IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NTN株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電動オイルポンプ 図1
  • 特開-電動オイルポンプ 図2
  • 特開-電動オイルポンプ 図3
  • 特開-電動オイルポンプ 図4
  • 特開-電動オイルポンプ 図5
  • 特開-電動オイルポンプ 図6
  • 特開-電動オイルポンプ 図7
  • 特開-電動オイルポンプ 図8
  • 特開-電動オイルポンプ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090391
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電動オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/08 20060101AFI20240627BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H02P27/08
F04B49/06 341G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206275
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】青嶋 一浩
【テーマコード(参考)】
3H145
5H505
【Fターム(参考)】
3H145AA24
3H145AA42
3H145BA38
3H145DA07
5H505BB04
5H505BB05
5H505DD03
5H505EE49
5H505GG02
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ24
5H505KK05
5H505LL01
(57)【要約】
【課題】周波数スペクトルにおけるPWM信号のキャリア周波数周辺の騒音および振動を低減させ、かつ、該キャリア周波数周辺の放射ノイズを低減させる電動オイルポンプを提供する。
【解決手段】 オイルを吸入して吐出する駆動を行うブラシレスまたはブラシ付きのモータ(500)を有し、該モータがPWM信号で駆動され、該モータの駆動回転数が制御される電動オイルポンプ(1)であって、前記モータの前記PWM信号の駆動キャリア周波数fcが、所定範囲内でローテーションして変動される、電動オイルポンプ。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレスまたはブラシ付きのモータを有し、該モータがPWM信号で駆動され、該モータの駆動回転数が制御される電動オイルポンプであって、
前記モータの前記PWM信号の駆動キャリア周波数が、所定範囲内でローテーションして変動される、
電動オイルポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動オイルポンプであって、
前記駆動キャリア周波数が、前記所定範囲内でローテーションして切り替えられる、または、ローテーションして連続変動される、
電動オイルポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動オイルポンプであって、
前記PWM信号のDuty比と駆動キャリア周波数とを同時に設定する同時設定部を有する、
電動オイルポンプ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電動オイルポンプであって、
所定の条件下で、前記駆動キャリア周波数が、前記所定範囲内でローテーションして変動される、切り替えられる、または、連続変動される、
電動オイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
車載向けの電動式のオイルポンプは、例えば、オートマチックトランスミッション(A/Tとも呼ぶ)ギヤなど油圧作動機器に対して油圧を供給する。エンジンによるメカポンプは、アイドリングストップ時などにはエンジンが停止するためその動作も停止する。そこで、エンジン停止時に油圧を供給するために電動オイルポンプを動作させることが考えられている。しかし、エンジンが停止している静音時、低振動時に電動オイルポンプを動作させるため、その振動・騒音への対策が必要となる(振動騒音対策)。また近年、車がネットワークにつながるようになり、電磁両立性(EMC:Electro Magnetic Compatibility)特性が重要になっている。そのため、車載製品のノイズ放出特性におけるエミッション(EMI:Electro Magnetic Interference)に対しても騒音同様に対策する必要があり、電動オイルポンプも放射ノイズを低減する必要がある(EMI対策)。
【0003】
従来の技術において、電動オイルポンプでは、年齢にもよるが約20Hz~20kHz程度と言われる人の可聴域の高周波領域に含まれる周波数の騒音であるモスキート音(約10kHz~20kHz程度またはそれ以上の領域)の発生を回避することが考えられている。特許文献1では、可聴域内の10kHz~20kHz程度であるPWM信号のキャリア周波数を可聴域外のキャリア周波数である2種類のキャリア周波数で切り替える技術が開示されている。また特許文献2でも、キャリア周波数を切り替えて騒音を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-171647号公報
