帯112Mと右第2磁石帯123m等の同極同士の反発により、小回転子121等が回転して副発電機23等が発電することから、左回転板111と右回転板112から小回転子121等への回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができると共に、主畜発電部110の発電量に副発電部120等の発電量を加えた大容量の電力を放出でき、かつ、フライホイール11の回転による機械損失がフライホイール11の累積回転数に比例して増大し、発電効率が悪くなること抑制し、蓄発電時のエネルギーの変換効率を低下させないようにすることができ、畜放電しない場合は、主畜発電部110において、クラッチ15、16を遮断することにより、フライホイール11を無負荷回転(フリーラン)させて、フライホイール11の回転による損失を低減でき、副発電部120等において、小回転子移動装置29等により小回転子121等を回転しない状態にして、小回転子121等の回転損失を生じないようにし、エネルギー損失を最小限にして、発電せずにフライホイール11を回転させてフライホイール11に蓄積されたエルギーを放出せずに一定時間維持することができる。
【0069】
[第1発明の他のフライホイール蓄発電装置(その2)]
図20は、第1発明の他のフライホイール蓄発電装置(その2)の正面支持フレームと正面側の副発電部を除いた正面図、図21は、図20に示すフライホイール蓄発電装置の左側面支持フレームと左側の副発電部を除いた左側面図、図22は、図20に示すフライホイール蓄発電装置の支持フレーム部を除いた分解斜視図である。
図中、201はフライホイール蓄発電装置、210は主畜発電部、211はフライホイール、211aはフライホイール本体、211bはフライホイール回転軸、211Mは第1磁石帯、212はスラストベアリング、213はラジアルベアリング、214は主電動機、214aは電動機本体、214bは回転軸、215はクラッチ、216は電動機設置台、217はクラッチ台、220、230、240、250は副発電部、221、231、241、251は小回転子、221a、231a、241a、251aは小回転子本体、221b、231b、241b、251bは回転軸、221m、231m、241m、251mは第2磁石帯、222、232、242、252はスラストベアリング、223、233、143、253はラジアルベアリング、224、234、244、254は副発電機、224a、234a、244a、254aは副発電機本体、224b、234b、244b、254bは回転軸、225、235、245、255はクラッチ、226、236、246、256は発電機設置台、227、237、247、257はクラッチ台、229、239、249、259は小回転子移動装置、FL2は支持フレーム部、FL21は水平支持フレーム、FL22は底面支持フレーム、FL23は左側面支持フレーム、FL24は右側面支持フレーム、FL25は正面支持フレーム、FL26は背面支持フレーム、GL2は床面であり、各図において、Xは左右方向、Yは前後方向、Zは上下方向(鉛直方向)であり、第1磁石帯と第2磁石帯を灰色で表す。
図に示すようにフライホイール蓄発電装置201は、主畜発電部210、副発電部220、230、240、250、支持フレーム部FL2等から構成される。
【0070】
[フライホイール蓄発電装置201の主畜発電部]
主畜発電部210は、フライホイール211、スラストベアリング212、ラジアルベアリング213、主電動機214、クラッチ215、電動機設置台216、クラッチ台217等から構成される。
フライホイール211は、フライホイール本体211aとフライホイール回転軸211bからなる。
フライホイール本体211aは、フライホイール蓄発電装置1のフライホイール11のフライホイール本体11aと同様の大きさ・材質であり、その中心部にはフライホイール回転軸211bが取り付けられ、その円周面には第1磁石帯211M(詳細は後述する)が取り付けられている。
フライホイール回転軸211bは、直径が50~300mmであり、その下端部にはスラストベアリング212が取り付けられ、スラストベアリング212は、底面支持フレームFL22に固定される。
また、フライホイール回転軸211bその上部にはラジアルベアリング213が取り付けられ、ラジアルベアリング213は、水平支持フレームFL11に固定される。
これにより、フライホイール211は、フライホイール回転軸211bが鉛直となるように配置された縦型である。
フライホイール211は、フライホイール蓄発電装置1のフライホイール11と同様に、主電動機214により1000~30000rpmで回転して36~3600MJ(メガジュール)のエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーにより主フライホイール用電動機213を出力10~1000kwで発電させる大型のフライホイールである。
【0071】
主電動機214は、電動機本体214aと回転軸214bからなり、出力が100~1000kwの大型三相誘導電動機であり、外部電源(図示せず)から供給される電力より回転軸214bが回転する。
この主電動機214は、発電機としても機能して本発明の主発電機となり 回転軸214bが回転して、出力が100~1000kVAの大型三相交流発電機となる。
クラッチ215は、摩擦クラッチ、電磁クラッチ等からなり、フライホイール回転軸211bと主電動機214の回転軸214bの連結・切断を行う。
そして、電動機本体214aが、水平支持フレームFL21の中央部に取り付けられた電動機設置台216の上面に設置され、クラッチ215が電動機設置台216に取り付けられたクラッチ台217に設置される。
これにより、上から順に主電動機214、クラッチ215、フライホイール211が、水平支持フレームFL21と底面支持フレームFL22の中央部に取付固定され、フライホイール用電動機214の回転軸214bの回転によりフライホイール211が回転してエネルギーが蓄積(蓄電)され、フライホイール211の回転により回転軸214bが回転して主電動機214が発電(放電)する。
【0072】
[フライホイール蓄発電装置201の副発電部]
副発電部220は、小回転子221、スラストベアリング222、副発電機224、クラッチ225、発電機設置台226、クラッチ台227、小回転子移動装置229等から構成される。
小回転子221は、小回転子本体221aと回転軸221bからなる。
小回転子本体221は、フライホイール蓄発電装置1の小回転子21の小回転子本体21aと同様の大きさ・材質であり、その中心部にはフライホイール回転軸221bが取り付けられ、その円周面には第2磁石帯221m(詳細は後述する)が取り付けられている。
また、小回転子本体221aは、小回転子移動装置229により回転軸221bに対して軸方向に移動可能となっている。
回転軸221bの下端部にはスラストベアリング222が取り付けられ、スラストベアリング222は、底面支持フレームFL22に固定され、回転軸221bその上部にはラジアルベアリング223が取り付けられ、ラジアルベアリング223は、水平支持フレームFL21に固定され、これにより、小回転子221が、水平支持フレームFL11と底面支持フレームFL12に、回転軸221bが鉛直になるようにして回転自在に保持される。
副発電機224は、発電機本体224aと回転軸224bからなり、フライホイール蓄発電装置1の副発電機23等と同じ出力が50~500kVAの三相交流発電機である。
クラッチ225は、摩擦クラッチ、電磁クラッチ等からなり、小回転子221の回転軸221bと副発電機224の回転軸224bの連結・切断を行う。
