(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090299
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】薬剤計数システム、薬剤監査装置、および薬剤計数方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206104
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】592007601
【氏名又は名称】株式会社コンテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 祥太
(72)【発明者】
【氏名】高平 賢治
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA17
4C047AA21
4C047AA25
4C047KK30
4C047KK32
(57)【要約】
【課題】ひとまとまりで包装された複数の薬剤の数量を正しく数えることができる薬剤計数システムを提供する。
【解決手段】薬剤計数システム100は、撮像装置1と、計数装置2とを備える。計数装置2は、識別部20と、抽出部21と、第1算出部23と、測定部24と、第2算出部25と、包装体データ記憶部26とを有する。識別部20は、薬剤の種類を画像Gから識別する。抽出部21は、特徴量を画像Gから抽出する。第1算出部23は、特徴量に基づいて画像Gに含まれる薬剤の数量を算出する。測定部24は、包装体の寸法を測定する。包装体データ記憶部26は、基本データBDを記憶している。第2算出部25は、薬剤の種類、包装体の寸法、および、基本データBDに基づいて画像Gに含まれる薬剤の数量を算出する。計数装置2は、第1算出部23または第2算出部25の少なくとも何れか一方によって画像Gに含まれる薬剤の数量を算出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体によってひとまとまりで包装された複数の薬剤を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像した画像に含まれる前記包装体に包装された薬剤の数量を算出する計数装置とを備え、
前記計数装置は、
薬剤の種類を前記画像から識別する識別部と、
前記画像がデータとして入力されると、前記画像のデータに対応する特徴量を出力するAIモデルを用いて、前記特徴量を前記画像から抽出する抽出部と、
前記特徴量に基づいて前記画像に含まれる薬剤の数量を算出する第1算出部と、
前記特徴量を用いて、前記包装体の寸法を測定する測定部と、
前記包装体の幾何学的特性を示す基本データを薬剤の種類ごとに記憶している包装体データ記憶部と、
前記識別部が識別した薬剤の種類、前記包装体の寸法、および、前記基本データに基づいて前記画像に含まれる薬剤の数量を算出する第2算出部とを有し、
前記計数装置が、前記第1算出部または前記第2算出部の少なくとも何れか一方によって、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出することを特徴とする薬剤計数システム。
【請求項2】
前記測定部は、前記特徴量を用いて前記包装体の輪郭部分を特定して、前記輪郭部分の寸法を測定することを特徴とする請求項1に記載の薬剤計数システム。
【請求項3】
前記基本データに、前記薬剤の種類ごとに定められた包装体のアスペクト比が含まれており、
前記第2算出部は、前記識別部が識別した薬剤の種類と、前記基本データと、前記包装体の寸法に基づいて算出される、前記画像に含まれる包装体のアスペクト比と、に基づいて、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出することを特徴とする請求項1に記載の薬剤計数システム。
【請求項4】
前記基本データに、前記薬剤の種類ごとに定められた包装体の面積が含まれており、
前記第2算出部は、前記識別部が識別した薬剤の種類と、前記基本データと、前記包装体の寸法に基づいて算出される、前記画像に含まれる包装体の面積と、に基づいて、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出することを特徴とする請求項1に記載の薬剤計数システム。
【請求項5】
前記計数装置は、
前記画像のデータと、前記画像に含まれる包装体の寸法のデータと、前記画像に含まれる薬剤の数量のデータとが紐づけられたデータのセットを蓄積し、包装体によって包装された薬剤の数量と、前記包装体の寸法との関係を前記蓄積されたデータのセットから学習する学習部をさらに有し、
前記学習部は、包装体によって包装された前記薬剤の数量と、前記包装体の寸法との関係に基づいて、前記包装体データ記憶部に記憶されている前記基本データを更新することを特徴とする請求項1に記載の薬剤計数システム。
【請求項6】
前記計数装置は、
前記抽出部が前記画像から抽出した前記特徴量が、前記包装体によって包装される薬剤の、前記包装体内における位置に対応する特徴量であるか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記特徴量が、前記薬剤の、前記包装体内における位置に対応する特徴量でないと前記判定部により判定された場合には、前記第2算出部によって、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出することを特徴とする請求項1に記載の薬剤計数システム。
【請求項7】
前記計数装置は、
前記特徴量が、前記薬剤の、前記包装体内における位置に対応する特徴量であるか否かを前記判定部が判定できなかった場合、前記第1算出部によって算出される薬剤の第1数量と、前記第2算出部によって算出される薬剤の第2数量とを比較して、あらかじめ定められた基準を満たす方を薬剤の数量とする比較部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の薬剤計数システム。
【請求項8】
前記計数装置は、
前記第1算出部または前記第2数量によって前記薬剤の数量が算出されたか否かを判定する算出判定部をさらに有し、
薬剤の数量が算出されていないと前記算出判定部が判定した場合、前記薬剤の数量が算出されるようにするための方法を案内する案内装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薬剤計数システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の薬剤計数システムを備える薬剤監査装置であって、
消費者に提供される薬剤が、医師の発行した処方箋に記載された通りの薬剤であるか否かを、前記消費者に提供される薬剤の画像に基づいて識別して、前記処方箋に記載された通りの薬剤が前記消費者に提供されているか否かの監査を補助するとともに、前記薬剤の画像を記録することを特徴とする薬剤監査装置。
【請求項10】
包装体によってひとまとまりで包装された複数の薬剤を撮像するステップと、
撮像した画像に含まれる前記包装体に包装された薬剤の数量を算出するステップとを備える薬剤計数方法であって、
前記薬剤の数量を算出するステップは、
薬剤の種類を前記画像から識別するステップと、
前記画像がデータとして入力されると、前記画像のデータに対応する特徴量を出力するAIモデルを用いて、前記特徴量を前記画像から抽出するステップと、
前記特徴量に基づいて前記画像に含まれる薬剤の数量を算出する第1算出ステップと、
前記特徴量を用いて、前記包装体の寸法を測定するステップと、
前記画像から識別された薬剤の種類と、前記包装体の寸法、および、薬剤の種類ごとにあらかじめ記憶された、前記包装体の幾何学的特性を示す基本データに基づいて前記画像に含まれる薬剤の数量を算出する第2算出ステップと、
