(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090477
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】セパレート型キャンピングカー
(51)【国際特許分類】
B60P 3/34 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B60P3/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206422
(22)【出願日】2022-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】597116252
【氏名又は名称】村山 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】村山 哲夫
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れるセパレート型キャンピングカーを提供する。
【解決手段】ボディ本体と後方スライドキャビンとアーチ状の蛇腹シートまたは幌シートとから成り、ボディ本体は、ボディ後方を全面開口すると共に下方に位置する車体フレームにはスライド移動手段を備えて成り、後方スライドキャビンは、キャビン前方を全面開口すると共に下方に位置する車体フレームには後方のスライド移動手段を備え、後方部には任意の箇所に引き出し取っ手とスライド走行補助輪を備えて成り、ボディ本体と後方スライドキャビンとを前方及びスライド移動手段によってスライド可能に連結すると共にボディ本体の後方開口部と後方スライドキャビンの前方開口部とをアーチ状の蛇腹シートまたは幌シートで覆って連通させた手段を採る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れるセパレート型キャンピングカーであって、
前記セパレート型キャンピングカーは、ボディ本体と、後方スライドキャビンと、蛇腹シートと、から成り、
前記ボディ本体は、ボディ後方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには前方のスライド移動手段を備えて成り、
前記後方スライドキャビンは、キャビン前方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには後方のスライド移動手段を備え、後方部には任意の箇所に引き出し取っ手と、スライド走行補助輪を備えて成り、
前記ボディ本体と、前記後方スライドキャビンと、を前記前方及び後方のスライド移動手段によってスライド可能に連結すると共に、前記ボディ本体の後方開口部と、前記後方スライドキャビンの前方開口部と、をアーチ状の蛇腹シートで覆って連通させたことを特徴とするセパレート型キャンピングカー。
【請求項2】
乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れるセパレート型キャンピングカーであって、
前記セパレート型キャンピングカーは、ボディ本体と、後方スライドキャビンと、幌シートと、から成り、
前記ボディ本体は、ボディ後方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには前方のスライド移動手段を備えて成り、
前記後方スライドキャビンは、キャビン前方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには後方のスライド移動手段を備え、後方部には任意の箇所に引き出し取っ手と、スライド走行補助輪を備えて成り、
前記ボディ本体と、前記後方スライドキャビンと、を前記前方及び後方のスライド移動手段によってスライド可能に連結すると共に、前記ボディ本体の後方開口部と、前記後方スライドキャビンの前方開口部と、をアーチ状の幌シートで覆って連通させたことを特徴とするセパレート型キャンピングカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れるセパレート型キャンピングカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるキャンピングトレーラーは、走行中に乗車することができないという運行条件の規制はあるが、その特徴的な構造としては「牽引車とトレーラーが連結器でつながっている」ということに尽きる。つまり、牽引車とトレーラーを切り離してしまえば、牽引車(自家用車)だけで何処へでも自由気ままに単独行動することができるものである。
従って、従来における自走式の大型キャンピングトレーラーとは異なり旅先での小回りが利くので、現地での観光や買い物などが容易くできることによって、旅行の自由度ならびに満喫度が格段と高まると共に、トレーラー内の座席の形状や配置を自由にレイアウトすることができ、さらに、車体の大きさや内装仕様においてもユーザー嗜好を多様に反映させることができることから、近年におけるドライブ宿泊旅行の交通手段の一つとしてその需要が益々増加している。
