(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090438
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】石英ガラスクロスの梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/24 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B65D81/24 F
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206353
(22)【出願日】2022-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩原 利夫
(72)【発明者】
【氏名】糸川 肇
(72)【発明者】
【氏名】野村 龍之介
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB99
3E067BA12A
3E067BB15A
3E067CA05
3E067CA24
3E067EA06
3E067EE25
3E067FA01
3E067FC01
3E067GB12
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】低誘電正接の石英ガラスクロスの誘電正接の悪化を抑制する梱包方法を提供する。
【解決手段】SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、梱包内が容積絶対湿度10.0g/m3以下の気体である、石英ガラスクロスの梱包方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、梱包内が容積絶対湿度10.0g/m3以下である、石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項2】
梱包内の容積絶対湿度が5.0g/m3以下である、請求項1記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項3】
SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、電池式の温湿度計を包装フィルム内へ同梱して測定した場合、梱包を開ける直前の5分以内の梱包内の容積絶対湿度が、9.8g/m3以下である、石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項4】
前記包装フィルムが、40℃・90%RH雰囲気下で水蒸気透過度が20g/m2・day以下の包装フィルムである、請求項1~3のいずれか1項記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項5】
前記包装フィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン(PA)、エチレン-ビニルアルコール共重合及び塩化ビニリデン、有機樹脂複層フィルム、ならびに金属蒸着フィルムから選択されるフィルムである、請求項1~3のいずれか1項記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項6】
梱包フィルム内に乾燥剤を同梱する、請求項1~3のいずれか1項記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項7】
前記乾燥剤が、相対湿度90%時の最大吸湿量が20質量%以上の乾燥剤である請求項6記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項8】
前記乾燥剤が、シリカゲル、ベントナイト、ゼオライト、塩化カルシウム、酸化カルシウム及び5酸化2リンから選択される乾燥剤である請求項6記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項9】
梱包初期時の包装フィルム内の容積絶対湿度が10.0g/m3以下である、請求項1又は2記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項10】
梱包初期時の包装フィルム内の容積絶対湿度が5.0g/m3以下である、請求項1又は2記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項11】
梱包内の気体が乾燥空気である、請求項1~3のいずれか1項記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項12】
梱包内の気体が不活性ガスである、請求項1~3のいずれか1項記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項13】
SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、前記包装フィルムが、40℃・90%RH雰囲気下で水蒸気透過度が20g/m2・day以下の包装フィルムであり、梱包フィルム内に乾燥剤を同梱する、石英ガラスクロスの梱包方法。
【請求項14】
