(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090380
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電源装置、照明器具および照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/185 20200101AFI20240627BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240627BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20240627BHJP
【FI】
H05B47/185
H05B47/105
H05B47/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206254
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 睦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克磨
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA24
3K273QA28
3K273QA29
3K273RA02
3K273RA13
3K273SA08
3K273SA23
3K273SA32
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA08
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA40
3K273TA53
3K273TA62
3K273UA19
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】プルレス操作による制御の自由度を向上できる電源装置、照明器具および照明制御システムを得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る電源装置は、外部電源からスイッチを介して電力を供給されて光源を点灯させる点灯回路と、前記点灯回路を制御し、前記スイッチで予め定められた移行操作が行われると、ビット通信モードに移行する制御回路と、を備え、前記ビット通信モードのとき前記制御回路は、予め定められた期間での前記スイッチのプルレス操作の有無に対応する2値で構成されるデータを取り込み、前記データに応じた制御を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源からスイッチを介して電力を供給されて光源を点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路を制御し、前記スイッチで予め定められた移行操作が行われると、ビット通信モードに移行する制御回路と、
を備え、
前記ビット通信モードのとき前記制御回路は、予め定められた期間での前記スイッチのプルレス操作の有無に対応する2値で構成されるデータを取り込み、前記データに応じた制御を行うことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記ビット通信モードのとき前記制御回路は、予め定められた連続回数だけ連続した前記期間の各々で、前記プルレス操作の有無を検出することで、前記データを取り込むことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記データは、前記連続回数に対応するビット数を有することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記データを取り込むと、前記データと制御内容とを紐づけたテーブルを参照して、前記データに応じた制御を行うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記データに応じて前記光源の調光率を制御することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記移行操作は、前記プルレス操作を予め定められた繰り返し回数だけ連続して行う操作であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記スイッチで予め定められた確認操作が行われると、予め定められた期間での前記光源の明滅の有無に対応する2値で構成される送信データを送信することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
請求項1から3の何れか1項に記載の電源装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項9】
請求項2または3に記載の電源装置と、
前記光源と、
プルレス用装置と、
を備え、
前記プルレス用装置は、
