IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図1
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図2
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図3
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図4
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図5
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図6
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図7
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図8
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図9
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図10
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図11
  • 特開-エレベータのかご及びエレベータ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090294
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】エレベータのかご及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B66B5/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206094
(22)【出願日】2022-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】武田 佳祐
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304DA17
(57)【要約】
【課題】足場板に沿って手すりを適正な位置に配置することができるエレベータのかご及びエレベータを提供する。
【解決手段】救出作業時に足場板70とセットで用いられる左右の手すり71,71のうち扉50の自由端側に配置される手すり71の端部を係止する第1係止部は、非常口40の縦縁部(たとえば枠41の縦枠)に設けられ、扉50の固定端側に配置される手すり71の端部を係止する第2係止部は、扉50(たとえば扉50の一側端部)に設けられる。これにより、前者の手すり71はもちろん、後者の手すり71であっても、足場板50に近い位置に配置することができる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご室を構成する壁に形成される非常口と、
一側端部を固定端、他側端部を自由端として非常口の枠に回転自在に取り付けられる内開き式の扉と、
救出作業にあたって非常口の下縁部に取り付けられる足場板の両側に手すりを配置するために各手すりの端部を係止する係止部とを備え、
両側の手すりのうち扉の自由端側に配置される手すりの端部を係止する第1係止部は、非常口の縦縁部に設けられ、
両側の手すりのうち扉の固定端側に配置される手すりの端部を係止する第2係止部は、扉に設けられる
エレベータのかご。
【請求項2】
第2係止部は、扉の一側端部に設けられる
請求項1に記載のエレベータのかご。
【請求項3】
扉の回転中心は、枠の角から幅方向内方にシフトした位置に設定される
請求項1に記載のエレベータのかご。
【請求項4】
手すりの端部は、フック状であり、
第2係止部は、手すりの端部が掛けられる環又は孔を備える
請求項1に記載のエレベータのかご。
【請求項5】
手すりの張力が第2係止部に作用することにより発生する扉を閉じようとする力に抵抗する扉ステー又は扉ストッパの少なくとも1つを備える
請求項1に記載のエレベータのかご。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のかごを備える
エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常口装置を備えるエレベータのかご及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、1つの昇降路2’内に複数台のかご3’,3’が横並びに設置されるエレベータ1’では、隣り合うかご3’,3’の対向する側壁34’,34’に非常口40’,40’が形成され、いずれかのかご3’が昇降路2’の途中で動かなくなった場合、隣のかご3’を救出かご3A’として不具合かご3B’の側方に停止させ、各かご3A’,3B’の扉50’を開いて非常口40’を開放し、2つの非常口40’,40’の下縁部間に足場板70’を掛け渡すとともに、2つの非常口40’,40’の縦縁部間に手すりロープ71’,71’を掛け渡した後、不具合かご3B’内の乗客を救出かご3A’へ乗り移らせて救出する、という救出作業が行われる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-316323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、図12に示すように、非常口40’の縦縁部(枠41’の縦枠)の所定高さ位置に係止部を設け、係止部に手すりロープ71’の端部を掛けて手すりロープ71’を取り付けていた。
