(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090510
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】車両用ピラーガラス周辺構造
(51)【国際特許分類】
B60J 1/10 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B60J1/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206464
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】山下 晶夫
(72)【発明者】
【氏名】安田 貴裕
(57)【要約】
【課題】ガラスモールよりも下方に設置された適宜の部材への被水を防止できる車両用ピラーガラス周辺構造を提供する。
【解決手段】本発明にかかる車両用ピラーガラス周辺構造100は、所定の開口118が形成されたフロントピラー104と、開口に設置されたピラーガラス106とを備える車両用ピラーガラス周辺構造において、車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの内面142の少なくとも下辺部144に沿って塗布されピラーガラスをフロントピラーに接合する接着剤140を備え、接着剤は、ピラーガラスの下辺部において下方に凸の経路に沿って塗布されている1つ以上の下方凸部146を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の開口が形成されたフロントピラーと、該開口に設置されたピラーガラスとを備える車両用ピラーガラス周辺構造において、当該車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、
前記ピラーガラスの内面の少なくとも下辺部に沿って塗布され該ピラーガラスを前記フロントピラーに接合する接着剤を備え、
前記接着剤は、前記ピラーガラスの下辺部において下方に凸の経路に沿って塗布されている1つ以上の下方凸部を有することを特徴とする車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項2】
所定の開口が形成されたフロントピラーと、該開口に設置されたピラーガラスとを備える車両用ピラーガラス周辺構造において、当該車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、
前記ピラーガラスの内面の少なくとも下辺部に沿って塗布され該ピラーガラスを前記フロントピラーに接合する接着剤を備え、
前記接着剤は、前記ピラーガラスの下辺部において下方に向かって途切れている1つ以上の終端部を有することを特徴とする車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項3】
所定の開口が形成されたフロントピラーと、該開口に設置されたピラーガラスとを備える車両用ピラーガラス周辺構造において、当該車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、
前記ピラーガラスの内面の少なくとも下辺部に沿って塗布され該ピラーガラスを前記フロントピラーに接合する接着剤を備え、
前記接着剤は、前記ピラーガラスの下辺部において下方に凸の経路に沿って塗布されている1つ以上の下方凸部と、前記ピラーガラスの下辺部において下方に向かって途切れている1つ以上の終端部とを有することを特徴とする車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項4】
前記接着剤の前記下方凸部は、前記ピラーガラスの前縁および後縁の少なくとも一方に沿って下方に凸となって前側角部および後側角部の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1または3に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項5】
前記接着剤の前記終端部は、前記ピラーガラスの前縁および後縁の少なくとも一方に沿って下方に向かって途切れて前側角部および後側角部の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項6】
当該車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、前記ピラーガラスの下方に位置し前記フロントピラーに設置された所定のブラケットを備え、
前記接着剤の前記下方凸部は、前記ピラーガラスの下辺部において車両前後に離間した前側下方凸部および後側下方凸部を有し、
前記前側下方凸部は、前記ブラケットよりも車両前側に位置し、
前記後側下方凸部は、前記ブラケットよりも車両後側に位置していることを特徴とする請求項1または3に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項7】
当該車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、前記ピラーガラスの下方に位置し前記フロントピラーに設置された所定のブラケットを備え、
前記接着剤の前記終端部は、前記ピラーガラスの下辺部において車両前後に離間した前側終端部および後側終端部を有し、
前記前側終端部は、前記ブラケットよりも車両前側に位置し、
