IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧

<>
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図1
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図2
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図3
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図4
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図5
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図6
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図7
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図8
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図9
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図10
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図11
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図12
  • 特開-表示装置及びその駆動方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009052
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240112BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240112BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240112BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20240112BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611H
G09G3/20 621A
G09G3/20 624B
G09G3/20 642J
G09G3/20 680H
H10K59/131
H10K59/35
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192018
(22)【出願日】2023-11-10
(62)【分割の表示】P 2022056895の分割
【原出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2017-0134035
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】朴 亨 ▲ジュン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 陽 完
(72)【発明者】
【氏名】金 炳 善
(72)【発明者】
【氏名】李 受 珍
(72)【発明者】
【氏名】李 在 容
(57)【要約】
【課題】本発明は、表示装置に関する。
【解決手段】本発明の実施形態の表示装置は、第1画素回路(PXij)の第1アノード初期化トランジスタ(M7)を通じて、第1アノード初期化電圧(VINT2の電圧)が第1画素回路(PXij)の発光ダイオードのアノードに印加され、第2画素回路(PXi(j+1))の第2アノード初期化トランジスタ(M7’)を通じて、第2アノード初期化電圧(VINT1の電圧)が第2画素回路(PXi(j+1))の発光ダイオードのアノードに印加される。そして、第1画素回路(PXij)の発光ダイオードのカソードと、第2画素回路(PXi(j+1))の発光ダイオードのカソードとに、共通して印加されるカソード電圧(ELVSS)は、前記第1アノード初期化電圧(VINT2の電圧)より小さい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1初期化電圧を提供する第1初期化電圧源と、
前記第1初期化電圧より小さい第2初期化電圧を提供する第2初期化電圧源と、
第1有機発光ダイオードを含む第1画素回路と、
前記第1有機発光ダイオードとはバンドギャップ(band gap)が異なる有機物
を含む第2有機発光ダイオードを含む第2画素回路と、を含み、
前記第1画素回路は、前記第1初期化電圧源及び前記第2初期化電圧源と接続され、
前記第2画素回路は、単一(single)の初期化電圧源と接続されることを特徴と
する表示装置。
【請求項2】
前記第2有機発光ダイオードは、前記第1有機発光ダイオードより単位面積当たりのキ
ャパシタンスが大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2有機発光ダイオードは、前記第1有機発光ダイオードより発光面の面積が小さ
いことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記単一の初期化電圧源は、第1初期化電圧源であることを特徴とする請求項1に記載
の表示装置。
【請求項5】
前記第1画素回路は、発光期間にて、一端が前記第1有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第1駆動トランジスタをさらに含み、
前記第2画素回路は、発光期間にて、一端が前記第2有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第2駆動トランジスタをさらに含み、
前記第1初期化電圧源は、第1初期化期間にて、前記第1駆動トランジスタのゲート端
子及び前記第2駆動トランジスタのゲート端子に電気的に接続されることを特徴とする請
求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2初期化電圧源は、第2初期化期間にて、前記第1有機発光ダイオードのアノー
ドに電気的に接続され、
前記第1初期化電圧源は、前記第2初期化期間にて、前記第2有機発光ダイオードのア
ノードに電気的に接続されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記単一の初期化電圧源は、第2初期化電圧源であることを特徴とする請求項1に記載
の表示装置。
【請求項8】
前記第2初期化電圧源は、第2初期化期間にて、前記第1有機発光ダイオードのアノー
ド及び前記第2有機発光ダイオードのアノードに電気的に接続されることを特徴とする請
求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1画素回路は、発光期間にて、一端が前記第1有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第1駆動トランジスタをさらに含み、
前記第2画素回路は、発光期間にて、一端が前記第2有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第2駆動トランジスタをさらに含み、
前記第1初期化電圧源は、第1初期化期間にて、前記第1駆動トランジスタのゲート端
子に電気的に接続され、
前記第2初期化電圧源は、前記第1初期化期間にて、前記第2駆動トランジスタのゲー
ト端子に電気的に接続されることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1初期化期間は、前記第2初期化期間より先行することを特徴とする請求項9に
記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1初期化電圧及び前記第2初期化電圧と異なる電圧値を有する、第3初期化電圧
を提供する第3初期化電圧源をさらに含み、
前記単一初期化電圧源は、前記第3初期化電圧源であることを特徴とする請求項1に記
載の表示装置。
【請求項12】
前記第3初期化電圧は、前記第1初期化電圧と前記第2初期化電圧との間の値を有する
ことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2初期化電圧源は、第2初期化期間にて、前記第1有機発光ダイオードのアノー
ドに電気的に接続され、
前記第3初期化電圧源は、前記第2初期化期間にて、前記第2有機発光ダイオードのア
ノードに電気的に接続されることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1画素回路は、発光期間にて、一端が前記第1有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第1駆動トランジスタをさらに含み、
前記第2画素回路は、発光期間にて、一端が前記第2有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第2駆動トランジスタをさらに含み、
前記第1初期化電圧源は、第1初期化期間にて、前記第1駆動トランジスタのゲート端
