(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090354
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ラベル付きパルプモールド
(51)【国際特許分類】
D21J 3/00 20060101AFI20240627BHJP
B65D 1/34 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
D21J3/00
B65D1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206215
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 奈央子
(72)【発明者】
【氏名】綿世 真弓
(72)【発明者】
【氏名】八木 晴可
(72)【発明者】
【氏名】図師 良明
【テーマコード(参考)】
3E033
4L055
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA10
3E033BB08
3E033DA01
3E033DA08
3E033DD01
3E033EA09
3E033FA01
4L055AJ01
4L055BF06
4L055GA05
(57)【要約】
【課題】良好な外観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドを提供する。
【解決手段】ラベル付きパルプモールド1Aは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を有するパルプモールド2Aと、基材および接着剤層を有し、接着剤層を介してパルプモールド2Aに貼り付けられるラベル3Aとを備える。ラベル3Aのうちの曲面部に対応する部分には、ラベル3Aの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する。皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分のパルプモールド2Aが、これが位置しない部分に対応する部分のパルプモールド2Aよりも圧縮された状態とされることで、これが位置する部分のラベル3Aは、パルプモールド2A側に向けて入り込む。ラベル3Aは、パルプモールド2Aの外縁から外側に向けて食み出した食み出し部31を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を有するパルプモールドと、
基材および当該基材の一方の主面の少なくとも一部に設けられた接着剤層を有し、当該接着剤層を介して前記パルプモールドに貼り付けられたラベルとを備え、
前記ラベルのうちの前記曲面部に対応する部分には、前記ラベルの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置し、
前記皺および前記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分の前記パルプモールドが、前記皺および前記折り重なりが位置しない部分に対応する部分の前記パルプモールドよりも圧縮された状態とされ、これにより、前記皺および前記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分の前記ラベルが、前記パルプモールド側に向けて入り込んでおり、
前記ラベルは、前記パルプモールドの外縁から外側に向けて食み出した食み出し部を有する、ラベル付きパルプモールド。
【請求項2】
パルプモールドと、
基材および当該基材の一方の主面の少なくとも一部に設けられた接着剤層を有し、当該接着剤層を介して前記パルプモールドに貼り付けられたラベルとを備え、
前記パルプモールドは、前記ラベルが貼り付けられた部分である被貼り付け面と、前記ラベルが貼り付けられていない部分である露出面とを含み、
前記被貼り付け面と前記露出面との境界部において、前記被貼り付け面が前記露出面よりも後退していることにより、前記パルプモールドに段差部が設けられ、
前記ラベルは、当該ラベルの厚み方向における少なくとも一部が前記段差部に入り込んだ状態で前記パルプモールドに貼り付けられ、
前記ラベルは、前記パルプモールドの外縁から外側に向けて食み出した食み出し部を有する、ラベル付きパルプモールド。
【請求項3】
前記パルプモールドが、相互に組付けられることで内部に収容空間を規定する第1ボディ部および第2ボディ部を有し、
前記接着剤層が、前記第1ボディ部に対応する部分に位置する第1領域と、前記食み出し部に位置する第2領域とを含み、
前記食み出し部が、前記第1ボディ部の外縁から外側に向けてはみ出し、
前記食み出し部が前記第2領域を介して前記第2ボディ部に貼り付けられることにより、前記第1ボディ部および前記第2ボディ部が前記食み出し部によって封緘される、請求項1または2に記載のラベル付きパルプモールド。
【請求項4】
前記パルプモールドが、第1ボディ部および第2ボディ部を有し、
前記接着剤層が、前記第1ボディ部に対応する部分に位置する第1領域と、前記食み出し部に位置する第2領域とを含み、
前記食み出し部が、前記第1ボディ部の外縁から外側に向けてはみ出し、
前記食み出し部が前記第2領域を介して前記第2ボディ部に貼り付けられることにより、前記第1ボディ部および前記第2ボディ部が前記食み出し部によって回動可能に保持される、請求項1または2に記載のラベル付きパルプモールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル付きパルプモールドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷の低減の観点から、容器としてのパルプモールドに対するニーズが高まっている。また、パルプモールドに収容される商品が多様化していることから、その商品の形状に合わせてパルプモールドの形状も多様化しており、特に、立体的な形状を有しかつ美観に優れたパルプモールドが求められている。
【0003】
立体的な形状を有するパルプモールドの美観を向上させるための方法として、たとえば特開2002-201599号公報(特許文献1)や特開2002-138400号公報(特許文献2)、国際公開第2022/168923号公報(特許文献3)には、デザインが施されたラベルを貼り付けることによって美観の向上が図られたラベル付きパルプモールドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-201599号公報
【特許文献2】特開2002-138400号公報
【特許文献3】国際公開第2022/168923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、パルプモールドが曲面部を有する場合、当該曲面部に沿って貼り付けられた部分のラベルに生じる皺や折り重なりが原因となって、ラベル付きパルプモールドの表面の手触り感や美観が損なわれてしまう問題があった。
【0006】
一方で、ラベル付きパルプモールドにおいて、美観の向上を図るためだけにラベルをパルプモールドに貼り付けるのではなく、貼り付けられたラベルに他の機能を付与することができれば、ラベル付きパルプモールドの新たな付加価値を創出することができる。
【0007】
したがって、本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、良好な外観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に基づくラベル付きパルプモールドは、パルプモールドとラベルとを備えている。上記パルプモールドは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を有している。上記ラベルは、基材および当該基材の一方の主面の少なくとも一部に設けられた接着剤層を有しており、当該接着剤層を介して上記パルプモールドに貼り付けられている。上記ラベルのうちの上記曲面部に対応する部分には、上記ラベルの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置している。上記皺および上記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分の上記パルプモールドは、上記皺および上記折り重なりが位置しない部分に対応する部分の上記パルプモールドよりも圧縮された状態とされ、これにより、上記皺および上記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分の上記ラベルは、上記パルプモールド側に向けて入り込んでいる。上記本発明の第1の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記ラベルが、上記パルプモールドの外縁から外側に向けて食み出した食み出し部を有している。
【0009】
