(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090276
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20240627BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/42
A61K8/81
A61Q5/10
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206058
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 高志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直史
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC732
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD132
4C083AD432
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB21
4C083BB34
4C083CC36
4C083CC38
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】良好な染色性を有すると共に、良好な泡立ちおよび洗い流し時の指通りの良さに優れた化粧料組成物を提供する。
【解決手段】化粧料組成物は、成分(A)~(E)を含有する。成分(A)は、直接染料である。成分(B)は、両性界面活性剤である。成分(C)は、カルボン酸系界面活性剤、タウリン型界面活性剤、スルホコハク酸型界面活性剤、および酸性アミノ酸型界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つである。成分(D)は、ノニオン性増粘剤である。成分(E)は、カチオン性ポリマーである。成分(C)の含有量に対する成分(B)の含有量の比(B/C)は、質量基準で0.8以上である。成分(C)の含有量は、10質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(E)を含有し、前記成分(C)の含有量に対する前記成分(B)の含有量の比(B/C)は、質量基準で0.8以上であり、前記成分(C)の含有量は、10質量%以下である、化粧料組成物。
(A)直接染料
(B)両性界面活性剤
(C)カルボン酸系界面活性剤、タウリン型界面活性剤、スルホコハク酸型界面活性剤、および酸性アミノ酸型界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つ
(D)ノニオン性増粘剤
(E)カチオン性ポリマー
【請求項2】
前記成分(D)は、コカミドメチルMEA、コカミドDEA、およびコカミドMEAからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記成分(B)は、コカミドプロピルベタインおよびラウラミドプロピルベタインからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
成分(F)として、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルをさらに含有する、請求項1に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。より具体的に本発明は、直接染料を配合した化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
市場では、若年層を主たる対象として、毛髪を明るくするファッションカラーが広く普及している。ファッションカラーには、一般的に、ブリーチ剤が使用され、脱色剤や酸化染毛剤を用いたブリーチ処理により、毛髪に高明度のカラーを付与できる。しかし、ブリーチ処理では、毛髪のキューティクルが膨潤することによって、細胞間脂質等の毛髪の構成成分が流出してしまうと共に、毛髪の内部に定着した酸化染料等の直接染料の流出も生じやすい。その結果、カラーリングした毛髪がすぐに褪色することが知られている。
【0003】
上記の問題に対処するために、特定の化合物を含む毛髪処理剤が提案されている。
【0004】
特許文献1には、両イオン性樹脂と、アミンオキシド基含有樹脂と、芳香族アルコールおよび炭酸プロピレンから選ばれる一種以上と、直接染料とを含有し、両イオン性樹脂とアミンオキシド基含有樹脂が特定の配合量で配合されている染毛料が記載されている。
【0005】
特許文献2には、塩基性染料と、両性界面活性剤と、疎水性シリコーン及び疎水性シリコーンの水性エマルジョンからなる群より選ばれる一種又は二種以上とを含有し、pHが4.0~8.0であるカラーシャンプー組成物が記載されている。
【0006】
特許文献3には、塩基性染料、両性界面活性剤、並びにカチオン性界面活性剤及びカチオン性高分子化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上を含有し、pHが4.0~8.0であるカラーシャンプー組成物が記載されている。
【0007】
特許文献4には、塩基性染料およびHC染料から選ばれる1種以上、両性界面活性剤、エーテル硫酸塩型アニオン性界面活性剤、カチオン化多糖類、カチオン化ポリマーを含有し、pHが5.5~7.5の範囲であることを特徴とするカラーシャンプー組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-247794号公報
