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特開2024-90291画像処理装置、画像形成装置、画像生成方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090291
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置、画像生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240627BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240627BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
B41J2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206089
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】臼井 孝
【テーマコード(参考)】
2C262
5B057
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AA05
2C262AC02
2C262BA20
2C262BB03
2C262BB09
2C262BB41
2C262BC17
2C262DA13
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CA18
5B057CB02
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057CH18
5B057DA17
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC25
5C079HA11
5C079HA13
5C079KA17
5C079LA02
5C079LA31
5C079LB11
5C079NA25
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】画像を、適切なグレースケール変換方法により、グレースケール画像に変換する技術を提供すること
【解決手段】制御部と、記憶部と、を備え、前記制御部は、画像から、画素毎に画素値を取得し、前記画素値に基づき、前記画像中の色の分布を算出し、前記色の分布に基づき、グレースケール変換方法を選択し、選択した前記グレースケール変換方法により前記画像を変換したグレースケール画像を出力する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、記憶部と、
を備え、
前記制御部は、
画像から、画素毎に画素値を取得し、
前記画素値に基づき、前記画像中の色の分布を算出し、
前記色の分布に基づき、グレースケール変換方法を選択し、
選択した前記グレースケール変換方法により前記画像を変換したグレースケール画像を出力する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像に用いられている色数が、第1所定数以下である場合と、前記第1所定数よりも大きい場合とで、選択する前記グレースケール変換方法を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記グレースケール変換方法には、グレースケール変換式の変換係数を変更する方法が含まれることを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記グレースケール変換式が、R成分、G成分、B成分の値を代入する式である場合、前記グレースケール変換式に含まれる色成分のうち、出現頻度が最も高い前記色成分の変換係数を最も大きくする、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記グレースケール変換式は、NTSC(National Television System Committee)加重平均法を用いた式であることを特徴とする、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記グレースケール変換方法には、出現頻度の低い色から、グレーレベルの高い色を割り当てる方法が含まれることを特徴とする、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記グレースケール変換方法として、
前記画像に用いられている色数が、前記第1所定数以下である場合、出現頻度の低い色から、グレーレベルの高い色を割り当てる方法を選択し、
前記画像に用いられている色数が、前記第1所定数より大きい場合、前記グレースケール変換式の変換係数を変換する方法を選択する、
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像に用いられている色数が前記第1所定数以下である場合において、
前記画像に用いられているグレーレベルの高い色数が第2所定数以下であるときは、前記画像に用いられている色のうち、出現頻度の低い色から順に、前記画像に用いられている色のうち、グレーレベルの高い色を割り当て、
前記画像に用いられているグレーレベルの高い色数が前記第2所定数より大きいときは、前記画像に用いられている色のうち、出現頻度の低い色から順に、前記画像に用いられている色数に応じて均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てる、
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1所定数は、前記画像に含まれるオブジェクトの数であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記画像に含まれる特定のオブジェクトに対しては、グレースケール変換式を用いて当該特定のオブジェクトをグレースケールのオブジェクトに変換する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記特定のオブジェクトは、写真、連続調のオブジェクト、1次元コード、2次元コードの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、
色材消費量抑制モードが選択されている場合は、前記画像中の色の分布に基づいて選択したグレースケール変換方法により前記画像をグレースケール画像に変換し、
前記色材消費量抑制モードが選択されていない場合は、所定のグレースケール変換方法により前記画像をグレースケール画像に変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
請求項1から12までの前記画像処理装置により出力された画像を記録媒体上に形成する画像形成部を有する画像形成装置。
【請求項14】
画像から、画素毎に画素値を取得し、
前記画素値に基づき、前記画像中の色の分布を算出し、
前記色の分布に基づき、グレースケール変換方法を選択し、
選択した前記グレースケール変換方法により前記画像を変換したグレースケール画像を生成する、
画像生成方法。
【請求項15】
コンピュータに、
画像から、画素毎に画素値を取得する機能と、
前記画素値に基づき、前記画像中の色の分布を算出する機能と、
前記色の分布に基づき、グレースケール変換方法を選択する機能と、
選択した前記グレースケール変換方法により前記画像を変換したグレースケール画像を出力する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の画像処理装置において、原稿をグレースケール出力する際、原稿の画像をグレースケール画像に変換する処理が行われる。画像をグレースケール画像に変換する処理に関する技術として、例えば、トナー消費量又はインク消費量に基づいて、複数のグレー変換処理のうちいずれを用いて変換されたモノクロ画像を採用するか決定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、画像形成用データを構成するオブジェクトの中に特定種類のオブジェクトが存在する場合、着色剤の消費を抑制し得るように、該画像形成用データの少なくとも一部を変換する抑制処理を行う技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-113840号公報
【特許文献2】特開2008-173882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、例えば、画像を、適切なグレースケール変換方法により、グレースケール画像に変換する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本開示の画像処理装置は、制御部と、記憶部と、を備え、前記制御部は、画像から、画素毎に画素値を取得し、前記画素値に基づき、前記画像中の色の分布を算出し、前記色の分布に基づき、グレースケール変換方法を選択し、選択した前記グレースケール変換方法により前記画像を変換したグレースケール画像を出力することを特徴とする。
【0006】
本開示の画像形成装置は、上述の画像処理装置により出力された画像を記録媒体上に形成する画像形成部を有することを特徴とする。
【0007】
本開示の画像生成方法は、画像から、画素毎に画素値を取得し、前記画素値に基づき、前記画像中の色の分布を算出し、前記色の分布に基づき、グレースケール変換方法を選択し、選択した前記グレースケール変換方法により前記画像を変換したグレースケール画像を生成することを特徴とする。
【0008】
本開示のプログラムは、コンピュータに、画像から、画素毎に画素値を取得する機能と、前記画素値に基づき、前記画像中の色の分布を算出する機能と、前記色の分布に基づき、グレースケール変換方法を選択する機能と、選択した前記グレースケール変換方法により前記画像を変換したグレースケール画像を出力する機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、例えば、画像を、適切なグレースケール変換方法により、グレースケール画像に変換する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態における画像形成装置の外観斜視図である。
