(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090313
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】QOL改善及び/又は顔の血色感改善用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20240627BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240627BHJP
A61K 36/9068 20060101ALI20240627BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240627BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K31/352
A61P3/00
A61K36/9068
A23L33/10
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206127
(22)【出願日】2022-12-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 「薬理と治療」(2021年12月28日、ライフサイエンス出版発売)株式会社東洋新薬のウェブサイト(2022年1月17日掲載) 健康産業流通新聞(2022年9月8日、株式会社健康産業流通新聞社発行) 健康産業流通新聞(2022年9月22日、株式会社健康産業流通新聞社発行)
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】松岡 夏希
(72)【発明者】
【氏名】高野 晃
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
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4B018MF01
4C086AA01
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4C086NA14
4C086ZC21
4C088AB81
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4C088BA14
4C088CA03
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZC21
(57)【要約】
【課題】植物素材を用いた新たなQOL改善用組成物及び/又は顔の血色感改善用組成物を提供すること。
【解決手段】黒生姜抽出物を含有することを特徴とするQOL改善用組成物及び/又は顔の血色感改善用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラメチルルテオリンを含有することを特徴とするQOL改善用組成物。
【請求項2】
テトラメチルルテオリンを含有することを特徴とする顔の血色感改善用組成物。
【請求項3】
黒生姜抽出物を含有することを特徴とするQOL改善用組成物。
【請求項4】
黒生姜抽出物を含有することを特徴とする顔の血色感改善用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、QOL(quality of life)を改善できる組成物に関する。また、本発明は、顔の血色感を改善できる組成物に関する。また、本発明は、QOLを改善でき、さらに、顔の血色感を改善できる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
QOLは、ヒトが、身体的、精神的、社会的、文化的に満足できる豊かな生活を送れているかといった生活の質を表す指標であり、このQOLの改善は、ヒトの生活の質の向上につながる。
【0003】
QOLは、身体的側面、精神的側面、社会的側面、文化的側面のいずれをも良好な状態で維持させておくことが望ましい。このうち、精神的側面、すなわち精神的なQOLは、栄養不足や睡眠不足、運動不足、不規則な生活をはじめとする生活習慣の乱れによって、日々の生活の中で損なわれることが多い。通常、減退した精神的なQOLは、食事、睡眠などによってある程度回復するが、精神的なQOLの減退が著しくひどく進行したり、長期間続くと、良好な精神的なQOLの回復し難くなる。また、精神的なQOLの減退は、老若男女問わず生じているのが現状である。したがって、ヒトの生活の質の向上につながるため、性別、年齢を問わず、精神的なQOLを良好な状態で維持させておくことが求められている。
【0004】
これまで提案されているQOL改善用組成物としては、例えば、乳酸菌(ラクチプランチバチルス・プランタルム)を有効成分とするQOL改善剤(例えば、特許文献1参照)、含硫アミノ酸乳酸菌(S-メチルシステインスルフォキシド及びS-1-プロぺニル-L-システインスルフォキシドから選択される1種以上)を有効成分とするQOL改善剤等が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
ところで、QOLは、身体的側面、精神的側面、社会的側面、文化的側面を良好な状態で維持させることで改善を図ることができるが、例えば、顔の血色感が改善されることで、顔の赤みが増し、健康的であると感じやすくなるため、顔の血色感の改善を通して主観的な健康状態が改善され、社会生活機能、例えば、人付き合いの改善や全体的健康感の改善につながると考えられる。したがって、ヒトの生活の質の向上につながるため、顔の血色感を改善することが求められている。
【0006】
