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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090521
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 61/02 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A01B61/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206480
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】河本 拓也
【テーマコード(参考)】
2B041
【Fターム(参考)】
2B041AA13
2B041AB05
2B041AC07
2B041CA03
2B041CA16
2B041EC10
2B041HA02
2B041HA13
2B041HA24
2B041HA28
2B041HA29
(57)【要約】
【課題】農作業機の駆動状態を適切に報知すること。
【解決手段】農作業機は、伝達された動力によって駆動する伝動装置と、前記伝動装置の動きを検出するセンサと、前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、前記センサの信号に基づいて前記伝動装置が停止又は動作していることを報知手段に報知させる制御部と、を備える。前記制御部は、前記作業部を動作させる指示が入力されている、又は、作業部が動作していると推測される状態であるにも拘わらず前記作業部に動力が伝達されていない場合に前記報知手段に報知させてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝達された動力によって駆動する伝動装置と、
前記伝動装置の動きを検出するセンサと、
前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、
前記センサの信号に基づいて前記伝動装置が停止していることを報知手段に報知させる制御部と、を備えた農作業機。
【請求項2】
伝達された動力によって駆動する伝動装置と、
前記伝動装置の動きを検出するセンサと、
前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、
前記センサの信号に基づいて前記伝動装置が動作していることを報知手段に報知させる制御部と、を備えた農作業機。
【請求項3】
前記制御部は、前記作業部を動作させる指示が入力されている、又は、作業部が動作していると推測される状態であるにも拘わらず前記作業部に動力が伝達されていない場合に前記報知手段に報知させる、請求項1又は2に記載の農作業機。
【請求項4】
前記制御部は、前記センサの信号に基づいて、前記作業部を牽引する走行機体の減速又は停止の指示を報知手段に報知させる、請求項1又は2に記載の農作業機。
【請求項5】
前記報知手段は、前記作業部を操作するコントローラである、請求項1又は2に記載の農作業機。
【請求項6】
前記報知手段は、通信端末である、請求項1又は2に記載の農作業機。
【請求項7】
前記伝動装置は、駆動スプロケット及び従動スプロケットを含み、
前記センサは、前記駆動スプロケットの歯面を検出する、請求項1又は2に記載の農作業機。
【請求項8】
伝達された動力によって駆動する伝動装置と、
前記伝動装置の動きを検出するセンサと、
前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、
前記センサの信号に基づいて、前記作業部を牽引する走行機体に前記伝動装置の状態を知らせる信号を送信する制御部と、を備えた農作業機。
【請求項9】
伝達された動力によって駆動する伝動装置と、
前記伝動装置の動きを検出するセンサと、
前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、
前記センサの信号に基づいて、前記作業部を牽引する走行機体に、前記作業部の少なくとも一部の動作を停止する、走行機体の走行速度を減速する、又は前記走行機体の走行を停止するための信号を送信する制御部と、を備えた農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農作業機に関する。特に、作業部に動力を伝達する伝動装置を備えた農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
伝動装置を備えた農作業機において、伝動装置に過剰な負荷がかかった場合に当該装置が破損することを抑制するために、伝動装置を停止する安全機構が備えられている。例えば、巻掛伝動装置の場合、駆動スプロケットの軸部と歯車部とがシャーボルトによって固定されるなどの安全機構が採用されている。このような安全機構によって、巻掛伝動装置に過剰な負荷がかかった場合にシャーボルトが破断することによって巻掛伝動装置全体が破損することが抑制される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-168626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シャーボルトが破断し、巻掛伝動装置の動作が停止しても、走行機体のエンジン音や、走行機体が圃場を走行する際に発生するや振動の影響でそれに気付かない場合がある。巻掛伝動装置の動作が停止した状態で走行機体が農作業機を牽引し続けると、農作業機や、農作業機と走行機体等を連結している部分など、特定の部材に強い負荷がかかって破損する恐れがある。このような不具合は巻掛伝動装置に限らず、他の伝動装置を備えた農作業機でも起こりうる。つまり、巻掛伝動装置以外の伝動装置が破損し、作業機の動作が停止している状態で、走行機体が農作業機を牽引し続けると、走行機体が巻掛伝動装置の動作が停止している農作業機を牽引している場合と同様、農作業機や、農作業機と走行機体等を連結している部分など、特定の部材に強い負荷がかかって破損する恐れがある。すなわち、伝動装置を備えた農作業機全般で、同様の不具合が起こりうる。したがって、農作業機に備えられた伝動装置の駆動状態を作業者に報知する必要がある。
