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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090374
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】連続式造粒機
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/12 20060101AFI20240627BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20240627BHJP
   B65G 65/30 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
B01J2/12
B01J2/00 A
B65G65/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206242
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 明紀
【テーマコード(参考)】
3F075
4G004
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA01
3F075CB11
3F075CD01
3F075DA10
4G004AA02
4G004HA02
4G004HA06
(57)【要約】
【課題】粗大顆粒を含まない造粒品を得ることができる連続式造粒機を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る連続式造粒機1Aは、湿潤粉体から顆粒を製造するものであり、横向きに延びる筒状の回転容器2と、回転容器2内で回転シャフト51に取り付けられた複数の羽根53を含む。回転容器2の出口側の端部には、複数の通過孔64を有する筒状のスクリーン6が取り付けられている。スクリーン6は、回転容器2と共に回転する。スクリーン6内には、スクリーン6の内周面との間で顆粒を解砕する、スクリーン6の軸方向に延びる少なくとも1つのブレード71が配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤粉体から顆粒を製造する連続式造粒機であって、
横向きに延びる筒状の回転容器と、
前記回転容器内で回転シャフトに取り付けられた複数の羽根と、
前記回転容器の出口側の端部に取り付けられた、前記回転容器と共に回転する筒状のスクリーンであって、複数の通過孔を有するスクリーンと、
前記スクリーン内に配置された、前記スクリーンの内周面との間で顆粒を解砕する、前記スクリーンの軸方向に延びる少なくとも1つのブレードと、
を備える、連続式造粒機。
【請求項2】
前記回転容器の出口と対向するように配置された、前記スクリーンの軸方向と平行な回転軸回りに回転するロータをさらに備え、
前記少なくとも1つのブレードは、前記回転軸を中心とする周方向に並んだ状態で前記ロータに取り付けられた複数のブレードを含む、請求項1に記載の連続式造粒機。
【請求項3】
前記回転容器を回転可能に支持するフレームと、
前記回転容器の出口を覆うように前記フレームに取り付けられたシュートと、をさらに備え、
前記スクリーンは前記シュート内に配置され、前記回転軸は前記スクリーンの回転中心よりも下方に位置しており、
前記ロータは、前記シュートに、上下方向または前記スクリーンの回転中心を中心とする径方向に移動可能に取り付けられている、請求項2に記載の連続式造粒機。
【請求項4】
前記ロータは、前記スクリーンと相対的に逆方向に回転し、
前記複数のブレードのそれぞれは、前記ロータから中間点までは前記スクリーンの軸方向と平行であるか前記スクリーンの軸方向に対して前記スクリーンの回転方向と同方向に傾斜し、前記中間点から先端までは前記スクリーンの軸方向に対して前記スクリーンの回転方向と逆方向に傾斜している、請求項2または3に記載の連続式造粒機。
【請求項5】
前記スクリーンの外周面に向かってエアを吹き付けるブローノズルをさらに備える、請求項1乃至3の何れか一項に記載の連続式造粒機。
【請求項6】
前記スクリーンは、前記回転容器から遠ざかるにつれて拡径するテーパー状であり、
