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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090518
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】環境保全方法及び環境保全システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 31/00 20060101AFI20240627BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20240627BHJP
   G08B 21/14 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G08B31/00 B
A47L15/46 E
G08B21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206474
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(72)【発明者】
【氏名】乙川 裕次
(72)【発明者】
【氏名】堀川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】嶋谷 護
【テーマコード(参考)】
3B082
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3B082DC01
5C086AA02
5C086BA17
5C086CB01
5C086CB08
5C086CB11
5C086DA08
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA02
5C086FA11
5C086FA17
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA32
5C087DD20
5C087DD33
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG14
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】ガス燃焼手段での不完全燃焼による一酸化炭素濃度の増加を予見し、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができる環境保全方法及び環境保全システムを提供する。
【解決手段】
燃焼排ガスにより加熱した洗浄水により食器を洗浄する食器洗浄装置と、食器洗浄装置に有する各種センサと接続する制御盤31から情報を受信して熱交換手段の熱交換効率を算出し、日付ごとに代表的な熱交換効率を選び出し、代表的な熱交換効率及びその日付の複数個の組み合わせから、代表的な熱交換効率が所定の値まで低下すると予測される日付を算出するサーバ20と、サーバと接続する保全担当者端末12とを備え、代表的な熱交換効率が所定の値まで低下すると予測される日付の所定の期間前に、保全担当者端末へと代表的な熱交換効率が所定の値まで低下すると予測される日付を送信することを特徴とする環境保全システム1としたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を使用して食器を洗浄する食器洗浄装置を設置した施設内部の環境保全方法であって、
第1の貯水タンクに貯水した前記洗浄水を、熱交換手段であるガス燃焼手段により空気中の酸素とガスとを燃焼させて発生する燃焼排ガスを用いて熱交換を行うことにより、第1の所定の温度まで加熱するとともに、前記加熱する洗浄水の温度と、前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量と、を所定の時間ごとに複数回検知する加熱ステップと、
前記加熱ステップで所定の時間ごとに複数回検知した加熱される前記洗浄水の温度の情報、及び前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量の情報と、前記洗浄水の温度及び前記ガスの流量を検知した日付及び時間の情報と、前記第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の体積の情報と、をサーバへと送信するサーバ送信ステップと、
前記サーバ送信ステップで送信された前記情報から、前記サーバにより前記燃焼排ガスによる所定の時間ごとの熱交換効率を算出するとともに、前記洗浄水の温度及びガスの流量を検知した日付ごとに、前記日付に属する所定の時間ごとの熱交換効率のうちから最大の値となる代表的な熱交換効率を選び出す熱交換効率算出ステップと、
前記熱交換効率算出ステップで算出した前記代表的な熱交換効率、及び前記代表的な熱交換効率の属する日付の、複数個の組み合わせから、前記代表的な熱交換効率が前記熱交換手段のメンテナンスを行う必要のある所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付を算出するメンテナンス時期算出ステップと、
を含み、
前記メンテナンス時期算出ステップで算出した前記所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付よりも所定の期間前に、前記所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付を、前記食器洗浄装置を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末へと送信するメッセージ送信ステップを行う
ことを特徴とする環境保全方法。
【請求項2】
加熱ステップでは、さらにガス燃焼手段により空気中の酸素とガスとを燃焼させて発生させた燃焼排ガスの一酸化炭素濃度をCOセンサにより検知し、
前記加熱ステップの後には、前記COセンサにより検知した一酸化炭素濃度が所定の濃度以上であった場合に、発報手段により発報する第1の発報ステップを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の環境保全方法。
【請求項3】
加熱ステップを開始した後に、食器洗浄装置を使用して食器の洗浄を行う作業員の酸素飽和度を所定の時間ごとに検知し、サーバへと前記酸素飽和度を送信する酸素飽和度送信ステップを行い、
前記酸素飽和度送信ステップの後には、前記酸素飽和度が所定の値を下回った場合に、前記サーバから発信する発報信号により、発報手段で発報する第2の発報ステップを行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の環境保全方法。
【請求項4】
洗浄水を貯水する第1の貯水タンク及び本洗浄タンクと、空気中の酸素とガスとを燃焼させて燃焼排ガスを発生させるガス燃焼手段と、前記燃焼排ガスを用いて熱交換を行うことにより、前記第1の貯水タンクに貯水した洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器により加熱された第1の貯水タンクに貯水する洗浄水を前記本洗浄タンクへと流動させて、前記本洗浄タンクに貯水する洗浄水を加熱する第1の供給配管と、を有し、前記本洗浄タンクに貯水する加熱された洗浄水をポンプにより吸い込み吐出し、食器に噴射することで食器を洗浄する食器洗浄装置と、
前記熱交換器により加熱される洗浄水の温度を所定の時間ごとに複数回検知する温度センサと、
前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量を所定の時間ごとに複数回検知する流量センサと、
前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報を保持するとともに、前記温度センサ及び前記流量センサと接続し、前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報と、前記温度センサにより検知した第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の温度の情報と、前記流量センサにより検知したガスの流量の情報と、前記洗浄水の温度の情報及び前記ガスの流量を検知した日付及び時間の情報と、を送信する制御盤と、
前記制御盤から前記情報を受信し、前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報と、前記温度センサにより検知した第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の温度の情報と、前記流量センサにより検知したガスの流量の情報とにより、前記熱交換器の熱交換効率を算出し、前記洗浄水の温度及びガスの流量を検知した日付ごとに、前記日付に属する熱交換効率のうちから最大の値となる代表的な熱交換効率を選び出し、前記代表的な熱交換効率及び前記日付の複数個の組み合わせから、前記熱交換器の前記熱交換効率がメンテナンスを行う必要のある所定の値まで低下すると予測される日付を算出するサーバと、
前記食器洗浄装置を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末と、
を備え、
前記制御盤と、前記サーバと、前記保全担当者端末とを、ネットワークを介して接続し、
前記サーバは、前記代表的な熱交換効率が前記所定の値まで低下すると予測される日付の所定の期間前に、前記保全担当者端末へと前記代表的な熱交換効率が前記所定の値まで低下すると予測される日付を送信する
ことを特徴とする環境保全システム。
【請求項5】
洗浄水を貯水する第2の貯水タンクと、
前記第2の貯水タンクに貯水する洗浄水へと燃焼排ガスを吐出し、気液接触による熱交換により前記洗浄水を加熱する燃焼排ガス配管と、
前記燃焼排ガス配管から吐出されて気液接触による熱交換により、温度の低下した燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素濃度を検知し、制御盤へと前記一酸化炭素濃度を送信するCOセンサと、
前記COセンサから前記制御盤へと送信された一酸化炭素濃度が所定の濃度以上であった場合に発報し、異常事態を周囲に知らせる発報手段と、
前記第2の貯水タンクに貯水して前記燃焼排ガスとの気液接触による熱交換により加熱された洗浄水を、本洗浄タンクへと流動させることで、前記本洗浄タンクに貯水した洗浄水を加熱する第2の供給配管と、
をさらに備える
ことを特徴とする請求項4に記載の環境保全システム。
【請求項6】
食器洗浄装置を使用して食器の洗浄を行う作業員が装着することにより、所定の時間ごとに前記作業員の酸素飽和度を検知するセンサと、前記センサにより検知した作業員の酸素飽和度を、所定の時間ごとにサーバへと送信する通信部と、を有する検知通信手段と、
前記サーバから制御盤へと送信される発報信号により発報し、異常事態を周囲に知らせる発報手段と、
をさらに備え、
前記サーバは、前記通信部より送信された作業員の酸素飽和度が所定の値を下回っている場合に、前記制御盤へと発報信号を発信する機能を有する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の環境保全システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排ガスにより加熱した洗浄水を噴射して食器を洗浄する食器洗浄装置を安全に使用することのできる、環境保全方法及び環境保全システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるガス式であるブースタを搭載した食器洗浄装置を使用するときには、空気中の酸素とガスとを燃焼手段で燃焼させることにより発生する燃焼排ガスで、タンクに貯水した清水である洗浄水を所定の温度に加熱し、所定の温度に加熱された洗浄水をポンプにより吸い込み吐出し、食器に向けて噴射して食器を洗浄している。
【0003】
万が一、タンクに貯水した洗浄水を所定の温度に加熱する際、空気中の酸素とガスとを燃焼させる燃焼手段で不完全燃焼を起こしたときには、燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が増加することとなる。もし、食器洗浄装置の設置された空間がほぼ密閉された状態となっていた場合、その燃焼排ガスの一部が食器洗浄装置を設置した施設内に流れ込むと、その空間の一酸化炭素濃度が増加し、最悪は食器洗浄装置を扱う作業員の生命に危険が及ぶこともある。
【0004】
特許文献1に記載されたものは、燃焼手段等のガス器具とともに使用されるガス警報器及びガス警報方法である。当該ガス警報器及びガス警報方法は、一酸化炭素濃度が設定値を上回ったときからタイマを開始し、設定時間内に一酸化炭素濃度が設定値を下回らない場合にはガス警報器により発報する。
【0005】
もし、タイマを開始して設定時間内に一酸化炭素濃度が設定値を下回った場合には、タイマはリセットされるが、その代わりに遅延カウンタが開始される。遅延カウンタは、所定の時刻を過ぎるまで一酸化炭素濃度が設定値を下回ったままでなければ、ガス警報器により発報する。
【0006】