【特許文献2】特許6778852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術では、騒音を分析する際に測定する音の周波数スペクトルの高い領域(騒音の高音領域)が、上記切り替えたキャリア周波数でも使用され続けている。加えて、このキャリア周波数が電動オイルポンプ各部品の共振周波数と一致してしまった場合、大きな振動(共振)が発生し、騒音につながる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決すべく、周波数スペクトルにおけるPWM信号のキャリア周波数周辺の騒音および振動を低減させ、かつ、該キャリア周波数周辺の放射ノイズを低減させる電動オイルポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、概して、周波数スペクトルにおいて、モータ駆動のPWM信号の駆動キャリア周波数を拡散して、周波数スペクトルにおける騒音値を平滑化傾向とすることでピーク値を低減させること、該駆動キャリア周波数周辺の放射ノイズも同様に駆動キャリア周波数を拡散することで低減させることを基本とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる電動オイルポンプは、
ブラシレスまたはブラシ付きのモータを有し、該モータがPWM信号で駆動され、該モータの駆動回転数が制御される電動オイルポンプであって、
前記モータの前記PWM信号の駆動キャリア周波数が、所定範囲内でローテーションして変動される。
【0009】
上記本発明にかかる電動オイルポンプによれば、前記PWM信号の駆動キャリア周波数が、所定範囲内でローテーションして変動されるため、周波数スペクトルにおいて、前記駆動キャリア周波数を拡散させた形状とすることができ、前記駆動キャリア周波数の騒音値の周波数スペクトルにおけるピーク値を減少させることができる。よって、駆動キャリア周波数周辺の騒音および振動を低減できる。かつ、周波数スペクトルにおける駆動キャリア周波数周辺の放射ノイズのピーク値を減少させ、放射ノイズを低減できる。
【0010】
前記駆動キャリア周波数が、前記所定範囲内でローテーションして切り替えられる、または、ローテーションして連続変動されてもよい。これにより、上記の駆動キャリア周波数を所定範囲内でローテーションして変動させる実現方法として、例えばデジタル値等により離散的に前記所定範囲内でローテーションして切り替えることができ、また例えば正弦波形や三角波形等の連続アナログ波形信号を使用して、上記の駆動キャリア周波数を前記所定範囲内でローテーションして連続変動させることができる。
【0011】
前記PWM信号のDuty比と駆動キャリア周波数とを同時に設定する同時設定部を有してもよい。従来の制御では駆動キャリア周波数値が固定値であるため同時の設定である必要性は低い。その一方で、本発明では駆動キャリア周波数値が頻繁に変動または切り替えされることから、時間軸方向で制御と実動作との間で遅延が生じたりまた不整合が生じる可能性がある。そこで、前記PWM信号のDuty比と駆動キャリア周波数とが同時設定される必要性は高い。よって、上記構成により、前記PWM信号のDuty比と駆動キャリア周波数とが同時設定されるため、上記のような可能性を回避できる。
【0012】
所定の条件下で、前記駆動キャリア周波数が、前記所定範囲内でローテーションして変動される、切り替えられる、または、連続変動されてもよい。これにより、前記駆動キャリア周波数の変動等を常に行う以外に、必要に応じて所定の条件でのみ行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる電動オイルポンプ置によれば、周波数スペクトルにおけるPWM信号の駆動キャリア周波数周辺の騒音および振動を低減させ、かつ、該駆動キャリア周波数周辺の放射ノイズを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る電動オイルポンプを含めた電動ポンプ装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
図2】従来におけるモータの駆動キャリア周波数の周波数スペクトル図である。
図3】従来における電動オイルポンプ装置全体の騒音等の周波数スペクトル図である。
図4】本実施形態に係る電動オイルポンプを含めた電動ポンプ装置全体の騒音等の周波数スペクトル図である。
図5】従来のPWM制御の一例を示すフロー図である。
図6】本実施形態のPWM制御の一例を示すフロー図である。
図7】従来のPWM信号波形と本実施形態におけるPWM信号波形の一例を示す波形図である。
図8】連続アナログ波形が重畳されることでキャリア周波数fcが所定範囲内でローテーションして連続変動される一例を説明する図である。
