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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090274
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240627BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20240627BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D33/00 C
B65D30/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206048
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】390033868
【氏名又は名称】株式会社メイワパックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 恭敏
(72)【発明者】
【氏名】西原 有紀乃
【テーマコード(参考)】
3E013
3E064
【Fターム(参考)】
3E013BA02
3E013BA04
3E013BA15
3E013BA22
3E013BA26
3E013BB13
3E013BC04
3E013BC14
3E013BD11
3E013BD12
3E013BD13
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF26
3E013BF36
3E013BF62
3E013BG15
3E064AB23
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA30
3E064FA03
3E064HD06
3E064HE02
3E064HN05
3E064HP01
3E064HP02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内容物を電子レンジで加熱調理するための自立可能な蒸通機能を有する包装袋を提供する。
【解決手段】自立可能な蒸通機能を有する包装袋であって、当該包装袋を開封するために、当該包装袋の側部に設けられたノッチ部と、レーザー光の照射及び走査により、当該ノッチ部を始点として誘導されるように構成された、当該包装袋の幅方向に連続する少なくとも1以上の開封線と、を備え、当該包装袋の上部に、該加熱調理時に生じる蒸気を外部に逃がす蒸通部が、少なくとも1箇所設けられ、当該包装袋を自立させるために、折り返しにより底部が形成され、当該包装袋の本体側部より当該底部にかけて斜め方向にシール部が設けられて、当該内容物の充填時に当該底部が四角形状に形成され、当該底部に形成される底部シール部の隅部に斜め方向に切り込みが設けられてなることを特徴とする包装袋。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を電子レンジで加熱調理するための自立可能な蒸通機能を有する包装袋であって、
当該包装袋を開封するために、当該包装袋の側部に設けられたノッチ部と、
レーザー光の照射及び走査により、当該ノッチ部を始点として誘導されるように構成された、当該包装袋の幅方向に連続する少なくとも1以上の開封線と、
を備え、
当該包装袋の上部に、該加熱調理時に生じる蒸気を外部に逃がす蒸通部が、少なくとも1箇所設けられ、
当該包装袋を自立させるために、折り返しにより底部が形成され、
当該包装袋の本体側部より当該底部にかけて斜め方向にシール部が設けられて、当該内容物の充填時に当該底部が四角形状に形成され、
当該底部に形成される底部シール部の隅部に斜め方向に切り込みが設けられてなる、
ことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記蒸通部に、易シール性の薄膜状のテープが設けられてなることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記シール部が、斜めに30°~50°の角度を成すことを特徴とする、請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記包装袋の本体側部に側部シール部が設けられ、当該側部シール部に内側もしくは外側に曲線状の出っ張りを設けることで、前記包装袋の持ち手部として備えてなることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項5】