これにより、ガス器具使用開始時等に、ガスを燃焼させたときにガス器具が冷えていることで、一時的に増加する一酸化炭素濃度によりガス警報器が発報(誤報)することを防止する。また、遅延カウンタによって、発生する一酸化炭素濃度の増減が激しい場合にも、ガス器具を使用している作業員が一酸化炭素による事故に巻き込まれることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-14573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、実際に燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素濃度が増加してガス警報器により検知されない限りは、一酸化炭素による事故を防ぐことができないという課題があった。
【0009】
本発明は、ガス燃焼手段での不完全燃焼による一酸化炭素濃度の増加を予見し、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができる環境保全方法及び環境保全システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る環境保全方法は、
洗浄水を使用して食器を洗浄する食器洗浄装置を設置した施設内部の環境保全方法であって、
第1の貯水タンクに貯水した前記洗浄水を、熱交換手段であるガス燃焼手段により空気中の酸素とガスとを燃焼させて発生する燃焼排ガスを用いて熱交換を行うことにより、第1の所定の温度まで加熱するとともに、前記加熱する洗浄水の温度と、前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量と、を所定の時間ごとに複数回検知する加熱ステップと、
前記加熱ステップで所定の時間ごとに複数回検知した加熱される前記洗浄水の温度の情報、及び前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量の情報と、前記洗浄水の温度及び前記ガスの流量を検知した日付及び時間の情報と、前記第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の体積の情報と、をサーバへと送信するサーバ送信ステップと、
前記サーバ送信ステップで送信された前記情報から、前記サーバにより前記燃焼排ガスによる所定の時間ごとの熱交換効率を算出するとともに、前記洗浄水の温度及びガスの流量を検知した日付ごとに、前記日付に属する所定の時間ごとの熱交換効率のうちから最大の値となる代表的な熱交換効率を選び出す熱交換効率算出ステップと、
前記熱交換効率算出ステップで算出した前記代表的な熱交換効率、及び前記代表的な熱交換効率の属する日付の、複数個の組み合わせから、前記代表的な熱交換効率が前記熱交換手段のメンテナンスを行う必要のある所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付を算出するメンテナンス時期算出ステップと、
を含み、
前記メンテナンス時期算出ステップで算出した前記所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付よりも所定の期間前に、前記所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付を、前記食器洗浄装置を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末へと送信するメッセージ送信ステップを行う
ことを特徴とするものである。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明に係る環境保全システムは、
洗浄水を貯水する第1の貯水タンク及び本洗浄タンクと、空気中の酸素とガスとを燃焼させて燃焼排ガスを発生させるガス燃焼手段と、前記燃焼排ガスを用いて熱交換を行うことにより、前記第1の貯水タンクに貯水した洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器により加熱された第1の貯水タンクに貯水する洗浄水を前記本洗浄タンクへと流動させて、前記本洗浄タンクに貯水する洗浄水を加熱する第1の供給配管と、を有し、前記本洗浄タンクに貯水する加熱された洗浄水をポンプにより吸い込み吐出し、食器に噴射することで食器を洗浄する食器洗浄装置と、
前記熱交換器により加熱される洗浄水の温度を所定の時間ごとに複数回検知する温度センサと、
前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量を所定の時間ごとに複数回検知する流量センサと、
前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報を保持するとともに、前記温度センサ及び前記流量センサと接続し、前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報と、前記温度センサにより検知した第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の温度の情報と、前記流量センサにより検知したガスの流量の情報と、前記洗浄水の温度の情報及び前記ガスの流量を検知した日付及び時間の情報と、を送信する制御盤と、
前記制御盤から前記情報を受信し、前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報と、前記温度センサにより検知した第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の温度の情報と、前記流量センサにより検知したガスの流量の情報とにより、前記熱交換器の熱交換効率を算出し、前記洗浄水の温度及びガスの流量を検知した日付ごとに、前記日付に属する熱交換効率のうちから最大の値となる代表的な熱交換効率を選び出し、前記代表的な熱交換効率及び前記日付の複数個の組み合わせから、前記熱交換器の前記熱交換効率がメンテナンスを行う必要のある所定の値まで低下すると予測される日付を算出するサーバと、
前記食器洗浄装置を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末と、
を備え、
前記制御盤と、前記サーバと、前記保全担当者端末とを、ネットワークを介して接続し、
前記サーバは、前記代表的な熱交換効率が前記所定の値まで低下すると予測される日付の所定の期間前に、前記保全担当者端末へと前記代表的な熱交換効率が前記所定の値まで低下すると予測される日付を送信する
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の環境保全方法及び環境保全システムによれば、燃焼手段での不完全燃焼による一酸化炭素濃度の増加を予見し、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の環境保全システムのうち、ネットワークの構成を示す概略図。
図2】上記環境保全システムのうち、サーバの構成を示す概略図。
図3】上記環境保全システムの一部を構成する食器洗浄装置の正面概略図。
図4】上記環境保全システムの食器洗浄装置のうち、第2の熱交換手段の正面概略図。
図5】上記環境保全システムを用いた環境保全方法のうち、貯水ステップ及び加熱ステップにおける食器洗浄装置の正面概略図。
図6】上記環境保全システムを用いた環境保全方法のうち、洗浄ステップにおける食器洗浄装置の正面概略図。
図7】上記環境保全システムを用いた環境保全方法のうち、再加熱ステップにおける食器洗浄装置の正面概略図。
図8】上記環境保全システムを用いた環境保全方法のうち、熱交換効率算出ステップにおいて作成されるグラフで、(a)時間の経過と第1の熱交換手段で加熱した洗浄水の温度との関係を示す「時間と温度のグラフ」、(b)演算部により作成した、時間の経過と熱交換効率との関係を示す「時間と熱交換効率のグラフ」。
図9】上記環境保全システムを用いた環境保全方法のうち、メンテナンス時期算出ステップにおいて作成される、日付の経過と熱交換効率との関係を示す「日付と熱交換効率のグラフ」。
図10】上記環境保全システムを用いた環境保全方法のステップ図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、
洗浄水を使用して食器を洗浄する食器洗浄装置を設置した施設内部の環境保全方法であって、
第1の貯水タンクに貯水した前記洗浄水を、熱交換手段であるガス燃焼手段により空気中の酸素とガスとを燃焼させて発生する燃焼排ガスを用いて熱交換を行うことにより、第1の所定の温度まで加熱するとともに、前記加熱する洗浄水の温度と、前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量と、を所定の時間ごとに複数回検知する加熱ステップと、
前記加熱ステップで所定の時間ごとに複数回検知した加熱される前記洗浄水の温度の情報、及び前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量の情報と、前記洗浄水の温度及び前記ガスの流量を検知した日付及び時間の情報と、前記第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の体積の情報と、をサーバへと送信するサーバ送信ステップと、
前記サーバ送信ステップで送信された前記情報から、前記サーバにより前記燃焼排ガスによる所定の時間ごとの熱交換効率を算出するとともに、前記洗浄水の温度及びガスの流量を検知した日付ごとに、前記日付に属する所定の時間ごとの熱交換効率のうちから最大の値となる代表的な熱交換効率を選び出す熱交換効率算出ステップと、
前記熱交換効率算出ステップで算出した前記代表的な熱交換効率、及び前記代表的な熱交換効率の属する日付の、複数個の組み合わせから、前記代表的な熱交換効率が前記熱交換手段のメンテナンスを行う必要のある所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付を算出するメンテナンス時期算出ステップと、
を含み、
前記メンテナンス時期算出ステップで算出した前記所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付よりも所定の期間前に、前記所定の熱交換効率まで低下すると予測される日付を、前記食器洗浄装置を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末へと送信するメッセージ送信ステップを行う
ことを特徴とする環境保全方法である。
【0015】
これにより、熱交換手段の熱交換効率が低下し、ガス燃焼手段での不完全燃焼による一酸化炭素が増加すると予測される日付を、食器洗浄装置を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末へと送信し、熱交換手段のメンテナンスを行うよう促す。そして、当該保全担当者に通知して、ガス燃焼手段での不完全燃焼による一酸化炭素濃度の増加を予見し、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、
加熱ステップでは、さらにガス燃焼手段により空気中の酸素とガスとを燃焼させて発生させた燃焼排ガスの一酸化炭素濃度をCOセンサにより検知し、
前記加熱ステップの後には、前記COセンサにより検知した一酸化炭素濃度が所定の濃度以上であった場合に、発報手段により発報する第1の発報ステップを行う
ことを特徴とする環境保全方法である。
【0017】
これにより、熱交換効率の低下からガス燃焼手段での不完全燃焼による一酸化炭素濃度の増加を予見してメンテナンスを促すだけでなく、実際の一酸化炭素濃度を検知して、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができる。
【0018】
第3の発明は、第1又は2の発明において、
加熱ステップを開始した後に、食器洗浄装置を使用して食器の洗浄を行う作業員の酸素飽和度を所定の時間ごとに検知し、サーバへと前記酸素飽和度を送信する酸素飽和度送信ステップを行い、
前記酸素飽和度送信ステップの後には、前記酸素飽和度が所定の値を下回った場合に、前記サーバから発信する発報信号により、発報手段で発報する第2の発報ステップを行う
ことを特徴とする環境保全方法である。
【0019】
これにより、万が一ガス燃焼手段で空気中の酸素とガスとを燃焼させたときに、一酸化炭素が所定の濃度以上含まれた燃焼排ガスが排出され、その燃焼排ガスが食器洗浄装置を設置した施設内へと流動した場合に、食器洗浄装置を使用して食器の洗浄を行う作業員が一酸化炭素中毒になっている、若しくは一酸化炭素中毒になるおそれがある状態を検知して周囲に知らせることができ、当該作業員の生命の安全を確保することができる。
【0020】
第4の発明は、
洗浄水を貯水する第1の貯水タンク及び本洗浄タンクと、空気中の酸素とガスとを燃焼させて燃焼排ガスを発生させるガス燃焼手段と、前記燃焼排ガスを用いて熱交換を行うことにより、前記第1の貯水タンクに貯水した洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器により加熱された第1の貯水タンクに貯水する洗浄水を前記本洗浄タンクへと流動させて、前記本洗浄タンクに貯水する洗浄水を加熱する第1の供給配管と、を有し、前記本洗浄タンクに貯水する加熱された洗浄水をポンプにより吸い込み吐出し、食器に噴射することで食器を洗浄する食器洗浄装置と、
