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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090372
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】クランプオン式超音波流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20240627BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20240627BHJP
   G01F 1/667 20220101ALI20240627BHJP
   G01K 13/02 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
G01F1/66 101
G01F1/00 W
G01F1/667 Z
G01K13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206240
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下(宮本) 汐里
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 卓也
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
2F056
【Fターム(参考)】
2F030CD15
2F035DA08
2F035DA09
2F035DA14
2F056CL05
2F056WF01
(57)【要約】
【課題】超音波トランスデューサと温度計測部とを装置本体に搭載する場合であっても、超音波トランスデューサによる流量測定性能と温度計測部による温度測定性能とをともに十分に機能させることができるクランプオン式超音波流量計を提供する。
【解決手段】超音波を用いて配管内を流れる流体の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、配管に当接し配管を介して流体の温度を計測する温度計測部7を備え、温度計測部7は、装置本体と温度計測部7の上端との間に弾性部材8を介在させ、配管のクランプに伴い配管接触面SBを配管に押圧しつつ、温度計測部7の下面を配管に当接させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を用いて配管内を流れる流体の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、
前記配管に当接し前記配管を介して前記流体の温度を計測する温度計測部を備え、
前記温度計測部は、装置本体と前記温度計測部の上端との間に弾性部材を介在させ、前記配管のクランプに伴い配管接触面を配管に押圧しつつ、前記温度計測部の下面を前記配管に当接させることを特徴とするクランプオン式超音波流量計。
【請求項2】
前記温度計測部は、
下面に熱伝導金属板が配置された外筒部と、
前記外筒部の内側に上部から挿入されて前記外筒部の内側に固定配置され、内部に温度センサが搭載された温度センサ基板が配置される内筒部と、
を備え、
前記内筒部は、前記外筒部の下面から所定距離の位置に横方向に延びるスリットが形成され、前記温度センサ基板は前記スリットにスライドして嵌められて上下方向の位置決めがなされ、前記熱伝導金属板と前記温度センサとの距離を一定に保つことを特徴とする請求項1に記載のクランプオン式超音波流量計。
【請求項3】
前記温度センサ基板と前記熱伝導金属板との間、及び、前記温度センサ基板の上部に絶縁剤を充填したことを特徴とする請求項2に記載のクランプオン式超音波流量計。
【請求項4】
前記温度センサ基板の上部側から接続されたリード線の接続部に対応する位置と前記熱伝導金属板との間に絶縁樹脂隔壁を配置したことを特徴とする請求項2又は3に記載のクランプオン式超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて配管内を流れる流体の流量を計測するクランプオン式超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を用いて配管内を流れる流体の流量を計測する超音波流量計が知られている。この超音波流量計では、配管の上流側に設けられた圧電素子と、配管の下流側に設けられた圧電素子との間で超音波の送受信を行い、その伝搬時間差から配管内を流れる流体の流量を計測する。
【0003】