前記少なくとも1つのブレードは、前記スクリーンの内周面に沿って傾斜している、請求項1乃至3の何れか一項に記載の連続式造粒機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連続式造粒機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば医薬品、化成品、食品などの分野では、複数種類の粉体を混合し、その混合粉体を湿潤させた湿潤粉体から顆粒を製造することが行われている。粉体はそのままではハンドリングが困難であるため、顆粒とすることでハンドリング性を向上させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、湿潤粉体から顆粒を製造する連続式造粒機が開示されている。なお、特許文献1では、連続式造粒機が連続式粉体処理装置と呼ばれている。具体的に、特許文献1の連続式造粒機は、横向きに延びる筒状の回転容器と、前記回転容器内で回転シャフトに取り付けられた複数の羽根を含む。回転シャフトは回転容器の軸方向に延びており、羽根は回転シャフトの軸方向に並んでいる。回転シャフトの回転方向は回転容器の回転方向と同じであってもよいし、逆であってもよい。
【0004】
特許文献1の連続式造粒機では、回転容器内に湿潤粉体が供給されるか回転容器内で粉体が湿潤され、その湿潤粉体が回転容器の回転によって流動させられるとともに、羽根の回転によって混合および解砕される。これにより顆粒が製造され、製造された顆粒は回転容器の一方の開口である出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-89805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、湿潤前の粉体の平均粒径は30μm以上70μm以下であり、顆粒の平均粒径は80μm以上250μm以下である。特許文献1の連続式造粒機では、所定の粒度分布の造粒品が得られるように回転容器および回転シャフトの回転速度を設定しても、造粒品に平均粒径を大きく超える粗大顆粒が含まれることがある。
【0007】
そこで、本開示は、粗大顆粒を含まない造粒品を得ることができる連続式造粒機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、湿潤粉体から顆粒を製造する連続式造粒機であって、横向きに延びる筒状の回転容器と、前記回転容器内で回転シャフトに取り付けられた複数の羽根と、前記回転容器の出口側の端部に取り付けられた、前記回転容器と共に回転する筒状のスクリーンであって、複数の通過孔を有するスクリーンと、前記スクリーン内に配置された、前記スクリーンの内周面との間で顆粒を解砕する、前記スクリーンの軸方向に延びる少なくとも1つのブレードと、を備える、連続式造粒機を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、粗大顆粒を含まない造粒品を得ることができる連続式造粒機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る連続式造粒機の縦断面図である。
図2図1のII-II線に沿った横断面図である。
図3図1の要部の拡大図である。
図4】前記要部の正面図である。
図5図3のV-V線に沿った断面図である。
図6図6A乃至図6Cはスクリーンの通過孔の例を示す。
図7図7Aはロータおよび変形例のブレードの側面図、図7B図7AのVIIB-VIIB線に沿った断面図である。
図8図8Aはロータおよび別の変形例のブレードの側面図、図8B図8AのVIIIB-VIIIB線に沿った断面図である。
図9】第2実施形態に係る連続式造粒機の要部の断面図である。
図10】前記連続式造粒機に含まれるブローノズルの下面図である。
図11】第3実施形態に係る連続式造粒機の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1,2に、第1実施形態に係る連続式造粒機1Aを示す。連続式造粒機1Aは、湿潤粉体から顆粒を製造する。
【0012】
具体的に、連続式造粒機1Aは、横向きに延びる筒状の回転容器2と、回転容器2を回転可能に支持するフレーム11を含む。フレーム11は、回転容器2の側方に位置するベース11aと、ベース11aから突出する一対のアーム11b,11cを含む。アーム11b,11cは、ベアリング25,26を介して回転容器2を回転可能に支持する。ただし、フレーム11の構成はこれに限られず、適宜変更可能である。
