(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090337
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】バッテリ冷却システム、車両、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B60K 11/06 20060101AFI20240627BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240627BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240627BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240627BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240627BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240627BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/633
H01M10/6563
H01M10/625
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206174
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川功一
(72)【発明者】
【氏名】池邊佑太
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC02
3D038AC04
3D038AC11
3D038AC12
3D038AC14
3D038AC22
3D235AA02
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD36
3D235FF37
3D235HH12
3D235HH31
5H031CC09
5H031KK08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷却ファンのノイズに対する搭乗者の不快感を増大させることなく、当該冷却ファンの冷却性能を向上させることが可能な冷却ファン制御システムなどを提供すること。
【解決手段】制御ユニット15は、取得されたバッテリ温度と所定の閾値とを比較し、比較結果に応じて、高電圧バッテリ14を冷却する冷却ファンの冷却能力を段階的に切り替えることによって、当該冷却ファンの出力を制御する出力制御処理を実行する。特に、制御ユニット15は、冷却ファンの冷却能力を段階的に切り替えるため、バッテリ温度が上昇する際と下降する際で異なる閾値であって、異なる温度が予め規定された複数の温度閾値を用いて冷却ファンを制御する。そして、制御ユニット15は、バッテリ温度が温度閾値(上昇時)以上又は温度閾値(下降時)以下と判定した場合には、該当する温度閾値に対応付けて予めセットされた冷却能力に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリを冷却するバッテリ冷却システムであって、
一つ又は複数のプロセッサと、前記一つ又は複数のプロセッサと通信可能に接続された一つ又は複数のメモリと、を備え、
前記プロセッサが、
前記バッテリの温度を取得する温度取得処理を実行し、
前記温度取得処理によって取得されたバッテリの温度と所定の閾値とを比較し、比較結果に応じて、前記バッテリを冷却する冷却ファンの冷却能力を制御する出力制御処理を実行し、
前記車両に設けられた開閉可能な窓の開閉状態を認識する開閉状態認識処理を実行し、
前記開閉状態認識処理によって認識された開閉状態に応じて異なる閾値を用いる、バッテリ冷却システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリ冷却システムにおいて、
前記プロセッサが、
前記開閉状態認識処理によって前記窓が開状態であることが認識された場合に、当該窓が閉状態の場合に用いる第1の閾値より、同一のバッテリの温度において前記冷却ファンの冷却能力が高くなる第2の閾値を用いる、バッテリ冷却システム。
【請求項3】
請求項1に記載のバッテリ冷却システムにおいて、
前記プロセッサが、
前記車両に搭乗する搭乗者の着座位置を検出する着座位置検出処理を実行し、
前記開状態の窓の位置を特定する特定処理を実行し、
前記開閉状態認識処理によって認識された窓の開閉状態に応じて、かつ、前記検出された搭乗者の着座位置及び前記特定された開状態の窓の位置に応じて、異なる閾値を用いる、バッテリ冷却システム。
【請求項4】
バッテリを冷却するバッテリ冷却システムが搭載された車両であって、
前記バッテリ冷却システムが、
一つ又は複数のプロセッサと、前記一つ又は複数のプロセッサと通信可能に接続された一つ又は複数のメモリと、温度センサと、開閉状態センサと、を備え、
前記プロセッサが、
前記温度センサによって前記バッテリの温度を検出させ、当該検出させたバッテリの温度を取得する温度取得処理を実行し、
前記温度認識処理によって検出されたバッテリの温度と閾値とを比較し、比較結果に応じて、前記バッテリを冷却する冷却ファンの冷却能力を制御する出力制御処理を実行し、
前記開閉状態センサによって前記車両に設けられた開閉可能な窓の開閉状態を認識させ、当該窓の開閉状態を特定する開閉状態特定処理を実行し、
前記開閉状態認識処理によって認識された開閉状態に応じて異なる閾値を用いる、車両。
【請求項5】
車両に搭載されたバッテリを冷却するコンピュータプログラムであって、
コンピュータに
前記バッテリの温度を検出する温度検出処理を実行させ、
前記温度検出処理によって検出されたバッテリの温度と閾値とを比較し、比較結果に応じて、前記バッテリを冷却する冷却ファンの冷却能力を制御する出力制御処理を実行させ、
前記車両に設けられた開閉可能な窓の開閉状態を検出する開閉状態認識処理を実行させ、
前記開閉状態認識処理によって検出された開閉状態に応じて、前記閾値を変更する閾値変更処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリ冷却システム、車両、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境対策などの観点から、電気自動車又はハイブリッド電気自動車などの電気モータを駆動源として用いる車両が一般化してきており、当該電気モータに電気を供給する電池については、高い性能を有し、かつ、長寿命化が達成可能なものが求められている。
【0003】
その一方で、電池の温度が上昇するとその性能が低下するだけでなく、その寿命も低下するため、従来から電池を冷却する様々な方法が提案されている。
【0004】
特に、最近では、電池を冷却するシステムとしては、車両の窓の開閉などに応じて冷却ファンの回転数を制御し、当該冷却ファンによる冷却性能を損なうことなく、冷却ファンの起動に起因する体感的なノイズを低下させたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の冷却ファンの駆動制御方法にあっては、窓の開状態又は閉状態で回転数を変化させているだけであり、更なる改良が望まれている。
【0007】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的とするところは、冷却ファンのノイズに対する搭乗者の不快感を増大させることなく、当該冷却ファンの冷却性能を向上させることが可能な冷却ファン制御システムなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の第1の態様に係る充電制御システムは、
車両に搭載されたバッテリを冷却するバッテリ冷却システムであって、
一つ又は複数のプロセッサと、前記一つ又は複数のプロセッサと通信可能に接続された一つ又は複数のメモリと、を備え、
前記プロセッサが、
前記バッテリの温度を取得する温度取得処理を実行し、
前記温度取得処理によって取得されたバッテリの温度と所定の閾値とを比較し、比較結果に応じて、前記バッテリを冷却する冷却ファンの冷却能力を制御する出力制御処理を実行し、
前記車両に設けられた開閉可能な窓の開閉状態を認識する開閉状態認識処理を実行し、
前記開閉状態認識処理によって認識された開閉状態に応じて異なる閾値を用いる、構成を有している。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本開示の第2の態様に係る車両は、
バッテリを冷却するバッテリ冷却システムが搭載された車両であって、
前記バッテリ冷却システムが、
一つ又は複数のプロセッサと、前記一つ又は複数のプロセッサと通信可能に接続された一つ又は複数のメモリと、温度センサと、開閉状態センサと、を備え、
前記プロセッサが、
