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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090432
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】人力駆動車用の変速機
(51)【国際特許分類】
   B62M 11/04 20060101AFI20240627BHJP
   F16H 3/44 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B62M11/04
F16H3/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206347
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴士
(72)【発明者】
【氏名】横澤 太
【テーマコード(参考)】
3J528
【Fターム(参考)】
3J528EA22
3J528EA30
3J528EB37
3J528EB63
3J528EB64
3J528FC20
3J528FC23
3J528FC63
3J528GA19
3J528JA01
3J528JL05
(57)【要約】
【課題】変速性能を向上できる変速機を提供する。
【解決手段】クランク軸を回転可能に支持するハウジングと、前記ハウジングに回転可能に設けられ、前記クランク軸から人力駆動力が伝達される出力軸と、前記ハウジングにおいて前記クランク軸と前記出力軸との間における前記人力駆動力の伝達経路に設けられ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作を実行するように構成される変速機構と、を備え、前記変速機構は、前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の少なくとも一方を、前記人力駆動力を利用してアシストするように構成される変速アシスト機構と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の変速機であって、
クランク軸を回転可能に支持するハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に設けられ、前記クランク軸から人力駆動力が伝達される出力軸と、
前記ハウジングにおいて前記クランク軸と前記出力軸との間における前記人力駆動力の伝達経路に設けられ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作を実行するように構成される変速機構と、を備え、
前記変速機構は、前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の少なくとも一方を、前記人力駆動力を利用してアシストするように構成される変速アシスト機構を含む、変速機。
【請求項2】
前記変速アシスト機構は、前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作をアシストするように構成される、請求項1に記載の変速機。
【請求項3】
前記変速機構は、
前記ハウジングに回転可能に設けられる中継軸と、
前記中継軸に設けられ、前記クランク軸から前記人力駆動力が伝達される複数の中継軸入力回転体と、
前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作において、前記人力駆動力が前記中継軸に伝達されるように、前記複数の中継軸入力回転体を選択的に前記中継軸に接続する第1接続部と、を含む、請求項1に記載の変速機。
【請求項4】
前記第1接続部は、
前記中継軸と一体回転するように前記中継軸に設けられる複数の第1変速爪部材と、
前記中継軸に設けられ、前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作において前記中継軸に対して相対回転することによって、前記複数の第1変速爪部材を選択的に前記複数の中継軸入力回転体に係合させる変速制御部材と、を含む、請求項3に記載の変速機。
【請求項5】
前記変速アシスト機構は、
前記クランク軸に前記人力駆動力が入力され、かつ、前記変速機構によって前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の少なくとも一方が行われる場合に、前記人力駆動力によって前記変速制御部材、および、前記中継軸を相対回転させることによって、前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の少なくとも一方をアシストするように構成される、請求項4に記載の変速機。
【請求項6】
前記変速アシスト機構は、
前記変速制御部材と一体的に回転するように前記中継軸に設けられる第1回転体と、
前記中継軸、および、前記第1回転体に対して相対回転可能に前記中継軸に設けられ、前記人力駆動力によって、前記中継軸よりも速い回転速度において回転可能な増速回転体と、
前記クランク軸に前記人力駆動力が入力され、かつ、前記変速機構によって前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の一方が実行される場合に、前記第1回転体を前記増速回転体に連結させる第1連結部と、を含む、請求項4に記載の変速機。
【請求項7】
前記第1連結部は、
前記第1回転体と一体回転するように前記第1回転体に設けられる少なくとも1つの第1連結爪部材と、
前記中継軸に設けられ、前記第1回転体に対して相対回転することによって、前記第1連結爪部材が前記増速回転体に係合する第1位置、および、前記第1連結爪部材が前記増速回転体に係合しない第2位置に移動可能な第2回転体と、を含み、
前記クランク軸に前記人力駆動力が入力され、かつ、前記変速機構によって前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の一方が行われる場合に、前記第2回転体が前記第2位置から前記第1位置に移動されることによって、前記第1連結爪部材を介して前記第1回転体が前記増速回転体に連結される、請求項6に記載の変速機。
【請求項8】
前記変速アシスト機構は、
前記ハウジングに固定される固定部材と、
前記クランク軸に前記人力駆動力が入力され、かつ、前記変速機構によって前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の他方が行われる場合に、第1回転体を前記固定部材に連結する第2連結部と、を含む、請求項4に記載の変速機。
【請求項9】
前記第2連結部は、
第2回転体と一体回転するように前記第2回転体に設けられる第2連結爪部材と、
前記第2回転体に対して相対回転可能に前記中継軸に設けられ、前記第2回転体に対して相対回転することによって、前記第2連結爪部材が前記固定部材に係合する第3位置、および、前記第2連結爪部材が前記固定部材に係合しない第4位置に移動可能な第3回転体と、を含み、
前記クランク軸に前記人力駆動力が入力され、かつ、前記変速機構によって前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の他方が行われる場合に、前記第3回転体が前記第4位置から前記第3位置に移動されることによって、前記第2回転体を介して前記第1回転体を前記固定部材に連結する、請求項8に記載の変速機。
【請求項10】
前記変速アシスト機構は、
前記ハウジングに固定される固定部材と、
前記クランク軸に前記人力駆動力が入力され、かつ、前記変速機構によって前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の他方が行われる場合に、前記第1回転体を前記固定部材に連結する第2連結部と、を含む、請求項6に記載の変速機。
【請求項11】
前記第2連結部は、
第2回転体と一体回転するように前記第2回転体に設けられる第2連結爪部材と、
前記第2回転体に対して相対回転可能に前記中継軸に設けられ、前記第2回転体に対して相対回転することによって、前記第2連結爪部材が前記固定部材に係合する第3位置、および、前記第2連結爪部材が前記固定部材に係合しない第4位置に移動可能な第3回転体と、を含み、
前記クランク軸に前記人力駆動力が入力され、かつ、前記変速機構によって前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作の他方が行われる場合に、前記第3回転体が前記第4位置から前記第3位置に移動されることによって、前記第2回転体を介して前記第1回転体を前記固定部材に連結する、請求項10に記載の変速機。
【請求項12】
前記第2回転体を前記第1回転体に対して相対回転させ、前記第3回転体を前記第2回転体に対して相対回転させるように構成される変速制御部をさらに含む、請求項11に記載の変速機。
【請求項13】
前記変速制御部は、前記中継軸に設けられる遊星歯車機構を含む、請求項12に記載の変速機。
【請求項14】
前記変速制御部は、前記中継軸に設けられる電動アクチュエータを含む、請求項12に記載の変速機。
【請求項15】
前記変速機構は、
前記中継軸に設けられる複数の中継軸出力回転体を、さらに含み、
前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作において、前記人力駆動力が前記中継軸から前記中継軸出力回転体に伝達されるように、前記複数の中継軸入力回転体を選択的に前記中継軸に接続する第2接続部と、を含む、請求項3に記載の変速機。
【請求項16】
前記第1接続部は、
前記中継軸と一体回転するように前記中継軸に設けられる複数の第1変速爪部材と、
前記中継軸に設けられ、前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作において前記中継軸に対して相対回転することによって、前記複数の第1変速爪部材を選択的に前記複数の中継軸入力回転体に係合させる変速制御部材と、を含み、
前記第2接続部は、
前記中継軸と一体回転するように前記中継軸に設けられる複数の第2変速爪部材を含み、
前記変速制御部材は、前記シフトアップ動作、および、前記シフトダウン動作において前記中継軸に対して相対回転することによって、前記複数の第2変速爪部材を選択的に前記複数の中継軸出力回転体に係合させる、請求項15に記載の変速機。
【請求項17】
人力駆動車用の変速機であって、
前記人力駆動車に人力駆動力が入力されることによって回転可能な回転部材を含み、変速比率を変更するように構成される変速機構と、
前記回転部材と一体回転するように前記回転部材に設けられ、前記変速機構を駆動するように構成される電動アクチュエータと、を備える、変速機。
【請求項18】