梱包後に、梱包から取り出した石英ガラスクロスの10GHzでの誘電正接が、0.0005以下である、請求項1、3及び13のいずれか1項記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英ガラスクロスの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、5G等の高速通信化に伴い、ミリ波等の高周波を使用しても伝送損失の少ないプリント配線基板やアンテナ基板が強く望まれている。また、スマートフォン等の情報端末においては、プリント配線基板の高密度実装化や極薄化が著しく進行している。このプリント配線基板用のガラスクロスとして、Dガラス、NEガラス、Lガラス等の低誘電ガラスクロスが提案されている(特許文献1~3)。低誘電ガラスクロスと、フッ素樹脂やポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂、さらには低誘電エポキシ樹脂や低誘電マレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて得られるプリプレグを積層して加熱加圧硬化させた積層板が使用されている。
【0003】
信号の伝送損失はEdward A. Wolff式:伝送損失∝√ε×tanδ、が示すように、誘電率(ε)及び誘電正接(tanδ)が小さい材料ほど改善されることが知られている。そのため、ガラスクロスにおいてより低い誘電正接が求められ、石英ガラスが提案されている。特に、高温加熱処理し、エッチング処理することで10GHzでの誘電正接が0.0001を満足する石英ガラスクロスが提案されている(特許文献4)。しかしながら、これらの文献には梱包方法について記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-170483号公報
【特許文献2】特開2009-263569号公報
【特許文献3】特開2009-019150号公報
【特許文献4】特開2021-195689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
石英ガラスクロスは、その高い純度により表面に吸着水が付着しやすい。そのため、ユーザーへの納入形態及び梱包方法により誘電正接が経時変化して悪化することがある。本発明は、低誘電正接の石英ガラスクロスの誘電正接の悪化を抑制する梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
99.5質量%以上がSiO2の石英ガラスクロスでは、どんなに誘電正接の低い石英ガラスクロスであっても表面にわずかにSi-OH基が生じている。表面のSi-OH基は、水分を水素結合によって吸着しやすい。本発明者らは、低誘電正接の石英ガラスクロスが、搬入時の外気や梱包条件の影響を受けて誘電正接が低下することを見出した。この課題を解決するため、本発明者は、SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法において、梱包内の絶対湿度を制御することにより、低誘電正接である石英ガラスクロスの誘電正接の悪化を抑制できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は石英ガラスクロスの梱包方法を提供する。
1.SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、梱包内が容積絶対湿度10.0g/m3以下である、石英ガラスクロスの梱包方法。
2.梱包内の容積絶対湿度が5.0g/m3以下である、1記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
3.SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、電池式の温湿度計を包装フィルム内へ同梱して測定した場合、梱包を開ける直前の5分以内の梱包内の容積絶対湿度が、9.8g/m3以下である、石英ガラスクロスの梱包方法。
4.前記包装フィルムが、40℃・90%RH雰囲気下で水蒸気透過度が20g/m2・day以下の包装フィルムである1又は2記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
5.前記包装フィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン(PA)、エチレン-ビニルアルコール共重合及び塩化ビニリデン、有機樹脂複層フィルム、ならびに金属蒸着フィルムから選択されるフィルムである、1~4のいずれかに記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
6.梱包フィルム内に乾燥剤を同梱する、1~5のいずれかに記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
7.前記乾燥剤が、相対湿度90%時の最大吸湿量が20質量%以上の乾燥剤である、6記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
8.前記乾燥剤が、シリカゲル、ベントナイト、ゼオライト、塩化カルシウム、酸化カルシウム及び5酸化2リンから選択される乾燥剤である、7記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
9.梱包初期時の包装フィルム内の容積絶対湿度が10.0g/m3以下である、1~8のいずれかに記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
10.梱包初期時の包装フィルム内の容積絶対湿度が5.0g/m3以下である、9記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