図2】第1実施形態における画像形成装置の機能構成図である。
図3】第1実施形態における画素値情報のデータ構成の例を示す図である。
図4】第1実施形態における色分布情報のデータ構成の例を示す図である。
図5】第1実施形態における置換色情報のデータ構成の例を示す図である。
図6】第1実施形態における設定テーブルのデータ構成の例を示す図である。
図7】第1実施形態におけるメイン処理の流れを示すフロー図である。
図8】第1実施形態におけるグレースケール変換処理の流れを示すフロー図である。
図9】第1実施形態における動作例を示す図である。
図10】第1実施形態における動作例を示す図である。
図11】第1実施形態における動作例を示す図である。
図12】第1実施形態における動作例を示す図である。
図13】第1実施形態における動作例を示す図である。
図14】第1実施形態における動作例を示す図である。
図15】第2実施形態における設定テーブルのデータ構成の例を示す図である。
図16】第2実施形態におけるメイン処理の流れを示すフロー図である。
図17】第2実施形態におけるグレースケール変換処理の流れを示すフロー図である。
図18】第2実施形態における動作例を示す図である。
図19】第2実施形態における動作例を示す図である。
図20】第3実施形態におけるメイン処理の流れを示すフロー図である。
図21】第3実施形態におけるグレースケール変換処理の流れを示すフロー図である。
図22】第3実施形態における動作例を示す図である。
図23】第4実施形態におけるメイン処理の流れを示すフロー図である。
図24】第4実施形態におけるグレースケール変換処理の流れを示すフロー図である。
図25】第4実施形態における動作例を示す図である。
図26】第5実施形態におけるデータ構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示を実施するための一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した発明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
【0012】
原稿をグレースケール出力する際、トナーやインクといった色材の消費量を抑制するように、原稿の画像をグレースケール変換して出力することが行われている。しかし、例えば、特許文献1に記載された技術は、原稿の画像における配色に応じてグレースケール変換方法を選択するものではない。そのため、画像によっては色材の消費量を抑制する効果が得られなかったり、元色の弁別性が損なわれたりする場合がある。また、他の一般的な色材消費量を抑制する方法として、原稿の画像のガンマを変更する方法がある。しかし、ガンマを変更する方法は、一定の色材の消費量の抑制効果はあっても、画像が全体的に薄くなることでコントラスト低下が避けられない。その結果、画像中の色分けの区別が判り難くなる等の、視認性が損なわれるといった課題があった。
【0013】
以上の通り、原稿の画像をグレースケール変換して出力する場合において、色材の消費量を抑制させるためには、適切なグレースケール変換方法が用いられる必要がある。以下の実施形態では、原稿の画像における、画像に用いられている色の分布に応じて、グレースケール変換方法を変える最適な方法の一例について説明する。
【0014】
[1.第1実施形態]
[1.1 機能構成]
以下の実施形態では、本開示の画像処理装置を画像形成装置10に適用した場合について説明する。画像形成装置10は、ユーザにより入力された原稿データや画像データを処理して、処理後の画像を出力する装置である。画像形成装置10は、例えば、コピー機能、スキャン機能、プリント機能、ファクス機能等を有する複合機(MFP、Multi-Function Printer/Peripheral)である。
【0015】
図1は、画像形成装置10の外観斜視図である。図2は、画像形成装置10の機能構成を示す図である。画像形成装置10は、図2に示すように、例えば、制御部100と、画像入力部120と、画像形成部130と、表示部140と、操作部150と、記憶部160と、回線通信部180と、ネットワーク通信部190とを備えて構成される。
【0016】
制御部100は、画像形成装置10の全体を制御する。制御部100は、記憶部160に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現する。制御部100は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central Processing Unit))等により構成されてもよい。また、制御部100は、以下に説明する機能のうち、複数の機能を有するSoC(System on a Chip)として構成されてもよい。
【0017】
制御部100は、記憶部160に記憶されたプログラムを実行することで、画像処理部102として機能する。画像処理部102は、画像処理を実行する。画像処理部102は、例えば、画像入力部120、回線通信部180、ネットワーク通信部190を介して入力された原稿や画像に対して、鮮鋭化処理や、階調変換処理等の画像処理を実行する。
【0018】
画像入力部120は、画像を画像形成装置10に入力する。画像入力部120は、例えば、原稿台に載置された原稿を読み取るスキャナ装置や、USB(Universal Serial Bus)メモリに記憶された画像を読み出すためのインタフェイス(端子)等により構成されてもよい。スキャナ装置は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等のイメージセンサによって画像を電気信号に変換し、電気信号を量子化及び符号化する装置である。
【0019】
画像形成部130は、記録用紙等の記録媒体に対して画像を形成(印刷)する。画像形成部130は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等の印刷装置により構成されてもよい。画像形成部130は、例えば、画像形成装置10に備えられた給紙トレイから記録用紙を給紙し、記録用紙の表面に画像を形成し、記録用紙を画像形成装置10に備えられた排紙トレイから排紙する。
【0020】
表示部140は、各種情報を表示する。表示部140は、例えば、LCD(Liquid crystal display)、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置により構成されてもよい。
【0021】
操作部150は、画像形成装置10を使用するユーザによる操作指示を受け付ける。操作部150は、キースイッチ(ハードキー)やタッチセンサ等の入力装置により構成されてもよい。タッチセンサにおいて接触(タッチ)による入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。なお、画像形成装置10には、表示部140と、操作部150とが一体に形成されたタッチパネルが搭載されてもよい。
【0022】
記憶部160は、画像形成装置10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部160は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置(補助記憶装置)により構成されてもよい。
【0023】
記憶部160は、記憶領域として、画像データを記憶する画像データ記憶領域162と、画素値情報記憶領域164と、色分布情報記憶領域166と、置換色情報記憶領域168とを確保し、設定テーブル170を記憶する。
【0024】
画素値情報記憶領域164は、画像に含まれる画素毎の画素値の情報(画素値情報)を記憶する。画素値情報は、図3に示すように、例えば、画素の位置を示す座標(例えば、「(100,100)」)と、当該位置の画素の画素値(例えば、「RGB=255/0/0」)とを含む。なお、座標は、画像の左上隅の画素を原点(0,0)とし、原点から注目している画素までに含まれる横方向の画素数をx、原点から注目している画素までに含まれる縦方向の画素数をyとした場合に、注目している画素の位置を、(x,y)の形式で表現したものをいう。また、画素値は、注目している位置における画素の色を示す値であり、色成分毎の濃度や、色成分毎の光の強さを示す。
【0025】
また、文字、図形、画像等のオブジェクトが配置されておらず、出力されるべき色が存在しない画素については、図3のD100に示すように、画素値情報に、画素値が記憶されなくてもよい。
【0026】
色分布情報記憶領域166は、画像の色分布の情報(色分布情報)を記憶する。色分布情報とは、画像に用いられている色と、その色の出現頻度との関係を示す情報である。色分布情報は、図4に示すように、例えば、色(例えば、「RGB=255/0/0」)と、画像におけるその色の画素の出現頻度(例えば、「250」)とを含む。
【0027】
色の情報は、例えば、画素値の情報そのものでもよい。また、出現頻度の情報は、例えば、画素数でもよい。なお、出現頻度の情報は、面積率(注目している色の画素の数を画像の全画素数で割った値)や、出現率(注目している色の画素の数を画素値の情報を有する画素の数で割った値)であってもよい。また、出現頻度の情報は、画素数、面積率、出現率の順位であってもよい。すなわち、出現頻度の情報は、色毎に出現頻度の高低が比較できる情報であればよい。
【0028】
置換色情報記憶領域168は、画像の色を置換する場合における、置換前の色と置換後の色との対応を示す情報(置換色情報)を記憶する。置換色情報は、例えば、図5に示すように、置換前の色(例えば、「RGB=255/0/0」)と置換後の色(例えば、「RGB=255/255/0」)とを含む。
【0029】
設定テーブル170は、画像形成装置10に設定された内容を、設定項目毎に記憶するテーブルである。設定テーブル170は、図6に示すように、例えば、設定項目名(例えば、「色材消費量抑制モード」)と、当該設定項目名に対する設定内容(例えば、「On」)とを対応づけて記憶させたテーブルである。
【0030】