前記熱交換器により加熱される洗浄水の温度を所定の時間ごとに複数回検知する温度センサと、
前記ガス燃焼手段へと供給されたガスの流量を所定の時間ごとに複数回検知する流量センサと、
前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報を保持するとともに、前記温度センサ及び前記流量センサと接続し、前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報と、前記温度センサにより検知した第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の温度の情報と、前記流量センサにより検知したガスの流量の情報と、前記洗浄水の温度の情報及び前記ガスの流量を検知した日付及び時間の情報と、を送信する制御盤と、
前記制御盤から前記情報を受信し、前記第1の貯水タンクに貯水する洗浄水の体積の情報と、前記温度センサにより検知した第1の貯水タンクに貯水した洗浄水の温度の情報と、前記流量センサにより検知したガスの流量の情報とにより、前記熱交換器の熱交換効率を算出し、前記洗浄水の温度及びガスの流量を検知した日付ごとに、前記日付に属する熱交換効率のうちから最大の値となる代表的な熱交換効率を選び出し、前記代表的な熱交換効率及び前記日付の複数個の組み合わせから、前記熱交換器の前記熱交換効率がメンテナンスを行う必要のある所定の値まで低下すると予測される日付を算出するサーバと、
前記食器洗浄装置を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末と、
を備え、
前記制御盤と、前記サーバと、前記保全担当者端末とを、ネットワークを介して接続し、
前記サーバは、前記代表的な熱交換効率が前記所定の値まで低下すると予測される日付の所定の期間前に、前記保全担当者端末へと前記代表的な熱交換効率が前記所定の値まで低下すると予測される日付を送信する
ことを特徴とする環境保全システムである。
【0021】
これにより、熱交換器の熱交換効率が低下し、ガス燃焼手段での不完全燃焼による一酸化炭素が増加すると予測される日付を、食器洗浄装置を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末へと送信し、熱交換器のメンテナンスを行うよう促す。そして、当該保全担当者に通知して、ガス燃焼手段での不完全燃焼による一酸化炭素濃度の増加を予見し、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができる。
【0022】
第5の発明は、第4の発明において、
洗浄水を貯水する第2の貯水タンクと、
前記第2の貯水タンクに貯水する洗浄水へと燃焼排ガスを吐出し、気液接触による熱交換により前記洗浄水を加熱する燃焼排ガス配管と、
前記燃焼排ガス配管から吐出されて気液接触による熱交換により、温度の低下した燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素濃度を検知し、制御盤へと前記一酸化炭素濃度を送信するCOセンサと、
前記COセンサから前記制御盤へと送信された一酸化炭素濃度が所定の濃度以上であった場合に発報し、異常事態を周囲に知らせる発報手段と、
前記第2の貯水タンクに貯水して前記燃焼排ガスとの気液接触による熱交換により加熱された洗浄水を、本洗浄タンクへと流動させることで、前記本洗浄タンクに貯水した洗浄水を加熱する第2の供給配管と、
をさらに備える
ことを特徴とする環境保全システムである。
【0023】
これにより、高温である燃焼排ガスの温度を低下させて、一酸化炭素濃度を検知するCOセンサに高温による悪影響が及ばないようにすることができる。そして、燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素濃度を安定して検知して、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができる。
【0024】
第6の発明は、第4又は5の発明において、
食器洗浄装置を使用して食器の洗浄を行う作業員が装着することにより、所定の時間ごとに前記作業員の酸素飽和度を検知するセンサと、前記センサにより検知した作業員の酸素飽和度を、所定の時間ごとにサーバへと送信する通信部と、を有する検知通信手段と、
前記サーバから制御盤へと送信される発報信号により発報し、異常事態を周囲に知らせる発報手段と、
をさらに備え、
前記サーバは、前記通信部より送信された作業員の酸素飽和度が所定の値を下回っている場合に、前記制御盤へと発報信号を発信する機能を有する
ことを特徴とする環境保全システムである。
【0025】
これにより、万が一ガス燃焼手段で空気中の酸素とガスとを燃焼させたときに、一酸化炭素が所定の濃度以上含まれた燃焼排ガスが排出され、その燃焼排ガスが食器洗浄装置を設置した施設内へと流動した場合に、食器洗浄装置を使用して食器の洗浄を行う作業員が一酸化炭素中毒になっている、若しくは一酸化炭素中毒になるおそれがある状態を検知して周囲に知らせることができ、当該作業員の生命の安全を確保することができる。
【0026】
(実施形態1)
(環境保全システムの構成)
まず、本実施形態の環境保全システム1の構成を説明する。
【0027】
本実施形態の環境保全システム1は、図1に示すように、例えば、外部からのアクセスを遮断した閉じられた通信網、又はインターネットであるネットワーク10を中心に、少なくとも情報集積装置11と、保全担当者端末12と、管理端末13と、検知通信手段14と、サーバ20とが接続された構成である。
【0028】
情報集積装置11は、制御盤31から送信された情報を集積し、ネットワーク10を介してサーバ20へと情報を送信する装置である。また、情報集積装置11は、ネットワーク10を介してサーバ20より送信された情報を受信して集積し、各制御盤31へと送信する装置である。
【0029】
保全担当者端末12は、ネットワーク10を介して情報の相互通信ができる機器、例えば携帯電話や無線機等、パソコン等を表し、食器洗浄装置30を設置した施設の機器の保護を行うことにより安全を維持する保全担当者等が有するものである。また、管理端末13は、環境保全システム1を運用する企業のメンテナンス部門の端末、例えばパソコン等を表す。
【0030】
保全担当者端末12及び管理端末13は、ネットワーク10を介して送られてきた情報を閲覧することのできる表示部や、ネットワーク10を介して他の端末やサーバ20等へ情報を入力して送信することのできるよう操作部や通信部を有する。
【0031】
検知通信手段14は、ネットワーク10を介して情報の通信ができる機器、例えば腕時計型などの携帯可能な機器を表す。検知通信手段14は、装着者の手首等へ光を照射して、透過した光の波長をセンサにより情報として収集し、装着者の血液中の酸素飽和度を計測する検知部を有する。また、検知通信手段14は、ネットワーク10を介して他の端末やサーバ20へ酸素飽和度を送信、及びネットワーク10を介して情報を受信することができる通信部を有する。
【0032】
サーバ20は、図2に示すように、ネットワーク10を介して受信した情報や、ネットワーク10を介して送信する情報を扱う通信部21と、情報の演算を行う演算部23と、情報の保持を行う保持部24と、通信部21、演算部23、及び保持部24への情報の振分け等を行う制御部22とを有する。
【0033】
図1に示す制御盤31は、例えば大量喫食を前提とした給食センターや社員食堂に設置された図3に示す食器洗浄装置30の各装置の駆動または停止や、バルブの開閉を制御する制御盤31である。
【0034】
(食器洗浄装置の構成)
図3に示す食器洗浄装置30は、搬送手段35に載置した例えば喫食後の食器である被洗浄物Wを、搬入口33から連続的に洗浄室40,50内へと搬送する。洗浄室40,50内では被洗浄物Wに向けて洗剤を含んだ洗浄水を噴射して洗浄し、洗浄した被洗浄物Wに向けて例えば清水(水道水)である洗浄水を噴射して仕上すすぎをする。仕上すすぎを終えた被洗浄物Wは、搬出口34から搬出されるものである。
【0035】
食器洗浄装置30は、
フレーム及び板金等により形成される外郭体32と、
搬入口33で載置した被洗浄物Wを本洗浄室(洗浄室)40内へと搬入し、仕上すすぎ室(洗浄室)50へと搬送し搬出口34から搬出する、例えばバーコンベアである搬送手段35と、
本洗浄タンク(タンク)41に貯水した所定の温度の洗浄水を、本洗浄ポンプ(ポンプ)42で吸い込み吐出し、本洗浄配管43を通じて本洗浄ノズル44から被洗浄物Wに向けて噴射する本洗浄室40と、
清水である洗浄水を、第1の給水配管36及び仕上すすぎ配管51を通じて供給し、仕上すすぎノズル52から被洗浄物Wに向けて噴射する仕上すすぎ室50と、
第1の貯水タンク(タンク)61に貯水した洗浄水を、ガス燃焼手段66により空気中の酸素とガスとを燃焼させて発生させた燃焼排ガスの熱エネルギーにより、熱交換器67で熱交換し、所定の温度に加熱する第1の熱交換手段(熱交換手段)60と、
第2の貯水タンク(タンク)71に貯水した清水である洗浄水に、ガス燃焼手段66にて発生した燃焼排ガスを通過させて、気液接触により熱交換させて所定の温度に加熱する第2の熱交換手段(熱交換手段)70と、
を備える。
【0036】
本実施形態では、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の所定の温度を第1の所定の温度、第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水の所定の温度を第2の所定の温度、そして本洗浄タンク41に貯水した洗浄水の所定の温度を第3の所定の温度、と呼ぶ。
【0037】
なお、図3及び図6に示す被洗浄物Wの上方に記載された二点鎖線による矢印は、被洗浄物Wの搬送方向を示す。また、図4図7に示す実線矢印は、洗浄水の流れ方向を示す。図4図5及び図7に示す破線矢印は、燃焼排ガスの流動方向を示す。
【0038】
次に食器洗浄装置30の具体的な構成を説明する。
【0039】
(本洗浄室)
図3に示すように、本洗浄室40は、
第1の給水配管36及び第2の給水配管45を通じて給水した清水である洗浄水を貯水する本洗浄タンク41と、
本洗浄タンク41に貯水する洗浄水の水位を検知する水位センサ(センサ)41aと、
本洗浄タンク41に貯水する洗浄水の温度を検知する温度センサ(センサ)41bと、
本洗浄タンク41に貯水する洗浄水が水位センサ41aにより検知する所定の水位を越えた際に、越えた水位の分だけ排水するオーバーフロー配管41cと、
本洗浄タンク41に貯水した洗浄水が所定の濃度となるよう洗剤を供給する、図示しない洗剤供給手段と、
搬送手段35に被洗浄物Wを載置して搬送する面である搬送面の上方と下方とに設け、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を本洗浄ポンプ42により吸い込み吐出し、本洗浄配管43を通じて、被洗浄物Wに向けて噴射する本洗浄ノズル44と、
を有する。
【0040】
(仕上すすぎ室)
仕上すすぎ室50は、
第1の給水配管36及び仕上すすぎ配管51を通じて給水した清水である洗浄水を、被洗浄物Wに向けて噴射する仕上すすぎノズル52と、
仕上すすぎノズル52から噴射した洗浄水が搬送手段35より下方へと落下したときに、その洗浄水を本洗浄タンク41へと流動させる、本洗浄タンク41側へと下方傾斜した平面である流動部53と、
を有する。
【0041】
なお、本洗浄タンク41に隣接するように仕上すすぎタンクを設け、その仕上すすぎタンクに貯水した洗浄水を電気ヒータやブースタを用いて加熱し、さらに設けた仕上すすぎポンプにより吸い込み吐出して、仕上すすぎ配管51を通じて仕上すすぎノズル52から噴射させる構造としてもよい。これにより、加熱された洗浄水で仕上すすぎを行うことができる。
【0042】
(第1の熱交換手段)
第1の熱交換手段60は、
本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を循環ポンプ(ポンプ)63により吸い込み吐出し、循環配管62を通じて流動する洗浄水を貯水する第1の貯水タンク61と、
第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の水位を検知する水位センサ(センサ)61aと、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の温度を検知する温度センサ(センサ)61bと、
ガス供給管65から供給したガスを空気中の酸素とともに燃焼させて燃焼排ガスを発生させるガス燃焼手段66と、
ガス燃焼手段66で発生させた燃焼排ガスを用いて内部の銅フィンを加熱し、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水と熱交換を行うことにより、洗浄水を第1の所定の温度に加熱する熱交換器67と、
ガス供給管65を流動するガスの流量を検知する流量センサ(センサ)65bと、