これまで提案されている顔の血色感改善用組成物としては、例えば、松樹皮抽出物、還元型コエンザイムQ10及び杜仲抽出物を含有する肌血色改善用の経口組成物等が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
一方、近年、健康に対する関心の高まり等を背景に、種々の健康食品の開発が行われており、安全性の高い様々な自然素材(植物素材)の研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-023807号公報
【特許文献2】特開2018-150283号公報
【特許文献3】特開2013-241394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、植物素材を用いた新たなQOL改善用組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、植物素材を用いた新たな顔の血色改善用組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、植物素材を用いた新たなQOL改善及び顔の血色改善用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、植物素材の機能について研究する中で、黒生姜抽出物がQOLを改善する機能を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。また、黒生姜に含まれるテトラメチルルテオリンがQOLを改善する機能を有することを見いだした。さらに、黒生姜抽出物が顔の血色感を改善する機能を有することを見いだした。また、黒生姜に含まれるテトラメチルルテオリンが顔の血色感を改善する機能を有することを見いだした。さらに、黒生姜抽出物がQOLを改善し、かつ、顔の血色感を改善する機能を有することを見いだした。また、黒生姜に含まれるテトラメチルルテオリンがQOLを改善し、かつ、顔の血色感を改善する機能を有することを見いだした。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1] テトラメチルルテオリンを含有することを特徴とするQOL改善用組成物。
[2] QOL改善が精神的なQOLの改善であることを特徴とする、[1]に記載のQOL改善用組成物。
[3] テトラメチルルテオリンを含有することを特徴とする顔の血色感改善用組成物。
[4] テトラメチルルテオリンを含有することを特徴とするQOL改善及び/又は顔の血色感改善用組成物。
[5] 黒生姜抽出物を含有することを特徴とするQOL改善用組成物。
[6] QOL改善が精神的なQOLの改善であることを特徴とする、[5]に記載のQOL改善用組成物。
[7] 黒生姜抽出物を含有することを特徴とする顔の血色感改善用組成物。
[8] 黒生姜抽出物を含有することを特徴とするQOL改善及び/又は顔の血色感改善用組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の組成物は、QOLを改善することができる。また、顔の血色感を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明の組成物は、テトラメチルルテオリンを含有することを特徴とする。また、第2の発明の組成物は、黒生姜抽出物を含有することを特徴とする。第1の発明の組成物におけるテトラメチルルテオリンは、黒生姜から得られるものが好ましいが、それ以外の素材から得られたものであってもよい。
以下、第1の発明の組成物及び/又は第2の発明の組成物を本発明の組成物という。
【0014】
黒生姜(Kaempferia parviflora)は、東南アジアなどに自生することで知られているショウガ科バンウコン属の植物である。黒生姜は、長期にわたりヒトに摂取されてきた実績のある天然植物であって安全性が高いことから、本発明の組成物は、実用性が高い。また、黒生姜には、交感神経の活性化作用を有するテトラメチルルテオリンが含まれている。
【0015】
本発明に用いられる黒生姜としては、特に制限はなく、国内産、外国産などの産地を問わず、外国産としては、例えばタイ産やラオス産等が挙げられ、国内産としては、例えば沖縄産等が挙げられる。また、本発明に用いられる黒生姜の部位としては、特に限定されないが、テトラメチルルテオリンを多く含有する根茎を用いることが好ましい。
【0016】
本発明の黒生姜抽出物は、テトラメチルルテオリンを含むものであれば特に限定されないが、例えば、黒生姜やその処理物を溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液や濃縮液、又はそれらの乾燥物やその粉末が挙げられる。
【0017】
黒生姜抽出物は、黒生姜やその処理物を溶媒で抽出することによって得られる。抽出に使用される溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;これらと水との混合溶媒などが挙げられる。水もまた抽出溶媒として挙げられ、熱水や温水などであってもよい。
【0018】
本発明の組成物は、ヒトが経口的に摂取するものであることから、原料である黒生姜の抽出物は、水単独、エタノール単独又は水とエタノールとの混合溶媒(いわゆる含水エタノール)によって抽出されたものであることが好ましい。
【0019】
抽出方法は特に限定されないが、例えば、安全性、利便性及び工業化の観点から、可能な限り緩やかな条件で抽出操作を行うことが好ましい。例えば、黒生姜の部位やその乾燥物を、粉砕、破砕、細断などして、これに2~20倍質量の溶媒を加え、0℃~溶媒の還流温度の範囲で10分~48時間、静置、振盪、攪拌、還流などの任意の条件下にて抽出を行う。抽出作業後、ろ過、遠心分離などの固液分離操作を行い、不溶な固形物を除去する。これに、必要に応じて希釈、濃縮などの操作を行うことにより、抽出液を得る。さらに、不溶物についても同じ操作を繰り返して抽出し、その抽出液を先の抽出液と合わせて用いてもよい。これらの抽出液は、当業者が通常用いる精製方法により、さらに精製して使用してもよい。
