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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090302
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】リーン車両の制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240627BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20240627BHJP
   B60W 30/02 20120101ALI20240627BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240627BHJP
   G01S 17/88 20060101ALI20240627BHJP
   G01S 13/88 20060101ALI20240627BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20240627BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20240627BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20240627BHJP
【FI】
G08G1/00 J
B60W40/06
B60W30/02
B60W50/14
G01S17/88
G01S13/88
G01S13/931
G01S15/931
G01S17/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206108
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】プファウ ラース
(72)【発明者】
【氏名】シャープ イェッセ
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
5J070
5J083
5J084
【Fターム(参考)】
3D241BA16
3D241BA54
3D241BA60
3D241CA12
3D241CC18
3D241CE01
3D241DC49A
5H181AA05
5H181CC03
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL09
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AE01
5J070AE07
5J070AE09
5J070AF03
5J083AA02
5J083AB13
5J083AC29
5J083AD04
5J083AD09
5J083AD15
5J083AF05
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA10
5J084AB01
5J084AB07
5J084AB16
5J084AC02
(57)【要約】
【課題】本発明は、リーン車両の走行モード設定を適切に支援し得る制御装置と、リーン車両の走行モード設定を適切に支援し得る制御方法と、を得るものである。
【解決手段】制御装置(20)は、リーン車両(100)の走行路が悪路であるか否かを判定する悪路判定処理を行う判定部と、悪路判定処理の結果に基づいて、リーン車両(100)の走行モード設定の支援動作を実行する実行部と、を備えており、判定部は、リーン車両(100)に搭載されている少なくとも1つの受信器で受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分の情報である走行路情報に基づいて、悪路判定処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン車両(100)の制御装置(20)であって、
前記リーン車両(100)の走行路が悪路であるか否かを判定する悪路判定処理を行う判定部(21)と、
前記悪路判定処理の結果に基づいて、前記リーン車両(100)の走行モード設定の支援動作を実行する実行部(22)と、
を備えており、
前記判定部(21)は、前記リーン車両(100)に搭載されている少なくとも1つの受信器(11y)で受信される電磁波エコーに含まれる前記走行路での散乱成分(C2)の情報である走行路情報に基づいて、前記悪路判定処理を行う、
制御装置。
【請求項2】
前記走行路情報が、前記散乱成分(C2)が基準強度を上回る強度(I2)であることを示す情報である場合、及び/又は、該散乱成分(C2)が基準振幅を上回る振幅(A2)であることを示す情報である場合に、前記判定部(21)は、前記走行路が悪路であると判定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記判定部(21)は、前記リーン車両(100)の走行状態情報に基づいて、前記悪路判定処理の有効及び無効を切り替える、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記走行状態情報が、前記リーン車両(100)が基準速度を下回る速度で走行していることを示す情報である場合に、前記判定部(21)は、前記悪路判定処理を無効化する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記走行状態情報が、前記リーン車両(100)が基準速度を上回る速度で走行していることを示す情報である場合に、前記判定部(21)は、前記悪路判定処理を無効化する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記走行状態情報が、前記リーン車両(100)が基準旋回度を上回る旋回度で走行していることを示す情報である場合に、前記判定部(21)は、前記悪路判定処理を無効化する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
前記走行路情報は、互いに異なる前記受信器(11y)で受信される複数の前記電磁波エコーのそれぞれに含まれる前記散乱成分(C2)が、前記リーン車両(100)の旋回方向及び/又は該受信器(11y)の該リーン車両(100)における搭載位置に応じて重み付けされた情報である、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記走行路情報は、複数の前記受信器(11y)のうちから前記リーン車両(100)の旋回方向及び/又は該受信器(11y)の該リーン車両(100)における搭載位置に応じて選択される少なくとも1つの該受信器(11y)で受信される前記電磁波エコーに含まれる前記散乱成分(C2)の情報である、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項9】
前記支援動作は、前記走行モード設定を全自動で行う動作である、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項10】