前記内容物が、直方体の形状を有する、具材とご飯とで成る冷凍食品であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項6】
前記具材が、前記ご飯の上部に配されることを特徴とする、請求項5に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収納可能な包装袋に関し、特に内容物が調理食品であって、電子レンジで加熱調理に供し、自立可能で食器としても利用できる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジによって加熱される調理食品が市場に出回っており、調理済あるいは半調理済の食品である、冷蔵食品や冷凍食品などが内容物として収納される、電子レンジ用の包装袋が広く利用されている。
【0003】
このような包装袋は、電子レンジで加熱すると、食品から発生する蒸気や内部空気の熱膨張により包装袋の内圧が高まり、破袋や変形が生じたり、また、破袋により包装袋内に収納された食品が飛散したりする虞もあるため、加熱調理中に発生する蒸気によって収納された食品を蒸らす効果を有し、且つ袋内部の蒸気圧力により熱接着部を一部剥離させて蒸気を逃がす(蒸通させる)ことができる包装袋が採用されており、特許文献1では、電子レンジを用いた加熱調理可能でありかつ自立可能であって、内容物として冷凍食品と粉体を含むパウチが、特許文献2では、袋上部に折れ曲がり保持性を有する紙材を有した、包装袋の底部が船底形に開放される電子レンジ用の調理袋がそれぞれ開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1では、冷凍食品を解凍調理後、更に調味料を追加して調理を完成させることが主な目的であり、食器として利用される目的で開示されてはおらず、更に加熱調理中に袋自体が倒れてしまい、食品の形態が保ちにくい欠点があり、特許文献2では、包装袋の底部が船底形に開放されるため、安定させて加熱調理できるものの、紙材を使用しているため破袋しやすい等の問題点をそれぞれ抱えていた。
【0005】
上述の状況を鑑み、本願発明者は、特許文献3にて開示される上記した袋内部の蒸気圧力により熱接着部を一部剥離させて蒸通させることができる包装袋を基に、上記の問題点を解消し、更に調理後に食器として利用できる包装袋を開発するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-16071号公報
【特許文献2】特許3813273号公報
【特許文献3】特許4252649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、内容物を電子レンジで加熱調理するための自立可能な蒸通機能を有する包装袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、内容物を電子レンジで加熱調理するための自立可能な蒸通機能を有する包装袋であって、
当該包装袋を開封するために、当該包装袋の側部に設けられたノッチ部と、
レーザー光の照射及び走査により、当該ノッチ部を始点として誘導されるように構成された、当該包装袋の幅方向に連続する少なくとも1以上の開封線と、
を備え、
当該包装袋の上部に、該加熱調理時に生じる蒸気を外部に逃がす蒸通部が、少なくとも1箇所設けられ、
当該包装袋を自立させるために、折り返しにより底部が形成され、
当該包装袋の本体側部より当該底部にかけて斜め方向にシール部が設けられて、当該内容物の充填時に当該底部が四角形状に形成され、
当該底部に形成される底部シール部の隅部に斜め方向に切り込みが設けられてなる
ことを特徴とする包装袋に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記蒸通部に、易シール性の薄膜状のテープが設けられてなることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記シール部が、斜めに30°~50°の角度を成すことを特徴とする、請求項1または2に記載の包装袋に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記包装袋の本体側部に側部シール部が設けられ、当該側部シール部に内側もしくは外側に曲線状の出っ張りを設けることで、前記包装袋の持ち手部として備えてなることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記内容物が、直方体の形状を有する、具材とご飯とで成る冷凍食品であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記具材が、前記ご飯の上部に配されることを特徴とする、請求項5に記載の包装袋に関する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の内容物を電子レンジで加熱調理するための自立可能な蒸通機能を有する包装袋であって、
