(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090292
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】インセンティブ決定方法およびインセンティブ決定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240627BHJP
【FI】
G06Q30/0207 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206092
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】中島 健次
(72)【発明者】
【氏名】大野 敬史
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】混雑スポットを減らしつつ、閑散スポットの活性化を図ること。
【解決手段】インセンティブ決定装置201は、対象地域(例えば、○○島)に含まれる複数のスポットのうちユーザが訪問した各訪問スポット(例えば、観光スポットA,D,E)における滞在時間帯を特定する。インセンティブ決定装置201は、複数のスポットの各スポットの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、対象地域の訪問に対するインセンティブの決定に用いられる、各スポットの時間帯ごとの評価値を算出する。インセンティブ決定装置201は、算出した各スポットの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出し、算出したインセンティブ値を合算した結果に基づいて、ユーザに付与するインセンティブを決定する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地域に含まれる複数のスポットのうちユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定し、
前記複数のスポットの各スポットの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、前記対象地域の訪問に対するインセンティブの決定に用いられる、前記各スポットの時間帯ごとの評価値を算出し、
算出した前記各スポットの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した前記各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、前記各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出し、
算出した前記インセンティブ値を合算した結果に基づいて、前記ユーザに付与するインセンティブを決定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするインセンティブ決定方法。
【請求項2】
前記各スポットの時間帯ごとの混雑度は、前記各スポットの定員に対する前記各スポットの時間帯ごとの滞在人数の割合によって表され、
前記各スポットの時間帯ごとの評価値を算出する処理は、
前記混雑度が閾値より大きい場合は、当該混雑度が高いほど低くなるように、負の値である前記評価値を算出し、
前記混雑度が前記閾値以下の場合は、当該混雑度が低いほど高くなるように、正の値である前記評価値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインセンティブ決定方法。
【請求項3】
前記インセンティブ値を算出する処理は、
前記各スポットの時間帯ごとの評価値に基づいて、前記滞在時間帯に含まれる時間帯の評価値を合算することにより、前記インセンティブ値を算出する、ことを特徴とする請求項2に記載のインセンティブ決定方法。
【請求項4】
前記対象地域に滞在中の前記ユーザに、前記各スポットの混雑度を特定可能な混雑情報を通知する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項1に記載のインセンティブ決定方法。
【請求項5】
前記ユーザが前記訪問スポットに滞在中に、当該訪問スポットの混雑度が第1の閾値未満となった場合、前記訪問スポットに滞在し続けると、前記インセンティブが上がる旨の情報を前記ユーザに通知する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項1に記載のインセンティブ決定方法。
【請求項6】
前記対象地域を前記ユーザが訪問した際に、前記複数のスポットのうち空いているスポットに長時間滞在するほど、前記対象地域の訪問に対するインセンティブが高くなる旨の情報を前記ユーザに通知する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のインセンティブ決定方法。
【請求項7】
対象地域に含まれる複数のスポットのうちユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定し、
前記複数のスポットの各スポットの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、前記対象地域の訪問に対するインセンティブの決定に用いられる、前記各スポットの時間帯ごとの評価値を算出し、
算出した前記各スポットの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した前記各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、前記各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値(評価値)を算出し、
算出した前記インセンティブ値を合算した結果に基づいて、前記ユーザに付与するインセンティブを決定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするインセンティブ決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インセンティブ決定方法およびインセンティブ決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観光地において観光スポットに観光客が局所的に集中することによって、その近辺が混雑し、住民の生活に支障が生じる場合がある。一方、観光を生業とする住民もいるため、単純に観光客を制限するといった対策を取ることは好ましくない。
【0003】
先行技術としては、セルフ端末の利用に伴い、当該利用の時期および利用先のセルフ端末に関する各予測混雑度を予測テーブルで特定し、この各予測混雑度に応じた顧客向けのインセンティブをインセンティブ定義テーブルで特定し付与を実行するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、複数のスポットを含む観光地などにおいて、混雑スポットを減らしつつ、閑散スポットの活性化を図ることが難しい。
【0006】
一つの側面では、本発明は、混雑スポットを減らしつつ、閑散スポットの活性化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様では、対象地域に含まれる複数のスポットのうちユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定し、前記複数のスポットの各スポットの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、前記対象地域の訪問に対するインセンティブの決定に用いられる、前記各スポットの時間帯ごとの評価値を算出し、算出した前記各スポットの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した前記各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、前記各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出し、算出した前記インセンティブ値を合算した結果に基づいて、前記ユーザに付与するインセンティブを決定する、インセンティブ決定方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、混雑スポットを減らしつつ、閑散スポットの活性化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかるインセンティブ決定方法の一実施例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、情報処理システム200のシステム構成例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、インセンティブ決定装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、ユーザ端末202のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、定員情報テーブル220の記憶内容の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、混雑状況DB230の記憶内容の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、スポット滞在時間DB240の記憶内容の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、インセンティブ決定装置201の機能的構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、スポットの時間帯ごとの混雑度の一例を示す説明図(その1)である。
【
図10】
図10は、スポットの時間帯ごとの混雑度の一例を示す説明図(その2)である。
【
図11】
図11は、キャンペーン情報および混雑情報の通知例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、インセンティブの通知例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、ユーザ端末202の情報処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、インセンティブ決定装置201の混雑状況更新処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、インセンティブ決定装置201のインセンティブ決定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明にかかるインセンティブ決定方法およびインセンティブ決定プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかるインセンティブ決定方法の一実施例を示す説明図である。
図1において、情報処理装置101は、ユーザに付与するインセンティブを決定するコンピュータである。インセンティブは、対象地域の訪問に対して付与される報酬である。インセンティブは、例えば、対象地域における支払いに利用可能なポイントであってもよく、対象地域において利用可能なチケットやクーポンなどであってもよい。また、インセンティブは、金銭や物品などであってもよい。
【0012】