【0003】
そのような多様なユーザー嗜好を反映して多種多様のキャンピングカーが開発されている。例えば貨物自動車の荷台に載置したキャンピングシェルを回動させて車内空間を確保した「キャンピングシェル」(特許文献-1)が提案されている。
【0004】
しかしながら、係る「キャンピングシェル」の提案は、貨物自動車の荷台に載置した所定の重量のあるキャンピングシェルを手動で回動させる手段を採用していることから下記に示すような問題点を解決する必要があった。
・乗用車が荷台のある貨物自動車に限定される。
・所定の重量シェルを手動で回動させるには一定の背丈と腕力を必要とする。
・回動させるにあたって安全装置がないため危険である。
・回動させるシェル内にキャンプ道具を収納することができない。
・シェル内に入るには階段を必要とする。
・展開シェルを階段状又は円弧状に引き出すため車内空間が狭い。
といった問題があった。
【0005】
また、キャスターを装着したキャビンをキャンピングカーの後方荷台にスライド可能に出し入れ収納することができる「キャンピングカー」(特許文献-2)が提案されている。
【0006】
しかしながら、係る「キャンピングカー」の提案は、キャンピングカーの後方荷台にキャビンを収納する手段を採用していることから下記に示すような問題点を解決する必要があった。
・乗用車がキャビンを格納することができる大型のワンボックスカーに限定される。
・キャビンがキャンピングカーの収納空間より小型にする必要があるため車内空間が狭い。
・キャンピングカーならびにキャビンがオリジナル製作となるため車両製作価格ならびに車両購入価格が高騰になる。
・走行時においてキャビンを格納した状態での牽引自動車の車内空間が制限される。
・就寝スペースがワンボックスカーの後方荷台スペースに限定される。
・キャビンのスカート部の設置作業ならびに構造が複雑である。
といった問題があった。
【0007】
本発明のセパレート型キャンピングカーは上記の問題点をクリアするものである。
・乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって、車内空間の拡大を図ると共に運転時の走行性を高めることができる。
・ユースドカーが後輪牽引走行となることで、車両空間のフラット化が図られ、さらに、車体高さの低重心化が図られる。
・乗用自動車の車体フレームとユースドカーの車体フレームが共通化しているため車体剛性が高い。
・車両ボディの天井高さが立ち歩き仕様ではなく、座り歩き仕様であるため乗用自動車の軽量化ならびにコンパクト化が図れる。
・既存のユースドカーの高度な車体設計性能を利用することができる。
・従来のオリジナルのハンドメイド製造ではなく、既存のユースドカーを利用した改造製
造であるため大幅な製造コストの低廉化が図れる。
・車両デザインが前方部を除いて既存のユースドカーのボディデザインを流用するため既存のユースドカーの車体ボディに内蔵されている車幅灯、方向指示灯、ストップランプ、室内灯、ナンバープレート照明灯、ハザードランプ、施錠キー、オートドアロック装置、ガラス窓開閉装置などを再利用することができる。
・牽引車の後輪走行タイヤとボディ本体の走行タイヤのホイールベースが短いことから運転時の走行性を高めることができる。
・ボディ本体から後方スライドキャビンを引き出すだけで就寝スペースを容易に確保することができる。といった多くの特徴を備えるものである。
・車両価格が安価なためセカンドカーとしての購入が可能である。
【0008】
従来におけるキャンピングカーならびにキャンピングトレーラーの製作手段は、主に手作業で一台一台仕上げるハンドメイド生産に頼っていることから、車両価格が高い、納期がかかる、修理部品の調達ができない、修理期間がかかる、修理単価が高いなどの問題点があると同時に、既存のユースドカーと比して、コンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性などの車体設計性能を備えているものではなかった。
また、従来におけるキャンピングカーならびにキャンピングトレーラーの多くは、就寝ベッド、ソファ、キャンピング用品、キッチン、トイレ・シャワー、娯楽用品等を備えて車内を立ち歩きできる大型仕様になり勝ちになるもので、その結果、購入価格が高い、大型で運転が難しい、大きな駐車スペースが必要とするなど日本特有の住宅事情とあいまって、これまでに広く一般的に普及してこなかった要因となっていた。
【0009】
本出願人は、上記の問題点を鑑みてなされたもので、従来のこれまでに普及している大型且つ豪華装備の高価格帯のキャンピングカーならびにキャンピングトレーラーと比べて、低価格であると共にコンパクトで運転性に優れたキャンピングカーの提供ができないものかという構想の下、乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れるセパレート型のキャンピングカーを開発し、本発明における「セパレート型キャンピングカー」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許5992571号公報
