(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090427
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】商品陳列具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A47F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206341
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真野 浩太
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118FA04
(57)【要約】
【課題】商品の自動前出しができ、整った陳列を保つことができる商品陳列具を提供する。
【解決手段】商品陳列具は、商品陳列用什器に取り付けられる取付部と、樹脂表面を有し、商品が吊り下げられる商品吊持バーであって、基端から先端に延び、前方下り傾斜となるように基端側を取付部に固定された第1傾斜部と、第1傾斜部の先端から斜め上方に屈曲して延びた第2傾斜部とを有する、商品吊持バーと、第1傾斜部に吊り下げられた商品を係止する係止部と、係止を解除するトリガー部と、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列用什器に取り付けられる取付部と、
樹脂表面を有し、商品が吊り下げられる商品吊持バーであって、基端から先端に延び、前方下り傾斜となるように前記基端側を前記取付部に固定された第1傾斜部と、前記第1傾斜部の前記先端から斜め上方に屈曲して延びた第2傾斜部と、を有する、商品吊持バーと、
前記第1傾斜部に吊り下げられた商品を係止する係止部と、
前記係止を解除するトリガー部と、を備える、商品陳列具。
【請求項2】
前記トリガー部は、前記商品吊持バーに配置され、軸周りに回動する回動部材を有し、前記回動部材の回動により前記係止を解除する、請求項1に記載の商品陳列具。
【請求項3】
前記回動部材は、前記係止部を越えて前記第1傾斜部の第1表面から突出可能な第1部分と、前記第2傾斜部の第2表面から突出し、前記第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、
前記トリガー部は、
前記第1部分が前記第1表面から後退し、かつ、前記第2部分が前記第2表面から突出した係止位置と、
前記第1部分が前記係止部を越えて前記第1表面から突出し、かつ、前記第2部分が前記第2表面に向かって後退した係止解除位置と、
の間を移動する回動機構を備える、請求項2に記載の商品陳列具。
【請求項4】
前記回動部材の前記第1部分は、前記第1傾斜部の軸方向前方に延びた前方下り傾斜部と、後方の停止部とを備える、請求項3に記載の商品陳列具。
【請求項5】
前記係止部は、前記第1傾斜部の第1表面から突出可能な係止突起を有し、
前記回動部材は、前記係止突起を有し、前記第1傾斜部の第1表面に向かって後退可能な第1部分と、前記第2傾斜部の第2表面から突出し、前記第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、
前記トリガー部は、
前記第1部分の前記係止突起が前記第1表面から突出し、かつ、前記第2部分が前記第2表面から突出した係止位置と、
前記第1部分の前記係止突起が前記第1表面に向かって後退し、かつ、前記第2部分が前記第2表面に向かって後退した係止解除位置と、
の間を移動する回動機構を備える、請求項2に記載の商品陳列具。
【請求項6】
前記係止部は、前記第1傾斜部の表面から突出可能な係止突起を有し、
前記回動部材は、前記係止突起を有し、前記第1傾斜部の前記表面に向かって後退可能な第1部分と、前記第1傾斜部の前記表面から突出可能な第2部分と、を有し、
前記トリガー部は、
前記第1部分の前記係止突起が前記表面から突出し、かつ、前記第2部分が前記表面に向かって後退した係止位置と、
前記第1部分の前記係止突起が前記表面に向かって後退し、かつ、前記第2部分が前記表面から突出した係止解除位置と、
の間を移動する回動機構を備える、請求項2に記載の商品陳列具。
【請求項7】
前記回動機構は、自重により前記係止解除位置から前記係止位置に復元する、請求項3~6のいずれか1項に記載の商品陳列具。
【請求項8】
前記トリガー部は、付勢力を付与する弾性部材を備え、
前記回動機構は、前記付勢力により前記係止解除位置から前記係止位置に復元する、請求項3又は4に記載の商品陳列具。
【請求項9】
前記トリガー部は、前記商品吊持バーに配置され、軸方向にスライドするスライド部材を有し、前記スライド部材のスライドにより前記係止を解除する、請求項1に記載の商品陳列具。
【請求項10】
前記係止部は、前記第1傾斜部の第1表面から突出可能な係止突起を有し、
前記スライド部材は、前記係止突起を有し、前記第1傾斜部の第1表面に向かって後退可能な第1部分と、前記第2傾斜部の第2表面から突出し、前記第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、
前記トリガー部は、
前記第1部分の前記係止突起が前記第1表面から突出し、かつ、前記第2部分が前記第2表面から突出した係止位置と、
前記第1部分の前記係止突起が前記第1表面に向かって後退し、かつ、前記第2部分が前記第2表面に向かって後退した係止解除位置と、
の間を移動するスライド移動機構を備える、請求項9に記載の商品陳列具。
【請求項11】
前記係止部は、前記第1傾斜部の前記先端の近傍に設けられた係止溝と、前記係止溝に対して前記第1傾斜部の軸方向後方に設けられた閉塞部と、を有し、
前記スライド部材は、前記閉塞部を有し、前記係止溝を閉塞可能な第1部分と、前記第2傾斜部の第2表面から突出し、前記第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、
前記トリガー部は、
前記係止溝が開き、かつ、前記第2部分が前記第2表面から突出した係止位置と、
前記第1部分の前記閉塞部が前記係止溝を閉じ、かつ、前記第2部分が前記第2表面に向かって後退した係止解除位置と、
の間を移動するスライド移動機構を備える、請求項9に記載の商品陳列具。
【請求項12】
前記トリガー部は、付勢力を付与する弾性部材を備え、
前記スライド移動機構は、前記付勢力により前記係止解除位置から前記係止位置に復元する、請求項10又は11に記載の商品陳列具。
【請求項13】
前記係止部は、前記第1傾斜部の前記先端の近傍に設けられた係止溝を有する、請求項1に記載の商品陳列具。
【請求項14】
前記係止部は、前記第1傾斜部の前記先端の近傍に設けられた係止突起を有する、請求項1に記載の商品陳列具。
【請求項15】
前記係止溝又は前記係止突起は、前記第1傾斜部の軸方向において、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との屈曲部から、前記商品吊持バーに吊り下げられる商品の厚み以上離れて位置している、請求項13又は14に記載の商品陳列具。
【請求項16】
前記係止部は、前記係止溝に対して前記第1傾斜部の軸方向前方に設けられた係止突起を有する、請求項13に記載の商品陳列具。
【請求項17】
前記商品吊持バーは、前記基端側を前記取付部に固定された金属バーと、前記金属バーを被覆している樹脂バーと、を有し、
前記第1傾斜部は、前記金属バー及び前記樹脂バーからなり、前記第2傾斜部は、前記樹脂バーからなる、請求項1~6、9~11、13、14、16のいずれか1項に記載の商品陳列具。
【請求項18】
前記トリガー部は、前記樹脂バーの軸方向に形成されたスリットに嵌め込まれている、請求項17に記載の商品陳列具。
【請求項19】
前記樹脂バーの表面に、上方に僅かに突出した小突起が形成されている、請求項17に記載の商品陳列具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパー、コンビニ、量販店等において使用される、複数の商品を吊り下げた状態に整列して陳列し、自動前出しが可能な商品陳列具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の商品を着脱可能に吊持する一本の商品吊持バーを有する商品陳列具は、狭いスペースでも整然と商品を陳列することができ、スーパー、コンビニ、量販店等において広く使用されている。
【0003】
商品を見栄え良く陳列するために、例えば、特許文献1は、最前の商品の下部が跳ね上がった状態になるのを低減可能な商品陳列具を開示している。この商品陳列具は、商品陳列用什器の横棒に取り付けられる取付部と、取付部から延設されて商品が吊り下げられる棒状のアーム部とを備え、アーム部が、取付部から斜め下前方に延設された下向き傾斜部と、下向き傾斜部の前端部から略水平方向かつ前方に延設された制動部と、制動部の前端部から斜め上前方に延設された上向き傾斜部とを備える。この商品陳列具によれば、下向き傾斜部を滑り降りた商品の勢いが制動部で減少するので、最前の商品がその後方の商品に勢いよく押されることにより下部が跳ね上がった状態になる虞を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような制動部を備える商品陳列具であっても、なおも、最前の商品がその後方の商品に押されて浮き上がることがある。最前の商品が浮き上がると陳列面の美観が良くない。これは、例えば、吊り下げた商品が細長く下端が浮き上がりやすい歯ブラシの陳列で顕著に現れる。商品陳列具に吊り下げられた商品が正面を向いて真っ直ぐに、つまり鉛直方向に整列した姿勢になることが望まれている。