前記連続回数に対応する数だけ設けられ、各々に前記2値の何れかを設定可能な複数の入力部と、
前記複数の入力部の設定値に応じた前記データを前記制御回路に送信するように、前記スイッチを操作するスイッチ制御部と、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置、照明器具および照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、AC電源オン状態から電源を短時間オフし、再度電源を通電した際に、LED照明器具の明るさ、色等の点灯状態を、電源オフ操作前の状態から別の点灯状態へ切り替えることができるLED照明器具が開示されている。このLED照明器具は、上記操作を連続操作して1サイクルすると、再度オフ、オン操作する前の点灯状態に戻るプルレス操作機能を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、照明器具の調光率等を変更する際にはリモコンを使用することが多い。一方、特許文献1のように壁スイッチを用いて点灯状態を変更できる技術がある。このような技術では、壁スイッチがON状態においてプルレス操作をする事で、全光、段調光等の調光ができる。しかし、例えばプルレス操作で調光率を変更する場合、プルレス回数が非常に多くなるおそれがある。例えば、プルレス操作1回で調光率が1%変化する場合、調光率を0%から100%に変化させるにはプルレス操作を100回行う必要がある。このように、プルレス操作により調光率を制御するのは困難である場合があり、現実的に制御できる内容は限定される可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、プルレス操作による制御の自由度を向上できる電源装置、照明器具および照明制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電源装置は、外部電源からスイッチを介して電力を供給されて光源を点灯させる点灯回路と、前記点灯回路を制御し、前記スイッチで予め定められた移行操作が行われると、ビット通信モードに移行する制御回路と、を備え、前記ビット通信モードのとき前記制御回路は、予め定められた期間での前記スイッチのプルレス操作の有無に対応する2値で構成されるデータを取り込み、前記データに応じた制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電源装置では、制御回路は、予め定められた期間でのスイッチのプルレス操作の有無に対応する2値で構成されるデータに応じて制御を行う。従って、プルレス操作による制御の自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明制御システムのブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係るプルレス制御のフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係るプルレス操作で送信するデータを説明する図である。
【
図4】実施の形態1に係るプルレス操作で送信されたデータと制御内容とを紐づけたテーブルを示す図である。
【
図5】実施の形態2に係るプルレス用装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各実施の形態に係る電源装置、照明器具および照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じまたは対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100のブロック図である。照明制御システム100は照明器具50とスイッチ4を備える。照明器具50は、電源装置1と光源2を備える。光源2は、例えば複数のLEDを有するLEDモジュールである。光源2は交流電源3では光らない。このため、直流電源装置である電源装置1で交流電源3を直流電源に変換して、光源2に供給する。
【0011】
スイッチ4は例えば壁に設けられた一般的な壁スイッチである。スイッチ4は電源装置1と交流電源3との間に設けられる。スイッチ4のオン/オフ操作に応じて、交流電源3から後述する点灯回路への電力の供給のオンオフが切り替わる。スイッチ4は光源2を点灯、消灯またはプルレス制御する際に使用する。本実施の形態では、主にこのスイッチ4を短時間にオン/オフする操作を繰り返して行う、いわゆるプルレス操作による制御方法について説明する。プルレス操作は、例えば1秒~2秒以内にスイッチ4をオン状態からオフ状態に切り替えて、再度オン状態に戻す操作を示す。
【0012】
電源装置1は、整流回路5、PFC(Power Factor Correction)回路6、降圧回路7、制御回路8、入力電圧検出回路9および出力電流調整回路10を備える。整流回路5は交流電源3からの交流電圧を直流電圧へ変換する。PFC回路6は交流から直流に変換する際の力率を改善するための回路である。降圧回路7は、PFC回路6の出力電圧を指定の電圧に降圧するための回路である。整流回路5、PFC回路6および降圧回路7は、外部電源である交流電源3からスイッチ4を介して電力を供給されて光源2を点灯させる点灯回路に該当する。