この超音波流量計としては、斜角入射方式の超音波流量計が知られている(例えば特許文献1参照)。斜角入射方式の超音波流量計では、配管の上流側に設けられた1つの小型の圧電素子と、配管の下流側に設けられた1つの小型の圧電素子との間で、配管に対して斜めに超音波の送受信を行い、その伝搬時間差から配管内を流れる流体の流量を計測する。なお、斜角入射方式の超音波流量計では、配管に対してクランプオン方式で圧電素子を取付け可能である。クランプオン方式は、配管を切断せずに、また、既存の配管に対し、圧電素子を取付け可能とする方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-15090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、クランプオン式超音波流量計の装置本体に、配管を流れる流体の温度を測定する温度計測部を設ける場合、温度計測部の配管接触面を配管に当接させる必要がある。ここで、温度計測部を装置本体に固定して、温度計測部の配管接触面が超音波トランスデューサの配管接触面より突き出てしまった場合、超音波トランスデューサの配管接触面が配管に接触できない箇所が生じ、流量測定性能が悪化する。一方、温度計測部を装置本体に固定して、温度計測部の配管接触面が超音波トランスデューサの配管接触面より引っ込んでしまった場合、超音波トランスデューサの配管接触面が配管に十分に接触できるものの、温度計測部の配管接触面が配管に接触できず、温度測定性能が悪化する。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、超音波トランスデューサと温度計測部とを装置本体に搭載する場合であっても、超音波トランスデューサによる流量測定性能と温度計測部による温度測定性能とをともに十分に機能させることができるクランプオン式超音波流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるクランプオン式超音波流量計は、超音波を用いて配管内を流れる流体の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、前記配管に当接し前記配管を介して前記流体の温度を計測する温度計測部を備え、前記温度計測部は、装置本体と前記温度計測部の上端との間に弾性部材を介在させ、前記配管のクランプに伴い配管接触面を配管に押圧しつつ、前記温度計測部の下面を前記配管に当接させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記温度計測部は、下面に熱伝導金属板が配置された外筒部と、前記外筒部の内側に上部から挿入されて前記外筒部の内側に固定配置され、内部に温度センサが搭載された温度センサ基板が配置される内筒部と、を備え、前記内筒部は、前記外筒部の下面から所定距離の位置に横方向に延びるスリットが形成され、前記温度センサ基板は前記スリットにスライドして嵌められて上下方向の位置決めがなされ、前記熱伝導金属板と前記温度センサとの距離を一定に保つことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記温度センサ基板と前記熱伝導金属板との間、及び、前記温度センサ基板の上部に絶縁剤を充填したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記温度センサ基板の上部側から接続されたリード線の接続部に対応する位置と前記熱伝導金属板との間に絶縁樹脂隔壁を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、超音波トランスデューサと温度計測部とを装置本体に搭載する場合であっても、超音波トランスデューサによる流量測定性能と温度計測部による温度測定性能とをともに十分に機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態であるクランプオン式超音波流量計の斜視図である。
図2図2は、図1に示したクランプオン式超音波流量計の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示したクランプオン式超音波流量計1のクランプ前の縦断面図である。
図4図4は、図1に示したクランプオン式超音波流量計1のクランプ時の縦断面図である。
図5図5は、温度計測部の縦断面図である。
図6図6は、温度計測部の横断面図である。
図7図7は、温度計測部の分解斜視図である。
