(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090287
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】物品供給装置
(51)【国際特許分類】
A63H 33/30 20060101AFI20240627BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20240627BHJP
G07F 5/02 20060101ALI20240627BHJP
G07F 11/24 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A63H33/30 C
A63H33/00 A
G07F5/02 101
G07F11/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206077
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達志
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】黒川 信夫
【テーマコード(参考)】
2C150
3E044
3E046
【Fターム(参考)】
2C150CA18
2C150DD14
2C150DG02
2C150DG13
2C150EB37
2C150EB41
2C150EC03
2C150EE04
2C150EF16
2C150EF22
2C150EF24
2C150FB28
2C150FB33
3E044AA01
3E044BA01
3E044DB02
3E044DB05
3E044DB09
3E044FA01
3E044FB05
3E044FB07
3E044FB08
3E046AA02
3E046BA01
3E046BB07
3E046CA15
3E046DA01
3E046EA01
3E046FA03
3E046GA01
(57)【要約】
【課題】物品の有無を検出可能な物品供給装置を提供する。
【解決手段】物品Pを供給可能な物品供給装置1は、本体部2と、物品Pを収容する収容部20と、収容部20に収容されている物品Pを供給する供給部35と、収容部20に収容されている物品Pの有無を検知する上下移動ピン61(検知部)と、収容部20に収容されている物品Pが無いことを示す信号を送出する送出部40と、収容部20に収容されている物品Pが無いことを表示する売切表示部91と、を備え、送出部40、及び売切表示部91は、検知部の検知の動作によって、一体に動作可能に構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を供給可能な物品供給装置であって、
本体部と、
前記物品を収容する収容部と、
前記収容部に収容されている前記物品を供給する供給部と、
前記収容部に収容されている前記物品の有無を検知する検知部と、
前記収容部に収容されている前記物品が無いことを示す信号を送出する送出部と、
前記収容部に収容されている前記物品が無いことを表示する売切表示部と、
を備え、
前記送出部、及び前記売切表示部は、前記検知部の前記検知の動作によって、一体に動作可能に構成されている、
物品供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品供給装置であって、
前記送出部、及び前記売切表示部は、回動可能に構成されている、
物品供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の物品供給装置であって、
前記送出部、及び前記売切表示部の回転動作の角度は、90度未満の角度に構成されている、
物品供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載の物品供給装置であって、
前記送出部、及び前記売切表示部は、同一角度にて回動可能に構成されている、
物品供給装置。
【請求項5】
請求項1に記載の物品供給装置であって、
前記送出部、及び前記売切表示部は、軸部にて支持され、
前記軸部は、前記送出部、及び前記売切表示部を当該軸部の同一方向において支持している、
物品供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の物品供給装置であって、
前記軸部には、当該軸部の軸心に対して交差方向に延びて他の部材に係止可能な係止部が設けられ、
前記係止部は、前記収容部に収容されている前記物品が無いときに、前記他の部材との係止状態を解除する、