本発明の第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドは、パルプモールドとラベルとを備えている。上記パルプモールドは、上記ラベルが貼り付けられた部分である被貼り付け面と、上記ラベルが貼り付けられていない部分である露出面とを含んでいる。上記ラベルは、基材および当該基材の一方の主面の少なくとも一部に設けられた接着剤層を有しており、当該接着剤層を介して上記パルプモールドに貼り付けられている。上記被貼り付け面と上記露出面との境界部において、上記被貼り付け面が上記露出面よりも後退していることにより、上記パルプモールドに段差部が設けられている。上記ラベルは、当該ラベルの厚み方向における少なくとも一部が上記段差部に入り込んだ状態で上記パルプモールドに貼り付けられている。上記本発明の第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記ラベルが、上記パルプモールドの外縁から外側に向けて食み出した食み出し部を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、良好な外観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの上側容器部が開かれた状態の斜視図である。
【
図2】
図1に示すパルプモールドの上側容器部の平面図である。
【
図3】
図1に示すラベル付きパルプモールドの模式断面図および要部拡大断面図である。
【
図4】
図1に示すラベル付きパルプモールドの要部拡大断面図、および、
図1に示すラベル付きパルプモールドとは異なる構成のラベルを備えるラベル付きパルプモールドの要部拡大断面図である。
【
図5】
図1に示すラベル付きパルプモールドの上側容器部が閉じられた状態の斜視図である。
【
図6】
図1に示すラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図である。
【
図8】
図6に示す工程S4および工程S5を表わした模式断面図である。
【
図9】
図6に示す工程S6を表わした模式断面図である。
【
図10】
図6に示す工程S7を表わした模式断面図である。
【
図11】ラベル付きパルプモールド中間体の平面図である。
【
図12】第1変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。
【
図13】第2変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。
【
図14】第3変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。
【
図15】
図14に示すラベル付きパルプモールドの模式断面図である。
【
図16】第4変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。
【
図17】第5変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。
【
図18】
図17に示すラベル付きパルプモールドの模式断面図および要部拡大断面図である。
【
図19】実施の形態2に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。
【
図20】
図19に示すラベル付きパルプモールドの模式断面図および要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、内部に物品を収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドに本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの開閉可能な蓋になる上側容器部が開かれた状態を示す図であり、
図1(A)および
図1(B)は、それぞれラベル付きパルプモールドの内側表面側および外側表面側を見た斜視図である。
図2は、
図1に示すパルプモールドの上側容器部の平面図である。
図3は、
図1(B)に示すラベル付きパルプモールドの断面図であり、
図3(A)は、
図1(B)中に示すIIIA-IIIA線に沿った模式断面図、
図3(B)は、
図3(A)に示す領域IIIBの要部拡大断面図である。
図4は、複数方向に湾曲した曲面からなる第1部分に貼り付けられたラベルに生じた折り重なり部を示したものであり、
図4(A)は、
図1に示すラベル付きパルプモールドの要部拡大断面図、
図4(B)は、
図1に示すラベル付きパルプモールドとは異なる構成のラベルを備えるラベル付きパルプモールドの要部拡大断面図である。まず、これら
図1ないし
図4を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aについて説明する。なお、
図1においては、ラベル3Aに色を付している(後述する
図5、
図11ないし
図14、
図16、
図17および
図19についても同様である)。
【0014】
図1に示すように、ラベル付きパルプモールド1Aは、内部に物品を収容可能に構成された容器であり、パルプモールド2Aと、当該パルプモールド2Aを覆うラベル3Aとを備えている。
【0015】
図1および
図2に示すように、パルプモールド2Aは、これが閉じられた状態において全体として箱形状の外形を有するものであり、第1ボディ部としての上側容器部21と、第2ボディ部としての下側容器部22と、これら上側容器部21および下側容器部22を回動可能に連結するヒンジ部23とを有している。上側容器部21と下側容器部22とは、ヒンジ部23によって相互に組付け可能に構成されている。
【0016】
下面開口の上側容器部21は、これを平面視した場合に略矩形状の外形を有しており、中央部分に位置する平板部24と、当該平板部24の周囲に位置する湾曲部25とを含んでおり、これによって上側容器部21の内側表面には、凹形状の部位が設けられている。また、上側容器部21は、湾曲部25の周縁に設けられた上側フランジ部26をさらに含んでいる。
【0017】
湾曲部25の四隅は、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部からなり、当該四隅以外の湾曲部25は、一方向に湾曲した曲面からなる曲面部からなる。説明の便宜上、上側容器部21のうちの湾曲部25の四隅に位置する部分を第1部分Xと称し、それ以外の部分(すなわち、平板部24、上側フランジ部26、および、湾曲部25のうちの上記四隅以外の部分)を第2部分Yと称する。また、第2部分Yのうち、当該第2部分Yを構成する上側フランジ部26のうちの第1部分Xに隣接する部分を、隅部分Yaと称する。なお、
図2においては、理解を容易とするために、第1部分Xに濃い色を付すとともに、第2部分Yに薄い色を付し、隅部分Yaに、第1部分Xおよび第2部分Yのいずれとも異なる色を付している。
【0018】
図1に示すように、上面開口の下側容器部22は、略直方体形状に形成されており、底板部27と、底板部27の周縁から立設された筒状部28と、筒状部28の軸方向における底板部27側とは反対側の端部に設けられた下側フランジ部29とを含んでいる。
【0019】
下側容器部22には、底板部27および筒状部28によって規定される収容部22aが設けられている。収容部22aは、上側容器部21が蓋部材として機能して閉じられた状態において、当該上側容器部21と共に、物品が収容される収容空間を規定する。
【0020】
パルプモールド2Aの原料としては、新聞紙、チラシ、中質紙、および上質紙等からなる印刷使用済み古紙に、湿式で離解、および精選等の処理を施すことによって得られる古紙パルプ、または、上記処理に加えて脱墨および漂白等の処理を施すことによって得られる脱墨古紙パルプ、もしくは晒パルプまたは未晒パルプ等のセルロースパルプが用いられる。パルプモールド2Aは、これらのパルプにサイズ剤、填料、染料、定着剤、および耐水化剤等が適宜添加されてなるパルプスラリーが、所望の形状に成形されることによって製作される。
【0021】
なお、上述した各種パルプに代えて、バージンパルプ、または、サトウキビの搾りかすであるバガスもしくは竹等の非木材系パルプが用いられてもよい。また、いずれのパルプにおいても、合成樹脂が少量(好ましくは5%以下程度)含まれていてもよい。
【0022】
図1および
図3に示すように、ラベル3Aは、上側容器部21の外側表面の全面に貼り付けられたシート状のものであり、基材3aおよび当該基材3aの一方の主面に設けられた接着剤層3bを有している(特に
図3(B)参照)。これにより、ラベル3Aの一対の主面のうちの一方である第1主面3(1)は、基材3aによって規定され、他方である第2主面3(2)は、接着剤層3bによって規定されている。
【0023】
ラベル3Aは、上側容器部21の外縁から外側に向けて食み出した食み出し部31を有している。より詳細には、食み出し部31は、第1ボディ部としての上側容器部21の上側フランジ部26の外縁のうちの、ヒンジ部23に連結されている側とは反対側に位置する部分から外側に向けて食み出している。
【0024】
また、接着剤層3bは、上側容器部21に対応する部分に位置する第1領域3b1と、食み出し部31に位置する第2領域3b2とを含んでいる(特に
図3(B)参照)。
【0025】
このように構成された食み出し部31が設けられたラベル3Aとすることにより、美観の向上を図るためだけでない他の機能がラベル3Aに付与できることになるが、この点については後において詳述することとする。
【0026】
基材3aとしては、純白洋紙や晒クラフト紙、未晒クラフト紙等の紙、合成紙、透明性を有するセロファン、およびプラスチックフィルム等が用いられる。基材3aに用いられる上記紙の米坪は、たとえば20g/m2以上100g/m2以下であることが好ましい。基材3aに用いられる上記セロファンの厚みは、たとえば20μm以上50μm以下であることが好ましい。基材3aに用いられるプラスチックフィルムとしては、たとえばポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸等のポリエステル系、ポリプロピレンや高密度ポリエチレン等のポリオレフィン系、スチレンブタジエン共重合体等のスチレン系のフィルムであって、厚みが10μm以上80μm以下のものが挙げられる。