子に電気的に接続され、
前記第3初期化電圧源は、前記第1初期化期間にて、前記第2駆動トランジスタのゲー
ト端子に電気的に接続されることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1初期化電圧源及び前記第2初期化電圧源と接続されるとともに、前記第1有機
発光ダイオード及び前記第2有機発光ダイオードとはバンドギャップが異なる有機物を含
む、第3有機発光ダイオードを含む第3画素回路と、
第1データ線と、
前記第1データ線と異なる第2データ線をさらに含み、
前記第1画素回路及び前記第3画素回路は、前記第1データ線に接続され、
前記第2画素回路は、前記第2データ線に接続されることを特徴とする請求項1に記載
の表示装置。
【請求項16】
前記第1有機発光ダイオードは赤色の有機発光ダイオードであり、
前記第2有機発光ダイオードは緑色の有機発光ダイオードであり、
前記第3有機発光ダイオードは青色の有機発光ダイオードであることを特徴とする請求
項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1有機発光ダイオードは赤色の有機発光ダイオードであり、
前記第2有機発光ダイオードは青色の有機発光ダイオードであり、
前記第3有機発光ダイオードは緑色の有機発光ダイオードであることを特徴とする請求
項15に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1有機発光ダイオードは青色の有機発光ダイオードであり、
前記第2有機発光ダイオードは赤色の有機発光ダイオードであり、
前記第3有機発光ダイオードは緑色の有機発光ダイオードであることを特徴とする請求
項15に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第3画素回路は、発光期間にて、一端が前記第3有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第3駆動トランジスタをさらに含み、
前記第1初期化電圧源は、第1初期化期間にて、前記第3駆動トランジスタのゲート端
子に電気的に接続され、
前記第2初期化電圧源は、第2初期化期間にて、前記第3有機発光ダイオードのアノー
ドに電気的に接続されることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項20】
第1初期化期間にて、第1初期化電圧を第1画素回路の第1駆動トランジスタのゲート
端子に印加し、単一初期化電圧を第2画素回路の第2駆動トランジスタのゲート端子に印
加する段階と、
第2初期化期間にて、前記第1初期化電圧より小さい第2初期化電圧を、前記第1画素
回路の第1有機発光ダイオードのアノードに印加し、前記単一初期化電圧を、前記第2画
素回路の前記第1有機発光ダイオードとはバンドギャップが異なる有機物を含む、第2有
機発光ダイオードのアノードに印加する段階と、
発光期間にて、前記第1有機発光ダイオード及び前記第2有機発光ダイオードを発光さ
せる段階と、を含むことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項21】
前記単一初期化電圧は、前記第1初期化電圧と等しいことを特徴とする請求項20に記
載の表示装置の駆動方法。
【請求項22】
前記単一の初期化電圧は、前記第2初期化電圧と等しいことを特徴とする請求項20に
記載の表示装置の駆動方法。
【請求項23】
前記単一の初期化電圧は、前記第1初期化電圧及び前記第2初期化電圧とは異なる値を
有することを特徴とする請求項20に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項24】
前記単一の初期化電圧は、前記第1初期化電圧と前記第2初期化電圧との間の値を有す
ることを特徴とする請求項23に記載の表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化技術が発達するにつれて、ユーザと情報機器との間の連結媒体である表示装置の
重要性が浮かび上がっている。これに応じて、液晶表示装置(Liquid Cryst
al Display Device)、有機電界発光表示装置(Organic Li
ght Emitting Display Device)、プラズマディスプレイパ
ネル(Plasma Display Panel)などの表示装置の使用が増加してい
る。
【0003】
表示装置のうち有機電界発光表示装置は、電子と正孔の再結合によって光を発生する有
機発光ダイオードを利用して映像を表示するものであり、これは速い応答速度を有すると
ともに、低い消費電力で駆動されるという利点がある。
【0004】
有機電界発光表示装置は、各画素に目的とする階調を表現することができるデータ電圧
を入力し、データ電圧に応じて複数の有機発光ダイオードを発光させることで、目的とす
る画像をユーザに表示する。
【0005】
通常、複数の有機発光ダイオードは、赤色、青色、緑色の有機発光ダイオードからなっ
ており、各有機発光ダイオードの有機物は、互いに異なるバンドギャップ(band g
ap)を有するため、互いに異なる波長で発光するようになる。
【0006】
一般的に、緑色の有機発光ダイオードは、消費エネルギーに対する発光輝度の効率が高
くて、他の色の有機発光ダイオードよりも面積の小さい発光面を有するように構成されて
もよい。また、緑色の有機発光ダイオードに流れる駆動電流は、他の色の有機発光ダイオ
ードに流れる駆動電流よりも、その大きさが小さくなるように設定されてもよい。
【0007】
しかし、駆動電流が非常に小さい低輝度の条件で、緑色の有機発光ダイオードのキャパ
シタンスを充電するのに長い時間がかかり、他の色の有機発光ダイオードより遅く発光す
るようになる色滲み(色にじみ、color blur)の現象が発生するという問題が
ある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許出願登録第10-0840116号明細書
【特許文献2】韓国特許出願公開第10-2015-0064543号明細書
【特許文献3】韓国特許出願公開第10-2014-0134046号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする技術的課題は、色滲み現象を解消することができる構造の画素回路を
含む表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例による表示装置は、第1初期化電圧を提供する第1初期化電圧源と、
上記第1初期化電圧より小さい第2初期化電圧を提供する第2初期化電圧源と、第1有機
発光ダイオードを含む第1画素回路と、上記第1有機発光ダイオードとはバンドギャップ
(band gap)が異なる有機物を含む第2有機発光ダイオードを含む第2画素回路
と、を含み、上記第1画素回路は、上記第1初期化電圧源及び上記第2初期化電圧源と接
続され、上記第2画素回路は、単一(single;画素回路ごとに、一つのみ)の初期
化電圧源と接続される。
【0011】
上記第2有機発光ダイオードは、上記第1有機発光ダイオードより単位面積当たりのキ
ャパシタンスが大きくてもよい。
【0012】
上記第2有機発光ダイオードは、上記第1有機発光ダイオードより発光面の面積が小さ
くてもよい。
【0013】
上記単一初期化電圧源は、第1初期化電圧源であってもよい。
【0014】
上記第1画素回路は、発光期間にて、一端が上記第1有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される、第1駆動トランジスタをさらに含み、上記第2画素回路は、発光期
間にて、一端が上記第2有機発光ダイオードのアノードと電気的に接続される、第2駆動
トランジスタをさらに含み、上記第1初期化電圧源は、第1初期化期間にて、上記第1駆
動トランジスタのゲート端子及び上記第2駆動トランジスタのゲート端子に電気的に接続
されてもよい。
【0015】
上記第2初期化電圧源は、第2初期化期間にて、上記第1有機発光ダイオードのアノー
ドに電気的に接続され、上記第1初期化電圧源は、上記第2初期化期間にて、上記第2有
機発光ダイオードのアノードに電気的に接続されてもよい。
【0016】
上記単一初期化電圧源は、第2初期化電圧源であってもよい。
【0017】
上記第2初期化電圧源は、第2初期化期間にて、上記第1有機発光ダイオードのアノー
ド及び上記第2有機発光ダイオードのアノードに電気的に接続されてもよい。
【0018】
上記第1画素回路は、発光期間にて、一端が上記第1有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される、第1駆動トランジスタをさらに含み、上記第2画素回路は、発光期
間にて、一端が上記第2有機発光ダイオードのアノードと電気的に接続される、第2駆動
トランジスタをさらに含み、上記第1初期化電圧源は、第1初期化期間にて、上記第1駆
動トランジスタのゲート端子に電気的に接続され、上記第2初期化電圧源は、上記第1初
期化期間にて、上記第2駆動トランジスタのゲート端子に電気的に接続されされてもよい
【0019】
上記第1初期化期間は、上記第2初期化期間より先行してもよい。
【0020】