【0006】
また、特許文献1のような下向き傾斜部による自動前出しが可能な商品陳列具において、最前の商品を取り出しても陳列が乱れないことが望まれている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、商品の自動前出しができ、整った陳列を保つことができる商品陳列具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の商品陳列具は、
商品陳列用什器に取り付けられる取付部と、
樹脂表面を有し、商品が吊り下げられる商品吊持バーであって、基端から先端に延び、前方下り傾斜となるように前記基端側を前記取付部に固定された第1傾斜部と、前記第1傾斜部の前記先端から斜め上方に屈曲して延びた第2傾斜部と、を有する、商品吊持バーと、
前記第1傾斜部に吊り下げられた商品を係止する係止部と、
前記係止を解除するトリガー部と、を備える。
【0009】
本発明(2)は、前記トリガー部が、前記商品吊持バーに配置され、軸周りに回動する回動部材を有し、前記回動部材の回動により前記係止を解除する、(1)の商品陳列具である。
【0010】
本発明(3)は、前記回動部材が、前記係止部を越えて前記第1傾斜部の第1表面から突出可能な第1部分と、前記第2傾斜部の第2表面から突出し、前記第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、前記トリガー部は、前記第1部分が前記第1表面から後退し、かつ、前記第2部分が前記第2表面から突出した係止位置と、前記第1部分が前記係止部を越えて前記第1表面から突出し、かつ、前記第2部分が前記第2表面に向かって後退した係止解除位置と、の間を移動する回動機構を備える、(2)の商品陳列具である。
【0011】
本発明(4)は、前記回動部材の前記第1部分が、前記第1傾斜部の軸方向前方に延びた前方下り傾斜部と、後方の停止部とを備える、(3)の商品陳列具である。
【0012】
本発明(5)は、前記係止部が、前記第1傾斜部の第1表面から突出可能な係止突起を有し、前記回動部材は、前記係止突起を有し、前記第1傾斜部の第1表面に向かって後退可能な第1部分と、前記第2傾斜部の第2表面から突出し、前記第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、前記トリガー部は、前記第1部分の前記係止突起が前記第1表面から突出し、かつ、前記第2部分が前記第2表面から突出した係止位置と、前記第1部分の前記係止突起が前記第1表面に向かって後退し、かつ、前記第2部分が前記第2表面に向かって後退した係止解除位置と、の間を移動する回動機構を備える、(2)の商品陳列具である。
【0013】
本発明(6)は、前記係止部が、前記第1傾斜部の表面から突出可能な係止突起を有し、前記回動部材は、前記係止突起を有し、前記第1傾斜部の前記表面に向かって後退可能な第1部分と、前記第1傾斜部の前記表面から突出可能な第2部分と、を有し、前記トリガー部は、前記第1部分の前記係止突起が前記表面から突出し、かつ、前記第2部分が前記表面に向かって後退した係止位置と、前記第1部分の前記係止突起が前記表面に向かって後退し、かつ、前記第2部分が前記表面から突出した係止解除位置と、の間を移動する回動機構を備える、(2)の商品陳列具である。
【0014】
本発明(7)は、前記回動機構が、自重により前記係止解除位置から前記係止位置に復元する、(3)~(6)のいずれか1の商品陳列具である。
【0015】
本発明(8)は、前記トリガー部が、付勢力を付与する弾性部材を備え、前記回動機構は、前記付勢力により前記係止解除位置から前記係止位置に復元する、(3)又は(4)の商品陳列具である。
【0016】
本発明(9)は、前記トリガー部は、前記商品吊持バーに配置され、軸方向にスライドするスライド部材を有し、前記スライド部材のスライドにより前記係止を解除する、(1)の商品陳列具である。
【0017】
本発明(10)は、前記係止部が、前記第1傾斜部の第1表面から突出可能な係止突起を有し、前記スライド部材は、前記係止突起を有し、前記第1傾斜部の第1表面に向かって後退可能な第1部分と、前記第2傾斜部の第2表面から突出し、前記第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、前記トリガー部は、前記第1部分の前記係止突起が前記第1表面から突出し、かつ、前記第2部分が前記第2表面から突出した係止位置と、前記第1部分の前記係止突起が前記第1表面に向かって後退し、かつ、前記第2部分が前記第2表面に向かって後退した係止解除位置と、の間を移動するスライド移動機構を備える、(9)の商品陳列具である。
【0018】
本発明(11)は、前記係止部が、前記第1傾斜部の前記先端の近傍に設けられた係止溝と、前記係止溝に対して前記第1傾斜部の軸方向後方に設けられた閉塞部と、を有し、
前記スライド部材は、前記閉塞部を有し、前記係止溝を閉塞可能な第1部分と、前記第2傾斜部の第2表面から突出し、前記第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、前記トリガー部は、前記係止溝が開き、かつ、前記第2部分が前記第2表面から突出した係止位置と、前記第1部分の前記閉塞部が前記係止溝を閉じ、かつ、前記第2部分が前記第2表面に向かって後退した係止解除位置と、の間を移動するスライド移動機構を備える、(9)の商品陳列具である。
【0019】
本発明(12)は、前記トリガー部が、付勢力を付与する弾性部材を備え、前記スライド移動機構は、前記付勢力により前記係止解除位置から前記係止位置に復元する、(10)又は(11)の商品陳列具である。
【0020】
本発明(13)は、前記係止部が、前記第1傾斜部の前記先端の近傍に設けられた係止溝を有する、(1)の商品陳列具である。
【0021】
本発明(14)は、前記係止部が、前記第1傾斜部の前記先端の近傍に設けられた係止突起を有する、(1)の商品陳列具である。
【0022】
本発明(15)は、前記係止溝又は前記係止突起が、前記第1傾斜部の軸方向において、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との屈曲部から、前記商品吊持バーに吊り下げられる商品の厚み以上離れて位置している、(13)又は(14)の商品陳列具である。
【0023】
本発明(16)は、前記係止部が、前記係止溝に対して前記第1傾斜部の軸方向前方に設けられた係止突起を有する、(13)の商品陳列具である。
【0024】
本発明(17)は、前記基端側を前記取付部に固定された金属バーと、前記金属バーを被覆している樹脂バーと、を有し、前記第1傾斜部は、前記金属バー及び前記樹脂バーからなり、前記第2傾斜部は、前記樹脂バーからなる、(1)~(17)のいずれか1の商品陳列具である。
【0025】
本発明(18)は、前記トリガー部が、前記樹脂バーの軸方向に形成されたスリットに嵌め込まれている、(17)の商品陳列具である。
【0026】
本発明(19)は、前記樹脂バーの表面に、上方に僅かに突出した小突起が形成されている、(17)又は(18)の商品陳列具である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、商品の自動前出しができ、整った陳列状態を保つことができる商品陳列具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る商品陳列具を示す前方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る商品陳列具を示す後方からの斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る商品陳列具を示す正面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る商品陳列具の軸方向の断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る商品陳列具の一部を分解して示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る商品陳列具の一部を分解して示す拡大図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る商品陳列具の商品吊持バーの先端側を拡大して示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る商品陳列具の使用状態を示す図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る商品陳列具の使用状態を示す図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る商品陳列具の一部を示し、最前の商品を取り出す動作を示す図である。
【
図14】
図14は、最前の商品を取り出すときの一連の動作を示す図である。
【
図15】
図15は、変形例1に係る商品陳列具(商品吊持バー)の先端側を拡大して示す図である。
【
図17】
図17は、変形例2に係る商品陳列具(商品吊持バー)の先端側を拡大して示す図である。
【
図19】
図19は、係止解除状態における軸方向の断面図である。
【
図20】
図20は、変形例3に係る商品陳列具(商品吊持バー)の先端側を拡大して示す図である。
【
図22】
図22は、係止解除状態における軸方向の断面図である。
【
図23】
図23は、変形例4に係る商品陳列具(商品吊持バー)の先端側を拡大して示す図である。
【
図25】