【0027】
なお、基材3aは、デザイン印刷層を含むものであることが好ましい。この場合、基材3aは、たとえば、ベースとなる層としての紙や合成紙、セロファン、プラスチックフィルム等の一対の主面のうちの接着剤層3bとは反対側に位置する主面に、デザイン印刷層が施されたものによって構成されてもよいし、上記ベースとなる層の一対の主面のうちの接着剤層3b側に位置する主面に、デザイン印刷層が施されたものによって構成されてもよい。
【0028】
接着剤層3bは、透明性を有しかつ熱接着性を有するものであることが好ましい。詳細には、接着剤層3bは、熱接着性を有する樹脂である、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene(LDPE))、エチレン酢酸ビニル共重合体(Ethylene-Vinyl Acetate(EVA))、エチレンアクリル酸共重合体、塩素化ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を主成分とするものであることが好ましいが、その他アクリル系樹脂、スチレンブタジエン共重合体、ウレタン系樹脂、アイオノマー等からなりかつ良好な接着性を有する樹脂等であってもよい。
【0029】
さらに、接着剤層3bは、植物由来の原料を用いたPBS(Poly Butylene Succinate)やPLA(Poly Lactic Acid)等の生分解性樹脂であってもよく、このようにすれば、石油由来材料の使用を抑制することができる。なお、接着剤層3bは、粘着付与剤や滑剤等が添加されたものであってもよい。
【0030】
接着剤層3bは、熱接着性を有するもの以外のものでもよい。より詳細には、接着剤層3bとして、水の塗布や加湿によって活性化することで接着性が生じる再湿性接着剤が用いられてもよい。再湿性接着剤としては、ポリビニルアルコール樹脂や水溶性アクリル系樹脂、天然ゴム、カゼイン等からなるものが挙げられる。
【0031】
また、接着剤層3bとして、接着剤含有マイクロカプセルからなるものが用いられてもよい。このように構成された接着剤層3bは、加圧プレスされることでマイクロカプセルが破裂し、これによって露出した接着剤によって接着性が生じることになる。
【0032】
接着剤層3bを基材3aの主面に設ける手法としては、接着剤層3bを構成する上述した熱接着性を有する樹脂等を押出しラミネートによって基材3aにコーティングする手法でもよく、溶液もしくはエマルジョンの状態とした当該樹脂等を基材3aにコーティングして乾燥させる手法等でもよい。なお、接着剤層3bの厚みは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0033】
図1および
図3に示すように、ラベル3Aは、接着剤層3bを介して、上側容器部21の第1部分Xと、それ以外の部分である第2部分Yとを含む外側表面の全面に貼り付けられている。
【0034】
ここで、第1部分Xは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部であることから、何らの手当ても行なわずにラベル3Aが当該第1部分Xに貼り付けられた場合には、ラベル3Aが皺になったり、折り重なったりしやすくなる。この点、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、第1部分Xに対応する部分において皺や折り重なりが生じたラベル3Aの厚みが、柔らかさを有するパルプモールド2Aの厚みに吸収された状態で貼り付けられることにより、上述した問題の解決が図られている。
【0035】
詳細には、
図4(A)に示すように、ラベル3Aの折り重なりが位置する部分に対応する部分のパルプモールド2Aは、当該折り重なりが位置しない部分に対応する部分のパルプモールド2Aよりも圧縮された状態とされている。これにより、折り重なりが位置する部分のラベル3Aが、パルプモールド2A側に向けて入り込んだ状態となるように、ラベル3Aがパルプモールド2Aに貼り付けられている。
【0036】
より詳細には、第1部分Xに貼り付けられたラベル3Aに生じた折り重なり部分においては、パルプモールド2Aのうちの、ラベル3Aに生じた折り重なりに対応する部分の表面が、これらに対応しない部分の表面よりも後退することになる。これにより、パルプモールド2Aの表面には段差部分21cが形成されることになり、ラベル3Aの折り重なりは、段差部分21cに入り込んだ状態でパルプモールド2Aの表面に貼り付けられることになる。その結果、折り重なりが生じたラベル3Aの厚みは、柔らかさを有するパルプモールド2Aの厚みに吸収されることになる。なお、このような構成は、ラベル3Aに生じた皺が位置する部分においても同様である。また、第1部分Xにおいて生じた皺や折り重なりの影響によって当該第1部分Xの近傍に位置する部分の第2部分Yに貼り付けられたラベル3Aにおいて皺や折り重なりが生じた部分においても同様である。
【0037】
したがって、このように構成した場合には、ラベル3Aに皺や折り重なりが生じることで発生するラベル3Aの厚みの増加が段差部分21cによって吸収されることになるため、これら皺や折り重なりを目立たなくさせることができるばかりでなく、ラベル付きパルプモールド1Aの表面を平滑化できることになる。
【0038】
ここで、ラベルの皺や折り重なりをさらに目立たなくさせるために、接着剤層が基材3aの一対の主面の一方にのみ設けられているラベル3Aの代わりに、接着剤層が基材3aの一対の主面の両方に設けられたラベル3A’が用いられてもよい。詳細には、ラベル3A’は、当該ラベル3A’のパルプモールド2A側に位置する第2主面3(2)が、接着剤層3bによって規定されるとともに、他方である第1主面3(1)もまた、接着剤層3b’によって規定されることとなるように構成される。
【0039】
当該ラベル3A’が用いられた場合には、
図4(B)に示すように、第1部分Xに貼り付けられたラベル3A’に生じた折り重なり部分においては、第2主面3(2)のうちの折り重なりを規定する部分同士が、接着剤層3bを介して接着されるとともに、第1主面3(1)のうちの折り重なりを規定する部分同士が、接着剤層3b’を介して接着されることになる。これにより、皺や折り重なりが捲れることを防止できるため、ラベルの皺や折り重なりをさらに目立たなくさせることができる。ここで、
図4(B)においては、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aと区別するため、ラベル3A’が用いられたラベル付きパルプモールドには、符号1A’を付している。
【0040】
なお、ラベル3A’が用いられたラベル付きパルプモールド1A’が製造される場合には、後述するプレス用第2型120(
図8等参照)のラベル3A’に面する側の表面には、離型性に優れたポリテトラフルオロエチレン系樹脂等によるコーティングが施されていることが好ましい。これにより、ラベル3A’の表面が、プレス用第2型120に接着することを防止することができる。
【0041】
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、第1部分Xに対応する部分のラベル3Aに所定のデザインを施し、さらに、第1部分Xに対応する部分のラベル3Aの絞り率が所定の値となるように当該ラベル3Aを貼り付けることにより、上述したラベル3Aの皺や折り重なりの問題の解決を図ることができる。
【0042】
ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分には、当該ラベル3Aの皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインが施されてもよい。このようなデザインとしては、たとえば、木目調、石目調、石垣模様、岩肌模様、大理石模様、空模様、砂地柄、波柄、織物柄、小花柄、草花柄、樹木柄、唐草模様、小紋柄、ボタニカル柄、ペイズリー柄、カモフラージュ柄、ドット柄、水彩柄、およびマーブル模様等が挙げられ、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分には、これらのうちのいずれかのデザインが施されることが好ましい。
【0043】
ここで、木目調は材木の断面に表れる年輪、繊維、導管等で成された模様、石目調は天然石やレンガの地肌を表した模様、石垣模様は城壁等に様々な形状の石が積み重ねられた雰囲気を表した模様、空模様は様々な雲が青空に浮かんでいる景色や曇り空を表した模様、波柄は波立つ海原や波紋を表した柄、織物柄は綿や麻の糸を織ったり藁や竹を編んだ風合いを表した柄、ドット柄は水玉模様を含みシャンプードット、バブルドット、コインドット、ランダムドットと呼ばれる柄、水彩柄は水彩絵の具で濃淡を描いた雰囲気のある柄である。
【0044】
ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分に施されるデザインは、上記のデザインに限られず、ラベル3Aの皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインであればよい。すなわち、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分に施されるデザインは、上述したデザイン以外にも、たとえば、パルプモールドの地模様と同一の模様、自然物を散在させたようなデザイン、および、実質的に同一の単位デザインが繰り返し並ぶように配置された連続柄のうちのいずれかとすることができる。