前記後側終端部は、前記ブラケットよりも車両後側に位置していることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項8】
当該車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、前記ピラーガラスの下方に位置し前記フロントピラーに設置された所定の部品固定部を備え 、
前記接着剤の前記下方凸部は、前記ピラーガラスの下辺部において車両前後に離間した前側下方凸部および後側下方凸部を有し、
前記前側下方凸部は、前記部品固定部よりも車両前側に位置し、
前記後側下方凸部は、前記部品固定部よりも車両後側に位置していることを特徴とする請求項1または3に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項9】
当該車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、前記ピラーガラスの下方に位置し前記フロントピラーに設置された所定の部品固定部を備え、
前記接着剤の前記終端部は、前記ピラーガラスの下辺部において車両前後に離間した前側終端部および後側終端部を有し、
前記前側終端部は、前記部品固定部よりも車両前側に位置し、
前記後側終端部は、前記部品固定部よりも車両後側に位置していることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項10】
前記フロントピラーには、車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し上下方向に延びる前側突出部および後側突出部が形成されていて、
前記前側突出部は、前記前側下方凸部よりも車両後側に位置し、
前記後側突出部は、前記後側下方凸部よりも車両前側に位置し、
前記前側突出部と前記後側突出部との間に前記ブラケットが設置されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項11】
前記フロントピラーには、車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し上下方向に延びる前側突出部および後側突出部が形成されていて、
前記前側突出部は、前記前側終端部よりも車両後側に位置し、
前記後側突出部は、前記後側終端部よりも車両前側に位置し、
前記前側突出部と前記後側突出部との間に前記ブラケットが設置されていることを特徴とする請求項7に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項12】
前記フロントピラーには、車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し上下方向に延びる前側突出部および後側突出部が形成されていて、
前記前側突出部は、前記前側下方凸部よりも車両後側に位置し、
前記後側突出部は、前記後側下方凸部よりも車両前側に位置し、
前記前側突出部と前記後側突出部との間に前記部品固定部が設置されていることを特徴とする請求項8に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【請求項13】
前記フロントピラーには、車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し上下方向に延びる前側突出部および後側突出部が形成されていて、
前記前側突出部は、前記前側終端部よりも車両後側に位置し、
前記後側突出部は、前記後側終端部よりも車両前側に位置し、
前記前側突出部と前記後側突出部との間に前記部品固定部が設置されていることを特徴とする請求項9に記載の車両用ピラーガラス周辺構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ピラーガラス周辺構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両は、例えば開口が形成されたフロントピラーと、フロントピラーの開口に設置されたピラーガラスとを備える。ピラーガラスの周縁には、ガラスモールが設置されている。ピラーガラスは、ガラスモールとともに接着剤によってフロントピラーに接合される。
【0003】
特許文献1には、モール付きガラスが記載されている。このモール付きガラスでは、ガラス板の周縁に付設したモールに、ループを描くように一筋の接着剤を塗布し、さらに接着剤の始点と終点とが重なる部位は二筋になるように塗布されて、車体のパネルに接着されている。またモールには、接着剤が二筋になる部位に、ガラス板に向かって窪ませた凹部が設けられている。
【0004】
特許文献1のモール付きガラスでは、モールに凹部を設けるだけで、凹部に接着剤が収まるため、少ない部品点数で接着剤の漏れを防止することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のモール付きガラスでは、ガラス板に塗布された接着剤を伝って雨水などの水が流れた場合、この水は、接着剤から下方に滴下する。このため、このモール付きガラスでは、モールよりも下方に設置された適宜の部材、例えばフェンダパネルなどを固定するブラケットへの被水を防止することができない。
【0007】
