(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090459
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】モーターユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 7/00 20060101AFI20240627BHJP
F16D 3/12 20060101ALI20240627BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240627BHJP
F16H 1/32 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
H02K7/00 A
F16D3/12
H02K7/116
F16H1/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206385
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】片岡 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】上野 将輝
【テーマコード(参考)】
3J027
5H607
【Fターム(参考)】
3J027FA37
3J027FB32
3J027FB40
3J027GC06
3J027GC22
5H607AA12
5H607AA14
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE31
5H607EE36
5H607GG01
5H607JJ08
(57)【要約】
【課題】高寿命化が可能な、モーターユニットを提供する。
【解決手段】第1回転軸S1を有するモーター100と、第2回転軸S2を有する減速機200と、第1回転軸S1と第2回転軸S2とのずれを、弾性を用いて調整する軸ずれ調整機構と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転軸を有するモーターと、
第2回転軸を有する減速機と、
前記モーターと前記減速機とを接続するモーターシャフトと、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とのずれを、弾性を用いて調整する軸ずれ調整機構と、
を有し、
前記軸ずれ調整機構は、前記モーターシャフトに設けられた弾性部であるモーターユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のモーターユニットであって、
前記弾性部は、前記モーターシャフトに設けられたくびれである、モーターユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のモーターユニットであって、
前記くびれは、複数設けられている、モーターユニット。
【請求項4】
請求項1に記載のモーターユニットであって、
前記弾性部は、前記モーターシャフトの一部が薄肉中空軸に形成された部分である、モーターユニット。
【請求項5】
請求項1に記載のモーターユニットであって、
前記弾性部は、前記モーターシャフトの一部が第1弾性部材に置き換えられた部分である、モーターユニット。
【請求項6】
第1回転軸を有するモーターと、
第2回転軸を有する減速機と、
前記モーターと前記減速機との間にフランジと、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とのずれを、弾性を用いて調整する軸ずれ調整機構と、
を有し、
前記軸ずれ調整機構は、前記フランジと前記モーターとの間に設けられた第2弾性部材である、モーターユニット。
【請求項7】
請求項1に記載のモーターユニットであって、
前記軸ずれ調整機構は、前記減速機と前記モーターシャフトとの嵌め合い部に設けられた第3弾性部材である、モーターユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モーターの回転軸と、回転軸に対して組付けられた減速機ユニットと、を備える動力ユニットの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、部品の加工ばらつきや組み立て精度のばらつきによって、減速機ユニットとモーターとの間に軸ずれが発生し、それぞれの部品に反力が生じることから、部品に負荷が加わり、部品の寿命が短くなったり回転精度が低下したりするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