図8図8は、温度計測部の詳細な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかるクランプオン式超音波流量計の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態であるクランプオン式超音波流量計1の斜視図である。また、図2は、図1に示したクランプオン式超音波流量計1の分解斜視図である。さらに、図3は、図1に示したクランプオン式超音波流量計1のクランプ前の縦断面図である。また、図4は、図1に示したクランプオン式超音波流量計1のクランプ時の縦断面図である。図1図4に示すように、クランプオン式超音波流量計1は、装置本体10に取り付けられた本体側配管取付部30と、外側配管取付部20とにより、両側から流体が流れる配管100をクランプし、流体の流量などを計測するものである。
【0015】
クランプオン式超音波流量計1は、向かい合う超音波トランスデューサ5,6を有し、超音波トランスデューサ5,6は、配管100内の流体に対して超音波信号を送信するとともに配管100内の流体からの超音波信号を受信する。超音波トランスデューサ5,6は、それぞれ楔51,61の斜面に圧電素子52,62が取り付けられ、楔51,61の下面から音響カプラゴム40を介して配管100に向けて斜めに超音波信号を送信するとともに受信する。
【0016】
装置本体10と外側配管取付部20とによる配管100のクランプは、装置本体10に取り付けられる本体側配管取付部30と外側配管取付部20との間に配管100を挟み、ねじ23により締結することによって行われる。すなわち、外側配管取付部20を介在して、本体側配管取付部30のフランジ31に形成したねじ孔31aにねじ23を螺合して締結することにより、配管100をクランプする。なお、本体側配管取付部30の±Y方向の端部には、配管位置決め凹部32が形成されている。
【0017】
クランプオン式超音波流量計1による流量計測は、配管100をクランプした状態で、例えば、超音波トランスデューサ5から超音波信号L1を送信し、超音波トランスデューサ6が配管100で反射して一往復した超音波信号L1を受信し、この超音波信号L1の伝搬時間を計測する。その後、超音波トランスデューサ6から超音波信号L2を送信し、超音波トランスデューサ5が配管100で反射して一往復した超音波信号L2を受信し、この超音波信号L2の伝搬時間を計測する。そして、超音波信号L1,L2の伝搬時間差をもとに流体の流速を算出して単位時間あたりの流量を求める。また、流量を累積流量として求めることもできる。この際、装置本体10に取り付けられた温度計測部7により、配管100を介した流体の温度を計測して、流速の温度補正を行う。なお、超音波信号L1,L2は、配管100の軸を通過するように設定されている。
【0018】
装置本体10は、操作部2、表示部3、ケーブル接続部4を備えるとともに、装置本体10内に、図示しない制御部を備える。操作部2は、各種情報を入力する入力インターフェースであり、予め設定された情報を選択することによって情報を入力する。表示部は、各種情報を出力する出力インターフェースであり、例えば、流量[リットル/min]表示、累積流量[リットル]表示、ステータス[正常/異常]表示などを行う。ケーブル接続部4は、外部の電源供給線及び外部装置との信号線を含むケーブルを接続する接続部である。制御部は、操作部2の指示のもとに、超音波トランスデューサ5,6の送受信制御を行い、伝搬時間差及び温度計測部7が計測した温度をもとに流速を演算し、表示部3に結果及び状態を表示するとともに、ケーブル接続部4を介して外部出力する。
【0019】
音響カプラゴム40は、超音波トランスデューサ5,6の超音波送受信面と配管100との音響的な結合を確保するための音響カプラとしての弾性体ゴムである。従来の音響カプラゴムは、超音波トランスデューサの楔を覆う3次元構造であったが、本実施形態では、平板構造としている。
【0020】
ここで、本体側配管取付部30には、中央側に、超音波トランスデューサ5,6の超音波送受信面が-Z方向に突出する開口が形成されているとともに、この開口の周囲に-Z方向に向けて立設した4つの爪35が形成されている。なお、開口における超音波送受信面の-Z方向への突出は、開口の厚さ分である。爪35の先端折り曲げ部は、±X方向に向いている。
【0021】
音響カプラゴム40は、爪35に対応する位置に4つの係合孔41が形成されている。爪35の先端折り曲げ位置は、音響カプラゴム40の厚さに対応した位置である。爪35に係合孔41を係合することにより、音響カプラゴム40が本体側配管取付部30に取り付けられる。この場合、音響カプラゴム40と超音波トランスデューサ5,6の超音波送受信面とが当接することになる。なお、音響カプラゴム40は、配管100のクランプにより、超音波トランスデューサ5,6の超音波送受信面に密着する。
【0022】