前記第1算出ステップ、または、前記第2算出ステップの少なくとも一方によって、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出するステップとを有することを特徴とする薬剤計数方法。
【請求項11】
前記第1算出ステップおよび前記第2算出ステップで薬剤の数量を算出されない場合、前記薬剤の数量を算出されるようにするための方法を案内するステップをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の薬剤計数方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の数量を数える薬剤計数システム、薬剤を取り扱う業務を補助する薬剤監査装置、および薬剤の数量を数える薬剤計数方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬局などの薬剤を取り扱う施設では、医師の作成した処方箋に基づいた薬剤が患者に提供される。近年では、薬剤を提供する薬剤師など(作業者)による薬剤を提供する作業の負担を軽減する目的で、患者に提供される薬剤が処方箋に記載された通りであるか否かを監査する業務を補助する薬剤監査装置を導入する施設が増えている。こうした装置を用いることにより、患者に対する薬剤の交付における作業ミスを防止できる。
【0003】
特許文献1には、コンベア上の錠剤等を撮像し、その撮像画像から錠剤等の表面の印刷内容を認識する錠剤等識別装置が記載されている。この錠剤等識別装置では、錠剤やカプセル剤がコンベアで搬送されている間に、その搬送されている錠剤等の種別を、表面の印刷内容からシステムが自動的に認識できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている錠剤等識別装置において、錠剤等の種別の認識が正しく行われるためには、認識対象の錠剤等が包装などを行われていない単体(裸錠)で搬送されている必要がある。しかしながら、既製品の薬剤の多くは包装された状態で薬局等へ納入される。
【0006】
特に、錠剤であれば10単位(10錠)ほどの錠剤が1枚のPTP(Press Through Pack)シートに包装された状態で流通しているものが多い。また、散剤や顆粒剤(粉薬)では、粉末や顆粒が包装されたSP(Strip Package)包装を1単位(1包)とする薬剤が、複数単位つながって1枚のシート状になったものが販売されていることも多い。
【0007】
しかしながら、PTPシート、またはSP包装などの包装体により複数単位の薬剤がひとまとまりで包装されていれば、従来の方法で画像認識を行うと、ひとまとまりに包装された複数の薬剤を1単位の薬剤として認識してしまい、薬剤の数量を正しく数えることができない場合がある。
【0008】
そこで本発明は、ひとまとまりで包装された複数の薬剤の数量を正しく数えることができる薬剤計数システム、前記薬剤計数システムを備える薬剤監査装置、および薬剤計数方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る薬剤計数システムは、包装体によってひとまとまりで包装された複数の薬剤を撮像する撮像装置と、前記撮像装置の撮像した画像に含まれる前記包装体に包装された薬剤の数量を算出する計数装置とを備え、前記計数装置は、薬剤の種類を前記画像から識別する識別部と、前記画像がデータとして入力されると、前記画像のデータに対応する特徴量を出力するAIモデルを用いて、前記特徴量を前記画像から抽出する抽出部と、前記特徴量に基づいて前記画像に含まれる薬剤の数量を算出する第1算出部と、前記特徴量を用いて、前記包装体の寸法を測定する測定部と、前記包装体の幾何学的特性を示す基本データを薬剤の種類ごとに記憶している包装体データ記憶部と、前記識別部が識別した薬剤の種類、前記包装体の寸法、および、前記基本データに基づいて前記画像に含まれる薬剤の数量を算出する第2算出部とを有し、前記計数装置が、前記第1算出部または前記第2算出部の少なくとも何れか一方によって、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出することを特徴とする。この薬剤計数システムによれば、薬剤の数量は、画像から抽出される特徴量、または、薬剤を包装している包装体の寸法の少なくとも一方に基づいて算出される。したがって、計数装置は、特徴量、または包装体の寸法の何れか一方の要素に基づいて薬剤の数量を正しく算出できない場合でも、残りの要素に基づいて薬剤の数量を算出できる。
【0010】
好ましくは、本発明に係る薬剤計数システムにおいて、前記測定部は、前記特徴量を用いて前記包装体の輪郭部分を特定して、前記輪郭部分の寸法を測定することを特徴とする。この薬剤計数システムによれば、薬剤の数量は、包装体の輪郭部分の寸法に基づいて計数装置によって算出される。
【0011】
好ましくは、本発明に係る薬剤計数システムにおいて、前記基本データに、前記薬剤の種類ごとに定められた包装体のアスペクト比が含まれており、前記第2算出部は、前記識別部が識別した薬剤の種類と、前記基本データと、前記包装体の寸法に基づいて算出される、前記画像に含まれる包装体のアスペクト比と、に基づいて、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出することを特徴とする。この薬剤計数システムによれば、薬剤の数量は、包装体のアスペクト比に基づいて計数装置によって算出される。したがって、包装体の輪郭部分の寸法に基づいて、計数装置が薬剤の数量を算出できない場合でも、計数装置は、薬剤の数量を算出できる。
【0012】
好ましくは、本発明に係る薬剤計数システムにおいて、前記基本データに、前記薬剤の種類ごとに定められた包装体の面積が含まれており、前記第2算出部は、前記識別部が識別した薬剤の種類と、前記基本データと、前記包装体の寸法に基づいて算出される、前記画像に含まれる包装体の面積と、に基づいて、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出することを特徴とする。この薬剤計数システムによれば、薬剤の数量は、包装体の面積に基づいて算出される。したがって、包装体のアスペクト比に基づいて、計数装置が薬剤の数量を算出できない場合でも、計数装置は、薬剤の数量を算出できる。
【0013】
好ましくは、本発明に係る薬剤計数システムにおいて、前記計数装置は、前記画像のデータと、前記画像に含まれる包装体の寸法のデータと、前記画像に含まれる薬剤の数量のデータとが紐づけられたデータのセットを蓄積し、包装体によって包装された薬剤の数量と、前記包装体の寸法との関係を前記蓄積されたデータのセットから学習する学習部をさらに有し、前記学習部は、包装体によって包装された前記薬剤の数量と、前記包装体の寸法との関係に基づいて、前記包装体データ記憶部に記憶されている前記基本データを更新することを特徴とする。この薬剤計数システムによれば、包装体の寸法が変更された場合でも、薬剤の数量は、寸法が変更された後の包装体の基本データに基づいて計数装置によって算出される。
【0014】
好ましくは、本発明に係る薬剤計数システムにおいて、前記計数装置は、前記抽出部が前記画像から抽出した前記特徴量が、前記包装体によって包装される薬剤の、前記包装体内における位置に対応する特徴量であるか否かを判定する判定部をさらに備え、前記特徴量が、前記薬剤の、前記包装体内における位置に対応する特徴量でないと前記判定部により判定された場合には、前記第2算出部によって、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出することを特徴とする。この薬剤計数システムによれば、画像から抽出された特徴量が、薬剤の数量を算出するのに適していない場合でも、包装体の寸法に基づいて薬剤の数量を計数装置によって算出できる。
【0015】