【0013】
フレーム11のベース11aには、回転容器2を回転させる、電動機および減速機を含む駆動装置41が取り付けられている。駆動装置41の出力シャフトおよび回転容器2の外周面には、ベベルギヤ42,43がそれぞれ設けられており、それらのベベルギヤ42,43が互いに噛み合っている。ただし、回転容器2を回転させる構成はこれに限られず、適宜変更可能である。
【0014】
回転容器2は、当該回転容器2の軸方向と直交する底壁21と、その底壁21の周縁部から当該回転容器2の軸方向に延びる周壁22を含む。周壁22の断面形状は円形状であり、底壁21の中央には開口23が設けられている。回転容器2における底壁21とは反対側の開口が出口である。
【0015】
本実施形態では、回転容器2の軸方向が水平方向と平行である。ただし、回転容器2の軸方向は、底壁21から出口へ向かって下向きに傾斜してもよいし、上向きに傾斜してもよい。このように回転容器2の軸方向を傾斜させることで、回転容器2内での湿潤粉体の滞留時間を調整することができる。
【0016】
さらに、連続式造粒機1Aは、回転容器2内に配置された複数の羽根53と、回転容器2の開口23内に先端部が挿入された供給管3と、供給管3内に配置されたスクリュー52を含む。本実施形態では、羽根53およびスクリュー52が回転容器2の軸方向に延びる回転シャフト51に取り付けられている。また、本実施形態では、図3に示すように、回転シャフト51の回転軸50が回転容器2の回転中心20よりも下方、より詳しくは回転中心20の真下に位置している。
【0017】
図5に示すように、各羽根53は略菱形状の形状を有し、向きが交互に90度変わる状態で回転シャフト51の軸方向に並んでいる。また、図3に示すように、隣り合う羽根53の間にはスペーサ54が介在している。
【0018】
羽根53およびスペーサ54のそれぞれには、中央に正方形状の貫通穴が設けられている。一方、回転シャフト51における所定部分の断面形状も正方形状であり、羽根53およびスペーサ54の貫通穴に回転シャフト51が嵌合している。換言すれば、回転シャフト51は羽根53およびスペーサ54を貫通している。
【0019】
また、スクリュー52は断面正方形状の中央穴を有する筒状であり、前記中央穴に回転シャフト51が嵌合している。換言すれば、回転シャフト51はスクリュー52を貫通している。なお、回転シャフト30の先端部には、スクリュー52、羽根53およびスペーサ54が回転シャフト30に貫通された状態を維持するためのキャップ55が取り付けられている。
【0020】
ただし、スクリュー52および羽根53を回転不能に回転シャフト51に取り付ける構造は上述したものに限られず、適宜変更可能である。
【0021】
本実施形態では、図5に示すように、回転シャフト51が回転容器2と同方向に回転する。羽根53の先端での周速は回転容器2の周壁22の内周面での周速よりも速いことが望ましい。例えば、周壁22の内周面での周速は0.5m/s以上1m/s以下であり、羽根53の先端での周速は5m/s以上13m/s以下である。ただし、回転シャフト51は回転容器2と逆方向に回転してもよい。
【0022】
各羽根53は、上述した貫通穴から互いに反対向きに突出する一対の刃部を有する。各刃部には、羽根53の回転方向に向かって尖るようにナイフエッジが形成されている。ナイフエッジは、回転方向に向かって回転容器2の出口から遠ざかるように傾斜している。このため、羽根53が回転すると、ナイフエッジによって回転容器2内の湿潤粉体へ回転容器2の出口へ向かう送り力が付与される。
【0023】
図1および図2に示すように、上述したフレーム11のベース11aにはサポート16が固定されており、このサポート16に、回転シャフト51を回転させる、電動機および減速機を含む駆動装置45が取り付けられている。
【0024】
供給管3には、上向きに開口する投入口31が設けられ、この投入口31にホッパー32が接続されている。ホッパー32には、乾燥粉体が投入されてもよいし、湿潤粉体が投入されてもよい。ホッパー32に乾燥粉体が投入される場合、回転容器2内には乾燥粉体を湿潤させるための水噴射装置が設けられる。
【0025】
ホッパー32に投入された乾燥粉体または湿潤粉体はスクリュー52によって回転容器2内へ供給される。ただし、回転容器2内への乾燥粉体または湿潤粉体の供給は必ずしもスクリュー52を用いる必要はなく、種々の供給方法が採用可能である。