具体的な音響カプラゴム40の取付は、例えば、+X方向の2つの爪35に、音響カプラゴム40の+X方向の2つの係合孔41を係合し、その後、音響カプラゴム40の-X方向を引き延ばしつつ、-X方向の2つの爪35に、音響カプラゴム40の-X方向の2つの係合孔41を係合させる。音響カプラゴム40が取り付けられた本体側配管取付部30は、その後、装置本体10に取り付けられる。この装置本体への取付の段階で、音響カプラゴム40と超音波トランスデューサ5,6の超音波送受信面とが当接する。
【0023】
音響カプラゴム40は、平板構造であるため、表面粗さや加硫条件の制御が容易であり、型を用いていないため、材料の不均一が発生しにくく、良好な音響特性を確保することができる。また、型を用いていないため、コストを抑えることができる。さらに、音響カプラゴム40は、平板構造であり、取扱が容易であるとともに、爪35に係合孔41を係合するのみで取付が済むため、着脱などの取付作業が容易である。
【0024】
ここで、配管100が樹脂の場合、超音波信号は外側配管取付部20によっても反射する。このため、図8(a)に示すように、配管100で反射した超音波信号L1と外側配管取付部20で反射した超音波信号とが重畳した超音波信号が超音波トランスデューサ6に到達する。これにより、流速測定の精度が低下することになる。
【0025】
これに対し、本実施形態では、外側配管取付部20における超音波信号の反射部位に開口部22を形成している(図2参照)。開口部22は、配管形状に応じたU字型であり、配管100に接触してクランプする配管当接部21に設けられる。この結果、図8(b)に示すように、外側配管取付部20で反射した超音波信号が消え、配管100で反射した超音波信号L1のみを超音波トランスデューサ6が受信するので、流速測定の精度を高くすることができる。なお、開口部22の形状は任意であり、超音波信号の反射位置が開口していればよい。
【0026】
<温度計測部>
温度計測部7は、超音波トランスデューサ5,6に隣接して配置される。ここで、温度計測部7の配管接触面と超音波トランスデューサ5,6(音響カプラゴム40)の配管接触面とは同一面とする必要がある。しかし、音響カプラゴム40は、配管100のクランプによってZ方向に潰される。したがって、温度計測部7を装置本体10に固定配置すると、温度計測部7の配管接触面が、音響カプラゴム40の配管接触面より高くなったり、低くなったりし、超音波トランスデューサ5,6による流量測定性能と温度計測部7による温度測定性能とをともに満足させることができない。
【0027】
本実施形態では、温度計測部7の配管接触面の上下動を許容し、音響カプラゴム40の配管接触面に追従できるようにしている。図3の音響カプラゴム40はクランプ前で潰されておらず、図4の音響カプラゴム40はクランプ時で潰されている。すなわち、クランプ時に音響カプラゴム40の配管接触面は、Z方向に変位している。そして、温度計測部7の配管接触面もZ方向に変位し、音響カプラゴム40の配管接触面と同一面を形成している。
【0028】
すなわち、温度計測部7は、装置本体10と温度計測部7の上端との間に弾性部材8を介在させ、配管100のクランプに伴い配管接触面を配管100に押圧しつつ、温度計測部7の下面(配管接触面)を配管100に当接させている。
【0029】
図5は、温度計測部7の縦断面図である。また、図6は、温度計測部7の横断面図である。図7は、温度計測部7の分解斜視図である。また、図8は、温度計測部7の詳細な分解斜視図である。
【0030】
図5図8に示すように、温度計測部7は、下面に熱伝導金属板72が配置された有底の外筒部70と、外筒部70の内側に上部から挿入されて外筒部70の内側に固定配置され、内部に温度センサ85が搭載された温度センサ基板84が配置される内筒部80とを有する。外筒部70及び内筒部80は、その断面形状が矩形であり、内筒部80の一側面は開口している。
【0031】
外筒部70の底部には、熱伝導金属板72が樹脂に埋め込まれている。熱伝導金属板72は、四方がZ方向に折り曲げられた形状をなしている。外筒部70の下面は熱伝導金属板72が露出しており、この下面が配管接触面SBとなる。配管接触面SAは、音響カプラゴム40の下面である。なお、立設した熱伝導金属板72にはアンカー孔72aが設けられ、樹脂のアンカーとして用いられる。
【0032】
内筒部80は、外筒部70の下面から所定距離の位置に横方向に延びるスリット82が形成され、温度センサ基板84は、側面の開口側からスリット82にスライドして嵌められ、上下方向の位置決めがなされ、熱伝導金属板72と温度センサ85との距離を一定に保つ。具体的には、熱伝導金属板72の上面と温度センサ基板84の下面とを一定の距離Dに保つようにしている。スリット82は、内筒本体81の内側に溝として形成される。
【0033】