好ましくは、本発明に係る薬剤計数システムにおいて、前記計数装置は、前記特徴量が、前記薬剤の、前記包装体内における位置に対応する特徴量であるか否かを前記判定部が判定できなかった場合、前記第1算出部によって算出される薬剤の第1数量と、前記第2算出部によって算出される薬剤の第2数量とを比較して、あらかじめ定められた基準を満たす方を薬剤の数量とする比較部をさらに有することを特徴とする。この薬剤計数システムによれば、画像から抽出された特徴量が、包装体内における位置に対応する特徴量であるか判定できない場合でも、第1数量または第2数量に基づいて薬剤の数量が計数装置によって算出される。
【0016】
好ましくは、本発明に係る薬剤計数システムにおいて、前記計数装置は、前記第1算出部または前記第2数量によって前記薬剤の数量が算出されたか否かを判定する算出判定部をさらに有し、薬剤の数量が算出されていないと前記算出判定部が判定した場合、前記薬剤の数量が算出されるようにするための方法を案内する案内装置をさらに備えることを特徴とする。この薬剤計数システムによれば、薬剤の数量が計数装置によって算出されない場合に、薬剤の数量を算出できるようにするための処置を作業者が行うことができる。したがって、作業者が前記処置を行うことで、計数装置は、薬剤の数量を正しく算出できるようになる。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る薬剤監査装置は、本発明に係る薬剤計数システムを備え、消費者に提供される薬剤が、医師の発行した処方箋に記載された通りの薬剤であるか否かを、前記消費者に提供される薬剤の画像に基づいて識別して、前記処方箋に記載された通りの薬剤が前記消費者に提供されているか否かの監査を補助するとともに、前記薬剤の画像を記録することを特徴とする。この薬剤監査装置は、撮像した画像に含まれる薬剤の数量を正しく算出できる。
【0018】
さらに、上記課題を解決するため、本発明に係る薬剤計数方法は、包装体によってひとまとまりで包装された複数の薬剤を撮像するステップと、撮像した画像に含まれる前記包装体に包装された薬剤の数量を算出するステップとを備える薬剤計数方法であって、前記薬剤の数量を算出するステップは、薬剤の種類を前記画像から識別するステップと、前記画像がデータとして入力されると、前記画像のデータに対応する特徴量を出力するAIモデルを用いて、前記特徴量を前記画像から抽出するステップと、前記特徴量に基づいて前記画像に含まれる薬剤の数量を算出する第1算出ステップと、前記特徴量を用いて、前記包装体の寸法を測定するステップと、前記画像から識別された薬剤の種類と、前記包装体の寸法、および、薬剤の種類ごとにあらかじめ記憶された、前記包装体の幾何学的特性を示す基本データに基づいて前記画像に含まれる薬剤の数量を算出する第2算出ステップと、前記第1算出ステップ、または、前記第2算出ステップの少なくとも一方によって、前記画像に含まれる薬剤の数量を算出するステップとを有することを特徴とする。この薬剤計数方法によれば、薬画像から抽出される特徴量、または、薬剤を包装している包装体寸法の少なくとも一方に基づいて、薬剤の数量を算出できる。したがって、薬剤の数量を算出するステップでは、特徴量、または包装体の寸法の何れか一方の要素に基づいて薬剤の数量を正しく算出できない場合でも、残りの要素に基づいて薬剤の数量を算出できる。
【0019】
好ましくは、本発明に係る薬剤計数方法は、前記第1算出ステップおよび前記第2算出ステップで薬剤の数量を算出されない場合、前記薬剤の数量を算出されるようにするための方法を案内するステップをさらに備えることを特徴とする。この薬剤計数方法によれば、薬剤の数量を算出されない場合に、薬剤の数量を算出されるようにするための処置を作業者が行うことができる。したがって、作業者が前記処置を行うことで、薬剤の数量を正しく算出できるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る薬剤計数システム、前記薬剤計数システムを備える薬剤監査装置、および薬剤計数方法によれば、ひとまとまりで包装された複数の薬剤の数量を正しく数えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬剤計数システムの概略を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す計数装置を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す撮像装置が、PTPシートを、そのPTPシートの表面側から撮像した場合に、抽出部が抽出する特徴量を示す図である。
【
図4】1単位毎にSP包装に包装された粉薬を示す図であり、横一列に並んでつながった3袋のSP包装を示す図である。
【
図5】複数の薬剤を包装したPTPシートの裏面側から見た図であって、1単位の薬剤がPTPシートの一部とともに切り離された図である。
【
図6】実施形態に係る薬剤計数システムの処理の前段を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る薬剤計数システムの処理の後段を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る薬剤計数システム100の概略について、
図1および
図2を参照して説明する。この薬剤計数システム100は例えば、薬剤監査装置に備えられる。
【0023】
薬剤監査装置は、薬局などの、薬剤を取り扱う施設に設けられる装置である。薬剤監査装置は、患者などの消費者に薬剤が提供される際に、適切な薬剤、例えば、医師の処方した処方箋に基づいた種類および数量の薬剤が消費者に提供されているか否かを監査する監査業務を補助する。監査業務の補助のために、薬剤監査装置は、薬剤の種類を識別するとともに、消費者に提供される薬剤の数量を数える第1の機能を備える。また、薬剤監査装置は、消費者に提供される薬剤を画像などの形式で記録する第2の機能も備える。
図1に示す実施形態の薬剤計数システム100は、消費者に提供される薬剤の数量を数える機能を発揮する。
【0024】
薬剤計数システム100は、包装体によってひとまとまりで包装された複数の薬剤を撮像して、撮像した画像Gに含まれる薬剤の数量を算出することで、薬剤の数量を数える。薬剤計数システム100は、2通りの手段の少なくとも一方を用いることにより、撮像した画像Gに含まれる薬剤の数量を正しく算出できる。第1に、薬剤計数システム100は、撮像した画像Gに含まれる特徴量を抽出し、抽出した特徴量に基づいて薬剤の数量を算出する。第2に、薬剤計数システム100は、包装体の寸法を測定して、その測定した寸法から演算される演算値FRに基づいて、撮像した薬剤の数量を算出する。したがって、薬剤計数システム100は、画像Gから抽出した特徴量に基づいて薬剤の数量を算出できなくても、包装体の寸法に基づいて、薬剤の数量を算出できる。よって、薬剤計数システム100は、特徴量、または包装体の寸法の何れか一方の要素に基づいて薬剤の数量を正しく算出できない場合でも、残りの要素に基づいて薬剤の数量を算出できる。
【0025】
本発明の実施形態に係る薬剤計数システム100の詳細な構成を説明する前に、複数の薬剤をひとまとまりで包装する包装体と、その包装体に包装される薬剤について具体的に説明する。
【0026】
ひとまとまりで複数の薬剤を包装する包装体には、
図1に示すように、PTPシート91、またはSP包装92などがある。
図1には、2枚のPTPシート91が示されている。各PTPシート91は、10錠の錠剤81(薬剤の一種)を包装している。PTPシート91には、錠剤81の1つをドーム状に取り囲むように収容するポケット部913が突出する表面911と、表面911の反対側のフラットな面である裏面912とがある。ポケット部913は、透明な素材で形成されている場合が多い。したがって、ポケット部913が光を透過するため、複数の錠剤81をPTPシート91の表面911側から撮像すると、画像Gには、錠剤81の形状、または錠剤81の色彩などが含まれる。また、
図1には、横一列につながった3袋のSP包装92が示されている。各SP包装92には、薬剤の一種である粉薬82が包装されている。