物品供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の物品供給装置であって、
前記送出部は、前記軸部が前記係止部にて前記他の部材に係止されている状態において、前記物品が無い信号を送出しないようにされ、前記軸部の係止が解除された状態において、前記物品が無い信号を送出する、
物品供給装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の物品供給装置であって、
前記売切表示部は、前記軸部が係止された状態において、前記本体部の外部から視認できないように構成され、前記軸部の係止が解除された状態において、前記本体部の外部から視認できるように構成されている、
物品供給装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の物品供給装置であって、
前記売切表示部は、前記軸部の係止が解除された状態において、自重により下方に降下可能に構成されている、
物品供給装置。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の物品供給装置であって、
前記送出部は、磁石を含み、前記軸部の係止が解除された状態において、前記本体部に設けられた金属部に吸着可能に構成されている、
物品供給装置。
【請求項11】
請求項6又は7に記載の物品供給装置であって、
前記送出部は、前記軸部の係止状態並びに係止解除状態において、前記本体部の外部から視認できないように構成されている、
物品供給装置。
【請求項12】
請求項1~7の何れか一項に記載の物品供給装置であって、
前記検知部は、前記収容部内において出没可能に構成され、前記収容部に前記物品が収容されている状態において、前記収容部内の前記物品の自重により没状態に維持されている、
物品供給装置。
【請求項13】
請求項1~7の何れか一項に記載の物品供給装置であって、
前記供給部、前記検知部、前記送出部、及び前記売切表示部は、前記収容部に設けられている、
物品供給装置。
【請求項14】
請求項1~7の何れか一項に記載の物品供給装置であって、
前記収容部は、前記本体部に対し、着脱可能に構成されている、
物品供給装置。
【請求項15】
請求項1~7の何れか一項に記載の物品供給装置であって、
前記収容部は、前記物品を整列状態にて収容可能に構成されている、
物品供給装置。
【請求項16】
請求項1~7の何れか一項に記載の物品供給装置であって、
前記収容部は、その底部に前記売切表示部を出没可能な開口が形成されている、
物品供給装置。
【請求項17】
請求項16に記載の物品供給装置であって、
前記開口は、前記売切表示部の横断面形状に対応する形状を成している、
物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば、供給ボックスに収容された多数の球状の物品の一つを、本体の手前側の操作部を回転操作して本体の下部の取出し口から取り出すように構成された物品供給が可能なおもちゃが、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された物品供給装置とも言えるおもちゃは、形の物品を提供する装置であり、供給ボックスに収容された物品の有無を検出するような構造はなかった。
【0005】
本発明は、物品の有無を検出可能な物品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、物品を供給可能な物品供給装置であって、本体部と、物品を収容する収容部と、収容部に収容されている物品を供給する供給部と、収容部に収容されている物品の有無を検知する検知部と、収容部に収容されている物品が無いことを示す信号を送出する送出部と、収容部に収容されている物品が無いことを表示する売切表示部と、を備え、送出部、及び売切表示部は、検知部の検知の動作によって、一体に動作可能に構成された、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物品の有無を検出可能な物品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の物品供給装置の一態様において、本体部から収容部を外した状態を示す概略斜視図である。
【
図2】本体部に収容部を装着した状態の物品供給装置の斜視図である。
【
図3】本体部に収容部を装着した状態における垂直断面図である。
【
図5】物品の供給部及び検知部の拡大断面図である。
【