【0005】
また、農作業機が自動化された場合、農作業機を制御する制御装置は、農作業機の駆動状態に応じて各種機能を実行又は停止する必要がある。したがって、このような場合においても、農作業機に備えられた伝動装置の駆動状態を制御装置に報知する必要がある。
【0006】
本発明に係る一実施形態は、農作業機の駆動状態を適切に報知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る農作業機は、伝達された動力によって駆動する伝動装置と、前記伝動装置の動きを検出するセンサと、前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、前記センサの信号に基づいて前記伝動装置が停止していることを報知手段に報知させる制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係る農作業機は、伝達された動力によって駆動する伝動装置と、前記伝動装置の動きを検出するセンサと、前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、前記センサの信号に基づいて前記伝動装置が動作していることを報知手段に報知させる制御部と、を備える。
【0009】
前記制御部は、前記作業部を動作させる指示が入力されている、又は、作業部が動作していると推測される状態であるにも拘わらず前記作業部に動力が伝達されていない場合に前記報知手段に報知させてもよい。
【0010】
前記制御部は、前記センサの信号に基づいて、前記作業部を牽引する走行機体の減速又は停止の指示を報知手段に報知させてもよい。
【0011】
前記報知手段は、前記作業部を操作するコントローラであってもよい。
【0012】
前記報知手段は、通信端末であってもよい。
【0013】
前記伝動装置は、駆動スプロケット及び従動スプロケットを含み、前記センサは、前記駆動スプロケットの歯面を検出してもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る農作業機は、伝達された動力によって駆動する伝動装置と、前記伝動装置の動きを検出するセンサと、前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、前記センサの信号に基づいて、前記作業部を牽引する走行機体に前記伝動装置の状態を知らせる信号を送信する制御部と、を備える。
【0015】
本発明の一実施形態に係る農作業機は、伝達された動力によって駆動する伝動装置と、前記伝動装置の動きを検出するセンサと、前記伝動装置を介して伝達された動力に基づいて作業を行う作業部と、前記センサの信号に基づいて、前記作業部を牽引する走行機体に、前記作業部の少なくとも一部の動作を停止する、走行機体の走行速度を減速する、又は前記走行機体の走行を停止するための信号を送信する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る一実施形態によって、農作業機の駆動状態を適切に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における農作業機の構成を示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態における農作業機の構成を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態における農作業機の構成を示す背面図である。
図4】本発明の一実施形態における農作業機の伝動装置の構成を示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態における農作業機の信号伝達経路の構成を示す概念図である。
図6】本発明の一実施形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態における制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の農作業機の実施形態について説明する。以下の実施形態では、伝動装置を備えた農作業機として、草刈り作業部をオフセット移動可能な草刈り機について説明する。ただし、本発明の農作業機は、草刈り機に限定されず、多様な農作業機について適用することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下の実施形態では、伝動装置として巻掛伝動装置を例示して説明するが、本発明の伝動装置は巻掛伝動装置に限定されない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
また、説明の便宜上、上方、下方、前方、後方、右方、左方といった方向を示す語句を用いるが、農作業機を圃場に置いた状態で重力の働く方向が下方であり、その逆が上方である。また、走行機体の進行する方向が前方であり、その逆が後方である。さらに、前方に向かって、右側が右方であり、左側が左方である。
【0020】
なお、以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0021】