第1の貯水タンク61に所定の水位まで貯水した洗浄水がオーバーフローするオーバーフロー部61cを通じて、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が本洗浄タンク41へと流動する管路である第1の供給配管64と、
を有する。
【0043】
ガス燃焼手段66は、流量センサ65bで検知したガス供給管65内を流動するガスの流量に対して、ガスが適切な空燃比にて燃焼するよう空気を供給する図示しないファンを有している。なお、ガス燃焼手段66で適切にガスを燃焼させることができるのであれば、空気を自然吸入させる構造としてもよい。また、単位時間当たりのガスの流量が検知できるのであれば、適切な空燃比となるように空気を混ぜ合わせたガスである予混合ガスを、ガス燃焼手段66へ供給してもよい。
【0044】
(第2の熱交換手段)
図3及び図4に示すように、第2の熱交換手段70は、
第1の給水配管36及び第3の給水配管72を通じて給水した清水である洗浄水を貯水する第2の貯水タンク71と、
第2の貯水タンク71内の洗浄水の水位が略一定となるように水位を検知しつつ、水位が低下した場合に洗浄水を給水する、例えばボールタップである水位センサ(センサ)71aと、
第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水の温度を検知する温度センサ(センサ)71bと、
第1の熱交換手段60のガス燃焼手段66で空気中の酸素とガスとを燃焼させることで発生した燃焼排ガスを、第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水内へと導き、複数あけられた孔74aから洗浄水中へと吐出し、燃焼排ガスを気泡(燃焼排ガス)Bとして洗浄水と気液接触させ、洗浄水を加熱する燃焼排ガス配管74と、
第2の貯水タンク71に貯水した加熱された洗浄水を、本洗浄タンク41へと流動させる配管である第2の供給配管73と、
燃焼排ガス配管74にあけられた複数の孔74aから吐出された燃焼排ガスを、第2の貯水タンク71の上面に設けた吐出口75を通じて食器洗浄装置30を設置した施設外へと排気するダクト76と、
ダクト76内を流動する燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素濃度を検知するCOセンサ(センサ)76aと、
を有する。
【0045】
(制御盤)
図1及び図3に示す制御盤31は、食器洗浄装置30の有する各機器、例えば搬送手段35、本洗浄ポンプ42、循環ポンプ63、ガス燃焼手段66、バルブ45a,51a,65a,72a,73aと電気的に接続されており、それら各機器の、運転や開閉を制御する。また、水位センサ41a,61a、温度センサ41b,61b,71b、流量センサ65b、COセンサ76aとも電気的に接続されており、各センサから信号を受信する。なお、情報集積装置11と制御盤31とは有線により接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。
【0046】
制御盤31は図示しない保持部に情報、例えば、水位センサ61aが検知するまで第1の貯水タンク61に洗浄水が貯水されたときの洗浄水の体積の情報を保持している。
【0047】
また、制御盤31は、発報信号をサーバ20から受信したとき又は特定の条件を満たした場合に、異常事態を周囲に知らせる、例えばブザーを備えた回転灯である発報手段31aを有している。
【0048】
なお、制御盤31に例えばキー入力することのできる操作部を設けて、保持部に保持する情報、例えば第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の体積を入力、編集するようにしてもよい。また、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の重さを計測することにより、制御盤31により重さから体積を算出し、制御盤31の保持部に重さや体積を保持するように構成してもよい。
【0049】
(環境保全方法)
図10に示すように、環境保全システム1で行う環境保全方法は(1)から(3)の3つの工程に分けられ、各工程はさらに各ステップに分けられる。
(1)被洗浄物の洗浄工程S100
・本洗浄タンク41、第1の貯水タンク61、及び第2の貯水タンク71に所定の水位まで洗浄水を貯水する貯水ステップS110
・本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を第3の所定の温度となるまで加熱する加熱ステップS120
・加熱ステップS120で発生させた燃焼排ガスの一酸化炭素濃度を検知して、一酸化炭素濃度が所定の濃度以上である場合に発報する第1の発報ステップS130
・搬送手段35により搬送する被洗浄物Wに、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を噴射して洗浄し、洗浄した後に清水である洗浄水を噴射して仕上すすぎを行う洗浄ステップS140
・洗浄すべき被洗浄物Wを洗浄し終えた後、数時間を空けず再び被洗浄物Wを洗浄する可能性がある場合に、再び本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を第3の所定の温度となるまで加熱する再加熱ステップS150
(2)メンテナンス時期の通知工程S200
・加熱ステップS120を開始した後に、食器洗浄装置30のセンサ61b,65bから制御盤31に送信された情報と、制御盤31に保持された情報とを、サーバ20へと送信するサーバ送信ステップS210
・サーバ送信ステップS210でサーバ20へと送信された情報を基に、熱交換効率を算出する熱交換効率算出ステップS220
・熱交換効率算出ステップS220で算出した熱交換効率を基に、メンテナンス時期を算出するメンテナンス時期算出ステップS230
・メンテナンス時期算出ステップS230で算出したメンテナンス時期を、保全担当者端末12へ送信するメッセージ送信ステップS240
(3)酸素飽和度によるメンテナンス工程S300
・加熱ステップS120を開始した後に、食器洗浄装置30を使用して食器の洗浄を行う作業員が装着した検知通信手段14により、作業員の酸素飽和度を検知してサーバ20へと送信する酸素飽和度送信ステップS310
・酸素飽和度送信ステップS310でサーバ20へと送信された酸素飽和度が所定の値を下回った場合に、発報する第2の発報ステップS320
・酸素飽和度送信ステップS310でサーバ20へと送信された酸素飽和度が所定の値を下回った場合に、第2の発報ステップS320の後に、メンテナンスを行うメンテナンスステップS330
【0050】
上記の3つの工程である被洗浄物の洗浄工程S100、メンテナンス時期の通知工程S200、及び酸素飽和度によるメンテナンス工程S300は、それぞれが独立して並行して進行する。
【0051】
以下、図10を参照しながら各工程の各ステップについて説明していく。
【0052】
(1)被洗浄物の洗浄工程
(貯水ステップ)
まずは、被洗浄物の洗浄工程S100として最初に、本洗浄タンク41、第1の貯水タンク61、及び第2の貯水タンク71に所定の水位まで洗浄水を貯水する貯水ステップS110を説明する。
【0053】
図5に示すように、バルブ45aを開放して第1の給水配管36及び第2の給水配管45を通じて清水である洗浄水を本洗浄タンク41へと供給し、水位センサ41aで検知する水位まで洗浄水を本洗浄タンク41に貯水する。それとともに本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を、循環ポンプ63により吸い込み吐出して、循環配管62を通じて水位センサ61aで検知する水位まで洗浄水を第1の貯水タンク61に貯水する。
【0054】
また、バルブ72aを開放して第1の給水配管36及び第3の給水配管72を通じて清水である洗浄水を第2の貯水タンク71へと供給し、水位センサ71aで検知する水位まで洗浄水を第2の貯水タンク71に貯水する。
【0055】
本洗浄タンク41、第1の貯水タンク61、及び第2の貯水タンク71に、所定の水位まで洗浄水を貯水した後に、次の加熱ステップS120へと移る。
【0056】
(加熱ステップ)
次に、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を第3の所定の温度となるまで加熱する加熱ステップS120を説明する。
【0057】
加熱ステップS120では最初に、ガス燃焼手段66により空気中の酸素とガスとを燃焼させて燃焼排ガスを発生させる。その燃焼排ガスによる熱エネルギーにより熱交換器67を加熱して、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を第1の所定の温度、例えば略80℃まで加熱する。
【0058】
このとき、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を第1の所定の温度まで加熱する間、洗浄水の温度は所定の時間ごとに、温度センサ61bにより検知される。また、ガス燃焼手段66へと供給されるガス流量は所定の時間ごとに、流量センサ65bにより検知される。温度センサ61bにより洗浄水の温度を検知するタイミングと、流量センサ65bによりガス流量を検知するタイミングとは、略同時である。
【0059】
そして、検知された情報である洗浄水の温度及びガス流量の情報は、随時制御盤31へと送信され、検知したタイミングの日付及び時間の情報、例えば年月日と時分秒とともに制御盤31へと保持される。これら随時制御盤31へと送信され保持される情報の詳細については、後述のサーバ送信ステップS210以降のステップにて説明する。
【0060】
このように、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の温度を温度センサ61bにより所定の時間ごとに検知することと、ガス燃焼手段66へと供給されるガス流量を流量センサ65bにより所定の時間ごとに検知することとは、ガス燃焼手段66により空気中の酸素とガスとを燃焼させて燃焼排ガスを発生させた直後から、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が第1の所定の温度に達するまで行う。
【0061】
第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が第1の所定の温度まで加熱された後に、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を循環ポンプ63を駆動して吸い込み吐出し、順次第1の貯水タンク61へと流動させる。
【0062】
順次第1の貯水タンク61へと流動する洗浄水により、第1の貯水タンク61に貯水した第1の所定の温度まで加熱された洗浄水は、オーバーフロー部61cからオーバーフローして第1の供給配管64を通じて本洗浄タンク41へと流動する。
【0063】
そして、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水が第3の所定の温度、例えば略60℃となることを温度センサ41bが検知するまで、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を循環ポンプ63により吸い込み吐出し、第1の貯水タンク61へと流動させ、第1の貯水タンク61に貯水した、熱交換器67により継続的に加熱される洗浄水を、オーバーフロー部61cから第1の供給配管64を通じて本洗浄タンク41へと流動させる。
【0064】
それと同時に、ガス燃焼手段66により発生させた燃焼排ガスを、燃焼排ガス配管74を通じて第2の貯水タンク71へと流動させ、図4に示す燃焼排ガス配管74の複数の孔74aから第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水中へと吐出する。洗浄水中へ吐出された燃焼排ガスは、気泡Bとして洗浄水と気液接触して熱交換し、洗浄水を加熱する。これにより、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を加熱した後に燃焼排ガスに残った熱エネルギーを、有効利用することができる。
【0065】
洗浄水との気液接触による加熱を終えた燃焼排ガスは、第2の貯水タンク71の上部に設けた吐出口75からダクト76へと流動し、食器洗浄装置30を設置した施設外へと排出される。ダクト76内では、COセンサ76aにより、気液接触による熱交換を終えた燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素濃度が、所定の時間ごと、例えば10分ごとに検知される。そして、検知された一酸化炭素濃度は、制御盤31へと送信される。
【0066】
この制御盤31へと送信された一酸化炭素濃度については、次のステップである第1の発報ステップS130にて説明する。
【0067】
ダクト76へと流動した燃焼排ガスは、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水と熱交換器67により熱交換し、さらに第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水中で気液接触による熱交換をしているため、ガス燃焼手段66で発生したときよりも低下した温度、例えば60℃となっている。また、燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素は、水に溶けにくいという特徴をもつ。