図6】供給部及び検知部を示す要部拡断面斜視図である。
【
図7】収容部のリンク機構を説明するための要部概略斜視図である。
【
図8】物品の売切表示部及び送出部の動作を示すための要部概略断面図である。
【
図9】送出部の信号の送出による動作の一例を示す概略図である。
【
図10】物品の売切表示部の動作状態における物品供給装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一態様である物品供給装置について、図を参照して説明する。
なお、以下の説明における向き(方向)の記載については、物品供給装置を正面側から見た場合において、正面側を前方として前後方向(前方側あるいは後方側)、左右方向(右側あるいは左側)、上下方向(上方側あるいは下方側)、として記載する。また、図中には各向きを矢印にて記載する。
【0010】
図1は、本発明の物品供給装置1の一態様において、本体部2から収容部20を外した状態を示す概略斜視図である。
図2は、本体部2に収容部20を装着した物品供給装置1の斜視図である。
物品供給装置1は、
図1及び
図2に示すように、前面壁2f、左右側壁2s、後壁2r、上壁2u、及び底壁(不図示)を備えた箱型形状を成した本体部2を有し、その前面壁2fに種々の操作部分が設けられている。前面壁2fには、例えば、物品Pの代価を投入可能な硬貨投入部5、回転操作によって物品Pを供給可能とする操作部4、必要に応じて現金を返却をする返却口6、現金返却ボタン7等が設けられている。また、前面壁2fの上部側には、前面側及び前面上方側が大きく開口した装着部3が設けられている。装着部3は、物品Pを収容し且つ物品Pを前面の供給口29から排出可能な収容部20を着脱可能な構成となっている。
【0011】
なお、ここでいう物品Pとは、薄型の物品であって、例えば、シート状印刷物、カード、薄型ケース、等の比較的薄い平板、シート状のもので、収容部20内に積層・整列可能なものを対象としている。
【0012】
以下、各部について説明する。
操作部4は、代価の支払いを条件として、例えば正面側か見て時計回りの方向(図示の矢印方向)に回転可能に構成されている。例えば、ユーザが硬貨投入部5からコインを投入後に操作部4を回転する。これにより、物品Pは、収容部20の前面側に設けられた供給口29から排出される。
【0013】
現金の硬貨投入部5は、円形の窪みの中に硬貨を投入可能なスリット状の開口が設けられた構成である。また、返却口6は、現金返却ボタン7の操作に応じて投入した硬貨が返却され、装置から返却された硬貨を取り出し可能に構成されている。
【0014】
装着部3は、前述の如く、左右側壁2sと、後壁2rと、上壁2uと、適宜開口した底壁2dとによって適宜囲まれた略矩形の開口構造であり、例えば、収容部20を着脱するときには、本体部2の前後方向にスライド移動させて行うように構成されている。装着部3の底壁2d側には、収容部20の歯車部材に係合可能な歯車機構(歯車4b、4c、4d)が設けられている。また、底壁2d側には、後述するように物品Pの有無の信号を出すことが可能な送出部40の第1部材41が設けられている。なお、収容部20の底壁部には、後述する如く第1部材41に対応する送出部40の第2部材42が設けられている。
【0015】
図3は、物品供給装置1の垂直断面図である。
図4は、収容部20の内部構造を示す斜視図である。
図3に示すように、操作部4は、その操作軸4aが後方に向って延出されている。操作軸4aは、後壁2rまで延び、その後方端には、第1歯車4bが設けられている。第1歯車4bは、後壁2rの内面に回転可能に支持され、他の第2歯車4c、及び第3歯車4dと噛み合う歯車機構を構成している。一方、収容部20には、収容部20の後壁部20rに沿うように歯車部20tが設けられている。収容部20の装着状態において、歯車部20tの最下端の歯車が第3歯車4dと噛み合い連結される。これにより、操作部4の操作によって、後述するように、物品Pを供給することができる。
【0016】
図4に示すように、収容部20は、前側の側面の前壁部20f、後側の側面の後壁部20r、及び左右側面の側壁部20s、及び底側の底壁部20dにより上側が開放された箱形状である。そして、その内部の収容空間SPの箱型の矩形空間として構成されている。なお、収容空間SPの底部を構成する物品載置部20bは、底壁部20dと間隔を開けた高い位置で物品Pを積層収容可能に平坦に構成されている。また、収容部20は、物品Pを供給口29から排出させる供給部35の排出ローラ21が、物品載置部20bと底壁部20dとの間(
図3参照)に設けられた構成である。
【0017】