【0020】
得られた抽出液は、そのままで、又は濃縮するなどして、例えば、液状物、濃縮物、さらにこれらを乾燥した乾燥物などの形態で用いることができる。乾燥は特に限定されず、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥などの当業者が通常用いる方法により行われる。さらに、以上の方法で得られた乾燥物を、当業者に知られる方法を用いて粉末化して使用することが可能である。
【0021】
本発明の組成物において用いられる黒生姜抽出物は、例えば、抽出物全量に対するテトラメチルルテオリンの含有量が、乾燥質量換算で、0.005~15質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがより好ましく、0.2~1質量%であることがさらに好ましい。
【0022】
本発明の組成物は、QOL改善及び/又は顔の血色感改善に用いられるQOL改善用組成物及び/又は顔の血色感改善用組成物であり、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等の経口組成物として用いることができる。
【0023】
本発明の組成物は、QOLを改善することができる。具体的に、本発明の組成物は、精神的なQOLを改善することができる。また、精神的なQOLに加えて、身体的なQOLも同時に改善することができ、精神的なQOLの改善及び身体的なQOLの改善の両立を図ることができる。より具体的に、本発明の組成物は、健康関連のQOLの評価指標であるSF-36v2による、精神的なQOL改善に関する「社会生活機能」、身体的なQOL改善に関する「日常役割機能(身体)」、並びに精神的・身体的なQOL改善に関する「全体的健康感」を改善することができる。また、本発明の組成物は、顔の血色感を改善することができる。
【0024】
健康に関連するQOLの評価手法として知られているSF-36v2は、自己報告式の健康状態調査票であり、8つの健康概念、すなわち、身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康のそれぞれを評価してスコア化することができる。8つの健康概念のうち、身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感は身体的健康度に強く関連し、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康は精神的健康度に強く関連する。SF-36v2における各健康概念の高得点は以下のように解釈される。
【0025】
・身体機能:激しい活動を含むあらゆるタイプの活動を行うことが可能である。
・日常役割機能(身体):過去1ヵ月間に仕事や普段の活動をしたときに、身体的な理由で問題がなかった。
・体の痛み:過去1ヵ月間に体の痛みはぜんぜんなく、体の痛みのためにいつもの仕事が妨げられることはぜんぜんなかった。
・全体的健康感:健康状態は非常に良い。
・活力:過去1ヵ月間、いつでも活力にあふれていた。
・社会生活機能:過去1ヵ月間に家族、友人、近所の人、その他の仲間との普段のつきあいが、身体的あるいは心理的は理由で妨げられることはぜんぜんなかった。
・日常役割機能(精神):過去1ヵ月間、仕事や普段の活動をしたときに心理的な理由で問題がなかった。
・心の健康:過去1ヵ月間、落ち着いていて、楽しく、おだやかな気分であった。
【0026】
なお、SF-36v2は、8つの健康概念のうちのひとつの健康概念を単独で使用してもよく、任意の複数の健康概念を使用してもよい。SF-36v2の詳細については、NPO健康医療評価研究機構より2009年10月に発行されているSF-36v2TM日本語版マニュアルに記載されている。
【0027】
本発明のQOL改善用組成物は、テトラメチルルテオリン又は黒生姜抽出物を含有し、QOL改善のために用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、QOL改善機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。具体的には、「QOLを改善する」「生活の質の向上に」「社会生活機能の改善」「日常生活や仕事に対する積極性を高める」「人づきあいに対する積極性を高める」等の表示を例示することができる。
【0028】
本発明のQOL改善用組成物は、テトラメチルルテオリン又は黒生姜抽出物を有効成分として表示するものであってもよいが、製品の包装等に、テトラメチルルテオリン又は黒生姜抽出物が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として、QOL改善に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。また、QOL改善を示す論文等を機能性の科学的根拠とし、テトラメチルルテオリンや黒生姜抽出物を機能性関与成分とする機能性表示食品であって、QOLを改善する機能を届出表示とする機能性表示食品についても、実質的に当該届出表示はQOL改善のことを意味しているため、本発明の範囲に含まれる。
【0029】
本発明の顔の血色感改善用組成物は、テトラメチルルテオリン又は黒生姜抽出物を含有し、顔の血色感改善のために用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、顔の血色感改善機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。具体的には、「顔の血色感を改善」「顔色改善」「顔の血色を改善して明るく」等の表示を例示することができる。