設定テーブル170は、画像をグレースケール画像に変換する処理に関する設定内容として、「色材消費量抑制モード」及び「第1所定数」の設定内容を記憶する。色材消費量抑制モードは、画像形成装置10の動作モードの一種である。色材消費量とは、画像を形成する際に用いられる色材(トナーやインク)の消費量である。色材消費量抑制モードが選択された場合、すなわち、画像形成装置10が色材消費量抑制モードで動作する場合、画像形成装置10は、画像を形成するとき、色材の消費量を抑制するように動作する。色材消費量抑制モードの設定内容としては、材消費量抑制モードが選択されているか否かを示す情報(例えば、色材消費量抑制モードが選択されていることを示す「On」又は色材消費量抑制モードが選択されていないことを示す「Off」)が記憶される。第1所定数は、画像に用いられている色数に対する閾値である。第1所定数の設定内容としては、例えば、「10」といった数値が記憶される。なお、「色材消費量抑制モード」及び「第1所定数」の設定内容は、予め記憶されてもよいし、設定を変更するための操作画面を介して、ユーザにより変更可能であってもよい。
【0031】
回線通信部180は、公衆回線(例えば、一般電話回線)を介して外部の装置と通信を行う。回線通信部180は、例えば、公衆回線に接続可能なケーブルを差し込むことが可能な端子等によって構成されてもよい。
【0032】
ネットワーク通信部190は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を介して外部の装置と通信を行う。ネットワーク通信部190は、例えば、有線/無線LANで利用されるNIC(Network Interface Card)等の通信装置や通信モジュールにより構成されてもよい。
【0033】
[1.2 処理の流れ]
[1.2.1 メイン処理]
図7は、本実施形態の画像形成装置10が実行するメイン処理の流れを示すフロー図である。はじめに、制御部100は、原稿データを取得する(ステップS100)。原稿データとは、文書や図面等のコンテンツを出力するために用いられるデータである。原稿データは、例えば、PDL(Page Description Language)データであってもよい。
【0034】
PDLデータは、画像を形成させるために必要な情報を含むデータであり、例えば、画像形成装置10が実行可能な印刷用のコマンドが含まれる。PDLデータは、例えば、コンテンツの作成や表示が可能な装置において、コンテンツの情報がプリンタドライバを用いて変換されることにより生成され、画像形成装置10にネットワークを介して送信される。この場合、制御部100は、他の装置から送信されたPDLデータを受信することで、原稿データを取得すればよい。なお、制御部100は、他の装置から、ファイル(画像ファイルや文書ファイル)を受信し、当該ファイルからPDLデータを生成することで、原稿データを取得してもよい。
【0035】
また、原稿データは、カラーのコンテンツが含まれるカラー原稿のデータであってもよいし、無彩色のコンテンツのみが含まれるモノクロ原稿のデータであってもよい。
【0036】
つづいて、制御部100は、初期化処理を行う(ステップS102)。初期化処理とは、後述するグレースケール変換方法を選択する処理を適切に実行するための処理である。例えば、制御部100は、画素値情報記憶領域164、色分布情報記憶領域166及び置換色情報記憶領域168は情報が記憶されていない状態(初期化状態)にする。
【0037】
つづいて、画像処理部102は、原稿データから画像を生成する(ステップS104)。例えば、画像処理部102は、PDLデータに含まれるコマンドを解釈したり、レンダリングモジュールを使用してレンダリングしたりすることにより、PDLデータをラスタ展開することにより、画像を生成する。なお、画像処理部102は、ステップS104において、RGB形式の画像を生成することとする。なお、画像処理部102は、生成した画像を画像データとして画像データ記憶領域162に記憶してもよい。
【0038】
つづいて、画像処理部102は、設定テーブル170を参照し、色材消費量抑制モードが選択されているか否かを判定する(ステップS106)。画像処理部102は、色材消費量抑制モードが選択されている場合、ステップS104において生成した画像データから、画素値情報を取得する(ステップS106;Yes→ステップS108)。例えば、画像処理部102は、ステップS104において生成した画像データを画素毎に参照し、参照した画素の座標と当該画素の画素値とを含む画素値情報を、画素値情報記憶領域164に記憶する。
【0039】
つづいて、画像処理部102は、画素値情報に基づき、ステップS104において生成した画像の色の分布を算出する(ステップS110)。例えば、画像処理部102は、画素値情報記憶領域164から画素値情報を全て読み出し、同じ画素値である画素をカウントする。すなわち、画像処理部102は、色の種類毎に、その色が出力される画素数をカウントする。さらに、画像処理部102は、画素値毎に、画素値を色の情報とし、当該画素値である画素の数を出現頻度として含む色分布情報を生成し、色分布情報記憶領域166に記憶する。
【0040】
つづいて、画像処理部102は、ステップS104において生成した画像に用いられている色数を取得する(ステップS112)。画像に用いられている色数は、当該画像に含まれている色の種類をカウントすることで取得することができる。ここで、画像処理部102は、ステップS110において、画素値(色の種類)毎に色分布情報を生成している。そのため、画像処理部102は、色分布情報記憶領域166に記憶された色分布情報の数をカウントすることで、色数を取得することができる。
【0041】
つづいて、画像処理部102は、ステップS112において取得した色数が第1所定数以下であるか否かを判定する(ステップS114)。画像処理部102は、色数が第1所定数以下である場合、グレースケール変換方法として、画像に用いられている色(出現色)において、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法を選択する(ステップS114;Yes→ステップS116)。一方、画像処理部102は、色数が第1所定数より大きい場合、グレースケール変換方法として、グレースケール変換式の変換係数を変更する方法を選択する(ステップS114;No→ステップS118)。このようにして、画像処理部102は、ステップS104において生成した画像の色分布の情報(画像に用いられている色数)に応じて、グレースケール変換方法を切り替える。
【0042】
ここで、グレーレベルとは、グレースケールで出力した場合の濃さの度合いを示す値である。例えば、白をグレーレベル0%とし、黒をグレーレベル100%とする。また、グレースケール変換式とは、画素値をグレーレベルに変換する式である。グレースケール変換式として、NTSC(National Television System Committee)加重平均法を用いた式がある。NTSC加重平均法を用いた式は、画素値がRGB値で表される場合において、RGB値の各色成分の値に対して重み付けを行うことで、当該RGB値に対応する輝度値を算出し、当該輝度値を100から引いた値をグレーレベルとする式である。NTSC加重平均法を用いた式は、以下の通りである。
グレーレベルK(NTSCグレー) = 100-(0.3r+0.6g+0.1b)
ただし、rはRGB値のR成分の値、gはRGB値のG成分の値、bはRGB値のB成分の値であり、r、g、bは何れも、0以上100以下の値とし、値が大きいほど出力される光の量が大きいこととする。また、グレーレベルKの単位は%である。例えば、r、g、bが何れも0であれば、グレーレベルKは100%(黒)であり、r、g、bの何れもが100であれば、グレーレベルKは0%(白)である。
【0043】
NTSC加重平均法を用いた式では、RGB値の各色成分の値を単純平均した値に基づいてグレーレベルを算出する用いる場合に比べて、赤と緑と青や、シアンとマゼンタとイエローといった主要色のグレーレベルが異なる値となり、主要色の区別を付けやすくなる。また、NTSC加重平均法により算出されるグレーレベルは、RGB値の各色成分の値を単純平均した値に基づいてグレーレベルを算出する場合に比べて、自然な濃淡が表現できる値となる。なお、各色成分の値に対する重みを示す値を、変換係数という。
【0044】
また、画像処理部102は、ステップS106において、色材消費量抑制モードが選択されていないと判定した場合、グレースケール変換方法として、所定のグレースケール変換方法を選択する(ステップS106;No→ステップS120)。所定のグレースケール変換方法は、例えば、予め定められた方法であって、画像の色分布によらないグレースケール変換方法である。
【0045】
つづいて、画像処理部102は、ステップS116、ステップS118又はステップS120において選択した方法により、ステップS104において生成した画像をグレースケール画像に変換するグレースケール変換処理を実行する(ステップS122)。グレースケール変換処理の詳しい処理の内容については、後述する。
【0046】
つづいて、制御部100は、ステップS122において変換されたグレースケール画像を出力する(ステップS124)。例えば、制御部100は、ステップS122において変換されたグレースケール画像を、CMYK形式に変換し、画像形成部130を介して形成することで出力してもよい。なお、制御部100は、ステップS122において変換されたグレースケール画像を、回線通信部180を介して、他の装置に送信することで、例えば、ファクシミリの画像として出力してもよい。また、制御部100は、図7に示した処理を、入力した原稿データ毎に実行することで、原稿毎に、原稿の画像の色の分布に応じて、当該画像をグレースケール画像に変換して、出力することができる。
【0047】
[1.2.2 グレースケール変換処理]
図8は、グレースケール変換処理の流れを示すフロー図である。まず、画像処理部102は、グレースケール変換方法として、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法を選択した場合、画像に用いられている色を出現頻度が低い順に並び替える(ステップS150;Yes→ステップS152)。例えば、画像処理部102は、色分布情報を、出現頻度の値が小さい順に並び替えればよい。