【0068】
そのため、燃焼排ガスを第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水中に吐出して燃焼排ガスの温度を低下させることでCOセンサ76aへの高温による悪影響が及ばないようにしつつ、燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素濃度をCOセンサ76aで正確に検知することができる。
【0069】
そして、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水が第3の所定の温度となった後に、ガス供給管65のバルブ65aを閉止してガス燃焼手段66へのガスの供給を停止させるとともに、ガス燃焼手段66のファンによる空気の供給を停止する。
【0070】
ガスと空気の供給を停止すると、ガス燃焼手段66での空気中の酸素とガスとの燃焼は停止し、燃焼排ガス配管74を通じて第2の貯水タンク71へと流動する燃焼排ガスの流動が停止する。そして、次の第1の発報ステップS130へと移る。
【0071】
(第1の発報ステップ)
次に、加熱ステップS120で発生させた燃焼排ガスの一酸化炭素濃度を検知して、一酸化炭素濃度が、所定の濃度以上である場合に発報する第1の発報ステップS130について説明する。
【0072】
図4に示すように、加熱ステップS120では、ガス燃焼手段66により発生させた燃焼排ガスを、燃焼排ガス配管74を通じて第2の貯水タンク71へと流動させ、燃焼排ガス配管74の複数の孔74aから洗浄水中へと吐出し、洗浄水を気液接触による熱交換により加熱した。そして、その熱交換により温度が低下しダクト76へと流動した燃焼排ガスの一酸化炭素濃度をCOセンサ76aにより検知して、制御盤31へと送信した。
【0073】
第1の発報ステップS130では、もし、制御盤31へと送信された一酸化炭素濃度が、所定の濃度以上、例えばその一酸化炭素濃度が含まれた空気を吸入することで、2~3時間で前頭部に軽度の頭痛が発生するという一酸化炭素濃度である200ppm以上であった場合は、制御盤31は発報手段31aにより発報する。
【0074】
具体的には、発報手段31aは大きな音を鳴らすとともに回転灯を点灯させ、食器洗浄装置30を使用して食器の洗浄を行う作業員、及び周囲の作業員等に注意を喚起する。なお、発報手段31aによる注意の喚起とともに、保全担当者端末12にも注意喚起のメッセージを送信してもよい。
【0075】
これにより、所定の濃度以上の一酸化炭素の発生を検知し、ガス燃焼手段66の不完全燃焼が発生していることを作業員等に知らせて不完全燃焼への対処を促し、一酸化炭素中毒による事故を未然に防ぐことができる。
【0076】
なお、COセンサ76aにより検知した一酸化炭素濃度が所定の時間、例えば30秒以上持続して所定の濃度以上となった場合にのみ、制御盤31は発報手段31aにより発報するように構成してもよい。これにより、例えばガス燃焼手段66の温度が低い場合に空気中の酸素とガスとを燃焼させたときのように、燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素濃度が一時的に増加した場合の発報を抑制して、誤報の回数を低減させ、安定した環境保全システム1の運用を行うことができる。
【0077】
なお、COセンサ76aにより検知した一酸化炭素濃度に合わせて、その後の対応を変更してもよい。例えば、一酸化炭素濃度が、1~2時間で前頭痛や吐き気を催す400ppm以上であった場合は、制御盤31による発報手段31aの発報のみならず、食器洗浄装置30を設置した施設の館内放送で所定の注意を促す放送を流す等を行ってもよい。
【0078】
また、一酸化炭素濃度が、45分間で頭痛やめまい、吐き気、けいれんを引き起こす800ppm以上であった場合、制御盤31による発報手段31aの発報や、食器洗浄装置30を設置した施設の館内放送に加え、制御盤31から情報集積装置11を介し、ネットワーク10を通じてサーバ20へと一酸化炭素濃度の値を送信し、さらに一酸化炭素濃度の値を受信したサーバ20からネットワーク10を通じて保全担当者12へと注意を喚起するメッセージを送信等するようにしてもよい。
【0079】
もし、この第1の発報ステップS130で発報手段31aにより発報した場合は、一酸化炭素中毒による事故を防ぐため、食器洗浄装置30の使用を中止し、ガス燃焼手段66による空気中の酸素とガスとの燃焼を停止させて、被洗浄物の洗浄工程S100を終了する。そして、燃焼排ガスの一酸化炭素濃度が所定の濃度以上となった原因を究明し、メンテナンス等の対処を行う。
【0080】
なお、COセンサ76aにより検知した一酸化炭素濃度が所定の濃度以上であった場合に、制御盤31が発報手段31aにより発報するとともに、ガス燃焼手段66へのガスと空気の供給を自動で停止するよう制御してもよい。
【0081】
これにより、もし制御盤31が食器洗浄装置30に隣接した場所にあったとしても、ガス燃焼手段66の停止操作を、作業員等が所定の濃度以上の一酸化炭素が発生している食器洗浄装置30に近づいて行う必要がなく、安全に一酸化炭素の発生を停止することができる。
【0082】
また、この第1の発報ステップS130で発報手段31aにより発報しなかった場合は、次の洗浄ステップS140へと移る。
【0083】
(洗浄ステップ)
次に、搬送手段35により搬送する被洗浄物Wに、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を噴射して洗浄し、洗浄した後に清水である洗浄水を噴射して仕上すすぎを行う洗浄ステップS140を説明する。
【0084】
図6に示すように、制御盤31を操作して、搬送手段35を駆動させる。搬送手段35を駆動させた後に、本洗浄ポンプ42を駆動させて本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を吸い込み吐出し、本洗浄ノズル44から洗浄水を噴射する。また、バルブ51aを開放して、第1の給水配管36及び仕上すすぎ配管51を通じて供給される常温の洗浄水を仕上すすぎノズル52から噴射する。
【0085】
駆動する搬送手段35の上に被洗浄物W、例えば食器であれば喫食側が下方となるよううつ伏せに搬送面に載置して、搬入口33から被洗浄物Wを本洗浄室40へと搬入する。本洗浄室40に搬入された被洗浄物Wは、本洗浄ノズル44から噴射する洗浄水により洗浄される。このとき、本洗浄ノズル44から噴射した洗浄水は、被洗浄物Wを洗浄した後に本洗浄タンク41へと流動して循環する。
【0086】
本洗浄室40内での洗浄を終えた後、被洗浄物Wは、仕上すすぎ室50にて、仕上すすぎノズル52より噴射する常温の洗浄水により仕上すすぎされる。このとき、仕上すすぎノズル52から噴射した洗浄水は、仕上すすぎ室50の流動部53へと到達し、流動部53の上面に沿って本洗浄タンク41へと流動して本洗浄室40で循環する。
【0087】
仕上すすぎ室50内での仕上すすぎを終えた後、被洗浄物Wは搬出口34から搬出される。
【0088】
また、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水は、被洗浄物Wに対して本洗浄及び仕上すすぎをしている間に温度が低下する。洗浄水の温度が低下するのは、例えば、本洗浄ノズル44から噴射した洗浄水が、常温の被洗浄物Wに接触することや、仕上すすぎノズル52から噴射した常温の洗浄水が被洗浄物Wを洗浄した後に本洗浄タンク41へと流動することにより起こる。
【0089】
本洗浄タンク41に貯水した洗浄水が第3の所定の温度よりも低下した場合は、第2の供給配管73のバルブ73aを開放して、第2の熱交換手段70の第2の貯水タンク71に貯水した第2の所定の温度の洗浄水を本洗浄タンク41へと流動させる。
【0090】
第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水は、ガス燃焼手段66により発生させた燃焼排ガスとの気液接触により第2の所定の温度に加熱されているため、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を加熱することができる。
【0091】
第2の貯水タンク71に貯水した第2の所定の温度の洗浄水を本洗浄タンク41へと流動させると第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水は減るが、水位センサ71aにより第2の貯水タンク71内の水位が低下していることが検知されて、略一定の水位となるように、自動的に第1の給水配管36及び第3の給水配管72を通じて洗浄水が第2の貯水タンク71に供給される。
【0092】
そして、本洗浄タンク41では、水位センサ41aにより検知される所定の水位を越えた本洗浄タンク41に貯水した洗浄水は、オーバーフロー配管41cにより排水される。
【0093】
これにより、もう一度加熱ステップS120を行わなくとも、本洗浄タンク41に貯水する洗浄水を加熱することができる。そして、空気中の酸素とガスとを燃焼させる必要がないため、熱エネルギーを節約することができる。
【0094】
なお、温度センサ71bにより第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水の温度が第2の所定の温度に満たないことを検知したとき、あるいは温度センサ41bにより検知される本洗浄タンク41に貯水された洗浄水の温度より低いときがある。このとき、第2の供給配管73のバルブ73aを開放して、第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水を本洗浄タンク41へと流動させても、本洗浄タンク41の洗浄水は加熱に時間が掛かる、あるいは加熱できないことがある。
【0095】
このような場合、第2の供給配管73のバルブ73aを開放せず、第1の熱交換手段60により洗浄水を加熱し、循環ポンプ63を駆動させて本洗浄タンク41の洗浄水を第1の貯水タンク61へと流動させ、加熱された洗浄水をオーバーフロー部61cから第1の供給配管64を通じて本洗浄タンク41へと流動させて洗浄水を加熱すればよい。
【0096】
洗浄すべき被洗浄物Wの洗浄を終えた後に、数時間を空けず再び被洗浄物Wを洗浄する可能性がある場合は、次の再加熱ステップS150へと移る。また、次に被洗浄物Wを洗浄するまでの間に数時間を空ける場合は、次の再加熱ステップS150を行わず、被洗浄物の洗浄工程S100を終了する。
【0097】
(再加熱ステップ)
被洗浄物の洗浄工程S100の最後に、洗浄すべき被洗浄物Wを洗浄し終えた後、数時間を空けず再び被洗浄物Wを洗浄する可能性がある場合に、再び本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を第3の所定の温度となるまで加熱する再加熱ステップS150を説明する。
【0098】
図7に示すように、洗浄すべき被洗浄物Wの洗浄を終えた後に、制御盤31により搬送手段35及び本洗浄ポンプ42の駆動を停止するとともに、バルブ51aを閉止する。
【0099】
そして、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水の温度が第3の所定の温度よりも低下している場合には、ガス燃焼手段66により空気中の酸素とガスとを燃焼させて燃焼排ガスを発生させる。その燃焼排ガスによる熱エネルギーにより熱交換器67を加熱して、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を第1の所定の温度、例えば略80℃まで加熱する。
【0100】
第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が第1の所定の温度まで加熱された後に、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を循環ポンプ63を駆動して吸い込み吐出し、順次第1の貯水タンク61へと流動させる。
【0101】
順次第1の貯水タンク61へと流動する洗浄水により、第1の貯水タンク61に貯水した第1の所定の温度まで加熱された洗浄水は、オーバーフロー部61cからオーバーフローして第1の供給配管64を通じて本洗浄タンク41へと流動する。
【0102】
そして、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水が第3の所定の温度、例えば略60℃となるまで、ガス燃焼手段66で空気中の酸素とガスとを燃焼させて第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を加熱しつつ、循環ポンプ63を駆動する。
【0103】
それと同時に、ガス燃焼手段66により発生させた燃焼排ガスを、図4に示す燃焼排ガス配管74を通じて第2の貯水タンク71へと流動させ、燃焼排ガス配管74の複数の孔74aから洗浄水中へと吐出する。洗浄水中へ吐出された燃焼排ガスは、気泡Bとして洗浄水と気液接触して洗浄水を加熱する。これにより、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を加熱した後に燃焼排ガスに残った熱エネルギーを有効利用することができる。