前記温度センサによって前記バッテリの温度を検出させ、当該検出させたバッテリの温度を取得する温度取得処理を実行し、
前記温度認識処理によって検出されたバッテリの温度と閾値とを比較し、比較結果に応じて、前記バッテリを冷却する冷却ファンの冷却能力を制御する出力制御処理を実行し、
前記開閉状態センサによって前記車両に設けられた開閉可能な窓の開閉状態を認識させ、当該窓の開閉状態を特定する開閉状態特定処理を実行し、
前記開閉状態特定処理によって特定された開閉状態に応じて、前記閾値を変更する閾値変更処理を実行する、構成を有している。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本開示の第3の態様に係るコンピュータプログラムは、
車両に搭載されたバッテリを冷却するプログラムであって、
コンピュータに
前記バッテリの温度を検出する温度検出処理を実行させ、
前記温度検出処理によって検出されたバッテリの温度と閾値とを比較し、比較結果に応じて、前記バッテリを冷却する冷却ファンの冷却能力を制御する出力制御処理を実行させ、
前記車両に設けられた開閉可能な窓の開閉状態を検出する開閉状態検出処理を実行させ、
前記開閉状態検出処理によって検出された開閉状態に応じて、前記閾値を変更する閾値変更処理を実行させる、構成を有している。
【発明の効果】
【0011】
本開示のバッテリ冷却システムなどは、冷却ファンのノイズに対する搭乗者の不快感を増大させることなく、当該冷却ファンの冷却能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態における車両に搭載された冷却ファン制御システムの構成を示すシステム構成図の一例である。
【
図2】本開示の一実施形態の車両に搭載される高電圧バッテリ及びダクトを含む車室及び荷室との関係を説明するための車両の簡易構造図である。
【
図3】本開示の一実施形態における冷却ファン制御システムの特徴点を説明するための図であって、特定の車両の走行中の暗騒音と停車中の冷却ファンのノイズとを比較したグラフである。
【
図4】本開示の一実施形態において、窓が閉状態の場合であって、温度の上昇時及び下降時における低出力用の温度閾値(群)と、バッテリ温度に応じた冷却ファンの冷却能力が規定されたモードと、の関係を示す図(マップ)である。
【
図5】本開示の一実施形態において、窓が開状態の場合であって、温度の上昇時及び下降時における高出力用の温度閾値(群)と、バッテリ温度に応じた冷却ファンの冷却能力が規定されたモードと、の関係を示す図(マップ)である。
【
図6】本開示の一実施形態の冷却ファン制御システムにおいて実行される冷却ファン起動制御処理の動作を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の一実施形態の冷却ファン制御システムにおいて実行される冷却ファン起動制御処理の動作を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態の冷却ファン制御システムにおいて実行される冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)の動作を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の一実施形態の冷却ファン制御システムにおいて実行される冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)の動作を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の一実施形態の冷却ファン制御システムにおいて実行される冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)の動作を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の一実施形態の冷却ファン制御システムにおいて実行される冷却ファン駆動制御処理(窓閉状態)の動作を示すフローチャートである。
【
図12】本開示の一実施形態の冷却ファン制御システムにおいて実行される冷却ファン駆動制御処理(窓閉状態)の動作を示すフローチャートである。
【
図13】本開示の一実施形態の冷却ファン制御システムにおいて実行される冷却ファン駆動制御処理(窓閉状態)の動作を示すフローチャートである。
【
図14】本開示の変形例における特別温度閾値(群)を用いる際の条件を説明するための図である。
【
図15】本開示の変形例において、窓が開状態及び閉状態の場合であって、温度の上昇時及び下降時における特別温度閾値(群)と、バッテリ温度に応じた冷却ファンの冷却能力が規定されたモードと、の関係を示す図(マップ)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[A]本開示の実施形態の特徴
(1)本開示の実施形態は、
車両に搭載されたバッテリを冷却するバッテリ冷却システムであって、
一つ又は複数のプロセッサと、前記一つ又は複数のプロセッサと通信可能に接続された一つ又は複数のメモリと、を備え、
前記プロセッサが、
前記バッテリの温度を取得する温度取得処理を実行し、
前記温度取得処理によって取得されたバッテリの温度と所定の閾値とを比較し、比較結果に応じて、前記バッテリを冷却する冷却ファンの冷却能力を制御する出力制御処理を実行し、
前記車両に設けられた開閉可能な窓の開閉状態を認識する開閉状態認識処理を実行し、
前記開閉状態認識処理によって認識された開閉状態に応じて異なる閾値を用いる、構成を有している。
【0014】
なお、本開示の実施形態は、上記の各処理を実行する車両、又は、上記の各処理を実行するためのコンピュータプログラムによっても実現可能である。
【0015】
この構成により、本開示の実施形態は、窓が開状態の場合には、ロードノイズなどの車内での暗騒音も大きくなるので、冷却ファンの冷却能力を高くしてその音が大きくなったとしても、冷却ファンのノイズに対する搭乗者の影響を相対的に小さくすることができる。
【0016】
したがって、本開示の実施形態は、冷却ファンのノイズに対する搭乗者の不快感を増大させることなく、当該冷却ファンの冷却能力を向上させることができる。
【0017】
なお、「出力制御処理」とは、例えば、冷却ファンの回転数を制御することを示す。特に、本実施の形態においては、「出力制御処理」として、例えば、冷却ファンの回転数を段階的に制御することが好ましい。
【0018】
「閾値」は、冷却能力を切り替えるために、基本的には、1以上の値が規定されていればよいが、複数の値が規定されていることが好ましい。
【0019】
「冷却ファンの冷却能力」とは、例えば、冷却ファンの回転数又はデューティー(単位時間周期あたりの通電時間の比率)などの冷却風の風量を供給するための能力を示す。
【0020】
「冷却ファンの冷却能力を制御する」とは、例えば、冷却ファンの回転数又はデューティー(時間的な使用状態)などの冷却風の風量を供給する能力を、閾値に応じて、変化させることを示す。
【0021】
「開閉状態に応じて異なる閾値を用いる」とは、窓が開状態と閉状態とで異なる閾値を用いることを示す。例えば、窓開状態において、車両の窓が閉状態の場合に用いる第1の閾値より、バッテリの温度など同一の条件下おいて冷却ファンの出力が高くなる第2の閾値を用いることを示す。
【0022】
(2)また、本開示の実施形態は、
前記プロセッサが、
前記開閉状態認識処理によって前記窓が開状態であることが認識された場合に、当該窓が閉状態の場合に用いる第1の閾値より、同一のバッテリの温度において前記冷却ファンの冷却能力が高くなる第2の閾値を用いる、構成を有している。
【0023】
この構成により、本開示の実施形態は、窓が開状態のときは、冷却ファンの出力を高くすることができるので、当該窓の開状態のときに、冷却ファンのノイズに対する搭乗者の不快感を増大させることなく、当該冷却ファンの冷却性能を向上させることができる。
【0024】
(3)また、本開示の実施形態は、
前記プロセッサが、
前記車両に搭乗する搭乗者の着座位置を検出する着座位置検出処理を実行し、
前記開状態の窓の位置を特定する特定処理を実行し、
前記開閉状態認識処理によって認識された窓の開閉状態に応じて、かつ、前記検出された搭乗者の着座位置及び前記特定された開状態の窓の位置に応じて、異なる閾値を用いる、構成を有している。
【0025】
この構成により、本発明は、着座位置及び窓開状態の窓の位置も考慮して冷却ファンの冷却能力を制御することができる。
【0026】
[B]本開示の実施形態の詳細
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態の詳細について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
[B1]車両
まず、
図1及び
図2を用いて本実施形態の冷却ファン制御システム10が搭載された車両Mの構成について説明する。