【0048】
また、画像処理部102は、画像に用いられている色をグレーレベルが高い順に並び替える(ステップS154)。例えば、画像処理部102は、色分布情報毎に、色分布情報に含まれる色に対応するグレーレベルを算出し、算出したグレーレベルが高い順に、色分布情報を並び替える。グレーレベルの算出には、例えば、NTSC加重平均法を用いた式が用いられてもよい。また、ステップS152とステップS154の処理は並行して実行されてもよいし、順に実行されてもよい。
【0049】
つづいて、画像処理部102は、出現頻度の低い色から順に、グレーレベルの高い色を割り当てる(ステップS156)。例えば、画像処理部102は、出現頻度の値が1番目に小さい色に対して1番目にグレーレベルの高い色を、出現頻度の値が2番目に小さい色に対して2番目にグレーレベルの高い色を割り当てる。同様にして、画像処理部102は、出現頻度の値がn番目(nは画像に用いられている色数)に小さい色に対して、n番目にグレーレベルの高い色を割り当てる。そして、画像処理部102は、画像に用いられている色と割り当てた色との関係を、置換色情報として記憶する。具体的には、画像処理部102は、出現頻度が低い順に並び替えた色から1の色を読み出し、読み出した色の順位と同じ順位の色を、グレーレベルが高い順に並び替えた色から読み出す。そして、画像処理部102は、出現頻度が低い順に並び替えた色から読み出した色を置換前の色とし、グレーレベルが高い順に並び替えた色から読み出した色を置換後の色として含む置換色情報を、置換色情報記憶領域168に記憶する。
【0050】
つづいて、画像処理部102は、画像に用いられている色を置き換える(ステップS158)。例えば、画像処理部102は、図7のステップS104において生成した画像に含まれる画素を画素毎に読み出し、読み出した画素の色を置換前の色としたときの置換後の色を置換色情報から取得し、読み出した画素の色を置換後の色に置き換える。この結果、図7のステップS104において生成された画像は、出現頻度の低い色がグレーレベルの高い色に置き換わり、出現頻度の高い色がグレーレベルの低い色に置き換わる。
【0051】
つづいて、画像処理部102は、ステップS158において色を置換した後の画像に対して、画素毎に、対応するグレーレベルの色の画素に置き換える(ステップS160)。これにより、画像処理部102は、図7のステップS104において生成した画像を、グレースケール画像に変換する。ここで、ステップS158において、出現頻度の低い色はグレーレベルの高い色に置き換わっており、出現頻度の高い色はグレーレベルの低い色に置き換わっている。そのため、画像処理部102は、ステップS160において、図7のステップS104において生成した画像を、グレーレベルの高い色の出現頻度が低く、グレーレベルの低い色の出現頻度が高い画像に変換することができる。このように変換された画像が、図7のステップS124において出力(印刷)されることにより、色材消費量が抑制される。
【0052】
一方、画像処理部102は、グレースケール変換方法として、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法を選択しなかった場合、グレースケール変換式の変換係数を変更する方法を選択したか否かを判定する(ステップS150;No→ステップS162)。画像処理部102は、グレースケール変換式の変換係数を変更する方法を選択した場合、画像に用いられている色毎に、各色成分の出現頻度を算出する(ステップS162;Yes→ステップS164)。具体的には、画像処理部102は、画像に用いられている色毎及び色成分(チャンネル)毎に、色成分の値と出現率を乗じて、色毎及び色成分毎に、出現頻度の高低を示す値を算出する。さらに、画像処理部102は、全ての色に対して、各色成分の出現頻度を合算することで、画像における、色成分毎の出現頻度を算出する。
【0053】
つづいて、画像処理部102は、変換係数を変更する(ステップS166)。例えば、画素値がRGB値で表される場合、出現頻度の値が大きい色成分ほど、グレースケール変換式の変換係数の値を大きくする。具体的には、画像処理部102は、色成分毎の出現頻度が最も高い色成分に対する変換係数を0.6に、出現頻度が次に高い色成分に対する変換係数を0.3に、出現頻度が最も低い色成分に対する変換係数を0.1に変更する。これにより、出現頻度が高い色成分が含まれる色ほど、高輝度となり、出現頻度が低い色成分が含まれる色ほど、低輝度となる。
【0054】
つづいて、画像処理部102は、ステップS104において生成した画像に対して、変換係数変更後のグレースケール変換式を用いて、画素毎に、その画素に対応するグレーレベルを算出し、算出したグレーレベルの画素に置き換える(ステップS168)。この結果、画像処理部102は、図7のステップS104において生成した画像を、高輝度の画素が多く、低輝度の画素が少ない画像に変換することができる。ここで、一般的に、高輝度の画素は印刷時においては低濃度の画素となり、低輝度の画素は印刷時において高濃度の画素となる。そのため、画像処理部102は、ステップS168において、図7のステップS104において生成した画像を、低濃度の画素を多く含み、高濃度の画素を少なく含む画像に変換することができる。このように変換された画像が、図7のステップS124において出力(印刷)されることにより、色材消費量が抑制される。
【0055】
なお、画像処理部102は、ステップS162において、グレースケール変換式の変換係数を変更する方法を選択していないと判定した場合、ステップS104において生成した画像を、所定のグレースケール変換方法によりグレースケール画像に変換する(ステップS162;No→ステップS170)。例えば、画像処理部102は、ステップS104において生成した画像に対して、所定のグレースケール変換式(例えば、NTSC加重平均方を用いた式)を用いて、画素毎に、その画素に対応するグレーレベルを算出し、算出したグレーレベルの画素に置き換える。
【0056】
[1.3 動作例]
図9から図14までを参照して、本実施形態の動作例を説明する。図9は、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法によるグレースケール変換処理が行われる場合の動作例を示す図である。図9(a)は、入力された原稿の画像P100を示す。画像P100には、文字色が色1である文字M100と、背景領域が色1で塗り潰された図形M102と、背景領域が色2で塗り潰された図形M104とを含む。図9(b)は、画像P100の色分布を示す。図9(b)に示すように、画像P100に用いられている色は、色1と色2との2色である。また、出現頻度は、色1が色2と比べて高い。
【0057】
ここで、色2のグレーレベルが、色1よりも低いとする。この場合、1番目に出現頻度の低い色1には、1番目にグレーレベルの高い色2が変換後の色として割り当てられる。また、2番目に出現頻度の低い色2には、1番目にグレーレベルの高い色1が変換後の色として割り当てられる。すなわち、色1が色2に、色2が色1に置換される。これにより、出現頻度の低い色2はグレーレベルが高い濃い色1に、出現頻度の高い色1はグレーレベルが低い薄い色2に置換される。
【0058】
図9(c)は、画像P100に対して、色1が色2に、色2が色1に置換された後の画像P110を示す。画像P100に比べ、画像P110は、グレーレベルの低い色2が、グレーレベルの高い色1よりも多く含まれる。そのため、画像P110を出力する場合、画像P100を出力する場合に比べ、色材消費量が抑制される。
【0059】
図10は、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法の別の例を示す図である。図10(a)のグラフG120は、原稿の画像に用いられている色の色分布を示す。原稿の画像には、グレーレベルが高い方から、100%黒(グレーレベル:100%)、75%黒(グレーレベル:75%)、50%黒(グレーレベル:50%)、25%黒(グレーレベル:25%)、0%黒(グレーレベル:0%、すなわち白)の5色が用いられている。また、各色の出現率は、低い方から、100%黒(6.7%)、25%黒(13.3%)、50%黒(20%)、75%黒(26.7%)、0%黒(33.3%)である。
【0060】
この場合、2番目に出現率が低い25%黒は、2番目にグレーレベルが高い75%黒に置換される。また、4番目に出現率が低い75%黒は、4番目にグレーレベルが高い25%黒に置換される。図10(a)のグラフG122は、置換後の画像における色分布を示す。グラフG122に示すように、グラフG120と比べて、25%黒で出力される割合が高くなり、75%黒で出力される割合が低くなる。この結果、色の置換後の画像は、置換前の画像に比べて、グレーレベルの高い色が出力される割合が低くなり、色材消費量が抑制される。
【0061】
図10(b)のG124は、図10(a)のグラフG120の内容の詳細を示す。また、図10(b)のG126は、図10(a)のグラフG122の内容の詳細を示す。黒出現率は、図10(b)のG124では40%であるのに対し、図10(b)のG126では33.3%である。なお、黒出現率は、グレーレベルと出現率との積の総和である。黒出現率は、色を出力する画素を黒ベタ(黒の画素)で塗り潰したときの、黒色印字率を100%としたときの相対比を示す。したがって、黒出現率が低いほど、使用される色材は少ない。画像に用いられている色が置換されて出力されることで、出力される画像において黒で出力される部分が少なくなり、結果として、黒色の色材消費量が抑制される。
【0062】