【0027】
ひとまとまりで複数の薬剤を包装する包装体は、その一部と一緒に包装された薬剤を分離できる。例えば、作業者または消費者は、
図1に示すPTPシート91における、所望する錠剤81の周囲の部分を切断することによって、その錠剤81をPTPシート91の一部と一緒に、PTPシート91から分離できる。また、横一列に並んでつながった3袋のSP包装92の場合、SP包装92の使用単位(1袋)ごとの境界部分に切り取り線が設けられることが多い。作業者または消費者はSP包装92の使用単位(1袋)ごとの境界に設けられた切り取り線に沿って切断することで所望する数量、すなわち使用単位のSP包装92を他のSP包装92から分離できる。
【0028】
なお、薬剤計数システム100は、ひとまとまりで包装された複数の薬剤以外の薬剤の数量を数えることもできる。具体的には、チューブのような包装体に入った軟膏薬83などの複数回分の使用量が単独で包装される種類の薬剤の数量も数えることができる。
【0029】
薬剤計数システム100の具体的な構成について、
図1から
図5を参照して説明する。
【0030】
薬剤計数システム100は、
図1に示すように、撮像装置1と、撮像装置1の撮像した画像Gが出力されることによって画像Gに含まれる薬剤の数量を算出する計数装置2と、画像G、および、その画像Gに含まれる薬剤の数量が表示される表示装置3と、薬剤の数量が計数装置2によって算出されない場合に、その旨を作業者に知らせる案内装置4とを備える。撮像装置1、計数装置2、表示装置3、および案内装置4は、1台の機器にまとめて組み込まれてもよいし、複数の機器に分かれて配置されていてもよい。
【0031】
撮像装置1は様々な種類の薬剤をまとめて撮影できるが、以下においては説明のため、
図1に示すように、撮像装置1の撮像できる撮像領域GAにあるPTPシート91が裏面912側から撮像された場合について主に記述する。撮像装置1は、具体的には、カメラなどである。撮像装置1の撮像した画像Gは、計数装置2に出力される。
【0032】
計数装置2は、撮像装置1から入力された画像Gから特徴量を抽出して、その特徴量に基づいて薬剤の数量を算出する。また、計数装置2が、抽出した特徴量に基づいて薬剤の数量を算出できない場合、計数装置2は、画像Gに含まれる包装体の寸法に基づいて薬剤の数量を算出する。計数装置2は、例えば、画像Gを処理できる電子計算機である。
【0033】
図1および
図2に示すように、計数装置2は、画像Gから薬剤の種類を識別する識別部20と、特徴量を画像Gから抽出する抽出部21と、画像Gから抽出した特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であるか否かを判定する判定部22と、特徴量に基づいて画像Gに含まれる薬剤の数量を算出する第1算出部23と、画像Gに含まれる包装体の寸法を測定する測定部24と、包装体の寸法に基づいて薬剤の数量を算出する第2算出部25と、包装体のデータを記憶している包装体データ記憶部26とを有する。なお、識別部20、抽出部21、判定部22、第1算出部23、測定部24、第2算出部25、包装体データ記憶部26、および、これ以降で説明する計数装置2の構成は、それぞれの機能を概念的に示したものであり、ハードウェアまたはソフトウェアの何れの形式で電子計算機に実装されてもよいし、複数の異なる電子計算機に分散して実装されていてもよい。例えば、それぞれの機能を実現するモジュールが別々に設けられてもよいし、電子計算機の実行するプログラムの中に、それぞれの機能を実現する処理が含まれていてもよい。
【0034】
識別部20は、画像認識による処理、または、画像Gから抽出した特徴量に基づく処理の少なくとも何れか一方の処理により薬剤の種類を識別する。
【0035】
画像認識による、薬剤の種類を識別する処理では、識別部20は、入力された画像Gに含まれる、薬剤または包装体に記されている識別符号93(
図1参照)を読み取る。識別符号93とは、薬剤の種類の情報を含む、薬剤の識別情報(薬剤が何であるか)を示すものである。具体例としては、
図1に示すように、識別符号93には、薬剤または包装体に記されたバーコードや二次元コードのような光学マーク(光の屈折率、反射スペクトルなどの光学的性質の異なる複数の部分の組み合わせによって、符号化された情報を表示するもの)がある。PTPシート91およびSP包装92には、日本工業規格X0509に規定するGS1データバーなどのバーコードが記されている。識別部20は、薬剤の種類と、識別符号93の示す識別情報とを紐づけたデータが記憶されているデータベース(図示せず)にアクセスして、読み取った識別符号93に対応する薬剤の種類の情報を取得する。
【0036】
画像Gから抽出した特徴量に基づいて薬剤の種類を識別する処理について説明する。識別部20は、後述するAIモデル(AI:人工知能、Artificial Intelligence)を格納しており、そのAIモデルを用いて薬剤の種類を識別できる。AIモデルは、データとして入力された画像Gから特徴量を抽出する。入力された画像Gに含まれる薬剤または包装体に記されている特徴符号94に対応する特徴量をAIモデルが抽出できれば、識別部20は、薬剤の種類と、特徴符号94の示す情報とを紐づけたデータが記憶されているデータベースにアクセスして、薬剤または包装体に記されている特徴符号94に対応する薬剤の種類を照合して薬剤の種類を識別する。特徴符号94とは、薬剤または包装体に記された、薬剤の種類を特定可能な表示であり、例えば文字および/または図形である。具体例としては、特徴符号94には、製品名そのものを表す文字列や識別コード(例えば製薬会社の会社コードとその会社が定める製品コードからなる記号列)を表す文字列/記号列などがある。
図1に示すPTPシート91には、PTPシート91で包装されている薬剤の製品名である「ExampleA」が記されており、SP包装92には、SP包装92で包装されている薬剤の製品名である「ExampleB」が記されている。
【0037】
抽出部21も、AIモデルを格納しており、AIモデルを用いて、撮像装置1の撮像した画像Gから特徴量を抽出する。ここで、この薬剤計数システム100において用いられるAIモデルとは、何らかの入力データを受け取ると、その入力データに対応した出力データを返すという、入出力関係を記述したモデルであり、いわば一種の関数のような働きを持つ。AIモデルを用いて画像Gから特徴量を抽出するとは、画像GのデータがAIモデルに入力されると、AIモデルが画像Gに対応する特徴量を出力するという意味を含む。また、特徴量には、特徴符号94に対応する情報、包装体内における薬剤の位置に対応する情報、および包装体の輪郭に対応する情報が含まれる。
【0038】
図3には、視覚的に説明するための一例として、10錠の錠剤81が包装されたPTPシート91を、表面911側から撮像した画像Gを、抽出部21に入力したときに抽出される特徴量に対応する情報として、包装体内における薬剤の位置(例えばポケット部913の位置)を示している。例えば特徴量が画像G内の平面座標と、座標に対応する値の組み合わせデータの形で出力されるとする。画像G内で包装体の輪郭SHでも、薬剤の位置でもない座標には、何もないことを示す値(例えば「0」)が対応する。一方、包装体の輪郭SHまたは薬剤の位置の座標には、輪郭の存在を示す値(例えば「1」)が対応する。例えば、画像G内で色彩の変化率の大きい部分が、輪郭の存在を示す値に対応付けられる。
【0039】