【0030】
本発明の顔の血色感改善用組成物は、テトラメチルルテオリン又は黒生姜抽出物を有効成分として表示するものであってもよいが、製品の包装等に、テトラメチルルテオリン又は黒生姜抽出物が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として、顔の血色感改善に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。また、顔の血色改善を示す論文等を機能性の科学的根拠とし、テトラメチルルテオリンや黒生姜抽出物を機能性関与成分とする機能性表示食品であって、顔の血色を改善する機能を届出表示とする機能性表示食品についても、実質的に当該届出表示は顔の血色改善のことを意味しているため、本発明の範囲に含まれる。
【0031】
本発明の組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状(ハードカプセル状、ソフトカプセル状)、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル錠状、スティック状等を挙げることができる。アイス、ゼリー、クッキー、ケーキ、チョコレート、ペットボトル飲料等の形態であってもよい。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、丸状、チュアブル錠状の形態が好ましく、錠状、粉末状、顆粒状が特に好ましい。
【0032】
本発明の組成物を錠状、丸状、チュアブル錠状とする場合、賦形剤、滑沢剤、流動化剤のいずれか1種以上を添加することが好ましい。これにより、成型性が高められ、製造された剤の保存安定性が向上する。特に、賦形剤及び滑沢剤を使用することで保存安定性をより高めることができる。
【0033】
本発明の組成物におけるテトラメチルルテオリンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、テトラメチルルテオリンを0.00001~20質量%含有させることができ、0.0001~10質量%含有させることが好ましく、0.001~5質量%含有させることがより好ましく、0.01~1質量%含有させることがさらに好ましい。
【0034】
本発明の組成物が液状の飲料である場合、本発明の組成物におけるテトラメチルルテオリンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、液状の飲料である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、テトラメチルルテオリンを0.00000005~5質量%含有させることができ、0.0000005~0.5質量%含有させることが好ましく、0.000005~0.05質量%含有させることがより好ましく、0.00001~0.005質量%含有させることがさらに好ましい。
【0035】
本発明の組成物における黒生姜抽出物の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、黒生姜抽出物を0.1~90質量%含有させることができ、1~80質量%含有させることが好ましく、5~70質量%含有させることがより好ましく、10~60質量%含有させることがさらに好ましい。
【0036】
本発明の組成物が液状の飲料である場合、本発明の組成物における黒生姜抽出物の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、液状の飲料である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、黒生姜抽出物を0.00000005~30質量%含有させることができ、0.0000005~15質量%含有させることが好ましく、0.000005~5質量%含有させることがより好ましく、0.001~0.5質量%含有させることがさらに好ましい。
【0037】
本発明におけるテトラメチルルテオリンの摂取量としては特に制限はないが、その効果をより効果的に享受できる点から、テトラメチルルテオリンの摂取量が、成人の1日当たり、0.001mg以上となるように摂取することが好ましく、0.01mg以上となるように摂取することがより好ましく、0.1mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、100mgであり、好ましくは10mgであり、より好ましくは1mgである。
【0038】
本発明の組成物は、テトラメチルルテオリンの1日の摂取量が上記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で上記摂取量を摂取する態様であってもよいし、複数回に分けて上記摂取量を摂取する態様であってもよい。すなわち、例えば、1つの容器に、又は2~4の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0039】
本発明の組成物は、必要に応じて、テトラメチルルテオリン又は黒生姜抽出物以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
【実施例0040】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
[実施例1]
黒ショウガ摂取による、QOL改善及び顔の血色感の改善について調査した。
【0042】
<被験食品>
被験食品として、黒生姜抽出物((株)常磐植物化学研究所)に、還元麦芽糖、セルロース、ステアリン酸カルシウム及び二酸化ケイ素を混合し、打錠したものを使用した。対照食品には、外観で被験食品との区別がつかないように、被験食品中の黒ショウガ抽出物をカラメル色素に置き換えたものを使用した。