また特許文献1のモール付きガラスにおいて、ブラケットへの被水を防止するためには、水を導くための専用部品を用意する必要があり、部品点数が増えてコストや工数が増加してしまう。なお部品点数が増えると、所望の方向に水を導くためには、部品を高い精度で組み付ける必要もある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、ガラスモールよりも下方に設置された適宜の部材への被水を防止することができる車両用ピラーガラス周辺構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、所定の開口が形成されたフロントピラーと、開口に設置されたピラーガラスとを備える車両用ピラーガラス周辺構造において、車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの内面の少なくとも下辺部に沿って塗布されピラーガラスをフロントピラーに接合する接着剤を備え、接着剤は、ピラーガラスの下辺部において下方に凸の経路に沿って塗布されている1つ以上の下方凸部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガラスモールよりも下方に設置された適宜の部材への被水を防止することができる車両用ピラーガラス周辺構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用ピラーガラス周辺構造が適用される車両を示す図である。
【
図2】
図1の車両用ピラーガラス周辺構造の一部を示す図である。
【
図3】
図1の車両用ピラーガラス周辺構造の要部を示す図である。
【
図4】
図1の車両用ピラーガラス周辺構造の要部をフロントピラーとともに示す図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係る車両用ピラーガラス周辺構造の要部を示す図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施例に係る車両用ピラーガラス周辺構造の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態の代表的な構成は、所定の開口が形成されたフロントピラーと、開口に設置されたピラーガラスとを備える車両用ピラーガラス周辺構造において、車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの内面の少なくとも下辺部に沿って塗布されピラーガラスをフロントピラーに接合する接着剤を備え、接着剤は、ピラーガラスの下辺部において下方に凸の経路に沿って塗布されている1つ以上の下方凸部を有することを特徴とする。
【0013】
上記構成では、接着剤は、ピラーガラスの下辺部において下方に凸の経路に沿って塗布されている1つ以上の下方凸部を有している。このため、ピラーガラスの内面に塗布された接着剤を伝って雨水などの水が流れた場合、この水は、接着剤の下方凸部を伝って下方に滴下する。
【0014】
つまり、接着剤を伝ってピラーガラスの下辺部まで水が流れても、ピラーガラスの下辺部に沿った接着剤の下方凸部が任意の位置に形成されているため、任意の位置で水を下方に滴下することができる。したがって一例として、ピラーガラスの周縁にガラスモールが設置されていた場合、このガラスモールよりも下方に設置された適宜の部材(例えばフェンダパネルなどを固定するブラケット)への被水を防止することができる。さらに接着剤に下方凸部を形成するため、水を導くための専用部品を用意する必要がない。このため、部品点数が増えることにより、コストや工数が増加することを防止することができる。
【0015】
本発明の他の実施形態の代表的な構成は、所定の開口が形成されたフロントピラーと、開口に設置されたピラーガラスとを備える車両用ピラーガラス周辺構造において、車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの内面の少なくとも下辺部に沿って塗布されピラーガラスをフロントピラーに接合する接着剤を備え、接着剤は、ピラーガラスの下辺部において下方に向かって途切れている1つ以上の終端部を有することを特徴とする。
【0016】
上記構成では、接着剤は、ピラーガラスの下辺部において下方に向かって途切れている1つ以上の終端部を有している。このため、ピラーガラスの内面に塗布された接着剤を伝って雨水などの水が流れた場合、この水は、接着剤の終端部を伝って下方に滴下する。
【0017】
つまり、接着剤を伝ってピラーガラスの下辺部まで水が流れても、ピラーガラスの下辺部に沿った接着剤の終端部が任意の位置に形成されているため、任意の位置で水を下方に滴下することができる。したがって一例として、ピラーガラスの周縁にガラスモールが設置されていた場合、このガラスモールよりも下方に設置された適宜の部材への被水を防止することができる。さらに接着剤に終端部を形成するため、水を導くための専用部品を用意する必要がない。このため、部品点数が増えることにより、コストや工数が増加することを防止することができる。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態の代表的な構成は、所定の開口が形成されたフロントピラーと、開口に設置されたピラーガラスとを備える車両用ピラーガラス周辺構造において、車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの内面の少なくとも下辺部に沿って塗布されピラーガラスをフロントピラーに接合する接着剤を備え、接着剤は、ピラーガラスの下辺部において下方に凸の経路に沿って塗布されている1つ以上の下方凸部と、ピラーガラスの下辺部において下方に向かって途切れている1つ以上の終端部とを有することを特徴とする。