11.梱包内の気体が乾燥空気である、1~10のいずれかに記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
12.梱包内の気体が不活性ガスである、1~10のいずれかに記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
13.SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、前記包装フィルムが、40℃・90%RH雰囲気下で水蒸気透過度が20g/m2・day以下の包装フィルムであり、梱包フィルム内に乾燥剤を同梱する、石英ガラスクロスの梱包方法。
14.梱包後に、梱包から取り出した石英ガラスクロスの10GHzでの誘電正接が、0.0005以下である、1~13のいずれかに記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低誘電石英ガラスクロスの誘電正接の悪化を抑制する梱包方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の石英ガラスクロスの梱包方法は、
SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、梱包内が容積絶対湿度10.0g/m3以下の気体である、石英ガラスクロスの梱包方法である。
また、SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、前記包装フィルムが、40℃・90%RH雰囲気下で水蒸気透過度が20g/m2・day以下の包装フィルムであり、梱包フィルム内に乾燥剤を同梱する、石英ガラスクロスの梱包方法である。
【0010】
[石英ガラスクロス]
本発明の石英ガラスクロスは、SiO2組成量が99.5質量%以上であり、誘電正接等の電気特性や熱膨張等の物理特性から、99.9質量%以上の石英ガラスが好ましい。SiO2組成量が99.5質量%未満だと、誘電正接の悪化によって本発明の効果が発揮できなくなる。
【0011】
石英ガラスクロスの製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。直径50~500mmの石英ガラスを1,700~2,300℃にて溶融させ、糸状になったものを巻き取ることで、直径200±100μmの石英糸を得ることができる。溶融温度がこの範囲であれば、安定的延伸化可能である。石英フィラメントは前記石英糸を酸素と水素の混合火炎にて1,700~2,300℃で直径2~15μmへ再延伸することで得ることができる。石英ストランドは、石英フィラメントを20~400本集束して製造する。ストランドを集束させるために、澱粉を主原料とし、機能性付与のため、柔軟剤や潤滑剤を配合した集束剤を用いる。石英ヤーンは上記で作製したストランドに撚りをかけることで得られる。撚りの頻度としては、25mmあたり0.1~5.0回が好ましい。
【0012】
石英ガラスクロスは、石英ヤーンを製織することで得られる。製織方法は、特に限定はされないが、例えば、エアージェット織機、ウォータージェット織機、レピア織機、シャトル織機等による製織方法等が挙げられる。エアージェット織機等で製織を行う場合は、さらなる潤滑性を得るために、ポリビニルアルコール(PVA)や澱粉を二次サイズ剤として付着させることができる。得られた石英ガラスクロスは後工程での樹脂の含侵性を上げるために、開繊処理が施される。開繊処理の方法としては、特に限定されないが、超音波を利用する開繊処理方法、高圧柱状水位流による方法、気水体積比を調整した気液混合ミストを利用する方法が挙げられ、石英ガラスクロスの種類によって適宜使い分けられる。
【0013】
上記で得られた石英ガラスクロスにはサイズ剤が表面に付着したままであり、サイズ剤は、脱油工程によって除去される。脱油工程は、水や有機溶剤による洗浄や有機物を燃焼させて除去するヒートクリーニング処理があり、より確実に脱油を行える点でヒートクリーニング処理が一般的である。この処理はフロー式やバッチ式の加熱炉を用いて行う方法が挙げられるが、フロー式は高温で一気にサイズ剤を焼き飛ばすため、石英ガラスクロスの強度低下やサイズ剤の焼け残りの問題があり、300~700℃で有機物をゆっくり燃焼させて除去するバッチ式が一般的である。
【0014】
この際、露点15℃以下の乾燥空気中で、石英ガラスクロスを加熱することで、石英ガラスクロスのSiOHが増加することを防ぎ、誘電正接に優れるガラスクロスを得ることができる。露点15℃以下の気体中にする方法としては、コンプレッサーやエアドライヤー等で作製した乾燥空気を加熱炉内に導入する方法が挙げられる。導入する乾燥気体の露点は、15℃(容積絶対湿度;12.8g/m3)以下が好ましく、0℃(容積絶対湿度;4.85g/m3)以下がより好ましく、-20℃(容積絶対湿度;1.07g/m3)以下がさらに好ましく、-60℃(容積絶対湿度;0.0193g/m3)以下が特に好ましい。気体中での加熱工程では、SiO2+H2O⇔Si-OHの反応は、露点が低ければ低いほど平衡が左に傾き、石英ガラスクロスの誘電正接を低下させる。乾燥空気の導入量については特には限定されないが、炉内の露点を十分に低下させ、かつ炉内の温度を一定に保てる範囲として一時間当たり乾燥炉の体積に対して0.5~20倍が好ましい。
【0015】
石英ガラスクロスは脱油後そのままの状態でもよいが、シランカップリング剤処理してシランカップリング剤処理石英ガラスクロスとすることで、ガラスクロス表面のSi-OH基を低減することからより好ましい。
【0016】