【0028】
なお、
図1は、本実施形態の車両Mに搭載された冷却ファン制御システム10の構成を示すシステム構成図の一例である。
【0029】
また、
図2は、本実施形態の車両Mに搭載される高電圧バッテリ14及びダクト12を含む車室2及び荷室3との関係を説明するための車両Mの簡易構造図である。
【0030】
図1に例示する車両Mは、電気モータを有する電気自動車、又は、電気モータとともにエンジンなどの他の動力源を有するハイブリッド車などの大容量の電気を利用する車両であって、四輪自動車又は自動二輪車その他のドライバによって運転可能な車両である。
【0031】
そして、車両Mは、例えば、図示しない電気モータを駆動させることによってその動力を得て、ドライバの操作に従って、又は、自動制御されることによって、車道を走行するための構成を有している。
【0032】
また、車両Mは、図示しない電気モータを駆動するための高電圧バッテリ14を備え、窓100の開閉状態及び高電圧バッテリ14の温度に基づいて、当該高電圧バッテリ14を冷却するため制御を行う冷却ファン制御システム10を有している。
【0033】
特に、車両Mは、
図2に示すように、ドライバを含めて搭乗者が着座し、窓100の開閉が行われる車室2と、例えば、車両Mの車室2より通常の進行方向において後ろ側に形成された荷室3と、を有している。
【0034】
そして、本実施形態の車両Mには、車室2内に、進行方向を基準に、右前窓100RF、右後ろ窓100RR、左前窓100LF及び左後ろ窓100LR(以下、まとめて「窓100」という。)が設けられている。
【0035】
さらに、本実施形態の車両Mは、搭乗者の窓100に対する指示の基に、該当する窓100の開閉をそれぞれ制御する窓開閉駆動ユニット20RF、窓開閉駆動ユニット20RR、窓開閉駆動ユニット20LF及び窓開閉駆動ユニット20LFを有している。
【0036】
すなわち、各窓開閉駆動ユニット20は、窓100毎にそれぞれ設けられており、図示しないスイッチを介して入力された搭乗者の操作指示に基づいて、各窓100の開閉をそれぞれ独立的に制御する構成を有している。
【0037】
なお、上記も含めて、本実施形態においては、特に言及する場合を除き、窓開閉駆動ユニット20RF、窓開閉駆動ユニット20RR、窓開閉駆動ユニット20LF及び窓開閉駆動ユニット20LRをまとめて窓開閉駆動ユニット20として説明する。
【0038】
また、窓開閉駆動ユニット20RF、窓開閉駆動ユニット20RR、窓開閉駆動ユニット20LF、及び、窓開閉駆動ユニット20LRは、基本的には、それぞれ、対応する各窓100が形成されている図示しないドアに組み込まれている。ただし、
図1においては、各窓開閉駆動ユニット20は、簡略化のために、車両M内に配置されていることのみ示されており、ドアに組み込まれている点までは表現されていない。
【0039】
また、窓開閉駆動ユニット20は、各窓100のそれぞれの開閉状態を検出し、当該検出した結果を冷却ファン制御システム10に提供する。
【0040】
具体的には、窓開閉駆動ユニット20は、例えば、パルスセンサなどの窓100の位置を検出するためのセンサ(図示せず)を有し、当該センサの出力に基づいて検出した該当する窓100の位置を検出する。
【0041】
そして、窓開閉駆動ユニット20は、窓100の位置に基づいて、該当する窓100の開閉状態を検出し、検出した状態を冷却ファン制御システム10(具体的には後述する制御ユニット15)に出力する。
【0042】
なお、窓開閉駆動ユニット20は、窓100の移動方向及び移動速度に基づいて、各窓の位置を推定してもよい。
【0043】
上記に加えて、本実施形態の車両Mは、車室2内に設けられた図示しない運転席、助手席及び各後部座席に設けられた搭乗者が着座したか否を検出する各着座センサ40A、40B、40C、40D及び40Eをそれぞれ備えていてもよい。
【0044】
特に、各着座センサ40は、例えば、圧力センサ又は赤外線センサなど、対応する座席に搭乗者が着座した際に、当該着座した旨を冷却ファン制御システム10(後述する制御ユニット15)に出力する。
【0045】
[B2]冷却ファン制御システム
次に、上記
図1及び
図2とともに
図3を用いて本実施形態の車両Mに搭載された冷却ファン制御システム10について説明する。
【0046】
なお、
図3は、本実施形態の冷却ファン制御システム10の特徴点を説明するための図であって、特定車両の走行中の暗騒音と停車中の冷却ファン16のノイズを比較したグラフである。
【0047】
(冷却ファン制御システムの概要及び特徴点)
本実施形態の冷却ファン制御システム10は、車両Mに搭載された高電圧バッテリ14のバッテリ温度が一定の温度以上に上昇している場合に、当該高電圧バッテリ14を冷却するためシステムである。
【0048】
一般的に、上述のように、高電圧バッテリ14のバッテリ温度(すなわち、電池の温度)が上昇すると、その性能が低下するだけでなく、その寿命も低下するため、冷却能力を高くすることは、高性能の維持及び長寿命化のためには必要である。
【0049】
その一方で、冷却ファン16の冷却能力を高くする1つの方法としては、回転数を高くすればよいが、当該回転数を高くすると、暗騒音(すなわち、ノイズ)が比例して大きくなる。
【0050】
例えば、
図2に示すように、冷却に適した車室2内の空調空気を冷却ファン16に導くためには、当該車室2内と冷却ファン16とを繋ぐダクト12が形成されていることが一般的である。
【0051】
このため、冷却ファン16の回転数が大きくなると、それに比例して冷却ファン16に起因するノイズが大きくなるとともに、当該ノイズがダクト12を介して車室2内に伝達されるので、搭乗者の不快感を増大させることにもなる。
【0052】
他方、車両Mに形成された窓100が開状態の場合には、車両Mの車室2内においてロードノイズや風切り音などの暗騒音も大きくなり、搭乗者が認識する冷却ファン16のノイズの影響を、相対的に低減させることができる。
【0053】
特に、
図3に例示するように、特定の車両が特定の走行状態で走行中の暗騒音の各帯域の車室内のレベルが、当該特定の車両が停車している場合において冷却ファン16が所定の運転状態で運転した場合とほぼ同じレベルである。
【0054】
なお、
図3には、特定の車両が特定の走行状態で走行中の暗騒音の車室2内のレベルを示すグラフAと、停車中であって所定の運転状態のときの冷却ファン16における車室2内のノイズレベルを示すグラフBと、が示されている。
【0055】
このため、車両Mの走行中であって窓100が開状態の場合には、たとえ冷却ファン16が駆動していたとしても、当該冷却ファン16に起因するノイズによって搭乗者の不快感を増大させることは少ない。
【0056】
すなわち、走行中のロードノイズ又は風切り音などの暗騒音が搭乗者の耳に届けば、冷却ファン16の音が大きくなったとしても、当該冷却ファン16の音がマスキングされて当該冷却ファン16に起因するノイズによって搭乗者の不快感を増大させることは少ない。
【0057】
そこで、本実施形態の冷却ファン制御システム10は、バッテリ温度に基づいて冷却ファン16の冷却能力を決定する際に用いる閾値を、窓100の開状態と閉状態とによって、変更する構成を有している。
【0058】
具体的には、冷却ファン制御システム10は、冷却ファン16を有し、窓100の開閉状態及びバッテリ温度を検出し、当該バッテリ温度と検出した窓100の開閉状態に基づいて、高電圧バッテリ14の冷却を制御する冷却ファン制御処理を実行する構成を有している。
【0059】
また、本実施形態の冷却ファン制御システム10は、上記の冷却ファン制御処理を実行するために、
図1に示すように、高電圧バッテリ14及び冷却ファン16に加えて、各部を制御するための制御ユニット15及び温度センサ30を有している。
【0060】
特に、冷却ファン制御システム10は、温度センサ30によって検出された高電圧バッテリ14の温度を取得する温度取得処理を実行する構成を有している。
【0061】
また、冷却ファン制御システム10は、当該温度検出処理によって検出されたバッテリ温度と所定の閾値とを比較し、比較結果に応じて、冷却ファン16の出力を段階的に制御する出力制御処理を実行する構成を有している。
【0062】
そして、冷却ファン制御システム10は、車両Mに設けられた開閉可能な窓100の開閉状態を認識する開閉状態認識処理を実行し、当該開閉状態取得処理によって認識された開閉状態に応じて、異なる閾値を用いる構成を有している。
【0063】
このような構成により、冷却ファン制御システム10は、車両Mの窓が開状態のときは、車内においてロードノイズなどの暗騒音も大きくなり、暗騒音のレベルに合わせて、冷却ファンの冷却能力(例えば、回転数又はデューティー)も高くすることがきる。
【0064】
そして、冷却ファン制御システム10は、冷却ファン16のノイズに対する搭乗者の不快感を増大させることなく、当該冷却ファン16の冷却能力を向上させることができる。