【0045】
ここで、パルプモールドの地模様と同一の模様とは、パルプモールドを構成する紙やパルプの種々の微細な繊維が不規則に絡み合うことによってパルプモールドの表面に現れる模様のことである。また、実質的に同一の単位デザインには、大きさ、形状、および色彩が完全に同一の単位デザインだけではなく、大きさ、形状、および色彩のうち少なくとも1つが同一ではない単位デザインが含まれていてもよい。実質的に同一の単位デザインには、たとえば、種類が異なる花や植物であっても、そのそれぞれを単位デザインとして配置したものが含まれてもよい。
【0046】
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、ラベル3Aがプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、当該ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分が、10%以上50%以下の絞り率で当該第1部分Xに貼り付けられており、ラベル3Aのうちの第2部分Yに対応する部分が、10%未満の絞り率で当該第2部分Yに貼り付けられている。
【0047】
絞り率とは、パルプモールド2Aに貼り付けられるラベル3Aの周長と、パルプモールド2Aのうち当該ラベル3Aが貼り付けられる領域の周長とによって算出することができる。パルプモールド2Aのうち当該ラベル3Aが貼り付けられる領域のある位置で測定した周長をP1とし、パルプモールド2Aに貼り付けられるラベル3AのうちP1の測定位置に相当する位置の周長をP2とした場合、絞り率は以下に示す式1により算出される。なお、絞り率の算出においては、P2をたとえば2mmにする等、短い単位で算出することが好ましい。
【0048】
(式1) 絞り率=100-(P1/P2×100)
図5は、
図1に示すラベル付きパルプモールドの上側容器部が閉じられた状態を示す図であり、
図5(A)および
図5(B)は、それぞれラベル付きパルプモールドを上方側および下方側から見た斜視図である。次に、この
図5を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aを封緘する方法について説明する。
【0049】
図5(A)および
図5(B)に示すように、ラベル付きパルプモールド1Aを封緘するに際しては、まず、ヒンジ部23を起点にして上側容器部21が回動されることでこれが閉じられる。これにより、上側容器部21の上側フランジ部26が、下側容器部22の下側フランジ部29に面することになる。
【0050】
次に、上側フランジ部26の外縁から外側に向けて食み出したラベル3Aの食み出し部31(
図1(A)等参照)が、下側容器部22の外側表面に沿ってこれに貼り付けられる。
【0051】
より詳細には、まず、食み出し部31が、下側容器部22の筒状部28および下側フランジ部29の外側表面に沿って折り返される。次に、加熱された治具等を用いることにより、折り返された食み出し部31が、これに対応する部分の筒状部28および下側フランジ部29の外側表面に向けて押圧される。このようにして食み出し部31が加熱されかつ上記外側表面に向けて押圧されることにより、食み出し部31が、接着剤層3bの第2領域3b2(
図3(B)参照)の全体または一部を介して上記外側表面に貼り付けられる。
【0052】
このように構成することにより、第1ボディ部としての上側容器部21と第2ボディ部としての下側容器部22とを有するラベル付きパルプモールド1Aが、食み出し部31によって強固に封緘されることになる。なお、接着剤層3bが熱接着性を有しないものである場合には、第2領域3b2の加熱を行なう必要はない。
【0053】
図6は、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図である。
図7は、パルプモールド中間体の平面図である。
図8ないし
図10は、
図6に示す工程の一部を表わした平面図あるいは模式断面図である。
図11は、ラベル付きパルプモールド中間体の平面図である。次に、これら
図6ないし
図11を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法について詳細に説明する。なお、
図7においては、後述する主領域200と余剰領域201との境界線を破線にて示している。
【0054】
ここで、
図8は、
図7中に示すVIII-VIII線に対応した位置でのパルプモールド中間体2AM、ラベル中間体3AM、第1型110および第2型120の断面を表わした図である(
図9および
図10についても同様である)。
【0055】
図6および
図7に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法においては、まず、後述するプレス工程(工程S6)を経ることでそれ自体が圧縮されることが可能に構成されたパルプモールド中間体2AMが準備される(工程S1)。
【0056】
パルプモールド中間体2AMは、上側容器部21、下側容器部22およびヒンジ部23となる主領域200と、主領域200の周縁から外側に向けて張り出した余剰領域201とを含んでいる。また、上側容器部21の外縁に隣接する部分の余剰領域201の一部には、平面視略矩形状の孔部201aが設けられている。
【0057】
このようなパルプモールド中間体2AMは、たとえば、抄造成形される工程と乾燥される工程とを経ることで得られるものである。詳細には、まず、パルプモールド中間体2AMの表面形状に沿う形状を有しかつ吸引用貫通孔が設けられた抄造成形用型の表面に網を張り、これらをパルプスラリーが充填された材料槽の中に浸漬する。次に、抄造成形用型の網が張られた側の主面とは反対側の主面が位置する側からパルプスラリーを吸引して上記網の表面にパルプスラリーを堆積させる。次に、堆積したパルプスラリーを抄造成形用型から取り外し、さらに乾燥させることにより、上述したパルプモールド中間体2AMが得られることになる。
【0058】
次に、パルプモールド中間体2AMの上側容器部21の外側表面の全面を覆うことが可能な大きさの外形を有するラベル中間体3AMが準備される(工程S2)。ラベル中間体3AMは、ラベル3Aとなる主領域300と、後述するラベル付きパルプモールドの切り出し工程(工程S8)において切除される余剰領域301とを含んでいる(
図11参照)。
【0059】
次に、上側容器部21が開かれた状態におけるパルプモールド2Aの形状に沿う形状を有する第1型110と、上側容器部21が開かれた状態におけるパルプモールド2Aおよびこれを覆うラベル3Aの形状に沿う形状を有する第2型120が準備される(工程S3)。
【0060】
ここで、パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aを構成するパルプモールド2Aの形状に実質的に沿う形状のことを意味しており、後述するプレス工程(工程S6)の前の状態におけるパルプモールド中間体2AMの形状と完全に一致した形状を意味するものではない。すなわち、パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、工程S6においてラベル中間体3AMと共に第2型120によってプレスされた後の(すなわち、プレスによって圧縮変形した後の)パルプモールド中間体2AMの主領域200に沿う形状を意味している。
【0061】
また、パルプモールド2Aおよびこれを覆うラベル3Aの形状に沿う形状とは、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aを構成するパルプモールド2Aおよびラベル3Aの形状に実質的に沿う形状のことを意味しており、後述するプレス工程(工程S6)の前の状態におけるパルプモールド中間体2AMおよびラベル中間体3AMの形状と完全に一致した形状を意味するものではない。すなわち、パルプモールド2Aおよびこれを覆うラベル3Aの形状に沿う形状とは、工程S6において第2型120によってプレスされた後の(すなわち、プレスによって圧縮変形した後の)パルプモールド中間体2AMの主領域200およびラベル中間体3AMの主領域300に沿う形状を意味している。
【0062】
次に、
図6および
図8に示すように、パルプモールド中間体2AMが第1型110に載置される(工程S4)。
【0063】
図8に示すように、第1型110には、その一対の主面のうちの一方から突出するように、第1凸状部111および第2凸状部112が設けられている。第1凸状部111は、パルプモールド中間体2AMの上側容器部21に含まれる凹形状の部位に沿う形状を有しており、第2凸状部112は、パルプモールド中間体2AMの下側容器部22の収容部22aに沿う形状を有している。
【0064】
パルプモールド中間体2AMは、上側容器部21に含まれる凹形状の部位が第1凸状部111に当接するとともに、下側容器部22の収容部22aが第2凸状部112に当接するように、上側容器部21が開かれた状態で第1型110に載置される。
【0065】
次に、
図6および
図8に示すように、ラベル中間体3AMが、パルプモールド中間体2AMに対して位置決めされて配置される(工程S5)。
【0066】
より詳細には、
