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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090486
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B65D47/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206433
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】長村 隆央
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA10
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB08
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB09
3E084HC01
3E084HD01
3E084KA01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】廃棄に際し、付勢部材とその他の部材とを容易に分別する。
【解決手段】シリンダ11と、ステム12と、ピストン13と、吐出孔14aを有する押下ヘッド14と、付勢部材15と、を備え、押下ヘッドは、ステムの上端部に中心軸線O回りの相対回転に伴い離脱可能に取付けられ、シリンダ内には係止部31が設けられ、ステムには、ステムが下降端位置に位置したときに、係止部に周方向に係合し、ステムのシリンダに対する中心軸線回りの回転を規制する規制部32が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延び、内側が容器本体内に連通するシリンダと、
上下方向に延び、内側が前記シリンダ内に連通し、上下方向に移動可能に設けられたステムと、
前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合され、前記ステムの上下動に連係するピストンと、
前記ステムの上端部に取り付けられ、前記容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有する押下ヘッドと、
前記押下ヘッドを上方付勢状態で下方移動可能に支持する付勢部材と、を備え、
前記押下ヘッドは、前記ステムの上端部に中心軸線回りの相対回転に伴い離脱可能に取付けられ、
前記シリンダ内には係止部が設けられ、
前記ステムには、前記ステムが下降端位置に位置したときに、前記係止部に周方向に係合し、前記ステムの前記シリンダに対する中心軸線回りの回転を規制する規制部が設けられている、吐出器。
【請求項2】
前記係止部の上端部の周方向の大きさが、上方に向かうに従い小さくなり、
前記規制部の下端部の周方向の大きさが、下方に向かうに従い小さくなっている、請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記押下ヘッドが、前記ステムの上端部に離脱可能に螺着されている、請求項1または2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記ステムは、
有底筒状に形成されるとともに、
径方向に開口し、かつ前記ステム内と前記シリンダ内とを連通する連通口と、
前記連通口より下方に位置する部分から径方向の外側に向けて突出したフランジ状のピストン支持部と、を有し、
前記ピストン支持部は、
前記押下ヘッドが押下されていない状態では、前記ピストンの下端を支持し、前記連通口と、前記シリンダ内において前記ピストンより下方に位置する部分と、の連通を遮断する一方、
前記押下ヘッドが押下された状態では、前記ステムの下降に伴って前記ピストンの下端から離間し、前記連通口と、前記シリンダ内において前記ピストンより下方に位置する部分と、を連通させ、
前記規制部は、前記ピストン支持部に設けられている、請求項1または2に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、吐出孔を有する押下ヘッドを、付勢部材の付勢力に抗して押下することにより、シリンダ内の内容物を吐出孔から吐出することができるとともに、付勢部材の復元力により、押下ヘッドを上方に復元移動させ、シリンダ内を負圧することによって、容器本体内の内容物をシリンダ内に吸い上げることができる吐出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-274983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の吐出器においては、廃棄に際し、金属製であることが多い付勢部材と、樹脂製であることが多いその他の部材と、を容易に分別することに改善の余地がある。