そして、発電機本体224aが、水平支持フレームFL21の右側部に取り付けられた発電機設置台226の上面に設置され、クラッチ225が電動機設置台226に取り付けられたクラッチ台227に設置される。
これより、上から順に副発電機224、クラッチ225、小回転子221が、水平支持フレームFL21と底面支持フレームFL22の右側部に取付固定され、小回転子221の回転により副発電機224の回転軸224bが回転して発電(放電)する。
【0073】
他の副発電部230、240、250も、副発電部220と同じ構成であり、副発電部230は、小回転子231、スラストベアリング232、副発電機234、クラッチ235、発電機設置台236、クラッチ台237、小回転子移動装置239等から構成され、副発電部240は、小回転子241、スラストベアリング242、副発電機244、クラッチ245、発電機設置台246、クラッチ台247、小回転子移動装置249等から構成され、副発電部250は、小回転子251、スラストベアリング252、副発電機254、クラッチ255、発電機設置台256、クラッチ台257、小回転子移動装置259等から構成される。
小回転子231、241、251は、小回転子221と同一のものであり、小回転子本体231a、241a、251aと回転軸231b、241b、251bからなり、小回転子本体231a、241a、251aの円周面には第2磁石帯231m、241m、251mが取り付けられ、小回転子本体231a、241a、251aの中心部には回転軸231b、241b、251bが取り付けられている。
各回転軸231b、241b、251bの下端部にはスラストベアリング232、242、252が取り付けられ、スラストベアリング232、242、252は底面支持フレームFL12に固定され、各回転軸231b、241b、251bその上部にはラジアルベアリング233、243、253が取り付けられ、ラジアルベアリング233、243、253は水平支持フレームFL11に固定され、これにより、小回転子231、241、251が、水平支持フレームFL11と底面支持フレームFL12に、回転軸231b、241b、251bが鉛直になるようにして回転自在に保持される。
【0074】
副発電機234、244、254は、副発電機224と同じものであり、それぞれ発電機本体234a、244a、254aと回転軸234b、244b、254bからなる。
クラッチ235245、255は、クラッチ225と同じものであり、小回転子231、241、251の回転軸231b、241b、251bと副発電機234、244、254の回転軸234b、244b、254bの連結・切断を行う。
そして、発電機本体234aが、水平支持フレームFL11の手前側に取り付けられた発電機設置台236の上面に設置され、クラッチ235が電動機設置台236に取り付けられたクラッチ台237に設置され、発電機本体244aが、水平支持フレームFL21の左側に取り付けられた発電機設置台246の上面に設置され、クラッチ245が電動機設置台246に取り付けられたクラッチ台247に設置され、発電機本体254aが、水平支持フレームFL21の奥側に取り付けられた発電機設置台256の上面に設置され、クラッチ255が電動機設置台256に取り付けられたクラッチ台237に設置される。
これより、上から順に副発電機234、クラッチ235、小回転子231が、水平支持フレームFL21と底面支持フレームFL22の手前側に取付固定され、小回転子231の回転により副発電機234の回転軸234bが回転して発電(放電)し、上から順に副発電機244、クラッチ245、小回転子241が、水平支持フレームF21と底面支持フレームFL22の左側に取付固定され、小回転子241の回転により副発電機244の回転軸244bが回転して発電(放電)し、上から順に副発電機254、クラッチ255、小回転子251が、水平支持フレームFL21と底面支持フレームFL22の奥側に取付固定され、小回転子251の回転により副発電機254の回転軸254bが回転して発電(放電)する。
なお、支持フレーム部FL2は、床面GL2に設置された底面支持フレームFL22と、底面支持フレームFL22上に取り付けられた正面支持フレームFL25、背面支持フレームFL26、左側面支持フレームFL23、右側面支持フレームFL24、その上下方向の中間位置上に取り付けられた、水平支持フレームFL21より構成される。
【0075】
[フライホイール蓄発電装置201の第1磁石帯、第2磁石帯他]
フライホイール蓄発電装置201においては、フライホイール211のフライホイール本体211aの円周面には第1磁石帯211Mが取り付けられるが、第1磁石帯211Mは、フライホイール11のフライホイール本体11aの円周面に取り付けられる第1磁石帯11Mと同じものである。
すなわち、第1磁石帯211Mは、複数の扁平磁石からなる帯状の磁石群であり、本実施形態では32個の扁平磁石がフライホイール本体211aの円周面の円周方向に配置されている(図4参照)。
第1磁石帯211Mの取り付け方は、第1磁石帯11Mと同じであり、第1磁石帯211Mを構成する扁平磁石の種類、大きさ、寸法、磁極の向きは、第1磁石帯11Mを構成する扁平磁石と同じである。
図20図21では、図1図2と同様に様外側部分がN極となる扁平磁石を濃い灰色で表し、外側部分がS極となる扁平磁石を薄い灰色で表す。
小回転子221、231、241、251(以下適宜「小回転子221等」という。)の小回転子本体221a、231a、241a、251a(以下適宜「小回転子本体221a等」という。)の円周面に取り付けられる第2磁石帯221m、231m、241m、251m(以下適宜「第2磁石帯221m等」という。)も、小回転子21、31、41、51(以下適宜「小回転子21等」という。)の小回転子本体21a、31a、41a、51a(以下適宜「小回転子本体21a等」という。)の円周面に取り付けられる第2磁石帯21m、31m、41m、51m(以下適宜「第2磁石帯21m等」という。)と同じものである。
すなわち、第2磁石帯221m等は、複数の扁平磁石からなる帯状の磁石群であり、本実施形態では4個の扁平磁石が小回転子本体221a等の円周面の円周方向に配置されている(図4参照)。
第2磁石帯221m等の取り付け方は、第2磁石帯21m等と同じであり、第2磁石帯221m等を構成する扁平磁石の種類、大きさ、寸法、磁極の向きは、第2磁石帯21m等を構成する扁平磁石と同じである。
【0076】
そして、フライホイール蓄発電装置1において、フライホイール11が回転すると小回転子21等が回転するのと同様にして、フライホイール蓄発電装置201においても、フライホイール211が回転すると小回転子221等が回転する。
すなわち、第1磁石帯211Mと第2磁石帯221m等が最も接近する位置における第1磁石帯211Mと第2磁石帯221m等の隙間を10~50μmとすることにより、第1磁石帯211Mと第2磁石帯221m等が最も接近する位置を中心とするその近傍の領域(以下「近傍領域」という。)において、第1磁石帯211Mの扁平磁石と第2磁石帯221m等の扁平磁石の同極同士が対向する(向き合う)と両磁石の反発力によりフライホイール211と小回転子221等に回転力が生じ、フライホイール211と小回転子221等が互いに反対方向に同じ速度(周速)で回転しようとする。
これより、フライホイール211(第1磁石帯211M)が例えば反時計回りに回転すると、近傍領域における、第1磁石帯211Mの扁平磁石と第2磁石帯221m等の扁平磁石の同極同士の反発力により、小回転子221等(第2磁石帯221m等)が時計回りにフライホイール211(第1磁石帯211M)と同じ周速で回転する。