シランカップリング剤処理方法に関しては特に限定はされないが、布状の石英ガラスクロスに対しては湿式処理が好ましい。シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができるが、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルビニルエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、1,4-ビス(メトキシジメチルシリル)ベンゼン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジエトキシシラン等の不飽和基含有シランカップリング剤、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩等のアミノ基含有シランカップリング剤、その他に3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリスエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物が挙げられ、1種あるいは2種以上混合して使用してもよい。その中でも、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1種又は2種以上がより好ましい。
【0017】
上記シランカップリング剤の濃度は、通常0.1~5質量%の間の希薄水溶液で使用されるが、0.1~1質量%の間で使用するのが効果的である。これにより、上記シランカップリング剤が均一に付着し、石英ガラスクロス表面に対して、より均一な保護作用をもたらし取扱がしやすくなるばかりでなく、基板等を製作する際に用いられる樹脂に対しても均一でムラのない塗布が可能となる。また、シランカップリング剤の付着量は、付着させる石英ガラスクロスに対して、付着率0.01~0.3質量%とすることが好ましい。
【0018】
[石英ガラスクロスの梱包方法]
本発明においては、梱包内が容積絶対湿度10.0g/m3以下である。容積絶対湿度は7.5g/m3以下が好ましく、5.0g/m3以下がより好ましい。下限は特に限定されず、0g/m3であってもよい。その方法としては、例えば、梱包内に乾燥剤を同封したり、好適な包装フィルムを選択することにより、上記の乾燥気体の範囲が達成される。なお、本発明において、「梱包内の容積絶対湿度」の測定は、保管期間にかかわらず梱包を開けた直後に温湿度計の測定部を包装フィルム内へ導入し、再度密閉した後、5分後の値を容積絶対湿度とする。上記測定において、保管期間なしで測定した値である、梱包初期時の包装フィルム内の容積絶対湿度は、10.0g/m3以下が好ましく、5.0g/m3以下がより好ましい。梱包初期時の測定は、下限は特に限定されず、0g/m3であってもよい。なお、電池式の温湿度計を包装フィルム内へ同梱して測定した場合、梱包を開ける直前の5分以内の梱包内の容積絶対湿度(電池式の温湿度計同封による梱包内の容積絶対湿度)は、9.8g/m3以下が好ましく、容積絶対湿度は7.3g/m3以下が好ましく、4.9g/m3以下がより好ましい。下限は特に限定されず、0g/m3であってもよい。
【0019】
容積絶対湿度の測定は、温湿度計によって測定される、温度(℃)と相対湿度(%)から以下の式で算出される。
【数1】
温湿度計については温度と相対湿度が測定できればどのような測定器でもよく、上記計算式を使用せずとも直接、容積絶対湿度が測定できるものであってもよい。
【0020】
[包装フィルム]
石英ガラスクロスを梱包するための包装フィルムは、誘電正接への影響が少ない点から、40℃/90%RH雰囲気下で水蒸気透過度が20g/m2・day以下の包装フィルムが好ましい。水蒸気透過度は、10g/m2・day以下がより好ましく、5g/m2・day以下がさらに好ましい。下限は特に限定されず、0g/m2・dayであってもよい。水蒸気透過度の測定方法は、JISZ0208-1976に記載の方法で測定する。
【0021】
包装フィルムの基材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)、ナイロン(PA)、エチレン-ビニルアルコール共重合(EVOH)、塩化ビニリデン(PVDC)等の有機樹脂からなるフィルムや、PETやNAへPVDCをコートした有機樹脂複層フィルム、PP、PETへアルミナやシリカ蒸着した金属蒸着フィルム等の包装フィルムが挙げられる。中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、エチレンービニルアルコール共重合フィルム、有機樹脂複層フィルム及び金属蒸着フィルムから選択されるフィルムが好ましい。水蒸気透過度は有機樹脂単層フィルムに比べ、有機樹脂複層フィルムが低く、金属蒸着フィルムが最も水蒸気透過度が低い。梱包後の放置環境、時間により最適な包装フィルムが選択されるが、本発明では、梱包内に乾燥剤を入れることから、有機樹脂フィルムでもよい。
【0022】
[乾燥剤]
梱包した石英ガラスクロスに接触する空気中の水分を除去し、誘電正接の悪化を防止する乾燥剤は特に限定されず、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。例えば、シリカゲル、ベントナイト、ゼオライト、塩化カルシウム、酸化カルシウム及び5酸化2リン、合成ゼオライト、クレイ等が挙げられる。中でも、シリカゲル、ベントナイト、ゼオライト、塩化カルシウム、酸化カルシウム及び5酸化2リンが好ましく、シリカゲル、ベントナイト、ゼオライト及び塩化カルシウムがより好ましい。乾燥剤は、相対湿度90%時の最大吸湿量が20質量%以上のものが好ましく、50質%以上がより好ましく、100質量%以上がさらに好ましい。吸湿度の測定に関しては、JISZ0701-1977に記載の方法で測定する。乾燥剤の量は、梱包内が絶対湿度10.0g/m3以下となるよう適宜選定されればどのような量であってもよい。