対象地域は、例えば、観光地、商業エリア、テーマパークなどである。対象地域は、複数のスポットを含む。スポットは、例えば、施設、場所、エリアなどである。例えば、対象地域を「観光地」とすると、スポットは、例えば、観光名所、レジャー施設などの観光スポットである。また、対象地域を「商業エリア」とすると、スポットは、例えば、店舗やフードコートなどの施設である。また、対象地域を「テーマパーク」とすると、スポットは、例えば、アトラクション、ショップなどの施設である。
【0013】
ここで、複数の観光スポットを擁する観光地では、季節や時間帯によって特定のスポットに観光客が集中し、周辺道路の渋滞を招き、近隣住民の生活に支障が生じる場合がある。対策として観光客数を制限することが考えられるが、観光客数の制限は、売り上げの低下に直結し、観光を主な生業としている地元住民の死活問題となる。
【0014】
観光地側としては、観光客数は減らさずに、混雑しているところは、早めに次のスポットに移動し、空いているところでは、長めに滞在してもらいたい。このため、混雑しているスポットへの訪問客数を減らし、空いているスポットへ誘導する対策が望まれる。
【0015】
従来、訪問客の混雑を回避する方法として、混雑スポットにおける訪問客の回転率を上げるものがある。また、インセンティブによってスポットの出入りを促す方法がある。例えば、混んでいれば、スポット内の人に流出を促すインセンティブを与え、空いていれば、スポット外の人に流入を促すインセンティブを与えるものがある。
【0016】
しかしながら、従来の方法では、個別のスポットで出入りの誘引を行うものであって、観光地全体で、混雑スポットを減らしつつ、閑散スポットの活性化を図ることが難しい。例えば、ある混雑スポットでインセンティブによって出て行った人が、空いているスポットに行く動機付けがないため、別の混雑スポットに行ってしまうことがある。
【0017】
また、インセンティブによって空いているスポットに誘引された場合も同様に、混雑スポットへ行かない動機付けや、空いているスポットに長居する動機付けがないため、その後混雑スポットへ行ったり、空いているスポットからすぐに立ち去ったりしてしまうことがある。
【0018】
そこで、本実施の形態では、複数のスポットを含む対象地域において、混雑スポットを減らしつつ、閑散スポットの活性化を図るインセンティブ決定方法について説明する。ここで、情報処理装置101の処理例(下記(1)~(4)の処理に対応)について説明する。
【0019】
図1の例では、対象地域を「対象地域110」とし、対象地域に含まれる複数のスポットを「スポット111~116」とする。また、対象地域110を訪問したユーザを「ユーザU1,U2」とする。また、各ユーザU1,U2には、スポット111~116のうち空いているスポットに長時間滞在するほど、対象地域110の訪問に対するインセンティブが高くなる旨の情報が通知されているものとする。
【0020】
(1)情報処理装置101は、対象地域110に含まれるスポット111~116のうちユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定する。ここで、滞在時間帯は、訪問スポットに滞在した時間帯である。滞在時間帯は、例えば、ユーザの位置情報に基づいて、訪問スポットへの進入や訪問スポットからの退出を検知することによって特定される。
【0021】
滞在時間帯は、例えば、訪問スポットに進入した時刻と訪問スポットから退出した時刻とによって表される。また、滞在時間帯は、一日を区切った複数の時間帯のうち、訪問スポットに滞在した時刻を含む時間帯によって表されてもよい。各時間帯の時間幅は、任意に設定可能であり、例えば、1時間である。
【0022】
図1の例では、ユーザU1が訪問した訪問スポットを「スポット111,112,114」とし、各スポット111,112,114における滞在時間帯を「10時台、11時台、12時台」とする。また、ユーザU2が訪問した訪問スポットを「スポット113,115,116」とし、各スポット113,115,116における滞在時間帯を「15時台、16時台、17時台」とする。
【0023】
(2)情報処理装置101は、各スポット111~116の時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、対象地域110の訪問に対するインセンティブの決定に用いられる、各スポット111~116の時間帯ごとの評価値を算出する。
【0024】
ここで、混雑度は、混雑の度合いである。各スポット111~116の時間帯ごとの混雑度は、例えば、各スポット111~116の定員に対する各スポット111~116の時間帯ごとの滞在人数の割合(比率)によって表される。評価値は、例えば、混雑度が高いほど低くなり、混雑度が低いほど高くなる、正または負の値である。
【0025】
例えば、10時台のスポット111は、定員に対する滞在人数が多く、混雑しているとする。また、11時台のスポット112は、定員に対する滞在人数が多く、混雑しているとする。また、12時台のスポット114は、定員に対する滞在人数が多く、混雑しているとする。
【0026】
また、15時台のスポット113は、定員に対する滞在人数が少なく、空いているとする。また、16時台のスポット115は、定員に対する滞在人数が少なく、空いているとする。また、17時台のスポット116は、定員に対する滞在人数が少なく、空いているとする。
【0027】
この場合、各スポット111,112,114の時間帯「10時台、11時台、12時台」ごとの評価値は、各スポット113,115,116の時間帯「15時台、16時台、17時台」ごとの評価値よりも低いものとなる。
【0028】
なお、各スポット111~116の時間帯ごとの混雑度は、例えば、ユーザU1,U2が対象地域110を訪問した当日の混雑状況から特定される。また、各スポット111~116の時間帯ごとの混雑度は、過去の混雑状況から予測された混雑度であってもよい。
【0029】
(3)情報処理装置101は、算出した各スポット111~116の時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出する。ここで、インセンティブ値は、スポットへの訪問が、対象地域110における混雑緩和や閑散スポットの活性化にどれだけ貢献したかの貢献度合いを表す。
【0030】
具体的には、例えば、情報処理装置101は、各スポット111~116の時間帯ごとの評価値を参照して、各訪問スポットにおける滞在時間帯に含まれる時間帯の評価値を合算することにより、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出する。
【0031】
例えば、ユーザU1が訪問したスポット111における滞在時間帯は、「10時台」である。このため、スポット111における滞在時間帯に含まれる時間帯は、「10時台」のみである。この場合、スポット111の訪問に対するインセンティブ値は、例えば、スポット111の10時台の評価値となる。
【0032】
なお、ユーザU1が訪問したスポット111における滞在時間帯が「10時00分~10時30分」であるとする。この場合、スポット111の訪問に対するインセンティブ値は、例えば、スポット111の10時台の評価値に、係数「0.5(=30分/60分)」を乗算した値としてもよい。
【0033】
また、ユーザU2が訪問したスポット113における滞在時間帯は、「15時台」である。このため、スポット113における滞在時間帯に含まれる時間帯は、「15時台」のみである。この場合、スポット113の訪問に対するインセンティブ値は、例えば、スポット113の15時台の評価値となる。
【0034】
(4)情報処理装置101は、算出したインセンティブ値を合算した結果に基づいて、ユーザに付与するインセンティブを決定する。具体的には、例えば、情報処理装置101は、インセンティブ値を合算した結果に応じたポイントを、ユーザに付与するインセンティブに決定してもよい。
【0035】
図1の例では、インセンティブ値を合算した結果は、混雑しているスポットばかりを訪問したユーザU1よりも、空いているスポットばかりを訪問したユーザU2のほうが高くなる。このため、ユーザU2に付与されるインセンティブInc2は、ユーザU1に付与されるインセンティブInc1よりも高くなる。
【0036】
このように、情報処理装置101によれば、スポット111~116を含む対象地域110の訪問に対してユーザに付与するインセンティブを、スポット訪問による対象地域110全体の混雑緩和と閑散スポットの活性化への貢献を評価して決定することができる。これにより、情報処理装置101は、混んでいるスポットから出ることや、空いているスポットに行く動機をユーザに与えることができ、対象地域110における混雑スポットを減らしつつ、閑散スポットの活性化を図ることができる。
【0037】
図1の例では、各ユーザU1,U2に付与されるインセンティブInc1,Inc2の違いを明確にするために、ユーザU1が混雑しているスポットばかりを訪問する場合を説明した。ユーザU1のように、高いインセンティブが得られないことを知った上で混雑スポットを訪問する者がいても、より高いインセンティブが得られるよう、混雑スポットを避けて空いているスポットに移動するユーザが増加し、混雑スポットに長時間滞在するユーザが少なくなることで、全体として混雑緩和と閑散スポットへの誘客を期待できる。
【0038】
(情報処理システム200のシステム構成例)
つぎに、
図1に示した情報処理装置101を含む情報処理システム200のシステム構成例について説明する。ここでは、
図1に示した情報処理装置101を、情報処理システム200内のインセンティブ決定装置201に適用した場合を例に挙げて説明する。情報処理システム200は、例えば、観光地における混雑を軽減するためのコンピュータシステムに適用される。
【0039】
図2は、情報処理システム200のシステム構成例を示す説明図である。
図2において、情報処理システム200は、インセンティブ決定装置201と、複数のユーザ端末202と、複数のスポット端末203と、を含む。情報処理システム200において、インセンティブ決定装置201、ユーザ端末202およびスポット端末203は、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などである。
【0040】
ここで、インセンティブ決定装置201は、定員情報テーブル220、混雑状況DB(Database)230およびスポット滞在時間DB240を有し、ユーザに付与するインセンティブを決定するコンピュータである。インセンティブの付与対象となるユーザは、対象地域TAを訪問した者である。
【0041】
対象地域TAは、例えば、観光地である。対象地域TAは、複数のスポットを含む。スポットは、例えば、施設、場所、エリアなどの観光スポットである。インセンティブ決定装置201は、例えば、サーバである。なお、定員情報テーブル220、混雑状況DB230およびスポット滞在時間DB240の記憶内容については、
図5~
図7を用いて後述する。
【0042】
以下の説明では、対象地域TAに含まれる複数のスポットを「スポットS1~Sn」と表記する場合がある(n:2以上の自然数)。また、スポットS1~Snのうちの任意のスポットを「スポットSi」と表記する場合がある(i=1,2,…,n)。
【0043】
ユーザ端末202は、情報処理システム200のユーザが使用するコンピュータである。例えば、対象地域TAを「観光地」とすると、ユーザは、「観光客」である。ユーザ端末202は、例えば、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)などである。また、ユーザ端末202は、ユーザが使用する車両に搭載されるナビゲーション装置であってもよい。
【0044】
また、ユーザ端末202は、スポットSiの訪問/退出を検出する機能を有していてもよい。具体的には、例えば、ユーザ端末202は、自端末の位置情報に基づいて、予め設定された各スポットSiのジオフェンスへの進入、退出を検知する。ジオフェンスとは、仮想的な境界線で囲まれた領域を表す。そして、ユーザ端末202は、スポットSiのジオフェンスへの進入を検知した場合に、スポットSiへの訪問を検出する。また、ユーザ端末202は、スポットSiのジオフェンスからの退出を検知した場合に、スポットSiからの退出を検出する。