前記変速機構は、シフトアップのためのシフトアップ動作、および、シフトダウンのためのシフトダウン動作の少なくとも一方を、前記人力駆動力を利用してアシストするように構成される変速アシスト機構を含み、
前記電動アクチュエータは、前記変速アシスト機構を駆動するように構成される、請求項17に記載の変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の変速機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人力駆動車用の変速機が知られている。例えば、特許文献1には、変速機構を備える変速機の技術が開示される。変速機構は、複数のギア、および、切替部を含む。切替部は、複数のギアの中から人力駆動力を伝達するギアを変更するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2012/066124A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の変速機において、変速性能の向上が望まれる。
【0005】
本開示の目的の1つは、変速性能を向上できる変速機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従う変速機は、人力駆動車用の変速機であって、クランク軸を回転可能に支持するハウジングと、ハウジングに回転可能に設けられ、クランク軸から人力駆動力が伝達される出力軸と、ハウジングにおいてクランク軸と出力軸との間における人力駆動力の伝達経路に設けられ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作を実行するように構成される変速機構と、を備え、変速機構は、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストするように構成される変速アシスト機構を含む。
第1側面の変速機によれば、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストできるため、変速性能を向上できる。
【0007】
第1側面に従う第2側面の変速機において、変速アシスト機構は、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作をアシストするように構成される。
第2側面の変速機によれば、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作を、人力駆動力を利用してアシストできるため、変速性能をさらに向上できる。
【0008】
第1、または、第2側面に従う第3側面の変速機において、変速機構は、ハウジングに回転可能に設けられる中継軸と、中継軸に設けられ、クランク軸から人力駆動力が伝達される複数の中継軸入力回転体と、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において、人力駆動力が中継軸に伝達されるように、複数の中継軸入力回転体を選択的に中継軸に接続する第1接続部と、を含む。
第3側面の変速機によれば、複数の中継軸入力回転体を含む変速機構において、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストできる。
【0009】
第3側面に従う第4側面の変速機において、第1接続部は、中継軸と一体回転するように中継軸に設けられる複数の第1変速爪部材と、中継軸に設けられ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において中継軸に対して相対回転することによって、複数の第1変速爪部材を選択的に複数の中継軸入力回転体に係合させる変速制御部材と、を含む。
第4側面の変速機によれば、複数の第1変速爪部材と、変速制御部材と、を含む変速機構において、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストできる。
【0010】
第4側面に従う第5側面の変速機において、変速アシスト機構は、クランク軸に人力駆動力が入力され、かつ、変速機構によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方が行われる場合に、人力駆動力によって変速制御部材、および、中継軸を相対回転させることによって、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方をアシストするように構成される。
第5側面の変速機によれば、クランク軸に人力駆動力が入力され、変速の抵抗が増加する場合において、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方をアシストできるため、変速し易くできる。
【0011】
第4、または、第5側面に従う第6側面の変速機において、変速アシスト機構は、変速制御部材と一体的に回転するように中継軸に設けられる第1回転体と、中継軸、および、第1回転体に対して相対回転可能に中継軸に設けられ、人力駆動力によって、中継軸よりも速い回転速度において回転可能な増速回転体と、クランク軸に人力駆動力が入力され、かつ、変速機構によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方が実行される場合に、第1回転体を増速回転体に連結させる第1連結部と、を含む。
第6側面の変速機によれば、クランク軸に人力駆動力が入力され、変速の抵抗が増加する場合において、第1回転体の回転速度を人力駆動力によって増加させ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方をアシストできる。
【0012】
第6側面に従う第7側面の変速機において、第1連結部は、第1回転体と一体回転するように第1回転体に設けられる少なくとも1つの第1連結爪部材と、中継軸に設けられ、第1回転体に対して相対回転することによって、第1連結爪部材が増速回転体に係合する第1位置、および、第1連結爪部材が増速回転体に係合しない第2位置に移動可能な第2回転体と、を含み、クランク軸に人力駆動力が入力され、かつ、変速機構によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方が行われる場合に、第2回転体が第2位置から第1位置に移動されることによって、第1連結爪部材を介して第1回転体が増速回転体に連結される。
第7側面の変速機によれば、第2回転体の移動によって第1回転体の回転速度を人力駆動力によって増加させ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方をアシストできる。
【0013】
第4、または、第5側面に従う第8側面の変速機において、変速アシスト機構は、ハウジングに固定される固定部材と、クランク軸に人力駆動力が入力され、かつ、変速機構によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方が行われる場合に、第1回転体を固定部材に連結する第2連結部と、を含む。
第8側面の変速機によれば、クランク軸に人力駆動力が入力され、変速の抵抗が増加する場合において、人力駆動力によって、中継軸が第1回転体に対して相対回転するため、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方をアシストできる。
【0014】
第8側面に従う第9側面の変速機において、第2連結部は、第2回転体と一体回転するように第2回転体に設けられる第2連結爪部材と、第2回転体に対して相対回転可能に中継軸に設けられ、第2回転体に対して相対回転することによって、第2連結爪部材が固定部材に係合する第3位置、および、第2連結爪部材が固定部材に係合しない第4位置に移動可能な第3回転体と、を含み、クランク軸に人力駆動力が入力され、かつ、変速機構によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方が行われる場合に、第3回転体が第4位置から第3位置に移動されることによって、第2回転体を介して第1回転体を固定部材に連結する。
第9側面の変速機によれば、第3回転体の移動によって中継軸が第1回転体に対して相対回転するため、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方をアシストできる。
【0015】
第6、または、第7側面に従う第10側面の変速機において、変速アシスト機構は、ハウジングに固定される固定部材と、クランク軸に人力駆動力が入力され、かつ、変速機構によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方が行われる場合に、第1回転体を固定部材に連結する第2連結部と、を含む。
第10側面の変速機によれば、クランク軸に人力駆動力が入力され、変速の抵抗が増加する場合において、人力駆動力によって、中継軸が第1回転体に対して相対回転するため、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方をアシストできる。
【0016】
第10側面に従う第11側面の変速機において、第2連結部は、第2回転体と一体回転するように第2回転体に設けられる第2連結爪部材と、第2回転体に対して相対回転可能に中継軸に設けられ、第2回転体に対して相対回転することによって、第2連結爪部材が固定部材に係合する第3位置、および、第2連結爪部材が固定部材に係合しない第4位置に移動可能な第3回転体と、を含み、クランク軸に人力駆動力が入力され、かつ、変速機構によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方が行われる場合に、第3回転体が第4位置から第3位置に移動されることによって、第2回転体を介して第1回転体を固定部材に連結する。
第11側面の変速機によれば、第3回転体の移動によって中継軸が第1回転体に対して相対回転するため、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方をアシストできる。
【0017】
第11側面に従う第12側面の変速機において、第2回転体を第1回転体に対して相対回転させ、第3回転体を第2回転体に対して相対回転させるように構成される変速制御部をさらに含む。
第12側面の変速機によれば、変速制御部の動作によって、人力駆動力を利用して、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作をアシストできる。
【0018】
第12側面に従う第13側面の変速機において、変速制御部は、中継軸に設けられる遊星歯車機構を含む。
第13側面の変速機によれば、遊星歯車機構によって、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作をアシストできる。