【0065】
(冷却ファン制御システムの各部の詳細)
高電圧バッテリ14は、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池などの二次電池であり、例えば、車両Mの荷室3内に格納されている。ただし、高電圧バッテリ14は、床下などの車両Mの所定の場所に格納されていればよい。
【0066】
また、高電圧バッテリ14は、図示しない車載充電器などに接続されており、種々の方法で充電される。
【0067】
そして、高電圧バッテリ14は、図示しないインバータを経由して図示しない電気モータに接続されており、当該電気モータを駆動する電力を蓄積し、図示しないインバータを介して直流電力を交流電力に変換し、変換した電力を当該電気モータに供給する。
【0068】
制御ユニット15は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ及び一つ又は複数のメモリを有している。
【0069】
また、制御ユニット15の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェア、又は、アプリケーションプログラムにより実現する。
【0070】
なお、制御ユニット15の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0071】
本実施形態の制御ユニット15は、温度センサ30及び窓開閉駆動ユニット20と連動し、冷却ファン16の回転数を段階的に制御する構成を有している。
【0072】
具体的には、制御ユニット15は、温度センサ30によって検出されたバッテリ温度を取得し、かつ、窓開閉駆動ユニット20によって駆動された窓100の開閉状態を検出する。
【0073】
そして、制御ユニット15は、取得したバッテリ温度と検出した窓100の開閉状態に基づいて、冷却ファン16から出力される風量が予め定められた複数のモードを切り替え、高電圧バッテリ14に供給する風量を段階的に制御する。
【0074】
特に、制御ユニット15は、同一のバッテリ温度であっても、窓100が開状態のときは、窓閉状態のときより冷却風の風量(すなわち、回転数又はデューティー)が多くなるための制御を実行する構成を有している。
【0075】
例えば、制御ユニット15は、冷却ファン16の駆動を中止するモード「0」から、風量が最高になるモード「5」まで、6段階のモードによって冷却ファン16の風量を段階的に制御する。
【0076】
冷却ファン16は、高電圧バッテリ14に設けられ、当該高電圧バッテリ14を冷却するためであって、
図2に示すように、車室2内の空調空気を、当該車室2内に設けられた吸気口13から、ダクト12を介して高電圧バッテリ14に導くための構成を有している。
【0077】
温度センサ30は、高電圧バッテリ14とともに荷室3内に設けられ、当該高電圧バッテリ14の温度を検出し、当該検出結果を制御ユニットに出力する。
【0078】
[B4.2]温度取得処理
次に、本実施形態の制御ユニット15によって実行される温度取得処理について説明する。
【0079】
制御ユニット15は、電動モータの動作開始時又はエンジンの始動時などの高電圧バッテリ14の冷却を開始するタイミング(以下、「冷却開始タイミング」という。)に、温度センサ30によって検出されたバッテリ温度を取得する温度取得処理を実行する。
【0080】
特に、冷却開始タイミングとしては、上記に加えて、又は、上記に代えて、外気温が氷点下などの低温環境下又は炎天下で一定時間放置後(例えば、外気温が30度以上で1時間以上)の電動モータの動作開始時又はエンジンの始動時であってもよい。
【0081】
[B4.3]窓開閉状態認識処理
次に、本実施形態の制御ユニット15によって実行される窓開閉状態認識処理について説明する。
【0082】
制御ユニット15は、冷却ファン制御処理の実行中に、各窓開閉駆動ユニット20によって検出された各窓100の開状態又は閉状態を示す信号又は情報を受信する。
【0083】
そして、制御ユニット15は、各窓100が開状態又は閉状態であることを個別に認識しつつ、全体として窓100が開状態であるか、又は、閉状態であるかを認識する窓開閉状態認識処理を実行する。
【0084】
具体的には、各窓開閉駆動ユニット20は、上述のように、センサや演算によって特定された該当する窓100の位置に基づいて窓100の開状態又は閉状態を検出し、当該検出した結果を示す情報を制御ユニット15に出力する。
【0085】
このとき、制御ユニット15は、窓開閉駆動ユニット20から出力された窓開状態又は窓閉状態を示す情報(又は信号)を受信すると、該当する窓開閉駆動ユニット20に対応付けられた窓100の開状態、又は、閉状態をそれぞれ認識する。
【0086】
そして、制御ユニット15は、少なくてもいずれかの窓100が開状態にあるときに、窓100全体が開状態であると認識し、全ての窓100が閉状態にあるときに、窓100全体が閉状態であると認識する。
【0087】
また、制御ユニット15は、窓開閉駆動ユニット20から出力された窓開状態又は窓閉状態を示す情報を受信すると、新たな状態を示す情報(又は信号)を受信するまで、該当する窓100の開閉状態の認識を維持する。
【0088】
[B4.4]出力制御処理
次に、
図4及び
図5を用いて本実施形態の制御ユニット15によって実行される出力制御処理について説明する。
【0089】
なお、
図4及び
図5は、本実施形態の窓100の開状態又は閉状態の場合であって、温度の上昇時及び下降時における温度閾値(群)と、バッテリ温度に応じた冷却ファン16の冷却能力が規定されたモードと、の関係を示す図(マップ)である。
【0090】
(出力制御処理の基本原理)
制御ユニット15は、取得されたバッテリ温度と所定の閾値とを比較し、比較結果に応じて、高電圧バッテリ14を冷却する冷却ファン16の冷却能力を決定することによって、当該冷却ファン16の出力を制御する出力制御処理を実行する。
【0091】
特に、制御ユニット15は、冷却ファン16の冷却能力を段階的に切り替えるため、バッテリ温度が上昇する際と下降する際で異なる閾値であって、異なる温度が予め規定された複数の閾値(以下、「温度閾値」という。)を用いて冷却ファン16を制御する。
【0092】
そして、制御ユニット15は、バッテリ温度が温度閾値(上昇時)以上又は温度閾値(下降時)以下と判定した場合には、該当する温度閾値に対応付けて予めセットされた冷却能力(具体的には、デューティーがセットされたモード)に設定する。
【0093】
一方、制御ユニット15は、冷却ファン16の冷却能力を段階的に切り替える際に、上記のように認識された窓100の開閉状態に応じて、異なる温度閾値(具体的には、複数の閾値を有する温度閾値(群))を用いて冷却ファン16の出力制御を実行する。
【0094】
特に、制御ユニット15は、冷却ファン16から発生するノイズと冷却能力のバランスを図る温度閾値(群)を用いているとともに、窓100の開状態時には、搭乗者が認識するノイズが不快感を与えない範囲で冷却能力を上げる温度閾値(群)を用いる。
【0095】
すなわち、制御ユニット15は、窓100の窓閉状態時には、低出力用の温度閾値(群)を用いつつ、窓100の開状態時には、高出力用の温度閾値(群)を用いて当該冷却ファン16の出力を制御する出力制御処理を実行する。
【0096】
具体的には、制御ユニット15は、出力制御処理として、冷却ファン16の起動を制御する冷却ファン起動制御処理を実行する。
【0097】
また、制御ユニット15は、出力制御処理として、窓100の開閉状態において高出力用の温度閾値(群)と低出力用の温度閾値(群)とを切り替えつつ、各温度閾値(群)を用いた冷却ファン駆動制御処理をそれぞれ実行する。
【0098】
(冷却ファン起動制御処理)
制御ユニット15は、冷却ファン起動制御処理として、電動モータのオン又はエンジンの始動などの出力制御処理の開始指示に基づいて、冷却ファン16の起動を制御する。
【0099】
そして、制御ユニット15は、窓100の開閉状態を検出する窓開閉状態認識処理と連動しつつ、冷却ファン起動制御処理として、窓100の開状態又は閉状態における冷却ファン駆動制御処理の開始指示を実行する。
【0100】
特に、制御ユニット15は、窓開閉状態認識処理として窓閉状態であることが認識された場合には、低出力用の温度閾値(群)を、冷却ファン駆動制御処理を実行する際の温度閾値(群)(以下、「実行用閾値」という。)に設定する。
【0101】
具体的には、温度閾値(群)には、バッテリ温度の上昇中に用いる閾値であって段階的に数値が大きくなった複数の閾値(上昇時)と、バッテリ温度の下降中に用いる閾値であって段階的に数値が小さくなった複数の閾値(下降時)と、が含まれる。
【0102】
また、制御ユニット15は、窓開閉状態認識処理として窓開状態であることが認識された場合には、窓閉状態のときの低出力用の温度閾値(群)とは異なり、高出力用の温度閾値(群)を、冷却ファン駆動制御処理を実行する際の実行用閾値に設定する。