この場合、第1磁石帯211Mの扁平磁石は、外側部分が交互にS極とN極となるように配置され、第2磁石帯221m等の扁平磁石も外側部分が交互にN極とS極となるように配置されていることから、近傍領域で常に第1磁石帯211Mの扁平磁石と第2磁石帯221m等の扁平磁石の同極同士が対向し(向き合い)、小回転子221等(第2磁石帯221m等)に第1磁石帯211Mの扁平磁石と第2磁石帯221m等の扁平磁石の同極同士の反発力による回転力が連続的に生じ、小回転子221等(第2磁石帯221m等)は、フライホイール211(第1磁石帯211M)と同じ周速で回転を継続する。
よって、小回転子221等(第2磁石帯221m等)は、回転するフライホイール211(第1磁石帯211M)と転がり接触して回転するのと同じように回転する。
このようにフライホイール211が回転すると、第1磁石帯211Mと第2磁石帯221m等の同極同士の反発により小回転子221等が回転するため、フライホイール211の回転を非接触で小回転子221等に伝達でき、ギヤー等の接触手段によりフライホイールの回転を発電手段に伝達させるものに比べて、回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができる。
【0077】
第1磁石帯211Mを形成する扁平磁石は、フライホイール蓄発電装置1の第1磁石帯11Mを形成する扁平磁石と同様に複数の扁平磁石からなる磁石群であってもよい(図7(a)参照)。
第1磁石帯211Mは、32個の扁平磁石からなる磁石群に限定されるものではなく、4~128個の扁平磁石からなる磁石群であってもよい。
また、第2磁石帯221m等を形成する扁平磁石は、第2磁石帯21mを形成する扁平磁石と同様に複数の扁平磁石からなる磁石群であってもよい(図7(b)参照)。
第2磁石帯221m等は、4個の扁平磁石からなる磁石群に限定されるものではなく、2~64個の扁平磁石からなる磁石群であってもよい。
さらに、小回転子本体221a等は、小回転子本体21a’のように金属円筒の外周面をゴム等の弾性部材からなる弾性円筒で覆ったものであってもよい(図8参照)。
【0078】
ここで、副発電部220、230、240、250が備える小回転子移動装置229、239、249、259は、フライホイール蓄発電装置1の小回転子移動装置39、49、59と同じ構造・機能を有し、それぞれ小回転子本体221a、231a、241a、251aを回転位置から非回転位置に移動させる。
また、フライホイール蓄発電装置201は、フライホイール蓄発電制御装置70と同じ構成の制御装置を備え、この制御装置の制御により、フライホイール蓄発電装置1と同じ動作をする。
そして、フライホイール蓄発電装置201は、図20図22に示すような4つの副発電部220、230、240、250を設けたものに限定されず、さらに多くの副発電を設けてもよい。
さらに、フライホイール蓄発電装置201においては、フライホイール蓄発電装置101の左回転板111、右回転板112と同じ回転板をフライホイール本体211aを挟んでフライホイール回転軸211bに取り付け、第1磁石帯211Mに代えて、上下の回転板に左第1磁石帯111M、右第1磁石帯112Mと同じ第1磁石帯と取り付け、小回転子221等に代えて、左小回転子本体122等と右小回転子本体123等を有する小回転子121と同じ構成の小回転子とし、この小回転子の上下の小回転子本体に左第2磁石帯122m等、右第2磁石帯123m等と同じ第2磁石帯を取り付け、フライホイール回転軸211bに取り付けた回転板の回転により小回転子を回転させて副発電部220の副発電機224等を発電させてもよい。
【0079】
以上のようにフライホイール蓄発電装置201は、主畜発電部210と副発電部220等を備え、主畜発電部210は、フライホイール211、主電動機214、クラッチ215を備え、副発電部220等は、小回転子221等、副発電機224等、小回転子移動装置229等を備え、フライホイール211には第1磁石帯211Mが取り付けられ、小回転子221等には第2磁石帯221m等が取り付けられ、小回転子221等は、フライホイール211に対して非接触で近接して配置されているため、クラッチ215が入って主電動機214がフライホイール211を回転させてフライホイール211に蓄電し(エネルギーが蓄積され)、回転するフライホイール211にクラッチ215が入って主電動機214が発電すると共に、第1磁石帯211Mと第2磁石帯221m等の同極同士の反発により、小回転子221等が回転して副発電機224等が発電することから、フライホイール211から小回転子221等への回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができると共に、主畜発電部210の発電量に副発電部220等の発電量を加えた大容量の電力を放出でき、かつ、フライホイール211の回転による機械損失がフライホイール211の累積回転数に比例して増大し、発電効率が低下すること抑制し、蓄発電時のエネルギーの変換効率を悪化させないようにすることができ、畜放電しない場合は、主畜発電部210において、クラッチ215を遮断することにより、フライホイール11を無負荷回転(フリーラン)させて、フライホイール11の回転による損失を低減でき、副発電部220等において、小回転子移動装置229等により小回転子221等を回転しない状態にして、小回転子221等の回転損失を生じないようにし、エネルギー損失を最小限にして、発電せずにフライホイール11を回転させてフライホイール11に蓄積されたエルギーを放出せずに一定時間維持することができる。
【0080】
[第2発明のフライホイール蓄発電装置の構成]
図23は、本発明の第2発明となるフライホイール蓄発電装置の正面支持フレームと正面側の小回転子蓄発電部を除いた正面図、図24は、図23に示すフライホイール蓄発電装置の上面支持フレームと上側の小回転子蓄発電部を除いた平面図、図25は、図23に示すフライホイール蓄発電装置の支持フレーム部を除いた分解斜視図である。
図中、301はフライホイール蓄発電装置、310はフライホイール部、311はフライホイール、311aはフライホイール本体、311bはフライホイール回転軸、311b1は太軸部、311b2は細軸部、311Mは第1磁石帯、312a、312bはベアリング、320、330、340、350は小回転子蓄発電部、321、331、341、351は小回転子、321a、331a、341a、351aは小回転子本体、321b、331b、341b、351bは回転軸、321m、331m、341m、351mは第2磁石帯、322a、322b、332a、332b、342a、342b、352a、352bはベアリング、323、333、343、345は小回転子電動機、323a、333a、343a、345aは電動機本体、323b、333b、343b、345bは回転軸、324、334、344、344は小回転子発電機、324a、334a、344a、344aは発電機本体、324b、334b、344b、344bは回転軸、325、326、335、336、345、346、355、356はクラッチ、327、328、337、338、347、348、357、358は設置台、329、339、349、359は小回転子移動装置、FL3は支持フレーム部、FL31は上面支持フレーム、FL32は底面支持フレーム、FL33は左側面支持フレーム、FL34は右側面支持フレーム、FL35は正面支持フレーム、FL36は背面支持フレーム、GL3は床面であり、各図において、Xは左右方向、Yは前後方向、Zは上下方向(鉛直方向)であり、第1磁石帯と第2磁石帯を灰色で表す。
図に示すようにフライホイール蓄発電装置301は、フライホイール部310、小回転子蓄発電部320、330、340、350、支持フレーム部FL3等から構成される。
【0081】