【0019】
上記構成では、接着剤は、ピラーガラスの下辺部において1つ以上の下方凸部と1つ以上の終端部とを有している。このため、ピラーガラスの内面に塗布された接着剤を伝って雨水などの水が流れた場合、この水は、接着剤の下方凸部や終端部を伝って下方に滴下する。
【0020】
つまり、接着剤を伝ってピラーガラスの下辺部まで水が流れても、ピラーガラスの下辺部に沿った接着剤の下方凸部および終端部が任意の位置に形成されているため、任意の位置で水を下方に滴下することができる。したがって一例として、ピラーガラスの周縁にガラスモールが設置されていた場合、このガラスモールよりも下方に設置された適宜の部材への被水を防止することができる。さらに接着剤に下方凸部および終端部を形成するため、水を導くための専用部品を用意する必要がない。このため、部品点数が増えることにより、コストや工数が増加することを防止することができる。
【0021】
上記の接着剤の下方凸部は、ピラーガラスの前縁および後縁の少なくとも一方に沿って下方に凸となって前側角部および後側角部の少なくとも一方に形成されている。これにより、接着剤を伝ってピラーガラスの下辺部まで流れた水は、ピラーガラスの下端まで伝う前に、ピラーガラスの下辺部の前側角部および後側角部の少なくとも一方に形成された下方凸部から、ピラーガラスの前縁および後縁の少なくとも一方に沿って下方に滴下する。このため、ピラーガラスの下端に水が導かれることがなく、ピラーガラスの下端から水が滴下することを防止することができる。
【0022】
上記の接着剤の終端部は、ピラーガラスの前縁および後縁の少なくとも一方に沿って下方に向かって途切れて前側角部および後側角部の少なくとも一方に形成されている。これにより、接着剤を伝ってピラーガラスの下辺部まで流れた水は、ピラーガラスの下端まで伝う前に、ピラーガラスの下辺部の前側角部および後側角部の少なくとも一方に形成された終端部から、ピラーガラスの前縁および後縁の少なくとも一方に沿って下方に滴下する。このため、ピラーガラスの下端に水が導かれることがなく、ピラーガラスの下端から水が滴下することを防止することができる。
【0023】
上記の車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの下方に位置しフロントピラーに設置された所定のブラケットを備え、接着剤の下方凸部は、ピラーガラスの下辺部において車両前後に離間した前側下方凸部および後側下方凸部を有し、前側下方凸部は、ブラケットよりも車両前側に位置し、後側下方凸部は、ブラケットよりも車両後側に位置している。
【0024】
これにより、ピラーガラスの接着剤を伝ってきた水は、ブラケットよりも車両前側、車両後側にそれぞれ位置する前側下方凸部、後側下方凸部によって下方に滴下される。このため、ブラケットへの被水を防止することができ、ブラケットに錆などが発生して、不具合が発生することを防止することができる。
【0025】
上記の車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの下方に位置しフロントピラーに設置された所定のブラケットを備え、接着剤の終端部は、ピラーガラスの下辺部において車両前後に離間した前側終端部および後側終端部を有し、前側終端部は、ブラケットよりも車両前側に位置し、後側終端部は、ブラケットよりも車両後側に位置している。
【0026】
これにより、ピラーガラスの接着剤を伝ってきた水は、ブラケットよりも車両前側、車両後側にそれぞれ位置する前側終端部、後側終端部によって下方に滴下される。このため、ブラケットへの被水を防止することができ、ブラケットに錆などが発生して、不具合が発生することを防止することができる。
【0027】
上記の車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの下方に位置しフロントピラーに設置された所定の部品固定部を備え、接着剤の下方凸部は、ピラーガラスの下辺部において車両前後に離間した前側下方凸部および後側下方凸部を有し、前側下方凸部は、部品固定部よりも車両前側に位置し、後側下方凸部は、部品固定部よりも車両後側に位置している。
【0028】
これにより、ピラーガラスの接着剤を伝ってきた水は、部品固定部よりも車両前側、車両後側にそれぞれ位置する前側下方凸部、後側下方凸部によって下方に滴下される。このため、部品固定部への被水を防止することができ、部品固定部に錆などが発生して、不具合が発生することを防止することができる。なお部品固定部とは、スタッドボルトや固定穴などである。
【0029】
上記の車両用ピラーガラス周辺構造はさらに、ピラーガラスの下方に位置しフロントピラーに設置された所定の部品固定部を備え、接着剤の終端部は、ピラーガラスの下辺部において車両前後に離間した前側終端部および後側終端部を有し、前側終端部は、部品固定部よりも車両前側に位置し、後側終端部は、部品固定部よりも車両後側に位置している。
【0030】
これにより、ピラーガラスの接着剤を伝ってきた水は、部品固定部よりも車両前側、車両後側にそれぞれ位置する前側終端部、後側終端部によって下方に滴下される。このため、部品固定部への被水を防止することができ、部品固定部に錆などが発生して、不具合が発生することを防止することができる。
【0031】
上記のフロントピラーには、車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し上下方向に延びる前側突出部および後側突出部が形成されていて、前側突出部は、前側下方凸部よりも車両後側に位置し、後側突出部は、後側下方凸部よりも車両前側に位置し、前側突出部と後側突出部との間にブラケットが設置されている。