【0019】
第12側面に従う第14側面の変速機において、変速制御部は、中継軸に設けられる電動アクチュエータを含む。
第14側面の変速機によれば、電動アクチュエータによって、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作をアシストできる。
【0020】
第3から第14側面のいずれか1つに従う第15側面の変速機において、変速機構は、中継軸に設けられる複数の中継軸出力回転体を、さらに含み、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において、人力駆動力が中継軸から中継軸出力回転体に伝達されるように、複数の中継軸入力回転体を選択的に中継軸に接続する第2接続部と、を含む。
第15側面の変速機によれば、複数の中継軸出力回転体を含む変速機構において、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストできる。
【0021】
第15側面に従う第16側面の変速機において、第1接続部は、中継軸と一体回転するように中継軸に設けられる複数の第1変速爪部材と、中継軸に設けられ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において中継軸に対して相対回転することによって、複数の第1変速爪部材を選択的に複数の中継軸入力回転体に係合させる変速制御部材と、を含み、第2接続部は、中継軸と一体回転するように中継軸に設けられる複数の第2変速爪部材を含み、変速制御部材は、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において中継軸に対して相対回転することによって、複数の第2変速爪部材を選択的に複数の中継軸出力回転体に係合させる。
第16側面の変速機によれば、複数の第1変速爪部材、複数の第2変速爪部材、変速制御部材を含む変速機構において、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストできる。
【0022】
本開示の第17側面に従う変速機は、人力駆動車用の変速機であって、人力駆動車に人力駆動力が入力されることによって回転可能な回転部材を含み、変速比率を変更するように構成される変速機構と、回転部材と一体回転するように回転部材に設けられ、変速機構を駆動するように構成される電動アクチュエータと、を備える。
第17側面の変速機によれば、電動アクチュエータによって変速機構を駆動するので、変速機の変速性能を向上できる。第17側面の変速機によれば、さらに、回転部材において変速が切り替えられる場合に、変速機構の複雑化を抑制できる。
【0023】
第17側面に従う第18側面の変速機は、変速機構は、シフトアップのためのシフトアップ動作、および、シフトダウンのためのシフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストするように構成される変速アシスト機構を含み、電動アクチュエータは、変速アシスト機構を駆動するように構成される。
第18側面の変速機によれば、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方をアシストできるため、変速機の変速性能を向上できる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の変速機によれば、変速性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係るドライブユニット、および、ドライブトレインを示す側面図。
図2】変速機付きドライブユニットの構成を示す模式図。
図3】中継軸、変速制御部材、変速アシスト機構、および、変速制御部を示す分解斜視図。
図4】中継軸、第1変速爪部材、および、変速制御部材を示す側面断面図。
図5】中継軸、変速制御部材、変速アシスト機構、および、変速制御部を示す正面断面図。
図6】変速制御部材、第1回転体、および、第1連結部を示す斜視図。
図7】変速制御部材、第1回転体、および、第1連結部を示す側面断面図。
図8】第2回転体、および、第2連結部を示す斜視図。
図9】第2回転体、および、第2連結部を示す側面断面図。
図10】人力駆動力、および、モータの駆動力がフロントスプロケットに伝達される様子を示す模式図。
図11】変速アシスト機構に人力駆動力が伝達される様子を示す正面断面図。
図12】第1回転体に対して第2回転体が相対回転する様子を示す正面断面図。
図13】第2回転体が第1位置に移動される状態を示す側面断面図。
図14】第1回転体に人力駆動力が伝達される様子を示す模式図。
図15】第2回転体が第2位置に移動される状態を示す側面断面図。
図16】第2回転体に対して第3回転体が相対回転する様子を示す正面断面図。
図17】第3回転体が第3位置に移動される状態を示す側面断面図。
図18】第3回転体が第3位置に移動される状態において、中継軸に人力駆動力が伝達される様子を示す模式図。
図19】モータを備えない変速機の構成の一例を示す模式図。
図20】変速アシスト機構の第1変形例を示す模式図。
図21】変速アシスト機構の第2変形例を示す模式図。
図22】第2実施形態に係る変速機付きドライブユニットの構成を示す模式図。
図23】駆動部の第1変形例を示す模式図。
図24】駆動部の第2変形例を示す模式図。
図25】駆動部の第3変形例を示す模式図。
図26】駆動部の第4変形例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1実施形態に係るドライブトレイン1、および、変速機付きドライブユニット6が説明される。第1実施形態に係るドライブトレイン1、および、変速機付きドライブユニット6の説明には、図1から図21が用いられる。ドライブトレイン1、および、変速機付きドライブユニット6は、人力駆動車に設けられる。本明細書においては、変速機付きドライブユニット6が、ドライブユニット6として記載される。
【0027】
人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車、および、2輪以上の車輪を有する乗り物を含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。
【0028】
図1に示されるドライブトレイン1は、人力駆動力を車輪に伝達するように構成される。ドライブトレイン1は、クランク2、フロントスプロケット3、ドライブチェーン4、および、リアスプロケット5を含む。
【0029】
クランク2は、人力駆動車のフレームに対して回転可能なクランク軸2a、クランク軸2aの軸方向の両端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム2bを含む。クランク軸2aは、回転中心軸心を有する。一対のクランクアーム2bには、それぞれペダル2cが連結される。
【0030】
フロントスプロケット3は、ドライブチェーン4を介してリアスプロケット5と連結される。フロントスプロケット3は、ベルト、および、シャフトの少なくとも1つを介してリアスプロケット5と連結されてもよい。ドライブトレイン1は、スプロケットにかえて、プーリ、および、ベベルギアの少なくとも1つを含んでもよい。
【0031】
図2に示されるように、ドライブユニット6は、人力駆動車に推進力を付与するように構成される。本実施形態では、ドライブユニット6は、人力駆動車用の変速機であって、クランク軸2aを回転可能に支持するハウジング10と、ハウジング10に回転可能に設けられ、クランク軸2aから人力駆動力が伝達される出力軸20と、ハウジング10においてクランク軸2aと出力軸20との間における人力駆動力の伝達経路に設けられ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作を実行するように構成される変速機構30と、を備える。ハウジング10は、中空状に形成される。ハウジング10は、人力駆動車のフレームに設けられる。
【0032】
出力軸20は、クランク軸2aに対して相対回転するように構成される。出力軸20には、フロントスプロケット3が着脱可能に固定される。出力軸20は、回転中心軸心を有する。出力軸20の回転中心軸心は、クランク軸2aの回転中心軸心と同軸上に配置される。出力軸20は、中空状に形成される。出力軸20は、クランク軸2aの回転中心軸心に関するクランク軸2aの径方向において、クランク軸2aの外側に配置され、クランク軸2aの回転中心軸心まわりにクランク軸2aを囲んで配置される。クランク軸2aは、出力軸20を貫通するように配置される。
【0033】
変速機構30は、ハウジング10に設けられる。変速機構30は、ハウジング10の内部空間に配置される。変速機構30は、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストするように構成される変速アシスト機構50を含む。
【0034】
本実施形態では、変速機構30は、ハウジング10に回転可能に設けられる中継軸32と、中継軸32に設けられ、クランク軸2aから人力駆動力が伝達される複数の中継軸入力回転体33と、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において、人力駆動力が中継軸32に伝達されるように、複数の中継軸入力回転体33を選択的に中継軸32に接続する第1接続部37と、を含む。変速機構30は、中継軸32に設けられる複数の中継軸出力回転体34を、さらに含み、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において、人力駆動力が中継軸32から中継軸出力回転体34に伝達されるように、複数の中継軸入力回転体33を選択的に中継軸32に接続する第2接続部40と、を含む。
【0035】
図2には、変速機構30の一例が示される。図2に示される変速機構30は、少なくとも1つのクランク軸回転体31、中継軸32、少なくとも1つの中継軸入力回転体33、少なくとも1つの中継軸出力回転体34、少なくとも1つの出力軸回転体35、接続部36、および、変速アシスト機構50を含む。
【0036】
少なくとも1つのクランク軸回転体31は、複数のクランク軸回転体31を含む。複数のクランク軸回転体31は、クランク軸2aの軸方向に並んで配置される。複数のクランク軸回転体31は、クランク軸2aと一体的に回転するように構成される。複数のクランク軸回転体31は、第1クランク軸回転体31aから第4クランク軸回転体31dを含む。複数のクランク軸回転体31の総数は、本実施形態に限定されない。
【0037】
第1クランク軸回転体31aから第4クランク軸回転体31dは、外歯部を含む。第1クランク軸回転体31aから第4クランク軸回転体31dの歯数は、互いに異なる。第1クランク軸回転体31aから第4クランク軸回転体31dは、クランク軸2aの軸方向において、歯数が少ない回転体ほどフロントスプロケット3に近い位置に配置される。