AIモデルは、AIモデル構築用の電子計算機が、機械学習を行うことによって構築される。AIモデル構築用の電子計算機は、薬剤の画像と、その画像に含まれる薬剤の情報とを紐づけたデータを、画像を撮像する条件を変えて蓄積し、その蓄積されたデータを用いて機械学習を行う。AIモデルを構築する基となる画像は、多数用意される。多数の画像はそれぞれ、薬剤の位置、薬剤から撮像装置1までの距離、薬剤を撮像する角度、薬剤の包装の状態、撮像するときの照明条件、画像の解像度などの画像を撮像する条件が異なっている。このような様々な条件で撮像された画像のデータを用いて、AIモデルを構築することで、このAIモデルは、様々な条件で撮像された画像から特徴量を抽出できるようになる。なお、抽出部21は、AIモデルを格納するだけでなく、AIモデルを構築するための機械学習を行うことも可能なAIモデル構築用の電子計算機であってもよい。また、識別部20、抽出部21、および後述する測定部24(
図2参照)が同じAIモデルを用いる場合、そのAIモデルのデータが記憶装置に記憶され、その記憶装置へ識別部20、抽出部21、および測定部24がアクセスできれば、識別部20、抽出部21、および測定部24のそれぞれがAIモデルを格納しておかなくともよい。一方で、識別部20、抽出部21、および測定部24のそれぞれは、異なるAIモデルを用いてもよい。具体的には、抽出部21が用いるAIモデルに画像Gを入力したときに抽出される特徴量と、測定部24が用いるAIモデルに画像Gを入力したときに抽出される特徴量とが異なっていてもよい。以降では、識別部20、抽出部21、および測定部24のそれぞれが、異なるAIモデルを用いる場合について説明する。
【0040】
判定部22は、抽出部21の抽出した特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であるか否かを識別部20の識別した薬剤の種類の情報に基づいて判定する。
【0041】
特徴量F1について説明する。特徴量が画像G内の平面座標と、座標に対応する値の組み合わせデータの形で出力される場合、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1(
図3参照)は、包装体の輪郭で囲まれた領域内に存在する、輪郭を示す値(例えば「1」)のかたまりとして現れる。薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1は、1単位の薬剤を個別に包装する包装体の一部分の位置に対応する。薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1は、例えばPTPシート91のポケット部913の形状に対応して現れる。1つのポケット部913につき1つの薬剤が包装されるため、包装体の輪郭SHで囲まれた領域内に存在する、輪郭を示す値のかたまりの数が、薬剤の数量に対応する。
【0042】
図3に示すように、包装体の輪郭で囲まれた領域内に、輪郭を示す値のかたまりが存在し、抽出部21の画像Gから抽出した特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であると判定された場合、判定部22は、後述する第1算出部23に薬剤の数量を算出させる。
【0043】
一方で、
図1に示すように、例えばPTPシート91が裏面912側から撮影された場合、ポケット部913が画像Gに含まれないため、包装体の輪郭で囲まれた領域内には、輪郭を示す値のかたまりが存在しない。このような場合、
図2に示す判定部22は、抽出部21の画像Gから抽出した特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1でないと判定する。このような判定がされた場合、判定部22は、測定部24に包装体の寸法を測定させるとともに、第2算出部25に薬剤の数量を算出させる。
【0044】
また、判定部22は、包装体によってひとまとまりで複数単位が包装される種類の薬剤が、画像Gに含まれているか否かを判定することが好ましい。包装体によってひとまとまりで複数単位が包装される薬剤とは、PTPシート91で包装される錠剤81やSP包装92で包装される粉薬82のように、薬剤の使用単位(1錠または1袋など)ごとに包装体によって包装された薬剤が、複数連なっている種類の薬剤である。また、包装体によってひとまとまりで包装される薬剤以外の薬剤は、例えばチューブ入りの薬剤やビン入りの薬剤のように、1つの容器に複数回の使用量が封入された種類の薬剤である。例えば、判定部22は、薬剤の種類と、薬剤の剤形の情報とを紐づけたデータが記憶されているデータベースにアクセスして、画像Gに含まれる薬剤がひとまとまりで包装される種類の薬剤であるか否かを判定する。
【0045】
具体的に、判定部22がアクセスするデータベースには、薬剤が、錠剤、粉剤、または軟膏剤その他の薬剤の剤形が、その薬剤の種類に紐づけられて記憶されている。例えば、識別部20が、薬剤の種類を「ExampleA」と識別した場合、判定部22は、データベースからExampleAの剤形は錠剤であるという情報を取得して、包装体(ここではPTPシート91)によってひとまとまりで複数単位が包装される種類の薬剤が画像Gに含まれていると判定する。一方で、識別された種類の薬剤の剤形が、例えば
図1に示されているようなチューブ入りの軟膏薬83であった場合、判定部22は、包装体によってひとまとまりで複数単位が包装される種類の薬剤が画像Gに含まれていないと判定する。包装体によってひとまとまりで複数単位が包装される種類の薬剤ではない場合、その薬剤の数量は、容器(チューブや缶)の数がそのまま数量として取り扱われる。したがって、判定部22がひとまとまりで包装させる種類の薬剤ではないと判定した場合に、後述する第1算出部23または第2算出部25による薬剤の数量の算出を省略できる。
【0046】
第1算出部23は、画像Gから抽出部21が抽出した特徴量に基づいて画像Gに含まれる薬剤の数量を算出する。第1算出部23は、あらかじめ定められた特徴量基準を用いて、抽出部21の抽出した特徴量が特徴量基準を満たすか否かを判定する。特徴量基準には、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量とみなされるための基準や、抽出された部分が画像Gに占める大きさなどがある。第1算出部23は、抽出部21の抽出した特徴量が特徴量基準を満たすか判定して、特徴量基準を満たす特徴量が抽出部21によって抽出された回数を数えることで、薬剤の数量を算出する。例えば、
図3に示す抽出部21には、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1が10単位抽出されている。第1算出部23は、抽出部21の抽出した特徴量から、「包装体の輪郭SHで囲まれた、輪郭を示す値のかたまり」という、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量とみなされるデータの集まりを10単位発見する。さらに、10単位のデータの集まりのそれぞれが特徴量基準(例えば大きさ)を満たすか否かを判定する。この結果として、10単位のデータの集まりの全てが特徴量基準を満たすと判定された場合には、第1算出部23は、薬剤の数量が10単位であると算出する。
【0047】
測定部24も、AIモデルを用いて、撮像装置1の撮像した画像Gから特徴量を抽出する。そして、測定部24は、画像Gから抽出された特徴量を用いて、包装体の寸法を測定する。具体的には、測定部24の用いるAIモデルは、包装体の輪郭に対応する情報を特徴量(包装体特徴量F2)として画像Gから抽出する。加えて、測定部24は、包装体特徴量F2から包装体の輪郭部分を特定して、輪郭部分から包装体の寸法を測定するときに基準となる部分(基準部P)を複数特定する。
【0048】
基準部Pの具体例について、
図2を参照して説明する。
図2に示す測定部24には、
図1に示す撮像領域GAに含まれるPTPシート91の画像Gから、測定部24の用いるAIモデルが抽出した特徴量として、PTPシート91の輪郭が示されている。このPTPシート91の輪郭を、以下、包装体特徴量F2と呼ぶ。そして、測定部24は、包装体の基準部Pとして、PTPシート91の輪郭の縁部の交差する部分を特定する。縁部の交差する部分(交差部)は、角、または丸みを帯びていてもよい。
図2では、交差部が4つ特定されている。
【0049】