【0013】
入力電圧検出回路9は交流電源3の電圧を検出する。入力電圧検出回路9は例えば2つの抵抗による分圧回路で構成され、2つの抵抗の接続点は制御回路8に接続される。出力電流調整回路10は、LEDモジュールへの電流を調整する回路である。出力電流調整回路10で検出された電流値は、制御回路8に入力される。
【0014】
制御回路8は例えばマイコンで構成される。制御回路8は例えばプロセッサ等である演算部8aと、不揮発性メモリ等であるメモリ8bを有する。演算部8aは、メモリ8bに記憶されたプログラム、情報等に基づき、点灯回路を制御するための各種演算を行い、点灯回路を制御する。制御回路8は、例えば出力電流調整回路10で検出された電流値に基づき、光源2を流れる電流が予め定められた値になるように、点灯回路が有するスイッチング素子のオンオフを制御する。
【0015】
次に、
図2~4を用いて、本実施の形態のプルレス操作に応じた調光制御方法について説明する。
図2は、実施の形態1に係るプルレス制御のフローチャートである。まず、スイッチ4をONにすることで照明制御システム100の動作を開始する(ステップ1、2)。これにより、電源装置1が動作を開始し、点灯状態に推移する。次に、光源2が点灯して定常状態となる(ステップ3)。
【0016】
次に、制御回路8をビット通信モードに移行させるための移行操作を行う。本実施の形態では、スイッチ4で予め定められた移行操作が行われると、制御回路8はビット通信モードに移行する。移行操作は、例えばプルレス操作を予め定められた繰り返し回数だけ連続して行う操作である。ここでは、プルレス操作8回でビット通信モードに移行する例について説明する。なお、1回のプルレス操作は、スイッチ4の状態がON状態からOFF状態となり再度ON状態に戻る操作を示す。つまり、光源2の点灯状態を点灯→消灯→点灯と変化させる操作である。なお、1回のプルレス操作は、スイッチ4の状態がOFF状態からON状態となり再度OFF状態に戻る操作であっても良い。
【0017】
制御回路8は、プルレス操作が8回行われると(ステップ4)、ビット通信モードに移行する(ステップ5)。このとき、光源2が8回明滅することとなる。制御回路8はプルレス操作の回数を入力電圧検出回路9の検出電圧から検出しても良い。
【0018】
次に、ビット通信モードにおけるデータD1の送信方法を説明する。
図3は、実施の形態1に係るプルレス操作で送信するデータD1を説明する図である。ビット通信モードのとき制御回路8は、予め定められた期間T1でのプルレス操作の有無に対応する2値で構成されるデータD1を取り込み、取り込んだデータD1に応じた制御を行う。制御回路8は、予め定められた連続回数だけ連続した期間T1の各々で、プルレス操作の有無を検出することで、データD1を取り込む。つまり、データD1は、当該連続回数に対応するビット数を有する。
【0019】
ここでは、期間T1が2秒であり、予め定められた連続回数が8回である例について説明する。つまり、データD1は8bitとなる。制御回路8は、期間T1毎にプルレス操作の有無に応じたビットフラグを検出して、データD1を取り込む。ビットフラグは0または1の2値であり、プルレス操作があった場合は1となり、プルレス操作が無い場合は0となる。
【0020】
データD1の入力を行う場合、
図2のフローチャートに示されるように、ユーザはビット通信モードに移行した後、任意のタイミングで1回のプルレス操作を行う。この1回目のプルレス操作が終わったタイミングから、制御回路8はT1=2秒毎にビットフラグの検出を開始する(ステップ6)。つまり、1回目のプルレス操作は開始フラグである。ユーザは、送信するデータD1の1bit目に応じて、2回目のプルレス操作を行うか否かを決定する(ステップ7)。ユーザは、データD1の1bit目が0の場合、1回目のプルレス操作から2秒以内にプルレス操作を行わない(ステップ7-1)。ユーザは、データD1の1bit目が1の場合、1回目のプルレス操作から2秒以内にプルレス操作を行う(ステップ7-2)。
【0021】
次にユーザは、送信するデータD1の2bit目に応じて、1回目のプルレス操作の終了から2秒経過した後、2秒以内に、3回目のプルレス操作を行うか否かを決定する(ステップ8)。ユーザは、データD1の2bit目が0の場合、プルレス操作を行わない(ステップ8-1)。ユーザは、データD1の2bit目が1の場合、プルレス操作を行う(ステップ8-2)。
【0022】
4~8回目のプルレス操作の有無も、データD1の3~7bit目に応じて決定される(ステップ9)。次にユーザは、送信するデータD1の8bit目に応じて、1回目のプルレス終了後から14秒経過した後、2秒以内に、9回目のプルレス操作を行うか否かを決定する(ステップ10)。ユーザは、データD1の8bit目が0の場合、プルレス操作を行わない(ステップ10-1)。ユーザは、データD1の8bit目が1の場合、プルレス操作を行う(ステップ10-2)。