図11は、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法が適している場合と、適していない場合とを示す図である。図11(a)は、文字を含む原稿の画像P130と、画像P130を拡大した画像P131を示す。図11(a)に示した画像の黒出現率は70%である。また、図11(b)は、画像P130における白の画素と黒の画素とを入れ替えた画像P132と、画像P132を拡大した画像P133を示す。図11(b)に示した画像の黒出現率は30%である。画像P130の色を置換して画像P132にすることで、色材消費量が抑制される。ここで、画像P130は、黒と白の2色のみが用いられ、中間階調が用いられていないため、原稿の画像に用いられている色は少ないといえる。原稿の画像に用いられている色数が少ない場合は、画像に用いられている色を置き換えても、画像中の任意の線に注目したときの色の入れ替えの回数(階調の反転回数)が少なくなる。そのため、画像に含まれる文字や細線が途切れることが少なく、視認性が損なわれることは少ない。つまり、画像に用いられる色数が少ない場合、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法が適しているといえる。
【0063】
図11(c)は、文字を含む原稿の画像P134と、画像P134を拡大した画像P135を示す。画像P134に示すように、図11(c)では、文字の形状が滑らかに出力されるように、比較的多くの色(中間階調の色)を用いて文字が表現されている。図11(c)に示した画像の黒出現率は約74%である。
【0064】
図11(d)は、画像P134に含まれる色の出演頻度が低い順に、グレーレベルの高い色を割り当てた場合における画像P136と、画像P136を拡大した画像P137を示す。図11(d)に示した画像の黒出現率は約21%である。画像P136に示すように、画像に用いられている色数が多い場合、画像中の色が置換されることで色材消費量が抑制されるが、画像中の任意の線に注目したときの色の入れ替えの回数(階調の反転回数)が増える場合がある。この場合、文字や細線において、グレーレベルの高い画素の連続性が途切れてしまい、可読性が損なわれる場合がある。
【0065】
一方、図11(e)は、画像P134の階調を単純に反転させた場合における画像P138と、画像P138を拡大した画像P139を示す。図11(e)に示した画像の黒出現率は約27%である。画像P138は、画像P136と比べて、グレーレベルの高い画素の連続性は途切れておらず、可読性は高い。このように、画像に用いられている色数が多い場合は、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法が適していない場合がある。なお、図11は、原稿の画像がグレースケールである場合について示したが、原稿の画像がカラーである場合も同様に、画像に含まれる色が多い場合は、画像中の色を置換すると、可読性が損なわれる場合がある。本実施形態では、このように原稿に用いられている色数が多い場合は、グレースケール変換方法として、グレースケール変換式の変換係数を変更する方法が用いられる。
【0066】
図12は、グレースケール変換式の変換係数を変更する場合において、色成分毎の出現率を求める例を示す図である。図12(a)及び図12(b)は、原稿の画像に用いられている色の色分布を示す。原稿の画像には、色1(RGB=0/255/0、出現率:10%)、色2(RGB=0/0/255、出現率:40%)、色3(RGB=255/0/0、出現率:30%)、色4(RGB=0/0/0、出現率:20%)の4色が用いられている。図12(c)は、R成分、B成分、G成分の色成分毎に、色成分の値と出現率を乗じて合算した値を示す。図12(c)に示すように、B成分、R成分、G成分の順に値が大きい。これは、画像において、B成分の出現頻度が最も高いことを示す。グレースケール変換式としてNTSC加重平均法を用いた式が用いられる場合、色成分毎の係数である0.6、0.3、0.1のうち、出現頻度が最も高いB成分の変換係数は0.6に変更される。以下、R成分は0.3、G成分は0.1に変更される。その結果、グレースケール変換式は以下の通りとなる。
K = 100-(0.3r + 0.1g + 0.6b)
【0067】
変換係数を入れ替えた場合の黒出現率は以下の通りである。
(色1)
グレーレベルK=100-(0.3*0+0.1*100+0.6*0)=90(%)
グレーレベルK90(%)*出現率10%=9%
(色2)
グレーレベルK=100-(0.3*0+0.1*0+0.6*100)=40(%)
グレーレベルK40(%)*出現率40%=16%
(色3)
グレーレベルK=100-(0.3*100+0.1*0+0.6*0)=70(%)
グレーレベルK70(%)*出現率30%=21%
(色4)
グレーレベルK=100-(0.3*0+0.1*0+0.6*0)=100(%)
グレーレベルK100(%)*出現率20%=20%
(黒出現率)
黒出現率=9%+16%+21%+20%=66%
【0068】
一方、変換係数を入れ替えない場合の黒出現率は以下の通りである。
(色1)
グレーレベルK=100-(0.3*0+0.6*100+0.1*0)=40(%)
グレーレベルK40(%)*出現率10%=4%
(色2)
グレーレベルK=100-(0.3*0+0.6*0+0.1*100)=90(%)
グレーレベルK90(%)*出現率40%=36%
(色3)
グレーレベルK=100-(0.3*100+0.6*0+0.1*0)=70(%)
グレーレベルK70(%)*出現率30%=21%
(色4)
グレーレベルK=100-(0.3*0+0.6*0+0.1*0)=100(%)
グレーレベルK100(%)*出現率20%=20%
(黒出現率)
黒出現率=4%+36%+21%+20%=81%
このように、係数変換を行う場合、係数変換を行わない場合と比べて、黒出現率が低くなるため、色材消費量が抑制される。
【0069】
図13は、グレースケール変換式の変換係数を変更する場合の別の例を示す。図13(a)は、カラー原稿の画像P150を示す。原稿中、黄画素(領域E150)は印字面積の20%、青画素(領域E152)は印字面積の40%、黒画素(領域E154)は印字面積の10%をそれぞれ占めるものとする。
【0070】
画像を、NTSC加重平均法を用いたグレースケール変換式(K=100-(0.3r+0.6g+0.1b))を用いてグレースケール画像に変換した場合、黒出現率は、以下の通りとなる。
黄=K10%*20%、青=K90%*40%、黒=K100*10%、計48%
また、NTSC加重平均法を用いたグレースケール変換式を用いてグレースケール画像に変換した場合、図13(b)に示す画像P152が出力される。画像P152では、黒と青との区別がしづらくなっている。
【0071】
一方、変数係数を入れ替えて、K=100-(0.3r+0.1g+0.6b)とすると、黒出現率は、以下の通りとなる。
黄=K60%*20%、青=K40%*40%、黒=K100*10%、計38%
このように、一律にガンマ補正をしなくても、出力時に使用される色材を大幅に抑制できる。また、変数係数を入れ替えたNTSC加重平均法を用いたグレースケール変換式を用いてグレースケール画像に変換した場合、図13(c)に示す画像P154が出力される。画像P154では、黄画素が青画素よりも高いグレーレベルとなっている。また、画像P154は、画像P152と比べ、青画素と黒画素との区別が付きやすくなっている。
【0072】
なお、NTSC加重平均法を用いた式を用いたグレースケール変換式の係数を変換する方法は、画像がカラーの場合に有効である。そのため、画像処理部102は、グレースケール変換処理を行う画像がグレースケールである場合、ステップS164からステップS168の処理を実行する代わりに、画素毎に、以下の式によって算出した出力グレーレベルの画素に置き換える処理を実行してもよい。
出力グレーレベル(%) = 100-画像におけるグレーレベル(%)
これにより、例えば、図11(c)に示した画像は、図11(e)に示した画像に変換され、出力される。
【0073】
図14は、画像をグレースケール画像に変換する処理に関する設定内容を変更するための設定画面の画面例を示す図である。図14に示す画面は、画像形成装置10の動作モードを設定する画面であり、例えば、ユーザによって画像形成装置10の設定を変更する操作がされた場合に表示部140に表示される。図14(a)は、色材消費量抑制モードが選択されていない場合の設定画面W100の画面例を示す図である。設定画面W100には、色材消費量抑制モードを選択するか否かを切り替えるチェックボックスC100と、設定を反映させるためのOKボタンB100と、設定変更をキャンセルするキャンセルボタンB102とが含まれる。ユーザは、チェックボックスC100を操作し、OKボタンB100を選択することで、色材消費量抑制モードを選択するか否かを切り替えることができる。なお、OKボタンB100が選択された場合、設定画面W100において設定された内容が、設定テーブル170に反映される。
【0074】
図14(b)は、色材消費量抑制モードが選択されている場合に表示される設定画面W110の画面例を示す図である。色材消費量抑制モードが選択されている場合、例えば、図14(b)に示すように、第1所定数を入力するための領域E110が表示される。ユーザは、領域E110を介して第1所定数を入力することで、第1所定数を変更することができる。
【0075】
このように、画像をグレースケール画像に変換する処理を行う画像処理部102を有する制御部100と、必要な情報を記憶する記憶部160とにより、本開示の画像処理装置が構成される。画像形成装置10は、画像をグレースケール画像に変換する画像処理装置と、当該グレースケール画像を記録媒体上に形成する画像形成部130とを備えて構成される。これにより、色材消費量を抑制した画像を形成することができる。なお、上述した説明以外の方法であっても、適切にグレースケール画像を出力できれば、適宜変更を加えてもよい。例えば、図7のステップS108において、画像処理部102は、原稿データを併せて参照し、画像データのうち、オブジェクトが配置された位置の画素に限って、画素値情報を取得してもよい。画像処理部102は、このような処理を、オブジェクトの数が少ない場合に実行してもよい。画像処理部102は、オブジェクトが配置された位置の画素値情報のみを取得することで、画像全体の画素値情報を取得する必要がなくなり、画素値情報を取得する処理を簡略化することができる。
【0076】