モーターユニットは、第1回転軸を有するモーターと、第2回転軸を有する減速機と、前記第1回転軸と前記第2回転軸とのずれを、弾性を用いて調整する軸ずれ調整機構と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図9】変形例のモーターユニットの構成を示す断面図。
【
図10】変形例のモーターユニットの構成を示す断面図。
【
図11】変形例のモーターユニットの構成を示す断面図。
【
図12】変形例のモーターユニットの構成を示す側面図。
【
図13】くびれの太さと変位量との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
まず、
図1を参照しながら、ロボット1000の構成を説明する。
【0008】
ロボット1000は、例えば、精密機器やこれを構成する部品の給材、除材、搬送および組立等の作業に用いられる。
図1に示すように、ロボット1000は、基台1110と、第1アーム1120と、第2アーム1130と、作業ヘッド1140と、エンドエフェクター1150と、配管1160と、を有している。なお、「回動」とは、ある中心点に対して一方向又はその反対方向を含めた双方向に動くこと、及び、ある中心点に対して回転することを含むものである。
【0009】
基台1110は、例えば、図示しない床面にボルト等によって固定されている。基台1110の内部には、ロボット1000統括制御する制御装置1190が配置されている。また、基台1110には、基台1110に対して鉛直方向に沿う第1軸J1まわりに回動可能に第1アーム1120が連結している。すなわち、基台1110に対して第1アーム1120が相対的に回動している。
【0010】
基台1110内には、モーターユニット1000Aが配置されている。モーターユニット1000Aは、第1アーム1120を回動させる駆動力を発生させるサーボモーター等の第1モーターであるモーター100と、モーター100の回転を減速する第1減速機である減速機200と、を有する。減速機200の入力軸は、モーター100のモーターシャフト400に連結され、減速機200の出力軸は、第1アーム1120に連結されている。そのため、モーター100が駆動し、その駆動力が減速機200を介して第1アーム1120に伝達されると、第1アーム1120が第1軸J1まわりに水平面内で回動する。
【0011】
第1アーム1120の先端部には、第1アーム1120に対して第2軸J2まわりに回動可能な第2アーム1130が連結している。第2アーム1130内には、図示しないが、第2アーム1130を回動させる駆動力を発生させる第2モーターと、第2モーターの回転を減速する第2減速機と、を有する第2モーターユニットが設置されている。そして、第2モーターの駆動力が第2減速機を介して第2アーム1130に伝達されることにより、第2アーム1130が第1アーム1120に対して第2軸J2まわりに水平面内で回動する。
【0012】
第2アーム1130の先端部には、作業ヘッド1140が配置されている。作業ヘッド1140は、第2アーム1130の先端部に同軸的に配置された図示しないスプラインナットおよびボールネジナットに挿通されたスプラインシャフト1141を有している。スプラインシャフト1141は、第2アーム1130に対して、
図1に示す第3軸J3まわりに回転可能であり、かつ、上下方向に移動可能となっている。
【0013】
第2アーム1130内には、図示しないが、回転モーターおよび昇降モーターが配置されている。回転モーターの駆動力は、図示しない駆動力伝達機構によってスプラインナットに伝達され、スプラインナットが正逆回転すると、スプラインシャフト1141が鉛直方向に沿う第3軸J3まわりに正逆回転する。
【0014】
一方、昇降モーターの駆動力は、図示しない駆動力伝達機構によってボールネジナットに伝達され、ボールネジナットが正逆回転すると、スプラインシャフト1141が上下に移動する。
【0015】
スプラインシャフト1141の先端部には、エンドエフェクター1150が連結されている。エンドエフェクター1150としては、特に限定されず、例えば、被搬送物を把持するもの、被加工物を加工するもの等が挙げられる。
【0016】
第2アーム1130内に配置された各電子部品、例えば第2モーター、回転モーター、昇降モーター等に接続される複数の配線は、第2アーム1130と基台1110とを連結する配管1160内を通って、基台1110内まで引き回されている。さらに、複数の配線は、基台1110内でまとめられることによって、モーター100および図示しないエンコーダーに接続される配線と共に、基台1110内に設置された制御装置1190まで引き回される。