【0023】
1回目のプルレス終了後から16秒が経過すると、つまり、期間T1が8回経過すると、8bitのデータD1の取得が完了する(ステップ11)。
図3では一例として、D1=00100111の場合が示されている。
【0024】
図4は、実施の形態1に係るプルレス操作で送信されたデータD1と制御内容とを紐づけたテーブルを示す図である。制御回路8は、データD1を取り込むと、データD1と制御内容とを紐づけたテーブルを参照して(ステップ12)、データD1に応じた制御を行う。テーブルは、例えばメモリ8bに予め記憶されている。テーブルは例えば8bit方式であり、8bitの数値と制御内容とが対応付けられている。データD1が8bitの場合、2の8乗=256通りの制御が可能となる。
図4の例では、データD1は調光率を示し、調光率1%毎にデータD1の値が対応付けられている。制御回路8は、テーブルから取得した調光率で光源2を調光する(ステップ13)。
【0025】
比較例に係る照明器具において、プルレス操作毎に制御内容が切り替わる場合を考える。この場合、256種類の調光機能があると最大で256回のプルレス操作が必要となる。このため、プルレス操作によって、現実的に制御できる内容が限定される可能性があった。
【0026】
これに対し、本実施の形態の照明制御システム100では、256種類の調光機能がある場合でも最大8回のプルレスで制御内容を選択できる。従って、プルレス操作によって制御可能な内容が広がり、プルレス操作による制御の自由度を向上できる。例えば、1%刻みの調光率の制御がプルレス操作によって現実的に可能となる。また、このような連調は、一般に照明器具にユニット、リモコン等のオプションを付加して実現される。この場合、通信線、無線モジュールなどの追加が必要となる。本実施の形態では、電源線2本以外の通信線を用いずに、連調が可能となる。
【0027】
本実施の形態では、制御回路8が、データD1に応じて光源2の調光率を制御する例について説明した。これに限らず、制御回路8はデータD1に応じて調光率以外の制御を行っても良い。例えば、制御回路8はデータD1に応じて光源2の色温度を制御しても良い。制御回路8はデータD1に応じて調光調色以外の制御を行っても良い。例えばユーザはデータD1として、点灯時間の確認等の電源装置1の状態を確認するための信号を制御回路8に送付しても良い。この場合、制御回路8はテーブルを参照して、データD1に応じて電源装置1の状態を応答する。このように本実施の形態では、スイッチ4のみの制御、つまり2本の電源線以外の通信線を用いずに、様々な制御が可能となる。
【0028】
本実施の形態では、プルレス操作を人から照明への信号の送信手段として使用した。これに限らず、照明の明滅で、照明から人への信号を送る事も可能である。制御回路8は、例えばスイッチ4で予め定められた確認操作が行われると、予め定められた期間での光源2の明滅の有無に対応する2値で構成される送信データを送信しても良い。このとき、例えば光源2の明滅ありが1で、光源2が消灯した状態が0に対応する。
図3に示されるデータD1の送信方法と同様に、ユーザは、予め定められた連続回数だけ連続した期間の各々で、光源2の明滅の有無に基づき送信データの値を読み取る。これにより、ユーザは、当該連続回数に対応するビット数の送信データを受信できる。
【0029】
上述の確認操作は、調光率の確認コマンドであり、制御回路8は、送信データとして光源2の調光率をユーザに通知しても良い。8回の期間において光源2が明滅または消灯することで、8bitの送信データを送信できる。ユーザはテーブルを参照して、受信した送信データに応じた調光率を、例えば1%単位で確認することができる。制御回路8は、確認操作の種類に応じて、ユーザに通知する送信データを調光率以外に変更しても良い。
【0030】
データD1は8bit以外でも良い。これにより、制御時間の短縮または最大機能数を増やすことができる。データD1が8bitの場合、プルレス時間はT1×8=16秒であり、最大機能数は256モードとなる。データD1が4bitの場合、プルレス時間はT1×4=8秒であり、最大機能数は16モードとなる。データD1が16ビットの場合、プルレス時間はT1×16=32秒であり、最大機能数は65,536モードとなる。
【0031】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る電源装置、照明器具および照明制御システムについて適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る電源装置、照明器具および照明制御システムについては実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0032】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係るプルレス用装置20の構成を説明する図である。プルレス用装置20は、実施の形態1で説明したプルレス操作を自動で実施するための装置である。プルレス用装置20は、例えばスイッチ4の上に被せて使用される。照明制御システム100は、このようなプルレス用装置20をさらに備えても良い。
