(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090468
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20240627BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B60C13/00 A
B60C19/00 B
B60C19/00 J
B60C13/00 C
B60C13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206407
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】若林 晴菜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬大
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BA02
3D131BB01
3D131BC55
3D131GA01
3D131GA03
3D131LA05
3D131LA06
3D131LA20
(57)【要約】
【課題】タイヤ外面のマーキングにより機能部品に関する複数の情報を容易に取得することを可能にしたタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ内表面Tsに機能部品20又は機能部品20を収容する収容体10が固定され、一対のサイドウォール部2の少なくとも一方側にマーキング40が配置され、マーキング40は、機能部品20のタイヤ周上の位置に関する位置情報と、機能部品20に関する1つ以上の追加情報とを含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ内表面に機能部品又は該機能部品を収容する収容体が固定され、一対のサイドウォール部の少なくとも一方側にマーキングが配置され、前記マーキングは、前記機能部品のタイヤ周上の位置に関する位置情報と、前記機能部品に関する1つ以上の追加情報とを含むことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記マーキングが前記追加情報として前記機能部品の種類に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記マーキングが前記追加情報として前記機能部品の仕様に関する情報を含むことを特徴とする請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記マーキングが前記追加情報として前記機能部品の個体識別情報を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項5】
前記マーキングが色、形状及び文字のうち少なくとも二つを組み合わせることにより複数の前記追加情報を示すことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項6】
前記マーキングが二次元コードであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項7】
前記マーキングが形成される位置にベース部が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項8】
前記機能部品を収容する収容体が前記タイヤ内表面に固定され、前記収容体に前記機能部品が収容されており、前記収容体の内表面に前記機能部品に接する突起が形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項9】
前記突起は前記収容体における前記突起が形成された内表面からの高さtが0.1mm~2.0mmであることを特徴とする請求項8に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記収容体は100%伸張時のモジュラスが1.0MPa以上12.0MPa未満の加硫ゴムからなることを特徴とする請求項8に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関し、更に詳しくは、タイヤ外面のマーキングにより機能部品に関する複数の情報を容易に取得することを可能にしたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