図25は、係止解除状態における軸方向の断面図である。
【
図26】
図26は、変形例5に係る商品陳列具(商品吊持バー)の先端側を拡大して示す図である。
【
図28】
図28は、係止解除状態における軸方向の断面図である。
【
図29】
図29は、係止状態における軸方向の組合せ断面図である。
【
図30】
図30は、第2実施形態に係る商品陳列具を示す斜視図である。
【
図31】
図31は、第2実施形態に係る商品陳列具を示す正面図である。
【
図32】
図32は、第2実施形態に係る商品陳列具の軸方向の断面図である。
【
図33】
図33は、第2実施形態に係る商品陳列具を分解して示す図である。
【
図34】
図34は、最前の商品を取り出すときの一連の動作を示す図である。
【
図35】
図35は、従来技術の商品陳列具の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の各実施形態に係る商品陳列具について説明する。商品陳列具は、低摩擦表面を備え前方下り傾斜の商品吊持バーによる商品自動前出し機能を備える。
【0030】
[第1実施形態]
図1~
図10は、第1実施形態に係る商品陳列具1の一例を示す図である。商品陳列具1は、取付部11と、商品吊持バー12と、商品表示具支持バー13と、商品表示具14とを備える。
【0031】
取付部11は、不図示の商品陳列用什器に取り付けられる部分である。取付部11には、下向きの逆さコ字形状の開口部15が設けられている。取付部11は、開口部15を、例えば不図示の商品陳列用什器の後部において左右方向に延出した四角断面のバー部材に固定される。
【0032】
取付部11は、商品吊持バー12が固定された上面16と、上面16から略垂直下向きに延び、商品表示具支持バー13が固定された後面17とを備える。取付部11の上面16は、上記開口部15を形成している底面18と平行ではなく、前方下り傾斜面となっている。これにより、商品陳列具1を商品陳列用什器に取り付けたとき、取付部11の上面16に固定された商品吊持バー12も、
図3に示すような前方下り傾斜となる。
【0033】
商品吊持バー12は、複数の商品を着脱可能に吊り下げられる部分である。商品吊持バー12は、例えば丸棒状である。商品吊持バー12は、基端19から先端21に軸方向に延びた略直線状の第1傾斜部22と、第1傾斜部22の先端21から斜め上方に屈曲して延びた第2傾斜部23とを備える。商品吊持バー12は、先端側に屈曲部24を備える部材である。第1傾斜部22は、上述のとおり、前方下り傾斜となるように基端19の側を取付部11に固定されている。「略直線状」とは、直線状のもののみならず、例えば、2つの直線状部が僅かな角度(180度に近い内角)で屈曲して連続するものを含む。部分的に屈曲する部分があっても、全体的に略直線状で且つ前方下り傾斜であればよい。
【0034】
商品吊持バー12は、例えば、金属バー25と、金属バー25を被覆する樹脂バー26からなる複合バーである。金属バー25は、
図7及び
図8に示すように、コの字型の断面形状を有する板金バーであってよい。樹脂バー26は、金属バー25とは別部材であり、金属バー25に被せて取り付けられる。樹脂バー26は、金属バー25が入る内部スペース27を有する鞘部材であり、樹脂バー26の内径は、金属バー25の直径と略同じ寸法である。金属バー25としては、クロムメッキされた鋼製、ステンレス製などが挙げられる。商品吊持バー12の一部を金属バー25とすることで、剛性が得られ、重い商品を安定して吊り上げ可能となる。また、商品吊持バー12の表面(商品が吊り下げられる表面)を樹脂バー26とすることで、滑りがよく、樹脂表面による商品の自動前出しが可能となる。樹脂バー26としては、ポリアセタール製、ポリエチレン製、ナイロン製などが挙げられる。これら樹脂は、被覆対象である金属バー25(例えば、クロムメッキされた鋼材)に比べて低摩擦係数である。
【0035】
図7に分解して示すように、略直線状の金属バー25は、取付部11に取り付けられた略直線状の部材である。樹脂バー26は、基端28から先端29に延びた略直線状部分31と、略直線状部分31の先端29から斜め上方に屈曲して延びた上向き部分32とを備える部材である。上述のとおり、金属バー25に樹脂バー26を被せることにより商品吊持バー12となっており、上記の第1傾斜部22は金属バー25と樹脂バー26の略直線状部分31により構成され、第2傾斜部23は樹脂バー26の上向き部分32により構成されている。
【0036】
図5にB-B線断面を示すように、樹脂バー26の表面には、上方に僅かに突出した小突起33が形成されている。小突起33により、樹脂バー26に吊り下げられた商品の摩擦抵抗が低減され、商品が前方により滑り易くなっている。
【0037】
商品表示具支持バー13は、L字型の棒状部材である。丸棒状であってよい。商品表示具支持バー13の基端34は、取付部11の後面17に固定されている。L字型の商品表示具支持バー13は、取付部11の後面17から上方に延び、かつ、商品吊持バー12と略平行に前方に延びている。
【0038】
商品表示具支持バー13の先端には、商品表示具14が取り付けられている。商品表示具14は、商品名等が記載されたカードを抜き差し可能に支持する。
【0039】
以上のように、商品陳列具1は、前方下り傾斜であって摩擦の少ない樹脂表面を備えた商品吊持バー12により、吊り下げられた商品の重力による商品自動前出し機能を備える。複数の商品を吊り下げた場合、最前の商品は、商品吊持バー12の第1傾斜部22と第2傾斜部23との屈曲部24で止まる。
【0040】
本実施形態に係る商品陳列具1は、商品自動前出し機能に加えて、最前の商品とその後方の商品との間隔を保ち、最前の商品がその後方の商品に押されて浮き上がるのを防止する浮き上がり防止機能を備える。また、最前の商品を取り出す前後で整った商品陳列状態を保つ整列維持機能も備える。以下、浮き上がり防止機能及び整列維持機能に係る構成(係止部35及びトリガー部36)について説明する。
【0041】
樹脂バー26には、
図8~
図10に示すように、樹脂バー26の表面から径方向に凹んだ係止溝37が形成されている。また、樹脂バー26には、係止溝37の近傍に、樹脂バー26の表面から径方向に突出した係止突起38が形成されている。係止突起38は、係止溝37に対して軸方向前方に設けられている。係止溝37及び係止突起38は、屈曲部24の後方で商品吊持バー12の第1傾斜部22に吊り下げられた商品を係止する係止部35である。係止溝37は、商品吊持バー12の屈曲部24から軸方向に所定の間隔dを空けて配置されている。この間隔dは、商品吊持バー12に吊り下げられる商品(パッケージ)の厚み以上であることが好ましい。厚み以上の間隔を確保することで、その前方の商品(屈曲部24で係止している最前の商品)が係止部35に係止している商品に押されない。
【0042】
樹脂バー26には、樹脂バー26の軸方向に延び、樹脂バー26の径方向に切り欠いたスリット39が形成されている。スリット39は、商品吊持バー12の第1傾斜部22の先端の近傍から第2傾斜部23にかけて形成されている。スリット39には、トリガー部36が嵌め込まれている。トリガー部36は、係止部35で係止している商品の係止を解除するために設けられている。
【0043】
トリガー部36は、第1傾斜部22の先端の近傍から第2傾斜部23にかけて設けられている。トリガー部36は、後方の第1部分41と前方の第2部分42とからなる略L字形の部材である。つまり、トリガー部36は、屈曲部43を備える部材である。屈曲部43には、回動溝44が形成されている。回動溝44は、樹脂バー26のスリット39内に形成された軸部45に嵌め込まれている。本実施形態におけるトリガー部36は、軸周りに回動する回動部材である。
【0044】
トリガー部36の後方の第1部分41は、少なくとも樹脂バー26の係止溝37の位置まで延びている。第1部分41は、第1傾斜部22において樹脂バー26のスリット39内に嵌め込まれており、嵌め込んだ状態ではその表面が径方向において係止溝37と略面一であって第1傾斜部22の表面(第1表面46)から退避しているが、回動により第1傾斜部22の表面(第1表面46)から係止突起38を越えて径方向に突出可能である。トリガー部36の前方の第2部分42は、第2傾斜部23において樹脂バー26のスリット39に嵌め込まれており、嵌め込んだ状態で一部が第2傾斜部23の表面(第2表面47)から径方向に突出しているが、回動により第2傾斜部23の表面(第2表面47)に向かって後退する。
【0045】
トリガー部36は、後方の第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から後退し、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出した係止位置と、後方の第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退した係止解除位置との間を移動する移動機構48を備える。係止位置では、トリガー部36は、第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から後退し、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出している。係止解除位置では、トリガー部36は、第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退している。本実施形態では、移動機構48は回動溝44及び軸部45による回動機構49であり、トリガー部36が軸周りに回動することにより、トリガー部36が係止位置と係止解除位置との間を移動する。