【特許文献2】特開2003-238367号公報
【特許文献3】特開2003-226622号公報
【特許文献4】特開2019-218295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
直接染料を含む従来の化粧料組成物は、使用感が十分であるとは言い難い。具体的には、直接染料を含む化粧料組成物は、良好な染色性を有し、かつ、使用時における泡立ちの良さ(以下、「良好な泡立ち」と記載)、および、化粧料組成物を洗い流すときに、きしみやひっかかりを感じにくいこと(以下、「流し時の指通りの良さ」と記載)が十分である、とは言い難い。このため、直接染料を含む化粧料組成物では、良好な染色性を有することと、良好な使用感を有することと、の両立が求められている。
【0010】
本発明は、良好な染色性を有すると共に、良好な泡立ちおよび洗い流し時の指通りの良さに優れた化粧料組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
以下の成分(A)~(E)を含有し、前記成分(C)の含有量に対する前記成分(B)の含有量の比(B/C)は、質量基準で0.8以上であり、前記成分(C)の含有量は、10質量%以下である、化粧料組成物を提供する。
(A)直接染料
(B)両性界面活性剤
(C)カルボン酸系界面活性剤、タウリン型界面活性剤、スルホコハク酸型界面活性剤、および酸性アミノ酸型界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つ
(D)ノニオン性増粘剤
(E)カチオン性ポリマー
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、良好な染色性を有すると共に、良好な泡立ちおよび洗い流し時の指通りの良さに優れた化粧料組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の説明は、本発明を特定の形態に限定するものではない。
【0014】
本実施形態の化粧料組成物は、以下の成分(A)~(E)を含有する。成分(C)の含有量に対する成分(B)の含有量の比(B/C)は、質量基準で0.8以上である。成分(C)の含有量は、10質量%以下である。
(A)直接染料
(B)両性界面活性剤
(C)カルボン酸系界面活性剤、タウリン型界面活性剤、スルホコハク酸型界面活性剤、および酸性アミノ酸型界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つ
(D)ノニオン性増粘剤
(E)カチオン性ポリマー
【0015】
・成分(A)
成分(A)は、直接染料である。直接染料の例は、塩基性染料、ニトロ染料、酸性染料、天然染料、および分散染料である。
【0016】
塩基性染料は、分子内に正電荷を有する染料である。詳細には、塩基性染料は、発色団を含む芳香族塩基を有する。塩基性染料に含まれる塩基性基の例は、アミノ基およびアルキルアミノ基である。塩基性染料の例は、塩基性青3、塩基性青6、塩基性青7、塩基性青9、塩基性青26、塩基性青41、塩基性青47、塩基性青75、塩基性青99、塩基性青124、塩基性赤1、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤46、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性赤118、塩基性茶4、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性橙1、塩基性橙31、塩基性緑1、塩基性緑4、塩基性黄40、塩基性黄57、塩基性黄87、塩基性紫1、塩基性紫2、塩基性紫3、塩基性紫4、塩基性紫14、および塩基性紫16である。
【0017】
ニトロ染料は、発色団としてニトロ基を含む染料である。ニトロ染料の例は、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、HC青2、HC青8、HC青11、HC青12、HC青14、HC青15、HC青16、HC青18、HC青19、HC青20、HC赤1、HC赤3、HC赤7、HC赤10、HC赤11、HC赤13、HC赤17、HC赤18、HC赤19、HC赤20、HC赤21、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄7、HC黄9、HC黄11、HC黄13、HC黄16、HC黄17、HC黄18、HC橙1、HC橙2、HC橙6、HC橙7、HC紫1、HC紫2、HC紫3、およびHC紫4である。
【0018】
酸性染料の例は、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色402号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色203号、青色205号、褐色201号、および黒色401である。
【0019】
天然染料は、動植物由来、微生物由来、および鉱物由来の染料である。天然染料の例は、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、およびラック色素である。
【0020】
分散染料は、例えば、スルホン酸基およびカルボキシ基を有しない染料である。分散染料の例は、アゾ基を有する化合物およびアントラキノンの誘導体である。分散染料の具体例は、分散黒9、分散青1、分散青3、および分散紫1である。
【0021】