複数の基準部Pを特定した測定部24は、特定した複数の基準部Pの中から2つの基準部Pを選択して、選択した2つの基準部Pの間の実際の長さを測定する。実際の長さとは、画像Gにおける長さではなく、包装体の特定の部分の長さをメジャーなどの計測器で測定したときに、計測器から読み取れる値を意味する。実際の長さを測定するためには、画像Gが撮影されたときの撮像装置1と撮影対象との位置関係の情報が必要であるが、撮像装置1に取り付けられたジャイロセンサその他の様々な種類のセンサから得られる情報と、画像Gの情報とを組み合わせて画像処理を行う従来の方法により、実際の長さを測定できる。この実際の長さの測定には、AR技術(AR:Augmented Reality、拡張現実)で用いられる画像処理が利用できる。
【0050】
包装体の基準部Pが複数特定されるため、各基準部Pの間の長さを1つ以上測定できる。
図2に示す測定部24は、紙面に向かって左下の基準部P1から、紙面に向かって右下の基準部P2までの間にある縁部(横縁部)の基準部P1から基準部P2への方向に沿った長さ(横寸法)Wを測定している。加えて、
図2に示す測定部24は、基準部P1から、紙面に向かって左上の基準部P3までの間にある縁部(縦縁部)の基準部P1から基準部P3への方向に沿った長さ(縦寸法)Lを測定している。
【0051】
第2算出部25は、測定部24の包装体の寸法、および、包装体データ記憶部26に記憶している基本データBD(後述する)に基づいて画像Gに含まれる薬剤の数量を算出する。
【0052】
薬剤の数量を算出するにあたって、第2算出部25は、画像Gに含まれる包装体の幾何学的特性を表す演算値FRを、測定部24の測定した包装体の寸法に基づいて算出する。例えば、測定部24が、2か所の長さを測定した場合、第2算出部25は、測定された2か所の長さに基づいて、画像Gに含まれる包装体の面における面積またはアスペクト比などの、包装体の幾何学的な特性を表す演算値FRを算出する。具体的には、
図2に示す測定部24は、横寸法Wおよび縦寸法Lを測定している。横縁部は、縦縁部に直交しているため、第2算出部25は、横寸法Wと縦寸法Lとの積(W×L)を演算することにより、画像Gに含まれる包装体の面における面積を算出できる。また、第2算出部25は、横寸法Wと縦寸法Lとの比(W/L)を演算することにより、画像Gに含まれる包装体の面におけるアスペクト比を算出できる。なお、第2算出部25は、包装体の幾何学的特性を表す演算値FRとして、包装体の面における面積またはアスペクト比を算出すると説明したが、演算値FRは、包装体の幾何学的特性を表す値であれば、例えば、単に測定部24の測定した長さでもよい。
【0053】
第2算出部25は、包装体データ記憶部26にアクセスして、記憶されている基本データBDを取得する。包装体データ記憶部26は、包装体の幾何学的特性を示す基本データBDを薬剤の種類ごとに記憶する部分であり、具体的にはRAM(Random Access Memory)などである。基本データBDには、包装体が製造された時点での幾何学的特性、すなわち欠けがない状態での本来の包装体の面における面積、または、包装体の面におけるアスペクト比などが含まれる。また、薬剤の使用単位(1錠または1袋など)に対応する、包装体1単位の幾何学的特性が基本データBDに含まれていてもよい。例えば、基本データBDには、
図1に示すExampleAの薬剤の包装するPTPシート91の裏面912の面積が含まれる。
【0054】
第2算出部25にアクセスされた包装体データ記憶部26は、演算値FRに対応する基本データBDを第2算出部25に出力する。演算値FRに対応する基本データBDとは、演算値FRの表す幾何学的特性と同種類の幾何学的特性を表すデータである。例えば、包装体データ記憶部26に入力された演算値FRが錠剤81のPTPシート91の裏面912における面積であった場合、記憶部242は、錠剤81を包装するPTPシートの、本来の裏面における面積の情報を第2算出部25に出力する。
【0055】
第2算出部25は、演算値FRおよび基本データBDに基づく演算を行うことで、薬剤の数量を算出する。したがって、計数装置2は、抽出部21の抽出した特徴量に基づいて第1算出部23が薬剤の数量を正しく算出できない場合でも、第2算出部25によって、包装体の寸法に基づいて薬剤の数量を正しく算出できる。第2算出部25が、演算値FRおよび基本データBDに基づく演算を行って、薬剤の数量を算出する具体例を、以下に2例挙げて説明する。
【0056】
第2算出部25が薬剤の数量を演算する例の1例目は、例えば、
図4に示すように、3袋のSP包装92が横一例につながる3単位の粉薬82の数量を算出する場合である。この場合、測定部24は、各SP包装92がつながる方向(連結方向D1)に沿った、3袋のSP包装92の横縁部の寸法を足し合わせた横寸法W1と、連結方向D1に垂直な方向(垂直方向D2)に沿った、SP包装92の縦縁部の縦寸法L1とを測定する。第2算出部25は、横寸法W1を縦寸法L1で除する演算を行って、画像Gに含まれる3単位のSP包装92のアスペクト比を演算値FRとして算出する。この演算値FRに対応する基本データBDとして、包装体データ記憶部26は、1単位の粉薬82を包装する1袋(1単位)のSP包装92のアスペクト比のデータを記憶している。以降、便宜上、基本データBDについて、紙面に向かって左端のSP包装92を用いて説明する。1袋のSP包装のアスペクト比は、1袋のSP包装の連結方向D1に沿った縁部の横寸法WS1を、垂直方向D2に沿った縁部の寸法LS1で除することで計算される値である。第2算出部25は、横一列につながる3袋のSP包装92のアスペクト比である演算値FR(W1/L1=3WS1/LS1)を、1袋のSP包装に対応する基本データBDであるアスペクト比(WS1/LS1)で除する(FR/BD)ことにより、粉薬82の数量が3単位である旨を算出する。したがって、第1算出部23が薬剤の数量を算出できない場合でも、第2算出部25が、包装体のアスペクト比と基本データBDに基づいて演算することによって、薬剤の数量を算出できる。
【0057】
第2算出部25が薬剤の数量を算出する例の2例目は、例えば、
図5に示すように、1錠分の部分が切り離されたPTPシート95に包装された薬剤(錠剤81)の数量を算出する場合である。この場合、測定部24は、
図5に示すような、画像Gに含まれるPTPシート95の各角部を基準部Pとして、そのPTPシート95の各縁部の長さを測定する。第2算出部25は、各縁部の長さに基づく演算を行って、画像Gに含まれるPTPシート95における面914の面積A1を演算値FRとして算出する。この演算値FRに対応する基本データBDとして、包装体データ記憶部26は、錠剤81(画像Gに含まれる薬剤と同一種類の薬剤)を包装するPTPシートの、欠けがない状態での本来の裏面の面積の情報、および、数量を算出するための係数(欠けがない状態でのPTPシートによって包装される錠剤81の数量、ここでは10錠)を記憶している。第2算出部25は算出された面積A1を、錠剤81を包装するPTPシートにおける裏面の本来の面積(基本データBD)で除して(FR/BD)、その除算結果(9/10)を、数量を算出するための係数(10)との積を演算することで、錠剤81の数量が9錠である旨を出力する。したがって、第2算出部25は、画像Gに含まれる包装体の面における面積を演算することでも、薬剤の数量を算出できる。
【0058】
なお、PTPシート、またはSP包装その他の包装体には、それぞれの製造誤差であったり、例えば、
図5に示すPTPシート95の端部915のように薬剤を直接包装しない部分が有ったりするので、第2算出部25が演算したことで出力される薬剤の数量が整数にならない場合がある。したがって、実用的には、第2算出部25は、出力される薬剤の数量が整数にならない場合に、算出される薬剤の数量が整数となるように端数部分を丸めるなどの処理をさらに行う。
【0059】
上記にて、