【0005】
ここで、扉50’の内面側に手すり38’が設けられる場合、扉50’を開いたときに手すり38’がかご3’の後壁35’に当たらないよう、扉50’の回転中心51’は、枠41’の角(扉50’の角)から幅方向内方にシフトした位置に設定され、扉50’は、枠41’の角から幅方向内方にシフトした位置で開き、後壁35’と所定間隔を有して開くようになっている。
【0006】
このため、扉50’の固定端側に配置される手すりロープ71’は、足場板70’から離れた位置に配置され、この隙間Dが足場板70’を歩いて渡る乗客に不安感を与える懸念がある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、足場板に沿って手すりを適正な位置に配置することができるエレベータのかご及びエレベータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベータのかごは、
かご室を構成する壁に形成される非常口と、
一側端部を固定端、他側端部を自由端として非常口の枠に回転自在に取り付けられる内開き式の扉と、
救出作業にあたって非常口の下縁部に取り付けられる足場板の両側に手すりを配置するために各手すりの端部を係止する係止部とを備え、
両側の手すりのうち扉の自由端側に配置される手すりの端部を係止する第1係止部は、非常口の縦縁部に設けられ、
両側の手すりのうち扉の固定端側に配置される手すりの端部を係止する第2係止部は、扉に設けられる
エレベータのかごである。
【0009】
ここで、本発明に係るエレベータのかごの一態様として、
第2係止部は、扉の一側端部に設けられる
との構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明に係るエレベータのかごの他態様として、
扉の回転中心は、枠の角から幅方向内方にシフトした位置に設定される
との構成を採用することができる。
【0011】
また、本発明に係るエレベータのかごの別の態様として、
手すりの端部は、フック状であり、
第2係止部は、手すりの端部が掛けられる環又は孔を備える
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係るエレベータのかごのさらに別の態様として、
手すりの張力が第2係止部に作用することにより発生する扉を閉じようとする力に抵抗する扉ステー又は扉ストッパの少なくとも1つを備える
との構成を採用することができる。
【0013】
また、本発明に係るエレベータは、
上記いずれかのかごを備える
エレベータである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、両側の手すりのうち扉の固定端側に配置される手すりの端部を係止する第2係止部は、非常口の縦縁部ではなく、扉に設けられる。これにより、扉の回転中心が枠の角から幅方向内方にシフトした位置に設定され、扉が枠の角から幅方向内方にシフトした位置で開くようになっている場合であっても、手すりは、足場板から離れた位置ではなく、足場板に近い位置に配置される。このため、本発明によれば、足場板に沿って手すりを適正な位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、本実施形態に係るエレベータの水平断面図である。図1(b)は、救出作業時におけるエレベータの水平断面図である。
図2図2は、本実施形態に係る非常口装置を備えるエレベータのかごであって、かご室内から見たかごの要部の斜視図である。
図3図3は、かご室外から見たかごの要部の斜視図である。
図4図4は、扉が開かれた状態のかごであって、かご室内から見たかごの要部の斜視図である。
図5図5(a)は、扉ステーが設けられる扉の上部の斜視図である。図5(b1)及び(b2)は、扉の下部に設けられる扉ストッパの使用説明図である。
図6図6は、扉が開かれた状態のかごであって、かご室外から見たかごの要部の斜視図である。
図7図7(a)は、図6のA部の拡大図である。図7(b)は、図6のB部の拡大部である。
図8図8は、扉が開かれ、手すりロープが掛けられた状態のかごであって、かご室外から見たかごの要部の斜視図である。
図9図9(a)は、図8のC部の拡大図である。図9(b)は、図8のD部の拡大部である。
図10図10(a)は、救出作業時におけるエレベータの非常口周辺の水平断面図である。図10(b)は、手すりロープの張力が手すりロープの係止部に作用したときの説明図である。
図11図11(a)は、従来のエレベータの水平断面図である。図11(b)は、救出作業時における従来のエレベータの水平断面図である。
図12図12は、救出作業時における従来のエレベータの非常口周辺の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係る非常口装置をかごに備えるエレベータについて説明する。