温度センサ基板84には、4本のリード線86が接続され、内筒部80の内部を通って外部に延び、接続インターフェースを介して制御部に接続される。温度センサ基板84とリード線86との接続は、例えば、温度センサ基板84に接続孔を設け、この接続孔にリード線の先端を挿入して、はんだ接続する。したがって、リード線86が温度センサ基板84の下面から突出する可能性があり、熱伝導金属板72との接触を防止するため、熱伝導金属板72の底の上面に絶縁樹脂隔壁90を膜として形成している。この絶縁樹脂隔壁90は、外筒部70の樹脂成形時に形成している。絶縁樹脂隔壁90は、少なくともリード線86の接続に対応した位置に形成される。絶縁熱伝導グリス87は、温度センサ基板84の下面全体を覆うように配置される。
【0034】
また、温度センサ基板84と熱伝導金属板72との間に絶縁熱伝導グリス87、及び、温度センサ基板84の上部に絶縁樹脂剤120をそれぞれ充填している。なお、絶縁熱伝導グリス87は、絶縁熱伝導接着剤であってもよい。したがって、温度センサ基板84と熱伝導金属板72との間、及び、温度センサ基板84の上部には、絶縁剤が充填されることになる。これにより、静電気が印加される熱伝導金属板72とリード線86との間の静電気放電を防止することができる。また、この充填される絶縁熱伝導グリス87及び絶縁樹脂剤120は、防水性の向上にも寄与する。
【0035】
なお、外筒部70に対する内筒部80の位置決めは、内筒部80の外周に設けた突起83が外筒部70の突起係合孔83aに係合することによってなされる。
【0036】
また、外筒部70の外周には段差70aが設けられる。この段差70aの下部に、装置本体10の部材である装置支持部材11のフランジ11aが係合して、温度計測部7の下降(-Z方向)を止めている。段差70aの上部には、シール部材71が取り付けられ、装置支持部材11の側面との間をシールする。このシールにより、装置本体10に対する防水が可能となる。
【0037】
外筒部70の上端と、装置本体10側に締結される装置本体取付部材9との間に弾性部材8が介在する。弾性部材8はバネでもよいが、弾性ゴムを用いている。弾性部材8は、装置本体取付部材9により押圧されており、内筒部80が固定された外筒部70の±Z方向の伸縮を許容しつつ押圧している。弾性部材8を弾性ゴムとしたのは、音響カプラゴム40の変位と同程度の変位で同程度の弾性力が働くからである。
【0038】
これにより、温度計測部7は、シールされつつ、超音波トランスデューサ5,6の配管接続面の変位に追従した上下動が可能になる。図5では、配管100をクランプする前の音響カプラゴム40の配管接続面SA´の位置、及び、温度計測部7の配管接続面SB´の位置は、配管100のクランプ動作に伴って、音響カプラゴム40の配管接続面SA´が配管接続面SAに変位し、この変位に伴って、温度計測部7の配管接続面SB´の位置も配管接続面SBの位置に変位する。したがって、配管計測部7の配管接続面SB´は、配管接続面SBまでの変位Δdが生じ、音響カプラゴム40の配管接続面SAと温度計測部7の配管接続面SBが一致した状態になっている。この結果、音響カプラゴム40の配管接続面SAと温度計測部7の配管接続面SBとがともに配管100に正常に接触し、超音波トランスデューサ5,6による流量測定性能と温度計測部7による温度測定性能との両立を図ることができる。なお、配管100のクランプ前における温度計測部7の配管接続面SB´の位置は、変位Δd未満であって音響カプラゴム40の配管接続面SA´の位置よりも+Z方向の位置であってもよい。
【0039】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1 クランプオン式超音波流量計
2 操作部
3 表示部
4 ケーブル接続部
5,6 超音波トランスデューサ
7 温度計測部
8 弾性部材
9 装置本体取付部材
10 装置本体
11 装置支持部材
11a,31 フランジ
20 外側配管取付部
21 配管当接部
22 開口部
23 ねじ
30 本体側配管取付部
31a ねじ孔
32 配管位置決め凹部
35 爪
40 音響カプラゴム
41 係合孔
51,61 楔
52,62 圧電素子
70 外筒部
70a 段差
71 シール部材
72 熱伝導金属板
72a アンカー孔
80 内筒部
81 内筒本体
82 スリット
83 突起
83a 突起係合孔
84 温度センサ基板
85 温度センサ
86 リード線
87 絶縁熱伝導グリス
90 絶縁樹脂隔壁
100 配管
120 絶縁樹脂剤
D 距離
L1,L2 超音波信号
SA,SA´,SB,SB´ 配管接触面
Δd 変位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態であるクランプオン式超音波流量計の斜視図である。
図2図2は、図1に示したクランプオン式超音波流量計の分解斜視図である。