内圧や温度等のタイヤ内部情報を取得する機能部品をタイヤ内表面に設置することが行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、外表面目印をタイヤショルダー部に設け、それにより機能部品のタイヤ周上の位置を示している。しかしながら、このような機能部品に関わる情報は、機能部品のタイヤ周上の位置だけでは不十分である。例えば、タイヤへの設置後に機能部品の動作確認を行う際には、機能部品の種類や仕様を判別することも必要であり、そうした判別作業が機能部品に関する確認作業の効率を低下させているという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、タイヤ外面のマーキングにより機能部品に関する複数の情報を容易に取得することを可能にしたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明のタイヤは、タイヤ内表面に機能部品又は該機能部品を収容する収容体が固定され、一対のサイドウォール部の少なくとも一方側にマーキングが配置され、前記マーキングは、前記機能部品のタイヤ周上の位置に関する位置情報と、前記機能部品に関する1つ以上の追加情報とを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、タイヤ内表面に機能部品又は該機能部品を収容する収容体が固定され、一対のサイドウォール部の少なくとも一方側にマーキングが配置され、マーキングは、機能部品のタイヤ周上の位置に関する位置情報と、機能部品に関する1つ以上の追加情報とを含んでいるので、タイヤ外面に形成されたマーキングを確認することで、機能部品のタイヤ周上の位置に関する位置情報に加え、例えば機能部品の種類や仕様等の追加情報も同時に取得することができる。これにより、機能部品のタイヤへの設置後において、機能部品の動作確認をし易くなると共に、機能部品の判別作業の効率性を向上させることができるため、機能部品に関する確認作業を正確かつ迅速に行うことができる。
【0007】
本発明のタイヤにおいて、マーキングは追加情報として機能部品の種類に関する情報を含むことが好ましい。例えば、リム組みした状態であっても、タイヤ外面から機能部品の種類を把握することができる。
【0008】
マーキングは追加情報として機能部品の仕様に関する情報を含むことが好ましい。例えば、リム組みした状態であっても、タイヤ外面から機能部品の仕様を把握することができる。
【0009】
マーキングは追加情報として機能部品の個体識別情報を含むことが好ましい。例えば、車両からタイヤを脱着する際、機能部品の個体識別情報と車両装着位置の対応関係に基づいて装着位置を判別することができ、或いは、機能部品により取得されたタイヤ情報に基づいて異常と判定されたタイヤを特定し易くなる。
【0010】
マーキングは色、形状及び文字のうち少なくとも二つを組み合わせることにより複数の追加情報を示すことが好ましい。これにより、マーキングの識別性と視認性を向上させることができる。
【0011】
マーキングは二次元コードであることが好ましい。これにより、マーキングに対して多数の情報を含ませることができるため、好適である。
【0012】
マーキングが形成される位置にベース部が設けられていることが好ましい。これにより、マーキングの配置箇所が明確になり、マーキングを判別し易くなる。
【0013】
機能部品を収容する収容体がタイヤ内表面に固定され、収容体に機能部品が収容されており、収容体の内表面に機能部品に接する突起が形成されていることが好ましい。これにより、突起が機能部品に対して押圧した状態が保持され、機能部品による安定的なセンシングが可能になる。
【0014】
突起は収容体における突起が形成された内表面からの高さtが0.1mm~2.0mmであることが好ましい。これにより、突起と機能部品の接触状態を適度に維持することができる。また、収容体への機能部品の収容作業に影響を与えず、走行中の機能部品の脱落を防止することができる。
【0015】
収容体は100%伸張時のモジュラスが1.0MPa以上12.0MPa未満の加硫ゴムからなることが好ましい。これにより、収容体の耐久性と収容体への機能部品の収容し易さとを両立することができる。
【0016】
本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましいが、非空気式タイヤであっても良い。空気入りタイヤの場合、その内部には空気、窒素等の不活性ガス又はその他の気体を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを例示する子午線断面図である。
【
図2】
図1の空気入りタイヤの外観を示す斜視図である。
【
図3】(A)~(D)はそれぞれマーキングを例示する平面図である。
【
図4】
図1の空気入りタイヤのサイドウォール部の領域を説明する説明図である。
【
図5】
図1の空気入りタイヤのサイドウォール部を示す側面図である。
【