[1.第1実施形態]
[1-1.農作業機の構成]
第1実施形態に係る農作業機100の構成について、図1~3を用いて説明する。図1は、第1実施形態の農作業機100の構成を示す平面図である。図2は、第1実施形態の農作業機100の構成を示す側面図である。図3は、第1実施形態の農作業機100の構成を示す背面図である。
【0022】
本実施形態における農作業機100は、装着部10、オフセット機構部20、動力伝達部30(伝動装置に相当)及び作業部40を備えている。具体的には、農作業機100は、トラクタ等の走行機体200に対して装着部10によって連結される。装着部10と作業部40とは、オフセット機構部20及び動力伝達部30を介して連結される。これにより、走行機体200の走行に従って農作業機100が牽引され、作業部40による農作業が行われる。
【0023】
装着部10は、トラクタ等の走行機体200の2つの後方タイヤ210の間に設けられた三点リンク機構220に対して連結される。三点リンク機構220は、通常、トップリンク、リフトロッド及びロワーリンクで構成される。三点リンク機構220は、公知の機構であるため、ここでの説明は省略する。
【0024】
装着部10は、走行機体200の幅方向である左右方向に延びるヒッチフレーム11を備える。ヒッチフレーム11は、走行機体200の後部に設けられた三点リンク機構220に連結可能に構成されている。ヒッチフレーム11の中央下部にはギアボックス(図示せず)が設けられ、このギアボックスに走行機体200から動力を受ける入力軸(図示せず)が設けられている。入力軸は、走行機体200に設けられたPTO軸230からユニバーサルジョイント(図示せず)を介して動力が伝達される構成を備えている。なお、当該ギアボックスを伝動装置という場合がある。本実施形態において、動力が伝達される方向における当該入力軸の下流側(入力軸に対して動力伝達部30に近い側)に設けられた動力伝達機構を伝動装置ということができる。例えば、ユニバーサルジョイントを伝動装置という場合がある。
【0025】
オフセット機構部20は、作業部40のオフセット移動を行うための機構である。具体的には、オフセット機構部20は、作業部40を、走行機体200の進行方向に対して側方にオフセットした位置に移動させることができる。本実施形態のオフセット機構部20は、オフセットフレーム21(図2及び図3にのみ図示)、リンクロッド22、支持フレーム23及び伸縮部材24を有する。
【0026】
図2及び図3に示すように、オフセットフレーム21は、筒状部材で構成される長尺のフレームであり、動力伝達部30の下方に配置される。オフセットフレーム21の一端は、ヒッチフレーム11に対して水平面上で回動可能に連結され、他端は、支持フレーム23に連結される。
【0027】
リンクロッド22は、筒状部材で構成される長尺の部材であり、オフセットフレーム21と同程度の長さを有する。リンクロッド22の一端は、ヒッチフレーム11に対して水平面上で回動可能に連結され、他端は、支持フレーム23に連結される。なお、ヒッチフレーム11上におけるオフセットフレーム21とリンクロッド22の連結位置は、異なる位置である。
【0028】
支持フレーム23は、筒状部材で構成される短尺の部材であり、オフセットフレーム21とリンクロッド22とを相互に連結する部材である。支持フレーム23に対し、オフセットフレーム21及びリンクロッド22は、共に回動可能に連結される。また、支持フレーム23は、ヒッチフレーム11に対して略平行に配置される。
【0029】
以上の構成により、ヒッチフレーム11、オフセットフレーム21、リンクロッド22及び支持フレーム23は、それぞれを各辺とする平行四辺形のリンク機構を構成する。このリンク機構により、オフセット機構部20は、作業部40をオフセット移動させることができる。
【0030】
伸縮部材24は、オフセット機構部20の動力源(アクチュエータ)であり、例えばガスシリンダ、油圧シリンダ等で構成される。伸縮部材24の一端は、ヒッチフレーム11に連結され、他端は、オフセットフレーム21の後方側(例えば、支持フレーム23との連結部分の付近)に連結される。伸縮部材24の伸縮により、オフセット機構部20が駆動され、作業部40のオフセット量(オフセット方向への移動量)を制御することができる。
【0031】
動力伝達部30は、走行機体200から装着部10の入力軸(図示せず)に伝達された動力によって駆動し、当該動力を作業部40に伝達するための伝動装置である。本実施形態の農作業機100は、動力伝達部30として巻掛伝動装置が用いられている。具体的には、動力伝達部30は、駆動スプロケット31、従動スプロケット32及びローラーチェーン33を有する。ローラーチェーン33は、駆動スプロケット31及び従動スプロケット32に巻き掛けられた構成である。従動スプロケット32は駆動スプロケット31と類似の構成を備えている。
【0032】
駆動スプロケット31は、入力軸から伝達された動力によって回転する。従動スプロケット32は、駆動スプロケット31からローラーチェーン33を介して伝達された回転動力によって受動的に回転する。ローラーチェーン33は、動力などを張力として伝達する機械要素である。動力伝達部30の構成についての詳細は、後述する。
【0033】
作業部40は、実際に草刈り作業を行う部位であり、作業ローター41、ローターカバー42、2枚の側板43及び刈刃駆動部44を有する。作業部40は、動力伝達部30を介して伝達された動力に基づいて作業ローター41を駆動することにより草刈り作業を行う。
【0034】
作業ローター41は、側板43の間に配置された回転軸41a及び回転軸41aに放射状に複数設けられた刈刃41bを含む。回転軸41aは、走行機体200の進行方向に対して直交する水平方向に設けられる。作業ローター41は、回転軸41aを回転させて刈刃41bにより雑草等を刈り取る。