【0038】
図2、および、図3に示される中継軸32は、内周面32a、および、外周面32bを有する中空状に形成される。中継軸32は、回転中心軸心CA32を有する。中継軸32の回転中心軸心CA32は、クランク軸2aの回転中心軸心とは異なる。中継軸32の回転中心軸心CA32は、クランク軸2aの回転中心軸心と平行に配置される。
【0039】
図2に示される少なくとも1つの中継軸入力回転体33は、少なくとも1つのクランク軸回転体31と同じ数の中継軸入力回転体33を含む。本実施形態では、少なくとも1つの中継軸入力回転体33は、第1中継軸入力回転体33aから第4中継軸入力回転体33dを含む。第1中継軸入力回転体33aから第4中継軸入力回転体33dは、中継軸32の軸方向に並んで配置される。
【0040】
第1中継軸入力回転体33aから第4中継軸入力回転体33dは、内歯部、および、外歯部を含む。第1中継軸入力回転体33aから第4中継軸入力回転体33dの外歯部の歯数は、互いに異なる。第1中継軸入力回転体33aから第4中継軸入力回転体33dは、中継軸32の軸方向において、外歯部の歯数が多い回転体ほどフロントスプロケット3に近い位置に配置される。
【0041】
第1中継軸入力回転体33aの外歯部は、第1クランク軸回転体31aの外歯部と噛み合う。第2中継軸入力回転体33bの外歯部は、第2クランク軸回転体31bの外歯部と噛み合う。第3中継軸入力回転体33cの外歯部は、第3クランク軸回転体31cの外歯部と噛み合う。第4中継軸入力回転体33dの外歯部は、第4クランク軸回転体31dの外歯部と噛み合う。
【0042】
少なくとも1つの中継軸出力回転体34は、複数の中継軸出力回転体34を含む。複数の中継軸出力回転体34は、中継軸32の軸方向に並んで配置される。複数の中継軸出力回転体34は、第1中継軸出力回転体34aから第3中継軸出力回転体34cを含む。複数の中継軸出力回転体34の総数は、本実施形態に限定されない。
【0043】
第1中継軸出力回転体34aから第3中継軸出力回転体34cは、内歯部、および、外歯部を含む。第1中継軸出力回転体34aから第3中継軸出力回転体34cの外歯部の歯数は、互いに異なる。第1中継軸出力回転体34aから第3中継軸出力回転体34cは、中継軸32の軸方向において、外歯部の歯数が多い回転体ほどフロントスプロケット3に近い位置に配置される。
【0044】
少なくとも1つの出力軸回転体35は、出力軸20と一体的に回転するように構成される。少なくとも1つの出力軸回転体35は、少なくとも1つの中継軸出力回転体34と同じ数の出力軸回転体35を含む。本実施形態では、少なくとも1つの出力軸回転体35は、第1出力軸回転体35aから第3出力軸回転体35cを含む。第1出力軸回転体35aから第3出力軸回転体35cは、クランク軸2aの軸方向に並んで配置される。
【0045】
第1出力軸回転体35aから第3出力軸回転体35cは、外歯部を含む。第1出力軸回転体35aから第3出力軸回転体35cの歯数は、互いに異なる。第1出力軸回転体35aから第3出力軸回転体35cは、クランク軸2aの軸方向において、歯数が少ない回転体ほどフロントスプロケット3に近い位置に配置される。
【0046】
第1出力軸回転体35aの外歯部は、第1中継軸出力回転体34aの外歯部と噛み合う。第2出力軸回転体35bの外歯部は、第2中継軸出力回転体34bの外歯部と噛み合う。第3出力軸回転体35cの外歯部は、第3中継軸出力回転体34cの外歯部と噛み合う。
【0047】
接続部36は、第1接続部37、および、第2接続部40を含む。第1接続部37は、中継軸32と一体回転するように中継軸32に設けられる複数の第1変速爪部材38と、中継軸32に設けられ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において中継軸32に対して相対回転することによって、複数の第1変速爪部材38を選択的に複数の中継軸入力回転体33に係合させる変速制御部材39と、を含む。第2接続部40は、中継軸32と一体回転するように中継軸32に設けられる複数の第2変速爪部材41を含む。変速制御部材39は、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作において中継軸32に対して相対回転することによって、複数の第2変速爪部材41を選択的に複数の中継軸出力回転体34に係合させる。少なくとも1つの中継軸入力回転体33の数がN1であり、少なくとも1つの中継軸出力回転体34の数がN2の場合、変速機30は、N1×N2の変速ステージを有する。本実施形態では、4つの中継軸入力回転体33の1つと、3つの中継軸出力回転体34の1つとが選択的に組み合わされることによって、変速機30は、12の変速ステージを有する。
【0048】
図3から図5が用いられ、複数の第1変速爪部材38、複数の第2変速爪部材41、および、変速制御部材39が説明される。図4には、中継軸32の軸方向において、中継軸32をフロントスプロケット3から遠い側から見た場合における、中継軸32、1つの第1変速爪部材38、および、変速制御部材39の断面が示される。複数の第1変速爪部材38は、中継軸32の外周面32bに設けられる。本実施形態では、1つの中継軸入力回転体33に対応して1つの第1変速爪部材38が中継軸32の外周面32bに設けられる。複数の第1変速爪部材38は、爪本体部38a、先端部38b、および、延出部38cを含む。
【0049】
先端部38bは、爪本体部38aから複数の中継軸入力回転体33の内歯部に向けて突出可能に構成される。先端部38bは、付勢部材によって、複数の中継軸入力回転体33の内歯部に向けて付勢される。付勢部材は、例えば、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する周方向において、中継軸32の外周面32bに沿って延びるC形状のスプリングによって形成される。付勢部材は、爪本体部38aの一部に接触する。図5に示されるように、延出部38cは、爪本体部38aから、中継軸32の軸方向に突出する。
【0050】
図3に示される複数の第2変速爪部材41は、中継軸32の外周面32bに設けられる。本実施形態では、1つの中継軸出力回転体34に対応して1つの第2変速爪部材41が中継軸32の外周面32bに設けられる。複数の第2変速爪部材41は、先端部の向きが第1変速爪部材38と異なる点を除いて、複数の第1変速爪部材38と同様に構成される。複数の第2変速爪部材41の先端部は、複数の中継軸出力回転体34の内歯部を向くように配置される。
【0051】
図3、および、図4に示される変速制御部材39は、中継軸32の外周面32bに設けられる。変速制御部材39は、ベース部39a、複数の入力側制御アーム39b、複数の入力側凹部39c、複数の出力側制御アーム39d、および、複数の出力側凹部39eを含む。ベース部39aは、中継軸32の軸方向に延びるように形成される。
【0052】
複数の入力側制御アーム39bは、ベース部39aから、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する周方向に突出する。複数の入力側制御アーム39bは、中継軸32の軸方向に間隔をあけて配置される。複数の入力側制御アーム39bは、内周面を含む。複数の入力側制御アーム39bは、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する径方向において、第1変速爪部材38の延出部38cの外側に配置される。1つの入力側制御アーム39bは、1、または、2つの第1変速爪部材38を制御する。
【0053】
複数の入力側凹部39cは、1つの入力側制御アーム39bの内周面に、少なくとも1つ形成される。複数の入力側凹部39cは、内部空間を有する。図4に示されるように、1つの第1変速爪部材38の延出部38cが1つの入力側凹部39cの内部空間に移動されると、1つの中継軸入力回転体33の内歯部に1つの第1変速爪部材38の先端部38bが係合される。1つの中継軸入力回転体33の内歯部に先端部38bが係合されることによって、中継軸32には、1つの中継軸入力回転体33を介して人力駆動力が伝達される。第1変速爪部材38は、中継軸入力回転体33が第1回転方向D1に回転する場合、人力駆動力を中継軸32に伝達し、中継軸入力回転体33が第2回転方向D2に回転する場合、人力駆動力を中継軸32に伝達しない。クランク軸2aが前転する場合、中継軸入力回転体33が第1回転方向D1に回転し、クランク軸2aが後転する場合、中継軸入力回転体33が第2回転方向D2に回転する。第1変速爪部材38は、中継軸32、および、中継軸入力回転体33と共に、ワンウェイクラッチを構成する。
【0054】
複数の出力側制御アーム39dは、複数の第2変速爪部材41の延出部に対して、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する径方向の外側に配置される点を除いて、複数の入力側制御アーム39bと同様に形成される。複数の出力側凹部39eは、1つの出力側制御アーム39dの内周面に、少なくとも1つ形成される。1つの出力側制御アーム39dは、1、または、2つの第2変速爪部材41を制御する。中継軸32の軸方向に相互に隣接する入力側制御アーム39bと出力側制御アーム39dとは、一体に形成されていてもよい。
【0055】
1つの第2変速爪部材41の延出部が1つの出力側凹部39eの内部空間に移動されると、1つの中継軸出力回転体34の内歯部に1つの第2変速爪部材41の先端部が係合される。1つの中継軸出力回転体34の内歯部に先端部が係合されることによって、中継軸32から、1つの中継軸出力回転体34に人力駆動力が伝達される。第2変速爪部材41は、第2変速爪部材41が第1回転方向D1に回転する場合、人力駆動力を中継軸出力回転体34に伝達し、中継軸入力回転体33が第2回転方向D2に回転する場合、人力駆動力を中継軸出力回転体34に伝達しない。第2変速爪部材41は、中継軸32、および、中継軸出力回転体34と共に、ワンウェイクラッチを構成する。
【0056】
変速制御部材39、および、中継軸32が相対回転すると、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する周方向における、複数の入力側凹部39c、および、複数の第1変速爪部材38の延出部38cの位置関係が変化する。位置関係の変化によって、人力駆動力を中継軸32に伝達する1つの中継軸入力回転体33が変更され、変速比率が変更される。変速制御部材39、および、中継軸32が相対回転すると、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する周方向における、複数の出力側凹部39e、および、複数の第2変速爪部材41の延出部の位置関係が変化する。位置関係の変化によって、中継軸32から人力駆動力が伝達される1つの中継軸出力回転体34が変更され、変速比率が変更される。