図6】(A),(B)は機能部品を収容する収容体の実施形態を例示し、(A)は断面図、(B)は収容体に形成された突起を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1,2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
【0020】
一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。そして、タイヤ内表面Tsにおける一対のビード部3間の領域にはインナーライナー層9が配置されている。このインナーライナー層9はタイヤ内表面Tsをなす。
【0021】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0022】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0023】
上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ内表面Tsには、少なくとも一つの機能部品組立体30が取り付けられている。この機能部品組立体30は、タイヤ情報を取得するための機能部品20と、この機能部品20を収容する収容体10とを備えている。機能部品組立体30は、タイヤ内表面Tsのいずれの部位にも取付可能であるが、走行中の変形が少なく、遠心力が掛かるので外れ難いことから、特にトレッド部1に対応するタイヤ内表面Tsに取り付けることが望ましい。機能部品組立体30は、例えば接着剤や両面粘着テープからなる接着層によりタイヤ内表面Tsに固定されている。
【0024】
図2に示すように、一対のサイドウォール部2の少なくとも一方側には、一つのマーキング40が配置されている。本発明において、マーキング40は、機能部品20に関する2つ以上の情報を表示する目印である。この機能部品20に関する2つ以上の情報は、機能部品20のタイヤ周上の位置に関する位置情報と、機能部品20に関する1つ以上の追加情報とを含むものである。
【0025】
マーキング40は、サイドウォール部2の外表面において、タイヤ内表面Tsの機能部品20に対応する位置に配置されているため、機能部品20のタイヤ周上の位置に関する位置情報を有している。また、追加情報としては、機能部品20の種類(TPMS、摩耗検知センサ等のいずれであるか)、仕様(システムやソフトウェアのバージョン、機能部品20の通信頻度、機能部品20の電波仕様等)、個体識別情報(機能部品20の識別番号、タイヤへの装着日、タイヤ幅方向の位置、車両装着位置等)を例示することができる。マーキング40は、タイヤ加硫後にスタンプ又はシール等により形成することができ、或いはタイヤ加硫時に金型により凸部又は凹部として形成することができる。
【0026】
このようなマーキングは、下記のように構成されることが望ましい。マーキング40は、追加情報として機能部品20の種類に関する情報を含むと良い。
図3(A)に例示するように、機能部品20がTPMSの場合にはアルファベットで「TP」と示し、摩耗検知センサの場合にはアルファベットで「W」と示す。更に、マーキング40は、追加情報として機能部品20の仕様に関する情報を含むことがより好ましい。
図3(B)に例示するように、機能部品20がTPMSであって、そのシステムがバージョン1である場合には「TP1」と示し、摩耗検知センサであって、そのシステムがバージョン2である場合には「W2」と示す。このようにマーキング40を構成することで、リム組みした状態であっても、タイヤ外面から機能部品20の種類や仕様を把握することができる。
【0027】
また、マーキング40は、追加情報として機能部品20の個体識別情報を含むと良い。
図3(C)に例示するように、機能部品20がTPMSであって、そのシステムがバージョン1であり、かつ機能部品20の識別番号の末尾2桁がA1である場合には「TP1A1」と示す。車両からタイヤを脱着する際、機能部品20の個体識別情報と車両装着位置の対応関係に基づいて装着位置を判別することができ、或いは、機能部品20により取得されたタイヤ情報に基づいて異常と判定されたタイヤを特定し易くなる。
【0028】
また、
図3(D)に例示するように、マーキング40が形成される位置には、ベース部41が設けられていると良い。このベース部41はマーキング40の目印になるものである。ベース部41は、タイヤ内表面Tsに対して凸部又は凹部として形成する、或いは、サイドウォール部2の外表面に表面処理が施されることで形成することができる。このようにベース部41が形成されていることで、マーキング40の配置箇所が明確になり、マーキング40を判別し易くなる。また、ベース部41は、サイドウォール部2の周上の一箇所に設けるだけでも良いが、複数箇所に設けることもでき、その場合には、タイヤ内表面Tsの機能部品20に対応する位置に設けられたベース部41に対してマーキング40を形成する。このようなベース部41の平面形状は、特に限定されるものではなく、任意の平面形状を採用することができる。なお、