【0026】
さらに、フレーム11のアーム11bには、ベアリング25およびその内側を覆う第1閉塞部材12が固定されており、アーム11cには、ベアリング26およびその内側を覆う第2閉塞部材13が固定されている。本実施形態では、第1閉塞部材12が円盤状であり、供給管3と一体となっている。第2閉塞部材13は環状であり、回転容器2に貫通されている。また、フレーム11のアーム11b,11cには、それらの間の空間を覆うカバー15が取り付けられている。
【0027】
さらに、フレーム11には、回転容器2の出口を覆うようにシュート14が取り付けられている。本実施形態では、シュート14が第2閉塞部材13を介してフレーム11に取り付けられている。シュート14は、回転容器2の出口から排出される顆粒を案内する。
【0028】
次に、図3乃至図5を参照して、回転容器2の出口回りの構造を詳細に説明する。なお、以下では説明の便宜上、回転容器2の軸方向のうち底壁21側を後方、出口側を前方ということがある。
【0029】
シュート14内には、回転容器2の軸方向に延びる筒状のスクリーン6が配置されている。スクリーン6は、回転容器2の出口側の端部に取り付けられている。すなわち、スクリーン6は回転容器2と共に回転する。スクリーン6の回転中心60は、回転容器2の回転中心20と一致する。
【0030】
スクリーン6は、複数の通過孔64が全面的に設けられた管状の本体部61と、本体部61の後方に位置する、本体部61よりも大径で管状の装着部62と、本体部61の前端部から径方向内向きに突出するリブ63を含む。本実施形態では、管状の本体部61がストレートである。本体部61の内周面の直径は、回転容器2の周壁22の内周面の直径と等しい。リブ63は、顆粒がスクリーン6の前端部からこぼれ落ちることを防止する役割を果たす。
【0031】
装着部62の内周面には雌ネジ65が形成されている。一方、回転容器2の前端部の外周面には雌ネジ65と螺合する雄ネジ24が形成されている。このため、スクリーン6を回転容器2の前端部に簡単に取り付けたり取り外したりすることができる。
【0032】
通過孔64は、図6Aに示すように円形状であってもよいし、図6Bに示すようにスクリーン6の軸方向または周方向に延びる長穴状であってもよい。あるいは、図6Cに示すように、通過孔64は隣り合う列で勝手反対となるように傾斜する長穴状であってもよい。
【0033】
図3乃至図5に示すように、スクリーン6内には、スクリーン6の軸方向に延びる少なくとも1つのブレード71が配置されている。ブレード71は、スクリーン6の内周面との間で顆粒を解砕するためのものである。本実施形態では、スクリーン6内に6つのブレード71が配置されている。
【0034】
本実施形態では、回転容器2の出口と対向するようにロータ72が配置されている。ロータ72は、スクリーン6の軸方向と平行な回転軸70回りに回転する。ブレード71は、ロータ72の回転軸70を中心とする周方向に並んだ状態でロータ72に取り付けられている。本実施形態では、ブレード71が等角度間隔で並んでいる。
【0035】
ロータ72は、スクリーン6の軸方向に扁平な円盤部74と、円盤部74の中央から前向きに延びるシャフト部73を含み、円盤部74の周縁部に、各ブレード71の前端部が固定されている。
【0036】
本実施形態では、ロータ72の回転軸70がスクリーン6の回転中心60よりも下方、より詳しくは回転中心60の真下に位置している。すなわち、図5に示すように、ブレード71の回転軌跡71Tとスクリーン6の本体部61の内周面との間の最小距離Dによって、解砕される顆粒のサイズが決定される。例えば、距離Dは、0.5mm以上5mm以下である。
【0037】
ただし、ロータ72の回転軸70は、スクリーン6の回転中心60から真下に延びる鉛直線を中心とする±45度の角度範囲内に位置してもよい。例えば、ロータ72の回転軸70は、スクリーン6の回転中心60から真下に延びる鉛直線に対して、スクリーン6の回転方向と同方向Aにずれていてもよい。
【0038】
ロータ72は、電動機および減速機を含む駆動装置8により回転される。図5に示すように、駆動装置8は、ロータ72をスクリーン6の回転方向と同方向Aに回転させてもよいし、逆方向Bに回転させてもよい。ロータ72がスクリーン6の回転方向と同方向Aに回転する場合でも、ロータ72の角速度がスクリーン6の角速度よりも遅ければ、ロータ72はスクリーン6と相対的に逆方向に回転する。