【特許文献2】特開2000-52845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題点を鑑みてなされるもので、乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れるセパレート型キャンピングカーの提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明におけるセパレート型キャンピングカーは、乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れるセパレート型キャンピングカーであって、前記セパレート型キャンピングカーは、ボディ本体と、後方スライドキャビンと、蛇腹シートと、から成り、前記ボディ本体は、ボディ後方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには前方のスライド移動手段を備えて成り、前記後方スライドキャビンは、キャビン前方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには後方のスライド移動手段を備え、後方部には任意の箇所に引き出し取っ手と、スライド走行補助輪を備えて成り、前記ボディ本体と、前記後方スライドキャビンと、を前記前方及び後方のスライド移動手段によってスライド可能に連結すると共に、前記ボディ本体の後方開口部と、前記後方スライドキャビンの前方開口部と、をアーチ状の蛇腹シートで覆って連通させた手段を採る。
【0013】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーは、乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れるセパレート型キャンピングカーであって、前記セパレート型キャンピングカーは、ボディ本体と、後方スライドキャビンと、幌シートと、から成り、前記ボディ本体は、ボディ後方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには前方のスライド移動手段を備えて成り、前記後方スライドキャビンは、キャビン前方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレームには後方のスライド移動手段を備え、後方部には任意の箇所に引き出し取っ手と、スライド走行補助輪を備えて成り、前記ボディ本体と、前記後方スライドキャビンと、を前記前方及び後方のスライド移動手段によってスライド可能に連結すると共に、前記ボディ本体の後方開口部と、前記後方スライドキャビンの前方開口部と、をアーチ状の幌シートで覆って連通させた手段を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、乗用自動車のボディ本体を二分割してスライドさせることによって車内空間の拡大が図れる、といった優れた効果を奏する。
【0015】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、乗用自動車のベース車両に中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等のユースドカーを利用することによって、従来にない極めて低価格帯のセパレート型キャンピングカーの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0016】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、既存のユースドカーを利用した場合、車体ボディが既存の車メーカーの車装デザイン(車体設計)を流用することができるため、コンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性、修理部品の調達性などの車体設計性能に優れたセパレート型キャンピングカーの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、既存のユースドカーを利用した場合、製造時において既存のユースドカーの一部を加工する作業に留まることから、従来のハンドメイド製の乗用自動車と比して製作コストならびに製作日数及び製作工程が大幅に低減される、といった優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、既存のユースドカーを利用した場合、車幅灯、方向指示灯、ストップランプ、室内灯、ナンバープレート照明灯、ハザードランプ、バッテリー、施錠キー、オートドアロック装置、ドアガラス昇降装置、盗難防止警告装置、ラジオ、シュガーライター等は、既存のユースドカーに備えられている装置を流用して再利用することができることから防犯性ならびに利便性に優れたセパレート型キャンピングカーが提供できる、といった優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、ベース車両に中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等の車両価値が下がったユースドカーを利用することによって、スクラップ処理される車両資源の有効活用が図られる、といった優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、日常時においては通勤や買い物などの普通乗用車としてやセカンドカーとして利用できると共に、行楽先においても普段乗り馴れている乗用自動車として利用することができるもので、疲労運転がなくなり行楽先での観光や買い物などの行動範囲が広くとれる、といった優れた効果を奏する。