図8に示すように、パルプモールド中間体2AMが第1型110に載置された状態において、ラベル中間体3AMが、接着剤層3bが設けられた第2主面3(2)がパルプモールド中間体2AMの上側容器部21に面し、かつ、後述するプレス工程(工程S6)において上側容器部21の外側表面の全面を覆うこととなるように、上側容器部21に対して位置決めされて配置される。これにより、ラベル中間体3AMは、第1型110と第2型120との間に配置されることになる。
【0067】
次に、
図6および
図9に示すように、ラベル中間体3AMが、第1型110および第2型120によってプレスされることでパルプモールド中間体2AMに貼り付けられる(工程S6)。
【0068】
詳細には、
図9に示すように、ラベル中間体3AMがパルプモールド中間体2AMに対して位置決めされた状態において、ラベル中間体3AMが、第2型120によってパルプモールド中間体2AMに向けて(すなわち、
図9中に示す矢印AR1方向に向けて)プレスされる。
【0069】
第2型120のプレス面には、第1凹状部121および第2凹状部122が設けられている。第1凹状部121は、上側容器部21の外側表面(すなわち、
図9中に示す上側の表面)に沿う形状を有している。第2凹状部122は、下側容器部22の収容部22aの外側表面(すなわち、
図9中に示す上側の表面)に沿う形状を有している。
【0070】
このように構成された第2型120によってプレスされることにより、パルプモールド中間体2AMおよびラベル中間体3AMが、積層された状態で第1型110および第2型120によって挟み込まれることになる。これにより、ラベル中間体3AMは、上側容器部21の外側表面の全面を覆うように、接着剤層3bを介して上側容器部21およびその周囲に位置する部分の余剰領域201に貼り付けられる(
図11参照)。ここで、余剰領域201の孔部201aに位置する部分のラベル中間体3AMは、パルプモールド中間体2AMに貼り付けられることなく当該位置において張った状態とされる。
【0071】
また、ラベル中間体3AMがプレスによってパルプモールド中間体2AMに貼り付けられることにより、上側容器部21の第1部分X(
図2参照)のうちの、ラベル中間体3AMの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分は、これが位置しない部分に対応する部分のパルプモールド中間体2AMよりも圧縮された状態とされる。これにより、皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分のラベル中間体3AMが、パルプモールド中間体2AM側に向けて入り込んだ状態となるように、ラベル中間体3AMがパルプモールド中間体2AMに貼り付けられることとなる。
【0072】
また、上側容器部21の第2部分Yの一部を規定する隅部分Ya(
図2参照)においても、ラベル中間体3AMの皺および折り重なりの少なくともいずれかが形成され易いところ、当該隅部分Yaにおいても第1部分Xと同様に、皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分が、これが位置しない部分に対応する部分のパルプモールド中間体2AMよりも圧縮された状態とされる。これにより、皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分のラベル中間体3AMが、パルプモールド中間体2AM側に向けて入り込んだ状態となるように、ラベル中間体3AMがパルプモールド中間体2AMに貼り付けられることとなる。
【0073】
さらに、ラベル中間体3AMがプレスによってパルプモールド中間体2AMに貼り付けられることにより、ラベル中間体3AMのうちの第1部分Xに対応する部分が、皺や折り重なりを生じさせながら10%以上50%以下の絞り率で当該第1部分Xに貼り付けられるとともに、ラベル中間体3AMのうちの第2部分Yに対応する部分が、10%未満の絞り率で当該第2部分Yに貼り付けられることとなる。
【0074】
工程S6における第2型120によるプレスは、プレス温度が概ね70℃以上200℃以下であることが好ましく、さらに好適には、90℃以上150℃以下とされる。その際、第1型110も同程度に加熱されていてもよい。プレス時間は、1秒以上5秒以下程度であることが好ましい。なお、上述したプレス温度およびプレス時間は、基材3aの耐熱性や接着剤層3bの接着温度等によって適宜変更されるものである。パルプモールド中間体2AMは、このような条件下でラベル中間体3AMと共にプレスされて圧縮変形されることにより、プレス前の状態に比べて、硬く、薄く、その表面が平滑化したものになる。一例として、プレス前において厚みが0.8mm以上3.0mm以下あるいは1.5mm以上2.5mm以下のパルプモールド中間体2AMは、このプレスによって厚みが0.8mm以上1.5mm以下等になる。
【0075】
次に、
図6および
図10に示すように、第2型120によるパルプモールド中間体2AMおよびラベル中間体3AMのプレスが解除される(工程S7)。より詳細には、
図10に示すように、第2型120がプレス前の位置に後退する(すなわち、
図10中に示す矢印AR2方向に向けて移動する)ことにより、第2型120によるパルプモールド中間体2AMおよびラベル中間体3AMのプレスが解除される。これにより、パルプモールド中間体2AMにラベル中間体3AMが貼り付けられた、ラベル付きパルプモールド中間体1AMが成形されることになる。
【0076】
次に、
図6および
図11に示すように、ラベル付きパルプモールドが切り出される(工程S8)。
【0077】
より詳細には、
図11に示すように、ラベル付きパルプモールド中間体1AMが、パルプモールド中間体2AMの主領域200と余剰領域201との境界線に概ね沿って延在するカットラインCLに沿ってカットされる。これにより、ラベル付きパルプモールド中間体1AMからラベル付きパルプモールド1Aが切り出される。
【0078】
ここで、カットラインCLは、孔部201aに位置する部分のラベル中間体3AMの少なくとも一部が、上側容器部21に貼り付けられている部分のラベル中間体3AMに連結された状態で切り出されることとなるように延在している。
【0079】
このように構成することにより、ラベル付きパルプモールド1Aを構成するラベル3Aに、孔部201aに位置する部分のラベル3Aの上記少なくとも一部によって規定される食み出し部31を設けることが可能になる。
【0080】
なお、ラベル付きパルプモールド1Aを切り出す方法は、特にこれが制限されるものではなく、たとえばトムソン加工やダイカット加工等によって行なうことができる。
【0081】
以上において説明した工程S1~S8を経ることにより、
図1において示したラベル付きパルプモールド1Aの製造が完了する。
【0082】
なお、このようにして製造されたラベル付きパルプモールド1Aに物品を収納した状態で当該ラベル付きパルプモールド1Aを封緘する場合には、まず、下側容器部22の収容部22aに物品を収容し、その後に食み出し部31を下側容器部22の筒状部28および下側フランジ部29の外側表面に沿って折り返す。次に、加熱された治具等を用いることにより、折り返された食み出し部31を、これに対応する部分の筒状部28および下側フランジ部29の外側表面に向けて押圧する。このようにして食み出し部31を加熱しかつ上記外側表面に向けて押圧することにより、食み出し部31を第2領域3b2を介して上記外側表面に貼り付けることができ、これにより、ラベル付きパルプモールド1Aに物品を収納した状態でこれを封緘することが可能になる。なお、上記貼り付けは、食み出し部31の一部、たとえば、食み出し部31の食み出し方向の先端部においてのみ行なうこととしてもよい。
【0083】
ここで、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、上側容器部21の外側表面にラベル3Aが貼り付けられている。このように構成することにより、パルプモールドの素地に由来する外観上の美観とは異なる美観をラベル3Aによって付与できることになるため、ラベル付きパルプモールド1Aの美観の向上を図ることが可能になる。
【0084】
また、上側容器部21の第1部分Xは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部であることから、何らの手当ても行なわずにラベル3Aが当該第1部分Xに貼り付けられた場合には、ラベル3Aが皺になったり、折り重なったりしやすくなる。
【0085】
この点、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、パルプモールド2Aの上側容器部21の第1部分Xのうちの、ラベル3Aの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分が、これが位置しない部分に対応する部分の上側容器部21よりも圧縮された状態とされ、これにより、皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分のラベル3Aが、上側容器部21側に向けて入り込んだ状態となるように、ラベル3Aが上側容器部21に貼り付けられている。
【0086】
このように構成することにより、皺や折り重なりが生じたラベル3Aの厚みが、柔らかさを有するパルプモールド2Aの厚みに吸収されることになり、結果として、皺や折り重なりを目立たなくさせることができるばかりでなく、ラベル付きパルプモールド1Aの表面を平滑化できることになる。
【0087】