【0039】
より詳しくは、駆動装置8は、ロータ72のシャフト部73と連結される出力シャフトと、出力シャフトおよびシャフト部73を囲繞するカラー84を含む。カラー84とシャフト部73との間はシール部材85によってシールされている。
【0040】
シュート14の前壁14aには、スクリーン6の回転中心60を中心とする円形状の開口が設けられており、この開口に閉塞板9が嵌まり込んでいる。駆動装置8は、閉塞板9にボルト83により固定されるベース81を含む。すなわち、ロータ72は、駆動装置8および閉塞板9を介して前壁14aに取り付けられている。
【0041】
閉塞板9は、シュート14の前壁14aからスクリーン6のリブ63内まで張り出す円形状の張り出し部94を含む。張り出し部94の直径は、リブ63の内径よりも僅かに小さい。
【0042】
本実施形態では、ロータ72が、シュート14の前壁14aに上下方向に移動可能に取り付けられている。上述したように、本実施形態ではロータ72の回転軸70がスクリーン6の回転中心60の真下に位置しているので、上下方向はスクリーン6の回転中心60を中心とする径方向でもある。
【0043】
なお、上述したように、ロータ72の回転軸70がスクリーン6の回転中心60から真下に延びる鉛直線を中心とする±45度の角度範囲内に位置する場合、ロータ72は上下方向に移動可能であってもよいし、スクリーン6の回転中心60を中心とする径方向に移動可能であってもよい。
【0044】
より詳しくは、本実施形態では、駆動装置8のベース81におけるボルト83に挿通される貫通穴82が上下方向に延びる長穴となっている。また、閉塞板9における駆動装置8のカラー84に挿通される貫通穴91も上下方向に延びる長穴となっている。このため、駆動装置8のベース81をボルト83で閉塞板9に固定する際に、駆動装置8およびロータ72の上下方向の位置を調整可能である。これにより、解砕される顆粒のサイズを変更することができる。
【0045】
本実施形態では、閉塞板9の貫通穴91が長穴であるために、貫通穴91の内部であって駆動装置8のカラー84の上方に比較的に大きな空間が形成される。この空間への顆粒の流入を防ぐために、閉塞板9には、貫通穴91から上向きに延びるシールエア供給路92と、シールエア供給路92の上端から閉塞板9の前面に開口するシールエア供給口93が設けられている。
【0046】
本実施形態では、ロータ72の円盤部74が、閉塞板9の貫通穴91を後方から覆う大きさを有している。このため、シールエア供給口93およびシールエア供給路92を通じて貫通穴91内にシールエアが供給されると、シールエアは閉塞板9の張り出し部94の後面とロータ72の円盤部74との間を通って吹き出す。
【0047】
以上説明した構成の連続式造粒機1Aでは、回転容器2の出口から粗大顆粒が排出されたとしても、その粗大顆粒はスクリーン6の通過孔64を通過できずにスクリーン6内に留まり、スクリーン6内に留まっている間にブレード71によって解砕される。従って、粗大顆粒を含まない造粒品を得ることができる。
【0048】
<変形例>
前記実施形態では、ブレード71の断面形状が長方形状であった。しかし、図7Aおよび図7Bに示すように、ブレード71がスクリーン6の内周面に向かって先細りとなるように、ブレード71の一方の側面に傾斜面71aが形成されてもよい。このようにブレード71の先端の幅が狭くなっていれば、スクリーン6の本体部61における通過孔64以外の部分へ顆粒をこすりつける作用が減少し、本体部61の内周面への顆粒または解砕物の付着を抑制することができる。
【0049】
図7Aおよび図7Bに示すように、ブレード71におけるスクリーン6の回転方向と同方向Aの側面に傾斜面71aが形成される場合、ロータ72がスクリーン6と相対的に同方向に回転すると顆粒に対する圧縮作用が高くなり、ロータ72がスクリーン6と相対的に逆方向に回転すると顆粒に対するせん断作用が高くなる。逆に、ブレード71におけるスクリーン6の回転方向と逆方向Bの側面に傾斜面71aが形成される場合、ロータ72がスクリーン6と相対的に同方向に回転すると顆粒に対するせん断作用が高くなり、ロータ72がスクリーン6と相対的に逆方向に回転すると顆粒に対する圧縮作用が高くなる。
【0050】