【0033】
プルレス用装置20は、複数の入力部21とスイッチ制御部22を有する。複数の入力部21は、期間T1の連続回数、つまり、データD1のビット数に対応する数だけ設けられる。複数の入力部21の各々には、0、1の2値の何れかを設定可能である。例えば複数の入力部21は、0か1を設定可能な8つのダイヤルを有する機構である。ユーザは各入力部21の値を0または1に任意に設定する。
【0034】
スイッチ制御部22は、複数の入力部21の設定値に応じたデータD1を制御回路8に送信するように、スイッチ4を操作する。プルレス用装置20がスイッチ4に取付けられた状態でスイッチ制御部22を動作させる事で、スイッチ制御部22はプルレス操作を行い、データD1を送信する。スイッチ制御部22は例えば物理的にスイッチ4をプルレス操作する。
【0035】
実施の形態1のプルレス操作を期間T1毎に人の手で行うのは手間がかかる場合がある。本実施の形態によれば、容易にデータD1を送信できる。
【0036】
プルレス用装置20をスイッチ4に取付けることで、マイコンである制御回路8のソフトウェアの更新も可能となる。この方法について説明する。まず、実施の形態1で説明した通り、制御回路8をビット通信モードに移行させる。次に、プルレス操作により、特定のデータを制御回路8に送信して、制御回路8を書き込みが可能な状態に推移させる。その後、プルレス用装置20を使用して制御回路8にソフトウェアのデータを送信して、制御回路8のソフトウェアを更新する。このように、プルレス操作によって低速だがソフトウェアを書き換える事ができる。
【0037】
本実施の形態では、スイッチ4が機械式スイッチである場合について説明したが、スイッチ4は半導体などを用いたスイッチ、または点灯・消灯のオン・オフ制御信号を電源装置1に送信するスイッチ等であっても良い。また、プルレス用装置20とスイッチ4が一体化されていても良い。なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【0038】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
外部電源からスイッチを介して電力を供給されて光源を点灯させる点灯回路と、
前記点灯回路を制御し、前記スイッチで予め定められた移行操作が行われると、ビット通信モードに移行する制御回路と、
を備え、
前記ビット通信モードのとき前記制御回路は、予め定められた期間での前記スイッチのプルレス操作の有無に対応する2値で構成されるデータを取り込み、前記データに応じた制御を行うことを特徴とする電源装置。
(付記2)
前記ビット通信モードのとき前記制御回路は、予め定められた連続回数だけ連続した前記期間の各々で、前記プルレス操作の有無を検出することで、前記データを取り込むことを特徴とする付記1に記載の電源装置。
(付記3)
前記データは、前記連続回数に対応するビット数を有することを特徴とする付記2に記載の電源装置。
(付記4)
前記制御回路は、前記データを取り込むと、前記データと制御内容とを紐づけたテーブルを参照して、前記データに応じた制御を行うことを特徴とする付記1から3の何れか1項に記載の電源装置。
(付記5)
前記制御回路は、前記データに応じて前記光源の調光率を制御することを特徴とする付記1から4の何れか1項に記載の電源装置。
(付記6)
前記移行操作は、前記プルレス操作を予め定められた繰り返し回数だけ連続して行う操作であることを特徴とする付記1から5の何れか1項に記載の電源装置。
(付記7)
前記制御回路は、前記スイッチで予め定められた確認操作が行われると、予め定められた期間での前記光源の明滅の有無に対応する2値で構成される送信データを送信することを特徴とする付記1から6の何れか1項に記載の電源装置。
(付記8)
付記1から7の何れか1項に記載の電源装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
(付記9)
付記2または3に記載の電源装置と、
前記光源と、
プルレス用装置と、
を備え、
前記プルレス用装置は、
前記連続回数に対応する数だけ設けられ、各々に前記2値の何れかを設定可能な複数の入力部と、
前記複数の入力部の設定値に応じた前記データを前記制御回路に送信するように、前記スイッチを操作するスイッチ制御部と、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
【符号の説明】
【0039】
1 電源装置、2 光源、3 交流電源、4 スイッチ、5 整流回路、6 PFC回路、7 降圧回路、8 制御回路、8a 演算部、8b メモリ、9 入力電圧検出回路、10 出力電流調整回路、20 プルレス用装置、21 入力部、22 スイッチ制御部、50 照明器具、100 照明制御システム