【0005】
本発明は、廃棄に際し、付勢部材とその他の部材とを容易に分別することができる吐出器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る吐出器は、上下方向に延び、内側が容器本体内に連通するシリンダと、上下方向に延び、内側が前記シリンダ内に連通し、上下方向に移動可能に設けられたステムと、前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合され、前記ステムの上下動に連係するピストンと、前記ステムの上端部に取り付けられ、前記容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有する押下ヘッドと、前記押下ヘッドを上方付勢状態で下方移動可能に支持する付勢部材と、を備え、前記押下ヘッドは、前記ステムの上端部に中心軸線回りの相対回転に伴い離脱可能に取付けられ、前記シリンダ内には係止部が設けられ、前記ステムには、前記ステムが下降端位置に位置したときに、前記係止部に周方向に係合し、前記ステムの前記シリンダに対する中心軸線回りの回転を規制する規制部が設けられている。
【0007】
押下ヘッドが、ステムの上端部に中心軸線回りの相対回転に伴い離脱可能に取付けられ、シリンダ内に係止部が、ステムに規制部が、それぞれ設けられているので、押下ヘッドを押下してステムを下降端位置に位置させた状態で、押下ヘッドに中心軸線回りの回転力を加えると、ステムも供回りしようとするところ、ステムの規制部がシリンダ内の係止部に対して周方向に係合することで、ステムの供回りが規制され、押下ヘッドが、ステムに対して中心軸線回りに回転することとなり、押下ヘッドをステムから離脱することができる。これにより、押下ヘッドを支持していた付勢部材の上端部が解放され、付勢部材の上端部を把持して引き上げることが可能になり、吐出器の廃棄に際し、付勢部材とその他の部材とを容易に分別することができる。
【0008】
前記係止部の上端部の周方向の大きさが、上方に向かうに従い小さくなり、前記規制部の下端部の周方向の大きさが、下方に向かうに従い小さくなってもよい。
【0009】
係止部の上端部の周方向の大きさが、上方に向かうに従い小さくなり、規制部の下端部の周方向の大きさが、下方に向かうに従い小さくなっているので、押下ヘッドを押下してステムを下降端位置に位置させるときに、ステムの規制部の下端部が、シリンダ内の係止部の上端部に突き当たろうとしても、規制部の下端部が係止部の上端部に摺接することで、ステムをシリンダに対して中心軸線回りに回転させ、規制部を係止部に対して周方向に位置ずれさせることが可能になり、ステムを下降端位置に確実に到達させて、規制部を係止部に対して周方向に係合させることができる。
【0010】
前記押下ヘッドが、前記ステムの上端部に離脱可能に螺着されてもよい。
【0011】
押下ヘッドが、ステムの上端部に離脱可能に螺着されているので、押下ヘッドをステムの上端部に確実に装着することが可能になるとともに、押下ヘッドをステムの上端部から容易に離脱することができる。
【0012】
前記ステムは、有底筒状に形成されるとともに、径方向に開口し、かつ前記ステム内と前記シリンダ内とを連通する連通口と、前記連通口より下方に位置する部分から径方向の外側に向けて突出したフランジ状のピストン支持部と、を有し、前記ピストン支持部は、前記押下ヘッドが押下されていない状態では、前記ピストンの下端を支持し、前記連通口と、前記シリンダ内において前記ピストンより下方に位置する部分と、の連通を遮断する一方、前記押下ヘッドが押下された状態では、前記ステムの下降に伴って前記ピストンの下端から離間し、前記連通口と、前記シリンダ内において前記ピストンより下方に位置する部分と、を連通させ、前記規制部は、前記ピストン支持部に設けられてもよい。
【0013】
規制部が、ステムに形成されたフランジ状のピストン支持部に設けられているので、ステムを下降端位置に位置させたときに、シリンダ内の係止部に対して周方向に係合する規制部を、制約少なく容易にステムに設けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、廃棄に際し、付勢部材とその他の部材とを容易に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態の吐出器の縦断面図である。