【0017】
なお、本実施形態のロボット1000は、水平多関節ロボットを例示しているが、本発明のロボットはこれに限定されず、例えば、ロボットの関節数は任意であり、6軸ロボットであってもよく、また、垂直多関節ロボットにも適用可能である。
【0018】
次に、
図2を参照しながら、上記ロボット1000の一部を構成するモーターユニット1000Aの構成を説明する。
【0019】
図2に示すように、モーターユニット1000Aは、モーター100と、減速機200と、モーター100と減速機200とを支持するフランジ300と、を備えている。モーター100は、減速機200と接続されたモーターシャフト400を有する。減速機200は、モーターシャフト400と接続された波動発生器500を有する。
【0020】
次に、
図3~
図5を参照しながら、減速機200の構成を説明する。なお、
図3では、図示の便宜上、外歯歯車3の一部、具体的にはダイヤフラム32の具体的な形状を省略している。
【0021】
図3に示すように、減速機200は、波動歯車装置である。減速機200は、内歯歯車2と、内歯歯車2の内側に設けられたシルクハット形状で可撓性を有する外歯歯車3と、外歯歯車3の内側に設けられ、ベアリング42を備える波動発生器500(
図4、
図5参照)と、を有している。
【0022】
内歯歯車2、外歯歯車3、及び波動発生器500の内の一つが、前述したロボット1000の基台1110に対して接続され、他の一つが前述したロボット1000の第1アーム1120に対して接続される。本実施形態では、内歯歯車2が基台1110に対して固定され、外歯歯車3が第1アーム1120に対して接続され、波動発生器500がモーター100のモーターシャフト400(
図2参照)に接続される。
【0023】
モーター100のモーターシャフト400が回転すると、波動発生器500は、モーター100のモーターシャフト400と同じ回転速度で回転する。そして、内歯歯車2及び外歯歯車3は、互いに歯数が異なるため、互いの噛み合い位置が周方向に移動しながら、これらの歯数差に起因して回転軸Jaまわりに相対的に回転する。本実施形態では、内歯歯車2の歯数の方が外歯歯車3の歯数より多いため、モーター100のモーターシャフト400の回転速度よりも低い回転速度で外歯歯車3を回転させることができる。すなわち、波動発生器500を入力軸側、外歯歯車3を出力軸側とする減速機200を実現することができる。
【0024】
なお、内歯歯車2、外歯歯車3、及び波動発生器500の接続形態は、前述した形態に限定されず、例えば、外歯歯車3を基台1110に対して固定し、内歯歯車2を第1アーム1120に対して接続しても、減速機200として用いることができる。また、外歯歯車3をモーター100のモーターシャフト400に接続しても、減速機200として用いることができ、この場合、波動発生器500を基台1110に対して固定し、内歯歯車2を第1アーム1120に対して接続すればよい。
【0025】
内歯歯車2は、径方向に実質的に撓まない剛体で構成された歯車であって、内歯23を有するリング状の歯車である。本実施形態では、内歯歯車2は平歯車である。従って、内歯23は、回転軸Jaに対して平行な、歯すじを有する。なお、内歯23の歯すじは、回転軸Jaに対して傾斜していてもよい。即ち、内歯歯車2は、はすば歯車、又は、やまば歯車であってもよい。
【0026】
外歯歯車3は、内歯歯車2の内側に挿通されている。外歯歯車3は、径方向に撓み変形可能な可撓性を有する歯車であって、内歯歯車2の内歯23に噛み合う外歯33を有する歯車である。また、外歯歯車3の歯数は、内歯歯車2の歯数よりも少ない。このように、外歯歯車3及び内歯歯車2の歯数が互いに異なることにより、減速機200を実現することができる。
【0027】
図4に示すように、本実施形態では、外歯歯車3は、いわゆるシルクハット型をなし、回転軸Ja方向の右端に開口端34を有している。なお、シルクハット型に限定されることなく、カップ型であってもよい。外歯歯車3は、回転軸Jaまわりの円筒状をなす円筒部31を有する。円筒部31は、開口端34側の部位である外歯形成部311と、開口端34とは反対側の部位であり、一定の厚さの円筒状の胴部312と、を備えている。なお、外歯形成部311の外周面側の部分には、外歯33が形成されている。
【0028】
また、外歯歯車3は、円筒部31に加え、円筒部31に接続して円筒部31の半径方向の外側に延びるダイヤフラム32を有する。また、外歯歯車3は、ダイヤフラム32に接続する環状のボス部35を有する。
【0029】