また、収容空間SPには、空間前方寄りの位置に左右一対の左右ガイド20eが設けられ、空間後方寄りの位置に後方ガイド20hが物品載置部20bから立ち上がるように設けられている。また、左右ガイド20eの前方側には、物品Pが収容・積層された状態において、この物品Pをその上側から下方に押圧する押圧部20iが設けられている。押圧部20iは、左右方向に長い直方体形状のおもりで、左右ガイド20eの前方側に立設された溝を有するレール状の保持部20jによって上下移動可能に保持されている。
【0018】
なお、左右ガイド20eは、物品載置部20b上を左右方向に移動可能に設けられ、また、後方ガイド20hは、物品載置部20b上を前後方向に移動可能に設けられている。したがって、左右ガイド20e及び後方ガイド20hの移動により、異なったサイズの物品Pを積層状態に収容できる。
【0019】
押圧部20iの前方側には、物品送り出しに関与する前端ガイド部20kが押圧部20iに沿って設けられている。この前端ガイド部20kは、供給口29を開閉するように揺動可能なシャッタ20mの直ぐ後方に配置されている。前端ガイド部20kは、物品Pが排出される際に物品Pを1つずつ排出するようにガイドするもので、物品載置部20bからの高さ調整が可能であり、物品Pの厚みに合せて調整される。
【0020】
図5は、収容部20の供給部35及び上下移動ピン61(検知部)の拡大断面図である。
図6は、供給部35及び上下移動ピン61の拡大斜視図である。
排出ローラ21は、物品載置部20bの下側で且つ押圧部20iに対面する位置に水平方向に沿った回転部として設けられている。この排出ローラ21は、
図5に示すように、側面視において、円弧外面21aと、この円弧外面21aよりも小径の非円弧外面21bと、を備えている。したがって、回転軸21cを中心にして回転された場合、円弧外面21aが押圧部20iにて下方に押圧された物品Pの下面に当接する。この円弧外面21aの当接状態での回転により、物品Pは、前方に送り出される。すなわち、円弧外面21aは、物品載置部20bに設けられた載置部開口20bhから上方に若干突出して物品Pの下面に当接し、当該物品Pを前方へスライドさせて供給口29から排出する。このように供給部35による物品Pの排出(供給)は、収容部20に積層・整列収容されている最も下の物品Pから順次供給される。
【0021】
なお、排出ローラ21は、例えば、後壁部20rに沿って設けられた歯車部20tの一つの軸部から排出ローラ21側(前方)に延びる連結シャフト20n(
図3参照)、及び連結シャフト20nの前端側に設けられたハス歯等の歯車(不図示)に連結されている。したがって、排出ローラ21は、収容部20が本体部2に装着された状態においては、硬貨投入によって操作可能になった操作部4によって回転駆動される。
【0022】
図5及び
図6に示すように、物品Pの有無を検知する検知部として、排出ローラ21の後方側において、物品載置部20bの下側から物品Pに接触可能な上下移動ピン61が設けられている。この上下移動ピン61は、ピン保持部62により上下移動可能に保持されており、ピン内部の圧縮コイルばね63によって上方に付勢されている。したがって、物品Pが有るときには物品載置部20bの下側に押されている。しかし、物品Pが無くなることで、載置部開口20bhから物品載置部20b上に突出する。なお、押圧部20iには、載置部開口20bhに対応した切欠き開口20ihが設けられており、上下移動ピン61の突出動作を許容する構成となっている。
【0023】
上下移動ピン61には、軸部81を回転軸とする後述するリンク機構80に連結されている。そして、このリンク機構80の軸部81には、物品Pが無いことを表示する売切表示部91と、物品が無いことを検知する送出部40の第2部材42とが設けられている。なお、第2部材42は、軸部81から軸部径方向に延びる揺動部材42aを介して設けられている。第2部材42と対をなす第1部材41は、前掲の如く、本体部2の装着部3の前方下部に固定・設置(
図1及び
図3参照)されている。また、第2部材42は、例えば磁石にて構成されている一方、第1部材41は、磁気センサとして構成されている。この第2部材42は、揺動部材42a上に設けられていることで、軸部81の回動によって、固定された第1部材41に対して、接近と離間を可能としている。したがって、磁気センサの第1部材41によって磁石の第2部材42を検出することができ、検出信号を、例えば制御部100(
図10参照)に送信することができる。
【0024】
図7は、収容部のリンク機構を説明するための要部概略斜視図である。