【0035】
ローターカバー42は、作業ローター41を覆って配置されるカバー部材である。ローターカバー42は、刈刃41bによって刈り取られた雑草、雑草に付着する土、作業面(地表面)に落ちている小石などの飛散を防止すると共に、刈り取られた雑草を再び刈刃41bに戻し、細かく破砕する効果を有する。
【0036】
側板43は、ボールベアリング等を介して回転軸41aを回転可能に支持すると共に、ローターカバー42を支持する。本実施形態では、左方の側板43に対して刈刃駆動部44が設けられている。
【0037】
刈刃駆動部44は、走行機体200から動力伝達部30を介して伝達された回転動力を、作業ローター41の回転軸41aに伝達する。本実施形態の刈刃駆動部44は、巻掛伝動装置である。図2に示されるように、刈刃駆動部44は、駆動プーリー44a、従動プーリー44b、ベルト44c及びテンショナー44dを含む。ベルト44cは、駆動プーリー44aと従動プーリー44bとの間に巻き掛けられている。テンショナー44dは、駆動プーリー44aから従動プーリー44bに向かってベルト44cが押し出される側に配置され、ベルト44cの内側から外側に向かって張力を与えている。
【0038】
上述した構造の刈刃駆動部44では、駆動プーリー44aが動力伝達部30から伝達された回転動力により回転し、ベルト44cを介して従動プーリー44bへ回転動力を伝達する。従動プーリー44bは、駆動プーリー44aから与えられた回転動力を回転軸41aに伝達し、作業ローター41を駆動する。
【0039】
[1-2.動力伝達部の構成]
本実施形態の農作業機100に用いる動力伝達部30の構成について図4を用いて説明する。図4は、第1実施形態の農作業機100が備える動力伝達部30の構成を示す平面図である。図4に示すように、駆動スプロケット31は、軸部311及び歯車部312を備える。当該軸部311及び歯車部312はシャーボルト301等によって固定されているため、走行機体200からの動力によって、軸部311が歯車部312とともに回転する。本実施形態では、駆動スプロケット31だけにシャーボルト301が設けられている。ただし、従動スプロケット32にシャーボルトが設けられていてもよい。
【0040】
図4に示すように、本実施形態では、駆動スプロケット31に隣接する(臨む又は対面する)位置にセンサ39が設けられている。具体的には、センサ39は、駆動スプロケット31の歯車部312の側面(歯面)と対向する位置に設けられる。センサ39として、例えば近接センサが用いられる。センサ39は動力伝達部30の動きを検出する。具体的には、センサ39は駆動スプロケット31の歯車部312の歯面の接近を検出することにより、動力伝達部30の動きを検出する。駆動スプロケット31が動作(回転)する場合、歯車の凹凸を反映して当該歯面とセンサ39との位置は変動する。この位置の変動の有無によって、駆動スプロケット31が回転しているか否かを検出することができる。
【0041】
本実施形態では、センサ39が駆動スプロケット31の回転を検出する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、センサ39は、従動スプロケット32の回転、ローラーチェーン33の移動を検出するセンサであってもよい。この場合、センサ39は、従動スプロケット32の歯面又はローラーチェーン33に対向する位置に設けられる。又は、センサ39は、駆動スプロケット31、従動スプロケット32及びローラーチェーン33の動作によって発生する振動又は音を検出するセンサであってもよい。例えば、このようなセンサが下記のテンショナー34a及び34bの少なくともいずれかに設けられていてもよい。又は、農作業機100の入力軸から作業ローター41の回転軸41aまでの間の動力伝達経路のいずれかに、上記と同様の機能を備えたセンサが設けられてもよい。例えば、センサ39が刈刃駆動部44に設けられていてもよい。具体的には、センサ39が駆動プーリー44a、従動プーリー44bの回転、又はベルト44cの移動を検出する構成であってもよい。
【0042】
上記の他にも、センサ39の代わりにトルクセンサが用いられてもよい。トルクセンサは、トルクが発生する部位であれば動力伝達部30のどの部位に設置してもよい。また、トルクセンサにより、PTO軸230のトルクを測定する構成とすることも可能である。トルクセンサが用いられた場合、トルクがあらかじめ定めた所定の閾値を超えた場合に、制御部110は、上記の動力伝達経路に異常が発生したと判定してもよい。
【0043】
駆動スプロケット31と従動スプロケット32との間には、ローラーチェーン33が巻き掛けられている。なお、ローラーチェーン33の一部は、点線で省略されている。ここで、ローラーチェーン33のうち、駆動スプロケット31から従動スプロケット32に向けて移動する部分は、駆動スプロケット31によって押されている部分である。説明の便宜上、本明細書では、この部分を弛み側33aと呼ぶ。また、ローラーチェーン33のうち、従動スプロケット32から駆動スプロケット31に向けて移動する部分は、駆動スプロケット31によって引っ張られている部分である。
【0044】
本実施形態の動力伝達部30は、さらに、ローラーチェーン33の弛み側33aの外側に配置されたテンショナー34aと、ローラーチェーン33の弛み側33aの内側に配置されたテンショナー34bを有する。なお、ここでいう外側とは、環状をなすローラーチェーン33の外側(ローラーチェーン33で囲まれていない領域)であり、内側とはローラーチェーン33の内側である。
【0045】
テンショナー34aは、弾性部材35の弾性力により引っ張られ、ローラーチェーン33に対して外側から内側に向けて張力を与える。本実施形態では、弾性部材35として引っ張りコイルバネを用いるが、他のバネ部材を用いてもよい。