【0032】
これにより、ピラーガラスの接着剤を伝ってきた水は、接着剤の前側下方凸部および後側下方凸部だけでなく、フロントピラーの前側突出部および後側突出部によっても下方に滴下されることになる。このため、ブラケットへの被水をより確実に防止することができる。
【0033】
上記のフロントピラーには、車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し上下方向に延びる前側突出部および後側突出部が形成されていて、前側突出部は、前側終端部よりも車両後側に位置し、後側突出部は、後側終端部よりも車両前側に位置し、前側突出部と後側突出部との間にブラケットが設置されている。
【0034】
これにより、ピラーガラスの接着剤を伝ってきた水は、接着剤の前側終端部および後側終端部だけでなく、フロントピラーの前側突出部および後側突出部によっても下方に滴下されることになる。このため、ブラケットへの被水をより確実に防止することができる。
【0035】
上記のフロントピラーには、車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し上下方向に延びる前側突出部および後側突出部が形成されていて、前側突出部は、前側下方凸部よりも車両後側に位置し、後側突出部は、後側下方凸部よりも車両前側に位置し、前側突出部と後側突出部との間に部品固定部が設置されている。
【0036】
これにより、ピラーガラスの接着剤を伝ってきた水は、接着剤の前側下方凸部および後側下方凸部だけでなく、フロントピラーの前側突出部および後側突出部によっても下方に滴下されることになる。このため、部品固定部への被水をより確実に防止することができる。
【0037】
上記のフロントピラーには、車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し上下方向に延びる前側突出部および後側突出部が形成されていて、前側突出部は、前側終端部よりも車両後側に位置し、後側突出部は、後側終端部よりも車両前側に位置し、前側突出部と後側突出部との間に部品固定部が設置されている。
【0038】
これにより、ピラーガラスの接着剤を伝ってきた水は、接着剤の前側終端部および後側終端部だけでなく、フロントピラーの前側突出部および後側突出部によっても下方に滴下されることになる。このため、部品固定部への被水をより確実に防止することができる。
【実施例0039】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0040】
図1は、本発明の実施例に係る車両用ピラーガラス周辺構造100が適用される車両102を示す図である。以下各図において、車両前後方向をそれぞれ矢印Front、Back、車幅方向の左右をそれぞれ矢印Left、Right、車両上下方向をそれぞれ矢印Up、Downで例示する。なお以下の説明では、
図1の車両右側の車両用ピラーガラス周辺構造100を例示するが、車両左側に本実施例を適用してもよい。
【0041】
車両用ピラーガラス周辺構造100は、車両102の右側のフロントピラー104と、ピラーガラス106とを備える。フロントピラー104は、前側フロントピラー108と、後側フロントピラー110とを有する。前側フロントピラー108は、ルーフ112とフェンダパネル114との間に差し渡されている。後側フロントピラー110は、ルーフ112とサイドドアパネル116との間に差し渡されている。
【0042】
フロントピラー104には、前側フロントピラー108および後側フロントピラー110によって区画された開口118が形成されている。ピラーガラス106は、フロントピラー104の開口118を覆うように車外側から設置される。またピラーガラス106の周縁120には、ガラスモール122が設置されている。
【0043】
図2は、
図1の車両用ピラーガラス周辺構造100の一部を示す図である。
図2(a)は、フロントピラー104を車外側から見た状態を示している。
図2(b)は、
図2(b)のフロントピラー104の開口118にピラーガラス106を設置した状態を車内側から見た図である。
【0044】
フロントピラー104は、
図2(a)に示すピラーアウタパネル124およびピラーインナパネル126を有する。ピラーインナパネル126は、
図2(b)に示すように前側フロントピラー108および後側フロントピラー110に連続している。ピラーアウタパネル124は、
図2(a)に示すようにピラーインナパネル126に重ねられていて、後側フロントピラー110に連続している。なおピラーアウタパネル124は、
図2(a)に示すように車両前側ではピラーインナパネル126に重なっていない。
【0045】
図3は、
図1の車両用ピラーガラス周辺構造100の要部を示す図である。
図3(a)は、車両用ピラーガラス周辺構造100の要部を車内側から見た図である。なお
図3(a)では、前側フロントピラー108およびピラーインナパネル126を省略している。
図3(b)は、
図3(a)の一部を拡大して示す図である。
【0046】
ガラスモール122は、前側端部128と、後側端部130(
図4(a)参照)と、下端部132とを有する。前側端部128、後側端部130はそれぞれ、ピラーガラス106の前縁134、後縁136に沿って上下方向に延びている。下端部132は、前側端部128と後側端部130とをつないでいて、ピラーガラス106の下縁138に沿って車両前後方向に延びている。