図2に示す計数装置2は、判定部22の判定結果に応じて、第1算出部23または第2算出部25により画像Gに含まれる薬剤の種類を算出すると説明した。一方で、抽出部21の抽出した特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1(
図3参照)であるか否かを判定部22が判定できない場合がある。例えば、識別された薬剤の種類が散剤(粉薬)の場合、散剤は、SP包装の中で、一か所に集まったり、散らばったりできる。すなわち、薬剤の包装体内における位置が一定していない。したがって、撮影条件に応じて、画像Gから抽出される特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量とみなされるための特徴量基準に合致する場合と、合致しない場合とがある。そして、特徴量基準に合致する特徴量と、合致しない特徴量の両方が抽出される場合もある。また、例えば、PTPシートの裏面に、そのPTPシートが包装している薬剤に類似した模様が記されていた場合に、撮像条件に応じて、画像Gから抽出される特徴量が、特徴量基準に合致する場合と、合致しない場合とがある。そして、特徴量基準に合致する特徴量と、合致しない特徴量の両方が抽出される場合もある。このように、特徴量基準に合致する特徴量と、特徴量基準に合致しない特徴量が両方抽出された場合、判定部22は、抽出された特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であるか否か判定できない。
【0060】
抽出部21の抽出した特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であるか否かを判定部22が判定できない場合に薬剤の数量を正しく算出するため、判定部22は、第1算出部23、および、第2算出部25の両方に薬剤の数量を算出させることが好ましい。そして、計数装置2は、第1算出部23の算出した薬剤の第1数量と、第2算出部25の算出した薬剤の第2数量とを比較する比較部27をさらに有することが好ましい。
【0061】
比較部27は、第1数量と、第2数量とのうちの一方をあらかじめ定められた基準にしたがって選択して薬剤の数量とする。あらかじめ定められた基準には、例えば、第1数量と、第2数量とのうち、より少ない数量を出力した方を薬剤の数量とするような基準がある。このような基準は例えば、散剤のように、SP包装の中で散らばる薬剤の場合に用いられる。このような場合、特徴量基準に合致する特徴量がSP包装の数量よりも多く抽出される可能性が高いためである。このように、比較部27の採用する基準は、薬剤の取り扱いにおいて想定される状況に応じて、適宜決められる。比較部27が、第1数量または第2数量のうち、基準に合致する方を選択する、すなわち、実際の薬剤の数量としての可能性が高い方を選択することで、計数装置2は、薬剤の数量を正しく算出できる。
【0062】
上記にて説明した薬剤の包装体の大きさや形状は、一定期間が経過すると変更される場合がある。包装体の大きさや形状が変更されても薬剤の数量を正しく算出できるようにするために、包装体の大きさや形状の変更を学習して、基本データBDを更新する学習部28(
図2参照)を計数装置2がさらに有することが好ましい。
【0063】
学習部28は、画像Gのデータと、その画像Gに含まれる包装体の寸法のデータと、その画像Gに含まれる薬剤の数量のデータとが紐づけられたデータのセットを蓄積する。データのセットは、第2算出部25により作成されて学習部28に入力される。そして、学習部28は、包装体に含まれる薬剤の数量と、包装体の寸法との関係を、蓄積されたデータのセットから学習する。
【0064】
学習部28は、包装体に含まれる薬剤の数量と、包装体の寸法との関係に基づいて、基本データBDを作成して、包装体データ記憶部26に出力する。これにより、包装体データ記憶部26に記憶されていた基本データBDは、学習部28が出力した基本データBDに更新される。ここで、更新には、包装体データ記憶部26に記憶されていた基本データBDを修正するという意味、および、包装体データ記憶部26に新たな基本データBDを追加するという意味を含む。このようにして、学習部28が基本データBDを更新することで、包装体の大きさや形状が変更されても、第2算出部25は、薬剤の数量を正しく算出できる。
【0065】
以上にて説明したように、計数装置2は、薬剤の数量を算出する。算出された薬剤の数量は、計数装置2から表示装置3(
図1参照)に出力される。
【0066】
表示装置3には、計数装置2が薬剤の数量を算出した結果NRと、薬剤の種類の情報と、画像Gとが入力される。表示装置3は、薬剤の画像G、画像Gに含まれる薬剤の種類、および画像Gに含まれる薬剤の数量を表示する。表示装置3は、具体的には、画像Gを表示するモニタなどの画面である。
図1に示す表示装置3には、紙面に向かって下側の位置に薬剤の数量として「(10)」が示されており、薬剤の種類として「ExampleA 1mg」が示されている。言い換えると、表示装置3は、撮像された画像Gに「ExampleA 1mg」の錠剤81が10錠含まれることを示している。なお、表示装置3は、画像Gに含まれる薬剤の種類、および画像Gに含まれる薬剤の数量を作業者に知らせることができれば、例えば、画像Gに含まれる薬剤の種類、および画像Gに含まれる薬剤の数量を音として発するスピーカであってもよい。
【0067】
上記にて、計数装置2によって薬剤の数量が算出される場合について説明した。一方で、薬剤の数量が計数装置2によって算出されない場合がある。例えば、画像Gから薬剤の種類を識別できない場合、画像Gから特徴量が抽出されない場合、または、第1算出部23もしくは第2算出部25により算出した薬剤の数量が1単位よりも小さい場合などがある。具体例としては、撮像装置1が薬剤の存在しない空間を撮像している場合や、包装体の縁部のみを撮像している場合などが挙げられる。このような場合を判別するために、計数装置2は、第1算出部23または第2算出部25によって薬剤の数量が算出されたか否かを判定する算出判定部29(
図2参照)をさらに有することが好ましい。薬剤の数量が算出されていないと算出判定部29が判定した場合、計数装置2は、薬剤の数量を算出されていない旨のエラーを示すエラー信号NAを案内装置4に出力する。案内装置4は、薬剤の数量を算出されていない旨を作業者に知らせる報知部41と、薬剤の数量が算出されるようにするための方法の候補を案内する案内部42とを有する。
【0068】
報知部41は、作業者に情報を表示する装置、例えばモニタまたはスピーカである。報知部41は、撮像装置1で撮像された画像Gでは、薬剤の数量が算出されていない旨をモニタに表示するなどして、作業者にその旨を知らせる。したがって、作業者は、薬剤を再度撮像するなどの、薬剤の数量を計数装置2に算出させるために必要な処置をとることができる。
【0069】
案内部42も、記憶した情報を作業者に案内する装置、例えばモニタを有する電子計算機またはスピーカを有する電子計算機である。案内部42は、薬剤の数量が算出されるようにするための方法の候補をモニタで表示するなどして作業者に案内する。作業者に案内される内容は、あらかじめ定められて案内部42に記憶されている。詳細には、薬剤の数量を算出するのに適さない画像Gが撮像される状況と、その状況において、薬剤の数量が算出されるようにする方法をあらかじめ想定しておいて、この想定された方法が案内部42に記憶されている。案内部42にエラー信号NAが入力された際に、あらかじめ想定しておいた方法を表示することで、作業者は、表示された方法にしたがって処置をとることができる。あらかじめ想定したおいた方法の一例としては、撮影対象となっている薬剤を、数量の算出に適した画像Gが得られる姿勢に置きなおすという方法がある。例えば、
図1に示すようにPTPシート91が裏面912側から撮像された場合に、案内部42は、表面911側から撮像が行われるように、PTPシート91をひっくり返すことを作業者に案内するとよい。案内部42の示す方法にしたがって作業者が作業することで、薬剤の数量が計数装置2によって算出されるようになる。