[フライホイール蓄発電装置301のフライホイール部]
フライホイール部310は、フライホイール蓄発電装置1の主畜発電部10と異なり主電動機、主発電機、クラッチを備えておらず、フライホイール311、ベアリング312a、312b等から構成される。
フライホイール311は、フライホイール本体311aとフライホイール回転軸311bからなる。
フライホイール本体311aは、フライホイール本体11aと同じ大きさ・寸法、材質の円板であり、その中心部にはフライホイール回転軸311bが取り付けられ、その円周面には第1磁石帯311M(詳細は後述する)が取り付けられている。
フライホイール回転軸311bは、太軸部311b1と細軸部311b2からなる段付きのシャフトであり、太軸部311b1の直径が100~300mm、細軸部311b2の直径が50~100mmであり、細軸部311b2の軸方向の長さはフライホイール1の細軸部11b2より短く、太軸部311b1がフライホイール本体11aの中心部に取り付けられ、細軸部131b2にはベアリング312a、312bが取り付けられる。
ベアリング312a、312bは、フライホイール蓄発電装置1のベアリング12a、12bと同じジアルベアリングであり、ベアリング312aが、フライホイール回転軸131bの左側の細軸部311b2に取り付けられて(はめ込まれて)左側面支持フレームFL33に固定され、ベアリング312bが、フライホイール回転軸311bの右側の細軸部311b2に取り付けられて(はめ込まれて)右側面支持フレームFL34に固定される。
これにより、フライホイール311は、フライホイール11と同様に、フライホイール回転軸311bが水平となるように配置された横型であり、フライホイール回転軸311bが左側面支持フレームFL33と右側面支持フレームFL34にベアリング312a、312bを介して回転自在に保持される。
なお、フライホイール回転軸311bの細軸部311b2の一方にクラッチを介して小回転子電動機323(後述する)と同じ又は異なる電動機を取り付け、細軸部311b2の他方にクラッチを介して小回転子発電機324(後述する)と同じ又は異なる発電機を取り付け、フライホイール311への蓄電時に、小回転子電動機323等を回転させると共にフライホイール回転軸311bに取り付けた電動機を回転させてフライホイール311を回転させ、フライホイール311を回転させて発電(放電)するときは、小回転子発電機324等を発電させると共にフライホイール回転軸311bに取り付けた発電機を発電させてもよい。
【0082】
[フライホイール蓄発電装置301の小回転子蓄発電部]
小回転子蓄発電部320は、小回転子321、ベアリング322a、322b、小回転子電動機323、小回転子発電機324、クラッチ325、326、設置台327、328、小回転子移動装置329等から構成され、フライホイール蓄発電装置1の副発電部20の一方の副発電機が小回転子発電機に置き換わった構成となっている。
小回転子321は、小回転子本体321aと回転軸321bからなる。
小回転子本体321aは、小回転子本体21aと同じ大きさ・寸法、材質の円板であり、その中心部には回転軸321bが取り付けられ、その円周面には第2磁石帯321m(詳細は後述する)が取り付けられている。
また、小回転子本体321aは、小回転子移動装置329(後述する)により回転軸321bに対して軸方向に移動可能となっている。
ベアリング322a、322bはベアリング22a、22bと同じラジアルベアリングであり、ベアリング322aが、回転軸321bの左側に取り付けられて(はめ込まれて)左側面支持フレームFL33の上部に固定され、ベアリング322bが、回転軸321bの右側に取り付けられて(はめ込まれて)右側面支持フレームFL34の上部に固定される。
これにより、小回転3子21の回転軸321bが左側面支持フレームFL33と右側面支持フレームFL34の上部にベアリング322a、322bを介して回転自在に保持される。
【0083】
小回転子電動機323は、電動機本体323aと回転軸323bからなり、出力が50~500kwの5三相誘導電動機であり、外部電源(図示せず)から供給される電力より回転軸13bが回転する。
小回転子発電機324は、発電機本体324aと回転軸324bからなり、出力が50~500kVAの三相交流発電機である。
クラッチ325、326は同じものであり、クラッチ25、26と同じ摩擦クラッチ、電磁クラッチ等からなり、クラッ3チ25は、小回転子321の回転軸321bの左側部分と小回転子電動機323の回転軸323bの連結・切断を行い、クラッチ26は、小回転子321の回転軸321bの右側部分と小回転子発電機324の回転軸324bの連結・切断を行う。
そして、電動機本体323aとクラッチ225が、左側面支持フレームFL33の上部左側面に固定された設置台327の上面に設置され、発電機本体324aとクラッチ326が右側面支持フレームFL34の上部右側面に固定された設置台328の上面に設置される。
これにより、左から順に小回転子電動機323、クラッチ325、小回転子321、クラッチ326、小回転子発電機324が左側面支持フレームFL33と右側面支持フレームFL34の上部に取付固定され、小回転子電動機323の回転軸323bにより小回転子321の回転し(このとき小回転子発電機324の回転軸324bは回転せず)、小回転子321の回転により小回転子発電機324の回転軸324bが回転して発電(放電)する(このとき小回転子電動機323の回転軸323bは回転しない)。
なお、小回転子電動機323と小回転子発電機324の両方を、発電機能を備えた電動機として、電力を供給したときは電動機として機能し、回転軸323b、324bを回転させたときは発電機として機能するようにし、小回転子321を回転させる時は、小回転子発電機324を電動機として機能させ、小回転子電動機323と小回転子発電機(電動機)324の両方あるいはいずれか一方に電力を供給して小回転子321を回転させ、小回転子321の回転による発電(放電)時は、小回転子電動機323を発電機として機能させ、小回転子電動機(発電機)323と小回転子発電機324の両方あるいはいずれか一方を発電させるようにしてもよい。
【0084】
小回転子蓄発電部330、340、350も小回転子蓄発電部320と同じ構成であり、小回転子蓄発電部330は、小回転子331、ベアリング332a、332b、小回転子電動機333、小回転子発電機334、クラッチ335、336、設置台337、338、小回転子移動装置339等から構成され、小回転子蓄発電部340は、小回転子341、ベアリング342a、342b、小回転子電動機343、小回転子発電機344、クラッチ345、346、設置台347、348、小回転子移動装置349等から構成され、小回転子蓄発電部350は、小回転子351、ベアリング352a、352b、小回転子電動機353、小回転子発電機354、クラッチ355、356、設置台357、358、小回転子移動装置359等から構成される。
小回転子331、341、351は、小回転子321と同一のものであり、小回転子本体331a、341a、351aと回転軸331b、341b、351bからなり、小回転子本体331a、341a、351aの円周面には第2磁石帯331m、341m、351mが取り付けられ、小回転子本体331a、341a3、51aの中心部には回転軸331b、341b、351bが取り付けられている。
また、小回転子本体331a、341a、351aは、小回転子移動装置339、349、359(後述する)により回転軸331b、341b、351bに対して軸方向に移動可能となっている。