【0017】
図1(a)に示すように、エレベータ1は、昇降路2と、かご3とを備える。昇降路2は、階層を有する建物内において上下方向に延びる。かご3は、駆動機構(図示しない)の駆動により、昇降路2内を昇降し、駆動機構の駆動停止により、指定された階床に停止する。
【0018】
かご3は、かご室30と、出入口36と、扉37とを備える。かご室30は、床31、壁32(前壁33、側壁34及び後壁35)及び天井(図示しない)により構成される。床31、壁32及び天井は、1枚又は複数枚に分割されたパネルにより構成される。出入口36は、前壁33に形成される。扉37は、横方向にスライドして出入口36を開閉する。扉37は、両開き式又は片開き式である。
【0019】
かご3は、非常口装置4を備える。非常口装置4は、非常口40と、扉50とを備える。非常口40は、かご3の側壁34に形成される。より詳しくは、非常口40は、1つの昇降路2内に複数台のかご3,…が横並びに設置されるエレベータ1において、隣り合うかご3,3の対向する側壁34,34に形成される。扉50は、一側端部を中心に回転して非常口40を開閉する。扉50は、片開き式であり、かつ、かご室30内に扉50が開く内開き式である。作業者が、かご室30内から扉50の他側端部を引く、又は、かご室30外からかご室30内へ扉50の他側端部を押すと、扉50が一側端部を中心にして開かれ、非常口40が開放される。
【0020】
非常口装置4は、故障等の何らかの原因で複数台の中のいずれかのかご3が昇降路2の途中で動かなくなった場合、図1(b)に示すように、隣のかご3を救出かご3Aとして不具合かご3Bの側方に停止させ、各かご3A,3Bの扉50を開いて非常口40を開放し、2つの非常口40,40の下縁部間に足場板70を掛け渡すとともに、2つの非常口40,40の縦縁部間に手すりロープ71,71を掛け渡した後、不具合かご3B内の乗客を救出かご3Aへ乗り移らせて救出する、という救出作業を可能にするためのものである。
【0021】
図2及び図3に示すように、非常口40(ハッチングを付した部分)は、枠41内に形成される。枠41は、左右の縦枠42,42と、上枠43と、下枠44とを備え、非常口40の縦縁部、上縁部及び下縁部の4辺を縁取る枠である。扉50は、ヒンジ51を介して上枠43の一端部及び下枠44の一端部に回転自在に取り付けられる。これにより、扉50の一側端部50aは固定端となり、扉50の他側端部50bは自由端となる。
【0022】
なお、扉50の内面側には、手すり38が設けられる。また、非常口40が形成される側壁34にも、扉50の手すり38と同一線上に手すり38が設けられる。手すり38は、かご室30内の乗客が利用するためのものである。
【0023】
下枠44には、フラップ48が回転自在に取り付けられる。フラップ48は、常時は扉50に沿うように立てられて収納されているが、救出作業にあたって倒され、この上に足場板70の端部が取り付けられる。
【0024】
非常口装置4は、2つのロック機構部56,56(上部ロック機構部56A、下部ロック機構部56B)と、ロック解除操作部57とを備える。2つのロック機構部56,56は、扉50の上下2箇所に設けられ、扉50の上下2箇所にて扉50を枠41に固定(ロック)するためのものである。ロック解除操作部57は、2つのロック機構部56,56間の扉50の所定高さ位置にて2つのロック機構部56,56のロック解除操作を行うためのものである。
【0025】
ロック解除操作部57は、所定高さ位置にて扉50の内面側に開口孔58を備え、2つのロック機構部56,56と作動的に接続される。これにより、ロック解除操作部57は、開口孔58を介してかご室30内から2つのロック機構部56,56のロック解除操作を行うことができる。また、ロック解除操作部57は、扉50のかご室30外に操作レバーを備え、かご室30外からも2つのロック機構部56,56のロック解除操作を行うことができる。
【0026】
扉50は、ロック解除された状態で開くことができる。図4に示すように、扉50の一側端部50a(回転中心)は、壁32の角(側壁34と後壁35との角)付近に位置するため、扉50は、一側端部50aを中心にして側壁34から約90度回転し、後壁35に沿うように開く。ただし、扉50を開いたときに扉50の内面側に設けられる手すり38が後壁35に当たらないよう、扉50の回転中心は、枠41の角(扉50の角)から幅方向内方にシフトした位置に設定され、扉50は、枠41の角から幅方向内方にシフトした位置で開き、後壁35と所定間隔を有して開くようになっている。
【0027】
図4及び図5(a)に示すように、非常口装置4は、扉ステー60を備える。扉ステー60は、扉50の上部に設けられ、扉50が閉じようとする力に抵抗し、扉50を開いた状態に維持させる手段である。扉ステー60は、リンク機構61を備える。リンク機構61は、2つ以上のリンクが屈曲可能に接続され、一端部が枠41の上枠43に固定され、他端部が扉50の外面側に固定される。
【0028】