【0046】
トリガー部36の後方の第1部分41は、第1傾斜部22の軸方向前方に延びた前方下り傾斜部51と、後方の停止部52とを備える。前方下り傾斜部51は、第1傾斜部22の係止溝37の軸方向前方に位置し、停止部52は係止溝37の軸方向後方に位置している。前方下り傾斜部51は、係止を解除された商品が前方に移動するように前下がり傾斜となった部分である。停止部52は、後方の商品の前方移動を止めるよう立ち上がった部分である。
【0047】
図11は、第1実施形態に係る商品陳列具の使用状態を示す図である。吊り下げられる商品は限定されないが、例えば歯ブラシである。商品にはそれぞれフックが形成されており、フックを商品吊持バー12に吊り下げることで陳列する。以下、商品陳列具1の商品吊持バー12に吊り下げられた商品のうち、最前の商品を第1商品55、前から2番目の商品を第2商品56、前から3番目の商品を第3商品57と称する。
【0048】
第1商品55は、商品吊持バー12の第1傾斜部22と第2傾斜部23の境界付近の屈曲部24で係止している。第2商品56は、商品吊持バー12の第1傾斜部22において、係止溝37で係止している。第2商品56は、係止溝37の前方の係止突起38でも係止している。第3商品以降は、前後の商品と当接した状態で係止している。前方下り傾斜の第1傾斜部22にある第3商品以降は前後の商品と当接した状態で係止しているため、前方の商品を押すが、第2商品56が係止部35(係止溝37及び係止突起38)で係止していることにより、第3商品以降が前方の商品を押す力の伝達は第2商品56までにとどまり、第1商品55には及ばない。つまり、第2商品以降が第1商品55を後方から過度に押すことなく、第1商品55は屈曲部24で鉛直方向の姿勢を保っている。陳列状態で正面に位置する第1商品55は真っ直ぐ正面を向いている。第1傾斜部22に係止部35のない従来の商品陳列具では、
図35に示すように、屈曲部24の第1商品55が後続の第2商品以降に押されて鉛直方向の姿勢を保つことができず下端が浮き上がっていたが、本実施形態に係る商品陳列具ではこのような浮きは起こらない。
【0049】
以下の説明では、
図11における商品吊持バー12に対する第1商品55の位置(第1傾斜部22の軸方向における第1商品55の位置)を第1位置、第2商品56の位置を第2位置と称する。
【0050】
図12~
図14を参照して、第1商品55を取り出したときの一連の動作について説明する。本実施形態に係る商品陳列具1では、第1位置にある第1商品55を取り出すと、トリガー部36の移動機構48、ここでは回動機構49が動作して係止部35で係止していた第2商品56が係止解除されて第2位置から第1位置に移動し、さらに、トリガー部の移動機構48、ここでは回動機構49が動作して第3商品57が第2位置に移動し、係止部35により第3商品57が第2位置で係止する。これにより、最前の商品を取り出しても
図10に示す商品陳列状態に戻る。商品を取り出しても商品の浮きがない整然とした商品陳列状態が維持される。
【0051】
図12及び
図13は、第1実施形態に係る商品陳列具1の使用状態を商品表示具支持バー及び商品表示具を除いて示す図である。
図14は、第1位置にある第1商品55を取り出すときの一連の動作を拡大して示す図である。
【0052】
図12及び
図14の(1)に示す商品陳列状態から、第1位置にある第1商品55を
図13及び
図14の(2)に示すように取り出すと、第1商品55がトリガー部36の第2部分42、つまり商品吊持バー12の第2傾斜部23の第2表面47から突出している部分に当接してトリガー部36が押され、トリガー部36が回動機構49により軸周りに回動する。回動により、
図14の(3)に示すように、トリガー部36の第2部分42が商品吊持バー12の第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、トリガー部36の第1部分41が商品吊持バー12の第1傾斜部22の第1表面46から突出する。第1部分41が商品吊持バー12の第1傾斜部22の第1表面46から突出することにより、係止溝37及び係止突起38で係止していた第2商品56が第1部分41に径方向に持ち上げられて、第2商品56の係止が解除される。
【0053】
そして、
図14の(4)に示すように、トリガー部36の第1部分41に持ち上げられた第2商品56が、重力により第1部分41の前方下り傾斜部51を前方に移動する。このとき、後続の第3商品57も第1傾斜部22を前方に移動するが、第1部分41の後方の停止部52に当接して停止する。第3商品57はこれ以上前方に移動できず、第2商品56と第3商品57との間隔が詰まることなく保たれる。
【0054】
第1部分41の前方下り傾斜部51を前方に移動した第2商品56は、屈曲部24付近の第1位置に到達する。そして、トリガー部36は自重により軸周りに回動する。回動により、トリガー部36の第1部分41が商品吊持バー12の第1傾斜部22の第1表面46に向かって後退し、トリガー部36の第2部分42が商品吊持バー12の第2傾斜部23の第2表面47から離れるように径方向に突出する。第3商品57は、第1部分41の後方の停止部52による停止を解かれ、第1傾斜部22を前方に移動して係止溝37に到達する。そして、第3商品57が第2位置で係止部35により係止する。これにより、
図14の(5)に示すように、
図14の(1)に示すのと同様の商品陳列状態となる。最前の商品を取り出しても、
図12に示すような商品陳列状態が保たれる。
【0055】
以上のように、第1商品55の取り出し時に最前の商品を商品吊持バー12の先端方向に引き抜くことでトリガー部36の第2部分42が押されてトリガー部36が回動する。回動により、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から突出して係止部35での第2商品56の係止を解除し、第1部分41の前方下り傾斜部51により第2商品56が前方に移動する。かくして、第2商品56が係止部35を通過する。また、第1部分41の停止部52により第3商品57が前方に移動するのを防ぐ。以上がトリガー部36(回動部材)が回動機構49により係止位置から係止解除位置に移動する際の一連の動作である。
【0056】
また、第2商品56が前方に移動して第1位置に到達すると、トリガー部36が回動する。回動により、第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46に向かって後退し、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から離れるように径方向に突出し、第1部分41の後方の停止部52による停止を解かれた第3商品57が前方に移動して第2位置で係止部35により係止する。以上がトリガー部36(回動部材)が回動機構49により係止解除位置から係止位置に移動する際の一連の動作である。トリガー部36は、自重により係止解除位置から係止位置に戻るため、トリガー部36が係止位置から係止解除位置に移動する一連の動作に係止解除位置から係止位置に移動する一連の動作が追従する。
【0057】
[第1実施形態:変形例1]
図15及び
図16は、変形例1に係る商品陳列具2(商品吊持バー12)の先端側を示す図である。変形例1では、トリガー部36が係止解除位置から係止位置に戻る際に弾性力による付勢を利用する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0058】
トリガー部36は、第2部分42の先端側に弾性部材61を備える。弾性部材61は、第2部分42の内部で樹脂バー26の内壁62に当接している。
【0059】
第1商品がトリガー部36の第2部分42に当接してトリガー部36が押されると、トリガー部36が回動機構49により軸周りに回動する。このとき、弾性部材61が内壁62に押し付けられて付勢される。回動により、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、トリガー部36の第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から突出する。第1部分41が第1表面46から突出することにより、係止部35で係止していた第2商品が持ち上げられて、第2商品の係止が解除される。
【0060】
第2商品が第1位置に到達すると、トリガー部36は、弾性部材61の付勢力により軸周りに回動する。回動により、トリガー部36の第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46に向かって後退し、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から離れるように径方向に突出する。第3商品は、第1部分41の後方の停止部52による停止を解かれ、第1傾斜部22を前方に移動して係止溝37に到達する。そして、第3商品が第2位置で係止部35により係止する。
【0061】
[第1実施形態:変形例2]
図17~
図19は、変形例2に係る商品陳列具3(商品吊持バー12)の先端側を示す図である。変形例2では、トリガー部36が斜め前方下向きにスライド移動する。トリガー部36が係止解除位置から係止位置に戻る際に弾性力による付勢を利用する。係止突起63がトリガー部36に設けられている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0062】
トリガー部36は、第2部分42の先端側に弾性部材61を備える。弾性部材61は、第2部分42の内部で樹脂バー26の内壁62に当接している。
【0063】