当該包装袋を開封するために、当該包装袋の側部に設けられたノッチ部と、
レーザー光の照射及び走査により、当該ノッチ部を始点として誘導されるように構成された、当該包装袋の幅方向に連続する少なくとも1以上の開封線と、
を備え、
当該包装袋の上部に、該加熱調理時に生じる蒸気を外部に逃がす蒸通部が、少なくとも1箇所設けられ、
当該包装袋を自立させるために、折り返しにより底部が形成され、
当該包装袋の本体側部より当該底部にかけて斜め方向にシール部が設けられて、当該内容物の充填時に当該底部が四角形状に形成され、
当該底部に形成される底部シール部の隅部に斜め方向に切り込みが設けられてなることによれば、底部が四角形状に形成されるため、当該袋の底全体が舟底形に膨らみ、その底部中央に調理材料である内容物を収容することによって、自立状態に安定性よく保持され、且つ食器としても利用でき、安定して静置して食事が摂れる。
また、加熱調理時に袋内部を適度の内圧に保つことができ、且つ袋自体を適度に膨張させることができるので、蒸気の対流が良好になり、更に、過度な内圧により袋が破れ、内容物の漏出を防止することができる効果を奏する。
【0015】
請求項2に係る発明の前記蒸通部に、易シール性の薄膜状のテープが設けられてなることを特徴とすることによれば、電子レンジで加熱調理時に、過度な内圧による袋の膨張を防ぎ、加熱調理中に内容物が噴き出すことを防止する効果を奏する。
【0016】
請求項3に係る発明の前記シール部が、斜めに30°~50°の角度を成すことを特徴とすることによれば、斜めの角度を成すシール部とすることで、充填時に当該袋の底部が四角形状に開き、安定して静置可能な効果を奏する。
【0017】
請求項4に係る発明の前記包装袋の本体側部に側部シール部が設けられ、当該側部シール部に内側もしくは外側に曲線状の出っ張りを設けることで、前記包装袋の持ち手部として備えてなることによれば、電子レンジでの加熱調理時に、袋自体が加熱され持ちづらくなるため、持ち手部により袋を把持でき、更に食事が容易となる効果を奏する。
【0018】
請求項5に係る発明の前記内容物が、直方体の形状を有する、具材とご飯とで成る冷凍食品であることによれば、電子レンジで加熱調理中に倒立せず、安定して自立状態を維持し加熱調理できる効果を奏する。
【0019】
請求項6に係る発明の前記具材が、前記ご飯の上部に配されることによれば、具材が調理され、溶けた水分がご飯の全体に均一にかかり、温度ムラを減少させることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る包装袋の正面図であって、(A)は本発明の包装袋の正面図、(B)は、従来技術(特許文献3)を開示した包装袋の正面図である。
図2】本発明に係る包装袋の底部に係る正面図(1)であって、(2)は、側部からのAA‘断面図にて、袋を閉じた状態(A)から広げた状態(B)にした各模式図、(3)は、底部からのBB’断面図にて、袋底部を閉じた状態(C)から広げた状態(D)にした各模式図である。
図3】本発明に係る変形例である、包装袋の両側部に持ち手部を設けた正面図(A)であり、(B)は、開封した際の底部を示す正面図である。
図4】本発明に係る実施形態を示す正面図であって、(A)は、内容物である冷凍食品を充填した場合の正面図、(B)は、加熱調理後に開封して内容物である解凍された冷凍食品に供することを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る包装袋の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態による包装袋は、自立可能で食器としても利用できる。包装袋は、当該袋に収容されている内容物を電子レンジで加熱することによって、調理された食品を提供できるように構成されており、内容物は、直方体の形状である、カレーライスや牛丼等予め冷凍された具材及び冷凍ご飯とを含み、電子レンジで加熱されることによって調理食品が得られる。以下、包装袋の構成について説明する。
【0023】
<包装袋の構成>
図1(A)は、内容物が充填される前の状態の包装袋10を表面側から見た場合を示す正面図である。
なお、図1(B)は、比較対象として、従来品である特許文献3で開示される包装袋の正面図を示す。