成分(A)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。成分(A)は、塩基性染料およびニトロ染料からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。成分(A)は、HC青2、塩基性赤51、および塩基性青124からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0022】
化粧料組成物における成分(A)の含有量は、例えば、0.01質量%~1.0質量%である。成分(A)の含有量は、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、さらには0.25質量%以上であってもよく、1.0質量%未満、0.8質量%以下、0.7質量以下、0.6質量%以下、0.55質量%以下、0.5質量%以下、0.5質量%未満、さらには0.4質量%以下であってもよい。化粧料組成物における成分(A)の含有量を適切に調節することによって、化粧料組成物を使用した際の、手への色移りおよび繊維への色移りをより抑制できる。
【0023】
・成分(B)
成分(B)は、両性界面活性剤である。成分(B)は、化粧料組成物を洗い流した際の指通りの良さおよび仕上がりの潤い感に寄与しうる。
【0024】
成分(B)の例は、ベタイン系界面活性剤、スルタイン(スルホベタイン)系界面活性剤、ヒドロキシスルタイン系界面活性剤、およびイミダゾリン系界面活性剤である。ベタイン系界面活性剤の例は、アルキルベタイン、アルキルアミノベタイン、およびアルキルアミドベタインである。スルタイン系界面活性剤の例は、アルキルスルタインである。ヒドロキシスルタイン系界面活性剤の例は、アルキルヒドロキシスルタインである。成分(B)のより具体的な例は、アルキル酢酸ベタイン、脂肪酸アミドアルキル酢酸ベタイン、アルキルスルホベタイン、脂肪酸アミドアルキルスルホベタイン、アルキルアミンオキシド、脂肪酸アミドアルキルアミンオキシド、およびイミダゾリン型ベタインである。
【0025】
成分(B)のさらに具体的な例は、ラウリルベタイン、ココベタイン、ステアリルベタイン、オレイルベタイン、ココヘキサデシルジメチルベタイン、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、およびラウラミドプロピルヒドロキシスルタインである。
【0026】
成分(B)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。成分(B)は、ベタイン系界面活性剤であってもよい。成分(B)は、コカミドプロピルベタインおよびラウラミドプロピルベタインからなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0027】
化粧料組成物における成分(B)の含有量は、例えば、1質量%~30質量%である。含有量は、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、さらには12質量%以上であってもよく、25質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、さらには15質量%以下であってもよい。
【0028】
・成分(C)
成分(C)は、カルボン酸系界面活性剤、タウリン型界面活性剤、スルホコハク酸型界面活性剤、および酸性アミノ酸型界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つである。成分(C)は、化粧料組成物の良好な泡立ちおよび化粧料組成物を洗い流した際の指通りの良さに寄与しうる。
【0029】
カルボン酸系界面活性剤の例は、アルキルエーテルカルボン酸塩である。アルキルエーテルカルボン酸塩の具体例は、ラウレス-4カルボン酸ナトリウム、ラウレス-5カルボン酸ナトリウム、ラウレス-6カルボン酸ナトリウム、ラウレス-13カルボン酸ナトリウム、C12~13パレス-8カルボン酸ナトリウム、およびC12~15パレス-8カルボン酸ナトリウムであり、好ましい例は、ラウレス-4カルボン酸ナトリウムである。
【0030】
タウリン型界面活性剤の例は、ココイルタウリン塩、ココイルメチルタウリン塩、ココイルメチルタウリンタウリン塩、およびカプロイルメチルタウリン塩であり、好ましい例は、ココイルメチルタウリン塩である。各塩の例は、ナトリウム塩、およびカリウム塩である。各塩は、ナトリウム塩であってもよい。
【0031】
スルホコハク酸型界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩である。ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩の具体的は、スルホコハク酸ラウレス2Na、スルホコハク酸(C12-14)パレス-1-2Na、スルホコハク酸(C12-14)パレス-2Na、スルホコハク酸(C12-14)パレス-2-2Na、スルホコハク酸(C12-14)パレス-4-2Na、スルホコハク酸(C12-14)s-パレス-3-2Naスルホコハク酸(C12-14)s-パレス-5-2Na、スルホコハク酸(C12-14)s-パレス-7-2Na、スルホコハク酸(C12-14)s-パレス-9-2Na、スルホコハク酸(C12-14)s-パレス-12-2Na、スルホコハク酸(C12-15)パレス2Na、デセス-5スルホコハク酸2Na、およびデセス-6スルホコハク酸2Naである。
【0032】
酸性アミノ酸型界面活性剤の例は、グルタミン酸系界面活性剤、アラニン系界面活性剤、アスパラギン酸系界面活性剤、およびグリシン系界面活性剤である。