【0023】
梱包内が容積絶対湿度であれば、梱包内は特に限定されないが、梱包内の気体としては、空気、窒素及びアルゴン等の不活性ガス等が挙げられる。中でも、生産効率の面で乾燥空気が好ましい。上記の乾燥空気を生成する装置としてはコンプレッサーやエアドライヤー等が挙げられる。
【0024】
石英ガラスクロスの梱包方法は、SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、梱包内が容積絶対湿度10.0g/m3以下の気体であれば、特に限定されないが、具体的には、例えば、幅1,270mmの紙管に、1,000m又は2,000m巻いた石英ガラスクロスを、40℃/90%RH雰囲気下で水蒸気透過度が20g/m2・day以下の包装フィルムで梱包し、梱包内に乾燥剤を含み、梱包内空気を容積絶対湿度5.0g/m3以下にした乾燥空気で梱包、保管する方法が好ましい。梱包内に露点0℃以下の乾燥空気で封入した梱包がより好ましい。
【0025】
上記方法で、石英ガラスクロスの誘電正接の悪化を抑制する。石英ガラスクロスの幅、長さは次工程に合わせて、幅1,300mm、長さ1,000m、2,000mに限定されない。例えば、400~650mm幅、例えば、800~1,300mm幅等から適宜選択される。
【0026】
梱包形態は特に限定されないが、上記包装フィルムからなる袋やフィルムで梱包後、両端をヒートシールして密閉系とすることが好ましい。また、梱包時の環境・雰囲気は低湿度雰囲気が好ましく、例えば、容積絶対湿度が10.0g/m3以下が好ましく、7.5g/m3以下がより好ましく、5.0g/m3以下がさらに好ましい。また、梱包時に、エアドライヤーで等で予め水分を除去した乾燥空気や容積絶対湿度の非常に低い窒素やアルゴンといった不活性ガスで置換してもよい。
【0027】
梱包(保管)の期間は特に限定されず、例えば、1日~3年から適宜選定され、例えば、3~10日、1ヶ月~12ヶ月等、目的に応じて適宜選定される。保管の環境・雰囲気は、低湿度雰囲気も特に限定されないが、梱包内の容積絶対湿度を低く保つ観点から、露点は25℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましく、15℃以下がさらに好ましく、10℃以下が特に好ましい。
【0028】
[石英ガラスクロスの10GHzの誘電正接]
本発明における梱包方法で梱包後の石英ガラスクロスの誘電正接は、10GHzで0.00050以下が好ましく、0.00035以下がより好ましい。本梱包方法により、石英ガラスクロスの10GHzの誘電正接を0.00050以下にすることができる。本梱包方法であれば、誘電正接は実質的に吸着水を取り除いた石英ガラスクロス本来の誘電正接であり、吸着水による誘電正接の影響を取り除くことができる。石英ガラスクロスの10GHzの誘電正接は、共振器、例えば、エーイーティー社製空洞共振器(TE011モード)を用いて測定する。
なお、ガラスクロスの厚みは理論膜厚を用いて測定しており、ガラスクロスの理論膜厚は理論膜厚t(μm)=目付量(g/m2)/比重(g/cm3)から算出する。詳細は実施例に記載の方法である。
【0029】
[保管前後の誘電正接比]
本発明における保管方法で保管した石英ガラスクロスの10GHzにおける誘電正接、誘電正接の比は1.5倍以下が好ましく、1.3倍以下がより好ましく、1.0倍以下がさらに好ましい。
【0030】
本発明は、SiO2を99.5質量%以上含む石英ガラスクロスを、包装フィルムで梱包する梱包方法であって、前記包装フィルムが、40℃・90%RH雰囲気下で水蒸気透過度が20g/m2・day以下の包装フィルムであり、梱包フィルム内に乾燥剤を同梱する、石英ガラスクロスの梱包方法である。好適なもの、量等は、上記と同じである。
【実施例0031】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0032】
SiO2が99.9質量%以上の石英ガラスインゴットを加熱延伸して、直径5.3μmの石英ガラスフィラメントからなる石英ガラス繊維を作製した。この石英ガラス繊維に、上記の石英ガラス繊維集束剤(澱粉3.0質量%、牛脂0.5質量%、乳化剤0.1質量%、残部水)を、アプリケーターにて塗布した後に集束機により集束し、巻き取って石英ガラスフィラメント本数200本の石英ガラスストランドを作製した。巻き取った石英ガラスストランドに24T/mの撚りを掛け、石英ガラスヤーンを作製した。
【0033】
得られた石英ガラスヤーンに二次集束剤としてポリ酢酸ビニル部分けん化物1.5質量%、澱粉1.5質量%からなる水溶液を塗布した後に、エアージェット織機を用いて、IPC規格1078の石英ガラスクロスを製造し、気水混合ミストによって開繊処理を行った。その後、ネムス社製電気炉B80×85×200-3Z12-10を用い、500℃、36時間加熱してサイズ剤を除去し、脱サイズ済み石英ガラスクロスを得た。この際、CKD株式会社製 スーパーヒートレスドライヤー SHD3025で作製した露点-70℃の乾燥空気を、1時間当たり、電気炉の体積の10倍量送り込んで乾燥状態で加熱を行った。得られた脱サイズ済み石英ガラスクロスに対して、付着率が0.05質量%となるように、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン:KBM-503(信越化学工業社製)で表面を処理し、シラン処理済み石英ガラスクロスを得た。この石英ガラスクロスの誘電正接(10GHz)は0.00035であった。
