(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090297
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】開口部装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20240627BHJP
E06B 3/32 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
E06B9/52 B
E06B3/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206100
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】真関 美夏
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014CD04
(57)【要約】
【課題】 框体の取付け作業性が向上した開口部装置の提供。
【解決手段】 枠1と框体2と框体固定具3とを備え、枠1は、室外側に内周側縁部4を有するものであり、框体2は、枠1に室外側に持ち出して取付けてあり、框体固定具3は、框体2の外周側に取付けられて室内側に向かって外周側に傾斜する板ばね5と、板ばね5の内周側に連続して框体2の室内側位置に設けた操作部6と、枠1の室外側面に当接する当接部7を有し、当接部7と框体2に設けた係止部8とで枠1の内周側縁部4を挟持してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と框体と框体固定具とを備え、枠は、室外側に内周側縁部を有するものであり、框体は、枠に室外側に持ち出して取付けてあり、框体固定具は、框体の外周側に取付けられて室内側に向かって外周側に傾斜する板ばねと、板ばねの内周側に連続して框体の室内側位置に設けた操作部と、枠の室外側面に当接する当接部を有し、当接部と框体に設けた係止部とで枠の内周側縁部を挟持してあることを特徴とする開口部装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に設置する開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、躯体に固定された枠に網戸等の框体を枠の室外側に持ち出して取付けた開口部装置が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。かかる開口部装置においては、框体の取付け作業性の向上が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三協立山株式会社 三協アルミ社発行のカタログ「ビル用サッシ総合カタログ」(カタログNo.STB0604B Y.20.12-030)、2020年12月、p.487
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、框体の取付け作業性が向上した開口部装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による開口部装置は、枠と框体と框体固定具とを備え、枠は、室外側に内周側縁部を有するものであり、框体は、枠に室外側に持ち出して取付けてあり、框体固定具は、框体の外周側に取付けられて室内側に向かって外周側に傾斜する板ばねと、板ばねの内周側に連続して框体の室内側位置に設けた操作部と、枠の室外側面に当接する当接部を有し、当接部と框体に設けた係止部とで枠の内周側縁部を挟持してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による開口部装置は、枠と框体と框体固定具とを備え、枠は、室外側に内周側縁部を有するものであり、框体は、枠に室外側に持ち出して取付けてあり、框体固定具は、框体の外周側に取付けられて室内側に向かって外周側に傾斜する板ばねと、板ばねの内周側に連続して框体の室内側位置に設けた操作部と、枠の室外側面に当接する当接部を有し、当接部と框体に設けた係止部とで枠の内周側縁部を挟持してあることで、枠に框体を室内側から容易に取付けることができ、框体の取付け作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図2の上枠側を拡大して示す縦断面図である。
【
図2】本発明の開口部装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【
図5】同網戸の下側のコーナー部を拡大して示す斜視図であって、連結金具を取付ける前の状態を示す。
【
図6】框体固定具を框体に取付ける際の手順を示す縦断面図である。
【
図7】網戸を枠に取付ける際の手順を示す縦断面図である。
【
図8】(a)は框体固定具の平面図、(b)は同側面図、(c)は同室内側正面図、(d)はA-A断面図である。
【
図9】框体固定具の操作部を指でつまんだ状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~3は、本発明の開口部装置の一実施形態を示している。本開口部装置は、ビル用の内倒し窓に適用したものである。
本開口部装置は、
図2,3に示すように、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1に内倒し式に開閉自在に取付けた障子9と、枠1に室外側に持ち出して取付けた網戸10とを備えている。
【0009】
枠1は、
図2,3に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる上枠11と下枠12と左右の縦枠13,13を枠組みして構成されている。上枠11は、