トリガー部36には、屈曲部43の近傍に斜め前方下向きのスライド開口部64が形成されている。スライド開口部64には、樹脂バー26のスリット39内に形成された軸部65が嵌め込まれている。トリガー部36は、軸部65に対してスライド開口部64内をスライド移動可能である。本変形例におけるトリガー部36は、第1傾斜部22の軸方向にスライドするスライド部材である。
【0064】
トリガー部36の後方の第1部分41には、係止部35となる係止突起63が設けられている。トリガー部36の後方の第1部分41は、第1傾斜部22において樹脂バー26のスリット39内に嵌め込まれており、嵌め込んだ状態で係止突起63が第1傾斜部22の第1表面46から突出しているが、スライド移動により第1傾斜部22の第1表面46に向かって後退する。トリガー部36の前方の第2部分42は、第2傾斜部23において樹脂バー26のスリット39に嵌め込まれており、嵌め込んだ状態で一部が第2傾斜部23の第2表面47から突出しているが、スライド移動により第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退する。
【0065】
トリガー部36は、後方の第1部分41の係止突起63が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出した係止位置と、後方の第1部分41の係止突起63が第1傾斜部22の第1表面46に向かって後退し、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退した係止解除位置との間を移動する移動機構48を備える。係止位置では、トリガー部36は、第1部分41の係止突起63が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出している。係止解除位置では、トリガー部36は、第1部分41の係止突起63が第1傾斜部22の第1表面46に向かって退避し、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退している。本変形例では、移動機構48はスライド移動機構66であり、トリガー部36(スライド部材)が斜め前方下向きに、つまり第1傾斜部22の軸方向にスライド移動することにより、トリガー部36が係止位置と係止解除位置との間を移動する。
【0066】
第1商品がトリガー部36の第2部分42に当接してトリガー部36が押されると、トリガー部36がスライド移動機構66によりスライド軸に対してスライド移動する。このとき、弾性部材61が内壁62に押し付けられて付勢される。スライド移動により、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、トリガー部36の第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46に向かって後退する。第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から後退することにより、トリガー部36の第1部分41の係止突起63が第1表面46から引っ込み、係止突起63で係止していた第2商品の係止が解除される。
【0067】
トリガー部36は、弾性部材61の付勢力によりスライド軸に対してスライド移動する。スライド移動により、トリガー部36の第1部分41の係止突起63が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から離れるように径方向に突出する。第3商品は、第1傾斜部22を前方に移動して、係止突起63により係止する。
【0068】
以上のように、第1商品の取り出し時に最前の商品を商品吊持バー12の先端方向に引き抜くことでトリガー部36の第2部分42が押されてトリガー部36がスライド移動する。スライド移動により、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から後退して係止突起63での第2商品の係止を解除し、第2商品が前方に移動する。かくして、第2商品が係止突起63を通過する。
【0069】
[第1実施形態:変形例3]
図20~
図22は、変形例3に係る商品陳列具4(商品吊持バー12)の先端側を示す図である。変形例3では、トリガー部36が前方に(軸方向に)スライド動作する。トリガー部36が係止解除位置から係止位置に戻る際に弾性力による付勢を利用する。トリガー部36のスライド移動により係止溝37が塞がれる。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0070】
トリガー部36は、第2部分42の先端側に弾性部材61を備える。弾性部材61は、第2部分42の内部で樹脂バー26の内壁62に当接している。
【0071】
トリガー部36には、屈曲部43の近傍に軸方向のスライド開口部67が形成されている。スライド開口部67には、樹脂バー26のスリット39内に形成された軸部68が嵌め込まれている。トリガー部36は、軸部68に対してスライド開口部67内をスライド移動可能である。本変形例におけるトリガー部36は、第1傾斜部22の軸方向にスライドするスライド部材である。
【0072】
トリガー部36の後方の第1部分41には、前方の溝部69及び後方の閉塞部71が設けられている。溝部69は径方向に凹んだ部分であり、閉塞部71は溝部69よりも径方向に高くなった部分である。トリガー部36の後方の第1部分41は、第1傾斜部22において樹脂バー26のスリット39内に嵌め込まれており、嵌め込んだ状態では係止溝37と溝部69が軸方向で同じ位置にあり係止溝37が塞がれないが、スライド移動により係止溝37が閉塞部71により閉じられる。トリガー部36の前方の第2部分42は、第2傾斜部23において樹脂バー26のスリット39内に嵌め込まれており、嵌め込んだ状態で一部が第2傾斜部23の第2表面47から突出しているが、スライド移動により第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退する。
【0073】
トリガー部36は、係止溝37が開き、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出した係止位置と、後方の第1部分41の閉塞部71が係止溝37を閉じ、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退した係止解除位置との間を移動する移動機構48を備える。係止位置では、トリガー部36は、第1部分41の閉塞部71が係止溝37を塞がず係止溝37が開き、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出している。係止解除位置では、トリガー部36は、第1部分41の閉塞部71が係止溝37を塞ぎ、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退している。本実施形態では、移動機構48はスライド移動機構72であり、トリガー部36(スライド部材)が前方に、つまり第1傾斜部22の軸方向にスライド移動することにより、トリガー部36が係止位置と係止解除位置との間を移動する。
【0074】
第1商品がトリガー部36の第2部分42に当接してトリガー部36が押されると、トリガー部36がスライド移動機構72によりスライド軸に対してスライド移動する。このとき、弾性部材61が内壁62に押し付けられて付勢される。スライド移動により、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、トリガー部36の第1部分41の閉塞部71が係止溝37を塞ぐ。第1部分41の閉塞部71が商品吊持バー12の係止溝37を塞ぐことにより、係止溝37で係止していた第2商品の係止が解除される。
【0075】
トリガー部36は、弾性部材61の付勢力によりスライド軸に対してスライド移動する。スライド移動により、トリガー部36が軸方向に移動して係止溝37が開き、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から離れるように径方向に突出する。第3商品は、第1傾斜部22を前方に移動して、係止溝37により係止する。
【0076】
以上のように、第1商品の取り出し時に最前の商品を商品吊持バー12の先端方向に引き抜くことでトリガー部36の第2部分42が押されてトリガー部36がスライド移動する。スライド移動により、第1部分41の閉塞部71が係止溝37を塞いで係止溝37での第2商品の係止を解除し、第2商品が前方に移動する。かくして、第2商品が係止突起63を通過する。
【0077】
[第1実施形態:変形例4]
図23~
図25は、変形例4に係る商品陳列具5(商品吊持バー12)の先端側を示す図である。変形例4では、トリガー部36の第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から下側に突出している。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0078】
トリガー部36の後方の第1部分41には、係止部35となる係止突起73が設けられている。係止突起73は、例えば第1部分41の基端であってよい。
【0079】