【0046】
テンショナー34bは、動力が伝達される方向におけるテンショナー34aの上流側(すなわち、駆動スプロケット31に近い側)に配置される。テンショナー34bの位置は固定であり、ローラーチェーン33の軌道を固定するガイド部材として機能する。したがって、テンショナー34aがローラーチェーン33に対して外側から内側に向けて張力を与えることにより、相対的にテンショナー34bは、ローラーチェーン33に対して内側から外側に向けて張力を与える。
【0047】
このように、本実施形態では、テンショナー34a及びテンショナー34bを用いてローラーチェーン33に対して張力を与えることにより、動力伝達時のローラーチェーン33の弛みを防止し、回転動力を効率的に伝達することができる。なお、テンショナー34a及び34bは必須の構成ではなく、省略することも可能であるし、テンショナー34aのみ設けた構成としてもよい。
【0048】
以上説明した駆動スプロケット31、従動スプロケット32、ローラーチェーン33、テンショナー34a、テンショナー34b、弾性部材35及びセンサ39は、チェーンケース36の内部に収納され、その外側をチェーンカバー37に覆われる。動力伝達部30は、オフセットフレーム21の上部に装着された支持部材(図示せず)の上に配置され、オフセットフレーム21と共に移動する。つまり、本実施形態では、動力伝達部30が、オフセット機構部20の一部を構成しているとも言える。
【0049】
図1及び図4に示すように、本実施形態の農作業機100は、走行機体200から入力された動力をチェーン駆動方式で作動する動力伝達部30を介して作業部40へと伝達する。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態における農作業機の信号伝達経路の構成を示す概念図である。図5に示すように、センサ39は取付部材391によってチェーンケース36の内部に固定されている。なお、図5では、駆動スプロケット31の周辺におけるチェーンケース36の一部が取り外されている。取付部材391はL字型の部材である。ただし、取付部材391は上記の形状に限定されず、その他の形状であってもよい。ケーブル392はセンサ39に接続されている。ケーブル392は、チェーンケース36の内から外に引き出され、制御部110に接続されている。
【0051】
なお、センサ39にマイコン等の電子部品が接続されており、当該マイコンから動力伝達部30が正常に動作しているか否かの信号が制御部110に出力されてもよい。
【0052】
制御部110は、有線又は無線で通信機器300(報知手段に相当)に接続される。通信機器300は、例えば農作業機用リモコン(少なくとも作業部40を操作するコントローラ)、農作業機の作業者が保有するスマートフォンもしくはタブレット端末等の通信端末、又は走行機体に設けられた制御装置等である。農作業機100が自走式の農作業機である場合、農作業機を操作等する通信機器300等を備えてもよいが、当該通信機器300は必ずしも設けなければならないものではない。また、後述するように、当該通信機器300はその機能が制御部110の構成に含まれるような構成としてもよい。なお、自走式の農作業機とは、トラクタ等の走行機体200に牽引されることで走行する農作業機ではなく、例えば、作業部の前後左右にタイヤ等の駆動部が設けられ、制御部110によって走行が制御される農作業機を意味する。
【0053】
制御部110は、例えばヒッチフレーム11上の制御ボックス(図示せず)内に設けられ、作業者のリモコン操作によって送信された作業指示を受け付け、当該作業指示に従って農作業機100の動作を制御する。なお、通信機器300には、「入/切」ボタン、「上」、「下」、「左」及び「右」ボタンが設けられている。「入/切」ボタンを押すことで、通信機器300の電源をON、またはOFFすることができる。「上」ボタン及び「下」ボタンは、作業部40のチルトを上下方向に移動させるボタンである。「左」ボタン及び「右」ボタンは、作業部40のオフセットを左右方向に移動させるボタンである。
【0054】
通信機器300は、報知部310を備える。通信機器300は、報知部310のランプ等の表示機能によって動力伝達部30が停止していることを報知する。ただし、報知部310は、この構成に限定されない。例えば、通信機器300がスマートフォン等のように、自由度が高い表示機能を備えた装置である場合、報知部310は、文字、記号、及びイラストを用いた静止画表示又は動画表示によって動力伝達部30の停止を報知してもよい。又は、報知部310は、作業者の視覚を通して報知する手段だけでなく、作業者の聴覚や触覚を通して報知する手段であってもよい。例えば、報知部310は、ブザー等の発音機器であってもよく、バイブレータ等の振動機器であってもよい。又は、これらの機能が組み合わされた機器が報知部310として用いられてもよい。
【0055】
なお、農作業機100が自走式の農作業機である場合、制御部110が動力伝達部30の停止をセンサ39に基づいて検出したときに、農作業機100全体もしくはその一部の動作を停止する機能部や農作業機100の走行速度を減速するもしくは当該走行を停止する機能部を制御部110に設けることも可能である。上記の機能部は、センサ39に基づく動力伝達部30の停止の検出をトリガとして、農作業機100の全体もしくはその一部の動作を停止する、又は農作業機100の走行の減速又は停止を実行させる。なお、自走式の農作業機100が通信機器300等を備えている場合には、上記の機能部を、報知部310と併せて設けてもよいし、報知部310に代えてこれら機能部を設けてもよい。
【0056】