【0103】
一方、制御ユニット15は、出力制御処理の実行中に、窓開閉状態が他の状態に遷移すると、実行用閾値を、高出力用の温度閾値(群)から低出力用の温度閾値(群)に、又は、その逆に、切り替える切り替え処理を実行する。
【0104】
なお、制御ユニット15は、初期設定として、高電圧バッテリ14のバッテリ温度を正確に認識するために、高電圧バッテリ14の吸気温度をチェックするため吸気温度チェック処理を実行する。
【0105】
(窓の閉状態における冷却ファン駆動制御処理)
制御ユニット15は、上述のように冷却ファン起動制御処理によって予め設定された、バッテリ温度の上昇中又は下降中に用いる低出力用の温度閾値(群)に基づいて、冷却ファン16の冷却能力を設定し、設定した冷却能力によって冷却ファンを駆動制御する。
【0106】
具体的には、低出力用の温度閾値(群)が実行用閾値に設定された場合には、各閾値に対応付けて、バッテリ温度の温度範囲がそれぞれ規定されており、かつ、各温度範囲には冷却ファン16の冷却能力規定された複数のモードが予め割り当てられている。
【0107】
そして、制御ユニット15は、
図4に例示するように、バッテリ温度が上昇した場合に、当該バッテリ温度が属する温度範囲を特定し、特定した温度範囲に割り当てられたモードによって冷却ファン16の駆動を制御する。
【0108】
特に、制御ユニット15は、例えば、回転数、駆動時間、又は、デューティーの値を変化させることによって、冷却ファン16の冷却能力を複数のモードに切り分けて当該冷却ファン16の駆動制御を行う。
【0109】
なお、
図4には、バッテリ温度が上昇中において、当該バッテリ温度が26度(温度閾値)より小さい場合に最低モード(モード0)の場合に、冷却ファンが停止することが示されている。
【0110】
また、
図4には、バッテリ温度が26度以上の場合に、冷却ファン16が駆動するモード(モード1~モード5)が設定されていることが示されている。
【0111】
特に、
図4には、バッテリ温度が26度以上になると、モード1となり、そしてバッテリ温度が2度上がる毎に、モードが1つ上がり、バッテリ温度が32度以上の場合には、モード4に設定されることが示されている。
【0112】
そして、
図4には、バッテリ温度が45度以上の場合には最大モード5となることが示されている。
【0113】
一方、バッテリ温度が下降した場合に用いる低出力用の温度閾値(群)が設定された場合においても、閾値が異なるだけで、基本的には、バッテリ温度が上昇した場合における冷却ファンの駆動制御と同様な制御が実行される。
【0114】
すなわち、低出力用の温度閾値(群)が実行用閾値に設定された場合には、下降用の各閾値に対応付けて、バッテリ温度の温度範囲がそれぞれ規定されており、かつ、各温度範囲には冷却ファン16の冷却能力規定された複数のモードが予め割り当てられている。
【0115】
そして、制御ユニット15は、バッテリ温度が下降した場合に、
図4に例示するように、バッテリ温度が属する温度範囲を特定し、特定した温度範囲に割り当てられたモードによって冷却ファン16の駆動を制御する。
【0116】
なお、
図4には、バッテリ温度が下降中であって、45度以上のバッテリ温度が43度より小さくなると、冷却ファン16のモードが徐々に小さくなることが示されている。
【0117】
特に、
図4には、バッテリ温度が43度より小さくなると、モード4となり、30度より、温度が2度下がる毎に、モードが1つ小さくなり、24度より小さくなると、モード0となって冷却ファンが停止することが示されている。
【0118】
(窓の開状態における冷却ファン駆動制御処理)
制御ユニット15は、窓の開状態における冷却ファン駆動制御処理において、低出力用の温度閾値(群)を用いる点に代えて、高出力用の温度閾値(群)を用いて冷却ファン駆動制御処理を実行する。ただし、その他の処理及び機能は、窓閉状態における冷却ファン駆動制御処理と同一なので、その具体的な説明を省略する。
【0119】
また、制御ユニット15は、窓100の閉状態と同様に、例えば、回転数、駆動時間、又は、デューティーの値を変化させることによって、冷却ファン16の冷却能力を複数のモードに切り分けて当該冷却ファン16の駆動制御を行う。
【0120】
例えば、制御ユニット15は、
図5に示すように、高出力用の温度閾値(群)において、バッテリ温度が上昇した場合に用いる閾値としては、26度、28度、30度及び32度を用いる。
【0121】
そして、制御ユニット15は、
図5に示すように、温度範囲26度より小さい温度までは、モード0(いわゆる駆動停止)、温度範囲26度から28度までをモード2、及び、温度範囲28度から30度までをモード3に設定する。
【0122】
さらに、制御ユニット15は、
図5に示すように、温度範囲30度から32度までをモード4、温度範囲32度以上をモード5に設定する。
【0123】
一方、例えば、制御ユニット15は、
図5に示すように、高出力用の温度閾値(群)において、バッテリ温度が下降した場合に用いる閾値としては、24度、26度、28度及び30度を用いる。
【0124】
そして、制御ユニット15は、
図5に示すように、バッテリ温度が下降中であって、温度範囲30度から28度までをモード4、及び、温度範囲28度から26度までをモード3に設定する。
【0125】
また、制御ユニット15は、温度範囲26度から24度までをモード2、及び、温度範囲24度以下をモード0に設定する。
【0126】
[B5]本実施形態の動作(冷却ファン制御処理)
[B5.1]冷却ファン起動制御処理
次に、
図6及び7を用いて本実施形態の冷却ファン制御システム10の冷却ファン起動制御処理の動作について説明する。
【0127】
なお、
図6及び
図7は、本実施形態の冷却ファン制御システムの冷却ファン起動制御処理の動作を示すフローチャートである。
【0128】
本動作は、基本的には、車両Mにおける電動モータのオン又はエンジンの始動が行われる際に開始する動作である。
【0129】
また、窓開閉状態認識処理は、電動モータのオン又はエンジンの始動から、それらがオフされるまで、予め定められたタイミング毎に実行されているものとする。
【0130】
まず、制御ユニット15は、電動モータのオン又はエンジンの始動などの本動作の開始指示を検出すると(ステップS101)、高電圧バッテリ14の吸気温度をチェックするため吸気温度チェック処理を起動する(ステップS102)。
【0131】
次いで、制御ユニット15は、所定の期間(温度センサ付近の温度が吸気温に収束する程度の時間)及び最小風量(すなわち、モード1)で冷却ファン16の駆動を制御する(ステップS103)。
【0132】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ又はエンジンの停止などの終了条件を具備したか否かを判定する(ステップS104)。
【0133】
このとき、制御ユニット15は、終了条件を具備したと判定した場合には、本動作を終了させ、終了条件を具備していないと判定した場合には、ステップS105の処理に移行する。
【0134】
次いで、制御ユニット15は、温度センサ30によって検出された高電圧バッテリ14の温度(すなわち、バッテリ温度)Tbが吸気温度Tcより低いか否かを判定する(ステップS106)。
【0135】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが吸気温度Tcより低いと判定した場合には、ステップS104の処理に戻る。
【0136】
一方、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが吸気温度Tcより低くない(すなわち、バッテリ温度Tbが、吸気温度Tcと同一か又は吸気温度Tcより高い)と判定した場合には、吸気温度チェック処理を終了させてステップS106の処理に移行する。
【0137】
次いで、制御ユニット15は、窓100の開閉状態を認識する窓開閉状態認識処理を実行する(ステップS106)。
【0138】
次いで、制御ユニット15は、窓100の開閉状態が、窓開状態であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0139】
このとき、制御ユニット15は、窓100の開閉状態が窓開状態であると判定するとステップS111の処理に移行させ、窓開状態でない(すなわち、窓閉状態である)と判定すると、ステップS113の処理に移行させる。
【0140】
次いで、制御ユニット15は、窓の開閉状態が、窓開状態であると判定すると、冷却ファン16の出力モードを切り替えるための実行用閾値を、高出力用の温度閾値に、設定する(ステップ111)。
【0141】
そして、制御ユニット15は、冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)を開始させて(ステップ112)、ステップS115の動作に移行する。
【0142】