また、画像処理部102は、図7のステップS108において、図形等のオブジェクトについては、塗り潰しがされる領域(オブジェクトの背景領域)に含まれる画素の画素値情報をのみを取得してもよい。これにより、画像処理部102は、枠線が描画される領域(オブジェクトの前景領域)に含まれる画素の画素値情報を取得しない。この結果、画像処理部102は、グレースケール変換方法として出現頻度の低い色から順に出現頻度の高い色を割り当てる方法を選択した場合であっても、グレースケール変換処理において、枠線の画素を、グレースケール変換処理から除外できる。すなわち、枠線の画素の色は、元の色が維持される。そのため、画像処理部102は、原稿データの画像をグレースケール画像に変換しても、枠線の色を維持することができる。これにより、画像処理部102は、例えば、本来の枠線の色がグレーレベルの高い色である場合に、グレースケール変換処理においてグレーレベルの低い色に変換して、視認性が損なわれたグレースケール画像を出力することを回避することができる。
【0077】
また、上述した説明では、第1所定数が予め設定される数値であるとして説明したが、第1所定数は、原稿の画像に含まれるオブジェクトの数であってもよい。また、第1所定数は、原稿の画像の大きさ等、原稿の特徴に応じて決まる値であってもよい。また、画像形成装置10は、原稿の画像をグレースケール画像に変換する処理と、グレーレベルを一律に低減させたりガンマ補正をしたりする処理とを組みわせて実行してもよい。
【0078】
また、上述した説明では、グレースケール変換式としてNTSC加重平均法を用いた式を用いる方法を説明したが、NTSC加重平均法を用いた式以外の式が用いられてもよい。この場合、変換係数を変更する場合、出現頻度の高い色成分ほど、高輝度の色(グレーレベルが低い色)で出力されるように、変換係数が変更されればよい。
【0079】
このように、本実施形態によれば、原稿をグレースケール出力する場合において、原稿の画像から取得した画素値から、画像に用いられている色の分布が算出され、色の分布(特に、画像に用いられている色数)に応じて、グレースケール変換方法が決定される。
【0080】
また、本実施形態では、グレースケール変換方式には、画像に用いられている色とその出現頻度とに応じて、グレースケール出力時のグレーレベルが決定される方法が含まれる。この方法は、出現頻度の順にグレースケール化時のグレーレベルを割り当てることで、出現頻度が低い色ほどグレースケール出力時のグレーレベルを高くし、出現頻度が高い色ほどグレースケール出力時のグレーレベルを低くする方法である。本実施形態の画像形成装置は、原稿をグレースケール出力するときに上述の方法を用いることで、色の入れ替わりはあるものの、原稿全体として配色を維持した上で、原稿の画像をグレースケール画像に変換することができる。これにより、本実施形態の画像形成装置は、原稿の画像を、元の色の違いによる弁別性を確保しつつ、色材消費量を効果的に抑制させることが可能なグレースケール画像に変換することができる。また、本実施形態の画像形成装置は、変換後の画像を形成することで、色材消費量を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、画像に用いられている色数が多い場合には、グレースケール変換係数(元色を示す各色成分に対する重み係数)が変更されることで、階調の連続性が確保されつつ、グレーレベルの低い色が割り当てられるようにして、グレースケール時の色材消費量が抑制される。一般的に、色材消費量を抑制させるためには、出現頻度の高い色を薄く、出現頻度の低い色を濃くする必要があるが、用いられている色数が多い画像においては、階調の反転確率や階調の反転頻度が増える可能性がある。階調の反転が多いと、文字や細線といった、階調の連続性によって示されるべき形状が途切れ、可読性を大きく損ねる場合がある。そのため、本実施形態の画像形成装置によれば、原稿の画像に用いられている色数が多い場合、グレースケール変換係数を変更してグレースケール出力する。これにより、本実施形態の画像形成装置は、原稿の画像を、原稿の画像における階調の連続性を維持したまま、原稿の画像の可読性を損なうこと無く、色材消費量を抑制することが可能なグレースケール画像に変換できる。また、本実施形態の画像形成装置は、変換後の画像を形成することで、色材消費量を抑制することができる。一方で、本実施形態の画像形成装置は、色材消費量抑制モードが選択されていない場合は、所定のグレースケール変換方法により画像をグレースケール画像に変換することで、グレースケール画像に変化する処理を効率化することができる。
【0082】
[2.第2実施形態]
第2実施形態は第1実施形態の処理に加えて、画像に用いられているグレーレベルが高い色数に応じて、画像に用いられている色を置き換える方法を切り替える処理を行う実施形態である。本実施形態は、第1実施形態の図6図15に、第1実施形態の図7図16に、第1実施形態の図8図17にそれぞれ置き換えたものである。なお、同一の処理には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
[2.1 機能構成]
図15は、本実施形態における設定テーブル170のデータ構成の例を示す。本実施形態では、「グレーレベル閾値」及び「第2所定数」の設定値が更に記憶される。
【0084】
グレーレベル閾値は、色のグレーレベルに対する閾値である。本実施形態では、色のグレーレベルがグレーレベル閾値を超える場合、その色はグレーレベルの高い色であると判定される。第2所定数は、画像に用いられているグレーレベルの高い色数に対する閾値である。第2所定数の設定値としては、例えば、「5」といった数値が記憶される。
【0085】
[2.2 処理の流れ]
[2.2.1 メイン処理]
図16は、本実施形態の制御部100が実行するメイン処理の流れを示すフロー図である。本実施形態では、画像処理部102は、画像に用いられている色数が、第1所定数以下である場合、画像に用いられているグレーレベルの高い色数が、第2所定数以下であるか否かを判定する(ステップS200)。例えば、画像処理部102は、色分布情報を読み出して、NTSC加重平均法を用いた式等を用いて、原稿の画像に用いられている色毎に、グレーレベルを算出する。次に、画像処理部102は、設定テーブル170に記憶されたグレーレベル閾値を超えるグレーレベルの色数が、設定テーブル170に記憶された第2所定数以下である場合、画像に用いられているグレーレベルの高い色数が、第2所定数以下であると判定する。
【0086】
画像処理部102は、画像に用いられているグレーレベルの高い色数が第2所定数以下である場合、グレースケール変換方法として、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法を選択する(ステップS200;Yes→ステップS116)。一方、画像処理部102は、画像に用いられているグレーレベルの高い色数が第2所定数より多い場合、グレースケール変換方法として、出現頻度の低い色から順に、均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てる方法を選択する(ステップS200;No→ステップS202)。このようにして、画像処理部102は、画像処理部102は、ステップS104において生成した画像の色分布の情報(画像に用いられている色数及びグレーレベルの高い色数)に応じて、グレースケール変換方法を切り替える。
【0087】
[2.2.2 グレースケール変換処理]
図17は、本実施形態のグレースケール変換処理の流れを示すフロー図である。本実施形態では、画像処理部102は、グレースケール変換方法として、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法を選択していない場合、グレースケール変換方法として、均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てる方法を選択したか否かを判定する(ステップS150;No→ステップS250)。
【0088】
画像処理部102は、均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てる方法を選択した場合、画像に含まれる色に対して割り当てる色のグレーレベルを決定する(ステップS250;Yes→ステップS252)。例えば、画像処理部102は、画像に用いられている色数に応じて、グレーレベルを均等分割する。具体的には、画像処理部102は、画像に用いられている色数をMとして、割り当てる色のm番目(ただし、1≦m≦M)のグレーレベルを、100/M*mとする。画像に用いられている色数が5である場合、1番目のグレーレベルは20%、2番目のグレーレベルは40%、3番目のグレーレベルは60%、4番目のグレーレベルは80%、5番目のグレーレベルは100%となる。
【0089】
つづいて、画像処理部102は、画像に用いられている色の出現頻度の低い順から、ステップS252において決定したグレーレベルの色のうち、グレーレベルの高い色を割り当てる(ステップS254)。ステップS254の処理は、ステップS156の処理と同様の処理であるが、置換後の色が、ステップS252において決定したグレーレベルの色であることが異なる。また、画像処理部102は、ステップS254において、置換色情報を、置換色情報記憶領域168に記憶する。さらに、画像処理部102は、ステップS158及びステップS160の処理を実行する。これにより、ステップS158において、図7のステップS104において生成された画像に用いられている色は、ステップS254において割り当てられた色に置き換わる。
【0090】
[2.3 動作例]
図18及び図19は、本実施形態における動作例を示す図である。図18は、グレーレベルの高い色が多くない場合(グレーレベルの高い色数が第2所定数以下の場合)の動作を示す図である。図18の画像P200は原稿の画像(円グラフの画像)を示す。画像P200に用いられている色は、100%黒(出現率:40%)、75%黒(出現率:25%)、50%黒(出現率:15%)、25%黒(出現率:10%)、5%黒(出現率:5%)であるとする。なお、出現率は、円グラフ中における、その色の面積率に対応する。また、色を置換しない場合、黒出現率は69%(100*40%+75*25%+50*15%+25*10%+5*5%)である。
【0091】