【0045】
また、ユーザ端末202は、スポットSiに設置されたビーコン発信機からのビーコンを受信した場合に、スポットSiへの訪問を検出してもよい。また、ユーザ端末202は、スポットSiに設置されたビーコン発信機からのビーコンを受信できなくなった場合に、スポットSiからの退出を検出してもよい。
【0046】
また、ユーザ端末202は、スポットSiに配置されたコード情報が読み込まれた場合に、スポットSiへの訪問を検出してもよい。コード情報は、例えば、QR(Quick Response)コードである。QRコードは、登録商標である。この場合、ユーザ端末202は、例えば、スポットSiへの訪問を検出した後、他のスポットSj(j≠i、j=1,2,…,n)への訪問を検出した際に、スポットSiからの退出を検出してもよい。ただし、スポットSiの退出時刻は、他のスポットSjの訪問時刻から、スポットSiから他のスポットSjまでの移動時間を差し引いたものとしてもよい。
【0047】
スポット端末203は、各スポットSiに設置され、各スポットSiの滞在人数を計測するコンピュータである。滞在人数は、計測時点においてスポットSiに滞在しているユーザの数を示す。具体的には、例えば、スポット端末203は、スポットSiに設置されたカメラにより撮影された映像データを解析することによって、スポットSiの滞在人数を計測してもよい。
【0048】
また、スポット端末203は、スポットSiの出入り口に設けられたセンサによりユーザの進入、退出を検知することによって、スポットSiの滞在人数を計測してもよい。また、スポット端末203は、スポットSiに設置されるビーコン受信機と、ユーザが有するビーコン発信機(例えば、ユーザ端末202)とを用いて、スポットSiの滞在人数を計測してもよい。
【0049】
ただし、スポットSiの滞在人数は、例えば、インセンティブ決定装置201が、スポットSiの位置情報とユーザ端末202の位置情報とを用いて計測してもよい。例えば、インセンティブ決定装置201は、スポットSiの位置情報に基づいて、各スポットSiに対応するジオフェンスを設定する。また、インセンティブ決定装置201は、ユーザ端末202の位置情報を受信する。そして、インセンティブ決定装置201は、受信したユーザ端末202の位置情報に基づいて、各スポットSiのジオフェンスへの進入、退出を検出することによって、スポットSiの滞在人数を計測してもよい。
【0050】
(インセンティブ決定装置201のハードウェア構成例)
つぎに、インセンティブ決定装置201のハードウェア構成例について説明する。
【0051】
図3は、インセンティブ決定装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3において、インセンティブ決定装置201は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ディスクドライブ303と、ディスク304と、通信I/F(Interface)305と、可搬型記録媒体I/F306と、可搬型記録媒体307と、を有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
【0052】
ここで、CPU301は、インセンティブ決定装置201の全体の制御を司る。CPU301は、複数のコアを有していてもよい。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMがOSのプログラムを記憶し、ROMがアプリケーションプログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
【0053】
ディスクドライブ303は、CPU301の制御に従ってディスク304に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク304は、ディスクドライブ303の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク304は、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどである。
【0054】
通信I/F305は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、
図2に示したユーザ端末202、スポット端末203)に接続される。そして、通信I/F305は、ネットワーク210と装置内部とのインターフェースを司り、外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。通信I/F305は、例えば、モデムやLANアダプタなどである。
【0055】
可搬型記録媒体I/F306は、CPU301の制御に従って可搬型記録媒体307に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体307は、可搬型記録媒体I/F306の制御で書き込まれたデータを記憶する。可搬型記録媒体307は、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどである。
【0056】
なお、インセンティブ決定装置201は、上述した構成部のほかに、例えば、入力装置、ディスプレイなどを有してもよい。また、インセンティブ決定装置201は、上述した構成部のうち、例えば、可搬型記録媒体I/F306、可搬型記録媒体307を有さなくてもよい。また、
図2に示したスポット端末203についても、インセンティブ決定装置201と同様のハードウェア構成により実現することができる。ただし、スポット端末203は、カメラやビーコン受信機などを有してもよい。
【0057】
(ユーザ端末202のハードウェア構成例)
つぎに、ユーザ端末202のハードウェア構成例について説明する。
【0058】
図4は、ユーザ端末202のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4において、ユーザ端末202は、CPU401と、メモリ402と、GPS(Global Positioning System)ユニット403と、通信I/F(Interface)404と、ディスプレイ405と、入力装置406と、可搬型記録媒体I/F407と、可搬型記録媒体408と、を有する。また、各構成部はバス400によってそれぞれ接続される。
【0059】
ここで、CPU401は、ユーザ端末202の全体の制御を司る。CPU401は、複数のコアを有していてもよい。メモリ402は、例えば、ROM、RAMおよびフラッシュROMなどを有する記憶部である。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU401のワークエリアとして使用される。メモリ402に記憶されるプログラムは、CPU401にロードされることで、コーディングされている処理をCPU401に実行させる。
【0060】
GPSユニット403は、GPS衛星からの電波を受信し、ユーザ端末202の位置情報を出力する。ユーザ端末202の位置情報は、例えば、緯度、経度などの地球上の1点を特定する情報である。また、情報処理装置101は、DGPS(Differential GPS)により、GPSユニット403から出力される位置情報を補正することにしてもよい。また、衛星として、例えば、準天頂衛星システムの衛星を用いることにしてもよい。
【0061】
通信I/F404は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、インセンティブ決定装置201、スポット端末203)に接続される。そして、通信I/F404は、ネットワーク210と自装置内部とのインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。
【0062】
ディスプレイ405は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する表示装置である。ディスプレイ405は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。
【0063】
入力装置406は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを有し、データの入力を行う。入力装置406は、キーボードやマウスなどであってもよく、また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。
【0064】
可搬型記録媒体I/F407は、CPU401の制御に従って可搬型記録媒体408に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体408は、可搬型記録媒体I/F407の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0065】
なお、ユーザ端末202は、上述した構成部のほかに、例えば、カメラ、HDD(Hard Disk Drive)、SSDなどを有してもよい。また、ユーザ端末202は、QRコードなどのコード情報を読み取る機能を有してもよい。
【0066】
(各種テーブル等220,230,240の記憶内容)
つぎに、
図5~
図7を用いて、インセンティブ決定装置201が有する各種テーブル等220,230,240の記憶内容について説明する。各種テーブル等220,230,240は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。
【0067】
図5は、定員情報テーブル220の記憶内容の一例を示す説明図である。
図5において、定員情報テーブル220は、スポットIDおよび定員のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、定員情報(例えば、定員情報500-1~500-4)をレコードとして記憶する。
【0068】
ここで、スポットIDは、スポットSiを一意に識別する識別子である。定員は、スポットSiの定員である(単位:人)。例えば、定員情報500-1は、スポットS1の定員「3000人」を示す。
【0069】
図6は、混雑状況DB230の記憶内容の一例を示す説明図である。
図6において、混雑状況DB230は、日付、スポットIDおよび時間帯別混雑状況のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、混雑状況情報(例えば、混雑状況情報600-1)をレコードとして記憶する。
【0070】
ここで、日付は、年月日を示す。スポットIDは、スポットSiを一意に識別する識別子を示す。時間帯別混雑状況は、スポットSiの時間帯別の混雑状況を示す。時間帯は、1時間ごとに区切られている。混雑状況は、スポットSiの滞在人数によって表される(単位:人)。
【0071】
例えば、混雑状況情報600-1は、2022年10月21日の各スポットS1~Snの時間帯別混雑状況を示す。スポットS1を例に挙げると、例えば、6時台(
図6中、「6-7」)の混雑状況は「0人」であり、11時台(
図6中、「11-12」)の混雑状況は「2700人」である。
【0072】
図7は、スポット滞在時間DB240の記憶内容の一例を示す説明図である。
図7において、スポット滞在時間DB240は、ユーザID、位置情報、日時情報、スポットID/名および滞在時間のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、スポット滞在時間情報(例えば、スポット滞在時間情報700-1~700-4)をレコードとして記憶する。
【0073】