各回転軸331b、341b、351bの左側には、ベアリング332a、342a、352aが取り付けられ、各回転軸331b3、41b、351bの右側には、ベアリング332b、342b、352bが取り付けられ、ベアリング332aは左側面支持フレームFL33の手前側に、ベアリング332bは右側面支持フレームFL34の手前側に固定され、ベアリング342aは左側面支持フレームFL33の下部に、ベアリング342bは右側面支持フレームFL34の下部に固定され、ベアリング352aは左側面支持フレームFL33の奥側に、ベアリング332bは右側面支持フレームFL34の奥側に固定される。
【0085】
小回転子電動機333、343、353は、小回転子電動機323と同じものあり、それぞれ電動機本体333a、343a、353aと回転軸333b、343b、353bからなる。
小回転子発電機334、344、354は、小回転子発電機324と同じものあり、それぞれ電動機本体334a、344a、354aと回転軸334b、344b、354bからなる。
クラッチ335、336、クラッチ345、346、クラッチ355、356もクラッチ325、326と同じものであり、クラッチ335、336は、小回転子331の回転軸331bと小回転子電動機333、小回転子発電機334の回転軸333b、334bの連結・切断を行い、クラッチ345、346は、小回転子341の回転軸341bと小回転子電動機343、小回転子電動機344の回転軸43b、44ab連結・切断を行い、クラッチ355、356は、小回転3子52の回転軸351bと小回転子電動機353、小回転子電動機354の回転軸53b、54bの連結・切断を行う。
そして、電動機本体333aとクラッチ325が、左側面支持フレームFL33の手前側左側面に固定された設置台337の上面に設置され、発電機本体334aとクラッチ336が右側面支持フレームFL34の手前側右側面に固定された設置台338の上面に設置され、電動機本体343aとクラッチ345が、左側面支持フレームFL33の下部左側面に固定された設置台347の上面に設置され、発電機本体344aとクラッチ346が右側面支持フレームFL34の下部右側面に固定された設置台348の上面に設置され、電動機本体353aとクラッチ355が、左側面支持フレームFL33の奥側左側面に固定された設置台357の上面に設置され、発電機本体354aとクラッチ356が右側面支持フレームFL34の奥側右側面に固定された設置台358の上面に設置される。
なお、支持フレーム部FL3は、床面GL3に設置された底面支持フレームFL32と、底面支持フレームFL32上に取り付けられた正面支持フレームFL35、背面支持フレームFL36、左側面支持フレームFL33、右側面支持フレームFL34、その上に取り付けられた上面支持フレームFL31より構成される。
【0086】
これにより、左から順に小回転子電動機333、クラッチ335、小回転子331、クラッチ336、小回転子発電機334が左側面支持フレームFL33と右側面支持フレームFL34の手前側に取付固定され、小回転子電動機333の回転軸333bにより小回転子331が回転し(このとき小回転子発電機334の回転軸334bは回転せず)、小回転子331の回転により小回転子発電機334の回転軸334bが回転して発電(放電)する(このとき小回転子電動機333の回転軸333bは回転しない)。
また、左から順に小回転子電動機343、クラッチ345、小回転子341、クラッチ346、小回転子発電機344が左側面支持フレームFL33と右側面支持フレームFL34の下部に取付固定され、小回転子電動機343の回転軸343bにより小回転子341が回転し(このとき小回転子発電機344の回転軸344bは回転せず)、小回転子341の回転により小回転子発電機344の回転軸344bが回転して発電(放電)する(このとき小回転子電動機343の回転軸343bは回転しない)。
さらに、左から順に小回転子電動機353、クラッチ355、小回転子351、クラッチ356、小回転子発電機354が左側面支持フレームFL33と右側面支持フレームFL34の奥側に取付固定され、小回転子電動機353の回転軸353bにより小回転子351が回転し(このとき小回転子発電機354の回転軸354bは回転せず)、小回転子351の回転により小回転子発電機354の回転軸354bが回転して発電(放電)する(このとき小回転子電動機353の回転軸353bは回転しない)。
【0087】
[フライホイール蓄発電装置301の第1磁石帯、第2磁石帯]
フライホイール蓄発電装置301においては、フライホイール311のフライホイール本体311aの円周面には第1磁石帯311Mが取り付けられるが、第1磁石帯311Mは、フライホイール11のフライホイール本体11aの円周面に取り付けられる第1磁石帯11Mと同じものである。
すなわち、第1磁石帯311Mは、複数の扁平磁石からなる帯状の磁石群であり、本実施形態では32個の扁平磁石がフライホイール本体311aの円周面の円周方向に配置されている(図4参照)。
第1磁石帯311Mの取り付け方は、第1磁石帯11Mと同じであり、第1磁石帯311Mを構成する扁平磁石の種類、大きさ、寸法、磁極の向きは、第1磁石帯11Mを構成する扁平磁石と同じである。
図23図24では、図1図2と同様に様外側部分がN極となる扁平磁石を濃い灰色で表し、外側部分がS極となる扁平磁石を薄い灰色で表す。
小回転子321、331、341、351(以下適宜「小回転子321等」という。)の小回転子本体321a、331a、341a、351a(以下適宜「小回転子本体321a等」という。)の円周面に取り付けられる第2磁石帯321m、331m、341m、351m(以下適宜「第2磁石帯321m等」という。)も、小回転子21、31、41、51(以下適宜「小回転子21等」という。)の小回転子本体21a、31a、41a、51a(以下適宜「小回転子本体21a等」という。)の円周面に取り付けられる第2磁石帯21m、31m、41m、51m(以下適宜「第2磁石帯21m等」という。)と同じものである。
すなわち、第2磁石帯321m等は、複数の扁平磁石からなる帯状の磁石群であり、本実施形態では4個の扁平磁石が小回転子本体321a等の円周面の円周方向に配置されている(図4参照)。
第2磁石帯321m等の取り付け方は、第2磁石帯21m等と同じであり、第2磁石帯321m等を構成する扁平磁石の種類、大きさ、寸法、磁極の向きは、第2磁石帯21m等を構成する扁平磁石と同じである。
【0088】
そして、フライホイール蓄発電装置1において、フライホイール11が回転すると小回転子21等が回転するのと同様にして、フライホイール蓄発電装置301においも、フライホイール311が回転すると小回転子321等が回転し、また、小回転子321等の全部または一部が回転するとフライホイール311が回転する。
すなわち、第1磁石帯311Mと第2磁石帯321m等が最も接近する位置における第1磁石帯311Mと第2磁石帯321m等の隙間を10~50μmとすることにより、第1磁石帯311Mと第2磁石帯321m等が最も接近する位置を中心とするその近傍の領域(以下「近傍領域」という。)において、第1磁石帯311Mの扁平磁石と第2磁石帯321m等の扁平磁石の同極同士が対向する(向き合う)と両磁石の反発力によりフライホイール311と小回転子321等に回転力が生じ、フライホイール311と小回転子321等が互いに反対方向に同じ速度(周速)で回転しようとする。
これより、フライホイール311(第1磁石帯311M)が例えば反時計回りに回転すると、近傍領域における、第1磁石帯311Mの扁平磁石と第2磁石帯321m等の扁平磁石の同極同士の反発力により、小回転子321等(第2磁石帯321m等)が時計回りにフライホイール311(第1磁石帯311M)と同じ周速で回転する。