トリガー部36は、後方の第1部分41の係止突起73が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出した係止位置と、後方の第1部分41の係止突起73が第1傾斜部22の第1表面46に向かって後退し、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退した係止解除位置との間を移動する移動機構48を備える。係止位置では、トリガー部36は、第1部分41の係止突起73が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出している。係止解除位置では、トリガー部36は、第1部分41の係止突起73が第1傾斜部22の第1表面46に向かって後退し、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退している。本変形例では、移動機構48は第1実施形態の回動機構49と同様の回動機構74であり、トリガー部36(回動部材)が軸周りに回動することにより、トリガー部36が係止位置と係止解除位置との間を移動する。
【0080】
第1商品がトリガー部36の第2部分42に当接してトリガー部36が押されると、トリガー部36が回動機構74により軸周りに回動する。回動により、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、トリガー部36の第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から後退する。第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から後退することにより、トリガー部36の第1部分41の係止突起73が第1傾斜部22の第1表面46から引っ込み、係止突起73で係止していた第2商品の係止が解除される。
【0081】
トリガー部36(回動部材)は、自重により軸周りに回動する。回動により、トリガー部36の第1部分41の係止突起73が第1傾斜部22の第1表面46から下側に突出し、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から離れるように径方向に突出する。第3商品は、第1傾斜部22を前方に移動して、係止突起73により係止する。
【0082】
[第1実施形態:変形例5]
図26~
図29は、変形例5に係る商品陳列具6(商品吊持バー12)の先端側を示す図である。変形例5では、トリガー部36の第1部分41が横から径方向に突出し、第1傾斜部22の内部に退避する。トリガー部36が前方にスライド移動する。トリガー部36が係止解除位置から係止位置に戻る際に弾性力による付勢を利用する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0083】
トリガー部36は、第2部分42の先端部に弾性部材61を備える。弾性部材61は、第2部分42の内部で樹脂バー26の内壁62に当接している。
【0084】
トリガー部36には、変形例3と同様に、屈曲部43の近傍に軸方向のスライド開口部67が形成されている。スライド開口部67には、樹脂バー26のスリット39内に形成された軸部68が嵌め込まれている。トリガー部36は、軸部68に対してスライド開口部67内をスライド移動可能である。本変形例におけるトリガー部36は、第1傾斜部22の軸方向にスライドするスライド部材である。
【0085】
トリガー部36の後方の第1部分41には、係止部35となる係止突起75が設けられている。係止突起75は、例えば第1部分41の基端であってよい。
【0086】
係止突起75は、
図27に示すように、径方向に拡がるようになっており、拡がった状態で第1傾斜部22の第1表面46から径方向に突出可能である。トリガー部36の第1部分41は、
図27及び
図28に示すように、樹脂バー26のスリット39を軸方向に移動可能である。係止突起75が
図27に示す径方向に突出した状態からトリガー部36が軸方向前方にスライド移動すると、
図28に示すように、トリガー部36の第1部分41の係止突起75が樹脂バー26の内部の側壁76に挟まれて窄み、第1傾斜部22の第1表面46から退避する。
【0087】
トリガー部36は、変形例2と同様に、後方の第1部分41の係止突起75が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出した係止位置と、後方の第1部分41の係止突起75が第1傾斜部22の第1表面46に向かって退避し、かつ、前方の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退した係止解除位置との間を移動する移動機構48を備える。係止位置では、トリガー部36は、第1部分41の係止突起75が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から突出している。係止解除位置では、トリガー部36は、第1部分41の係止突起75が第1傾斜部22の第1表面46に向かって退避し、かつ、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退している。本変形例では、移動機構48は変形例3と同様のスライド移動機構72であり、トリガー部36(スライド部材)が斜め前方下向きに、つまり第1傾斜部22の軸方向にスライド移動することにより、トリガー部36が係止位置と係止解除位置との間を移動する。
【0088】
第1商品がトリガー部36の第2部分42に当接してトリガー部36が押されると、トリガー部36がスライド移動機構72によりスライド軸に対してスライド移動する。このとき、弾性部材61が内壁62に押し付けられて付勢される。スライド移動により、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、トリガー部36の第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から後退する。第1部分41が第1傾斜部22の第1表面46から後退することにより、トリガー部36の第1部分41の係止突起75が第1傾斜部22の第1表面46から引っ込み、係止突起75で係止していた第2商品の係止が解除される。
【0089】
トリガー部36(スライド部材)は、弾性部材61の付勢力によりスライド軸に対してスライド移動する。スライド移動により、トリガー部36の第1部分41の係止突起75が第1傾斜部22の第1表面46から突出し、トリガー部36の第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47から離れるように径方向に突出する。第3商品は、第1傾斜部22を前方に移動して、係止突起75により係止する。
【0090】
以上のように、第1商品の取り出し時に最前の商品を商品吊持バー12の先端方向に引き抜くことでトリガー部36の第2部分42が押されてトリガー部36がスライド移動する。スライド移動により、第2部分42が第2傾斜部23の第2表面47に向かって後退し、第1部分41の係止突起75が第1傾斜部22の第1表面46から後退して係止突起75での第2商品の係止を解除し、第2商品が前方に移動する。かくして、第2商品が係止突起75を通過する。
【0091】
[第2実施形態]
図30~
図34は、第2実施形態に係る商品陳列具101の一例を示す図である。第1実施形態では、係止部35及びトリガー部36は第1傾斜部22の先端近傍から第2傾斜部23にかけて設けられ、係止部35が前から2番目の商品(第2商品)を係止していたが、第2実施形態では、係止部及びトリガー部は第1傾斜部に設けられ、係止部は例えば前から4番目の商品(第4商品)を係止し、最前の商品がその後方の商品に押されて浮き上がるのを防止する浮き上がり防止機能を備える。また、第2実施形態においても第1実施形態と同様に整列維持機能を備える。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0092】
商品陳列具101は、取付部102と、商品吊持バー103とを備える。第1実施形態のように商品表示具支持バーを設けてもよい。
【0093】
取付部102は、不図示の商品陳列用什器に取り付けられる部分である。取付部102には、下向きの逆さコ字形状の開口部104が設けられている。取付部102は、開口部104を、例えば不図示の商品陳列用什器の後部において左右方向に延出した四角断面のバー部材に固定される。これにより、商品陳列具101は、商品陳列用什器に取り付けられる。
【0094】
取付部102の上面105には、商品吊持バー103が固定されている。取付部102の上面105は、上記開口部104を形成している底面106と平行である。
【0095】
商品吊持バー103は、例えば、金属バー107と、金属バー107を被覆する樹脂バー108からなる複合バーである。樹脂バー108は、
図33に分解して示すように、金属バー107とは別部材であり、金属バー107に被せて取り付けられる。金属バー107及び樹脂バー108の材質は、第1実施形態と同様であってよい。
【0096】
略直線状の金属バー107は、取付部102に取り付けられた略直線状の部材である。樹脂バー108は、基端から先端に延びた略直線状部分109と、略直線状部分109の先端から斜め上方に屈曲して延びた上向き部分111とを備える部材である。上述のとおり、金属バー107に樹脂バー108を被せることにより商品吊持バー103となっており、商品吊持バー103の第1傾斜部112は金属バー107及び樹脂バー108の略直線状部分109により構成され、第2傾斜部113は樹脂バー108の上向き部分111により構成されている。
【0097】
樹脂バー108には、樹脂バー108の軸方向に延び、樹脂バー108の径方向に切り欠いたスリット114が形成されている。スリット114は、商品吊持バー103の第1傾斜部112の先端側に設けられている。スリット114には、トリガー部115が嵌め込まれている。トリガー部115は、係止部116で係止している商品の係止を解除するために設けられている。