上記第1初期化電圧及び上記第2初期化電圧とは異なる電圧値を有する第3初期化電圧
を提供する第3初期化電圧源をさらに含み、上記単一初期化電圧源は、上記第3初期化電
圧源であってもよい。
【0021】
上記第3初期化電圧は、上記第1初期化電圧と上記第2初期化電圧との間の値であって
もよい。
【0022】
上記第2初期化電圧源は、第2初期化期間にて、上記第1有機発光ダイオードのアノー
ドに電気的に接続され、上記第3初期化電圧源は、上記第2初期化期間にて、上記第2有
機発光ダイオードのアノードに電気的に接続されてもよい。
【0023】
上記第1画素回路は、発光期間にて、一端が上記第1有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第1駆動トランジスタをさらに含み、上記第2画素回路は、発光期間
にて、一端が上記第2有機発光ダイオードのアノードと電気的に接続される第2駆動トラ
ンジスタをさらに含み、上記第1初期化電圧源は、第1初期化期間にて、上記第1駆動ト
ランジスタのゲート端子に電気的に接続され、上記第3初期化電圧源は、上記第1初期化
期間にて、上記第2駆動トランジスタのゲート端子に電気的に接続されてもよい。
【0024】
上記第1初期化電圧源及び上記第2初期化電圧源と接続されるとともに、上記第1有機
発光ダイオード及び上記第2有機発光ダイオードとはバンドギャップが異なる有機物を含
む第3有機発光ダイオードを含む第3画素回路と、第1データ線と、上記第1データ線と
異なる第2データ線と、をさらに含み、上記第1画素回路及び上記第3画素回路は、上記
第1データ線に接続され、上記第2画素回路は、上記第2データ線に接続されてもよい。
【0025】
上記第1有機発光ダイオードは赤色の有機発光ダイオードで、上記第2有機発光ダイオ
ードは緑色の有機発光ダイオードで、上記第3有機発光ダイオードは青色の有機発光ダイ
オードであってもよい。
【0026】
上記第1有機発光ダイオードは赤色の有機発光ダイオードで、上記第2有機発光ダイオ
ードは青色の有機発光ダイオードで、上記第3有機発光ダイオードは緑色の有機発光ダイ
オードであってもよい。
【0027】
上記第1有機発光ダイオードは青色の有機発光ダイオードで、上記第2有機発光ダイオ
ードは赤色の有機発光ダイオードで、上記第3有機発光ダイオードは緑色の有機発光ダイ
オードであってもよい。
【0028】
上記第3画素回路は、発光期間にて、一端が上記第3有機発光ダイオードのアノードと
電気的に接続される第3駆動トランジスタをさらに含み、上記第1初期化電圧源は、第1
初期化期間にて、上記第3駆動トランジスタのゲート端子に接続され、上記第2初期化電
圧源は、第2初期化期間に上記第3有機発光ダイオードのアノードに電気的に接続されて
もよい。
【0029】
本発明の一実施例による表示装置の駆動方法は、第1初期化期間にて、第1初期化電圧
を第1画素回路の第1駆動トランジスタのゲート端子に印加し、単一初期化電圧を第2画
素回路の第2駆動トランジスタのゲート端子に印加する段階と、第2初期化期間にて、上
記第1初期化電圧より小さい第2初期化電圧を上記第1画素回路の第1有機発光ダイオー
ドのアノードに印加し、上記単一初期化電圧を上記第2画素回路の上記第1有機発光ダイ
オードとはバンドギャップが異なる有機物を含む、第2有機発光ダイオードのアノードに
印加する段階と、発光期間にて、上記第1有機発光ダイオード及び上記第2有機発光ダイ
オードを発光させる段階と、を含む。
【0030】
上記単一初期化電圧は、上記第1初期化電圧と等しくてもよい。
【0031】
上記単一初期化電圧は、上記第2初期化電圧と等しくてもよい。
【0032】
上記単一初期化電圧は、上記第1初期化電圧及び上記第2初期化電圧と異なる値を有し
てもよい。
【0033】
上記単一初期化電圧は、上記第1初期化電圧と上記第2初期化電圧との間の値を有して
もよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明による表示装置及びその駆動方法は、色滲み現象を解消することができる構造の
画素回路を含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施例による表示装置を説明するための図である。
図2】本発明の一実施例による画素部を説明するための図である。
図3】本発明の他の実施例による画素部を説明するための図である。
図4】各画素別の発光時点の差を説明するための図である。
図5】本発明の一実施例による画素回路を説明するための図である。
図6図5の画素回路の駆動方法を説明するための図である。
図7図5の画素回路において初期化電圧源の接続構成を異ならせた場合を説明するための図である。
図8図7の構成による電流増加の効果を説明するための図である。
図9】本発明の他の実施例による表示装置を説明するための図である。
図10】本発明の他の実施例による初期化電圧源が接続された画素回路を説明するための図である。
図11図5の実施例を他の画素回路に適用した場合を説明するための図である。
図12図7の実施例を他の画素回路に適用した場合を説明するための図である。
図13図10の実施例を他の画素回路に適用した場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施例を本発明が属する技術分野
で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な異な
る形態で実現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0037】
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体において
同一または類似する構成要素については、同じ参照符号を付する。従って、同じ参照符号
は、他の図面上においても使用できる。
【0038】
また、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために、任意に示した
ものであるため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。図面において、複数
の層及び領域を明確に表現するために、厚さを誇張して示すことができる。
【0039】
図1は、本発明の一実施例による表示装置を説明するための図である。
【0040】
図1を参照すると、本発明の一実施例による表示装置9は、タイミング制御部40、走
査駆動部10、データ駆動部20、発光制御駆動部30、及び画素部50を含む。
【0041】
タイミング制御部40は、外部から供給される制御信号及び映像信号R、G、Bを表示
装置9の仕様(specification)に合わせて変換して、走査駆動部10に制
御信号CONT1を、発光制御駆動部30に制御信号CONT3を、データ駆動部20に
制御信号CONT2及び映像信号R’、G’、B’を供給する。タイミング制御部40が
受信する制御信号は、水平同期信号Hsync及び垂直同期信号Vsyncを含んでもよ
い。
【0042】
走査駆動部10は、制御信号CONT1を受信して複数の走査線S1、S2、...、
Snに供給する走査信号を生成する。一実施例によると、走査駆動部10は、複数の走査
線S1、S2、...、Snを介して順に走査信号を供給することができる。例えば、制
御信号CONT1は、ゲートスタートパルス(gate start pulse、GS
P)及び複数のゲートクロック信号を含んでもよく、走査駆動部10は、シフトレジスタ
(shift register)の形態で構成されて、ゲートスタートパルスをクロッ
ク信号の制御に応じて順に次のステージ回路に伝達する方式で走査信号を生成してもよい
【0043】
データ駆動部20は、制御信号CONT2及び映像信号R’、G’、B’を受信して複
数のデータ線D1、D2、...、Dmに供給するデータ電圧を生成する。画素行の単位
で生成されたデータ電圧は、制御信号CONT2に含まれた出力制御信号に応じて、同時
に複数のデータ線D1、D2、...、Dmに印加されてもよい。
【0044】
画素部50は、複数の画素回路PX11、PX12、...、PX1m、PX21、P
X22、...、PX2m、...、PXn1、PXn2、...、PXnmを含んでも
よい。各画素は、対応するデータ線と走査線に接続されてもよく、走査信号に応じてデー
タ電圧の入力を受けてもよい。各画素回路は、入力されたデータ電圧に応じて有機発光ダ
イオードを発光させる。
【0045】
発光制御駆動部30は、複数の画素回路PX11、PX12、...、PX1m、PX
21、PX22、...、PX2m、...、PXn1、PXn2、...、PXnmの
発光期間を決める発光制御信号を発光制御線E1、E2、...、Enを介して供給して
もよい。例えば、各画素は発光制御トランジスタを含み、発光制御トランジスタのオンオ
フに応じて有機発光ダイオードへの電流の流れの有無が決定されることにより、発光制御
されてもよい。
【0046】
表示装置9は、複数の電圧源ELVDD、ELVSS、VINT1、VINT2を含ん
でもよい。図1の実施例では、複数の電圧源ELVDD、ELVSS、VINT1、VI
NT2が、画素部50の下段に位置するものが図示されているが、他の実施例では、複数
の電圧源ELVDD、ELVSS、VINT1、VINT2は画素部50の上段、即ち、