包装袋10は、上部11、底部12、一対の側部13、さらに側部から底部にかけて一対の斜めにした直線状のシール部14をそれぞれ備える。一対の側部13は、包装袋10の幅方向D2において対向している。
なお、当該袋の大きさは、袋の上下方向を示す側部D1が130~200mm、上部及び底部を含む幅方向D2が150~200mm、底部から後述する底部形成の折り返し17fまでを示す底部高さD3が、30~60mmであることが好ましい。この大きさより小さすぎると、加熱調理後に食器としての利用が難しく、大きすぎると、電子レンジに入れず加熱調理に供することができない。
【0024】
なお、図1(A)及び図1(B)にそれぞれ示すように、当該シール部は、上記側部から底部にかけて一対の斜めにした直線状のシール部14、包装袋10の側部13に位置する側部シール部20及び底部12に位置する底部シール部21を含む。側部シール部20は、当該袋の表面フィルムと当該袋の裏面フィルムとを接合している。
【0025】
更に、包装袋10を開封する際に、使用者によって破断される部分である開封線23を含んでいてもよい(図1(A)及び図1(B)参照)。開封線23に基づいて幅方向D2に沿って包装袋10が開封されることにより、包装袋10に開口が形成される。
開封線は、袋の幅方向に形成されるが、形状は直線状或いは曲線状でもよく、更に開封しやすいように、開封補助線を別途設けても良い。
なお、開封線の加工にあたっては、上記開封線の形状の自由度が広く採れる観点から、レーザー光を照射及び走査するレーザー加工が好ましい。
【0026】
また、開封線23は、当該袋の側部13に形成されているノッチ部25を含んでいてもよい(図1(A)及び図1(B)参照)。ノッチ部25は、例えば切り欠きであるが、切り込みであってもよく、形状は限定されない。開封線23は、ノッチ部に代える、又はノッチ部に加える等のそれぞれの対応により、ハーフカット線などを含んでいてもよい。
なお、図1(A)にて、開封線の位置H1は、底部端から55mm~95mm(袋高さに比して、1/4~1/2)に位置することが好ましく、特に好ましくは70~90mm(袋高さに比して、1/3~1/2)である。
上記位置は、加熱調理後、食器としての利用を考慮した使用し易い設定であり、低すぎると内容物である食品が漏出する可能性があり、且つ高すぎると調理食品を包装袋10から取り出しにくく、食事を摂る際食べづらくなる可能性がある。
【0027】
包装袋10の密封においては、上部11を充填口として収容部(図示せず)に内容物を充填した後、上部11に沿って上部シール部26を形成して上記収容部を密封する。図1(A)及び図1(B)においては、後に上部シール部26となる部分の内縁が、黒線または一点鎖線で示されている。
なお、当該袋上部側の少なくとも一方の内面には、後述する易シール性の薄膜テープ2(図1(A))では図示せず)を袋の幅方向に設けることが好ましい。上部11が、蒸気が排出される蒸通部となり、加熱調理時に、過度に包装袋が膨張することを防ぐことができる。
【0028】
更に図1(A)に示すように、シール部14が、包装袋10において包装袋10の底部12に位置し、側部から底部に斜めに配される。
また、底部12は、上述の側部から底部に斜めに設けられる一対のシール部14によって接合されている表面側及び裏面側フィルムをそれぞれ含む。
【0029】
このシール部14が斜めに設けられることで、図2の各図に記載のように、内容物である調理食品が充填される際、底部が四角形状に開き、安定して自立できうる状態が採れる。
このシール部の幅は、少なくとも5mm以上の幅で設けられていることが好ましい。なお、袋本体側部から底部にかけて当該シール部で形成される角度は、30~50度であることが好ましく、最も好ましくは45度で形成される。
【0030】
さらに、底部シール部21の隅部に一対の斜め方向に切り込み28が設けられることで、底部を拡げた時に隅部が張り出さず、包装袋10の前後がともに接地するため、接地面に対してより安定して自立出来うる状態となる。
【0031】
さらに、図2(2)及び(3)の(A)乃至(D)に示すように、底部12において内容物の重量により、後述する底部を形成する折り返し17fが押し下げられ、水平方向における底部12を形成する第1底部12aの下端と第2底部12bの下端との間の間隔が広がり、折り返し17fが接置面に際していてもよい。
電子レンジのフラットテーブルや食事時のテーブル等の接置面上に自立している包装袋10の安定性が高まり、袋自体が倒れて傾くことを抑制できる。
【0032】
なお、底部12から折り返し17fまでを示す底部高さD3は、30~60mm(袋の上下方向D1に比して、1/3~1/4以下であってもよく、特に好ましくは1/5以下)であることが好ましい(図2(1)参照)。
【0033】