ここで、ユーザIDは、ユーザを一意に識別する識別子を示す。位置情報は、ユーザの位置(緯度、経度)を示す。日時情報は、ユーザがスポットSiを訪問した日時を示す。スポットID/名は、ユーザが訪問したスポットSiのスポットIDおよびスポット名を示す。滞在時間は、ユーザがスポットSiに滞在した時間を示す。
【0074】
例えば、スポット滞在時間情報700-1によれば、ユーザU1が、2022年10月3日の8時00分から、スポットS4(Sビーチ)に3時間滞在したことを特定することができる。
【0075】
(インセンティブ決定装置201の機能的構成例)
図8は、インセンティブ決定装置201の機能的構成例を示すブロック図である。
図8において、インセンティブ決定装置201は、受付部801と、特定部802と、第1の算出部803と、第2の算出部804と、決定部805と、通知部806と、を含む。受付部801~通知部806は制御部800となる機能であり、具体的には、例えば、
図3に示したメモリ302、ディスク304、可搬型記録媒体307などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、通信I/F305により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置に記憶される。
【0076】
受付部801は、対象地域訪問通知を受け付ける。ここで、対象地域訪問通知は、対象地域TAをユーザが訪問したことを通知するものである。対象地域訪問通知には、例えば、ユーザID、日時情報、位置情報が含まれる。日時情報は、ユーザIDにより識別されるユーザが対象地域TAを訪問した日時を示す。
【0077】
位置情報は、ユーザIDにより識別されるユーザの位置を示す。位置情報は、例えば、ユーザ端末202のGPSユニット403(
図4参照)により出力される緯度、経度などの地球上の1点を特定する情報である。具体的には、例えば、受付部801は、ユーザ端末202から受信することにより、対象地域訪問通知を受け付ける。
【0078】
対象地域TAの訪問/退出は、例えば、ユーザ端末202により検出される。具体的には、例えば、ユーザ端末202は、自端末の位置情報に基づいて、対象地域TAへの進入、退出を検知することによって、対象地域TAの訪問、退出を検出する。
【0079】
また、受付部801は、スポット訪問通知を受け付ける。ここで、スポット訪問通知は、対象地域TAに含まれるスポットSiをユーザが訪問したことを通知するものである。スポット訪問通知には、例えば、ユーザID、日時情報、位置情報、スポットID/名が含まれる。
【0080】
日時情報は、ユーザIDにより識別されるユーザがスポットSiを訪問した日時を示す。位置情報は、ユーザIDにより識別されるユーザの位置を示す。スポットID/名は、スポットSiのスポットIDおよびスポット名である。具体的には、例えば、受付部801は、ユーザ端末202から受信することにより、スポット訪問通知を受け付ける。
【0081】
また、受付部801は、スポット退出通知を受け付ける。ここで、スポット退出通知は、スポットSiからユーザが退出したことを通知するものである。スポット退出通知には、例えば、ユーザID、日時情報、位置情報、スポットID/名が含まれる。日時情報は、ユーザIDにより識別されるユーザがスポットSiから退出した日時を示す。具体的には、例えば、受付部801は、ユーザ端末202から受信することにより、スポット退出通知を受け付ける。
【0082】
また、受付部801は、対象地域退出通知を受け付ける。ここで、対象地域退出通知は、対象地域TAからユーザが退出したことを通知するものである。対象地域退出通知には、例えば、ユーザID、日時情報、位置情報が含まれる。日時情報は、ユーザIDにより識別されるユーザが対象地域TAから退出した日時を示す。具体的には、例えば、受付部801は、ユーザ端末202から受信することにより、対象地域退出通知を受け付ける。
【0083】
特定部802は、対象地域TAに含まれるスポットS1~Snのうちユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定する。具体的には、例えば、特定部802は、受け付けたスポット訪問通知とスポット退出通知とに基づいて、訪問スポットにおける滞在時間帯を特定する。
【0084】
より詳細に説明すると、例えば、特定部802は、スポット訪問通知を受け付けたことに応じて、当該スポット訪問通知に含まれるユーザID、位置情報、日時情報およびスポットID/名を対応付けて記憶することにより、スポット滞在時間DB240(
図7参照)にスポット滞在時間情報を新規登録する。この時点では、スポット滞在時間情報の滞在時間は、「-(null)」である。
【0085】
つぎに、特定部802は、スポット退出通知を受け付けたことに応じて、スポット滞在時間DB240から当該スポット退出通知に含まれるユーザIDおよびスポットID/名に対応するスポット滞在時間情報を特定する。そして、特定部802は、特定したスポット滞在時間情報の日時情報と、スポット退出通知に含まれる日時情報との差を求めることにより、訪問スポットでの滞在時間を算出する。
【0086】
つぎに、特定部802は、算出した滞在時間を、特定したスポット滞在時間情報の滞在時間フィールドに設定する。そして、特定部802は、特定したスポット滞在時間情報の日時情報と、算出した滞在時間(または、スポット退出通知に含まれる日時情報)とから、訪問スポットにおける滞在時間帯を特定する。
【0087】
図7に示したスポット滞在時間情報700-1の例では、日時情報「2022/10/3 8:00」と滞在時間「3時間」とから、訪問スポットS4における滞在時間帯「8:00~10:59」が特定される。
【0088】
また、特定部802は、対象地域TAに含まれる各スポットSiの時間帯ごとの混雑度を特定する。ここで、混雑度は、混雑の度合いである。混雑度が高いほど、スポットSiが混雑していることを示す。混雑度が低いほど、スポットSiが空いていることを示す。混雑度は、例えば、各スポットSiの定員に対する各スポットSiの時間帯ごとの滞在人数の割合によって表される。
【0089】
具体的には、例えば、特定部802は、各スポットSiに設置されたスポット端末203から滞在人数情報を取得する。滞在人数情報は、スポット端末203により計測されたスポットSiの滞在人数を示す。滞在人数情報には、例えば、滞在人数、スポットID、計測日時などが含まれる。
【0090】
滞在人数情報の取得タイミングは、任意に設定可能である。例えば、滞在人数情報は、一定時間ごとに取得されてもよく、また、各種通知(例えば、対象地域訪問通知、スポット訪問/退出通知など)を受け付けたときに取得されてもよい。
【0091】
つぎに、特定部802は、取得した滞在人数情報に基づいて、各スポットSiの時間帯ごとの滞在人数を特定する。例えば、滞在人数「1500」、スポットID「S1」、計測日時「9:30」を含む滞在人数情報が取得されたとする。この場合、特定部802は、スポットS1の9時台の滞在人数を「1500」と特定する。
【0092】
また、スポットSiの同一時間帯について、複数の滞在人数情報が取得される場合がある。この場合、特定部802は、例えば、各滞在人数情報が示す滞在人数のうちの最大の滞在人数を、その時間帯のスポットSiの滞在人数として特定してもよい。また、特定部802は、各滞在人数情報が示す滞在人数の平均値を、その時間帯のスポットSiの滞在人数として特定してもよい。
【0093】
算出された各スポットSiの時間帯ごとの滞在人数は、例えば、
図6に示した混雑状況DB230に記憶される。そして、特定部802は、混雑状況DB230を参照して、各スポットSiの時間帯ごとの混雑度を特定する。
【0094】
より詳細に説明すると、例えば、特定部802は、
図5に示した定員情報テーブル220を参照して、各スポットSiの定員を特定する。また、特定部802は、混雑状況DB230を参照して、各スポットSiの時間帯ごとの滞在人数を特定する。そして、特定部802は、各スポットSiの定員に対する各スポットSiの時間帯ごとの滞在人数の割合を算出することにより、各スポットSiの時間帯ごとの混雑度を特定する。
【0095】
通知部806は、対象地域TAを訪問したユーザに対して、キャンペーン情報を通知してもよい。ここで、キャンペーン情報は、対象地域TAにおいて訪問者に対してインセンティブ付与のキャンペーンを実施していることを通知するための情報である。
【0096】
キャンペーン情報は、例えば、対象地域TAに含まれるスポットS1~Snのうち空いているスポットに長時間滞在するほど、対象地域TAの訪問に対するインセンティブが高くなる旨の情報である。また、キャンペーン情報は、例えば、対象地域TAに含まれるスポットS1~Snのうち混んでいるスポットに長時間滞在するほど、対象地域TAの訪問に対するインセンティブが低くなる旨の情報であってもよい。
【0097】
具体的には、例えば、通知部806は、対象地域TAをユーザが訪問した際に、当該ユーザに対応するユーザ端末202にキャンペーン情報を送信してもよい。対象地域TAへの訪問は、例えば、ユーザ端末202から対象地域訪問通知を受け付けたことに応じて検知される。
【0098】
また、通知部806は、各スポットSiの混雑度を特定可能な混雑情報を通知する。ここで、混雑情報は、例えば、各スポットSiのスポット名と対応付けて、各スポットSiの混雑度を表す。混雑度は、例えば、各スポットSiの定員に対する各スポットSiの現時点(現在の時間帯)の滞在人数の割合(単位:%)によって表される。
【0099】
混雑情報の通知先は、例えば、対象地域TAに滞在中のユーザである。混雑情報の通知タイミングは、任意に設定可能である。例えば、混雑情報は、一定時間ごとに通知されてもよく、また、各種通知(例えば、スポット訪問/退出通知など)を受け付けたときに通知されてもよい。
【0100】
具体的には、例えば、通知部806は、対象地域TAに滞在中のユーザに対応するユーザ端末202に、各スポットSiの混雑度を特定可能な混雑情報を送信する。対象地域TAに滞在中のユーザは、例えば、対象地域訪問通知を受け付け、かつ、対象地域退場通知を受け付けていないユーザである。
【0101】
なお、キャンペーン情報および混雑情報の通知例については、
図11を用いて後述する。
【0102】
第1の算出部803は、特定された各スポットSiの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、各スポットSiの時間帯ごとの評価値を算出する。ここで、評価値は、対象地域TAの訪問に対するインセンティブの決定に用いられる値である。評価値は、例えば、正の値であっても、負の値であってもよい。
【0103】
具体的には、例えば、第1の算出部803は、特定された混雑度が閾値αより大きい場合は、当該混雑度が高いほど低くなるように、負の値である評価値を算出する。また、第1の算出部803は、混雑度が閾値α以下の場合は、当該混雑度が低いほど高くなるように、正の値である評価値を算出する。
【0104】
閾値αは、任意に設定可能である。例えば、各スポットSiの時間帯ごとの混雑度が、各スポットSiの定員に対する各スポットSiの時間帯ごとの滞在人数の割合によって表されるとする(単位:%)。この場合、閾値αは、例えば、「α=100%」に設定される。
【0105】
この場合、スポットSiのある時間帯の混雑度が100%を超えるほど、その時間帯の評価値は、マイナス(負)の値が大きい評価値となる。一方、スポットSiのある時間帯の混雑度が100%を下回るほど、その時間帯の評価値は、プラス(正)の値が大きい評価値となる。
【0106】
なお、各スポットSiの時間帯ごとの評価値の算出例については、
図9および
図10を用いて後述する。
【0107】