【0034】
[実施例1]
調製例で製造した幅1,270mmの石英ガラスクロスを内径76.5mm、外径182.6mm、幅1,320mmの紙管に1,000m巻いた石英ガラスクロス巻物を用意した。この巻物を高密度ポリエチレン(40℃/90%RHでの水蒸気透過度が5.0g/m2・day)の梱包用袋(表面積;2.8m2)で梱包し、梱包内に相対湿度90%時の最大吸湿量が30質量%の日本化工機材(株)製の不織布包装A形シリカゲル100gタイプを1袋入れて梱包した。この際(梱包初期時)、包装(フィルム)内のAND社製温湿度計AD-5696で測定した容積絶対湿度は7.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。保管後包装フィルムを開けて30秒以内にAND社製温湿度計AD-5696を入れた後に再度密閉した。容積絶対湿度は8.0g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00050であった。
【0035】
[実施例2]
調製例で製造した幅1,270mmの石英ガラスクロスを内径76.5mm、外径182.6mm、幅1,320mmの紙管に1,000m巻いた石英ガラスクロス巻物を用意した。この巻物を高密度ポリエチレン(40℃/90%RHでの水蒸気透過度が5.0g/m2・day)の梱包用袋(表面積;2.8m2)で梱包し、梱包内に日本化工機材(株)製の不織布包装A形シリカゲル100gタイプを1袋入れて梱包した。この際(梱包初期時)、包装(フィルム)内の容積絶対湿度は7.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。この際ガラスクロスと共にAND社製温湿度計AD-5696を同梱した。30日後、温湿度計の記録を確認したところ、梱包を開ける直前の包装内の容積絶対湿度は7.8g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00050であった。
【0036】
[実施例3]
実施例1と同様にして作製した石英ガラスクロス巻物を高密度ポリエチレン(40℃/90%RHでの水蒸気透過度が5.0g/m2・day)の梱包用袋(表面積;2.8m2)で梱包し、梱包内に日本化工機材(株)製の不織布包装A形シリカゲル200gタイプを3袋入れて梱包した。この際、包装フィルム内の容積絶対湿度は7.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は4.8g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00040であった。
【0037】
[実施例4]
実施例1と同様にして作製した石英ガラスクロス巻物を、ポリプロピレンに酢酸ビニルをコートした有機樹脂複層フィルム(40℃/90%RHでの水蒸気透過度が1.9g/m2・day)の梱包用袋(表面積;2.8m2)で梱包して、実施例1と同様に梱包内に日本化工機材(株)製の不織布包装A形シリカゲル200gタイプを3袋入れて梱包した。この際、包装フィルム内の容積絶対湿度は7.2g/m3であった。
梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は2.6g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00035であった。
【0038】
[実施例5]
実施例1と同様にして作製した石英ガラスクロス巻物を、ポリエステル(PET)にシリカ蒸着した蒸着フィルム(40℃/90%RHでの水蒸気透過度が1.0g/m2・day)の梱包用袋(表面積;2.8m2)で梱包して、実施例1と同様に梱包内に日本化工機材(株)製の不織布包装A形シリカゲル200gタイプを3袋入れて梱包した。この際、包装フィルム内の容積絶対湿度は7.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の容積絶対湿度は2.1g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00030であった。
【0039】
[実施例6]
実施例5と同様にした石英ガラスクロス巻物の梱包で、梱包内に相対湿度90%時の最大吸湿量が30質量%の株式会社東海化学工業所製不織布包装クレイ系乾燥剤デシクレイ100gタイプを、6袋入れて梱包した。この際、包装フィルム内の容積絶対湿度は7.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は2.1g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00030であった。
【0040】
[実施例7]
実施例5と同様にした石英ガラスクロス巻物の梱包で、梱包内に相対湿度90%時の最大吸湿量が400質量%の富士ゲル産業(株)製の塩化カルシウム系パワーソーブCE100gタイプを1袋入れて梱包した。この際、包装フィルム内の容積絶対湿度は7.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は1.8g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00030であった。