また、電子レンジで加熱すると当該袋全体が加熱されて持ちづらくなるため、食器として機能させるには、当該包装袋本体の側部の側部シール部を変形させて持ち手部27として構成させても良い(図3参照)。
持ち手部27は、当該袋内側に食い込むような曲線状の出っ張り形状や、外側に膨らみを持たせた曲線状の出っ張りの形状等が挙げられる。
【0034】
<包装袋を構成するフィルム>
本発明に係る収納袋10を形成する、外面側が基材フィルム及び裏面である、内面側用フィルム(それぞれ図示せず)は、少なくとも1層以上からなる合成樹脂製の積層フィルムであって、内面側用フィルムが対向するように熱融着することで、内容物を収納する収容部を形成でき、かつ溶着できるものであればよく、熱可塑性樹脂が好ましい。
なお、特に積層数や積層方法については特に限定されないが、基材フィルムとシーラント層とを積層した積層フィルムが用いられる。
【0035】
内容物が冷凍食品の場合は、基材フィルム/印刷層/接着剤層/シーラント層の構成が一般的であるが、ラミネートの無い単層でもよく、前記基材フィルムとシーラント層との間に中間層を積層してもよい。
【0036】
外面側の基材フィルムを構成する材料としては、二軸延伸フィルムである、ナイロン(ONY)等のポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等が例示される。
また、無延伸ポリアミドフィルム等の単層または複層フィルム、あるいはそれらの単層または複層フィルムに上記した中間層を設けたもの等も好適に用いられる。
中間層としては、酸化アルミニウムなどの金属酸化物や酸化珪素などの無機酸化物の蒸着層等が例示される。
なお、基材フィルムの厚みは、10~40μm とすることが多い。これにより、内容物の重量に起因して包装袋10の表面及び裏面が変形することを抑制でき、調理食品の外形が自然な丸みを有することができる。
【0037】
内面側のシーラント層としては、プロピレン系重合体(CPP)や、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPEまたはLLD)からなる層が好適に用いられる。シーラント層の厚みは、20~150μm とすることが多い。
【0038】
基材フィルムに対するシーラント層の積層において、接着剤層を含んでいてもよく、接着剤層は、基材層とシーラント層とを接着する。
接着剤層は、ドライラミネート法、エクストルージョン法、共押出法等の方法により形成される。
【0039】
また、基材フィルムには、印刷層を含んでいてもよい。
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層であり、バインダーと顔料を含む印刷インキにより形成される。
【0040】
<当該袋の製袋方法>
図示はしないが、上記した積層フィルムの内面側が対向するようにして熱融着することにより製袋がなされるが、自立可能な包装袋とするため、袋の両側部が側部シール部20と、袋の底部が自立可能な底部シール部21になるように熱融着を行う(図1(A)参照)。
なお、袋の底部は、上記した積層フィルムを内側にW字形に折り返すか、上記同フィルムと同様の層構成とは別のフィルムをΛ字形(山字形)にして挿し込むことにより、当該フィルムの折り返し17fが成されることで形成される。
さらに製袋加工中、当該袋の任意の箇所に、所定出力のレーザー光を照射及び走査することで、開封線を形成し、さらに、切り欠きや切り込みを加える等の対応により、ノッチ部を形成する。
【0041】
また製袋時には、袋上部側の少なくとも一方の内面に、易シール性の薄膜テープ2(図1(B)参照)である、イージーピールテープを袋の幅方向に設置する。
このテープ2は、袋開口部側に部分的に設けることもできるが、製造工程上、袋の両側部のシール部20にまで及ぶようにする方がより好ましく、上記テープ2の上縁は、袋開口部の上端部に至るようにしてもよく、その上端部より下側になるように設けてもよい。
【0042】
その易シール性の薄膜テープ2の構成は、シーラント層/基材フィルム/易シール性シーラント層で、中間層として基材フィルムが設けられ、シーラント層としては、先述した積層フィルムのシーラント層と同様に、無延伸ポリプロピレン(CPP)や、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPEまたはLLD)からなる層が好適に用いられる。
また、上記テープ2の構成層において、基材フィルムは、先述した積層フィルム中の基材フィルムと同様のものが用いられる。
【0043】
<内容物及び調理方法>
次に、図4の(A)及び(B)各図において、包装袋10を用いて包装された内容物及びその調理方法を説明する。