図2図1の吐出器において、ステムを下降端位置に位置させた状態を示す図である。
図3図2のIII-III線矢視断面図である。
図4図1の吐出器において、押下ヘッドをステムから離脱し、付勢部材の上端部を把持して引き上げている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出器を説明する。
本実施形態に係る吐出器1は、図1に示されるように、シリンダ11と、ステム12と、ピストン13と、押下ヘッド14と、付勢部材15と、装着キャップ16と、を備えている。シリンダ11、ステム12、ピストン13、および装着キャップ16は、共通軸と同軸に配設されている。
【0017】
以下、前記共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿って押下ヘッド14側を上側、シリンダ11側を下側といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見て中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
装着キャップ16は、環状の装着天壁16aを備える有頂筒状に形成されている。装着キャップ16の周壁部の内周面に、容器本体Wの口部W1に螺着される雌ねじ部が形成されている。
装着天壁16aには、シール筒16bと、支持筒21と、被覆筒16dと、が形成されている。
シール筒16bは、装着天壁16aから下方に向けて突出し、シリンダ11の上端部内に嵌合されている。支持筒21は、装着天壁16aの内周縁部から下方に向けて延び、環状の支持底壁21aを有する有底筒状に形成されている。支持筒21は、シール筒16bより径方向の内側に設けられている。支持筒21は、シリンダ11内に挿入されている。被覆筒16dは、装着天壁16aの内周縁部から上方に向けて延びている。
【0019】
シリンダ11は、上下方向に延び、内側が容器本体W内に連通する。シリンダ11は、摺動筒部22と、第1嵌合筒部23と、第2嵌合筒部24と、が、上方から下方に向けてこの順に連ねられて構成されるとともに、容器本体W内に挿入される。
【0020】
摺動筒部22の上端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるフランジ部22aが形成されている。フランジ部22aは、装着キャップ16の上端部内に嵌合されている。フランジ部22aは、容器本体Wの口部W1の上端開口縁と、装着天壁16aの下面と、により上下方向に挟まれている。フランジ部22aの上面および装着天壁16aの下面にはそれぞれ、互いに係合し周方向の相対回転を規制する回り止め部25が形成されている。回り止め部25は、凹部と、凹部に嵌合する凸部と、を備えている。
摺動筒部22には、径方向に開口し、容器本体W内と摺動筒部22内とを連通する導入孔22bが形成されている。導入孔22bは、ステム12、押下ヘッド14、およびピストン13が上昇端位置に位置する待機状態で、ピストン13に閉塞される。
【0021】
第1嵌合筒部23は、摺動筒部22より小径で、かつ短く形成されている。第1嵌合筒部23内には、第1嵌合筒部23の下端開口を開閉する下部弁体26が嵌合されている。
下部弁体26は、摺動筒部22内の加圧時に、第1嵌合筒部23の下端開口を閉塞したままに維持し、摺動筒部22内の減圧時に、第1嵌合筒部23の下端開口を開放する逆止弁となっている。これにより、摺動筒部22内の加圧時に、摺動筒部22内の内容液が第1嵌合筒部23の下端開口から容器本体W内に戻ることが阻止され、摺動筒部22内の減圧時に、容器本体W内の内容液が摺動筒部22内に流入する。図示の例では、下部弁体26は三点弁となっている。
【0022】
第2嵌合筒部24は、第1嵌合筒部23より小径で、かつ長く形成されている。第2嵌合筒部24内に、パイプ27の上部が液密に嵌合されている。パイプ27は上下方向に延び、パイプ27の下端開口は、容器本体Wの底部内に位置している。
【0023】
ステム12は、上下方向に延び、内側がシリンダ11内に連通し、上下方向に移動可能に設けられている。ステム12の上部は、シリンダ11内から上方に突出している。ステム12の下部は、シリンダ11内に挿入されている。ステム12は有底筒状に形成されている。なお、ステム12は、上下方向の両端が開口した、底壁および頂壁を有しない筒状に形成されてもよい。
【0024】
ステム12は、連通口28と、ピストン支持部29と、雄ねじ部12bと、を有している。
【0025】