図3(A)~
図3(D)では、マーキング40を構成する文字が円又は楕円により囲まれているが、これら円又は楕円自体は特定の追加情報を示すものではないが、特定の追加情報を持つようにしても良い。
【0029】
上述した空気入りタイヤでは、タイヤ内表面Tsに機能部品20又は機能部品20を収容する収容体10が固定され、一対のサイドウォール部2の少なくとも一方側にマーキング40が配置され、マーキング40は、機能部品20のタイヤ周上の位置に関する位置情報と、機能部品20に関する1つ以上の追加情報とを含んでいるので、タイヤ外面に形成されたマーキング40を確認することで、機能部品20のタイヤ周上の位置に関する位置情報に加え、例えば機能部品20の種類や仕様等の追加情報も同時に取得することができる。これにより、機能部品20のタイヤへの設置後において、機能部品20の動作確認をし易くなると共に、機能部品20の判別作業の効率性を向上させることができるため、機能部品20に関する確認作業を正確かつ迅速に行うことができる。
【0030】
従来の空気入りタイヤでは、タイヤ外面に外表面目印が設けられているものもあるが、機能部品の種類や仕様等の追加情報を取得するためには、1本ずつ手作業で機能部品本体と通信する必要があった。そのため、それが機能部品に関する確認作業の効率を低下させる要因となっていた。これに対して、本発明では、マーキング40を確認することで機能部品20に関する追加情報を容易に取得することでき、1本ずつ手作業で機能部品本体と通信せずに済むので、非常に有益である。
【0031】
上記空気入りタイヤにおいて、マーキング40は、サイドウォール部2の外表面におけるタイヤ径方向の位置とタイヤ周方向の位置として、下記を満たすように配置すると良い。マーキング40の視認性の向上を重視する場合、マーキング40は、サイドウォール部2の外表面において0.25×h~0.80×hの範囲内(即ち、
図4に示す領域S1内)に配置されていると良い。また、タイヤの耐久性の確保を重視する場合、マーキング40は、0.10×h~0.25×hの範囲内(即ち、
図4に示す領域S2内)又は0.80×h~0.90×hの範囲内(即ち、
図4に示す領域S3内)に配置されていると良い。なお、高さh(タイヤ断面高さ)は、ビード部3のビードヒールからトレッド部1の踏面までの高さであり、JATMA YEAR BOOK 2022の記載に準拠し、タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填して無負荷状態で測定される高さである。
【0032】
また、
図5に示すように、マーキング40は、機能部品20の中心位置Oからタイヤ回転軸Aを中心としてタイヤ周方向に±10°以内の範囲内に配置されていると良い。その際、サイドウォール部2の外表面においてブランドが表示される領域に隣接して配置されていることがより好ましい。このように機能部品20の中心位置Oに対してマーキング40を配置することで、マーキング40のタイヤ周上の位置に基づいてタイヤ内表面Tsに配置された機能部品20のタイヤ周上の位置を特定し易くなるので、機能部品20に関する確認作業の作業性を高めることができる。
【0033】
図6(A),(B)は機能部品20を収容する収容体10の実施形態を示すものである。
図6(A),(B)に示すように、機能部品20は収容体10の内部に収容されている。収容体10は、タイヤ内表面Tsに固定される平板状の底部11と、この底部11から突出した筒状の側壁部12と、これら底部11と側壁部12により形成される収容部13と、この収容部13に連通する開口部14とを有している。収容体10は加硫ゴムからなる成形体であると良い。このように構成される収容体10は例えば接着剤によりタイヤ内表面Tsに固定され、その収容体10に機能部品20が収容される。機能部品20は、収容体10を介してタイヤ内表面Tsに設置されることが好ましいが、収容体10を介さずにタイヤ内表面Tsに直接貼り付けられていても良い。いずれの場合においても、機能部品20はトレッド部1の裏面側に接触する接触面21を有している。即ち、接触面21は、タイヤ内表面Ts、収容体10の底部11の表面、底部11に形成された突起15のいずれかに接触する面である。なお、
図6(A)では、接触面21は、底部11に形成された突起15に接触する面である場合を示している。
【0034】
収容体10の内表面には、少なくとも一つの突起15が形成されていると良い。
図6(A),(B)では、突起15は、先端部に向かうにつれて幅が狭くなる先細り形状を有している。特に、この突起15は、収容体10の底部11から突出するように形成されていると良い。また、突起15は、収容体10の底部11に2つ以上形成されていても良く、収容体10の他の部位(例えば側壁部12)に一つ又は2つ以上形成されていても良い。