まず、内容物61が収容され封止されている状態の包装袋10を準備する。内容物61は、図4各図において冷凍のカレーライスを例示しているが、牛丼や親子丼といった丼物でもよく、具材とご飯の組み合わせであれば限定はされない。
また、冷凍される具材及びご飯の形状として、直方体状に形成されていることが好ましい。直方体状であれば、電子レンジで加熱する際のターンテーブル上でも自立でき、安定して加熱調理することができる。
【0044】
なお図示してはいないが、冷凍される具材及びご飯の配置については、横に配置されても、ご飯の上部に具材が配されても良い。特に具材がご飯の上部に配されていれば、加熱調理された具材や溶けた水分がご飯の全体に均一にかかり、温度ムラを減少させることができることからも特に好ましい。
【0045】
包装袋10が開封線23に沿って開封されると、開封線23の部分に開口23aが形成される。使用者は、開封線23に沿って開封された状態の包装袋10を、テーブル等の接置面上に設置し、当該袋の開口23aを介して食事を摂ることができる(図4(B)参照)。
【実施例0046】
本発明に係る包装袋に関する実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
第1基材層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を、第2基材層として、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)をそれぞれ準備した。第1基材層の厚さは12μm、第2機材層の厚さは15μmであった。
【0048】
シーラント層として、無延伸のポリプロピレンフィルム(セミレトルトCPP)を準備した。シーラント層の厚さは70μmであった。
【0049】
フィルムとシーラント層及び印刷層を、接着剤層を介してドライラミネート(DL)法で積層することにより積層フィルムを作製した。積層フィルムの厚さは97μmであった。なお、積層フィルムの層構成は以下のように表される。
PET/印刷層/DL/ONY/DL/セミレトルトCPP
【0050】
上記の積層フィルムを用いて、図1(A)に示す包装袋10を作製した。
包装袋10は、幅D2が180mm及び高さD1が160mmを有し、開封線の位置H1は底部より83mm(袋の高さ比で約1/2)に設けられ、袋底部に斜めに設けられた2つのシール部は、45度をなすように設けられた。更に、シール部の隅部に斜め方向に設けられた切り込みは、側部から深さ方向に5~7mm、幅方向に27mmの位置にそれぞれ設けられた。
また、袋上部には、易シール性の薄膜テープ2であるイージーピールテープを挿入してシールすることで蒸通部を形成した。
【0051】
包装袋10に、直方体の形状を有する冷凍したカレー170g及び冷凍したご飯180gを併せて充填し、上部シール部26を形成することによって包装袋10を封止した。
続いて、電子レンジを用い、上記の冷凍したカレー及びご飯を加熱する加熱工程を実施した。500Wの出力に設定された電子レンジで包装袋10を加熱して、7分40秒で蒸通され、これによって、包装袋10の内部にカレーライスができ上がった。
更に1000Wの出力に設定された電子レンジで包装袋10を加熱したところ、これによって、包装袋10の内部にカレーライスができ上がった。
【0052】
<実施例2>
内容物である、上記冷凍したカレーを120g、冷凍したご飯を150gに変更した以外は、実施例1と同様にした。
500Wの出力に設定された電子レンジで包装袋10を加熱したところ、5分30秒で蒸通され、同様に包装袋10の内部にカレーライスができ上がった。
【0053】
本発明は、上記実施形態以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
例えば、電子レンジで加熱調理する以外にも、湯煎にかける等の処理も可能である。また、事前に解凍して加熱調理しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えば、上述した冷凍食品のみならず、直方体の形状を成した調理済み食品等でも好適に使用される。
【符号の説明】
【0055】
2:易シール性薄膜テープ
10:包装袋
11:上部
12:底部
12a:第1底部
12b:第2底部
13:側部
14:シール部
17f:折り返し
20:側部シール部
21:底部シール部
23:開封線
23a:開口
25:ノッチ部
26:上部シール部
27:持ち手部
28:切り込み
61:内容物
D1:(袋)高さ
D2:(袋)幅
D3:底部高さ
H1:開封線位置
図1
図2
図3
図4