【0057】
クランク軸2aに人力駆動力が入力される状態において変速制御部材39、および、中継軸32が相対回転する場合、図4に示される1つの第1変速爪部材38の先端部38b、および、1つの中継軸入力回転体33の内歯部の間に摩擦力が生じる。摩擦力が大きくなると、1つの第1変速爪部材38の先端部38bが1つの中継軸入力回転体33の内歯部から抜け難くなるため、変速の抵抗が増加し、変速し難い。
【0058】
変速アシスト機構50は、クランク軸2aに人力駆動力が入力され、かつ、変速機構30によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方が行われる場合に、人力駆動力によって変速制御部材39、および、中継軸32を相対回転させることによって、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方をアシストするように構成される。本実施形態では、変速アシスト機構50は、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作をアシストするように構成される。
【0059】
変速アシスト機構50は、変速制御部材39と一体的に回転するように中継軸32に設けられる第1回転体51と、中継軸32、および、第1回転体51に対して相対回転可能に中継軸32に設けられ、人力駆動力によって、中継軸32よりも速い回転速度において回転可能な増速回転体52と、クランク軸2aに人力駆動力が入力され、かつ、変速機構30によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方が実行される場合に、第1回転体51を増速回転体52に連結させる第1連結部と、を含む。
【0060】
第1連結部は、第1回転体51と一体回転するように第1回転体51に設けられる少なくとも1つの第1連結爪部材53と、中継軸32に設けられ、第1回転体51に対して相対回転することによって、第1連結爪部材53が増速回転体52に係合する第1位置、および、第1連結爪部材53が増速回転体52に係合しない第2位置に移動可能な第2回転体55と、を含む。
【0061】
図2図3図5から図7が用いられ、第1回転体51、増速回転体52、および、第1連結部が説明される。図7には、中継軸32の軸方向において、第1回転体51、および、少なくとも1つの第1連結爪部材53等をフロントスプロケット3から遠い側から見た場合における、少なくとも1つの第1連結爪部材53等の断面が示される。図7には、増速回転体52に係合する少なくとも1つの第1連結爪部材53が想像線によって示される。図7には、増速回転体52に係合しない少なくとも1つの第1連結爪部材53が実線によって示される。
【0062】
図3に示されるように、第1回転体51は、円環状に形成される。第1回転体51は、中継軸32の外周面32bに、中継軸32に対して相対回転可能に設けられる。第1回転体51は、中継軸32の軸方向において、複数の入力側制御アーム39bよりもフロントスプロケット3に対して遠い側に配置される。図7に示されるように、第1回転体51は、第1本体部51a、および、接触部51bを含む。
【0063】
第1本体部51aには、変速制御部材39のベース部39aが固定される。接触部51bは、第1本体部51aから第1回転体51の軸方向に延出する。接触部51bは、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する径方向において、第1本体部51aの内側端部に形成される。接触部51bは、中継軸32の軸方向において、第1本体部51aを挟んで、複数の入力側制御アーム39bの反対側に配置される。
【0064】
図2、および、図5に示される増速回転体52は、内歯部、および、外歯部を含む。増速回転体52の外歯部は、クランク軸2aに固定されるクランク軸増速回転体52aの外歯部と噛み合う。クランク軸増速回転体52aの歯数は、複数のクランク軸回転体31のうちのいずれのクランク軸回転体31の歯数よりも多い。増速回転体52の外歯部の歯数は、複数の中継軸入力回転体33のうちのいずれの中継軸入力回転体33の外歯部の歯数よりも少ない。クランク軸増速回転体52aは、クランク軸2aにワンウェイクラッチを介して連結されてもよい。クランク軸増速回転体52aがワンウェイクラッチを介して、クランク軸2aに連結される場合、ワンウェイクラッチは、クランク軸2aが前転する場合にクランク軸2aからクランク軸増速回転体52aに人力駆動力を伝達し、クランク軸2aが後転する場合にクランク軸2aとクランク軸増速回転体52aとの相対回転を許容するように構成される。
【0065】
本実施形態では、第1連結部は、少なくとも1つの第1連結爪部材53、少なくとも1つの第1爪側付勢部材54、第2回転体55、および、第1本体側付勢部材56を含む。図3、および、図7に示されるように、少なくとも1つの第1連結爪部材53は、複数の第1連結爪部材53を含む。
【0066】
複数の第1連結爪部材53は、2つの第1連結爪部材53を含む。第1連結爪部材53の総数は、本実施形態に限定されない。複数の第1連結爪部材53は、基部53a、および、先端部53bを含む。基部53aは、第1回転体51の第1本体部51aに、第1回転体51に対して相対回転可能に支持される。基部53aは、中継軸32の軸方向に延びるピン部材53cが貫通する貫通孔を有し、ピン部材53cに揺動可能に支持される。ピン部材53cは、円柱形状を有する。ピン部材53cの第1本体部51a側の端部は、第1本体部51aに固定される。基部53aと、ピン部材53cとは、一体形成されてもよい。基部53aと、ピン部材53cとが、一体形成される場合、第1本体部51aはピン部材53cが貫通する貫通孔を有し、第1本体部51aがピン部材53cを揺動可能に支持する。先端部53bは、基部53aから増速回転体52の内歯部に向けて突出可能に構成される。
【0067】
図7に示されるように、少なくとも1つの第1爪側付勢部材54は、少なくとも1つの第1連結爪部材53と同じ数の第1爪側付勢部材54を含む。本実施形態では、少なくとも1つの第1爪側付勢部材54は、2つの第1爪側付勢部材54を含む。複数の第1爪側付勢部材54は、対応する第1連結爪部材53の先端部53bを、増速回転体52の内歯部に向けて付勢するように構成される。少なくとも1つの第1爪側付勢部材54は、例えば、圧縮ねじりばねによって形成される。
【0068】
図5から図7に示される第2回転体55は、円環状に形成される。第2回転体55は、中継軸32の外周面32bに、中継軸32に対して相対回転可能に設けられる。第2回転体55、および、第1回転体51は、中継軸32の軸方向に並んで配置される。第2回転体55は、中継軸32の軸方向において、第1回転体51よりもフロントスプロケット3に対して遠い側に配置される。第2回転体55は、第2本体部55a、第1接触部55b、少なくとも1つの第1爪制御部55c、および、第2接触部55dを含む。
【0069】
第1接触部55bは、第2本体部55aから第1回転体51に向けて延出する。図7に示されるように、第1接触部55bは、中継軸32の軸方向から第2回転体55を見た場合に、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する周方向に沿う円弧状に形成される。第1接触部55bは、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する径方向において、第2本体部55aの内側端部に形成される。第1接触部55bの第1回転方向D1における上流側端部は、第2回転体55の第2回転方向D2の回転に応じて、第1回転体51の接触部51bと接触するように構成される。
【0070】
図6、および、図7に示される少なくとも1つの第1爪制御部55cは、少なくとも1つの第1連結爪部材53と同じ数の第1爪制御部55cを含む。本実施形態では、少なくとも1つの第1爪制御部55cは、2つの第1爪制御部55cを含む。複数の第1爪制御部55cは、対応する第1連結爪部材53の第1回転体51に対する回転を制御するように構成される。複数の第1爪制御部55cは、第2回転体55の第2本体部55aの外周面から、第1回転体51に向けて延出する。複数の第1爪制御部55cの第1回転方向D1における上流側端部は、第1連結爪部材53と接触するように構成される。
【0071】
図6に示される第2接触部55dは、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する径方向において、第2本体部55aの内側端部に形成される。第2接触部55dは、中継軸32の軸方向において、第2本体部55aから、第1回転体51に対して離間する方向に延出する。第2接触部55dは、中継軸32の軸方向において、第2本体部55aを挟んで、第1接触部55bの反対側に形成される。
【0072】
図7に示される第1本体側付勢部材56は、第2回転体55を、第1回転体51に対して第1回転方向D1の上流側に向けて付勢するように構成される。第1本体側付勢部材56は、第1回転体51の第1本体部51a、および、第2回転体55の第2本体部55aに取り付けられる。
【0073】
第2回転体55が第1本体側付勢部材56の付勢力に抗して、第1回転体51に対して第1回転方向D1に相対回転すると、複数の第1爪制御部55cは、複数の第1連結爪部材53から離れるように移動される。複数の第1爪制御部55cの移動に伴って、複数の第1連結爪部材53は、第1回転体51に対して相対回転される。
【0074】
複数の第1連結爪部材53の第1回転体51に対する相対回転によって、複数の第1連結爪部材53の先端部53bは、増速回転体52の内歯部に向けて移動され、増速回転体52の内歯部に係合される。第2回転体55は、第1回転体51に対して第1回転方向D1に相対回転することによって、第2位置から第1位置に移動できる。
【0075】
第1位置において、第2回転体55が第1回転体51に対して第2回転方向D2に相対回転すると、複数の第1連結爪部材53が複数の第1爪制御部55cに押圧されて第1回転体51に対して相対回転され、複数の第1連結爪部材53の先端部53bは、増速回転体52の内歯部から離間される。先端部53bが増速回転体52の内歯部から離間されることによって、複数の第1連結爪部材53は、増速回転体52との係合が解除される。第2回転体55は、第1回転体51に対して第2回転方向D2に相対回転することによって、第1位置から第2位置に移動できる。
【0076】