【0033】
グルタミン酸系界面活性剤の例は、ココイルグルタミン酸塩、ラウロイルグルタミン酸塩、およびミリストイルグルタミン酸塩である。アラニン系界面活性剤の例は、ココイルアラニン塩、ココイルメチルアラニン塩、ラウロイルメチルアラニン塩、およびミリストイルメチルアラニン塩である。アスパラギン酸系界面活性剤の例は、ラウロイルアスパラギン酸塩、およびアシル(C12,14)アスパラギン酸塩である。グリシン系界面活性剤の例は、ココイルグリシン塩、ラウロイルグリシン塩、ラウロイルサルコシン塩、およびココイルサルコシン塩である。各塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、およびトリエタノールアミン塩である。
【0034】
成分(C)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。成分(C)は、カルボン酸系界面活性剤、タウリン型界面活性剤、スルホコハク酸型界面活性剤、および酸性アミノ酸型界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも2つであってもよく、カルボン酸系界面活性剤、タウリン型界面活性剤、およびスルホコハク酸型界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0035】
化粧料組成物における成分(C)の含有量は、10質量%以下である。含有量は、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、さらには5質量%以上であってもよく、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、さらには5.5質量%以下であってもよい。
【0036】
化粧料組成物において、成分(C)の含有量に対する成分(B)の含有量の比(B/C)は、質量基準で0.8以上である。比(B/C)は、質量基準で、0.8以上5.0以下であってもよく、1.0以上3.0以下であってもよく、1.5以上3.0以下であってもよく、2.0以上3.0以下であってもよい。場合によっては、比(B/C)は、質量基準で、1.0以上2.0以下であってもよく、1.0以上1.5以下であってもよい。
【0037】
・成分(D)
成分(D)は、ノニオン性増粘剤である。
【0038】
ノニオン性増粘剤の例は、脂肪酸アルカノールアミドである。脂肪酸アルカノールアミドの例は、ヤシ油脂肪酸アルカノールアミドである。ヤシ油脂肪酸アルカノールアミドの例は、コカミドメチルMEA、コカミドMEA、コカミドDEA、およびコカミドMIPAである。成分(D)は、コカミドメチルMEA、コカミドMEA、およびコカミドDEAからなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0039】
成分(D)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。
【0040】
化粧料組成物における成分(D)の含有量は、例えば、0.1質量%~20質量%である。含有量は、0.5質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、2.5質量%以上、さらには2.8質量%以上であってもよく、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、さらには4質量%以下であってもよい。
【0041】
・成分(E)
成分(E)は、カチオン性ポリマーである。
【0042】
成分(E)は、例えば、第4級アンモニウム基を有するモノマーに由来する構造単位を含むカチオン性ポリマーである。4級アンモニウム基を有するモノマーの例は、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルエチルベタイン、および(メタ)アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリドである。成分(E)は、これらから選ばれる少なくとも1つのモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよい。成分(E)は、これらから選ばれる少なくとも1つのモノマーに由来する構造単位のみを含んでいてもよい。あるいは、成分(E)は、これらから選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位と、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、および(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位と、を含むカチオン性ポリマーであってもよい。なお、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを意味する。他の化合物における(メタ)は、すべて同様の意味である。
【0043】
成分(E)の別の例は、カチオン化セルロースである。カチオン化セルロースの例は、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体である。
【0044】