【0104】
そして、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水が第3の所定の温度となった後に、ガス供給管65のバルブ65aを閉止してガス燃焼手段66へのガスの供給を停止させるとともに、ファンによる空気の供給を停止する。そして、循環ポンプ63を停止する。
【0105】
ガスと空気の供給を停止すると、ガス燃焼手段66での空気中の酸素とガスとの燃焼は停止し、燃焼排ガス配管74を通じて第2の貯水タンク71へと流動する燃焼排ガスの流動が停止する。そして、数時間を空けず、再び洗浄すべき被洗浄部Wが出たときに行う洗浄ステップS140に備える。
【0106】
なお、第2の貯水タンク71に貯水した加熱された洗浄水は、洗浄ステップS140以外でも本洗浄タンク41へと供給してもよい。例えば、貯水ステップS110や、加熱ステップS120、または再加熱ステップS150中でも本洗浄タンク41へと供給してもよい。
【0107】
これにより、バルブ73aを開放するだけで、即座に本洗浄タンク41に加熱された洗浄水を供給して、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を加熱することができる。加えて、被洗浄物Wを洗浄することにより清浄度の低下した洗浄水に、第2の貯水タンク71に貯水した清浄度の高い洗浄水を加えて、本洗浄タンク41に貯水する洗浄水の清浄度を高めることができる。
【0108】
なお、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を循環ポンプ63により吸い込み吐出して供給する循環配管62を第1の貯水タンク61に接続していたが、第1の給水配管36から分岐させた管路を第1の貯水タンク61に接続するよう構成してもよい。
【0109】
これにより、洗浄ステップS140により本洗浄タンク41に貯水した洗浄水が汚れた場合でも、熱交換器67に本洗浄タンク41に貯水した洗浄水中に含まれる汚れが付着することなく、熱交換器67の熱交換効率を維持することができる。
【0110】
なお、再加熱ステップS150を行っている間に、図7に示す吐出口75からダクト76へと流動する燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素が所定の濃度以上となった場合は、第1の発報ステップS130同様に、制御盤31は発報手段31aにより発報してもよい。これにより、所定の濃度以上の一酸化炭素の発生を検知し、ガス燃焼手段66の不完全燃焼が発生していることを作業員等に知らせて不完全燃焼への対処を促し、一酸化炭素中毒による事故を未然に防ぐことができる。
【0111】
(2)メンテナンス時期の通知工程
(サーバ送信ステップ)
次に、メンテナンス時期の通知工程S200を説明する。まずはメンテナンス時期の通知工程S200として最初に、加熱ステップS120を開始した後に、食器洗浄装置30のセンサ61b,65bから制御盤31に送信された情報と、制御盤31に保持された情報とを、サーバ20へと送信するサーバ送信ステップS210を説明する。
【0112】
図5に示すように、加熱ステップS120においては、ガス燃焼手段66により空気中の酸素とガスとを燃焼させて燃焼排ガスを発生させる。その燃焼排ガスによる熱エネルギーにより熱交換器67を加熱して、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を第1の所定の温度、例えば略80℃まで加熱する。
【0113】
第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が常温から第1の所定の温度まで加熱されていく間、洗浄水の温度は温度センサ61bにより所定の時間ごとに検知されている。また、ガス燃焼手段66へと供給されるガスの流量は、流量センサ65bにより所定の時間ごとに検知されている。
【0114】
これら温度センサ61b、及び流量センサ65bにより所定の時間ごとに検知された情報は、制御盤31へと随時送信され、検知されたタイミングの日付及び時間の情報、例えば年月日と時分秒の情報とともに、制御盤31に保持される。
【0115】
図1に示すように、サーバ送信ステップS210では、制御盤31に保持された情報及び送信された情報、つまり、制御盤31に保持された第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の体積の情報と、温度センサ61bにより所定の時間ごとに検知した第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の温度の情報と、流量センサ65bにより所定の時間ごとに検知したガス燃焼手段66へと供給されるガスの流量の情報と、温度センサ61b及び流量センサ65bによりそれぞれ検知したタイミングの日付及び時間の情報とは、情報集積装置11を介し、ネットワーク10を通じてサーバ20へと送信される。
【0116】
そして、次の熱交換効率算出ステップS220へと移る。
【0117】
(熱交換効率算出ステップ)
次に、サーバ送信ステップS210でサーバ20へと送信された情報を基に、熱交換効率を算出する熱交換効率算出ステップS220を説明する。
【0118】
図2に示すように、サーバ送信ステップS210によりサーバ20へと送信された情報は、サーバ20を構成する通信部21へと送信され、制御部22により保持部24へと保持される。また、保持部24にて保持された情報は、演算部23へと送られる。
【0119】
図8(a)に示すように、保持部24から送られた情報を基に演算部23は、横軸に時間tn、つまり時間t1,t2,t3,t4,t5をとり、縦軸には洗浄水の温度、例えば、時間tnにおける第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の温度Tn、つまり洗浄水の温度T1,T2,T3,T4,T5をとった「時間と温度のグラフ」を作成する。
【0120】
具体的には、「時間と温度のグラフ」は例えば、時間t1は作業員が食器洗浄装置30の制御盤31の電源をオンにした後10分後とし、時間t2はその10分後、時間t3はさらにその10分後とする。そして、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が第1の所定の温度である洗浄水の温度T5に達した時間を時間t5として横軸における最後のプロットとし、「時間と温度のグラフ」として作成する。
【0121】
さらに、図8(b)に示すように、演算部23は、図8(a)の「時間と温度のグラフ」の時間t1から最後にプロットされた時間t5までのうち、時間tnと時間tn+1との間の熱交換効率ηnをすべて算出し、横軸に時間tn~tn+1、つまり時間t1~t2,t2~t3,t3~t4,t4~t5をとり、縦軸に熱交換効率ηn、つまりη1,η2,η3,η4をとった「時間と熱交換効率のグラフ」を作成する。そして、その日の熱交換効率ηnのうちで最大の値となる熱交換効率ηmaxを、その日の代表的な熱交換効率として選び出す。
【0122】
そして、演算部23により作成した「時間と温度のグラフ」及び「時間と熱交換効率のグラフ」と、その日の代表的な熱交換効率である熱交換効率ηmaxとを、その日付とともに図2に示す保持部24に保持する。
【0123】
このように、熱交換効率算出ステップS220での「時間と温度のグラフ」及び「時間と熱交換効率のグラフ」の作成は、加熱ステップS120で第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を、熱交換器67により加熱し、第1の所定の温度に達するまでの間でのみ行われる。そのため基本的には、「時間と温度のグラフ」及び「時間と熱交換効率のグラフ」の作成は、1日に1回行う。
【0124】
なお、その日の熱交換効率ηnのうちで最大の値となる熱交換効率ηmaxはほぼ変化しないが、「時間と温度のグラフ」及び「時間と熱交換効率のグラフ」の作成は1日に複数回行ってもよい。
【0125】
図8(a)に示すように、翌日からも同様に、例えば、作業員が食器洗浄装置30の制御盤31の電源をオンにした時間t1から始めて、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が第1の所定の温度である洗浄水の温度T5に達した時間t5までの洗浄水の温度T1~T5をとり、その日の「時間と温度のグラフ」を作成する。また、時間tnと時間tn+1との間の熱交換効率ηnを全て算出し、時間tn~tn+1と熱交換効率ηnをとった「時間と熱交換効率のグラフ」を作成する。
【0126】
そして、その日の代表的な熱交換効率ηmaxを選び出し、「時間と温度のグラフ」及び「時間と熱交換効率のグラフ」と、熱交換効率ηmaxとを、その日付とともに図2に示す保持部24に保持することで、日々のデータを保持部24に蓄積する。
【0127】
なお、時間tnと時間tn+1との間は10分ごとと記載したが、その時間の間隔は一例であり、5分ごとであったり、20分ごとであってもよい。また、時間t5を「時間と温度のグラフ」の最後のプロットとしたが、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が時間t5の時点で第1の所定の温度T5に達していない場合は、時間t6以後の時間tnを最後のプロットとしてもよい。
【0128】
図9に示すように、さらに演算部23は、1日目の「時間と熱交換効率のグラフ」が作成された後に、その日以後、横軸に「時間と熱交換効率のグラフ」が記録された日付dn、つまり日付d1,d2,d3,・・・をとり、縦軸に日付dnにおける代表的な熱交換効率である熱交換効率ηmaxである熱交換効率ηdn、つまり熱交換効率ηd1,ηd2,ηd3,・・・をとった「日付と熱交換効率のグラフ」を作成する。
【0129】
ただし、図9はグラフの見やすさと一覧性を考慮し、横軸には日付dnの属する年の最終日を示す年yn、つまり年y1,y2,y3,y4,y5,y6,y7,y8,y9,y10を日付として記載している。熱交換効率ηmaxは7日や30日ではほぼ変化しないためである。また、縦軸には熱交換効率ηdnの属する年の最終日ynにおける熱交換効率をηyn、つまり熱交換効率ηy1,ηy2,ηy3,ηy4,ηy5,ηy6,ηy7,ηy8,ηy9,ηy10を記載している。
【0130】
ここでは、例えば以下のようにそれぞれの値について定めている。
【0131】
図8(b)の時間tn,tn+1と洗浄水の温度Tnとの関係から算出する熱交換効率ηnは、以下の公知の計算式(1)により計算することができる。
ηn=Q1/Q2×100(計算式(1))
ここで、
ηn:熱交換効率(%)
Q1:第1の貯水タンク61内で熱交換に使用された熱エネルギー(KJ)
Q2:熱交換器67に供給された熱エネルギー(KJ)
である。
【0132】
また、計算式(1)の熱エネルギーQ1は、以下の公知の計算式(2)により計算することができる。
Q1=mcΔT=ρVcΔT(計算式(2))
ここで、
Q1:第1の貯水タンク61内で熱交換に使用された熱エネルギー(KJ)
m :第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の重量(Kg)
c :水の比熱(4.186KJ/(Kg・℃))
ΔT:洗浄水の温度Tn+1から洗浄水の温度Tnを引いた値である温度差(℃)
ρ :水の密度(997Kg/m
V :第1貯水槽に貯水した洗浄水の体積(m
である。
【0133】
また、計算式(1)の熱エネルギーQ2は、以下の公知の計算式(3)により計算することができる。計算式(3)で使用するガス種は例えば13Aとしている。
Q2=Qa×Qf×t(計算式(3))
ここで、
Q2:熱交換器67に供給された熱エネルギー(KJ)
Qa:ガス燃焼手段66に供給されたガスの熱エネルギー(45000KJ/m
Qf:ガス燃焼手段66に供給されたガスの流量(m/sec.)
t :時間tnから時間tn+1までの間の時間(sec.)
である。
【0134】
ここで、図8(b)及び図9に示す熱交換効率の所定の値ηLについて説明する。
【0135】
熱交換効率の所定の値ηLとは、図5に示す熱交換器67の熱エネルギーが第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の第1の所定の温度へと加熱する時間が長くなった状態の熱交換効率を示している。その状態は、例えば、熱交換器67を構成する部材が変形している、ガス燃焼手段66への空気若しくはガスの供給が妨げられている、ガス燃焼手段66からの燃焼排ガスの排出経路である燃焼排ガス配管74、ダクト76等が障害物等により塞がれている、ガス燃焼手段66が故障している、等の異常事態が発生している状態を示している。
【0136】
図9に示すように、日付d1から年y3の間で、日付が進むにつれて熱交換効率がηd1から熱交換効率ηy3へと低下する。このように熱交換効率低下するのは、一例として説明するが、熱交換器67の表面に洗浄水に含まれるカルシウム等の成分がスケールとして析出し、付着して、熱交換器67の熱交換効率を低下させるためである。
【0137】