軸部81は、左右の端部が軸受部85,86によって回転可能に支持されている。その一端側(図中左側)には、軸部81の回転半径方向に延出され先端側が上下移動ピン61の係止突起64(本発明で言う、「他の部材」)に係合可能なフック状の係止部82が設けられている。この係止部82は、上下移動ピン61を上下移動可能に保持するピン保持部62を左右両側にて挟む位置に一対設けられている。また、係止部82においては、係止突起64との係合(
図7に示す状態)は、上下方向(上下移動ピンの移動方向)に沿う係合面82aが当接している。
【0025】
軸部81の他端側(図中右側)には、揺動部材42aと同じ方向に延び、物品Pの売切れを表示する売切表示部91が設けられている。この売切表示部91は、取り付け基部91aと、取り付け基部91aから軸部回動半径方向に延びる基部側板部91bと、基部側板部91bから下方に湾曲して折れ曲がる表示板部91cと、更に、基部側板部91bと表示板部91cとの両脇を補強連結する一対の側面板部91dと、を備えている。したがって、売切表示部91は、その中央部分の横断面形状(移動方向に対して直交方向の断面形状)は、略U字形状に構成されている。
また、底壁部20dには、売切表示部91の横断面形状に対応するように、略U字形状の開口20dhが形成されており、売切表示部91の下動を許容するように構成されている。
【0026】
また、上下移動ピン61には、ピン保持部62の左右両側に突出した係止突起64が設けられている。そして、物品Pが有るときには、係止突起64は、ピン保持部62の下部側に位置して係止部82の係合面82aに当接し、軸部81の回動を阻止している。
【0027】
また、売切表示部91は、その自重により前下方に回動しようとする力が常時働くように設けられている。例えば、売切表示部91は、軸部81から前方且つ斜め上方に張り出すように保持されている。これにより、売切表示部91は、前方下方に向って回転しようとする回転力が掛かった状態が維持されている。
【0028】
図8は、物品Pの売切表示部91及び送出部40の動作を示すための要部概略断面図である。
図9は、物品Pの売切表示部91の動作状態における物品供給装置1の斜視図である。
ここで、物品Pが売り切れて無くなり、上下移動ピン61が圧縮コイルばね63により上方に移動する(
図7の想像線を参照)と、係止突起64と係合面82aとの当接が解除される。これによって、売切表示部91は、
図8に示すように、軸部81と共に自重により前下方に回動する。この結果、売切表示部91は、その表示板部91cが開口20dhを貫通する。これにより、
図9に示すように、「売切」の表示が前面壁2fの前面に現れる。このとき、表示板部91cは、硬貨投入部5の前側を覆うように位置する。このように硬貨投入部5が売切表示部91によって覆われることで、硬貨の投入ができない状態となる。
【0029】
また、軸部81に設けられた送出部40の第2部材42は、軸部81の回動によって売切表示部91と同じ角度回動する。これによって、第2部材42は、
図8に示すように、第1部材41に接近する。すなわち、磁石が磁気センサに接近する。このように、物品Pが無くなった際には、第1部材41(磁気センサ)に対して第2部材42(磁石)が接近し、磁力検出がされて、制御部100に検出信号を送信することができる。
【0030】
また、
図8に示すように、第2部材42が回動した下側には金属部43が設けられている。すなわち、第2部材42は、磁石にて構成されていることから、第2部材42が回動したときに、強磁性体にて構成された金属部43に吸着保持される。
【0031】
図10は、送出部40の信号の送出による動作の一例を示す概略図である。
前掲のように送出部40の第1部材41から、制御部100に送出された信号に基づいて、具体的な動作としては、例えば、
図10に示すように、発光部92を発光させる発光動作や操作部4の歯車の回転を阻止するロック動作等を行うことができる。
【0032】
発光部92は、本体部2の前面壁2f(
図9参照)に設けられ、例えば点滅や点灯によって、物品Pが無くなったことを知らせることができる。また、ロック動作については、例えば、操作部4の操作軸4aに取り付けられた第1歯車4bの係止ピン4pに対し、ロック駆動部38aのロックピン38pが第1歯車4bを係止可能に進退する構成となっている。そして、物品Pが無くなったときに、ロックピン38pが係止ピン4pを係止して、操作部4の回転ができないようにロック状態にする。
【0033】