データ駆動部20に隣接して位置してもよい。
【0047】
電圧源ELVDDは各有機発光ダイオードのアノードに電気的に接続され、電圧源EL
VSSは各有機発光ダイオードのカソードに電気的に接続されて、発光に必要な駆動電流
を提供することができる。電圧源ELVDDの電圧は、電圧源ELVSSの電圧より大き
くてもよい。
【0048】
第1初期化電圧源VINT1は、第1初期化電圧を提供する。第2初期化電圧源VIN
T2は、第1初期化電圧より小さい第2初期化電圧を提供する。本発明の実施例による第
1画素回路と第2画素回路は、このような初期化電圧源VINT1、VINT2と接続さ
れる構成が異なってもよい。これに対する詳細な実施例は、図4以下を参照して後述する
【0049】
図2は、本発明の一実施例による画素部を説明するための図である。
【0050】
図2を参照すると、本発明の一実施例による画素部50は、第1画素回路A、第2画素
回路B、及び第3画素回路Cを含んでもよい。
【0051】
第1画素回路Aは、第1駆動トランジスタ及び第1有機発光ダイオードを含む画素回路
であってもよい。第2画素回路Bは、第2駆動トランジスタ及び第2有機発光ダイオード
を含む画素回路であってもよい。第3画素回路Cは、第3駆動トランジスタ及び第3有機
発光ダイオードを含む画素回路であってもよい。
【0052】
本発明の実施例では、第2有機発光ダイオードは消費エネルギーに対する発光輝度が高
い、即ち、発光効率の高い有機物を含むと仮定する。従って、第2有機発光ダイオードは
、第1有機発光ダイオードまたは第3有機発光ダイオードより発光面の面積が小さくても
よい。従って、図2では、第2画素回路Bの面積が第1画素回路A及び第3画素回路Cよ
り小さく示されている。
【0053】
通常、緑色の有機発光ダイオードが、消費エネルギーに対する発光輝度が最も高いので
ありうる。従って、例えば、第2有機発光ダイオードは、緑色の有機発光ダイオードであ
ってもよい。このとき、第1有機発光ダイオード及び第3有機発光ダイオードは、それぞ
れ赤色及び青色の有機発光ダイオードであってもよい。また、第1有機発光ダイオード及
び第3有機発光ダイオードは、それぞれ青色及び赤色の有機発光ダイオードであってもよ
い。
【0054】
しかし、本発明の実施例は、必ずしもこれに限定されない。発光効率の良い新しい有機
物が開発される可能性もあり、その場合、例えば、第2有機発光ダイオードは、青色の有
機発光ダイオードであってもよい。このとき、第1有機発光ダイオード及び第3有機発光
ダイオードは、それぞれ赤色及び緑色の有機発光ダイオードであってもよい。また、第1
有機発光ダイオード及び第3有機発光ダイオードは、それぞれ緑色及び赤色の有機発光ダ
イオードであってもよい。
【0055】
同様に、例えば、第2有機発光ダイオードは、赤色の有機発光ダイオードであってもよ
い。このとき、第1有機発光ダイオード及び第3有機発光ダイオードは、それぞれ青色及
び緑色の有機発光ダイオードであってもよい。また、第1有機発光ダイオード及び第3有
機発光ダイオードは、それぞれ緑色及び青色の有機発光ダイオードであってもよい。
【0056】
しかし、第2有機発光ダイオードは必ずしも発光効率に応じて決まるものではない。図
2を参照すると、第1画素回路Aの数と第3画素回路Cの数との和は、第2画素回路Bの
数と、実質的に同一である。従って、それぞれの有機物の発光効率が類似するのであれば
、それぞれの色の発光面積を合わせるために、図2のように発光面の面積が決定されても
よい。
【0057】
本発明の一実施例によると、表示装置9は複数のデータ線を含み、複数のデータ線は第
1データ線Dj、D(j+2)、...及び第2データ線D(j+1)、D(j+3)、
...を含むように構成されてもよい。第1データ線Dj、D(j+2)、...と第2
データ線D(j+1)、D(j+3)、...は、互いに異なるデータ線であって、交互
に配置されてもよい。例えば、第1データ線Dj、D(j+2)、...は奇数番目のデ
ータ線で、第2データ線D(j+1)、D(j+3)、...は偶数番目のデータ線であ
ってもよい。
【0058】
第1画素回路A及び第3画素回路Cは、第1データ線Dj、D(j+2)、...に接
続されてもよい。
【0059】
第2画素回路Bは、第2データ線D(j+1)、D(j+3)、...に接続されても
よい。
【0060】
図2の画素部50は、前段(previous stage)の走査線が現在段(cu
rrent stage)の各画素回路に入力されるように図示されている。例えば、前
段の走査線S(i-1)が現在段の走査線S(i)に接続された各画素回路A、B、Cに
接続されている。
【0061】
本発明の実施例では、前段の走査線に印加される信号が、現在段の画素回路に対する第
1初期化信号として使用されてもよい。これに対する具体的な接続関係は、図4以下を参
照して後述する。
【0062】
但し、第1初期化信号として使用されるのは、前前段の走査線に印加される信号であっ
てもよい。また、走査線と関係なく専用の初期化線が別途にあってもよい。従って、本発
明の実施例は、前段の走査線が現在段の各画素回路に必ず入力されるというふうに限定さ
れるのでない。
【0063】
図2のような画素部50の構造をペンタイル(pentile)構造と名付けてもよい
【0064】
図3は、本発明の他の実施例による画素部を説明するための図である。
【0065】
図3の画素部50’は、図2の画素部50と電気的な接続関係及び画素回路の構成面で
同一であるため、重複した説明は省略する。
【0066】
図3の画素部50’は、図2の画素部50とは異なり、各画素の発光面がダイヤモンド
型または菱型からなってもよい。図3の画素部50’の構造をダイヤモンドペンタイル(
diamond pentile)構造と名付けてもよい。
【0067】
図4は、各画素別の発光時点の差を説明するための図である。
【0068】
図4には、本発明の実施例が適用されない場合の各画素別の発光時点の差が図示されて
いる。
【0069】
例えば、灰色(gray)を表現するためには、第1画素回路Aの第1有機発光ダイオ
ード、第2画素回路Bの第2有機発光ダイオード、及び第3画素回路Cの有機発光ダイオ
ードのそれぞれの輝度が一定レベルで組み合わせられなければならない。
【0070】
しかし、図2及び3のような画素部50、50’の構造では、第2画素回路Bの第2有
機発光ダイオードの単位面積当たりのキャパシタンスが大きく、流れる駆動電流が小さい
のでありうる。このため、図4に示すように、第2有機発光ダイオードの発光時点が最も
遅れるのでありうる。
【0071】
そのため、初期には第1画素回路Aの第1有機発光ダイオード及び第3画素回路Cの第
3有機発光ダイオードだけが発光しうる。若し、第1有機発光ダイオードが赤色の有機発
光ダイオードで、第3有機発光ダイオードが青色の有機発光ダイオードである場合、ユー
ザが視認する色は紫色(purple)であろう。これにより、灰色の画面をスクロールする時
、ユーザが紫色を先に視認する色滲み現象を生じるという問題がある。
【0072】
図5は、本発明の一実施例による画素回路を説明するための図である。
【0073】
以下では、P型トランジスタからなる回路を例に挙げて説明する。しかし、当業者であ
れば、ゲート端子に印加される電圧の極性を変えて、N型トランジスタからなる回路を設
計することができるだろう。同様に、当業者であれば、P型トランジスタ及びN型トラン
ジスタの組み合わせからなる回路を設計することができるだろう。P型トランジスタは、
ゲート端子とソース端子間の電圧差が負の方向に増加するとき導通される電流量が増加す
るトランジスタの総称である。N型トランジスタは、ゲート端子とソース端子間の電圧差
が正の方向に増加するとき導通される電流量が増加するトランジスタの総称である。トラ
ンジスタは、TFT(thin film transistor)、FET(fiel
d effect transistor)、BJT(bipolar junctio
n transistor)などの様々な形態からなってもよい。
【0074】
図5を参照すると、本発明の一実施例による第1画素回路PXijは、複数のトランジ
スタM1、M2、M3、M4、M5、M6、M7と、ストレージキャパシタCst1と、
第1有機発光ダイオードOLED1と、を含んでもよい。第1画素回路PXijは、図2
及び3の第1画素回路Aに対応することができる。
【0075】
第1画素回路PXijは、第1初期化電圧源VINT1及び第2初期化電圧源VINT
2と接続されてもよい。上述したように、第1初期化電圧源VINT1の第1初期化電圧
は、第2初期化電圧源VINT2の第2初期化電圧より大きい。例えば、第1初期化電圧
が-2Vである場合、第2初期化電圧は-5Vであってもよい。
【0076】
図5を参照すると、本発明の一実施例による第2画素回路PXi(j+1)は、複数の
トランジスタM1’、M2’、M3’、M4’、M5’、M6’、M7’と、ストレージ
キャパシタCst1’と、第2有機発光ダイオードOLED2と、を含んでもよい。第2
画素回路PXi(j+1)は、図2及び3の第2画素回路Bに対応するのでありうる。
【0077】
第2画素回路PXi(j+1)は、単一(single;画素回路ごとに、一つだけ)
の初期化電圧源と接続されてもよい。図5では、単一初期化電圧源が第1初期化電圧源で