成分(E)の具体的な例は、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとの共重合体(ポリクオタニウム-7)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸との共重合体(ポリクオタニウム-22)、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリドとアクリル酸とアクリル酸メチルとの共重合体(ポリクオタニウム-47)、メタクリロイルエチルベタインとメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリドとメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールとの共重合体(ポリクオタニウム-49)、ポリメタクリロイルエチルベタイン(ポリクオタニウム-50)、および塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)である。
【0045】
成分(E)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。成分(E)は、好ましくは、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、およびポリクオタニウム-10からなる群より選ばれる少なくとも1つである。
【0046】
化粧料組成物における成分(E)の含有量は、例えば、0.01質量%~10質量%である。含有量は、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.04質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.15質量%以上、さらには0.18質量%以上であってもよく、8質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、さらには0.4質量%以下であってもよい。
【0047】
・成分(F)
化粧料組成物は、成分(F)をさらに含んでいてもよい。成分(F)は、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルである。化粧料組成物が成分(F)を含むことによって、化粧料組成物の粘度を適切に調節できる。加えて、化粧料組成物が成分(F)を含むことによって、例えば、毛髪への染色がより優れたものになる。
【0048】
ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルの例は、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステルである。ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステルの例は、テトラオレイン酸ソルベス-30、テトラオレイン酸ソルベス-40、およびテトラオレイン酸ソルベス-60である。
【0049】
成分(F)として、これらの化合物から選ばれる1つのみを用いてもよく、2つ以上を併用してもよい。
【0050】
化粧料組成物における成分(F)の含有量は、例えば、0.01質量%~10質量%である。含有量は、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、さらには0.8質量%以上であってもよく、8質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、さらには1.5質量%以下であってもよい。
【0051】
化粧料組成物は、その他、高級アルコール、多価アルコール、フッ素化合物、加水分解ペプチド、ビタミン類、キレート剤、酸化防止剤、増粘剤、ゲル化剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、溶剤、防腐剤、pH調整剤、および/または香料を、目的に応じて適量で含有しうる。
【0052】
化粧料組成物は、例えば、毛髪用として使用されうる。すなわち、化粧料組成物は、毛髪化粧料組成物であってもよい。化粧料組成物は、例えば、染毛への用途に適している。すなわち、化粧料組成物は、染毛料組成物として使用されうる。具体的には、化粧料組成物は、カラーシャンプー、カラートリートメント、カラーリンス、ヘアマニキュア、パーマ剤、染毛剤、およびスタイリング剤に使用されうる。
【0053】
本実施形態の化粧料組成物は、例えば、カラーシャンプーへの使用に適している。すなわち、化粧料組成物は、カラーシャンプー組成物であってもよい。カラーシャンプーとは、半永久染毛料の一種である。カラーシャンプーは、毛髪や頭皮の汚れを除去できることに加えて、日々の使用により、毛髪の色調を変化させることができる。毛髪の色調の変化は、具体的には、直接染料を毛髪の内部に徐々に吸着させることによって毛髪を染毛したり、染毛した毛髪が日々の洗髪で褪色することに対して、髪色を補うことで髪色を維持したりすることを意味する。
【0054】
化粧料組成物は、様々な剤型として調製可能である。剤型の例は、ローション状、クリーム状、ミルク状、ゲル状、泡状、ミスト状、およびスプレー状である。
【0055】
本実施形態に係る化粧料組成物によれば、良好な染色性を有すると共に、良好な泡立ちおよび洗い流し時の指通りの良さに優れる。加えて、本実施形態に係化粧料組成物によれば、仕上がりの潤い感がより向上する。さらに、本実施形態に係る化粧料組成物によれば、使用時における手への汚染や、繊維への二次付着をより抑制することができる。
【実施例0056】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0057】
[カラーシャンプー組成物]