第2の算出部804は、算出された各スポットSiの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定された各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出する。ここで、インセンティブ値は、スポットSiへの訪問が、対象地域TAにおける混雑緩和や閑散スポットの活性化にどれだけ貢献したかの貢献度合いを表す。
【0108】
具体的には、例えば、第2の算出部804は、各スポットSiの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定された各訪問スポットにおける滞在時間帯に含まれる時間帯の評価値を合算することにより、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出する。
【0109】
例えば、訪問スポットS4における滞在時間帯を「8:00~10:59」とする。この場合、第2の算出部804は、滞在時間帯「8:00~10:59」に含まれる時間帯「8時台、9時台、10時台」を特定する。そして、第2の算出部804は、訪問スポットS4の時間帯ごとの評価値のうち、特定した各時間帯「8時台、9時台、10時台」の評価値を合算することにより、訪問スポットS4の訪問に対するインセンティブ値を算出する。
【0110】
また、訪問スポットS4における滞在時間帯を「8:00~10:29」とする。この場合、第2の算出部804は、滞在時間帯「8:00~10:29」に含まれる時間帯「8時台、9時台、10時台」を特定する。ただし、時間帯「10時台」については、30分だけ滞在している。この場合、第2の算出部804は、訪問スポットS4の訪問に対するインセンティブ値を算出するにあたり、時間帯「10時台」については、実際の滞在時間「30分」を60分(各時間帯の時間長)で割った値「0.5」を評価値に乗算してもよい。例えば、訪問スポットS4の訪問に対するインセンティブ値は、『時間帯「8時台」の評価値+時間帯「9時台」の評価値+0.5(8時間帯「10時台」の評価値)」』となる。
【0111】
なお、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値の算出例については、
図9および
図10を用いて後述する。以下の説明では、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を「各訪問スポットのインセンティブ値」と表記する場合がある。
【0112】
決定部805は、算出された各訪問スポットのインセンティブ値を合算した結果に基づいて、ユーザに付与するインセンティブを決定する。具体的には、例えば、決定部805は、インセンティブ値を合算した結果に応じたポイントを、ユーザに付与するインセンティブに決定してもよい。ポイントは、例えば、対象地域TAにおいて利用可能なポイントである。
【0113】
また、決定部805は、算出された各訪問スポットのインセンティブ値を合算した結果と、特定された各訪問スポットにおける滞在時間帯の時間長を合算した結果とに基づいて、ユーザに付与するインセンティブを決定してもよい。ここで、各訪問スポットにおける滞在時間帯の時間長を合算した結果を「総滞在時間長」とする。
【0114】
この場合、決定部805は、例えば、総滞在時間長に応じたインセンティブの原資を設定する。インセンティブの原資は、例えば、対象地域TAにおいて利用可能なポイントに相当するものであってもよい。そして、決定部805は、設定した原資のうち、インセンティブ値を合算した結果に応じた分のインセンティブを、ユーザに付与するインセンティブに決定してもよい。
【0115】
インセンティブの決定タイミングは、任意に設定可能である。例えば、インセンティブは、対象地域退出通知を受け付けたときに決定されてもよい。これにより、インセンティブ決定装置201は、例えば、対象地域TAの訪問が終了したタイミングでインセンティブを決定することができる。
【0116】
また、インセンティブは、対象地域TAにユーザが滞在中の一定時間(例えば、1時間)ごとに決定されてもよい。これにより、インセンティブ決定装置201は、対象地域TAに滞在中にインセンティブの途中経過をユーザに通知可能となる。
【0117】
なお、ユーザに付与するインセンティブの決定例については、
図9および
図10を用いて後述する。
【0118】
また、通知部806は、決定されたインセンティブをユーザに通知する。また、通知部806は、決定されたインセンティブと対応付けて、特定された各訪問スポットにおける滞在時間帯や滞在時間長を通知してもよい。また、通知部806は、決定されたインセンティブと対応付けて、特定された各訪問スポットにおける滞在時間帯における混雑度を通知してもよい。
【0119】
具体的には、例えば、通知部806は、決定されたインセンティブを付与するユーザに対応するユーザ端末202に、インセンティブ付与通知を送信する。インセンティブ付与通知には、決定されたインセンティブを特定可能な情報が含まれる。また、インセンティブ付与通知には、各訪問スポットにおける滞在時間帯や、その滞在時間帯における混雑度などを特定可能な情報が含まれていてもよい。
【0120】
インセンティブの通知例については、
図12を用いて後述する。決定されたインセンティブを実際にユーザに付与する処理は、例えば、インセンティブ決定装置201により実行されてもよく、また、インセンティブ決定装置201とは異なる他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0121】
なお、混雑情報を通知した後、当該混雑情報から特定される混雑度が第1の閾値未満の第1のスポットにユーザが訪問するまでの間に、第1のスポットの混雑度が第2の閾値以上に変化する場合がある。ここで、第1の閾値は、混雑度が第1の閾値未満のときは、スポットSiが空いていると判断できる値に設定される。第1の閾値は、例えば、30%程度の値に設定される。
【0122】
第2の閾値は、第1の閾値よりも高い値であり、混雑度が第2の閾値以上のときは、スポットSiが混んでいると判断できる値に設定される。第2の閾値は、例えば、上述した閾値αである。例えば、ユーザが、通知された混雑情報を参照して、空いている第1のスポットを訪問しようと移動している間に、第1のスポットが混雑する場合がある。
【0123】
この場合、第2の算出部804は、第1のスポットの訪問に対するインセンティブ値を算出する際に、混雑情報から特定される混雑度が第2の閾値以上のスポットに訪問した場合に比べて高くなるように調整してもよい。具体的には、例えば、第2の算出部804は、第1のスポットにおける滞在時間帯の時間長を短くして、負の値のインセンティブ値が大きくならないように調整してもよい。また、第2の算出部804は、第1のスポットにおける滞在時間帯に含まれる時間帯の評価値を、混雑情報から特定される第1のスポットの混雑度(第1の閾値未満の混雑度)に基づく評価値としてもよい。
【0124】
また、通知部806は、ユーザが訪問スポットに滞在中に、当該訪問スポットの混雑度が第1の閾値未満となった場合、訪問スポットに滞在し続けると、ユーザに付与されるインセンティブが上がる旨の情報をユーザに通知してもよい。ユーザが滞在中の訪問スポットは、例えば、スポット滞在時間DB240内のユーザに対応するスポット滞在時間情報のうち、滞在時間が未設定のスポット滞在時間情報から特定される。
【0125】
具体的には、例えば、通知部806は、訪問スポットの混雑度が第1の閾値未満となった場合、当該訪問スポットに滞在中のユーザに対応するユーザ端末202に、滞在推奨メッセージを送信してもよい。滞在推奨メッセージは、空いてきたため、この訪問スポットに滞在し続けると、インセンティブが上がる旨のメッセージである。
【0126】
また、通知部806は、ユーザが訪問スポットに滞在中に、当該訪問スポットの混雑度が第2の閾値以上となった場合、訪問スポットに滞在し続けると、ユーザに付与されるインセンティブが下がる旨の情報をユーザに通知してもよい。具体的には、例えば、通知部806は、訪問スポットの混雑度が第2の閾値以上となった場合、当該訪問スポットに滞在中のユーザに対応するユーザ端末202に、退出推奨メッセージを送信してもよい。退出推奨メッセージは、混んできたため、この訪問スポットに滞在し続けると、インセンティブが下がる旨のメッセージである。
【0127】
なお、通知部806は、各種情報(インセンティブ付与通知など)の通知手段として、例えば、電子メールサービスやショートメッセージサービスを利用してもよい。また、インセンティブ決定装置201は、例えば、各スポットSiの時間帯ごとの混雑度として、同一時期(例えば、同じ季節)の過去の混雑状況から予測された混雑度(予測混雑度)を用いることにしてもよい。
【0128】
また、インセンティブ決定装置201は、混雑度が第1の閾値未満の訪問スポットにユーザが滞在中に、当該訪問スポットの混雑度が所定時間内に第2の閾値以上となるか否かを判断してもよい。所定時間は、任意に設定可能であり、例えば、1~3時間程度に設定される。
【0129】
具体的には、例えば、インセンティブ決定装置201は、直近の期間(例えば、直近数時間)の訪問スポットの混雑度の時間変化から、現時点から所定時間内の訪問スポットの混雑度の時間変化を予測する。混雑度の時間変化は、例えば、線形予測等の既存手法によって予測される。
【0130】
そして、インセンティブ決定装置201は、予測した混雑度の時間変化から、当該訪問スポットの混雑度が所定時間内に第2の閾値以上となるか否かを判断する。ここで、第2の閾値以上となると判断した場合、インセンティブ決定装置201は、当該訪問スポットに滞在中のユーザに、混雑予測情報を通知してもよい。
【0131】
混雑予測情報は、例えば、これから訪問スポットが混雑することが予測される旨の情報である。そして、インセンティブ決定装置201は、混雑予測情報を通知してから一定時間内(例えば、30分以内)に当該訪問スポットからユーザが退出した場合、そのユーザについて、当該訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出する際に割り増ししてもよい。
【0132】
インセンティブ値の割り増しは、例えば、算出されたインセンティブ値に、係数を乗算したり、所定値を加算したりして行われる。係数は、算出されたインセンティブ値が正の値の場合、1より大きい値である。一方、算出されたインセンティブ値が負の値の場合、係数は、1より小さい値である。
【0133】
これにより、インセンティブ決定装置201は、現在は空いているが将来混雑が予想される訪問スポットからの退出をユーザに促すとともに、その訪問スポットから混雑する前に早めに離れたユーザについて、インセンティブ値を割り増しすることができる。
【0134】
(インセンティブの決定例)
ここで、
図9および
図10を用いて、ユーザに付与するインセンティブの決定例について説明する。ここでは、対象地域TAを訪問したユーザを「ユーザU1~U3」とし、対象地域TAに含まれるスポットSa,Sbを各ユーザU1~U3が異なる時間帯に訪問した場合を例に挙げて説明する。スポットSa,Sbは、スポットS1~Snのいずれかである。
【0135】
図9および
図10は、スポットの時間帯ごとの混雑度の一例を示す説明図である。
図9において、グラフ900は、スポットSaの時間帯ごとの混雑度の時間変化を示す。縦軸は、混雑度を示す。横軸は、時間を示す。混雑度は、スポットSaの定員に対するスポットSaの時間帯ごとの滞在人数の割合によって表される(単位:%)。
【0136】
また、
図10において、グラフ1000は、スポットSbの時間帯ごとの混雑度の時間変化を示す。縦軸は、混雑度を示す。横軸は、時間を示す。混雑度は、スポットSbの定員に対するスポットSbの時間帯ごとの滞在人数の割合によって表される(単位:%)。
【0137】