外歯歯車3のボス部35には、例えば、ネジ等の固定具により、図示しない出力軸が固定される。これにより、出力軸と外歯歯車3とが接続される。なお、出力軸と外歯歯車3との接続方法は、これに限定されない。
【0030】
図4及び
図5に示すように、波動発生器500は、外歯歯車3の内周面に接触し、内歯歯車2と外歯歯車3との噛み合い位置を回転軸Jaまわりの周方向に移動させる。波動発生器500は、
図5に示すように、外歯歯車3の横断面を長軸La及び短軸Lbとする楕円形、又は、長円形に変形させることにより、外歯33を内歯歯車2の内歯23に噛み合わせる。外歯歯車3及び内歯歯車2は、互いに同一の回転軸Jaまわりに回転可能になっており、互いに内外で噛み合わされている。具体的には、外歯歯車3は、内歯歯車2に部分的に噛み合い、内歯歯車2に対して回転軸Ja周りに相対的に回転する。
【0031】
外歯歯車3の円筒部31は、前述したように、外歯形成部311及び胴部312を有する。外歯形成部311は、
図4に示す開口端34側の端部であって、外歯33が設けられている部分である。また、胴部312は、円筒部31のうち、ダイヤフラム32側に位置する部分である。このうち、外歯形成部311は、コーニングによる大きな変形が生じる部分である。
【0032】
コーニングとは、
図5に示す長軸Laの位置で円筒部31が回転軸Jaに対して外側に開き、短軸Lbの位置で円筒部31が回転軸Jaに対して内側に狭まるような、3次元的な変形を意味する。外歯形成部311は、外歯歯車3に波動発生器500が嵌め合わされたとき、胴部312よりも大きく変形する。
【0033】
図5に示すように、波動発生器500は、外歯歯車3の外歯形成部311に嵌め込まれている。波動発生器500は、長軸と短軸とを有する楕円形状又は長円形状の外周面412aを含むカム41と、外歯歯車3の内周面31aとカム41の外周面412aとの間に配置されているベアリング42と、を有する。カム41は、回転軸Jaまわりに回転する軸部411と、軸部411の一端部から外側に突出しているカム部412と、を有している。
【0034】
図5に示すように、カム部412の外周面412aは、回転軸Jaに沿った方向から見たときに、上下方向を長軸La、左右方向を短軸Lbとする楕円形または長円形をなしている。ベアリング42は、カム41に嵌め込まれており、可撓性を有する内輪421及び外輪423と、これらの間に配置されている複数のボール422と、を有している。
【0035】
内輪421は、カム41のカム部412の外周面412aに嵌め込まれ、カム部412の外周面412aに沿って楕円形又は長円形に弾性変形している。それに伴って、外輪423も楕円形又は長円形に弾性変形している。外輪423の外周面は、
図5に示すように、円筒部31の内周面31aに当接している。また、複数のボール422は、内輪421の周方向において互いの間隔を一定に保つように、リテーナー(図示せず)により保持されている。
【0036】
このような波動発生器500は、カム41が回転軸Jaまわりに回転することに伴って、カム部412の向きを変え、それに伴って、外輪423を変形させる。これにより、内歯歯車2及び外歯歯車3の互いの噛み合い位置を周方向に移動させる。このとき、内輪421は、カム部412の外周面412aに対して固定的に設置されているため、変形状態は変わらない。
【0037】
次に、
図6~
図8を参照しながら、軸ずれ調整が可能なモーターユニット1000Aの構成を説明する。
【0038】
図6に示すように、モーターユニット1000Aは、上記したように、モーター100と、減速機200と、モーター100と減速機200とを支持するフランジ300と、を備えている。
【0039】
モーター100は、第1軸受け111と、第2軸受け112と、を備えている。第1軸受け111及び第2軸受け112は、例えば、ベアリングである。モーター100は、第1軸受け111及び第2軸受け112に挿入されたモーターシャフト400を有する。
【0040】
減速機200は、上記したように、モーターシャフト400が挿入された波動発生器500を備えている。フランジ300は、中心にモーターシャフト400と接触しない中空の領域を有する。
【0041】
モーター100は、第1回転軸S1を有する。即ち、第1回転軸S1は、モーターシャフト400の回転軸である。減速機200は、第2回転軸S2を有する。即ち、第2回転軸S2は、波動発生器500の中心軸である。
【0042】
モーターシャフト400の減速機200側の部分は、弾性を有する弾性部410で構成されている。言い換えれば、モーターシャフト400の一部が弾性部410に置き換えられた部分である。
【0043】