また、走行機体200が農作業機100(作業部40)を牽引しながら走行する場合、制御部110が動力伝達部30の停止をセンサ39に基づいて検出したときに、制御部110は、動力伝達部30の状態を知らせる信号、又は、農作業機100もしくは走行機体200を制御するための信号を走行機体200に送信してもよい。前者の信号は、例えば、動力伝達部30が停止していること又は動作していることを走行機体200に報知する信号であってもよい。後者の信号は、例えば、農作業機100の少なくとも一部の動作を停止するための信号、走行機体200の走行速度を減速するための信号、又は走行機体200の走行を停止するための信号であってもよい。これらの信号は、走行機体200が各種動作を実行するトリガとして用いられる信号であってもよく、走行機体200に各種動作を実行させる信号であってもよい。制御部110がセンサ39に基づく動力伝達部30の停止の検出し、上記の信号を走行機体200に送信すると、走行機体200は、この信号の受信をトリガに、例えば、農作業機100の状態を走行機体200の報知手段で報知させると共に走行を停止させる、といった一連の制御を実行する。
【0057】
本実施形態では、駆動スプロケット31は、軸部311と歯車部312とがシャーボルト301によって固定されている。軸部311は、装着部10の入力軸から動力伝達部30に伝達された動力によって回転し、それに伴い、軸部311とともに歯車部312が回転する。一方、歯車部312の回転に対して過剰な負荷がかかった状態で軸部311が回転しようとすると、シャーボルト301が破断し、軸部311と歯車部312との固定が解除される。このようにシャーボルト301が破断されると、軸部311は回転しているが歯車部312が回転しない、という状態になり得る。この場合、PTO軸230から上記入力軸に動力が伝達されているにも拘わらず動力伝達部30は停止する。なお、軸部311には、軸部311と歯車部312とを接続するための貫通孔302が複数設けられている。図5では、複数の貫通孔302のうち、1つの貫通孔302にのみシャーボルト301が設けられた構成が例示されているが、全ての貫通孔302にシャーボルト301が設けられていてもよい。
【0058】
[1-3.報知動作]
図6は、本発明の一実施形態における制御部110の動作を示すフローチャートである。図6に示すように、制御部110は、センサ39の信号に基づいて動力伝達部30が駆動しているか否かを判定する(S601)。動力伝達部30が駆動している、と制御部110が判定した場合(S601の「Yes」)、再度S601に戻り、繰り返し動力伝達部30の駆動判定が行われる。一方、動力伝達部30が停止している、と制御部110が判定した場合(S601の「No」)、制御部110は、報知手段310に報知させる(S602)。換言すると、S602において、制御部110は、後述する通信機器300に動力伝達部30が停止していることを報知させるための制御を行う。
【0059】
図5に示す構成を用いた場合のS601の判定について説明する。センサ39は、歯車の凹凸を反映した信号を生成し、当該信号を制御部110に送信する。歯車が回転している場合、センサ39はその凹凸に応じて強度が変動した信号を出力する。一方、歯車が回転していない場合、センサ39と歯面との距離は変化しないため、センサ39が出力する信号強度は変動しない。又は、歯車部312が軸部311の回転と連動しないため、信号強度が変動する周期が長くなる又は不規則になる。制御部110は、このようなセンサ39から出力される信号の違いを解析して、動力伝達部30が正常に動作しているか否かを判定する。
【0060】
図5に示す構成を用いた場合のS602の報知について説明する。制御部110は、センサ39の信号に基づいて動力伝達部30が停止していると判定した場合に、通信機器300に動力伝達部30が停止していることを報知させるための制御を行う。
【0061】
なお、通信機器300に動力伝達部30が停止していることを報知させるための制御は、動力伝達部30が停止していることを、作業者が通信機器300を介して認識できる制御であればよく、本実施形態では、通信機器300に報知部310として設けられたランプを点灯又は点滅させるための制御を行う。
【0062】
具体的には、制御部110は、センサ39の信号に基づいて動力伝達部30が停止していることを報知する報知信号を生成し、通信機器300に当該報知信号を送信してもよいし、制御部110が、動力伝達部30が動作していることを示す信号(動作信号)を通信機器300に送信している構成では、センサ39の信号に基づいて当該動作が停止していることを示す信号(停止信号)に切り替えてもよいし、当該動作信号の出力を停止してもよい。
【0063】
なお、上記の切り替えのために用いられる信号や出力を停止するための信号を報知信号ということもできる。この場合、制御部110は、報知信号を生成することによって動作信号を停止信号に切り替えたり、動作信号の出力を停止したりする、ということができる。
【0064】
そして、通信機器300は、報知信号、停止信号の受信や、動作信号の受信ができなくなったことを検出し、報知部310として設けられたランプを点灯又は点滅させるための制御を行う。
【0065】
また、制御部110は、センサ39の信号に基づいて動力伝達部30が動作していると判定した場合に、通信機器300に動力伝達部30が動作していることを報知させるための制御を行ってもよい。この場合、センサ39の信号に基づいて動力伝達部30が停止していると判定した場合に、通信機器300に動力伝達部30が動作していることを報知するための制御を停止することになる。そのため、動力伝達部30が停止していると、通信機器300の報知部310による報知が停止するので、作業者は、通信機器300の報知部310による報知の停止により、動力伝達部30の動作が停止していることを認識することが可能になる。