また、送出部40の信号による制御部100の制御は、前掲の発光やロック動作に限らない。例えば、制御部100から通信回線を使って物品Pが無くなった情報を送信し、例えば、物品Pを補給する作業の情報として利用でき、その他の管理情報としても利用することができる。
【0034】
以上述べたように、本態様の物品供給装置1においては、送出部40の信号送出動作、及び売切表示部91の動作は、上下移動ピン61の検知動作をトリガーにして、一体に動作可能に構成されているので、異なる機能を有する二つの部材の動作を同時に行うことができる。この結果、物品Pが無くなることで、例えば、視覚的に売切表示部91にて直接表示を行うことができると共に、位置変位動作を電気信号に変換した情報として送り出すことができる。
【0035】
また、送出部40、及び売切表示部91の一体動作が回動動作であるので、その回転角度を90度未満にすることで、例えば、初期位置(待機位置)から動作位置(下方位置)への位置変位の駆動力源として重力を用いることができる。
【0036】
本態様の物品供給装置1では、送出部40、及び売切表示部91は、同じ軸部81に取り付けた一体構成で且つ軸部81に対して同一方向に突出する構成とすることで、軸部81の軸周りの構造を簡素化することができる。
【0037】
本態様の物品供給装置1においては、軸部81の軸心に対して直交方向(交差方向)に延びる係止部82は、上下移動ピン61に突設された係止突起64の下動位置(物品Pがあるとき)で係止され、且つ上動位置(物品Pが無いとき)によって係止解除がなされる構成であるので、上下移動ピン61の上下移動に連動して軸部81を回動させることができる。
【0038】
したがって、軸部81の回動によって回転するように設けられた送出部40は、その回転移動を利用して物品Pの無しの信号を送出することができる。また、送出部40と一体的に回動するように構成された売切表示部91は、本体部2の外部から視認できない待機状態の位置から視認できる作動位置に回転移動することができ、物品Pの売切れ状態を表示することができる。更に、送出部40は、収容部20及び本体部2の外部から視認できないように内部に収容されているので、本体部2、収容部20によって保護される。
【0039】
本態様の物品供給装置1の売切表示部91は、軸部81の係止が解除された状態において、自重により降下可能に構成されているので、売切表示部91を移動させるのに特別な動力源を設ける必要がない。
【0040】
また、本態様の物品供給装置1においては、送出部40に設けられた磁石は、軸部81の係止が解除されて回動したときに、本体部2に設けられた金属部に吸着可能に構成されているので、軸部81の回動状態を、磁石と金属部との吸着力によって保持することができる。
【0041】
本態様の物品供給装置1においては、上下移動ピン61は、物品Pの重さにより圧縮コイルばね63の付勢力に抗して物品載置部20bの下方に位置に押圧されているので、物品Pが無くなることで押圧が解除され上動して物品Pが無い状態を容易に検出することができる。また、物品載置部20bは、物品Pを積層・整列状態にて収容しているので、上下移動ピン61に対して物品Pの重さを確実に掛けることができ物品検出を容易にしている。
【0042】
本態様の物品供給装置1においては、供給部35、上下移動ピン61、送出部40、及び売切表示部91は、収容部20に設けられているので、本体部2の構成を簡略化することができる。更に、収容部20は、本体部2に対し、着脱可能に構成されているので、供給部35、上下移動ピン61、送出部40、及び売切表示部91の組み立て、メンテナンスを容易にすることができる。
【0043】
本態様の物品供給装置1では、売切表示部91を本体部2の外面に出没させる開口20dhは、板状の部材にて構成された売切表示部91の移動方向に対する横断面形状に構成されているので、開口20dhの大きさが必要最低限のスリット形状に構成することができる。この結果、開口20dhは、大きな開口20dhとはならないので、収容部20の内部及び本体部2の内部の防塵性を高め、更には手指の進入を防止し安全性を確保することができる。
【0044】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、前掲の態様における物品供給装置1の構造、収容部20の構造については、図示のものに何ら制限されるものではない。また、前掲の態様におけるいては、送出部40の第2部材42と吸着(磁着)する金属部43を収容部20の底壁部20dに設ける構成としたが、これに限るものではなく、例えば、金属部43を本体部2に設けても良く、また、第1部材41に含まれている金属を金属部43として利用する構成であっても良い。