本実施形態では、変速アシスト機構50は、ハウジング10に固定される固定部材57と、クランク軸2aに人力駆動力が入力され、かつ、変速機構30によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方が行われる場合に、第1回転体51を固定部材57に連結する第2連結部と、をさらに含む。図2、および、図5に示される固定部材57は、内歯部を含む。
【0077】
図3図5図8、および、図9が用いられ、第2連結部の構成が説明される。図9には、中継軸32の軸方向において、第2回転体55、および、少なくとも1つの第2連結爪部材58等をフロントスプロケット3から遠い側から見た場合における、少なくとも1つの第2連結爪部材58等の断面が示される。図9には、固定部材57に係合する少なくとも1つの第2連結爪部材58が想像線によって示される。図9には、固定部材57に係合しない少なくとも1つの第2連結爪部材58が実線によって示される。
【0078】
第2連結部は、第2回転体55と一体回転するように第2回転体55に設けられる第2連結爪部材58と、第2回転体55に対して相対回転可能に中継軸32に設けられ、第2回転体55に対して相対回転することによって、第2連結爪部材58が固定部材57に係合する第3位置、および、第2連結爪部材58が固定部材57に係合しない第4位置に移動可能な第3回転体60と、を含む。
【0079】
本実施形態では、第2連結部は、少なくとも1つの第2連結爪部材58、少なくとも1つの第2爪側付勢部材59、第3回転体60、および、第2本体側付勢部材61を含む。図3、および、図9に示されるように、少なくとも1つの第2連結爪部材58は、複数の第2連結爪部材58を含む。
【0080】
複数の第2連結爪部材58は、2つの第2連結爪部材58を含む。第2連結爪部材58の総数は、本実施形態に限定されない。複数の第2連結爪部材58は、第2回転体55の第2本体部55aに設けられる点、および、先端部58bの向きが第1連結爪部材53と異なる点を除いて、複数の第1連結爪部材53と同様に構成される。複数の第2連結爪部材58の先端部58bは、固定部材57の内歯部を向くように配置される。
【0081】
図9に示されるように、少なくとも1つの第2爪側付勢部材59は、少なくとも1つの第2連結爪部材58と同じ数の第2爪側付勢部材59を含む。本実施形態では、少なくとも1つの第2爪側付勢部材59は、2つの第2爪側付勢部材59を含む。複数の第2爪側付勢部材59は、対応する第2連結爪部材58の先端部58bを、固定部材57の内歯部に向けて付勢するように構成される。少なくとも1つの第2爪側付勢部材59は、例えば、圧縮ねじりばねによって形成される。
【0082】
図5図8、および、図9に示される第3回転体60は、円環状に形成される。第3回転体60は、中継軸32の外周面32bに、中継軸32に対して相対回転可能に設けられる。第3回転体60、および、第2回転体55は、中継軸32の軸方向に並んで配置される。第3回転体60は、中継軸32の軸方向において、第2回転体55よりもフロントスプロケット3に対して遠い側に配置される。第3回転体60は、第3本体部60a、接触部60b、少なくとも1つの第2爪制御部60c、および、取付部60dを含む。
【0083】
接触部60bは、第3本体部60aから第2回転体55に向けて延出する。図9に示されるように、接触部60bは、中継軸32の軸方向から第3回転体60を見た場合に、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する周方向に沿う円弧状に形成される。接触部60bは、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する径方向において、第3本体部60aの内側端部に形成される。接触部60bの第1回転方向D1における下流側端部は、第3回転体60の第1回転方向D1の回転に応じて、第2回転体55の第2接触部55dと接触するように構成される。
【0084】
図8、および、図9に示される少なくとも1つの第2爪制御部60cは、少なくとも1つの第2連結爪部材58と同じ数の第2爪制御部60cを含む。本実施形態では、少なくとも1つの第2爪制御部60cは、2つの第2爪制御部60cを含む。複数の第2爪制御部60cは、対応する第2連結爪部材58の第2回転体55に対する回転を制御するように構成される。複数の第2爪制御部60cは、第3回転体60の第3本体部60aの外周面から、第2回転体55に向けて延出する。複数の第2爪制御部60cの第1回転方向D1における下流側端部は、第2連結爪部材58と接触するように構成される。
【0085】
図8に示される取付部60dは、円筒状に形成される。取付部60dは、中継軸32の回転中心軸心CA32に関する径方向において、第3本体部60aの内側端部に形成される。取付部60dは、中継軸32の軸方向において、第3本体部60aから、第2回転体55に対して離間する方向に延出する。取付部60dは、中継軸32の軸方向において、第3本体部60aを挟んで接触部60bの反対側に形成される。
【0086】
図9に示される第2本体側付勢部材61は、第3回転体60を、第2回転体55に対して第1回転方向D1の下流側に向けて付勢するように構成される。第2本体側付勢部材61は、第2回転体55の第2本体部55a、および、第3回転体60の第3本体部60aに取り付けられる。
【0087】
第3回転体60が第2本体側付勢部材61の付勢力に抗して、第2回転体55に対して第2回転方向D2に相対回転すると、複数の第2連結爪部材58の先端部58bが固定部材57の内歯部に係合する第3位置に移動される。第3回転体60は、第3位置において、第2回転体55に対して第1回転方向D1に相対回転することによって、複数の第2連結爪部材58の先端部58bが固定部材57の内歯部に係合しない第4位置に移動される。
【0088】
本実施形態では、ドライブユニット6は、第2回転体55を第1回転体51に対して相対回転させ、第3回転体60を第2回転体55に対して相対回転させるように構成される変速制御部70をさらに含む。変速制御部70は、中継軸32に設けられる遊星歯車機構71を含む。
【0089】
図2図3、および、図5に示される遊星歯車機構71は、第3回転体60にトルクを伝達するように構成される。遊星歯車機構71は、第1太陽ギア72、少なくとも1つの第1遊星ギア73、第1リングギア74、第2太陽ギア75、少なくとも1つの第2遊星ギア76、第2リングギア77、および、キャリア78を含む。第1太陽ギア72の歯数は、第2遊星ギア76の歯数と等しい。各第1遊星ギア73の歯数は、第2遊星ギア76の歯数と等しい。第1リングギア74の歯数は、第2リングギア77の歯数と等しい。
【0090】
第1太陽ギア72は、中継軸32と一体回転するように、中継軸32の外周面32bに設けられる。少なくとも1つの第1遊星ギア73は、第1太陽ギア72と噛み合う。第1リングギア74は、少なくとも1つの第1遊星ギア73と噛み合う。第1リングギア74には、変速操作装置の操作に応じてトルクが伝達される。第1リングギア74の外周面には、変速操作装置に接続されるボーデンケーブルが接続され、ボーデンケーブルの移動に応じて第1リングギア74が回転する。
【0091】
第2太陽ギア75は、第3回転体60と一体回転するように、第3回転体60の取付部60dに設けられる。少なくとも1つの第2遊星ギア76は、第2太陽ギア75と噛み合う。第2リングギア77は、少なくとも1つの第2遊星ギア76と噛み合う。第2リングギア77は、ハウジング10に固定される。キャリア78は、少なくとも1つの第1遊星ギア73、および、少なくとも1つの第2遊星ギア76を回転可能に支持する。
【0092】
図2に示されるように、ドライブユニット6は、人力駆動車に推進力を付与するための人力アシスト機構80をさらに含む。人力アシスト機構80は、モータ81を含む。モータ81は、ハウジング10に設けられる。モータ81は、ハウジング10の内部空間に配置される。モータ81は、モータ81の回転軸に固定される第1連結ギア81a、および、第1連結ギア81aと噛み合う第2連結ギア81bを含む。第2連結ギア81bは、第1中継軸出力回転体34aと噛み合う。
【0093】
モータ81は、クランク軸2aと出力軸20との間における人力駆動力の伝達経路に設けられればよい。モータ81が第2連結ギア81bを含む場合、第2連結ギア81bは、第1中継軸出力回転体34aとは異なるギアと噛み合ってよい。第2連結ギア81bは、例えば、複数の出力軸回転体35の1つと噛み合ってよい。第2連結ギア81bは、中継軸32に固定されてよい。
【0094】
図7図9から図11が用いられ、人力駆動力、および、モータ81の駆動力をフロントスプロケット3に伝達する動力の伝達経路が説明される。図10に示されるように、ライダーがペダル2cを踏み込んでクランク軸2aが回転されると、クランク軸2aから複数のクランク軸回転体31に人力駆動力が伝達される。人力駆動力は、第1変速爪部材38と係合される1つの中継軸入力回転体33を介して、中継軸32に伝達される。
【0095】
中継軸32は、人力駆動力が伝達されることによって、第1回転方向D1に回転する。人力駆動力は、中継軸32を介して、第2変速爪部材41と係合される1つの中継軸出力回転体34、および、変速制御部70に伝達される。1つの中継軸出力回転体34に伝達される人力駆動力は、1つの中継軸出力回転体34と噛み合う1つの出力軸回転体35、および、出力軸20を介して、フロントスプロケット3に伝達される。
【0096】
図11に示されるように、変速制御部70に伝達される人力駆動力は、第1太陽ギア72等を介して、第3回転体60に伝達される。第3回転体60は、人力駆動力が伝達されることによって、中継軸32と一体回転する。
【0097】
図9に示されるように、第3回転体60の第2爪制御部60cが第1回転方向D1の上流側において、第2連結爪部材58に接触されるため、第2回転体55は、第2爪制御部60cによって第1回転方向D1に押圧され、第3回転体60と一体回転する。第1回転体51は、図7に示される第1本体側付勢部材56によって第2回転体55と連結されるため、第2回転体55と一体回転する。変速制御部材39は、第1回転体51に固定されるため、第1回転体51と一体回転する。
【0098】
図10に示されるように、モータ81の駆動力は、第1連結ギア81a、および、第2連結ギア81bを介して、第1中継軸出力回転体34aに伝達される。モータ81の駆動力は、第1中継軸出力回転体34a、第1出力軸回転体35a、および、出力軸20を介して、フロントスプロケット3に伝達される。
【0099】
図5図7、および、図9が用いられ、クランク軸2aに人力駆動力が入力されない場合における、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作が説明される。ドライブユニット6は、変速操作装置の操作に応じて、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作を実行する。
【0100】
