(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090407
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】デフロスタ吹出口構造
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B60H1/34 651C
B60H1/34 651B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206302
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】堀 悠樹
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA05
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】空調機からの空調風をより確実にデフロスタダクトからデフロスタ吹出口に向けて吹き出すことを可能にするデフロスタ吹出口構造を提供する。
【解決手段】デフロスタ吹出口構造1は、車室の一部を構成するインストルメントパネル20、30と、空調機50からの空調風Aを流通させる通路cを形成するデフロスタダクト40と、インストルメントパネル20、30に設けられ、デフロスタダクト40から流出した空調風Aを車室に吹き出すデフロスタ吹出口Oとを有している。通路cにおけるデフロスタ吹出口O側先端の開口S1は、デフロスタ吹出口Oにおける通路c側先端の開口S2よりも大きく形成されており、かつ、通路cの少なくとも一部における断面S3よりも大きく形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の一部を構成するインストルメントパネルと、
空調機からの空調風を流通させる通路を形成するデフロスタダクトと、
前記インストルメントパネルに設けられ、前記デフロスタダクトから流出した前記空調風を前記車室に吹き出すデフロスタ吹出口と、
を有するデフロスタ吹出口構造において、
前記通路における前記デフロスタ吹出口側先端の開口は、前記デフロスタ吹出口における前記通路側先端の開口よりも大きく形成されており、かつ、前記通路の少なくとも一部における断面よりも大きく形成されたことを特徴とするデフロスタ吹出口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デフロスタ吹出口構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のデフロスタ吹出口構造においては、空調機からの空調風がデフロスタダクトを介してインストルメントパネルのデフロスタ吹出口から吹き出され、これによる空気流がサイドウインドウやドアガラスに当たり結露が解消されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デフロスタダクトをインストルメントパネルへ組付ける時のズレを考慮すると、デフロスタダクトの開口はデフロスタ吹出口よりも大きくする必要がある。しかしながら、デフロスタダクトを流れる空調風の一部は、デフロスタダクトの内表面に沿って流れ、デフロスタ吹出口の周りにおけるインストルメントパネルの壁部に衝突し、この壁部とデフロスタダクトの先端部との隙間から漏れ出てしまう懸念がある。
【0005】
本発明の目的は、空調機からの空調風をより確実にデフロスタダクトからデフロスタ吹出口に向けて吹き出すことを可能にするデフロスタ吹出口構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係るデフロスタ吹出口構造は、車室の一部を構成するインストルメントパネルと、空調機からの空調風を流通させる通路を形成するデフロスタダクトと、前記インストルメントパネルに設けられ、前記デフロスタダクトから流出した前記空調風を前記車室に吹き出すデフロスタ吹出口と、を有するデフロスタ吹出口構造において、前記通路における前記デフロスタ吹出口側先端の開口は、前記デフロスタ吹出口における前記通路側先端の開口よりも大きく形成されており、かつ、前記通路の少なくとも一部における断面よりも大きく形成されたことを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、デフロスタダクトにおける開口がデフロスタ吹出口における開口よりも大きく形成されているため、デフロスタダクトを適正な位置から若干ずれた位置に組み付けてしまっても、デフロスタダクトにおける開口から流出する空調風をデフロスタ吹出口から車室に吹き出すことができる。
【0009】
また、本適用例によれば、デフロスタダクトにおける開口がデフロスタダクト通路の少なくとも一部における断面よりも大きく形成されているため、通路の内表面付近及び中心部を流れている空調風を開口付近では通路の中心部に集約して流すことができる。このため、デフロスタダクトにおける開口からデフロスタ吹出口に向かって吹き出される空調風が分散することを抑制することができるため、この空調風がインストルメントパネルにおけるデフロスタ吹出口付近の壁部に衝突することを抑制することができ、さらには、この空調風がデフロスタ吹出口付近の壁部とデフロスタダクトにおけるデフロスタ吹出口側先端部との間の隙間から漏れ出ることを抑制することができる。