ここでは、第1の算出部803は、スポットSa,Sbの時間帯ごとの評価値を算出するにあたり、混雑度が閾値αより大きい場合は、当該混雑度が高いほど低くなるように、負の値である評価値を算出する。また、第1の算出部803は、混雑度が閾値α以下の場合は、当該混雑度が低いほど高くなるように、正の値である評価値を算出する。
【0138】
ここで、閾値αを「α=100%」とする。第1の算出部803は、例えば、下記式(1)を用いて、スポットSa,Sbの時間帯ごとの評価値を算出することができる。ただし、評価値(t)は、時間帯tの評価値である。混雑度(t)は、時間帯tの混雑度である。
【0139】
評価値(t)=α-混雑度(t) ・・・(1)
【0140】
上記式(1)によれば、例えば、スポットSaの時間帯「6時台」の評価値は、「100(=100-0)」となる。また、スポットSaの時間帯「10時台」の評価値は、「-10(=100-110)となる。また、スポットSaの時間帯「14時台」の評価値は、「80(=100-20)となる。
【0141】
また、上記式(1)によれば、例えば、スポットSbの時間帯「6時台」の評価値は、「100(=100-0)」となる。また、スポットSbの時間帯「10時台」の評価値は、「90(=100-10)となる。また、スポットSaの時間帯「14時台」の評価値は、「10(=100-90)となる。
【0142】
ここで、ユーザU1が、スポットSaに10時00分から60分滞在し、スポットSbに13時00分から120分滞在した場合を想定する。また、ユーザU2が、スポットSaに10時00分から120分滞在し、スポットSbに14時00分から60分滞在した場合を想定する。また、ユーザU3が、スポットSaに14時00分から120分滞在し、スポットSbに10時00分から120分滞在した場合を想定する。
【0143】
図9中、符号901は、ユーザU1のスポットSaにおける滞在時間帯「10:00~10:59」を示す。
図10中、符号1001は、ユーザU1のスポットSbにおける滞在時間帯「13:00~14:59」を示す。また、
図9中、符号902は、ユーザU2のスポットSaにおける滞在時間帯「10:00~11:59」を示す。
図10中、符号1002は、ユーザU2のスポットSbにおける滞在時間帯「14:00~14:59」を示す。また、
図9中、符号903は、ユーザU3のスポットSaにおける滞在時間帯「14:00~15:59」を示す。
図10中、符号1003は、ユーザU3のスポットSbにおける滞在時間帯「10:00~11:59」を示す。
【0144】
第2の算出部804は、ユーザU1~U3それぞれについて、例えば、各スポットSa,Sbにおける滞在時間帯に含まれる時間帯の評価値を合算することにより、各訪問スポットSa,Sbの訪問に対するインセンティブ値を算出する。
【0145】
まず、ユーザU1について、各スポットSa,Sbの訪問に対するインセンティブ値の算出例について説明する。第2の算出部804は、スポットSaについて、滞在時間帯「10:00~10:59」に含まれる時間帯「10時台」を特定する。そして、第2の算出部804は、スポットSaの時間帯ごとの評価値のうち、特定した時間帯「10時台」の評価値「-10」を、スポットSaの訪問に対するインセンティブ値として算出する。
【0146】
また、第2の算出部804は、スポットSbについて、滞在時間帯「13:00~14:59」に含まれる時間帯「13時台、14時台」を特定する。そして、第2の算出部804は、スポットSbの時間帯ごとの評価値のうち、特定した時間帯「13時台、14時台」の評価値「-10,10」を合算することにより、スポットSbの訪問に対するインセンティブ値を算出する。ここでは、スポットSaのインセンティブ値は「-10」となる。また、スポットSbのインセンティブ値は「0」となる。
【0147】
つぎに、ユーザU2について、各スポットSa,Sbの訪問に対するインセンティブ値の算出例について説明する。第2の算出部804は、スポットSaについて、滞在時間帯「10:00~11:59」に含まれる時間帯「10時台、11時台」を特定する。そして、第2の算出部804は、スポットSaの時間帯ごとの評価値のうち、特定した時間帯「10時台、11時台」の評価値「-10,10」を合算することにより、スポットSaの訪問に対するインセンティブ値を算出する。
【0148】
また、第2の算出部804は、スポットSbについて、滞在時間帯「14:00~14:59」に含まれる時間帯「14時台」を特定する。そして、第2の算出部804は、スポットSbの時間帯ごとの評価値のうち、特定した時間帯「14時台」の評価値「10」を、スポットSbの訪問に対するインセンティブ値として算出する。ここでは、スポットSaのインセンティブ値は「0」となる。また、スポットSbのインセンティブ値は「10」となる。
【0149】
つぎに、ユーザU3について、各スポットSa,Sbの訪問に対するインセンティブ値の算出例について説明する。第2の算出部804は、スポットSaについて、滞在時間帯「14:00~15:59」に含まれる時間帯「14時台、15時台」を特定する。そして、第2の算出部804は、スポットSaの時間帯ごとの評価値のうち、特定した時間帯「14時台、15時台」の評価値「80,90」を合算することにより、スポットSaの訪問に対するインセンティブ値を算出する。
【0150】
また、第2の算出部804は、スポットSbについて、滞在時間帯「10:00~11:59」に含まれる時間帯「10時台、11時台」を特定する。そして、第2の算出部804は、スポットSbの時間帯ごとの評価値のうち、特定した時間帯「10時台、11時台」の評価値「90,90」を合算することにより、スポットSbの訪問に対するインセンティブ値を算出する。ここでは、スポットSaのインセンティブ値は「170」となる。また、スポットSbのインセンティブ値は「180」となる。
【0151】
決定部805は、ユーザU1~U3それぞれについて、例えば、各スポットSa,Sbのインセンティブ値を合算した結果と、スポットSa,Sbの総滞在時間長とに基づいて、インセンティブを決定する。総滞在時間長は、各スポットSa,Sbにおける滞在時間帯の時間長を合算した結果である。
【0152】
まず、ユーザU1に付与するインセンティブの決定例について説明する。決定部805は、ユーザU1について、スポットSa,Sbの総滞在時間長を算出する。スポットSa,Sbの総滞在時間長は、「180分」である。この場合、決定部805は、総滞在時間長「180分」に応じたインセンティブの原資「300」を設定する。インセンティブの原資は、例えば、「総滞在時間長(ただし、単位は、時間)×100」によって求められる。
【0153】
つぎに、決定部805は、ユーザU1について、各スポットSa,Sbのインセンティブ値を合算した結果を算出する。各スポットSa,Sbのインセンティブ値を合算した結果は、「-10(=-10+0)」となる。
【0154】
そして、決定部805は、設定した原資「300」のうち、インセンティブ値を合算した結果「-10」に応じた分のインセンティブを、ユーザU1に付与するインセンティブに決定する。ただし、インセンティブ値を合算した結果「-10」が負の場合、決定部805は、例えば、ユーザU1に付与するインセンティブを「0(インセンティブなし)」に決定する。
【0155】
つぎに、ユーザU2に付与するインセンティブの決定例について説明する。決定部805は、ユーザU2について、スポットSa,Sbの総滞在時間長を算出する。スポットSa,Sbの総滞在時間長は、「180分」である。この場合、決定部805は、総滞在時間長「180分」に応じたインセンティブの原資「300(3時間分)」を設定する。
【0156】
つぎに、決定部805は、ユーザU2について、各スポットSa,Sbのインセンティブ値を合算した結果を算出する。各スポットSa,Sbのインセンティブ値を合算した結果は、「10(=0+10)」となる。そして、決定部805は、設定した原資「300」のうち、インセンティブ値を合算した結果「10」に応じた分のインセンティブ「10」を、ユーザU2に付与するインセンティブに決定する。
【0157】
つぎに、ユーザU3に付与するインセンティブの決定例について説明する。決定部805は、ユーザU3について、スポットSa,Sbの総滞在時間長を算出する。スポットSa,Sbの総滞在時間長は、「240分」である。この場合、決定部805は、総滞在時間長「240分」に応じたインセンティブの原資「400(4時間分)」を設定する。
【0158】
つぎに、決定部805は、ユーザU3について、各スポットSa,Sbのインセンティブ値を合算した結果を算出する。各スポットSa,Sbのインセンティブ値を合算した結果は、「350(=170+180)」となる。そして、決定部805は、設定した原資「400」のうち、インセンティブ値を合算した結果「350」に応じた分のインセンティブ「350」を、ユーザU3に付与するインセンティブに決定する。
【0159】
ここでは、各ユーザU1~U3に付与するインセンティブを、インセンティブ値を合算した結果分の値に決定することにしたが、これに限らない。例えば、インセンティブの原資を超えない範囲において、インセンティブ値を合算した結果に応じてどのような割合でインセンティブを決定するかは、任意に設定可能である。
【0160】
(キャンペーン情報および混雑情報の通知例)
つぎに、
図11を用いて、キャンペーン情報および混雑情報の通知例について説明する。ここでは、対象地域TAを「○○島」という観光地とし、スポットS1~Snを「観光スポットA~F」とする。
【0161】
図11は、キャンペーン情報および混雑情報の通知例を示す説明図である。
図11において、混雑状況画面1100は、対象地域TAを訪問したユーザが使用するユーザ端末202に表示される画面の一例である。混雑状況画面1100は、キャンペーン情報1101と混雑情報1102とを含む。
【0162】
キャンペーン情報1101は、対象地域TAにおいて訪問者に対してインセンティブ付与のキャンペーンを実施していることを通知する情報である。キャンペーン情報は、空いているスポットに長時間滞在するほど、インセンティブの付与率が高くなる旨のメッセージを含む。
【0163】
混雑情報1102は、××時○○分の時点における各観光スポットA~Fの混雑度を特定可能な情報である。混雑情報1102は、各観光スポットA~Fのスポット名と混雑度とを含む。混雑情報1102の内容は、例えば、対象地域TAにユーザが滞在中において随時更新される。
【0164】
混雑状況画面1100によれば、ユーザは、○○島を盛り上げるためのキャンペーンが実施されており、空いている観光スポットに長時間滞在するほど、○○島の訪問に対して付与されるインセンティブの付与率が高くなることを把握することができる。また、ユーザは、混んでいる観光スポットに長時間滞在するほど、○○島の訪問に対して付与されるインセンティブの付与率が低くなることを把握することができる。
【0165】
また、混雑状況画面1100によれば、ユーザは、現時点(××時○○分)における各観光スポットA~Fの混雑度合いを把握することができる。例えば、ユーザは、空いている観光スポットC,D,Eに行ったり、混んでいる観光スポットB,Fを避けたりすることができる。
【0166】
なお、インセンティブ決定装置201は、混雑情報1102について、
図11に示したようなリスト形式で表示するのではなく、例えば、地図形式で表示してもよい。具体的には、例えば、インセンティブ決定装置201は、混雑状況画面1100において、対象地域TAの地図上にユーザの位置と各スポットSiの位置を表示しつつ、各スポットSiの混雑度を色やアイコンなどによって表すことにしてもよい。
【0167】
(インセンティブの通知例)
つぎに、
図12を用いて、インセンティブの通知例について説明する。ここでは、対象地域TAを「○○島」という観光地とし、スポットS1~Snを「観光スポットA~F」とする。
【0168】
図12は、インセンティブの通知例を示す説明図である。