ある場合について図示されている。後述する図7及び図10の実施例では、単一初期化電
圧源が、それぞれ、第2初期化電圧源である場合、及び、第3初期化電圧源である場合に
ついて説明する。
【0078】
まず、第1画素回路PXijの構造について説明する。
【0079】
トランジスタM1は、一端がトランジスタM6の他端に接続され、他端がトランジスタ
M5の一端に接続され、ゲート端子がストレージキャパシタCst1の一端に接続されて
もよい。トランジスタM1を第1駆動トランジスタと名付けてもよい。
【0080】
トランジスタM2は、一端が第1データ線Djに接続され、他端がトランジスタM1の
他端に接続され、ゲート端子が現在段の走査線Siに接続されてもよい。
【0081】
トランジスタM3は、一端がトランジスタM1のゲート端子に接続され、他端がトラン
ジスタM1の一端に接続され、ゲート端子が現在段の走査線Siに接続されてもよい。
【0082】
トランジスタM4は、一端が第1初期化電圧源VINT1に接続され、他端が駆動トラ
ンジスタM1のゲート端子に接続され、ゲート端子が前段の走査線S(i-1)に接続さ
れてもよい。
【0083】
トランジスタM5は、一端がトランジスタM1の他端に接続され、他端が電圧源ELV
DDに接続され、ゲート端子が発光制御線Eiに接続されてもよい。トランジスタM5を
発光制御トランジスタと名付けてもよい。
【0084】
トランジスタM6は、一端が第1有機発光ダイオードOLED1のアノードに接続され
、他端がトランジスタM1の一端に接続され、ゲート端子が発光制御線Eiに接続されて
もよい。トランジスタM6を発光制御トランジスタと名付けてもよい。
【0085】
トランジスタM7は、一端が第2初期化電圧源VINT2に接続され、他端が第1有機
発光ダイオードOLED1のアノードに接続され、ゲート端子が現在段の走査線Siに接
続されてもよい。
【0086】
ストレージキャパシタCst1は、一端がトランジスタM1のゲート端子に接続され、
他端が電圧源ELVDDに接続されてもよい。
【0087】
第1有機発光ダイオードOLED1は、アノードがトランジスタM7の他端に接続され
、カソードが電圧源ELVSSに接続されてもよい。第1有機発光ダイオードOLED1
は、キャパシタンスCo1を有することができ、キャパシタンスCo1の大きさと駆動電
流の大きさに応じて発光時点が決定されてもよい。
【0088】
第2画素回路PXi(j+1)における複数のトランジスタM1’、M2’、M3’、
M4’、M5’、M6’、M7’、ストレージキャパシタCst1’、及び第2有機発光
ダイオードOLED2の接続構造は、それぞれ第1画素回路PXijにおける複数のトラ
ンジスタM1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、ストレージキャパシタCst1、
及び第1有機発光ダイオードOLED1の接続構造と対応することができる。以下では、
重複した説明を省略し、相違点について重点的に記載する。トランジスタM1’は、第2
駆動トランジスタと名付けてもよい。第2有機発光ダイオードOLED2は、第1有機発
光ダイオードOLED1と異なるバンドギャップを有する有機物を含んでもよい。
【0089】
トランジスタM2’の一端は、第2データ線D(j+1)に接続される。従って、トラ
ンジスタM2’は、トランジスタM2と同じ走査信号によってターンオンされても、トラ
ンジスタM2と異なるデータ電圧の供給を受けることができる。
【0090】
トランジスタM7’は、一端が第1初期化電圧源VINT1と接続されてもよい。上述
したように、第1初期化電圧源VINT1の第1初期化電圧は、第2初期化電圧源VIN
T2の第2初期化電圧よりその値が大きい。また、電圧源ELVSSの電圧値は、第1及
び第2初期化電圧より小さくてもよい。後述する第2初期化期間の間、第1有機発光ダイ
オードOLED1のキャパシタンスCo1は、第2初期化電圧源VINT2と電圧源EL
VSSとの差に相当する電圧値に初期化される。一方、第2初期化期間の間、第2有機発
光ダイオードOLED2のキャパシタンスCo2は、第1初期化電圧源VINT1と電圧
源ELVSSとの差に相当する電圧値に初期化される。従って、第2有機発光ダイオード
OLED2のキャパシタンスCo2は、キャパシタンスCo1より高い電圧値にプレチャ
ージ(precharge)されるため、第2初期化期間後の発光期間において、第2有
機発光ダイオードOLED2の発光時点をさらに早めることができるという長所がある。
【0091】
参考までに、図5の実施例では、第1初期化期間に各駆動トランジスタM1、M1’の
ゲート端子に印加される電圧源が第1初期化電圧源VINT1と同一であるため、駆動ト
ランジスタM1、M1’による効果の変化はない。
【0092】
図5には、第1画素回路PXij及び第2画素回路PXi(j+1)のみが図示されて
いるが、第3画素回路は、第3有機発光ダイオードを有することを除き、第1画素回路P
Xijとその構造が実質的に同一であってもよい。例えば、第1有機発光ダイオードOL
ED1が赤色の有機発光ダイオードである場合、第3有機発光ダイオードは青色の有機発
光ダイオードであってもよい。一方、第1有機発光ダイオードOLED1が青色の有機発
光ダイオードである場合、第3有機発光ダイオードは赤色の有機発光ダイオードであって
もよい。
【0093】
第3画素回路は、第1初期化電圧源VINT1及び第2初期化電圧源VINT2と接続
され、第1有機発光ダイオードOLED1及び第2有機発光ダイオードOLED2とバン
ドギャップが異なる有機物を含む第3有機発光ダイオードを含んでもよい。第3画素回路
は、第1データ線Djに接続されてもよい。また、第3画素回路は、発光期間に一端が第
3有機発光ダイオードのアノードと接続される第3駆動トランジスタを含んでもよい。第
1初期化電圧源は第1初期化期間に第3駆動トランジスタのゲート端子に接続され、第2
初期化電圧源は第2初期化期間に第3有機発光ダイオードのアノードに接続されてもよい
【0094】
図6は、図5の画素回路の駆動方法を説明するための図である。
【0095】
まず、時点t1にて、第1データ線Djを介して前段のデータ電圧DATA(i-1)
jが供給され、第2データ線D(j+1)を介して前段のデータ電圧DATA(i-1)
(j+1)が供給される。この際、前段の走査線S(i-1)にローレベルの前段の走査
信号が印加され、トランジスタM4、M4’がターンオンされる。
【0096】
従って、第1駆動トランジスタM1のゲート端子と、第2駆動トランジスタM1’のゲ
ート端子とに第1初期化電圧源VINT1が接続され、各駆動トランジスタM1、M1’
のゲート電圧が初期化される。このような時点t1と時点t2との間の期間を、第1初期
化期間と名付けうる。
【0097】
第1初期化期間の間、トランジスタM4、M4’を除いた他のトランジスタはターンオ
フ状態であってもよい。
【0098】
次いで、時点t2にて、前段の走査線S(i-1)にハイレベルの前段の走査信号が印
加され、トランジスタM4、M4’がターンオフ状態になる。初期化された各駆動トラン
ジスタM1、M1’のゲート電圧値は、各ストレージキャパシタCst1、Cst1’が
保持する。
【0099】
次いで、時点t3にて、第1データ線Djを介して現在段のデータ電圧DATAijが
供給され、第2データ線D(j+1)を介して現在段のデータ電圧DATAi(j+1)
が供給される。この際、現在段の走査線Siにローレベルの現在段の走査信号が印加され
、トランジスタM2、M3、M7、M2’、M3’M7’がターンオンされる。
【0100】
トランジスタM3、M3’がターンオンされて、それぞれの駆動トランジスタM1、M
1’をダイオード接続させる。現在段のデータ電圧DATAijに対応する電圧が、トラ
ンジスタM2、M1、M3を介して、第1駆動トランジスタM1のゲート端子に入力され
る。また、現在段のデータ電圧DATAi(j+1)に対応する電圧が、トランジスタM
2’、M1’、M3’を介して、第2駆動トランジスタM1’のゲート端子に入力される
【0101】
トランジスタM7がターンオンされて、第2初期化電圧源VINT2が、第1有機発光
ダイオードOLED1のアノードに接続される。また、トランジスタM7’がターンオン
されて、第1初期化電圧源VINT1が、第2有機発光ダイオードOLED2のアノード
に接続される。上述したように、第2有機発光ダイオードOLED2のキャパシタンスC
o2は、キャパシタンスCo1より高い電圧値にプレチャージされる。
【0102】
このような、時点t3と時点t4との間の期間を、データ書き込み期間及び第2初期化
期間と名付けうる。当該期間の間、トランジスタM6、M6’はターンオフされているた
め、データ書き込みに必要な電圧と初期化に必要な電圧は分離されて、互いに影響を与え
ない。
【0103】
但し、本実施例では、第2初期化期間を、データ書き込み期間と同一の期間としたが、
トランジスタM7、M7’に前段の走査線S(i-1)が接続されるなど、第2初期化期
間は多様に設定されてもよい。
【0104】
次いで、時点t4にて、トランジスタM2、M3、M7、M2’、M3’M7’がター
ンオフされる。各ストレージキャパシタCst1は、各駆動トランジスタM1、M1’の
ゲート端子に印加された電圧を保持する。
【0105】