弾性は、モーター100の第1回転軸S1と、減速機200の第2回転軸S2と、の間で生じる軸ずれを調整する軸ずれ調整機構として機能する。弾性部410は、例えば、軟性材料で構成された第1弾性部材としての弾性部材である。
【0044】
モーターシャフト400のベースの材質は、鉄などの金属材料である。弾性部材としては、鉄などのモーターシャフト400よりもヤング率が低い部材であり、例えば、ゴムやプラスチックなどが挙げられる。
【0045】
図6に示すように、モーター100の第1回転軸S1と減速機200の第2回転軸S2との間で軸ずれZ1が生じた場合、弾性部410の弾性を利用して、モーターシャフト400の弾性部410が傾斜(変形も含む)するので、モーター100及び減速機200に生じる反力を逃がす、言い換えれば、負荷がかかることを抑えることができる。よって、モーター100及び減速機200の寿命を向上させたり、回転精度を向上させたりすることができる。軸ずれZ1としては、例えば、数十μm程度である。
【0046】
なお、弾性部410は、第1軸受け111の端部111aから、モーターシャフト400の端部400aまでの全体が弾性部材であることに限定されず、モーターシャフト400において、少なくとも、モーター100の第1軸受け111の端部111aに近い部分のみが弾性部材であることが好ましい。
【0047】
また、弾性部410は、ゴムなどの弾性部材であることに限定されず、
図7に示すように、モーターシャフト400に設けられたくびれ420であってもよい。
【0048】
図7に示すように、くびれ420は、モーターシャフト400における、第1軸受け111の端部111aからフランジ300との間に設けられている。なお、くびれ420とは、モーターシャフト400の軸方向の両側に対して径が小さい部分である。
【0049】
このように、モーターユニット1000Bのモーターシャフト400にくびれ420が設けられているので、くびれ420の部分の強度を弱くすることができる、言い換えれば、くびれ420の部分を変形させることができる。よって、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0050】
また、弾性部410は、弾性部材やくびれ420であることに限定されず、モーターシャフト400の一部が、薄肉中空軸(図示せず)に形成された部分であってもよい。この場合であっても、薄肉中空軸の部分の強度を弱くすることができる、言い換えれば、薄肉中空軸の部分を変形させることができる。よって、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0051】
また、
図8に示すように、モーター100内部のモーターシャフト400において、第1軸受け111よりも内部側にシール部120を配置することが好ましい。本実施形態のモーターユニット1000Cによれば、モーターシャフト400の減速機200側の弾性部410が傾斜した場合においても、モーター100の内部にシール部120を配置しているので、軸ずれ調整に影響を与えることなく、減速機200側からモーター100の内部にオイルが侵入することを抑えることができる。
【0052】
シール部120の材料としては、例えば、熱可塑性エラストマー材料、ゴム材料が挙げられる。このうち、熱可塑性エラストマー材料としては、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、ゴム材料としては、例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0053】
以上述べたように、本実施形態のモーターユニット1000Aは、第1回転軸S1を有するモーター100と、第2回転軸S2を有する減速機200と、第1回転軸S1と第2回転軸S2とのずれを、弾性を用いて調整する軸ずれ調整機構と、を有する。この構成によれば、軸ずれ調整機構の弾性を用いて第1回転軸S1と第2回転軸S2との軸ずれを調整するので、モーター100及び減速機200に反力が発生する、言い換えれば、負荷がかかることを抑えることが可能となり、モーター100及び減速機200の寿命を向上させたり、回転精度を向上させたりすることができる。
【0054】
また、本実施形態のモーターユニット1000Aにおいて、モーター100と減速機200とを接続するモーターシャフト400を備え、軸ずれ調整機構は、モーターシャフトに設けられた弾性部410であることが好ましい。この構成によれば、第1回転軸S1と第2回転軸S2とのずれに応じて、モーターシャフト400の弾性部410が変形、具体的には、モーターシャフト400の一部が傾斜するので、モーター100及び減速機200に加わる反力を逃がすことができる。よって、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0055】