図2に示すように、室外側端部に垂下片14を有している。縦枠13は、
図3に示すように、室外側端部に内周側に突出する突出片15を有し、突出片15の先端部にはタイト材ホルダー16が設けてあり、タイト材ホルダー16に保持したタイト材17が障子9の室外側面に当接している。
【0010】
障子9は、
図2,3に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる上框18と下框19と左右の縦框20,20を框組みし、その内側に複層ガラス21を取付けて構成されている。障子9は、
図2に示すように、下框19の室内側下部に設けたヒンジ部22が下枠12に取付けたヒンジ金具23に係合して回動自在に連結されている。また障子9の上框18の室内側面にはラッチ24が取付けてあり、ラッチ24が上枠11に取付けたラッチ受け25と係合することで、閉鎖した障子9がロックされる。
【0011】
網戸10は、
図2,3,4に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる上框26と下框27と左右の縦框28,28とを枠組みして矩形の框体2を形成し、その框体2の開口部に網29を張って形成してある。
網戸10の上框26は、
図1に示すように、外周側の見込壁30が室内側にのびており、その室内側端部に係止部8が上方に突出して設けてあり、係止部8が上枠11の室外側端部に形成した垂下片14の内周側縁部4の室内側に係止している。
網戸10の下框27は、
図2に示すように、室内側面の外周側端部位置より室内側に向けてゴム製のヒレ片31が設けてあり、ヒレ片31の室内側端部が下枠12上面に当接しており、ヒレ片31により網戸10の下框27と下枠12間の隙間を塞いでいる。
網戸10の縦框28は、
図3に示すように、外周側の見込壁32が室内側にのびており、その室内側端部が縦枠13の室外側端部に形成された突出片15の先端の内周側に近接して位置している。
【0012】
網戸10の縦框28の下端部には、
図4,5に示すように、連結金具33が設けてあり、連結金具33により縦框28の下端部と下框の27長手方向端部を連結するとともに、縦框28の外周側の見込壁32と下框27のヒレ片31との間の隙間を塞いでいる。連結金具33は、見込壁34の室内側端部に外周側の側方に向けて突出する係止部35と、下方に向けて突出する係止部36とが形成してあり、外周側の側方に向けて突出する係止部35は、
図3に示すように、縦枠13のタイト材ホルダー16の室内側に係止し、下向きに突出する係止部36は、
図2に示すように、下枠12の室外側見付面に係止している。
【0013】
網戸10の上框26には、
図1,4に示すように、長手方向の中間部に框体固定具3が設けてある。框体固定具3は、上框26の外周側の見込壁30の外周側面に取付けられる板ばね5と、板ばね5の室内側端部の内周側に板ばね5と連続して設けた可動体37とで構成されている。
板ばね5は、
図1,8に示すように、上框26の外周側の見込壁30の室外側に形成された凹部38に当接して外周側からねじ39で固定される取付部40と、取付部40の室外側端部から室内側に向かって外周側に傾斜してのびる傾斜部41と、傾斜部41の室内側端部より垂下する垂下部42とを有している。傾斜部41の室外側位置には、取付部40を上框26に取付けるねじ39の頭の挿通孔43が形成してある。垂下部42は、可動体37の上面に形成された差込穴44に差し込むことで板ばね5と可動体37とを一体化するものであり、垂下部42の下部を切り起こして設けた抜け止め45が可動体37の孔46に係止することで、垂下部42が可動体37から抜けないように保持されている。
【0014】
可動体37は、
図1,8に示すように、硬質樹脂で略柱状に形成され、網戸10の上框26の外周側の見込壁30に形成した四角孔47(
図6参照)に挿通して、内外周方向に移動可能に設けてある。
可動体37は、上面48が板ばね5の傾斜部41と連続するように傾斜しており、上面48の室内外方向の略中央位置に板ばね5の垂下部42の差込穴44が形成されている。差込穴44より室内側の上面48と室内側面とのコーナー部には、上枠11の室外側端部に形成された垂下片14の内周側縁部4の室外側面に当接する当接部7が設けてある。可動体37の上部には、左右両側に突部49が側方に張り出して設けてあり、該突部49により可動体37が上框26の四角孔47から内周側に抜けないようにしてある。
可動体37の下部は、上框26の四角孔47を通じて見込壁30の内周側に突き出た操作部6となっており、操作部6には左右の側面にくびれ部50を形成して(
図8参照)、指でつまみやすい形状としてある。
操作部6の室外側面と室内側面には、上框26の四角孔47の周りの見込壁30の下面に係止して、可動体37が四角孔47から外周側に抜けるのを防ぐ抜け止め部51a,51bが形成してある。室外側の抜け止め部51aは、室内外方向に弾性変形可能な爪で形成してある。
【0015】
次に、框体固定具3を網戸10の上框26に取付ける際の手順を説明する。框体固定具3は、板ばね5の垂下部42を可動体37の差込穴44に差し込んで、板ばね5と可動体37をあらかじめ一体化しておく。
その上で、
図6(a)に示すように、可動体37の下部(操作部6)を上框26の四角孔47に上方から差し込む。このとき、室外側の抜け止め部51aが室内側に弾性変形し、可動体37の上下寸法のほぼ中央位置まで可動体37を挿入すると、
図6(b)に示すように、室外側の抜け止め部51aが復帰して見込壁30の下面に係止し、室外側と室内側の抜け止め部51a,51bにより可動体37が四角孔47に抜け止めされる。またこのとき、板ばね5の取付部40が上框26に押されて上向きに曲がることで、板ばね5の取付部40と傾斜部41との間の角度が取付前の状態より少し小さくなり、これにより可動体37は常時上向きに付勢された状態となる。