前記支援動作は、前記リーン車両(100)の運転者(200)に前記走行モード設定を促す動作である、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項11】
前記走行モード設定は、前記リーン車両(100)及び/又は他車両のスリップ抑制動作及び/又はサスペンション制御動作に反映される設定である、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項12】
前記走行モード設定は、前記リーン車両(100)の環境情報に基づく該リーン車両(100)及び/又は他車両の挙動制御動作に反映される設定である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記走行モード設定は、前記リーン車両(100)の環境情報に基づく該リーン車両(100)及び/又は他車両の運転者(200)に対する報知動作に反映される設定である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
前記環境情報は、前記受信器(11y)の出力に基づいて取得される、
請求項12又は13に記載の制御装置。
【請求項15】
リーン車両(100)の制御方法であって、
制御装置(20)の判定部(21)が、前記リーン車両(100)の走行路が悪路であるか否かを判定する悪路判定処理を行う判定ステップ(S101)と、
前記制御装置(20)の実行部(22)が、前記悪路判定処理の結果に基づいて、前記リーン車両(100)の走行モード設定の支援動作を実行する実行ステップ(S102)と、
を備えており、
前記判定ステップ(S101)では、前記判定部(21)が、前記リーン車両(100)に搭載されている少なくとも1つの受信器(11y)で受信される電磁波エコーに含まれる前記走行路での散乱成分(C2)の情報である走行路情報に基づいて、前記悪路判定処理を行う、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーン車両の制御装置と、リーン車両の制御方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリーン車両の制御装置として、リーン車両の走行路が悪路であるか否かを判定する悪路判定処理を行う判定部と、悪路判定処理の結果に基づいて、リーン車両の走行モード設定の支援動作を実行する実行部と、を備えるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-157802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリーン車両の制御装置では、判定部が、リーン車両の車輪の挙動の検出結果に基づいて悪路判定処理を行う。リーン車両の走行モード設定をより適切に支援するには、悪路判定処理の精度を確保することが重要である。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、リーン車両の走行モード設定を適切に支援し得る制御装置を得るものである。また、リーン車両の走行モード設定を適切に支援し得る制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、リーン車両の制御装置であって、前記リーン車両の走行路が悪路であるか否かを判定する悪路判定処理を行う判定部と、前記悪路判定処理の結果に基づいて、前記リーン車両の走行モード設定の支援動作を実行する実行部と、を備えており、前記判定部は、前記リーン車両に搭載されている少なくとも1つの受信器で受信される電磁波エコーに含まれる前記走行路での散乱成分の情報である走行路情報に基づいて、前記悪路判定処理を行う。
【0007】
本発明に係る制御方法は、リーン車両の制御方法であって、制御装置の判定部が、前記リーン車両の走行路が悪路であるか否かを判定する悪路判定処理を行う判定ステップと、前記制御装置の実行部が、前記悪路判定処理の結果に基づいて、前記リーン車両の走行モード設定の支援動作を実行する実行ステップと、を備えており、前記判定ステップでは、前記判定部が、前記リーン車両に搭載されている少なくとも1つの受信器で受信される電磁波エコーに含まれる前記走行路での散乱成分の情報である走行路情報に基づいて、前記悪路判定処理を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、判定部が、リーン車両に搭載されている少なくとも1つの受信器で受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分の情報である走行路情報に基づいて、悪路判定処理を行う。そのため、リーン車両の走行モード設定を適切に支援することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る支援システムの、リーン車両への搭載状態を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る支援システムの、構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る支援システムの、環境センサの受信器の出力の一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る支援システムの、環境センサの受信器の出力の一例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る支援システムの、制御装置の動作フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る制御装置及び制御方法について、図面を用いて説明する。
【0011】
なお、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。
【0012】
例えば、以下では、本発明に係る制御装置及び制御方法が、自動二輪車の支援システムに用いられる場合を説明しているが、本発明に係る制御装置及び制御方法が、自動二輪車以外の他のリーン車両の支援システムに用いられてもよい。リーン車両は、右方向への旋回走行に際して車体が右側に倒れ、左方向への旋回走行に際して車体が左側に倒れる車両を意味する。リーン車両には、例えば、モータサイクル(自動二輪車、自動三輪車)、自転車等が含まれる。モータサイクルには、エンジンを動力源とする車両、電気モータを動力源とする車両等が含まれる。モータサイクルには、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。自転車は、ペダルに付与される運転者の踏力によって路上を推進することが可能な車両を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0013】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部分については、同一の符号を付すか又は符号を付すことを省略している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0014】
実施の形態.