他方、制御ユニット15は、窓100の開閉状態が、窓開状態でないと判定すると、冷却ファン16の出力モードを切り替えるための実行用閾値を、低出力用の温度閾値に、設定する(ステップ113)。
【0143】
そして、制御ユニット15は、冷却ファン駆動制御処理(窓閉状態)を開始させて(ステップS114)、ステップS115の処理に移行する。
【0144】
次いで、制御ユニット15は、再度、終了条件を具備したか否かを判定するとともに(ステップS115)、窓100の開閉状態が他の状態に遷移したか否か、及び、冷却ファン16が駆動停止中であるかを判定する(ステップS116及びS117)。
【0145】
具体的には、制御ユニット15は、終了条件を具備したと判定した場合には、本動作を終了させ、当該終了条件を具備していないと判定した場合には、窓100の開閉状態が他の状態に遷移したか否かを判定する。
【0146】
そして、制御ユニット15は、窓100の開閉状態が他の状態に遷移したと判定した場合には、ステップS107の処理に移行し、窓100の開閉状態が他の状態に遷移していないと判定した場合には、冷却ファン16が駆動停止中であるかを判定する。
【0147】
次いで、制御ユニットは、冷却ファン16が駆動停止中であると判定した場合には、バッテリ温度と吸気温度を比較するためにステップS104の処理に移行し、当該駆動停止中でないと判定した場合には、ステップS115の処理に戻る。
【0148】
[B5.2]冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)
次に、
図8~
図10を用いて本実施形態の冷却ファン制御システム10における冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)の動作について説明する。
【0149】
なお、
図8~
図10は、本実施形態の冷却ファン制御システム10における冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)の動作を示すフローチャートである。
【0150】
本動作は、冷却ファン起動制御処理のステップ112によって開始される処理であり、開始後は、冷却ファン起動制御処理と並列に動作する処理である。
【0151】
(モード0(駆動停止)からのモード2の駆動判定)
まず、制御ユニット15は、冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)の開始タイミングを検出すると(ステップS200)、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上であるか否かを判定する(ステップS201)。
【0152】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上でないと判定した場合には、ステップS202の処理に移行し、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上であると判定した場合には、ステップS204の処理に移行する。
【0153】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上でないと判定した場合には、モード0として、冷却ファン16の駆動を停止し、又は、当該冷却ファン16の駆動停止を継続する(ステップS202)。
【0154】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の窓閉状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS203)。
【0155】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS201の処理に戻る。
【0156】
また、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上であると判定した場合には、又は、ステップS207の処理から戻ってきた場合には、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度以上であるか否かを判定する(ステップS204)。
【0157】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度以上でないと判定した場合には、又は、ステップS214の処理から戻ってきた場合には、モード2で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS205)。
【0158】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の開状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS206)。
【0159】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS207の処理に移行する。
【0160】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「24」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS207)。
【0161】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「24」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS204の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「24」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS201の処理に戻る。
【0162】
(モード3の駆動判定)
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度以上であるか否かを判定する(ステップS211)。
【0163】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度以上でないと判定した場合には、又は、ステップS218の処理から戻ってきた場合には、モード3で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS212)。
【0164】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の開状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS213)。
【0165】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS214の処理に移行する。
【0166】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS214)。
【0167】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS205の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS211の処理に戻る。
【0168】
(モード4の駆動判定)
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「32」度以上であるか否かを判定する(ステップS215)。
【0169】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「32」度以上でないと判定した場合には、又は、ステップS224の処理から戻ってきた場合には、モード4で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS216)。
【0170】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の開状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS217)。
【0171】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS218の処理に移行する。
【0172】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS218)。
【0173】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS215の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS212の処理に戻る。
【0174】
(モード5の駆動判定)