逆に、小回転子321等の全部または一部が時計回りに回転すると、近傍領域における、第1磁石帯311Mの扁平磁石と第2磁石帯321m等の扁平磁石の同極同士の反発力により、フライホイール311(第1磁石帯311M)が反時計回りに小回転子321等(第2磁石帯321m等)と同じ周速で回転する。
この場合、第1磁石帯311Mの扁平磁石は、外側部分が交互にS極とN極となるように配置され、第2磁石帯321m等の扁平磁石も外側部分が交互にN極とS極となるように配置されていることから、近傍領域で常に第1磁石帯311Mの扁平磁石と第2磁石帯321m等の扁平磁石の同極同士が対向し(向き合い)、小回転子321等(第2磁石帯321m等)に第1磁石帯311Mの扁平磁石と第2磁石帯321m等の扁平磁石の同極同士の反発力による回転力が連続的に生じ、小回転子321等(第2磁石帯321m等)とフライホイール311(第1磁石帯311M)は同じ周速で回転を継続する。
よって、小回転子321等(第2磁石帯321m等)とフライホイール311(第1磁石帯211M)は、互いに転がり接触して回転するのと同じように回転する。
このようにフライホイール311が回転すると、第1磁石帯311Mと第2磁石帯321m等の同極同士の反発により小回転子321等が回転するため、フライホイール311の回転を非接触で小回転子321等に伝達でき、ギヤー等の接触手段によりフライホイールの回転を発電手段等に伝達させるものに比べて、回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができる。
【0089】
第1磁石帯311Mを形成する扁平磁石は、フライホイール蓄発電装置1の第1磁石帯11Mを形成する扁平磁石と同様に複数の扁平磁石からなる磁石群であってもよい(図7(a)参照)。
第1磁石帯311Mは、32個の扁平磁石からなる磁石群に限定されるものではなく、4~128個の扁平磁石からなる磁石群であってもよい。
また、第2磁石帯321m等を形成する扁平磁石は、第2磁石帯21m等を形成する扁平磁石と同様に複数の扁平磁石からなる磁石群であってもよい(図7(b)参照)。
第2磁石帯321m等は、4個の扁平磁石からなる磁石群に限定されるものではなく、2~64個の扁平磁石からなる磁石群であってもよい。
さらに、小回転子本体321a等は、小回転子本体21a’のように金属円筒の外周面をゴム等の弾性部材からなる弾性円筒で覆ったものであってもよい(図8参照)。
【0090】
ここで、小回転子蓄発電部320、330、340、350(以下適宜「小回転子蓄発電部320」という。)が備える小回転子移動装置329、339、349、359は、フライホイール蓄発電装置1の小回転子移動装置29、39、49、59と同じ構造・機能を有し、それぞれ小回転子本体321a等を回転位置から非回転位置に移動させる。
また、フライホイール蓄発電装置301は、図23図25に示すような4つ小回転子蓄発電部320等を設けたものに限定されず、さらに多くの小回転子蓄発電部を設けてもよい。
さらに、フライホイール蓄発電装置301においては、フライホイール蓄発電装置101の左回転板111、右回転板112と同じ回転板をフライホイール本体311aを挟んでフライホイール回転軸311bに取り付け、第1磁石帯311Mに代えて、左右の回転板に左第1磁石帯111M、右第1磁石帯112Mと同じ第1磁石帯と取り付け、小回転子321等に代えて、左小回転子本体122等と右小回転子本体123等を有する小回転子121と同じ構成の小回転子とし、この小回転子の左右の小回転子本体に左第2磁石帯122m等、右第2磁石帯123m等と同じ第2磁石帯を取り付け、小回転子電動機323等により小回転子を回転させてフライホイール回転軸311bに取り付けた回転板を回転させ、これによりフライホイール311を回転させ、フライホイール回転軸311bに取り付けた回転板の回転により小回転子を回転させて小回転子発電機324等を発電させてもよい。
【0091】
[フライホイール蓄発電装置301のフライホイール蓄発電制御装置]
図26は、フライホイール蓄発電装置301のフライホイール蓄発電制御装置の構成を示したブロック図である。
図中、360はフライホイール(FW)蓄発電制御装置、361は統括制御装置、361aは電動機選択部、361bは発電機選択部、361cはフライホイール(FW)回転数取得部、362、363、364、365は蓄発電制御装置、362a、363a、364a、365aは電動機制御部、362b、363b、364b、365bは発電機制御部、362c、363c、364c、3675cはクラッチ制御部、362d、363d、364d、365dは小回転子移動制御部である。
フライホイール蓄発電制御装置360は、統括制御装置361と蓄発電制御装置362、363、364、365を備えている。
統括制御装置361は、電動機選択部361a、発電機選択部361b、フライホイール回転数取得部361cを備え、蓄発電制御装置362、363、364、365に各種指令を送ると共にフライホイール蓄発電制御装置360を統括的に制御する。
電動機選択部361aは、小回転子電動機323、333、343、353(以下適宜「小回転子電動機323等」という。)の中から回転(運転)する小回転子電動機を選択し、発電機選択部361bは、小回転子発電機324、334、344、354(以下適宜「小回転子発電機324等」という。)の中から発電する小回転子発電機を選択する。
【0092】
蓄発電制御装置362は、電動機制御部362a、発電機制御部362b、クラッチ制御部362c及び小回転子移動制御部362dを備え、小回転子蓄発電部320の動作を制御する。
電動機制御部362aは、小回転子電動機323の回転、停止等の動作を制御し、発電機制御部362bは、小回転子発電機324の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部362cは、クラッチ325、326の連結・切断の動作を制御し、小回転子移動制御部362dは、小回転子移動装置329の動作を制御する。
蓄発電制御装置363は、電動機制御部363a、発電機制御部363b、クラッチ制御部363c及び小回転子移動制御部363dを備え、小回転子蓄発電部330の動作を制御する。
電動機制御部363aは、小回転子電動機333の回転、停止等の動作を制御し、発電機制御部363bは、小回転子発電機334の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部363cは、クラッチ335、336の連結・切断の動作を制御し、小回転子移動制御部363dは、小回転子移動装置339の動作を制御する。
蓄発電制御装置364は、電動機制御部364a、発電機制御部364b、クラッチ制御部364c及び小回転子移動制御部364dを備え、小回転子蓄発電部340の動作を制御する。
電動機制御部364aは、小回転子電動機343の回転、停止等の動作を制御し、発電機制御部364bは、小回転子発電機344の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部364cは、クラッチ345、346の連結・切断の動作を制御し、小回転子移動制御部364dは、小回転子移動装置349の動作を制御する。
蓄発電制御装置365は、電動機制御部365a、発電機制御部365b、クラッチ制御部365c及び小回転子移動制御部365dを備え、小回転子蓄発電部350の動作を制御する。
電動機制御部365aは、小回転子電動機353の回転、停止等の動作を制御し、発電機制御部365bは、小回転子発電機354の出力電圧等の出力を制御し、クラッチ制御部365cは、クラッチ355、356の連結・切断の動作を制御し、小回転子移動制御部365dは、小回転子移動装置359の動作を制御する。