以下に、実施の形態に係る支援システムを説明する。
【0015】
<支援システムの構成>
実施の形態に係る支援システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る支援システムの、リーン車両への搭載状態を示す図である。図2は、本発明の実施の形態に係る支援システムの、構成を示す図である。
【0016】
図1及び図2に示されるように、支援システム1は、リーン車両100に搭載される。支援システム1は、少なくとも、リーン車両100の環境情報を検出するための環境情報検出システム11と、リーン車両100の走行状態情報を検出するための走行状態情報検出システム12と、制御装置(ECU)20と、を含む。制御装置20は、必要に応じて、他の情報(例えば、運転者200によるブレーキ操作の情報、運転者200によるアクセル操作の情報等)を検出するための各種検出システム(図示省略)の出力を受け取る。支援システム1の各部は、支援システム1に専ら用いられるものであってもよく、また、他のシステムと共用されるものであってもよい。
【0017】
環境情報検出システム11は、例えば、リーン車両100の前方に向けられている少なくとも1つの環境センサ11aと、リーン車両100の右方に向けられている少なくとも1つの環境センサ11bと、リーン車両100の左方に向けられている少なくとも1つの環境センサ11cと、リーン車両100の後方に向けられている少なくとも1つの環境センサ11dと、を含む。なお、図1では、環境センサ11cが紙面手前側に位置しているように図示されているが、実際には、環境センサ11cは、紙面奥側に位置している。環境センサ11a、11b、11c、11dは、リーン車両100に搭載される。環境センサ11a、11b、11c、11dは、例えば、超音波センサ、レーダー、Lidarセンサ等である。環境センサ11a、11b、11c、11dは、検出範囲内に位置する物体(例えば、車両、障害物、道路設備、人、動物等)までの距離及び/又は方向に関連する情報(例えば、相対位置、相対距離、相対速度、相対加速度、相対加加速度、通過時間差、衝突に至るまでの予測時間等の情報)を非接触で検出する。つまり、環境情報検出システム11は、環境センサ11a、11b、11c、11dを用いて、リーン車両100の周辺に位置する物体である周辺物体の情報を環境情報として検出するものである。環境センサ11a、11b、11c、11dの検出原理は、後述される。環境センサ11a、11b、11c、11dのうちの一部の環境センサが、他の環境センサで兼用されていてもよい。また、必要に応じて、環境センサ11a、11b、11c、11dのうちの一部が省略されていてもよく、また、他の環境センサが追加されてもよい。
【0018】
走行状態情報検出システム12は、例えば、車輪速センサ12aと、慣性センサ(IMU)12bと、を含む。車輪速センサ12aは、リーン車両100の車輪の回転速度を検出する。車輪速センサ12aが、リーン車両100の車輪の回転速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。慣性センサ12bは、リーン車両100に生じている3軸の加速度及び3軸(ロール、ピッチ、ヨー)の角速度を検出する。慣性センサ12bが、リーン車両100に生じている3軸の加速度及び3軸の角速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。また、慣性センサ12bが、3軸の加速度及び3軸の角速度の一部のみを検出するものであってもよい。また、必要に応じて、車輪速センサ12a及び慣性センサ12bの一部が省略されてもよく、また、他のセンサが追加されてもよい。
【0019】
制御装置20は、少なくとも、判定部21と、実行部22と、を含む。制御装置20の全て又は各部は、1つの筐体に纏めて設けられていてもよく、また、複数の筐体に分けられて設けられていてもよい。また、制御装置20の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0020】
環境センサ11a、11b、11c、11dは、それぞれ、リーン車両100の周辺物体に向けて電磁波を送信する少なくとも一つの送信器11xと、周辺物体で散乱して戻ってくる電磁波エコーを受信する少なくとも一つの受信器11yと、を備えている。
【0021】
図3及び図4は、本発明の実施の形態に係る支援システムの、環境センサの受信器の出力の一例を示す図である。図3及び図4では、送信器11xで電磁波が送信されて受信器11yで電磁波エコーが受信されるまでの時間差を横軸とし、受信器11yで受信される電磁波エコーの強度を縦軸とする。図3は、リーン車両100の走行路が舗装路である場合を示し、図4は、リーン車両100の走行路が非舗装路である場合を示す。
【0022】