次いで、制御ユニット15は、ステップS215の処理においてバッテリ温度Tbが温度閾値「32」度以上であると判定した場合、又は、ステップS224の処理から戻ってきた場合には、モード5で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS222)。
【0175】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の開状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS223)。
【0176】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を終了させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS224の処理に移行する。
【0177】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS224)。
【0178】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS222の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS216の処理に戻る。
【0179】
[B5.3]冷却ファン駆動制御処理(窓閉状態)
次に、
図11~
図13を用いて本実施形態の冷却ファン制御システム10における冷却ファン駆動制御処理(窓閉状態)の動作について説明する。
【0180】
なお、
図11~
図13は、本実施形態の冷却ファン制御システム10における冷却ファン駆動制御処理(窓閉状態)の動作を示すフローチャートである。
【0181】
本動作は、冷却ファン起動制御処理のステップ114によって開始される処理であり、開始後は、冷却ファン起動制御処理と並列に動作する処理である。
【0182】
(モード0(駆動停止)からのモード1の駆動判定)
まず、制御ユニット15は、冷却ファン駆動制御処理(窓開状態)の開始タイミングを検出すると(ステップS300)、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上であるか否かを判定する(ステップS301)。
【0183】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上でないと判定した場合には、ステップS302の処理に移行し、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上であると判定した場合には、ステップS304の処理に移行する。
【0184】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上でないと判定した場合には、モード0として、冷却ファン16の駆動を停止し、又は、当該冷却ファン16の駆動停止を継続する(ステップS302)。
【0185】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の窓閉状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS303)。
【0186】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS301の処理に戻る。
【0187】
また、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度以上であると判定した場合には、又は、ステップS307の処理から戻ってきた場合には、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度以上であるか否かを判定する(ステップS304)。
【0188】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度以上でないと判定した場合には、又は、ステップS314の処理から戻ってきた場合には、モード1で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS305)。
【0189】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の窓閉状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS306)。
【0190】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS307の処理に移行する。
【0191】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「24」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS307)。
【0192】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「24」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS304の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「24」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS301の処理に戻る
【0193】
(モード2の駆動判定)
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度以上であるか否かを判定する(ステップS311)。
【0194】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度以上でないと判定した場合には、又は、ステップS318の処理から戻ってきた場合には、モード2で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS312)。
【0195】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の窓閉状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS313)。
【0196】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS314の処理に移行する。
【0197】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS314)。
【0198】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS305の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「26」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS311の処理に戻る
【0199】
(モード3の駆動判定)
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「32」度以上であるか否かを判定する(ステップS315)。
【0200】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「32」度以上でないと判定した場合には、又は、ステップS324の処理から戻ってきた場合には、モード3で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS316)。
【0201】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の窓閉状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS317)。
【0202】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS318の処理に移行する。
【0203】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS318)。
【0204】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS315の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「28」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS312の処理に戻る。
【0205】
(モード4及びモード5の駆動判定)
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「32」度以上であるか否かを判定する(ステップS321)。