グレーレベルの高い色が多くない場合、出現頻度の低い色から順に、グレーレベルの高い色が割り当てられ、色が置換される。画像P200に用いられている色を、出現率が低い順からグレーレベルの高い色を割り当てた場合、黒出現率は28.3%(5*40%+25*25%+50*15%+75*10%+100*5%)となる。また、図18の画像P202に示す画像が出力される。
【0092】
図19は、グレーレベルの高い色が多い場合(グレーレベルの高い色数が第2所定数より大きい場合)の動作を示す図である。図19の画像P210は原稿の画像(円グラフの画像)を示す。画像P210に用いられている色は、100%黒(出現率:40%)、90%黒(出現率:25%)、80%黒(出現率:15%)、70%黒(出現率:10%)、60%黒(出現率:5%)であるとする。色を置換しない場合、黒出現率は84.5%(100*40%+90*25%+80*15%+70*10%+60*5%)である。
【0093】
グレーレベルの高い色が多い場合、図19のE210に示すように、グレーレベルを均等な階調変化となるように、置換後の色が割り当てられる。例えば、図18に示すように、出現率が低い順に、グレーレベル100%の色、グレーレベル80%の色、グレーレベル60%の色、グレーレベル40%の色、グレーレベル20%の色が割り当てられる。この場合の黒出現率は40.0%(20*40%+40*25%+60*15%+80*10%+100*5%)となる。また、図19の画像P212に示す画像が出力される。グレーレベルを均等な階調変化となるように、置換後の色が割り当てられることで、黒出現率が低下し、色材消費量が抑制されるとともに、図19の画像P202に示すように、色が置換された後の画像は、色の弁別性が向上している。
【0094】
なお、上述した説明では、原稿の画像に用いられているグレーレベルの高い色数が第2所定数以下であるか否かに応じて、グレースケール変換方式を切り替えることとして説明したが、別の方法により、グレースケール変換方式が切り替えられてもよい。例えば、画像処理部102は、出現頻度の低い色から順にグレーレベルの高い色を割り当てる方法を用いたときの黒出現率と、均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てる方法を用いたときの黒出現率とを比較する。そして、画像処理部102は、黒出現率が低い方法を選択する。このようにすることで、画像処理部102は、均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てる方法を選択することで色材消費量を抑制する効果が得られる場合に、当該方法を選択することができる。
【0095】
また、均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てる方法は、例えば、原稿の画像における黒出現率が高い場合や、グレーレベルの高い色の画素数の割合が高い場合に選択されてもよい。この場合、黒出現率の閾値や、グレーレベルの高い色の画素数の割合に閾値は、予め記憶部160に記憶されてもよいし、ユーザにより選択可能であってもよい。
【0096】
本実施形態によれば、原稿の画像に用いられているグレーレベルの高い色が多くないときは、原稿の画像に用いられている色に対して、出現頻度の低い順にグレーレベルの高い色が割り当てられる。一方、本実施形態によれば、グレーレベルの高い色が多いときは、出現頻度の低い順に、画像に用いられている色数に応じて均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てられる。
【0097】
一般的に、画像に用いられている色数が少ない場合は、当該画像は複雑な階調を有しておらず、色領域間の区別さえ付けばよいことが多い。そのため、各色の出現頻度に応じて色を直接入れ替えたり、適切なグレーレベルの色を割り当てたりすることで、容易で効率的な色材消費量の抑制が可能となる。本実施形態の画像形成装置は、原稿の画像に用いられているグレーレベルの高い色数に応じて、グレースケール変換方法を切り替えることで、容易で効率的な色材消費量の抑制を実現することができる。また、原稿の画像にグレーレベルの高い色が多く用いられている場合、均等分割された階調ステップの濃い色から順に割り当てられるため、グレースケール化により色の区別がしづらくなってしまう色の組み合わせも、色材消費量を抑制しながら弁別性を確保できる。
【0098】
[3.第3実施形態]
第3実施形態は第1実施形態の処理に加えて、画像に含まれるオブジェクトのタイプに応じて、グレースケール変換処理を切り替える実施形態である。具体的には、本実施形態では、画像に含まれる色の置き換えに適さないオブジェクト(特定オブジェクト)に対しては、所定のグレースケール変換式を用いたグレースケール変換処理が行われる。本実施形態は、第1実施形態の図7図20に、第1実施形態の図8図21にそれぞれ置き換えたものである。なお、同一の処理には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0099】
図20は、本実施形態の制御部100が実行するメイン処理の流れを示すフロー図である。本実施形態では、画像処理部102は、画素値情報を取得した後、画像に含まれるオブジェクトを1つ選択し、当該オブジェクトが、特定オブジェクトであるか否かを判定する(ステップS300→ステップS302)。例えば、画像処理部102は、PDLデータを参照してオブジェクトの情報を取得したり、ステップS102において生成した画像からオブジェクトを認識して、認識したオブジェクトから1のオブジェクトを選択したりする。また、特定オブジェクトは、色の置き換えの対象外にされるオブジェクトである。特定オブジェクトは、例えば、写真、連続調オブジェクト(例えば、グラデーションが含まれるオブジェクト)、2次元コード(例えば、QRコード(登録商標)、MaxiCode、PDF417等)、1次元コード(例えば、バーコード等)であってもよい。また、特定オブジェクトとするオブジェクトの種類は、ユーザによって選択可能であってもよい。
【0100】
画像処理部102は、選択したオブジェクトが特定オブジェクトでなければ、オブジェクトの色分布情報を取得する(ステップS302;No→ステップS304)。例えば、画像処理部102は、ステップS102において生成した画像において、ステップS300において選択したオブジェクトが描画される領域の画素の画素値情報を読み出し、同じ画素値である画素を数え上げる。さらに、画像処理部102は、画素値毎に、画素値を色の情報とした色分布情報の出現頻度に、その色の画素の数を加算する。一方で、画像処理部102は、選択したオブジェクトが特定オブジェクトであれば、ステップS304の処理を省略する(ステップS302;Yes)。これにより、画像処理部102は、画素に含まれる特定オブジェクト以外のオブジェクトの色分布情報を取得することができる。
【0101】
つづいて、画像処理部102は、ステップS102において生成した画像に含まれるオブジェクトを全て選択したか否かを判定する(ステップS306)。画像処理部102は、オブジェクトを全て選択していない場合は、ステップS300に戻る(ステップS306;No→ステップS300)。一方、画像処理部102は、オブジェクトを全て選択した場合は、ステップS112以降の処理を実行する(ステップS306;Yes)。
【0102】
図21は、本実施形態のグレースケール変換処理の流れを示すフロー図である。本実施形態では、画像処理部102は、図21のステップS158、ステップS160、ステップS168の処理を、特殊オブジェクトが配置されていない画素に対してのみに行う。さらに、画像処理部102は、図20のステップS104において生成した画像に含まれる特定オブジェクトに対しては、グレースケール変換式(例えば、NTSC加重平均法を用いた式)を用いて、グレースケールのオブジェクトに変換する(ステップS350)。これにより、特定オブジェクトの画像に対しては、色の置き換えが行われず、当該特定オブジェクトの画像は、階調に応じたグレーレベルで出力される。
【0103】
図22(a)は特定オブジェクト(写真)の画像P300の例である。図22(b)は、画像P300に用いられている色を、出現頻度が低い色ほどグレーレベルが高い色に、出現頻度が高い色ほどグレーレベルが低い色になるように変換した場合(色を置き換えた場合)の画像P302を示す。画像P302に示すように、写真においては、出現頻度の低い色ほど濃い色となるように(出現頻度の高い色ほど薄い色となるように)変換された場合、階調の反転が多数発生してしまい、画像が表す内容が不明確となる。連続調オブジェクトについても、同様の問題が生じる場合がある。
【0104】
また、バーコード等の1次元コードや2次元コードに対して上述と同様の変換が行われると、白黒が反転することにより、コードの読み取りが不可能となる可能性がある。
【0105】
このように、特定オブジェクトについては、色の置き換えがされると、不適切な色に置換される結果となる場合がある。これについて、制御部100は、図20及び図21に示した処理を実行することで、特定オブジェクトを不適切な色に置換することを防ぐことができる。例えば、画像形成装置10は、原稿の画像のグレースケール画像を出力するとき、図22(a)に示した特定オブジェクトについては、図22(b)に示した画像に変換すること無く、図22(a)に示した画像を出力する。これにより、画像形成装置10は、不適切な色の変換を行うことを回避する。
【0106】
このように、本実施形態によれば、写真、連続調オブジェクト、2次元コード、1次元コード等、色の置き換えによって内容が不明確になったり読み取りが不可能となったりする可能性があるオブジェクトは、グレースケール変換式を用いたグレースケール処理が行われる。これにより、本実施形態の画像形成装置は、原稿の画像をグレースケール画像に変換する際、不適切なグレースケール画像が生成されることを回避することができる。
【0107】
[4.第4実施形態]
第4実施形態は、第1実施形態において、画像の色を置き換える場合、ユーザにより選択された色に置き換える実施形態である。本実施形態は、第1実施形態の図7図23に、第1実施形態の図8図24にそれぞれ置き換えたものである。なお、同一の処理には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0108】