図3及び図4に示されるように、受信器11yで受信される電磁波エコーには、リーン車両100の周辺物体(例えば、車両、障害物、道路設備、人、動物等)での散乱成分C1と、リーン車両100の走行路での散乱成分(いわゆるグランドクラッタ)C2と、が含まれる。環境情報検出システム11では、環境センサ11a、11b、11c、11dの少なくとも1つの受信器11yで受信される電磁波エコーに、例えば周知の一定誤警報確率処理(CFAR処理)等が施されることで、周辺物体での散乱成分C1が抽出され、その散乱成分C1に対応する時間差情報が距離情報に変換されて、リーン車両100から周辺物体までの距離及び/又は方向に関連する情報(例えば、相対位置、相対距離、相対速度、相対加速度、相対加加速度、通過時間差、衝突に至るまでの予測時間等の情報)が検出される。
【0023】
判定部21は、環境情報検出システム11の出力に基づいて、リーン車両100の走行路が悪路であるか否かを判定する悪路判定処理を行う。リーン車両100の走行路が、舗装路のような路面が比較的滑らかな道路である場合には、図3に示されるように、走行路での散乱成分C2の強度I2が小さくなり、リーン車両100の走行路が、非舗装路のような路面が比較的荒れた道路である場合には、図4に示されるように、走行路での散乱成分C2の強度I2が大きくなる。また、リーン車両100の走行路が、舗装路のような路面が比較的滑らかな道路である場合には、図3に示されるように、走行路での散乱成分C2の振幅A2が小さくなり、リーン車両100の走行路が、非舗装路のような路面が比較的荒れた道路である場合には、図4に示されるように、走行路での散乱成分C2の振幅A2が大きくなる。そこで、判定部21は、環境情報検出システム11の環境センサ11a、11b、11c、11dの少なくとも1つの受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の情報である走行路情報に基づいて、悪路判定処理を行う。
【0024】
例えば、走行路情報が、走行路での散乱成分C2の強度I2が基準強度を上回ることを示す情報である場合、及び/又は、走行路での散乱成分C2の振幅A2が基準振幅を上回ることを示す情報である場合に、判定部21はリーン車両100の走行路が悪路であると判定する。つまり、悪路判定処理は、リーン車両100の走行路が基準となる路面状態に対して散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2が大きくなる路面であるか否かを判定する処理であればよく、リーン車両100の走行路が非舗装路であるか否かを判定するものに限定されない。なお、強度I2及び/又は振幅A2が、基準時間に亘って取得された値の平均値であるとよい。また、判定結果が頻繁に切り替わることを抑制するために、強度I2が大きくなる過程で比較される基準強度が、強度I2が小さくなる過程で比較される基準強度と比較して大きく設定されているとよく、また、振幅A2が大きくなる過程で比較される基準振幅が、振幅A2が小さくなる過程で比較される基準振幅と比較して大きく設定されているとよい。また、基準強度及び/基準振幅は、固定値であってもよく、また、リーン車両100の走行状態情報に基づいて設定される変動値であってもよい。
【0025】
ここで、判定部21は、リーン車両100の走行状態情報に基づいて、悪路判定処理の有効及び無効を切り替えるとよい。判定部21は、環境情報検出システム11の作動状態を変化させて悪路判定処理の有効及び無効を切り替えてもよく、また、環境情報検出システム11を作動させたまま判定部21における悪路判定処理の実行の許否を変化させて悪路判定処理の有効及び無効を切り替えてもよく、また、環境情報検出システム11の検出結果又は悪路判定処理の結果の採否を変化させて悪路判定処理の有効及び無効を切り替えてもよい。
【0026】
例えば、走行状態情報が、リーン車両100が第1基準速度を下回る速度で走行していることを示す情報である場合に、判定部21は、悪路判定処理を無効化する。そのような構成により、走行路の限られた領域の路面状態に応じて、リーン車両100の走行路が悪路であるか否かが低い精度で判定されることが抑制される。
【0027】
例えば、走行状態情報が、リーン車両100が第2基準速度を上回る速度で走行していることを示す情報である場合に、判定部21は、悪路判定処理を無効化する。第2基準速度は、第1基準速度と比較して大きい。そのような構成により、リーン車両100が高速域で走行している状態で、リーン車両100の走行路が悪路であるか否かが低い精度で判定されることが抑制される。
【0028】
例えば、走行状態情報が、リーン車両100が基準旋回度を上回る旋回度で走行していることを示す情報である場合に、判定部21は、悪路判定処理を無効化する。旋回度は、リーン車両100に生じている旋回走行の度合いを意味する。リーン車両100が直進走行している状態は、旋回度が0であると定義される。また、リーン車両100が大きいバンクを生じさせて旋回している状態は、リーン車両100が小さいバンクを生じさせて旋回している状態と比較して、旋回度が高いと定義される。旋回度は、リーン車両100に生じているロール角自体又はそれに対応する物理量であってもよく、また、リーン車両100に生じている横加速度自体又はそれに対応する物理量であってもよく、また、リーン車両100に生じているヨー角速度自体又はそれに対応する物理量であってもよい。そのような構成により、リーン車両100の走行姿勢が不安定になっている状態で、リーン車両100の走行路が悪路であるか否かが低い精度で判定されることが抑制される。