あるいは、ブレード71の双方の側面に傾斜面71aが形成されてもよい。この場合、ブレード71の回転方向によらずに顆粒に対する圧縮作用が高くなる。
【0051】
また、ロータ72がスクリーン6と相対的に逆方向に回転する場合、すなわち、ロータ72がスクリーン6の回転方向と逆方向Bに回転するか、スクリーン6よりも低速でスクリーン6の回転方向と同方向Aに回転する場合、図8Aおよび図8Bに示すように、各ブレード71は、ロータ72から中間点まではスクリーン6の軸方向と平行であり、前記中間点から先端まではスクリーン6の軸方向に対してスクリーン6の回転方向と逆方向Bに傾斜してもよい。折れ曲がり点である中間点は、ブレード71を長さ方向に三等分したときの中央領域内であればどの位置にあってもよい。
【0052】
この構成であれば、ブレード71の先端側の部分によってスクリーン6の本体部61の内周面上の顆粒を前向き、すなわち回転容器2から離れる方向に移動させることができる。一方、ブレード71のロータ72側の部分はスクリーン6の軸方向と平行であるので、顆粒がスクリーン6の前端部、すなわちロータ側の端部まで移動されてこぼれ落ちることが防止される。
【0053】
なお、図8Aおよび図8Bでは、各ブレード71におけるスクリーン6の回転方向と逆方向Bの側面に傾斜面71aが形成されているため、上述したブレード71の先端の幅が狭くなることによる効果と、顆粒に対する圧縮作用が高くなる効果を得ることができる。ただし、各ブレード71の断面形状は長方形状であってもよい。
【0054】
図8Aおよび図8Bでは、各ブレード71がロータ72から中間点まではスクリーン6の軸方向と平行であったが、各ブレード71は、ロータ72から中間点まではスクリーン6の軸方向に対してスクリーン6の回転方向と同方向Aに傾斜してもよい。この場合、ロータ72から中間点までの傾斜角度は、中間点から先端面までの傾斜角度よりも小さいことが望ましい。このような構成であれば、解砕しきれなかった顆粒がスクリーン6の前端部に集まることが防止される。
【0055】
上述した変形例は、後述する第2実施形態および第3実施形態にも適用可能である。
【0056】
<第2実施形態>
図9に、第2実施形態に係る連続式造粒機1Bを示す。なお、本実施形態および後述する第3実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0057】
本実施形態の連続式造粒機1Bが第1実施形態の連続式造粒機1Aと異なるのは、スクリーン6の外周面に向かってエアを吹き付けるブローノズル96を含む点のみである。この構成であれば、スクリーン6の目詰まりを防止することができる。
【0058】
ブローノズル96には、圧縮機から圧縮空気が供給される。本実施形態では、ブローノズル96がスクリーン6の軸方向に平行であり、閉塞板9を貫通している。ブローノズル96には、当該ブローノズル96の軸方向に並ぶとともに下向きに開口する複数の噴射口97が設けられている。本実施形態では、図10に示すように各噴射口97がブローノズル96の軸方向に延びる長穴であるが、各噴射口97は丸穴であってもよい。
【0059】
<第3実施形態>
図11に、第3実施形態に係る連続式造粒機1Cを示す。本実施形態では、スクリーン6の本体部61が回転容器2から遠ざかるにつれて拡径するテーパー状であるとともに、各ブレード71がスクリーン6の本体部61の内周面に沿って傾斜している。この構成であれば、スクリーン6の回転に伴いスクリーン6の内周面上の顆粒を回転容器2から離れる方向に移動させることができる。
【0060】
なお、本実施形態でも、第2実施形態で説明したブローノズル96が採用されてもよい。この場合、ブローノズル96はスクリーン6の本体部61との距離が一定となるように本体部61のテーパー角度と同角度で傾斜することが望ましい。
【0061】
<その他の実施形態>
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0062】
例えば、ブレード71は必ずしも回転式である必要はなく、シュート14の前壁14aに1つのブレード71が固定されてもよい。ブレード71が固定式の場合はスクリーン6とブレード71の間の隙間調整だけでしか解砕条件が変更できない。これに対し、前記第1乃至第3実施形態のようにブレード71が回転式であれば、回転数調整によっても解砕条件を変更することができる。また、ブレード71が回転式であれば、顆粒または解砕物のブレード71への付着を抑制することができる。