その後、
図6(b)に示すように、板ばね5の取付部40を上方からのねじ39で上框26にねじ止めすると、
図6(c)に示すように、框体固定具3が網戸10の上框26に取付けられる。
【0016】
次に、網戸10を枠1に取付ける際の手順を説明する。まず、
図7(a)に示すように、障子9を室内側に倒して開いてから、網戸10を室内側に倒した状態に傾けて枠1内に室内側から挿入し、縦框28の下端部に設けた連結金具33の係止部35を縦枠13のタイト材ホルダー16の室内側に係止させ、その後、網戸10を縦枠13に沿って下方にスライドさせる。
連結金具33が下枠12上面に当接するまで網戸10を下方にスライドさせたら、
図7(b)に示すように、網戸10の上部を室外側に押し、係止部35を支点に網戸10を室外側に回動させる。このとき、網戸10の上框26の外周側に設けた板ばね5の傾斜部41が上枠11の室外側端部に設けた垂下片14の内周側端に当接して内周側に押されることで、可動体37が内周側に移動する。
網戸10を垂直な姿勢まで回動させると、
図7(c)に示すように、可動体37の当接部7が上枠11の垂下片14の内周側縁部4を乗り越えて可動体37が板ばね5の付勢力により外周側にスライドし、可動体37の当接部7が上枠11の垂下片14の内周側縁部4の室外側面に当接し、可動体37の当接部7と網戸10の上框26に設けた係止部8とで上枠11の内周側縁部4を挟持して、網戸10が室外側に持ち出した状態で枠1に固定される。
【0017】
網戸10を取り外す際は、
図9に示すように、可動体37の操作部6を指でつまんで可動体37を下方に引っ張る。すると、可動体37の当接部7が上枠11の垂下片14の内周側端より内周側に移動して、網戸10が室内側に倒せる状態になるので、網戸10を室内側に倒して枠1から室内側に引き抜く。
【0018】
以上に述べたように本開口部装置は、
図1に示すように、枠1と框体2と框体固定具3とを備え、枠1は、室外側に内周側縁部4を有するものであり、框体2は、枠1に室外側に持ち出して取付けてあり、框体固定具3は、框体3の外周側に取付けられて室内側に向かって外周側に傾斜する板ばね5と、板ばね5の内周側に連続して框体3の室内側位置に設けた操作部6と、枠1の室外側面に当接する当接部7を有し、当接部7と框体3に設けた係止部8とで枠1の内周側縁部4を挟持してあることで、枠1に框体2を室内側から容易に取付けることができ、框体2の取付け作業性が向上する。
すなわち、框体2を室内側から枠1に納めると、板ばね5の傾斜部41が枠1の内周側縁部4に押されることで可動体37が内周側に向けて移動し、これに伴い可動体37の当接部7が枠1の内周側縁部4を乗り越え、乗り越えると板ばね5の付勢力により復帰して可動体37の当接部7と框体2の係止部8とで枠1の内周側縁部4を挟持して框体2が枠1に固定されるので(
図7参照)、框体2を室内側から枠1内に差し入れるだけで、簡単に框体2を枠1に固定することができる。
框体固定具3は、枠1の室外側面に当接する当接部7が樹脂製であるため、框体2の着脱時に枠1に傷が付くのを防止できる。
操作部6は、框体2の見込壁30に設けた貫通孔(四角孔)47からの抜けを防ぐ抜け止め部51a,51bを有しているので、操作部6が框体2の貫通孔47から外周側に抜けるのを防ぐことができる。
抜け止め部51aは、弾性変形する爪で形成してあるので、操作部6を框体2の貫通孔47に差し込む際に抜け止め部51aが弾性変形することで、容易に差し込むことができ、差し込むと抜け止め部51aが復帰して確実に抜け止めできる。
板ばね5は、
図8に示すように、框体2への取付ねじ39の頭の挿通孔43が形成してあることで、板ばね5を框体2にねじ39で容易に固定することができる。
板ばね5は、
図8に示すように、先端部(垂下部)42を可動体37に差し込んで抜け止め45で保持してあるので、板ばね5の先端部42を可動体37に差し込むだけで、簡単に且つ確実に可動体37と一体化できる。
操作部6は、
図8,9に示すように、指でつまめる形状となっていることで、操作部6を指でつまんで容易に操作することができるので、框体2を枠1から外す際の作業性が向上する。
可動体37は、
図1,8に示すように、框体2の見込壁30に設けた貫通孔(四角孔)47から内周側に抜けるのを防ぐ突部49を有しているので、框体2を取り外すために操作部6を操作して可動体37を内周側に移動させたときに、可動体37が貫通孔47から抜けるのを防止できる。
操作部6は、
図1に示すように、框体2の見込壁30を貫通して設けてあるので、操作部6の設置が容易に行えるとともに、見込壁30により雨風や虫等の侵入を阻止できる。また、框体固定具3は室内側から見て操作部6のみが露出し、他の部分は框体2の見込壁30で隠れて見えないので、すっきりした内観意匠になる。
【0019】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。枠及び框体の断面形状、材質は、適宜変更することができる。框体固定具は、縦框や下框に設けてあってもよい。框体固定具は、框の長手方向に間隔をあけて複数設けてあってもよい。板ばねは、傾斜部がまっすぐに傾斜するものに限らず、例えば、湾曲しながら傾斜する形状等であってもよい。框体固定具の当接部や操作部の形状は、適宜変更することができ、例えば当接部を板ばねと一体で形成することもできる。框体の係止部は、框体に取付けるピース状の部品で形成し、框体と枠との隙間を下框と同様にヒレ片で塞ぐ構造であってもよい。框体は、網戸を構成するものに限らず、スクリーンを張ったり、パネルを保持するもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 枠
2 框体
3 框体固定具
4 内周側縁部
5 板ばね
6 操作部
7 当接部
8 係止部