【0029】
また、判定部21で悪路判定処理に用いられる走行路情報は、互いに異なる複数の受信器11yで受信される複数の電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の情報であるとよい。複数の受信器11yは、互いに異なる方向を向く状態でリーン車両100に搭載されている。つまり、環境情報検出システム11が1つ又は複数の環境センサ11a、11b、11c、11dを備えている場合において、全ての受信器11y又はその一部である複数の受信器11yで受信される各電磁波エコーに対して、走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2が取得されるとよい。
【0030】
例えば、走行路情報が、全ての受信器11yで受信される各電磁波エコーにおいて、走行路での散乱成分C2の強度I2が基準強度を上回ることを示す情報である場合、及び/又は、走行路での散乱成分C2の振幅A2が基準振幅を上回ることを示す情報である場合に、判定部21はリーン車両100の走行路が悪路であると判定する。なお、そのような構成である場合には、判定部21が、走行状態情報が基準旋回度を上回る旋回度でリーン車両100が走行していることを示す情報である場合に悪路判定処理を無効化するものであるとよい。
【0031】
例えば、走行路情報が、走行路での散乱成分C2の強度I2が基準強度を上回っている、及び/又は、走行路での散乱成分C2の振幅A2が基準振幅を上回っている電磁波エコーの数が基準数を上回っていることを示す情報である場合に、判定部21はリーン車両100の走行路が悪路であると判定する。なお、そのような構成である場合には、判定部21が、走行状態情報が基準旋回度を上回る旋回度でリーン車両100が走行していることを示す情報である場合に悪路判定処理を無効化するものであるとよい。
【0032】
また、判定部21で悪路判定処理に用いられる走行路情報は、互いに異なる受信器11yで受信される複数の電磁波エコーのそれぞれに含まれる走行路での散乱成分C2が、リーン車両100の旋回方向及び/又は受信器11yのリーン車両100における搭載位置に応じて重み付けされた情報であるとよい。つまり、環境情報検出システム11が1つ又は複数の環境センサ11a、11b、11c、11dを備えている場合において、全ての受信器11y又はその一部である複数の受信器11yで受信される各電磁波エコーに対して、走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2が取得され、それらがリーン車両100の旋回方向及び/又は各受信器11yのリーン車両100における搭載位置に応じて重み付けされるとよい。
【0033】
例えば、判定部21は、互いに異なる方向を向く状態でリーン車両100に搭載されている複数の受信器11yで受信される各電磁波エコーのそれぞれに対して、走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2を取得し、旋回走行するリーン車両100が倒れる側と反対側を向く受信器11y(例えば、リーン車両100が右方向へ旋回走行している場合には、環境センサ11cの受信器11y)で受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2の重みが、旋回走行するリーン車両100が倒れる側と同じ側を向く受信器11y(例えば、リーン車両100が右方向へ旋回走行している場合には、環境センサ11bの受信器11y)で受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2の重みと比較して高くなる加重平均処理を行い、その結果を基準強度及び/又は基準振幅と比較して悪路判定処理を行う。
【0034】
例えば、判定部21は、互いに異なる方向を向く状態でリーン車両100に搭載されている複数の受信器11yで受信される各電磁波エコーのそれぞれに対して、走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2を取得し、高い位置に搭載されている受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2の重みが、低い位置に搭載されている受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2の重みと比較して高くなる加重平均処理を行い、その結果を基準強度及び/又は基準振幅と比較して悪路判定処理を行う。
【0035】
また、判定部21で悪路判定処理に用いられる走行路情報は、複数の受信器11yのうちからリーン車両100の旋回方向及び/又は受信器11yのリーン車両100における搭載位置に応じて選択される少なくとも1つの受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の情報であるとよい。つまり、環境情報検出システム11が1つ又は複数の環境センサ11a、11b、11c、11dを備えている場合において、全ての受信器11y又はその一部である複数の受信器11yのうちからリーン車両100の旋回方向及び/又は各受信器11yの搭載位置に応じて選択される少なくとも1つの受信器11yで受信される電磁波エコーに対して、走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2が取得されるとよい。