【0045】
本明細書には以下の事項が開示されている。
【0046】
(1)
物品を供給可能な物品供給装置であって、
本体部と、
上記物品を収容する収容部と、
上記収容部に収容されている上記物品を供給する供給部と、
上記収容部に収容されている上記物品の有無を検知する検知部と、
上記収容部に収容されている上記物品が無いことを示す信号を送出する送出部と、
上記収容部に収容されている上記物品が無いことを表示する売切表示部と、
を備え、
上記送出部、及び上記売切表示部は、上記検知部の上記検知の動作によって、一体に動作可能に構成された、
物品供給装置。
【0047】
(2)
(1)に記載の物品供給装置であって、
上記送出部、及び上記売切表示部は、回動可能に構成されている、
物品供給装置。
【0048】
(3)
(2)に記載の物品供給装置であって、
上記送出部、及び上記売切表示部の回転動作の角度は、90度未満の角度に構成されている、
物品供給装置。
【0049】
(4)
(2)又は(3)に記載の物品供給装置であって、
上記送出部、及び上記売切表示部は、同一角度にて回動可能に構成されている、
物品供給装置。
【0050】
(5)
(1)~(4)のいずれかに記載の物品供給装置であって、
上記送出部、及び上記売切表示部は、軸部にて支持され、
上記軸部は、上記送出部、及び上記売切表示部をその軸部の同一方向において支持している、
物品供給装置。
【0051】
(6)
(5)に記載の物品供給装置であって、
上記軸部には、その軸部の軸心に対して交差方向に延びて他の部材に係止可能な係止部が設けられ、
上記係止部は、上記収容部に収容されている上記物品が無いときに、上記他の部材との係止状態を解除する、
物品供給装置。
【0052】
(7)
(6)に記載の物品供給装置であって、
上記送出部は、上記軸部が上記係止部にて上記他の部材に係止された状態において、上記物品が無い信号を送出しないようにされ、上記軸部の係止が解除された状態において、上記物品が無い信号を送出する、
物品供給装置。
【0053】
(8)
(6)又は(7)に記載の物品供給装置であって、
上記売切表示部は、上記軸部が係止された状態において、上記本体部の外部から視認できないように構成され、上記軸部の係止が解除された状態において、上記本体部の外部から視認できるように構成されている、
物品供給装置。
【0054】
(9)
(6)~(8)の何れかに記載の物品供給装置であって、
上記売切表示部は、上記軸部の係止が解除された状態において、自重により下方に降下可能に構成されている、
物品供給装置。
【0055】
(10)
(6)~(9)の何れかに記載の物品供給装置であって、
上記送出部は、磁石を含み、上記軸部の係止が解除された状態において、上記本体部に設けられた金属部に吸着可能に構成されている、
物品供給装置。
【0056】
(11)
(6)~(10)の何れかに記載の物品供給装置であって、
上記送出部は、上記軸部の係止状態並びに係止解除状態において、上記本体部の外部から視認できないように構成されている、
物品供給装置。
【0057】
(12)
(1)~(11)の何れかに記載の物品供給装置であって、
上記検知部は、上記収容部内において出没可能に構成され、上記収容部に上記物品が収容されている状態において、上記収容部内の上記物品の自重により没状態に維持されている、
物品供給装置。
【0058】
(13)
(1)~(12)の何れかに記載の物品供給装置であって、
上記供給部、上記検知部、上記送出部、及び上記売切表示部は、上記収容部に設けられている、
物品供給装置。
【0059】
(14)
(1)~(13)の何れかに記載の物品供給装置であって、
上記収容部は、上記本体部に対し、着脱可能に構成されている、
物品供給装置。
【0060】
(15)
(1)~(14)の何れかに記載の物品供給装置であって、
上記収容部は、上記物品を整列状態にて収容可能に構成されている、
物品供給装置。
【0061】
(16)
(1)~(15)の何れかに記載の物品供給装置であって、
上記収容部は、その底部に上記売切表示部を出没可能な開口が形成されている、
物品供給装置。
【0062】
(17)
(16)に記載の物品供給装置であって、
上記開口は、上記売切表示部の横断面形状に対応する形状を成している、
物品供給装置。
【符号の説明】
【0063】
1 物品供給装置
2 本体部
4 操作部
5 硬貨投入部
20 収容部
35 供給部
40 送出部
43 金属部
61 上下移動ピン(検知部)
64 係止突起(他の部材)
81 軸部
82 係止部
91 売切表示部
P 物品