【0066】
なお、通信機器300に動力伝達部30が動作していることを報知させるための制御は、動力伝達部30が動作していることを、作業者が通信機器300を介して認識できる制御であればよく、本例では、通信機器300に報知部310として設けられたランプを点灯又は点滅させるための制御を行う。
【0067】
具体的には、制御部110は、センサ39の信号に基づいて動力伝達部30が動作していることを報知する報知信号を生成し、通信機器300に当該報知信号を送信してもよいし、制御部110が、動力伝達部30が停止していることを示す信号(停止信号)を通信機器300に送信している構成では、センサ39の信号に基づいて当該動作していることを示す信号(動作信号)に切り替えてもよいし、当該停止信号の出力を停止してもよい。
【0068】
なお、上記の切り替えのために用いられる信号や出力を停止するための信号を報知信号ということもできる。この場合、制御部110は、報知信号を生成することによって停止信号を動作信号に切り替えたり、停止信号の出力を停止したりする、ということができる。
【0069】
そして、通信機器300は、報知信号、動作信号の受信や、停止信号の受信ができなくなったことを検出し、報知部310として設けられたランプを点灯又は点滅させるための制御を行う。
【0070】
なお、前述した通り、動力伝達部30が停止していると、通信機器300の報知部310による報知が停止するため、作業者は、通信機器300を介して、動力伝達部30が停止していることを認識することができる。
【0071】
制御部110は、センサ39の信号に基づいて、通信機器300に、走行機体200の減速又は停止の指示を報知させる制御を行ってもよい。制御部110は、通信機器300に報知手段310として、動力伝達部30の停止を示す報知手段とは別に備えられた減速指示ランプ又は停止指示ランプを点灯又は点滅させてもよい。又は、制御部110は、スマートフォン等の通信端末に減速指示又は停止指示のメッセージを表示させる制御を行ってもよい。
【0072】
なお、走行機体200の減速又は停止の指示を報知させる制御、スマートフォン等の通信端末に減速指示又は停止指示のメッセージを表示させる制御とは、走行機体200の減速又は停止をする必要があることを、作業者が通信機器300やスマートフォン等の通信端末を介して認識できる制御であればよい。
【0073】
また、上記のように、通信機器300に報知手段310とは別に減速指示ランプ又は停止指示ランプが設けられた構成に限定されず、報知手段310に代えて、減速指示ランプ又は停止指示ランプが設けられた構成であってもよい。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る農作業機100によると、動力伝達部30が停止した際に、作業者に、動力伝達部30が停止していることを、通信機器300やスマートフォン等の通信端末を介して認識させることができる。当該作業者は、動力伝達部30が停止していることを認識すると、速やかに作業を中断し、農作業機100の復旧作業を開始することができ、農作業機100や、農作業機100と走行機体200等を連結している部分の破損を抑制することができる。
【0075】
なお、農作業機100が自動復帰型の安全装置を備えている場合にも、本実施形態を適用することができる。自動復帰型の安全装置とは、例えば農作業機100の入力軸から作業ローター41の回転軸41aまでの間の動力伝達経路に、トルクリミッターやクラッチ等が設けられた装置であり、過負荷等、動力の伝達を阻害する現象が発生した場合、発生したことを検出した場合、前記動力伝達経路を途中で遮断する装置である。
【0076】
自動復帰型の安全装置を備えた農作業機100に本実施形態を適用した場合、動力伝達部30において動力の伝達が再開され、上記の現象が解消した場合、すなわち、制御部110がセンサ39に基づいて動力伝達部30が停止していない(駆動している)と判定した場合、動力伝達部30が停止していることを報知させるための制御を停止したり、動力伝達部30が動作していることを報知させるための制御を再開したり、走行機体200の減速又は停止の指示を報知させる制御を停止したりしてもよい。なお、この場合、センサ39は、動力が伝達される方向における上記安全装置の下流側に設けられる。
【0077】
また、安全装置としてのクラッチの状態を検出するセンサを備え、当該センサの信号に基づいて、動力伝達部30が停止していることを報知させるための制御を行ったり当該制御を停止したり、動力伝達部30が動作していることを報知させるための制御を停止したり当該制御を再開したり、走行機体200の減速又は停止の指示を報知させる制御を行ったり当該制御を停止したりしてもよい。
【0078】
さらに、PTO軸230のトルクを測定するトルクセンサを備え、トルクが閾値を超えた場合に、制御部110は、上記の動力伝達経路に異常が発生したとして、走行機体200の減速又は停止の指示を報知させる制御をしてもよい。
【0079】
[2.第2実施形態]
第2実施形態に係る農作業機100の構成について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態における制御部110の動作を示すフローチャートである。第2実施形態に係る報知動作は、動力伝達部30が停止している、と制御部110が判定した後に、動力伝達部30の停止が正常な停止か否かを判定する点において、第1実施形態に係る動作と異なる。
【0080】