【0036】
例えば、判定部21は、互いに異なる方向を向く状態でリーン車両100に搭載されている複数の受信器11yのうちから、旋回走行するリーン車両100が倒れる側と反対側を向く少なくとも1つの受信器11y(例えば、リーン車両100が右方向へ旋回走行している場合には、環境センサ11cの受信器11y)を選択し、その受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2を基準強度及び/又は基準振幅と比較して悪路判定処理を行う。
【0037】
例えば、判定部21は、互いに異なる方向を向く状態でリーン車両100に搭載されている複数の受信器11yのうちから、基準高さを上回る高さに搭載されている少なくとも一つの受信器11yを選択し、その受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の強度I2及び/又は振幅A2を基準強度及び/又は基準振幅と比較して悪路判定処理を行う。
【0038】
図1及び図2に示されるように、実行部22は、例えば、リーン車両100に制動力を生じさせる制動装置30、リーン車両100に駆動力を生じさせる駆動装置40、運転者200に対する報知(例えば、聴覚に作用する報知、視覚に作用する報知、触覚に作用する報知等)を発する報知装置50等に制御指令を出力して、リーン車両100の挙動制御動作を実行してもよく、また、リーン車両100の運転者200に対する報知動作を実行してもよい。なお、報知装置50は、リーン車両100に設けられていてもよく、また、リーン車両100と通信可能に接続された運転者200の着用物110(例えば、ヘルメット、ゴーグル、グローブ等)に設けられていてもよい。また、実行部22は、リーン車両100の周辺に位置する他車両の挙動制御動作を実行してもよく、また、その他車両の運転者200に対する報知動作を実行してもよい。また、運転者200に対する報知が、リーン車両100及び/又は他車両に瞬時的な加減速度の変化を生じさせるハプティクス動作によって行われてもよい。そのような構成である場合には、制動装置30又は駆動装置40が、報知装置50の機能を担う。
【0039】
ここで、実行部22は、判定部21における悪路判定処理の結果に基づいて、リーン車両100の走行モード設定の支援動作を実行する。走行モード設定は、リーン車両100の走行時の機能及び/又はその制御パラメータを変更する設定である。
【0040】
実行部22は、悪路判定処理によってリーン車両100の走行路が悪路であると判定された場合に、リーン車両100の走行時の機能及び/又はその制御パラメータを悪路に適したものに全自動で変更して、走行モード設定を支援する。実行部22は、例えば、制動装置30、駆動装置40、報知装置50等に、その走行モード設定が反映された制御指令を出力して、例えば、リーン車両100及び/又は他車両の挙動制御動作、リーン車両100及び/又は他車両の運転者200に対する報知動作等を実行する。
【0041】
また、実行部22は、悪路判定処理によってリーン車両100の走行路が悪路であると判定された場合に、リーン車両100の走行時の機能及び/又はその制御パラメータを悪路に適したものに変更することをリーン車両100の運転者200に提案して、走行モード設定を支援する。実行部22は、制御指令を出力して、リーン車両100の設定入力装置60にその提案(例えば、メッセージ、イラスト、音声等の出力)を行わせる。設定入力装置60が、リーン車両100の運転者200による承認を受け付けると、実行部22は、その走行モード設定を確定する。実行部22は、例えば、制動装置30、駆動装置40、報知装置50等に、その走行モード設定が反映された制御指令を出力して、例えば、リーン車両100及び/又は他車両の挙動制御動作、リーン車両100及び/又は他車両の運転者200に対する報知動作等を実行する。設定入力装置60は、リーン車両100に設けられていてもよく、また、リーン車両100と通信可能に接続された運転者200の着用物110(例えば、ヘルメット、ゴーグル、グローブ等)に設けられていてもよい。
【0042】
具体例として、実行部22は、リーン車両100及び/又は他車両の挙動制御動作として、走行状態情報検出システム12の出力に基づいて、リーン車両100及び/又は他車両のスリップ抑制動作(例えば、アンチロックブレーキコントロール、トラクションコントロール、横滑り抑制制御等)及び/又はサスペンション制御動作を実行する。
【0043】