【0021】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、蛇腹シート仕様の場合は設置時間の短縮が図られると共に、幌シート仕様の場合は走行時において普段の乗用自動車と外観視形状がほとんど変わらない、といった優れた効果を奏する。
【0022】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、低価格であると共に各車メーカーの多様なカーデザインが施されたキャンピングカーのラインアップが図られることによって、キャンピングユーザーの購買意欲を増すことができるため、事前に生産しておける在庫展示販売が可能になる、といった優れた効果を奏する。
【0023】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、新車設計を利用した場合、既存の車装デザイン(車体設計)を流用することができるため、設計コストの削減と、共通部品の流用化が可能となり、総合的に従来にない安価なセパレート型キャンピングカーの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、キャンピングカーの大きさが軽バンタイプからワンボックスタイプの比較的コンパクトな小型車両で形成されていることによって、駐車スペースを広くとらないことや、牽引運行長さが従来の乗用自動車と同様であることから女性や運転経験の浅いドライバーでも容易に運転することができる、といった優れた効果を奏する。
【0025】
また、本発明におけるセパレート型キャンピングカーによれば、従来のキャンピングカーは大家族を対象として室内が豪華且つ大型に仕上げられているのが主流であったが、本発明におけるセパレート型キャンピングカーは、どちらかといえば少人数(夫婦や恋人同士や趣味仲間)ならびに趣味を追求するソロキャンプ者(車中泊独身者)等をターゲットとしたコンパクト且つオートキャンプに必要な最低限の装備を備えたセパレート型キャンピングカーであることから、従来のキャンピングカーのファミリー的な需要層とは異なった新たな需要層の掘り起こしができる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明のセパレート型キャンピングカーの実施形態を示す説明図である。 (実施例1)
【
図2】本発明のセパレート型キャンピングカーの断面説明図である。
【
図3】本発明のセパレート型キャンピングカーの使用状態を示す断面説明図である。
【
図4】本発明のセパレート型キャンピングカーの製造ならびに設置状態を示す手順図である。
【
図5】本発明のセパレート型キャンピングカーの別の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
【
図6】本発明のセパレート型キャンピングカーの別の断面説明図である。
【
図7】本発明のセパレート型キャンピングカーの別の使用状態を示す断面説明図である。
【
図8】本発明のセパレート型キャンピングカーの別の製造ならびに設置状態を示す手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明におけるセパレート型キャンピングカー10は、ボディ本体11と、後方スライドキャビン17と、蛇腹シート23または幌シート25と、から成り、該後方スライドキャビン17をボディ本体11より後方にスライド移動させることによって車内空間Rを拡大することができる手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
尚、本発明のセパレート型キャンピングカー10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【0029】
本発明の詳細な説明において、本来であれば新規製造のセパレート型キャンピングカー10として説明するところではあるが、ボディ本体11と、後方スライドキャビン17を新規に製造するにあたっては、ユースドカーUをベース車とすることで低価格化が図れることや、車メーカーのコンパクト性、軽量性、運転性、外装デザイン性、多様性、堅牢性、防水性、防音性、耐久性、耐候性、安全性、利便性、修理部品の調達性などの車体設計性能を流用することができることから、以下、ユースドカーUを用いた実施形態について説明する。
【実施例0030】