さらに、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、上側容器部21に貼り付けられたラベル3Aが、上側容器部21の外縁から外側に向けて食み出した食み出し部31を有している。このように構成した場合には、食み出し部31を接着剤層3bの第2領域3b2を介して下側容器部22に貼り付けることでラベル付きパルプモールド1Aを強固に封緘可能になる。
【0088】
すなわち、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの如くラベル3Aに食み出し部31が設けられた場合には、ラベル付きパルプモールド1Aの美観の向上が図られるだけでなく、ラベル付きパルプモールド1Aの強固な封緘が可能になるという他の機能が当該ラベル3Aに付与されることになる。
【0089】
したがって、このように構成することにより、良好な外観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドとすることができる。
【0090】
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにおいては、上述したように、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分が、10%以上50%以下の絞り率で貼り付けられている。これにより、ラベル3Aを、上側容器部21の表面の形状に沿った形状で保持することができるとともに、当該部分に大きな皺や折り重なりが生じることを抑制することができ、さらには、生じた折り重なり同士が更に重なることを抑制できることとなる。そのため、ラベル付きパルプモールド1Aに良好な外観を付与可能になる。
【0091】
さらに、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分に、当該ラベル3Aの皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインが施されてもよい。このように構成した場合には、ラベル3Aの皺や折り重なりをさらに目立ち難くすることができるため、ラベル付きパルプモールド1Aの美観を向上させることができるとともに、ラベル付きパルプモールド1Aに収容される商品の購買欲を高めることができる。
【0092】
なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにおいては、上述したように、ラベル3Aを、上側容器部21の第1部分Xと、それ以外の部分である第2部分Yとを含む外側表面の全面に貼り付ける場合を例示したが、ラベル3Aは、必ずしも当該外側表面の全面に貼り付ける必要はない。
【0093】
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法においては、上述したように、孔部201aが設けられたパルプモールド中間体2AMにラベル中間体3AMを貼り付けることでラベル3Aに食み出し部31を設ける場合を例示したが、ラベル付きパルプモールド1Aの製造方法は、このような方法に限定されるものではない。たとえば、パルプモールド2Aと、予め食み出し部31が設けられたラベル3Aとを準備し、第1型110および第2型120によって挟み込まれる領域の外側に食み出し部31を食み出させた状態でラベル3Aをプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けることとしてもよい。
【0094】
さらに、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法においては、上述したように、工程S1において、抄造成形されかつ乾燥されることで得られるパルプモールド中間体2AMが準備される場合を例示したが、工程S1において準備されるパルプモールド中間体2AMは、抄造成形されかつ乾燥された後に、さらに、プレスによって粗成形されたものであってもよい。この場合、孔部201aは、当該粗成形後に設けることとしてもよい。
【0095】
(第1変形例)
図12は、第1変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。以下、この
図12を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1について説明する。なお、
図12においては、食み出し部31によってラベル付きパルプモールド1A1を封緘する前の状態を図示している。
【0096】
図12に示すように、第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、パルプモールド2A1にヒンジ部が設けられていない点と、ラベル3A1が複数の食み出し部31を有している点において、その構成が相違している。
【0097】
より詳細には、ラベル付きパルプモールド1A1にあっては、パルプモールド2A1にヒンジ部が設けられていないため、第1ボディ部としての上側容器部21A1と、第2ボディ部としての下側容器部22A1とが、それぞれ別体として構成されている。
【0098】
また、ラベル3A1の食み出し部31は、上側容器部21A1の外縁から外側に向けて食み出した第1食み出し部31a1と、上側容器部21A1の中央部分に位置する平板部24から見て第1食み出し部31a1とは反対側に位置する第2食み出し部31a2とを含んでいる。
【0099】
第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1を封緘するに際しては、これら一対の第1食み出し部31a1および第2食み出し部31a2の各々が、接着剤層3bの第2領域3b2を介して下側容器部22A1の外側表面に貼り付けられることになる。
【0100】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られるばかりでなく、2つの食み出し部を用いてより強固にラベル付きパルプモールド1A1を封緘することが可能になる。
【0101】
なお、第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1を製造するにあたっては、上側容器部21A1にラベル3A1が貼り付けられたものの製造と、下側容器部22A1の製造とをそれぞれ分けて行なう。
【0102】
上側容器部21A1にラベル3A1が貼り付けられたものは、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法と同様の工程を経ることで得られる。下側容器部22A1は、上述したラベル付きパルプモールド1Aの製造方法における工程S1に準じた工程を経て成形された下側容器部中間体をプレスすることで得られる。
【0103】
(第2変形例)
図13は、第2変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。以下、この
図13を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第2変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2について説明する。なお、
図13においては、食み出し部31によってラベル付きパルプモールド1A2を封緘する前の状態を図示している。
【0104】
図13に示すように、第2変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、パルプモールド2A2にヒンジ部が設けられていない点と、ラベル3A2が複数の食み出し部を有している点において、その構成が相違している。ここで、第2変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2は、上述した実施の形態1に基づいた第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1と比較した場合に、ラベル3A2が有する複数の食み出し部の数のみが相違している。
【0105】
より詳細には、ラベル付きパルプモールド1A2にあっては、パルプモールド2A2にヒンジ部が設けられていないため、第1ボディ部としての上側容器部21A2と、第2ボディ部としての下側容器部22A2とが、それぞれ別体として構成されている。
【0106】
また、ラベル3A2の食み出し部31は、一対の第1食み出し部31a1および第2食み出し部31a2と、一対の第3食み出し部31b1および第4食み出し部31b2とを含んでいる。
【0107】
これら4つの食み出し部は、平面視略矩形状の上側容器部21A1の外縁の4辺に1つずつ設けられている。すなわち、一対の第1食み出し部31a1および第2食み出し部31a2は、上記4辺のうちの向かい合う2辺にそれぞれ設けられており、一対の第3食み出し部31b1および第4食み出し部31b2は、その余の2辺にそれぞれ設けられている。
【0108】
第2変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2を封緘するに際しては、これら4つの食み出し部の各々が、接着剤層3bの第2領域3b2を介して下側容器部22A2の外側表面に貼り付けられることになる。
【0109】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られるばかりでなく、4つの食み出し部を用いてより強固にラベル付きパルプモールド1A2を封緘することが可能になる。
【0110】
なお、第2変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2は、上述した第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1の製造方法に準じた方法によって製造可能である。