【0093】
[フライホイール蓄発電装置301の動作]
図27は、フライホイール蓄発電装置301において、フライホイール311を回転させてフライホイール311に蓄電(運動エネルギーを蓄積)する動作を示したフローチャートである。
以下、フライホイール311に蓄電する動作を説明する。
まず、統括制御装置361の電動機選択部361aが、小回転子蓄発電部320等の小回転子電動機323等の中から回転させる小回転子電動機を選択する(S31)。
この小回転子電動機の選択は、フライホイール蓄発電装置301の操作ボタン等(図示せず)の操作による選択、あるいは、外部電源から小回転子蓄発電部320等に供給される電力量から回転可能な小回転子電動機の数に基づき行う。
次いで、統括制御装置361が、選択された小回転子電動機を制御する畜発電制御装置に畜電指令を出す(S32)。
例えば、ステップS31で2台の小回転子電動機323、333が選択されたとすると、ステップS32で統括制御装置361が畜発電制御装置362、363に畜電指令を出す。
以下、ステップS31で小回転子電動機323、333が選択された場合について説明する。
畜電指令を受けた畜発電制御装置362、363では、小回転子移動制御部362d、363dが、小回転子本体321a、331aのX方向の位置を位置センサ(図示せず)から取得し、小回転子本体321a、331aが回転位置にあるか否かを判断し(S33)、小回転子本体321a、331aが回転位置にない場合は、小回転子移動制御部362d、363dが小回転子移動装置329、339を動作させ、非回転位置にある小回転子本体321a、331aを回転位置に移動する(S34)。
【0094】
ステップS33で小回転子本体321a、331aは回転位置にあると判断した場合は、畜発電制御装置362、363のクラッチ制御部362c、363cが、小回転子321、331の回転軸321b、331bと小回転電動電機323、333の回転軸323b、333bを連結するようにクラッチ325、335を動作させ、2台の小回転電動電機323、333を運転(回転)させて小回転子321、331(第2磁石帯321m、331m)を回転させ、これによりフライホイール(FW)311が回転する(S35)。
次いで、統括制御装置361が、フライホイール311の回転数が設定された蓄電回転数に到達したか否を判断する(S36)。
そして、蓄電回転数に到達していないと判断した場合は、外部電源からの小回転電動電機323、333への電力供給が継続して回転軸323b、333bの回転が継続し、フライホイール311の回転数が増加する(S37)。
また、蓄電回転数に到達したと判断した場合は、クラッチ制御部362c、363cが、小回転子321、331の回転軸321b、331bと小回転電動電機323、333の回転軸323b、333bを遮断するようにクラッチ325、335を動作させ、外部電源からの小回転電動電機323、333への電力供給が停止し、小回転電動電機323、333(回転軸323b、333b)の回転が停止する(S38)。
これにより、フライホイール311の蓄電処理が終了し、フライホイール311が蓄電回転数で無負荷回転(フリーラン)するようになる。
【0095】
図28は、フライホイール蓄発電装置301の小回転子畜発電部320等において、小回転子発電機324等が発電する動作を示したフローチャートである。
以下、小回転子発電機324等が発電する動作を説明する。
まず、統括制御装置361の発電機選択部361bが、小回転子蓄発電部320等の小回転子発電機機324等の中から発電させる小回転子発電機を選択する(S41)。
この小回転子発電機の選択は、フライホイール蓄発電装置301の操作ボタン等(図示せず)の操作による選択、あるいは、必要な電力量(統括制御装置361に要求された電力量)を満たすために必要な小回転子発電機の数に基づき行う。
例えば、小回転子発電機2台分の電力量が必要な場合は、発電機選択部361bが、小回転子畜発電部320、330の小回転子発電機機324、334を選択する。
以下、2台の小回転子発電機機324、334が選択された場合について説明する。
次いで、統括制御装置361が、小回転子畜発電部320、330を制御する畜発電制御装置362、363に発電指令を出す(S42)。
発電指令を受けた畜発電制御装置362、363では、小回転子移動制御部362d、363dが、小回転子本体321a、331aのX方向の位置を位置センサ(図示せず)から取得し、小回転子本体321a、331aが回転位置にあるか否かを判断し(S43)、小回転子本体321a、331aが回転位置にない場合は、小回転子移動制御部362d、363dが小回転子移動装置329、339を動作させ、非回転位置にある小回転子本体を回転位置321a、331aに移動する(S44)。
【0096】
ステップS43で小回転子本体321a、331aは回転位置にあると判断した場合は、畜発電制御装置362、363のクラッチ制御部362c、363cが、小回転子321、331の回転軸321b、331bと小回転子発電機機324、334の回転軸324b、334bを連結するようにクラッチ326、336を動作させ、これにより、2台の小回転子発電機機324、33が発電する(S45)。
畜発電制御装置362、363では、各畜発電制御装置の統括管理制御部等(図示せず)が、各小回転子回転数取得部(図示せず)が取得する小回転子321、331の回転数に基づき、小回転子321、331の回転数が設定された発電可能回転数(例えば、最大回転数の30%)まで低下したか否を判断する(S46)。
そして、設定された発電可能回転数まで低下していないと判断した場合は、小回転子321、331の回転が継続して小回転子発電機機324、334が発電を継続する(S47)。
また、設定された発電可回転数まで低下したと判断した場合は、クラッチ制御部362c、363cが、小回転子321、331の回転軸321b、331bと小回転子発電機機324、334の回転軸324b、334bを遮断するようにクラッチ326、336を動作させ、これにより、2台の小回転子発電機機324、334が発電を停止する(S48)。
この後、小回転子移動制御部362d、363dが小回転子移動装置329、339を動作させ、回転位置にある小回転子本体321a、331aを非回転位置に移動し(S49)、小回転子畜発電部320、330での発電処理が終了する。
なお、小回転子畜発電部320、330での発電は、小回転子321、331が発電可能回転数まで低下する前に、操作ボタン操作等により停止してもよい。
【0097】
以上のようにフライホイール蓄発電装置301は、フライホイール部310と小回転子蓄発電部320等を備え、フライホイール部310は、フライホイール311を備え、小回転子蓄発電部320等は、小回転子321等、小回転子電動機323等、小回転子発電機324等、小回転子移動装置329等を備え、フライホイール311には第1磁石帯311Mが取り付けられ、小回転子321等には第2磁石帯321m等が取り付けられ、小回転子321等は、フライホイール311に対して非接触で近接して配置されているため、小回転子電動機323等により小回転子321等が回転すると、第1磁石帯311Mと第2磁石帯321m等の同極同士の反発により、フライホイール11が回転してフライホイール11に蓄電され(エネルギーが蓄積され)、フライホイール311が回転すると、第1磁石帯11Mと第2磁石帯21mの同極同士の反発により、小回転子21等が回転して小回転子電動機323等が発電することから、小回転子21等からフライホイール311への回転伝達時の摩擦損失、フライホイール311から小回転子321等への回転伝達時の摩擦損失を生じないようにすることができると共に、フライホイール