【0035】
なお、本発明では、突起15は、機能部品20を構成するセンサ(例えば、圧電センサの場合には圧電素子)を押圧するための部位であり、機能部品20の収容後に、機能部品20により突起15が押されて、収容体10の底部11がタイヤ内表面Tsに沿って変形するものではない。また、収容体10の突起15と機能部品20の筐体は互いに嵌合するものではなく、機能部品20の筐体の底部に突起15と嵌合する凹部は設けられていない。
【0036】
機能部品20は、筐体の内部に各種の電子部品を収容した構造を有している。電子部品としては、タイヤ情報を取得するための各種のセンサ、送信機、受信機、制御回路及びバッテリー等を含むように構成することができる。センサにより取得されるタイヤ情報として、空気入りタイヤの内部温度や内圧、湿度、ひずみ、変形、速度、加速度を例示することができる。例えば、内部温度や内圧の測定には温度センサや圧力センサが使用される。トレッド部の摩耗量を検出する場合、例えば、機能部品20の接触面21に圧電素子からなるセンサ素子が配設され、そのセンサ素子が走行時のタイヤ変形に応じた出力電圧を検出し、その出力電圧に基づいてトレッド部1の摩耗量を検出する。それ以外に、加速度センサや磁気センサを使用することも可能である。
【0037】
上述した空気入りタイヤでは、機能部品20を収容する収容体10がタイヤ内表面Tsに固定され、収容体10に機能部品20が収容されており、収容体10の内表面に機能部品20に接する突起15が形成されているので、走行中においてタイヤの振動により突起15が機能部品20を構成する圧電素子に対して押圧した状態が保持され、機能部品20を構成する圧電素子による安定的なセンシングが可能になる。
【0038】
突起15の高さt(
図6(B)参照)は、0.1mm~2.0mmであることが好ましく、0.5mm~1.0mmであることがより好ましい。ここで、突起15の高さtは、収容体10における突起15が形成された内表面(例えば
図6(B)では収容体10の底部11の端面)からの高さであり、機能部品20が収容体10に収容されていない状態で測定されるものである。このように突起15の高さtを適度に設定することで、突起15と機能部品20を構成する圧電素子の接触状態を適度に維持することができる。また、収容体10への機能部品20の収容作業に影響を与えず、走行中の機能部品20の脱落を防止することができる。
【0039】
ここで、突起15の高さtが0.1mmより小さくなると、圧電素子との接触状態を改善する効果を十分に得ることができなくなる。逆に、突起15の高さtが2.0mmより大きくなると、機能部品20を収容体10に収容し難くなると共に、走行中に機能部品20が脱落するリスクが高まる。
【0040】
収容体10は、100%伸張時のモジュラスが1.0MPa以上12.0MPa未満の加硫ゴムからなることが好ましい。収容体10がこのような物性を有することで、収容体10の耐久性と収容体10への機能部品20の収容し易さとを両立することができる。また、突起15は、収容体10と同一材料で構成することができる。例えば、収容体10の成形用金型を用いて、収容体10と硬度が異なるゴムにより一体的に突起15を成形しても良く、或いは、収容体10とは別に成形した突起15を収容体10の内表面に接着して成形しても良い。
【0041】
ここで、収容体10の100%伸張時のモジュラスが1.0MPa未満であると、収容体10が繰り返し変形した際に、機能部品20との摩擦により収容体10が破損することがあり、耐久性が悪化する傾向がある。逆に、収容体10の100%伸張時のモジュラスが12.0MPa以上であると、機能部品20を収容体10に収容し難くなると共に、センシング精度が悪化する。
【0042】
上述した空気入りタイヤでは、任意の文字(英数字)のみによりマーキング40の追加情報を表示する例を示したが、これに限定されるものではない。他にも、マーキング40の任意の色又は形状により特定の追加情報を表示することもできる。更には、マーキング40の色と形状、色と文字、形状と文字、又は色と形状と文字のように互いに組み合わせることにより特定の追加情報を表示することもできる。例えば、マーキング40の色(赤色)と形状(星形)を用いた場合、その色と形状の各々に任意の追加情報を対応させた一覧表(参照情報)を予め作成しておくと、作業現場において、その一覧表に基づいてマーキング40から2つの追加情報を確認できるようになる。本発明では、マーキング40は、色、形状及び文字のうち少なくとも二つを組み合わせることにより複数の追加情報が表示されていることが好ましく、マーキング40は、少なくとも文字を含んでおり、更に色及び/又は形状を組み合わせることがより好ましい。このようにマーキング40を構成することで、マーキング40の識別性と視認性を向上させることができる。
【0043】