また、本実施形態のモーターユニット1000Bにおいて、弾性部410は、モーターシャフト400に設けられたくびれ420であってもよい。この構成によれば、モーターシャフト400にくびれ420が設けられているので、くびれ420の部分の強度を弱くすることができる、言い換えれば、くびれ420の部分を変形させることができる。よって、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態のモーターユニット1000Aにおいて、弾性部410は、モーターシャフト400の一部が薄肉中空軸に形成された部分であってもよい。この構成によれば、モーターシャフト400の一部が薄肉中空軸になっているので、薄肉中空軸の部分の強度を弱くすることができる、言い換えれば、薄肉中空軸の部分を変形させることができる。よって、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0057】
また、本実施形態のモーターユニット1000Aにおいて、弾性部410は、モーターシャフト400の一部がゴムなどの第1弾性部材に置き換えられた部分であってもよい。この構成によれば、モーターシャフト400の一部が第1弾性部材に置き換えられているので、第1弾性部材の部分の強度を弱くすることができる、言い換えれば、第1弾性部材によって変形させることができる。よって、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0058】
以下、上記した実施形態の変形例を説明する。
【0059】
上記したように、軸ずれ調整機構は、モーターシャフト400の一部を傾斜させる弾性部410に限定されず、
図9に示すようにしてもよい。変形例のモーターユニット1000Dは、モーター100とフランジ300との間に設けられた第2弾性部材600を用いて軸ずれ調整を行う。
【0060】
具体的には、
図9に示すように、例えば、フランジ300の中心軸S3に対して減速機200の第2回転軸S2の位置が径方向の+R側にずれて配置された場合や、第2回転軸S2が中心軸S3に対して傾斜している場合、第2弾性部材600がモーター100又はフランジ300によって部分的に圧縮され、圧縮位置を回転と共に変化させることにより、軸ずれの影響を低下させて、回転を可能にする。よって、それぞれの部品に生じる反力を低減することができる。
【0061】
第2弾性部材600としては、第1弾性部材と同様に、例えば、ゴムやプラスチックなどが挙げられる。なお、フランジ300と減速機200とは、ボルトなどによって固定されている。また、フランジ300は、上記したロボット1000本体に取り付けられていてもよい。
【0062】
この構成によれば、第1回転軸S1と第2回転軸S2とのずれに応じて、第2弾性部材600が変形する、具体的には、第2回転軸S2に対して、第1回転軸S1が径方向+R側にずれた場合や、中心軸S3に対して、第2回転軸S2が傾斜している場合に、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0063】
以上のように、変形例のモーターユニット1000Dは、モーター100と減速機200との間にフランジ300を有し、軸ずれ調整機構は、フランジ300とモーター100との間に設けられた第2弾性部材600であってもよい。この構成によれば、第1回転軸S1と第2回転軸S2とのずれや、第2回転軸S2が中心軸S3に対して傾斜することに応じて、第2弾性部材600が変形する、具体的には、モーター100又はフランジ300によって部分的に圧縮され、圧縮位置を回転と共に変化させる。よって、軸ずれの影響を低下させて、回転を可能にするので、それぞれの部品に生じる反力を低減することができる。結果的に、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0064】
また、上記したように、軸ずれ調整機構は、モーターシャフト400の一部を傾斜させる弾性部410に限定されず、
図10に示すようにしてもよい。変形例のモーターユニット1000Eは、減速機200とモーターシャフト400との嵌め合い部に設けられた第3弾性部材700を用いて軸ずれ調整を行う。具体的には、第3弾性部材700は、減速機200の波動発生器500とモーターシャフト400との間に配置されている。
【0065】
例えば、
図10に示すように、例えば、減速機200の第2回転軸S2の位置と、モーターシャフト400の第1回転軸S1と、がずれて配置された場合、モーター100の第1回転軸S1が、第3弾性部材700の弾性を利用して、減速機200の第2回転軸S2に合うように移動する。