【0070】
以下、本発明の実施形態に係る薬剤計数システム100の処理について、
図1、
図2、
図3、
図6および
図7を参照して説明する。
【0071】
図1に示すように、数量を数える対象の薬剤は、撮像装置1で撮像できる状態にある。
図6に示すように、薬剤計数システム100の処理が開始(START)されると、まずステップS1において、撮像装置1は、包装体によって包装された複数の薬剤を撮像する。
図1では、撮像装置1は、PTPシート91で包装された10錠の錠剤を、PTPシート91の裏面912側から撮像している。撮像装置1が撮像した画像Gは、計数装置2に入力される。
【0072】
ステップS2において、
図2に示す識別部20は、画像Gに基づいて、画像Gに含まれる薬剤の種類を識別する。
【0073】
ステップS3において、判定部22は、画像Gに含まれる薬剤が、ひとまとまりで包装される薬剤であるか否かを判定する。ステップS3において、画像Gに含まれる薬剤が、ひとまとまりで包装される薬剤でないと判定部22によって判定された場合(NOの場合)、処理はステップS4に進む。ステップS4において、判定部22は、画像認識などの従来の処理により薬剤の数量を算出する。算出された薬剤の数量は、
図1に示す表示装置3に出力される。ステップS4の後、処理は後述するステップS17に進む。
【0074】
一方で、画像Gに含まれる薬剤が、ひとまとまりで包装される薬剤であると判定部22によって判定された場合(YESの場合)、処理は、ステップS5に進む。
【0075】
ステップS5において、撮像装置1から画像Gを入力された抽出部21は、特徴量を画像Gから抽出する。抽出部21は、画像Gから抽出した特徴量を判定部22に出力する。
【0076】
ステップS6において、判定部22は、特徴量が画像Gから抽出されたか否かを判定する。特徴量が画像Gから抽出されなかったと判定部22によって判定された場合(NOの場合)、処理はステップS18に進む。
【0077】
ステップS18において、計数装置2は、エラー信号NAを案内装置4に出力する。案内装置4は、薬剤の数量が算出されない旨を報知部41によって作業者に知らせる。したがって、作業者は、薬剤の数量が計数装置2によって算出されていないことを認識する。また、案内装置4は、薬剤の数量が計数装置2によって算出されるようにするための方法の候補を案内部42(例えば、モニタ)で案内する。したがって、薬剤の数量が計数装置2によって算出されるようにするための方法の候補の何れかを作業者が実施することで、薬剤の数量が、計数装置2によって算出されるようになる。この後、処理は、ステップS1に戻って、作業者は、包装体によって包装された複数の薬剤を撮像する。
【0078】
一方で、ステップS6において、特徴量が画像Gから抽出されたと判定部22によって判定された場合(YESの場合)、処理は、ステップS7に進む。ステップS7において、判定部22は、特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1(
図3参照)であると判定できるか否かを判定する。
【0079】
ステップS7において、特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であると判定できる場合(YESの場合)、処理は、
図7のステップS8に進む。ステップS8において、判定部22は、特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であるか否かを判定する。ステップS8において、特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であると判定された場合(YESの場合)、処理は、ステップS9に進む。ステップS9において、第1算出部23は、抽出部21から抽出された薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1に基づいて薬剤の数量を算出する。第1算出部23の算出した薬剤の数量は、算出判定部29に出力される。そして、処理は、後述するステップS16に進む。
【0080】
一方で、ステップS8において、特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1でないと判定された場合(NOの場合)、処理は、ステップS10に進む。ステップS10において、
図2に示す測定部24は、包装体の寸法を測定して、その測定結果を第2算出部25に出力する。ステップS11において、第2算出部25は、包装体の寸法に基づいて薬剤の数量を算出する。このようにすると、抽出部21の抽出した特徴量が、画像Gに含まれる薬剤の数量を算出するのに適していなくとも、薬剤を包装している包装体の寸法に基づいて、薬剤の数量を算出できる。したがって、計数装置2は、抽出部21が画像Gから抽出した特徴量に基づいて薬剤の数量を算出できなくとも、包装体の寸法に基づいて薬剤の数量を算出できる。第2算出部25の算出した薬剤の数量は、算出判定部29に出力される。ステップS11の後、処理はステップS16に進む。
【0081】
一方で、
図6のステップS7において、特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であると判定できない場合(NOの場合)、処理は、
図7のステップS12に進む。ステップS12において、第1算出部23は、抽出部21の抽出した特徴量に基づいて薬剤の第1数量を算出する。第1数量は、比較部27に出力される。ステップS13において、測定部24は、ステップS10と同じ処理を行う。ステップS14において、第2算出部25は、包装体の寸法に基づいて薬剤の第2数量を算出する。第2数量は、比較部27に出力される。
【0082】
ステップS15において、比較部27は、第1数量と、第2数量とを比較する。そして、比較部27は、第1数量と、第2数量とのうちの一方をあらかじめ定められた基準にしたがって選択して薬剤の数量とする。したがって、特徴量が、薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量F1であるか否かを、判定部22が判定できない場合であっても、第1数量および第2数量から薬剤の数量を算出できる。比較部27の選択した薬剤の数量は、算出判定部29に出力される。
【0083】
ステップS16において、算出判定部29は、第1算出部23または第2算出部25によって薬剤の数量が算出されたか否かを判定する。ここで、算出判定部29が判定する対象は、比較部27から出力された、薬剤の数量を含む。薬剤の数量が算出されていないと算出判定部29によって判定された場合(NOの場合)、処理は、
図6に示すステップS18に進む。一方で、薬剤の数量が算出されたと算出判定部29によって判定された場合(YESの場合)、処理は、
図7に示すステップS17に進む
【0084】
ステップS17において、
図1に示す表示装置3は、計数装置2から入力された薬剤の種類、薬剤の数量、および画像Gを表示する。したがって、作業者は、撮像した薬剤の種類および数量を画像Gとともに参照できる。これにより、消費者へ提供される予定の薬剤の種類および数量が処方箋に記された薬剤と一致しているかどうかが作業者によって確認される。これにより、作業者による薬剤の監査作業が補助される。また、薬剤を取り扱う施設(薬局など)において、画面に表示される画像Gと、薬剤の種類および数量が記録されることにより、消費者に提供された薬剤に関する情報が保存される。
【符号の説明】
【0085】
1 撮像装置
2 計数装置
3 表示装置
4 案内装置
20 識別部
21 抽出部
22 判定部
23 第1算出部
24 測定部
25 第2算出部
26 包装体データ記憶部
27 比較部
28 学習部
29 算出判定部
41 報知部
42 案内部
G 画像
F1 薬剤の包装体内における位置に対応する特徴量
F2 包装体特徴量