【0206】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「32」度以上でないと判定した場合には、又は、ステップS328の処理から戻ってきた場合には、モード4で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS322)。
【0207】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の窓閉状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS323)。
【0208】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS324の処理に移行する。
【0209】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS324)。
【0210】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS321の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS316の処理に戻る。
【0211】
一方、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「32」度以上であると判定した場合には、モード5で冷却ファン16を駆動制御する(ステップS326)。
【0212】
次いで、制御ユニット15は、電動モータ若しくはエンジンの停止、又は、窓100の窓閉状態の検出などの本動作の中止条件が具備されたか否かを判定する(ステップS327)。
【0213】
このとき、制御ユニット15は、中止条件が具備されたと判定した場合には、本動作を中止させ、当該中止条件が具備されていないと判定した場合には、ステップS328の処理に移行する。
【0214】
次いで、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなったか否かを判定する(ステップS328)。
【0215】
このとき、制御ユニット15は、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなっていないと判定した場合には、ステップS326の処理に戻り、バッテリ温度Tbが温度閾値「30」度より小さくなったと判定した場合には、ステップS322の処理に戻る。
【0216】
[B6]変形例(着座位置と開状態の窓の位置に基づく冷却ファンの駆動制御)
次に、
図14及び
図15を用いて変形例1として、着座位置と開状態の窓の位置に基づく冷却ファンの駆動制御について説明する。
【0217】
なお、
図14は、本変形例における特別温度閾値(群)を用いる際の条件を説明するための図である。
【0218】
また、
図15は、本変形例において、窓が開状態及び閉状態の場合であって、温度の上昇時及び下降時における特別温度閾値(群)と、バッテリ温度に応じた冷却ファンの冷却能力が規定されたモードと、の関係を示す図(マップ)である。
【0219】
(概要)
上記の実施形態において、冷却ファン16バッテリ温度に対応付けられた冷却ファン16を駆動する際のモードを、窓100の開閉状態だけでなく、搭乗者の着座位置と開閉される窓100の位置との関係に基づいて、異なる閾値を用いてもよい。
【0220】
すなわち、搭乗者の着座位置が開状態の窓100と近い場合には、当該搭乗者においては、ロードノイズなどの暗騒音もさらに大きく感じる。
【0221】
このため、このような場合において、冷却ファン16の出力をさらに高くしてその音が大きくなったとしても、当該冷却ファン16のノイズに対する搭乗者の影響を小さくすることが可能である。
【0222】
そこで、本変形例においては、窓開閉状態認識処理によって認識された窓100の開閉状態に応じて、かつ、検出された搭乗者の着座位置及び前記特定された開状態の窓の位置に応じて、異なる閾値を用いる、構成を有していてもよい。
【0223】
具体的には、本変形例の冷却ファン制御システム10は、車両Mに搭乗する搭乗者の着座位置を検出する着座位置検出処理を実行し、開状態の窓の位置を特定する特定処理(以下、「開状態の窓位置特定処理」という。)を実行する構成を有している。
【0224】
そして、本変形例の冷却ファン制御システム10は、上記の窓開閉状態認識処理によって認識された窓100の開閉状態に応じて、かつ、検出した搭乗者の着座位置及び特定した開状態の窓100の位置に応じて、異なる閾値を用いる。
【0225】
(基本原理)
本変形例の制御ユニット15は、搭乗者の着座位置及び開状態の窓100の位置が特定の関係性を有している際に、上記の高出力用の温度閾値(群)及び低出力用の温度閾値(群)に加えて、特別な温度閾値(群)を、特別温度閾値(群)として、用いる。
【0226】
特に、制御ユニット15は、高出力用の温度閾値(群)、低出力用の温度閾値(群)及び特別温度閾値(群)のいずれかを設定するため、又は、切り替えるために、窓100の開閉状態に加えて、着座位置検出処理及び開状態の窓位置特定処理を実行する。
【0227】
そして、制御ユニット15は、搭乗者の着座位置と開状態の窓100の位置が予め定められた条件を具備した場合に、高出力用の温度閾値(群)に代えて、特別温度閾値(群)を用いる。
【0228】
具体的には、制御ユニット15は、着座位置検出処理としては、各着座センサ40から搭乗者が着座した際に出力された信号又は情報を受信した場合に、該当する着座センサ40に搭乗者が着座した位置を認識する。
【0229】
また、制御ユニット15は、開状態の窓位置特定処理としては、各窓開閉駆動ユニット20から窓100が開状態であることを検出した旨の信号又は情報を受信した場合に、該当する窓100が開状態であることを特定する。
【0230】
そして、制御ユニット15は、予め定められた条件として、
図14に示すように、搭乗者Pのすべての着座位置において、隣接する窓100が開状態であることを特定すると、実行用閾値に、特別温度閾値(群)を設定する。
【0231】
なお、このとき、制御ユニット15は、他の温度閾値(群)によって冷却ファン駆動制御処理を実行している場合には、他の温度閾値(群)から特別温度閾値(群)に切り替える切り替え処理を実行する。
【0232】
一方、制御ユニット15は、
図15に示すように、特別温度閾値(群)において、バッテリ温度が上昇した場合に用いる閾値としては、例えば、26度、29度及び45度を用いる。
【0233】
そして、この場合には、制御ユニット15は、冷却ファン駆動制御処理として、
図15に示すように、温度範囲26度より小さい温度までは、モード0(いわゆる駆動停止)、及び、温度範囲26度から29度までをモード3に設定する。
【0234】
さらに、制御ユニット15は、冷却ファン駆動制御処理として、
図15に示すように、温度範囲29度から45度までをモード4、及び、温度範囲45度以上をモード5に設定する。
【0235】
他方、制御ユニット15は、
図15に示すように、特別温度閾値(群)において、バッテリ温度が下降した場合に用いる閾値としては、例えば、24度及び26度を用いる。
【0236】
そして、この場合には、制御ユニット15は、冷却ファン駆動制御処理として、
図15に示すように、モード4のときに、バッテリ温度が26度より小さくなると、モード3に設定し、24度より小さくなると、モード0として冷却ファンを停止する。
【0237】
[C]その他
本開示の実施形態は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語として引用された用語は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【0238】
本開示の実施形態は、上記の実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本開示の実施形態は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本開示の実施形態は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本開示の実施形態は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0239】
上記のように、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本開示の実施形態の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0240】
M :車両
2 :車室
3 :荷室
10 :冷却ファン制御システム
12 :ダクト
13 :吸気口
14 :高電圧バッテリ
15 :制御ユニット
16 :冷却ファン
20 :窓開閉駆動ユニット
30 :温度センサ
40 :着座センサ