【0047】
車両用ピラーガラス周辺構造100はさらに、接着剤140を備える。接着剤140は、
図3(b)に示すように、ピラーガラス106の内面142の少なくとも下辺部144に沿って塗布され、ピラーガラス106をフロントピラー104に接合する。なお接着剤140は、下辺部144に沿って塗布されるだけでなく、
図3(a)に示すようにピラーガラス106の前縁134、後縁136などに沿って全体として環状に塗布されている。
【0048】
接着剤140は、
図3(b)に示すように、車両前後に離間した下方凸部146および終端部148を有する。下方凸部146は、ピラーガラス106の下辺部144において下方に凸の経路に沿って塗布されている部分である。下方凸部146は、ピラーガラス106の前縁134に沿って下方に凸となっていて、ピラーガラス106の前側角部150に形成されている。さらに接着剤140は、上方凸部152を有する。上方凸部152は、下方凸部146に隣接していて、上方に凸の経路に沿って塗布されている部分である。
【0049】
接着剤140の終端部148は、ピラーガラス106の下辺部144において下方に向かって途切れている部分である。終端部148は、ピラーガラス106の後縁136に沿って下方に向かって途切れていて、ピラーガラス106の後側角部154に形成されている。
【0050】
図4は、
図1の車両用ピラーガラス周辺構造100の要部をフロントピラー104とともに示す図である。
図4(a)は、車両用ピラーガラス周辺構造100の要部を車外側から見た側面図である。
図4(b)は、
図4(a)のA-A断面を示す図である。
【0051】
車両用ピラーガラス周辺構造100はさらに、ブラケット156を備える。ブラケット156は、
図4(a)に示すようにピラーガラス106の下方に位置し、フロントピラー104のピラーアウタパネル124に設置されている。ブラケット156は、フロントピラー104にフェンダパネル114(
図1参照)などを固定するために用いられる。
【0052】
接着剤140の下方凸部146は、ブラケット156よりも車両前側に位置している。接着剤140の終端部148は、ブラケット156よりも車両後側に位置している。つまり、ブラケット156は、下方凸部146と終端部148との間に位置している。
【0053】
またフロントピラー104のピラーアウタパネル124には、前側突出部158および後側突出部160が形成されている。前側突出部158および後側突出部160は、
図4(a)および
図4(b)に示すように車両前後方向に離間して車外側にそれぞれ突出し、上下方向に延びている。
【0054】
フロントピラー104の前側突出部158は、接着剤140の下方凸部146よりも車両後側に位置している。後側突出部160は、接着剤140の終端部148よりも車両前側に位置している。そして前側突出部158と後側突出部160との間に、ブラケット156が設置されている。
【0055】
このように車両用ピラーガラス周辺構造100では、接着剤140が、ピラーガラス106の下辺部144において下方凸部146と終端部148とを有している。このため、ピラーガラス106の内面142に塗布された接着剤140を伝って雨水などの水が流れた場合、この水は、
図3(b)の点線Wa、Wbに示すように、接着剤140の下方凸部146や終端部148を伝って下方に滴下する。
【0056】
つまり、接着剤140を伝ってピラーガラス106の下辺部144まで水が流れても、ピラーガラス106の下辺部144に沿った接着剤140の下方凸部146および終端部148が任意の位置に形成されているため、任意の位置で水を下方に滴下することができる。したがって、ガラスモール122よりも下方に設置されたブラケット156への被水を防止することができる。さらに接着剤140では、上方凸部152が下方凸部146に隣接しているため、上方凸部152で水を切ることができ、水を確実に下方に滴下することができる。
【0057】
また車両用ピラーガラス周辺構造100では、接着剤140に下方凸部146および終端部148を形成するため、水を導くための専用部品を用意する必要がない。このため、部品点数が増えることにより、コストや工数が増加することを防止することができる。
【0058】
また車両用ピラーガラス周辺構造100では、接着剤140の下方凸部146がピラーガラス106の前側角部150に形成されていて、接着剤140の終端部148がピラーガラス106の後側角部154に形成されている。このため、接着剤140を伝ってピラーガラス106の下辺部144まで流れた水は、ピラーガラス106の下端すなわち下縁138などを含む部位まで伝う前に、接着剤140の下方凸部146および終端部148から、ピラーガラス106の前縁134および後縁136に沿って下方に滴下する。したがってピラーガラス106の下端に水が導かれることがなく、ピラーガラス106の下端から水が滴下することを防止することができる。
【0059】
また車両用ピラーガラス周辺構造100では、接着剤140の下方凸部146と終端部148との間にブラケット156が位置している。このため、接着剤140を伝ってきた水は、ブラケット156よりも車両前側、車両後側にそれぞれ位置する下方凸部146、終端部148によって下方に滴下される。このため、ブラケット156への被水を十分に防止することができる。
【0060】