連通口28は、径方向に開口し、ステム12内とシリンダ11内とを連通する。ピストン支持部29は、ステム12の外周面から径方向の外側に向けて突出したフランジ状に形成されている。ピストン支持部29は、連通口28より下方に位置している。雄ねじ部12bは、ステム12の上端部の外周面に形成されている。ステム12の外周面において、雄ねじ部12bより下方で、かつ連通口28より上方に位置する部分に、嵌合突部12aが形成されている。嵌合突部12aは、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0026】
押下ヘッド14は、ステム12の上端部に取り付けられ、容器本体W内の内容液を吐出する吐出孔14aを有している。押下ヘッド14は、ステム12に装着された装着筒14bと、装着筒14bから径方向の外側に向けて突出し、その先端に吐出孔14aが形成された吐出筒14cと、を備えている。
【0027】
押下ヘッド14は、ステム12の上端部に中心軸線O回りの相対回転に伴い離脱可能に取付けられている。図示の例では、押下ヘッド14が、ステム12の上端部に離脱可能に螺着されている。装着筒14bの内周面に、ステム12の雄ねじ部12bに螺合する雌ねじ部14eが形成されている。装着筒14bの内周面に、ステム12の嵌合突部12aが嵌合された嵌合凹部33が形成されている。嵌合凹部33は、周方向の全長にわたって連続して延びている。嵌合凹部33に嵌合突部12aが嵌合されることで、雄ねじ部12bおよび雌ねじ部14eの緩みが抑止されている。装着筒14bの内周面において、嵌合凹部33より下方に位置する部分と、ステム12の外周面と、の間に、径方向の隙間が設けられている。
【0028】
なお、押下ヘッド14がステム12に対して着脱される、中心軸線O回りの向きは適宜変更してもよい。装着筒14bの内周面、およびステム12の外周面のうちのいずれか一方に溝を形成し、かついずれか他方に溝内を溝に沿って移動可能な突部を形成することで、押下ヘッド14を、ステム12の上端部に中心軸線O回りの相対回転に伴い離脱可能に取付けてもよい。
【0029】
ピストン13は、シリンダ11内に上下摺動可能に嵌合され、ステム12の上下動に連係する。ピストン13は、ピストン外筒35と、ピストン内筒36と、連結部37と、を備えている。
【0030】
ピストン外筒35は、シリンダ11の摺動筒部22内に上下摺動可能に嵌合されている。ピストン内筒36の上部は、押下ヘッド14の装着筒14bの内周面と、ステム12の外周面と、の間に差し込まれている。ピストン内筒36の上端部は、装着筒14bの内周面に液密に上下摺動可能に当接している。ピストン内筒36の下部は、装着筒14bから下方に突出している。
連結部37は、ピストン外筒35の内周面と、ピストン内筒36の外周面と、を連結している。連結部37は、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。連結部37の上面は、装着キャップ16の支持底壁21aの下面に当接し、かつ押下ヘッド14の装着筒14bの下端部より下方に位置している。
【0031】
押下ヘッド14が押下されていない状態では、ピストン内筒36の下端は、ピストン支持部29に支持されており、摺動筒部22内においてピストン13より下方に位置する部分と、連通口28と、の連通が遮断されている。押下ヘッド14が押下された状態では、図2に示されるように、ステム12の下降に伴って、ピストン支持部29が、ピストン内筒36の下端から下方に離間し、摺動筒部22内においてピストン13より下方に位置する部分と、連通口28と、が連通される。この際、押下ヘッド14の装着筒14bの下端が、ピストン13に当接する。これにより、その後、押下ヘッド14の押下を継続すると、ピストン13も下降する。内容液の吐出後、ステム12および押下ヘッド14が上方に復元移動する際に、ピストン支持部29がピストン内筒36の下端に当接することで、ピストン13も上方に復元移動する。
【0032】
付勢部材15は、押下ヘッド14を上方付勢状態で下方移動可能に支持している。付勢部材15は、金属製のコイルスプリングとされ、中心軸線Oと同軸に配設されている。図示の例では、付勢部材15の下端部は、装着キャップ16の支持底壁21aの上面に支持されている。
ここで、押下ヘッド14の装着筒14bの外周面には、支持底壁21aの上面に対して上方に離れて対向する支持段部34が形成されており、支持段部34により付勢部材15の上端部が支持されている。支持段部34は、装着キャップ16の被覆筒16dより上方に位置している。押下ヘッド14は、装着筒14bを径方向の外側から囲うヘッド外筒14dを備えている。ヘッド外筒14dの下端部の内周面は、被覆筒16dの上端部の外周面に当接、若しくは近接し、吐出器1の外部の水等が、ヘッド外筒14dの内側に進入することを抑制している。