【0098】
トリガー部115は、第1傾斜部112に設けられている。トリガー部115は、後方の第1部分117と前方の第2部分118とからなる部材である。第1部分117と第2部分118との境界付近に回動溝119が形成されている。回動溝119は、樹脂バー108のスリット114内に形成された軸部121に嵌め込まれている。トリガー部115は、軸周りに回動する回動部材である。
【0099】
トリガー部115の後方の第1部分117は、第1傾斜部112において樹脂バー108のスリット114内に嵌め込まれており、一部が第1傾斜部112の第1表面122から突出しているが、回動により第1傾斜部112の第1表面122に向かって後退可能である。トリガー部115の前方の第2部分118は、第1傾斜部112において樹脂バー108のスリット114内に嵌め込まれており、第1傾斜部112の第1表面122から退避しているが、回動により第1傾斜部112の第1表面122から突出する。
【0100】
つまり、トリガー部115は、係止部116として機能する係止突起123を有し、第1傾斜部112の第1表面122に向かって後退可能な第1部分117と、第1傾斜部112の第1表面122から突出可能な第2部分118とを有する。トリガー部115は、後方の第1部分117の係止突起123が第1傾斜部112の第1表面122から突出し、かつ、前方の第2部分118が第1傾斜部112の第1表面122に向かって後退した係止位置と、後方の第1部分117の係止突起123が第1傾斜部112の第1表面122に向かって後退し、かつ、前方の第2部分118が第1傾斜部112の第1表面122から突出した係止解除位置との間を移動する移動機構124を備える。係止位置では、トリガー部115は、第1部分117の係止突起123が第1傾斜部112の第1表面122から突出し、かつ、第2部分118が第1傾斜部112の第1表面122から後退している。係止解除位置では、トリガー部115は、第1部分117の係止突起123が第1傾斜部112の第1表面122から後退し、かつ、第2部分118が第1傾斜部112の第1表面122から突出している。本実施形態では、移動機構124は回動溝119及び軸部121による回動機構125であり、トリガー部115(回動部材)が軸周りに回動することにより、トリガー部115が係止位置と係止解除位置との間を移動する。
【0101】
図34は、第1位置にある商品を取り出すときの一連の動作を拡大して示す図である。以下、商品陳列具101の商品吊持バー103に吊り下げられた商品のうち、最前の商品を第1商品55、前から2番目の商品を第2商品56、前から3番目の商品を第3商品57、前から4番目の商品第4商品58、前から5番目の商品を第5商品59と称する。
【0102】
第1商品55は、商品吊持バー103の第1傾斜部112と第2傾斜部113の境界付近の屈曲部126で係止している。第2商品56は、第1商品55に当接した状態で係止している。第3商品57は、第2商品56に当接した状態で係止している。また、第3商品57は、トリガー部115の第2部分118の上に位置している。第4商品58は、係止部116(トリガー部115の第1部分117の係止突起123)で係止している。第4商品58が係止部116で係止していることにより、第5商品以降が前方の商品を押す力の伝達は第4商品58までにとどまり、第3商品57より前に及ぶ力は低減される。つまり、第4商品以降が第1商品55を後方から過度に押すことなく、第1商品55は屈曲部126で鉛直方向の姿勢を保っている。陳列状態で正面に位置する第1商品55は真っ直ぐ正面を向いている。
【0103】
以下の説明では、
図34の(1)における商品吊持バー103に対する第1商品の位置(第1傾斜部112の軸方向における第1商品の位置)を第1位置、第2商品の位置を第2位置、第3商品の位置を第3位置、第4商品の位置を第4位置と称する。
【0104】
図34を参照して、第1商品を取り出したときの一連の動作について説明する。本実施形態に係る商品陳列具101では、第1位置にある第1商品を取り出すと、トリガー部115が動作して係止部116で係止していた第4商品58が係止解除されて第4位置から第3位置に移動し、さらに、トリガー部115が動作して第5商品59が第4位置に移動し、係止部116により第5商品59が第4位置で停止する。商品を取り出しても商品の浮きがない整然とした陳列状態が維持される。
【0105】
図34の(1)に示す商品陳列状態から、第1位置にある第1商品55を
図34の(2)に示すように取り出すと、第2商品56及び第3商品57が重力により第1傾斜部112を前方に移動する。第4商品58は係止部116で係止している。第2商品56が第1位置に、第3商品57が第2位置にそれぞれ移動する。
【0106】
図34の(1)に示す商品陳列状態では、上述のとおり、第3商品57がトリガー部115の第2部分118の上に位置していたが、
図34の(2)に示すように第2商品56が第1位置に、第3商品57が第2位置に移動すると、第2部分118を上から抑えていた第3商品57がなくなる。このため、トリガー部115が自重により軸周りに回動する。回動機構125による回動により、
図34の(3)に示すように、トリガー部115の後方の第1部分117が第1傾斜部112の第1表面122に向かって後退し、トリガー部115の前方の第2部分118が第1傾斜部112の第1表面122から突出する。第2部分118が第1傾斜部112の第1表面122から後退することにより、係止部116(トリガー部115の第1部分117の係止突起123)で係止していた第4商品58の係合が解除される。
【0107】
そして、第4商品以降の商品が、重力により第1傾斜部112を前方に移動する。移動した第4商品58は、第3位置に到達し、第5商品59は第4位置に到達する。そして、トリガー部115の第2部分118の上に第4商品58が移動し、トリガー部115は軸周りに回動する。回動機構125による回動により、トリガー部115の第1部分117が第1傾斜部112の第1表面122から突出し、トリガー部115の第2部分118が第1傾斜部112の第1表面122に向かって後退する。第5商品59は第4位置で係止部(トリガー部115の第1部分117の係止突起123)により係止する。これにより、
図34の(4)に示すように、
図34の(1)に示すのと同様の商品陳列状態となる。最前の商品を取り出しても整然とした商品陳列状態が維持される。
【0108】
以上のように、第1商品55の取り出し時に最前の商品を商品吊持バー103の先端方向に引き抜くことでトリガー部115が回動する。回動により、第2部分118が第1傾斜部112の第1表面122から突出し、第1部分117が第1傾斜部112の第1表面46から後退して係止部116での第4商品58の係止を解除する。かくして、第4商品58が係止部116を通過する。
【0109】
以下、本発明の各実施形態及びその変形例の効果について述べる。
第1実施形態、その変形例1~5及び第2実施形態によれば、商品陳列具は、商品陳列用什器に取り付けられる取付部と、樹脂表面を有し、商品が吊り下げられる商品吊持バーとを備える。商品吊持バーは、基端から先端に延び、前方下り傾斜となるように基端側を取付部に固定された第1傾斜部と、第1傾斜部の先端から斜め上方に屈曲して延びた第2傾斜部とを有する。また、商品陳列具は、第1傾斜部に吊り下げられた商品を係止する係止部と、係止を解除するトリガー部とを備える。係止部は、商品吊持バーに設けてもよいし、トリガー部に設けてもよい。本実施形態に係る商品陳列具では、樹脂表面を備える前方下り傾斜の商品吊持バーによる商品自動前出し機能を備えるとともに、商品吊持バーに吊り下げられた商品を係止する係止部を備えることにより、最前の商品がその後方の商品に押されて浮き上がるのを防止することができる。商品吊持バーに吊り下げられた商品が鉛直方向を向いた姿勢で揃い、整然とした陳列状態とすることができるため、陳列面の美観を高めることができる。また、係止部を設けるとともに係止を解除するトリガー部を設けたことにより、商品を取り出す際に係止部での係止を適宜解除することができ、商品自動前出し機能を保つことができる。人手をかけずに商品の自動前出しができ、商品の浮き上がりのない見栄えの良い陳列が可能となる。
【0110】
係止部は、第1傾斜部の先端の近傍に設けられた係止溝を有することができる。また、係止部は、係止溝に対して第1傾斜部の軸方向前方に設けられた係止突起を有することができる。商品吊持バーの第1傾斜部に係止部として係止溝と係止突起との少なくとも一方を設けることで、商品吊持バーに吊り下げられた商品を確実に係止し、最前の商品がその後方の商品に押されて浮き上がるのを防止することができる。
【0111】
第1実施形態及びその変形例1~5によれば、係止溝又は係止突起は、第1傾斜部の軸方向において、第1傾斜部と第2傾斜部との屈曲部から、商品吊持バーに吊り下げられる商品の厚み以上離れて位置している。これにより、係止溝で係止している商品が屈曲部に位置する最前の商品を後ろから押さず、商品の浮き上がりを防止することができる。商品の浮き上がりがなく、見栄えの良い陳列が可能となる。
【0112】
第1実施形態、その変形例1、変形例4及び第2実施形態によれば、トリガー部は、商品吊持バーに配置され、軸周りに回動する回動部材を有し、回動部材の回動により係止部による係止を解除することができる。回動を利用することにより、簡素な構成で商品前出し機能、整列維持機能を実現することができる。また、最前の商品を商品吊持バーの手前に引き抜く動作に伴って回動部材が回動するため、商品の取り出し動作をトリガーとした商品前出しが可能である。別途、商品前出し作業をする必要がない。商品前出し作業の手間を省くことができる。