311を大型としても、大出力のモータの使用することなくフライホイール311を回転させることができ、フライホイール311の回転による機械損失がフライホイール311の累積回転数に比例して増大し、発電効率が悪くなること抑制し、蓄発電時のエネルギーの変換効率を低下させないようにすることができ、畜放電しない場合は、小回転子移動装置329等により小回転子321等を回転しない状態にして、小回転子21等の回転損失を生じないようにし、エネルギー損失を最小限にして、発電せずにフライホイール311を回転させてフライホイール311に蓄積されたエルギーを放出せずに一定時間維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明のフライホイール蓄発電装置は、フライホイールの回転による機械損失を少なくして発電効率を低下させることなく、大容量の電力を得ることができ、また、エネルギー損失を最小限にして、発電せずにフライホイールを回転させてフライホイールに蓄積されたエルギーを放出せずに一定時間維持することができ、フライホイールにエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーにより発電する各種フライホイール蓄発電装置に利用できる。
【符号の説明】
【0099】
1 フライホイール蓄発電装置
10 主畜発電部
11 フライホイール
11a フライホイール本体
11b フライホイール回転軸
11b1 太軸部
11b2 細軸部
11M 第1磁石帯
11M1、11M1’、11M2、11M8、11M9、11M16、11M17、11M24、11M25、11M31、11M32 扁平磁石
12a、12b ベアリング
13 主電動機
13a 電動機本体
13b 回転軸
14 主発電機
14a 発電機本体
14b 回転軸
15、16 クラッチ
17、18 設置台
20、30、40、50 副発電部
21、21’、31、41、51、 小回転子
21a、21a’、31a、41a、51a 小回転子本体
21b、31b、41b、51b 回転軸
21m、31m、41m、51m 第2磁石帯
21m1、21m1’、21m2、21m3、21m4、31m1、31m2、31m3、31m4、41m1、41m2、41m3、41m4、51m1、51m2、51m3、51m4 扁平磁石
21rb 弾性円筒
21st 金属円筒
22a、22b、32a、32b、42a、42b、52a、52b ベアリング
23、24、33、34、43、44、53、54 副発電機
23a、24a、33a、34a、43a、44a、53a、54a 副発電機本体
23b、24b、33b、34b、43b、44b、53b、54b 回転軸
25、26、35、36、45、46、55、56 クラッチ
27、28、37、38、47、48、57、58 設置台
29、39、49、59 小回転子移動装置
29a 移動支持台
29b 伸縮ロッド
29c ブロック
29d、29e 挟持板
61、62、63、64 小回転子
61a、62a、63a、64a 小回転子本体
61b、62b、63b、64b 回転軸
61m、62m、63m、64m 第2磁石帯
70はフライホイール(FW)蓄発電制御装置
71は主蓄発電制御装置
71aは主電動機制御部
71bは主発電機制御部
71cはクラッチ制御部
71d フライホイール(FW)回転数取得部
72、73、74、75 副発電制御装置
72a、73a、74a、75a 副発電機制御部
72b、73b、74b、75b クラッチ制御部
72c、73c、74c、75c 小回転子移動制御部
76 統括制御装置
76a 副発電機選択部
101 フライホイール蓄発電装置
110 主畜発電部
120、130、140、150 副発電部
111 左回転板
112 右回転板
111M 左第1磁石帯
111M1、111M2、111M8、111M9、111M16、111M17、111M24、111M25、111M31、111M32 扁平磁石
112M 右第1磁石帯
121、131、141、151 小回転子
122、132、142、152 左小回転子本体
122m1、122m2、122m3、122m4、132m1、132m2、132m3、132m4、142m1、142m2、142m3、142m4、152m1、152m2、152m3、152m4 扁平磁石
123、133、143、153 右小回転子本体
124、134、144、154 回転軸
122m、132m、142m、152m 左第2磁石帯
123m、133m、143m、153m 右第2磁石帯、
201 フライホイール蓄発電装置
210 主畜発電部
211 フライホイール
211a フライホイール本体
211b フライホイール回転軸
211M 第1磁石帯
212 スラストベアリング
213 ラジアルベアリング
214 主電動機
214a 電動機本体
214b 回転軸
215 クラッチ
216 電動機設置台
217 クラッチ台、
220、230、240、250 副発電部
221、231、241、251 小回転子
221a、231a、241a、251a 小回転子本体
221b、231b、241b、251b 回転軸
221m、231m、241m、251m 第2磁石帯
222、232、242、252 スラストベアリング
223、233、143、253 ラジアルベアリング
224、234、244、254 副発電機
224a、234a、244a、254a 副発電機本体
224b、234b、244b、254b 回転軸
225、235、245、255 クラッチ
226、236、246、256 発電機設置台
227、237、247、257 クラッチ台
229、239、249、259 小回転子移動装置、
301 フライホイール蓄発電装置
310 フライホイール部
311 フライホイール
311a フライホイール本体
311b フライホイール回転軸
311b1 太軸部
311b2 細軸部
311M 第1磁石帯
312a、312b ベアリング
320、330、340、350 小回転子蓄発電部
321、331、341、351 小回転子
321a、331a、341a、351a 小回転子本体
321b、331b、341b、351b 回転軸
321m、331m、341m、351m 第2磁石帯
322a、322b、332a、332b、342a、342b、352a、352b ベアリング
323、333、343、345 小回転子電動機
323a、333a、343a、345a 電動機本体
323b、333b、343b、345b 回転軸
324、334、344、344 小回転子発電機
324a、334a、344a、344a 発電機本体
324b、334b、344b、344b 回転軸
325、326、335、336、345、346、355、356 クラッチ
327、328、337、338、347、348、357、358 設置台
329、339、349、359 小回転子移動装置
FL1、FL2、FL3 支持フレーム部
FL11、FL31 上面支持フレーム
FL12、FL22、FL32 底面支持フレーム
FL13、FL23、FL33 左側面支持フレーム
FL14、FL24、FL34 右側面支持フレーム
FL15、FL25、FL35 正面支持フレーム
FL16、FL26、FL36 背面支持フレーム
FL21 水平支持フレーム
GL1、GL2、GL3 床面
M1o、M2o、M21o、m1o、m2o、m3o、m4o 外側部分
M1i、M2i、M21i、m1i、m2i、m3i、m4i 内側部分
Mg1~Mg8、mg1~mg8 磁石
図1
図2
図3
図4
図5
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