ここで、実行部22は、悪路判定処理によってリーン車両100の走行路が悪路であると判定された場合に、スリップ抑制動作及び/又はサスペンション制御動作に関連する走行モード設定の支援動作を実行する。例えば、実行部22は、実行中のスリップ抑制動作及び/又はサスペンション制御動作を中断又は終了させる走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。また、実行部22は、スリップ抑制動作及び/又はサスペンション制御動作の開始が禁止又は抑制された走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。また、実行部22は、スリップ抑制動作で生じさせる又は生じている減速度又は加速度を増加又は減少させる走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。また、実行部22は、サスペンション制御動作で生じさせる又は生じている減衰度を減少又は増加させる走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。
【0044】
他の具体例として、実行部22は、リーン車両100及び/又は他車両の挙動制御動作として、環境情報検出システム11の出力に基づいて、リーン車両100及び/又は他車両の自動加減速動作を行う。自動加減速動作は、例えば、運転者200によるブレーキ操作及びアクセル操作が無い状態で行われる先行車に対する速度追従制御(いわゆる、アダプティブクルーズコントロール)、運転者200によるブレーキ操作又はアクセル操作が有る状態で行われる先行車に対する速度追従制御等である。実行部22は、リーン車両100又は他車両と、その先行車と、の相対距離、相対速度、又は、通過時間差の情報を取得する。実行部22は、制動装置30又は駆動装置40に制御指令を出力して、その相対距離、相対速度、又は、通過時間差の情報に応じた加減速度を生じさせて、リーン車両100又は他車両を先行車に速度追従させる。制動装置30が、減速度を生じさせる又は増加させるために制御されてもよく、また、加速度を生じさせる又は増加させるために制御されてもよい。駆動装置40が、加速度を生じさせる又は増加させるために制御されてもよく、また、減速度を生じさせる又は増加させるために制御されてもよい。実行部22は、自動加減速動作の実行時に、必要に応じて、報知装置50に制御信号を出力して、報知動作としての運転者200に対する報知を生じさせる。
【0045】
ここで、実行部22は、悪路判定処理によってリーン車両100の走行路が悪路であると判定された場合に、自動加減速動作に関連する走行モード設定の支援動作を実行する。例えば、実行部22は、実行中の自動加減速動作を中断又は終了させる走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。また、実行部22は、自動加減速動作の開始が禁止又は抑制された走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。また、実行部22は、自動加減速動作で生じさせる又は生じている減速度及び/又は加速度を減少又は増加させる走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。
【0046】
他の具体例として、実行部22は、リーン車両100及び/又は他車両の運転者200に対する報知動作及び/又は挙動制御動作として、環境情報検出システム11の出力に基づいて、リーン車両100及び/又は他車両の衝突抑制動作を行う。実行部22は、リーン車両100又は他車両と、リーン車両100の周辺(例えば、前方、右方、左方、後方等)に位置する物体(例えば、車両、障害物、道路設備、人、動物等)である周辺物体と、の衝突に至るまでの予測時間の情報、つまり衝突可能性の情報を取得する。実行部22は、衝突可能性が基準を上回ると判定される場合に、報知装置50に制御信号を出力して、運転者200に対する報知を生じさせる。また、実行部22は、衝突可能性が基準を上回ると判定される場合に、制動装置30又は駆動装置40に制御指令を出力して、その衝突を抑制する加減速度をリーン車両100又は他車両に生じさせる。制動装置30が、減速度を生じさせる又は増加させるために制御されてもよく、また、加速度を生じさせる又は増加させるために制御されてもよい。駆動装置40が、加速度を生じさせる又は増加させるために制御されてもよく、また、減速度を生じさせる又は増加させるために制御されてもよい。
【0047】
ここで、実行部22は、悪路判定処理によってリーン車両100の走行路が悪路であると判定された場合に、衝突抑制動作に関連する走行モード設定の支援動作を実行する。例えば、実行部22は、実行中の衝突抑制動作を中断又は終了させる走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。また、実行部22は、衝突抑制動作の開始が禁止又は抑制された走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。また、実行部22は、衝突抑制動作で生じさせる又は生じている減速度を減少又は増加させる走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。
【0048】
<支援システムの動作>