図3図3は、図2に示したクランプオン式超音波流量計クランプ前の縦断面図である。
図4図4は、図1に示したクランプオン式超音波流量計クランプ時の縦断面図である。
図5図5は、温度計測部の縦断面図である。
図6図6は、温度計測部の横断面図である。
図7図7は、温度計測部の分解斜視図である。
図8図8は、温度計測部の詳細な分解斜視図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態であるクランプオン式超音波流量計1の斜視図である。また、図2は、図1に示したクランプオン式超音波流量計1の分解斜視図である。さらに、図3は、図に示したクランプオン式超音波流量計1のクランプ前の縦断面図である。また、図4は、図1に示したクランプオン式超音波流量計1のクランプ時の縦断面図である。図1図4に示すように、クランプオン式超音波流量計1は、装置本体10に取り付けられた本体側配管取付部30と、外側配管取付部20とにより、両側から流体が流れる配管100をクランプし、流体の流量などを計測するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
装置本体10は、操作部2、表示部3、ケーブル接続部4を備えるとともに、装置本体10内に、図示しない制御部を備える。操作部2は、各種情報を入力する入力インターフェースであり、予め設定された情報を選択することによって情報を入力する。表示部は、各種情報を出力する出力インターフェースであり、例えば、流量[リットル/min]表示、累積流量[リットル]表示、ステータス[正常/異常]表示などを行う。ケーブル接続部4は、外部の電源供給線及び外部装置との信号線を含むケーブルを接続する接続部である。制御部は、操作部2の指示のもとに、超音波トランスデューサ5,6の送受信制御を行い、伝搬時間差及び温度計測部7が計測した温度をもとに流速を演算し、表示部3に結果及び状態を表示するとともに、ケーブル接続部4を介して外部出力する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
具体的な音響カプラゴム40の取付は、例えば、+X方向の2つの爪35に、音響カプラゴム40の+X方向の2つの係合孔41を係合し、その後、音響カプラゴム40の-X方向を引き延ばしつつ、-X方向の2つの爪35に、音響カプラゴム40の-X方向の2つの係合孔41を係合させる。音響カプラゴム40が取り付けられた本体側配管取付部30は、その後、装置本体10に取り付けられる。この装置本体10への取付の段階で、音響カプラゴム40と超音波トランスデューサ5,6の超音波送受信面とが当接する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
温度センサ基板84には、4本のリード線86が接続され、内筒部80の内部を通って外部に延び、接続インターフェースを介して制御部に接続される。温度センサ基板84とリード線86との接続は、例えば、温度センサ基板84に接続孔を設け、この接続孔にリード線86の先端を挿入して、はんだ接続する。したがって、リード線86が温度センサ基板84の下面から突出する可能性があり、熱伝導金属板72との接触を防止するため、熱伝導金属板72の底の上面に絶縁樹脂隔壁90を膜として形成している。この絶縁樹脂隔壁90は、外筒部70の樹脂成形時に形成している。絶縁樹脂隔壁90は、少なくともリード線86の接続に対応した位置に形成される。絶縁熱伝導グリス87は、温度センサ基板84の下面全体を覆うように配置される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
これにより、温度計測部7は、シールされつつ、超音波トランスデューサ5,6の配管接続面の変位に追従した上下動が可能になる。図5では、配管100をクランプする前の音響カプラゴム40の配管接続面SA´の位置、及び、温度計測部7の配管接続面SB´の位置は、配管100のクランプ動作に伴って、音響カプラゴム40の配管接続面SA´が配管接続面SAに変位し、この変位に伴って、温度計測部7の配管接続面SB´の位置も配管接続面SBの位置に変位する。したがって、温度計測部7の配管接続面SB´は、配管接続面SBまでの変位Δdが生じ、音響カプラゴム40の配管接続面SAと温度計測部7の配管接続面SBが一致した状態になっている。この結果、音響カプラゴム40の配管接続面SAと温度計測部7の配管接続面SBとがともに配管100に正常に接触し、超音波トランスデューサ5,6による流量測定性能と温度計測部7による温度測定性能との両立を図ることができる。なお、配管100のクランプ前における温度計測部7の配管接続面SB´の位置は、変位Δd未満であって音響カプラゴム40の配管接続面SA´の位置よりも+Z方向の位置であってもよい。