【0111】
(第3変形例)
図14は、第3変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図であり、
図15は、
図14中に示すXV-XV線に沿った模式断面図である。以下、これら
図14および
図15を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第3変形例に係るラベル付きパルプモールド1A3について説明する。
【0112】
図14および
図15に示すように、第3変形例に係るラベル付きパルプモールド1A3は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、パルプモールド2A3にヒンジ部が設けられていない点、ラベル3A3の食み出し部31が、上側容器部21A3の外縁の全周から外側に向けて食み出している点、および、食み出し部31の一部が摘まみ部として構成されている点において、その構成が相違している。
【0113】
より詳細には、ラベル付きパルプモールド1A3にあっては、パルプモールド2A3にヒンジ部が設けられていないため、第1ボディ部としての上側容器部21A3と、第2ボディ部としての下側容器部22A3とが、それぞれ別体として構成されている。
【0114】
また、ラベル付きパルプモールド1A3を構成するパルプモールド2A3にあっては、上側容器部21A3の上側フランジ部26A3が、下側容器部22A3の下側フランジ部29A3よりも小さく構成されている。
【0115】
ここで、ラベル3A3の食み出し部31は、上側フランジ部26A3の外縁の全周から外側に向けて食み出すことで第2ボディ部としての下側容器部22A3の下側フランジ部29A3に貼り付けられる貼り付け部32と、貼り付け部32の一部からさらに外側に向けて張り出し、下側容器部22A3に貼り付けられない非貼り付け部33とを含んでいる。
【0116】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、良好な外観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドとすることができる。
【0117】
また、このように構成した場合には、上側容器部21A3と下側容器部22A3とが、上側フランジ部26A3および下側フランジ部29A3の全周に渡って食み出し部31の貼り付け部32によって封緘されることになるため、ラベル付きパルプモールド1A3の収容空間の密封性の向上を図ることができる。
【0118】
さらに、貼り付け部32から張り出した非貼り付け部33が、ラベル付きパルプモールド1A3が封緘された状態においてこれを開封するための摘まみ部として構成されることになるため、開封性に優れたラベル付きパルプモールドとすることができる。
【0119】
また、ラベル付きパルプモールド1A3を廃棄する際には、この摘まみ部を起点にしてラベル3A3を上側容器部21A3から剥がすことが可能になる。そのため、分別廃棄がし易くリサイクル性に優れたラベル付きパルプモールド1A3とすることができる。
【0120】
なお、第3変形例に係るラベル付きパルプモールド1A3は、上述した実施の形態1に基づいた第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1の製造方法に準じた方法によって製造できる。
【0121】
(第4変形例)
図16は、第4変形例に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。以下、この
図16を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第4変形例に係るラベル付きパルプモールド1A4について説明する。
【0122】
図16に示すように、第4変形例に係るラベル付きパルプモールド1A4は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、ラベル3A4の食み出し部31の構成のみが相違している。
【0123】
より詳細には、ラベル付きパルプモールド1A4にあっては、ラベル3A4の食み出し部31が、パルプモールド2Aの下側容器部22の筒状部28および下側フランジ部29の外側表面に沿って折り返された状態で当該外側表面に貼り付けられる貼り付け部32と、当該外側表面に貼り付けられない非貼り付け部33とを含んでいる。
【0124】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、良好な外観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドとすることができる。
【0125】
また、このように構成した場合には、非貼り付け部33が、ラベル付きパルプモールド1A4が封緘された状態においてこれを開封するための摘まみ部として構成されることになるため、開封性に優れたラベル付きパルプモールドとすることができる。なお、貼り付け部32のうち、上側フランジ部26の周面と下側フランジ部29の周面とに貼り付けられている領域Zには、開封時に当該領域Zにおいて食み出し部31を切り離すためのミシン目等が施されていることが好ましく、これによって開封性のさらなる向上を図ることができる。
【0126】
さらに、このように構成した場合には、非貼り付け部33を、ラベル付きパルプモールド1A4に収容された商品を目立たせるためのPOPとして用いることも可能になる。これにより、容器としてのラベル付きパルプモールド1A4に優れた広告宣伝機能を付与できるため、商品の購買欲を高めることができる。
【0127】
なお、第4変形例に係るラベル付きパルプモールド1A4は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法に準じた方法によって製造できる。
【0128】
(第5変形例)
図17(A)および
図17(B)は、それぞれ第5変形例に係るラベル付きパルプモールドを上方側および下方側から見た斜視図である。
図18は、
図17に示すラベル付きパルプモールドの断面図であり、
図18(A)は、
図17(A)中に示すXVIIIA-XVIIIA線に沿った模式断面図、
図18(B)は、
図18(A)に示す領域XVIIIBの要部拡大断面図である。以下、これら
図17および
図18を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第5変形例に係るラベル付きパルプモールド1A5について説明する。
【0129】
図17および
図18に示すように、第5変形例に係るラベル付きパルプモールド1A5は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、上側容器部21を覆うラベル3A5の構成が、上述したラベル3Aのそれと相違している。
【0130】
第5変形例に係るラベル付きパルプモールド1A5にあっては、ラベル3A5が、上側容器部21のうちの平板部24、湾曲部25、および、食み出し部31に対応する部分の上側フランジ部26に貼り付けられている一方で、食み出し部31に対応する部分以外の部分の上側フランジ部26には貼り付けられていない。
【0131】
そのため、上側容器部21の外側表面は、ラベル3A5が貼り付けられた部分である被貼り付け面21(1)と、ラベル3A5が貼り付けられていない部分である露出面21(2)とを含んでいる。
【0132】
図18(B)に示すように、被貼り付け面21(1)と露出面21(2)との境界部において、被貼り付け面21(1)は、露出面21(2)よりも後退して位置している。すなわち、被貼り付け面21(1)は、上側容器部21が閉じられた状態において、露出面21(2)よりも収容空間側に位置している。これにより、パルプモールド2Aの上側容器部21には段差部21bが設けられており、ラベル3A5は、当該ラベル3A5の厚み方向における少なくとも一部が段差部21bに入り込んだ状態で上側容器部21の被貼り付け面21(1)に貼り付けられている。なお、上側フランジ部26の外側表面のうちの、食み出し部31が貼り付けられた部分と、当該部分に隣接しかつ食み出し部31が貼り付けられていない部分との境界部においても、上述の如くラベル3A5が段差部21bに入り込んだ状態とされている。
【0133】
このようなラベル付きパルプモールド1A5の構成は、上述したようにラベル3A5がパルプモールド2Aに積層された状態でプレスされることにより、当該パルプモールド2Aの被貼り付け面21(1)が圧縮されつつ当該被貼り付け面21(1)にラベル3A5が貼り付けられることに起因して生じるものである。
【0134】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになるばかりでなく、段差部21bによってラベル3A5の厚みの少なくとも一部が吸収されることになるため、結果として、ラベル付きパルプモールド1A5の表面の平滑性を大幅に向上させることができる。そのため、ラベル付きパルプモールド1A5に良好な外観を付与可能になる。
【0135】
また、たとえば、プレス成形の際にラベルをパルプモールドに貼り付けることなく、成形後のパルプモールドに別体として設けられた封緘用ラベル(すなわち、粘着ラベル片等)を貼り付けることで構成されるラベル付きパルプモールドとした場合には、その表面に封緘用ラベルの厚みに対応する段差が生じてしまうところ、本変形例に係るラベル付きパルプモールド1A5とすることにより、このような段差が生じることが抑制されることでパルプモールド2Aとの一体感のあるラベル3A5によって封緘することが可能になる。