【0041】
[実施例8]
実施例5と同様にした石英ガラスクロス巻物の梱包で、梱包内に日本化工機材(株)製の不織布包装A形シリカゲル200gタイプを1袋入れて梱包した。この際、包装フィルム内の容積絶対湿度は7.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は2.4g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00040であった。
【0042】
[実施例9]
実施例1と同様にして作製した石英ガラスクロス巻物を実施例1と同様に高密度ポリエチレンで梱包し、梱包内に日本化工機材(株)製の不織布包装A形シリカゲル200gタイプを1袋入れて梱包した。この際、包装フィルム内の容積絶対湿度は7.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で7日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は3.2g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00050であった。
【0043】
[実施例10]
実施例4と同様にした石英ガラスクロス巻物の梱包で、梱包時に包装フィルム内の空気をHITATHI社製インバーターパッケージオイルフリーベビコン POD-15VNPを用いて作製した乾燥空気で置換した。包装フィルム内の容積絶対湿度は1.2g/m3であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は1.8g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00030であった。
【0044】
[実施例11]
実施例4と同様にした石英ガラスクロス巻物の梱包で、梱包時に包装フィルム内の空気を巴商会社製窒素ガス(容積絶対湿度0.1g/m3未満)で置換した。この際、包装フィルム内の容積絶対湿度は0.1g/m3未満であった。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は1.5g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00030であった。
【0045】
[比較例1]
実施例1と同様にして作製した石英ガラスクロス巻物を、実施例1の高密度ポリエチレンの代わりに酢酸ビニル(40℃/90%RHでの水蒸気透過度が150g/m2・day)に変更した以外は梱包内にA形シリカゲルを同様に入れて梱包、保管した。梱包した石英ガラスクロスを露点24℃の空間で30日間保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は12.3g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00070であった。
【0046】
[比較例2]
実施例1と同様にして作製した石英ガラスクロス巻物を実施例1と同様に高密度ポリエチレンで梱包した。但し、梱包内にシリカゲルを入れなかった以外は実施例1と同様にして保管した。実施例1と同様に測定した包装フィルム内の絶対湿度は21.8g/m3であった。また、誘電正接(10GHz)は0.00110であった。
【0047】
本発明の低透湿性フィルムからなる梱包材と梱包内にある乾燥剤により、低誘電石英ガラスクロスの湿度による誘電正接の悪化を抑制することができる。
【0048】
【0049】
【0050】
測定方法は下記の通りである。
1.「梱包内の容積絶対湿度」の測定は、保管期間にかかわらず梱包を開けた直後30秒以内に温湿度計の測定部を包装フィルム内へ導入し、再度密閉した後、5分後の値を容積絶対湿度とした。
なお、実施例2は、電池式の温湿度計を包装フィルム内へ同梱して連続して測定した場合は、記録の頻度を5分ごとに設定し、梱包を開ける直前の5分以内の容積絶対湿度を、「電池式の温湿度計同封による梱包内の容積絶対湿度」とした。梱包初期時の測定は、上記測定において、保管期間なしで測定した値である。
容積絶対湿度の測定は、温湿度計によって測定される、温度(℃)と相対湿度(%)から以下の式で算出した。
【数2】
【0051】
2.40℃/90%RH雰囲気下で水蒸気透過度は、JISZ0208-1976に記載の方法で測定した。
【0052】
3.乾燥剤の最大吸湿量の測定
JISZ0701-1977に記載の相対湿度90%の条件で測定を行った。
【0053】
4.誘電正接
ガラスクロスの10GHz及び40GHzの誘電正接はエーイーティー社製空洞共振器(TE011モード)を用いて測定した。なおガラスクロスの厚みは理論膜厚を用いて測定しており、ガラスクロスの理論膜厚は
理論膜厚t(μm)=目付量(g/m2)/比重(g/cm3)
から算出した。
【0054】
5.誘電正接の変化
誘電正接比=保管後の石英ガラスクロスの誘電正接/保管前の石英ガラスクロスの誘電正接
前記包装フィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン(PA)、エチレン-ビニルアルコール共重合及び塩化ビニリデン、有機樹脂複層フィルム、ならびに金属蒸着フィルムから選択されるフィルムである、請求項1~3のいずれか1項記載の石英ガラスクロスの梱包方法。
前記乾燥剤が、シリカゲル、ベントナイト、ゼオライト、塩化カルシウム、酸化カルシウム及び5酸化2リンから選択される乾燥剤である請求項6記載の石英ガラスクロスの梱包方法。