図12において、インセンティブ通知画面1200は、対象地域TAを訪問したユーザが使用するユーザ端末202に表示される画面の一例である。インセンティブ通知画面1200は、例えば、ユーザが○○島(対象地域TA)での観光が終了して、○○島から離れたときに表示される。
【0169】
インセンティブ通知画面1200には、対象地域TAの訪問に対してユーザに付与されたインセンティブ(×××ポイント)が表示されている。また、インセンティブ通知画面1200には、ユーザが訪問した観光スポットA,D,Eと、ユーザが訪問した際の各観光スポットA,D,Eの混雑率(混雑度に相当)と滞在時間とが表示されている。
【0170】
インセンティブ通知画面1200によれば、ユーザは、○○島における混雑緩和や閑散スポットの活性化に貢献したことで、「×××ポイント」のインセンティブが付与されたことを把握することができる。また、ユーザは、各観光スポットA,D,Eを訪問した際の混雑度合いや滞在時間を確認することができる。例えば、ユーザは、空いている観光スポットDや観光スポットEに訪問したことが、「×××ポイント」の獲得につながっていることがわかる。
【0171】
(ユーザ端末202の情報処理手順)
つぎに、
図13を用いて、ユーザ端末202の情報処理手順について説明する。
【0172】
図13は、ユーザ端末202の情報処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13のフローチャートにおいて、まず、ユーザ端末202は、対象地域TAに入ったか否かを判断する(ステップS1301)。ここで、ユーザ端末202は、対象地域TAに入るのを待つ(ステップS1301:No)。
【0173】
ユーザ端末202は、対象地域TAに入った場合(ステップS1301:Yes)、インセンティブ決定装置201に対象地域訪問通知を送信する(ステップS1302)。つぎに、ユーザ端末202は、インセンティブ決定装置201から、対象地域TAの各スポットSiの混雑度を特定可能な混雑情報を受信する(ステップS1303)。この際、ユーザ端末202は、インセンティブ決定装置201からキャンペーン情報を受信してもよい。
【0174】
そして、ユーザ端末202は、受信した混雑情報に基づいて、混雑状況画面をディスプレイ405に表示する(ステップS1304)。混雑状況画面は、混雑情報とキャンペーン情報を含む。混雑状況画面は、例えば、
図11に示したような混雑状況画面1100である。
【0175】
つぎに、ユーザ端末202は、対象地域TAから出たか否かを判断する(ステップS1305)。ここで、対象地域TAから出ていない場合(ステップS1305:No)、ユーザ端末202は、スポットSiの訪問/退出を検出したか否かを判断する(ステップS1306)。なお、訪問/退出は、訪問または退出を示す。
【0176】
ここで、スポットSiの訪問/退出を検出していない場合(ステップS1306:No)、ユーザ端末202は、ステップS1308に移行する。一方、スポットSiの訪問/退出を検出した場合(ステップS1306:Yes)、ユーザ端末202は、インセンティブ決定装置201にスポット訪問/退出通知を送信する(ステップS1307)。
【0177】
つぎに、ユーザ端末202は、各スポットSiの混雑度を特定可能な混雑情報を受信したか否かを判断する(ステップS1308)。ここで、混雑情報を受信していない場合(ステップS1308:No)、ユーザ端末202は、ステップS1305に戻る。一方、混雑情報を受信した場合(ステップS1308:Yes)、ユーザ端末202は、受信した混雑情報に基づいて、混雑状況画面を更新して(ステップS1309)、ステップS1305に戻る。
【0178】
また、ステップS1305において、対象地域TAから出た場合(ステップS1305:Yes)、ユーザ端末202は、インセンティブ決定装置201に対象地域退出通知を送信する(ステップS1310)。つぎに、ユーザ端末202は、インセンティブ決定装置201からインセンティブ付与通知を受信する(ステップS1311)。
【0179】
そして、ユーザ端末202は、受信したインセンティブ付与通知に基づいて、インセンティブ通知画面をディスプレイ405に表示して(ステップS1312)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。インセンティブ通知画面は、対象地域TAの訪問に対してユーザに付与されたインセンティブを含む。インセンティブ通知画面は、例えば、
図12に示したようなインセンティブ通知画面1200である。
【0180】
これにより、ユーザ端末202は、対象地域TAに含まれる各スポットSiの訪問/退出をインセンティブ決定装置201に通知することができる。また、ユーザ端末202は、対象地域TAに滞在中において、各スポットSiの混雑度を表示することができる。また、ユーザ端末202は、対象地域TAの訪問が終了したタイミングで、ユーザに付与されたインセンティブを表示することができる。
【0181】
(インセンティブ決定装置201の混雑状況更新処理手順)
つぎに、
図14を用いて、インセンティブ決定装置201の混雑状況更新処理手順について説明する。
【0182】
図14は、インセンティブ決定装置201の混雑状況更新処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14のフローチャートにおいて、まず、インセンティブ決定装置201は、ユーザ端末202から対象地域訪問通知を受信したか否かを判断する(ステップS1401)。
【0183】
ここで、対象地域訪問通知を受信した場合(ステップS1401:Yes)、インセンティブ決定装置201は、ステップS1407に移行する。一方、対象地域訪問通知を受信していない場合(ステップS1401:No)、インセンティブ決定装置201は、ユーザ端末202からスポット訪問通知を受信したか否かを判断する(ステップS1402)。
【0184】
ここで、スポット訪問通知を受信した場合(ステップS1402:Yes)、インセンティブ決定装置201は、スポット滞在時間DB240にスポット滞在時間情報を新規登録して(ステップS1403)、ステップS1407に移行する。
【0185】
一方、スポット訪問通知を受信していない場合(ステップS1402:No)、インセンティブ決定装置201は、ユーザ端末202からスポット退出通知を受信したか否かを判断する(ステップS1404)。ここで、スポット退出通知を受信していない場合(ステップS1404:No)、インセンティブ決定装置201は、ステップS1401に戻る。
【0186】
一方、スポット退出通知を受信した場合(ステップS1404:Yes)、インセンティブ決定装置201は、スポット滞在時間DB240内の対応するスポット滞在時間情報を参照して、訪問スポットでの滞在時間を算出する(ステップS1405)。スポット滞在時間DB240内の対応するスポット滞在時間情報は、スポット退出通知に含まれるユーザIDおよびスポットID/名に対応するスポット滞在時間情報である。
【0187】
つぎに、インセンティブ決定装置201は、算出した滞在時間に基づいて、スポット滞在時間DB240内の対応するスポット滞在時間情報を更新する(ステップS1406)。そして、インセンティブ決定装置201は、各スポットSiに設置されたスポット端末203から滞在人数情報を取得する(ステップS1407)。
【0188】
つぎに、インセンティブ決定装置201は、取得した滞在人数情報に基づいて、各スポットSiの時間帯ごとの混雑度を算出する(ステップS1408)。そして、インセンティブ決定装置201は、算出した各スポットSiの混雑度を特定可能な混雑情報を、対象地域TAに滞在中の各ユーザのユーザ端末202に送信して(ステップS1409)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0189】
これにより、インセンティブ決定装置201は、各種通知(対象地域訪問通知、スポット訪問通知、スポット退出通知)を受け付けたことに応じて、各スポットSiの混雑度を特定可能な混雑情報を更新して、対象地域TAに滞在中の各ユーザに通知することができる。また、インセンティブ決定装置201は、各訪問スポットにおけるユーザの滞在時間を特定することができる。
【0190】
(インセンティブ決定装置201のインセンティブ決定処理手順)
つぎに、
図15を用いて、インセンティブ決定装置201のインセンティブ決定処理手順について説明する。
【0191】
図15は、インセンティブ決定装置201のインセンティブ決定処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15のフローチャートにおいて、まず、インセンティブ決定装置201は、ユーザ端末202から対象地域退出通知を受信したか否かを判断する(ステップS1501)。
【0192】
ここで、対象地域退出通知を受信していない場合(ステップS1501:No)、インセンティブ決定装置201は、対象地域退出通知を受信するのを待つ。そして、対象地域退出通知を受信した場合(ステップS1501:Yes)、インセンティブ決定装置201は、混雑状況DB230を参照して、各スポットSiの時間帯ごとの混雑度を特定する(ステップS1502)。
【0193】
つぎに、インセンティブ決定装置201は、特定した各スポットSiの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、各スポットSiの時間帯ごとの評価値を算出する(ステップS1503)。
【0194】
つぎに、インセンティブ決定装置201は、スポット滞在時間DB240を参照して、ユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定する(ステップS1504)。ユーザは、例えば、対象地域退出通知に含まれるユーザIDから特定される。ステップS1504の処理は、例えば、ステップS1502の処理の前に実行されてもよい。
【0195】
そして、インセンティブ決定装置201は、算出した各スポットSiの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、各訪問スポットのインセンティブ値を算出する(ステップS1505)。つぎに、インセンティブ決定装置201は、算出した各訪問スポットのインセンティブ値を合算した結果に基づいて、ユーザに付与するインセンティブを決定する(ステップS1506)。
【0196】
そして、インセンティブ決定装置201は、対象地域退出通知の通知元のユーザ端末202にインセンティブ付与通知を送信して(ステップS1507)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。インセンティブ付与通知は、決定されたインセンティブを特定可能な情報を含む。
【0197】
これにより、インセンティブ決定装置201は、対象地域TAの訪問が終了したタイミングで、対象地域TAの訪問に対するインセンティブを決定してユーザに通知することができる。
【0198】
以上説明したように、実施の形態にかかるインセンティブ決定装置201によれば、対象地域TAに含まれるスポットS1~Snのうちユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定することができる。また、インセンティブ決定装置201によれば、各スポットSiの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、対象地域TAの訪問に対するインセンティブの決定に用いられる、各スポットSiの時間帯ごとの評価値を算出することができる。そして、インセンティブ決定装置201によれば、算出した各スポットSiの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出し、算出したインセンティブ値を合算した結果に基づいて、ユーザに付与するインセンティブを決定することができる。