【0136】
なお、第5変形例に係るラベル付きパルプモールド1A5は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法に準じた方法によって製造できる。
【0137】
(実施の形態2)
図19は、実施の形態2に係るラベル付きパルプモールドの開閉可能な蓋になる上側容器部が開かれた状態を示す図であり、
図19(A)および
図19(B)は、それぞれラベル付きパルプモールドの内側表面側および外側表面側を見た斜視図である。
図20は、
図19に示すラベル付きパルプモールドの断面図であり、
図20(A)は、
図19(A)中に示すXXA-XXA線に沿った模式断面図、
図20(B)は、
図20(A)に示す領域XXBの要部拡大断面図である。以下、これら
図19および
図20を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bについて説明する。
【0138】
図19および
図20に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bは、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、パルプモールド2Bの上側容器部21Bと下側容器部22Bとを回動可能に連結するヒンジ部が、パルプモールド2Bの一部ではなくラベル3Bの一部によって構成されている点において、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと相違している。
【0139】
より詳細には、ラベル付きパルプモールド1Bにあっては、パルプモールド2Bにヒンジ部が設けられていないため、第1ボディ部としての上側容器部21Bと、第2ボディ部としての下側容器部22Bとが、それぞれ別体として構成されている。ラベル3Bは、上側容器部21Bの外側表面の全面に貼り付けられている。また、ラベル3Bは、上側容器部21Bの外縁から外側に向けて食み出した食み出し部31を有している。
【0140】
食み出し部31の先端部は、接着剤層3bの第2領域3b2を介して、下側容器部22Bの下側フランジ部29の外側表面の一部と、当該外側表面の一部に隣接する部分の筒状部28とに貼り付けられている。これにより、食み出し部31のうちの下側容器部22Bの外側表面に貼り付けられていない部分は、上側容器部21Bと下側容器部22Bとを回動可能に連結するヒンジ部34を構成することとなる。
【0141】
すなわち、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bの如くラベル3Bに食み出し部31が設けられた場合には、ラベル付きパルプモールド1Bの美観の向上が図られるだけでなく、第1ボディ部としての上側容器部21Bと第2ボディ部としての下側容器部22Bとを回動可能に保持可能になるという他の機能が当該ラベル3Bに付与されることになる。
【0142】
したがって、このように構成することにより、良好な外観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドとすることができる。
【0143】
なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bは、上述した実施の形態1に基づいた第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1の製造方法に準じた方法によって製造できる。
【0144】
ここで、上述した第5変形例の場合と同様に、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bにおいては、下側容器部22Bの外側表面のうちの、食み出し部31の先端部が貼り付けられた部分と、当該部分に隣接しかつ食み出し部31の先端部が貼り付けられていない部分との境界部において、ラベル3Bが、下側容器部22Bに設けられた段差部に入り込んだ状態とされている。このように構成することにより、パルプモールド2Bとの一体感のある状態でラベル3Bが当該パルプモールド2Bに貼り付けられるため、ラベル付きパルプモールド1Bに良好な外観を付与できるだけでなく、ラベル付きパルプモールド1Bの輸送時および陳列時等において、ラベル3Bが周囲の物体と接触すること等によって剥がれたり破損したりすることが効果的に防止できることになる。
【0145】
(付記)
上述した実施の形態およびその変形例において開示したラベル付きパルプモールドの特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
【0146】
[付記1]
複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を有するパルプモールドと、
基材および当該基材の一方の主面の少なくとも一部に設けられた接着剤層を有し、当該接着剤層を介して上記パルプモールドに貼り付けられたラベルとを備え、
上記ラベルのうちの上記曲面部に対応する部分には、上記ラベルの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置し、
上記皺および上記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分の上記パルプモールドが、上記皺および上記折り重なりが位置しない部分に対応する部分の上記パルプモールドよりも圧縮された状態とされ、これにより、上記皺および上記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分の上記ラベルが、上記パルプモールド側に向けて入り込んでおり、
上記ラベルは、上記パルプモールドの外縁から外側に向けて食み出した食み出し部を有する、ラベル付きパルプモールド。
【0147】
[付記2]
パルプモールドと、
基材および当該基材の一方の主面の少なくとも一部に設けられた接着剤層を有し、当該接着剤層を介して上記パルプモールドに貼り付けられたラベルとを備え、
上記パルプモールドは、上記ラベルが貼り付けられた部分である被貼り付け面と、上記ラベルが貼り付けられていない部分である露出面とを含み、
上記被貼り付け面と上記露出面との境界部において、上記被貼り付け面が上記露出面よりも後退していることにより、上記パルプモールドに段差部が設けられ、
上記ラベルは、当該ラベルの厚み方向における少なくとも一部が上記段差部に入り込んだ状態で上記パルプモールドに貼り付けられ、
上記ラベルは、上記パルプモールドの外縁から外側に向けて食み出した食み出し部を有する、ラベル付きパルプモールド。
【0148】
[付記3]
上記パルプモールドが、相互に組付けられることで内部に収容空間を規定する第1ボディ部および第2ボディ部を有し、
上記接着剤層が、上記第1ボディ部に対応する部分に位置する第1領域と、上記食み出し部に位置する第2領域とを含み、
上記食み出し部が、上記第1ボディ部の外縁から外側に向けてはみ出し、
上記食み出し部が上記第2領域を介して上記第2ボディ部に貼り付けられることにより、上記第1ボディ部および上記第2ボディ部が上記食み出し部によって封緘される、付記1または2に記載のラベル付きパルプモールド。
【0149】
[付記4]
上記パルプモールドが、第1ボディ部および第2ボディ部を有し、
上記接着剤層が、上記第1ボディ部に対応する部分に位置する第1領域と、上記食み出し部に位置する第2領域とを含み、
上記食み出し部が、上記第1ボディ部の外縁から外側に向けてはみ出し、
上記食み出し部が上記第2領域を介して上記第2ボディ部に貼り付けられることにより、上記第1ボディ部および上記第2ボディ部が上記食み出し部によって回動可能に保持される、付記1または2に記載のラベル付きパルプモールド。
【0150】
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0151】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0152】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0153】
1A,1A1~1A5,1B,1A’ ラベル付きパルプモールド、1AM ラベル付きパルプモールド中間体、2A,2A1~2A3,2B パルプモールド、2AM パルプモールド中間体、3A,3A1~3A5,3B,3A’ ラベル、3(1) 第1主面、3(2) 第2主面、3a 基材、3b 接着剤層、3b1 第1領域、3b2 第2領域、3AM ラベル中間体、21,21A1~21A3,21B 上側容器部、21(1) 被貼り付け面、21(2) 露出面、21b 段差部、21c 段差部分、22,22A1~22A3,22B 下側容器部、22a 収容部、23 ヒンジ部、24 平板部、25 湾曲部、26,26A3 上側フランジ部、27 底板部、28 筒状部、29,29A3 下側フランジ部、31 食み出し部、31a1 第1食み出し部、31a2 第2食み出し部、31b1 第3食み出し部、31b2 第4食み出し部、32 貼り付け部、33 非貼り付け部、34 ヒンジ部、110 第1型、111 第1凸状部、112 第2凸状部、120 第2型、121 第1凹状部、122 第2凹状部、200 主領域、201 余剰領域、201a 孔部、300 主領域、301 余剰領域、CL カットライン、X 第1部分、Y 第2部分、Ya 隅部分、Z 領域。