図4及び図5(b)に示すように、非常口装置4は、扉ストッパ62を備える。扉ストッパ62は、扉50の下部に設けられ、扉50が閉じようとする力に抵抗し、扉50を開いた状態に維持させる手段である。扉ストッパ62は、ベース63と、可動ベース64と、脚65とを備える。ベース63は、扉50の他側端部50bであって扉50の外面側に取り付けられる。可動ベース64は、ベース63に上下方向にスライド可能に取り付けられ、上下位置調整可能となっている。脚65は、一端部が可動ベース64に回転自在に取り付けられる。脚65は、常時は扉50(の他側端部50b)に沿うように立てられて収納されているが、扉50が開いた状態で倒され、他端部が床31に着床する。
【0029】
救出作業にあたり、作業者は、扉50を開いた後、自分が乗っているかご3のフラップ48を倒し、次に対向する不具合かご3Bのフラップ48を倒し、両フラップ48,48間に足場板70を掛け渡すとともに、手すりロープ71,71を掛け渡す。次に、作業者は、不具合かご3Bのロック解除操作部57の操作レバーを回し、不具合かご3Bの扉50を開く。そして、しかる後、作業者は、不具合かご3B内の乗客を救出かご3Aへ乗り移らせて救出する。
【0030】
図6ないし図9に示すように、非常口装置4は、係止部45,52を備える。係止部45は、扉50の自由端側に配置される手すりロープ71の端部71aを係止する第1係止部である。係止部52は、扉50の固定端側に配置される手すりロープ71の端部71aを係止する第2係止部である。第1係止部45は、非常口40の縦縁部に設けられ、第2係止部52は、扉50に設けられる。本実施形態においては、第1係止部45は、枠41の縦枠42に設けられ、第2係止部52は、扉50の一側端部50aであって扉50の外面側に設けられる。
【0031】
係止部45,52は、上下2箇所に設けられる。上部の係止部45,52は、足場板70から800mm程度の高さとなる箇所である。下部の係止部45,52は、足場板70から350~500mmの高さとなる箇所である。
【0032】
手すりロープ71の端部71aは、フック状である。一例として、手すりロープ71の端部71aは、外れ止め付きフック、カラビナ等の端末係合部であり、係止部45,52は、手すりロープ71の端部71aを脱着可能に係止する。
【0033】
第1係止部45は、孔46,47で構成される。孔46は長孔である。長孔46は、上下方向に長尺な長孔である。孔47は丸孔である。手すりロープ71の端部71aは、孔46,47に跨って掛けられる。
【0034】
第2係止部52は、ブラケット53と、ホルダ54と、環55とを備える。ブラケット53は、扉50の一側端部50aであって扉50の外面に取り付けられる。ホルダ54は、環55の一部分を収容可能な凹部を備え、ブラケット53に取り付けられる。環55は、水平面上に位置し、扉50の外面から扉50の垂直面と直交する方向に突出する。環55は、ホルダ54に固定支持され、又は回転自在に支持される。手すりロープ71の端部71aは、環55に掛けられる。
【0035】
以上のとおり、本実施形態に係る非常口装置4によれば、足場板70の両側(避難通路の両側)の手すりロープ71,71のうち扉50の固定端側に配置される手すりロープ71の端部71aを係止する第2係止部52は、非常口40の縦縁部ではなく、扉50に設けられる。これにより、図10(a)に示すように、扉50の回転中心(ヒンジ51)が枠41の角から幅方向内方にシフトした位置に設定され、扉50が枠41の角から幅方向内方にシフトした位置で開くようになっている場合であっても、扉50の自由端側に配置される手すりロープ71はもちろん、扉50の固定端側に配置される手すりロープ71も、足場板70から離れた位置ではなく、足場板70に近い位置に配置される。このため、本実施形態に係る非常口装置4によれば、足場板70に沿って手すりロープ71,71を適正な位置に配置することができる。なお、足場板70の幅は、非常口40の幅と同じであり、扉50の回転中心51のシフト量(枠41の角から扉50の回転中心51までの距離)は、50mm以上、又は70mm以上、又は100mm以上である。
【0036】
また、本実施形態に係る非常口装置4によれば、第2係止部52は、扉50の一側端部50a、すなわち、扉50の回転中心51の近傍に設けられる。これにより、足場板70を歩いて渡る乗客が手すりロープ71に大きな負荷を掛ける等して手すりロープ71に大きな張力が発生し、この張力が第2係止部52に作用しても、扉50の回転モーメントが小さいため、扉50を閉じようとする力は大きくならない。このため、本実施形態に係る非常口装置4によれば、救出作業時に扉50が不用意に閉じてしまうのを好適に防止することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る非常口装置4によれば、図10(b)に示すように、第2係止部52の環55は、扉50の回転中心51を通る扉50の垂直面Sに近づくほど幅広となるため、手すりロープ71の端部71aが掛けられる部分の内縁は、手すりロープ71の張力方向に対して鈍角となるように傾斜する。そして、手すりロープ71に張力が発生すると、手すりロープ71の端部71aは、垂直面Sに最も近い位置に移動し、この位置に維持される。これにより、張力が第2係止部52に作用しても、扉50の回転モーメントが小さいため、扉50を閉じようとする力は大きくならない。このため、本実施形態に係る非常口装置4によれば、救出作業時に扉50が不用意に閉じてしまうのを好適に防止することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る非常口装置4によれば、手すりロープ71の張力が第2係止部52に作用することにより発生する扉50を閉じようとする力に抵抗する扉ステー60及び扉ストッパ62を備える。このため、本実施形態に係る非常口装置4によれば、救出作業時に扉50が不用意に閉じてしまうのを好適に防止することができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