【0010】
このように、本発明によれば、空調機からの空調風をより確実にデフロスタダクトからデフロスタ吹出口に向けて吹き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るデフロスタ吹出口構造の一実施形態における正面斜視図である。
【
図2】
図1に示すデフロスタ吹出口構造の左側面斜視図である。
【
図4】
図3に示すデフロスタ吹出口構造の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、
図1~
図3を適宜参照しつつ、本発明に係るデフロスタ吹出口構造の一実施形態における構成、動作及び効果について説明する。
【0013】
(デフロスタ吹出口構造の構成)
まず、本発明に係るデフロスタ吹出口構造の一実施形態における構成について説明する。本実施形態に係るデフロスタ吹出口構造1は、車両の車室に配置されるものであり、センターパネル10(第1のインストルメントパネル)と、レフトパネル20(第2のインストルメントパネル)と、ライトパネル30(第3のインストルメントパネル)と、デフロスタダクト40と、空調用ダクト41と、空調機50とを備えている。
【0014】
以下において、デフロスタ吹出口構造1を配置する車両の前後方向を「車両前後方向」と言及し、この車両の右側を「車両右側」と言及し、この車両の左側を「車両左側」と言及する。
【0015】
センターパネル10は、センター基部11と、運転ユニット12と、センター吹出部13とを備えている。センター基部11は、センターパネル10が車両の車室に配置された場合において車室の一部を構成する。運転ユニット12は、ドライバーが車両を運転するためのユニットであり、センター基部11に取り付けられている。運転ユニット12には、例えばハンドル、シフトレバー及び各種メータ等が含まれる。なお、
図1においては、運転ユニット12として、ハンドル、シフトレバー及び各種メータのみを示しているが、他の機器が備わっていてもよい。センター吹出部13は、左前吹出部13aと左後吹出部13bと右前吹出部13cと右後吹出部13dとを備えている。これら吹出部13a~13dは、センター基部11における左前、左後、右前及び右後にそれぞれ設けられ、これら吹出部13a~13dから空調風Aが吹き出されるように構成されている。
【0016】
レフトパネル20は、レフト基部21と、レフト吹出部22(デフロスタ吹出部)と、レフト取付部材23とを備えている。レフト基部21は、車両の車室の一部を構成する。
図1及び
図2に示すように、レフト基部21は、レフト取付部材23によってセンター基部11の車両左側に取り付けられる。
【0017】
図1及び
図2に示すように、レフト吹出部22は、レフト基部21の上面に設けられている。レフト吹出部22には、レフト基部21の車両左側において水平方向よりもわずかに上方に向かってデフロスタ吹出口Оが開口している。
【0018】
ライトパネル30は、ライト基部31と、ライト吹出部32(デフロスタ吹出部)と、ライト取付部材33とを備えている。ライトパネル30、ライト基部31、ライト吹出部32及びライト取付部材33は、それぞれレフトパネル20、レフト基部21、レフト吹出部22及びレフト取付部材23と比較すると、センター基部11の車両右側に配置されている点においては異なっているが、それ以外の基本的な構成においては同様である。
【0019】
図1に示すように、デフロスタダクト40は、空調機50から供給される空調風Aをレフト吹出部22及びライト吹出部32にそれぞれ供給するための通路(例えば
図3に示す通路c)を形成する。
【0020】
図3においては、レフト吹出部22とレフト吹出部22の付近におけるデフロスタダクト40の構造とが概略的に示されており、デフロスタダクト40については先端部40aと連結部40bと根本部40cとが代表的に示されている。
図3に示すように、先端部40aは、レフト吹出部22に形成されたデフロスタ吹出口Oの側における先端部であり、連結部40bを介して根本部40cに連結して一体成型されている。
【0021】
具体的に、デフロスタダクト40においては、先端側から先端部40a、連結部40b及び根本部40cが形成されており、さらに、空調機50から供給される空調風Aを流通させるための通路cが形成されている。先端部40aの内表面は、根本部40cの内表面と同一直線方向(つまり平行)に延在している。デフロスタダクト40の内表面の延在方向に対する直交断面の面積(流路面積)については、根本部40cの前端から連結部40bを介して先端部40aに至るまで大きくなっている。つまり、連結部40bの流路面積が根本部40c流路面積よりも大きく、先端部40aの流路面積が連結部40bの流路面積よりも大きくなっている。
【0022】