付勢部材15のうち、シリンダ11から上方に突出した部分は、上下方向の全長にわたって、ヘッド外筒14dおよび被覆筒16dにより径方向の外側から覆われている。
【0033】
そして、本実施形態では、シリンダ11内に係止部31が設けられ、ステム12には、ステム12が下降端位置に位置したときに、係止部31に周方向に係合し、ステム12のシリンダ11に対する中心軸線O回りの回転を規制する規制部32が設けられている。
【0034】
係止部31は、シリンダ11の摺動筒部22における下端部の内周面に形成されている。係止部31は、摺動筒部22と第1嵌合筒部23との接続部分から上方に向けて延びている。
規制部32は、ピストン支持部29に設けられている。規制部32は、ピストン支持部29における径方向の外端部に形成されている。規制部32は、係止部31に対して上方で、かつ同じ径方向の位置に位置している。規制部32は、シリンダ11の摺動筒部22の内周面に当接、若しくは近接している。規制部32は、ステム12が下降端位置に位置したときに、係止部31と同じ上下方向の位置に位置する。
係止部31および規制部32はそれぞれ、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0035】
図3に示されるように、係止部31の上端部の周方向の大きさが、上方に向かうに従い小さくなり、規制部32の下端部の周方向の大きさが、下方に向かうに従い小さくなっている。図示の例では、係止部31の上端部における周方向の両端部がそれぞれ、上方に向かうに従い周方向に互いに近付く向きに延び、規制部32の下端部における周方向の両端部がそれぞれ、下方に向かうに従い周方向に互いに近付く向きに延びている。
【0036】
次に、押下ヘッド14の吐出孔14aから内容液を吐出する方法について説明する。
【0037】
押下ヘッド14を押下すると、押下ヘッド14およびステム12が、ピストン13に対して下降し、ピストン支持部29が、ピストン内筒36の下端から下方に離間し、摺動筒部22内においてピストン13より下方に位置する部分と、連通口28と、が連通する。この際、押下ヘッド14の装着筒14bの下端が、ピストン13に当接する。これにより、その後、押下ヘッド14の押下を継続すると、付勢部材15が圧縮変形しながら、ピストン13も下降することで、摺動筒部22内が加圧され、摺動筒部22内の内容液が、ピストン支持部29とピストン内筒36の下端との間の隙間、連通口28、ステム12内、装着筒14b内、および吐出筒14c内を通して、吐出孔14aから吐出される。この過程において、下部弁体26は、第1嵌合筒部23の下端開口を閉塞したままに維持する。
その後、押下ヘッド14の押下を解除すると、付勢部材15が復元変形することで、押下ヘッド14およびステム12が上方に復元移動する。この過程において、ピストン支持部29がピストン内筒36の下端に当接することで、摺動筒部22内のうちピストン13より下方に位置する部分と、連通口28と、の連通が遮断された状態で、ピストン13も押下ヘッド14およびステム12とともに上方に復元移動する。これにより、摺動筒部22内が負圧になり、下部弁体26が第1嵌合筒部23の下端開口を開放し、容器本体W内の内容液が、パイプ27内を通して摺動筒部22内に流入する。
【0038】
次に、吐出器1のうち、付勢部材15とその他の部材とを分別する方法について説明する。
【0039】
押下ヘッド14を押下して、図2に示されるように、ステム12を下降端位置に位置させた状態で、押下ヘッド14に中心軸線O回りの回転力を加えると、ステム12も供回りしようとするところ、図3に示されるように、ステム12の規制部32がシリンダ11内の係止部31に対して周方向に係合することで、ステム12の供回りが規制され、押下ヘッド14が、ステム12に対して中心軸線O回りに回転することとなり、押下ヘッド14をステム12から離脱することができる。これにより、図4に示されるように、押下ヘッド14を支持していた付勢部材15の上端部が解放される。この際、付勢部材15の上端部は、被覆筒16dの上端部から上方に突出して露出しており、付勢部材15の上端部を容易に把持して引き上げることができる。
【0040】