図1は、本発明のセパレート型キャンピングカーの実施形態を示す説明図である。
図1(a)は本発明のセパレート型キャンピングカー10の全体斜視図である。
本発明におけるセパレート型キャンピングカー10は、ボディ本体11と、後方スライドキャビン17と、アーチ状の蛇腹シート23と、から成るもので、蛇腹シート23が後方スライドキャビン17の前方に連結して備えつけられることから、通常走行時は一般の乗用自動車と殆ど変わりがない状態で運転することができる。
尚、車体フレーム19の作図は、前方のスライド移動手段13の作図上重なるため図示は省略している。(
図1~
図8の同様)
【0031】
乗用自動車CがユースドカーUの場合は、既存の中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等を利用するもので、例えば、ワンボックスカー、ワゴン車、商業車バン、軽ワゴン・バン車、ハイルーフ車などの後方に開閉ドアを備えるユースドカーUが好適である。
【0032】
乗用自動車Cが新車の場合は、既存の新車の設計仕様を利用するもので、例えば、ワンボックスカー、ワゴン車、商業車バン、軽ワゴン・バン車、ハイルーフ車などの後方に開閉ドアを備える新車設計仕様が好適である。
【0033】
図1(b)は本発明のセパレート型キャンピングカー10の走行状態を示す説明図である。
本発明におけるセパレート型キャンピングカー10は、ボディ本体11と、後方スライドキャビン17と、アーチ状の蛇腹シート23と、から成り、ボディ本体11には前方のスライド移動手段13を備え、後方スライドキャビン17には後方のスライド移動手段20を備え、後方部には任意の箇所に引き出し取っ手21と、スライド走行補助輪22を備えて成る。
尚、車体フレーム19の作図は、前方のスライド移動手段13の作図と重なるため図示は省略している。(
図1~
図8の同様)
【0034】
図2は、本発明のセパレート型キャンピングカーの断面説明図である。
図2(a)は本発明のセパレート型キャンピングカー10の走行状態を示す断面説明図である。
本発明におけるセパレート型キャンピングカー10は、ボディ本体11と、後方スライドキャビン17と、蛇腹シート23と、から成り、該ボディ本体11は、ボディ後方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレーム19には前方のスライド移動手段13を備えて成り、後方スライドキャビン17は、キャビン前方を全面開口すると共に、下方に位置する車体フレーム19には後方のスライド移動手段20を備え、後方部には任意の箇所に引き出し取っ手21と、スライド走行補助輪22を備えて成り、該前方及び後方のスライド移動手段13、20によってボディ本体11と後方スライドキャビン17とをスライド可能に連結すると共に、ボディ本体11の後方開口部12と後方スライドキャビン17の前方開口部18とをアーチ状の蛇腹シート23で覆って連通させた手段を採る。
【0035】
図2(b)は本発明のセパレート型キャンピングカー10の設置状態を示す断面説明図である。
ボディ本体11は、ユースドカーUを流用し、室内灯、ナンバープレート照明灯、バッテリー、施錠キー、オートドアロック装置、ドアガラス昇降装置、盗難防止警告装置、ラジオ、シュガーライター等は再利用して形成される。
後方開口部12には前方のスライド移動手段13と蛇腹シート23を介して後方スライドキャビン17の前方開口部18と連結される。
【0036】
前方のスライド移動手段13は、例えば、ボディ本体11の車体フレーム19に複数本装着されるもので、C形鋼(ボディ本体11側)とH形鋼(後方スライドキャビン17側)を組み合わせて形成される。(
図2(b)吹き出し図参照)
また、前方のスライド移動手段13は、例えば、C形鋼の開口口を上にして車体フレーム19に所定の長さを有して装着される。
【0037】
スライド固定手段14は、ボディ本体11側と後方スライドキャビン17側をスライド不能にロックする装置であって、例えば、シートベルトロック装置、閂鍵かけ錠、引っ掛け錠などが取り付けられる。
【0038】
後方スライドキャビン17は、既存のユースドカーUのバックドアボディ部を利用するもので、後面には任意の箇所に蛇腹シート23をスライドさせる引き出し取っ手21と、両側下方にはスライド走行補助輪22が取り付けられる。
尚、新車製造の場合は、新規製造となり、スライド走行補助輪22を後方スライドキャビン17のボディ内に格納する構造とすることもできる。
また、スライド移動手段としては、例えば、油圧式、エアー式、電動式、ラックピニオン式、ワイヤー式、チェーン式などが考えられる。
【0039】
後方のスライド移動手段20は、延長することで車内空間Rを拡大するもので、例えば、後方スライドキャビン17の車体フレーム19に複数本装着され、H形鋼の平面側を上にして、ボディ本体11側のC形鋼の前方のスライド移動手段13と組み合わされる。(
図2(b)吹き出し図参照)
【0040】
引き出し取っ手21は、後方スライドキャビン17の後方に一対にして取り付けられるもので、ボディ本体11から後方スライドキャビン17を引き出す場合や、押し込む場合に使用されるものである。