図3に示すように、デフロスタダクト40の先端部40aの開口S1は、通路cにおける開口であり、レフト吹出部22に形成されたデフロスタ吹出口Oに近接して位置している。デフロスタ吹出口Оの開口S2は、デフロスタ吹出口Oにおけるデフロスタダクト40側に位置している。デフロスタダクト40は、デフロスタ吹出口Oと接してはおらず、デフロスタ吹出口Oとの間に若干の間隔を有するように配置されている。つまり、デフロスタダクト40の開口S1と、デフロスタ吹出口Оの開口S2とは直接連結されていない。
【0023】
デフロスタダクト40の開口S1は、デフロスタ吹出口Оの開口S2よりも大きく形成されている。具体的には、開口S2は、根本部40cの内表面の延在方向において開口S1に投影されると、開口S1の内部に収まるような構成及び位置に形成されている。また、開口S1は、根本部40cにおける通路cの断面S3よりも大きく形成されている一方で、開口S2は、断面S3と略同じ開口形状及び流路面積をなしている。具体的には、断面S3は、根本部40cの内表面の延在方向において開口S1に投影されると、開口S1の内部に収まるような構成及び位置に形成されており、この延在方向において開口S2に投影されると、開口S2とほぼ同じ構成及び位置に形成されている。
【0024】
なお、図示はしないが、ライト吹出部32とライト吹出部32の付近におけるデフロスタダクト40の構造とについても
図3に示す構造及び位置関係のようになっている。
【0025】
空調用ダクト41は、左前吹出部13a、左後吹出部13b、右前吹出部13c、右後吹出部13dに空調風Aをそれぞれ供給するための通路を形成する。なお、空調用ダクト41の構成については、既知の構成であればよいことから詳しい説明は省略する。
【0026】
空調機50は、空調風Aを発生可能である。空調風Aとしては、例えば、乾燥風、暖房風又は冷房風等が挙げられる。なお、空調機50としては、単一の空調機であってもよく、デフロスタダクト40と空調用ダクト41とのそれぞれに空調風Aを供給する複数の空調機であってもよい。
【0027】
(デフロスタ吹出口構造の動作)
図1に示すように、空調機50からデフロスタダクト40における通路c(
図3参照)を介して、レフト吹出部22及びライト吹出部32から車室に空調風Aを吹き出す。
【0028】
例えばレフト吹出部22の付近においては、
図3に示すように、通路cにおいて根本部40c側から先端部40a側に向かって流通してきた空調風Aをデフロスタ吹出口Оから車室の窓W(例えばドアガラス又はサイドウインドウ)に向けて吹き出す。
【0029】
(デフロスタ吹出口構造の効果)
デフロスタ吹出口構造1によれば、デフロスタダクト40の先端部40aにおける開口S1がデフロスタ吹出口Oの開口S2及びデフロスタダクト40の根本部40cの断面S3よりも大きく形成されているため、デフロスタダクト40を適正な位置から若干ずれた位置に組み付けてしまっても、開口S1から流出する空調風Aをデフロスタ吹出口Оから吹き出すことができる。
【0030】
また、先端部40aにおける開口S1が根本部40cの内部の通路cにおける断面S3よりも大きく形成されているため、根本部40cの内表面付近及び中心部を流れている空調風Aを開口S1付近では通路cの中心部に集約して流すことができる。このため、開口S1からデフロスタ吹出口Оに向かって吹き出される空調風Aが分散することを抑制することができるため、この空調風Aがレフト吹出部22におけるデフロスタ吹出口О付近の壁部に衝突することを抑制することができ、さらには、この空調風Aが上記壁部におけるデフロスタ吹出口O側先端部との間の隙間から漏れ出ることを抑制することができる。
【0031】
このように、空調機50からの空調風Aをより確実にデフロスタダクト40からデフロスタ吹出口Oに向けて吹き出すことができる。
【0032】
(その他)
上記一実施形態においては、レフト吹出部22においてデフロスタ吹出口Oが車両左側から若干上方に向かって形成されているが、レフト吹出部22及びライト吹出部32におけるデフロスタ吹出口Oの向きについては特に限定されない。
【0033】
また、上記一実施形態においては、先端部40aの内表面と根本部40cの内表面とが互いに平行であるが、先端部40aの内表面が根本部40cの側からデフロスタ吹出口Оの側に向かって徐々に開いていく構成であってもよい。
【0034】
また、上記一実施形態では、デフロスタ吹出口Оの開口S2と根本部40cの断面S3とは略同じ開口形状及び流路面積であるが、デフロスタ吹出口Oの開口S2と根本部40cの断面S3との関係はこれに限られるものではない。
【0035】
例えば、
図4には、
図3に示すデフロスタ吹出口構造1の変形例が示されており、
図4に示すように、デフロスタ吹出口O1の開口S4は、少なくとも根本部40cの断面S3よりも大きく、先端部40aの開口S1よりも小さければよい。
【符号の説明】
【0036】
1 デフロスタ吹出口構造
10 インストルメントパネル
11 センター基部
12 運転ユニット
13 センター吹出部
13a 左前吹出部
13b 左後吹出部
13c 右前吹出部
13d 右後吹出部
20 レフトパネル
21 レフト基部
22 レフト吹出部
23 レフト取付部材
30 ライトパネル
31 ライト基部
32 ライト吹出部
33 ライト取付部材
40 デフロスタダクト
41 空調用ダクト
50 空調機
A 空調風
c 通路
О、O1 デフロスタ吹出口
S1、S2 開口
S3 断面
S4 開口
W 窓