さらに車両用ピラーガラス周辺構造100では、接着剤140の下方凸部146と終端部148との間に、フロントピラー104の前側突出部158および後側突出部160が位置していて、さらに前側突出部158と後側突出部160との間に、ブラケット156が設置されている。このため、接着剤140を伝ってきた水は、接着剤140の下方凸部146および終端部148だけでなく、フロントピラー104の前側突出部158および後側突出部160によっても下方に滴下されることになる。このため、ブラケット156への被水をより確実に防止することができる。
【0061】
なお車両用ピラーガラス周辺構造100では、接着剤140の下方凸部146と終端部148との間にブラケット156が位置していて、さらにフロントピラー104の前側突出部158と後側突出部160との間に、ブラケット156が設置されているとしたが、これに限定されない。
【0062】
一例として、フロントピラー104のピラーアウタパネル124に、ブラケット156に代えて、スタッドボルトや固定穴などの所定の部品固定部を設けてもよい。なおスタッドボルトや固定穴は、ブラケット156を用いず、フロントピラー104にフェンダパネル114(
図1参照)などを直接ボルト固定する場合などに用いられる。
【0063】
このような場合、接着剤140の下方凸部146と終端部148との間に部品固定部が位置することになるため、接着剤140を伝ってきた水は、部品固定部よりも車両前側、車両後側にそれぞれ位置する下方凸部146、終端部148によって下方に滴下される。このため、部品固定部への被水を十分に防止することができる。
【0064】
さらにフロントピラー104の前側突出部158と後側突出部160との間に、部品固定部が設置されることになるため、接着剤140を伝ってきた水は、接着剤140の下方凸部146および終端部148だけでなく、フロントピラー104の前側突出部158および後側突出部160によっても下方に滴下されることになる。このため、部品固定部への被水をより確実に防止することができる。
【0065】
図5は、本発明の他の実施例に係る車両用ピラーガラス周辺構造100Aの要部を示す図である。
図5(a)は、車両用ピラーガラス周辺構造100Aの要部を車内側から見た図であって、
図3(a)に対応させて示している。
図3(b)は、
図3(a)の一部を拡大して示す図である。
【0066】
車両用ピラーガラス周辺構造100Aは、
図5(a)に示す接着剤140Aを備える。接着剤140Aには、後側終端部148Aが形成されていて、下方凸部146が形成されていない点で、上記の車両用ピラーガラス周辺構造100の接着剤140と異なる。
【0067】
接着剤140Aは、
図5(a)に示すようにピラーガラス106の前縁134、後縁136などに沿って全体として環状に塗布されていて、さらに接着剤140Aの始点となる端部162と後側終端部148Aとが一致していない。このため車両用ピラーガラス周辺構造100Aでは、接着剤140Aの塗布を容易に行うことができ、作業性を高めることができる。
【0068】
また接着剤140Aの後側終端部148Aは、ピラーガラス106の後側角部154に形成されている。このため、接着剤140Aを伝ってピラーガラス106の下辺部144まで流れた水は、
図5(b)の点線Wcに示すように、接着剤140の後側終端部148Aを伝って下方に滴下する。これにより、ブラケット156への被水を防止することができる。
【0069】
また接着剤140Aの後側終端部148Aは、フロントピラー104の後側突出部160(
図4(a)参照)よりも車両後側に位置している。このため、接着剤140Aを伝ってきた水は、接着剤140Aの後側終端部148Aだけでなく、フロントピラー104の後側突出部160によっても下方に滴下されることになる。このため、ブラケット156への被水をより確実に防止することができる。
【0070】
図6は、本発明のさらに他の実施例に係る車両用ピラーガラス周辺構造100B、100Cの要部を示す図である。
図6(a)、
図6(b)は、車両用ピラーガラス周辺構造100B、100Cの要部を車内側から見た図であって、
図3(b)に対応させて示している。
【0071】
図6(a)に示す車両用ピラーガラス周辺構造100Bは、接着剤140Bを備える。接着剤140Bには、後側終端部148A(
図5(b)参照)だけでなく、前側終端部148Bが形成されていて、下方凸部146が形成されていない点で、上記の車両用ピラーガラス周辺構造100の接着剤140と異なる。
【0072】
接着剤140Bの後側終端部148A、前側終端部148Bは、ピラーガラス106の後側角部154、前側角部150にそれぞれ形成されている。このため、接着剤140Bを伝ってピラーガラス106の下辺部144まで流れた水は、
図6(a)の点線Wc、Wdに示すように、接着剤140Bの後側終端部148A、前側終端部148Bを伝ってピラーガラス106の後縁136および前縁134に沿って下方に滴下する。これにより、ブラケット156への被水を防止することができる。
【0073】
さらに車両用ピラーガラス周辺構造100Bでは、接着剤140Bの後側終端部148Aと前側終端部148Bとの間に、フロントピラー104の後側突出部160および前側突出部158(
図4(a)参照)が位置している。このため、接着剤140Bを伝ってきた水は、接着剤140Bの後側終端部148Aおよび前側終端部148Bだけでなく、フロントピラー104の後側突出部160および前側突出部158によっても下方に滴下されることになる。このため、ブラケット156への被水をより確実に防止することができる。
【0074】