【0113】
第1実施形態及びその変形例1によれば、回動部材は、係止部を越えて第1傾斜部の第1表面から突出可能な第1部分と、第2傾斜部の第2表面から突出し、第2表面に向かって後退可能な第2部分とを有する。トリガー部は、第1部分が第1表面から後退し、かつ、第2部分が第2傾斜部の第2表面から突出した係止位置と、第1部分が係止部を越えて第1傾斜部の第1表面から突出し、かつ、第2部分が第2傾斜部の第2表面に向かって後退した係止解除位置との間を移動する回動機構を備える。トリガー部が係止位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を保つことができ、トリガー部が係止解除位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を解除して商品自動前出しをすることができる。係止位置と係止解除位置との間を移動する回動機構を備えることにより、商品自動前出し機能と浮き上がり防止機能と整列維持機能を実現することができる。
【0114】
第1実施形態及びその変形例1によれば、回動部材の第1部分は、第1傾斜部の軸方向前方に延びた前方下り傾斜部と、後方の停止部とを備える。回動部材が前方下り傾斜部を備えることにより、係止解除するとともに商品自動前出しが可能となる。また、後方の停止部を備えることにより、後続の商品の過度の移動を防ぐことができる。係止解除により複数の商品が回動部材を越えて前方に通過して商品を後ろから押すのを防止する。これにより浮き上がり防止にもなる。
【0115】
第1実施形態の変形例4によれば、回動部材は、第1傾斜部の第1表面から突出可能な係止突起を有し、第1傾斜部の第1表面に向かって後退可能な第1部分と、第2傾斜部の第2表面から突出し、第2傾斜部の第2表面に向かって後退可能な第2部分とを有し、トリガー部は、第1部分の係止突起が第1傾斜部の第1表面から突出し、かつ、第2部分が第2傾斜部の第2表面から突出した係止位置と、第1部分の係止突起が第1傾斜部の第1表面に向かって後退し、かつ、第2部分が第2傾斜部の第2表面に向かって後退した係止解除位置との間を移動する回動機構を備える。トリガー部が係止位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を保つことができ、トリガー部が係止解除位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を解除して商品自動前出しをすることができる。係止位置と係止解除位置との間を移動する回動機構を備えることにより、商品自動前出し機能と浮き上がり防止機能と整列維持機能を実現することができる。
【0116】
第2実施形態によれば、係止部は、第1傾斜部の表面から突出可能な係止突起を有し、回動部材は、前記係止突起を有し、第1傾斜部の表面に向かって後退可能な第1部分と、第1傾斜部の表面から突出可能な第2部分とを有し、トリガー部は、第1部分の係止突起が第1傾斜部の表面から突出し、かつ、第2部分が第1傾斜部の表面に向かって後退した係止位置と、第1部分の係止突起が第1傾斜部の表面に向かって後退し、かつ、第2部分が第1傾斜部の表面から突出した係止解除位置との間を移動する回動機構を備える。トリガー部が係止位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を保つことができ、トリガー部が係止解除位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を解除して商品自動前出しをすることができる。係止位置と係止解除位置との間を移動する回動機構を備えることにより、商品自動前出し機能と浮き上がり防止機能と整列維持機能を実現することができる。また、第2実施形態によれば、トリガー部の配置を第1傾斜部の先端近傍から第2傾斜部に限らず、第1傾斜部のみに配置することができるため、商品吊持バーに対して係止部及びトリガー部を自在に配置して適宜商品自動前出し機能、浮き上がり防止機能、整列維持機能を実現することができる。
【0117】
第1実施形態、その変形例1、変形例4及び第2実施形態によれば、回動機構は、自重により係止解除位置から係止位置に復元する。自重を利用して復元する回動機構により、簡素な構成で商品自動前出し機能、整列維持機能を実現することができる。
【0118】
第1実施形態の変形例2、変形例3及び変形例5によれば、トリガー部は、商品吊持バーに配置され、軸方向にスライドするスライド部材を有し、スライド部材のスライドにより係止部による係止を解除することができる。スライド移動を利用することにより、簡素な構成で商品自動前出し機能、整列維持機能を実現することができる。また、最前の商品を商品吊持バーの手前に引き抜く動作に伴ってスライド部材がスライド移動するため、商品の取り出し動作をトリガーとした商品前出しが可能である。別途、商品前出し作業をする必要がない。商品前出し作業の手間を省くことができる。
【0119】
第1実施形態の変形例2及び変形例5によれば、係止部は、第1傾斜部の第1表面から突出可能な係止突起を有し、スライド部材は、前記係止突起を有し、第1傾斜部の第1表面に向かって後退可能な第1部分と、第2傾斜部の第2表面から突出し、第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、トリガー部は、第1部分の係止突起が第1表面から突出し、かつ、第2部分が第2表面から突出した係止位置と、第1部分の係止突起が第1表面に向かって後退し、かつ、第2部分が第2表面に向かって後退した係止解除位置と、の間を移動するスライド移動機構を備える。トリガー部が係止位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を保つことができ、トリガー部が係止解除位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を解除して商品自動前出しをすることができる。係止位置と係止解除位置との間をスライド移動するスライド移動機構を備えることにより、商品自動前出し機能と浮き上がり防止機能と整列維持機能を実現することができる。
【0120】
第1実施形態の変形例3によれば、係止部は、第1傾斜部の先端の近傍に設けられた係止溝と、係止溝に対して第1傾斜部の軸方向後方に設けられた閉塞部と、を有し、スライド部材は、前記閉塞部を有し、前記係止溝を閉塞可能な第1部分と、第2傾斜部の第2表面から突出し、第2表面に向かって後退可能な第2部分と、を有し、トリガー部は、係止溝が開き、かつ、第2部分が第2表面から突出した係止位置と、第1部分の閉塞部が係止溝を閉じ、かつ、第2部分が第2表面に向かって後退した係止解除位置と、の間を移動するスライド移動機構を備える。トリガー部が係止位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を保つことができ、トリガー部が係止解除位置をとることにより、係止部で係止している商品の係止状態を解除して商品自動前出しをすることができる。係止位置と係止解除位置との間を移動するスライド移動機構を備えることにより、商品自動前出し機能と浮き上がり防止機能と整列維持機能を実現することができる。
【0121】
第1実施形態の変形例1、変形例2、変形例3及び変形例5によれば、トリガー部は、付勢力を付与する弾性部材を備える。回動機構又はスライド移動機構は、付勢力により係止解除位置から係止位置に復元する。弾性部材により、係止解除位置から係止位置に確実に復元することができる。
【0122】
第1実施形態、その変形例1~5及び第2実施形態によれば、商品吊持バーは、基端側を取付部に固定された金属バーと、金属バーを被覆する樹脂バーと、を有する。第1傾斜部は、金属バー及び樹脂バーからなり、第2傾斜部は、樹脂バーからなる。金属バーにより商品吊持バーの強度を確保し、金属バーよりも表面が滑りやすい樹脂バーにより自動前出し機能を実現することができる。
【0123】
第1実施形態、その変形例1~5及び第2実施形態によれば、トリガー部は、樹脂バーの軸方向に形成されたスリットに嵌め込まれている。トリガー部をスリットに嵌め込むことで、従来の商品陳列具と変わらない見栄えとすることができる。
【0124】
第1実施形態、その変形例1~5及び第2実施形態によれば、樹脂バーの表面には、上方に僅かに突出した小突起が形成されている。小突起により商品の滑りがよくなり、商品自動前出し機能を実現することができる。
【0125】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形及び変更が可能である。例えば、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせてもよい。第2実施形態の係止部が前から4番目の商品(第4商品)を係止するとして説明したが、これに限らず、それよりも前あるいは後の商品を係止するようにトリガー部(係止部)を設けてもよく、1つの商品吊持バーに複数設けてもよい。商品吊持バーは金属バーと樹脂バーからなる複合バーであるとして説明してきたが、前方下り傾斜と樹脂表面とを備える商品吊持バーであればよく、外部に露出している表面を樹脂被膜でコーティングされた金属バーであってもよい。
【符号の説明】
【0126】
1~6 商品陳列具
11 取付部
12 商品吊持バー
13 商品表示具支持バー
14 商品表示具
35 係止部
36 トリガー部(回動部材、スライド部材)
37 係止溝
38 係止突起
48 移動機構
49 回動機構
61 弾性部材
66 スライド移動機構