【0043】
被験食品及び対照食品ともに1日摂取目安量(0.25g×2粒)を無地アルミ個包装とし、盲検性を確保した。被験食品に含まれるテトラメチルルテオリンは、1日摂取目安量あたり0.32mgと算出された。
【0044】
<試験方法>
被験者は、20歳以上65歳未満の健康な日本人男女で、1群25名(計50名)とした。なお、最終的な解析対象者は、35名であった。
試験は、前観察期間(1週間)及び摂取期間(4週間)からなる合計5週間のプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験(割付け比1:1)とした。試験期間中は、1日1回1袋(2粒)の試験食品を、100mLの水又はぬるま湯とともに摂取させた。
【0045】
<検査項目>
(QOLに関する評価)
SF-36v2日本語版を用いて、「全体的健康感」、「社会生活機能」、「日常役割機能(身体)」の3項目のスコアリングを行った。その結果を表1に示す。
【0046】
<解析方法>
反復測定による二元配置分散分析を行い、群と時間の交互作用が認められた場合、各検査の実測値に対し、検査ごとに対応のないt検定による群間比較を行った(交互作用の検定は摂取前からの変化値の群間比較検定と一致する)。
【0047】
【0048】
表1に示すように、「全体的健康感」、「社会生活機能」、及び「日常役割機能(身体)」において、交互作用が認められため、各検査の実測値に対し、検査ごとに群間比較を行ったが、いずれも有意な変化はなかった。交互作用の検定の結果から、摂取前からの変化値で身体的・精神的両方に関するQOLの評価である「全体的健康感」、並びに、精神的なQOLの評価である「社会生活機能」、身体的なQOLの評価である「日常役割機能(身体)」において、被験食品群が対照食品群と比較して有意な値を示した(より高いスコアとなった)。
【0049】
(顔の血色感に関する評価)
顔の血色感に関しては、VAS検査を用いて評価を行った。左端を「血色がよく、健康的に感じる最良の感覚」、右端を「血色が悪く、不健康に感じる最悪の感覚」とした100mmの線分上に現在の状態がどこに位置するか回答させ、左端からの長さを測定した。その結果を表2に示す。
【0050】
<解析方法>
反復測定による二元配置分散分析を行い、群と時間の交互作用が認められた場合、各検査の実測値に対し、検査ごとに対応のないt検定による群間比較を行った(交互作用の検定は摂取前からの変化値の群間比較検定と一致する)。
【0051】
【0052】
表2に示すように、「顔の血色感」において、交互作用が認められため、検査の実測値に対し、群間比較を行ったが、いずれも有意な変化はなかった。交互作用の検定の結果から、摂取前からの変化値で被験食品群が対照食品群と比較して有意な値を示した(左端からの長さがより短くなった)。
【0053】
[配合実施例1~3]
(錠剤の製造)
表3に示すように、テトラメチルルテオリンを0.2%含有する黒生姜抽出物と、表3に記載する他の原料を混合した後、打錠装置を用いて成形し、錠剤を製造した(1粒あたり250mg)。得られた錠剤は、QOL改善作用及び顔の血色感改善作用に優れる。したがって、本錠剤は、本発明の効果を奏する。
【0054】
【0055】
[配合実施例4~6]
(粉末飲料の製造)
表4に示すように、テトラメチルルテオリンを1.0%含有する黒生姜抽出物と、表4に記載する他の原料を混合して粉末(飲料用)を製造した。得られた粉末(飲料用)3gを水100mLと混合した粉末飲料は、QOL改善作用及び顔の血色感改善作用に優れる。したがって、本粉末飲料は、本発明の効果を奏する。
【0056】
【0057】
[配合実施例7~9]
(顆粒の製造)
表5に示すように、テトラメチルルテオリンを0.4%含有する黒生姜抽出物と、表5に記載する他の原料を混合した後、流動層造粒機に投入し、気流で数分間混合し、これに水300mLを1分間に30mL噴霧して造粒を行った。得られた造粒物を30メッシュの篩いで選別し、顆粒を製造した。得られた顆粒は、QOL改善作用及び顔の血色感改善作用に優れる。したがって、本顆粒は、本発明の効果を奏する。
【0058】
【0059】
[配合実施例10~12]
(ハードカプセルの製造)
表6に示すように、テトラメチルルテオリンを0.8%含有する黒生姜抽出物と、表6に記載する他の原料を混合した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むカプセル被膜に封入しハードカプセルを製造した(1粒あたり内容物200mg、皮膜80mg)。得られたハードカプセルは、QOL改善作用及び顔の血色感改善作用に優れる。したがって、本ハードカプセルは、本発明の効果を奏する。
【0060】
【0061】
[配合実施例13~15]
(ソフトカプセルの製造)
表7に示すように、テトラメチルルテオリンを0.2%含有する黒生姜抽出物と、表7に記載する他の原料を混合してソフトカプセルの内容物(1カプセルあたり300mg)を製造した。続いて、ソフトカプセルの内容物を、常法に従って、ゼラチン製のカプセル被膜(1カプセルあたり150mg)で被包しソフトカプセルを製造した。得られたソフトカプセルを摂取したところ、QOL改善作用及び顔の血色感改善作用に優れる。したがって、本カソフトプセルは、本発明の効果を奏する。
【0062】
【0063】
[配合実施例16~18]
(飲料の製造)
表8に示すように、テトラメチルルテオリンを0.1%含有する黒生姜抽出物と、表8に記載する他の原料を混合して飲料を製造し、500mLの容器に充填した。得られた飲料は、QOL改善作用及び顔の血色感改善作用に優れる。したがって、本飲料は、本発明の効果を奏する。
【0064】