【0063】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、湿潤粉体から顆粒を製造する連続式造粒機であって、横向きに延びる筒状の回転容器と、前記回転容器内で回転シャフトに取り付けられた複数の羽根と、前記回転容器の出口側の端部に取り付けられた、前記回転容器と共に回転する筒状のスクリーンであって、複数の通過孔を有するスクリーンと、前記スクリーン内に配置された、前記スクリーンの内周面との間で顆粒を解砕する、前記スクリーンの軸方向に延びる少なくとも1つのブレードと、を備える、連続式造粒機を提供する。
【0064】
上記の構成によれば、回転容器の出口から粗大顆粒が排出されたとしても、その粗大顆粒はスクリーンの通過孔を通過できずにスクリーン内に留まり、スクリーン内に留まっている間にブレードによって解砕される。従って、粗大顆粒を含まない造粒品を得ることができる。
【0065】
第2の態様として、第1の態様において、上記の連続式造粒機は、前記回転容器の出口と対向するように配置された、前記スクリーンの軸方向と平行な回転軸回りに回転するロータをさらに備え、前記少なくとも1つのブレードは、前記回転軸を中心とする周方向に並んだ状態で前記ロータに取り付けられた複数のブレードを含んでもよい。ブレードが固定式の場合はスクリーンとブレードの間の隙間調整だけでしか解砕条件が変更できないが、ブレードが回転式の場合は回転数調整によっても解砕条件を変更することができる。また、ブレードが回転式であれば、顆粒または解砕物のブレードへの付着を抑制することができる。
【0066】
第3の態様として、第2の態様において、上記の連続式造粒機は、前記回転容器を回転可能に支持するフレームと、前記回転容器の出口を覆うように前記フレームに取り付けられたシュートと、をさらに備え、前記スクリーンは前記シュート内に配置され、前記回転軸は前記スクリーンの回転中心よりも下方に位置しており、前記ロータは、前記シュートに、上下方向または前記スクリーンの回転中心を中心とする径方向に移動可能に取り付けられてもよい。この構成によれば、ブレードの回転軌跡とスクリーンの内周面との間の最小距離によって、解砕される顆粒のサイズが決定される。また、ロータが上下方向またはスクリーンの径方向に移動可能であるので、解砕される顆粒のサイズを変更することができる。
【0067】
第4の態様として、第2または第3の態様において、前記ロータは、前記スクリーンと相対的に逆方向に回転し、前記複数のブレードのそれぞれは、前記ロータから中間点までは前記スクリーンの軸方向と平行であるか前記スクリーンの軸方向に対して前記スクリーンの回転方向と同方向に傾斜し、前記中間点から先端までは前記スクリーンの軸方向に対して前記スクリーンの回転方向と逆方向に傾斜してもよい。この構成によれば、ブレードの先端側の部分によってスクリーンの内周面上の顆粒を回転容器から離れる方向に移動させることができる。一方、ブレードのロータ側の部分がスクリーンの軸方向と平行であれば、顆粒がスクリーンのロータ側の端部まで移動されてこぼれ落ちることが防止され、ブレードのロータ側の部分が先端側の部分と逆向きに傾斜すれば、解砕しきれなかった顆粒がスクリーンのロータ側の端部に集まることが防止される。
【0068】
第5の態様として、第1乃至第4の態様の何れかにおいて、上記の連続式造粒機は、前記スクリーンの外周面に向かってエアを吹き付けるブローノズルをさらに備えてもよい。この構成によれば、スクリーンの目詰まりを防止することができる。
【0069】
第6の態様として、第1乃至第5の態様の何れかにおいて、前記スクリーンは、前記回転容器から遠ざかるにつれて拡径するテーパー状であり、前記少なくとも1つのブレードは、前記スクリーンの内周面に沿って傾斜してもよい。この構成によれば、スクリーンの回転に伴いスクリーンの内周面上の顆粒を回転容器から離れる方向に移動させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1A,1B,1C 連続式造粒機
11 フレーム
14 シュート
2 回転容器
53 羽根
6 スクリーン
60 回転中心
64 通過孔
70 回転軸
71 ブレード
72 ロータ
96 ブローノズル
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