実施の形態に係る支援システムの動作について説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る支援システムの、制御装置の動作フローの一例を示す図である。
【0049】
制御装置20は、リーン車両100の走行中において、図5に示される動作フローを実行する。
【0050】
(判定ステップ)
ステップS101において、判定部21は、リーン車両100の走行路が悪路であるか否かを判定する悪路判定処理を行う。判定部21は、リーン車両100に搭載されている少なくとも1つの受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の情報である走行路情報に基づいて、悪路判定処理を行う。
【0051】
(実行ステップ)
続いて、ステップS102において、実行部22は、ステップS101で行われた悪路判定処理の結果に基づいて、リーン車両100の走行モード設定の支援動作を実行する。
【0052】
<支援システムの効果>
実施の形態に係る支援システムの効果について説明する。
制御装置20では、判定部21が、リーン車両100に搭載されている少なくとも1つの受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の情報である走行路情報に基づいて、悪路判定処理を行う。そのため、リーン車両100の走行モード設定を適切に支援することが可能である。
【0053】
好ましくは、走行路情報が、走行路での散乱成分C2が基準強度を上回る強度I2であることを示す情報である場合、及び/又は、走行路での散乱成分C2が基準振幅を上回る振幅A2であることを示す情報である場合に、判定部21は、走行路が悪路であると判定する。そのような構成によって、悪路判定処理が適切に行われる。
【0054】
好ましくは、判定部21は、リーン車両100の走行状態情報に基づいて、悪路判定処理の有効及び無効を切り替える。そのような構成によって、悪路判定処理が適切に行われる。
【0055】
好ましくは、走行路情報は、互いに異なる受信器11yで受信される複数の電磁波エコーのそれぞれに含まれる走行路での散乱成分C2が、リーン車両100の旋回方向及び/又は受信器11yのリーン車両100における搭載位置に応じて重み付けされた情報である。そのような構成によって、悪路判定処理が適切に行われる。
【0056】
好ましくは、走行路情報は、複数の受信器11yのうちからリーン車両100の旋回方向及び/又は受信器11yのリーン車両100における搭載位置に応じて選択される少なくとも1つの受信器11yで受信される電磁波エコーに含まれる走行路での散乱成分C2の情報である。そのような構成によって、悪路判定処理が適切に行われる。
【0057】
以上、実施の形態について説明したが、実施の形態の一部のみが実施されてもよく、また、実施の形態の一部が異なる態様に変更されてもよい。つまり、本発明は実施の形態の説明に限定されない。
【0058】
例えば、以上では、悪路判定処理と、リーン車両100の自動加減速動作及び/又は衝突抑制動作と、で共通の環境情報検出システム11が用いられる場合を説明したが、本発明は、そのような場合に限定されない。悪路判定処理と、リーン車両100の自動加減速動作及び/又は衝突抑制動作と、で互いに異なる環境情報検出システム11が用いられてもよい。
【0059】
また、以上では、実行部22が、自動加減速動作と、衝突抑制動作と、スリップ抑制動作及び/又はサスペンション制御動作と、を実行する場合を説明したが、本発明はそのような場合に限定されない。実行部22が、自動加減速動作と、衝突抑制動作と、を実行せずに、スリップ抑制動作及び/又はサスペンション制御動作のみを実行してもよい。そのような場合には、環境情報検出システム11は、専ら悪路判定処理に用いられる。
【0060】
また、以上では、実行部22が、走行モード設定が、自動加減速動作、衝突抑制動作、スリップ抑制動作、及び/又は、サスペンション制御動作に関連する走行モード設定を支援する場合を説明したが、本発明はそのような場合に限定されない。実行部22が、リーン車両100の走行時に各種情報の収集動作及び/又は解析動作を実行するものである場合に、実行部22が、走行モード設定としてのそれらの動作の設定を支援してもよい。実行部22は、悪路判定処理によってリーン車両100の走行路が悪路であると判定された場合に、それらの動作を中断又は終了させる走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。また、実行部22は、それらの動作の開始が禁止又は抑制された走行モードを全自動で設定してもよく、また、その走行モードの設定を運転者200に提案してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 支援システム、11 環境情報検出システム、11a、11b、11c、11d 環境センサ、11x 送信器、11y 受信器、12 走行状態情報検出システム、12a 車輪速センサ、12b 慣性センサ、20 制御装置、21 判定部、22 実行部、30 制動装置、40 駆動装置、50 報知装置、60 設定入力装置、100 リーン車両、110 着用物、200 運転者。


図1
図2
図3
図4
図5