或いは、マーキング40を二次元コードにより構成しても良い。二次元コードは、QRコード(登録商標)やバーコードを用いることができる。このようにマーキング40を二次元コードにより構成することで、マーキング40に対して多数の情報を含ませることができるため、好適である。
【0044】
また、上述した空気入りタイヤでは、サイドウォール部2に一つのマーキング40が配置された例を示したが、タイヤ内表面Tsに複数の機能部品20が配置されている場合には、それに対応する個数及び箇所のマーキング40をサイドウォール部2に設けることができる。
【実施例0045】
タイヤサイズ225/45R18で、タイヤ内表面に機能部品を収容する収容体が固定され、一対のサイドウォール部の一方側にマーキングが配置され、マーキングは、機能部品のタイヤ周上の位置に関する位置情報と、機能部品の仕様に関する追加情報とを含んでいる実施例1,2のタイヤを製作した。実施例1,2において、マーキングの形態を表1のように設定した。
【0046】
比較のため、一対のサイドウォール部にマーキングが配置されていない従来例のタイヤを用意した。また、一対のサイドウォール部の一方側に円形のマーキングが配置され、そのマーキングが機能部品のタイヤ周上の位置に関する位置情報のみを含んでいること以外は実施例1と同じ構造を有する比較例のタイヤを用意した。
【0047】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、機能部品に関する確認作業における作業性についての評価を実施し、その結果を表1に併せて示した。
【0048】
作業性:
各試験タイヤについて10本ずつ機能部品の動作と機能部品の仕様をそれぞれ確認する作業を実施し、確認作業に要した全時間(10本ずつの合計時間)を計測した。評価結果は、従来例の測定値を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど確認作業に要した全時間が短く、作業性が優れていることを意味する。
【0049】
【0050】
この表1から判るように、実施例1,2の空気入りタイヤは、作業性が大幅に向上し、機能部品の動作と機能部品の仕様の双方の確認作業を短時間で終了することができた。
【0051】
一方、比較例においては、マーキングが機能部品の仕様に関する追加情報を含んでいなかったため、機能部品の仕様を確認するのに1本ずつ手作業で機能部品本体と通信する必要があった。そのため、作業性の十分な改善に至らなかった。
【0052】
本開示は、以下の発明[1]~[10]を包含する。
発明[1]は、タイヤ内表面に機能部品又は該機能部品を収容する収容体が固定され、一対のサイドウォール部の少なくとも一方側にマーキングが配置され、前記マーキングは、前記機能部品のタイヤ周上の位置に関する位置情報と、前記機能部品に関する1つ以上の追加情報とを含むことを特徴とするタイヤである。
発明[2]は、前記マーキングが前記追加情報として前記機能部品の種類に関する情報を含むことを特徴とする発明[1]に記載のタイヤである。
発明[3]は、前記マーキングが前記追加情報として前記機能部品の仕様に関する情報を含むことを特徴とする発明[2]に記載のタイヤである。
発明[4]は、前記マーキングが前記追加情報として前記機能部品の個体識別情報を含むことを特徴とする発明[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[5]は、前記マーキングが色、形状及び文字のうち少なくとも二つを組み合わせることにより複数の前記追加情報を示すことを特徴とする発明[1]~[4]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[6]は、前記マーキングが二次元コードであることを特徴とする発明[1]~[4]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[7]は、前記マーキングが形成される位置にベース部が設けられていることを特徴とする発明[1]~[6]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[8]は、前記機能部品を収容する収容体が前記タイヤ内表面に固定され、前記収容体に前記機能部品が収容されており、前記収容体の内表面に前記機能部品に接する突起が形成されていることを特徴とする発明[1]~[7]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[9]は、前記突起は前記収容体における前記突起が形成された内表面からの高さtが0.1mm~2.0mmであることを特徴とする発明[8]に記載のタイヤである。
発明[10]は、前記収容体は100%伸張時のモジュラスが1.0MPa以上12.0MPa未満の加硫ゴムからなることを特徴とする発明[8]又は[9]に記載のタイヤである。