ここで、シリンダ11のフランジ部22aの上面、および装着天壁16aの下面にそれぞれ、互いに係合し周方向の相対回転を規制する回り止め部25が形成されているので、ステム12を下降端位置に位置させた状態で、装着キャップ16を固定し、押下ヘッド14に中心軸線O回りの回転力を加えたときに、この回転力が係止部31および規制部32を介してシリンダ11に伝達しても、シリンダ11が装着キャップ16に対して供回りするのを規制することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、押下ヘッド14が、ステム12の上端部に中心軸線O回りの相対回転に伴い離脱可能に取付けられ、シリンダ11内に係止部31が、ステム12に規制部32が、それぞれ設けられているので、吐出器1の廃棄に際し、付勢部材15とその他の部材とを容易に分別することができる。
【0042】
係止部31の上端部の周方向の大きさが、上方に向かうに従い小さくなり、規制部32の下端部の周方向の大きさが、下方に向かうに従い小さくなっているので、押下ヘッド14を押下してステム12を下降端位置に位置させるときに、ステム12の規制部32の下端部が、シリンダ11内の係止部31の上端部に突き当たろうとしても、規制部32の下端部が係止部31の上端部に摺接することで、ステム12をシリンダ11に対して中心軸線O回りに回転させ、規制部32を係止部31に対して周方向に位置ずれさせることが可能になり、ステム12を下降端位置に確実に到達させて、規制部32を係止部31に対して周方向に係合させることができる。
【0043】
押下ヘッド14が、ステム12の上端部に離脱可能に螺着されているので、押下ヘッド14をステム12の上端部に確実に装着することが可能になるとともに、押下ヘッド14をステム12の上端部から容易に離脱することができる。
【0044】
規制部32が、ステム12に形成されたフランジ状のピストン支持部29に設けられているので、ステム12を下降端位置に位置させたときに、シリンダ11内の係止部31に対して周方向に係合する規制部32を、制約少なく容易にステム12に設けることができる。
【0045】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
例えば、押下ヘッド14および装着キャップ16は、付勢部材15を外部から視認できるように、透明、若しくは半透明の材質で形成されてもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0048】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
<1>
上下方向に延び、内側が容器本体内に連通するシリンダと、
上下方向に延び、内側が前記シリンダ内に連通し、上下方向に移動可能に設けられたステムと、
前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合され、前記ステムの上下動に連係するピストンと、
前記ステムの上端部に取り付けられ、前記容器本体内の内容液を吐出する吐出孔を有する押下ヘッドと、
前記押下ヘッドを上方付勢状態で下方移動可能に支持する付勢部材と、を備え、
前記押下ヘッドは、前記ステムの上端部に中心軸線回りの相対回転に伴い離脱可能に取付けられ、
前記シリンダ内には係止部が設けられ、
前記ステムには、前記ステムが下降端位置に位置したときに、前記係止部に周方向に係合し、前記ステムの前記シリンダに対する中心軸線回りの回転を規制する規制部が設けられている、吐出器。
<2>
前記係止部の上端部の周方向の大きさが、上方に向かうに従い小さくなり、
前記規制部の下端部の周方向の大きさが、下方に向かうに従い小さくなっている、前記<1>に記載の吐出器。
<3>
前記押下ヘッドが、前記ステムの上端部に離脱可能に螺着されている、前記<1>または<2>に記載の吐出器。
<4>
前記ステムは、
有底筒状に形成されるとともに、
径方向に開口し、かつ前記ステム内と前記シリンダ内とを連通する連通口と、
前記連通口より下方に位置する部分から径方向の外側に向けて突出したフランジ状のピストン支持部と、を有し、
前記ピストン支持部は、
前記押下ヘッドが押下されていない状態では、前記ピストンの下端を支持し、前記連通口と、前記シリンダ内において前記ピストンより下方に位置する部分と、の連通を遮断する一方、
前記押下ヘッドが押下された状態では、前記ステムの下降に伴って前記ピストンの下端から離間し、前記連通口と、前記シリンダ内において前記ピストンより下方に位置する部分と、を連通させ、
前記規制部は、前記ピストン支持部に設けられている、前記<1>から<3>のいずれか1つに記載の吐出器。
【符号の説明】
【0049】
1 吐出器
11 シリンダ
12 ステム
13 ピストン
14 押下ヘッド
14a 吐出孔
15 付勢部材
28 連通口
29 ピストン支持部
31 係止部
32 規制部
O 中心軸線
W 容器本体
W1 口部
図1
図2
図3
図4