この状態では、図5に示す熱交換器67の熱エネルギーが第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水に伝わりにくくなるため、ガス燃焼手段66で燃焼する空気中の酸素とガスとの燃焼による熱エネルギーが熱交換器67内にこもり、熱交換器67内を必要以上に加熱してしまう。
【0138】
熱交換器67内を必要以上に加熱してしまうと、熱交換器67を構成する部材、例えば熱交換器67内に有する熱伝導率を高めるための銅フィン等が熱エネルギーにより変形し、熱交換器67内の燃焼排ガスの流動する通路の一部が閉塞してしまう。そして、熱交換器67内の燃焼排ガスが熱交換器67から排出されにくくなり、ガス燃焼手段66での燃焼が不完全燃焼となって、一酸化炭素が発生しやすい状況となる。
【0139】
そのため、本発明では熱交換効率がηLを下回った時点で食器洗浄装置30のメンテナンス等を行うことになる。
【0140】
図9では、年y3の熱交換効率が縦軸に略平行な線で描かれ、熱交換効率ηy3と熱交換効率ηy3’がプロットされているが、これは年y3での熱交換効率ηy3がηLと略同じ値となり、そのまま食器洗浄装置30を使用し続けることに問題が生じたため、後述するメッセージ送信ステップS240の結果として行ったメンテナンス、又は後述するメンテナンスステップS330により、熱交換器67の熱交換効率を回復させた結果を表すものである。同様に、年y5と年y6との間、年y7と年y8との間でも熱交換効率が縦軸に略平行な線で描かれているが、同様の結果を表すものである。
【0141】
このように食器洗浄装置30のメンテナンスにより熱交換効率を回復させたとしても、熱交換効率を食器洗浄装置30の購入直後であるηd1まで回復させるのは現実的には困難である。そのため、年y3の熱交換効率はηd1よりも低い値まで回復し、ηy3’となっている。同様に、年y5と年y6との間、年y7と年y8との間でもメンテナンスにより熱交換効率を回復させているが、熱交換効率は熱交換効率ηd1よりも低い値までしか回復しない。
【0142】
そのため、年y5と年y6との間でメンテナンスを行った後、次に熱交換効率が所定の値ηLとなる日付である年y7と年y8との間までの日数は、年y3から年y5と年y6との間までの日数よりも短い日数となる。同様に、年y7と年y8との間でメンテナンスを行った後、次に熱交換効率が所定の値ηLとなる日付である年y9と年y10との間までの日数は、年y5と年y6との間でメンテナンスを行った日から年y7と年y8との間までの日数よりも短い日数となる。
【0143】
ここでさらに、図9に示す熱交換効率の所定の値ηEについて説明する。
【0144】
熱交換効率の所定の値ηEとは、熱交換効率の所定の値ηLよりもさらに低下した熱交換効率である。その状態を放置することで熱交換器67が故障する、ガス燃焼手段66で空気中の酸素とガスとを燃焼させて発生する燃焼排ガスの一酸化炭素濃度が高くなってしまう等の致命的な事故が起こる状態を示している。
【0145】
熱交換効率の所定の値ηLでは、放置することで即座に食器洗浄装置30が故障する等の致命的な事故は起きにくい状況であったが、熱交換効率が所定の値ηEまで低下した状況では当該食器洗浄装置30で作業する作業員に危害が及ぶ危険性がある。そのため、熱交換効率が所定の値ηEまで低下する前に、食器洗浄装置30のメンテナンスを行う必要がある。なお、食器洗浄装置30のメンテナンスを実施せず、実際に熱交換効率がηEまで低下した場合、食器洗浄装置30を停止してメンテナンスを実施するまで運転できないようにしてもよい。
【0146】
なお、年y9と年y10との間で、熱交換効率が縦軸に略平行な線で描かれ、熱交換効率がηd1と略同じ値まで回復しているが、熱交換器67を交換、若しくは食器洗浄装置30を再度購入した結果を示している。
【0147】
なお、計算式(1)~(3)では、時間tn及び時間tn+1、洗浄水の温度Tn及び温度Tn+1を使用して熱交換効率を求めているが、誤差が少ない方法で熱交換効率を求めることができるのであれば、異なる時間、異なる温度により熱交換効率を算出してもよい。例えば、時間tn及び時間tn+2、洗浄水の温度Tn及び温度Tn+2を使用して熱交換効率を求めてもよいし、時間tn及び時間tn+3、洗浄水の温度Tn及び温度Tn+3を使用して熱交換効率を求めてもよい。
【0148】
なお、本実施形態では熱交換器67を、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水を積極的に流動させず加熱する構造としたが、第1の貯水タンク61及び熱交換器67を、洗浄水と燃焼排ガスを向流若しくは並流とする構造とし、より高い熱交換効率で第1の貯水タンク61に貯水する洗浄水を加熱することができる。その場合、熱エネルギーQ1を計算するための計算式(2)は、対数平均温度差を用いた公知の計算式を用いて計算することができる。
【0149】
なお、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が第1の所定の温度まで加熱された後に、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を循環ポンプ63を駆動して吸い込み吐出し、順次第1の貯水タンク61へと流動させたが、循環ポンプ63を駆動させるタイミングを早くしてもよい。例えば、熱交換器67により第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水の加熱を開始するタイミングで、循環ポンプ63を駆動してもよい。循環ポンプ63により洗浄水を流動させながら熱交換器67により加熱するので熱交換効率が高くなる。その場合、計算式(2)で用いるVは、第1の貯水タンク61及び本洗浄タンク41に貯水した洗浄水の体積(m)として熱交換効率を計算するのが好ましい。
【0150】
(メンテナンス時期算出ステップ)
次に、熱交換効率算出ステップS220で算出した熱交換効率を基に、メンテナンス時期を算出するメンテナンス時期算出ステップS230を説明する。
【0151】
図8及び図9に示すように、熱交換効率低下によるメンテナンス時期の通知工程S200の熱交換効率算出ステップS220では、制御盤31から送信された情報からサーバ20の演算部23により、「時間と温度のグラフ」及び「時間と熱交換効率のグラフ」と、「日付と熱交換効率のグラフ」とが作成された。
【0152】
演算部23は、日付d1と熱交換効率ηd1、日付d2と熱交換効率ηd2により「日付と熱交換効率のグラフ」が作成されたとき、日付と熱交換効率とにより関数を導き出し、図9に示す熱交換効率が熱交換効率ηEまで低下すると予測される日付を算出する。熱交換効率が熱交換効率ηEまで低下すると予測される日付を算出するための関数は、例えば、日付d1と熱交換効率ηd1、日付d2と熱交換効率ηd2の2点を通る1次関数とし、その1次関数で熱交換効率がηEまで低下すると予測される日付を算出する。図9では、二点鎖線によりその関数によるグラフを記載しており、日付d1と日付d2の2点を通る1次関数は、年y3と年y4との間で熱交換効率ηEとなっている。
【0153】
また、日付d1及び日付d2に加えて日付dn+2の日付がプロットされると1次関数では導けなくなることが多いため、その場合は日付d1と熱交換効率ηd1、日付d2と熱交換効率ηd2、日付dn+2と熱交換効率ηdn+2の熱交換効率の3点以上を通る関数として、最小二乗法により誤差を最小とした近似曲線あるいは近似直線を使用する。なお、近似曲線あるいは近似直線を求めるために、最小二乗法とは異なる方法を用いてもよい。
【0154】
そして、日付dn+2以後の日付においても同様に関数を求め、年y5と年y6との間から年y6と年y7との間へと下方へ延びる二点鎖線、年y7と年y8との間から年y8と年y9との間へと下方へ延びる二点鎖線のように記載される。
【0155】
メンテナンス時期算出ステップS230を実施した日が、熱交換効率がηEまで低下すると予測される日付から所定の期間、例えば6月をさかのぼった日である「メンテナンス時期」よりも前の日である場合は、メンテナンス時期算出ステップS230を終了する。
【0156】
メンテナンス時期算出ステップS230を実施した日が、メンテナンス時期の当日、若しくはそれ以後の日付である場合は、次のメッセージ送信ステップS240へと移る。
【0157】
なお、メンテナンス時期算出ステップS230におけるメンテナンス時期は、熱交換効率がηEまで低下すると予測される日付から所定の期間、例えば6月をさかのぼった日としたが、異なる期間、例えば3月や9月さかのぼった日としてもよい。
【0158】
(メッセージ送信ステップ)
次に、メンテナンス時期の通知工程S200の最後として、メンテナンス時期算出ステップS230で算出したメンテナンス時期を、保全担当者端末12へ送信するメッセージ送信ステップS240を説明する。
【0159】
図2に示すサーバ20の制御部22は、通信部21を通じて図1に示すネットワーク10を介し、食器洗浄装置30を設置した施設の保全担当者が有する保全担当者端末12へと、メンテナンス時期、及び食器洗浄装置30のメンテナンスを行うことを推奨するメッセージを送信する。
【0160】
これにより、熱交換効率が熱交換効率ηEまで低下する前に、メンテナンス時期を食器洗浄装置30が設置された施設の保全担当者に通知することができ、食器洗浄装置30のメンテナンスを行う時期を調整しやすくすることができる。
【0161】
加えて、熱交換器67の破損やガス燃焼手段66の故障等を予見し、予め保全担当者にメンテナンス等の対処を促すことで、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができる。さらに、熱交換効率が低下した理由、例えばガス燃焼手段66への空気またはガスの供給が妨げられている、ガス燃焼手段66からの燃焼排ガスの排出経路である燃焼排ガス配管74、ダクト76等が障害物等により塞がれている、熱交換器67が過加熱により変形している、ガス燃焼手段66が故障している、等の異常事態を検知して作業員に異常事態の解消を促し、食器洗浄装置30の寿命を延ばすことができる。
【0162】
そして、保全担当者端末12へとメンテナンス時期、及び食器洗浄装置30のメンテナンスを行うことを推奨するメッセージを送信した後にメッセージ送信ステップS240、及びメンテナンス時期の通知工程S200は終了する。
【0163】
なお、メンテナンス時期の通知工程S200は、再加熱ステップS150を開始した後に行ってもよい。つまり、再加熱ステップS150で第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水が第1の所定の温度まで加熱されていく間、所定の時間ごとに温度センサ61bにより検知した洗浄水の温度と、所定の時間ごとに流量センサ65bにより検知したガス燃焼手段66へと供給されるガスの流量とを、加熱ステップS120同様に制御盤31へと送信等することにより、行うことができる。ただし、第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水に汚れが混じることにより、加熱ステップS120で清水を加熱したときに比較して熱交換効率が変化することがある。この場合でも、汚れた洗浄水を再加熱する再加熱ステップS150であることを考慮した係数を用いて熱交換効率を算出すればよい。
【0164】
(3)酸素飽和度によるメンテナンス工程
(酸素飽和度送信ステップ)
次に、酸素飽和度によるメンテナンス工程S300を説明する。まずは、酸素飽和度によるメンテナンス工程S300として最初に、加熱ステップS120を開始した後に、食器洗浄装置30を使用して食器の洗浄を行う作業員が装着した検知通信手段14により、作業員の酸素飽和度を検知してサーバ20へと送信する酸素飽和度送信ステップS310を説明する。
【0165】
図1に示す検知通信手段14は、食器洗浄装置30を使用して食器の洗浄を行う作業員が装着している。検知通信手段14は装着者の血液中の酸素飽和度を計測する検知部を有し、検知した酸素飽和度を、検知通信手段14の有する通信部によりネットワーク10を介して、所定の時間ごと、例えば15分ごとにサーバ20へと送信する。
【0166】
サーバ20へと送信された酸素飽和度は、図2に示すサーバ20を構成する通信部21へと送信され、制御部22により保持部24へと保持される。また、保持部24にて保持された酸素飽和度は、演算部23へと送られる。
【0167】
酸素飽和度が演算部23へと送られると、演算部23により酸素飽和度が所定の値、例えば95%を下回っているかを演算する。なお、一般的に健常者の血液中の酸素飽和度は96%から99%だといわれているため、所定の値を、例えば95%としたが、検知通信手段14の検知精度等を考慮して95%以上としてもよいし、95%未満の値としてもよい。
【0168】
酸素飽和度が所定の値を下回っていない場合は、酸素飽和度送信ステップS310を終了するとともに、酸素飽和度によるメンテナンス工程S300を終了する。
【0169】
酸素飽和度が所定の値を下回っている場合は、次の第2の発報ステップS320へと移る。
【0170】
(第2の発報ステップ)
次に、酸素飽和度送信ステップS310でサーバ20へと送信された酸素飽和度が所定の値を下回っている場合に、発報する第2の発報ステップS320を説明する。
【0171】