【0041】
スライド走行補助輪22は、例えば、セパレート型キャンピングカー10の後方スライドキャビン17の後側下方両側に備えられるもので、走行時は上方に回動させて固定し、接地固定時は下方に回動させて設置し、さらにハンドル部を回転させてストッパー付補助輪を接地させて固定状態とするものである。
尚、新車製造の場合は、後方スライドキャビン17のボディ内に格納する構造とすることもできる。
【0042】
蛇腹シート23は、ボディ本体11側の後方開口部12と後方スライドキャビン17側の前方開口部18に装着され、所定の長さを有してアーチ状に連結する蛇腹状の帆布製等のシートで形成される。
【0043】
蛇腹シート補強フレーム24は、蛇腹シート23の補強としての役目と、スライド移動を制限する役目の二通りの役目を果たすもので、所定の長さを有して両端が鍵状に加工された等辺山形鋼を落とし込み穴に落と込む形状に形成される。
使用時は、ボディ本体11側の後方開口部12付近に開けられた落とし込み穴と後方スライドキャビン17側の前方開口部18付近に開けられた落とし込み穴に両端が鍵状に加工された複数の等辺山形鋼を落とし込んでセットする。
尚、蛇腹シート補強フレーム24は、蛇腹シート23内の上方に少なくても三か所設けられ、蛇腹シート23を内側から支える状態で設けられる。
【0044】
フラット床パネル28は、任意の形状に形成される床板材が使用され、前方及び後方のスライド移動手段13,20上に複数敷設される。
【0045】
就寝平坦ベッド29は、箱状の平坦なベッド状に形成し、ベッド下方には床下収納機能付のボックスが備えられ、室内チェアを兼ねる。
使用用途に合わせて車内空間R内に複数組み合わされて配置される。
【0046】
車内空間Rは、既存のユースドカーUの前方部の空間を拡張して形成されるもので、後方にはキッチンキャビネット31、冷蔵庫、発電機、給水貯留タンク、ガスボンベ、ポータブルトイレ33等を収納し、さらに組み立て式床下収納機能付きの就寝平坦ベッド29(室内チェアを兼ねる)、テーブル、テレビ、AC電源コンセント、USB差込口等を設置して、料理、娯楽、就寝など多目的に利用することができる。
【0047】
図3は、本発明のセパレート型キャンピングカーの使用状態を示す断面説明図である。
図3(a)就寝平坦ベッド29を使用した場合は、軽自動車仕様であっても大人が足を伸ばした状態で就寝することができる。
【0048】
図3(b)団らん時に就寝平坦ベッド29や座席シートを使用した場合は、就寝平坦ベッド29に寝転んだ状態でTV鑑賞や読書をすることができる。
【0049】
図3(c)キッチンキャビネット31(シンク・ガスコンロ)を使用した場合は、搭乗者が就寝平坦ベッド29に腰掛けた状態で料理することができると共に、ダインニングテーブル32を使用して食事をとることができる。
【0050】
図3(d)車両に直結することができる野外拡張テント30を使用した場合は、野外テーブル、野外チェア、バーベキューセットなどを置くことができると共に、セパレート型キャンピングカー10の周辺に野外就寝用のシェラフを使って宿泊を行うことで、小型のトレーラーハウスでありながら乗用自動車Cの定員一杯の人員が利用できる。
その他、野外拡張テント30を張ることでポータブルトイレ33を利用した野外トイレとしてやバーベキューセットを設置することもできる。
【0051】
図4は、本発明のセパレート型キャンピングカーの製造ならびに設置状態を示す手順図である。
セパレート型キャンピングカーが新車製造の場合、ボディ本体11と、後方スライドキャビン17は新規製造される。
(1)ユースドカーU(ベース車)をボディ本体11と、後方スライドキャビン17に二分割する。
(2)ボディ本体11と、引き出し取っ手21とスライド走行補助輪22を備えた後方スライドキャビン17を用意し、それぞれの前方及び後方の開口部12、18を蛇腹シート23で覆い連結する。
(3)後方スライドキャビン17の後方のスライド移動手段20のH形鋼をボディ本体11の前方のスライド移動手段13のC形鋼に嵌め合わせスライド固定手段14でロックする。
(4)スライド固定手段14のロックを外した後、後方スライドキャビン17のスライド走行補助輪22を下ろし、ボディ本体11から後方スライドキャビン17の引き出し取っ手21を握って蛇腹シート23を後方に向かって引き出しながらスライド移動させる。
(5)ボディ本体11と後方スライドキャビン17の間に蛇腹シート補強フレーム24をセットし、必要とするキャンピング車内装備品を配置する。
【0052】
本発明における実施例2の説明において、実施例1と同様な部品ならびに構造は、その説明を一部省略している。
尚、ユースドカーUは、本発明のセパレート型キャンピングカー10のベース車となるもので、後方に開閉ドアを備える既存の中古車、不動車、スクラップ車、廃車、事故車等を利用するもので、具体的な車種としては、ワンボックスカー、ワゴン車、商業車バン、軽ワゴン・バン車、ハイルーフ車などの後方に開閉ドアを備えるユースドカーUが好適である。