図23は、本実施形態の制御部100が実行するメイン処理の流れを示すフロー図である。本実施形態では、画像処理部102は、ステップS104において生成した画像に用いられている色数が第1所定数以下である場合、色毎に割り当てる色を取得する(ステップS400)。例えば、画像処理部102は、表示部140に、画像に用いられている色毎に、その色に割り当てる色を設定するための画面(消費量削減度合いのUI(User Interface))を表示し、画像に用いられている色毎に、ユーザにより割り当てられた色を取得する。また、画像処理部102は、グレースケール変換方法として、画像に用いられている色を、割り当てられた色に変更する方法を選択する(ステップS402)。なお、画像に用いられている色に対して割り当てられる色は、予め決められていてもよい。
【0109】
図24は、本実施形態のグレースケール変換処理の流れを示すフロー図である。本実施形態では、画像処理部102は、グレースケール変換方法として、割り当てられた色に変更する方法を選択した場合、図23のステップS104において生成した画像に用いられている色を、色毎に割り当てられた色、すなわち、図23のステップS400において取得した色に置き換える(ステップS450;Yes→ステップS452)。また、画像処理部102は、ステップS452において色を置換した後の画像に対して、画素毎に、その画素の色を、対応するグレーレベルの色の画素に置き換える(ステップS160)。なお、画像処理部102は、グレースケール変換方法として、色毎に取得した色に割り当てる方法を選択していない場合は、ステップS162以降の処理を実行する(ステップS450;No)。
【0110】
図25は、色毎に割り当てる色を設定するための画面の画面例を示す図である。なお、原稿の画像中に、赤、青、黄の3色が用いられているとする。
【0111】
図25(a)は、スライダL400に、画像に用いられている色毎にハンドル(スライダボタン)が表示された画面W400の表示例である。スライダL400は、グレーレベル(グレー階調)を表す。また、スライダL400には、黄のハンドルH400と、赤のハンドルH402と、青のハンドルH404とが表示され、ハンドルの位置は、それぞれの色のグレーレベルを示す。この場合、原稿の画像に用いられている黄はグレーレベルが低い色に置き換え、青はグレーレベルが高い色に置き換え、赤は黄と青の間のグレーレベルの色に置き換えることを示す。
【0112】
図25(b)は、ハンドルが移動する操作がされた場合に表示される画面W410の表示例である。画面W410は、赤のハンドルH412を青のハンドルH414から離れた位置に移動されて、グレースケール画像における青と赤とのグレーレベルの差異が広げられている状態を示す。
【0113】
また、図25(c)は、図25(a)に示した画面W400から、黄のグレーレベルと青のグレーレベルとを入れ替える操作がされた場合に表示される画面W420の画面例である。なお、図25(c)に示すように、各色の出現頻度(領域面積)がハンドルの大きさに反映されてもよい。このように、ユーザは、画像に用いられている色に対して割り当てる色を設定することができる。
【0114】
このように、本実施形態の画像形成装置によれば、原稿の画像に用いられている色を置き換える場合、ユーザによって設定された色や、予め定められた色に置き換えることができる。
【0115】
[5.第5実施形態]
第5実施形態は、第1実施形態において、画像に用いられている色を、画素値ではなく、予め定義した色に対応付け、画像に用いられている色数を算出したり、色の置き換えを行ったりする実施形態である。
【0116】
図26(a)は、本実施形態における画素値情報のデータ構成の例を示す。本実施形態では、第1実施形態におい説明した画素値情報に加えて、色名(例えば、「100%赤」)の情報を含む。
【0117】
また、図26(b)は、画素値と色とを対応付けた色対応情報のデータ構成の例を示す。色対応情報には、画素値(例えば、H=-10~10、S=90~100、V=90~100)と、当該画素値に対応する色名(例えば、「100%赤」)と、グレーレベル(例えば、「100%」)の情報とを含む。なお、画素値は、図26(b)に示すように、値に幅が設定されてもよい。このようにすることで、画素値が近似した色は、1種類の色として扱われることとなる。色対応情報は、記憶部160に予め記憶される。
【0118】
図26(c)は、本実施形態における色分布情報を示す。また、図26(d)は、本実施形態における置換色情報を示す。図26(c)及び図26(d)に示すように、本実施形態では、色の情報として、色名が記憶される。
【0119】
本実施形態では、制御部100は、図7及び図8に示した処理を実行する。ここで、画像処理部102は、図7のステップS108において、画素値に対応する色名を算出し、算出した色名を、画素値情報に記憶する。なお、画像に用いられている色空間と、色対応情報に規定されている画素値の色空間とが異なる場合、画像処理部102は、画像内の画素の画素値を、色対応情報に規定されている画素値の色空間での値に変換した上で、対応する色名を取得すればよい。
【0120】
また、画像処理部102は、図7のステップS110において、色名毎に画素を集計し、色名と当該色名に対応する画素の数を出現頻度として含む色分布情報を生成し、色分布情報記憶領域166に記憶する。
【0121】
また、画像処理部102は、図8のステップS152及びステップS154においては、画像処理部102は、色対応情報を参照して、色名に対応するグレーレベルを用いてステップS152及びステップS154の処理を実行する。また、画像処理部102は、図8のステップS158の処理を省略し、ステップS160において、図7のステップS104において生成した画像の画素毎に、その画素の色の色名に対応する置換後の色名を求め、置換後の色名に対応するグレーレベルの色の画素に置き換える。これにより、画像処理部102は、図7のステップS104において生成した画像を、色名に基づいて、グレースケール画像に変換することができる。
【0122】
このように本実施形態によれば、原稿に用いられている色の画素値に対応する色名が取得され、当該色名に応じて、グレースケール変換処理が実行される。これにより、本実施形態の画像形成装置は、画素値が近似した色を1種類の色として扱うことができ、画素値が近似する画素が多く含まれる画像に対しても、適切に、グレースケール変換処理を実行することができる。
【0123】
[6.変形例]
本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0124】
また、上述した説明では、本開示の画像処理装置を画像形成装置に適用した場合について説明したが、本開示の画像処理装置は、画像形成装置以外の装置に適用してもよい。例えば、本開示の画像処理装置は、スキャナ等の画像読取装置に適用されてもよいし、ファクシミリなどの画像通信装置、モバイル端末装置、またはクラウドサービスに適用されてもよい。本開示の画像処理装置がクラウドサービスに適用される場合、当該クラウドサービスは、他の装置から画像を受信し、当該画像をグレースケール画像に変換する。その上で、クラウドサービスは、グレースケール画像に基づくデータやファイルを生成し、画像を送信した装置に当該データやファイルを送信すればよい。すなわち、上述した説明における画像処理部を含み、上述した処理を実行する装置であれば、どのような装置またはサービスであっても、本開示の技術を適用することができる。
【0125】
また、上述した各装置で動作するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な非一時的記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)に記録され、提供されてもよい。
【0126】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0127】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0128】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray(登録商標) Disc) 等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本開示の機能が実現される場合もある。
【0129】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本開示に含まれるのは勿論である。
【0130】
また、上述した実施形態に用いた装置の各機能ブロック、または諸特徴は、電気回路、例えば、集積回路あるいは複数の集積回路で実装または実行され得る。本明細書で述べられた機能を実行するように設計された電気回路は、汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、またはこれらを組み合わせたものを含んでよい。汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサでもよいし、従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。前述した電気回路は、デジタル回路で構成されていてもよいし、アナログ回路で構成されていてもよい。また、半導体技術の進歩により現在の集積回路に代替する集積回路化の技術が出現した場合、本開示の一以上の態様は当該技術による新たな集積回路を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0131】
10 画像形成装置
100 制御部
102 画像処理部
120 画像入力部
130 画像形成部
140 表示部
150 操作部
160 記憶部
162 画像データ記憶領域
164 画素値情報記憶領域
166 色分布情報記憶領域
168 置換色情報記憶領域
170 設定テーブル
180 回線通信部
190 ネットワーク通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26