図9】連続アナログ波形が重畳されることでキャリア周波数fcが所定範囲内でローテーションして連続変動される他例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本発明の一実施形態に係る電動ポンプ装置を示す。電動ポンプ装置は、例えば本実施形態では車載式の電動オイルポンプ装置である。この電動オイルポンプ装置1は、少なくとも電動オイルポンプ部(以下、EOPとも呼ぶ)100を有し、さらに車体側の上位コントローラであるトランスミッションシステムコントロールユニット(以下、TCUとも呼ぶ)900を有する。TCU900とEOP100との間はPWM(Pulse Width Modulation)通信で相互通信されており、車体側のTCU900からは指令値等が、EOP100からは実測値等が送出される。なお、電動ポンプ装置1は、車載式や、電動オイルポンプ装置に限られない。
【0016】
EOP100は、少なくとも(電動式)モータ500を有し、さらに入出力インターフェース(I/F)200である入力I/F210および出力I/F230と、マイコン(MDU)300と、インバータ回路400と、ポンプ機構600とを有する。入力I/F210はTCU900からのモータ500への駆動回転数(指令回転数)などの指令値等が入力され、出力I/F230はモータ500の実回転数などの実測値等をTCU900へ送出する。
【0017】
MDU300は、入出力I/F200との間で指令回転数、実回転数などが送受信される。またMDU300は、インバータ回路400に対して、いわゆるDuty比(ON信号とOFF信号で構成される一周期波形における該周期に対するON信号の割合のこと)による電圧信号を出力する。MDU300は、少なくとも、入出力処理部310と、PID(Proportional Integral Differential)ゲイン等を用いた回転数フィードバック制御部350と、Duty駆動処理部370とからなる。
【0018】
入出力処理部310は例えば、入力I/F210から指令回転数などが入力され、出力I/F230へモータ500で実測された実回転数などを出力する。回転数フィードバック制御部350は例えば、入出力処理部310から指令回転数などが、モータ500から実測された実回転数が入力され、指令回転数と実回転数との差分等に基づいてPID制御によりモータ500をフィードバック制御する。Duty駆動処理部370は、回転数フィードバック制御部350からの指令電圧値が入力され、これに対応した上記Duty比による三相の電圧信号をインバータ400回路へ出力してPWM制御を行う。
【0019】
インバータ回路400は、例えば半導体スイッチング素子を含む三相のフルブリッジ回路であり、上記Duty比による電圧で各半導体スイッチング素子のゲート電圧をオンオフ駆動し、それに対応した三相のモータ電流をモータ500へ送出する。モータ500は、PWM信号で駆動ないし制御され、ポンプ機構600のオイルを吸入して吐出する動作の駆動を行うものである。モータ500は、ブラシレスまたはブラシ付きのモータであって例えば三相式の電動式モータであり、上記モータ電流(固定子電流)により回転子(不図示)が回転してポンプ機構600を駆動する。ポンプ機構600は、このモータ500の駆動によりオイルの吸入および吐出を行う。
【0020】
上述のように、電動オイルポンプのモータ制御では、EOP100がTCU900からの指令回転数を受信後、回転数フィードバック制御部350で指令電圧を算出し、該指令電圧をDuty駆動処理部370で所定のDuty比のPWM信号による電圧信号に変換してインバータ回路400へ出力する。なお、通常のモータ制御では、該PWM信号の駆動キャリア周波数(以下、単にキャリア周波数とも呼ぶ)fcは一定値のまま固定されている。
【0021】
この場合、モータ500からの騒音、振動は、図2に示すような傾向の、キャリア周波数fc周辺に急峻に突出したピーク値を有する周波数スペクトルとなる(図2は、騒音の周波数スペクトル。以下では振動の説明を騒音の説明に含める)。ここで、電動オイルポンプ装置1全体の騒音は、モータ500からの騒音にEOP100の各部品の振動等(電動オイルポンプ振動)による騒音が重畳されたものとなる。この場合、キャリア周波数fcがEOP100の各部品の共振周波数と一致したとき、図3の合成された騒音波形に示すようにキャリア周波数fc周辺に大きな騒音(急峻に突出したピーク)が発生し、大きな振動につながる。さらに、EOP100からは、図3に示す波形と同様の傾向の放射ノイズも発生している。
【0022】
本実施形態では、上記の電圧指令をDuty電圧信号に変換する前に、回転数フィードバック制御部350でモータ制御のキャリア周波数fcを所定範囲内でローテーションして変動させる。例えば、キャリア周波数fcを所定範囲内の20kHz~24kHzでローテーションして離散的にデジタル値等で切り替える。この場合、20kHzからキャリア周波数fcを発振した場合、例えば一周期毎にキャリア周波数fcを1kHzずつ加算して、24kHzになった後に今度は一周期毎にキャリア周波数fcを1kHzずつ減算し、20kHとなったら再びキャリア周波数fcを1kHzずつ加算して、キャリア周波数fcを上記範囲内でローテーションさせて切り替える。すなわち、キャリア周波数fcを、20kHz、21kHz、22kHz、23kHz、24kHzと離散的に増加させ、その後23kHz、22kHz、21kHz、20kHzと離散的に減少させ、これを繰り返す。
【0023】