上記実施形態においては、手すりとして、手すりロープ71が使用される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。手すりは、両端に端末係合部を備えるバー等、他の形態であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、第2係止部52は、扉50の一側端部50aであって扉50の外面側に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第2係止部は、扉の一側端部の端面に設けられるものであってもよい。あるいは、手すりの張力が第2係止部に作用することにより発生する扉を閉じようとする力が問題とならないのであれば、第2係止部は、扉の一側端部とは異なる箇所(扉の回転中心から離れた箇所)に設けられるものであってもよい。
【0042】
また、上記実施形態においては、第1係止部45は、枠41の縦枠42に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第1係止部は、縦枠よりも多少外方に設けられるものであってもよい。非常口の縦縁部とは、このような箇所も含む概念である。
【0043】
また、上記実施形態においては、扉50の回転中心51は、枠41の角から幅方向内方にシフトした位置に設定される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。扉の回転中心は、枠の角の近傍に設定されるものであってもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、第2係止部52は、環55を備える。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第2係止部は、第1係止部と同様、孔であってもよい。あるいは、第2係止部は、バー等、他の形態であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、手すりロープ71の端部71aは、外れ止め付きフック、カラビナ等の端末係合部である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。手すりの端部は、他の形態であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、第1係止部45及び第2係止部52は、それぞれ上下2箇所に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。係止部は、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、扉ステー60及び扉ストッパ62の両方が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。扉ステー又は扉ストッパのいずれか1つであってもよい。あるいは、どちらも用いないようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、かご3は2機であり、非常口装置4は各かご3に1台ずつ設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。かごは3機以上であってもよく、この場合、両隣りにかごが配置されるその間のかごについては、左右の側壁にそれぞれ非常口装置を設けるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、非常口装置4は、かご3の側壁34に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。非常口装置は、かごの後壁に設けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…エレベータ、2…昇降路、3…かご、3A…救出かご、3B…不具合かご、30…かご室、31…床、32…壁、33…前壁、34…側壁、35…後壁、36…出入口、37…扉、38…手すり、4…非常口装置、40…非常口、41…枠、42…縦枠、43…上枠、44…下枠、45…第1係止部(係止部)、46…長孔(孔)、47…丸孔(孔)、48…フラップ、50…扉、50a…一側端部、50b…他側端部、51…ヒンジ(回転中心)、52…第2係止部(係止部)、53…ブラケット、54…ホルダ、55…環、56…ロック機構部、56A…上部ロック機構部、56B…下部ロック機構部、57…ロック解除操作部、58…開口孔、60…扉ステー、61…リンク機構、62…扉ストッパ、63…ベース、64…可動ベース、65…脚、70…足場板、71…手すりロープ、71a…端部(端末係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12