図7のS701及びS703のステップは、図6のS601及びS602のステップと同じなので、説明を省略する。図7のフローチャートでは、S701で動力伝達部30が停止している、と制御部110が判定した場合(S701の「No」)、作業部40が「動作状態」か否かの判定が行われる。作業部40が動作状態である、と制御部110が判定した場合(S702の「Yes」)、制御部110は、報知手段310に報知させる(S703)。換言すると、S703において、制御部110は、通信機器300の報知部310に報知させるための制御を行う。一方、作業部40が動作状態ではない、と制御部110が判定した場合(S702の「No」)、再度S701に戻り、繰り返し動力伝達部30の駆動判定が行われる。なお、作業部40が「動作状態」か否かの判定を行い、「動作状態」である場合に、動力伝達部30が駆動しているか否かを判定してもよい。
【0081】
ここで、動作状態とは、農作業機100又は走行機体200に設けられたGPS等を利用して、農作業機100が圃場内を移動している状態、農作業機100の接地部材(耕耘作業機であれば、エプロンやレベラ)が上下動している状態、走行機体200が三点リンク機構220を下方に降ろしている状態、入力軸がPTO軸230からの動力が伝達されて回転している状態、走行機体200のエンジンからの動力がPTO軸に伝達されていることを示す信号を農作業機100が受信している状態等、農作業機100が農作業を行っていると推測される状態であればよい。制御部110は、上記の複数の状態のうちいずれか一の状態である場合に動作状態であると判定してもよく、上記の複数の状態のうち2以上の状態である場合に動作状態であると判定してもよい。
【0082】
上記の構成を換言すると、S702において、作業部40が動作していると推測される状態であるにも拘わらず、作業部40に動力が伝達されていない場合に、制御部110は、S703において、通信機器300の報知部310に報知させる制御を行う。
【0083】
なお、通信機器300の報知部310に報知させる制御とは、第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0084】
また、制御部110は、農作業機100が農作業を行っていると推測される状態である場合に、センサ39の信号に基づいて動力伝達部30が動作していると判定している場合、通信機器300の報知手段310に動力伝達部30が動作していることを報知させるための制御を行ってもよい。この場合、農作業機100が農作業を行っていると推測される状態であるにもかかわらず、センサ39の信号に基づいて動力伝達部30が停止していると判定した場合(動力伝達部30の停止が正常な停止ではないと判定した場合)に、通信機器300に動力伝達部30が動作していることを報知するための制御を停止することになる。そのため、動力伝達部30の停止が正常な停止ではない場合、通信機器300による報知が停止するので、作業者は、通信機器300による報知の停止により、動力伝達部30が異常停止していることを認識することが可能になる。
【0085】
なお、通信機器300の報知部310に動力伝達部30が動作していることを報知させるための制御は、前述の構成と同様であるため、説明は省略する。
【0086】
なお、本実施形態でも、第1実施形態と同様、農作業機100が自動復帰型の安全装置を備えている場合にも、本実施形態を適用することができる。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る農作業機100によると、動力伝達部30が停止していることが検出された際に、正常な動作によって停止したのか動作異常によって停止したのかを判定することで、より正確な農作業機100の駆動状態を、作業者に、通信機器300やスマートフォン等の通信端末を介して認識させることができる。なお、上記の実施形態では、駆動スプロケット31に設けられたシャーボルト301が破断することによって伝動装置が停止した場合、及び自動復帰型の安全装置の機能によって伝動装置が停止した場合に、制御部110が上記の報知に係る制御を行う構成を例示したが、本発明は上記の構成に限定されない。本発明は、シャーボルト301や安全装置が設けられていない農作業機に適用されてもよい。同様に、本発明は、巻掛伝動装置とは異なる動力伝達装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、オフセット機構を備える草刈り機に限定されず、オフセット機構を備えない草刈機、オフセット機構を備える他の農作業機、オフセット機構を備えない他の農作業機等、動力伝達装置を備える農作業機に適用可能であることは言うまでもない。
【0088】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
10:装着部、 11:ヒッチフレーム、 20:オフセット機構部、 21:オフセットフレーム、 22:リンクロッド、 23:支持フレーム、 24:伸縮部材、 30:動力伝達部、 31:駆動スプロケット、 32:従動スプロケット、 33:ローラーチェーン、 33a:弛み側、 34a、34b:テンショナー、 35:弾性部材、 36:チェーンケース、 37:チェーンカバー、 39:センサ、 40:作業部、 41:作業ローター、 41a:回転軸、 41b:刈刃、 42:ローターカバー、 43:側板、 44:刈刃駆動部、 44a:駆動プーリー、 44b:従動プーリー、 44c:ベルト、 44d:テンショナー、 100:農作業機、 110:制御部、 200:走行機体、 210:後方タイヤ、 220:三点リンク機構、 230:PTO軸、 300:通信機器、 301:シャーボルト、 302:貫通孔、 310:報知手段、 311:軸部、 312:歯車部、 391:取付部材、 392:ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7