次いで、時点t5にて、発光制御線Eiにローレベルの電圧が印加されてトランジスタ
M5、M6、M5’、M6’がターンオンされる。従って、電圧源ELVDDから電圧源
ELVSSに電流経路が形成されて導通され、各駆動トランジスタM1、M1’のゲート
電圧とソース電圧との差に応じて、駆動電流の大きさが決定される。
【0106】
有機発光ダイオードOLED1、OLED2の発光時点は、各駆動電流の大きさと各キ
ャパシタンスCo1、Co2の大きさによって決定されうるが、上述したように、第2有
機発光ダイオードOLED2のキャパシタンスCo2は、キャパシタンスCo1より高い
電圧値にプレチャージされているため、第2有機発光ダイオードOLED2の発光時点を
より早めることができるという長所がある。従って、図3で説明した色滲み現象を解消す
ることができる。
【0107】
時点t5から、発光制御線Eiにハイレベルの電圧が印加されるまでを、発光期間と名
付けてもよい。
【0108】
図7は、図5の画素回路において初期化電圧源の接続構成を異ならせた場合を説明する
ためのものであり、図8は、図7の構成による電流増加の効果を説明するためのものであ
る。
【0109】
図7図5を比較すると、第1画素回路PXijは、その構成が同一である。しかし、
第2画素回路PXi(j+1)の単一初期化電圧が、第2初期化電圧VINT2になって
いる点で、構成上の差がある。
【0110】
このとき、図5の場合とは異なり、第2有機発光ダイオードOLED2のキャパシタン
スCo2は、キャパシタンスCo1と同じ電圧値にプレチャージされるため、プレチャー
ジ電圧値による有用な効果は得られない。
【0111】
但し、本実施例では、第1初期化期間に、第2画素回路PXi(j+1)の第2駆動ト
ランジスタM1’のゲート端子に、第2初期化電圧源VINT2が接続される点において
特徴がある。
【0112】
上述したように、第2初期化電圧源VINT2の第2初期化電圧は、第1初期化電圧源
VINT1の第1初期化電圧より小さい。また、電圧源ELVDDの電圧値は、第1及び
第2初期化電圧より大きくてもよい。
【0113】
従って、第1初期化期間に設定される第2駆動トランジスタM1’のゲート電圧とソー
ス電圧との差は、第1駆動トランジスタM1のゲート電圧とソース電圧との差より大きく
なる。即ち、第2駆動トランジスタM1’のオンバイアス電圧(on-bias vol
tage)が、第1駆動トランジスタM1のオンバイアス電圧より大きくなる。
【0114】
本実施例の発明者は、オンバイアス電圧が増加した場合、発光時間の経過に伴って駆動
電流が上昇する効果があることを発見した。
【0115】
図8を参照すると、図6の時点t5、即ち、発光期間の開始時点における第2駆動トラ
ンジスタM1’の特性曲線CC1が図示されている。トランジスタの特性曲線は、広く知
られているように、ゲート電圧とソース電圧の差VGS(V)による、駆動電流値の大き
さID(A)を表す。
【0116】
任意の階調値に対応する電圧PT1が、第2駆動トランジスタM1’に印加されるとき
に流れる駆動電流のレベルCL1が、直線で示されている。
【0117】
発光期間の時間が経つほど特性曲線が右側に移動し、右側に移動する程度はオンバイア
ス電圧の増加量に比例しうる。
【0118】
図8では、発光期間から16msが経過した後の特性曲線CC2が例示的に図示されて
いる。ストレージキャパシタCst1’の保持電荷量の減少により、電圧PT2の絶対値
は多少減少したが、特性曲線CC2は特性曲線CC1に比べて右側に移動したため、16
ms以降の駆動電流のレベルCL2は前のレベルCL1より上昇したことを確認すること
ができる。
【0119】
従って、図7の実施例によると、第2画素回路PXi(j+1)の発光期間における駆
動電流量の増加によって、第2有機発光ダイオードOLED2の発光開始時点を早めたり
、発光輝度を向上させたりすることができる。
【0120】
即ち、図7の実施例による場合も、図4で説明した色滲み現象を解消することができる
【0121】
図9は、本発明の他の実施例による表示装置を説明するための図であり、図10は、本
発明の他の実施例による初期化電圧源が接続された画素回路を説明するための図である。
【0122】
図9の表示装置9’は、図1の表示装置9と比較して、第3初期化電圧源VINT3を
さらに含み、第2画素回路PXi(j+1)に単一の初期化電圧源として第3初期化電圧
源VINT3が接続されるという点で、差がある。表示装置9’の他の構成は、表示装置
9と同一であるため、重複した説明は省略する。
【0123】
図10を参照すると、第2画素回路PXi(j+1)において、第3初期化電圧源VI
NT3が、トランジスタM7’を介して第2有機発光ダイオードOLED2のアノードに
接続され、トランジスタM4’を介して第2駆動トランジスタM1’のゲート端子に接続
される。
【0124】
本実施例の第3初期化電圧源VINT3の第3初期化電圧は、第1及び第2初期化電圧
とは異なる。一実施例において、第3初期化電圧は、第1初期化電圧と第2初期化電圧と
の間の値であってもよい。例えば、第1初期化電圧が-2Vで、第2初期化電圧が-5V
であれば、第3初期化電圧は-4Vであってもよい。
【0125】
本実施例によると、第1初期化電圧源VINT1及び第2初期化電圧源VINT2と異
なる追加の電圧源が必要となるという点が短所であるが、図5の実施例の長所と図7の実
施例の長所の両方を有することができるという点にメリットがある。
【0126】
即ち、第2有機発光ダイオードOLED2のキャパシタンスCo2が、キャパシタンス
Co1より高い電圧値にプレチャージされるため、第2有機発光ダイオードOLED2の
発光開始時点を早めることができる。
【0127】
また、第2駆動トランジスタM1’のゲート電圧とソース電圧との差が、第1駆動トラ
ンジスタM1のゲート電圧とソース電圧との差より大きくなるため、オンバイアス電圧値
が高くなることで、発光期間中、時間の経過に伴って駆動電流が増加し、第2有機発光ダ
イオードOLED2の発光開始時点を早めたり、発光輝度を向上させたりすることができ
る。
【0128】
図11は、図5の実施例を他の画素回路に適用した場合を説明するための図である。
【0129】
図11を参照すると、第1画素回路PXij’は、複数のトランジスタM8、M9、M
10、M11、M12と、ストレージキャパシタCst2と、第1有機発光ダイオードO
LE11とを含む。また、第2画素回路PXi(j+1)’は、複数のトランジスタM8
’、M9’、M10’、M11’、M12’と、ストレージキャパシタCst2’と、第
2有機発光ダイオードOLE12とを含む。第2画素回路PXi(j+1)’の構造は、
第1画素回路PXij’の構造と、データ線、初期化電圧源、及び有機発光ダイオードを
除いて実質的に同一であるため、以下では、第1画素回路PXij’についてのみ説明す
る。
【0130】
トランジスタM8は、一端がトランジスタM10の他端に接続され、他端が電圧源EL
VDDに接続され、ゲート端子がトランジスタM9の他端に接続される。トランジスタM
8は、第1駆動トランジスタと命名されてもよい。
【0131】
トランジスタM9は、一端が第1データ線Djに接続され、他端がトランジスタM9の
ゲート端子に接続され、ゲート端子が現在段の走査線Siに接続される。
【0132】
トランジスタM10は、一端が第1有機発光ダイオードOLED11に接続され、他端
がトランジスタM8の一端に接続され、ゲート端子が発光制御線Eiに接続されてもよい
。トランジスタM10は、発光制御トランジスタと名付けられてもよい。
【0133】
トランジスタM11は、一端が第1初期化電圧VINT1に接続され、他端がストレー
ジキャパシタCst2の一端に接続され、ゲート端子が前段の走査線S(i-1)に接続
されてもよい。
【0134】
トランジスタM12は、一端が第2初期化電圧VINT2に接続され、他端が第1有機
発光ダイオードOLED11に接続され、ゲート端子が現在段の走査線Siと接続されて
もよい。
【0135】
ストレージキャパシタCst2は、一端がトランジスタM8のゲート端子に接続され、
他端が電圧源ELVDDに接続されてもよい。
【0136】
第1有機発光ダイオードOLED11は、アノードがトランジスタM12の他端に接続
され、カソードが電圧源ELVSSに接続されてもよい。
【0137】
図11の画素回路PXij’、PXi(j+1)’の制御信号は、図5の画素回路PX
ij、PXi(j+1)の制御信号と同一であるため、詳細な駆動過程に対する説明は省
略する。
【0138】
図11の実施例も図5の実施例と同様に、単一初期化電圧源が第1初期化電圧源VIN
T1の場合であって、第2有機発光ダイオードOLED12のキャパシタンスは、第1有
機発光ダイオードOLED11のキャパシタンスよりも高い電圧値にプレチャージされる
ため、第2初期化期間後の発光期間において第2有機発光ダイオードOLED12の発光
開始時間を早めることができるという長所がある。
【0139】
図12は、図7の実施例を他の画素回路に適用した場合について説明するための図であ
る。
【0140】
図12の実施例では、単一初期化電圧源が第2初期化電圧源VINT2である点におい
て、図11の実施例と差がある。他の構成は図11と同一であるため、重複した説明は省
略する。
【0141】