図5に示される変速制御部70の第1リングギア74には、変速操作装置の操作に応じて、第1回転方向D1のトルク、および、第2回転方向D2のトルクの一方が伝達される。第1リングギア74に伝達されるトルクは、第1遊星ギア73等を介して第3回転体60に伝達される。第3回転体60は、トルクが伝達されることによって、第1回転方向D1、および、第2回転方向D2の1方向に回転する。
【0101】
第3回転体60が第1回転方向D1に回転する場合、第2回転体55、および、第1回転体51は、第3回転体60と一体回転する。第3回転体60が第2回転方向D2に回転する場合、第2回転体55は、図9に示される第2本体側付勢部材61によって第3回転体60と連結されるため、第3回転体60と一体的に回転する。図7に示されるように、第2回転体55の第1接触部55bが第1回転方向D1の上流側において、第1回転体51の接触部51bに接触されるため、第1回転体51は、第1接触部55bによって第2回転方向D2に押圧され、第2回転体55と一体回転する。
【0102】
第1回転体51の回転によって、変速制御部材39は、中継軸32に対して相対回転する。変速制御部材39が中継軸32に対して相対回転することによって、変速比率が変更される。
【0103】
図9図12から図18が用いられ、クランク軸2aに人力駆動力が入力される場合における、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作が説明される。本実施形態では、クランク軸2aに人力駆動力が入力され、かつ、変速機構30によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方が行われる場合に、第2回転体55が第2位置から第1位置に移動されることによって、第1連結爪部材53を介して第1回転体51が増速回転体52に連結される。図9図12から図15が用いられ、第1回転体51が増速回転体52に連結される場合の動作が説明される。
【0104】
図12に示されるように、クランク軸2aに人力駆動力が入力されると、中継軸32は、第1回転方向D1に回転する。シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方が実行される場合、第1リングギア74に第1回転方向D1のトルクが伝達され、第3回転体60は、中継軸32に対して第1回転方向D1に相対回転する。
【0105】
図9に示されるように、第3回転体60の複数の第2爪制御部60cが第1回転方向D1の上流側において複数の第2連結爪部材58と接触されるため、第2回転体55は、第3回転体60と一体回転する。
【0106】
図13に示されるように、第1回転体51、および、複数の第1連結爪部材53は、第1回転方向D1の上流側において第2回転体55と接触されない。クランク軸2aに人力駆動力が入力されると変速の抵抗が増加するため、第2回転体55は、第1本体側付勢部材56の付勢力に抗して、第1回転体51に対して第1回転方向D1に相対回転する。
【0107】
第2回転体55が第1回転体51に対して第1回転方向D1に相対回転することによって、複数の第1連結爪部材53の先端部53bは、増速回転体52の内歯部と係合する。図14に示されるように、増速回転体52には、クランク軸増速回転体52aを介して人力駆動力が伝達される。人力駆動力は、増速回転体52、および、複数の第1連結爪部材53を介して、第1回転体51に伝達される。
【0108】
第1回転体51、および、変速制御部材39は、人力駆動力が伝達されることによって、クランク軸2aに人力駆動力が入力されて変速の抵抗が増加する場合に、中継軸32、第2回転体55、および、第3回転体60よりも速い回転速度において回転する。第1回転体51、および、変速制御部材39は、中継軸32、および、第2回転体55等に対して第1回転方向D1に相対回転する。変速制御部材39の中継軸32等に対する相対回転によって、人力駆動力を利用してシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方がアシストされるため、ペダリング時に変速し易い。
【0109】
図15に示されるように、第1回転体51が第2回転体55に対して相対回転すると、第1爪制御部55cによって、複数の第1連結爪部材53の先端部53bが増速回転体52の内歯部から離間され、複数の第1連結爪部材53、および、増速回転体52の係合が解除される。複数の第1連結爪部材53、および、増速回転体52の係合が解除されることによって、第1回転体51、第2回転体55、第3回転体60、変速制御部材39、および、中継軸32は、人力駆動力によって、第1回転方向D1に一体回転する。
【0110】
本実施形態では、クランク軸2aに人力駆動力が入力され、かつ、変速機構30によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方が行われる場合に、第3回転体60が第4位置から第3位置に移動されることによって、第2回転体55を介して第1回転体51を固定部材57に連結する。図7、および、図16から図18が用いられ、第1回転体51が固定部材57に連結される場合の動作が説明される。
【0111】
図16に示されるように、クランク軸2aに人力駆動力が入力されると、中継軸32は、第1回転方向D1に回転する。シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方が実行される場合、第1リングギア74に第2回転方向D2のトルクが伝達され、第3回転体60は、中継軸32に対して第2回転方向D2に相対回転する。
【0112】
図17に示されるように、第3回転体60は、第2回転方向D2の下流側において第2回転体55、および、第2連結爪部材58と接触されない。クランク軸2aに人力駆動力が入力されると、変速の抵抗が増加するため、第3回転体60は、第2本体側付勢部材61の付勢力に抗して、第2回転体55、および、第2連結爪部材58に対して第2回転方向D2に相対回転する。
【0113】
第3回転体60が第2回転体55に対して第2回転方向D2に相対回転することによって、複数の第2連結爪部材58の先端部58bは、固定部材57の内歯部と係合する。複数の第2連結爪部材58の先端部58bが固定部材57の内歯部と係合すると、固定部材57によって、第2回転体55の第1回転方向D1に沿う回転が規制される。
【0114】
図7に示されるように、第2回転体55が第1回転方向D1の上流側において第1回転体51と接触されるため、第2回転体55の第1回転方向D1に沿う回転が規制されると、第1回転体51、および、変速制御部材39の第1回転方向D1に沿う回転が規制される。
【0115】
図18に示されるように、第1回転体51、および、変速制御部材39の第1回転方向D1に沿う回転が規制される状態において、中継軸32には、人力駆動力が伝達される。中継軸32は、人力駆動力が伝達されることによって、クランク軸2aに人力駆動力が入力されて変速の抵抗が増加する場合に、第1回転体51、および、変速制御部材39に対して第1回転方向D1に相対回転する。中継軸32の変速制御部材39に対する相対回転によって、人力駆動力を利用してシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方がアシストされるため、ペダリング時に変速し易い。
【0116】
図17に示される第3回転体60は、中継軸32が第1回転体51等に対して第1回転方向D1に相対回転する際に、中継軸32からのトルクによって、第1回転方向D1に回転する。第3回転体60は、第1回転体51、および、第2回転体55に対して第1回転方向D1に相対回転する。
【0117】
第3回転体60が第2回転体55等に対して相対回転すると、複数の第2連結爪部材58の先端部58bが固定部材57の内歯部から離間され、複数の第2連結爪部材58、および、固定部材57の係合が解除される。複数の第2連結爪部材58、および、固定部材57の係合が解除されることによって、第1回転体51、第2回転体55、第3回転体60、変速制御部材39、および、中継軸32は、人力駆動力によって、第1回転方向D1に一体回転する。
【0118】
ドライブユニット6の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、図19に示される変速機のように、ハウジング10には、人力アシスト機構80が設けられなくてよい。変速アシスト機構50は、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の少なくとも一方をアシストすればよい。図20、および、図21が用いられ、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作のいずれかをアシストする、変速アシスト機構50の第1変形例、および、第2変形例が説明される。
【0119】
図20に示されるように、第1変形例の変速アシスト機構50において、遊星歯車機構71の第2太陽ギア75は、第2回転体55に設けられる。クランク軸2aに人力駆動力が入力され、かつ、変速機構30によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方が行われる場合、遊星歯車機構71を介して、第2回転体55に第1回転方向D1のトルクが伝達される。第2回転体55にトルクが伝達されることによって、第1回転体51が増速回転体52に連結され、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方がアシストされる。
【0120】
図21に示されるように、第2変形例の変速アシスト機構50は、第2回転体55に変速制御部材39が固定される。クランク軸2aに人力駆動力が入力され、かつ、変速機構30によってシフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方が行われる場合、遊星歯車機構71を介して、第3回転体60に第2回転方向D2のトルクが伝達される。第3回転体60にトルクが伝達されることによって、第2回転体55が固定部材57に連結され、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方がアシストされる。
【0121】
(第2実施形態)
第2実施形態のドライブユニット6が説明される。第2実施形態のドライブユニット6の説明には、図22から図26が用いられる。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号が付され、重複する説明が省略される。
【0122】
第2実施形態のドライブユニット6は、人力駆動車用の変速機であって、人力駆動車に人力駆動力が入力されることによって回転可能な回転部材を含み、変速比率を変更するように構成される変速機構30と、回転部材と一体回転するように回転部材に設けられ、変速機構30を駆動するように構成される電動アクチュエータ91と、を備える。本実施形態では、回転部材は、中継軸32を含む。