これにより、モータ騒音の周波数スペクトル波形が、図2に示すようなキャリア周波数fc周辺の急峻に突出したピーク値をとらずに、キャリア周波数fcがΔf(図4)の幅で変動する釣鐘状のなだらかな極大波形(図4)となるように、拡散された形状となる。よって、本実施形態の電動オイルポンプ装置1の騒音の周波数特性では、上記のような図3の合成された騒音波形に示すキャリア周波数fc周辺の急峻に突出したピーク波形を有さず、図4に示すような上記なだらかな極大波形(拡散された騒音波形)を含んだ特性となる。放射ノイズも同様の周波数特性となる。なお図中では、このなだらかな極大波形では、説明上、通常重畳される高周波波形は省略している。さらに、上記例では、このなだらかな極大波形において20kHz、21kHz、22kHz、23kHz、24kHzに各極大値を有する波形となりうるが、これも説明上省略している。
【0024】
図7に示すように、上図のキャリア周波数fcが変動されない固定値の従来例に対して、下図のキャリア周波数fcを所定範囲内でローテーションして変動させる本実施形態の例では、PWM信号の周期Tが変動している(同図中ではT1~T9)。なお、上下各図において、下部の方形波がPWM信号であり、時間軸である横軸方向でDuty比が変動して示され、これによりモータ電流波形(不図示)が正弦波状に変動する。上下各図において、上記方形波の上に記載されている2つの波形は、所定のDuty比のPWM信号を形成するための三角波および形成された正弦波である。
【0025】
ここで、上述のキャリア周波数fcを所定範囲内でローテーションして離散的に切り替える回転数フィードバック制御部350のローテーション変動制御についてフロー図を使用して説明する。なお、本実施形態では、車両のイグニッションスイッチがオンされて車のエンジンが始動され、電気系統がオンされた後、常に上記ローテーション変動制御が行われる。なお、ローテーション変動制御は、イグニッションスイッチのオン後に、上記のように常に実行されるだけでなく、所定の条件下、例えば車両が停車しているとの条件下などでのみ実行されるものであってもよい。
【0026】
まず従来のPWM制御の一例について図5を使用して説明する。車両のイグニッションスイッチがオンされて車のエンジンが始動され、電気系統がオンされた後、上位コントローラであるTCU900から指令回転数が送信されMDU300が受信する(ステップS1)。その後、回転数フィードバック制御部350で、指令回転数と実回転数の差分が演算される(ステップS2)。次に、回転数フィードバック制御部350で、上記の差分に基づく回転数のフィードバック制御が実施され、指令電圧が演算される(ステップS3)。最後に、Duty駆動処理部370で指令電圧に従って変換されたDuty比による三相の電圧信号がインバータ400回路に出力され、キャリア周波数fcが変動されない固定値のPWM制御が実行される(ステップS4)。以後、以上のフローが繰り返される。
【0027】
一方本実施形態では、図6に示すように、ステップS1~S3までは上記従来の制御と同様のフローが実行され、ステップS3の次のステップt4で、駆動キャリア周波数fcの変動または(上記のような離散的な)切り替えが行われ、該変動または切り替えされた後の駆動キャリア周波数値が、ステップt4が実行されローテーションされる度に取得される。ステップt5で、Duty駆動処理部370で指令電圧に従ってDuty比に変換される。最後に、ステップt6で、同時設定部390によって該変動または切り替えされた後の駆動キャリア周波数値およびDuty比が同時に設定され、その後上記指令電圧に従って変換されたDuty比による三相の電圧信号がインバータ回路400に出力され、PWM制御が実行される。以後、以上のフローが繰り返され、駆動キャリア周波数が所定範囲内でローテーションして変動される。なお、図5で示すような従来の制御では駆動キャリア周波数値が固定値であるため、駆動キャリア周波数値およびDuty比は同時設定である必要性は低いが、本実施形態では駆動キャリア周波数値が頻繁に変動または切り替えされるので、時間軸方向で制御と実動作との間で遅延が生じたりまた不整合が生じないように、上記の駆動キャリア周波数値およびDuty比の同時設定の必要性は高く、重要である。
【0028】
本実施形態では、モスキート音を回避するため、可聴域周波数を考慮した20kHzをキャリア周波数fcの変動範囲(所定範囲)の下限としている。また、キャリア周波数fcが高いほど処理能力が必要となるため、変動範囲の上限を定め、24kHzとしている。なお例えば、周囲の音が大きく電動オイルポンプ装置1からの騒音を考慮しなくてよい場合、電磁両立性(EMC)特性のみ低減すればよいため、上記変動範囲は、可聴域周波数に含まれる16kHz~20kHzなどの範囲に変更してもよい。
【0029】
上記ではローテーションして、キャリア周波数fcを1kHzずつ離散的に切り替えさせたが、キャリア周波数fcを連続して変動させてもよい。これは、例えば図8および図9に示すような正弦波形や三角波形等の連続アナログ波形を、一定値のキャリア周波数fcの波形に重畳することで達成できる。これにより、キャリア周波数fcが所定範囲内でローテーションして連続変動される。
【0030】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0031】
1 電動ポンプ装置(電動オイルポンプ)
300 マイコン(MDU)
500 モータ
600 ポンプ機構
900 上位コントローラ(TCU)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9