図12の実施例も、図7の実施例と同様に、単一初期化電圧源が第2初期化電圧源VI
NT2の場合であって、第2画素回路PXi(j+1)’の発光期間における駆動電流量
の増加によって、第2有機発光ダイオードOLED12の発光開始時点を早めたり、発光
輝度を向上させたりすることができる。
【0142】
図13は、図10の実施例を他の画素回路に適用した場合を説明するための図である。
【0143】
図13の実施例では、単一初期化電圧源が第3初期化電圧源VINT3である点におい
て、図11の実施例と差がある。他の構成は図11と同一であるため、重複した説明は省
略する。
【0144】
図13の実施例も、図10の実施例と同様に、単一初期化電圧源が第3初期化電圧源V
INT3の場合であって、第1初期化電圧源VINT1及び第2初期化電圧源VINT2
と異なる追加の電圧源が必要となるという点が短所であるが、図11の実施例の長所と、
図12の実施例の長所との両方を有することができる点にメリットがある。
【0145】
即ち、第2有機発光ダイオードOLED12のキャパシタンスが、第1有機発光ダイオ
ードOLED11のキャパシタンスより高い電圧値にプレチャージされるため、第2有機
発光ダイオードOLED12の発光開始時点を早めることができる。
【0146】
また、第2駆動トランジスタM8’のゲート電圧とソース電圧との差が、第1駆動トラ
ンジスタM8のゲート電圧とソース電圧との差より大きくなるため、オンバイアス電圧値
が高くなることで、発光期間中、時間経過に伴って駆動電流が増加し、第2有機発光ダイ
オードOLED12の発光開始時点を早めたり、発光輝度を向上させたりすることができ
る。
【0147】
今まで参照した図面と記載された発明の詳細な説明は、単なる本発明の例示であって、
単に本発明を説明するための目的として用いられており、意味限定や特許請求の範囲に記
載された本発明の範囲を制限するために用いられたものではない。よって、本技術分野の
通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施例が可能である
という点が理解できるであろう。従って、本発明の技術的保護範囲は、添付の特許請求の
範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【0148】
本願において、「接続される」、「電気的に接続される」などの語は、直接に、または
別途の導線や導体を通じて接続される場合だけでなく、適宜に、中途の経路中に存在する
トランジスタなどのスイッチング素子がオンとなって、電気的に導通されるような場合を
含む。また、例えば「(a)~であって、(b)~であって、(c)~であってもよい」というふ
うに文が接続されている場合に、「(a)~」、「(b)~」及び「(c)~」は、それぞれ独立
に成立しうることを意味する。すなわち、例えば、「(a)~」も「(c)~」も成立せず、「
(b)~」のみが成立する場合などを含む。
【0149】
好ましい、いくつかの実施形態によると、解決すべき課題、及び、具体的な解決手段は
、下記のとおりである。
【0150】
画素が配列されて、画像を表示可能であって、各画素は、いずれかの原色の有機発光ダ
イオードから構成された表示装置において、緑色の有機発光ダイオードは、発光効率が高
いので、発光面積を小さくし、また、駆動電流も低いレベルに設定される。
【0151】
緑色の有機発光ダイオードOLED2では、駆動電流のレベルが低いため、キャパシタ
ンスCo2を充電するのに要する時間が、赤や青などの他の色の有機発光ダイオードOL
ED1に比べて、長くなってしまう。そのため、発光開始のタイミングが、他の色の有機
発光ダイオードOLED1よりも、遅くなってしまう。この結果、画面をスクロールする
ときなどに、表示面に、色にじみ(color blur)が表れることがある。
【0152】
そこで、下記のA及びBの少なくとも一方とする。
【0153】
A 駆動電流を各有機発光ダイオードOLED1~2に供給し続ける発光期間(図6
t5以降)の直前の、データ書き込み期間(図6のt3~t4)に、各有機発光ダイオードのキ
ャパシタンスCo1~Co2にプレチャージを行うにあたり、
緑色の有機発光ダイオードOLED2のキャパシタンスCo2には、他の色の有機発光
ダイオードOLED1のキャパシタンスCoよりも、高い電圧値にプレチャージされるよ
うにする。
【0154】
これにより、発光開始時間をさらに早めることができる。
【0155】
図8のように、駆動トランジスタM1’のオンバイアス電圧(on-bias v
oltage)について、緑色の有機発光ダイオードOLED2のためのものを、他の色
の有機発光ダイオードOLED1のためのものよりも高くする。
【0156】
これにより、緑色の有機発光ダイオードOLED2の発光開始時点を早めたり、発光輝
度を向上させたりすることができる。
【0157】
具体的には、下記Cを前提として、下記D~Fのいずれかとする。
【0158】
図5、7及び11~13の各実施形態にて、
他の色の有機発光ダイオードOLED1を含む画素回路路PXijには、
トランジスタM4を通じて、前段の走査線からのゲートパルスに応じてストレージキャ
パシタCSt1を初期化するための第1初期化電圧源VINT1(例えば-2V)と、
トランジスタM7を通じて、現在段の走査線からのゲートパルスに応じて、有機発光ダ
イオードのキャパシタンスCo1にプレチャージを行うための第2初期化電圧源VINT2(例
えば-5V)とが、備えられる。
【0159】
D 上記Aを実現すべく、図5及び11のように、
緑色の有機発光ダイオードOLED1を含む画素回路路PXi(j+1)には、第1初
期化電圧源VINT1(例えば-2V)のみが、初期化電圧源(単一の初期化電圧源)として
備えられ、この第1初期化電圧源VINT1(例えば-2V)からの、より高い電圧により、
データ書き込み期間(図6のt3~t4)にて、キャパシタンスCo2にプレチャージを行う
【0160】
E 上記Bを実現すべく、図7及び12のように、
緑色の有機発光ダイオードOLED1を含む画素回路路PXi(j+1)には、第2初
期化電圧源VINT2(例えば-5V)のみが、初期化電圧源(単一の初期化電圧源)として
備えられる。
【0161】
これにより、データ書き込み期間(図6のt3~t4)より前の、第1初期化期間(図6
t1~t2)にて、駆動トランジスタM1’のゲート端子には、第1初期化電圧源VINT1(例
えば-2V)よりも電位差が大きい、第2初期化電圧(例えば-5V)が印加される。す
なわち、このようにして、駆動トランジスタM1’のオンバイアス電圧を大きくする。
【0162】
F 上記A及びBを実現すべく、図10及び13のように、
緑色の有機発光ダイオードOLED1を含む画素回路路PXi(j+1)には、第3初
期化電圧源VINT3(例えば-4V)のみが、初期化電圧源(単一の初期化電圧源)として
備えられる。第3初期化電圧は、第1初期化電圧と、第2初期化電圧との間の値である。
【0163】
追加の電圧源(電源線)が必要となるが、上記A及びBの両方の効果を得ることができ
る。
【符号の説明】
【0164】
9 表示装置
10 走査駆動部
20 データ駆動部
30 発光制御駆動部
40 タイミング制御部
50 画素部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1データ線及び前記第1データ線と異なる第2データ線に接続されたデータ駆動部と、
第1駆動トランジスタ、第1初期化トランジスタ、第1アノード初期化トランジスタ、及び第1色で発光し、第1アノード及び第1カソードを有する第1発光ダイオードを含み、前記第1データ線に接続された第1画素回路と、
第2駆動トランジスタ、第2初期化トランジスタ、第2アノード初期化トランジスタ、及び前記第1色と異なる第2色で発光し、第2アノード及び第2カソードを有する第2発光ダイオードを含み、前記第2データ線に接続された第2画素回路と、を含み、
第1アノード初期化電圧は前記第1アノード初期化トランジスタを介して前記第1アノードに印加され、
第2アノード初期化電圧は前記第2アノード初期化トランジスタを介して前記第2アノードに印加され、
前記第1カソード及び前記第2カソードに共通して印加されるカソード電圧は、前記第1アノード初期化電圧より小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1アノード初期化電圧は前記第2アノード初期化電圧より小さいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2発光ダイオードの発光面積は前記第1発光ダイオードの発光面積より小さいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1色は赤色であり、
前記第2色は緑色であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
第1電圧は前記第1初期化トランジスタを介して前記第1駆動トランジスタに印加され、
第2電圧は前記第2初期化トランジスタを介して前記第2駆動トランジスタに印加され、
前記第1電圧と前記第2電圧とは同じ値を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1駆動トランジスタは、発光期間にて、前記第1アノードに接続される一端を有し、