【0066】
第3弾性部材700としては、第1弾性部材と同様に、例えば、ゴムやプラスチックなどが挙げられる。これによれば、モーター100のモーターシャフト400が径方向に移動した際、第3弾性部材700がずれる、具体的には、モーターシャフト400の径方向の移動を第3弾性部材700で吸収するので、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0067】
なお、
図11に示すように、モーターシャフト400bの先端部がテーパー形状になっており、波動発生器500aとの嵌め合い部もテーパー形状に形成されていてもよい。この場合、モーターシャフト400aと波動発生器500aとの間に第3弾性部材700aが配置されている。これによれば、モーターシャフト400bの径方向の移動を第3弾性部材700aで吸収することが可能となり、軸ずれ調整を行うことができる。更に、嵌め合い部がテーパー形状になっているので、モーター100と減速機200との組み立てを、容易に行うことができる。
【0068】
以上のように、変形例のモーターユニット1000Eにおいて、軸ずれ調整機構は、減速機200とモーターシャフト400との嵌め合い部に設けられた第3弾性部材700であってもよい。この構成によれば、第1回転軸S1と第2回転軸S2とのずれに応じて、第3弾性部材700がずれる、具体的には、モーターシャフト400の径方向Rの移動を第3弾性部材700で吸収するので、モーター100及び減速機200に負荷がかかることを抑えることができる。
【0069】
また、
図7に示すように、モーターシャフト400に設けられるくびれ420は、1か所であることに限定されず、
図12に示すように、複数設けられていてもよい。具体的には、
図12に示すように、変形例のモーターシャフト400Aは、3か所にくびれ431,432,433が設けられている。更に、変形例のモーターシャフト400Aは、複数の段差も有する。
【0070】
なお、シャフト径D1と、くびれ432が設けられた径D2と、の関係は、
図13に示すグラフを参照しながら設定することが好ましい。
図13に示すグラフは、横軸がD1に対するD2の比率(言い換えれば、シャフト直径に対するくびれの比率)を示し、縦軸がモーターシャフト400の変位量を示している。
【0071】
例えば、径D1と径D2の比率が90%以下になるようにくびれ432の径を設定することにより、モーターシャフト400を変位させることが可能である。例えば、モーターシャフト400の直径がφ14mmであり、くびれ432が無い場合だと、変位量が6μmである。10μm変位させたい場合、くびれ432の直径を11mm(約75%)にすれば、凡そ、変位量を10μm(150%)まで増加させることができる。
【0072】
なお、その他のくびれ431,433も同様に設定することが可能である。このように、くびれ431,432,433が複数設けられているので、モーター100及び減速機200にかかる負荷を、所望の部分において柔軟に軽減させることができる。
【0073】
以上のように、変形例のモーターユニット1000Fにおいて、くびれ431,432,433は、複数設けられていることが好ましい。この構成によれば、くびれ431,432,433が複数設けられているので、モーター100及び減速機200にかかる負荷を、所望の部分において柔軟に軽減させることができる。
【符号の説明】
【0074】
2…内歯歯車、3…外歯歯車、23…内歯、31…円筒部、31a…内周面、32…ダイヤフラム、33…外歯、34…開口端、35…ボス部、41…カム、42…ベアリング、100…モーター、100a,111a…端部、120…シール部、200…減速機、300…フランジ、311…外歯形成部、312…胴部、400,400b,400A…モーターシャフト、400a…端部、410…弾性部、411…軸部、412…カム部、412a…外周面、421…内輪、422…ボール、423…外輪、423a…外周面、420,431,432,433…くびれ、500,500a…波動発生器、600…第2弾性部材、700,700a…第3弾性部材、1000…ロボット、1000A,1000B,1000C,1000D,1000E,1000F…モーターユニット、1110…基台、1120…第1アーム、1130…第2アーム、1140…作業ヘッド、1141…スプラインシャフト、1150…エンドエフェクター、1160…配管、1190…制御装置、J1…第1軸、J2…第2軸、J3…第3軸、S1…第1回転軸、S2…第2回転軸、S3…中心軸、Z1…軸ずれ。