なお車両用ピラーガラス周辺構造100Bでは、接着剤140Bの後側終端部148Aと前側終端部148Bとの間にブラケット156が位置していて、さらにフロントピラー104の前側突出部158と後側突出部160との間に、ブラケット156が設置されているとしたが、これに限定されない。一例として、フロントピラー104のピラーアウタパネル124に、ブラケット156に代えて、スタッドボルトや固定穴などの所定の部品固定部を設けてもよい。
【0075】
このような場合、接着剤140Bの後側終端部148Aと前側終端部148Bとの間に部品固定部が位置することになるため、接着剤140Bを伝ってきた水は、部品固定部よりも車両前側、車両後側にそれぞれ位置する前側終端部148B、後側終端部148Aによって下方に滴下される。このため、部品固定部への被水を十分に防止することができる。
【0076】
さらにフロントピラー104の前側突出部158と後側突出部160との間に、部品固定部が設置されることになるため、接着剤140Bを伝ってきた水は、接着剤140Bの後側終端部148Aおよび前側終端部148Bだけでなく、フロントピラー104の前側突出部158および後側突出部160によっても下方に滴下されることになる。このため、部品固定部への被水をより確実に防止することができる。
【0077】
図6(b)に示す車両用ピラーガラス周辺構造100Cは、接着剤140Cを備える。接着剤140Cには、前側下方凸部146Aおよび後側下方凸部146Bが形成されている点で、上記の車両用ピラーガラス周辺構造100の接着剤140と異なる。
【0078】
接着剤140Cの前側下方凸部146A、後側下方凸部146Bは、ピラーガラス106の前側角部150、後側角部154にそれぞれ形成されている。このため、接着剤140Cを伝ってピラーガラス106の下辺部144まで流れた水は、
図6(b)の点線We、Wfに示すように、接着剤140Cの前側下方凸部146A、後側下方凸部146Bを伝ってピラーガラス106の前縁134および後縁136に沿って下方に滴下する。これにより、ブラケット156への被水を防止することができる。
【0079】
さらに車両用ピラーガラス周辺構造100Cでは、接着剤140Cの前側下方凸部146Aと後側下方凸部146Bとの間に、フロントピラー104の前側突出部158および後側突出部160(
図4(a)参照)が位置している。このため、接着剤140Cを伝ってきた水は、接着剤140Cの前側下方凸部146Aおよび後側下方凸部146Bだけでなく、フロントピラー104の前側突出部158および後側突出部160によっても下方に滴下されることになる。このため、ブラケット156への被水をより確実に防止することができる。
【0080】
さらに接着剤140Cでは、上方凸部152A、152Bが前側下方凸部146A、後側下方凸部146Bにそれぞれ隣接しているため、上方凸部152A、152Bで水を切ることができ、水を確実に下方に滴下することができる。
【0081】
なお車両用ピラーガラス周辺構造100Cでは、接着剤140Cの前側下方凸部146Aと後側下方凸部146Bとの間にブラケット156が位置していて、さらにフロントピラー104の前側突出部158と後側突出部160との間に、ブラケット156が設置されているとしたが、これに限定されない。一例として、フロントピラー104のピラーアウタパネル124に、ブラケット156に代えて、スタッドボルトや固定穴などの所定の部品固定部を設けてもよい。
【0082】
このような場合、接着剤140Cの前側下方凸部146Aと後側下方凸部146Bとの間に部品固定部が位置することになるため、接着剤140Cを伝ってきた水は、部品固定部よりも車両前側、車両後側にそれぞれ位置する前側下方凸部146A、後側下方凸部146Bによって下方に滴下される。このため、部品固定部への被水を十分に防止することができる。
【0083】
さらにフロントピラー104の前側突出部158と後側突出部160との間に、部品固定部が設置されることになるため、接着剤140Cを伝ってきた水は、接着剤140Cの前側下方凸部146Aおよび後側下方凸部146Bだけでなく、フロントピラー104の前側突出部158および後側突出部160によっても下方に滴下されることになる。このため、ブラケット156への被水をより確実に防止することができる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100、100A、100B、100C…車両用ピラーガラス周辺構造、102…車両、104…フロントピラー、106…ピラーガラス、108…前側フロントピラー、110…後側フロントピラー、112…ルーフ、114…フェンダパネル、116…サイドドアパネル、118…フロントピラーの開口、120…ピラーガラスの周縁、122…ガラスモール、124…ピラーアウタパネル、126…ピラーインナパネル、128…ガラスモールの前側端部、130…ガラスモールの後側端部、132…ガラスモールの下端部、134…ピラーガラスの前縁、136…ピラーガラスの後縁、138…ピラーガラスの下縁、140、140A、140B、140C…接着剤、142…ピラーガラスの内面、144…ピラーガラスの下辺部、146…接着剤の下方凸部、146A…前側下方凸部、146B…後側下方凸部、148…接着剤の終端部、148A…後側終端部、148B…前側終端部、150…ピラーガラスの前側角部、152…接着剤上方凸部、154…ピラーガラスの後側角部、156…ブラケット、158…フロントピラーの前側突出部、160…フロントピラーの後側突出部、162…接着剤の端部