【0199】
これにより、インセンティブ決定装置201は、スポットS1~Snを含む対象地域TAにおける混雑スポットを減らしつつ、閑散スポットの活性化を図ることができる。例えば、インセンティブ決定装置201は、対象地域TA全体における混雑緩和や閑散スポットの活性化への貢献度に応じてインセンティブを付与することで、混んでいるスポットから出ることや、空いているスポットに行く動機をユーザに与えることができる。
【0200】
また、インセンティブ決定装置201によれば、各スポットSiの時間帯ごとの評価値を算出するにあたり、混雑度が閾値αより大きい場合は、当該混雑度が高いほど低くなるように、負の値である評価値を算出することができる。また、インセンティブ決定装置201によれば、混雑度が閾値α以下の場合は、当該混雑度が低いほど高くなるように、正の値である評価値を算出することができる。各スポットSiの時間帯ごとの混雑度は、例えば、各スポットSiの定員に対する各スポットSiの時間帯ごとの滞在人数の割合によって表される。
【0201】
これにより、インセンティブ決定装置201は、例えば、定員を超える人が滞在している時間帯にスポット(混雑スポット)に訪問する場合は、その時間帯の滞在人数が定員を上回っている分、その時間帯の評価値を負の値として、インセンティブを調整することができる。また、定員を下回る人が滞在している時間帯にスポット(閑散スポット)に訪問する場合は、その時間帯の滞在人数が定員を下回っている分、その時間帯の評価値を正の値として、インセンティブを調整することができる。
【0202】
また、インセンティブ決定装置201によれば、各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出するにあたり、各スポットSiの時間帯ごとの評価値に基づいて、滞在時間帯に含まれる時間帯の評価値を合算することにより、インセンティブ値を算出することができる。
【0203】
これにより、インセンティブ決定装置201は、混雑スポットでは、長時間滞在しても、インセンティブが高くならないように調整することができる。また、インセンティブ決定装置201は、閑散スポットでは、長時間滞在すると、インセンティブが高くなるように調整することができる。
【0204】
また、インセンティブ決定装置201によれば、対象地域TAに滞在中のユーザに、各スポットSiの混雑度を特定可能な混雑情報を通知することができる。
【0205】
これにより、インセンティブ決定装置201は、対象地域TAに滞在中のユーザに対して、各スポットSiの混雑状況を把握可能な情報を提供することができる。
【0206】
また、インセンティブ決定装置201によれば、混雑情報を通知した後、当該混雑情報から特定される混雑度が第1の閾値未満の第1のスポットにユーザが訪問するまでの間に、第1のスポットの混雑度が第2の閾値以上に変化した場合、第1のスポットの訪問に対するインセンティブ値を算出する際に、混雑情報から特定される混雑度が第2の閾値以上のスポットに訪問した場合に比べて高くなるように調整することができる。
【0207】
これにより、インセンティブ決定装置201は、提供された混雑情報を参考にして、空いているスポットにユーザが移動している間に、そのスポットが混雑した場合、そのスポットの訪問に対するインセンティブ値が低くなるのを緩和することができる。
【0208】
また、インセンティブ決定装置201によれば、ユーザが訪問スポットに滞在中に、当該訪問スポットの混雑度が第1の閾値未満となった場合、訪問スポットに滞在し続けると、インセンティブが上がる旨の情報をユーザに通知することができる。
【0209】
これにより、インセンティブ決定装置201は、ユーザが訪問スポットに滞在中に空いてきた場合に、長期間滞在するよう促して、閑散スポットの活性化を図ることができる。
【0210】
また、インセンティブ決定装置201によれば、ユーザが訪問スポットに滞在中に、当該訪問スポットの混雑度が第2の閾値以上となった場合、訪問スポットに滞在し続けると、インセンティブが下がる旨の情報をユーザに通知することができる。
【0211】
これにより、インセンティブ決定装置201は、ユーザが訪問スポットに滞在中に混んできた場合に、そのスポットから離れるよう促して、混雑緩和を図ることができる。
【0212】
また、インセンティブ決定装置201によれば、対象地域TAをユーザが訪問した際に、スポットS1~Snのうち空いているスポットに長時間滞在するほど、対象地域TAの訪問に対するインセンティブが高くなる旨の情報をユーザに通知することができる。
【0213】
これにより、インセンティブ決定装置201は、対象地域TA全体における混雑緩和や閑散スポットの活性化への貢献度に応じてインセンティブが付与されることをユーザに通知することができる。
【0214】
これらのことから、インセンティブ決定装置201によれば、観光地などを訪問したユーザに対して、空いているスポットに行く、あるいは、空いているスポットで長居する動機を与えるとともに、混んでいるスポットへ行かない、あるいは、混んでいるスポットで長居しない動機を与えることができる。これにより、インセンティブ決定装置201は、例えば、観光地における局所的な混雑を緩和して周辺住民の生活に支障が生じるのを防ぐとともに、空いているスポットへ集客して活性化を図ることができる。
【0215】
なお、本実施の形態で説明したインセンティブ決定方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本インセンティブ決定プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本インセンティブ決定プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0216】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0217】
(付記1)対象地域に含まれる複数のスポットのうちユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定し、
前記複数のスポットの各スポットの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、前記対象地域の訪問に対するインセンティブの決定に用いられる、前記各スポットの時間帯ごとの評価値を算出し、
算出した前記各スポットの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した前記各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、前記各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値を算出し、
算出した前記インセンティブ値を合算した結果に基づいて、前記ユーザに付与するインセンティブを決定する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするインセンティブ決定方法。
【0218】
(付記2)前記各スポットの時間帯ごとの混雑度は、前記各スポットの定員に対する前記各スポットの時間帯ごとの滞在人数の割合によって表され、
前記各スポットの時間帯ごとの評価値を算出する処理は、
前記混雑度が閾値より大きい場合は、当該混雑度が高いほど低くなるように、負の値である前記評価値を算出し、
前記混雑度が前記閾値以下の場合は、当該混雑度が低いほど高くなるように、正の値である前記評価値を算出する、
ことを特徴とする付記1に記載のインセンティブ決定方法。
【0219】
(付記3)前記インセンティブ値を算出する処理は、
前記各スポットの時間帯ごとの評価値に基づいて、前記滞在時間帯に含まれる時間帯の評価値を合算することにより、前記インセンティブ値を算出する、ことを特徴とする付記2に記載のインセンティブ決定方法。
【0220】
(付記4)前記対象地域に滞在中の前記ユーザに、前記各スポットの混雑度を特定可能な混雑情報を通知する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載のインセンティブ決定方法。
【0221】
(付記5)前記混雑情報を通知した後、当該混雑情報から特定される混雑度が第1の閾値未満の第1のスポットに前記ユーザが訪問するまでの間に、前記第1のスポットの混雑度が第2の閾値以上に変化した場合、前記第1のスポットの訪問に対するインセンティブ値を算出する際に、前記混雑情報から特定される混雑度が前記第2の閾値以上のスポットに訪問した場合に比べて高くなるように調整する、
ことを特徴とする付記4に記載のインセンティブ決定方法。
【0222】
(付記6)前記ユーザが前記訪問スポットに滞在中に、当該訪問スポットの混雑度が第1の閾値未満となった場合、前記訪問スポットに滞在し続けると、前記インセンティブが上がる旨の情報を前記ユーザに通知する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記1~5のいずれか一つに記載のインセンティブ決定方法。
【0223】
(付記7)前記ユーザが前記訪問スポットに滞在中に、当該訪問スポットの混雑度が第2の閾値以上となった場合、前記訪問スポットに滞在し続けると、前記インセンティブが下がる旨の情報を前記ユーザに通知する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記1~6のいずれか一つに記載のインセンティブ決定方法。
【0224】
(付記8)前記対象地域を前記ユーザが訪問した際に、前記複数のスポットのうち空いているスポットに長時間滞在するほど、前記対象地域の訪問に対するインセンティブが高くなる旨の情報を前記ユーザに通知する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記1~7のいずれか一つに記載のインセンティブ決定方法。
【0225】
(付記9)対象地域に含まれる複数のスポットのうちユーザが訪問した各訪問スポットにおける滞在時間帯を特定し、
前記複数のスポットの各スポットの時間帯ごとの混雑度に基づいて、当該混雑度が低いほど高くなるように、前記対象地域の訪問に対するインセンティブの決定に用いられる、前記各スポットの時間帯ごとの評価値を算出し、
算出した前記各スポットの時間帯ごとの評価値に基づいて、特定した前記各訪問スポットにおける滞在時間帯に対応する評価値に応じて、前記各訪問スポットの訪問に対するインセンティブ値(評価値)を算出し、
算出した前記インセンティブ値を合算した結果に基づいて、前記ユーザに付与するインセンティブを決定する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするインセンティブ決定プログラム。
【符号の説明】
【0226】
101 情報処理装置
110 対象地域
111,112,113,114,115,116 スポット
200 情報処理システム
201 インセンティブ決定装置
202 ユーザ端末
203 スポット端末
210 ネットワーク
220 定員情報テーブル
230 混雑状況DB
240 スポット滞在時間DB
300,400 バス
301,401 CPU
302,402 メモリ
303 ディスクドライブ
304 ディスク
305,404 通信I/F
306,407 可搬型記録媒体I/F
307,408 可搬型記録媒体
403 GPSユニット
405 ディスプレイ
406 入力装置
800 制御部
801 受付部
802 特定部
803 第1の算出部
804 第2の算出部
805 決定部
806 通知部
900,1000 グラフ
1100 混雑状況画面
1101 キャンペーン情報
1102 混雑情報
1200 インセンティブ通知画面