まず、ココイル加水分解コラーゲンK1.0質量%、BG1.0質量%、安息香酸Na0.5質量%含む溶液に、クエン酸およびクエン酸Naを、溶液のpHが5.5になるよう適量配合することによって基本組成溶液を調製した。なお、「BG」は、1,3-ブチレングリコールを意味する。
【0058】
この基本組成溶液に、表1~5に記載した組成に従って成分(A)~(F)を加えることによって実施例および比較例に係るカラーシャンプー組成物を調製した。表中の「成分」の欄における(A)~(F)の表記は、それぞれ、成分(A)~(F)に対応する。表中の単位は、全て質量%である。各表の「成分」の欄における「-」の表記は、当該成分を含有していないことを意味する。表中、「B/C」は、カラーシャンプー組成物における、成分(C)の含有量に対する成分(B)の含有量の比(質量基準)を意味する。
【0059】
[評価用毛束の作製]
ビューラックス社製人毛黒髪(5g)に脱色処理を実施した。脱色処理には、エドル ブリーチとエドルオキシとが、エドル ブリーチ:エドルオキシ6%=1:2の質量比、かつ総質量が20gになるように調製した脱色剤を使用した。この脱色剤を25℃で上記人毛黒髪に塗布して、25分間静置することにより脱色処理を行った。脱色処理後、人毛黒髪を水洗し、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬させた。その後、人毛黒髪を十分に水洗し、ドライヤーで乾かすことによって評価用毛束を作製した。
【0060】
<評価>
上記のとおり調製したカラーシャンプー組成物を使用して、良好な泡立ち、洗い流し時の指通りの良さ、手への汚染の抑制、繊維への二次付着の抑制、良好な染色、および仕上がりの潤い感について、以下の方法により評価した。評価結果を、表1~5に示す。なお、以下の各評価においては、評価用毛束5gに対して、実施例および比較例に係るシャンプー組成物を1g使用した。
【0061】
<良好な泡立ち>
評価用毛束を水洗し、水気を切った後、実施例および比較例に係るカラーシャンプー組成物を評価用毛束に塗布して泡立てた際の泡立ちを、「良好な泡立ち」として官能評価した。この官能評価は、美容従事者10名によって行われた。「良好な泡立ち」を有していると評価した美容従事者が8名以上であった場合を「◎」、6~7名であった場合を「○」、4~5名であった場合を「△」、3名以下であった場合を「×」と評価した。
【0062】
<流し時の指通りの良さ>
評価用毛束を水洗し、水気を切った後、実施例および比較例に係るカラーシャンプー組成物を評価用毛束に塗布して泡立てた後、カラーシャンプー組成物を評価用毛束から流水で洗い流す際の指通りの良さを「流し時の指通りの良さ」として官能評価した。この官能評価は、美容従事者10名によって行われた。「指通りの滑らかさが高い」と評価した美容従事者が8名以上であった場合を「◎」、6~7名であった場合を「○」、4~5名であった場合を「△」、3名以下であった場合を「×」と評価した。
【0063】
<手への汚染抑制>
評価用毛束を水洗し、水気を切った後、実施例および比較例に係るカラーシャンプー組成物を評価用毛束に塗布して泡立てた後、手への色移りを「手への汚染抑制」として官能評価した。この評価は、美容従事者10名による目視評価によって行われた。「手への色の汚染がほとんどない」と評価した美容従事者が8名以上であった場合を「◎」、6~7名であった場合を「○」、4~5名であった場合を「△」、3名以下であった場合を「×」とした。
【0064】
<繊維への二次付着の抑制>
評価用毛束を水洗し、水気を切った後、実施例および比較例に係るカラーシャンプー組成物を評価用毛束に塗布して泡立てた後、流水で洗い流して、毛束の水気をしっかりと切った。この毛束をJIS染色堅牢度試験用白布(JIS L0803:2011準拠)の上に置き、10分間静置させた。その後、白布への色移りを「繊維への二次付着の抑制」として官能評価した。この評価は、美容従事者10名による目視評価によって行われた。「白布への色の汚染がほとんどない」と評価した美容従事者が8名以上であった場合を「◎」、6~7名であった場合を「○」、4~5名であった場合を「△」、3名以下であった場合を「×」とした。
【0065】
<良好な染色>
評価用毛束を水洗し、水気を切った後、実施例および比較例に係るカラーシャンプー組成物を評価用毛束に塗布して泡立てた後、流水で洗い流し、水気をしっかり切った。この毛束をドライヤーで乾燥させた後、毛束の染色を「良好な染色」として官能評価した。この評価は、美容従事者10名による目視評価によって行われた。「良好な染色」と評価した美容従事者が8名以上であった場合を「◎」、6~7名であった場合を「○」、4~5名であった場合を「△」、3名以下であった場合を「×」とした。
【0066】
<仕上がりの潤い感>
評価用毛束を水洗し、水気を切った後、実施例および比較例に係るカラーシャンプー組成物を評価用毛束に塗布して泡立てた後、流水で洗い流し、水気をしっかり切った。この毛束をドライヤーで乾燥させた後、毛束の潤い感を「仕上がりの潤い感」として官能評価した。この官能評価は、美容従事者10名による官能評価によって行われた。「潤い感が非常に高い」と評価した美容従事者が8名以上であった場合を「◎」、6~7名であった場合を「○」、4~5名であった場合を「△」、3名以下であった場合を「×」とした。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
各実施例では、良好な染色性を有すると共に、良好な泡立ちおよび流し時の指通りの良さが優れていた。加えて、各実施例では、仕上がりの潤い感をより向上させることができた。さらに、各実施例では、手への汚染の抑制および繊維への二次付着の抑制により優れていた。