酸素飽和度送信ステップS310で演算部23により酸素飽和度が所定の値を下回っていることを演算した後、サーバ20の制御部22は発報信号を、通信部21を通じて図1に示すネットワーク10を介し、情報集積装置11へと送信する。情報集積装置11へと送信された発報信号は、当該検知通信手段14を装着した作業員が操作する食器洗浄装置30の制御盤31へと送信される。発報信号を受信した制御盤31は、発報手段31aにより発報する。
【0172】
具体的には、発報手段31aは大きな音を鳴らすとともに回転灯を点灯させ、食器洗浄装置30を使用して食器の洗浄を行う作業員、及び周囲の作業員等に注意を喚起する。なお、発報手段31aによる注意の喚起とともに、保全担当者端末12にも注意喚起のメッセージを送信してもよい。
【0173】
これにより、万が一ガス燃焼手段66で空気中の酸素とガスとを燃焼させたときに、一酸化炭素が所定の濃度以上含まれた燃焼排ガスが排出され、その燃焼排ガスが食器洗浄装置30を設置した施設内へと流動した場合に、食器洗浄装置30を使用して食器の洗浄を行う作業員が一酸化炭素中毒になっている、若しくは一酸化炭素中毒になるおそれがある状態を検知して周囲に知らせることができる。
【0174】
そして、所定の値を上回る一酸化炭素濃度の空気を吸入することで食器洗浄装置30を使用して食器の洗浄を行う作業員の意識に障害が起こっている場合でも、酸素飽和度が下回っていることを検知した検知通信手段14を装着した作業員以外の者により、当該作業員の生命の安全を確保することができる。
【0175】
さらに、発報信号を受信した制御盤31は、ただちにガス供給管65のバルブ65aを閉止してガス燃焼手段66へのガスの供給を停止させるとともに、ファンによる空気の供給を停止し、ガス燃焼手段66での空気中の酸素とガスとの燃焼を停止させてもよい。後述するメンテナンスステップS330を実施するまで運転できないようにしてもよい。
【0176】
また、酸素飽和度送信ステップS310では、毎日、所定の時間ごと、例えば15分ごとに検知通信手段14により、作業員の酸素飽和度を検知してサーバ20へと送信しているが、その都度第2の発報ステップS320を行うことにより、作業員の注意力が低下しやすい時間に発生する一酸化炭素による事故を、作業員の注意力の状態に関係なく、防ぐことができる。
【0177】
そして、次のメンテナンスステップS330へと移る。
【0178】
なお、第2の発報ステップS320は、酸素飽和度送信ステップS310で演算部23により酸素飽和度が所定の値を下回っていることを演算した後、発報手段31aにより発報する説明をしたが、これに限定されない。例えば、酸素飽和度送信ステップS310で所定の時間ごとに計測した酸素飽和度が低下傾向にあることを演算部23により演算され、酸素飽和濃度が所定の値を下回る前に、発報手段31aにより発報するように制御してもよい。
【0179】
これにより、酸素飽和濃度が所定の値を下回ってから発報する場合と比較して、食器洗浄装置30を使用して食器の洗浄を行う作業員が、一酸化炭素中毒になるおそれがある状態を早い段階で検知して周囲に知らせることができ、当該作業員の生命の安全をより確実に確保することができる。
【0180】
(メンテナンスステップ)
酸素飽和度によるメンテナンス工程S300の最後に、酸素飽和度送信ステップS310でサーバ20へと送信された酸素飽和度が所定の値を下回った場合に、第2の発報ステップS320の後に、メンテナンスを行うメンテナンスステップS330を説明する。
【0181】
図1及び図2に示すように、第2の発報ステップS320で発報手段31aにより発報が行われると、サーバ20の制御部22は、通信部21を通じて図1に示すネットワーク10を介し、環境保全システム1を運用する企業のメンテナンス部門の管理端末13へと通知を送信する。
【0182】
環境保全システム1を運用する企業のメンテナンス部門の担当者はその通知を基に、酸素飽和度が所定の値を下回った作業員がいることを施設の保全担当者へ通知し、食器洗浄装置30のメンテナンスを行う。
【0183】
メンテナンスは、酸素飽和度が所定の値を下回った原因により行う内容が異なる。熱交換器67の熱交換効率が低下したことに起因し、例えば熱交換器67の表面にスケールが付着して熱交換効率が低下した場合は、図3に示す第1の貯水タンク61に清水を貯水して所定の濃度となるようにクエン酸を投入し、所定の時間だけ熱交換器67を浸漬してから洗浄する。
【0184】
その他、例えば熱交換器67を構成する部材が変形している、ガス燃焼手段66への空気若しくはガスの供給が妨げられている、ガス燃焼手段66からの燃焼排ガスの排出経路が障害物等により塞がれている、ガス燃焼手段66が故障している、等に起因する異常事態だったとするならば、それぞれに対応するメンテナンスを行う。
【0185】
また、食器洗浄装置30を設置した施設の換気が十分に行われていないことに起因するならば、施設の換気設備のメンテナンスを行う。
【0186】
このようにメンテナンスステップS330では、酸素飽和度が所定の値を下回っていることを検出して、企業のメンテナンス部門の管理端末13へと通知を送信し、酸素飽和度が所定の値を下回った原因を調べるとともに、熱交換器67のメンテナンスを行うことができる。そして、熱交換器67の破損やガス燃焼手段66の故障等を予見し、一酸化炭素による事故を未然に防ぐことができるとともに、熱交換効率を回復させることができる。
【0187】
そして、行うべきメンテナンスを行った後に、メンテナンスステップS330、及び酸素飽和度によるメンテナンス工程S300は終了する。
【0188】
なお、図1に示す情報集積装置11、情報集積装置11に接続した制御盤31、ネットワーク10を介して接続する保全担当者端末12、管理端末13、検知通信手段14、及びサーバ20は、本発明を実施することができるならば1つでもよいし、2つ以上としてもよい。
【0189】
なお、検知通信手段14に、ネットワーク10を介してサーバ20から送信される発報信号を受信することで発報する発報部を設け、さらに、サーバ20には、ネットワーク10を介して検知通信手段14に発報信号を送信する機能を設けてもよい。
【0190】
これにより、第2の発報ステップS320では、酸素飽和度送信ステップS310でネットワーク10を介してサーバ20へと送信された酸素飽和度が所定の値を下回っている場合、作業現場の騒音により作業員が発報手段31aによる発報が聞こえにくい状況であったとしても、より確実に作業員の安全を確保することができる。
【0191】
また、検知通信手段14への発報信号の送信は、酸素飽和度が所定の値を下回ったことを検知した作業員の検知通信手段14だけでなく、その施設の他の作業員の検知通信手段14に発報してもよい。これにより、より確実に作業員の安全を確保することができる。
【0192】
またさらに、第1の発報ステップS130では、図4に示すCOセンサ76aにより検知した一酸化炭素濃度が所定の濃度以上であった場合に、図1に示す制御盤31に、ネットワーク10を介してサーバ20へと、検知通信手段14へ発報信号を送るよう要望する機能を追加してもよい。これにより、ダクト76へと流動する燃焼排ガスの一酸化炭素濃度が所定の濃度以上であった場合にも、作業現場の騒音により作業員が発報手段31aによる発報が聞こえにくい状況であったとしても、より確実に作業員の安全を確保することができる。
【0193】
なお、サーバ20と制御盤31とが互いに情報を送受信することができるのであれば、制御盤31は情報集積装置11に接続せず、ネットワーク10を介してサーバ20と制御盤31を接続してもよいし、サーバ20と制御盤31とを直接接続する構成としてもよい。これにより、情報集積装置11で情報を集積する時間や、ネットワーク10を介して情報を送受信する時間を省き、迅速に一酸化炭素による事故への対処をすることができる。
【0194】
なお、発報手段31aは制御盤31に備えるよう記載したが、制御盤31以外にも、第1の発報ステップS130及び第2の発報ステップS320で発報し、食器洗浄装置30を扱う作業員に異常事態を知らせることができるのであれば、いずれの箇所に備えていてもよい。
【0195】
なお、本実施形態では、図3に示す第1の貯水タンク61に洗浄水を貯水して熱交換器67により第1の所定の温度に加熱したが、この構成に限らない。例えば、本洗浄タンク41内に熱交換器67を設けて、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水の熱交換効率を求めるようにしてもよい。この場合は、第1の貯水タンク61を設けなくてもよいので、構成を簡略化することができる。
【0196】
なお、図4に示すように、ガス燃焼手段66で燃焼させた空気中の酸素とガスとにより発生させた燃焼排ガスを、燃焼排ガス配管74を通じて第2の貯水タンク71に貯水する洗浄水中へと吐出したが、その燃焼排ガス74を第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水や、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水中に吐出するよう構成してもよい。
【0197】
これにより、本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を直接燃焼排ガスである気泡Bにより気液接触により加熱することができ、第2の貯水タンク71に貯水した洗浄水を、気液接触により加熱した後に本洗浄タンク41へと流動させる方法に比較して、配管等を通るときに発生する洗浄水の温度低下を抑制し、効果的に本洗浄タンク41に貯水した洗浄水を加熱することができる。
【0198】
なお、図4に示すように、ガス燃焼手段66で燃焼させた空気中の酸素とガスとにより発生させた燃焼排ガスを、燃焼排ガス配管74を通じて第2の貯水タンク71に貯水する洗浄水中へと吐出したが、第2の熱交換手段70を備えない構成としてもよい。この場合、燃焼排ガス配管74の代わりに第1の熱交換手段60で発生した燃焼排ガスを排出するダクトを設け、そのダクトの経路にCOセンサを設ければよい。
【0199】
なお、図4に示すように、第1の熱交換手段60のガス燃焼手段66で燃焼させた空気中の酸素とガスとにより発生させた燃焼排ガスを、燃焼排ガス配管74を通じて第2の熱交換手段70の第2の貯水タンク71に貯水する洗浄水中へと吐出したが、第1の熱交換手段60を第2の熱交換手段70に置き換えた構成としてもよい。
【0200】
この場合、ガス燃焼手段66により発生させた燃焼排ガスを、燃焼排ガス配管74を通じて複数の孔74aから第1の貯水タンク61に貯水した洗浄水中へと吐出し、洗浄水中へ吐出された燃焼排ガスは、気泡Bとして洗浄水と気液接触して洗浄水を加熱する。
【0201】
なお、図8及び図9は理解を助けるように便宜的な表現としており、細かな値の変動等を反映したグラフとしてはいない。本発明を実施する場合は、グラフにいくつかの誤差が含まれた数値がプロットされるのは当業者であれば容易に理解されることは明白である。
【0202】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0203】
1 環境保全システム
10 ネットワーク
11 情報集積装置
12 保全担当者端末
13 管理端末
14 検知通信手段
20 サーバ
21 通信部
22 制御部
23 演算部
24 保持部
30 食器洗浄装置
31 制御盤
31a 発報手段
32 外郭体
33 搬入口
34 搬出口
35 搬送手段
36 第1の給水配管
40 本洗浄室(洗浄室)
41 本洗浄タンク(タンク)
41a 水位センサ(センサ)
41b 温度センサ(センサ)
41c オーバーフロー配管
42 本洗浄ポンプ(ポンプ)
43 本洗浄配管
44 本洗浄ノズル
45 第2の給水配管
45a バルブ
50 仕上すすぎ室(洗浄室)
51 仕上すすぎ配管
51a バルブ
52 仕上すすぎノズル
53 流動部
60 第1の熱交換手段(熱交換手段)
61 第1の貯水タンク(タンク)
61a 水位センサ(センサ)
61b 温度センサ(センサ)
61c オーバーフロー部
62 循環配管
63 循環ポンプ(ポンプ)
64 第1の供給配管
65 ガス供給管
65a バルブ
65b 流量センサ(センサ)
66 ガス燃焼手段
67 熱交換器
70 第2の熱交換手段(熱交換手段)
71 第2の貯水タンク(タンク)
71a 水位センサ(センサ)
71b 温度センサ(センサ)
72 第3の給水配管
72a バルブ
73 第2の供給配管
73a バルブ
74 燃焼排ガス配管
74a 孔
75 吐出口
76 ダクト
76a COセンサ(センサ)
B 気泡(燃焼排ガス)
W 被洗浄物

S100 被洗浄物の洗浄工程
S110 貯水ステップ
S120 加熱ステップ
S130 第1の発報ステップ
S140 洗浄ステップ
S150 再加熱ステップ
S200 メンテナンス時期の通知工程
S210 サーバ送信ステップ
S220 熱交換効率算出ステップ
S230 メンテナンス時期算出ステップ
S240 メッセージ送信ステップ
S300 酸素飽和度によるメンテナンス工程
S310 酸素飽和度送信ステップ
S320 第2の発報ステップ
S330 メンテナンスステップ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10