【0123】
変速機構30は、シフトアップのためのシフトアップ動作、および、シフトダウンのためのシフトダウン動作の少なくとも一方を、人力駆動力を利用してアシストするように構成される変速アシスト機構50を含む。変速アシスト機構50は、変速制御部70によって動作される。変速制御部70は、中継軸32に設けられる電動アクチュエータ91を含む。電動アクチュエータ91は、変速アシスト機構50を駆動するように構成される。
【0124】
図22が用いられ、本実施形態の変速制御部70が説明される。図22に示される変速制御部70は、駆動部90を含む。駆動部90は、電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、受電装置94、および、受電コイル95を含む。減速機92は、省略されてもよい。
【0125】
電動アクチュエータ91は、中継軸32の外周面32bに設けられる。電動アクチュエータ91は、例えば、電気モータを含む。電動アクチュエータ91は、変速操作装置と無線通信するように構成される。電動アクチュエータ91には、変速操作装置の操作に応じて、変速操作装置から信号が入力される。電動アクチュエータ91の駆動力は、減速機92を介して第3回転体60に伝達される。電動アクチュエータ91が電気モータを含む場合、例えば、電気モータの回転軸は、中継軸32の回転軸に平行に配置される。
【0126】
電源93は、電動アクチュエータ91に電力を供給するように構成される。電源93は、例えば、充電池を含む。受電装置94は、無線によって、電源93の充電池を充電するように構成される。本実施形態では、受電装置94は、電磁誘導によって送電コイル96から受電コイル95に送信される電力を、電源93の充電池に充電するように構成される。電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、受電装置94、および、受電コイル95は、中継軸32と一体回転するように構成される。減速機92は、例えば、中継軸32の回転軸に平行な回転軸を有する複数の歯車92aを含む。図22には、複数の歯車92aが想像線によって示される。複数の歯車92aのうち、1つの歯車92aは、電気モータの回転軸に設けられる歯車91aと噛み合う。複数の歯車92aのうち、電気モータの歯車91aと噛み合う歯車92aとは異なる1つの歯車92aは、第3回転体60に形成される外歯部と噛み合う。
【0127】
電動アクチュエータ91は、変速操作装置からの信号に応じて動作する。例えば、クランク軸2aに人力駆動力が入力されない場合に電動アクチュエータ91から第3回転体60に動力が伝達されると、第1回転体51、第2回転体55、第3回転体60、および、変速制御部材39は、中継軸32に対して相対回転する。変速制御部材39等の中継軸32に対する相対回転によって、変速比率が変更される。
【0128】
例えば、クランク軸2aに人力駆動力が入力される場合において、電動アクチュエータ91から第3回転体60に動力が伝達されて第2回転体55が第1回転体51に対して相対回転する場合、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の一方がアシストされる。クランク軸2aに人力駆動力が入力される場合において、電動アクチュエータ91から第3回転体60に動力が伝達されて第3回転体60が第2回転体55に対して相対回転する場合、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作の他方がアシストされる。
【0129】
本実施形態では、駆動部90が中継軸32と一体回転することによって、第1変速爪部材38、および、第2変速爪部材41が中継軸32とともに回転していても、駆動部90によって第1変速爪部材38、および、第2変速爪部材41を制御できる。無線によって電源93の充電池が充電され、かつ、無線によって変速操作装置から電動アクチュエータ91に信号が入力されるため、駆動部90の配置の自由度を向上できる。配置の自由度を向上できることによって、駆動部90の組み立て作業を容易に行える。無線によって電源93の充電池が充電され、かつ、無線によって変速操作装置から電動アクチュエータ91に信号が入力されることによって、ボーデンケーブルを省略できる。
【0130】
電動アクチュエータ91は、ドライブユニット6の回転する部材に設けられるのであれば、どのように配置されてもよい。図23から図25が用いられ、電動アクチュエータ91の配置に関する変形例が説明される。図23、および、図24においては、減速機92の複数のギア92aの記載が省略される。図23には、第1変形例の駆動部90が示される。第1変形例において、中継軸32は、内周面32a、外周面32b、貫通孔32c、フロントスプロケット側軸方向端32d、アシスト機構側軸方向端32e、および、内部空間32fを含む。
【0131】
貫通孔32cは、中継軸32の内周面32aから外周面32bに達するように形成される。フロントスプロケット側軸方向端32dは、中継軸32のうち、中継軸32の軸方向においてフロントスプロケット3に近い側の端部に形成される。アシスト機構側軸方向端32eは、中継軸32のうち、中継軸32の軸方向においてフロントスプロケット側軸方向端32dとは反対側の端部に形成される。内部空間32fは、中継軸32の内周面32aによって定義される。
【0132】
電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、受電装置94、および、受電コイル95は、中継軸32の内部空間32fに配置される。電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、受電装置94、および、受電コイル95は、中継軸32と一体回転するように構成される。減速機92は、中継軸32の貫通孔32cを介して、第3回転体60に電動アクチュエータ91の動力を伝達するように構成される。受電コイル95は、中継軸32の軸方向において、電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、および、受電装置94よりもアシスト機構側軸方向端32eに近い側に配置される。
【0133】
第1変形例の駆動部90は、中継軸32の内部空間32fにおいて、中継軸32と一体回転するため、中継軸32の外部に設けられる部材と干渉し難い。駆動部90が中継軸32の外部に設けられる部材と干渉し難いため、駆動部90とは異なる部材の配置の自由度を向上できる。
【0134】
図24には、第2変形例の駆動部90が示される。第2変形例において、電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、受電装置94、および、受電コイル95は、第3回転体60と一体回転するように、第3回転体60の外周面に設けられる。電動アクチュエータ91の駆動力は、減速機92を介して中継軸32に伝達される。
【0135】
図25には、第3変形例の駆動部90が示される。第3変形例において、電動アクチュエータ91、および、減速機92は、中継軸32の外周面32bに設けられる。電源93、受電装置94、および、受電コイル95は、中継軸32の内部空間32fに配置される。電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、受電装置94、および、受電コイル95は、中継軸32と一体回転するように構成される。
【0136】
電動アクチュエータ91を備えるドライブユニット6の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、ドライブユニット6は、変速アシスト機構50を備えなくてよい。図26には、変速アシスト機構50を備えないドライブユニット6の一例が示される。
【0137】
図26に示されるように、電動アクチュエータ91は、中継軸32の外周面32bに設けられる。電動アクチュエータ91の駆動力は、減速機92を介して第1回転体51に伝達される。電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、受電装置94、および、受電コイル95は、中継軸32と一体回転するように構成される。電動アクチュエータ91、減速機92、電源93、受電装置94、および、受電コイル95の少なくとも1つは、中継軸32の内部空間32fに配置されてよい。
【0138】
(変形例)
各実施形態に関する説明は、本発明が取り得る形態の例示であり、本発明を制限することを意図していない。本発明は、例えば以下に示す各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わされた形態を取り得る。
【0139】
例えば、各実施形態におけるドライブユニット6の構成は一例であり、ドライブユニット6は、各実施形態において示されない各種装置を含んでいてもよく、各実施形態において示す各種装置のうち一部を含まない構成としてもよい。例えば、第2実施形態において、電源93は、充電池にかえて、充電できない電池、および、発電機の少なくとも一方を含んでよい。例えば、変速機構30は、遊星歯車機構によって、変速比率を変更するように構成されてよい。
【0140】
各実施形態において例示される構成は、相互に矛盾しない範囲において互いに組み合わせられてもよい。例えば、第2実施形態の電動アクチュエータ91が、第1実施形態の図20、および、図21に示される、シフトアップ動作、および、シフトダウン動作のいずれかをアシストする変速アシスト機構50を駆動するように構成されてもよい。電動アクチュエータ91は、例えば、図20に示される変速アシスト機構50を駆動する場合、第2回転体55、および、中継軸32の一方に駆動力を伝達するように構成される。
【0141】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」、または、「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0142】
2a…クランク軸、6…ドライブユニット、10…ハウジング、20…出力軸、30…変速機構、50…変速アシスト機構、32…中継軸、33…中継軸入力回転体、34…中継軸出力回転体、37…第1接続部、38…第1変速爪部材、39…変速制御部材、40…第2接続部、51…第1回転体、52…増速回転体、53,55…第1連結部、53…第1連結爪部材、55…第2回転体、57…固定部材、58,60…第2連結部、58…第2連結爪部材、60…第3回転体、70…変速制御部、71…遊星歯車機構、91…電動アクチュエータ
図1
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