前記第2駆動トランジスタは、前記発光期間にて、前記第2アノードに接続される一端を有し、
前記第1電圧は、第1初期化期間にて、前記第1駆動トランジスタのゲート電極に印加され、
前記第2電圧は、前記第1初期化期間にて、前記第2駆動トランジスタのゲート電極に印加されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1アノード初期化電圧は、第2初期化期間にて、前記第1アノードに印加され、
前記第2アノード初期化電圧は、前記第2初期化期間にて、前記第2アノードに印加されることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1アノード初期化電圧は、前記第1アノード初期化トランジスタを介して前記第1アノードに接続された第1初期化線に印加され、
前記第2アノード初期化電圧は、前記第2アノード初期化トランジスタを介して前記第2アノードに接続された第2初期化線に印加されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1初期化線及び前記第2初期化線は互いに分離されていることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
第1走査線と、
前記第1走査線と異なる第2走査線と、をさらに含み、
前記第1初期化トランジスタ及び前記第2初期化トランジスタは前記第1走査線に接続され、
前記第1アノード初期化トランジスタ及び前記第2アノード初期化トランジスタは前記第2走査線に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2走査線に第2走査信号を印加する前に、前記第1走査線に第1走査信号を印加することを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
第3駆動トランジスタ、第3初期化トランジスタ、第3アノード初期化トランジスタ、及び前記第1色及び前記第2色と異なる第3色で発光し、第3アノード及び第3カソードを有する第3発光ダイオードを含む第3画素回路をさらに含み、
第3アノード初期化電圧は前記第3アノード初期化トランジスタを介して前記第3アノードに印加され、
前記第3アノード初期化電圧は前記第1アノード初期化電圧と同じであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
第1データ線及び前記第1データ線と異なる第2データ線に接続されたデータ駆動部と、
第1駆動トランジスタ、第1初期化トランジスタ、第1アノード初期化トランジスタ、及び第1色で発光し、第1アノード及び第1カソードを有する第1発光ダイオードを含み、前記第1データ線に接続された第1画素回路と、
第2駆動トランジスタ、第2初期化トランジスタ、第2アノード初期化トランジスタ、及び前記第1色と異なる第2色で発光し、第2アノード及び第2カソードを有する第2発光ダイオードを含み、前記第2データ線に接続された第2画素回路と、
初期化線と、を含み、
第1アノード初期化電圧は前記第1アノード初期化トランジスタを介して前記第1アノードに印加され、
第2アノード初期化電圧は前記第2アノード初期化トランジスタを介して前記第2アノードに印加され、
前記第1カソード及び前記第2カソードに共通して印加されるカソード電圧は前記第1アノード初期化電圧より小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項14】
前記第1アノード初期化電圧は前記第2アノード初期化電圧より小さいことを特徴とする請求項13に記載の表示装置
【請求項15】
前記第1初期化トランジスタを介して前記第1駆動トランジスタに第1電圧が印加され、
前記第2初期化トランジスタを介して前記第2駆動トランジスタに第2電圧が印加され、
前記第1電圧及び前記第2電圧は前記初期化線から印加されることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第1駆動トランジスタは、発光期間にて、前記第1アノードに接続される一端を有し、
前記第2駆動トランジスタは、前記発光期間にて、前記第2アノードに接続される一端を有し、
前記第1電圧は、第1初期化期間にて、前記第1駆動トランジスタのゲート電極に印加され、
前記第2電圧は、前記第1初期化期間にて、前記第2駆動トランジスタのゲート電極に印加されることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1アノード初期化電圧は、第2初期化期間にて、前記第1アノードに印加され、
前記第2アノード初期化電圧は、前記第2初期化期間にて、前記第2アノードに印加されることを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1アノード初期化トランジスタに接続された第1初期化線をさらに含み、
前記初期化線及び前記第1初期化線は互いに分離されていることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第2アノード初期化トランジスタに接続された第2初期化線をさらに含み、
前記第1初期化線及び前記第2初期化線は互いに分離されていることを特徴とする請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
第1走査線と、
前記第1走査線と異なる第2走査線と、をさらに含み、
前記第1初期化トランジスタ及び前記第2初期化トランジスタは前記第1走査線に接続され、
前記第1アノード初期化トランジスタ及び前記第2アノード初期化トランジスタは前記第2走査線に接続されたことを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項21】
前記第2走査線に第2走査信号を印加する前に前記第1走査線に第1走査信号を印加することを特徴とする請求項20に記載の表示装置。
【請求項22】
第3駆動トランジスタ、第3初期化トランジスタ、第3アノード初期化トランジスタ、及び前記第1色及び前記第2色と異なる第3色で発光し、第3アノード及び第3カソードを有する第3発光ダイオードを含む第3画素回路をさらに含み、
第3アノード初期化電圧は前記第3アノード初期化トランジスタを介して前記第3アノードに印加され、
前記第3アノード初期化電圧は前記第1アノード初期化電圧と同じであることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項23】
第1電圧を提供する第1電圧源と、
前記第1電圧と異なる第2電圧を提供する第2電圧源と、
タイミング制御部と、
第1データ線及び前記第1データ線と異なる第2データ線に接続されたデータ駆動部と、
画素部と、を含み、
前記画素部は、
第1駆動トランジスタ、第1初期化トランジスタ、第1アノード初期化トランジスタ、及び第1色で発光し、第1アノード及び第1カソードを有する第1発光ダイオードを含み、前記第1データ線に接続された第1画素回路と、
第2駆動トランジスタ、第2初期化トランジスタ、第2アノード初期化トランジスタ、及び前記第1色と異なる第2色で発光し、第2アノード及び第2カソードを有する第2発光ダイオードを含み、前記第2データ線に接続された第2画素回路と、を含み、
前記第1電圧は前記第1アノード初期化トランジスタを介して前記第1アノードに印加され、前記第2電圧は前記第2アノード初期化トランジスタを介して前記第2アノードに印加され、
前記第1カソード及び前記第2カソードに共通して印加されるカソード電圧は前記第1電圧より小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項24】
前記第1電圧は前記第2電圧より小さいことを特徴とする請求項23に記載の表示装置。
【請求項25】
前記第1初期化トランジスタを介して前記第1駆動トランジスタに第3電圧が印加され、
前記第2初期化トランジスタを介して前記第2駆動トランジスタに第4電圧が印加され、
前記第4電圧は前記第3電圧と同じであることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項26】
第1走査線と、
前記第1走査線と異なる第2走査線と、をさらに含み、
前記第1初期化トランジスタ及び前記第2初期化トランジスタは前記第1走査線に接続され、
前記第1アノード初期化トランジスタ及び前記第2アノード初期化トランジスタは前記第2走査線に接続されたことを特徴とする請求項23に記載の表示装置。
【請求項27】
前記第2走査線に第2走査信号を印加する前に前記第1走査線に第1走査信号を印加することを特徴とする請求項26に記載の表示装置。
【請求項28】
前記第1電圧源及び前記第2電圧源の少なくとも1つは前記画素部の下段に位置することを特徴とする請求項23に記載の表示装置。
【請求項29】
第3駆動トランジスタ、第3初期化トランジスタ、第3アノード初期化トランジスタ、及び前記第1色及び前記第2色と異なる第3色で発光し、第3アノード及び第3カソードを有する第3発光ダイオードを含む第3画素回路をさらに含み、
前記第3アノード初期化トランジスタを介して前記第3アノードに第5電圧が印加され、
前記第5電圧は前記第1電圧と同じであることを特徴とする請求項23に記載の表示装置。